JP5367514B2 - 転倒解体方法 - Google Patents

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Description

本発明は転倒解体方法に関する。より詳しくは、鉄筋コンクリート構造体を転倒させ解体する転倒解体方法に関する。
従来、鉄筋コンクリート構造物の解体工法として様々な技術が用いられているが、比較的作業効率が高い解体工法として、転倒工法が多く用いられている。これは、例えば、図8(a)に示すように、鉄筋コンクリート構造体51にワイヤ59等により引張力を加えて、柱53と梁55を矢印aで示す方向に転倒させる際に、柱53の下端部の根元部分のみコンクリートを破砕するとともに、図8(b)に示すように柱53の下端部の鉄筋57で転倒時に部材引張側となるもののみを切断した状態で引張力を加えることで、柱53や梁55等をまとめて転倒させ地上で解体・破砕する工法である。
また、構造物を引き倒し倒壊させる時に地盤への振動を緩和させるため、構造物の倒壊範囲にクッションマウンドを設置する構造物の引き倒し方法が特許文献1に示されている。
また、建物の外周および内部の柱または耐震壁に切断装置により所要深さのスリットを多数設けるとともに、所要箇所に爆薬を装填し、装填した爆薬を順次爆発させることにより建物を破壊する建物の解体方法が特許文献2に示されている。
特開2007−169907号公報 特開昭63−564号公報
上記の転倒工法は、比較的簡単な解体方法となるが、転倒時には構造体の転倒速度が制御できないために大きな騒音、振動や粉塵の発生が避けられない。また、引張ワイヤの引張力の違いにより想定外の方向へ転倒したり、想定以上の範囲にまで転倒物が及んだりして大きな災害事故が発生する場合もあった。
また、特許文献1に記載の構造物の引き倒し方法では、事前にクッションマウンドを設置する必要がある。また、特許文献2に記載の解体方法は、爆薬を用いて安全に効率良く建物を解体する方法であるが、上記のような転倒工法にかかる課題を解決するものではない。
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、簡易な方法で鉄筋コンクリート構造物を静的に転倒させ、解体する転倒解体方法を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するために第1の発明は、一対の柱部材を梁部材で接続してなる鉄筋コンクリート構造体の内方として予め定めた転倒方向により定められる、転倒時に前記鉄筋コンクリート構造体の前記梁部材が圧縮力をうける梁軸方向の両端部を除く中間部の部材圧縮部の一部を少なくとも切り欠いて切欠部を形成するとともに、転倒時に前記鉄筋コンクリート構造体の前記一対の柱部材が引張力をうける各柱部材の外側の部材引張部の、鉄筋を含む一部を少なくとも切り込んで切込部を形成し、前記鉄筋コンクリート構造体に力を加え、前記予め定めた転倒方向に転倒させて前記切欠部の対向する面を少なくとも一部で接触させ、更に前記鉄筋コンクリート構造体に力を加えて前記鉄筋コンクリート構造体を転倒させることを特徴とする転倒解体方法である。
また、前記対向する面を接触させた後、前記切込部に楔材を配置する。
前記切欠部は、前記鉄筋コンクリート構造体の部材圧縮部においてコンクリートと鉄筋を切り欠いて形成され、前記鉄筋コンクリート構造体の梁部材の梁軸方向の両端部を除く中間部の部材圧縮部で形成したり、前記鉄筋コンクリート構造体の柱部材の柱軸方向の両端部を除く中間部の部材圧縮部で形成したりすることができる。
上記の構成により、鉄筋コンクリート構造体は、転倒時に鉄筋コンクリート構造体の部材が圧縮力をうける部材圧縮部の一部を切り欠いて切欠部が形成されるので、転倒時には切欠部の対向する面が少なくとも一部で接し、鉄筋コンクリート構造体がいったん静止する。その後、更に力を加えることにより転倒させるので、転倒速度を制御し抑えることができる。これにより、簡易な方法で構造物を静的に転倒させ、解体することができる。この際、転倒時に鉄筋コンクリート構造体の部材が引張力をうける部材引張部の一部を切り込んで切込部を形成することで、鉄筋コンクリート構造体を容易に転倒させることができる。また、切欠部の対向する面を接触させた際には、鉄筋コンクリート構造体の転倒に伴って切込部は広げられている状態であるが、この切込部に楔材を配置することで、切欠部の対向する面が接触した状態で鉄筋コンクリート構造体を静止させ、その形状を維持することができる。このように、本発明の転倒解体方法においては、転倒の際に、鉄筋コンクリート構造体の必要最小限の鉄筋のみ切断し、コンクリートにはほとんど損傷を与えない状態で、静的に安定した状態で転倒させるので、従来の転倒工法に係る前述した問題点を解消することができる。また転倒させた後も部材のコンクリート部分の損傷はわずかであるので、転倒後に露出した鉄筋を切断することで、整然とした部材片に分離することができ、クレーン等で部材をトラックにのせるなどして、現場からの搬出が容易となる。
本発明により、簡易な方法で鉄筋コンクリート構造物を静的に転倒させ、解体する転倒解体方法を提供することができる。
第1の実施形態の転倒解体方法で解体する鉄筋コンクリート構造体を示す断面図 第1の実施形態の転倒解体方法を示す図 第1の実施形態の転倒解体方法を示す図 第1の実施形態の転倒解体方法を示す図 切欠部と切込部を説明する図 第2の実施形態の転倒解体方法を示す図 第2の実施形態の転倒解体方法を示す図 構造物の転倒解体工法の例を示す図
以下、図面を参照しながら、本発明の転倒解体方法等の実施形態について説明する。まず、図1〜図5を用いて第1の実施形態の転倒解体方法について説明する。
まず、図1を用いて、本実施形態の転倒解体方法において転倒し解体される鉄筋コンクリート構造体について説明する。本実施形態の転倒解体方法では、図1に示す鉄筋コンクリート構造体1を構造体内方へ転倒させた後解体を行う。鉄筋コンクリート構造体1は、1対の柱3と柱3の上部を接続する梁5により構成される。柱3の内部では柱軸方向に柱鉄筋7が配置され、梁5の内部には梁軸方向に梁鉄筋9が配置される。梁鉄筋9は、両端部で柱鉄筋7の上端部に固定される。
本実施形態では、鉄筋コンクリート構造体1の梁5の梁軸方向の中間部の下側に下方向の引張力を加えて倒すことにより、鉄筋コンクリート構造体1を構造体内方へ転倒させる。この際、梁5は図中矢印Aで示すように構造体内方(下方)に転倒する。柱3は上端部の梁5との連結部分で構造体内方に向かって回転するモーメント力を受けて、図中矢印Bで示すように構造体内方に転倒する。
この際、図1に示すように、柱3において、梁5との連結部分以下の転倒方向に沿って転倒側(構造体内方)の部分は部材が圧縮力を受ける圧縮部11(部材圧縮部)となる。一方、転倒方向に沿って転倒側と逆側(構造体外方)の部分は部材が引張力を受ける引張部13(部材引張部)となる。また、梁5において、転倒方向に沿って転倒側と逆側の部分で梁軸(材軸)方向の両端部以外の中間部は部材が圧縮力を受ける圧縮部11となり、転倒側の部分で梁軸方向の両端部以外の中間部は部材が引張力を受ける引張部13となる。梁5において、柱3との連結部付近である梁軸方向の両端部では、転倒方向に沿って転倒側の部分は部材が圧縮力を受ける圧縮部11となり、転倒側と逆側の部分は部材が引張力を受ける引張部13となる。
次に、本実施形態の転倒解体方法について、図2から図5を用いて説明する。
本実施形態の転倒解体方法では、まず、図2に示すように、鉄筋コンクリート構造体1の梁5の圧縮部11である、梁5の梁軸方向の中央部の上側(転倒方向に沿って転倒側と逆側)からコンクリート及び鉄筋を含む部分を切欠いて切欠部15を形成する。更に、柱3の引張部13である、鉄筋コンクリート構造体1に対して外側(転倒方向に沿って転倒側と逆側)の、柱軸(材軸)方向における下端部のコンクリート及び鉄筋を切り込んで切込部17を形成する。また、梁5の引張部13である、梁軸方向の両端部の上側(転倒方向に沿って転倒側と逆側)のコンクリート及び鉄筋を切り込んで切込部17を形成する。
切欠部15は、梁5の梁軸方向と直交する梁幅方向を横断し、転倒方向に沿って転倒側と逆側(部材圧縮側)の部材面で開口し、梁軸方向において対向する側面14を有する凹字状に形成される。切欠部15は、例えば所定の穿孔径を有するコアボーリングマシンを用いて穿孔を行い、図5(a)に示すようにコンクリート及び鉄筋を切欠くことで形成できる。しかしながら、切欠部15の形成方法はこれに限らず、コンクリート及び鉄筋を切欠くことができればよい。また、切欠部15の形状はこれに限らず、例えば梁幅方向を横断し、転倒方向に沿って転倒側と逆側の部材面で開口するV字状あるいはU字状に形成することもできる。
切欠部15の大きさは、鉄筋コンクリート構造体1に力を加えて鉄筋コンクリート構造体1を転倒させる際に、切欠部15の対向する側面14が少なくとも一部で接触するように定められる。この範囲において、切欠部15の大きさは、側面14どうしが接触した時の鉄筋コンクリート構造体1の転倒の進行状態(その際の全体的な形状)を考慮して定めることができる。例えば切欠部15の切欠幅(対向する側面14間の梁軸方向の距離)を大きくしたときは、対向する側面14どうしが接触したときに、鉄筋コンクリート構造体1の転倒はより進行しており、梁5は切欠部15でより鋭角に折れ曲がった状態となる。逆に、切欠部15の切欠幅を小さくすると、対向する側面14が接触したときに、鉄筋コンクリート構造体1の転倒はそれほど進行しておらず、梁5は切欠部15でより広角に折れ曲がった状態となる。また、切欠部15の切欠深さも、本実施形態では梁5の上側からその下側(引張部13)に達しているが、圧縮部11の一部を少なくとも切り欠き、転倒の際切欠部15の対向する側面14が少なくとも一部で接触する限りにおいて様々に定めることができる。更に、切欠部15の形成位置なども、例えば梁5の梁軸方向の中間部の上側など、圧縮部11の一部を少なくとも切り欠き、転倒の際切欠部15の対向する側面14が少なくとも一部で接触する限りにおいて様々に定めることができる。
ただし、切欠部15は、梁5の下側の引張部13の梁鉄筋9を切欠かないことが望ましい。これは、鉄筋コンクリート構造体1の構造部材が連続した状態を保ちつつ転倒させることで、転倒速度を抑え、鉄筋コンクリート構造体1を安定した状態で静的に転倒させるためである。
切込部17は、例えば、図5(b)に示すように、ウォールカッタ21を用いて引張部13のコンクリート及び鉄筋を切り込むようにして形成することができる。その他、必要に応じて切込部17として図5(b)で示すように小径のコアボーリングマシンを用いて穿孔を行い、穿孔部17aで転倒方向に対して直交する方向の側面の鉄筋を切断するようにしてもよい。ここで、引張部13の鉄筋を切断するのは、容易に鉄筋コンクリート構造体1の転倒を行うためである。
切込部17の水平方向もしくは鉛直方向の切込深さも様々に定められるが、転倒方向に沿ってその転倒側に位置する圧縮部11の柱鉄筋7もしくは梁鉄筋9は切欠かないようにすることが望ましい。これは、鉄筋コンクリート構造体1の構造部材が連続した状態を保ちつつ転倒させることで、転倒速度を抑え、鉄筋コンクリート構造体1を安定した状態で静的に転倒させるためである。
また、その他切込部17の形成位置なども、例えば柱3の柱軸方向の中間部の鉄筋コンクリート構造体1の外側の部分など、引張部13の鉄筋を含む一部を少なくとも切り込むように様々に定められる。
以上のように、鉄筋コンクリート構造体1に切欠部15と切込部17を形成した後、梁5の梁軸方向の中央部で構造体下方向に引張力を加え、鉄筋コンクリート構造体1を転倒させる。この際、前述したように、柱3、梁5は構造体内方に転倒する。引張力を加える際は、例えば梁5の梁軸方向の中央部に取り付けたワイヤを用いることができる。しかしながら、鉄筋コンクリート構造体1に力を加えて転倒させることができる限りにおいて、これに限られることはなく、例えば本実施形態では梁5の上方向から構造体を押圧するようなものであってもよい。
これにより鉄筋コンクリート構造体1は転倒するが、本実施形態の転倒解体方法では、鉄筋コンクリート構造体1の圧縮部11である、梁5の梁軸方向の中間部の上側に切欠部15を設けたことにより、図3に示すように、転倒の途中で切欠部15の対向する側面14どうしが上部(部材圧縮側の部分)で接して切欠部15が閉じ、転倒がいったん止まって鉄筋コンクリート構造体1が静止する。この際、鉄筋コンクリート構造体1の引張部13に設けた切込部17は、鉄筋コンクリート構造体1の外側の、転倒方向に沿って転倒側と逆側(部材引張側)の部材面で開口するV字状に広がることになる。なお、転倒時の梁5の両端の部材回転角が異なる場合など、対向する側面14は必ずしも上部で接するということはなく、一方の側面14の上部と一方の側面14の上部以外の部分が接する場合もある。
図3に示すように、転倒により広がった切込部17に楔材19を挿し込んで配置し、広がった切込部17の形状を保ち、切欠部15の対向する側面14が接した鉄筋コンクリート構造体1の転倒途中の形状を維持することができる。転倒途中で柱3の圧縮部11の鉄筋が弾性を保っている場合には、転倒方向と逆方向に戻ろうとする力が鉄筋コンクリート構造体1に働くが、楔材19を配置することにより、転倒途中の鉄筋コンクリート構造体1の変形を拘束し、その形状を維持することができる。
なお、楔材19は上記した転倒方向と逆方向に戻ろうとする力に対抗する強度を有しており、広がった切込部17に配置して柱3の移動を拘束することができれば、その材質、形状は問わない。また、同形状の楔材19を複数用意しておき、切込部17の広がりに応じて同形状の楔材19を複数重ねて切込部17に配置することなどもできる。
その後、図4に示すように、切欠部15の下方の引張部13の鉄筋9を切断し、構造体の下方に引張力を加え、鉄筋コンクリート構造体1の図左側の構造部分を転倒させる。この際、引張力を加える位置は梁5の中央部でなくてもよく、転倒させる構造部分に応じて決めることができる。この後、図右側の構造部分を転倒させて、鉄筋コンクリート構造体1の転倒を終了し、転倒した鉄筋コンクリート構造体1の解体を行う。なお、転倒させる構造部分については、楔材19を取り外してから転倒させてもよいし、楔材19を切込部17に配置したまま転倒させてもよい。
以上図面を用いて説明したように、鉄筋コンクリート構造体1の圧縮部11に切欠部15を設けることにより、鉄筋コンクリート構造体1の転倒の際に切欠部15の対向する側面14が少なくとも一部で接するので、その状態で鉄筋コンクリート構造体1をいったん静止させることができる。その後、静止した状態から転倒を再開するので転倒速度を抑え、また鉄筋コンクリート構造体1の構造部材が鉄筋で連続した状態を保ちつつ転倒させるので、鉄筋コンクリート構造体1を静的に安定した状態で転倒させることができる。このように、本発明の転倒解体方法の第1の実施形態においては、転倒の際に、鉄筋コンクリート構造体1の必要最小限の鉄筋のみ切断し、コンクリートにはほとんど損傷を与えない状態で、静的に安定した状態で転倒させるので、従来の転倒工法に係る前述した問題点を解消することができる。また転倒させた後も部材のコンクリート部分の損傷はわずかであるので、転倒後に露出した鉄筋を切断することで、整然とした部材片に分離することができ、クレーン等で部材をトラックにのせるなどして、現場からの搬出が容易となる。
次に、第2の実施形態の転倒解体方法について、図6、図7を用いて説明する。本実施形態の転倒解体方法は、図6(a)に示す鉄筋コンクリート構造体31を図中矢印Cで示す方向に転倒させる場合を例にとり説明する。鉄筋コンクリート構造体31は、1対の柱33と柱33の上部を接続する梁35により構成される。柱33の内部では柱軸方向に柱鉄筋37が配置され、梁35の内部では梁軸方向に梁鉄筋(不図示)が配置される。梁鉄筋は、両端部で柱鉄筋37に固定される。
本実施形態では、図6(a)で示すように、鉄筋コンクリート構造体31の柱35の上端部にワイヤ39で斜め下方向の力を加えて倒すことにより、鉄筋コンクリート構造体31の転倒が行われるものとする。この際、柱33は図中矢印Cで示すように、上端部で斜め下方向に向かって回転するモーメント力を受けるため、図中矢印Cで示すように鉄筋コンクリート構造体1の斜め下方向に転倒する。柱33の上端部を連結する梁35も、これに伴って矢印Cで示す斜め下方向に転倒する。
この際、柱33において、その転倒方向に沿って転倒側(図中右側)の部分は部材の圧縮力を受ける圧縮部となる。一方、転倒方向に沿って転倒側と逆側(図中左側)の部分は部材の引張力を受ける引張部となる。
図6(a)、図6(b)に示すように、鉄筋コンクリート構造体31の柱33の圧縮部である、柱33の柱軸方向の中央部の転倒方向に沿って転倒側の部分からコンクリート及び鉄筋37を含む部分を切欠いて切欠部41が形成される。また、柱33の引張部である、転倒方向に沿って転倒側の逆側において、柱33の下端部でコンクリート及び鉄筋を切り込んで切込部43が形成される。
図6(b)に示すように、切欠部41は、転倒側(部材圧縮側)の部材面において、柱軸方向と直交する柱幅方向を横断して転倒側の部材面で開口し、柱軸方向において対向する上面40aと下面40bを有する凹字状に形成される。その他の切欠部41の構成ならびに切込部43の構成は、第1の実施形態とほぼ同様であり、例えば切欠部41ではその転倒側と逆側に位置する引張部の鉄筋を切欠かないようにし、切込部43ではその転倒側に位置する圧縮部の鉄筋を切り込まないようにする。
なお、切欠部41の形成位置は、後述する転倒の際に上面40aと下面40bが少なくとも一部で接するように、柱33の圧縮部において形成されればよいが、柱33の下端部や上端部などの両端部に設けると、上面40aと下面40bが接した時にほぼ転倒が終了してしまっているもしくはほとんど転倒が終了していない状態となるので、本発明の効果をより発揮させるためには、両端部を除く中間部に切込部41を形成することが望ましい。
以上のように、鉄筋コンクリート構造体31に切欠部41と切込部43を形成した後、図6に示すように、柱33の上端部からワイヤ39により斜め下方向に力を加え、鉄筋コンクリート構造体31を転倒させる。この際、前述したように、柱33と梁35は構造体の斜め下方向に転倒する。
しかしながら、本実施形態の転倒解体方法でも、鉄筋コンクリート構造体31の柱33の圧縮部である、柱33の柱軸方向の中央部の転倒側の部分に切欠部41を設けたことにより、図7に示すように、転倒の途中で切欠部41の対向する上面40aと下面40bが少なくとも一部で接し、切欠部41が閉じ、転倒がいったん止まって鉄筋コンクリート構造体31が静止する。さらに転倒により広がった切込部43に楔材45を挿し込んで配置し、転倒の際に広がった切込部43の形状を保ち、切欠部41の対向する上面40aと下面40bが接した鉄筋コンクリート構造体31の転倒途中の形状を維持することができる。転倒途中で柱33の圧縮部の鉄筋37が弾性を保っている場合には、転倒方向と逆方向に戻ろうとする力が鉄筋コンクリート構造体31に働くが、楔材45を配置することにより、転倒途中の鉄筋コンクリート構造体31の変形を拘束し、その形状を維持することができる。なお、楔材45は、第1の実施形態の楔材19と同様のものを使用できる。
その後、鉄筋コンクリート構造体31の斜め下方向に続けて力を加え、鉄筋コンクリート構造体31を転倒させる。この際、切欠部41より転倒方向に沿って転倒側の逆側に位置する引張部の鉄筋を切断してもよい。鉄筋コンクリート構造体31の転倒の終了後、転倒した鉄筋コンクリート構造体31の解体を行う。
このように、第1の実施形態と同様、第2の実施形態の転倒解体方法においても、鉄筋コンクリート構造体31の圧縮部に切欠部41を設けることにより、鉄筋コンクリート構造体31の転倒の際に切欠部41の対向する上面40aと下面40bが少なくとも一部で接するので、その状態で鉄筋コンクリート構造体31をいったん静止させることができる。その後、静止した状態から転倒を再開するので転倒速度を抑え、また鉄筋コンクリート構造体31の構造部材が鉄筋で連続した状態を保ちつつ転倒させるので、鉄筋コンクリート構造体31を静的に安定した状態で転倒させることができる。このように、本発明の転倒解体方法の第2の実施形態においても、転倒の際に、鉄筋コンクリート構造体1の必要最小限の鉄筋のみ切断し、コンクリートにはほとんど損傷を与えない状態で、静的に安定した状態で転倒させるので、従来の転倒工法に係る前述した問題点を解消することができる。また転倒させた後も部材のコンクリート部分の損傷はわずかであるので、転倒後に露出した鉄筋を切断することで、整然とした部材片に分離することができ、クレーン等で部材をトラックにのせるなどして、現場からの搬出が容易となる。
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る転倒解体方法の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本発明の転倒解体方法は柱と梁からなる鉄筋コンクリート構造体にのみ適用されるものではなく、例えば柱、梁と接続する壁体や床材が存在する場合にも適用でき、その場合は当該壁体や床体と柱、梁との縁切りを行った後、本発明の転倒解体方法を用いることができる。また、上記の実施形態で説明したような柱および梁で構成される構造が平面方向あるいは鉛直方向に連続する場合についても適用でき、その場合も部材圧縮部の一部を少なくとも切り欠いて切欠部を設ければ良い。また、切欠幅の異なる複数の切欠部を設け、切欠幅の小さいものから順次対向する面を接触させたり、複数の転倒方向に応じた複数の切欠部を設け、転倒途中で切欠部の対向する面を接触させた後、転倒方向を変化させたりすることで、多段階に分けて鉄筋コンクリート構造体を転倒させることもできる。
1、31、51………鉄筋コンクリート構造体
3、33、53………柱
5、35、55………梁
7、37、57………柱鉄筋
9………梁鉄筋
11………圧縮部
13………引張部
14………側面
15、41………切欠部
17、43………切込部
19、45………楔材
40a………上面
40b………下面

Claims (4)

  1. 一対の柱部材を梁部材で接続してなる鉄筋コンクリート構造体の内方として予め定めた転倒方向により定められる、転倒時に前記鉄筋コンクリート構造体の前記梁部材が圧縮力をうける梁軸方向の両端部を除く中間部の部材圧縮部の一部を少なくとも切り欠いて切欠部を形成するとともに、転倒時に前記鉄筋コンクリート構造体の前記一対の柱部材が引張力をうける各柱部材の外側の部材引張部の、鉄筋を含む一部を少なくとも切り込んで切込部を形成し、前記鉄筋コンクリート構造体に力を加え、前記予め定めた転倒方向に転倒させて前記切欠部の対向する面を少なくとも一部で接触させ、更に前記鉄筋コンクリート構造体に力を加えて前記鉄筋コンクリート構造体を転倒させることを特徴とする転倒解体方法。
  2. 前記対向する面を接触させた後、前記切込部に楔材を配置することを特徴とする請求項記載の転倒解体方法。
  3. 前記切欠部は、前記鉄筋コンクリート構造体の部材圧縮部においてコンクリートと鉄筋を切り欠いて形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の転倒解体方法。
  4. 欠部、前記鉄筋コンクリート構造体の柱部材の柱軸方向の両端部を除く中間部の部材圧縮部で形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の転倒解体方法。
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