JP4961968B2 - エポキシ樹脂用硬化促進剤、エポキシ樹脂組成物、及び電子材料用樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂用硬化促進剤、エポキシ樹脂組成物、及び電子材料用樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明はナノ粒子型のエポキシ樹脂用の硬化促進剤に関するものであり、電子材料用の樹脂組成物に関するものであり、それらを利用して得られる半導体装置や電子部品に関するものである。
近年、半導体装置は、生産性、コスト、信頼性等のバランスに優れることから、エポキシ樹脂組成物である半導体封止材を用いて半導体素子を封止して製造されるのが主流となっている。半導体装置の小型化、薄型化、高性能化に伴い、半導体封止材に対しては、より一層の低粘度化、高強度化、高信頼性化が要求されている。このような背景から、最近のエポキシ樹脂組成物の動向は、より低粘度の樹脂を適用し、より多くの無機充填剤を配合し、イオン性不純物及び高反応性を有する低分子物質を極限まで除去する傾向が強くなっている。また、半導体装置を実装する際、従来よりも、融点の高い無鉛半田の使用が高まってきており、この半田の適用により、実装温度を従来に比べ約20℃高くする必要があり、実装後の半導体装置の信頼性が現状に比べて著しく低下する問題が生じている。このようなことから、エポキシ樹脂組成物のレベルアップによる半導体装置の信頼性、特に耐半田性の向上の要求が加速的に強くなってきている。そして半導体封止樹脂のみならず、半導体関連の各種の樹脂製品に関しては、ほとんどが上記の要求が当てはまる。エポキシ樹脂の性能を大幅に改善することのできる特徴的な技術開発が待たれる由縁である。
成形時に、低粘度で高流動性を維持するためには、溶融粘度の低い樹脂を用いたり(例えば、特許文献1参照。)、また、無機充填材の配合量を高めるために、無機充填剤をシランカップリング剤で表面処理する方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、これらの方法だけでは、種々ある要求特性のいずれかしか満足しないものが多く、全ての要求を満足させ広い範囲で適用可能な手法は、未だ見出されておらず、これらの方法でも、成形時の溶融粘度の低下が不充分であり、流動性と硬化性を損なわず、無機充填剤の配合量を高め、信頼性を満足させる更なる技術が求められていた。
また、エポキシ樹脂組成物に一般的に配合される硬化促進剤の存在下では、低温保管時におけるエポキシ樹脂の硬化反応の進行を速め、封止材料の保存安定性が低下する問題がある。このようなことから、諸成分混合時の厳密な品質管理、低温での保管や運搬、更に成形条件の厳密な管理が必須であり、取扱いが、非常に煩雑となることから、信頼性の向上に加えて、物流・保管時の取扱い性の向上を目的とした保存性の向上が求められるようになってきている。(例えば、特許文献3、4参照。)
さらに長期間の使用に耐えるために、電気伝導性が少なく、かつ耐湿処理や長時間の使用においても化学的に安定であることが要求される。エポキシ樹脂やその硬化剤に関しては不純物濃度が極限まで低減され問題は少なくなったが、微量添加物として配合される難燃剤や硬化促進剤や、あるいはそれらに含有される不純物に関しては改善が不十分であり性能向上が要求されるようになってきている。(例えば、フェノールノボラック系硬化剤配合の系における硬化促進剤に関しては特許文献3、4参照。エポキシ単独のカチオン重合性硬化促進剤に関しては、特許文献5参照)
さらに半導体装置が実装されるときに処理される半田の高温処理において、半導体装置内部の金属部品と樹脂組成物とが剥離する問題が発生しやすいが、半田処理の温度におけるエポキシ樹脂の弾性率を十分低減させることで剥離問題の改善ができることが予測されているが、大幅にそれを改善できる手法は示されていなかった。
特開平7−130919号公報 特開平8−20673号公報 特開2000−17054号公報 特開2001−98053号公報 特開2000−230038号公報
本発明は、新規のナノ粒子型エポキシ樹脂用硬化促進剤を提供するものである。
本発明者は、前述したような問題点を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、次のような事項を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、50nm以下の粒径を有する金属酸化物とシラン化合物を併用することにより、新規のナノ粒子型硬化促進剤を得ることができ、それを配合したエポキシ樹脂組成物においては低粘度性、常温保管性、電気特性改善、熱時弾性率の低減に優れた性能を発揮でき、上記のエポキシ樹脂組成物を利用して構成される半導体装置や電気部分が高性能になることを見出した。
即ち、本発明以下の通りである。
(1)金属酸化物及びシラン化合物から構成されるエポキシ樹脂用硬化促進剤であって、前記金属酸化物の金属元素が周期律表において3属から14属の元素であり、前記シラン化合物がアルコキシシリル基又はシラノール基を有するものであり、且つ平均粒子径が50nm以下であることを特徴とするナノ粒子型のエポキシ樹脂用硬化促進剤。
(2)前記金属酸化物が、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ジルコン、酸化モリブデン、酸化鉄、及びシリカから選ばれるすくなくとも1種である(1)記載のエポキシ樹脂用硬化促進剤。
(3)前記シラン化合物がメトキシシリル基又はエトキシシリル基を有するものである(1)又は(2)記載のエポキシ樹脂用硬化促進剤。
(4)前記シラン化合物が前記金属酸化物の表面に化学反応により固定化されているものである(1)〜(3)いずれか記載のエポキシ樹脂用硬化促進剤。
(5)(1)〜(4)いずれか記載のエポキシ樹脂用硬化促進剤とエポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂用硬化促進剤の配合量が、エポキシ樹脂組成物の全配合量100重量部に対し、0.01〜50重量部であるエポキシ樹脂組成物。
(6)前記エポキシ樹脂組成物を厚み1mmのシート状に成形した硬化物の光線透過率が10%以上である(5)記載のエポキシ樹脂組成物。
(7)更にアミン系硬化剤、フェノールノボラック系硬化剤、又は酸無水物系硬化剤を含むものである(5)又は(6)記載のエポキシ樹脂組成物。
(8)(5)〜(7)いずれか記載のエポキシ樹脂組成物を使用した電子材料用樹脂組成物であって、半導体封止樹脂、ダイアタッチペースト、ダイアタッチフィルム、感光性レジスト、アンダーフィル樹脂、コーティング用皮膜、又は接着剤である電子材料用樹脂組成物。
(9)(8)記載の電子材料用樹脂組成物を利用した半導体装置又は電子部品。
本発明のナノ粒子型のエポキシ樹脂用硬化促進剤により、それを配合したエポキシ樹脂組成物において低粘度性、常温保管性、電気特性改善、熱時弾性率の低減に優れた性能を発揮でき、特に電子材料用樹脂組成物として有用である。
以下、本発明のナノ粒子型硬化促進材、エポキシ樹脂組成物および半導体装置の実施形態について説明する。
本発明に使用されるナノ粒子型のエポキシ樹脂用の硬化促進剤は、元素の周期律表において3属から14属の元素を酸化させた粒子を利用するものであることを特徴としている。それ以外の元素の酸化物の場合、たとえば1属や2属の場合では、水分と反応して加水分解もしくはイオン化し、樹脂に配合して樹脂組成物としたときに電気絶縁性が不十分になる傾向にあるため、利用することはできない。また15属の元素は毒性が強いものも多く使用しにくい。16属、17属の元素の酸化物は気体であったり反応性が強すぎたりして樹脂に配合して安定な樹脂組成物を得ることは困難である。
もっとも好適に利用できる金属酸化物としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ジルコン、酸化モリブデン、酸化鉄、シリカなどがあげられる。これらはいずれもある程度安定であり、樹脂に配合して樹脂組成物に利用した際に分解等しにくく樹脂組成物の性能悪化を引き起こしにくい。又所定の操作により容易にエポキシ樹脂の重合触媒性を発揮させることが可能な物質であり、かつ比較的安価である。
本発明のナノ粒子型のエポキシ樹脂用硬化促進剤は平均粒子径が50nm以下であることも特徴としている。ここでの平均粒子径とは、一次粒子径をしめすのではなく、分散処理した後の粒子径、すなわち多少の凝集も計算に入れた実際の分散粒子径を示している。一次粒子径ではなく分散粒子径を要因として選択した理由は、樹脂とナノ粒子との界面の化学反応が重要であり、その場合においては一次粒子径よりも実際の分散粒子系の方が重要であるからである。粒子径が50nm以下であることにより、粒子表面の比表面積が十分大きくなり、比表面積に比例した強さのエポキシ樹脂と反応性を発揮する事ができる。
また後で示すシラン化合物の使用の時に、粒子系が小さいほど粒子表面の曲率半径が小さくなるため、シラン化合物(一般的には金属酸化物と反応できる官能基が2個以上存在する場合が多い)が金属酸化物粒子の表面に反応するときに、シラン化合物のすべての官能基が粒子表面と反応することはできず、官能基の一部は未反応の状態で存在する場合が多くなる傾向がある。未反応の部分は加水分解を受けやすく、シラノール基になり、これもまたエポキシ樹脂の重合触媒の活性点として作用する。
平均粒子径が上限値を超える場合は上記の効果を期待できず触媒活性を得ることは困難となる。
平均粒子径が小さければ小さいほど触媒活性が高まる傾向にあるが、数nm以下の微粒子を安定的に作成することが困難であることと、分析機器の性能の限界が現時点では1nmまでであることから、下限値は1nmである。
平均粒子径は、FE−SEMやTEMなどの電子顕微鏡観察によって確認することで計測するか、動的光散乱型粒度分布計により測定する。上述したとおり、このときに計測するのは一次粒子径ではなく、凝集体も含めた二次粒子径(平均粒子径)が計測の対象となる。粒子に粒度分布がある場合は画像解析等で平均値を出す必要がある。
ナノ粒子物質を硬化促進剤として利用することで、各種の利点が生じる。通常の硬化促進剤の場合は低分子であるため、拡散で物質内を移動しやすく、電気絶縁性や耐湿信頼性、さらには未硬化時の常温保管性を劣化させる傾向があるが、ナノ粒子を触媒として利用する場合は物質内での拡散速度が非常に小さいために上記の問題が生じにくい。またナノ粒子は超多数の触媒活性点を保有する分子と判断することも出来る構造であるために、低粘度の樹脂を良好に硬化させることも可能であり、あるいは逆に樹脂の硬化物のTgを保持しながらも反応性を制御して硬化物を低弾性率化せしめることで耐半田性を向上させることも可能である。
本発明に使用されるシラン化合物は、アルコキシシリル基もしくはシラノール基を有するものである。アルコキシシリル基もしくはシラノール基を有することで、金属酸化物との化学結合と、エポキシ樹脂に対するカチオン重合などをはじめとする触媒活性を発現させることが出来るからである。アルコキシシリル基は特に限定はしないが、入手のしやすさや反応性の良好さからエトキシシリル基かメトキシシリル基が好適に使用される。
上記の条件を満たすシラン化合物であれば特に限定はしないが、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、ビニルエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、等のシランカップリング剤かもしくはその加水分解物が好適に使用される。
なお、エポキシ基含有のシランカップリング剤をシラン化合物として使用した場合、シランカップリング剤のエポキシ基自身がカチオン重合反応することにより、ナノ粒子の長期保管性が悪化する傾向にあるため、短期の使用を前提にしている場合以外は使用しにくい傾向がある。
本発明のナノ粒子型のエポキシ樹脂用硬化促進剤は、金属酸化物及びシラン化合物から構成される。シラン化合物は、金属酸化物の表面に反応し固定化されていることが望ましいが、反応したり固定化されたりしておらず単に混合されているだけでもかなりの効果を有するため、固定化されているかいないかについては特に限定はしない。
金属酸化物とシラン化合物の配合比については特に限定はしないが、金属酸化物100重量部に対してシラン化合物は1重量部から200重量部の配合比率が好ましく、さらには5重量部から50重量部がより好ましい。下限値未満である場合は溶剤もしくは樹脂中への分散が不十分となり粒径が大きくなるために硬化促進剤としての性能が低下する傾向があり、上限値を超える場合は樹脂への配合時にシラン化合物がブリードアウトして成形性悪化や性能悪化を招く傾向にある。
シラン化合物を金属酸化物の表面に反応し固定化する方法に関しては、例えば金属酸化物とシラン化合物を無溶剤の系で混合攪拌し、100〜200℃で加熱し脱アルコールしてやることでシラン化合物が金属酸化物表面に固定化される。反応時に少量の水分を添加することで反応を促進してやることが出来るし、シラン化合物を均一に分散処理するために水や有機溶媒を添加することも好適に利用される処理方法である。
また全く固定化が不要な場合は、金属酸化物にシラン化合物を添加・攪拌しておくだけでよい。
本発明におけるナノ粒子型のエポキシ樹脂用硬化促進剤は、エポキシ樹脂との反応性を有する必要がある。エポキシ樹脂との反応性とは、エポキシ基を何らかの形で反応させる触媒機能のことを示すが、特に限定はしない。しかしエポキシ基同士のカチオン重合や、エポキシ基とアミン基との反応、エポキシ基と酸無水物との反応、エポキシ基とフェノール性水酸基との反応が、好適に示される。
触媒反応性の有無については以下のように評価することで判断する。ナノ粒子型の硬化促進剤、エポキシ樹脂、及び必要に応じて硬化剤を所定の量配合・混合して未硬化の樹脂組成物を作成する。それを室温から300℃までの昇温条件においてDSC計測を行い、化学反応による発熱量を計測する。計測時の発熱量が、エポキシ樹脂が全て反応したと想定した場合の発熱量と比較して50%以上の発熱量であるなら、エポキシ樹脂への反応触媒性があると判断される。
本発明におけるエポキシ樹脂組成物は、上記のナノ粒子型のエポキシ樹脂用硬化促進剤とエポキシ樹脂を含むものである。エポキシ樹脂用硬化促進剤の配合量は、樹脂組成物の全配合量100重量部に対し、0.01〜50重量部であることが好ましい。配合量が下限値未満では、硬化促進剤としての機能が発揮できず、エポキシ樹脂が硬化しない。また上限値を超えると常温にて触媒反応の暴走反応が生じることにより速やかにゲル化して目的の成型品を得ることができない。
本発明におけるエポキシ樹脂組成物に用いられるエポキシ樹脂は、エポキシ基を有する化合物一般を指し、それ以外には特に限定しない。エポキシ基としてはグリシジル型エポキシかシクロヘキシル型エポキシがもっとも好適に使用される。エポキシ樹脂として一例を挙げると、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びそれらの水添物、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂及びそれらの水添物、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、アミノフェノール類のトリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、1,6−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、臭素系フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジアリルビスフェノールAジグリシジル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、及び式(1)、式(2)、式(3)に示されるエポキシ樹脂などが挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いても良い。またエポキシ樹脂の形態は液状でも固形状でも問題は無い。
(式中、Xは酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO2−、−CH2−、−CH(CH3)−、又は−C(CH3)2−を表す。)
本発明におけるエポキシ樹脂組成物は、ナノ粒子型硬化促進剤が触媒反応性を有するため、硬化剤の配合は基本的には不要であるが、硬化剤を使用することも問題はない。硬化剤としては特に限定はしないが、フェノール樹脂系の硬化剤、アミン系の硬化剤、酸無水物系硬化剤が好適に使用される。
硬化剤の一例を挙げると、アミン系の硬化剤としては、イソフォロンジアミン、ノルボルネンジアミンおよび1,2−ジアミノシクロヘキサンなどの脂環式ポリアミン、m−キシリレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミンなどが好適に使用される。
酸無水物系化合物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物およびドデセニル無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、あるいは3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸と4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸などが好適に使用される。
フェノールノボラック系硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(フェニレン骨格、ビフェニレン骨格等を有する)、ナフトールアラルキル樹脂等が好適に使用される。上記の硬化剤はいずれも液状でも固体状でも問題は無い。また単独使用でも複数併用の使用でも問題は無い。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、金属酸化物の粒子の凝集は、少ない方がよい。粒子が凝集する事で見かけの表面積が減し、硬化促進剤としての機能が低下するためである。しかし凝集が多少あっても多量に配合することによりある程度硬化促進剤としての性能を保持する事は可能であるのでこの条件は必須ではない。
より望ましくは、樹脂成分とナノ粒子型硬化促進剤の混合物が透明性を有しており、それを厚み1mmのシート状の硬化物に成形したときに光線透過率が10%以上であるように、樹脂中にナノ粒子が良好に分散していることがより望ましい。同じナノ粒子触媒を同量配合した場合、光線透過率が下限値未満であると硬化促進効果が顕著に低下する傾向があるからである。
本発明における電子材料用樹脂組成物とは、上記のナノ粒子型硬化促進剤を配合してなるエポキシ樹脂組成物を、電子材料に応用展開した場合のことを示す。特に半導体封止樹脂、ダイアタッチペースト、ダイアタッチフィルム、感光性レジスト、アンダーフィル樹脂、各種コーティング皮膜、各種接着剤が、電子材料用に使用される。なお電子材料用に開発したものであるが、電子材料以外の目的に使用しても問題は無い。
本発明における半導体装置もしくは電子部品とは、上記の電子材料用樹脂組成物を利用して作成された半導体装置(半導体パッケージ、回路基板等)およびそれらを組み合わせて作成された電子部品(半導体部品等を実装した回路基板、及びそれらの基板を組み合わせて作成された電子・電気製品)を示す。
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
アルミナのナノ粒子(一次粒子径10nm)10重量部に対してビニルエトキシシランを5重量部混合、攪拌し、室温で24時間放置後に150℃で1時間加熱処理した。それをメチルイソブチルケトン90重量部と混合した後に高圧衝突式分散装置(スギノマシン株式会社 製)を利用して分散処理を行った。処理後のアルミナ粒子の粒径は、動的光散乱型粒度分布計(堀場製作所株式会社製)を利用して計測したところ、平均粒径で46nmであった。それをビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の水添物1000重量部に配合し、減圧により溶剤のメチルイソブチルケトンを脱溶剤し樹脂組成物を得た。この樹脂組成物は、加熱により硬化しフィルム等の成形品にできることが分かった。DSC(セイコーインスツル株式会社 製)による計測によると、硬化の発熱開始温度は46℃、発熱ピーク温度は86℃、終了温度は201℃でありブロードな反応状況であるが、トータルの発熱量からエポキシ樹脂の95%が反応していることが確認できた。この樹脂組成物はウエハー表面等にコーティングして加熱により硬化させることで、ウエハー表面の半導体素子を保護する保護フィルムとして活用することが可能である。
(実施例2)
ジルコニアのナノ粒子(一次粒子径29nm)5重量部に対して3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを2重量部混合、攪拌し、室温で12時間放置後に150℃で1時間加熱処理した。それをアセトン95重量部と混合した後にビーズミル(寿工業株式会社製)を利用して分散処理を行った。処理後のジルコニア粒子の粒径は、動的光散乱型粒度分布計(堀場製作所株式会社製)を利用して計測したところ、平均粒径で35nmであった。それを構造式(1)のエポキシ樹脂1000重量部に配合し、減圧により溶剤のアセトンを脱溶剤し樹脂組成物を得た。この樹脂組成物は、加熱により硬化しフィルム等の成形品にできることが分かった。DSC(セイコーインスツル株式会社 製)による計測によると、硬化の発熱開始温度は42℃、発熱ピーク温度は99℃、終了温度は222℃でありブロードな反応状況であるが、トータルの発熱量からエポキシ樹脂の94%が反応していることが確認できた。この樹脂組成物はガラスクロスに含浸させて複合化することで、透明で熱膨張係数の小さい液晶表示用樹脂基板を得ることが可能である。
(実施例3)
実施例2において、ジルコニアのナノ粒子と3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの反応処理の工程を行わなかった場合、すなわち「攪拌し、室温で12時間放置後に150℃で1時間加熱処理」の工程を行わずに混合だけを行って、他の配合や工程はすべて実施例2と同じように処置を行った。ジルコニア粒子とシランカップリング剤がほとんど反応していないにも関わらず、アセトン中での平均粒径は45nmであり、得られた樹脂組成物のDSC(セイコーインスツル株式会社 製)評価結果によると、硬化の発熱開始温度は52℃、発熱ピーク温度は135、終了温度は235℃であり、トータルの発熱量からエポキシ樹脂の92%が反応していることが確認できた。実施例2と同じく、透明基板に適用可能である。
(実施例4)
チタニアのナノ粒子(一次粒子径12nm)5重量部に対して3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランを2重量部、さらに2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを2重量部混合、攪拌し、室温で12時間放置後に150℃で1時間加熱処理した。それをメチルエチルケトン95重量部と混合した後に自転公転式媒体攪拌型混合装置(株式会社シンキー製)を利用した後、超音波処理を1時間かけることにより分散処理を行った。処理後のチタニア粒子の粒径は、動的光散乱型粒度分布計(堀場製作所株式会社製)を利用して計測したところ、平均粒径で44nmであった。それをビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂と3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンの当量混合物100重量部に配合し、減圧により溶剤のメチルエチルケトンを脱溶剤し樹脂組成物を得た。この樹脂組成物は、加熱により硬化しフィルム等の成形品にできることが分かった。DSC(セイコーインスツル株式会社 製)による計測によると、硬化の発熱開始温度は59℃、発熱ピーク温度は103℃、終了温度は191℃でありブロードな反応状況であるが、トータルの発熱量からエポキシ樹脂の95%が反応していることが確認できた。この樹脂組成物はさらに銀やシリカなどを配合することで液状封止樹脂やダイアタッチペーストとして利用できる。
(実施例5)
シリカのナノ粒子(一次粒子径8nm)10重量部に対してメルカプトプロピルトリメトキシシランを5重量部配合、攪拌し、それをプロパノール90重量部と混合した後に、ビーズミル(寿工業株式会社 製)を利用して分散処理を行った。処理後のシリカ粒子の粒径は、動的光散乱型粒度分布計(堀場製作所株式会社製)を利用して計測したところ、平均粒径で22nmであった。それをビフェニル型エポキシ樹脂とフェノールアラルキル樹脂の当量混合物100重量部に配合し、減圧により溶剤のメチルエチルケトンを脱溶剤し樹脂組成物を得た。この樹脂組成物は、加熱により硬化し成形品を得ることが出来ることが分かった。DSC(セイコーインスツル株式会社 製)による計測によると、硬化の発熱開始温度は87℃、発熱ピーク温度は122℃、終了温度は204℃であり、ブロードな反応状況であるが、トータルの発熱量からエポキシ樹脂の90%が反応していることが確認できた。この樹脂組成物はさらにシリカなどを配合することで固形の半導体封止樹脂として利用できる。

Claims (7)

  1. 金属酸化物及びシラン化合物から構成されるエポキシ樹脂用硬化促進剤であって、前記金属酸化物の金属元素が周期律表において3属から14属の元素であり、前記金属酸化物が、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ジルコン、酸化モリブデン、酸化鉄から選ばれるすくなくとも1種であり、前記シラン化合物がアルコキシシリル基又はシラノール基を有するものであり、且つ平均粒子径が50nm以下であることを特徴とするナノ粒子型のエポキシ樹脂用硬化促進剤と、
    エポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂用硬化促進剤の配合量が、エポキシ樹脂組成物の全配合量100重量部に対し、0.01〜1.5重量部であるエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記シラン化合物がメトキシシリル基又はエトキシシリル基を有するものである請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物
  3. 前記シラン化合物が前記金属酸化物の表面に化学反応により固定化されているものである請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物
  4. 前記エポキシ樹脂組成物を厚み1mmのシート状に成形した硬化物の光線透過率が10%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 更にアミン系硬化剤、フェノールノボラック系硬化剤、又は酸無水物系硬化剤を含むものである請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5いずれか記載のエポキシ樹脂組成物を使用した電子材料用樹脂組成物であって、半導体封止樹脂、ダイアタッチペースト、ダイアタッチフィルム、感光性レジスト、アンダーフィル樹脂、コーティング用皮膜、又は接着剤である電子材料用樹脂組成物。
  7. 請求項記載の電子材料用樹脂組成物を利用した半導体装置又は電子部品。
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