JP2011020923A - 動脈硬化の診断及び治療 - Google Patents

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Abstract

【課題】動脈硬化の処置予防、検出または診断に有効な医薬組成物を提供すること。
【解決手段】1つの局面において、本発明は、親水性化されたリポソームと、動脈硬化巣に対する特異的因子とを含む、動脈硬化病変を、診断、処置または予防するための医薬組成物を提供する。本発明はまた、動脈硬化病変を診断するための診断用組成物を提供する。この診断用組成物は、A)親水性化されたリポソームと、B)動脈硬化巣に対する特異的因子と、C)標識物質とを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、動脈硬化の処置予防、検出または診断の技術に関する。本発明は、動脈硬化巣に対する特異的因子、特に、不安定プラークを検出することを含む、動脈硬化を処置、予防、検出または診断することに関する。本発明は、特に、マクロファージに関連する疾患、障害もしくは状態を処置、予防、検出または診断し、動脈硬化を処置予防、検出または診断することに関する。
動脈硬化性疾患、心筋梗塞を中心とした心血管系疾患と、脳梗塞・脳卒中を中心とした脳血管障害による死亡は、死因の30%に及んでいる。我が国の世界に先駆けた高齢化は、益々その頻度の増加が予想される。動脈硬化を診断し、早急に治療を開始することは非常に重要である。
動脈硬化巣の形成には内皮細胞とマクロファージ(Mφ)が重要な役割を果たす。不安定プラークは破綻しやすい。破綻に伴う内腔の狭窄や閉塞は心血管系疾患と脳血管障害を起こす。不安定プラークを可視化できれば、破綻する前に治療を開始することが可能となり、医学的に非常に重要である(特許文献1:国際公開第2007/091661号パンフレットおよび非特許文献1:Pathology of the Vulnerable Plaque.Journal of the American College of Cardiology,Volume 47,2006 Apr 18;47(8 Suppl):C13−8.Virmani,A.Burke,A.Farb,F.Kolodgie)。
現在、動脈硬化巣の存在診断は広く様々な方法で行われている。動脈硬化巣の量的、質的診断のためにMRIやCT、観血的には血管内視鏡や血管内エコー法などが行われているもののその精度は十分ではない。そのため、動脈硬化巣の内皮細胞に発現する接着因子(非特許文献2:Nahrendorf et al.,Circulation 2006;114;1504−1511またはMφから分泌される細胞外マトリックス分解酵素(非特許文献3:Deguchi et al.,Circulation 114(1):55−62)をターゲットとした診断法などが実験的に試みられているが、現時点において不安定プラークを明確に診断できる方法は確立されていない。
国際公開第2007/091661号パンフレット Pathology of the Vulnerable Plaque.Journal of the American College of Cardiology,Volume 47,2006 Apr 18;47(8 Suppl):C13−8.Virmani,A.Burke,A.Farb,F.Kolodgie Nahrendorf et al.,Circulation 2006;114;1504−1511 Deguchi et al.,Circulation 114(1):55−62
本発明の課題は、動脈硬化巣の質的診断を可能する方法、マクロファージに関連する疾患、障害もしくは状態を処置、予防、検出または診断に関する技術を提供することにある。
本発明の別の課題は、不安定プラークまたはマクロファージに特異的に到達できる技術を開発し、動脈硬化を処置、診断または予防するための新しい薬物送達システム(DDS:ドラッグデリバリーシステム)を提供することにある。
本発明者らは、動脈硬化疾患モデルマウスを用い、蛍光ラベルしたリポソームが動脈硬化巣内に取り込まれることをin vivo imagingと組織学的手法を用いて確認した(図1、図2および図3)。これにより、リポソーム表面に抗体や糖鎖等で修飾を行うことにより、より特異的に動脈硬化巣へ集積させ、イメージングの精度を上げる発明に開発するにいたる。
本発明の医薬組成物は、親水性化されたリポソームと、動脈硬化巣に対する特異的因子とを含むことにより、動脈硬化病変を、診断、処置または予防することができる。
本発明の組成物は、(1)動脈硬化巣の内皮細胞またはプラークに特異的に発現する接着分子に対する抗体、抗体フラグメント、抗体改変体、糖鎖または糖鎖基などの動脈硬化巣に対する特異的因子を含むことにより、硬化巣部への集積を増加させること;および(2)動脈硬化巣のマクロファージに特異的に発現する受容体に対する抗体、抗体フラグメント、抗体改変体、糖鎖または糖鎖基などのマクロファージに対する特異的因子を含ませることにより、マクロファージによる貪食効率を増加させることができる。
不安定プラークの診断法として表面修飾リポソームを用いるのは全く新規の方法であり、独創的な方法であり、従来技術では達成できなかった検出効率および治療効率を達成することができるといえる。
本発明の組成物では、動脈硬化巣またはマクロファージに対する特異的因子(例えば、動脈硬化巣内皮に発現している分子またはマクロファージ表面上に発現する受容体に対する抗体、抗体フラグメント、抗体改変体、糖鎖、糖鎖基)が親水性化されたリポソームに含まれることが特徴のひとつである。抗体としては、具体的には、VCAM−1、ICAM−1、E−selectin、P−selectinなどの細胞接着分子またはMMPなどの細胞外マトリックス分解酵素に対する抗体またはその抗体フラグメントもしくは抗体改変体(たとえば、F(ab’)2およびFab断片、キメラ抗体、および抗イディオタイプ抗体ならびにその他の組換えにより生産された結合体など)を使用することができる。糖鎖としては、シアリルルイスX(SLX)、SLX基、マンノース、マンノース基を使用することができる。
本発明の組成物では、動脈硬化巣またはマクロファージに対する特異的因子は、親水性化されたリポソームに封入または結合していてもよい。
本発明の組成物において使用される親水性化されたリポソームは、本明細書に記載された方法を用いて製造することができる。
本発明の組成物は、標識物質(蛍光色素(例えば、Cy3、Cy5.5)、磁性金属など)で標識することにより、動脈硬化病変、マクロファージまたはマクロファージに関連する疾患をイメージングする、イメージング剤としても使用することができる。
したがって、本発明は、以下を提供する。
(1)親水性化されたリポソームと、動脈硬化巣に対する特異的因子とを含む、動脈硬化病変を、診断、処置または予防するための医薬組成物。
(2)前記動脈硬化巣に対する特異的因子が、シアリルルイスX(SLX)、SLX基、マンノース、マンノース基、抗体、抗体フラグメントおよび抗体改変体からなる群より選択される、上記項目に記載の医薬組成物。
(3)前記動脈硬化巣に対する特異的因子が、シアリルルイスX(SLX)またはSLX基である、上記項目に記載の医薬組成物。
(4)前記診断は、不安定プラークの診断である、上記項目に記載の医薬組成物。
(5)前記親水性化がトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ基による、上記項目に記載の医薬組成物。
(6)前記リポソームを構成する脂質の一部が、親水性化合物架橋基−W−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ基とNH−C(=O)結合しており、ここで、該Wは、C(=O)−NH結合である、上記項目に記載の医薬組成物。
(7)前記リポソームと前記SLX基とが、ヒト血清アルブミン基を介して結合している、上記項目に記載の医薬組成物。
(8)前記リポソームを構成する脂質の一部は、ヒト血清アルブミン基−A−リンカータンパク質架橋基−X−SLX基とCH−NH結合しており、ここで、該Aは、NH−C(=O)結合であり、該Xは、C(=O)−NH結合である、上記項目に記載の医薬組成物。
(9)前記リポソームの表面に前記SLX基が存在する、上記項目に記載の医薬組成物。
(10)動脈硬化病変を診断するための診断用組成物であって、以下:
A)親水性化されたリポソームと、
B)動脈硬化巣に対する特異的因子と、
C)標識物質
とを含む、診断用組成物。
(11)前記動脈硬化巣に対する特異的因子が、シアリルルイスX(SLX)、SLX基、マンノース、マンノース基、抗体、抗体フラグメントおよび抗体改変体からなる群より選択される、上記項目に記載の診断用組成物。
(12)前記動脈硬化巣に対する特異的因子が、シアリルルイスX(SLX)またはSLX基である、上記項目に記載の診断用組成物。
(13)磁気共鳴画像法において使用するための、上記項目に記載の診断用組成物。
(14)前記診断は、不安定プラークの診断である、上記項目に記載の診断用組成物。
(15)前記親水性化がトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ基による、上記項目に記載の診断用組成物。
(16)前記リポソームを構成する脂質の一部が、親水性化合物架橋基−W−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ基とNH−C(=O)結合しており、ここで、該Wは、C(=O)−NH結合である、上記項目に記載の診断用組成物。
(17)前記リポソームと前記SLX基とが、ヒト血清アルブミン基を介して結合している、上記項目に記載の診断用組成物。
(18)前記リポソームを構成する脂質の一部は、ヒト血清アルブミン基−A−リンカータンパク質架橋基−X−SLX基とCH−NH結合しており、ここで、該Aは、NH−C(=O)結合であり、該Xは、C(=O)−NH結合である、上記項目に記載の診断用組成物。
(19)前記リポソームの表面に前記SLX基が存在する、上記項目に記載の診断用組成物。
(20)磁気共鳴画像法により動脈硬化病変を診断するための上記項目に記載の診断用組成物であって、前記標識物質が、核磁気共鳴画像法によって検出可能である物質である、診断用組成物。
(21)前記標識物質が、常磁性の金属である、上記項目に記載の診断用組成物。
(22)動脈硬化病変を処置または予防するための方法であって、該方法は、動脈硬化病変を処置または予防する必要のある患者に、上記項目に記載の有効量の医薬組成物を投与する工程を包含する、方法。
(23)動脈硬化病変を検出するための方法であって、該方法は、
動脈硬化病変を検出する必要のある患者に、上記項目に記載の有効量の診断用組成物を投与する工程;および
該患者において、該診断用組成物に含まれる標識物質を磁気共鳴画像法により測定し、該標識物質の存在は、該患者に動脈硬化病変があることを示す工程
を包含する、方法。
(24)動脈硬化病変を処置、予防、検出または診断するための医薬の製造における、動脈硬化巣に対する特異的因子含有化合物の使用。
(25)親水性化されたリポソームと、マンノース、マンノース基、抗体、抗体フラグメントおよび抗体改変体からなる群より選択されるマクロファージに対する特異的因子とを含む、マクロファージまたはマクロファージに関連する疾患、障害もしくは状態を、診断、処置または予防するための医薬組成物。
(26)前記診断、処置または予防は、活動性の高いマクロファージが存在する動脈硬化巣のみを標的とすることを含む、上記項目に記載の医薬組成物。
(27)マクロファージまたはマクロファージに関連する疾患、障害もしくは状態を診断するための診断用組成物であって、以下:
A)親水性化されたリポソームと、
B)マンノース、マンノース基、抗体、抗体フラグメントおよび抗体改変体からなる群より選択されるマクロファージに対する特異的因子と、
C)標識物質
とを含む、診断用組成物。
(28)前記診断は、活動性の高いマクロファージが存在する動脈硬化巣のみを診断することを含む、上記項目に記載の診断用組成物。
従って、本発明のこれらおよび他の利点は、以下の詳細な説明を読めば、明白である。
本発明により、従来不可能であったかあるいは不十分であった不安定プラークをイメージングが可能となり、動脈硬化巣の存在診断だけでなく質的診断が可能となった。
にできる新規の検査法が開発できる。
以下、本発明を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当上記分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を適宜説明する。
本明細書において「動脈硬化」とは、動脈が固くなる現象をいう。例えば、アロテーム性動脈硬化症、細動脈硬化症などを含む動脈壁の肥厚や脂質沈着によりその弾力性や柔軟性を失った状態などが挙げられる。
本明細書において「動脈硬化巣」とは、アテローム性動脈硬化が認められる病変部位の特にプラークを形成している部分をいう。
本明細書において「動脈硬化巣に対する特異的因子」とは、動脈硬化巣に特異的に発現する因子をいう。これらとしては、例えば、シアリルルイスX(SLX)、SLX基、マンノース、マンノース基、抗体(例えば、VCAM−1、ICAM−1、E−selectin、P−selectinなどの細胞接着分子に対する抗体、MMPなどの細胞外マトリックス分解酵素に対する抗体等)、抗体フラグメントおよび抗体改変体などが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において「動脈硬化巣に対する特異的因子含有化合物」とは、動脈硬化巣に対して特異的な因子を含有する化合物をいう。
本明細書において「動脈硬化病変」とは、例えば、アテローム性動脈硬化が認められる病変をいう。
本明細書において動脈硬化病変を「診断」するとは、例えば、アテローム性動脈硬化病変を何らかの手段により判定することをいう。
本明細書において動脈硬化病変を「処置」するとは、例えば、アテローム性動脈硬化病変が一旦生じた後に、何らかの手段により、その障害を処置し、治癒、改善、悪化防止などをさせることをいう。
本明細書において動脈硬化病変を「予防」するとは、例えば、アテローム性動脈硬化病変が発生する前に、何らかの手段により、その病変を生じさせないかまたは少なくとも遅延させること、あるいはその状態自体が生じたとしてもそれが原因の障害が生じないような状態にすることをいう。
本明細書において動脈硬化病変を「検出」するとは、例えば、アテローム性動脈硬化病変の存在の有無を把握することをいい、特に、アテローム性動脈硬化病変の存在の有無を体外から画像的に把握することをいう。
本明細書において「不安定プラーク」とは、アテローム性動脈硬化病変の中でも、マクロファージなどの炎症細胞が盛んに浸潤しており、さらに内部は脂質に富み、その表面を覆う被膜が非常に薄く、容易に破綻しうる病変をいう。
本明細書において「不安定プラークの診断」とは、不安定プラークの有無を何らかの手段により判定することをいう。
本明細書において「マクロファージ」とは、単核で活動的な食細胞をいう。
本明細書において「マクロファージに関連する疾患」とは、マクロファージの状態に関連する任意の疾患をいい、例えば、アテローム性動脈硬化病変を含む炎症性疾患に関連する疾患をいう。
本明細書において「マクロファージに関連する障害」とは、マクロファージの状態に関連する任意の障害をいい、例えば、アテローム性動脈硬化病変を含む炎症性疾患に関連する障害をいう。
本明細書において「マクロファージに関連する状態」とは、マクロファージの任意の状態をいい、例えば、アテローム性動脈硬化病変を含む炎症性疾患に関連する状態をいう。
本明細書においてマクロファージに関連する疾患を「診断」するとは、マクロファージに関連する疾患が生じているか否かを、何らかの手段により、判定することをいう。
マクロファージに関連する疾患を「処置」するとは、マクロファージに関連する疾患がいったん生じた後に、何らかの手段により、その障害を処置し、治癒、改善、悪化防止などをさせることをいう。
マクロファージに関連する疾患を「予防」するとは、マクロファージに関連する疾患が発生する前に、何らかの手段により、その疾患を生じさせないかまたは少なくとも遅延させること、あるいはその状態自体が生じたとしてもそれが原因の障害が生じないような状態にすることをいう。
マクロファージに関連する障害を「診断」するとは、マクロファージに関連する障害が生じているか否かを、何らかの手段により、判定することをいう。
マクロファージに関連する障害を「処置」するとは、マクロファージに関連する障害がいったん生じた後に、何らかの手段により、その障害を処置し、治癒、改善、悪化防止などをさせることをいう。
マクロファージに関連する障害を「予防」するとは、マクロファージに関連する障害が発生する前に、何らかの手段により、その障害を生じさせないかまたは少なくとも遅延させること、あるいはその障害自体が生じたとしてもそれが原因の障害が生じないような状態にすることをいう。
マクロファージに関連する状態を「診断」するとは、マクロファージに関連する状態が生じているか否かを、何らかの手段により、判定することをいう。
マクロファージに関連する状態を「処置」するとは、マクロファージに関連する状態がいったん生じた後に、何らかの手段により、その障害を処置し、治癒、改善、悪化防止などをさせることをいう。
マクロファージに関連する状態を「予防」するとは、マクロファージに関連する状態が発生する前に、何らかの手段により、その状態を生じさせないかまたは少なくとも遅延させること、あるいはその状態自体が生じたとしてもそれが原因の障害が生じないような状態にすることをいう。
本明細書において「活動性の高いマクロファージ」とは、炎症性サイトカインにより活性化され、MMPを産生するとともに、酸化LDLを盛んに取り込んでいるマクロファージをいう。このような活性化レベルは、当該分野において公知の手法を用いて、当該分野において活性があるとみなされるレベルにより判定することができる。
本明細書において「スタチン」とは、コレステロール生合成系の律速酵素であるHMG−CoA還元酵素を特異的かつ拮抗的に阻害する物質をいい、HMG−CoA還元酵素阻害剤ともいう。をいう。これらとしては、例えば、プラバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、フルバスタチン、ビタバスタチンが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において「糖鎖」とは、単位糖(単糖および/またはその誘導体)が1つ以上連なってできた化合物をいう。単位糖が2つ以上連なる場合は、各々の単位糖同士の間は、グリコシド結合による脱水縮合によって結合する。このような糖鎖としては、例えば、生体中に含有される多糖類(グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸ならびにそれらの複合体および誘導体)の他、分解された多糖、糖タンパク質、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、糖脂質などの複合生体分子から分解または誘導された糖鎖など広範囲なものが挙げられるがそれらに限定されない。したがって、本明細書では、糖鎖は、「多糖(ポリサッカリド)」、「糖質」、「炭水化物」と互換可能に使用され得る。また、特に言及しない場合、本明細書において「糖鎖」は、糖鎖および糖鎖含有物質の両方を包含することがある。代表的には、約20種類の単糖(グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、シアル酸ならびにそれらの複合体および誘導体など)が鎖状につながった物質で、生体の細胞内外のタンパク質や脂質に付いている。単糖の配列によって機能が異なり、通常は複雑に枝分かれしていて、人体には数百種類以上の多様な構造の糖鎖があると予想されており、さらに、人体において有用な構造は数万種類以上あると考えられている。細胞間での分子・細胞認識機能などタンパク質や脂質が生体内で果たす高次機能に関係していると見られているが、そのメカニズムは未解明の部分が多い。核酸、タンパク質に次ぐ第3の生命鎖として現在のライフサイエンスで注目されている。とりわけ、細胞認識におけるリガンド(情報分子)としての糖鎖の機能が期待され、その高機能材料開発への応用が研究されている。
本明細書において「糖鎖基」とは、糖鎖が別の基と結合したときに付される名称である。糖鎖基は場合に応じて一価または二価のものを指す。例えば、糖鎖基としては、シアリルルイスX基、N−アセチルラクトサミン基、α1−6マンノビオース基が挙げられる。
本明細書において「糖」または「単糖」とは、少なくとも1つの水酸基および少なくとも1つのアルデヒド基またはケトン基を含む、ポリヒドロキシアルデヒドまたはポリヒドロキシケトンをいい、糖鎖の基本単位を構成する。本明細書において、糖はまた、炭水化物ともいい、両者は互換的に用いられる。本明細書において、特に言及するときは、糖鎖は、1つ以上糖が連なった鎖または配列をいい、糖または単糖というときは、糖鎖を構成する1つの単位をいう。ここで、n=2、3、4、5、6、7、8、9および10であるものを、それぞれジオース、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース、ノノースおよびデコースという。一般に鎖式多価アルコールのアルデヒドまたはケトンに相当するもので、前者をアルドース,後者をケトースという。本発明では、いずれの形式のものでも使用され得る。
本発明において糖を記載するために使用する命名法および略称は、通常の命名法に従う。例えば、β−D−ガラクトース
は、Gal;
N−アセチル−α−D−ガラクトサミン
は、GalNAc;
α−D−マンノース
は、Man;
β−D−グルコース
は、Glc;
N−アセチル−β−D−グルコサミン
は、GlcNAc;
α−L−フコース
は、Fuc;
α−N−アセチルノイラミン酸
は、Neu5Ac;
セラミド

は、Cer;
L−セリン
CH(OH)CH(COOH)NH
は、Serにより表す。なお、Cerは通常脂質に分類されるが、本明細書では、糖鎖を構成する糖の一種の定義にも入ることから特に言及しない限り、糖として扱う。また、Serは通常アミノ酸に分類されるが、本明細書では、糖鎖を構成する糖の一種の定義にも入ることから特に言及しない限り、糖として扱う。環状の2つのアノマーは、αおよびβにより表す。表示上の理由により、aまたはbと表すことがある。従って、本明細書において、αとa、βとbは、アノマー表記については交換可能に使用される。
本明細書において、ガラクトースとは、任意の異性体を指すが、代表的にはβ−D−ガラクトースであり、特に言及しないときには、β−D−ガラクトースを指すものとして使用される。
本明細書において、アセチルガラクトサミンとは、任意の異性体を指すが、代表的にはN−アセチル−α−D−ガラクトサミンであり、特に言及しないときには、N−アセチル−α−D−ガラクトサミンを指すものとして使用される。
本明細書において、マンノースとは、任意の異性体を指すが、代表的にはα−D−マンノースであり、特に言及しないときには、α−D−マンノースを指すものとして使用される。
本明細書において、グルコースとは、任意の異性体を指すが、代表的にはβ−D−グルコースであり、特に言及しないときには、β−D−グルコースを指すものとして使用される。
本明細書において、アセチルグルコサミンとは、任意の異性体を指すが、代表的にはN−アセチル−β−D−グルコサミンであり、特に言及しないときには、N−アセチル−β−D−グルコサミンを指すものとして使用される。
本明細書において、フコースとは、任意の異性体を指すが、代表的にはα−L−フコースであり、特に言及しないときには、α−L−フコースを指すものとして使用される。
本明細書において、アセチルノイラミン酸とは、任意の異性体を指すが、代表的にはα−N−アセチルノイラミン酸であり、特に言及しないときにはα−N−アセチルノイラミン酸を指すものとして使用される。
本明細書において、セリンとは、任意の異性体を指すが、代表的にはL−セリンであり、特に言及しないときにはL−セリンを指すものとして使用される。
本明細書において、糖の表示記号、呼称、略称(Glcなど)などは、単糖を表すときと、糖鎖中で使用されるときとは、異なることに留意する。糖鎖中、単位糖は、結合先の別の単位糖との間に脱水縮合があるので、相方から水素または水酸基を除いた形で存在することになる。従って、これらの糖の略号は、単糖を表すときに使用されるときは、すべての水酸基が存在するが、糖鎖中で使用されるときは、水酸基が結合先の糖の水酸基とが脱水縮合されて酸素のみが残存した状態を示していることが理解される。
糖が、アルブミンと共有結合されるときには、糖の還元末端がアミノ化され、そのアミン基を介してアルブミンなどの他の成分に結合することができるが、その場合は還元末端の水酸基がアミン基に置換されたものを指すことに留意する。
単糖は一般に、グリコシド結合により結合されて二糖および多糖を形成する。環の平面に関する結合の向きは、αおよびβにより示す。2つの炭素の間の結合を形成する特定の炭素原子も記載する。
本明細書において糖鎖は、
により表される。従って、例えば、ガラクトースのC−1とグルコースのC−4との間のβグリコシド結合は、Galβ1,4Glcにより表される。従って、例えば、シアリルルイスX(SLX)は、Neu5Acα2,3Galβ1,4(Fucα1,3)GlcNAcと表される。N-アセチルラクトサミン(G4GN)は、Galβ1,4GlcNAcと表される。α1-6マンノビオース(A6)は、Manα1,6Manと表される。
糖鎖の分岐は、括弧により表し、結合する単位糖のすぐ左に配置して表記する。例えば、
と表され、括弧の中は、
と表記される。従って、例えば、ガラクトースのC−1とグルコースのC−4との間がβグリコシド結合し、さらにこのグルコースのC−3がフコースのC−1とαグリコシド結合している場合、Galβ1,4(Fucα1,3)Glcと表される。単糖は、(潜在)カルボニル原子団になるだけ小さい番号を付けることを基本にして表される。有機化学命名法の一般基準では(潜在)カルボニル原子団より優位な原子団が分子中に導入されたときでも、通常上記の番号付けで表される。

本明細書において使用される糖鎖としては、例えば、シアリルルイスX、N−アセチルラクトサミン、α1−6マンノビオースならびにそれらの2つ以上の組み合わせからなる群より選択される糖鎖が挙げられるが、これらに限定されない。2つ以上の組み合わせが使用可能な理由としては、理論に束縛されないが、上記糖鎖の各々が目的の送達部位の組織または細胞に局在するレクチンに対して特異性を有しており、混在してもその特異性を発揮すると考えられるからである。
本明細書において、用語「抗体」とは、免疫原である抗原によって惹起された特異的なアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分子をいう。抗体は、B細胞により生産され、血液、体液中に存在する。抗体は、抗原と特異的に反応するという特徴を有する。抗体は、抗原の呈示による刺激の結果としてではなく自然に存在する場合もあり得る。基本的には、抗体の分子構造は各2本の軽鎖と重鎖とから形成されるが、二量体、三量体、五量体としても存在し得る。これらとしては、例えば、IgA、IgE、IgM、IgG等が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物において使用される抗体は、臓器、疾患、免疫細胞等に特異的に発現する抗原に対する抗体が挙げられ得る。好ましくは、例えば、炎症血管内皮に発現するVCAM−1、ICAM−1、E−selectin、P−selectinなどの細胞接着分子に対する抗体、MMPなどの細胞外マトリックス分解酵素に対する抗体であり得るが、これらに限定されない。1つの実施形態において、本発明の医薬組成物において使用され得る抗体は、例えば、抗EGFR抗体、IgGであり得る。
本明細書において、「抗体改変体」とは、もとの抗体に対して、一部が変更されているものをいう。本明細書において「抗体」は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、キメラ抗体、および抗イディオタイプ抗体などを包含し、抗体「改変体」としては、たとえば、抗体の断片、例えばF(ab’)2およびFab断片、ならびにその他の組換えにより生産された結合体を含む。さらにこのような抗体を、酵素、例えばアルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、αガラクトシダーゼなど、に共有結合させまたは組換えにより融合させてよい。本明細書において「抗体フラグメント」または「抗体断片」とは、全長の抗体(長さがn)に対して、1〜n−1までのアミノ酸配列長さを有するポリペプチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、その長さの下限としては、抗体として機能する限り、短くてよく、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、15,20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、ポリペプチドの長さは、上述のようにそれぞれアミノ酸の個数で表すことができるが、上述の個数は絶対的なものではなく、同じ機能を有する限り、上限または下限としての上述の個数は、その個数の上下数個(または例えば上下10%)のものも含むことが意図される。そのような意図を表現するために、本明細書では、個数の前に「約」を付けて表現することがある。
本明細書では、個数の前に「約」を付けて表現することがある。しかし、本明細書では、「約」のあるなしはその数値の解釈に影響を与えないことが理解されるべきである。本明細書において有用なフラグメントの長さは、そのフラグメントの基準となる全長抗体の機能のうち少なくとも1つの機能が保持されているかどうかによって決定され得る。
(リポソーム)
本明細書において「リポソーム」とは、通常、膜状に集合した脂質層および内部の水層から構成される閉鎖小胞を意味する。代表的に使用されるリン脂質のほか、コレステロール、糖脂質などを組み込ませることも可能である。リポソームは内部に水を含んだ閉鎖小胞であるため、水溶性の薬剤などを小胞内に保持させることも可能である。したがって、このようなリポソームによって、細胞膜を通過しえない薬物や遺伝子などを細胞内に送達するのに使われる。また、生体適合性も良いのでDDS用のナノ粒子性キャリアー材料としての期待が大きい。本発明において、リポソームは、修飾基を付するために、エステル結合を付与する官能基を有する構成単位(例えば、糖脂質、ガングリオシド、ホスファチジルグリセロールなど)またはペプチド結合を付与する官能基を有する構成単位(例えば、ホスファチジルエタノールアミン)を有し得る。
リポソームの調製は、当該分野において公知の任意の手法により製造することができる。例えば、その中でもコール酸透析法による方法が挙げられる。コール酸透析法では、a)脂質と界面活性剤の混合ミセルの調製、およびb)混合ミセルの透析により製造を実施する。本発明の組成物において使用されるリポソームは、糖鎖、糖鎖基、抗体、抗体フラグメント、抗体改変体を含み得る。糖鎖、抗体等をリポソームに結合させたリポソームも本発明の医薬組成物において使用することができる。この場合、リンカーとしてタンパク質を使用することが好ましい。例えば、タンパク質に糖鎖が結合した糖タンパク質のリポソームへのカップリングは、以下の2段階反応によって行うことができる。a)リポソーム膜上のガングリオシド部分の過ヨウ素酸酸化、およびb)還元的アミノ化反応による酸化リポソームへの糖タンパク質のカップリングである。このような手法によって望ましい糖鎖を含む糖タンパク質をリポソームに結合することができ、所望の糖鎖を有する多種多様な糖タンパク質・リポソームコンジュゲートを得ることができる。リポソームの純度や安定性を見るために粒子径サイズ分布を調べることが非常に重要である。その方法として、ゲル濾過クロマト法(GPC)および走査型電顕(SEM)や動的光散乱法(DLS)などを使うことができる。ジパルミトイルホスファチジルコリン、コレステロール、ガングリオシド、ジセチルホスフェート、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンおよびコール酸ナトリウムを、35:40:15:5:5:167のタイプのリポソームを製造することができる。なお、このリポソームは4℃で数ヶ月保存しても安定である。リポソームのin vivoでの安定性は、マウスを使って調べることができる。リポソームをマウスに静注し、3時間後に採血して血清を調製し、孔径0.03μmの膜を用いて限外濾過を行いリポソームを精製し回収する。そのSEM観察の結果、このリポソームの形態はin vivoでの3時間処理・回収前後においても変化がないことを確認することができる。
本明細書において使用される場合、用語「脂質」とは、長鎖の脂肪族炭化水素またはその誘導体をいう。「脂質」は、例えば、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、アルデヒドなどからなる化合物の総称である。本発明において使用されるリポソームを構成する脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン類、ホスファチジルエタノールアミン類、ホスファチジン酸類、長鎖アルキルリン酸塩類、糖脂質類(ガングリオシド類など)、ホスファチジルグリセロール類、スフィンゴミエリン類、コレステロール類等が挙げられる。
ホスファチジルコリン類としては、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン等が挙げられる。
ホスファチジルエタノールアミン類としては、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン等が挙げられる。
ホスファチジン酸類としては、ジミリストイルホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジン酸、ジステアロイルホスファチジン酸が挙げられる。長鎖アルキルリン酸塩類としてはジセチルホスフェート等が挙げられる。
糖脂質類としては、ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミド、ラクトシルセラミド、ホスフナチド、グロボシド、ガングリオシド類等が挙げられる。ガングリオシド類としては、ガングリオシドGM1(Galβ1,3GalNAcβ1,4(NeuAα2,3)Galβ1,4Glcβ1,1’Cer)、ガングリオシドGDla、ガングリオシドGTlb等が挙げられる。
ホスファチジルグリセロール類としては、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロ−ル、ジステアロイルホスファチジルグリセロール等が好ましい。
このうち、ホスファチジン酸類、長鎖アルキルリン酸塩類、糖脂質類、およびコレステロール類はリポソームの安定性を上昇させる効果を有するので、構成脂質として添加するのが望ましい。例えば、本発明において使用されるリポソームを構成する脂質として、ホスファチジルコリン類(モル比0〜70%)、ホスファチジルエタノールアミン類(モル比0〜30%)、ホスファチジン酸類、および長鎖アルキルリン酸塩からなる群から選択される1種以上の脂質(モル比0〜30%)、糖脂質類、ホスファチジルグリセロール類およびスフィンゴミエリン類からなる群から選択される1種以上の脂質(モル比0〜40%)、ならびにコレステロール類(モル比0〜70%)を含むものが挙げられる。ガングリオシド、糖脂質またはホスファチジルグリセロールを含むことが好ましい。アルブミンのようなリンカーの結合が容易になるからである。
好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物において使用されるリポソームは、ガングリオシド、糖脂質またはホスファチジルグリセロールを含ませてそれにペプチドなどのリンカーを結合させ、糖鎖、抗体等を結合させることが可能である。
リポソームを作製するときにガングリオシド、糖脂質またはホスファチジルグリセロールを合わせることによって、この糖脂質中に含まれる糖鎖を構成成分として含むリポソームを作製することができる。
別の好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物において使用されるリポソームは、ホスファチジルエタノールアミンを含むことが好ましい。ホスファチジルエタノールアミンを含むことによって、親水性付与基(トリス(ヒドロキシアルキル)アミノアルカンなど)との結合が容易になるからである。
本明細書において「糖鎖修飾リポソーム」または「糖鎖で修飾したリポソーム」とは、糖鎖とリポソームとを含む物質をいい、好ましくは、糖鎖が直接または間接的に結合することによって修飾されたリポソームをいう。
本明細書において「抗体修飾リポソーム」または「抗体で修飾したリポソーム」とは、抗体、抗体フラグメントまたは抗体改変体(本明細書において「抗体等」ということがある。)と、リポソームとを含む物質をいい、好ましくは、抗体等が直接または間接的に結合することによって修飾されたリポソームをいう。
糖鎖または抗体等がリポソームに結合した形態を具体的に表すと、
構造I X−R−R−R
X:前記リポソームに含まれる前記リンカータンパク質とCH−NH結合可能な官能基aを含む構成単位から、該官能基aがとれた基
:リンカータンパク質基
:リンカータンパク質架橋基
:糖鎖または抗体等
であり、XとRとはCH−NH結合し、RとRとはペプチド結合し、RとRとはペプチド結合している。
従って、より詳細には、構造Iは、
X−CH−NH−R−NH−C(=O)−R−C(=O)−NH−R
という構造式で表すことができる。
本発明において使用されるリポソームは、以下の構造により親水性化されている:
構造II Y−R−R
Y:前記リポソームに含まれる親水性化合物架橋基とペプチド結合可能な官能基bを含む構成単位から該官能基bがとれた基
:親水性化合物架橋基
:親水性化合物基
YとRはペプチド結合し、RとRはペプチド結合している。
従って、より詳細には、構造IIは、
Y−NH−C(=O)−R−C(=O)−NH−R
という構造式で表すことができる。
本発明の医薬組成物では、上述の構造Iおよび構造IIを有し、さらに、蛍光性であるリポソームを使用することができる。
本発明において、蛍光性は、リポソームの構成要素の少なくとも1つが蛍光性を有すること、またはリポソームが新たに蛍光性を有する要素(例えば、蛍光色素)をさらに有することによって付与される。
蛍光性を有する要素としては、例えば、蛍光色素、蛍光タンパク質(例えば、GFP、CFP、YFPなど)、発光酵素(例えば、ルシフェラーゼなど)が挙げられるが、これらに限定されない。蛍光色素としては、例えば、cy5.5(例えば、
、1,1’−ビス(ε−カルボキシペンチル)−3,3,3’,3‘−テトラメチル−3H−ベンズインドジカルボシアニン−5,5’,7,7’−テトラスルホネート三カリウム塩−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルなど)、
cy3(例えば、
、1−(ε−カルボキシペンチル)−1’−エチル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカルボシアニン−5,5’−ジスルホネートカリウム塩−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(cy3)など)、cy5、cy7、cy3B、cy3.5、Alexa
Fluor350、Alexa Fluor488、Alexa Fluor532、Alexa Fluor546、Alexa Fluor555、Alexa Fluor568、Alexa Fluor594、Alexa Fluor633、Alexa
Fluor647、Alexa Fluor680、Alexa Fluor700、Alexa Fluor750、フルオレセイン−4−イソチオシアネート(FITC)およびユウロピウム含有標識ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される蛍光色素によって付与され得る。なぜなら、標識物質は、組成物を検出可能な状態にし得るものでありさえすればよいからである。
本発明において使用されるリポソームは、新たに常磁性を有する要素をさらに有することによって標識が付与される。例えば、常磁性は、常磁性の金属(例えば、ガドリニウム、鉄など)、造影剤(例えば、酸化鉄粒子、ガドリニウムキレート剤、硫酸バリウム、水溶性ヨード、イオヘキソール、イオパミドール、ウログラフィンなど)、超音波造影剤(例えば、レボビスト、ソナゾイドなど)などによって付与され得るが、これらに限定されない。なぜなら、標識物質は、磁気共鳴画像法において組成物を検出可能な状態にし得るものでありさえすればよいからである。
本明細書において使用する場合、リポソームと「適合性(である)」とは、ある物質をリポソームに含めた場合、またはリポソームに結合させた場合に、リポソームの安定性を損なわない、その物質の性質をいう。リポソームとの適合性は、例えば、ゼータ電位、電気移動度、粒子径、脂質量、タンパク質量などを測定することによって判断され得る。例えば、ゼータ電位により、リポソーム粒子の凝集性を判断することができる。粒子径、粒度分布により、平均粒子径、最大域、最大域におけるリポソームの数などを分析し、その分析結果によりリポソームの均一性を確認することができる。タンパク質量:脂質量:脂質あたりのタンパク質量の割合を測定することにより、リポソームが適切な組成を有しているかどうかを確認することができる。
本明細書において使用される糖鎖修飾リポソーム、抗体修飾リポソームは、目的の送達部位への送達のために適切な密度で含まれ得る。
本明細書において使用する場合、「修飾結合密度」とは、糖鎖修飾リポソームを作製する際に使用される糖鎖の量であり、リポソームの脂質1mgあたりに結合した糖鎖の密度(mg糖鎖/mg脂質)として表される。この糖鎖修飾リポソームの結合密度は、理論に束縛されることを望まないが、経験的に、調製するときに使用した糖鎖の量は、リポソームに結合した糖鎖の密度にほぼ比例していることが分かっている。従って、本明細書では、特に言及しない限り、調製時に使用した量によって結合密度が確定される。インビトロにおいて、例えば、E−セレクチンを用いて間接的に決定することができる。本発明において使用される糖鎖修飾リポソームは、リポソームに結合される糖鎖の種類と結合密度を選択することにより、目的の送達部位に対する指向性を制御することができる。以下、表1にリポソーム番号、糖鎖の構造、および修飾結合密度を示す。
上記の表に記載されるような、本発明において好ましい糖鎖修飾リポソームは、以下の方法によって製造され得る。具体的には、この方法は、(a)脂質を、メタノール/クロロホルム溶液に懸濁して攪拌し、該攪拌した溶液を蒸発させ、沈殿物を真空乾燥させることにより脂質膜を得る工程;(b)該脂質膜を、懸濁緩衝液に懸濁し、超音波処理する工程;(c)該超音波処理した溶液と蛍光標識溶液とを混合して、蛍光標識されたリポソームを提供する工程;(d)該リポソームをトリス(ヒドロキシアルキル)アミノアルカンにより親水性化処理する工程;(e)該親水性化処理されたリポソームにリンカータンパク質を結合させて、リンカータンパク質結合リポソームを生成する工程;および(f)該リポソームに、上記表に記載される糖鎖を結合させて糖鎖修飾リポソームを生成する工程を包含する。
好ましくは、この方法において、工程(c)の蛍光標識溶液は、1,1’−ビス(ε−カルボキシペンチル)−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカルボシアニン−5,5’−ジスルホネートカリウム塩,ジ−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(cy5.5)を含み、工程(e)のリンカータンパク質は、ヒト血清アルブミンであり、工程(f)において、糖鎖とリポソームを、目的の送達部位への送達に適切な条件で結合させて糖鎖修飾リポソームを生成する。
リポソームとリンカー、リンカーと糖鎖とは、二官能性架橋基(例えば、3,3’−ジチオビス(スルホスクシニミジルプロピオネート)(DTSSP))などを利用して結合されることが好ましい。
本発明において使用される抗体修飾リポソームは、糖鎖修飾リポソームと同様の方法により作製することができる。すなわち
このような抗体修飾リポソームは、以下の方法によって製造され得る。具体的には、この方法は、A)リポソームを提供する工程;B)該リポソームと血清アルブミンとを、該リポソームと該血清アルブミンとが結合する条件下で接触させて、血清アルブミン結合リポソームを生成させる工程;およびC)該血清アルブミン結合リポソームと抗体とを、スペーサーの存在下で該血清アルブミンと該抗体とが該スペーサーを介して結合する条件下で接触させて、抗体修飾リポソームを生成させる工程を包含する。
本発明において使用されるリポソームは、薬剤または遺伝子を封入または結合し得る。薬剤としては、例えば、アルキル化系抗癌剤、代謝拮抗剤、植物由来抗癌剤、抗癌性抗生物質、生物学的応答調節剤(biological response modifiers:BRM)・サイトカイン類、白金錯体系抗癌剤、免疫療法剤、ホルモン系抗癌剤、モノクローナル抗体等の腫瘍用薬剤、中枢神経用薬剤、末梢神経系・感覚器官用薬剤、呼吸器疾患治療薬剤、循環器用薬剤、消化器官用薬剤、ホルモン系用薬剤、泌尿器・生殖器用薬剤、ビタミン・滋養強壮剤、代謝性医薬品、抗生物質・化学療法薬剤、検査用薬剤、抗炎症剤、眼疾患薬剤、中枢神経系薬剤、自己免疫系薬剤、循環器系薬剤、糖尿病、高脂血症のような生活習慣病薬剤、副腎皮質ホルモン、免疫抑制剤、抗菌薬、抗ウイルス薬、血管新生抑制剤、サイトカイン、ケモカイン、抗サイトカイン抗体、抗ケモカイン抗体、抗サイトカイン・ケモカイン受容体抗体、siRNA、miRNA、smRNA、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(Oligodeoxynucleotide:ODN)またはDNAのような遺伝子治療関連の核酸製剤、神経保護因子、抗体医薬、分子標的薬、骨粗鬆症・骨代謝改善薬、神経ペプチド、生理活性ペプチド・タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される場合、「リンカー」とは、糖鎖、抗体等とリポソーム表面との結合を介在する分子である。本発明において使用される糖鎖修飾リポソームまたは抗体修飾リポソームにおいて、糖鎖または抗体はリンカーを介してリポソーム表面に結合してもよい。リンカーは、当業者が適宜選択することができるが、生体適合性であるものが好ましく、より好ましくは、薬学的に受容可能である。本明細書において「リンカータンパク質」とは、リンカー分子のうち、タンパク質、ペプチド、アミノ酸のポリマーをいう。本明細書において使用されるリンカータンパク質としては、例えば、生体由来タンパク質、好ましくは、ヒト由来タンパク質、より好ましくは、ヒト由来血清タンパク質、さらにより好ましくは、血清アルブミンであり得る。特に、ヒト血清アルブミンを使用する場合は、各組織に対する取り込みが多いことがマウスについての実験により確かめられている。
本明細書において「リンカー(タンパク質)基」とは、リンカー(タンパク質)が別の基と結合したときに付される名称である。リンカー(タンパク質)基は場合に応じて一価または二価のものを指す。例えば、哺乳動物由来タンパク質基、ヒト由来タンパク質基、ヒト血清タンパク質基、血清アルブミン基が挙げられる。リンカー(タンパク質)基は「ヒト」由来が好ましい。ヒト投与において適合性が高いと考えられるからである。また、免疫原性がないタンパク質が好ましい。
本明細書において「架橋基」とは、橋をかけるように,鎖式高分子の分子間で化学結合を形成させる基をいう。代表的には、脂質、タンパク質、ペプチド、糖鎖などの高分子と他の分子(例えば、脂質、タンパク質、ペプチド、糖鎖)との間に作用し、分子内または分子間で、共有結合のなかったところを結ぶ共有結合を形成させる基をいう。本明細書において架橋基は、架橋を目的とする標的によって変動し、例えば、アルデヒド類(例えば、グルタルアルデヒド)、カルボジイミド類、イミドエステル類など挙げることができるがそれらに限定されない。アミノ基含有物質を架橋する場合、アルデヒド含有基、例えば、グルタルアルデヒドを用いることができる。
本明細書において、「リンカータンパク質架橋基」とは、リポソームと糖鎖との間にペプチド結合を形成させる基をいう。リンカータンパク質架橋基は、架橋を目的とする標的によって変動し、例えば、ビススルホスクシンイミジルスベラート、ジスクシンイミジルグルタレート、ジチオビススクシンイミジルプロピオネート、ジスクシンイミジルスベラート、3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)、エチレングリコールビススクシンイミジルスクシネート、エチレングリコールビススルホスクシンイミジルスクシネート等の2価試薬などを使用することができる。本明細書において使用され得るリンカータンパク質架橋基としては、例えば、3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)基、ビススルホスクシンイミジルスベレート基、ジスクシンイミジルグルタレート基、ジチオビススクシンイミジルプロピオネート基、ジスクシンイミジルスベレート基、エチレングリコールビススクシンイミジルスクシネート基およびエチレングリコールビススルホスクシンイミジルスクシネート基などが挙げられ得る。
本明細書において使用される用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。アミノ酸は、天然のものであっても非天然のものであってもよく、改変されたアミノ酸であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化または任意の他の操作もしくは改変(例えば、標識成分との結合体化)。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の1または2以上のアナログを含むポリペプチド(例えば、非天然のアミノ酸などを含む)、ペプチド様化合物(例えば、ペプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。
本明細書では、特に言及するときは、「タンパク質」は、比較的大きな分子量を有するアミノ酸のポリマーまたはその改変体を指し、「ペプチド」というときは、比較的小さな分子量を有するアミノ酸のポリマーまたはその改変体を指すことがあることが理解されるべきである。そのような分子量としては、例えば、約30kDa、好ましくは約20kDa、より好ましくは約10kDaなどを挙げることができるがそれらに限定されない。
本明細書中で使用される場合、「生体由来タンパク質」とは、生物に由来するタンパク質をいい、どの生物(例えば、任意の種類の多細胞生物(例えば、動物(例えば、脊椎動物、無脊椎動物)、植物(例えば、単子葉植物、双子葉植物など)など))由来のタンパク質でもよい。好ましくは、脊椎動物(例えば、メクラウナギ類、ヤツメウナギ類、軟骨魚類、硬骨魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳動物など)由来のタンパク質、より好ましくは、哺乳動物(例えば、単孔類、有袋類、貧歯類、皮翼類、翼手類、食肉類、食虫類、長鼻類、奇蹄類、偶蹄類、管歯類、有鱗類、海牛類、クジラ目、霊長類、齧歯類、ウサギ目など)由来のタンパク質が用いられる。さらに好ましくは、霊長類(例えば、チンパンジー、ニホンザル、ヒト)由来のタンパク質が用いられる。最も好ましくは投与を目的とする生体由来のタンパク質が用いられる。本明細書において、生体由来タンパク質が別の物質と結合した状態を示す場合、生体由来タンパク質基と称される。
本明細書で使用される場合「ヒト由来血清タンパク質」は、ヒトの血液が自然に凝固したときに残る液体部分に含まれるタンパク質をいう。本明細書において、ヒト由来タンパク質が別の物質と結合した状態を示す場合、ヒト由来タンパク質基と称される。
本明細書で使用される場合、「血清アルブミン」は、血清中に含まれるアルブミンをいう。本明細書において、血清アルブミンが別の物質と結合した状態を示す場合、血清アルブミン基と称される。
本発明において、糖鎖修飾リポソームおよび抗体修飾リポソームは、リポソーム膜またはリンカーの少なくとも一方が親水性化合物、好ましくは、トリス(ヒドロキシアルキル)アミノアルカンを結合させることにより親水性化されていてもよい。
本明細書中で使用される場合、「親水性化」は、リポソーム表面に親水性化合物を結合させることをいう。親水性化に用いる化合物としては、低分子の親水性化合物、好ましくは少なくとも1つのOH基を有する低分子の親水性化合物、さらに好ましくは、少なくとも2つのOH基を有する低分子の親水性化合物が挙げられる。また、さらに少なくとも1つのアミノ基を有する低分子の親水性化合物、すなわち分子中に少なくとも1つのOH基と少なくとも1つのアミノ基を有する親水性化合物が挙げられる。親水性化合物は、低分子なので、糖鎖または抗体等に対する立体障害となりにくく標的細胞膜面上のレクチンによる糖鎖分子認識反応の進行を妨げることはない。また、親水性化合物には、本発明において使用される糖鎖修飾リポソームにおいて、レクチン等の特定の標的を指向するために用いられるレクチンが結合し得る糖鎖は含まれない。このような親水性化合物として、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどを含むトリス(ヒドロキシアルキル)アミノアルカン等のアミノアルコール類等が挙げられ、さらに具体的には、トリス(ヒドロキシメチノレ)アミノエタン、トリス(ヒドロキシエチル)アミノエタン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミノエタン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシエチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノプロパン、トリス(ヒドロキシエチル)アミノプロパン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミノプロパン等が挙げられる。
本明細書において「アルキル」とは、メタン、エタン、プロパンのような脂肪族炭化水素(本明細書において「アルカン」という)から水素原子が一つ失われて生ずる1価の基をいい、一般にC2n+1−で表される(ここで、nは正の整数である)。アルキルは、直鎖または分枝鎖であり得る。本明細書において「置換されたアルキル」とは、以下に規定する置換基によってアルキルのHが置換されたアルキルをいう。これらの具体例は、C1〜C2アルキル、C1〜C3アルキル、C1〜C4アルキル、C1〜C5アルキル、C1〜C6アルキル、C1〜C7アルキル、C1〜C8アルキル、C1〜C9アルキル、C1〜C10アルキル、C1〜C11アルキルまたはC1〜C12アルキル、C1〜C2置換されたアルキル、C1〜C3置換されたアルキル、C1〜C4置換されたアルキル、C1〜C5置換されたアルキル、C1〜C6置換されたアルキル、C1〜C7置換されたアルキル、C1〜C8置換されたアルキル、C1〜C9置換されたアルキル、C1〜C10置換されたアルキル、C1〜C11置換されたアルキルまたはC1〜C12置換されたアルキルであり得る。アルカンについては、これらの具体例は、C1〜C2アルカン、C1〜C3アルカン、C1〜C4アルカン、C1〜C5アルカン、C1〜C6アルカン、C1〜C7アルカン、C1〜C8アルカン、C1〜C9アルカン、C1〜C10アルカン、C1〜C11アルカンまたはC1〜C12アルカン、C1〜C2置換されたアルカン、C1〜C3置換されたアルカン、C1〜C4置換されたアルカン、C1〜C5置換されたアルカン、C1〜C6置換されたアルカン、C1〜C7置換されたアルカン、C1〜C8置換されたアルカン、C1〜C9置換されたアルカン、C1〜C10置換されたアルカン、C1〜C11置換されたアルカンまたはC1〜C12置換されたアルカンであり得る。ここで、例えばC1〜C10アルキルとは、炭素原子を1〜10個有する直鎖または分枝状のアルキルを意味し、メチル(CH−)、エチル(C−)、n−プロピル(CHCHCH−)、イソプロピル((CHCH−)、n−ブチル(CHCHCHCH−)、n−ペンチル(CHCHCHCHCH−)、n−ヘキシル(CHCHCHCHCHCH−)、n−ヘプチル(CHCHCHCHCHCHCH−)、n−オクチル(CHCHCHCHCHCHCHCH−)、n−ノニル(CHCHCHCHCHCHCHCHCH−)、n−デシル(CHCHCHCHCHCHCHCHCHCH−)、−C(CHCHCHCH(CH、−CHCH(CHなどが例示される。また、例えば、C1〜C10置換されたアルキルとは、C1〜C10アルキルであって、そのうち1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。Rとしては、C1〜C6アルキルが好ましく、特にC1〜C6アルキルが好ましい。
本発明の物質または上で定義した官能基が置換基Rによって置換されている場合、そのような置換基Rは、単数または複数存在し、それぞれ独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アルコキシ、炭素環基、ヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、チオ−ル、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、アシル、チオカルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカルボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホニルおよび置換されたスルフィニルからなる群より選択される。
さらに、OH基を有する低分子化合物にアミノ基を導入した化合物も本発明の親水性化合物として用いることができる。該化合物は限定されないが、例えば、セロビオース等のレクチンが結合しない糖鎖にアミノ基を導入した化合物が挙げられる。例えば、リポソーム膜の脂質ホスファチジルエタノールアミン上に架橋用の2価試薬とトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとを用いてリポソーム表面を親水性化する。親水性化合物の一般式は、下記式(1)、式(2)、式(3)等で示される。
Z−R(ROH) 式(1)
N−R−(ROH) 式(2)
N−R(OH) 式(3)
ここで、R、RおよびRは、CからC40、好ましくはCからC20、さらに好ましくはCからC10の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を示し、R、Rは存在しないかもしくはCからC40、好ましくはCからC20、さらに好ましくはCからC10の直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を示す。Zはリポソーム脂質と直接または架橋用の二価試薬と結合する反応性官能基を示し、例えば、COOH、NH、NH、CHO、SH、NHS−エステル、マレイミド、イミドエステル、活性ハロゲン、EDC、ピリジルジスルフィド、アジドフェニル、ヒドラジド等が挙げられる。nは自然数を示す。このような親水性化合物で親水性化を行ったリポソームの表面は、薄く親水性化合物で覆われている。但し、その親水性化合物の覆いの厚みは小さいので、リポソームに糖鎖を結合させた場合であっても、糖鎖等の反応性を抑制することはない。
本明細書において「親水性化合物基」とは、上記のような親水性化合物が他の基と結合したときの呼称である。親水性化合物基は場合に応じて一価または二価であり得る。
本明細書において、「親水性化合物架橋基」とは、一端がリンカータンパク質とペプチド結合し、他の一端が糖鎖とペプチド結合する基であり、親水性化合物基とリポソームまたはリンカータンパク質との間にペプチド結合を形成させる基をいう。親水性化合物架橋基としては、例えば、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート基、ジスクシンイミジルグルタレート基、ジチオビススクシンイミジルプロピオネート基、ジスクシンイミジルスベレート基、3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)基、エチレングリコールビススクシンイミジルスクシネート基およびエチレングリコールビススルホスクシンイミジルスクシネート基などを挙げることができる。好ましくは、親水性化合物架橋基は、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート基である。
リポソームの親水性化は、従来公知の方法、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体等を共有結合により結合させたリン脂質を用いてリポソームを作成する方法(特開2000−302685号(例えば、CNDAC含有リポソーム製剤ジラウロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン;ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール;スフィンゴミエリン;コレステロール;ポリエチレングリコール部分の分子量が約2000であるN−モノメトキシポリエチレングリコールサクシニル−ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(以下、PEG2000−DSPEとする。);CNDAC塩酸塩、グルコース水溶液およびトレハロース水溶液を使用し、Banghamら(J.Mol.Biol.8、660−668(1964)参照。)の方法により、多重層リポソームの粗分散液を得た。」と記載されている。))等の方法を採用することによっても行うことができる。このうち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いてリポソーム表面を親水性化することが特に好ましい。本発明のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いる手法は、ポリエチレングリコールなどを用いる従来の親水性化方法と比較していくつかの点で好ましい。例えば、本発明のように糖鎖または抗体等をリポソーム上に結合してその分子認識機能を標的指向性に利用するものでは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは低分子量物質であるので従来のポリエチレングリコールなどの高分子量物質を用いる方法に比べて、糖鎖に対する立体障害となりにくく標的細胞膜面上のレクチン(糖鎖認識タンパク質)による糖鎖分子認識反応の進行を妨げないので特に好ましい。
また、本発明において使用されるリポソームは、該親水化処理後においても粒子径分布や成分組成、分散特性が良好であり、長時間の保存性や生体内安定性も優れているのでリポソーム製剤化して利用するために好ましい。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いてリポソーム表面を親水性化するには、例えばジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン等の脂質を用いて、常法により得たリポソーム溶液にビススルホスクシンイミジルスベラート、ジスクシンイミジルグルタレート、ジチオビススクシンイミジルプロピオネート、ジスクシンイミジルスベラート、3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)、エチレングリコールビススクシンイミジルスクシネート、エチレングリコールビススルホスクシンイミジルスクシネート等の2価試薬を加えて反応させることにより、リポソーム膜上のジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン等の脂質に2価試薬を結合させ、次いでトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを、該2価試薬の−方の結合手と反応させることにより、リポソーム表面にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを結合せしめる。
このように、親水性化処理したリポソームは、生体内で極めて安定であり、後述のように標的指向性を有する糖鎖または抗体等を結合しなくても、生体内での半減期が長いためドラッグデリバリーシステムにおけるドラッグ担体として好適に用いることができる。本発明において使用されるリポソームは、表面を低分子化合物で親水性化したリポソームをも包含する。
本明細書において「送達媒体」は、所望の物質の送達を媒介する担体(ビヒクル)をいう。送達される物質が薬物であれば、「薬物送達媒体」という。薬物送達システム(Drug Delivery System、DDS)とは、ドラッグデリバリーシステムとも呼ばれ、吸収制御型DDS、放出制御型DDS、標的指向型DDSに分類することもある。理想的なDDSは、薬物を「体内の必要な部位に」、「必要な量を」、「必要な時間だけ」送り込むシステムである。ターゲティングDDS(Targeting DDSと書き、和訳は標的指向性DDSである。)は、パッシブ・ターゲティング(受動的・標的指向性)DDSとアクティブ・ターゲティング(能動的・標的指向性)DDSとに分類される。前者はキャリアー(薬物運搬体)の粒子径や親水性など物理化学的性質を利用して体内挙動を制御する方法である。後者はこれらに特殊な仕組みを付け加えて積極的に標的組織への指向性を制御しようとする方法であり、例えば標的組織を構成する特定細胞の標的分子への特異的分子認識機能を有する抗体や糖鎖などを結合したキャリアーを利用する方法があり“ミサイルドラッグ”と呼ばれることもある。
本明細書において「薬物送達媒体」は、所望の薬物を送達するためのビヒクルをいう。
別の局面において、本発明の医薬組成物は、分子イメージング剤としても使用され得る。この分子イメージング剤は、薬学的に受容可能なキャリアなどをさらに含み得る。薬学的に受容可能なキャリアとしては、例えば、抗酸化剤、保存剤、着色料、風味料、および希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝剤、送達ビヒクル、希釈剤、賦形剤および/または薬学的アジュバントが挙げられるがそれらに限定されない。代表的には、この分子イメージング剤は、本発明の医薬組成物、1つ以上の生理的に受容可能なキャリア、賦形剤または希釈剤とともに含む組成物の形態で投与される。例えば、適切なビヒクルは、注射用水、生理的溶液、または人工脳脊髄液であり得る。
本明細書で使用される受容可能なキャリア、賦形剤または安定化剤は、レシピエントに対して非毒性であり、そして好ましくは、使用される投薬量および濃度において不活性である。そのような非毒性および不活性のキャリアとしては、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、または他の有機酸;アスコルビン酸、α−トコフェロール;低分子量ポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジン);モノサッカリド、ジサッカリドおよび他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む);キレート剤(例えば、EDTA);糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール);塩形成対イオン(例えば、ナトリウム);ならびに/あるいは非イオン性表面活性化剤(例えば、Tween、プルロニック(pluronic)またはポリエチレングリコール(PEG))などが挙げられるがそれらに限定されない。
例示の適切なキャリアとしては、中性緩衝化生理食塩水、または血清アルブミンと混合された生理食塩水が挙げられる。好ましくは、その生成物は、適切な賦形剤(例えば、スクロース)を用いて凍結乾燥剤として処方される。他の標準的なキャリア、希釈剤および賦形剤は所望に応じて含まれ得る。他の例示的な組成物は、pH7.0〜8.5のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝剤またはpH4.0〜5.5の酢酸緩衝剤を含み、これらは、さらに、ソルビトールまたはその適切な代替物を含み得る。
1つの局面において、本発明は、糖鎖修飾リポソームを含む分子イメージング剤として使用できる医薬組成物を提供する。本発明の薬物送達媒体は、Gal、GalNAc、Man、Glc、GlcNAc、FucおよびNeu5Acからなる群より選択される少なくとも1つの構造を有する糖鎖、好ましくは、上記表1に示される糖鎖を結合した糖鎖修飾リポソームを含む。この医薬組成物は、さらに、薬剤または遺伝子を封入していても、結合していてもよい。
本明細書において「分子イメージング剤」とは、生体の機能または構造を画像化するために用いられる薬剤または因子をいう。例えば、生体内の動脈硬化病変または不安定プラークなどを画像化するために用いられるものが挙げられる。
本発明の分子イメージング剤は、生物学的因子を必要とする被験体へ生物学的因子を投与するため、および呼吸器系、循環器系、消化器系、泌尿器・生殖器系、中枢神経系または末梢神経系の障害を有する哺乳動物を処置するためにも使用され得る。
本発明の分子イメージング剤は、リポソームに結合する糖鎖の種類と結合密度を調節することによって、腸管での吸収制御性を高めることもできる。腸管吸収制御性を高める糖鎖と特定の組織または器官への指向性を有する糖鎖または抗体等の両方をリポソームに結合させることにより、特定組織または器官への指向性と腸管吸収制御性の両方の特性を併せ持ったリポソームを作製することも可能である。
本発明の分子イメージング剤に含まれ得る糖鎖修飾リポソームは、糖鎖がシアリルルイスX基であり得る。このシアリルルイスX基は、0.0001mg糖鎖/mg脂質〜500mg糖鎖/mg脂質の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。動脈硬化病変をイメージングする場合、好ましくは、0.0025mg糖鎖/mg脂質〜0.1mg糖鎖/mg脂質(好ましくは、0.025mg糖鎖/mg脂質)の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。不安定プラークをイメージングする場合、好ましくは、0.0025mg糖鎖/mg脂質〜0.1mg糖鎖/mg脂質(好ましくは、0.025mg糖鎖/mg脂質)の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。
本発明の分子イメージング剤に含まれ得る糖鎖修飾リポソームは、糖鎖がα1−6マンノビオース基であり得る。このα1−6マンノビオース基は、0.0001mg糖鎖/mg脂質〜500mg糖鎖/mg脂質の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。マクロファージ、マクロファージに関連する疾患、障害または状態をイメージングする場合、好ましくは、0.0025mg糖鎖/mg脂質〜0.1mg糖鎖/mg脂質(好ましくは、0.025mg糖鎖/mg脂質)の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。
本発明の分子イメージング剤は、動脈硬化病変、マクロファージ、マクロファージに関連する疾患、障害またはをイメージングするために使用され得る。これらの組織は実質を含んでいてもよい。
本発明の分子イメージング剤の調製は、pH、等張性、安定性などを考慮することにより、当業者は、容易に行うことができる。本発明の分子イメージング剤は、薬学的に受容可能なキャリアと配合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤等の固形製剤、シロップ剤、懸濁剤、溶液剤等の液状製剤として経口的に投与することができる。
本発明の分子イメージング剤は、必要に応じて生理学的に受容可能なキャリア、賦型剤または安定化剤(日本薬局方第14版またはその最新版、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,A.R.Gennaro,ed.,Mack Publishing Company,1990などを参照)と、所望の程度の純度を有する糖鎖組成物とを混合することによって、凍結乾燥されたケーキまたは水溶液の形態で調製され保存され得る。
蛍光色素を含有した、糖鎖または抗体等で修飾したリポソームを、本発明の医薬組成物に含ませることにより、従来のイメージング剤よりも高感度なイメージングを可能にすることができる。なぜなら、励起および蛍光検出波長が、長波長500〜700nmの蛍光色素を選択することにより、生体成分由来の自家蛍光と区別することができるため、生体外からの高感度なイメージングを実現することが可能となるからである。
本発明の処置方法において使用される分子イメージング剤の量は、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、細胞の形態または種類などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。本発明の処置方法を被検体(または患者)に対して施す頻度もまた、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、患者の年齢、体重、性別、既往歴、および治療経過などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。頻度としては、例えば、毎日−数ヶ月に1回(例えば、1週間に1回−1ヶ月に1回)の投与が挙げられる。1週間−1ヶ月に1回の投与を、経過を見ながら施すことが好ましい。
分子イメージング剤は、投与に適した投与形において当該分野で周知の薬学的に受容可能なキャリアを用いて処方され得る。このようなキャリアは、薬物送達媒体が患者による摂取に適した液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁物などに処方されることを可能とする。
一つの局面において、本発明は、分子イメージングまたはインビボイメージングにおいて使用するためのキャリアを提供する。このキャリアは、親水性化されたリポソームと動脈硬化巣に対する特異的因子とを含む医薬組成物を含む。親水性化されたリポソームは、糖鎖または抗体等で修飾されていてもよく、さらに、標識物質を含み得る。
本発明のキャリアに含まれ得る糖鎖修飾リポソームは、糖鎖がシアリルルイスX基であり得る。このシアリルルイスX基は、アリルルイスX基は、0.0001mg糖鎖/mg脂質〜500mg糖鎖/mg脂質の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。動脈硬化病変をイメージングする場合、好ましくは、0.0025mg糖鎖/mg脂質〜0.1mg糖鎖/mg脂質(好ましくは、0.025mg糖鎖/mg脂質)の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。不安定プラークをイメージングする場合、好ましくは、0.0025mg糖鎖/mg脂質〜0.1mg糖鎖/mg脂質(好ましくは、0.025mg糖鎖/mg脂質)の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。
本発明のキャリアに含まれ得る糖鎖修飾リポソームは、糖鎖がα1−6マンノビオース基であり得る。α1−6マンノビオース基は、0.0001mg糖鎖/mg脂質〜500mg糖鎖/mg脂質の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。マクロファージ、マクロファージに関連する疾患、障害または状態をイメージングする場合、好ましくは、0.0025mg糖鎖/mg脂質〜0.1mg糖鎖/mg脂質(好ましくは、0.025mg糖鎖/mg脂質)の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。
本発明の媒体または医薬組成物は、蛍光色素、薬剤または生物学的因子が意図される目的を達成するのに有効な量で、親水性化されたリポソーム中に含有される組成物を含む。「処置するのに有効な量」は当業者に十分に認識される用語であり、意図される薬理学的結果(例えば、予防、治療、再発防止など)を生じるために有効な薬剤の量をいう。従って、処置有効量は、処置されるべき疾患の徴候を軽減するのに十分な量である。所定の適用のための有効量(例えば、処置有効量)を確認する1つの有用なアッセイは、標的疾患の回復の程度を測定することである。実際に投与される量は、処置が適用されるべき個体に依存し、好ましくは、所望の効果が顕著な副作用をともなうことなく達成されるように最適化された量である。有効用量の決定は十分に当業者の能力内にある。
治療有効量、予防有効量などおよび毒性は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順(例えば、ED50、集団の50%において治療的に有効な用量;およびLD50、集団の50%に対して致死的である用量)によって決定され得る。治療効果と毒性効果との間の用量比は治療係数であり、それは比率ED50/LD50として表され得る。大きな治療係数を呈する薬物送達媒体が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータが、ヒトでの使用のための量の範囲を公式化するのに使用される。このような化合物の用量は、好ましくは、毒性をほとんどまたは全くともなわないED50を含む循環濃度の範囲内にある。この用量は、使用される投与形態、患者の感受性、および投与経路に依存してこの範囲内で変化する。一例として、投与量は、年齢その他の患者の条件、疾患の種類、使用する細胞の種類等により適宜選択される。
本発明の組成物、分子イメージング剤、媒体などは、当該分野で公知の様式と同様の様式(例えば、混合、溶解など)で製造され得る。
本発明の、物質を所望の部位に送達するための組成物は、糖鎖または抗体(抗体、抗体フラグメント、抗体改変体)で修飾されたリポソームを含み得る。本発明の組成物に含まれ得る糖鎖修飾リポソームは、糖鎖がシアリルルイスX基であり得る。このシアリルルイスX基は、0.0001mg糖鎖/mg脂質〜500mg糖鎖/mg脂質の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。動脈硬化病変をイメージングする場合、好ましくは、0.0025mg糖鎖/mg脂質〜0.1mg糖鎖/mg脂質(好ましくは、0.025mg糖鎖/mg脂質)の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。不安定プラークをイメージングする場合、好ましくは、0.0025mg糖鎖/mg脂質〜0.1mg糖鎖/mg脂質(好ましくは、0.025mg糖鎖/mg脂質)の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。
本発明の組成物に含まれ得る糖鎖修飾リポソームは、糖鎖がα1−6マンノビオース基であり得る。このα1−6マンノビオース基は、0.0001mg糖鎖/mg脂質〜500mg糖鎖/mg脂質の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。マクロファージ、マクロファージに関連する疾患、障害または状態をイメージングする場合、好ましくは、0.0025mg糖鎖/mg脂質〜0.1mg糖鎖/mg脂質(好ましくは、0.025mg糖鎖/mg脂質)の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。
本明細書において「指示書」は、本発明の医薬組成物、診断用組成物または分子イメージング剤などを投与する方法などを医師、患者など投与を行う人、診断する人(患者本人であり得る)に対して記載したものである。この指示書は、本発明の医薬組成物、診断用組成物または分子イメージング剤などを投与する手順を指示する文言が記載されている。この指示書は、本発明が実施される国の監督官庁(例えば、日本であれば厚生労働省、米国であれば食品医薬品局(FDA)など)が規定した様式に従って作成され、その監督官庁により承認を受けた旨が明記される。指示書は、いわゆる添付文書(package insert)であり、通常は紙媒体で提供されるが、それに限定されず、例えば、電子媒体(例えば、インターネットで提供されるホームページ(ウェブサイト)、電子メール)のような形態でも提供され得る。
(組成物)
(医薬組成物)
1つの局面において、本発明は、動脈硬化病変を、診断、処置または予防するための医薬組成物を提供し、該医薬組成物は、親水性化されたリポソームと、動脈硬化巣に対する特異的因子とを含み、ここで親水性化されたリポソームは、上述の(リポソーム)に記載される任意の形態が使用され得る。
1つの実施形態において、本発明の医薬組成物では、前記動脈硬化巣に対する特異的因子は、シアリルルイスX(SLX)、SLX基、マンノース、マンノース基、抗体(例えば、VCAM−1、ICAM−1、E−selectin、P−selectinなどの細胞接着分子に対する抗体、MMPなどの細胞外マトリックス分解酵素に対する抗体等)、抗体フラグメント、抗体改変体などが挙げられるが、これらに限定されない。動脈硬化巣に対して特異的な因子でありさえすれば、医薬組成物の動脈硬化巣への集積を増加させることが可能であるので、好ましくは毒性がない限りどのようなものでも利用することができる。好ましくは、該動脈硬化巣に対する特異的因子は、シアリルルイスX(SLX)またはSLX基であり得る。
他の実施形態において、本発明の医薬組成物では、前記診断は、不安定プラークの診断である。
別の実施形態において、本発明の医薬組成物では、前記親水性化はトリス(ヒドロキシアルキル)アミノアルカン等のアミノアルコール類等によりなされ得る。さらに具体的には、トリス(ヒドロキシメチノレ)アミノエタン、トリス(ヒドロキシエチル)アミノエタン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミノエタン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシエチル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミノメタン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノプロパン、トリス(ヒドロキシエチル)アミノプロパン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミノプロパン等が挙げられる。好ましくは、前記親水性化はトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ基によりなされ得る。
別の実施形態において、本発明の医薬組成物では、前記リポソームを構成する脂質の一部は、親水性化合物架橋基−W−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ基とNH−C(=O)結合しており、ここで、該Wは、C(=O)−NH結合である。このリポソームを構成する脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン類、ホスファチジルエタノールアミン類、ホスファチジン酸類、長鎖アルキルリン酸塩類、糖脂質類(ガングリオシド類など)、ホスファチジルグリセロール類、スフィンゴミエリン類、コレステロール類等が挙げられる。
別の実施形態において、本発明の医薬組成物では、前記リポソームと前記SLX基とが、リンカー基を介して結合していてよい。リンカー基としては、生体由来のタンパク質、特にヒト由来タンパク質の基を用いるのが好ましい。生体由来のタンパク質の基は限定されないが、アルブミン等の血液中に存在するタンパク質、その他生体に存在する生理活性物質等の基が挙げられる。例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)基、ウシ血清アルブミン(BSA)基等の動物の血清アルブミン基が挙げられるが、特にヒト血清アルブミン基を使用する場合は、各組織に対する取り込みが多いことがマウスについての実験により確かめられている。
好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物では、前記リポソームを構成する脂質の一部は、ヒト血清アルブミン基−A−リンカータンパク質架橋基−X−SLX基とCH−NH結合しており、ここで、該Aは、NH−C(=O)結合であり、該Xは、C(=O)−NH結合であり得る。
他の好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物では、前記リポソームの表面に前記SLX基、抗体基が存在する。
別の局面において、本発明は、マクロファージまたはマクロファージに関連する疾患、障害もしくは状態を、診断、処置または予防するための医薬組成物を提供する。この医薬組成物は、親水性化されたリポソームと、マンノース、マンノース基、抗体、抗体フラグメントおよび抗体改変体などのマクロファージに対する特異的因子とを含む。
1つの実施形態において、本発明の医薬組成物では、前記診断、処置または予防は、活動性の高いマクロファージが存在する動脈硬化巣のみを標的とすることを含み得る。ここで親水性化されたリポソームは、上述の(リポソーム)に記載される任意の形態が使用され得る。
(診断用組成物)
別の局面において、本発明は、動脈硬化病変を診断するための診断用組成物を提供する。この診断用組成物は、A)親水性化されたリポソームと、B)動脈硬化巣に対する特異的因子と、C)標識物質とを含み、ここで親水性化されたリポソームは、上述の(リポソーム)および(医薬組成物)に記載される任意の形態が使用され得る。
1つの実施形態において、本発明の診断用組成物では、前記動脈硬化巣に対する特異的因子は、シアリルルイスX(SLX)、SLX基、マンノース、マンノース基、抗体(例えば、VCAM−1、ICAM−1、E−selectin、P−selectinなどの細胞接着分子に対する抗体、MMPなどの細胞外マトリックス分解酵素に対する抗体等)、抗体フラグメント、抗体改変体などが挙げられるが、これらに限定されない。不安定プラークに特異的な因子でありさえすれば、診断用組成物の動脈硬化巣への集積を増加させることが可能であるので、好ましくは、毒性がない限りどのようなものでも利用することができる。好ましくは、該動脈硬化巣に対する特異的因子は、シアリルルイスX(SLX)またはSLX基であり得る。
他の実施形態において、本発明の診断用組成物は、磁気共鳴画像法において使用され得る。
他の実施形態において、本発明の診断用組成物では、前記診断は、不安定プラークの診断によりなされ得る。
別の実施形態において、本発明の診断用組成物は、磁気共鳴画像法により動脈硬化病変を診断するために使用され得、ここで、前記標識物質が、核磁気共鳴画像法によって検出可能である物質である。この標識物質は、常磁性の金属(例えば、ガドリニウム、鉄など)、造影剤(例えば、酸化鉄粒子、ガドリニウムキレート剤、硫酸バリウム、水溶性ヨード、イオヘキソール、イオパミドール、ウログラフィンなど)、超音波造影剤(例えば、レボビスト、ソナゾイドなど)などによって付与され得るが、これらに限定されない。好ましくは、前記標識物質は、常磁性の金属である。
別の局面において、本発明は、マクロファージまたはマクロファージに関連する疾患、障害もしくは状態を診断するための診断用組成物を提供する。この診断用組成物は、A)親水性化されたリポソームと、B)マンノースまたはマンノース基と、C)標識物質とを含み、ここで親水性化されたリポソームは、上述の(リポソーム)に記載される任意の形態が使用され得る。
1つの実施形態において、本発明の診断用組成物では、前記診断は、活動性の高いマクロファージが存在する動脈硬化巣のみを診断することを含み得る。
本発明の組成物は、必要に応じて、適切な処方材料または薬学的に受容可能なキャリアを含み得る。適切な処方材料または薬学的に受容可能なキャリアとしては、抗酸化剤、保存剤、着色料、蛍光色素、風味料、希釈剤、乳化剤、懸濁化剤、溶媒、フィラー、増量剤、緩衝剤、送達ビヒクルおよび/または薬学的アジュバントが挙げられるがそれらに限定されない。代表的には、本発明の組成物は、シアリルルイスX(SLX)、および必要に応じて他の有効成分を、少なくとも1つの生理的に受容可能なキャリア、賦形剤または希釈剤とともに含む組成物の形態で投与される。例えば、適切なビヒクルは、ミセル、注射溶液、生理的溶液、または人工脳脊髄液であり得、これらには、非経口送達のための組成物に一般的に使用される他の物質を補充することが可能である。
本明細書で使用される受容可能なキャリア、賦形剤または安定化剤は、好ましくは、レシピエントに対して非毒性であり、そして好ましくは、使用される投薬量および濃度において不活性であり、好ましくは、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、または他の有機酸;アスコルビン酸、α−トコフェロール;低分子量ポリペプチド;タンパク質(例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリン);親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジン);モノサッカリド、ジサッカリドおよび他の炭水化物(グルコース、マンノース、またはデキストリン);キレート剤(例えば、EDTA);糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール);塩形成対イオン(例えば、ナトリウム);ならびに/あるいは非イオン性表面活性化剤(例えば、Tween、プルロニック(pluronic)またはポリエチレングリコール(PEG))などが挙げられる。
例示の適切なキャリアとしては、中性緩衝化生理食塩水、または血清アルブミンと混合された生理食塩水が挙げられる。好ましくは、その生成物は、適切な賦形剤(例えば、スクロース)を用いて凍結乾燥剤として処方される。他の標準的なキャリア、希釈剤および賦形剤は所望に応じて含まれ得る。他の例示的な組成物は、pH約7.0−8.5のTris緩衝剤またはpH約4.0−5.5の酢酸緩衝剤を含み、これらは、さらに、ソルビトールまたはその適切な代替物を含み得る。
以下に本発明の組成物の一般的な調製法を示す。なお、動物薬組成物、医薬部外品、水産薬組成物、食品組成物および化粧品組成物等についても公知の調製法により製造することができることに注意されたい。
本発明の組成物などは、薬学的に受容可能なキャリアと必要に応じて配合し、例えば、注射剤、懸濁剤、溶液剤、スプレー剤等の液状製剤として非経口的に投与することができる。薬学的に受容可能なキャリアの例としては、賦形剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤、崩壊阻害剤、吸収促進剤、吸収剤、湿潤剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等が挙げられる。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の製剤添加物を用いることができる。また、本発明の組成物には、シアリルルイスX、脂質など以外の物質を配合することも可能である。非経口の投与経路としては、静脈内、筋肉内、皮下投与、皮内投与、粘膜投与、直腸内投与、膣内投与、局所投与、皮膚投与など等が挙げられるがそれらに限定されない。全身投与されるとき、本発明において使用される医薬は、発熱物質を含まない、薬学的に受容可能な水溶液の形態であり得る。そのような薬学的に受容可能な組成物の調製について、pH、等張性、安定性などを考慮することは、当業者の技術範囲内である。
液状製剤における溶剤の好適な例としては、注射溶液、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油およびトウモロコシ油等が挙げられる。
液状製剤における溶解補助剤の好適な例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウムおよびクエン酸ナトリウム等が挙げられるがそれらに限定されない。
液状製剤における懸濁化剤の好適な例としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
液状製剤における等張化剤の好適な例としては、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられるがそれらに限定されない。
液状製剤における緩衝剤の好適な例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩およびクエン酸塩等が挙げられるがそれらに限定されない。
液状製剤における無痛化剤の好適な例としては、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウムおよび塩酸プロカイン等が挙げられるがそれらに限定されない。
液状製剤における防腐剤の好適な例としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられるがそれらに限定されない。
液状製剤における抗酸化剤の好適な例としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロールおよびシステイン等が挙げられるがそれらに限定されない。
注射剤として調製する際には、液剤および懸濁剤は殺菌され、かつ血液または他の目的のための注射部位における溶媒と等張であることが好ましい。通常、これらは、細菌保留フィルター等を用いるろ過、殺菌剤の配合または照射などによって無菌化する。さらにこれらの処理後、凍結乾燥等の方法により固形物とし、使用直前に無菌水または無菌の注射用希釈剤(塩酸リドカイン水溶液、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノールまたはこれらの混合溶液等)を添加してもよい。
さらに、本発明の組成物は、着色料、保存剤、香料、矯味矯臭剤、甘味料等、ならびに他の薬剤を含んでいてもよい。
本発明において使用される物質、組成物等の量は、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、被験体の年齢、体重、性別、既往歴、細胞の形態または種類などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。本発明の方法を被験体に対して施す頻度もまた、使用目的、対象疾患(種類、重篤度など)、被験体の年齢、体重、性別、既往歴、および治療経過などを考慮して、当業者が容易に決定することができる。頻度としては、例えば、毎日−数ヶ月に1回(例えば、1週間に1回−1ヶ月に1回)の投与が挙げられる。1週間−1ヶ月に1回の投与を、経過を見ながら施すことが好ましい。投与する量は、処置されるべき部位が必要とする量を見積もることによって確定することができる。
本明細書において「磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging:MRI)」とは、核磁気共鳴現象を利用して生体内の内部情報を画像化する方法をいう。
本明細書において「核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance:NMR)」とは、原子核のスピンエネルギー準位がゼーマン効果によって分離しているとき、振動磁場または電磁波との間に共鳴を起こすことをいう。
本明細書において「造影剤」とは、画像診断において組織の濃度(信号強度)を上昇あるいは低下させるために使われる薬剤をいう。上昇させるものを陽性造影剤、低下させるものを陰性造影剤という。陽性造影剤としては、例えば、ガドリニウムキレート剤、硫酸バリウム、水溶性ヨード造影剤等が挙げられるが、これらに限定されない。陰性造影剤には、超常磁性酸化鉄粒子(SPIO)、空気、二酸化炭素等が挙げられるが、これらに限定されない。超音波造影剤としては、例えば、レボビスト、ソナゾイドなどが挙げられ得る。
本明細書において「被験体」とは、虚血性脳疾患、虚血性脳障害または脳虚血状態の処置、検出または診断の対象とされる動物をいう。本発明が対象とする動物は、例えば、鳥類、哺乳動物などであってもよい。好ましくは、そのような動物は、哺乳動物(例えば、単孔類、有袋類、貧歯類、皮翼類、翼手類、食肉類、食虫類、長鼻類、奇蹄類、偶蹄類、管歯類、有鱗類、海牛類、クジラ目、霊長類、齧歯類、ウサギ目など)であり得る。例示的な被験体としては、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ニワトリ、ネコ、イヌなどの動物が挙げられるがそれらに限定されない。さらに好ましくは、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモットなどの小動物が用いられ得る。
(動脈硬化巣に対する特異的因子含有化合物の医薬としての使用)
他の局面において、本発明は、動脈硬化病変を処置、予防、検出または診断するための医薬の製造における、動脈硬化巣に対する特異的因子含有化合物の使用を提供する。
別の局面において、本発明の動脈硬化巣に対する特異的因子含有化合物は、医薬としても用いられ得る。このような場合、特異的因子含有化合物に、封入または結合される薬剤としては、例えば、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アルキル化系抗癌剤、代謝拮抗剤、植物由来抗癌剤、抗癌性抗生物質、BRM・サイトカイン類、白金錯体系抗癌剤、免疫療法剤、ホルモン系抗癌剤、モノクローナル抗体等の腫瘍用薬剤、中枢神経用薬剤、末梢神経系・感覚器官用薬剤、呼吸器疾患治療薬剤、循環器用薬剤、消化器官用薬剤、ホルモン系用薬剤、泌尿器・生殖器用薬剤、ビタミン・滋養強壮剤、代謝性医薬品、抗生物質・化学療法薬剤、検査用薬剤、抗炎症剤、眼疾患薬剤、中枢神経系薬剤、自己免疫系薬剤、循環器系薬剤、糖尿病、高脂血症のような生活習慣病薬剤、副腎皮質ホルモン、免疫抑制剤、抗菌薬、抗ウイルス薬、血管新生抑制剤、サイトカイン、ケモカイン、抗サイトカイン抗体、抗ケモカイン抗体、抗サイトカイン・ケモカイン受容体抗体、siRNA、miRNA、smRNA、アンチセンスODNまたはDNAのような遺伝子治療関連の核酸製剤、神経保護因子、抗体医薬、分子標的薬、骨粗鬆症・骨代謝改善薬、神経ペプチド、生理活性ペプチド・タンパク質のような薬剤。
(画像化方法)
別の局面において、本発明は、動脈硬化病変を画像化するための方法を提供する。この方法は、被験体に、分子イメージング剤を投与する工程を包含し、該分子イメージング剤は、本発明の医薬組成物を含み、ここで、該医薬組成物は、A)親水性化されたリポソームと、B)動脈硬化巣に対する特異的因子と、C)標識物質とを含み、該医薬組成物は検出に十分な量の標識物質を含有する。ここで医薬組成物は、上述の(リポソーム)、(組成物)、(医薬組成物)に記載される任意の形態が使用され得る。
(イメージングシステム)
別の局面において、本発明は、動脈硬化病変を分子イメージングまたはインビボイメージングするためのシステムを提供する。本明細書において、「分子イメージング」または「インビボイメージング」とは、生体の機能または構造を画像化するこという。本発明の分子イメージングまたはインビボイメージングするためのシステムは、本発明の医薬組成物および該標識の有無を調べる手段を備え、ここで、該医薬組成物は、A)親水性化されたリポソームと、B)動脈硬化巣に対する特異的因子と、C)標識物質とを含み、ここで、該標識が動脈硬化病変に集積するのに十分な時間たった後、該生体における該標識の有無を調べ、該標識により該生体の機能または構造を画像化することができる。標識としては、蛍光物質、放射性物質、発色物質(例えば、βgal)、発行物質(例えば、ルシフェラーゼ)、常磁性金属などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のシステムにおいて使用され得る糖鎖修飾リポソームの糖鎖は、シアリルルイスX基であり得る。このシアリルルイスX基は、0.0001mg糖鎖/mg脂質〜500mg糖鎖/mg脂質の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。動脈硬化病変をイメージングする場合、好ましくは、0.0025mg糖鎖/mg脂質〜0.1mg糖鎖/mg脂質(好ましくは、0.025mg糖鎖/mg脂質)の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。不安定プラークをイメージングする場合、好ましくは、0.0025mg糖鎖/mg脂質〜0.1mg糖鎖/mg脂質(好ましくは、0.025mg糖鎖/mg脂質)の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。
本発明のシステムにおいて使用され得る糖鎖修飾リポソームの糖鎖は、α1−6マンノビオース基であり得る。このα1−6マンノビオース基は、0.0001mg糖鎖/mg脂質〜500mg糖鎖/mg脂質の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。マクロファージ、マクロファージに関連する疾患、障害または状態をイメージングする場合、好ましくは、0.0025mg糖鎖/mg脂質〜0.1mg糖鎖/mg脂質(好ましくは、0.025mg糖鎖/mg脂質)の修飾結合密度で糖鎖修飾リポソームに含まれ得る。
本発明のシステムにより、動脈硬化病変、不安定プラーク、またはマクロファージに関連する疾患、障害もしくは状態の部位等をイメージングすることができる。これらの組織は実質を含んでいてもよい。本発明のシステムにおいて使用される、標識の有無を調べる手段は、走査型顕微鏡であり得る。好ましくは、この標識の有無を調べる手段は、さらにスティック対物レンズを備える。標識の有無を調べる手段は、標識を検出可能であれば、どのような物質(例えば、蛍光、放射線、発色物質(例えば、βgal)、発行物質(例えば、ルシフェラーゼ)、常磁性金属など)を検出する手段など)であってもよい。なぜなら、標識を検出することにより、生体の機能または構造を画像化することが可能であるからである。
(処置方法)
別の局面において、本発明は、動脈硬化病変を処置または予防するための方法を提供する。この方法では、動脈硬化病変を処置または予防する必要のある患者に、本発明の有効量の医薬組成物を投与する工程を包含する。ここで医薬組成物は、親水性化されたリポソームと、動脈硬化巣に対する特異的因子とを含む。親水性化されたリポソームは、上述の(リポソーム)に記載される任意の形態が使用され得る。
(診断方法)
別の局面において、本発明は、動脈硬化病変を検出するための方法を提供する。この方法は、動脈硬化病変を検出する必要のある患者に、有効量の診断用組成物を投与する工程;および該患者において、該診断用組成物に含まれる標識物質を磁気共鳴画像法により測定し、該標識物質の存在は、該患者に動脈硬化病変があることを示す工程を包含し、該診断用組成物は、A)親水性化されたリポソームと、B)動脈硬化巣に対する特異的因子と、C)標識物質とを含む。ここで親水性化されたリポソームは、上述の(リポソーム)に記載される任意の形態が使用され得る。
(標識物質を含有する糖鎖または抗体修飾リポソームの製造方法)
本発明において使用される標識物質を含有する糖鎖または抗体修飾リポソームを製造する方法は、例えば、A)標識物質をリポソームに内包したか、または結合させたリポソームを形成させる工程;B)該リポソームを親水性化処理する工程;C)該リポソームとリンカータンパク質を結合させる工程、およびD)該リポソームへ糖鎖または抗体等を結合させる工程を包含する方法が挙げられる。
別の実施形態において、本発明において使用される標識物質を含有する糖鎖または抗体修飾リポソームを製造する方法は、(a)脂質を、メタノール/クロロホルム溶液に懸濁して攪拌し、該攪拌した溶液を蒸発させ、沈殿物を真空乾燥させることにより脂質膜を得る工程;(b)該脂質膜を、懸濁緩衝液に懸濁し、超音波処理する工程;(c)該超音波処理した溶液と蛍光標識溶液とを混合して、蛍光標識されたリポソームを提供する工程;(d)該リポソームをトリス(ヒドロキシアルキル)アミノアルカンにより親水性化処理する工程;(e)該親水性化処理されたリポソームにリンカータンパク質を結合させて、リンカータンパク質結合リポソームを生成する工程;および(f)該リポソームに、糖鎖または抗体等を結合させて糖鎖または抗体修飾リポソームを生成する工程を包含する。ここでリポソームは、上述の(リポソーム)に記載される任意の形態が使用され得る。
本発明において、目的の送達部位に物質を送達するための医薬組成物または診断組成物において使用される糖鎖または抗体等で修飾したリポソームは、例えば、以下の方法により製造され得る:(a)種々の糖鎖または抗体密度を有する、該目的の送達部位への送達を達成する蛍光標識された糖鎖または抗体修飾リポソームを提供する工程であって、以下:(i)脂質を、メタノール/クロロホルム溶液に懸濁して攪拌し、該攪拌した溶液を蒸発させ、沈殿物を真空乾燥させることにより脂質膜を得る工程;(ii)該脂質膜を、懸濁緩衝液に懸濁し、超音波処理する工程;(iii)該超音波処理した溶液と蛍光標識溶液とを混合する工程を包含する、工程;(b)該糖鎖または抗体修飾リポソーム上の糖鎖密度について、該送達部位への最適な送達を達成する密度を決定する工程;および(c)該物質(たとえば、蛍光色素、医薬)を決定された最適な糖鎖または抗体修飾リポソームに組み込んで薬物含有リポソームを生成する工程を包含する。物質(たとえば、蛍光色素、医薬)の組み込みは、例えば、封入、外表面への結合などを挙げることができる。ここで糖鎖または糖鎖修飾リポソームは、上述の(リポソーム)に記載される任意の形態が使用され得る。
(標識物質の結合または封入)
標識物質の結合または封入は、薬物をリポソーム中に結合または封入するために用いられる任意のものが使用される。例えば、(1)ジパルミトイルフォスファチジルコリン(DPPC)、コレステロール、ガングリオシド、ジセチルフォスフェート(DCP)、ジパルミトイルフォスファチジルエタノールアミン(DPPE)、コール酸ナトリウムを秤量し、メタノール・クロロホルム溶液(1:1)に懸濁させ、37℃、1時間撹拌し;(2)クロロホルム・メタノールをロータリーエバポレーターで蒸発させ、真空乾燥させる。N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)に再懸濁させ、37℃、1時間撹拌後、窒素置換し超音波処理をし、(3)超音波処理溶液と蛍光色素(例えば、cy5.5、cy3、cy7)標識ヒト血清アルブミン溶液(蛍光色素標識HSA溶液)を混合して、限外濾過(分画分子量:10,000)をすることによって、標識物質(例えば、蛍光色素(例えば、cy5.5、cy3、cy7)、常磁性金属など)で標識したHSA内包リポソーム粒子が得られる。
(リポソームの製造)
リポソーム自体は、周知の方法に従い製造することができるが、これには、薄膜法、逆層蒸発法、エタノール注入法、脱水−再水和法等を挙げることができる。
また、超音波照射法、エクストルージョン法、フレンチプレス法、ホモジナイゼーション法等を用いて、リポソームの粒子径を調節することも可能である。本発明において使用されるリポソーム自体の製法について、具体的に述べると、例えば、まず、ホスファチジルコリン類、コレステロール、ホスファチジルエタノールアミン類、ホスファチジン酸類、ガングリオシド類、糖脂質類もしくはホスファチジルグリセロール類を配合成分とする脂質と界面活性剤コール酸ナトリウムとの混合ミセルを調製する。とりわけ、ホスファチジン酸類もしくはジセチルホスフェート等の長鎖アルキルリン酸塩類の配合は、リポソームを負に荷電させるために必須であり、ホスファチジルエタノールアミン類の配合は親水性化反応部位として、ガングリオシド類または糖脂質類またはホスファチジルグリセロール類の配合はリンカーの結合部位として必須のものである。ガングリオシド類、糖脂質類、ホスファチジルグリセロール類、スフィンゴミエリン類およびコレステロール類からなる群から選択される少なくとも1種の脂質はリポソーム中で集合し、リンカーを結合させる足場(ラフト)として機能する。本発明において使用されるリポソームは、このようなタンパク質を結合させうるラフトが形成されることによりさらに安定化される。すなわち、本発明において使用されるリポソームは、リンカーを結合させるためのガングリオシド、糖脂質、ホスファチジルグリセロール類、スフィンゴミエリン類およびコレステロール類からなる群から選択される少なくとも、1種の脂質のラフトが形成されたリポソームを含む。そして、これにより得られる混合ミセルの限外濾過を行うことによりリポソームを作製する。本発明において使用するリポソームは、通常のものでも使用できるが、その表面は親水性化されていることが望ましい。上述のようにしてリポソームを作製した後にリポソーム表面を親水性化する。
本発明は、上記の親水性化化合物を用いて親水性化した糖鎖の結合していないリポソームそのものをも包含する。このような親水性化したリポソームは、リポソーム自体の安定性が高まり、また糖鎖を結合したときに糖鎖の認識性が高まるという利点がある。本発明において使用されるリポソームは、例えば、リポソームの構成脂質が、ホスファチジルコリン類(モル比0〜70%)、ホスファチジルエタノールアミン類(モル比0〜30%)、ホスファチジン酸類、長鎖アルキルリン酸塩およびジセチルホスフェート類からなる群から選択される1種以上の脂質(モル比0〜30%)、ガングリオシド類、糖脂質類、ホスファチジルグリセロール類およびスフィンゴミエリン類からなる群から選択される1種以上の脂質(モル比0〜40%)、ならびにコレステロール類(モル比0〜70%)を含む、リポソームである。
本発明は、さらにリポソームに上記に親水性化化合物を結合させて、リポソームを親水性化する方法をも包含する。また、糖鎖の結合していない親水性化したリポソームをも包含する。糖鎖の結合していないリポソームに糖鎖を結合することにより、本発明の標的指向性リポソームまたは腸管吸収性リポソームを製造することができる。
好ましくは、親水性化は以下のようにして行うことができる。(1)炭酸緩衝液(50mM NaHCO,157mM NaCl、pH8.5)にバッファー交換する為、限外濾過(分画分子量:300,000)をする。(2)架橋剤BS(PIERCE)を添加して、室温で2時間の後、冷蔵下、一晩撹拌する。(3)遊離のBSを除去するため、限外濾過(分画分子量:300,000)をする。(4)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/炭酸緩衝液(pH8.5)溶液を添加して、室温で2時間の後、冷蔵下、一晩撹拌する。(5)遊離のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを除去し、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)にバッファー交換する為に限外濾過(分画分子量:300,000)をする。
より好ましくは、親水性化は以下のようにして行うことができる。(1)炭酸緩衝液(CBS緩衝液:50mM NaHCO3,157mM NaCl(pH8.5))にバッファー交換する為、限外濾過(分画分子量:100,000、2000×gで60分間)を2回実施する。(2)架橋剤BS(PIERCE)を添加して、室温で2時間の後、冷蔵下、一晩撹拌する。(3)遊離のBSを除去するため、限外濾過(分画分子量:100,000、2000×gで60分間)を2回実施する。(4)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/CBS緩衝液(pH8.5)溶液を添加して、室温で2時間の後、冷蔵下、一晩撹拌する。(5)遊離のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを除去し、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)にバッファー交換する為に限外濾過(分画分子量:100,000、2000×gで60分間)を2回実施する。
1つの実施形態において、本発明において使用されるリポソームの製造方法は、a)リンカータンパク質が結合した蛍光を内包したリポソームを提供する工程;b)該リポソームを親水性化処理する工程;c)3,3’−ジチオビス(スルホスクシニミジルプロピオネート)を該リポソームに結合させる工程;およびd)該リポソームにおける該リンカータンパク質へ糖鎖または抗体を結合させて、該蛍光色素を含有した糖鎖または抗体修飾リポソームを生じさせる工程を包含し、該b)〜c)工程は任意の順で実施され得る。この実施形態は、e)該蛍光色素を含有した糖鎖または抗体修飾リポソームを親水性化する工程;f)該親水性化した該蛍光色素を含有した糖鎖または抗体修飾リポソームを含む溶液をフィルター濾過する工程をさらに包含し得る。ここで糖鎖または抗体修飾リポソームは、上述の(リポソーム)に記載される任意の形態が使用され得る。
好ましい実施形態において、本発明において使用されるリポソームの製造方法は、前記a)工程の次に順に前記c)工程および前記b)工程を行うことによって実施され得る。
1つの実施形態において、本発明において使用されるリポソームの製造方法は、該c)工程が、(c1)架橋剤(例えば、3,3’−ジチオビス(スルホスクシニミジルプロピオネート))を含む粉体Aに、炭酸緩衝液を含む溶液Aを添加して溶解し、混合溶液を調製する工程;および(c2)リポソームを含む溶液に、該混合溶液を添加し、室温で、16〜20時間攪拌し、分画分子量30,000で限外濾過し、脱塩して、3,3’−ジチオビス(スルホスクシニミジルプロピオネート)の結合した蛍光内包型リポソームを含む溶液を調製する工程を包含し、該b)工程が、(b1)該蛍光内包型リポソームを含む溶液を濃縮し、濃縮された該蛍光内包型リポソームを含む溶液に、該溶液Aを添加する工程;および(b2)該溶液Aが添加された該蛍光内包型リポソームを含む混合溶液を、分画分子量300,000で遠心分離にかけて限外濾過し、濃縮し、該濃縮させた混合溶液に該溶液Aを添加して、親水性化された該蛍光内包型リポソームを調製する工程を包含し、前記d)工程が、(d1)所望の糖鎖または抗体等を精製水に完全に溶解し、1〜10mM濃度(好ましくは、5mM濃度)の糖鎖/抗体溶液を調製する工程;(d2)必要に応じて、該糖鎖/抗体水溶液に、炭酸水素アンモニウム(pH 7〜14)を約0.2〜1.0g/mL濃度(好ましくは、0.6g/mL濃度)で添加し、20〜40℃(好ましくは、37℃)で3〜7日間(好ましくは、3日間)攪拌させて、冷蔵(例えば、約2〜8℃)下で、20〜60分間(好ましくは、30分間)インキュベートし、濾過フィルターで濾過して、アミノ化した糖鎖または抗体溶液を調製する工程;(d3)該親水性化された蛍光内包型リポソームを含む溶液に、該アミノ化した糖鎖または抗体溶液を添加して、混合した後、室温(例えば、約15〜30℃、好ましくは20〜25℃の範囲)で2〜6時間(好ましくは、2 時間)反応させて反応溶液工程;および(d4)該(d3)工程によって得られた該反応溶液に、トリス緩衝液を含む溶液Bを添加し、室温(例えば、約15〜30℃、好ましくは20〜25℃の範囲)下で、2〜6時間(好ましくは、2時間)攪拌し、さらに、冷蔵(例えば、1〜10℃、好ましくは2〜8℃)下で、16〜48時間(好ましくは、16〜20時間)攪拌し、分画分子量30,000で限外濾過し、脱塩させて、前記蛍光色素を含有した糖鎖または抗体修飾リポソームを生じさせる工程を包含し、前記e)工程が、(e1)該蛍光色素を含有した糖鎖または抗体修飾リポソームを含む溶液を濃縮し、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液を含む溶液Cを添加し、分画分子量30,000で限外濾過し、濃縮し、該濃縮させた蛍光色素を含有した糖鎖または抗体修飾リポソームを含む溶液に該C溶液を添加して、該糖鎖または抗体が結合した蛍光内包型リポソームを親水性化する工程を包含し得る。糖鎖または抗体に既に一級アミノ基が存在する場合には、該(d2)のアミノ化糖鎖溶液を調製する工程は省略され得る。アミノ化反応を行う場合、糖鎖または抗体を溶解させる緩衝液は、一級アミノ基を有しさえしなければ、どのような緩衝液であってもよい。一級アミノ基を含む緩衝液に糖鎖または抗体を溶解すると、リポソームに対する結合が妨げられるからである「冷蔵」とは約1〜12℃、好ましくは約2〜8℃の範囲の温度をいう。
本方法において使用されるトリス緩衝液は、トリスヒドロキシメチルアンモニウム(Tris−hydroxymethylammonium)を塩基成分に用いた緩衝液であり、例えば、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液等が使用され得る。
本方法において使用され得る糖鎖は、例えば、シアリルルイスX、α1−6マンノビオースなどが挙げられるが、これらに限定されない。糖鎖は、好ましくは、シアリルルイスXであり得る。
別の実施形態において、本発明の方法により使用され得る糖鎖は、グリコシルアミノ化反応の可能な糖鎖であり得る。
糖鎖の添加量は、リポソーム溶液1mLあたり約1〜250μLの範囲であり得る。好ましくは、リポソーム溶液1mLあたり約2.5〜125μLであり得る。炎症系に特異的な糖鎖を用いる場合、好ましくは、糖鎖は、終濃度5mMで添加され得る。
本発明において使用される場合、「冷蔵(下)」とは、約1℃〜約12℃、好ましくは約2℃〜約8℃の範囲の温度をいう。本発明において使用される場合、「室温」とは、約15℃〜約30℃、好ましくは約20℃〜約25℃の範囲の温度をいう。
(糖鎖の合成)
本発明において使用される糖鎖修飾リポソームに使用され得る糖鎖は、一般的な糖鎖合成方法によって合成され得る。これらの方法としては、(1)化学合成による方法、(2)遺伝子組換え細胞あるいは微生物による発酵法、(3)糖加水分解酵素(グリコシダーゼ)を用いて合成する方法、(4)糖転移酵素(グリコシルトランスフェラーゼ)を用いて合成する方法が挙げられる。(WO2002/081723、特開平9−31095公報、特開平11−42096公報、特開2004−180676公報、畑中研一、西村紳一郎、大内辰郎および小林一清(1997)糖質の科学と工業、講談社、東京などを参照のこと)。
本発明において、糖鎖修飾リポソームにおいて使用される糖鎖は、上記の方法により合成された糖鎖であっても、市販の糖鎖であってもよい。
(リポソームへの糖鎖の結合)
本発明においては、上記のようにして作製したリポソームに、上記の糖鎖のいずれかを直接結合させてもよいし、さらに、リンカーを介して糖鎖を結合させてもよい。この際、リポソームに結合させる糖鎖の種類は1種類に限らず、複数の糖鎖を結合させてもよい。この場合の複数の糖鎖は同じ組織または器官の細胞表面に共通して存在する異なるレクチンに対して結合活性を有する複数の糖鎖であってもよいし、異なる組織または器官の細胞表面に存在する異なるレクチンに対して結合活性を有する糖鎖であってもよい。前者のような複数の糖鎖を選択することにより、特定の標的組織または器官を確実に指向することができ、後者のような複数の糖鎖を選択することにより、1種類のリポソームに複数の標的を指向させることができ、マルチパーパスな標的指向性リポソームを得ることができる。
なお、糖鎖をリポソームに結合させるには、リポソームの製造時にリンカーおよび/または糖鎖を混合し、リポソームを製造させつつ糖鎖をその表面に結合させることも可能であるが、あらかじめリポソーム、リンカーおよび糖鎖を別途準備し、製造が完了したリポソームにリンカーおよび/または糖鎖を結合させたほうが望ましい。これは、リポソームにリンカーおよび/または糖鎖を結合させることにより、結合させる糖鎖の密度を制御できるからである。糖鎖のリポソームヘの直接結合は、以下に述べるような方法で行うことができる。
糖鎖を糖脂質として混合してリポソームを製造するか、製造後のリポソームのリン脂質に糖鎖を結合するとともに糖鎖密度を制御する。リンカーを用いて糖鎖を結合させる場合、リンカーとしては、生体由来のタンパク質、特にヒト由来タンパク質を用いるのが好ましい。生体由来のタンパク質は限定されないが、アルブミン等の血液中に存在するタンパク質、その他生体に存在する生理活性物質等が挙げられる。例えば、ヒト血清アルブミン(HSA)、ウシ血清アルブミン(BSA)等の動物の血清アルブミンが挙げられるが、特にヒト血清アルブミンを使用する場合は、各組織に対する取り込みが多いことがマウスについての実験により確かめられている。本発明において使用されるリポソームは、非常に安定であり、リポソームを形成した後にタンパク質を結合させたり、リンカーを結合させたり、糖鎖を結合させるという後処理が可能である。従って、リポソームを大量に製造した後に、目的に応じてそれぞれ異なるタンパク質を結合させたり、リンカーや糖鎖を結合させることにより、目的に応じた種々のリポソームを製造することが可能である。
本発明において使用されるリポソームには、糖鎖がリンカーを介して、あるいはリポソームを構成する脂質に直接結合している。このリポソームは、糖脂質や糖タンパク質等の複合糖質型リガンドを有し、低分子化合物で親水化処理されているリポソームである。
本発明の医薬組成物は、その中に含まれる親水性化リポソームは医薬効果を有する化合物を含み得る。該医薬効果を有する化合物は、リポソーム中に封入させるか、あるいはリポソーム表面に結合させればよいが、リンカーとして、医薬効果を有するタンパク質を用いてもよい。この場合、タンパク質がリポソームと糖鎖を結合させるためのリンカーおよび医薬効果を有するタンパク質を兼ねることもある。薬効を有するタンパク質としては、生理活性タンパク質等が挙げられる。
本発明において使用される糖鎖または抗体修飾リポソームの作製において、リポソームとリンカーとを結合させる際には、架橋基が使用され得る。
リンカーを介して糖鎖または抗体をリポソームへ結合させるには以下に述べる方法で行えばよい。
まずリポソーム表面にタンパク質を結合させる。リポソームを、NaIO、Pb(OCCH、NaBiO等の酸化剤で処理して、リポソーム膜面に存在するガングリオシドを酸化し、次いで、NaBHCN、NaBH等の試乗を用いて、リンカーとリポソーム膜面上のガングリオシドを、還元的アミノ化反応により結合させる。このリンカーも、親水性化するのが好ましく、これにはリンガータンパク質にヒドロキシ基を有する化合物を結合させるが、例えば、ビススルホスクシンイミジルスベラート、ジスクシンイミジルグルタレート、ジチオビススクシンイミジルプロピオネート、ジスクシンイミジルスベラート、3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)、エチレングリコールビススクシンイミジルスクシネート、エチレングリコールビススルホスクシンイミジルスクシネート等の2価試薬を用いて、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等の上述の親水性化に用いる化合物をリポソーム上のリンカーと結合させればよい。
これを具体的に述べると、まず、リンカーのすべてのアミノ基に架橋用2価試薬の一端を結合する。そして、各種糖鎖または抗体の還元末端をグリコシルアミノ化反応して得られるグリコシルアミン化合物を調製し、この糖鎖または抗体のアミノ基とリポソーム上の上記で結合された架橋2価試薬の一部分の他の未反応末端とを結合する。糖鎖もしくは抗体および/または親水性化合物とリポソームとの共有結合、または糖鎖もしくは抗体および/または親水性化合物とリンカーとの共有結合は、リポソームが細胞内に取り込まれたときに切断することも可能である。例えば、リンカーと糖鎖または糖鎖がジスルフィド結合を介して共有結合されている場合、細胞内で還元されて糖鎖または抗体が切断される。糖鎖または抗体が切断されることによりリポソーム表面が疎水性になり、生体膜と結合し膜安定性が乱れリポソーム中に含まれる薬剤が放出される。
次に、このようにして得られる糖鎖または抗体修飾リポソーム膜面上タンパク質の表面に糖鎖が結合していない未反応で残っている大部分の2価試薬未反応末端を用いて親水性化処理を行う。つまり、このリポソーム上タンパク質に結合している2価試薬の未反応末端とトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等の上述の親水性化に用いる化合物との結合反応を行い、リポソーム表面全体を親水性化する。リポソーム表面およびリンカーの親水性化は、各種組織への移行性、および血中における滞留性および各種組織への移行性を向上させる。これは、リポソーム表面およびリンカー表面が親水性化されることによって、糖鎖または抗体以外の部分が、各組織等においてはあたかも生体内水分であるかのようにみえ、これにより、標的以外の組織等に認識されず、糖鎖または抗体のみがその標的組織(レクチン(糖鎖認識タンパク質)等)により認識されることに起因するものと思われる。
好ましくは、リンカーは以下のようにしてリポソームに結合させる。(1)メタ過ヨウ素酸ナトリウム/N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)を添加し、冷蔵下、一晩撹拌し、リポソーム粒子表面を酸化する。(2)遊離のメタ過ヨウ素酸ナトリウムを除去し、PBS緩衝液(pH8.0)にバッファー交換する為に、限外濾過(分画分子量:300,000)をする。(3)HSA/PBS緩衝液(pH8.0)を添加して室温で2時間反応させた溶液に、シアノホウ素酸ナトリウム/PBS緩衝液(pH8.0)を添加して、室温で2時間の後、冷蔵下、一晩撹拌する。(4)遊離のシアノホウ素酸ナトリウム、HSAを除去し、炭酸緩衝液(pH8.5)にバッファー交換する目的で、限外濾過(分画分子量:300,000)をする。これにより、リンカーをリポソーム結合させることができる。
好ましくは、リンカーは以下のようにしてリポソームに結合させる。(1)メタ過ヨウ素酸ナトリウム/N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)を添加し、冷蔵下、一晩撹拌し、リポソーム粒子表面を酸化する。(2)遊離のメタ過ヨウ素酸ナトリウムを除去し、PBS緩衝液(pH8.0)にバッファー交換する為に、限外濾過(分画分子量:300,000)をする。(3)HSA/PBS緩衝液(pH8.0)を添加して室温で2時間反応させた後、冷蔵下、一晩撹拌する。(4)遊離のHSAを除去し、炭酸緩衝液(pH8.5)にバッファー交換する目的で、限外濾過(分画分子量:300,000)をする。これにより、リンカーをリポソーム結合させることができる。
より好ましくは、リンカーは以下のようにしてリポソームに結合させる。(1)メタ過ヨウ素酸ナトリウム/N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)を添加し、冷蔵下、一晩撹拌し、リポソーム粒子表面を酸化する。(2)遊離のメタ過ヨウ素酸ナトリウムを除去し、PBS緩衝液(pH8.0)にバッファー交換する為に、限外濾過により1/5〜1/10倍量まで濃縮し、PBS緩衝液(pH8.0)を加え元の容量に合わせる。この操作を2回繰り返す。(3)HSA/PBS緩衝液(pH8.0)を添加して室温で2時間反応させた後、シアノホウ素酸ナトリウム/PBS緩衝液(pH8.0)を添加して、室温で2時間の後、さらに冷蔵下で、一晩撹拌する。(4)遊離のシアノホウ素酸ナトリウム、HSAを除去し、炭酸緩衝液(pH8.5)にバッファー交換する目的で、限外濾過により1/5〜1/10倍量まで濃縮し、炭酸緩衝液(pH8.5)を加え元の容量に合わせる。この操作を2回繰り返す。これにより、リンカーをリポソーム結合させることができる。
より好ましくは、リンカーは以下のようにしてリポソームに結合させる。(1)メタ過ヨウ素酸ナトリウム/N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)を添加し、冷蔵下、一晩撹拌し、リポソーム粒子表面を酸化する。(2)遊離のメタ過ヨウ素酸ナトリウムを除去し、PBS緩衝液(pH8.0)にバッファー交換する為に、限外濾過により1/5〜1/10倍量まで濃縮し、PBS緩衝液(pH8.0)を加え元の容量に合わせる。この操作を2回繰り返す。(3)HSA/PBS緩衝液(pH8.0)を添加して室温で2時間反応させ、さらに冷蔵下で、一晩撹拌する。(4)炭酸緩衝液(pH8.5)にバッファー交換する目的で、限外濾過により1/5〜1/10倍量まで濃縮し、炭酸緩衝液(pH8.5)を加え元の容量に合わせる。この操作を2回繰り返す。これにより、リンカーをリポソーム結合させることができる。
次いで、糖鎖または抗体をリポソーム上のリンカーに結合させる。これには、糖鎖または抗体を構成する還元末端を、NHHCO、NHCOONH等のアンモニウム塩を用いてグリコシルアミノ化し、次いで、ビススルホスクシンイミジルスベラート、ジスクシンイミジルグルタレート、ジチオビススクシンイミジルプロピオネート、ジスクシンイミジルスベラート、3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)、エチレングリコールビススクシンイミジルスクシネート、エチレングリコールビススルホスクシンイミジルスクシネート等の2価試薬を用いて、リポソーム膜面上に結合したリンカーと、上記グリコシルアミノ化された糖類または糖鎖とを結合させてリポソームを得る。なお、これらの糖鎖または抗体は市販されているものを使用することができる。
好ましくは、糖鎖または抗体のリポソーム上のリンカーへの結合は以下のように行うことができる。(1)糖鎖または抗体を精製水に溶解し、炭酸水素アンモニウム飽和下で37℃、3日間反応させる。(アミノ化した糖鎖または抗体溶液)。(2)リポソーム溶液に架橋剤 DTSSP(PIERCE)を添加して、室温で2時間の後、冷蔵下、一晩撹拌する。(3)遊離のDTSSPを除去するため、限外濾過(分画分子量:300,000)をする。(4)アミノ化した糖鎖または抗体溶液を添加して、室温で2時間反応させた後、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/炭酸緩衝液(pH8.5)を添加し、冷蔵下、一晩撹拌する。(5)遊離の糖鎖または抗体とトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを除去し、HEPES緩衝液(pH7.2)にバッファー交換するため、限外濾過(分画分子量:300,000)をする。これにより、糖鎖または抗体のリポソーム上のリンカーへの結合が達成され得る。
リポソーム形成と蛍光(例えば、cy5.5、Cy3、Cy7など)標識HSAの内包(工程A);リポソームの親水性化処理(工程B);リポソームとHSAの結合(工程C)およびリポソームへの糖鎖または抗体等の結合(工程D)に引き続いて0.45μmフィルター濾過をすることによって、仕上げることができる。
本発明において使用されるリポソーム、糖鎖または抗体修飾リポソームのタンパク質量は、例えば、リポソームに内包されたHSA量とリポソーム表面にカップリングしたHSAの総タンパク質量をBCA法により測定することができる。
タンパク質量の測定は、例えば、Micro BCATM Protein Assay Reagentキット(カタログ番号23235BN)(PIERCE Co.LTD)などを用いることができる。標準物質として、2mg/mlアルブミン(BSA)を使用し得る。(1)スタンダード溶液として、標準物質(2mg/ml:アルブミン)をPBS緩衝液で希釈し、0、0.25、0.5、1、2、3、4、5μg/50μl溶液を調製する。(2)Cy5.5内包糖鎖修飾リポソームをPBS緩衝液で20倍希釈し、検体溶液を調製する。(3)スタンダード溶液、検体溶液をそれぞれ試験管に50μl分注する。(4)各試験管に3%ラウリル硫酸ナトリウム溶液(SDS溶液)を100μl添加する。(5)キットに添付された試薬A、B、Cを、試薬A:試薬B:試薬C=48:2:50となるように混合し、各試験管に150μl添加する。(6)この試験管を、60℃で1時間、静置する。(7)室温に戻ってから、吸光度540nmを測定し、スタンダード溶液により検量線を作成して、リポソームのタンパク質量を測定する。検量線の一例を図4に示す。
本発明において使用される糖鎖修飾リポソームのタンパク質量は、例えば、0.1〜1mg/mlの範囲であり得る。Cy3により標識された糖鎖修飾リポソームのタンパク質量は、例えば、0.24mg/ml以上であり得る。Cy5.5により標識された糖鎖修飾リポソームのタンパク質量は、例えば、0.45mg/ml以上であり得る。Cy7により標識された糖鎖修飾リポソームのタンパク質量は、例えば、0.20mg/ml以上であり得る。
本発明において使用されるリポソーム、糖鎖修飾リポソームの構成脂質量は、例えば、コレステロール量を定量することにより算出することができる。
<脂質定量の原理>
脂質の定量には、例えば、デタミナーTC555キット(カタログ番号UCC/EAN128)(KYOWA Co.LTD)を用いることができる。標準物質として、キットに添付されている50mg/ml コレステロールを使用する。(1)スタンダード溶液として、標準物質(50mg/ml:コレステロール)をPBS緩衝液で希釈し、0、0.1、0.25、0.5、0.75、1、5、10μg/20μl溶液を調製する。(2)Cy5.5内包糖鎖修飾リポソームをPBS緩衝液で5倍希釈し、検体溶液を調製する。(3)スタンダード溶液、検体溶液をそれぞれ試験管に20μl分注する。(4)各試験管に、TritonX−100(10%溶液)を17μl添加して撹拌し、その後、37℃、40分間、静置する。(5)デタミナーTC555キットの酵素試薬を300μl添加して撹拌し、その後、37℃、20分間、静置する。(6)吸光度540nmを測定し、スタンダード溶液により検量線(検定線の一例を図5に示す。)を作成して、リポソームのコレステロール量を測定し、脂質量を求める。
コレステロール量から脂質量を求める換算式は、例えば、以下のように表される。
脂質量(μg/50μl)=コレステロール量(μg/50μl)×4.51(換算係数)
リポソーム中の脂質に対するタンパク質の割合は、例えば、上述のタンパク質定量および脂質定量の結果から導くことができる。本発明において使用される糖鎖修飾リポソームは、好ましくは、脂質に対するタンパク質の割合が、約0.1から約0.5である。
本発明において使用される糖鎖修飾リポソームの脂質量は、例えば、1〜4mg/mlの範囲であり得る。Cy3により標識された糖鎖修飾リポソームの脂質量は、例えば、1.2mg/ml以上であり得る。Cy5.5により標識された糖鎖修飾リポソームの脂質量は、例えば、1.4mg/ml以上であり得る。Cy7により標識された糖鎖修飾リポソームの脂質量は、例えば、2.1mg/ml以上であり得る。
本発明において使用されるリポソーム、糖鎖または抗体修飾リポソームの粒子径分布および粒子径は、例えば、リポソーム粒子を精製水で50倍に希釈して、ゼータサイザーナノ(Nan−ZS:MALVERN Co.LTD)を用いて測定することができる。
本発明において使用されるリポソーム、糖鎖または抗体修飾リポソームは、粒度分布の最大域において、約50nm〜約300nmの粒子径を有することが好ましい。なぜなら、約50nm〜約300nmの粒子径は、マクロファージなどの免疫系細胞の認識を回避でき、そして肝臓や脾臓の内皮細網系(RES)からの取り込みをある程度回避することができるからである。約50nm〜約300nmの粒子径の糖鎖修飾リポソームは、薬物を内包させ、その薬物を標的臓器、疾患部分に送達させるのに適している。
本発明において使用されるリポソーム、糖鎖または抗体修飾リポソームは、約50nm〜約300nmの平均粒子径を有し、好ましくは、約80nm〜約200nm、より好ましくは、約100nmの粒子径を有する。なぜなら、リポソームの粒子径が小さすぎると、肝臓・脾臓の細胞内皮系に非特異的に入り、粒子径が大きすぎると、マクロファージなどの免疫系細胞に貪食されやすくなるからである。また、本発明において使用されるリポソームは、負に荷電していることが望ましい。負に荷電していることにより、生体中の負に荷電している細胞との相互作用を防ぐことができる。本発明において使用されるリポソーム表面のゼ−タ電位は、生理食塩水中において、37℃で、−120〜10mV、好ましくは−80〜−30mV、さらに好ましくは−50〜−30mVである。リポソーム表面のゼータ電位は、25℃で、−120mV〜−30mVであり得るが、これらに限定されない。好ましくは、25℃で、−30mV未満である。リポソーム表面のゼータ電位は、−120mV(25℃)未満であっても、−30mV以上であってもよい。なぜなら、リポソーム間の凝集が生じさえしなければよいからである。
本発明において使用されるリポソーム、糖鎖または抗体修飾リポソームに含ませ得る薬剤としては、アルキル化系抗癌剤、代謝拮抗剤、植物由来抗癌剤、抗癌性抗生物質、BRM・サイトカイン類、白金錯体系抗癌剤、免疫療法剤、ホルモン系抗癌剤、モノクローナル抗体等の腫瘍用薬剤、中枢神経用薬剤、末梢神経系・感覚器官用薬剤、呼吸器疾患治療薬剤、循環器用薬剤、消化器官用薬剤、ホルモン系用薬剤、泌尿器・生殖器用薬剤、ビタミン・滋養強壮剤、代謝性医薬品、抗生物質・化学療法薬剤、検査用薬剤、抗炎症剤、眼疾患薬剤、中枢神経系薬剤、自己免疫系薬剤、循環器系薬剤、糖尿病、高脂血症のような生活習慣病薬剤、副腎皮質ホルモン、免疫抑制剤、抗菌薬、抗ウイルス薬、血管新生抑制剤、サイトカイン、ケモカイン、抗サイトカイン抗体、抗ケモカイン抗体、抗サイトカイン・ケモカイン受容体抗体、siRNA、miRNA、smRNA、アンチセンスODNまたはDNAのような遺伝子治療関連の核酸製剤、神経保護因子、抗体医薬、分子標的薬、骨粗鬆症・骨代謝改善薬、神経ペプチド、生理活性ペプチド・タンパク質等が挙げられる。例えば、腫瘍用薬剤として、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、シクロホスファミド、イホスファミド、プルスファン、塩酸ニムスチン、ミトブロニートール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウムなどのアルキル化剤、メルカプトプリン、チオイノシン(メルカプトプリンリボシド)、メトトレキサート、エノシタビン、シタラビン、塩酸アンシタビン(塩酸サイクロシチジン)、フルオロウラシル、5−FU、テガフール、ドキシフルリジン、カルモフールなどの代謝拮抗剤、エトポシド、硫酸ビンプラスチン、硫酸ピンクリスチン、硫酸ビンデシン、パクリタキセル、タキソール、塩酸イリノテカン、塩酸ノギテカンなどのアルカロイド等の植物由来抗癌剤、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、クロモマイシンA3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン(アクラシノマイシンA)、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシン、ネオカルチノスタチンなどの抗癌性抗生物質、その他、塩酸ミトキサントロン、カルボプラチン、シスプラチン、L−アスパラギナーゼ、アセグラトン、塩酸プロカルバジン、クエン酸タモキシフェン、ウベニメクス、レンチナン、シゾフィラン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ホスフェストロール、メピチオスタン、エピチオスタノール等がある。本発明において、上述の薬剤にはその誘導体も包含される。
上述のような薬剤を含ませることにより、本発明の医薬組成物を、動脈硬化症、癌、炎症等の疾患の治療に用いることができる。ここで、癌は、腫瘍や白血病等のあらゆる新生物による疾患を含む。本発明の医薬組成物にこれらの薬剤を含ませて投与した場合、薬剤を単独で投与した場合に比較し、薬剤が、動脈硬化巣、癌、炎症部位に集積する。単独投与の場合に比べ、2倍以上、好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上、特に好ましくは50倍以上集積し得る。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを結合させたリポソーム(基準リポソーム)を投与した場合と比較すると、3〜4倍、好ましくは4〜6倍集積し得る。
本発明の医薬組成物は、親水性化されたリポソームに、上述のように薬剤を封入することにより様々な疾患の治療に用いることができる。医薬組成物は、静脈注射によっても、経口投与によっても投与することができる。本発明の医薬組成物は、経口投与した場合の臓器への送達についても、経口投与により血中に移行した媒体は静脈注射と同様の傾向を示す。
なお、医薬効果を有する化合物は、リポソームの中に封入させてもよいし、リポソーム表面に結合させてもよい。例えば、タンパク質は上記のリンカーの結合方法と同じ方法で表面に結合させることが可能であり、他の化合物もその化合物が有する官能基を利用することにより、公知の方法で、結合させることができる。また、リポソーム内部への封入は、以下の方法により行う。リポソームへ薬剤等を封入するには、周知の方法を用いればよく、例えば、薬剤等の含有溶液とホスファチジルコリン類、ホスファチジルエタノールアミン類、ホスファチジン酸類もしくは長鎖アルキルリン酸塩類、ガングリオシド類、糖脂質類もしくはホスファチジルグリセロール類およびコレステロール類を含む脂質を用いてリポソームを形成することにより、薬剤等はリポソーム内に封入される。
したがって、本発明の医薬組成物では、リポソームに治療あるいは診断に供しうる薬剤あるいは遺伝子を封入することによって、動脈硬化巣、ガン組織、炎症組織、各種組織への移行性が選択的に制御されたものであり、治療薬剤あるいは診断剤の標的細胞、組織への集中による効力の増強あるいは他の細胞、組織に対する薬剤の取り込みの減少による副作用の軽減化等を図れるものである。
また、本発明の分子イメージング剤を診断用に用いる場合は、リポソームに蛍光色素、放射性化合物等の標識化合物を結合させる。該標識化合物結合リポソームが患部に結合し、標識化合物が患部細胞に取り込まれ、該標識化合物の存在を指標に疾患を検出・診断することができる。
(保健・食品)
本発明はまた、保健・食品分野においても利用することができる。このような場合、上述の経口医薬として用いられる場合の留意点を必要に応じて考慮すべきである。特に、特定保健食品のような機能性食品・健康食品などとして使用される場合には、医薬に準じた扱いを行うことが好ましい。好ましくは、本発明において使用されるリポソームに機能性食品、栄養補助食品または健康補助食品を封入または結合させたものを食品組成物として用いることができる。本発明で用い得る機能性食品、栄養補助食品または健康補助食品に限定はなく、摂取されて食品機能を有効に発現するように設計され、加工変換された食品ならばいずれのものも含まれる。
例えば、イチョウ葉、エキナシア、ノコギリヤシ、セントジョーンズワート、バレリアン、ブラックコホッシュ、ミルクシスル、月見草、ブドウ種子エキス、ビルペリー、ナツシロギク、当帰、大豆、フランス海岸松、ガーリック、高麗ニンジン、茶、ショウガ、アガリクス、メシマコブ、紫イペ、アクティブヘミセルロースコンパウンド(Active−Hemi−Cellulose−Compound:AHCC)、酵母ベータグルカン、マイタケ、プロポリス、ビール酵母、穀類、梅、クロレラ、大麦若葉、青汁、ビタミン類、コラーゲン、グルコサミン、桑葉、ルイボス茶、アミノ酸、ローヤルゼリー、シイタケ菌糸体エキス、スピルリナ、田七ニンジン、クレソン、植物発酵食品、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサぺンタエン酸(EPA)、アラキドン酸(ARA)、昆布、キャベツ、アロエ、メグスリノ木、ホップ、カキ肉エキス、ピクジエノール、ゴマ等が本発明に用い得る機能性食品、栄養補助食品または健康補助食品として例示できる。これらは、そのままリポソームに含ませてもよいし、抽出物等の処理物を含ませてもよい。リポソームを含む食品組成物は、経口摂取される。用いるリポソームは、糖鎖が結合していなくてもよく、また腸管吸収を高める糖鎖または特定の組織もしくは器官を標的とした糖鎖が結合していてもよい。本発明の組成物を食品組成物として投与する場合は、液体飲料、ゲル状食品、固形食品等の食品に加工すればよい。また、錠剤、顆粒等に加工してもよい。本発明の食品組成物は、リポソームが含む食品の種類に応じた機能性食品、栄養補助食品または健康補助食品として用いることができる。
例えば、DHAを含むリポソームは、軽度老人性痴呆症や記憶改善に効果のある機能性食品、栄養補助食品または健康補助食品として用いることができる。
(細胞接着分子に対する特異的因子を結合したリポソーム)
(細胞接着分子に対する抗体によるリポソームの修飾)
本発明は、例えば、動脈硬化巣内皮に発現している分子に対する抗体を用いてリポソームを修飾することにより細胞接着分子に対する特異的因子を結合したリポソームを製造することにより実施することができる。具体的には、VCAM−1、ICAM−1、E−selectin、P−selectinなどの細胞接着分子に対する抗体、MMPなどの細胞外マトリックス分解酵素に対する抗体等が使用され得る。また、抗体修飾の際には市販されているリポソームのラベリングキットを用いて実験を行うこともできる。市販されている、E−selectinと特異的に結合することが知られているシアリルLex系抗原(SLX)修飾リポソームを用いることもできる。
1つの具体的な実施形態において、Cy3蛍光ラベルリポソームはin vitroとex vivoの実験系に、Cy5.5蛍光ラベルリポソームはin vivoの実験系に用いられ得る。
(血管内皮細胞の分離およびリポソームの内皮細胞への接着(in vitro))
別の局面において、本発明は、血管内皮細胞の分離およびリポソームの内皮細胞への接着を確認する技術も提供する。血管内皮細胞の分離およびリポソームの内皮細胞への接着は、例えば、以下のように確認することができる。マウスの胸部大動脈を摘出し、コラゲネースで処理後、細胞の回収を行う。細胞形態等の観察、血管内皮細胞マーカーによる細胞染色、アセチル化LDLの取り込みなどで、内皮細胞であることを確認する。培養した内皮細胞にLipopolysaccharideを添加して炎症を惹起し、細胞接着分子を誘導する。各抗体またはSLX修飾リポソームを、培養した内皮細胞に添加する。24時間後に蛍光強度を測定することにより、内皮細胞に接着しているリポソームの量を測定する。最も効率よく内皮細胞に接着できる抗体または糖鎖を検討する。
(生体内での抗体修飾リポソームの確認およびin vivoイメージング)
本発明を生体内での抗体修飾リポソームの確認およびin vivoイメージングに使用する場合において、動脈硬化疾患モデルマウスを用いる。蛍光in vivoイメージング装置(IVIS)とマイクロCTを用いて、マウスの尾静脈からリポソームを静注後経時的に撮影を行う。イメージングにて取り込みが最大と考えられる時間で、大動脈を摘出し、硬化巣内に取り込まれているリポソームを蛍光顕微鏡下でも確認する。イメージングと組織学的検討をともに行うことにより、確実に硬化巣内へ取り込まれるリポソームを選定することができる。
蛍光を組織内で確認するためには、CCDカメラシステムを備える蛍光実体顕微鏡等が使用され得る。
本発明において、リポソームに対する抗体修飾を行う場合、片山化学工業株式会社より入手可能な抗体ラベリングキットを使用することによっても実施することが可能である。動物用イメージング装置としては、Xenogen社IVIS(登録商標)Imaging System、マイクロCT等を使用することも可能である。
(マクロファージに集積するリポソーム)
(1)Mφに対する抗体によるリポソームの修飾
Mφの泡沫化に関与することが知られているスカベンジャー受容体に対する抗体を用い、上記方法と同様の手法でリポソームを修飾する。具体的にはLOX−1(lectin−like oxidizedLDL receptor−1)、SR−A(クラスAスカベンジャー受容体),SRBI(クラスBタイプIスカベンジャー受容体)、CD36、CD68に対する抗体が使用され得る。
(2)Mφの採取とMφによるリポソームの貪食(in vitro)
マウスの腹腔内をPBSで洗浄してMφを回収する。培養したMφに、各抗体またはマンノースで修飾したリポソームを添加する。24時間後にリポソームを貪食したMφをカウントし、貪食効率を評価する。最も効率よくMφに貪食される抗体または糖鎖を検討する。
(3)生体内での抗体修飾リポソームの確認とin vivoイメージング
動脈硬化疾患モデルマウスに(3)の項で貪食効率のよかったリポソームを選択し、in vivoイメージングを行う。経時的に撮影し、生体内で最も効率よく取り込まれる抗体または糖鎖をイメージングと組織学的手法を用いて検討する。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
以下、実施例により、本発明の構成をより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において使用した試薬類は、特に言及した場合を除いて、GEヘルスケアバイオサイエンス社、SIGMA、SAJなどから市販されているものを使用した。
(実施例1.シアリルルイスX(SLX)で修飾した蛍光内包型リポソームの調製)
(蛍光標識ヒト血清アルブミン溶液の調製)
蛍光色素として、cy3またはcy5.5を用いた。ヒト血清アルブミン/N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)溶液(10mg/ml)、(2ml)に、cy3/N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)溶液(2mg/ml)またはcy5.5/N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)溶液(2mg/ml)、各1mlを混合して、37℃で3時間撹拌した。この混合溶液を、分画分子量10,000、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)溶液で限外濾過し、遊離の蛍光色素を除去し、蛍光標識した標識ヒト血清アルブミン溶液を調製した。
(リポソームの調製)
リポソームは既報の手法(Yamazaki,N.,Kodama,M.and Gabius,H.−J.(1994)Methods Enzymol.242,56−65)により、改良型コール酸透析法を用いて調製した。すなわち、ジパルミトイルホスファチジルコリン、コレステロール、ジセチルホスフェート、ガングリオシド(Total Ganglioside Extract(脳、ブタ−アンモニウム塩)販売元:Avanti、カタログ番号:100232(860053P))およびジパルミトイルホスファチジルエタノールアミンをモル比でそれぞれ35:40:5:15:5の割合で合計脂質量45.6mgになるように混合し、コール酸ナトリウム46.9mgを添加し、クロロホルム/メタノール(1:1)溶液3mlに溶解した。この溶液を蒸発させ、沈殿物を真空中で乾燥させることによって脂質膜を得た。得られた脂質膜をTAPS緩衝生理食塩液(pH8.4)3mlに再懸濁し、37℃で1時間攪拌した。次いで、この溶液を窒素置換し、超音波処理し、透明なミセル懸濁液3mlを得た。この超音波処理したミセル懸濁液にHSA緩衝液(pH8.4)で0.2mg/1mlになるよう完全に溶解した蛍光標識HSA溶液を撹拌しながらゆっくりと滴下して均一に混合した後、この蛍光色素入りミセル懸濁液をPM10膜(Amicon Co.,USA)とTAPS緩衝生理食塩液(pH8.4)を用いた限外濾過(分画分子量:10,000)にかけ均一な蛍光色素(cy3またはcy5.5)を内包するリポソーム粒子懸濁液各10mlを調製した。
得られた生理食塩懸濁液中(37℃)の蛍光色素を内包するリポソーム粒子の粒子径とゼータ電位をゼータ電位・粒子径・分子量測定装置(Model Nano ZS,Malvern Instruments Ltd,,UK)により測定した。その結果、cy3を内包したリポソームでは、粒子径は約50nm〜約300nm、ゼータ電位は−30〜−120mVであり、cy5.5を内包したリポソームでは、粒子径は約50nm〜約300nm、ゼータ電位は−30〜−120mVであった。
(蛍光色素を内包するリポソーム脂質膜面上の親水性化処理)
本実施例で調製した蛍光色素(cy3またはcy5.5)を内包するリポソーム溶液各10mlを、XM300膜(Amicon Co.,USA)と炭酸緩衝液(pH 8.5)を用いた限外濾過(分画分子量:300,000)にかけ溶液のpHを8.5にした。次に、架橋試薬ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS;Pierce Co.,USA)10mgを加え、室温で2時間攪拌した。その後、さらに7℃で一晩攪拌してリポソーム膜上の脂質ジパルミトイルフォスファチジルエタノールアミンとBSとの化学結合反応を完結した。そして、このリポソーム液をXM300膜と炭酸緩衝液(pH 8.5)で限外濾過(分画分子量:300,000)にかけた。次に、炭酸緩衝液(pH 8.5)1mlに溶かしたトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン40mgをリポソーム液10mlに加えた。次いで、この溶液を、室温で2時間攪拌後、冷蔵下で一晩攪拌し、分画分子量300,000で限外濾過し、遊離のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを除去し、該炭酸緩衝液をN−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH8.4)に交換し、リポソーム膜上の脂質に結合したBSとトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとの化学結合反応を完結した。これにより、リポソーム膜の脂質ジパルミトイルフォスファチジルエタノールアミン上にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの水酸基が配位して水和親水性化された。
(蛍光色素を内包するリポソーム膜面上へのヒト血清アルブミン(HSA)の結合)
リポソーム膜面上へのヒト血清アルブミン(HSA)の結合は、既報の手法(Yamazaki,N.,Kodama,M.and Gabius,H.−J.(1994)MethodsEnzymol.242,56−65)により、カップリング反応法を用いて行った。すなわち、この反応は2段階化学反応で行った。はじめに、本実施例で得られた各10mlのリポソーム膜面上に存在するガングリオシドを1mlのN−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液(pH 8.4)に溶かしたメタ過ヨウ素酸ナトリウム10.8mgを加え、7℃で一晩攪拌して過ヨウ素酸酸化した。XM300膜とPBS緩衝液(pH 8.0)で限外濾過(分画分子量:300,000)することにより、遊離の過ヨウ素酸ナトリウムを除去し、N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液をPBS緩衝液(pH8.0)に交換して、酸化されたリポソーム10mlを得た。このリポソーム液に、20mgのヒト血清アルブミン(HSA)/PBS緩衝液(pH 8.0)を加えて室温で2時間反応させ、次に2M NaBHCN/PBS緩衝液(pH 8.0)100μlを加えて室温で2時間、さらに冷蔵下で一晩攪拌してリポソーム上のガングリオシドとHSAとのカップリング反応でHSAを結合した。次いで、限外濾過(分画分子量:300,000)し、遊離のシアノホウ素酸ナトリウムおよびヒト血清アルブミンを除去し、この溶液の緩衝液を炭酸緩衝液(pH8.5)に交換して、HSA結合リポソーム液各10mlを得た。
(糖鎖の調製)
糖鎖としてシアリルルイスX(SLX)(メーカー:CALBIOCHEM、カタログ番号:565950)を使用した。
糖鎖の質量を計測し、以下において使用するための前処理をした。
(蛍光色素を内包するリポソーム膜面結合ヒト血清アルブミン(HSA)上への糖鎖の結合とリンカータンパク質(HSA)の親水性化処理)
本実施例において調製した糖鎖2mgを精製水に溶解し、0.25gのNHHCOを溶かした0.5ml水溶液に加え、37℃で3日間攪拌した後、0.45μmのフィルターで濾過して糖鎖の還元末端のアミノ化反応を完結して、糖鎖のグリコシルアミン化合物4mg/ml(アミノ化糖鎖溶液)を得た。次に、本実施例で得たリポソーム液の一部分10mlに架橋試薬3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP;Pierce Co.,USA)10mgを加えて室温で2時間、続いて冷蔵下で一晩攪拌し、XM300膜と炭酸緩衝液(pH 8.5)で限外濾過(分画分子量:300,000)して、遊離のDTSSPを除去し、DTSSPがリポソーム上のHSAに結合したリポソーム10mlを得た。次に、このリポソーム液に上記のグリコシルアミン化合物(アミノ化糖鎖溶液)12.5、37.5、125、250、500、1250、2500μlを加えて、室温で2時間反応させ、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン/炭酸緩衝液(pH 8.5)を添加し、その後、冷蔵下で一晩攪拌し、リポソーム膜面結合ヒト血清アルブミン上のDTSSPにグリコシル化アミン化合物の結合を行った。XM300膜とHEPES緩衝液(pH 7.2)で限外濾過(分画分子量:300,000)して、遊離の糖鎖およびトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを除去した。その結果、糖鎖とヒト血清アルブミンとリポソームとが結合したリポソーム各10mlが得られた。修飾結合密度0.025mg糖鎖/mg脂質で糖鎖修飾リポソームを調製した場合、cy3では、総脂質量43.6mg、総蛋白量4.1mg、平均粒子径85.3nm、cy5.5では、総脂質量38.5mg、総蛋白量5.8mg、平均粒子径98.3nmであった。
得られた生理食塩懸濁液中(37℃)の蛍光色素を内包するリポソーム粒子の粒子径とゼータ電位をゼータ電位・粒子径・分子量測定装置(Model Nano ZS,Malvern Instruments Ltd,,UK)により測定した。その結果、上記糖鎖修飾リポソームは、cy3では、粒子径は約50nm〜約300nm、ゼータ電位は−30〜−120mVであり、cy5.5では、粒子径は約50nm〜約300nm、ゼータ電位は−30〜−120mVであった。
(調製例1.糖鎖の結合していない蛍光内包型リポソームの調製)
(リポソーム膜面結合ヒト血清アルブミン(HSA)上へのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの結合)
比較試料としての糖鎖の結合していない蛍光内包型リポソームを調製するために、実施例1の(蛍光色素を内包するリポソーム膜面上へのヒト血清アルブミン(HSA)の結合)で得たリポソーム液の一部分10mlに架橋試薬3,3’−ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート(DTSSP;Pierce Co.,USA)10mgを加えて室温で2時間、続いて冷蔵下で一晩攪拌し、XM300膜と炭酸緩衝液(pH 8.5)で限外濾過(分画分子量:300,000)して、遊離のDTSSPを除去し、DTSSPがリポソーム上のHSAに結合したリポソーム10mlを得た。次に、このリポソーム液にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Wako Co.,Japan)26.4mgを加えて、室温で2時間攪拌し、その後冷蔵下で一晩攪拌し、リポソーム膜面結合ヒト血清アルブミン上のDTSSPにトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの結合を行った。XM300膜とHEPES緩衝液(pH 7.2)で限外濾過(分画分子量:300,000)した。この工程で既に大過剰である26.4mgのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが存在するのでリポソーム膜面結合ヒト血清アルブミン(HSA)上の親水性化処理も同時に完結した。0.45μmのフィルターで濾過して、最終産物である親水性化処理されたトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとヒト血清アルブミンとリポソームとが結合した比較試料としてのリポソーム(略称:TRIS)10ml(cy3では、総脂質量43.9mg、総蛋白量3.7mg、平均粒子径87.7nm、cy5.5では、総脂質量37.8mg、総蛋白量6.5mg、平均粒子径95nm)が得られた。
本実施例において調製したSLX修飾リポソームの性状の一例を、図6に示す。
(比較例1.SLX以外の糖鎖で修飾した、蛍光内包型糖鎖修飾リポソームの調製)
(1.糖鎖N−アセチルラクトサミンで修飾した糖鎖修飾リポソーム)
糖鎖としてN−アセチルラクトサミンを使用する。実施例1と同様の方法を使用してN−アセチルラクトサミン修飾リポソームを得る。
(実施例2.SLX付加リポソームの動脈硬化に対する集積性)
本実施例では、SLX付加リポソームの動脈硬化に対する集積性を検討した。
(動脈硬化モデルの作製)
本実施例では、6週齢雌性のapolipoprotein E(ApoE)ノックアウトマウス(ApoE−/−)25匹(ジャクソン社)およびLDL−レセプター(LDL−R)ノックアウトマウス(LDLR−/−)5匹(ジャクソン社)を用いた。
これらのマウスに、高脂肪食(Western diet)(オリエンタル酵母工業:F2WTD)を12週間与え、動脈硬化マウスを作製した。
(SLX修飾リポソームの投与の影響)
(大動脈基部の動脈硬化病変の観察)
本実施例では、SLX修飾リポソームを動脈硬化マウスに注入し、動脈硬化巣におけるマクロファージ・血管内皮細胞を検索した。具体的には、HE染色により大動脈基部の組織像を確認し、蛍光抗体法によりマクロファージ・血管内皮細胞を検出した。
本実施例では、動脈硬化マウスとして、実施例1において作製したapolipoprotein E(ApoE)ノックアウトマウス(ApoE−/−)動脈硬化モデルを用いた。
この動脈硬化マウス15匹に、実施例1において調製したSLX修飾リポソームを尾静脈より50μl静注し、その24時間後に大動脈を摘出した。具体的には、ジエチルエーテルで麻酔後、頚椎脱臼により致死させた。マウスを70%エタノールで消毒後、胸骨正中切開により開胸した。脂肪などの周辺組織を剥離しながら心臓ならびに大動脈を露出させ、大動脈基部から下行大動脈まで一塊として摘出した。。
摘出した大動脈の大動脈基部を厚さ5μmの切片にして、組織標本を作製した。
HE染色用の標本は、大動脈基部をクライオスタットを用いて厚さ5μmに薄切し、その切片をスライドガラスに貼り付けて、十分に乾燥させることにより作製し、その後、染色に供した。
蛍光抗体法用の標本は、大動脈基部をクライオスタットを用いて厚さ5μmに薄切し、その切片をスライドガラスに貼り付けて、十分に乾燥させることにより作製し、その後、染色に供した。
(1.HE染色)
作製した標本をHE染色した。HE染色は、以下のように行った。
標本を蒸留水で洗浄後、マイヤーヘマトキシリン液で10分間染色した。その後、流水で約5分間ほど水洗した。次に、エオジン液で3分間染色後、蒸留水で30秒ほど軽く水洗した。最後に、70%エタノール、100%エタノールで脱水し、キシレンで透徹を行い、封入してした。
(2.蛍光抗体法)
蛍光抗体法を用いてマクロファージおよび血管内皮細胞を染色した。
作製した凍結切片(5μm)をPBSで洗浄し、5% BSA(ウシ血清アルブミン)を用いて室温にて1時間、ブロッキングした。次いで、この凍結切片に、一次抗体を室温にて1時間30分反応させた。マクロファージを染色するための一次抗体として、F4/80(ラット抗マウスIgG)(製造元:BMA BIOMEDICALS カタログ番号:T−2008)もしくはMOMA−2(ラット抗マウスIgG)(製造元:serotec カタログ番号:MCA519G)を用いた。血管内皮細胞を染色するための一次抗体として、CD31(ラット抗マウスIgG)(製造元:BD Pharmingen カタログ番号:550274)を用いた。次いで、この切片をPBSで洗浄し、二次抗体(Alexa Fluor 488ヤギ抗ラットIgG)(インビトロジェン社 A−21208)を室温で1時間反応させた。この切片をPBSで洗浄し、Hoechst33258(polysciences,Inc.PA,USA カタログ09460)で核染色をした。さらに切片をPBSで洗浄し、封入した。
その結果を、図7〜9に示す。図7は、HE染色した大動脈の組織写真である。このHE染色からWestern dietを負荷したApolipoproteinノックアウトマウスでは、大動脈に著明なアテローム性動脈硬化病変が形成されることが確認された。Cy3を内包させたSLX修飾リポソームを投与した動脈硬化マウスでは、大動脈にSLX修飾リポソームの集積が観察された(図8右および図9左を参照こと。)。蛍光抗体法による組織写真では、SLX修飾リポソームは赤色、内皮細胞は緑色、核は青色に染まった(図9左)。
動脈硬化疾患モデルマウスでは、蛍光ラベルしたSLX修飾リポソームが動脈硬化巣内に取り込まれることが確認できた。
(比較例2.野生型マウスに対するSLX修飾リポソームの集積)
対照として6週齢の雌性C57BL/6マウス(Wild−type)(10匹)を使用した。動脈硬化マウスの替わりにC57BL/6マウスを用いること以外、実施例2と同様の方法を用いた。
その結果、HE染色した野生型マウスでは、血管壁に動脈硬化病変は認められなかった。蛍光染色法では、野生型マウスの大動脈において、内皮細胞は緑色に、核は青色に染色されたが、Cy3を内包させたSLX修飾リポソームは検出されなかった(図10右)。
調製例1において調製した糖鎖なし蛍光内包型リポソーム、および比較例1において調製したN−アセチルラクトサミン修飾リポソームについても、実施例2および本比較例と同様の実験を行い、糖鎖なし蛍光内包型リポソームおよびN−アセチルラクトサミン修飾リポソームを投与した場合の影響を評価する。
(実施例3.アテローム性プラークの確認)
本実施例では、大動脈の動脈硬化病変の観察(ex vivo)を行った。具体的には、実施例1において作製したSLX修飾リポソームをマウスの尾静脈より50μl静注し、その24時間後に大動脈を摘出した。大動脈を長軸方向に展開し、蛍光顕微鏡で観察、プラークにリポソームが取り込まれているか検討した。さらに同検体をSudan IV染色でプラークを染めた。
具体的には、動物モデルとして、実施例2において作製したLDL−レセプター(LDL−R)ノックアウトマウス(LDLR−/−)動脈硬化モデルを用いた。
この動脈硬化マウス(3匹)をジエチルエーテルで麻酔後、実施例1において調製したSLX修飾リポソーム(50μl)を尾静脈より静注した。
SLX修飾リポソームの投与後24時間後に、実施例2と同様の方法を用いてマウスから大動脈を摘出した。
アテローム性プラークを検索するために、スダンIV染色法を用いた。具体的には以下のとおり行った。
摘出した大動脈を10%ホルマリンで一晩、固定した。次いで、70%エタノールで3分間リンスし、0.5%(wt/vol)スダンIV染色液(Sudan IV 1g、蒸留水 30ml、エタノール 70mlおよびアセトン 100ml)を用いて、室温で15分間、染色した。染色した切片を、70%エタノールでリンスし、バックグラウンドを脱色した。蒸留水で5分間洗浄した後、PBSで4℃にて保存した。
また、Cy3でラベルされたSLX修飾リポソームを静注したマウスから、24時間後に大動脈を摘出して、それを長軸方向に展開し、プラークが認められる部分を蛍光顕微鏡で観察し、Cy3の赤い蛍光を検出した。
LDLR−/−動脈硬化モデルにおいて、アロテーム性プラークがスダンIVによって染色された(図12左)。この部位には、SLX修飾リポソームが集積していることが確認できた(図12右)。
不安定プラークの診断法として表面修飾リポソームを用いるのは全く新規の方法であり、独創的な方法である。リポソームを貪食させることでマクロファージに蛍光を集積させることで、活動性の高いマクロファージが存在する動脈硬化巣のみを観察できるようにする。これにより、不安定プラークを鑑別することが可能となり、質的診断特性を持った革新的な動脈硬化の診断法開発へと結びつくことが期待される。不安定プラークに特異的に到達できるこの技術を達成すると、リポソーム内部に薬剤などを内包化することで、新しい薬物送達システム(DDS:ドラッグデリバリーシステム)として利用できる可能性があると考えられる。
調製例1において調製した糖鎖なし蛍光内包型リポソーム、および比較例1において調製したN−アセチルラクトサミン修飾リポソームについても、本実施例と同様の実験を行い、アテローム性プラークへのリポソームの取り込みを評価する。
(実施例4.動脈硬化モデルの生体イメージング)
本実施例では、大動脈の動脈硬化病変の生体内イメージング(in vivo)を行った。
実施例1により作製したSLX修飾リポソームをマウスの尾静脈より50μl静注し、その24時間後にeXplore OptixTM(GE Healthcare)でマウス胸部にROIを設定して撮影した。
ネンブタール溶液は、原液(ペントバルビタールナトリウム 50mg/ml大日本住友製薬)を生理食塩水で10倍に希釈したものを使用した。このネンブタール溶液を動脈硬化マウスの腹腔内に150μlを投与して麻酔をかけた。尾静脈より、cy5.5内包SLX修飾リポソーム(K1)(50μl:脂質量150μg相当)を投与した。投与の6時間後、および24時間後に、蛍光イメージング装置 eXplore Optix(GE Healthcare)により画像データを取った。画像データは、すべて腹側より撮影した(図13には撮影の様子を示す。)。
その結果、SLX修飾リポソーム投与の6時間後においても、24時間後においてもリポソームは動脈硬化病変に集積したことが確認された(図1、図2および図3;図1は6時間後を示し、図2は24時間後を示す。図3は、24時間後の画像(図2)の拡大図である。いずれも、左側に動脈硬化を発生させたマウスであり、右側は野生型のマウスにおける画像を示す。)。
(比較例3.野生型マウスの生体内イメージング)
実施例4と同様の方法を用いて、尾静脈より、cy5.5内包SLX修飾リポソーム(K1)(50μl:脂質量150μg相当)を投与した。投与の6時間後および24時間後に、蛍光イメージング装置 eXplore Optix(GE Healthcare)により画像データを取った。
調製例1において調製した糖鎖なし蛍光内包型リポソーム、および比較例1において調製したN−アセチルラクトサミン修飾リポソームについても、実施例4および本比較例と同様の実験を行い、動脈硬化モデルの生体イメージングを実施する。
(まとめ)
不安定プラークの診断法として表面修飾リポソームを用いるのは全く新規の方法であり、独創的な方法である。リポソームを貪食させることでマクロファージに蛍光を集積させることで、活動性の高いマクロファージが存在する動脈硬化巣のみを観察できるようにする。これにより、不安定プラークを鑑別することが可能となり、質的診断特性を持った革新的な動脈硬化の診断法開発へと結びつくことが期待される。不安定プラークに特異的に到達できるこの技術を達成すると、リポソーム内部に薬剤などを内包化することで、新しい薬物送達システム(DDS:ドラッグデリバリーシステム)として利用できる可能性がある。さらに、本発明は、頚動脈エコーで検出される内膜中膜複合体厚(IMT)肥厚においても質的診断を加えることができる可能性があると考えられる。
(実施例5.動脈硬化巣に対する抗体で修飾した蛍光内包型リポソームの調製)
本実施例では、動脈硬化巣に対する特異的因子としてSLXの代わりに、抗体(VCAM−1、ICAM−1、E−selectin、P−selectinなどの細胞接着分子に対する抗体、MMPなどの細胞外マトリックス分解酵素に対する抗体)、抗体フラグメント、抗体改変体を用いること以外、実施例1と同様の方法を用いる。
(蛍光標識ヒト血清アルブミン溶液の調製)
実施例1と同様の方法を使用して、蛍光標識したヒト血清アルブミン溶液を調製する。
ヒト血清アルブミン/N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液溶液に、蛍光色素溶液を混合して撹拌した。この混合溶液を限外濾過し、遊離の蛍光色素を除去し、蛍光標識した標識ヒト血清アルブミン溶液を調製する。
(リポソームの調製)
脂質を混合し、クロロホルム/メタノール溶液に溶解する。この溶液を蒸発させ、沈殿物を真空中で乾燥させることによって脂質膜を得る。得られた脂質膜を緩衝液に再懸濁し、攪拌する。次いで、この溶液を窒素置換し、超音波処理し、ミセル懸濁液を得る。この超音波処理したミセル懸濁液に蛍光標識HSA溶液を撹拌しながらゆっくりと滴下して均一に混合した後、限外濾過にかけ蛍光色素を内包するリポソーム粒子懸濁液を得る。
得られた懸濁液中の蛍光色素を内包するリポソーム粒子の粒子径とゼータ電位をゼータ電位・粒子径・分子量測定装置(Model Nano ZS,Malvern Instruments Ltd,,UK)により測定する。
(蛍光色素を内包するリポソーム脂質膜面上の親水性化処理)
本実施例で調製した蛍光色素を内包するリポソーム溶液を、限外濾過にかけpHを調製する。次に、架橋試薬を加え攪拌する。そして、このリポソーム溶液を限外濾過にかけ、緩衝液に溶かしたトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを加える。次いで、この溶液を攪拌し、限外濾過し、リポソーム膜上の脂質に結合した架橋剤とトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとの化学結合反応を完結させ、リポソーム脂質膜面上を水和親水性化する。
(蛍光色素を内包するリポソーム膜面上へのヒト血清アルブミン(HSA)の結合)
本実施例で得られたリポソームに緩衝液に溶かしたメタ過ヨウ素酸ナトリウムを加え、攪拌して過ヨウ素酸酸化する。この溶液を限外濾過にかけ、緩衝液を交換して、酸化されたリポソームを得る。このリポソーム液に、血清アルブミン(HSA)溶液を加えて反応させ、NaBHCN溶液を加えて攪拌する。次いで、限外濾過し、緩衝液を交換して、HSA結合リポソーム液を得る。
(蛍光色素を内包するリポソーム膜面結合ヒト血清アルブミン(HSA)上への抗体の結合とリンカータンパク質(HSA)の親水性化処理)
抗体として、VCAM−1、ICAM−1、E−selectin、P−selectinなどの細胞接着分子に対する抗体、MMPなどの細胞外マトリックス分解酵素に対する抗体、それらの抗体フラグメント、抗体改変体を用いて抗体溶液を調製する。本実施例で得たリポソーム液の一部分に架橋試薬を加えて攪拌し、限外濾過して、架橋試薬がリポソーム上のHSAに結合したリポソームを得る。次に、このリポソーム液に抗体溶液を加えて反応させ、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液を添加し、攪拌する。この溶液を限外濾過して、抗体と血清アルブミンとリポソームとが結合したリポソームを得る。
(抗体で修飾したリポソームの動脈硬化に対する集積性)
実施例2と同様の方法を使用して、本実施例で作製した抗体で修飾したリポソームの動脈硬化に対する集積性を検討する。動脈硬化モデルは、実施例2と同様に作製したものを用いる。
(抗体で修飾したリポソームの投与の影響)
実施例2と同様の方法を使用して、本実施例で作製した抗体で修飾したリポソームを投与した場合の影響について検討する。抗体で修飾したリポソームを動脈硬化マウスに注入し、動脈硬化病変におけるマクロファージ・血管内皮細胞を検索する。具体的には、HE染色により大動脈基部の組織像を確認し、蛍光抗体法によりマクロファージ・血管内皮細胞を検出する。
野生型マウスについても実施例2と同様に実験を行う。
(アテローム性プラークの確認)
実施例3と同様の方法を使用して、大動脈の動脈硬化病変の観察(ex vivo)を行う。具体的には、本実施例で作製した抗体で修飾したリポソームをマウスの尾静脈に静注し、その後、大動脈を摘出し、長軸方向に展開し、蛍光顕微鏡で観察、プラークにリポソームが取り込まれているか検討する。さらに同検体をSudan IVで染色し、プラークを観察する。
(動脈硬化モデルの生体イメージング)
実施例4と同様の方法を使用して、大動脈の動脈硬化病変の生体内イメージング(in vivo)を行う。本実施例で作製した抗体で修飾したリポソームをマウスの尾静脈に静注し、その後、eXplore OptixTM(GE Healthcare)でマウス胸部にROIを設定して撮影をおこなう。野生型マウスについても同様に生体内イメージングを行う。
(実施例6.動脈硬化巣に対する特異的因子で修飾したスタチン内包型リポソームの調製およびDDSとしての治療剤の効果の確認)
本実施例では、蛍光色素の代わりにスタチンを用いること以外、実施例1と同様の方法を用いる。動脈硬化巣に対する特異的因子として、SLX、動脈硬化巣内皮に発現している分子に対する抗体(VCAM−1、ICAM−1、E−selectin、P−selectinなどの細胞接着分子に対する抗体、MMPなどの細胞外マトリックス分解酵素に対する抗体)、抗体フラグメント、抗体改変体を用いる。
(スタチン内包リポソームの調製)
本実施例では、例示としてロバスタチンを使用する。ロバスタチンは、公知の方法によって合成してもよいし、市販されているもの(例えば、米メルクから入手可能)を用いることができる。
ロバスタチン内包リポソームは、AAPS PharmSciTech.2007 Mar 23;8(1):24に記載される方法を用いて調製することができる。
得られたスタチン内包リポソームを、実施例1と同様の方法を使用して、親水性化する。親水性化したリポソームとリンカータンパク質を結合させる。このリポソームへ糖鎖を結合させ、親水性化する。
(スタチン内包リポソームの動脈硬化に対する影響)
実施例2と同様の方法を使用して、本実施例で作製したスタチン内包リポソームを被験体に投与した場合の影響について検討する。これらのスタチン内包リポソームを動脈硬化マウスに注入し、動脈硬化病変の状態、動脈硬化巣におけるマクロファージ・血管内皮細胞を観察する。必要に応じて組織片を採取し、病状等を確認する。例えば、HE染色により大動脈基部の組織像を確認し、蛍光抗体法によりマクロファージ・血管内皮細胞を検出する。野生型マウスについても同様に実験を行う。
(アテローム性プラークの確認)
実施例3と同様の方法を使用して、大動脈の動脈硬化病変の観察(ex vivo)を行う。具体的には、本実施例において作製したスタチン内包リポソームをマウスの尾静脈に静注し、その後、大動脈を摘出し、長軸方向に展開し、Sudan IVで染色し、プラークを観察し、病状を確認する。
(結果の判断)
上記のようにプラーク・動脈硬化巣を観察することによって、スタチン内包リポソームの治療効果を決定することができる。
(実施例7.蛍光色素以外の標識を用いた、動脈硬化巣に対する特異的因子で修飾したリポソームの調製)
本実施例では、標識物質として、蛍光色素の代わりに造影剤(イオヘキソール、イオパミドール、ウログラフィン)、超音波造影剤(レボビスト、ソナゾイド)、金属錯体(ガドリウム錯体、ユーロピウム錯体、テルビウム錯体)を用いること以外、実施例1と同様の方法を用いる。動脈硬化巣に対する特異的因子として、SLX、動脈硬化巣内皮に発現している分子に対する抗体(VCAM−1、ICAM−1、E−selectin、P−selectinなどの細胞接着分子に対する抗体、MMPなどの細胞外マトリックス分解酵素に対する抗体)、抗体フラグメント、抗体改変体を用いる。
(標識物質を内包したリポソームの調製)
実施例1と同様の方法を用いて、標識物質を内包させたリポソームを調製する。
得られた懸濁液中の標識物質を内包するリポソーム粒子の粒子径とゼータ電位をゼータ電位・粒子径・分子量測定装置(Model Nano ZS,Malvern Instruments Ltd,,UK)により測定する。
(標識物質を内包するリポソーム脂質膜面上の親水性化処理)
本実施例で調製した標識物質を内包するリポソーム溶液を、限外濾過にかけpHを調製する。次に、架橋試薬を加え攪拌する。そして、このリポソーム溶液を限外濾過にかけ、緩衝液に溶かしたトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを加える。次いで、この溶液を攪拌し、限外濾過し、リポソーム膜上の脂質に結合した架橋剤とトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとの化学結合反応を完結させ、リポソーム脂質膜面上を水和親水性化する。
(標識物質を内包するリポソーム膜面上へのヒト血清アルブミン(HSA)の結合)
本実施例で得られたリポソームに緩衝液に溶かしたメタ過ヨウ素酸ナトリウムを加え、攪拌して過ヨウ素酸酸化する。この溶液を限外濾過にかけ、緩衝液を交換して、酸化されたリポソームを得る。このリポソーム液に、血清アルブミン(HSA)溶液を加えて反応させ、NaBHCN溶液を加えて攪拌する。次いで、限外濾過し、緩衝液を交換して、HSA結合リポソーム液を得る。
(標識物質を内包するリポソーム膜面結合ヒト血清アルブミン(HSA)上への動脈硬化巣に対する特異的因子の結合とリンカータンパク質の親水性化処理)
動脈硬化巣に対する特異的因子として、SLX、抗体(VCAM−1、ICAM−1、E−selectin、P−selectinなどの細胞接着分子に対する抗体、MMPなどの細胞外マトリックス分解酵素に対する抗体)、抗体フラグメント、抗体改変体を溶解した溶液を調製する。本実施例で得たリポソーム液の一部分に架橋試薬を加えて攪拌し、限外濾過して、架橋試薬がリポソーム上のHSAに結合したリポソームを得る。次に、このリポソーム液に抗体溶液を加えて反応させ、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液を添加し、攪拌する。この溶液を限外濾過して、抗体と血清アルブミンとリポソームとが結合したリポソームを得る。
(動脈硬化モデルの生体イメージング)
実施例4と同様の方法を使用して、大動脈の動脈硬化病変の生体内イメージング(in vivo)を行う。本実施例で作製した標識物質内包リポソームをマウスの尾静脈に静注し、その後、MRI装置、コンピュータ連動断層撮影装置等を用いて撮影をおこなう。野生型マウスについても同様に生体内イメージングを行う。
マウスにおける結果をもとに、人の診断において使用する量などを決定することができる。具体的には、インフォームドコンセントをとったヒト動脈硬化症の患者および健常人に対して、本実施例において調製した標識物質内包リポソームを投与し、その経過をMRI装置、コンピュータ連動断層撮影装置等を用いて観察することによって使用量などを決定することができる。
(実施例8.マクロファージに指向する標識物質内包型リポソームの調製)
(マンノースで修飾した標識物質内包型リポソームの調製)
本実施例では、糖鎖として、マンノースを用いること、標識物質として、蛍光色素、造影剤(イオヘキソール、イオパミドール、ウログラフィン)、超音波造影剤(レボビスト、ソナゾイド)、金属錯体(ガドリウム錯体、ユーロピウム錯体、テルビウム錯体)を用いること以外、実施例1と同様の方法を用いる。
(標識ヒト血清アルブミン溶液の調製)
実施例1と同様の方法を使用して、標識したヒト血清アルブミン溶液を調製する。
ヒト血清アルブミン/N−トリス(ヒドロキシメチル)−3−アミノプロパンスルホン酸緩衝液溶液に、標識物質溶液を混合して撹拌した。この混合溶液を限外濾過し、遊離の標識物質を除去し、標識ヒト血清アルブミン溶液を調製する。
(リポソームの調製)
脂質を混合し、クロロホルム/メタノール溶液に溶解する。この溶液を蒸発させ、沈殿物を真空中で乾燥させることによって脂質膜を得る。得られた脂質膜を緩衝液に再懸濁し、攪拌する。次いで、この溶液を窒素置換し、超音波処理し、ミセル懸濁液を得る。この超音波処理したミセル懸濁液に標識HSA溶液を撹拌しながらゆっくりと滴下して均一に混合した後、限外濾過にかけ標識物質を内包するリポソーム粒子懸濁液を得る。
得られた懸濁液中の標識物質を内包するリポソーム粒子の粒子径とゼータ電位をゼータ電位・粒子径・分子量測定装置(Model Nano ZS,Malvern Instruments Ltd,,UK)により測定する。
(標識物質を内包するリポソーム脂質膜面上の親水性化処理)
本実施例で調製した標識物質を内包するリポソーム溶液を、限外濾過にかけpHを調製する。次に、架橋試薬を加え攪拌する。そして、このリポソーム溶液を限外濾過にかけ、緩衝液に溶かしたトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを加える。次いで、この溶液を攪拌し、限外濾過し、リポソーム膜上の脂質に結合した架橋剤とトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとの化学結合反応を完結させ、リポソーム脂質膜面上を水和親水性化する。
(標識物質を内包するリポソーム膜面上へのヒト血清アルブミン(HSA)の結合)
本実施例で得られたリポソームに緩衝液に溶かしたメタ過ヨウ素酸ナトリウムを加え、攪拌して過ヨウ素酸酸化する。この溶液を限外濾過にかけ、緩衝液を交換して、酸化されたリポソームを得る。このリポソーム液に、血清アルブミン(HSA)溶液を加えて反応させ、NaBHCN溶液を加えて攪拌する。次いで、限外濾過し、緩衝液を交換して、HSA結合リポソーム液を得る。
(標識物質を内包するリポソーム膜面結合ヒト血清アルブミン(HSA)上へのマンノースの結合とリンカータンパク質(HSA)の親水性化処理)
実施例1と同様の方法により、マンノース溶液を調製する。本実施例で得たリポソーム液の一部分に架橋試薬を加えて攪拌し、限外濾過して、架橋試薬がリポソーム上のHSAに結合したリポソームを得る。次に、このリポソーム液にマンノース溶液を加えて反応させ、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液を添加し、攪拌する。この溶液を限外濾過して、マンノースと血清アルブミンとリポソームとが結合したリポソームを得る。
(マクロファージに対する抗体により修飾した標識物質内包型リポソームの製造)
マクロファージの泡沫化に関与することが知られているスカベンジャー受容体に対する抗体、抗体フラグメント、抗体改変体を用いること以外、実施例5と同様の方法により、抗体で修飾したリポソームを作製する。具体的には、LOX−1(lectin−like oxidizedLDL receptor−1)、SR−A(クラスAスカベンジャー受容体)、SRBI(クラスBタイプIスカベンジャー受容体)、CD36、CD68に対する抗体、それらの抗体フラグメント、抗体改変体を用いる。リポソーム脂質膜面上の親水性化処理、リポソーム膜面上へのヒト血清アルブミン(HSA)の結合、該HSA上への糖鎖の結合、リンカータンパク質の親水性化処理は、実施例1と同様に行う。
(マクロファージに対する集積性)
実施例2と同様の方法を使用して、本実施例で作製したリポソームのマクロファージおよびマクロファージまたはマクロファージに関連する疾患、障害もしくは状態に対する集積性を検討する。
(リポソームの投与の影響)
実施例2と同様の方法を使用して、本実施例で作製したリポソームを投与した場合の影響について検討する。具体的には、マクロファージに指向する標識物質内包型リポソームをマクロファージに関連する疾患、障害もしくは状態を有するマウスに注入し、病巣におけるマクロファージを検索する。具体的には、HE染色により組織像を確認し、蛍光抗体法によりマクロファージを検出する。
(生体イメージング)
実施例4と同様の方法を使用して、マクロファージに関連する疾患、障害もしくは状態を有するマウスの生体内イメージング(in vivo)を行う。本実施例で作製した、マクロファージに指向する標識物質内包型リポソームをマウスの尾静脈に静注し、その後、eXplore OptixTM(GE Healthcare)、MRI装置、コンピュータ連動断層撮影装置等を用いて撮影をおこなう。
(マクロファージの採取とマクロファージによるリポソームの貪食(in vitro))
マウスの腹腔内をPBSで洗浄してMφを回収する。培養したMφに、各抗体またはマンノースで修飾したリポソームを添加する。24時間後にリポソームを貪食したMφをカウントし、貪食効率を評価する。最も効率よくMφに貪食される抗体または糖鎖を検討する。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、バイオテクノロジー、特に分子イメージングにおいて応用し得る、動脈硬化症診断用の細胞・組織センシングプローブとして利用できるリポソームを提供することができるという有用性を有する。
マクロファージを大量に含む不安定プラークをイメージングすることができれば、硬化巣の存在診断だけでなく質的診断を可能にできる新規の検査法が開発できる。
リポソームを貪食させることでマクロファージに蛍光を集積させることで、活動性の高いマクロファージが存在する動脈硬化巣のみを観察できるようにする。これにより、不安定プラークを鑑別することが可能となり、質的診断特性を持った革新的な動脈硬化の診断法開発へと結びつくことが期待される。
本発明は、不安定プラークに特異的に到達できるという本発明の技術を達成することにより、リポソーム内部に薬剤などを内包化することで、新しい薬物送達システム(DDS:ドラッグデリバリーシステム)として利用できるという有用性がある。
図1は、Western dietを負荷したApoEノックアウトマウスに尾静脈よりCy5.5でラベルしたSLX修飾リポソームを投与して、その6時間後にOptixでin vivo imagingした写真である。左がApoEノックアウトマウスであり、右がwild typeである。動脈硬化病変を有するApoEノックアウトマウスでは、その病変部位に高いシグナルを検出しているのに対して、動脈硬化病変のないマウスではシグナルが検出されなかった。 図2は、Western dietを負荷したApoEノックアウトマウスに尾静脈よりCy5.5でラベルしたSLX修飾リポソームを投与して、その24時間後にOptixでin vivo imagingした写真である。左がApoEノックアウトマウスであり、右がwild typeである。動脈硬化病変を有するApoEノックアウトマウスでは、その病変部位に高いシグナルを検出しているのに対して、動脈硬化病変のないマウスではシグナルが検出されなかった。 図3は、動脈硬化病変をもつApoEノックアウトマウスと、動脈硬化病変を持たないwild−typeのマウスそれぞれにCy5.5でラベルしたSLX修飾リポソームを尾静脈より50μl投与して、その24時間後にOptixでin vivo imagingした写真である。動脈硬化病変を有するApoEノックアウトマウスでは、その病変部位に高いシグナルを検出しているのに対して、動脈硬化病変のないマウスではシグナルが検出されなかった。 図4は、リポソームのタンパク質を測定するための検量線(BCA法)の一例を示す。X軸は標準タンパク質の濃度(μg/50mL)であり、Y軸は、540nmにおける吸光度である。 図5は、リポソームの脂質量を測定するための検量線の一例を示す。X軸は標準コレステロールの濃度(μg/20mL)であり、Y軸は、540nmにおける吸光度である。 図6は、本発明に使用されるリポソームの粒子径分布(動的散乱法;X軸は、リポソームの直径(nm)であり、Y軸は強度(%)である。上の分布図は、製造直後の分布図であり、下の分布図は、製造後6ヵ月後の分布図であり、製造後6ヶ月でも安定に存在することが示される。)、およびその電子顕微鏡(TEM)写真の一例を示す。 図7は、Western dietを負荷したApoEノックアウトマウスの大動脈基部の切片(5μm)をHE染色して光学顕微鏡で観察した写真である。血管壁に著明なプラークの形成が認められる。 図8は、Western dietを負荷したApoEノックアウトマウスに尾静脈よりCy3でラベルしたSLX修飾リポソームを投与して、その24時間後に大動脈を取り出し、大動脈基部を切片(5μm)にして観察した写真である。左はHE染色の写真であり、右は同部位を蛍光顕微鏡で観察したものである。プラークの内部にCy3の赤いシグナルが認められ、プラーク内にリポソームが取り込まれていることが確認された。 図9は、Western dietを負荷したApoEノックアウトマウスに尾静脈よりCy3でラベルしたSLX修飾リポソームを投与して、その24時間後に大動脈を取り出し、大動脈基部を切片(5μm)にして、さらに、血管内皮細胞をCD31をマーカーにして蛍光染色した写真である。左はHE染色の写真であり、右は蛍光顕微鏡で観察した写真である。緑が血管内皮細胞、赤がリポソーム、青が核。血管内皮細胞下のプラーク内部にCy3の赤いシグナルが認められ、プラーク内にリポソームが取り込まれていることが確認された。 図10は、Western dietを負荷したApoEノックアウトマウスに尾静脈よりCy3でラベルしたSLX修飾リポソームを投与して、その24時間後に大動脈を取り出し、大動脈基部を切片(5μm)にして、さらに、マクロファージをF4/80をマーカーにして蛍光染色した写真である。左はHE染色の写真であり、右は蛍光顕微鏡で観察した写真である。緑がマクロファージ、赤がリポソーム、青が核。プラーク内部にCy3の赤いシグナルが認められ、プラーク内にリポソームが取り込まれているのと同時に、同部位には多数のマクロファージが存在することが確認された。 図11は、コントロールのマウス(wild−type mouse)に尾静脈よりCy3でラベルしたSLX修飾リポソームを投与して、その24時間後に大動脈を取り出し、大動脈基部を切片(5μm)にして、さらに、血管内皮細胞をCD31をマーカーにして蛍光染色した写真である。左はHE染色の写真であり、右は蛍光顕微鏡で観察した写真である。緑が血管内皮細胞、赤がリポソーム、青が核。コントロールマウスでは動脈硬化病変が見られず(すなわち正常血管)、その血管壁には赤いCy3のシグナルが認められないことから、正常血管にはリポソームが取り込まれていないことが確認された。 図12は、Western dietを負荷したLDLRノックアウトマウスに尾静脈よりCy3でラベルしたSLX修飾リポソームを投与して、その24時間後に大動脈を取り出し、大動脈を長軸方向に展開して、さらにSudan IVで染色した写真である。左はSudan IVの写真である。プラークが形成されている部分が赤色に染色された。右はそのプラークの部分を蛍光顕微鏡で観察した写真である。このプラークの部分だけから赤色のCy3シグナルが検出されており、リポソームがプラークの部分だけにとりこまれていることが確認された。 図13は、蛍光イメージング装置を用いた実験の様子を示す写真である。

Claims (28)

  1. 親水性化されたリポソームと、動脈硬化巣に対する特異的因子とを含む、動脈硬化病変を、診断、処置または予防するための医薬組成物。
  2. 前記動脈硬化巣に対する特異的因子が、シアリルルイスX(SLX)、SLX基、マンノース、マンノース基、抗体、抗体フラグメントおよび抗体改変体からなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記動脈硬化巣に対する特異的因子が、シアリルルイスX(SLX)またはSLX基である、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 前記診断は、不安定プラークの診断である、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 前記親水性化がトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ基による、請求項1に記載の医薬組成物。
  6. 前記リポソームを構成する脂質の一部が、親水性化合物架橋基−W−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ基とNH−C(=O)結合しており、ここで、該Wは、C(=O)−NH結合である、請求項5に記載の医薬組成物。
  7. 前記リポソームと前記SLX基とが、ヒト血清アルブミン基を介して結合している、請求項2に記載の医薬組成物。
  8. 前記リポソームを構成する脂質の一部は、ヒト血清アルブミン基−A−リンカータンパク質架橋基−X−SLX基とCH−NH結合しており、ここで、該Aは、NH−C(=O)結合であり、該Xは、C(=O)−NH結合である、請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 前記リポソームの表面に前記SLX基が存在する、請求項2に記載の医薬組成物。
  10. 動脈硬化病変を診断するための診断用組成物であって、以下:
    A)親水性化されたリポソームと、
    B)動脈硬化巣に対する特異的因子と、
    C)標識物質
    とを含む、診断用組成物。
  11. 前記動脈硬化巣に対する特異的因子が、シアリルルイスX(SLX)、SLX基、マンノース、マンノース基、抗体、抗体フラグメントおよび抗体改変体からなる群より選択される、請求項10に記載の診断用組成物。
  12. 前記動脈硬化巣に対する特異的因子が、シアリルルイスX(SLX)またはSLX基である、請求項11に記載の診断用組成物。
  13. 磁気共鳴画像法において使用するための、請求項10に記載の診断用組成物。
  14. 前記診断は、不安定プラークの診断である、請求項10に記載の診断用組成物。
  15. 前記親水性化がトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ基による、請求項10に記載の診断用組成物。
  16. 前記リポソームを構成する脂質の一部が、親水性化合物架橋基−W−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ基とNH−C(=O)結合しており、ここで、該Wは、C(=O)−NH結合である、請求項15に記載の診断用組成物。
  17. 前記リポソームと前記SLX基とが、ヒト血清アルブミン基を介して結合している、請求項11に記載の診断用組成物。
  18. 前記リポソームを構成する脂質の一部は、ヒト血清アルブミン基−A−リンカータンパク質架橋基−X−SLX基とCH−NH結合しており、ここで、該Aは、NH−C(=O)結合であり、該Xは、C(=O)−NH結合である、請求項17に記載の診断用組成物。
  19. 前記リポソームの表面に前記SLX基が存在する、請求項11に記載の診断用組成物。
  20. 磁気共鳴画像法により動脈硬化病変を診断するための請求項10に記載の診断用組成物であって、前記標識物質が、核磁気共鳴画像法によって検出可能である物質である、診断用組成物。
  21. 前記標識物質が、常磁性の金属である、請求項20に記載の診断用組成物。
  22. 動脈硬化病変を処置または予防するための方法であって、該方法は、動脈硬化病変を処置または予防する必要のある患者に、請求項1に記載の有効量の医薬組成物を投与する工程を包含する、方法。
  23. 動脈硬化病変を検出するための方法であって、該方法は、
    動脈硬化病変を検出する必要のある患者に、請求項10に記載の有効量の診断用組成物を投与する工程;および
    該患者において、該診断用組成物に含まれる標識物質を磁気共鳴画像法により測定し、該標識物質の存在は、該患者に動脈硬化病変があることを示す工程
    を包含する、方法。
  24. 動脈硬化病変を処置、予防、検出または診断するための医薬の製造における、動脈硬化巣に対する特異的因子含有化合物の使用。
  25. 親水性化されたリポソームと、マンノース、マンノース基、抗体、抗体フラグメントおよび抗体改変体からなる群より選択されるマクロファージに対する特異的因子とを含む、マクロファージまたはマクロファージに関連する疾患、障害もしくは状態を、診断、処置または予防するための医薬組成物。
  26. 前記診断、処置または予防は、活動性の高いマクロファージが存在する動脈硬化巣のみを標的とすることを含む、請求項25に記載の医薬組成物。
  27. マクロファージまたはマクロファージに関連する疾患、障害もしくは状態を診断するための診断用組成物であって、以下:
    A)親水性化されたリポソームと、
    B)マンノース、マンノース基、抗体、抗体フラグメントおよび抗体改変体からなる群より選択されるマクロファージに対する特異的因子と、
    C)標識物質
    とを含む、診断用組成物。
  28. 前記診断は、活動性の高いマクロファージが存在する動脈硬化巣のみを診断することを含む、請求項27に記載の診断用組成物。
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