JP5368006B2 - 走査型電子顕微鏡及び試料観察方法 - Google Patents

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本発明は、電子ビームを試料に照射して試料を観察する走査型電子顕微鏡及び試料観察方法に関する。
半導体素子の製造工程において、電子顕微鏡等の電子ビーム装置による試料の観察や、パターンの線幅等の測定が行われている。電子ビーム装置による試料の観察や測定では、観察する部分に電子ビームを照射させながら走査して、二次電子等の電子量を輝度に変換して表示装置に画像として表示している。
このように試料の観察や測定をする際に、電子ビームを照射するが、この電子ビームの照射によって試料表面が帯電する現象が発生する。すなわち、試料に入射する荷電粒子と放出される荷電粒子が有する電荷の差によって、照射面が正または負に帯電する。試料表面に帯電が発生すると、放出された二次電子が加速されたり、試料に引き戻されたりして二次電子放出の効率が変化する。その結果、試料表面の画像の質が不安定になるという問題がある。また、試料表面の帯電が進行すると、一次電子ビームを偏向させ、画像に歪みを生じさせてしまう場合がある。
このような問題に対し、試料上の帯電を防止する方法が種々提案されている。これに関する技術として、特許文献1には、二次電子の収率が1より大きくなる加速電圧と1より小さくなる加速電圧を利用して、試料表面の帯電を制御する方法が開示されている。また、特許文献2には、試料表面から放出される2次電子を試料直上の電極電圧で押し返して試料表面電位がプラス方向に進行することを抑制する方法が開示されている。
特開2003−142019号公報 特開2006−54094号公報
上記したように、電子ビーム装置における試料の観察において、試料が帯電する現象が発生するが、例えば試料を電気的に接続できる場合には、電気的に接続された試料上の導体を接地することにより、試料の帯電現象を防止することができ、特に問題にはならない。
しかし、試料が非導電性の場合や、導電性の材料が使用されていても接地することができず、電気的にフローティングな場合には試料の帯電現象が発生する。
半導体の露光の原盤として用いられるフォトマスクの寸法を測定する場合の帯電現象の一例について説明する。配線の製造途中過程である、ガラス基板の上全体にクロム等の導体があり、その上にクロムをエッチングするためのレジスト配線がある状態では、ある場所で電子ビームを照射して帯電が発生すると、基板上全体の導体の層の電位が変化するため、別の場所の観察や寸法測定にも影響を及ぼしてしまう。また、一つの場所での帯電が微小であっても、数百〜数千の場所に電子ビームを照射すれば、最終的には大きな帯電となり、最初に測定した寸法と最後に測定した寸法では同じ場所であっても異なった結果になってしまう。
このような寸法の変化として、例えば、電子ビームの照射エネルギーが1500eVの場合、試料表面電位が10V変化すると寸法が0.3%変動する状況が発生している。
電子ビーム装置に対しては、小さいデバイスサイズに対応するために高精度化が要求されている。例えば、寸法精度は0.05%以下となることが要求されている。従って、照射エネルギーが1500eVの場合は、許容される試料表面の電位変化は、1.7V程度である。
また、配線描画プロセスの一過程であるレジスト材の寸法測定においては、レジスト材への損傷を避けるため、電子ビームの照射エネルギーを500eV程度まで下げることが一般的である。この場合、寸法精度の要求を満たすためには、試料表面の電位変動を約0.6V以下にする必要がある。
さらに、レジスト材によっては電子ビームによる損傷感度が高いため、照射エネルギーを400eVから300eV程度にまで下げる必要があり、試料表面の電位変動は可能な限り0Vに近いことが望ましい。
なお、上記した、二次電子を利用して試料表面の帯電を制御する方法では、二次電子発生効率が種々のパラメータに依存するため、完全に帯電を抑制することは困難である。また、たとえ個々の帯電量が個々の測長には問題のないレベルであっても、測定点数が増加した場合は、導体層全体の電位変化による誤差の発生を防止することは困難である。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みなされたものであり、試料表面の導体層の電位を一定にして精度よく試料を観察することのできる走査型電子顕微鏡及び試料観察方法を提供することを目的とする。
上記した課題は、試料の表面に照射される電子ビームを放出する電子銃と、前記試料と対物レンズの間に配置され、前記電子ビームの光軸を中心とした所定の範囲の開口を有し、前記試料の表面上の全体を覆うガード電極と、前記ガード電極と前記電子ビームの光軸との間に設けられ前記ガード電極を前記光軸方向に貫く静電シールドと、前記ガード電極に電圧を供給するガード電極電源と、前記試料の表面の電位を測定する表面電位計と、前記試料の表面の電位と予め決定された基準電位との差分が所定の範囲を超えたときに前記差分を前記所定の範囲内にする電圧を前記ガード電極に印加して前記試料の表面の電位調整をする制御部と、を有することを特徴とする走査型電子顕微鏡により解決する。
上記した走査型電子顕微鏡において、前記ガード電極の前記開口は、前記電子ビーム及び前記電子ビームの照射により前記試料から発生する二次電子が通過するために十分な面積を確保しているようにしてもよく、更に、前記ガード電極の前記開口の内側に、静電シールドを備えるようにしてもよい。
また、上記した走査型電子顕微鏡において、前記制御部は、表面が導体層で覆われている前記試料に対して前記電位調整を行うようにしてもよく、前記制御部は、予め設定された測定点数毎に、前記電位調整を行うようにしてもよく、前記制御部は、前記電位調整を行った後、前記試料上に形成されたパターンの測長を行うようにしてもよい。
本発明では、測定対象の試料と対物レンズの間に、電子ビームの光軸を中心とした所定の大きさの開口を有し、試料の表面の全体が覆われるガード電極を設けている。試料表面の導体層の電位を表面電位計で測定し、予め決定しておいた導体層の基準電位との比較をし、この差分が所定の範囲をこえるときは、ガード電極の電位を調整して、差分が所定の範囲内の値になるように調整する。これにより、試料の表面の電位を一定にすることが可能になり、電子ビームの軌道が一定になり、試料の観察を正確に行うことが可能となる。
また、本発明の他の形態によれば、上記の形態に係る走査型電子顕微鏡において実施される試料観察方法が提供される。その一形態に係る試料観察方法は、試料の表面の電位を測定するステップと、前記表面の電位と予め設定された基準電位との差分を算出するステップと、前記差分が予め設定された許容値の範囲内にないとき、前記ガード電極に印加する電圧を調整して前記差分を前記許容値の範囲内にするように前記表面電位を調整するステップと、前記試料の表面電位が調整された後、前記試料に形成されたパターンの測長を行うステップと、を有することを特徴とする。
上記した試料観察方法において、前記試料の表面を測定するステップから前記表面電位を調整するステップは、予め設定された測定点数毎に行うようにしてもよい。
本発明の走査型電子顕微鏡を用いた試料観察方法では、予め、試料表面の基準電位、試料表面の測定電位と基準電位との差分の許容値を設定しておき、試料表面の電位がこの許容値の範囲内に入るように、ガード電極の電位を調整している。この調整は、予め設定した測定点の数毎に行うようにしている。これにより、試料の測長を行っている間は、試料上の電位の変化を許容範囲内に抑えることが可能になり、安定した測定を行うことが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
はじめに、走査型電子顕微鏡の構成について説明する。次に、本発明の特徴である試料表面の電位を一定にする処理について説明する。次に、走査型電子顕微鏡を用いた試料観察方法について説明する。なお、本実施形態では、表面のほとんどが導体層に覆われ、電子ビームを照射する領域に存在する導体が、互いに電気的に接続されているような試料を対象としている。
(電子ビーム寸法測定装置の構成)
図1は、本実施形態に係る走査型電子顕微鏡の構成図である。
この走査型電子顕微鏡100は、電子走査部10と、信号処理部30と、表示部40と、電子走査部10、信号処理部30及び表示部40の各部を制御する制御部20とに大別される。このうち、電子走査部10は、電子銃1とコンデンサレンズ2と偏向コイル3と対物レンズ4と、ガード電極11と、表面電位計13と、移動ステージ5とを有している。
図2は、走査型電子顕微鏡に設置されるガード電極11を説明する図である。ガード電極11は試料7と対物レンズ4の間に配置され、試料7全体を覆う大きさになっている。このガード電極11は独立したガード電極電源12に接続されており、ガード電極11の電位を制御部20によって所要の値に設定することが可能である。
また、ガード電極11は電子ビーム9が通過する部分に開口が設けられている。この開口は、電子ビーム9及び電子ビーム9が照射されたことによって試料7から発生する二次電子がガード電極11による電界の影響を受けない程度の大きさに形成されている。例えば、光軸を中心として直径数十mmである。この直径を短くすると、ガード電極11に印加した電圧によって発生する電界が静電レンズを構成し、電子ビームの焦点に影響を与えてしまう。よって、電子ビームが電気的に干渉されない程度の開口にしている。
ガード電極11と試料7との間隔は、数mmとしている。後述するようにガード電極11と導体層7a間の静電容量を前提として試料7の表面電位を調整するため、ガード電極11と試料7との間隔を広げすぎて静電容量が小さくならないようにする。
表面電位計13は、非接触で試料7の表面の電位(静電気電圧)を測定するものであり、測定値が測定距離に依存しないタイプの表面電位計が使用されている。
制御部20はマイクロコンピュータで構成され、測長を実行するためのプログラムが格納されている。また、制御部20は電子ビーム9の加速電圧を決定し、電気的に接続されている電子銃1に対して加速電圧を印加する。
以上のように構成された走査型電子顕微鏡100において、電子銃1から照射された電子ビーム9をコンデンサレンズ2、偏向コイル3、対物レンズ4を通して移動ステージ5上の試料7に照射する。電子ビーム9が照射されて試料7から出た二次電子又は反射電子の量は、シンチレータ等で構成される電子検出器8によって検出され、信号処理部30においてその検出量がAD変換器によってデジタル量に変換され、さらに輝度信号に変換されて表示部40で表示される。偏向コイル3の電子偏向量と表示部40の画像スキャン量は制御部20によって制御される。
このような一般的な機能に加えて、本実施形態に係る走査型電子顕微鏡では、以下に示すように試料7の表面電位を一定にする機能を備えている。すなわち、試料7の表面の導体層7aの電位を表面電位計13で測定し、この測定値と予め設定した基準電位との差分を算出して比較を行う。この差分が所定の許容範囲内にない場合、ガード電極11に印加する電圧を調整し、差分が許容範囲内になるようにする。このような試料7の表面の電位の調整を所定の測定点数毎に行った後、試料7に形成されたパターンの観察又は測長を行う。
(試料の表面の電位を一定にする処理)
試料7の上方に試料7の全体を覆うガード電極11を設けることにより、試料7の表面の電位を一定にする原理について以下に示す。
まず、図3及び図4を参照して、試料の表面電位の帯電について説明する。
図3は、一次電子のエネルギーと二次電子放出比との関係を模式的に示したものである。図3に示すように、一次電子のエネルギーを低いエネルギーから増加していくと、二次電子放出比も増加し、E1で1になる。さらに一次電子のエネルギーを増加すると、Emで二次電子放出比が最大となり、E2を越えると再び二次電子放出比は1より小さくなる。ここで、E1、Em、E2の値は、試料の材質に依存して変化するが、Emの値はほぼ500eVから1000eVの間になっている。
図4は、二次電子放出比と絶縁膜表面の帯電状態の関係を模式的に示したものである。図4(a)は、二次電子放出比が1より大きい場合である。二次電子放出比が1より大きい範囲では、試料7から放出される二次電子42の数が試料に入射する一次電子41の数を上回るため、試料7の表面は正に帯電する。一方、図4(b)は、二次電子放出比が1より小さい場合で、図3の一次電子エネルギーがE1より低いか、またはE2より高い場合に対応している。二次電子放出比が1より小さい範囲では、試料7の表面に電子が多く残り、試料7の表面は負に帯電する。
一次電子のエネルギーが十分大きく、二次電子放出比が1より小さい場合、試料7の表面が負に帯電するため、一次電子は試料7の付近で減速する。この帯電は、一次電子がE2のエネルギーまで減速され、二次電子放出比が1に近づくまで進行することになる。このとき帯電電圧はE2と一次電子エネルギーの差となり、大きな負の値(例えば、−100Vを超える値)に帯電する場合もある。このような帯電が発生すると、二次電子像が大きく歪み、測長誤差が増大する。
一方、二次電子放出比が1より大きい場合には試料7の表面が正に帯電するが、数V帯電すると数eVのエネルギーしか持たない二次電子43は試料7の表面に引き戻されるようになる。一次電子と表面に引き戻される二次電子とをあわせた入射電流と放出される二次電子による放出電流とがつりあい、それ以上帯電が進行しない。このため、試料7の観察等には二次電子放出比が1より大きくなる範囲が採用されている。
このような帯電均一化において、従来は、照射電子ビームのエネルギーを変えて試料表面の電位をプラス方向またはマイナス方向に帯電させ、試料表面の電位の変化を抑制している。この際に、二次電子放出比を1にして、帯電を防止するように、加速電圧を設定するようにしている。しかし、試料7の材質によって二次電子42の発生効率が1になる加速電圧が異なるため、加速電圧を調整しながら二次電子発生効率が1になるような加速電圧を見出さなければならず、加速電圧の設定が困難である。
本実施形態では、図2に示すように、試料7と対物レンズ4の間に、試料7の全体が覆われるガード電極11を設けている。このガード電極11の電位を調整することによって、導体層7aの電位(導体電位)を制御している。
図5は導体層7aと、ガード電極11と、導体層7aの周囲金属(対物レンズや試料台等)との接続関係を示す等価回路である。図5の等価回路において、導体層7aは点A、ガード電極11は点B、導体層7aの周囲金属は点Cで示されている。また、導体層7a(点A)と周囲金属(点C)との間の静電容量をC0,ガード電極11(点B)と導体層7a(点A)との間の静電容量をCgとし、導体層7a(点A)には電荷Qが蓄積しているものとする。周囲金属は接地され、ガード電極11(点B)の電位をVg,導体層7a(点A)の電位をVsとすると、導体層7aの電位Vsは、式(1)のようになる。
Vs=Vg×Cg/(C0+Cg)+Q/(C0+Cg)……(1)
式(1)より、試料7の表面の電位Vsの初期値をVs0とすれば、ガード電極11にVg=Vs0×(C0+Cg)/Cg−Q/Cgの電圧を印加することにより、試料7の表面の電位Vsの変動をなくすことができる。特に、試料7の表面の電位Vsの初期値が0(ゼロ)であれば、Vg=−Q/Cgの電圧をガード電極11に印加することによって、試料7の表面の電位をゼロで一定にすることが可能となる。
なお、ガード電極11と導体層7a間の距離を小さくするほどガード電極11と導体層7a間の静電容量Cgが大きくなるため、ガード電極11の電位VgはVs−Q/Cgと近似できる。よって、導体層7aとガード電極11以外の導体部分とで形成される静電容量の影響を無視して、導体層7aの電位を制御することが可能である。
このように、ガード電極11に所定の電圧を印加することによって、導体層7aの電位Vsの値を一定にすることが可能である。
実際には、導体層7aに蓄積されている電荷の値等の測定が困難であるため、導体層7aの表面電位を測定し、予め規定した導体層7aの電位の基準値との差分が許容範囲内の値になるようにガード電極11の電位を制御するようにしている。
例えば、基準値は、はじめに試料7の表面電位を測定したときの値とする。所定数の測定点数の測定が終了する毎に表面電位を測定し、その表面電位と基準値と比較し、差分が許容範囲内であれば測長を継続し、差分が許容範囲内でなければ、ガード電極11に電圧を印加して、試料7の表面電位を基準値に戻すように調整する。
図6は、試料7に形成されたパターンの測定値が測定点数の増加によって変化する様子を示している。図6の横軸は測定点数を示し、縦軸は測定値を示している。なお、図6では、同一のサイズに形成されたパターンを測長するものとする。
測定点数n0、すなわち測定の開始時点において測定した寸法がx1であるとする。試料7上に形成されたパターンの寸法測定をする間、試料7上には電子ビームが照射されるため、試料7の表面が帯電し、電子ビームの軌道が変化する。そのため、例えば、図6の破線L1に示すように測定点数の増加とともに実際の寸法よりも大きく測定されるようになってしまう。
そこで、規定の測定点数毎に試料7の表面電位を測定し、許容範囲の電位になっていない場合に、ガード電極11に電圧を印加して表面電位を許容範囲内の電位に調整する。これにより、所定の数の測定点の開始時には、常に許容範囲内の表面電位にすることができ、図6の実線L2に示すように、許容範囲(α)内で測長を実施することが可能となる。
また、所定の数の測定が終了した時点で試料7の表面電位が許容範囲の電位であるときは、ガード電極11に電圧を印加することによる表面電位の調整を行う必要がない。例えば、図6の破線L3に示すように所定の測定点数n1、n2のときには表面電位の調整を行わず、測定点数がn3のときに表面電位の調整を行えばよい。
なお、試料7がフォトマスクの場合には、測長以前のプロセスによって頻繁にチャージアップが発生している。よって、試料7を移動ステージ5に搭載した直後の試料7上の導体層7aの電位は必ずしも一定とは限らない。この状態で試料7上に作成されたパターンの測長を行うと、パターンのサイズが同じであっても試料7毎に測定結果が異なるという現象が発生してしまうおそれがある。従って、安定した測長を実施可能にするために、試料7の表面の初期電位を固定することが望ましい。
この場合には、試料7の表面電位の基準値Vs0を予め設定し(例えば、0[V])、試料7を移動ステージ5に搭載したときの試料7の表面電位を表面電位計13を用いて測定し、測定した値が許容範囲になるようにガード電極11に印加する電圧を調整する。その後、規定の測定点数の測定終了毎に試料7の表面電位を測定して基準値Vs0に近くなるようにガード電極11に印加する電圧を調整する。
このように、試料7の表面の初期の電位を所定の基準値に設定することにより、試料7相互間で常に試料7の表面電位を基準値に近い値とすることができ、安定した測長を行うことが可能となる。
また、ガード電極11の中央部の開口を極力小さくして、試料7の表面とで構成される静電容量の値を大きくする場合には、図7に示すように、シールド15を開口内部に設けるようにしてもよい。このシールド15によって、ガード電極11に印加した電圧による電界がシールド15の内側に形成されることが防止でき、電子ビームの軌道や焦点に影響を与えないようにすることができる。
以上説明したように、本実施形態の走査型電子顕微鏡では、測定対象の試料と対物レンズの間に、電子ビームの光軸を中心とした所定の大きさの開口を有し、試料の表面の全体が覆われるガード電極を設けている。試料表面の導体層の電位を表面電位計で測定し、予め決定しておいた導体層の基準電位との比較をし、この差分が所定の範囲をこえるときは、ガード電極の電位を調整して、差分が所定の範囲内の値になるように調整する。これにより、試料の表面の電位を一定にすることが可能になり、電子ビームの軌道が一定になり、試料の観察を正確に行うことが可能となる。
(試料測長方法)
次に、本実施形態の走査型電子顕微鏡100において、試料7上に形成されたパターンの測長をする試料観察方法について図8のフローチャートを用いて説明する。図8は、試料の表面電位を一定にして試料上に形成されたパターンの測長を行う処理フローの一例を示している。なお、本処理では、試料7が移動ステージ5に搭載されたものとして説明する。
まず、最初のステップS11では、初期設定を行う。この初期設定では、試料7の表面の導体層7aの電位の基準値Vs0、及び試料7aの表面の電位(導体電位)Vsと基準値Vs0との差分の許容値βを決定する。また、表面電位の調整を実施するまでの測定点の数を決定する。また、ガード電極11の電位Vgを初期値Vg0に設定する。
ステップS12からステップS14において試料上の表面電位の調整を行う。
ステップS12では、試料7の表面の導体電位Vsを、表面電位計13を用いて測定する。測定した導体電位Vsと予め設定された基準値Vs0との差分d(|Vs−Vs0|)を算出する。
次のステップS13では、ステップS12で算出された差分|Vs−Vs0|が所定の許容値β以下か否かを判定する。差分が所定の許容値β以下であれば、導体電位Vsは電子ビームに影響を与えるものではないと判定し、ステップS15に移行して測長を実施する。一方、差分が所定の許容値β以下でなければ、ステップS14に移行する。
次のステップS14では、差分|Vs−Vs0|が許容値β以下になるように、ガード電極11の電位を制御する。試料7の表面の導体電位Vsが基準値Vs0よりも大きいときは、ガード電極11に印加するガード電極電源12の電位Vgを初期値Vg0よりも下げ、導体電位Vsが基準値Vs0よりも小さいときは、ガード電極電源12の電位Vgを初期値Vg0よりも上げる。ガード電極電源12の電圧の上げ幅又は下げ幅を予め規定しておき、ガード電極電源12の電位Vgの値を上げ幅又は下げ幅に応じて調整する毎に導体電位Vsを表面電位計13で測定する。このガード電極電源12の電位Vgの値の調整を、導体電位Vsと基準値Vs0との差分が許容値βの範囲内になるまで行う。
次のステップS15において、試料7上に形成されたパターンの測長を行う。
次のステップS16では、ステップS11の初期設定で規定した測定点数の測長処理が終了したか否かの判定をし、終了していなければ、測長を継続する。
次のステップS17では、すべての測定点に対して測長が終了したか否かを判定し、終了していれば本処理は終了し、測長が終了していなければ、ステップS12に戻り、次の規定点数の測定の開始前に、導体電位Vsの調整を行う。
以上説明したように、本実施形態の走査型電子顕微鏡を用いた試料観察方法では、予め、試料表面の基準電位、試料表面の測定電位と基準電位との差分の許容値を設定しておき、試料表面の電位がこの許容値の範囲内に入るように、ガード電極の電位を調整している。この調整は、予め設定した測定点の数毎に行うようにしている。これにより、試料の測長を行っている間は、試料上の電位の変化を許容範囲内に抑えることが可能になり、安定した測定を行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、測長実行中以外はなんらかの手段によって電子ビーム照射を停止することを前提としている。従って、試料7の電荷の蓄積は測定点数にほぼ比例して増加すると考えられるため、連続して測定を行う測定点の数を予め設定しておき、測定が終了する毎に試料表面の電位を調整するようにしている。しかし、電子ビーム照射を停止する手段がない場合は、試料7の電荷の蓄積は照射時間にほぼ比例して増加すると考えられる。また、規定された測定点数が多いときは測定中に試料7に電荷が蓄積され、基準値Vs0との差分が許容値βの範囲内に入らない場合もあり得る。従って、試料7の表面の電位調整をする時間間隔を設定しておき、その時間毎に試料表面の電位を調整するようにしてもよい。
本発明の実施形態で使用される走査型電子顕微鏡の構成図である。 図1に係る走査型電子顕微鏡のガード電極を説明する図である。 一次電子のエネルギーと二次電子放出比との関係を示す図である。 図4(a)、(b)は二次電子放出比と試料表面の帯電の関係を示す図である。 試料表面の導体層とガード電極と導体層の周囲金属との接続関係を示す等価回路である。 測定点数と測定値との関係を示した図である。 図1に係る走査型電子顕微鏡のガード電極及び静電シールド電極を説明する図である。 試料観察方法の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
100…走査型電子顕微鏡、1…電子銃、2…コンデンサレンズ、3…偏向コイル、4…対物レンズ、5…移動ステージ、7…試料、7a…導体層、8…電子検出器、9…電子ビーム、10…電子走査部、11…ガード電極、12…ガード電極電源、13…表面電位計、15…静電シールド、20…制御部、30…信号処理部、40…表示部、41…一次電子、42,43…二次電子。

Claims (7)

  1. 試料の表面に照射される電子ビームを放出する電子銃と、
    前記試料と対物レンズの間に配置され、前記電子ビームの光軸を中心とした所定の範囲の開口を有し、前記試料の表面上の全体を覆うガード電極と、
    前記ガード電極と前記電子ビームの光軸との間に設けられ前記ガード電極を前記光軸方向に貫く静電シールドと、
    前記ガード電極に電圧を供給するガード電極電源と、
    前記試料の表面の電位を測定する表面電位計と、
    前記試料の表面の電位と予め決定された基準電位との差分が所定の範囲を超えたときに前記差分を前記所定の範囲内にする電圧を前記ガード電極に印加して前記試料の表面の電位調整をする制御部と、を有することを特徴とする走査型電子顕微鏡。
  2. 前記ガード電極の前記開口は、前記電子ビーム及び前記電子ビームの照射により前記試料から発生する二次電子が通過するために十分な面積を確保していることを特徴とする請求項1に記載の走査型電子顕微鏡。
  3. 前記制御部は、表面が導体層で覆われている前記試料に対して前記電位調整を行うことを特徴とする請求項2に記載の走査型電子顕微鏡。
  4. 前記制御部は、予め設定された測定点数毎に、前記電位調整を行うことを特徴とする請求項2に記載の走査型電子顕微鏡。
  5. 前記制御部は、前記電位調整を行った後、前記試料上に形成されたパターンの測長を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の走査型電子顕微鏡。
  6. 試料の表面に照射される電子ビームを放出する電子銃と、前記試料と対物レンズの間に配置され、前記電子ビームの光軸を中心とした所定の範囲の開口を有し、前記試料の表面上の全体を覆うガード電極と、前記ガード電極と前記電子ビームの光軸との間に設けられ前記ガード電極を前記光軸方向に貫く静電シールドと、前記ガード電極に電圧を供給するガード電極電源と、前記試料の表面の電位を測定する表面電位計と、を有する走査型電子顕微鏡において行う試料観察方法であって、
    試料の表面の電位を測定するステップと、
    前記表面の電位と予め設定された基準電位との差分を算出するステップと、
    前記差分が予め設定された許容値の範囲内にないとき、前記ガード電極に印加する電圧を調整して前記差分を前記許容値の範囲内にするように前記表面電位を調整するステップと、
    前記試料の表面電位が調整された後、前記試料に形成されたパターンの測長を行うステップと、
    を有することを特徴とする試料観察方法。
  7. 前記試料の表面を測定するステップから前記表面電位を調整するステップは、予め設定された測定点数毎に行うことを特徴とする請求項6に記載の試料観察方法。
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