JP5364381B2 - アンミン白金錯体を高濃度で内包するリポソームおよびその製造方法 - Google Patents
アンミン白金錯体を高濃度で内包するリポソームおよびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5364381B2 JP5364381B2 JP2008549290A JP2008549290A JP5364381B2 JP 5364381 B2 JP5364381 B2 JP 5364381B2 JP 2008549290 A JP2008549290 A JP 2008549290A JP 2008549290 A JP2008549290 A JP 2008549290A JP 5364381 B2 JP5364381 B2 JP 5364381B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- liposome
- buffer
- cis
- platinum complex
- solution
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K33/00—Medicinal preparations containing inorganic active ingredients
- A61K33/22—Boron compounds
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K33/00—Medicinal preparations containing inorganic active ingredients
- A61K33/24—Heavy metals; Compounds thereof
- A61K33/243—Platinum; Compounds thereof
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K9/00—Medicinal preparations characterised by special physical form
- A61K9/10—Dispersions; Emulsions
- A61K9/127—Liposomes
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Dispersion Chemistry (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Medicinal Preparation (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
Description
(項目1)
アンミン白金錯体を内包するリポソームを製造する方法であって、該方法は、以下の工程:
A)水溶性アンミン白金錯体、白金錯体原料またはその組合せを提供する工程;
B)リポソーム、リポソーム原料またはその組合せを提供する工程:および
C)該水溶性アンミン白金錯体、白金錯体原料またはその組合せと、該リポソーム、該リポソーム原料またはその組合せとを含む混合物を調製し、リポソーム形成維持条件に供する工程であって、ただし、該リポソームが存在する時点で該白金錯体の形成する塩が水溶性の状態である、工程
を包含する、方法。
(項目2)
さらに、D)前記C)工程により得られた混合物を、前記白金錯体の形成する塩が難水溶性であるイオンを含む溶液の存在下に供する工程を包含する、上記項目に記載の方法。
(項目3)
前記水溶性アンミン白金錯体が、2つのアンミン基を有する、上記項目に記載の方法。
(項目4)
前記水溶性アンミン白金錯体が、cis−ジアンミンジニトラト白金(II)である、上記項目に記載の方法。
(項目5)
A)前記水溶性アンミン白金錯体を、第一緩衝液に溶解し、白金錯体溶液を調製する工程;
B)前記リポソーム原料を提供する工程であって、
B−i)リポソーム形成能を有する脂質を、メタノール・クロロホルム溶液に懸濁して攪拌し、該攪拌した溶液を蒸発させ、沈殿物を真空乾燥させることにより脂質膜を得る工程;および
B−ii)該脂質膜を、第二緩衝液に懸濁し、脂質懸濁液を形成する工程、を包含する、工程;ならびに
C)該白金錯体溶液と、該脂質懸濁液とを混合し、前記リポソーム形成維持条件に供する工程
を包含し、ここで、該第一緩衝液および第二緩衝液は、該白金錯体が形成する塩が難水溶性であるイオンを含まない、上記項目に記載の方法。
(項目6)
前B−ii)工程に引き続き、前記脂質懸濁液を超音波処理することを含む、上記項目に記載の方法。
(項目7)
前記C)工程において、前記リポソーム形成維持条件が、前記白金錯体溶液と前記脂質懸濁液との混合物を限外濾過に供することおよび該混合物を一晩静置することからなる群より選択されることを含む、上記項目に記載の方法。
(項目8)
A)前記水溶性アンミン白金錯体を、第一緩衝液に溶解し、白金錯体溶液を調製する工程;
B)前記リポソームを提供する工程;および
C)該白金錯体溶液と、該リポソームとを混合し、前記リポソーム形成維持条件に供する工程
を包含し、ここで、該第一緩衝液は、該白金錯体が形成する塩が難水溶性であるイオンを含まない、上記項目に記載の方法。
(項目9)
前記B)工程において、前記リポソームは、前記水溶性アンミン白金錯体が、リポソーム膜を通過して該リポソーム内に移行し、留まるために充分な組成を有する、上記項目に記載の方法。
(項目10)
前記リポソーム形成維持条件が、前記リポソームを破壊することなく維持すると同時に、前記水溶性アンミン白金錯体がリポソーム膜を通過して該リポソーム内に移行し、留まるために充分な条件である、上記項目に記載の方法。
(項目11)
前記リポソームを構成する脂質または前記リポソーム原料が、ジパルミトイルホスファチジルコリン、コレステロール、ガングリオシド、ジセチルホスフェート、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、コール酸ナトリウム、ジセチルフォスファチジルエタノールアミン−ポリグリセリン8G、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロールおよびそれらの組合せからなる群より選択される、上記項目に記載の方法。
(項目12)
前記C)工程において、前記混合物が、pH6〜10の範囲内に調節される、上記項目に記載の方法。
(項目13)
前記白金錯体の形成する塩が水溶性の状態である条件が、塩化物イオン(Cl−)、臭化物イオン(Br−)、ヨウ化物イオン(I−)、チオシアン酸イオン(SCN−)およびシアン化物イオン(CN−)からなる群より選択される該白金錯体の形成する塩が難水溶性であるイオンを含まない溶液の存在下におくことである、上記項目に記載の方法。
(項目14)
前記塩化物イオン(Cl−)が、0〜4mMの範囲で含まれる、上記項目にに記載の方法。
(項目15)
前記工程C)において、前記混合物が、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸緩衝剤、トリス(ヒドロキシ)アミノメタン緩衝剤、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸緩衝剤、N−トリス(ヒドロキシメチル)1−2−アミノエタンスルホン酸緩衝剤、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2エタンスルホン酸緩衝剤、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝剤、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝剤、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−ヒドロキシプロパン−3−プロパンスルホン酸緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチルメチルグリシン)緩衝剤、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン緩衝剤、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸緩衝剤、3−N−シクロヘキシルアミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸緩衝剤、3−シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸緩衝剤およびそれらの組合せからなる群より選択される緩衝剤を含む、上記項目に記載の方法。
(項目16)
前記C)工程において、前記水溶性アンミン白金錯体、白金錯体原料またはその組合せと、前記リポソーム、リポソーム原料またはその組合せとが、1:9〜9:1の範囲内の比で混合される、上記項目に記載の方法。
(項目17)
前記D)工程において、前記白金錯体の形成する塩が難水溶性であるイオンが、塩化物イオン(Cl−)、臭化物イオン(Br−)、ヨウ化物イオン(I−)、チオシアン酸イオン(SCN−)およびシアン化物イオン(CN−)からなる群より選択される、上記項目にに記載の方法。
(項目18)
前記白金錯体の形成する塩が難水溶性であるイオンが、塩化物イオン(Cl−)である、上記項目に記載の方法。
(項目19)
前記塩化物イオン(Cl−)が、NaCl、HClまたはCaCl2より提供される、上記項目に記載の方法。
(項目20)
前記D)工程において、前記白金錯体の形成する塩が難水溶性であるイオンが、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液、炭酸緩衝液、リン酸緩衝液、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸緩衝液、トリス(ヒドロキシ)アミノメタン緩衝液、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸緩衝液、N−トリス(ヒドロキシメチル)1−2−アミノエタンスルホン酸緩衝液、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2エタンスルホン酸緩衝液、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝液、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−ヒドロキシプロパン−3−プロパンスルホン酸緩衝液、トリス(ヒドロキシメチルメチルグリシン)緩衝液、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン緩衝液、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸緩衝液、3−N−シクロヘキシルアミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸緩衝液および3−シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸緩衝液からなる群より選択される緩衝液により提供される、上記項目に記載の方法。
(項目21)
前記塩化物イオン(Cl−)が、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)、炭酸緩衝液(pH8.5)、リン酸緩衝液(pH8.0)および2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸緩衝液(pH7.2)からなる群より選択される緩衝液により提供される、上記項目に記載の方法。
(項目22)
前記D)工程が、
i)形成されたリポソームを親水性化処理する工程;
ii)該リポソームへ標的指向性物質を結合させる工程;
iii)該修飾標的指向性物質が結合したリポソームを親水性化する工程ならびに
iv)該親水性化したリポソームを含む溶液をフィルター濾過をする工程
を包含する、上記項目に記載の方法。
(項目23)
前記標的指向性物質が、抗体、糖鎖、レクチン、相補的核酸、レセプター、リガンド、アプタマーおよび抗原からなる群より選択される、上記項目に記載の方法。
(項目24)
前記アンミン白金錯体が、難水溶性である、上記項目に記載の方法。
(項目25)
cis−ジアミンジクロロ白金(II)を内包するリポソームを製造する方法であって、該方法は、以下の工程:
(A1)cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液に溶解し、cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を含む溶液を調製する工程であって、該N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液は、塩化物イオン(Cl−)を含まないか、または塩化物イオン(Cl−)を0〜4mMの範囲で含む、工程;
(A2)該cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を含む溶液のpHをpH6〜10に調節する工程;
(B1)ジパルミトイルホスファチジルコリン、コレステロール、ガングリオシド、ジセチルホスフェート、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンおよびコール酸ナトリウムを混合させて脂質を調製する工程;
(B2)該脂質を、メタノール・クロロホルム溶液に懸濁して攪拌し、該攪拌した溶液を蒸発させ、沈殿物を真空乾燥させることにより脂質膜を得る工程;
(B3)該脂質膜を、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH6〜10)に懸濁させて脂質懸濁液を作製する工程であって、該N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液は、塩化物イオン(Cl−)を含まないか、または塩化物イオン(Cl−)を0〜4mMの範囲で含む、工程;
(B4)該脂質懸濁液を30℃〜40℃で攪拌させ、窒素置換し、超音波処理する工程;および
(C1)pHが調節された該cis−ジアンミンジニトラト白金(II)溶液と、超音波処理した脂質懸濁液とを、1:9〜9:1の範囲内の比で混合して、分画分子量500〜300,000で限外濾過に供する工程
を包含する、上記項目に記載の方法。
(項目26)
cis−ジアミンジクロロ白金(II)を内包するリポソームを製造する方法であって、該方法は、以下の工程:
(A1)cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液に溶解し、cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を含む溶液を調製する工程であって、該N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液は、塩化物イオン(Cl−)を含まないか、または塩化物イオン(Cl−)を0〜4mMの範囲で含む、工程;
(A2)該cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を含む溶液のpHをpH8.4に調節する工程;
(B1)リポソームを提供する工程;および
(C1)pHが調節された該cis−ジアンミンジニトラト白金(II)溶液と、該リポソームとを、1:9〜9:1の範囲内の比で混合して、分画分子量500〜300,000で限外濾過に供する工程
を包含する、上記項目に記載の方法。
(項目27)
水溶性アンミン白金錯体、白金錯体原料またはその組合せと、リポソーム、リポソーム原料またはその組合せとを混合して、リポソーム形成維持条件に供することによって得ることができる、アンモニアを有するアンミン白金錯体を内包するリポソーム。
(項目28)
前記水溶性アンミン白金錯体と、前記リポソームとを混合して、リポソーム形成維持条件に供することによって得ることができる、上記項目に記載のリポソーム。
(項目29)
前記水溶性アンミン白金錯体と、前記リポソーム原料とを混合して、リポソーム形成維持条件に供することによって得ることができる、上記項目に記載のリポソーム。
(項目30)
アンモニアを有するアンミン白金錯体が、1mg脂質あたり0.3μg以上で含まれる、アンミン白金錯体を内包するリポソーム。
(項目31)
前記アンモニアを有するアンミン白金錯体が、1mg脂質あたり9μg以上で含まれる、上記項目に記載のリポソーム。
(項目32)
前記アンモニアを有するアンミン白金錯体が、1mg脂質あたり17μg以上で含まれる、上記項目に記載のリポソーム。
(項目33)
アンモニアを有するアンミン白金錯体が、1mgリン脂質あたり100μg以上で含まれる、アンミン白金錯体を内包するリポソーム。
(項目34)
アンモニアを有するアンミン白金錯体が、リポソーム1mlあたり39μg/ml以上で含まれる、アンミン白金錯体を内包するリポソーム。
(項目35)
アンモニアを有するアンミン白金錯体が、リポソーム1個あたり3×10−10μg以上で含まれる、アンミン白金錯体を内包するリポソーム。
(項目36)
前記アンミン白金錯体が、2つのアンモニアを有する、上記項目に記載のリポソーム。
(項目37)
前記アンミン白金錯体が、cis−ジアミンジクロロ白金(II)の水溶性形態である、上記項目に記載のリポソーム。
(項目38)
前記アンミン白金錯体が、cis−ジアミンジクロロ白金(II)である、上記項目に記載のリポソーム。
(項目39)
前記アンミン白金錯体を内包するリポソームが、ジパルミトイルホスファチジルコリン、コレステロール、ガングリオシド、ジセチルホスフェート、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、コール酸ナトリウム、ジセチルフォスファチジルエタノールアミン−ポリグリセリン8G、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロールおよびそれらの組合せからなる群より選択される脂質を含む、上記項目に記載のリポソーム。
(項目40)
前記アンミン白金錯体を内包するリポソームが、標的指向性物質をさらに含む、上記項目に記載のリポソーム。
(項目41)
前記標的指向性物質が、抗体、糖鎖、レクチン、相補的核酸、レセプター、リガンド、アプタマーおよび抗原からなる群より選択される、上記項目に記載のリポソーム。
(項目42)
がんまたは腫瘍を処置するための組成物であって、該組成物は、アンモニアを有するアンミン白金錯体を内包するリポソームを含み、該リポソームは、水溶性アンミン白金錯体、白金錯体原料またはその組合せと、リポソーム、リポソーム原料またはその組合せとを混合して、リポソーム形成維持条件に供することによって得ることができる、組成物。
(項目43)
がんまたは腫瘍を処置するための組成物であって、該組成物は、アンモニアを有するアンミン白金錯体を内包するリポソームを含み、該リポソームは、該アンミン白金錯体が、1mg脂質あたり0.3μg以上で含まれる、組成物。
(項目44)
前記アンミン白金錯体が、2つのアンモニアを有する、上記項目に記載の組成物。
(項目45)
前記アンミン白金錯体が、cis−ジアミンジクロロ白金(II)の水溶性形態である、上記項目に記載の組成物。
(項目46)
前記アンミン白金錯体が、cis−ジアミンジクロロ白金(II)である、上記項目に記載の組成物。
(項目47)
前記アンミン白金錯体を内包するリポソームが、ジパルミトイルホスファチジルコリン、コレステロール、ガングリオシド、ジセチルホスフェート、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、コール酸ナトリウム、ジセチルフォスファチジルエタノールアミン−ポリグリセリン8G、パルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロールおよびそれらの組合せからなる群より選択される脂質を含む、上記項目に記載の組成物。
(項目48)
前記アンミン白金錯体を内包するリポソームが、標的指向性物質をさらに含む、上記項目に記載の組成物。
(項目49)
前記標的指向性物質が、抗体、糖鎖、レクチン、相補的核酸、レセプター、リガンド、アプタマーおよび抗原からなる群より選択される、上記項目に記載の組成物。
(項目50)
がんまたは腫瘍を処置するための方法であって、該方法は、がんまたは腫瘍を処置する必要のある哺乳動物に、該がんまたは腫瘍を処置するのに有効な量の、アンモニアを有するアンミン白金錯体を内包するリポソームを投与する工程を包含し、ここで、該リポソームは、水溶性アンミン白金錯体、白金錯体原料またはその組合せと、リポソーム、リポソーム原料またはその組合せとを混合して、リポソーム形成維持条件に供することによって得ることができる、方法。
(項目51)
がんまたは腫瘍を処置するための方法であって、該方法は、がんまたは腫瘍を処置する必要のある哺乳動物に、該がんまたは腫瘍を処置するのに有効な量の、アンモニアを有するアンミン白金錯体を内包するリポソームを投与する工程を包含し、ここで、該リポソームは、該アンミン白金錯体が、1mg脂質あたり0.3μg以上で含まれる、方法。
(項目52)
前記アンモニアを有するアンミン白金錯体を内包するリポソームが、静脈内投与、皮下投与、経口投与,局所投与、または腹腔内投与により投与される、上記項目に記載の方法。
(項目53)
前記アンモニアを有するアンミン白金錯体を内包するリポソームが、少なくとも白金錯体1.5μg/g体重の用量で投与される、上記項目に記載の方法。
(項目54)
前記がんまたは腫瘍が、睾丸腫瘍、膀胱癌、腎盂腫瘍、尿管腫瘍、前立腺癌、卵巣癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、食道癌、子宮癌、神経芽細胞種および胃癌からなる群より選択される、上記項目に記載の方法。
(項目55)
前記アンミン白金錯体を内包するリポソームが、標的指向性物質をさらに含む、上記項目に記載の方法。
(項目56)
前記標的指向性物質が、抗体、糖鎖、レクチン、相補的核酸、レセプター、リガンド、アプタマーおよび抗原からなる群より選択される、上記項目に記載の方法。
(項目57)
医薬として使用するための、アンモニアを有するアンミン白金錯体を内包するリポソームであって、該リポソームは、水溶性アンミン白金錯体、白金錯体原料またはその組合せと、リポソーム、リポソーム原料またはその組合せとを混合して、リポソーム形成維持条件に供することによって得ることができる、リポソーム。
(項目58)
医薬として使用するための、アンモニアを有するアンミン白金錯体を内包するリポソームであって、該アンミン白金錯体が、1mg脂質あたり0.3μg以上で含まれる、リポソーム。
以下項目Aとは、A1〜Anの任意の項目であって、nは、当該番号より1つ少ない数をいう。
(項目A1)
アンミン白金錯体を内包するリポソームを製造する方法であって、該方法は、以下の工程:
A)アンミン基を有する水溶性の白金錯体を含む溶液を提供する工程;
B)該水溶性の白金錯体を含む溶液とリポソーム形成能を有する脂質懸濁液とを混合して混合溶液を作製する工程;
C)該混合溶液をリポソームが形成する条件に供する工程;および
D)該混合溶液を、形成する塩が難水溶性であるイオンを含む溶液の存在下に供する工程、
を包含する、方法。
(項目A2)
前記水溶性のアンミン白金錯体が、2つのアンミン基を有する、上記項目Aに記載の方法。
(項目A3)
前記水溶性の白金錯体が、cis−ジアンミンジニトラト白金(II)である、上記項目Aに記載の方法。
(項目A4)
前記A)工程において、前記水溶性の白金錯体を含む溶液が、pH6〜10の範囲内に調節される、上記項目Aに記載の方法。
(項目A5)
前記A)工程において、前記水溶性の白金錯体を含む溶液が、形成する塩が難水溶性であるイオンを含まない、上記項目Aに記載の方法。
(項目A6)
前記形成する塩が難水溶性であるイオンが、塩化物イオン(Cl−)、臭化物イオン(Br−)、ヨウ化物イオン(I−)、チオシアン酸イオン(SCN−)およびシアン化物イオン(CN−)からなる群より選択される、上記項目Aに記載の方法。
(項目A7)
前記形成する塩が難水溶性であるイオンが、塩化物イオン(Cl−)である、上記項目Aに記載の方法。
(項目A8)
前記塩化物イオン(Cl−)が、0〜4mMの範囲で含まれる、上記項目Aに記載の方法。
(項目A9)
前記A)工程において、前記水溶性の白金錯体を含む溶液が、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝剤(pH8.4)、炭酸緩衝剤(pH8.5)、リン酸緩衝剤(pH8.0)、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)緩衝剤(pH7.2)、トリス(ヒドロキシ)アミノメタン緩衝剤、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸緩衝剤、N−トリス(ヒドロキシメチル)1−2−アミノエタンスルホン酸緩衝剤、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2エタンスルホン酸緩衝剤、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝剤、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝剤、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−ヒドロキシプロパン−3−プロパンスルホン酸緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチルメチルグリシン)緩衝剤、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン緩衝剤、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸緩衝剤、3−N−シクロヘキシルアミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸緩衝剤および3−シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸緩衝剤からなる群より選択される緩衝剤を含む、上記項目Aに記載の方法。
(項目A10)
前記水溶性の白金錯体を含む溶液が、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝剤を含む、上記項目Aに記載の方法。
(項目A11)
前記水溶性の白金錯体を含む溶液が、pH8.4に調節されている、上記項目Aに記載の方法。
(項目A12)
前記B)工程において、前記水溶性の白金錯体を含む溶液と脂質懸濁液とが、1:9〜9:1の範囲内の比で混合される、上記項目Aに記載の方法。
(項目A13)
前記B)工程における前記脂質懸濁液が、
i)脂質を、メタノール・クロロホルム溶液に懸濁して攪拌し、該攪拌した溶液を蒸発させ、沈殿物を真空乾燥させることにより脂質膜を得る工程;および
ii)該脂質膜を、懸濁緩衝液に懸濁させる工程
によって作製される、上記項目Aに記載の方法。
(項目A14)
前記脂質懸濁液が、前記脂質として、ジパルミトイルホスファチジルコリン、コレステロール、ガングリオシド、ジセチルホスフェート、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンおよびコール酸ナトリウムを、35:40:15:5:5:167のモル比で含む、上記項目Aに記載の方法。
(項目A15)
前記水溶性の白金錯体を含む溶液と前記脂質懸濁液とが、7:3の比で混合される、上記項目Aに記載の方法。
(項目A16)
前記メタノール・クロロホルム溶液が、メタノールとクロロホルムとを1:1の比で含む、上記項目Aに記載の方法。
(項目A17)
前記懸濁緩衝液が、形成する塩が難水溶性であるイオンを含まない、上記項目Aに記載の方法。
(項目A18)
前記形成する塩が難水溶性であるイオンが、塩化物イオン(Cl−)、臭化物イオン(Br−)、ヨウ化物イオン(I−)、チオシアン酸イオン(SCN−)およびシアン化物イオン(CN−)からなる群より選択される、上記項目Aに記載の方法。
(項目A19)
前記形成する塩が難水溶性であるイオンが、塩化物イオン(Cl−)である、上記項目Aに記載の方法。
(項目A20)
前記塩化物イオン(Cl−)が、0〜4mMの範囲で含まれる、上記項目Aに記載の方法。(項目A21)
前記懸濁緩衝液が、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝剤(pH8.4)、炭酸緩衝剤(pH8.5)、リン酸緩衝剤(pH8.0)、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)緩衝剤(pH7.2)、トリス(ヒドロキシ)アミノメタン緩衝剤、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸緩衝剤、N−トリス(ヒドロキシメチル)1−2−アミノエタンスルホン酸緩衝剤、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2エタンスルホン酸緩衝剤、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝剤、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝剤、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−ヒドロキシプロパン−3−プロパンスルホン酸緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチルメチルグリシン)緩衝剤、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン緩衝剤、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸緩衝剤、3−N−シクロヘキシルアミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸緩衝剤および3−シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸緩衝剤からなる群より選択される緩衝剤を含む、上記項目Aに記載の方法。
(項目A22)
前記懸濁緩衝液が、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝剤(pH8.4)である、上記項目Aに記載の方法。
(項目A23)
前記B)工程に引き続き、前記脂質懸濁液を超音波処理する工程をさらに包含する、上記項目Aに記載の方法。
(項目A24)
前記超音波処理する工程が、前記脂質容液を30℃〜40℃で攪拌させ、窒素置換し、超音波処理する工程である、上記項目Aに記載の方法。
(項目A25)
前記C)工程において、前記混合溶液を、リポソームが形成するのに十分な時間、前記リポソームが形成する条件下に供する、上記項目Aに記載の方法。
(項目A26)
前記C)工程において、前記混合溶液をリポソームが形成する条件が、該混合溶液を限外濾過に供することおよび該混合溶液を一晩静置することからなる群より選択される、上記項目Aに記載の方法。
(項目A27)
前記混合溶液をリポソームが形成する条件が、前記混合溶液を分画分子量10,000で限外濾過に供することである、上記項目Aに記載の方法。
(項目A28)
前記D)工程が、前記C)工程において、リポソームの形成を確認した後に行われる、上記項目Aに記載の方法。
(項目A29)
前記D)工程において、前記形成する塩が難水溶性であるイオンが、塩化物イオン(Cl−)、臭化物イオン(Br−)、ヨウ化物イオン(I−)、チオシアン酸イオン(SCN−)およびシアン化物イオン(CN−)からなる群より選択される、上記項目Aに記載の方法。
(項目A30)
前記形成する塩が難水溶性であるイオンが、塩化物イオン(Cl−)である、上記項目Aに記載の方法。
(項目A31)
前記D)工程において、前記塩化物イオン(Cl−)が、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)、炭酸緩衝液(pH8.5)、リン酸緩衝液(pH8.0)、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液(pH7.2)、トリス(ヒドロキシ)アミノメタン緩衝液、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸緩衝液、N−トリス(ヒドロキシメチル)1−2−アミノエタンスルホン酸緩衝液、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2エタンスルホン酸緩衝液、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝液、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−ヒドロキシプロパン−3−プロパンスルホン酸緩衝液、トリス(ヒドロキシメチルメチルグリシン)緩衝液、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン緩衝液、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸緩衝液、3−N−シクロヘキシルアミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸緩衝液および3−シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸緩衝液からなる群より選択される少なくとも1つの緩衝液により提供される、上記項目Aに記載の方法。
(項目A32)
前記塩化物イオン(Cl−)が、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)、炭酸緩衝液(pH8.5)、PBS(pH8.0)およびHEPES緩衝液(pH7.2)からなる群より選択される少なくとも1つの緩衝液により提供される、上記項目Aに記載の方法。
(項目A33)
前記塩化物イオン(Cl−)が、NaCl、HClまたはCaCl2より提供される、上記項目Aに記載の方法。
(項目A34)
前記塩化物イオン(Cl−)が、NaClにより提供される、上記項目Aに記載の方法。
(項目A35)
前記D)工程が、
i)形成されたリポソームを親水性化処理する工程;
ii)該リポソームへ標的指向性物質を結合させる工程;
iii)該修飾標的指向性物質が結合したリポソームを親水性化する工程ならびに
iv)該親水性化したリポソームを含む溶液をフィルター濾過をする工程
を包含する、上記項目Aに記載の方法。
(項目A36)
前記標的指向性物質が、抗体、糖鎖、レクチン、相補的核酸、レセプター、リガンド、アプタマーおよび抗原からなる群より選択される、上記項目Aに記載の方法。
(項目A37)
前記アンミン白金錯体が、難水溶性である、上記項目Aに記載の方法。
(項目A38)
アンミン白金錯体を内包するリポソームを製造する方法であって、該方法は、以下の工程:
A−1)2つのアンミン基を有する水溶性の白金錯体を含む溶液を調製する工程;
A−2)該水溶性の白金錯体を含む溶液のpHをpH6〜10の範囲内に調節する工程;
B−1)pHが調節された該cis−ジアンミンジニトラト白金(II)溶液と、超音波処理した脂質懸濁液とを、1:9〜9:1の範囲内の比で混合して混合溶液を作製する工程;および
C−1)該混合溶液を限外濾過に供する工程;および
D−1)限外濾過後に、該混合溶液を塩化物イオン(Cl−)の存在下に供する工程、を包含し、
ここで、該アンミン白金錯体は難水溶性である、方法。
(項目A39)
cis−ジアミンジクロロ白金(II)を内包するリポソームを製造する方法であって、該方法は、以下の工程:
(A1)cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液に溶解し、cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を含む溶液を調製する工程であって、該N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液は、塩化物イオン(Cl−)を含まないか、または塩化物イオン(Cl−)を0〜4mMの範囲で含む、工程;
(A2)該cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を含む溶液のpHをpH8.4に調節する工程;
(B1)ジパルミトイルホスファチジルコリン、コレステロール、ガングリオシド、ジセチルホスフェート、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンおよびコール酸ナトリウムを、35:40:15:5:5:167のモル比で混合させて脂質を調製する工程;
(B2)該脂質を、メタノール・クロロホルム(1:1)溶液に懸濁して攪拌し、該攪拌した溶液を蒸発させ、沈殿物を真空乾燥させることにより脂質膜を得る工程;および
(B3)該脂質膜を、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)に懸濁させて脂質懸濁液を作製する工程であって、該N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液は、塩化物イオン(Cl−)を含まないか、または塩化物イオン(Cl−)を0〜4mMの範囲で含む、工程、
(B4)該脂質懸濁液を30℃〜40℃で攪拌させ、窒素置換し、超音波処理する工程;
(B5)pHが調節された該cis−ジアンミンジニトラト白金(II)溶液と、超音波処理した脂質懸濁液とを、7:3の範囲内の比で混合して混合溶液を作製する工程;
(C1)該混合溶液を分画分子量10,000で限外濾過に供する工程;および
(D1)限外濾過後に、該混合溶液を、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)、炭酸緩衝液(pH8.5)、PBS(pH8.0)およびHEPES緩衝液(pH7.2)からなる群より選択される少なくとも1つの緩衝液に曝す工程、
を包含する、方法。
(項目A40)
アンモニアを有するアンミン白金錯体が、1mg脂質あたり20μg以上で含まれる、アンミン白金錯体を内包するリポソーム。
(項目A41)
前記アンミン白金錯体が、2つのアンモニアを有する、上記項目Aに記載のリポソーム。
(項目A42)
前記アンミン白金錯体が、cis−ジアミンジクロロ白金(II)である、上記項目Aに記載のリポソーム。
(項目A43)
前記アンミン白金錯体を内包するリポソームが、ジパルミトイルホスファチジルコリン、コレステロール、ガングリオシド、ジセチルホスフェート、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンおよびコール酸ナトリウムを含む、上記項目Aに記載のリポソーム。
(項目A44)
前記アンミン白金錯体を内包するリポソームが、ジパルミトイルホスファチジルコリン、コレステロール、ガングリオシド、ジセチルホスフェート、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンおよびコール酸ナトリウムを、35:40:15:5:5:167のモル比で含む、上記項目Aに記載のリポソーム。
(項目A45)
前記アンミン白金錯体を内包するリポソームが、標的指向性物質をさらに含む、上記項目Aに記載のリポソーム。
(項目A46)前記標的指向性物質が、抗体、糖鎖、レクチン、相補的核酸、レセプター、リガンド、アプタマーおよび抗原からなる群より選択される、上記項目Aに記載のリポソーム。
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
る濃度は、以下のような工程を包含する方法により、実験的に決定され得る:
1)アンミン白金錯体を含む水溶液(6mM)を調製する工程;
2)種々の濃度で難水溶性塩を形成し得るイオンを含む溶液(終濃度0〜200mM)を調製する工程;
3)2)工程の難水溶性塩を形成し得るイオンを含む溶液を、1)工程のアンミン白金錯体を含む水溶液に、該イオンが難水溶性塩を形成するまで添加する工程;および
4)該イオンを含む溶液を添加した量から、難水溶性塩を形成し得る濃度を算出する工程。
ホスファチジルコリン:0〜50mM
ホスファチジルエタノールアミン:0〜3.3mM
コレステロール:0〜26.1mM
ガングリオシド:0〜9.3mM
コール酸ナトリウム:0〜108.9mM
ジセチルホスフェート:0〜3.29mM。
N−アセチル−α−D−ガラクトサミン
α−D−マンノース
β−D−グルコース
N−アセチル−β−D−グルコサミン
α−L−フコース
α−N−アセチルノイラミン酸
セラミド
L−セリン
CH2(OH)CH(COOH)NH2
は、Serにより表す。なお、Cerは通常脂質に分類されるが、本明細書では、糖鎖を構成する糖の一種の定義にも入ることから特に言及しない限り、糖として扱う。また、Serは通常アミノ酸に分類されるが、本明細書では、糖鎖を構成する糖の一種の定義にも入ることから特に言及しない限り、糖として扱う。環状の2つのアノマーは、αおよびβにより表す。表示上の理由により、aまたはbと表すことがある。従って、本明細書において、αとa、βとbは、アノマー表記については交換可能に使用される。
本発明のアンミン白金錯体内包リポソームを製造する技術は、病態(特に、腫瘍・がん)を処置するためのリポソーム製剤を製造するために利用され得る。
本発明のアンミン白金錯体内包リポソームは、病態(特に、腫瘍・がん)を処置するために利用され得る。
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでない。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
1つの局面において、本発明は、アンミン白金錯体を内包するリポソームを製造する方法を提供する。該方法は、以下の工程:A)水溶性アンミン白金錯体、白金錯体原料またはその組合せを提供する工程;B)リポソーム、リポソーム原料またはその組合せを提供する工程:およびC)該水溶性アンミン白金錯体、白金錯体原料またはその組合せと、該リポソーム、該リポソーム原料またはその組合せとを含む混合物を調製し、リポソーム形成維持条件に供する工程であって、ただし、該リポソームが存在する時点で該白金錯体の形成する塩が水溶性の状態である工程を包含する。この方法は、さらに、D)前記C)工程により得られた混合物を、前記白金錯体の形成する塩が難水溶性であるイオンを含む溶液の存在下に供する工程を包含し得る。
1.水溶性白金錯体(2分子の水分子が配位した状態)に対し2等量の塩化物イオン(Cl−)および臭化物イオン(Br−)およびヨウ化物イオン(I−)、チオシアン酸イオン(SCN−)が存在すると水溶性白金錯体の2分子の配位水がこれらのイオンに置換して、難溶性の塩を形成する。1等量のイオンを含む場合、1分子の水分子がこれらのイオンによって置換される。イオンを含まない場合は、2分子の水分子が配位した構造をとる。
2.塩化物イオン(Cl−)の場合、細胞内の塩化物イオン濃度が0〜4mMで水分子が置換した構造となり、DNAと結合するといわれており、このことから塩化物イオンの範囲についてはmM表記させて頂きました。臭化物イオン(Br−)およびヨウ化物イオン(I−)、チオシアン酸イオン(SCN−)のうち、Br−、I−の配位した錯体には、活性の強さに差があるが、活性があるといわれている。従って、細胞内の環境下では、水分子の配位した構造をとると考えられる。
1つの局面において、本発明は、アンミン白金錯体を内包するリポソームを提供する。このアンミン白金錯体を内包するリポソームは、水溶性アンミン白金錯体原料と、リポソーム原料とを混合して、リポソーム形成維持条件に供することによって得ることができる。
1つの局面において、本発明は、がんまたは腫瘍を処置するための組成物を提供する。該組成物は、アンモニアを有するアンミン白金錯体を内包するリポソームを含み、該リポソームは、水溶性アンミン白金錯体原料と、リポソーム原料とを混合して、リポソーム形成維持条件に供することによって得ることができる。
1つの局面において、本発明は、がんまたは腫瘍を処置するための方法を提供する。この方法は、がんまたは腫瘍を処置する必要のある哺乳動物に、該がんまたは腫瘍を処置するのに有効な量の、アンモニアを有するアンミン白金錯体を内包するリポソームを投与する工程を包含し、ここで、該リポソームは、水溶性アンミン白金錯体原料と、リポソーム原料とを混合して、リポソーム形成維持条件に供することによって得ることができる。
1つの局面において、本発明は、医薬として使用するための、アンモニアを有するアンミン白金錯体を内包するリポソームを提供する。このリポソームは、水溶性アンミン白金錯体原料と、リポソーム原料とを混合して、リポソーム形成維持条件に供することによって得ることができる。
(cis−ジアミンジニトラト白金(II)(シスプラチン−硝酸体)の合成)
4塩化白金カリウム(K2PtCl4)4.15g(10.0mmol)とヨウ化カリウム6.64g(40mmol)を、酸素を充分に除去した蒸留水50mlに完全に溶解した後、窒素雰囲気下で28%アンモニア水溶液1.35ml(22mmol)を添加し、撹拌することにより沈澱を得た。この沈澱物を水とエタノールで各々2回洗浄した後、常温で真空(〜20mmHg)乾燥することにより、アンミン−白金中間体cis−〔Pt(NH3)2I2〕4.49gを得た。このアンミン−白金中間体cis−〔Pt(NH3)2I2〕2.41g(5.0mmol)を蒸留水30mlに懸濁させた後、硝酸銀1.68g(9.9mmol)を添加して、遮光下、24時間攪拌した。生成したヨウ化銀を濾別し、濾液をエバポレーターで濃縮し白色結晶を得た。この白色結晶を、冷蒸留水と冷エタノールで2回洗浄し、乾燥させ、シスプラチン−硝酸体として無色のcis−〔Pt(NH3)2(NO3)2〕を1.01g得た。
ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、コレステロール、ガングリオシド、ジセチルホスフェート(DCP)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)をモル比で、35:40:5:15:5の割合で合計脂質量45.6mgになるように混合し、コール酸ナトリウム46.9mgを添加し、メタノール・クロロホルム溶液(1:1)溶液3mlに溶解させた。37℃、1時間撹拌し、メタノールクロロホルムをロータリーエバポレーターで蒸発させて、真空乾燥させた。得られた脂質膜をNaCl未添加のN−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)3mlに懸濁させ、37℃、1時間撹拌した。次いで、この溶液を窒素置換し、超音波処理して、透明なミセル懸濁液を得た。次に、cis−ジアミンジニトラト白金(II)を54.1mgを秤量して、NaCl未添加のN−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)7mlに溶解させ、ミセル懸濁液と混合し、PM10(Amicon Co.,USA)とNaCl未添加のN−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)を用いた限外濾過(分画分子量:10,000)にかけ均一リポソーム10ml(35.5mg 脂質量)を調製した。
本実施例で調製されたリポソームに、cis−ジアミンジニトラト白金(II)が内包されていることをフレームレス原子吸光光度法(FAAS)により確認した。
本実施例において調製されたリポソーム中には、cis−ジアミンジニトラト白金(II)が323.33μg/1ml(91.08μg/mg脂質)内包されていた。得られたリポソームの脂質量は35.5mgであった。このcis−ジアミンジニトラト白金(II)のリポソームへの内包率は、5.9%であった。cis−ジアミンジニトラト白金(II)内包リポソームを含む溶液は、無色であった。
cis−ジアミンジニトラト白金(II)が内包されたことが確認されたリポソームを、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)、炭酸緩衝液(pH8.5)、PBS(pH8.0)、またはHEPES緩衝液(pH7.2)に、25℃にて、96時間にわたり供する。これらの緩衝液は、いずれも最終濃度150mMのNaClが含まれている。
(1)最終濃度150mMのNaClが含まれるバッファーに96時間供したcis−ジアミンジニトラト白金(II)内包リポソームのNaClをバッファー交換により除き、10倍濃縮する。(2)100℃で、30分間の加熱後(リポソームの破壊)、クロロホルムにより溶媒抽出を行う。(3)水層を回収する。(4)回収した水層について波長200〜400nmの吸収スペクトルを測定する。(5)cis−ジアミンジニトラト白金(II)を内包した直後(150mM NaClに供する前)のリポソームについても(2)〜(4)の操作を行う。(6)バッファーに96時間供したcis−ジアミンジニトラト白金(II)リポソームと、cis−ジアミンジニトラト白金(II)の内包直後のリポソームについて、吸収スペクトルを比較することにより、cis−ジアミンジニトラト白金(II)からcis−ジアミンジクロロ白金(II)ヘの転換を確認することができる。
吸光光度法と同様に溶媒抽出を行う。水層を回収後、ロータリーエバボレーターを用いて水を蒸発させる。Nujol法により、IRスペクトルを測定し、最終濃度150mMのNaClが含まれるバッファーに96時間供したcis−ジアミンジニトラト白金(II)内包リポソームと、cis−ジアミンジニトラト白金(II)を内包した直後(150mMNaClに供する前)のリポソームのスペクトルを比較する。
and R.Melason,Inorg.Chem.,27,10(1988)に記載されている。
(195PtNMRスペクトルによる解析)
リポソーム内に内包された硝酸体のシスプラチンへの変換は、195PtNMRスペクトルにより解析する。195PtNMRスペクトルの感度は、天然の13C−NMRスペクトルの感度より20倍大きい。また、195Ptの天然存在比は、33.8%であり、天然に存在する白金の1Hに対する相対感度は、3.4×10−3と比較的高い。さらにその化学シフトは1500ppmという極めて広い周波数領域に観測されるので、構造や結合性を調べる上で、極めて有用である。
以下のように、シスプラチン、硝酸体(cis−ジアンミンジニトラト白金(II))および硝酸体(cis−ジアンミンジニトラト白金(II))内包リポソームのサンプルを調製する。
硝酸体(cis−ジアンミンジニトラト白金(II)):硝酸体(M.W.365)5mgをD2O1mlに溶解させてサンプルとする。(13.7mM)
硝酸体(cis−ジアンミンジニトラト白金(II))内包リポソーム(NaCl+):Pt濃度が4.75mMとなるように濃縮して使用する。
Na2PtCl6(Sodium hexachloroplatinate(IV)をD2Oに溶解させて外部標準液を作成する。NMR装置は、INOVA−600(Varian社)を使用する。直径5mmの測定管にサンプルをいれて、測定を行う。
DPPC、コレステロール、ガングリオシド、DCP、DPPEをモル比で、35:40:5:15:5の割合で合計脂質量45.6mgになるように混合し、コール酸ナトリウム46.9mgを添加し、メタノール・クロロホルム溶液(1:1)溶液3mlに溶解させた。37℃、1時間撹拌し、メタノールクロロホルムをロータリーエバポレーターで蒸発させて、真空乾燥させた。得られた脂質膜をNaClを添加したN−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)3mlに懸濁させ、37℃、1時間撹拌した。次いで、この溶液を窒素置換し、超音波処理して、透明なミセル懸濁液を得た。次に、cis−ジアミンジニトラト白金(II)を54.1mgを秤量して、NaClを添加したN−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)7mlに溶解させ、ミセル懸濁液と混合し、PM10(Amicon Co.,USA)とNaClを添加したN−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)を用いた限外濾過(分画分子量:10,000)にかけ均一リポソーム10mlを調製した。
(I.脂質定量)
リポソームの構成脂質量を、コレステロール量を定量することにより算出した。脂質の定量にはデタミナーTC555キット(カタログ番号UCC/EAN128)(KYOWA Co.LTD)を用いた。標準物質として、キットに添付されている50mg/ml
コレステロールを使用した。
コレステロール量から脂質量を求める換算式
脂質量(μg/50μl)=コレステロール量(μg/50μl)×4.51(換算係数)
得られたリポソームの脂質量は3.55mg/mlであった。
リポソーム粒子を精製水で50倍に希釈して、ゼータサイザーナノ(Nan−ZS:MALVERN Co.LTD)を用いて測定した。
実施例1の「cis−ジアミンジニトラト白金(II)内包リポソームの調製」と同様の方法により、cis−ジアミンジニトラト白金(II)内包リポソームを調製した。本実施例において調製されたリポソーム中には、cis−ジアミンジニトラト白金(II)が323.33μg/1ml(91.08μg/mg脂質)内包されていた。得られたリポソームの脂質量は35.5mgであった。このcis−ジアミンジニトラト白金(II)のリポソームへの内包率は、5.9%であった。cis−ジアミンジニトラト白金(II)内包リポソームを含む溶液は、無色であった。
cis−ジアミンジニトラト白金(II)内包リポソームの溶液10mlをXM300膜(Amicon Co.,USA)と炭酸緩衝液(pH 8.5)を用いた限外濾過(分画分子量:300,000)にかけ溶液のpHを8.5にした。次に、架橋試薬ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS3;Pierce Co.,USA)10mgを加え、室温で2時間攪拌した。その後、さらに冷蔵下で一晩攪拌してリポソーム膜上の脂質ジパルミトイルフォスファチジルエタノールアミンとBS3との化学結合反応を完結した。そして、このリポソーム液をXM300膜と炭酸緩衝液(pH 8.5)で限外濾過(分画分子量:300,000)にかけた。次に、炭酸緩衝液(pH 8.5)1mlに溶かしたトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン40mgをリポソーム液10mlに加えた。次いで、この溶液を、室温で2時間攪拌後、冷蔵下で一晩攪拌し、分画分子量300,000で限外濾過し、遊離のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを除去し、該炭酸緩衝液をN−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)に交換し、リポソーム膜上の脂質に結合したBS3とトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとの化学結合反応を完結した。これにより、リポソーム膜の脂質ジパルミトイルフォスファチジルエタノールアミン上にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの水酸基が配位して水和親水性化された。
リポソーム膜面上へのヒト血清アルブミン(HSA)の結合は、既報の手法(Yamazaki,N.,Kodama,M.and Gabius,H.−J.(1994)MethodsEnzymol.242,56−65)により、カップリング反応法を用いて行った。すなわち、この反応は2段階化学反応で行い、はじめに、本実施例で得られた10mlのリポソーム膜面上に存在するガングリオシドを1mlのN−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH 8.4)に溶かしたメタ過ヨウ素酸ナトリウム43mgを加え、冷蔵下で一晩攪拌して過ヨウ素酸酸化した。XM300膜とPBS緩衝液(pH 8.0)で限外濾過(分画分子量:300,000)することにより、遊離の過ヨウ素酸ナトリウムを除去し、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液をPBS緩衝液(pH8.0)に交換して、酸化されたリポソーム10mlを得た。このリポソーム液に、20mgのヒト血清アルブミン(HSA)/PBS緩衝液(pH 8.0)を加えて室温で2時間反応させ、次に2M NaBH3CN/PBS緩衝液(pH 8.0)100μlを加えて室温で2時間、さらに冷蔵下で一晩攪拌してリポソーム上のガングリオシドとHSAとのカップリング反応でHSAを結合した。次いで、限外濾過(分画分子量:300,000)し、遊離のシアノホウ素酸ナトリウムおよびヒト血清アルブミンを除去し、この溶液の緩衝液を炭酸緩衝液(pH8.5)に交換して、HSA結合リポソーム液10mlを得た。
糖鎖として、シアリルルイスXを使用した。
本実施例において調製した各糖鎖2mgを精製水に溶解し、0.25gのNH4HCO3を溶かした0.5ml水溶液に加え、37℃で3日間攪拌した後、0.45μmのフィルターで濾過して糖鎖の還元末端のアミノ化反応を完結して、各糖鎖のグリコシルアミン化合物4mg/ml(アミノ化糖鎖溶液)を得た。次に、本実施例で得たリポソーム液の一部分10mlに架橋試薬3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP;Pierce Co.,USA)10mgを加えて室温で2時間、続いて冷蔵下で一晩攪拌し、XM300膜と炭酸緩衝液(pH 8.5)で限外濾過(分画分子量:300,000)して、遊離のDTSSPを除去し、DTSSPがリポソーム上のHSAに結合したリポソーム10mlを得た。次に、このリポソーム液に上記のグリコシルアミン化合物(アミノ化糖鎖溶液)12.5、37.5、125、250、500、1250、2500μlを加えて、室温で2時間反応させ、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/炭酸緩衝液(pH 8.5)を添加し、その後、冷蔵下で一晩攪拌し、リポソーム膜面結合ヒト血清アルブミン上のDTSSPにグリコシル化アミン化合物の結合を行った。XM300膜とHEPES緩衝液(pH 7.2)で限外濾過(分画分子量:300,000)して、遊離の糖鎖およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを除去した。その結果、糖鎖とヒト血清アルブミンとリポソームとが結合したリポソーム各10mlが得られた。
本実施例で調製された糖鎖が結合したリポソームについて、それぞれ別々に以下の手順によりリポソーム上のHSAタンパク質表面の親水性化処理を行った。このリポソーム10mlに、別々に、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン26.4mgを加えて、室温で2時間、その後冷蔵下で一晩攪拌した後、XM300膜とHEPES緩衝液(pH 7.2)で限外濾過(分画分子量:300,000)し、未反応物を除去した。0.45μmのフィルターで濾過して、最終産物である親水性化処理された糖鎖が結合したリポソーム複合体各10ml(総脂質量15.2mg、総蛋白量1100μg、平均粒子径171nm)を得た。
本実施例により調製された糖鎖の結合したリポソームを含む溶液は、無色から淡黄色に変化した。これは、リポソームに内包されたcis−ジアミンジニトラト白金(II)が、cis−ジアミンジクロロ白金(II)に転換したことを示す。さらに、この変化は、吸光光度法、IR法、195Pt−NMR法により検出することができる。
(195PtNMRスペクトルによる解析)
リポソーム内に内包された硝酸体のシスプラチンへの変換は、195PtNMRスペクトルにより解析した。
以下のように、シスプラチン、硝酸体(cis−ジアンミンジニトラト白金(II))および硝酸体(cis−ジアンミンジニトラト白金(II))内包リポソームのサンプルを調製した。
硝酸体(cis−ジアンミンジニトラト白金(II)):硝酸体(M.W.365)5mgをD2O1mlに溶解させてサンプルとした。(13.7mM)
硝酸体(cis−ジアンミンジニトラト白金(II))内包リポソーム(NaCl+):Pt濃度が4.75mMとなるように濃縮して使用した。
Na2PtCl6(Sodium hexachloroplatinate(IV)をD2Oに溶解させて外部標準液を作成した。NMR装置は、INOVA−600(Varian社)を使用した。直径5mmの測定管にサンプル600μlをいれて、測定を行った。
対照として測定したシスプラチンは、−2160ppm、硝酸体(cis−ジアンミンジニトラト白金(II))は、−1620ppmに各々ケミカルシフトが観測された(図5aおよび図5b)。目的とするリポソームに内包された硝酸体(cis−ジアンミンジニトラト白金(II))のケミカルシフトは、外液中にNaClが含まれる場合、シスプラチンと同じ−2160ppmに観測された(図5c)。このことから、内包された硝酸体(cis−ジアンミンジニトラト白金(II))は、緩衝液中の塩化ナトリウム由来のCl−イオンにより置換され、ほとんどが、シスプラチンに変換されていることが確認された。また、リポソームに内包させたcis−ジアンミンジニトラト白金(II)をcis−ジアミンジクロロ白金(II)に変化させない場合は、cis−ジアンミンジニトラト白金(II)のケミカルシフト値である−1620ppmのピークも、cis−ジアミンジクロロ白金(II)のケミカルシフト値である−2160ppmも認められなかった(図5d)。
本実施例では、実施例3で調製した糖鎖の結合したCis−ジアミンジニトラト白金(II)内包リポソームの定量分析を行った。
リポソームに内包されたHSA量とリポソーム表面にカップリングしたHSAの総タンパク質量をBCA法により測定した。
リポソームの構成脂質量を、コレステロール量を定量することにより算出した。脂質の定量にはデタミナーTC555キット(カタログ番号UCC/EAN128)(KYOWA Co.LTD)を用いた。標準物質として、キットに添付されている50mg/ml
コレステロールを使用した。
コレステロール量から脂質量を求める換算式
脂質量(μg/50μl)=コレステロール量(μg/50μl)×4.51(換算係数)
得られたリポソームの脂質量は3.24mg/mlであった。
リポソーム粒子を精製水で50倍に希釈して、ゼータサイザーナノ(Nan−ZS:MALVERN Co.LTD)を用いて測定した。
実施例1の「cis−ジアミンジニトラト白金(II)内包リポソームの調製」と同様の方法により、cis−ジアミンジニトラト白金(II)内包リポソームを調製した。このcis−ジアミンジニトラト白金(II)内包リポソームを含む溶液は無色である。
実施例1と同様の方法により、リポソーム脂質膜面を親水性化処理する。
標的指向性物質として、腫瘍に特異的な抗体(R&D systems(MN,USA)社製のE−セレクチン抗体(AF575)を用いた。以下において使用するための前処理をした。ATCCより抗ヒトE−selectinマウスモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞(Number:CRL−2515 CL3)を購入して精製した。細胞をRPMI 1640(GIBCO code.11875)/10%FBS/ペニシリン100unit/ml・ストレプトマイシン100μg/ml(Antibiotic Antimycotic solution,stabiklized SIGMA A5955)(ウシ胎児血清 SIGMA F0926 中、37℃、5%CO2環境下で培養した。マウスBalb/c(日本SLC 雌性、6週齢)にプリスタン(500μl/mouse)を2回(5日間間隔)投与したのち、5×106のハイブリドーマ細胞をPBSに浮遊させ、1mlずつ腹腔内に注射した。注射後、14日目に開腹し、腹水を採取した。腹水に硫酸アンモニウム(0.4飽和)を添加して、10,000rpm×30分(4℃)で遠心し、沈殿を生理食塩水で溶解し、透析(3日間、4℃)を行った。10,000rpm×30分(4℃)で遠心し、上清に2容量の0.06M 酢酸緩衝液(pH4.8)を添加し、n−Caprylic acidを終濃度で、6.8%となるように添加し、室温で30分間撹拌した。10,000rpm×30分(0〜4℃)で遠心し、透析(3日間、4℃)を行った。10,000rpm×30分(0〜4℃)で遠心し、上清を回収した。
本実施例で得たリポソーム液の一部分10mlに架橋試薬3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP;Pierce Co.,USA)10mgを加えて室温で2時間、続いて冷蔵下で一晩攪拌し、XM300膜と炭酸緩衝液(pH 8.5)で限外濾過(分画分子量:300,000)して、遊離のDTSSPを除去し、DTSSPがリポソーム上のHSAに結合したリポソーム10mlを得た。次に、このリポソーム液に本実施例で調製した4.6mg/mlのE−セレクチン抗体(AF575)3.26ml(15mg抗体)を10mlのリポソーム液に添加して、25℃で2時間反応させ、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/炭酸緩衝液(pH 8.5)を添加し、その後、冷蔵下で一晩攪拌し、リポソーム膜面結合ヒト血清アルブミン上のDTSSPにE−セレクチン抗体(AF575)の結合を行った。XM300膜とHEPES緩衝液(pH 7.2)で限外濾過(分画分子量:300,000)して、遊離のE−セレクチン抗体(AF575)およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを除去した。その結果、E−セレクチン抗体(AF575)とヒト血清アルブミンとリポソームとが結合したリポソーム各10mlが得られた。
本実施例で調製されたE−セレクチン抗体(AF575)が結合したリポソームについて、実施例3と同様の方法により親水性化処理を行った。
本実施例により調製されたE−セレクチン抗体(AF575)の結合したリポソームを含む溶液は、無色から淡黄色に変化した。これは、リポソームに内包されたcis−ジアミンジニトラト白金(II)が、cis−ジアミンジクロロ白金(II)に転換したことを示す。さらに、この変化は、実施例1と同様の方法を用いて、吸光光度法、IR法、195Pt−NMR法により検出することができる。
本実施例で調製したE−セレクチン抗体(AF575)の結合したCis−ジアミンジニトラト白金(II)内包リポソームの定量分析(タンパク質定量、脂質定量、粒子径分布および粒子径)を、実施例1と同様の方法により行った(図6)。
本実施例は、実施例1(糖鎖なしリポソーム)、実施例3(糖鎖修飾リポソーム)および実施例5(抗体修飾リポソーム)により調製したcis−ジアミンジクロロ白金(II)内包リポソームが、がん・腫瘍の処置に有効であることを確認することを目的とする。
(1.担癌部位への集積性:癌部位の集積cis−ジアミンジクロロ白金(II)量の評価)
実施例3(シアリルルイスX修飾リポソーム)により調製したcis−ジアミンジクロロ白金(II)内包リポソームをもちいた。
投与後時間:各リポソームを投与し、組織に存在する白金濃度を測定した時間
シスプラチン単独:cis−ジアミンジクロロ白金(II)のみ
SLX修飾:cis−ジアミンジクロロ白金(II)を内包した、シアリルルイスXで修飾したリポソーム
(考察)
リポソーム投与の48時間後において、シアリルルイスX修飾リポソームを投与したマウスでは、cis−ジアミンジクロロ白金(II)のみを投与したマウスに比べて、リポソームが癌部位に顕著に集積していることが観察された。また、投与96時間後において、cis−ジアミンジクロロ白金(II)のみを投与すると、癌部位への集積は顕著に減少した。シアリルルイスX修飾リポソームでは、cis−ジアミンジクロロ白金(II)のみを投与したときよりも2.5倍以上もcis−ジアミンジクロロ白金(II)が腫瘍部位に残存していることが確認された(表1)。
本実施例は、実施例1(糖鎖なしリポソーム)、実施例3(糖鎖修飾リポソーム)および実施例5(抗体修飾リポソーム)により調製したcis−ジアミンジクロロ白金(II)内包リポソームを用いた。
試料なし:試料(cis−ジアミンジクロロ白金(II))を添加しなかった群の吸光度(450nm)の平均
シスプラチン単独:cis−ジアミンジクロロ白金(II)のみ
未修飾:cis−ジアミンジクロロ白金(II)を内包した、未修飾のリポソーム
SLX修飾:cis−ジアミンジクロロ白金(II)を内包した、シアリルルイスXで修飾したリポソーム
抗体修飾:cis−ジアミンジクロロ白金(II)を内包した、抗E−セレクチン抗体で修飾したリポソーム
平均:各試料を投与した後の吸光度(450nm)の平均
SD:標準偏差
(考察)
試料を添加しなかった群では、吸光度(450nm)は0.480であった(表2、試料なし)。
6週齢マウス(Balb/c 雌性)(各群3匹)の右大腿部の皮下に、1×106細胞のエールリッヒ腹水癌細胞(EAT細胞)(ATCC Number : CCL−77TM E (Ehrlich−Letter ascites))を移植した。移植の5日後、12日後、19日後に、cis−ジアミンジクロロ白金(II)内包シアリルルイスX修飾リポソーム、および抗E−セレクチン抗体修飾リポソームを、それぞれ、1.5mg/kg(200μg/ml)でマウスの尾静脈に投与した。コントロールとして、生理食塩水、cis−ジアミンジクロロ白金(II)を生理食塩水に200μg/mlとなるように溶解させた。この溶解した溶液を、同様に投与した。
日数:腫瘍移植後、腫瘍の大きさを測定した時期
生理食塩水:生理食塩水のみ
シスプラチン単独:cis−ジアミンジクロロ白金(II)のみ
SLX修飾:cis−ジアミンジクロロ白金(II)を内包した、シアリルルイスXで修飾したリポソーム
抗体修飾:cis−ジアミンジクロロ白金(II)を内包した、抗E−セレクチン抗体で修飾したリポソーム
平均:各試料を投与した後の腫瘍体積(mm3)の平均
SD:標準偏差
(結果および考察)
この結果から、cis−ジアミンジクロロ白金(II)を内包した、シアリルルイスX修飾リポソームまたは抗E−セレクチン抗体修飾リポソームを投与した場合、腫瘍細胞の移植後29日目において、腫瘍の大きさは、cis−ジアミンジクロロ白金(II)単独および未修飾のリポソームを投与したものよりも顕著に小さかった。
実施例1(未修飾リポソーム)、実施例3(糖鎖修飾リポソーム)および実施例5(抗体修飾リポソーム)により調製されたcis−ジアミンジクロロ白金(II)内包リポソームが、精巣腫瘍、膀胱がん、腎盂・尿管腫瘍、前立腺がん、卵巣がん、頭頸部がん、非小細胞肺がん、食道がん、子宮頸がん、神経芽細胞種、胃がん、小細胞肺がん、骨肉種、胚細胞腫瘍の処置に有効であることを確認する。
(シスプラチン−硫酸体を内包したリポソームの調製)
(シスプラチン−硫酸体の調製)
4塩化白金カリウム(K2PtCl4)4.15g(10.0mmol)とヨウ化カリウム6.64g(40mmol)を、酸素を充分に除去した蒸留水50mlに完全に溶解した後、窒素雰囲気下で28%アンモニア水溶液1.35ml(22mmol)を添加し、撹拌することにより沈澱を得る。この沈澱物を水とエタノールで各々2回洗浄した後、常温で真空(〜20mmHg)乾燥することによりアンミン−白金中間体cis−〔Pt(NH3)2I2〕を得る。このアンミン−白金中間体cis−〔Pt(NH3)2I2〕1.45g(3.0mmol)を蒸留水300mlに懸濁させた後、硫酸銀0.933g(3.0mmol)を添加して、攪拌しながら4時間反応させ、生成したヨウ化銀を濾別し、シスプラチン−硫酸体として、無色のcis−〔Pt(NH3)2SO4〕を得る。
DPPC、コレステロール、ガングリオシド、DCP、DPPEをモル比で、35:40:5:15:5の割合で合計脂質量45.6mgになるように混合し、コール酸ナトリウム46.9mgを添加し、メタノール・クロロホルム溶液(1:1)溶液3mlに溶解させる。37℃、1時間撹拌し、メタノールクロロホルムをロータリーエバポレーターで蒸発させて、真空乾燥させる。得られた脂質膜をNaCl未添加のN−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノメタン(TAPS)緩衝液(pH8.4)3mlに懸濁させ、37℃、1時間撹拌する。次いで、この溶液を窒素置換し、超音波処理して、透明なミセル懸濁液を得る。次に、シスプラチン−硫酸体を50mgを秤量して、NaCl未添加のTAPS緩衝液(pH8.4)7mlに溶解させ、ミセル懸濁液と混合し、PM10(Amicon Co.,USA)とNaCl未添加のTAPS緩衝液(pH8.4)を用いた限外濾過(分画分子量:10,000)にかけ均一リポソーム10mlを調製する。
本実施例で調製されたリポソームに、シスプラチン−硫酸体が内包されていることを、実施例1と同様の方法を用いて、フレームレス原子吸光光度法(FAAS)により確認する。
(1.緩衝液によるシスプラチン−硫酸体のcis−ジアミンジクロロ白金(II)への転換)
シスプラチン−硫酸体が内包されたことが確認されたリポソームを、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)、炭酸緩衝液(pH8.5)、PBS(pH8.0)、またはHEPES緩衝液(pH7.2)に、25℃にて、96時間供する。これらの緩衝液は、いずれも最終濃度150mMのNaClが含まれている。
実施例2と同様の方法を使用して、シスプラチン−硫酸体が内包されたことが確認されたリポソームから、糖鎖を結合させたcis−ジアミンジクロロ白金(II)を内包したリポソームを調製する。得られたリポソームにおいて、シスプラチン−硫酸体がcis−ジアミンジクロロ白金(II)へ転換したことは、実施例1と同様の方法を用いて、吸光光度法、IR法、195Pt−NMR法により検出することができる。
実施例6と同様の方法を使用して、シスプラチン−硫酸体が内包されたことが確認されたリポソームの各溶液から、抗体を結合させたcis−ジアミンジクロロ白金(II)を内包したリポソームを調製する。得られたリポソームにおいて、シスプラチン−硫酸体がcis−ジアミンジクロロ白金(II)へ転換したことは、実施例1と同様の方法を用いて、吸光光度法、IR法、195Pt−NMR法により検出することができる。
上記(シスプラチン−硫酸体のcis−ジアミンジクロロ白金(II)への転換)節で調製したリポソームの各々について、定量分析(タンパク質定量、脂質定量、粒子径分布および粒子径)を、実施例1と同様の方法により行う。
実施例5と同様の方法により、上記(シスプラチン−硫酸体のcis−ジアミンジクロロ白金(II)への転換)節で調製したリポソームの各々が、腫瘍・がんの処置に有効であるかどうかを確認する。
(実施例8:他の白金錯体での実験)
実施例1と同様の方法を用いて、cis−ジアンミンジクロロ白金(II)の代わりに、cis−ジアンミン−1,1−シクロブタン−ジカルボキシラト白金(II)、cis−ジアンミン(グリコラト)白金(II)、(1R,2R−ジアンミンシクロへキサン)オキサラト白金(II)、cis−ジアンミンジブロモ白金(II)を内包させたリポソームを調製する。
実施例1と同様の方法を使用して、フレームレス原子吸光光度法(FAAS)により、これら薬剤が水溶性形態としてリポソーム中に内包されたことを確認する。
(1.緩衝液による水溶性薬剤から難水溶性薬剤への転換)
実施例1と同様の方法を使用して、水溶性薬物が内包されたことが確認されたリポソームの各溶液を、各々が形成する塩が難水溶性であるイオンを含む溶液に供する。その結果、水溶性薬剤が、難水溶性薬剤に転換したことを示す。さらに、この変化は、実施例1と同様の方法を用いて、吸光光度法、IR法、195Pt−NMR法により検出することができる。
実施例3と同様の方法を使用して、水溶性薬物が内包されたことが確認されたリポソームの各溶液から、糖鎖を結合させた難水溶性薬剤を内包したリポソームを調製する。このリポソームについて、内包された水溶性薬剤が難水溶性薬剤へ転換したことは、実施例1と同様の方法を用いて、吸光光度法、IR法、195Pt−NMR法により検出することができる。
実施例6と同様の方法を使用して、水溶性薬物が内包されたことが確認されたリポソームの各溶液から、抗体を結合させた難水溶性薬剤を内包したリポソームを調製する。このリポソームについて、内包された水溶性薬剤が難水溶性薬剤へ転換したことは、実施例1と同様の方法を用いて、吸光光度法、IR法、195Pt−NMR法により検出することができる。
上記(水溶性薬剤から難水溶性薬剤への転換)節で調製したリポソームの各々について、定量分析(タンパク質定量、脂質定量、粒子径分布および粒子径)を、実施例1と同様の方法により行う。
実施例5と同様の方法により、上記(水溶性薬剤から難水溶性薬剤への転換)節で調製したリポソームの各々が、腫瘍・がんの処置に有効であるかどうかを確認する。
本実施例では、本発明の内包技術がどのようなリポソームにも応用できることを確認するために、改良コール酸塩法(N.Yamazaki,M.kodama,H−J.Gabius,Methods Enzymol.,242,56−65(1994);N.Yamazaki,J.Membr.Sci.,41,249−267(1989);およびM.Hirai,H.Minematsu,N Kondo,K Oie,K.Igarashi,N.Yamazaki,BBRC.,353,553−558(2007))とは異なる凍結乾燥空リポソーム法(H.Kikuchi,N.Suzuki et al,Biopharm.Drug Dispos.,17,589−605(1999))により作製されたリポソームを用いて、cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を内包させた。
実施例1と同様の方法を用いた。cis−ジアンミンジニトラト白金(II)は、Daharaの方法(S.G.Dhara,Indian J.Chem.,7,335(1970))により合成した。
(1.改良型コール酸塩法(リポソームI))
リポソームIは、実施例1の改良型コール酸塩法と同様の方法を用いて調製した。DPPC、コレステロール、ガングリオシド、DCP、DPPEをモル比で35:40:5:15:5の割合で合計脂質量45.6mgになるように混合し、コール酸ナトリウム46.9mgを添加して、メタノール・クロロホルム(1:1)溶液3mLに溶解させた。37℃、1時間撹拌後、メタノールとクロロホルムをロータリーエバポレーターで蒸発させ、真空乾燥後に塩化ナトリウム不含のTAPS(N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸)緩衝液(pH8.4)3mLに懸濁した。37℃で1時間撹拌した後、超音波処理をして透明なミセル懸濁液を得た。
(2.凍結乾燥法(リポソームII)
凍結乾燥空リポソームは、COASTOME ELシリーズ(EL−01−PA、日油)を使用した。このCOASTOME EL−01−PA(負電荷リポソーム)の組成は、ジセチルフォスファチジルエタノールアミン−ポリグリセリン8G:ジパルミトイルホスファチジルコリン:コレステロール:ジパルミトイルホスファチジルグリセロール=4.2:11.4:15.2:11.4(μMol/バイアル)である。cis−ジアンミンジニトラト白金(II)(40mg)を塩化ナトリウム不含のTAPS緩衝液(pH8.4)2mLに溶解させ、1M水酸化ナトリウムでpH8.4に調製して凍結乾燥リポソームのバイヤル内に2mL滴下した。バイヤルを5回転倒混和し、PM10(AMICON)と塩化ナトリウム不含のTAPS緩衝液(pH8.4)を用いた限外濾過(分画分子量:10,000)によりリポソーム2mLを調製した。塩化ナトリウムを150mMとなるようにリポソーム溶液に添加し4℃、96時間撹拌して内包されたcis−ジアンミンジニトラト白金(II)をcis−ジアミンジクロロ白金(II)に変換した。
比較例として、cis−ジアンミンジニトラト白金(II)をリポソームに内包させcis−ジアミンジクロロ白金(II)に変換するのではなく、cis−ジアミンジクロロ白金(II)を直接内包させたリポソームを調製した。
cis−ジアミンジクロロ白金(II)を直接内包させたリポソームを、cis−ジアミンジクロロ白金(II)(SIGMA)28mgを150mM塩化ナトリウム含有TAPS緩衝液(pH8.4)7mlに完全に溶解させ、1M水酸化ナトリウムでpH8.4に調製し、ミセル懸濁液と混合して作製した。cis−ジアンミンジニトラト白金(II)のかわりにcis−ジアミンジクロロ白金(II)を用いることおよび緩衝液に塩化ナトリウムが含まれること以外、本実施例のcis−ジアンミンジニトラト白金(II)の内包と同様の方法を用いた。
凍結乾燥空リポソームは、COASTOME ELシリーズ(EL−01−PA、日本油脂)を使用した。cis−ジアミンジクロロ白金(II)を直接内包させたリポソームを、以下のようにして作製した。COASTOME EL−01−PA を室温に戻した。シスプラチン4mgを150mM塩化ナトリウム含有TAPS緩衝液(pH8.4)2mlに完全に溶解させ、COASTOME EL−01−PAに添加し、3回転倒混和した。遊離のシスプラチンを除くために、分画分子量10,000の膜を用いて限外濾過を行った。
本実施例の改良コール酸法において調製したcis−ジアミンジクロロ白金(II)内包リポソームIのうちの一部分を用いて、実施例3と同様の方法により、糖鎖で修飾したリポソームIを作製した。
cis−ジアミンジニトラト白金(II)内包したリポソームIの溶液10mlをXM300膜(Amicon Co.,USA)と炭酸緩衝液(pH 8.5)を用いた限外濾過(分画分子量:300,000)にかけ溶液のpHを8.5にした。次に、架橋試薬ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS3;Pierce Co.,USA)10mgを加え、室温で2時間攪拌した。その後、さらに冷蔵下で一晩攪拌してリポソーム膜上の脂質ジパルミトイルフォスファチジルエタノールアミンとBS3との化学結合反応を完結した。そして、このリポソーム液をXM300膜と炭酸緩衝液(pH 8.5)で限外濾過(分画分子量:300,000)にかけた。次に、炭酸緩衝液(pH 8.5)1mlに溶かしたトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン40mgをリポソーム液10mlに加えた。次いで、この溶液を、室温で2時間攪拌後、冷蔵下で一晩攪拌し、分画分子量300,000で限外濾過し、遊離のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを除去し、該炭酸緩衝液をN−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)に交換し、リポソーム膜上の脂質に結合したBS3とトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとの化学結合反応を完結した。これにより、リポソーム膜の脂質ジパルミトイルフォスファチジルエタノールアミン上にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの水酸基が配位して水和親水性化された。
本実施例で得られた10mlのリポソームIの膜面上に存在するガングリオシドを1mlのN−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH 8.4)に溶かしたメタ過ヨウ素酸ナトリウム43mgを加え、冷蔵下で一晩攪拌して過ヨウ素酸酸化した。XM300膜とPBS緩衝液(pH 8.0)で限外濾過(分画分子量:300,000)することにより、遊離の過ヨウ素酸ナトリウムを除去し、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液をPBS緩衝液(pH8.0)に交換して、酸化されたリポソーム10mlを得た。このリポソーム液に、20mgのヒト血清アルブミン(HSA)/PBS緩衝液(pH 8.0)を加えて室温で2時間反応させ、次に2M NaBH3CN/PBS緩衝液(pH 8.0)100μlを加えて室温で2時間、さらに冷蔵下で一晩攪拌してリポソーム上のガングリオシドとHSAとのカップリング反応でHSAを結合した。次いで、限外濾過(分画分子量:300,000)し、遊離のシアノホウ素酸ナトリウムおよびヒト血清アルブミンを除去し、この溶液の緩衝液を炭酸緩衝液(pH8.5)に交換して、HSA結合リポソーム液10mlを得た。
糖鎖として、シアリルルイスXを使用した。
糖鎖2mgを精製水に溶解し、0.25gのNH4HCO3を溶かした0.5ml水溶液に加え、37℃で3日間攪拌した後、0.45μmのフィルターで濾過して糖鎖の還元末端のアミノ化反応を完結して、各糖鎖のグリコシルアミン化合物4mg/ml(アミノ化糖鎖溶液)を得た。次に、本実施例で得たリポソームIの溶液の一部分(10ml)に架橋試薬3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP;Pierce Co.,USA)10mgを加えて室温で2時間、続いて冷蔵下で一晩攪拌し、XM300膜と炭酸緩衝液(pH 8.5)で限外濾過(分画分子量:300,000)して、遊離のDTSSPを除去し、DTSSPがリポソーム上のHSAに結合したリポソーム10mlを得た。次に、このリポソーム液に上記のグリコシルアミン化合物(アミノ化糖鎖溶液)37.5μlを加えて、室温で2時間反応させ、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/炭酸緩衝液(pH 8.5)を添加し、その後、冷蔵下で一晩攪拌し、リポソーム膜面結合ヒト血清アルブミン上のDTSSPにグリコシル化アミン化合物の結合を行った。XM300膜とHEPES緩衝液(pH 7.2)で限外濾過(分画分子量:300,000)して、遊離の糖鎖およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを除去した。その結果、糖鎖とヒト血清アルブミンとリポソームとが結合したリポソーム各10mlが得られた。
本実施例で調製された糖鎖が結合したリポソームIについて、リポソーム上のHSAタンパク質表面の親水性化処理を行った。このリポソーム10mlに、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン26.4mgを加えて、室温で2時間、その後冷蔵下で一晩攪拌した後、XM300膜とHEPES緩衝液(pH 7.2)で限外濾過(分画分子量:300,000)し、未反応物を除去した。0.45μmのフィルターで濾過して、最終産物である親水性化処理された糖鎖が結合したリポソーム複合体各10mlを得た。
本実施例および比較例において調製した各リポソーム溶液(糖鎖なし)を純水で50倍に希釈して、動的散乱法により、ゼータサイザーナノNan−ZS(Malvern)を用いて測定した。
本実施例において調製した、cis−ジアミンジクロロ白金(II)を内包したリポソームI(糖鎖なし)を1% 酢酸ウランによりネガティブ染色した(J.D.Almeida,C.M.Brand,D.C.Edwards and T.D.Heath,Lancet 2(7941).,899−901(1975)。具体的には、銅メッシュにリポソーム溶液を1滴滴下し、PBS緩衝液でよく洗浄し、1%酢酸ウランに数秒間浸した。余分な水分を吸い取り乾燥させた。その後、透過型電子顕微鏡H−7100S(HITACHI)により、粒子の形状と大きさを80000倍で観察した。
実施例2と同様の方法を用いた。0.5%TitonX−100存在下でデタミナーTC555キット(KYOWA)を用いて、総コレステロール量を測定し、各脂質のモル比から総脂質量を算出した
その結果、リポソーム量の目安となる脂質量は、リポソームIで3.5mg/mL、リポソームIIで7.6mg/mLであった(表4)。
リポソームに内包されたcis−ジアンミンジニトラト白金(II)は、フレームレス原子吸光光度法(FAAS)によりAA−6700 Atomic absorption flame emission spectrophotometer(SHIMAZU))を用いて定量した。波長265.9nm、スリット幅0.5、ランプ電流14mAの条件下、120℃で30秒間、250℃で10秒間、700℃で20秒間、700℃で5秒間、2600℃で3秒間、順次処理を行った。1mg/mL白金標準液(NAKARAI)を精製水で希釈して12.5ng/ml、25ng/ml、50ng/ml、100ng/ml、200ng/mlの溶液を調製し、検量線を作成した。リポソーム溶液は精製水で10,000倍希釈して被検試料とした。
cis−ジアンミンジニトラト白金(II)の硝酸イオンが、150mM塩化ナトリウムの塩化物イオンによって置換することを、吸収スペクトル法を用いて確認した(比較例1および図4Aおよび図4B)。
実施例3と同様の方法を使用した。cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を内包させたリポソームとして、本実施例において調製したリポソームIIを用いた。これらのリポソームに内包させたcis−ジアンミンジニトラト白金(II)からcis−ジアミンジクロロ白金(II)への変換を、25℃で直径5mmの測定管にサンプルに入れINOVA−600(Varian社)を用いた195Pt−NMR法により解析した。
Sodium hexachloroplatinate(IV)を重水に50mMとなるように溶解して外部標準液とした。cis−ジアミンジクロロ白金(II)、cis−ジアンミンジニトラト白金(II)をそれぞれ重水に終濃度6.6mM、13.7mMとなるように溶解させてサンプルとした。リポソームIIに内包したcis−ジアンミンジニトラト白金(II)をcis−ジアミンジクロロ白金(II)に変換した場合および変換しなかった場合のリポソームサンプルを凍結乾燥し、次いで重水に懸濁させて、いずれも白金濃度が4.75mMとなるように調製した。
Claims (20)
- アンミン白金錯体を内包するリポソームを製造する方法であって、該方法は、以下の工程:
A)cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を含む白金錯体溶液を調製する工程;
B)リポソーム、リポソーム原料またはその組合せを提供する工程:および
C)該cis−ジアンミンジニトラト白金(II)と、該リポソーム、該リポソーム原料またはその組合せとを含む混合物を調製し、リポソーム形成維持条件に供する工程
を包含し、ここで、該白金錯体溶液は、塩化物イオン(Cl−)、臭化物イオン(Br−)、ヨウ化物イオン(I−)、チオシアン酸イオン(SCN−)およびシアン化物イオン(CN−)を含まないか、または難水溶性塩を形成しない濃度で含む、方法。 - さらに、D)前記C)工程により得られた混合物を、塩化物イオン(Cl−)、臭化物イオン(Br−)、ヨウ化物イオン(I−)、チオシアン酸イオン(SCN−)およびシアン化物イオン(CN−)からなる群より選択されるイオンを含む溶液の存在下に供する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
- A)前記cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を、前記第一緩衝液に溶解し、前記白金錯体溶液を調製する工程;
B)前記リポソーム原料を提供する工程であって、
B−i)リポソーム形成能を有する脂質を、メタノール・クロロホルム溶液に懸濁して攪拌し、該攪拌した溶液を蒸発させ、沈殿物を真空乾燥させることにより脂質膜を得る工程;および
B−ii)該脂質膜を、第二緩衝液に懸濁し、脂質懸濁液を形成する工程、を包含する、工程;ならびに
C)該白金錯体溶液と、該脂質懸濁液とを混合し、前記リポソーム形成維持条件に供する工程
を包含し、ここで、該第一緩衝液および第二緩衝液は、塩化物イオン(Cl−)、臭化物イオン(Br−)、ヨウ化物イオン(I−)、チオシアン酸イオン(SCN−)およびシアン化物イオン(CN−)を含まないか、または難水溶性塩を形成しない濃度で含む、請求項1に記載の方法。 - 前B−ii)工程に引き続き、前記脂質懸濁液を超音波処理することを含む、請求項3に記載の方法。
- 前記C)工程において、前記リポソーム形成維持条件が、前記白金錯体溶液と前記脂質懸濁液との混合物を限外濾過に供することおよび該混合物を一晩静置することからなる群より選択されることを含む、請求項3に記載の方法。
- 前記B)工程において、前記リポソームは、前記水溶性アンミン白金錯体が、リポソーム膜を通過して該リポソーム内に移行し、留まるために充分な組成を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記リポソーム形成維持条件が、前記リポソームを破壊することなく維持すると同時に、前記cis−ジアンミンジニトラト白金(II)がリポソーム膜を通過して該リポソーム内に移行し、留まるために充分な条件である、請求項1に記載の方法。
- 前記リポソームを構成する脂質または前記リポソーム原料が、ジパルミトイルホスファチジルコリン、コレステロール、ガングリオシド、ジセチルホスフェート、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、コール酸ナトリウム、ジセチルフォスファチジルエタノールアミン−ポリグリセリン8G、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルグリセロールおよびそれらの組合せからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記C)工程において、前記混合物が、pH6〜10の範囲内に調節される、請求項1に記載の方法。
- 前記イオンが、塩化物イオン(Cl−)である、請求項2に記載の方法。
- 前記塩化物イオン(Cl−)が、NaCl、HClまたはCaCl2より提供される、請求項10に記載の方法。
- 前記cis−ジアンミンジニトラト白金(II)が6mMで含まれ、前記塩化物イオン(
Cl−)が、0〜4mMの範囲で含まれる、請求項1に記載の方法。 - 前記工程C)において、前記混合物が、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸緩衝剤、トリス(ヒドロキシ)アミノメタン緩衝剤、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸緩衝剤、N−トリス(ヒドロキシメチル)1−2−アミノエタンスルホン酸緩衝剤、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2エタンスルホン酸緩衝剤、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝剤、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝剤、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−ヒドロキシプロパン−3−プロパンスルホン酸緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチルメチルグリシン)緩衝剤、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン緩衝剤、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸緩衝剤、3−N−シクロヘキシルアミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸緩衝剤、3−シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸緩衝剤およびそれらの組合せからなる群より選択される緩衝剤を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記C)工程において、前記cis−ジアンミンジニトラト白金(II)と、前記リポソーム、リポソーム原料またはその組合せとが、1:9〜9:1の範囲内の比で混合される
、請求項1に記載の方法。 - 前記D)工程において、前記イオンが、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液、炭酸緩衝液、リン酸緩衝液、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸緩衝液、トリス(ヒドロキシ)アミノメタン緩衝液、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸緩衝液、N−トリス(ヒドロキシメチル)1−2−アミノエタンスルホン酸緩衝液、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2エタンスルホン酸緩衝液、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)緩衝液、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−ヒドロキシプロパン−3−プロパンスルホン酸緩衝液、トリス(ヒドロキシメチルメチルグリシン)緩衝液、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン緩衝液、2−(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸緩衝液、3−N−シクロヘキシルアミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸緩衝液および3−シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸緩衝液からなる群より選択される緩衝液により提供される、請求項2に記載の方法。
- 前記塩化物イオン(Cl−)が、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)、炭酸緩衝液(pH8.5)、リン酸緩衝液(pH8.0)および2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸緩衝液(pH7.2)からなる群より選択される緩衝液により提供される、請求項10に記載の方法。
- 前記D)工程が、
i)形成されたリポソームを親水性化処理する工程;
ii)該リポソームへ標的指向性物質を結合させる工程;
iii)該修飾標的指向性物質が結合したリポソームを親水性化する工程ならびに
iv)該親水性化したリポソームを含む溶液をフィルター濾過をする工程
を包含する、請求項2に記載の方法。 - 前記標的指向性物質が、抗体、糖鎖、レクチン、相補的核酸、レセプター、リガンド、アプタマーおよび抗原からなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
- cis−ジアミンジクロロ白金(II)を内包するリポソームを製造する方法であって、該方法は、以下の工程:
(A1)cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を、6mMでN−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液に溶解し、cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を含む溶液を調製する工程であって、該N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液は、塩化物イオン(Cl−)を含まないか、または塩化物イオン(Cl−)を0〜4mMの範囲で含む、工程;
(A2)該cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を含む溶液のpHをpH6〜10に調節する工程;
(B1)ジパルミトイルホスファチジルコリン、コレステロール、ガングリオシド、ジセチルホスフェート、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンおよびコール酸ナトリウムを混合させて脂質を調製する工程;
(B2)該脂質を、メタノール・クロロホルム溶液に懸濁して攪拌し、該攪拌した溶液を蒸発させ、沈殿物を真空乾燥させることにより脂質膜を得る工程;
(B3)該脂質膜を、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH6〜10)に懸濁させて脂質懸濁液を作製する工程であって、該N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液は、塩化物イオン(Cl−)を含まないか、または塩化物イオン(Cl−)を0〜4mMの範囲で含む、工程;
(B4)該脂質懸濁液を30℃〜40℃で攪拌させ、窒素置換し、超音波処理する工程;および
(C1)pHが調節された該cis−ジアンミンジニトラト白金(II)溶液と、超音波処理した脂質懸濁液とを、1:9〜9:1の範囲内の比で混合して、分画分子量500〜300,000で限外濾過に供する工程
を包含する、請求項1に記載の方法。 - cis−ジアミンジクロロ白金(II)を内包するリポソームを製造する方法であって、該方法は、以下の工程:
(A1)cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を、6mMでN−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液に溶解し、cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を含む溶液を調製する工程であって、該N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液は、塩化物イオン(Cl−)を含まないか、または塩化物イオン(Cl−)を0〜4mMの範囲で含む、工程;
(A2)該cis−ジアンミンジニトラト白金(II)を含む溶液のpHをpH8.4に調節する工程;
(B1)リポソームを提供する工程;および
(C1)pHが調節された該cis−ジアンミンジニトラト白金(II)溶液と、該リポソームとを、1:9〜9:1の範囲内の比で混合して、分画分子量500〜300,000で限外濾過に供する工程
を包含する、方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008549290A JP5364381B2 (ja) | 2006-12-08 | 2007-12-07 | アンミン白金錯体を高濃度で内包するリポソームおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006332686 | 2006-12-08 | ||
JP2006332686 | 2006-12-08 | ||
PCT/JP2007/073727 WO2008072584A1 (ja) | 2006-12-08 | 2007-12-07 | アンミン白金錯体を高濃度で内包するリポソームおよびその製造方法 |
JP2008549290A JP5364381B2 (ja) | 2006-12-08 | 2007-12-07 | アンミン白金錯体を高濃度で内包するリポソームおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2008072584A1 JPWO2008072584A1 (ja) | 2010-03-25 |
JP5364381B2 true JP5364381B2 (ja) | 2013-12-11 |
Family
ID=39511604
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008549290A Expired - Fee Related JP5364381B2 (ja) | 2006-12-08 | 2007-12-07 | アンミン白金錯体を高濃度で内包するリポソームおよびその製造方法 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (2) | US20100034874A1 (ja) |
EP (1) | EP2090305A4 (ja) |
JP (1) | JP5364381B2 (ja) |
WO (1) | WO2008072584A1 (ja) |
Families Citing this family (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8614419B2 (en) * | 2008-03-28 | 2013-12-24 | The Ohio State University | Rapid diagnosis of a disease condition using infrared spectroscopy |
CN102046070A (zh) | 2008-03-28 | 2011-05-04 | 俄亥俄州立大学 | 运用红外光谱分析技术的疾病快速诊断方法 |
WO2009148169A1 (ja) * | 2008-06-06 | 2009-12-10 | 片山化学工業株式会社 | アンミン白金錯体を高濃度に内包するリポソームを用いた腫瘍治療技術 |
JP5490326B2 (ja) | 2012-03-22 | 2014-05-14 | 塩水港精糖株式会社 | パクリタキセルモノグリコシド及び/又はドセタキセルモノグリコシドを内包するリポソームの製造方法 |
CN103043635B (zh) * | 2012-12-25 | 2015-04-22 | 浙江大学 | 一种抗耐药性的顺铂矿化液及其制备方法和应用 |
US10039716B2 (en) | 2013-03-13 | 2018-08-07 | Mallinckrodt Llc | Liposomal cisplatin compositions for cancer therapy |
WO2015108783A1 (en) * | 2014-01-16 | 2015-07-23 | The Brigham And Women's Hospital, Inc. | Targeted delivery of immunoregulatory drugs |
JP6239194B2 (ja) * | 2015-08-07 | 2017-11-29 | 三菱電機株式会社 | 送信装置、受信装置、送信方法および受信方法 |
CN106995465B (zh) * | 2016-01-25 | 2019-11-01 | 沈阳药科大学 | 一种化合物及其应用以及一种铂类配合物及其脂质体 |
MX2019005185A (es) * | 2016-11-11 | 2019-07-01 | Univ Western Health Sciences | Metodos para tratar las carcinomas uroteliales del tracto superior. |
KR20230011269A (ko) * | 2020-03-10 | 2023-01-20 | 충 위엔 크리스찬 유니버시티 | 리포솜 조성물 및 그 제조방법 |
CN114807146B (zh) * | 2022-06-28 | 2022-09-02 | 中国农业大学 | 一种核酸纳米酶的制备方法及传感应用 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04346918A (ja) * | 1991-05-23 | 1992-12-02 | Mitsubishi Kasei Corp | 薬剤含有タンパク質結合リポソーム |
JPH05255070A (ja) * | 1992-01-10 | 1993-10-05 | Takeda Chem Ind Ltd | リポソーム製剤およびその製造法 |
JP2003226638A (ja) * | 2002-01-30 | 2003-08-12 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 標的指向性リポソーム |
WO2005053643A1 (ja) * | 2003-12-01 | 2005-06-16 | Mitsubishi Pharma Corporation | リポソーム |
WO2005089448A2 (en) * | 2004-03-18 | 2005-09-29 | Transave, Inc. | Administration of cisplatin by inhalation |
JP2006514016A (ja) * | 2002-11-26 | 2006-04-27 | ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド | リポソーム処方物 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4273755A (en) * | 1979-08-16 | 1981-06-16 | Mpd Technology Corporation | Preparation of platinum complexes |
JPS57123198A (en) * | 1981-01-23 | 1982-07-31 | Shionogi & Co Ltd | Novel platinum complex |
ES2208946T3 (es) * | 1996-08-23 | 2004-06-16 | Sequus Pharmaceuticals, Inc. | Liposomas que contienen un compuesto de cisplatino. |
US5843475A (en) * | 1996-12-06 | 1998-12-01 | Board Of Regents, The University Of Texas System | Delivery and activation through liposome incorporation of diaminocyclohexane platinum (II) complexes |
NZ519856A (en) * | 2000-01-28 | 2004-03-26 | Alza Corp | Liposomes containing an entrapped compound in supersaturated solution |
US7038071B2 (en) * | 2002-07-16 | 2006-05-02 | Sonus Pharmaceuticals, Inc. | Platinum compounds |
EP1545459A4 (en) * | 2002-08-02 | 2007-08-22 | Transave Inc | PLATINUM AGGREGATES, AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME |
US20040146855A1 (en) * | 2003-01-27 | 2004-07-29 | Marchessault Robert H. | Formation of superparamagnetic particles |
JPWO2005011632A1 (ja) * | 2003-08-01 | 2006-09-14 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | 糖鎖を有する標的指向性および腸管吸収制御性リポソームならびにそれを含む癌治療薬および診断薬 |
-
2007
- 2007-12-07 WO PCT/JP2007/073727 patent/WO2008072584A1/ja active Application Filing
- 2007-12-07 EP EP07850305A patent/EP2090305A4/en not_active Withdrawn
- 2007-12-07 JP JP2008549290A patent/JP5364381B2/ja not_active Expired - Fee Related
- 2007-12-07 US US12/300,496 patent/US20100034874A1/en not_active Abandoned
-
2012
- 2012-09-04 US US13/603,195 patent/US20130011466A1/en not_active Abandoned
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04346918A (ja) * | 1991-05-23 | 1992-12-02 | Mitsubishi Kasei Corp | 薬剤含有タンパク質結合リポソーム |
JPH05255070A (ja) * | 1992-01-10 | 1993-10-05 | Takeda Chem Ind Ltd | リポソーム製剤およびその製造法 |
JP2003226638A (ja) * | 2002-01-30 | 2003-08-12 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 標的指向性リポソーム |
JP2006514016A (ja) * | 2002-11-26 | 2006-04-27 | ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド | リポソーム処方物 |
WO2005053643A1 (ja) * | 2003-12-01 | 2005-06-16 | Mitsubishi Pharma Corporation | リポソーム |
WO2005089448A2 (en) * | 2004-03-18 | 2005-09-29 | Transave, Inc. | Administration of cisplatin by inhalation |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
JPN6008010652; NEWMAN, M.S. et al: Cancer Chemother Pharmacol Vol.43, No.1, 1999, p.1-7 * |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2008072584A1 (ja) | 2008-06-19 |
EP2090305A1 (en) | 2009-08-19 |
EP2090305A4 (en) | 2012-12-26 |
US20100034874A1 (en) | 2010-02-11 |
US20130011466A1 (en) | 2013-01-10 |
JPWO2008072584A1 (ja) | 2010-03-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5364381B2 (ja) | アンミン白金錯体を高濃度で内包するリポソームおよびその製造方法 | |
DE69725747T2 (de) | Liposome enthaltend cisplatin | |
ES2762224T3 (es) | Liposomas que comprenden lípidos conjugados con polímero y usos relacionados | |
BR112020022077A2 (pt) | composições de carotenoides e seus usos | |
JP2006248978A (ja) | 新規なリポソーム製剤 | |
US10167311B2 (en) | Boronic acid esters and pharmaceutical formulations thereof | |
WO2007091661A1 (ja) | 分子イメージングに適した糖鎖修飾リポソームならびにその利用および製造 | |
JPWO2005011633A1 (ja) | 標的指向性リポソームを含む炎症性疾患治療薬または診断薬 | |
JPWO2005011632A1 (ja) | 糖鎖を有する標的指向性および腸管吸収制御性リポソームならびにそれを含む癌治療薬および診断薬 | |
JPWO2007018272A1 (ja) | 糖鎖修飾リポソーム及び該リポソームを含有する薬剤送達組成物 | |
Moffett et al. | Aberrant glycosylation patterns on cancer cells: Therapeutic opportunities for glycodendrimers/metallodendrimers oncology | |
JP5490326B2 (ja) | パクリタキセルモノグリコシド及び/又はドセタキセルモノグリコシドを内包するリポソームの製造方法 | |
CN110590855B (zh) | 铂类配合物的制备方法及其含有该铂类配合物的脂质体与制备方法 | |
WO2009148169A1 (ja) | アンミン白金錯体を高濃度に内包するリポソームを用いた腫瘍治療技術 | |
JPWO2007018275A1 (ja) | ローリングモデルに基づく、送達媒体の設計 | |
JP2011020923A (ja) | 動脈硬化の診断及び治療 | |
JP2003226638A (ja) | 標的指向性リポソーム | |
WO2009133867A1 (ja) | 金属コロイド含有リポソーム | |
JP6206925B2 (ja) | ホウ素クラスター修飾peg脂質誘導体およびこれを用いた分子集合体 | |
US20220257514A1 (en) | Monosaccharide-tagged nano-liposome drug delivery system, the manufacture and use for drug targeting delivery thereof | |
JP4500930B2 (ja) | 標的指向性リポソーム | |
US20230068750A1 (en) | Methods & Systems for Controlled Release of Drug Cargo via ATP- Responsive Liposomes | |
JP4590519B2 (ja) | 腸管吸収制御性リポソーム | |
US20240093238A1 (en) | Nanoparticle compositions containing sugar functionalized nucleic acid carriers | |
US9757462B2 (en) | Combined pharmaceutical preparation |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100914 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110725 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130123 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130314 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130607 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130610 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130828 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130909 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5364381 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |