以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態である画像形成装置について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態の電子写真方式の画像形成装置の構成の一例を示す図である。図1において、図10と同じ部分には同一の符号を付している。なお、図1は、画像形成装置における各部の位置関係を示すものであり、本発明は、図1に示すタンデム直接転写方式/AIO(All In One)カートリッジタイプの画像形成装置に限定されるものではない。
本実施形態の画像形成装置100は、図1に示すように、搬送ベルト101に沿って複数色の電子写真プロセス部(画像形成部)であるAIOカートリッジ102Bk、102M、102C、102Yが並べられた構成であり、いわゆるタンデムタイプといわれるものである。本実施形態の画像形成装置100として、例えば、複合機、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ等が挙げられる。
搬送ベルト101は、反時計回り方向に回動し、その回動方向の上流側から順に、複数のAIOカートリッジ102Bk、102M、102C、102Yが配列されている。なお、この配列順は図1に限定されない。
これら複数のAIOカートリッジ102Bk、102M、102C、102Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで、内部構成は共通である。102Bkはブラックのトナー画像を、102Mはマゼンタのトナー画像を、102Cはシアンのトナー画像を、102Yはイエローのトナー画像を、それぞれ形成する。
以下の説明では、AIOカートリッジ102Bkについて具体的に説明するが、他のAIOカートリッジ102M、102C、102YはAIOカートリッジ102Bkと同様であるので、AIOカートリッジ102M、102C、102Yの各構成要素については、AIOカートリッジBkの各構成要素に付したBkに替えて、M、C、Yによって区別した符号を図示するにとどめ、説明を省略する。
AIOカートリッジ102Bkは、像担持体である感光体、感光体の周囲に配置された帯電手段である帯電器、現像手段である現像器、クリーニング手段であるクリーナーブレード等から構成されている。
搬送ベルト101は、回転駆動される図示しない駆動ローラと搬送ベルトテンションローラとに巻回されたエンドレスのベルトである。駆動ローラは、図示しない駆動源である駆動モータにより回転駆動される。
光源103は、レーザダイオードや発光ダイオード等の発光素子を用いた露光手段であり、各AIOカートリッジ102Bk、102M、102C、102Yが形成する画像色に対応する露光光であるレーザ光を照射するように構成されている。画像形成に際し、AIOカートリッジ102Bk内の感光体の外周面は、暗中にて帯電器により一様に帯電された後、光源103からのブラック画像に対応するレーザ光により露光され、静電潜像が形成される。
AIOカートリッジ102Bk内の現像器は、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化する。これにより、感光体上にブラックのトナー画像が形成される。このトナー画像は、感光体と搬送ベルト101が接する位置で、転写手段である転写ローラ(転写装置)104Bkの働きにより搬送ベルト101によって搬送される用紙(記録材の一例)上に転写される。この転写により、搬送ベルト101によって搬送される用紙上にブラックのトナーによる画像が形成される。
トナー画像の転写が終了した感光体は、外周面に残留した不要なトナーをクリーナーブレードにより除去された後、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、AIOカートリッジ102Bkでブラックのトナー画像を転写された用紙は搬送ベルト101によって次のAIOカートリッジ102Mに搬送される。
AIOカートリッジ102Mでは、AIOカートリッジ102Bkでの画像形成プロセスと同様に、感光体上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が転写手段である転写ローラ104Mにて、用紙上に形成されたブラックのトナー画像に重畳されて転写される。
用紙は、さらに次のAIOカートリッジ102C、102Yに順次搬送され、上記同様の動作により、AIOカートリッジ102C内の感光体上に形成されたシアンのトナー画像と、AIOカートリッジ102Y内の感光体上に形成されたイエローのトナー画像とが、転写手段である転写ローラ104C、104Yにて、用紙上に形成されたブラックのトナー画像及びマゼンタのトナー画像に重畳されて順次転写される。
以上のようにして、用紙上にフルカラーの画像が形成される。このフルカラーの重ね画像が形成された用紙は、定着手段である定着装置105へ搬送される。
なお、画像形成に際して、ブラックのみの画像形成の場合には、転写ローラ104M、104C、104Yがそれぞれに対応する感光体から離間された位置に退避し、上述の画像形成プロセスをブラックの場合のみ行う。
画像形成時の用紙搬送動作に際して、給紙トレイ106に収納された用紙は、最も上のものから図示しない給紙ローラを回転駆動することにより順に送り出され、搬送パス107を通り、レジストローラ110の位置にて停止して待機する。この停止タイミングは、用紙の先端がレジストセンサ108によって検知されてから所定時間経過した時点となる。
レジストローラ110の上流にはレジストセンサ108が設けられている。レジストセンサ108は、搬送パス107を搬送されてくる用紙の先端を検知すると、検知信号を制御部20へ送る。
レジストローラ110の下流には突き出し長さセンサ111が設けられている。突き出し長さセンサ111は、レジストローラ110から突き出た用紙の長さ(突き出し部分の長さ)を検知すると、検知信号を制御部20へ送る。
レジストローラ110は、搬送パス107上に設けられたローラ対である。搬送パス107を搬送される用紙は、このレジストローラ110にて一時停止(待機)させられる。レジストローラ110の回転量を制御するレジストローラ制御手段の例として、例えば搬送パス107上に設けられたクラッチ(図示せず))を用い、レジストローラ110の回転量が制御されるようにしてもよい。あるいは、他の駆動源から独立した搬送用駆動源(モータ。図示せず)を用い、その搬送用駆動源の回転数にてレジストローラ110の回転量が制御されるようにしてもよい。これらのいずれであっても、レジストローラ制御手段は、制御部20からの制御信号に従ってレジストローラ110の回転量を制御することになる。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置では、給紙トレイ106とAIOカートリッジ102Bkとの間に、本発明の一実施形態である粘着剤塗布装置を設けている。この粘着剤塗布装置は、用紙においてトナー画像が転写される面とは逆の面(裏面)の先端部分に、熱又は圧力によって粘性が生じる物質を含む粘着剤(離型剤)を塗布する装置である。この粘着剤の塗布により、用紙の裏面と加圧ローラ2とが付着するので、用紙の表面(トナー画像がある面)が定着ローラ1に巻き付くことを防止でき、定着ローラ1からの分離が可能となる。
粘着剤に含まれる物質には、熱可塑性を有する樹脂がある。この熱可塑性樹脂の一例を以下の(a)〜(c)に挙げる。
(a)ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリ−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体。
(b)スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体。
(c)ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等。
本実施形態の粘着剤塗布装置は、図1及び図2(図1の拡大図)に示すように、図2の矢印方向に搬送される用紙Pの裏面(トナー画像が転写される面の裏側)に対して当接及び離間可能な粘着剤塗布部材である粘着剤塗布ローラ11と、その粘着剤塗布ローラ11を用紙Pの裏面に対して当接及び離間させる離接機構(押圧用バネ14、プランジャ15a、ソレノイド15等)を備えている。また、制御部20とレジストローラ110も、本実施形態の粘着剤塗布装置の一部である。
粘着剤塗布ローラ11は、例えば、粘着剤を含浸したローラであって、用紙Pの裏面に当接(接触)するように配置されたものである。あるいは、粘着剤塗布ローラ11は、粘着剤を滲ませて塗布するローラであって、用紙Pの裏面に当接するように配置されたものであってもよい。なお、粘着剤塗布ローラ11に代え、ローラ形状以外の粘着剤塗布部材(例えばパッド)を用いることもできる。
粘着剤塗布ローラ11は、図示しない支持体に回転可能に支持されている。この支持体は、画像形成装置100の筐体(図示せず)に固定された支軸(図示せず)を中心として揺動可能に支持されている。支持体は、押圧用バネ14によって用紙Pの裏面側に付勢されており、その付勢により粘着剤塗布ローラ11が用紙Pの裏面に対して所定の押圧力で押圧される。押圧用バネ14は、ソレノイド15のプランジャ15aの先端に固定されている。なお、搬送パス107(レジストローラ110の下流)には、粘着剤塗布ローラ11が用紙Pの裏面に当接可能となるようにするためのスリット(図示せず)が設けられている。このスリットを通過する用紙Pの裏面に対して、粘着剤塗布ローラ11は当接及び離間を行う。
粘着剤塗布ローラ11は、図3に示すように、用紙Pの裏面の先端部分において、用紙の搬送方向に対して垂直方向(図中の塗布方向)に粘着剤を塗布する動作を行う。この動作は、インクジェットプリンタのヘッドと類似した動作となる。
ソレノイド15は、プランジャ15aを用紙Pの裏面に対して当接及び離間させる方向(矢印の両方向)に駆動させる。ソレノイド15の駆動制御は、制御部20によって行われ、ソレノイド15の非電通(通電オフ)時にはプランジャ15aが突出するため、粘着剤塗布ローラ11は、上記支軸(図示せず)を中心として揺動し、用紙Pの裏面に当接させられる(押し当てられる)。ソレノイド15の通電(通電オン)時には、プランジャ15aが退避するため、粘着剤塗布ローラ11は用紙Pの裏面から離間する。
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory )、RAM(Random Access Memory)を含むマイクロコンピュータを使用したものであり、本実施形態の粘着剤塗布装置の駆動を制御することができる。また、制御部20は、レジストローラ110の駆動も制御する。制御部20は、コントローラ21から送られてきた各種情報(後述)、及び、レジストセンサ108や突き出し長さセンサ111から送られてきた検知信号を基に、後述する計算や上記制御を行う。特に、レジストローラ110の制御では、制御部20が上述した図示しないレジストローラ制御手段(クラッチ又は搬送用駆動源)に対して制御信号を送出することで、そのレジストローラ制御手段によりレジストローラ11の回転量が制御される。このような制御部20の制御により、粘着剤塗布ローラ11で塗布する粘着剤の幅と量を最適に制御できる(詳細は後述)。
コントローラ21は、画像データをコントロールするものであり、例えばスキャナ等の画像読取装置によって原稿から読み取られた画像データを画像メモリに展開した後、あるいはホストコンピュータからの印刷データ(文字コード等)を画像データとして画像メモリに展開した後、画像メモリに展開した画像データ(実際には各色の画像データ)を光源103へ送出する。また、コントローラ21は、画像メモリに展開した画像データに基づいて、用紙Pに対する画像書き出し位置や用紙Pに転写されるトナー画像Tの先端部分におけるトナー付着量を計算したり、用紙Pの種類(コシの強弱)を検出したりする。これらの画像書き出し位置(トナー付着位置)、トナー付着量及び用紙種は、情報として制御部20に送られる。
上述した画像書き出し位置及びトナー付着量を計算(予測)する処理の詳細について以下に説明する。コントローラ21は、画像メモリに展開した画像データより、発光素子の発光の有無を解析する。この解析結果から、発光素子の発光開始タイミング、つまり用紙Pに対する画像書き出し位置を予測することができる。そして、この予測した画像書き出し位置を基に、後述する先端余白(用紙Pの先端の余白部分)の長さを計算することができる。先端余白の長さが予め設定された閾値以上の場合、先端余白に対応する期間内に発光素子が発光せず、先端余白となる用紙Pの先端部分にトナーが付着しないので、用紙Pの定着ローラ1からの分離に有利である。
また、コントローラ21は、画像メモリに展開した画像データより、用紙Pに転写されるトナー画像Tの先端部分(実際にはトナー画像Tの先端位置から所定長の範囲)に対応する期間内における発光素子の発光量を解析する。この解析結果により、用紙Pに転写されるトナー画像Tの先端部分におけるトナー付着量を予測することができる。そのトナー付着量は、発光素子の発光量と比例関係にあり、その発光量から予測可能である。また、トナー画像Tの先端部分における濃度(トナー濃度)は、トナー付着量と比例関係にあるため、予測したトナー付着量から計算(予測)できる。よって、発光素子の発光量が予め設定された閾値以上であれば、用紙Pの定着ローラ1からの分離が困難であると判断することもできる。
ここで、用紙Pの先端の余白部分(トナー画像Tがない部分)の長さと、用紙Pに転写されたトナー画像Tの濃度(トナー濃度)と、そのトナー画像Tの粘性による定着ローラ1への用紙Pの吸着力との関係について、図4を参照して説明する。なお、用紙Pの先端側の余白部分(先端余白)の長さは、AmmとBmmの2つを比較することとし、A<Bの関係とする。
図4に示すように、先端余白がAmmとBmmの両方とも、トナー濃度が濃くなる程、定着ローラ1への用紙Pの吸着力が高まり、分離補助が必要になる(定着ローラ1と用紙Pは自然に分離されない)ことが分かる。分離補助とは、用紙に対して粘着剤の塗布することで、定着ローラ1から分離させることである。図4では、トナー濃度がX以下である場合、先端余白がAmmとBmmの両方とも、定着ローラ1から用紙Pが自然に分離することを示している。トナー濃度がXを超えると、先端余白がAmm以下の場合は分離補助が必要になる。また、トナー濃度がX’を超えると、先端余白がBmmの場合も分離補助が必要となる。以上のことから、用紙Pの先端余白が少ない(短い・狭い)ほど、用紙Pと定着ローラ1との自然分離は困難になる。
また、用紙Pの用紙種と、用紙Pに転写されたトナー画像Tの濃度(トナー濃度)と、そのトナー画像Tの粘性による定着ローラ1への用紙Pの吸着力との関係について、図5を参照して説明する。なお、用紙Pの用紙種は、αとβの2つを比較することとし、用紙種αはコシの弱い紙種(薄紙等)であり、用紙βはコシの強い紙種(厚紙等)とする。コシの強弱は、α<βの関係とする。
図5に示すように、用紙種αとβの両方とも、トナー濃度が濃くなる程、定着ローラ1への用紙Pの吸着力が高まり、分離補助が必要になる(定着ローラ1と用紙Pは自然に分離されない)ことが分かる。図5では、トナー濃度がY以下である場合、用紙種αとβの両方とも、定着ローラ1から用紙Pが自然に分離することを示している。トナー濃度がYを超えると、用紙種αは分離補助が必要になる。また、トナー濃度がY’を超えると、用紙種βも分離補助が必要となる。以上のことから、コシの弱い用紙種ほど、用紙Pと定着ローラ1との自然分離は困難になる。
次に、本実施形態の画像形成装置及び粘着剤塗布装置の動作例について、図6〜図9のフローチャートを順に参照して説明する。
まず、図6を用いて、制御部20による粘着剤塗布装置の駆動制御の第1例について説明する。例えばユーザにより画像形成(印刷)の指示がなされた場合、制御部20は、コントローラ21から、用紙Pに転写されるトナー画像Tの先端部分におけるトナー付着量を示す情報を取得し、その情報を基に用紙Pに転写されるトナー画像Tの先端部分における濃度(トナー濃度)を計算する。そして、制御部20は、計算したトナー濃度が、予め定められた閾値X(mg/mm2)以上であるか否かを判断する(S1)。閾値Xは、制御部20自身が予め記憶している又は画像形成装置100内の図示しない記憶手段に予め記憶されている。なお、制御部20の代わりに、コントローラ21で上記トナー濃度の計算を行い、制御部20がコントローラ21からその計算結果を取得するようにしてもよい。
S1の判断の結果、計算したトナー濃度が閾値X未満の場合(S1/NO)、粘着剤塗布装置およびレジストローラ110を制御して後述するレジスト間欠動作を行うことなく、用紙Pはレジストローラ110を通過させられ、その後、通常の印刷動作が実行される。
S1の判断の結果、計算したトナー濃度が閾値X以上の場合(S1/YES)、制御部20は、粘着剤塗布装置およびレジストローラ制御手段(レジストローラ110)を制御してレジスト間欠動作を実行させる(S2)。
ここで、レジスト間欠動作の例について説明する。給紙トレイ106から搬送されてくる用紙Pは、レジストセンサ108により検知された後、先端部分がレジストローラ110のニップ部に入った位置で停止させられる。このときレジストローラ110は停止している。
レジストセンサ108による検知を受け、制御部20は、計算したトナー濃度を用いて、レジストローラ110を最適な量だけ回転させるための制御信号を生成する。制御部20は、制御部20自身が予め記憶している又は画像形成装置100内の図示しない記憶手段に予め記憶されている制御情報を参照し、その中から、計算したトナー濃度に該当するレジストローラ110の回転量を検索する。すなわち、ここでの制御情報とは、トナー濃度毎に、制御されるレジストローラ110の回転量が予め定義された情報である。よって、ここでは、制御部20は、閾値Xに対応付けられている回転量を検索する。制御部20は、検索された回転量の分だけレジストローラ110を回転させるように制御するための制御信号を生成し、レジストローラ制御手段に送出する。
レジストローラ制御手段は、受け取った制御信号に示される回転量の分だけ、レジストローラ110を回転させる。これにより、用紙Pの先端がレジストローラ110(のニップ部)から所定分突き出ることになる。その後、レジストローラ制御手段は、レジストローラ110の回転を一旦停止させる。用紙Pのレジストローラ110から突き出た部分(突き出し部分)には、粘着剤塗布装置により粘着剤が塗布されることになる。すなわち、レジストローラ110の回転量により、塗布される粘着剤の幅(塗布幅)が決定される。本例で決定された塗布幅は、例として、粘着剤塗布ローラ11の幅と同じとする。なお、突き出し部分の幅は、粘着剤塗布ローラ11の幅より若干大きめとなる。
次に、制御部20は、粘着剤塗布装置に対し、用紙Pの裏面の突き出し部分に粘着剤を塗布するように制御信号を送る。
粘着剤塗布装置は、受け取った制御信号に従い、ソレノイド15への通電をオフにしてプランジャ15aを突出させ、図示しないスリットを介して、粘着剤塗布ローラ11を用紙Pの裏面の突き出し部分に当接させる。粘着剤塗布ローラ11は、図3に示すように、用紙Pの搬送方向に対して垂直方向に移動する。これにより、突き出し部分に、予め定められた分の粘着剤が塗布される。突き出し部分の端から端まで(これを1ラインとする)粘着剤塗布ローラ11が移動すると、予め定められた1ライン分の塗布が終了する。その後、粘着剤塗布装置は、ソレノイド15への通電をオンにして、プランジャ15aを退避させることにより、粘着剤塗布ローラ11を用紙Pの裏面から離間させる。
粘着剤の塗布が終了すると、制御部20は、再度、レジストローラ制御手段に対して制御信号を送出する。レジストローラ制御手段は、その制御信号に従い、レジストローラ110を回転させ、用紙Pの全体を通過させる。その後、用紙Pは、各AIOカートリッジによるトナー画像Tの転写が行われることになる。
以上が第1例におけるレジスト間欠動作であるが、上記は一例であり、上記説明に限定されるものではない。以下に変形例を説明する。
例えば、上記説明では、塗布される粘着剤の量(塗布量)を1ライン分としたが、それ以上の塗布量であってもよい。その場合、粘着剤塗布ローラ11を、1度塗布した部分(同一ライン)上を複数回移動(往復移動でもよい)させることで、塗布量を調節するようにする。すなわち、同一の突き出し部分に対して複数回の塗布を行うようにすることで、塗布量を増やすことができる。
また、上記説明において、塗布幅と同様に、塗布量もトナー濃度に基づいて決定されるようにしてもよい。その場合について説明する。制御部20は、制御部20自身が予め記憶している又は画像形成装置100内の図示しない記憶手段に予め記憶されている制御情報を参照し、その中から、計算したトナー濃度に該当する、粘着剤塗布ローラ11の同一の突き出し部分に対する移動回数(移動距離)を検索する。すなわち、ここでの制御情報とは、トナー濃度毎に、制御される粘着剤塗布ローラ11の同一の突き出し部分に対する移動回数(移動距離)が予め定義された情報である。よって、ここでは、制御部20は、閾値Xに対応付けられている移動回数を検索する。制御部20は、検索された移動回数の分だけ、同一の突き出し部分に粘着剤塗布ローラ11を移動させるように制御するための制御信号を生成し、粘着剤塗布装置に送出する。粘着剤塗布装置は、受け取った制御信号に示される移動回数分、用紙Pにおける同一の突き出し部分に対し粘着剤塗布ローラ11を移動させる。
また、上記説明では、塗布幅を粘着剤塗布ローラ11と同じ幅としたが、それ以上の塗布幅であってもよい。その場合、レジストローラ110の回転を段階的に制御して、徐々に用紙Pを突き出させることで調節するようにする。例えば塗布幅として粘着剤塗布ローラ11の幅の2倍が必要な場合を例とする。上記説明で述べたように、粘着剤塗布ローラ11とほぼ同じ幅の突き出し部分に対して例えば1ライン分の塗布が終了した後で、レジストローラ制御手段により、再度、先と同じ回転量でレジストローラ110を回転させる。そして、粘着剤塗布ローラ11により、先と同様に、突き出し部分に対して粘着剤を塗布する。このように、レジストローラ110の回転制御による用紙Pの突き出し及びその突き出し部分に対する粘着剤の塗布を連続して繰り返すことで、粘着剤塗布ローラ11の幅の2倍の塗布を行うことができる。なお、粘着剤塗布ローラ11の幅の2倍以上の塗布が必要な場合は、上記動作をさらに繰り返すようにする。そして、必要な塗布幅に到達次第、塗布動作を停止する。
次に、図7を用いて、制御部20による粘着剤塗布装置の駆動制御の第2例について説明する。例えばユーザにより画像形成(印刷)の指示がなされた場合、制御部20は、コントローラ21から、用紙Pに転写されるトナー画像Tの先端部分におけるトナーの付着位置(画像書き出し位置)を示す情報を取得し、その情報を基に先端余白の長さを計算する。そして、制御部20は、用紙Pの先端部分にトナー画像Tが転写されるか(計算した先端余白の長さが、予め定められた閾値A(mm)以下であるか)否かを判断する(S11)。閾値Aは、制御部20自身が予め記憶している又は画像形成装置100内の図示しない記憶手段に予め記憶されている。なお、制御部20の代わりに、コントローラ21で上記先端余白の長さの計算を行い、制御部20がコントローラ21からその計算結果を取得するようにしてもよい。
S1の判断の結果、用紙Pの先端部分にトナー画像Tが転写されない(計算した先端余白の長さが、予め定められた閾値A(mm)を超える)場合(S11/NO)、粘着剤塗布装置およびレジストローラ110を制御して後述するレジスト間欠動作を行うことなく、用紙Pはレジストローラ110を通過させられ、その後、通常の印刷動作が実行される。
S11の判断の結果、用紙Pの先端部分にトナー画像Tが転写される(計算した先端余白の長さが、予め定められた閾値A(mm)以下である)場合(S11/YES)、制御部20は、粘着剤塗布装置およびレジストローラ制御手段(レジストローラ110)を制御してレジスト間欠動作を実行させる(S12)。
ここで、レジスト間欠動作の例について説明する。給紙トレイ106から搬送されてくる用紙Pは、レジストセンサ108により検知された後、先端部分がレジストローラ110のニップ部に入った位置で停止させられる。このときレジストローラ110は停止している。
レジストセンサ108による検知を受け、制御部20は、計算した先端余白の長さを用いて、レジストローラ110を最適な量だけ回転させるための制御信号を生成する。制御部20は、制御部20自身が予め記憶している又は画像形成装置100内の図示しない記憶手段に予め記憶されている制御情報を参照し、その中から、計算した先端余白の長さに該当するレジストローラ110の回転量を検索する。すなわち、ここでの制御情報とは、先端余白の長さ毎に、制御されるレジストローラ110の回転量が予め定義された情報である。よって、ここでは、制御部20は、閾値Aに対応付けられている回転量を検索する。制御部20は、検索された回転量の分だけレジストローラ110を回転させるように制御するための制御信号を生成し、レジストローラ制御手段に送出する。
その後の動作は、第1例での説明と同様であるので、ここでの説明は省略する。また、塗布量及び塗布幅の変形例についても第1例の最後の部分で述べた説明と同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、図8を用いて、制御部20による粘着剤塗布装置の駆動制御の第3例について説明する。例えばユーザにより画像形成(印刷)の指示がなされた場合、制御部20は、コントローラ21から、用紙Pの種類(コシの強弱)を示す情報を取得する。そして、制御部20は、用紙Pが分離補助(粘着剤の塗布)が必要な用紙種であるか否かを判断する(S21)。分離補助の要否は、用紙種毎に、制御部20自身が予め記憶している又は画像形成装置100内の図示しない記憶手段に予め記憶されている。
S21の判断の結果、用紙Pが分離補助を必要としない場合(S21/NO)、粘着剤塗布装置およびレジストローラ110を制御して後述するレジスト間欠動作を行うことなく、用紙Pはレジストローラ110を通過させられ、その後、通常の印刷動作が実行される。
S21の判断の結果、用紙Pが分離補助を必要とする場合(S21/YES)、制御部20は、粘着剤塗布装置およびレジストローラ制御手段(レジストローラ110)を制御してレジスト間欠動作を実行させる(S22)。
ここで、レジスト間欠動作の例について説明する。給紙トレイ106から搬送されてくる用紙Pは、レジストセンサ108により検知された後、先端部分がレジストローラ110のニップ部に入った位置で停止させられる。このときレジストローラ110は停止している。
レジストセンサ108による検知を受け、制御部20は、検出された用紙Pの種類を用いて、レジストローラ110を最適な量だけ回転させるための制御信号を生成する。制御部20は、制御部20自身が予め記憶している又は画像形成装置100内の図示しない記憶手段に予め記憶されている制御情報を参照し、その中から、検出された用紙Pの種類に該当するレジストローラ110の回転量を検索する。すなわち、ここでの制御情報とは、用紙の種類毎に、制御されるレジストローラ110の回転量が予め定義された情報である。よって、ここでは、制御部20は、用紙Pの種類に対応付けられている回転量を検索する。制御部20は、検索された回転量の分だけレジストローラ110を回転させるように制御するための制御信号を生成し、レジストローラ制御手段に送出する。
その後の動作は、第1例での説明と同様であるので、ここでの説明は省略する。また、塗布量及び塗布幅の変形例についても第1例の最後の部分で述べた説明と同様であるので、ここでの説明は省略する。
次に、図9を用いて、制御部20による粘着剤塗布装置の駆動制御の第4例について説明する。本例は、第3例と第1例の組合せである。例えばユーザにより画像形成(印刷)の指示がなされた場合、制御部20は、コントローラ21から、用紙Pの種類(コシの強弱)を示す情報を取得する。そして、制御部20は、用紙Pが分離補助(粘着剤の塗布)が必要な用紙種であるか否かを判断する(S31)。分離補助の要否は、用紙種毎に、制御部20自身が予め記憶している又は画像形成装置100内の図示しない記憶手段に予め記憶されている。
S31の判断の結果、用紙Pが分離補助を必要としない場合(S31/NO)、粘着剤塗布装置およびレジストローラ110を制御して後述するレジスト間欠動作を行うことなく、用紙Pはレジストローラ110を通過させられ、その後、通常の印刷動作が実行される。
S31の判断の結果、用紙Pが分離補助を必要とする場合(S21/YES)、制御部20は、コントローラ21から、用紙Pに転写されるトナー画像Tの先端部分におけるトナー付着量を示す情報を取得し、その情報を基に用紙Pに転写されるトナー画像Tの先端部分における濃度(トナー濃度)を計算する。そして、制御部20は、計算したトナー濃度が、予め定められた閾値Y(mg/mm2)以上であるか否かを判断する(S32)。閾値Yは、制御部20自身が予め記憶している又は画像形成装置100内の図示しない記憶手段に予め記憶されている。なお、制御部20の代わりに、コントローラ21で上記トナー濃度の計算を行い、制御部20がコントローラ21からその計算結果を取得するようにしてもよい。
S32の判断の結果、計算したトナー濃度が閾値Y未満の場合(S32/NO)、粘着剤塗布装置およびレジストローラ110を制御して後述するレジスト間欠動作を行うことなく、用紙Pはレジストローラ110を通過させられ、その後、通常の印刷動作が実行される。
S32の判断の結果、計算したトナー濃度が閾値Y以上の場合(S32/YES)、制御部20は、粘着剤塗布装置およびレジストローラ制御手段(レジストローラ110)を制御してレジスト間欠動作を実行させる(S33)。
ここで、レジスト間欠動作の例について説明する。給紙トレイ106から搬送されてくる用紙Pは、レジストセンサ108により検知された後、先端部分がレジストローラ110のニップ部に入った位置で停止させられる。このときレジストローラ110は停止している。
レジストセンサ108による検知を受け、制御部20は、検出された用紙Pの種類及び計算したトナー濃度を用いて、レジストローラ110を最適な量だけ回転させるための制御信号を生成する。制御部20は、制御部20自身が予め記憶している又は画像形成装置100内の図示しない記憶手段に予め記憶されている制御情報を参照し、その中から、検出された用紙Pの種類及び計算したトナー濃度に該当するレジストローラ110の回転量を検索する。すなわち、ここでの制御情報とは、用紙の種類とトナー濃度毎に、制御されるレジストローラ110の回転量が予め定義された情報である。よって、ここでは、制御部20は、用紙Pの種類及び閾値Yに対応付けられている回転量を検索する。制御部20は、検索された回転量の分だけレジストローラ110を回転させるように制御するための制御信号を生成し、レジストローラ制御手段に送出する。
その後の動作は、第1例での説明と同様であるので、ここでの説明は省略する。また、塗布量及び塗布幅の変形例についても第1例の最後の部分で述べた説明と同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本第4例では、第1例と第3例の組合せとしたが、第1例から第3例を任意に組み合わせることもできる。例えば、第1例と第2例との組合せの場合、用いられる制御情報は、トナー濃度及び先端余白の長さ毎に、レジストローラ110の回転量が予め定義された情報となる。また、例えば、第2例と第3例との組合せの場合、用いられる制御情報は、先端余白の長さ及び原稿の種類毎に、レジストローラ110の回転量が予め定義された情報となる。さらに、例えば、第1例と第2例と第3例との組合せの場合、用いられる制御情報は、トナー濃度、先端余白の長さ及び原稿の種類毎に、レジストローラ110の回転量が予め定義された情報となる。もちろん、これらの制御情報においても、レジストローラ110の回転量ではなく、粘着剤塗布ローラ11の移動回数が定義されてもよい。または、回転量と移動回数の両方が定義されてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、トナー濃度、先端余白、用紙種の少なくとも1つに応じて、レジストローラの回転を制御してレジストローラから突き出す用紙の長さを制御し、突き出した用紙(の裏面)に対して、例えば熱可塑性樹脂等の粘着剤を塗布することにより、塗布する粘着剤の量や幅を正確に(最適に)制御することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態において、以下のような変形も可能である。
上記実施形態では、レジストローラ110からの用紙Pの突き出し部分の長さはレジストローラの回転量だけで決定されていたが、より正確に突き出し部分の長さを制御するために、図1に示すように、レジストローラ110の下流に設けられた突き出し長さセンサ111を用いるようにしてもよい。突き出し長さセンサ111は、制御部20により検索された回転量に基づいてレジストローラ110の回転制御が行われると、用紙Pの突き出し部分の長さを検知し、検知信号を制御部20へ送る。制御部20は、検知信号に示される長さが、検索した回転量によって本来突き出される長さに満たない場合、その差を計算し、計算した長さを突き出させるように再度レジストローラ110を制御するための制御信号を生成、送出する。このように、レジストローラ110の回転だけでなく、突き出し長さセンサ111の検知を用いることで、突き出し部分の長さを正確に制御することができる。