JP5362209B2 - 微小粒子含有組成物及び微小粒子含有樹脂組成物並びにそれらの製造方法 - Google Patents

微小粒子含有組成物及び微小粒子含有樹脂組成物並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、常温で液体状の樹脂材料中に無機材料から形成される微小粒子を分散した微小粒子含有樹脂組成物及びその微小粒子含有樹脂組成物の原料となる微小粒子含有組成物並びにそれらの製造方法に関する。
シリカなどの無機材料は樹脂材料と比較して熱安定性などに優れる材料が多く、シリカなどの無機材料から形成された微小粒子を樹脂材料中に分散させた微小粒子含有樹脂組成物が種々の用途に用いられている。
樹脂材料中に微小粒子を分散させる方法としては、微小粒子の表面に樹脂材料に対して反応性を有する反応性基を持つ反応性シランカップリング剤を接触・反応させる方法がある(特許文献1)。樹脂に反応性をもつ反応性基を微小粒子の表面に導入することで安定性の高い微小粒子含有樹脂組成物を得ることが出来る。シランカップリング剤は無機材料の表面に結合可能な化合物であり、微小粒子の表面に反応性基を導入することが可能である。
特開平11−43319号公報
ところで、微小粒子の粒径がナノメートルオーダーであり、樹脂材料の種類によっては、比表面積が大きい場合に、反応性シランカップリング剤を反応させることで、樹脂材料との反応性が予想外に向上して、反応の制御が充分に出来ない場合があった。例えば、反応の進行が進みすぎてゲル化する場合などがあった。また、反応性シランカップリング剤の間にて反応が進行してゲル化する場合もあった。
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、微小粒子の粒径にかかわらず、組み合わせられる樹脂材料及び反応性シランカップリング剤の種類の制限を少なくすることが出来る微小粒子含有組成物及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とする。また、そのような微小粒子含有組成物と樹脂材料との混合物である微小粒子含有樹脂組成物及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
(1)本発明者らは上記課題を解決する目的で鋭意検討を行った結果、採用する樹脂材料などに対応した反応性基をもつ反応性シランカップリング剤を反応させる前に、非反応性シランカップリング剤にて表面処理を行うことで、前述したような不都合が生じなくなることを見出した。本発明の微小粒子含有組成物は上記知見に基づき完成したものであり、常温で液体である分散媒と、
体積平均粒径が1nm〜300nmであり、前記分散媒中に分散された無機物からなる微小粒子材料と、を有する微粒子含有組成物であって、
前記微小粒子材料は、非反応性シランカップリング剤、反応性シランカップリング剤の順で表面処理がなされていることを特徴とする。
ここで、反応性シランカップリング剤とは後に混合が予定されている樹脂材料との間で反応性を有する官能基を有していたり、互いに反応性を示すような官能基をもつシランカップリング剤である。そして非反応性シランカップリング剤とは反応性シランカップリング剤が示すような反応性を示さない官能基をもつシランカップリング剤である。
特に、前記反応性シランカップリング剤は一般式(1):Si(R1X(OR24-X:(式(1)中、Xは1又は2;R1は、エポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、イソシアネート基、シアネート基、ウレタン基、ウレア基及びチオエーテル基からそれぞれ独立して選択される;OR2は加水分解可能な官能基)で表される化合物であることが望ましい。
そして、前記非反応性シランカップリング剤は一般式(2):Si(R3Y(OR44-Y:(式(2)中、Yは1、2又は3;R3はそれぞれ独立して選択される炭化水素基、OR4は加水分解可能な官能基)で表される化合物であることが望ましい。
更に、前記分散媒は5質量%〜100質量%の水と0質量%〜95質量%の有機溶媒との混合物であることが望ましい。
(2)また、上記課題を解決する本発明の微小粒子含有樹脂組成物は上述の微小粒子含有組成物と、熱硬化性樹脂及び/又は光硬化性樹脂からなる群から選択される硬化性樹脂材料とを混合物であることを特徴とする。
その硬化性樹脂材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリオール樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂及びシアネート樹脂からなる群から選択されることが望ましい。そして、前記分散媒を除去したものであることが望ましい。
(3)また、上記課題を解決する本発明の微小粒子含有組成物の製造方法は、全体の質量を基準として5%以上含む水と、その水と混和可能な有機溶媒とを含む混合物である分散媒と、体積平均粒径が1nm〜300nmであり、前記分散媒中に分散された無機物からなる微小粒子材料と、を有する組成物に対して、前記樹脂材料と反応しない非反応性シランカップリング剤を添加する前処理工程と、
前記樹脂材料と反応可能な反応性シランカップリング剤を添加する表面処理工程と、を有することを特徴とする。
ここで、前記反応性シランカップリング剤は一般式(1):Si(R1X(OR24-X:(式(1)中、Xは1又は2;R1は、エポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、イソシアネート基、シアネート基、ウレタン基、ウレア基及びチオエーテル基からそれぞれ独立して選択される;OR2は加水分解可能な官能基)で表される化合物であることが望ましい。
また、前記非反応性シランカップリング剤は一般式(2):Si(R3Y(OR44-Y:(式(2)中、Yは1、2又は3;R3はそれぞれ独立して選択される炭化水素基、OR4は加水分解可能な官能基)で表される化合物であることが望ましい。
更に、前記分散媒中に含まれる有機溶媒は水よりも沸点が高く、前記前処理工程後に、前記分散媒中に含まれる水を除去する工程をもつことが望ましい。分散媒を蒸発により除去する際に、沸点が低い水から蒸発させることが可能になって分散媒の主成分を有機溶媒にすることができる。
(4)そして、上記課題を解決する本発明の微小粒子含有樹脂組成物の製造方法は、上述の微小粒子含有組成物の製造方法と、熱硬化性樹脂及び/又は光硬化性樹脂からなる群から選択される硬化性樹脂材料を混合する混合工程と、前記分散媒を除去する分散媒除去工程と、を有することを特徴とする。
本発明の微小粒子含有組成物は上記構成を有することで、反応性シランカップリング剤の作用の程度を簡単に制御することが可能になり、粒径が小さい微小粒子を採用しても、反応性シランカップリング剤と樹脂材料との組み合わせの選択の幅が広くなる。
樹脂材料と組み合わせた本発明の微小粒子含有組成物、そして本発明の微小粒子含有樹脂組成物は、コーティング剤や塗料、半導体封止材、接着剤などに添加して用いたり、適正な材料と混合した状態で固化・成形して、電子基板に用いられるワニス、プリプレグ、絶縁用のフィルムなどに用いることができる。以下、実施形態に基づき詳細に説明を行う。
(微小粒子含有組成物及びその製造方法)
本実施形態の微小粒子含有組成物は、分散媒と微小粒子とを含有する。本微小粒子含有組成物は特に樹脂材料に混合して樹脂組成物として用いられる用途がある。分散媒と微小粒子との含有割合は特に限定されず、必要に応じて適宜設定される。混合可能な樹脂材料については熱及び/又は光により硬化する熱及び/又は光硬化性の樹脂材料であり、その添加量も必要に応じて適宜設定される。樹脂材料としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリオール樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂及びシアネート樹脂からなる群から選択される。
分散媒は常温で液体であること以外は特に限定されず、採用する樹脂材料との関係で適宜選択される。分散媒としては、例えば、樹脂材料を分散乃至溶解可能な溶媒が採用できる。分散媒は単独の化合物(溶媒)であっても良いし、2以上の化合物の混合物であっても良い。分散媒としてはアルコール類、エステル類、エーテル類、環状エーテル類、水などを採用することが出来る。水を添加する場合には分散媒の質量を基準として5質量%以上含有させることができる。
微小粒子は無機物から形成される。無機物としてはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどが挙げられる。微小粒子は体積平均粒径が1nm〜300nmである。微小粒子は真球状(例えば真球度が0.9以上)であることが望ましい。微小粒子は対応する無機物が含有する金属元素のアルコキシドを加水分解する方法(いわゆるゾルゲル法)、VMC法、火炎溶融法などの公知の方法にて製造することができ、特にゾルゲル法にて製造されたものが望ましい。
微小粒子の表面は非反応性シランカップリング剤、反応性シランカップリング剤の順で処理されている。非反応性シランカップリング剤にて先に表面処理を行うことで反応性シランカップリング剤の量を相対的に減少できるので、非反応性シランカップリング剤の処理量を制御することで反応性シランカップリング剤由来の反応性基の導入量、反応性を制御できる。
ここで、非反応性シランカップリング剤及び反応性シランカップリング剤の組み合わせ並びに組み合わせる量は、組み合わされる樹脂材料によって変化する相対的なものである。例えば、ビニル基はアクリル樹脂との間では反応するので、樹脂材料としてアクリル樹脂を採用する場合には反応性基に分類されるが、ウレタン樹脂などとは反応しないので、樹脂材料としてウレタン樹脂を採用する場合には非反応性基として扱うことになる。
反応性シランカップリング剤がもつ反応性基としては、前述したように、組み合わせられる樹脂材料によって変化するが、エポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、イソシアネート基、シアネート基、ウレタン基、ウレア基、チオエーテル基が例示できる。従って、反応性シランカップリング剤としては一般式(1):Si(R1X(OR24-X:(式(1)中、Xは1又は2;R1は、エポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、イソシアネート基、シアネート基、ウレタン基、ウレア基及びチオエーテル基からそれぞれ独立して選択される;OR2は加水分解可能な官能基であることが望ましい。ここで、本明細書中における加水分解可能な官能基(−OR2)とは加水分解により水酸基が生成するアルコキシ基であり炭素数が1〜5程度の官能基を採用することが望ましい。
非反応性シランカップリング剤としては組み合わされる樹脂材料との間で反応が進行しないものであれば良いので特に限定されない。例えば、非反応性シランカップリング剤としては一般式(2):Si(R3Y(OR44-Y:(式(2)中、Yは1、2又は3;R3はそれぞれ独立して選択される炭化水素基、OR4は加水分解可能な官能基)で表される化合物が挙げられる。なお、R3は炭素数1〜5程度であることが望ましい。
(微小粒子含有樹脂組成物及びその製造方法)
本実施形態の微小粒子含有樹脂組成物は本実施形態の微小粒子含有組成物に樹脂材料を含有させたものである。樹脂材料としては前述の樹脂材料がそのまま採用できる。樹脂材料を含有させる方法としては特に限定しないが、微小粒子を分散媒中に分散させて非反応性シランカップリング剤にて処理して微小粒子含有組成物を製造した後に反応性シランカップリング剤と共に樹脂材料を添加する方法がある。樹脂材料を含有させた後には必要に応じて分散媒を除去することも出来る。分散媒の除去は分散媒のすべてを除去する場合の方法ほか、分散媒の一部を除去したり、分散媒として複数種類の溶媒を組み合わせている場合にその一部の溶媒のみを除去することもできる。例えば、水と水に混和可能な有機溶媒との混合物を分散媒に採用し、その分散媒に樹脂材料を添加した後に、水のみを除去することで水に親和性が高い材料を有機溶媒に分散させることが出来る。
試験1:微小粒子含有組成物(水及び有機溶媒を含有するもの)の調製
(実施例1)
100質量部のシリカ微小粒子(コロイドシリカOS、日産化学製、シリカ分20質量%:水に分散されている:体積平均粒径15nm)に200質量部のプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下、「PGM」と称する。:分散媒に相当)とシリカ微小粒子の表面積に応じた量(シリカ微小粒子の表面をすべて反応できる量)のシランカップリング剤(KBM−1003:非反応性シランカップリング剤に相当:官能基としてビニル基をもつ)とを混合し、40℃で72時間保持することでシリカ微小粒子の表面を非反応性シランカップリング剤にて処理した。
その後、シリカ微小粒子の表面積に応じた量(シリカ微小粒子の表面をすべて反応できる量)のシランカップリング剤(KBM903:3−アミノプロピルトリメトキシシラン:反応性シランカップリング剤に相当:反応性基としてのアミノ基をもつ)とを混合・分散した結果、シリカ微粒子が均一に分散した無色透明の微小粒子含有組成物が得られた。
(実施例2及び3)
反応性シランカップリング剤として、KBE−9007(実施例2:3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン:反応性基としてのイソシアネート基をもつ)、KBM−803(実施例3:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン:反応性基としてのチオール基を持つ)を用いた以外は実施例1と同様にしてそれぞれの微小粒子含有組成物を調製した。両者共に、シリカ微粒子が均一に分散した無色透明の微小粒子含有組成物が得られた。
(比較例1〜3)
非反応性シランカップリング剤を用いないこと以外は実施例1〜3のそれぞれと同様の操作を行い、比較例1〜3の微小粒子含有組成物を得た。得られた微小粒子含有組成物はどれも凝集乃至ゲル化していた。
以上の結果から、反応性シランカップリング剤にて処理する前に、予め非反応性シランカップリング剤にて微小粒子を処理することで、反応性シランカップリング剤の反応性を制御することが可能になって、微小粒子を均一に混合・分散することが出来ることが分かった。
試験2:微小粒子含有組成物(水を含有せず有機溶媒を含有するもの)の調製
(実施例4)
100質量部のシリカ微小粒子(コロイドシリカOS、日産化学製、シリカ分20質量%:水に分散されている:体積平均粒径15nm)に、200質量部のPGM(分散媒に相当)と、シリカ微小粒子の表面積に応じた量(シリカ微小粒子の表面をすべて反応できる量)のシランカップリング剤(KBM−1003:非反応性シランカップリング剤に相当:官能基としてビニル基をもつ)とを混合し、40℃で72時間保持することでシリカ微小粒子の表面を非反応性シランカップリング剤にて処理した。
その後、シリカ微小粒子の表面積に応じた量(シリカ微小粒子の表面をすべて反応できる量)のシランカップリング剤(KBM403:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン:反応性シランカップリング剤に相当::反応性基としてのグリシドキシ基をもつ)とを混合・分散した結果、シリカ微粒子が均一に分散した無色透明の微小粒子含有組成物が得られた。そして、水分を蒸発除去しても無色透明の微小粒子含有組成物であった。
PGMに換えて、メチルイソブチルケトン(MIBK)又は酢酸ブチルを分散媒として調製した微小粒子含有組成物を作成した結果、シリカ微粒子が均一に分散した無色透明の微小粒子含有組成物が得られた。そして、水分を蒸発除去しても無色透明の微小粒子含有組成物であった。MIBK及び酢酸ブチルは水と混合するために、イソプロピルアルコール(IPA)をシリカ微小粒子(コロイドシリカOS)と同量加えた。
(実施例5〜7)
反応性シランカップリング剤として、KBE−903(実施例5:反応性基としてのアミノ基をもつ)、KBE−9007(実施例6:反応性基としてのイソシアネート基をもつ)、KBM−803(実施例7:反応性基としてのチオール基を持つ)を用いた以外は実施例4と同様にしてそれぞれの微小粒子含有組成物を調製した。すべて、シリカ微粒子が均一に分散した無色透明の微小粒子含有組成物が得られた。
試験3:微小粒子含有樹脂組成物の調製
(実施例8)
実施例7の微小粒子含有組成物(分散媒:PGM)を100質量部に対して、硬化性樹脂材料としてのウレタンアクリレート(アートレジンUN−904:根上工業製)を45質量部溶解させることにより微小粒子含有樹脂組成物を得た。すべて、シリカ微粒子が均一に分散した無色透明の微小粒子含有組成物が得られた。
(実施例9)
反応性シランカップリング剤として、KBM−303(2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン:反応性基としてのエポキシ基をもつ)を用い、分散媒としてPGMを用いた以外は実施例4と同様にしてそれぞれの微小粒子含有組成物を調製した。シリカ微粒子が均一に分散した無色透明の微小粒子含有組成物が得られた。
この微小粒子含有組成物100質量部に対し、エポキシ樹脂(ZX−2059:東都化成製)を40質量部溶解させることにより、シリカ微粒子が均一に分散した無色透明の微小粒子含有樹脂組成物を得た。また、分散媒を蒸発除去した後にもシリカ微粒子が均一に分散した無色透明の微粒子含有樹脂組成物を得た。
また、シリカ微小粒子をコロイドシリカOSに換えて、コロイドシリカOL(平均粒径50nm:日産化学製)を採用すると、シリカ微小粒子の含有量を50質量%以上にした微小粒子含有樹脂組成物を得ることができることを確認した。
試験4:硬化性樹脂組成物及び樹脂硬化物の製造
実施例9の微小粒子含有樹脂組成物に対して、硬化剤としての2−メチルイミダゾールを全体の質量を基準として4質量%となるように添加することにより、熱硬化性の硬化性樹脂組成物とした。この硬化性樹脂組成物を170℃で2時間加熱することにより硬化させて樹脂硬化物を得た。得られた樹脂硬化物の内部についてのTEM写真を図1に示す。図1より明らかなように、硬化した樹脂中にシリカ微小粒子が均一に分散されていることが分かった。
得られた樹脂硬化物の物性を測定した。ガラス転移点(Tg)が137℃(131℃)、熱膨張係数(CTE)が0〜50℃にて45ppm(57ppm)、175〜195℃にて120ppm(153ppm)、曲げ強度が140MPa(88MPa)、曲げ弾性率が4.5GPa(3.1GPa)であった。なお、括弧内に記載した値はシリカを含有しない樹脂硬化物について測定した値である。
また、実施例9の微小粒子含有樹脂組成物に対して、硬化剤として2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、Darocur TPO、光重合開始剤)を樹脂に対して5質量%添加し、PETフィルム上にバーコーターにて10μmの膜厚に塗布した後、紫外線を1200mJ/cm2以上照射し硬化させた。このコーティングフィルムはコーティング前と比較し、鉛筆硬度で3H以上硬度が上昇したフィルムが得られた。
(表面状態の評価)
非反応性シランカップリング剤(KBM−1003(ビニル基))にて表面処理を行ったシリカ微小粒子(コロイドシリカOS)についてFT−IRにてIRスペクトルを測定した。結果を図2に示す。
試料1のシリカ微小粒子はKBM1003による処理に加えてKBM903(反応基としてアミノ基を有する)にて表面処理を行っており、 試料2のシリカ微小粒子はKBM1003による処理に加えてKBM403(反応基としてグリシドキシ基を有する)にて表面処理を行っており、 試料3のシリカ微小粒子はKBM1003による処理に加えてKBM803(反応基としてチオール基を有する)にて表面処理を行っている。そして、試料4のシリカ微小粒子はKBM1003による処理のみのものである。
図2より明らかなように、試料4についてはKBM1003由来のピークが2800〜3100cm-1に確認でき、試料1〜3についてはそれぞれKBM1003による処理に加えて行った表面処理剤由来のピークもKBM1003由来のピークに加えて確認することができた。すなわち、KBM1003に加え、それぞれの反応性シランカップリング剤についてもシリカ微小粒子の表面に付着乃至反応していることが明らかになった。
実施例で作成した樹脂硬化物のTEM写真である。 非反応性シランカップリング剤及び反応性シランカップリング剤にて表面処理を行ったシリカ微小粒子の表面についてFT−IRで測定したスペクトルである。

Claims (8)

  1. 常温で液体である分散媒と、
    体積平均粒径が1nm〜300nmであり、前記分散媒中に分散された無機物からなる微小粒子材料と、を有する微粒子含有組成物であって、
    前記無機物がシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアから選択される少なくとも一つであり、
    前記微小粒子材料は、非反応性シランカップリング剤、反応性シランカップリング剤の順で表面処理がなされており、
    前記非反応性シランカップリング剤は一般式(2):Si(R (OR 4−Y :(式(2)中、Yは1、2又は3;R はそれぞれ独立して選択される炭化水素基、OR は加水分解可能な官能基)で表される化合物であり、
    前記反応性シランカップリング剤は一般式(1):Si(R (OR 4−X :(式(1)中、Xは1又は2;R は、エポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、イソシアネート基、シアネート基、ウレタン基、ウレア基及びチオエーテル基からそれぞれ独立して選択される;OR は加水分解可能な官能基)で表される化合物であることを特徴とする微小粒子含有組成物。
  2. 前記分散媒は5質量%〜100質量%の水と0質量%〜95質量%の有機溶媒との混合物である請求項1に記載の微小粒子含有組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の微小粒子含有組成物と、
    熱硬化性樹脂及び/又は光硬化性樹脂からなる群から選択される硬化性樹脂材料と混合物であることを特徴とする微小粒子含有樹脂組成物。
  4. 前記硬化性樹脂材料は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリオール樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂及びシアネート樹脂からなる群から選択される請求項に記載の微小粒子含有樹脂組成物。
  5. 前記分散媒を除去した請求項3又は4に記載の微小粒子含有樹脂組成物。
  6. 全体の質量を基準として5%以上含む水と、その水と混和可能な有機溶媒とを含む混合物である分散媒と、体積平均粒径が1nm〜300nmであり、前記分散媒中に分散された無機物からなる微小粒子材料と、を有する組成物に対して、非反応性シランカップリング剤を添加する前処理工程と、
    反応性シランカップリング剤を添加する表面処理工程と、を有し、
    前記無機物がシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアから選択される少なくとも一つであり、
    前記非反応性シランカップリング剤は一般式(2):Si(R (OR 4−Y :(式(2)中、Yは1、2又は3;R はそれぞれ独立して選択される炭化水素基、OR は加水分解可能な官能基)で表される化合物であり、
    前記反応性シランカップリング剤は一般式(1):Si(R (OR 4−X :(式(1)中、Xは1又は2;R は、エポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、チオール基、イソシアネート基、シアネート基、ウレタン基、ウレア基及びチオエーテル基からそれぞれ独立して選択される;OR は加水分解可能な官能基)で表される化合物であることを特徴とする微小粒子含有組成物の製造方法。
  7. 前記分散媒中に含まれる有機溶媒は水よりも沸点が高く、
    前記前処理工程後に、前記分散媒中に含まれる水を除去する工程をもつ請求項に記載の微小粒子含有組成物の製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載の微小粒子含有組成物の製造方法と、
    熱硬化性樹脂及び/又は光硬化性樹脂からなる群から選択される硬化性樹脂材料を混合する混合工程と、
    前記分散媒を除去する分散媒除去工程と、を有することを特徴とする微小粒子含有樹脂組成物の製造方法。
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