JP5361281B2 - 車両用シートのパワースライド装置 - Google Patents

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本発明は、車両用シートをモータ駆動の送りねじ機構で前後方向に移動させるパワースライド装置に関する。
車両用シートスライド装置は、車両床面に前後方向に向けて固定されるロアレールに、シートに固定されるアッパレールを摺動自在に係合させる基本構造を有する。この車両用シートスライド装置は、アッパレールとロワレールの一方に、該レールの延長方向に向けてモータ駆動のスクリューロッドを回動自在に支持する一方、他方にこのスクリューロッドのナット螺合部に螺合するナット部材を固定することでパワー化されている。
スクリューロッドは、スクリューロッド支持レールの一端部(一般的に前端部)に設けたギヤボックスによって回転駆動されている。さらに、スクリューロッドを支持したレールとスクリューロッドにはそれぞれ、衝突時の荷重を分散させギヤボックスに直接伝達されないようにする荷重伝達部材と荷重受け部材を設けることが行われている。
特開2008-80997号公報 米国特許第5,456,439号公報
このようなパワースライド装置では、スクリューロッドは、送りナットを介して送りナット支持レールと係合するだけでなく、荷重伝達部材と荷重受け部材を介しても送りナット支持レールに係合している。また、スクリューロッドは、スクリューロッド支持レールの全長にほぼ全長に渡る長尺であるため、偏心回転が生じやすく、偏心回転に起因して異音が発生するという問題があった。
本発明は、スクリューロッドの偏心回転及びこれに起因する異音の発生を可及的に抑制することができる車両用シートのパワースライド装置を得ることを目的とする。
本発明は、スクリューシャフト支持レールに保持する荷重伝達部材を、スクリューシャフトの偏心回転を防止する軸受として利用するという着眼に基づいてなされたものである。
本発明は、車両床面に配設されるロアレール;このロアレールに摺動自在に係合しシート側に配設されるアッパレール;アッパレールとロアレールのいずれか一方に回転自在に支持されたスクリューロッド;該スクリューロッド支持レールの端部に設けられ、該スクリューロッドを回転駆動するギヤボックス;スクリューロッドに螺合され、アッパレールとロアレールの他方に固定された送りナット;スクリューロッド支持レールに保持された荷重伝達部材;及びこの荷重伝達部材に係合する上記スクリューロッドに設けた荷重受け部材;を有する車両用シートのパワースライド装置において、荷重伝達部材には、スクリューロッドを緩通させる緩通穴を形成したこと、この緩通穴内に、該緩通穴と同軸の合成樹脂製のスリーブが嵌合していること、スクリューロッドに、上記荷重受け部材として、上記荷重伝達部材及びスリーブを挟む一対の荷重受け部材を固定したこと、及び上記一対の荷重受け部材の少なくとも一方とスリーブに、上記荷重伝達部材の緩通穴と上記スクリューロッドをセンタリングするセンタリング手段を設けたこと、を特徴としている。
このセンタリング手段は、具体的には例えば、一対の荷重受けナットの少なくとも一方と、スリーブに、互いに接触するように形成した凹凸の截頭円錐面から構成することができる。
本発明の一実施態様では、荷重伝達部材及び一対の荷重受けナットと、送りナットは、この順番に、ギヤボックス側から配置することができる。
また、別の態様では、送りナットと、荷重伝達部材及び一対の荷重受けナットは、この順番に、ギヤボックス側から配置することができる。
荷重伝達部材は、その一端部に上記緩通穴を有する荷重伝達部を有し、他端部に上記ギヤボックスを支持するギヤボックス支持部を有する荷重伝達ブラケットから構成することができる。
本発明は、スクリューロッドの回転により送りナットを介してアッパレールをロアレールに対して進退移動させる車両用シートのパワースライド装置において、スクリューロッド支持レールに保持した荷重伝達部材には、スクリューロッドを緩通させる緩通穴を形成し、この緩通穴内に、合成樹脂材料からなるスリーブを同軸に嵌合させ、スクリューロッドに、荷重受け部材として、荷重伝達部材及びスリーブを挟む一対の荷重受け部材を固定し、一対の荷重受け部材の少なくとも一方とスリーブに、荷重伝達部材の緩通穴とスクリューロッドをセンタリングするセンタリング手段を設けたので、荷重伝達部材にスクリューロッドの軸受機能を与え、スクリューロッドの偏心回転をなくして、異音の発生を防止することができる。
本発明による(本発明の対象とする)車両用シートスライド装置は、図5に示すように、車両用シートSと床面Fとの間に位置し車両前後方向に延びる左右一対のシートトラック10を有する。左右のシートトラック10は、同一(対称)構造であり、床面Fに前後のブラケット11、12で固定されるロアレール13と、シートSに固定されるアッパレール14とを有し、このロアレール13とアッパレール14が摺動自在に嵌まっている。ロアレール13とアッパレール14は、互いに対向する開口部を備えている。
図1及び図2は、本発明によるパワースライド装置の第一の実施形態を示している。ロアレール13には、固定ボルト15を介して軸線を前後方向に向けた送りナット16が固定されている。この送りナット16は、金属製のアウタケーシング16a内に、吸振用のゴムシート16bを介して、合成樹脂製のナット16cを挿入してなっている。ロアレール13は、送りナット固定レールである。
これに対し、アッパレール14には、この送りナット16に螺合するスクリューロッド20が回転自在に支持されている。すなわち、アッパレール(スクリューロッド支持レール)14には、その前端部と後端部に、スクリューロッド20の前端部と後端部を回転自在に支持するギヤボックス30と後端軸受部材17が設けられている。図1は、アッパレール14(シートS)のロアレール13に対する前方移動端を示している(図の左方が前方である)。
スクリューロッド20には、その前端部から順に、セレーション部21、円筒部22及びねじ部23が形成されており、ギヤボックス30内には、このセレーション部21と相対回転不能に係合するセレーション穴32aを軸部に有するウォームホイル32が回転自在に支持されている。ウォームホイル32は、軸線を車両左右方向に向けたウォーム33と噛み合っていて、該ウォーム33が正逆に回転すると、ウォームホイル32が正逆に回転し、セレーション部21(スクリューロッド20)が正逆に回転する。ギヤボックス30は、金属製のアウタケーシング30a内に吸振用のゴムシート30bを介して機構部30cが支持されている。
左右のアッパレール14のギヤボックス30内のウォーム33は、連動機構によって連動して回転するものであり、この連動回転により、左右のアッパレール14のスクリューロッド20が正逆に回転する。
アッパレール14には、ギヤボックス30と送りナット16との間に位置させて、荷重伝達ブラケット(荷重伝達部材)40が固定されている。この荷重伝達ブラケット40は、アッパレール14に沿う固定部41と、この固定部41の後端部から下方に延びる荷重伝達部42と、固定部41の前端部から上方に延びるギヤボックス支持部43とを有する断面視クランク状をなしており、荷重伝達部42に、スクリューロッド20を非接触で通す緩通穴44が形成されている。固定部41は、固定ボルトナット45によって、アッパレール14に固定されており、固定部41とアッパレール14の間には、吸振用のゴムシート46が挟着されている。ギヤボックス支持部43には、締結ボルト31によってギヤボックス30が固定されている。
荷重伝達部42の緩通穴44には、低摩擦性合成樹脂製のブッシュ(スリーブ)47が嵌められており、スクリューロッド20には、荷重伝達部42の前後に位置させて荷重受けナット24と荷重受けナット25が螺合されている。また、荷重伝達ブラケット40の荷重伝達部42の緩通穴44(に嵌めたブッシュ47)には、荷重受けナット24と25の間においてスクリューロッド20外周に位置する低摩擦性合成樹脂製のブッシュ(スリーブ)26が該スクリューロッド20に対して相対回転自在に嵌められている。スリーブ26は、低摩擦性の合成樹脂材料からなるもので、緩通穴44(スリーブ47)に嵌まる無ねじ筒状部26aと、緩通穴44から突出する部分に設けた軸線を回転中心とする凸截頭円錐面26bが形成されている。一方、荷重受けナット25には、この凸截頭円錐面26bと係合する軸線を回転中心とする凹截頭円錐面25aが形成されており、スクリューロッド20のねじ部23に螺合させる荷重受けナット25を回転させることで、凹凸の截頭円錐面26bと截頭円錐面25aを接触させ、スリーブ26をセンタリングすることができる。このスリーブ26によるセンタリング作用で、特に後部軸受部材17側のスクリューロッド20の偏心回転を抑制することができる。
凹凸の截頭円錐面は、スリーブ26と荷重受けナット25との間に(も)設けてもよい。逆に、スリーブ26と荷重受けナット24及び25の間に、互いに係合する截頭円錐面が存在しないとしても、スリーブ26を低摩擦性の合成樹脂材料から形成し、相対回転自在にスクリューロッド20を嵌めることで、荷重伝達ブラケット40の荷重伝達部42におけるスクリューロッド20の一定の軸受作用を得ることができる。特に、荷重伝達部42の緩通穴44内周にブッシュ47を嵌めることで、スクリューロッド20の軸受作用を高めることができる。
以上のパワーシートスライド装置は、左右のアッパレール14のギヤボックス30内のウォーム33を、連動機構によって連動して回転させると、左右のスクリューロッド20が正逆に回転し、ロアレール13には、スクリューロッド20のねじ部23に螺合する送りナット16が固定されているため、アッパレール14(シートS)が前後に移動する。
衝突荷重が加わると、アッパレール14がロアレール13に対して相対的に移動しようとし、その荷重は、荷重伝達ブラケット40の荷重伝達部荷重伝達部42から、荷重受けナット24または荷重受けナット25に伝達され、スクリューロッド20に加わる。このため、ギヤボックス30部分に加わる荷重を低減し、ギヤボックス30(ウォームホイル32、ウォーム33)の破損を防止することができる。
そして、本実施形態では、スクリューロッド20が、荷重伝達ブラケット40の荷重伝達部42にスリーブ26を介して回転自在に支持されているため、スクリューロッド20は正しい軸位置に保持され、偏心回転の可能性が少ない。また偏心回転に伴う異音の発生も防止される。
図3は、本発明の第2の実施形態を示している。この実施形態は、荷重伝達ブラケット40のギヤボックス固定部43に固定するギヤボックス30の形状が第1の実施形態とは異なる。この他の点は第1の実施形態と同様である。
図4は、本発明の第3の実施形態を示すもので、第1、第2の実施形態では、送りナット16とギヤボックス30の間に配置していた荷重伝達ブラケット40(荷重受けナット24、荷重受けナット25、スリーブ26)を、送りナット16と後端軸受部材17の間に配置した実施形態である。図4の荷重伝達ブラケット40はギヤボックス支持部43を備えていない。また、この実施形態では、アッパレール14の前方に固定した軸受固定ブラケット60とギヤボックス30との間に、スクリューロッド20を回転自在に支持する独立軸受部材50が挟着固定されている。独立軸受部材50は、ギヤボックス支持部43とギヤボックス30との間に挟まれる挟着固定部51と、この挟着固定部51から一旦後方に曲げられた後さらに下方に延びる軸受部52を有し、軸受部52にスクリューロッド20を回転自在に挿通した支持穴53が形成されている。この支持穴53には、スクリューロッド20のセレーション部21とねじ部23との間の円筒部22と接触する合成樹脂製のブッシュ(スリーブ)54が嵌められている。その他の構成は第1、第2の実施形態と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付している。
本発明によるパワースライド装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。 図1の一部の分解状態の拡大斜視図である。 本発明によるパワースライド装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。 本発明によるパワースライド装置の第3の実施形態を示す縦断面図である。 車両用シートスライド装置の一般構成を示す斜視図である。
S 車両用シート
F 床面
10 シートトラック
13 ロアレール
14 アッパレール
14a 切起し部
15 固定ボルト
16 送りナット
17 後端軸受部材
20 スクリューロッド
21 セレーション部
22 円筒部
23 ねじ部
24 荷重受けナット(荷重受け部材)
25 荷重受けナット(荷重受け部材)
26 スリーブ
25a 26b 截頭円錐面
30 ギヤボックス
31 接続ブラケット
31a 締結穴
32 ウォームホイル
32a セレーション穴
33 ウォーム
40 荷重伝達ブラケット
41 固定部
42 荷重伝達部
43 ギヤボックス支持部
44 緩通穴
45 固定ボルトナット
50 独立軸受部材

Claims (5)

  1. 車両床面に配設されるロアレール;
    このロアレールに摺動自在に係合しシート側に配設されるアッパレール;
    上記アッパレールとロアレールのいずれか一方に回転自在に支持されたスクリューロッド;
    該スクリューロッド支持レールの端部に設けられ、該スクリューロッドを回転駆動するギヤボックス;
    上記スクリューロッドに螺合され、上記アッパレールとロアレールの他方に固定された送りナット;
    上記スクリューロッド支持レールに保持された荷重伝達部材;及び
    この荷重伝達部材に係合する上記スクリューロッドに設けた荷重受け部材;を有する車両用シートのパワースライド装置において、
    上記荷重伝達部材には、スクリューロッドを緩通させる緩通穴を形成したこと、
    この緩通穴内に、該緩通穴と同軸の合成樹脂製のスリーブが嵌合していること、
    スクリューロッドに、上記荷重受け部材として、上記荷重伝達部材及びスリーブを挟む一対の荷重受け部材を固定したこと、及び
    上記一対の荷重受け部材の少なくとも一方とスリーブに、上記荷重伝達部材の緩通穴と上記スクリューロッドをセンタリングするセンタリング手段を設けたこと、
    を特徴とする車両用シートのパワースライド装置。
  2. 請求項1記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記一対の荷重受け部材の少なくとも一方と、スリーブには、上記センタリング手段として、互いに接触する截頭円錐面が形成されている車両用シートのパワースライド装置。
  3. 請求項1または2記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記荷重伝達部材及び一対の荷重受け部材と、送りナットは、この順番に、ギヤボックス側から並んでいる車両用シートのパワースライド装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記送りナットと、上記荷重伝達部材及び一対の荷重受け部材は、この順番に、ギヤボックス側から並んでいる車両用シートのパワースライド装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項記載の車両用シートのパワースライド装置において、上記荷重伝達部材は、その一端部に上記緩通穴を有する荷重伝達部を有し、他端部に上記ギヤボックスを支持するギヤボックス支持部を有している車両用シートのパワースライド装置。
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