JP5361830B2 - 画像処理装置 - Google Patents
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また,例えば特許文献1では,濃度及び頻度の関係を二次元で示す濃度ヒストグラムを算出して,その頻度が高いものを下地色の濃度と認識し,その下地色の濃度付近の濃度を下地色と同レベルに一律に変換することにより,裏写りを除去することが提案されている。これにより,全体の濃度変化を防止しつつ裏写りを除去することができる。
そこで,複数の色成分データで表現される複数の色と頻度との関係を三次元で示す色ヒストグラム(図3参照)を用いて裏写り除去処理を実行することが考えられる。
具体的には,画像データから色ヒストグラムを算出してその色ヒストグラムに基づいて原稿の下地色を特定し,その下地色に対応して下地色の近傍の色を該下地色に略均一化させるべく色成分データ各々を変換するために用いられる濃度変換テーブルを生成する濃度変換テーブル生成処理と,画像データのうち下地色の近傍の色を表現する画像データの色成分データ各々をその濃度変換テーブルに基づいて変換する濃度変換処理とを順に実行することが考えられる。これにより,下地色の近傍の色を除く色を表現する画像データについては色成分データ各々の変換が行われないため,画像全体の色再現性は損なわれない。また,前記色ヒストグラムの算出前に画像データを低解像度に変換する縮小処理を実行して色ヒストグラムの算出処理の負荷を軽減することも考えられる。
そのため,前記濃度変換テーブル生成処理をソフトウェアによって実行し,前記濃度変換処理及び前記縮小処理は,例えばガンマ補正処理やスケーリング(拡大・縮小)処理,シェーディング補正処理,平滑・強調処理,CMYK変換処理など(以下,「通常の画像処理」という)を施すために一般的な画像処理装置に設けられている画像処理回路(ASIC)を利用して実行することが考えられる。
しかしながら,この場合には,画像データの読み取り時に,前記画像処理回路により前記縮小処理,前記濃度変換処理,前記通常の画像処理を直列的に使用することになるため,画像データの読み取りに要する時間が長くなるという問題が生じる。
一方,前記濃度変換テーブル生成処理を実現するソフトウェアの実行はメインCPU等の演算装置によって行われるため,前記画像処理回路を使用する必要はない。そのため,メインCPU等のソフトウェアによる処理と前記画像処理回路によるハードウェアによる処理とを並行して実行することが可能である。そして,そのロードバランスは当該画像処理装置における画像読取処理の処理効率に大きく影響し,該画像読取処理を含むコピー処理時におけるコピー生産性に影響する。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,裏写り除去処理がソフトウェアの処理とハードウェアの処理とによって具現される構成において,ロードバランスを適切に制御することにより画像データの読取生産性やコピー生産性などを向上させることのできる画像処理装置を提供することにある。
本発明に係る画像処理装置によれば,当該画像処理装置の状態に応じて前記演算装置と前記画像処理部とのロードバランスが適宜制御されることにより,前記演算装置及び前記画像処理部を効率的に使用して画像読み取りの生産性を向上させることができる。
ここに,前記負荷分散制御手段は,前記演算装置の負荷が前記高負荷状態である場合には,前記縮小手段,前記演算装置,前記裏写り除去手段,前記通常画像処理手段の各処理を順に実行させるものである。
ところで,前記縮小手段,前記裏写り除去手段,前記通常画像処理手段各々による各処理における画像データの一時記憶領域として用いられる共通の記憶メモリを更に備えてなる構成においては,前記負荷分散制御手段が,前記記憶メモリの空き容量が予め設定された低容量状態であって,前記縮小手段による処理と前記裏写り除去手段又は前記通常画像処理手段による処理との両方が前記演算装置による前記濃度変換情報生成処理と並列処理可能である場合に,前記縮小手段に優先して前記裏写り除去手段又は前記通常画像処理手段による処理を前記演算装置による前記濃度変換情報生成処理と並列処理させることが望ましい。これにより,先の画像データについての前記裏写り除去手段及び前記通常画像処理手段を早期に終了させて前記記憶メモリの空き領域を確保することができる。
ところで,前記所定の画像処理は,ガンマ補正処理,スケーリング処理,シェーディング補正処理,平滑・強調処理,CMYK変換処理のいずれか一又は複数を含むものである。
また,前記裏写り除去手段は,前記画像読取手段により読み取られた画像データについて複数の色成分データで表現される複数の色ごとの頻度を示す色ヒストグラムを算出し,該色ヒストグラムに基づいて所定の高頻度条件を満たす下地色を特定すると共に,該下地色の近傍の色を該下地色に略均一化させるべく前記色成分データ各々を変換するために用いられる濃度変換情報を生成するものであることが考えられる。もちろん,前記裏写り除去手段による裏写り除去の手法は,前記色ヒストグラムに基づくものに限らず,例えば濃度ヒストグラムなどを用いる従来周知の不法であってもかまわない。
まず,図1を用いて,本発明の実施の形態に係る複合機Xの概略構成について説明する。
図1に示すように,前記複合機Xは,制御部1,操作表示部2,画像読取部3,画像処理部4,DRAM5,画像形成部6などを備えて概略構成されている。なお,複写機,スキャナ装置,ファクシミリ装置なども本発明に係る画像処理装置に該当する。
前記制御部1は,CPU及びROM,RAM等の周辺装置を有しており,前記CPUで前記ROMに格納された所定の制御プログラムに従った処理を実行することにより,当該複合機Xを統括的に制御するメイン制御部(演算装置の一例)である。なお,前記制御部1は,前記DRAM5の作業領域の割り当て制御(メモリハンドリング)や前記DRAM5のデータの入出力処理なども実行する。例えば,前記制御部1は,不図示のDMAコントローラに制御指示を与えることによって,前記DRAM5にデータを記憶させ,或いは該DRAM5からデータを読み出す。
前記操作表示部2は,当該複合機Xにおける各種の情報の表示や,ユーザによる入力操作を行うための液晶ディスプレイ,タッチパネル,各種操作キーなどを有している。
前記画像読取部3は,原稿から読み取った画像データを前記DRAM5に一時記憶する。前記DRAM5は,前記画像処理部4による各種の画像処理過程における作業領域(一時記憶領域)として共通で用いられる半導体記憶メモリである。
また,前記画像読取部3は,原稿から読み取られた画像データに基づいて,該原稿がカラー原稿であるか無彩色原稿(グレースケール原稿やモノクロ原稿など)であるかを判定するACS(Auto Color Selection)判定機能を有している。なお,前記ACS判定機能については従来周知であるため,詳細な説明は省略するが,例えば画像データに含まれたカラー画素の数を計数し,カラー画素が所定数(所定割合)以上に達した場合に,原稿がカラー原稿であると判定することが考えられる。
なお,前記複合機Xにおいてスキャン処理が実行される場合,前記画像処理部4は,前記画像処理後の画像データをハードディスク等の記憶手段に記憶し,或いはLAN等のネットワークを介して所定の情報処理装置などに送信する。
また,前記複合機Xにおいて複写処理が実行される場合,前記画像処理部4は,前記画像処理後の画像データを前記画像形成部6に入力する。前記画像形成部6は,CMYKの各色に対応する感光体ドラムや現像装置などの周知の電子写真方式の画像形成部の構成要素を備えており,給紙カセットから供給された用紙に対し,前記画像処理部4による画像処理後の画像データ(色成分データ各々)に基づいてカラー画像や無彩色画像(モノクロ画像,グレースケール画像など)を形成する。
以下,図2のフローチャートに従って,前記複合機Xで実行される画像読取処理の手順の一例について説明する。なお,図中のS1,S2,…は処理手順(ステップ)の番号を表している。
ここに,当該画像読処理は,前記操作表示部2に対するユーザ操作などによって画像読取開始の要求がなされた後,1ページの原稿から画像データが読み取られる毎に実行される。
なお,本発明の実施の形態に係る複合機Xは,前記制御部1によって後述のロードバランス処理が実行されることにより,複数の原稿についての画像読取処理の要求が存在する場合に,該複合機Xにおけるロードバランス(負荷分散)を適切に制御して該画像読取処理を効率的に実行することに特徴を有しており,この点については後段で詳述する。
まず,ステップS1において,前記制御部1は,予め前記操作表示部2のユーザ操作などによって,無彩色原稿として画像を読み取る無彩色モードに設定されているか否かを判断する。
ここで,前記無彩色モードに設定されていると判断された場合(S1のYes側),処理はステップS9に移行する。そして,前記ステップS9において,前記制御部1は,裏写りを除去するために予め設定された裏写り除去用のガンマ補正情報(ガンマテーブルやガンマ曲線など)を用いる旨の制御指示を前記画像処理部4に与える。
これにより,前記画像処理部4では,前記制御部1からの制御指示に応じて前記裏写り除去用のガンマ補正情報が選択される。ここに,前記裏写り除去用のガンマ補正情報は,例えば原稿の画像全体の濃度を下げることにより裏写りを除去するように,或いは原稿における所定の濃度レベルの部分のみについて該濃度レベルを下げることにより裏写りを除去するように予め設定されたものである。
具体的には,前記画像処理部4の内部メモリに通常時に用いるガンマ補正情報と前記裏写り除去用のガンマ補正情報とが予め記憶されており,該画像処理部4が前記制御部1からの制御指示に応じていずれか一方のガンマ補正情報を選択する構成が考えられる。もちろん,前記制御部1から前記画像処理部4に対していずれか一方のガンマ補正情報を入力してもよい。
そして,続くステップS10では,前記制御部1が前記画像処理部4を制御することにより,該画像処理部4によってガンマ補正処理,シェーディング補正処理,平滑・強調処理,CMYK変換処理などの通常の画像処理を実行させる。このとき,前記ガンマ補正処理では,前記ステップS9で選択された前記裏写り除去用のガンマ補正情報が用いられるため,前記画像読取部3で読み取られた無彩色原稿の画像データにおける裏写りが除去される。
図6に示すように,無彩色原稿である場合には,前記画像読取部3で読み取られた1ページ分の画像データが前記DRAM5に記憶された後,該画像データは,前記画像処理部4に入力されて通常の画像処理(S10)が施され,前記画像形成部6に出力される。
従って,前記複合機Xでは,読み取り原稿が無彩色原稿である場合,前記画像処理部4により前記通常の画像処理のみを実行しているため,無彩色原稿についてもカラー原稿である場合と同様に後述の縮小処理(S4)や濃度変換処理(S5〜S8),通常の画像処理(S10)を前記画像処理部4で直列的に実行する場合に比べて画像データの読み取りに要する時間が短縮される。しかも,前述したように原稿が無彩色原稿である場合には,ガンマ補正処理を利用した裏写り除去処理により適度に裏写り除去効果を得ることができる。
このように,前記複合機Xでは,無彩色原稿である場合にはカラー原稿と同様の裏写り除去処理を実行してもその効果が低いことに鑑みて,無彩色原稿である場合には,適度に効果が得られる裏写り除去処理を採用することで処理時間短縮を優先させている。
一方,前記無彩色モードに設定されておらず,カラー原稿として画像を読み取るカラーモードや,原稿がカラー原稿であるか無彩色原稿であるかを自動的に判定するACS判定モードなどに設定されている場合(S1のNo側),処理はステップS2に移行し,前記制御部1は前記画像読取部3にACS判定処理を実行させる。
このように,前記複合機Xでは,前記ACS判定モードに設定されている場合だけでなく,前記カラーモードに設定されている場合にも前記画像読取部3によるACS判定処理が実行される。もちろん,前記ACS判定モードに設定されている場合にのみ,前記画像読取部3によるACS判定処理が実行されることも他の実施例として考えられる。
そして,ステップS3において,前記制御部1は,前記画像読取部3によるACS判定結果がカラー原稿であるか否かを判断する。ここで,ACS判定結果がカラー原稿であると判断された場合(S3のYes側),処理はステップS4に移行し,カラー原稿でないと判断された場合(S3のNo側),処理は前記ステップS9に移行する。即ち,例えばユーザが意図的にカラーモードを選択している場合であっても,前記ACS判定処理によって無彩色原稿であると判定された場合には,前記ステップS9に移行して前記ガンマ補正処理による原稿の裏写り除去が行われることとなる。
他方,前記画像読取部3によるACS判定結果がカラー原稿である場合(S3のYes側),前記制御部1は,続くステップS4〜S8を順に実行することにより,前記画像読取部3で読み取られた画像データにおける原稿の裏写りを除去する。以下,ステップS4〜S8の処理について詳説する。
まず,ステップS4において,前記制御部1は,前記画像処理部4により前記画像読取部3で読み取られた画像データのR,G,B色成分データ各々の解像度を予め設定された低解像度に変換させて画像データを縮小する縮小処理を実行させる。ここに,係る縮小処理を実行するときの前記画像処理部4が縮小手段に相当する。これにより,前記画像データが縮小されるため,例えば前記制御部1によって実行される後述の下地色特定処理(S5)の処理負担を軽減することができる。
例えば,前記画像処理部4は,解像度600dpiのR,G,B色成分データを,8×8の64ドット(所定単位の一例)ごとに平均化しつつ解像度75dpi程度の低解像度のR,G,B色成分データに変換する。そして,このように低解像度に変換された後の画像データは前記DRAM5に一時記憶される。
そして,ステップS5において,前記制御部1は,前記ステップS4による変換後のR,G,B色成分データに基づいて所定の高頻度条件を満たす下地色を特定する下地色特定処理を実行する。
具体的に,前記制御部1は,まずR,G,B色成分データで表現される複数の色を予め定められた所定範囲の色ごとの色群に分類したときに,該R,G,B色成分データ各々で表現される全画像データに含まれる前記色群ごとの画素の頻度(数)を示す第一の色ヒストグラム(三次元ヒストグラム)を算出する。
ここに,図3は,前記第一の色ヒストグラムの一例を示している。図3に示すように,前記第一の色ヒストグラムは,画像データを構成するR,G,B色成分データ各々の濃度値を三次元に配置したとき,その三次元の濃度値(R,G,B)で示される所定範囲の色を含む色群ごとの頻度を算出したものである。具体的に,図3に示す例は,R,G,B色成分データ各々の値の組み合わせによって表現される256×256×256の16,777,216色を,16×16×16の4096個の色群に分類し,原稿の画像に含まれるその色群ごとの画素の頻度を算出したものである。この場合,前記色群各々に含まれる所定範囲の色は,(R,G,B)=(0〜15,0〜15,0〜15),(16〜31,0〜15,0〜15),(32〜47,0〜15,0〜15),…(239〜255,239〜255,239〜255)となる。
次に,前記制御部1は,前記第一の色ヒストグラムに基づいて,予め設定された所定頻度以上である下地色群を抽出する。前記所定頻度は,例えばその色が原稿の画像において裏写りが顕著となる程の面積を占めていることを判断するために予め設定されたものである。このように,前記制御部1は,最も頻度の高い色群のみを特定するものではなく,前記所定頻度以上である下地色群を抽出するものであるため,該下地色群が複数抽出される場合もある。
そして,前記制御部1は,前記下地色群ごとに,該下地色群に含まれた色ごとの頻度を示す第二の色ヒストグラムを算出する。例えば,図3に示したように,前記第一の色ヒストグラムが,R,G,B色成分データ各々の値により表現される256×256×256の16,777,216色を16×16×16の4096個の色群に分類し,その色群ごとの頻度を算出したものである場合,前記第二の色ヒストグラムは,その色群に含まれた16×16×16の4096の色ごとの頻度を個別に算出したものとなる。
その後,前記変換ポイント算出部42は,前記第二の色ヒストグラムに基づいて,前記下地色群ごとにおいて最も頻度の高い色を前記高頻度条件を満たす下地色として特定する。このとき,前述したように前記下地色群が複数抽出される場合には,ここでも複数の下地色が特定されることになる。即ち,本実施の形態における前記所定の高頻度条件を満たす下地色とは,前記所定頻度以上の色群に属し,且つその色群の中で最も頻度が高い色である。
このように,前記制御部1は,まず粗レベルの前記第一の色ヒストグラムを算出した後,その中で所定頻度以上である一又は複数の色群を抽出し,その一又は複数の色群についてのみ,より詳細な前記第二の色ヒストグラムを算出する。そのため,初めから全ての色(上記例では16,777,216色)の頻度を示すヒストグラムを算出する場合に比べて処理負担は著しく軽減される。
次に,ステップS6において,前記制御部1は,前記ステップS5で特定された下地色ごとに対応して,前記下地色の近傍の色を該下地色に略均一化させるべく前記R,G,B色成分データ各々を変換するために用いられる濃度変換テーブル(濃度変換情報の一例)を生成する。このように,前記複合機Xでは,前記ステップS5〜S6において,前記制御部1によるソフトウェアの処理により,前記濃度変換テーブルを生成する濃度変換テーブル生成処理が具現される。
なお,前記制御部1は,前記ステップS5で特定された下地色が複数である場合には,前記RGB色成分データごとに対応する複数の濃度変換テーブルを生成する。ここに,図4,5は,前記ステップS5で特定された下地色が2つである場合に前記制御部1で生成される濃度変換テーブルの一例を示す図である。
図4は,一つ目の下地色が,R,G,B各々の色成分データが変換ポイントPr1,Pg1,Pb1で表現される色である場合に,該下地色に対応して生成される濃度変換テーブルの一例を示すものであって,(a),(b),(c)は,R,G,B色成分データ各々に対応する濃度変換テーブルTr1,Tg1,Tb1を示している。また,図5は,二つ目の下地色が,R,G,B各々の色成分データが変換ポイントPr2,Pg2,Pb2で表現される色である場合に,該下地色に対応して生成される濃度変換テーブルの一例を示すものであって,(a),(b),(c)は,R,G,B色成分データ各々に対応する濃度変換テーブルTr2,Tg2,Tb2を示している。
具体的に,図4(a)に示すように,前記濃度変換テーブルTr1は,前記変換ポイントPr1を中心とする所定範囲の濃度をその変換ポイントPr1に略均一化させるように変換する際に用いられるものである。同じく,図4(b),(c)に示すように,前記濃度変換テーブルTg1,Tb1は,前記変換ポイントPg1,Pb1を中心とする所定範囲の濃度をその変換ポイントPg1,Pb1に略均一化させるように変換する際に用いられるものである。なお,図5に示す前記濃度変換テーブルTr2,Tg2,Tb2も同様である。もちろん,前記濃度変換テーブルは,前記下地色の近傍の色を該下地色に近似させて略均一化させることにより裏写りを除去し得るものであれば,図4,図5に示す形態に限らない。
その後,ステップS7〜S8において,前記制御部1は,前記画像読取部3で読み取られた画像データを前記DRAM5から1バンド毎に前記画像処理部4に入力し,前記下地色の近傍の色を表現する画像データの色成分データ各々を前記濃度変換テーブルに基づいて変換することにより裏写りを除去する濃度変換処理を前記画像処理部4に実行させる。ここに,係る処理を実行するときの前記画像処理4が裏写り除去手段に相当する。
具体的に,前記ステップS7において,前記画像処理部4は,まずR,G,B色成分データ各々に対して平滑化処理を施して網点成分を除去する。これにより,前記原稿が網点成分を含むものである場合に,その網点上に存在する裏写り部分についても前記下地色の近傍の色を表現するものであると判断し,その裏写りを除去することが可能となる。なお,前記R,G,B色成分データ各々の平滑化には,例えば周知のメディアンフィルタや平均化フィルタ等を用いればよい。
そして,前記画像処理部4は,前記画像読取部3で読み取られて平滑化処理が施された後の画像データのうちR,G,B色成分データ各々で表現される色が前記下地色の近傍の色である前記画像データについて,前記R,G,B色成分データ各々を該下地色に対応して生成された前記濃度変換テーブルに基づいて変換する濃度変換処理を実行することにより,該下地色近傍の色を下地色に均一化して裏写りを除去する。即ち,前記下地色の近傍の色を除く他の色の画像データについては濃度変換が行われない。
例えば,前記R,G,B色成分データで表現される色が,図4に示した変換ポイントPr1,Pg1,Pb1で表現される下地色の近傍の色である画素の画像データが入力された場合には,その下地色に対応して前記ステップS6で生成された前記濃度変換テーブルTr1,Tg1,Tb1に基づいて,前記R,G,B色成分データが変換される。同じく,図5に示した変換ポイントPr2,Pg2,Pb2で表現される下地色の近傍の色である画素の画像データが入力された場合には,その下地色に対応して前記ステップS6で生成された前記濃度変換テーブルTr2,Tg2,Tb2に基づいて,前記R,G,B色成分データが変換される。
そこで,前記制御部1は,前記DRAM5に記憶されていた元の画像データの記憶領域に,前記画像処理部4による濃度変換後の画像データを順に上書き保存させる。これにより,前記DRAM5内に,前記元の画像データと前記濃度変換後の画像データとの両方を記憶させるための記憶領域を確保する必要が無く,該画像読取処理で使用する前記DRAM5の記憶領域を省減することができる。
特に,前記DRAM5の前記記憶領域には,前記元の画像データと前記濃度変換後の画像データとのデータ量の差に相当する空き領域ができるため,前記制御部1は,その空き領域を順に開放することが望ましい。これにより,前記空き領域を当該複合機Xにおける他の処理の作業領域として用いることができ,該複合機Xにおける処理効率を向上させることができる。例えば,前記制御部1は,前記空き領域を次ページの画像読取処理やFAX受信処理などに利用する。もちろん,前記DRAM5の記憶領域が十分である場合には,前記上書き処理を実行しないことも他の実施例として考えられる。
そして,1ページ分の画像データについての濃度変換が終了すると(S8のYes側),処理は前記ステップS10に移行し,前記制御部1によって前記画像処理部4が制御されることにより,該画像処理部4による従来周知のガンマ補正処理やスケーリング処理,シェーディング補正処理,平滑・強調処理,CMYK変換処理などの所定の画像処理が実行される。ここに,係る処理を実行するときの前記画像処理部4が通常画像処理手段に相当する。
このときは,前記ガンマ補正処理において,前記ステップS9で選択される前記裏写り除去用のガンマ補正情報ではなく通常のガンマ補正情報を用いたガンマ補正が実行される。
図7に示すように,カラー原稿である場合には,前記画像読取部3で読み取られた画像データが前記DRAM5に記憶された後,該画像データは,前記画像処理部4に入力されて縮小され(S4),再度前記DRAM5に記憶される。なお,縮小後の画像データは,前記画像読取部3で読み取られた元の画像データの記憶領域とは別の記憶領域に記憶される。そして,前記制御部1では,前記DRAM5に記憶された縮小後の画像データに基づいて前記濃度変換テーブルが生成される(S5〜S6)。
次に,前記画像読取部3で読み取られて前記DRAM5に記憶されていた元の画像データが前記画像処理部4に入力され,前記制御部1で生成された前記濃度変換テーブルに基づいて濃度変換された後(S7〜S8),再度前記DRAM5に記憶される。このとき,前記濃度変換後の画像データは,前述したように前記元の画像データが記憶されている記憶領域に上書き保存される。
その後,前記DRAM5に記憶された濃度変換後の画像データは,1バンド毎に前記画像処理部4に入力されて該画像処理部4において通常の画像処理(ガンマ補正処理,スケーリング処理,シェーディング補正処理,平滑・強調処理,CMYK変換処理など)が施された後,前記画像形成部6に順に出力される。
このように,前記複合機Xでは,カラー原稿である場合は高い裏写り除去効果を得ることができる裏写り除去処理を採用することで画像品質を優先させている。
ここに,図8(a),(b)は,前記ロードバランス処理で用いられる所定のロードバランス情報の一例を示すものである。
図8(a)に示すように,前記ロードバランス情報においては,当該複合機Xの状態が,(1)前記制御部1のCPUの負荷が予め設定された高負荷状態であるか否か,(2)前記DRAM5の空き容量が予め設定された低容量状態(メモリ空きなし状態)であるか否か,(3)裏写り除去処理又は通常の画像処理の要求の有無,(4)縮小処理の要求の有無の4つの状況の組み合わせからなるケースA〜Mまでの13通りに分類されている。
ここに,前記高負荷状態は,例えば複数の原稿についての画像読取処理が正常に実行されなくなるおそれのある状態や,前記複合機Xにおける他の処理が不安定となるおそれのある状態として予め設定されたものである。また,前記低容量状態は,例えば原稿1ページ分の画像データに相当するデータ量の空き領域を前記DRAM5に確保することができない状態である。
なお,前記裏写り除去処理要求は,例えば前記制御部1による前記濃度変換テーブル生成処理の終了時に前記制御部1において発生し,前記通常の画像処理要求は,例えば前記裏写り除去処理の終了時に前記制御部1において発生する。また,前記縮小処理要求は,例えば1ページの画像データの読み取り終了時に前記制御部1において発生する。
以下,前記ロードバランス情報を用いて前記制御部1によって実行されるロードバランス処理の具体例について説明する。まず,前記制御部1による濃度変換テーブル生成処理と前記画像処理部4による各種の画像処理との並列処理が行われる前記ケースA,B,E,F,I各々について説明し,その後,前記並列処理が行われない他のケースについて説明する。なお,1枚の原稿のみについて画像読取処理が実行される場合には,当該ロードバランス処理は実行されず,図2に示した画像読取処理が順に実行される。
前記ケースA,B,E,F,Iは,前記画像処理部4による前記縮小処理,前記裏写り除去処理,前記通常の画像処理の少なくとも一つが要求されており,該処理を前記制御部1による前記濃度変換テーブル生成処理と並列処理することが可能な状態である。また,前記制御部1のCPUは高負荷状態ではない。
そこで,前記ケースA,B,E,F,Iの状態において2ページ以上の原稿についての画像読取処理が実行される場合,前記制御部1は,前記画像処理部4による前記縮小処理(S4)や前記裏写り除去処理又は前記通常の画像処理(S7又はS10)と,前記濃度変換テーブル生成処理(S5〜S6)とを並列処理させる。
一方,前記ケースF,Iの状態においては,前記画像処理部4を利用する処理として前記縮小処理(S4)のみが要求されている。そのため,前記制御部1は,1枚目の原稿の画像データについての前記濃度変換テーブル生成処理(S5〜S6)と,2枚目の原稿の画像データについての前記画像処理部4による前記縮小処理(S4)とを並列処理させる。これにより,前記画像処理部4が1枚目の原稿の画像データの画像処理に使用されていない時間を,2枚目の原稿の画像データの画像処理に使用させることで,前記画像処理部4を効率的に動作させ,当該複合機Xにおける画像読み取りの生産性を向上させることができる。
これに対し,前記ケースEの状態では,前記縮小処理(S4)の要求と,前記裏写り除去処理又は前記通常の画像処理(S7又はS10)の要求とが両方存在するため,いずれを前記制御部1による前記濃度変換テーブル生成処理と並列処理することも可能である。但し,前記ケースEの状態では,前記DRAM5に十分な空き領域が存在しない。そこで,前記制御部1は,前記縮小処理(S4)に優先して前記裏写り除去処理又は前記通常の画像処理(S7又はS10)を,前記制御部1による濃度変換テーブル生成処理と並列処理させ,該DRAM5内の1枚目の原稿の画像データを出力させて空き領域をできるだけ早く確保する。
なお,前記ケースCの状態においても,前記ケースA,B,E,F,Iと同様に前記制御部1のCPUが高負荷状態ではないが,前記縮小処理(S4)や前記裏写り除去処理又は前記通常の画像処理(S7又はS10)の要求がないため並列処理を実行する必要がない。
そのため,前記制御部1は,前記画像読取処理(図2)に示されたフローチャートに従ってシーケンシャルに処理を進行させる。これにより,前記通常の画像処理が実行されたときに前記DRAM5に空き領域が形成される。
一方,前記ケースD,G,H,J〜Mの状態では,前記制御部1のCPUが高負荷状態であるため,該制御部1による前記濃度変換テーブル生成処理(S5〜S6)を実行すると,前記画像処理部4による前記縮小処理(S4)や前記裏写り除去処理又は前記通常の画像処理(S7又はS10),更には当該複合機Xにおける他の処理に遅延や異常が生じるおそれがある。
そのため,前記ケースD,G,H,J〜Mの状態では,前記制御部1は前記画像処理部4による前記縮小処理(S4)や前記裏写り除去処理又は前記通常の画像処理(S7又はS10)と並行して前記濃度変換テーブル生成処理(S5〜S6)を実行せず,前記画像読取処理(図2)に示されたフローチャートに従って,1ページ目の原稿の画像データから順に処理を進行させる。
これにより,異なる原稿の画像データについての処理を前記画像処理部4と前記制御部1とにより並列して実行することができるため,複数ページの原稿の画像読取処理を効率的に実行し,当該複合機Xにおける画像読み取りの生産性やコピー処理の生産性を向上させることができる。
また,本実施の形態で説明した画像読取処理(図2)では,原稿が無彩色原稿である場合,予め定められたガンマ補正情報に基づいてガンマ補正を行うことにより裏写りを除去することを例に挙げて説明した。一方,前記制御部1が,無彩色原稿である場合にも,前記ステップS9において,前記制御部1が,前記ステップS4や前記ステップS5と同様の処理を実行して無彩色原稿における下地色を特定し,その下地色近傍の色がその下地色に均一化されるようにガンマ補正情報を設定することが他の実施例として考えられる。
これにより,無彩色原稿の場合の裏写り除去効果を高めて出力画像の品質を向上させることができる。もちろん,この場合でも前記ステップS6〜S8における濃度変換テーブル生成処理や濃度変換処理は省略されるため,カラー原稿に比べれば,画像データの読み取りに要する時間を短縮することができる。
2:操作表示部
3:画像読取部
4:画像処理部
5:DRAM
6:画像形成部
S1,S2,…:処理手順(ステップ)番号
Tr1,Tr2,Tg1,Tg2,Tb1,Tb2:濃度変換テーブル
Pr1,Pr2,Pg1,Pg2,Pb1,Pb2:変換ポイント
X:複合機(画像処理装置の一例)
Claims (5)
- 原稿から画像データを読み取る画像読取手段と,
前記画像読取手段により読み取られた画像データを所定単位ごとに平均化しつつ該画像データの解像度を予め設定された低解像度に変換する縮小手段と,
前記縮小手段により変換された後の画像データのうち所定の高頻度条件を満たす下地色の近傍の色の画像データを該下地色に略均一化させるべく前記画像データを変換するために用いられる濃度変換情報を生成する濃度変換情報生成処理を少なくとも実行する演算装置と,
前記画像読取手段により読み取られた画像データを前記演算装置で生成された前記濃度変換情報に基づいて変換することにより該画像データにおける裏写りを除去する裏写り除去手段と,
前記裏写り除去手段により裏写りが除去された後の画像データに対して所定の画像処理を施す通常画像処理手段と,
前記縮小手段,前記裏写り除去手段,前記通常画像処理手段各々による各処理で用いられる共通の画像処理手段と,
前記縮小手段,前記裏写り除去手段,前記通常画像処理手段の少なくともいずれか一つによる処理と前記演算装置による前記濃度変換情報生成処理との並列処理が可能な状態であり,該演算装置の負荷が予め定められた高負荷状態でない場合には,前記縮小手段,前記裏写り除去手段,前記通常画像処理手段のいずれか一つによる処理と前記演算装置による前記濃度変換情報生成処理とを並列処理させる負荷分散制御手段と,
を備えてなることを特徴とする画像処理装置。 - 前記負荷分散制御手段が,前記演算装置の負荷が前記高負荷状態である場合には,前記縮小手段,前記演算装置,前記裏写り除去手段,前記通常画像処理手段の各処理を順に実行させるものである請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記縮小手段,前記裏写り除去手段,前記通常画像処理手段各々による各処理における画像データの一時記憶領域として用いられる共通の記憶メモリを更に備えてなり,
前記負荷分散制御手段が,前記記憶メモリの空き容量が予め設定された低容量状態であって,前記縮小手段による処理と前記裏写り除去手段又は前記通常画像処理手段による処理との両方が前記演算装置による前記濃度変換情報生成処理と並列処理可能である場合は,前記縮小手段に優先して前記裏写り除去手段又は前記通常画像処理手段による処理を前記演算装置による前記濃度変換情報生成処理と並列処理させるものである請求項1又は2のいずれかに記載の画像処理装置。 - 前記所定の画像処理が,ガンマ補正処理,スケーリング処理,シェーディング補正処理,平滑・強調処理,CMYK変換処理のいずれか一又は複数を含んでなる請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理装置。
- 前記裏写り除去手段が,前記画像読取手段により読み取られた画像データについて複数の色成分データで表現される複数の色ごとの頻度を示す色ヒストグラムを算出し,該色ヒストグラムに基づいて所定の高頻度条件を満たす下地色を特定すると共に,該下地色の近傍の色を該下地色に略均一化させるべく前記色成分データ各々を変換するために用いられる濃度変換情報を生成するものである請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理装置。
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