JP5359844B2 - フレネルレンズの製造方法、フレネルレンズの金型の製造方法、および、切削加工装置 - Google Patents

フレネルレンズの製造方法、フレネルレンズの金型の製造方法、および、切削加工装置 Download PDF

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Description

本発明は、フレネルレンズの製造方法、フレネルレンズの金型の製造方法、および、切削加工装置に関するものである。
従来、同心円状に溝が設けられたフレネルレンズまたはフレネルレンズの金型を切削加工する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。加工の際、バイトに対して被加工物を相対的に回転させるようになっているが、この回転の単位時間当たりの回転数(以下、単に回転数という)が一定だと、バイトが回転中心から遠ざかるほど、バイトと被加工物との相対速度が大きくなってしまう。したがって、中心部で相対速度を理想的なものにすると、外周部で相対速度が過剰になっていまい、外周部で相対速度を理想的なものにすると、内周部で相対速度が不足してしまう。また、回転中心付近と外周部とでバイトと被加工物との相対速度が大きく異なると、フレネルレンズ(またはその金型)の加工面の面粗さが安定しない。
そこで、回転中心からの距離によってバイトと被加工物との相対速度が大きく変化することがないよう、バイトの回転中心からの距離が大きくなるほど回転数を低下させる技術が採用されている。この技術は、周速一定機能と呼ばれている。
特開2004−42188号公報
しかし、本発明の発明者の検討により、従来の周速一定機能を採用することには、以下のような問題があることが判明した。すなわち、バイトの回転中心からの距離が変化するのに伴って回転数を変化させると、回転数の変化時にナノレベルの軸ぶれが発生し、また、回転数の変化時に回転数安定までの回転むらが発生し、その結果、被加工物の加工面に面粗さや形状の悪化が生じてしまう。
本発明は上記点に鑑み、バイトに対して被加工物を相対的に回転させることでフレネルレンズまたはフレネルレンズの金型を切削加工する技術において、加工時にバイトの回転中心からの距離が大きくなるほど回転数を低下させながらも、被加工物の加工面に面粗さや形状の悪化が生じる問題に対処することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、被加工物(30)をバイト(27)に対して相対的に回転させると共に、前記バイト(27)を前記被加工物(30)に対して前記被加工物(30)の厚み方向および前記被加工物(30)の径方向に相対的に移動させることで、前記バイト(27)で前記被加工物(30)を切削加工し、その結果、同心円状に交互にフレネル面(11)およびライズ面(12)が形成されたフレネルレンズ(1)を製造するフレネルレンズの製造方法であって、前記フレネル面(11)の1つを切削加工するフレネル面加工工程と、前記ライズ面(12)の1つを切削加工するライズ面加工工程とを交互に繰り返し、前記フレネル面加工工程中には、前記被加工物(30)の前記バイト(27)に対する回転数を一定に保ち、前記ライズ面加工工程中には、前記回転数を変化させることを特徴とするフレネルレンズの製造方法である。
このようになっていることで、フレネル面(11)の切削加工中には、被加工物(30)のバイト(27)に対する回転数変化に伴うナノレベルの軸ぶれが発生せず、また、回転数変化に伴う回転数安定までの回転むらが発生せず、その結果、フレネル面(11)に面粗さや形状の悪化が生じてしまうことがなくなる。すなわち、回転揺らぎの影響を与えることなくフレネル面(11)において良好な仕上げ面を得ることができる。
他方、ライズ面(12)の切削加工中には、被加工物(30)のバイト(27)に対する回転数変化があるので、その回転数変化に伴うナノレベルの軸ぶれが発生し、また、回転変化に伴う回転数安定までの回転むらが発生し、その結果、ライズ面(12)に面粗さや形状の悪化が生じてしまう恐れがある。しかしながら、ライズ面(12)は、フレネルレンズの実際の使用において光を透過しないので、フレネル面(11)に面粗さや形状の悪化が生じてしまう場合に比べて、悪影響は遙かに小さい。
また、請求項に記載の発明は、被加工物(30)をバイト(27)に対して相対的に回転させる主軸(25)と、前記バイト(27)を前記被加工物(30)に対して前記被加工物(30)の厚み方向および前記被加工物(30)の径方向に相対的に移動させ走査装置(22、23)と、前記主軸(25)および前記操作装置(22、23)を制御することで、前記バイト(27)で前記被加工物(30)を切削加工し、その結果、同心円状に交互にフレネル面(11)およびライズ面(12)が形成されたフレネルレンズ(1)を製造する制御ユニット(28)と、を備えた切削加工装置であって、前記制御ユニット(28)は、前記フレネル面(11)の1つを切削加工するフレネル面加工工程と、前記ライズ面(12)の1つを切削加工するライズ面加工工程とを交互に繰り返し、前記フレネル面加工工程中には、前記被加工物(30)の前記バイト(27)に対する回転数を一定に保ち、前記ライズ面加工工程中には、前記回転数を変化させることを特徴とする切削加工装置である。このようになっていることで、請求項1に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
また、請求項に記載の発明は、被加工物(30)をバイト(27)に対して相対的に回転させると共に、前記バイト(27)を前記被加工物(30)に対して前記被加工物(30)の厚み方向および前記被加工物(30)の径方向に相対的に移動させることで、前記バイト(27)で前記被加工物(30)を切削加工し、その結果、同心円状に交互にフレネル面(11)およびライズ面(12)が形成されたフレネルレンズ(1)の金型(40)を製造する金型の製造方法であって、前記金型(40)において前記フレネル面(11)の型となるフレネル型面(41)の1つを切削加工するフレネル型面加工工程と、前記金型(40)において前記ライズ面(12)の型となるライズ型面(42)の1つを切削加工するライズ型面加工工程とを交互に繰り返し、前記フレネル型面加工工程中には、前記被加工物(30)の前記バイト(27)に対する回転数を一定に保ち、前記ライズ型面加工工程中には、前記回転数を変化させることを特徴とする金型の製造方法である。
このようになっていることで、フレネル型面(41)の切削加工中には、被加工物(30)のバイト(27)に対する回転数変化に伴うナノレベルの軸ぶれが発生せず、また、回転数変化に伴う回転数安定までの回転むらが発生せず、その結果、フレネル型面(42)に面粗さや形状の悪化が生じてしまうことがなくなる。すなわち、回転揺らぎの影響を与えることなくフレネル型面(41)において良好な仕上げ面を得ることができる。
他方、ライズ型面(42)の切削加工中には、被加工物(30)のバイト(27)に対する回転数変化があるので、その回転数変化に伴うナノレベルの軸ぶれが発生し、また、回転変化に伴う回転数安定までの回転むらが発生し、その結果、ライズ型面(42)に面粗さや形状の悪化が生じてしまう恐れがある。しかしながら、ライズ型面(42)は、フレネルレンズの実際の使用において光を透過しないライズ面(12)の型となるので、フレネル型面(11)に面粗さや形状の悪化が生じてしまう場合に比べて、悪影響は遙かに小さい。
また、請求項に記載の発明は、被加工物(30)をバイト(27)に対して相対的に回転させる主軸(25)と、前記バイト(27)を前記被加工物(30)に対して前記被加工物(30)の厚み方向および前記被加工物(30)の径方向に相対的に移動させる走査装置(22、23)と、前記主軸(25)および前記操作装置(22、23)を制御することで、前記バイト(27)で前記被加工物(30)を切削加工し、その結果、同心円状に交互にフレネル面(11)およびライズ面(12)が形成されたフレネルレンズ(1)の金型(40)を製造する制御ユニット(28)と、を備えた切削加工装置であって、前記制御ユニット(28)は、前記金型(40)において前記フレネル面(11)の型となるフレネル型面(41)の1つを切削加工するフレネル型面加工工程と、前記金型(40)において前記ライズ面(12)の型となるライズ型面(42)の1つを切削加工するライズ型面加工工程とを交互に繰り返し、前記フレネル型面加工工程中には、前記被加工物(30)の前記バイト(27)に対する回転数を一定に保ち、前記ライズ型面加工工程中には、前記回転数を変化させることを特徴とする切削加工装置である。このようになっていることで、請求項に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
また、請求項に記載の発明は、請求項2または4に記載の切削加工装置において、前記制御ユニット(28)は、前記バイト(27)の加工径と前記回転数との対応関係式のデータを記録し、前記回転数を変化させるときに、現在のバイト(27)の加工径を算出し、続いて、記録した対応関係式のデータに基づいて、算出した加工径に対応する回転数を算出し、算出した回転数を実現するよう、主軸25を制御することを特徴とする。このようにすることで、作業者が上記対応関係式のデータを切削加工装置に記録させるだけで、切削加工装置が自動的に回転数を調整するようになる。
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
本発明の実施形態に係るフレネルレンズ1が使用されるヘッドアップディスプレイ50を示す図である。 フレネルレンズ1の平面図である。 図2のA−A断面図である。 フレネル面11およびライズ面12の拡大図である。 NC旋盤2の構成図である。 切削加工の詳細な工程を示すフローチャートである。 切削加工時における被加工物30とバイト27との位置関係を示す模式図である。 回転数および周速度と加工径との関係を示すグラフ50、51である。 バイト27の走査工程を示す模式図である。 バイト27の軌跡52を示す模式図である。 第2実施形態における切削加工の詳細な工程を示すフローチャートである。 第2実施形態におけるバイト27の走査工程を示す模式図である。 バイト27の軌跡53を示す模式図である。 第3実施形態における切削加工の詳細な工程を示すフローチャートである。 第3実施形態における切削加工の詳細な工程を示すフローチャートである。 フレネルレンズ1を製造するための金型4の断面図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態において製造されるフレネルレンズは、例えば、図1に示すようなヘッドアップディスプレイ50に用いられる。このヘッドアップディスプレイ50においては、インストゥルメントパネル等に設置されたケース51内で、画像投射器52が所望の画像の画像光を射出し、その画像光が凹面鏡53および凹面鏡54で反射され、その反射光が、斜線で示されたケース51の上面からケース外に出て、フロントウィンドシールドWS内の画像表示部55に投影される。本実施形態のフレネルレンズ1は、反射光が通過するケース51の上面に配置されることで、当該反射光がフレネルレンズ1を通過し、その結果、画像が画像表示部55で拡大される。このようなフレネルレンズの作用により、ケース51を小型化しながら、画像表示部55内で画像を大きく表示することができる。
図2および図3に、このフレネルレンズ1の斜視図および側面図を示す。フレネルレンズ1の材質としては、ポリカーボネート樹脂等の樹脂を採用する。フレネルレンズ1をケース51に取り付ける場合は、図3の上方向をケース51に向けて取り付ける。
本実施形態において製造されるフレネルレンズ1は、凸レンズの表面を複数の同心円で区分けし、それら区分けされた各区間(フレネル面11)の高さを概ね一様にするために、隣り合う区間の間に段差がつけられたレンズである。したがって、フレネルレンズ1には、同心円状に交互にフレネル面11および段差を付けるためのライズ面12が形成されている。
なお、図2および図3では、フレネル面11およびライズ面12の形状を明確に表すために、フレネルレンズ1全体のサイズとフレネル面11およびライズ面12のサイズとの比率を誇張して記載している。実際には、フレネルレンズ1の直径は180mm程度であり、各フレネル面11およびライズ面12のサイズは、図4に示すように、フレネル面11のレンズ径方向の長さが0.3mmであり、ライズ面12の高さが0.1mmである。したがって、フレネルレンズ1にはフレネル面11およびライズ面12がそれぞれ300個程度形成される。
また、本実施形態のフレネルレンズ1は、クリアな画像を画像表示部55に投影するために、高い形状精度と安定した面粗さを持つことが望まれる。具体的には、500nm未満の形状精度および50nm未満の表面粗さRzが望ましく、また、フレネル面11とライズ面12の間の溝部13の曲率半径は5μm未満であることが望ましい。
本実施形態では、このようなフレネルレンズ1を製造するための方法として、切削加工を採用する。図5に、この切削加工に用いるNC旋盤2の構成を示す。このNC旋盤2としては、例えば、不二越社製の超精密旋盤ASP01(駆動制御単位は1nm)を用いてもよい。
この図に示すように、NC旋盤2は、ベッド21、Z移動テーブル22、X移動テーブル23、主軸台24、主軸25、および刃物台26を備えている。
Z移動テーブル22およびX移動テーブル23は、それぞれ土台となるベッド部21の上面に配置され、図示しない駆動機構(モータ等)によって、それぞれベッド部21に対して図中のX軸方向およびZ軸方向に移動可能となっている。
主軸台24は、Z移動テーブル22の上面に固定され、主軸25の駆動機構(モータ等)を内蔵する部材である。主軸25は、この主軸台24に支持されると共に上記の駆動機構によって主軸台24に対して回転するようになっている。後述するように、この主軸25の回転数は制御可能となっている。この主軸25には、フレネルレンズ1の素材となる被加工物30を固定することができる。
刃物台26は、X移動テーブル23の上面に配置されており、各種のバイト27を取り付けることができるようになっている。本実施形態のバイト27は、高精度な加工を実現するために、微細な先端曲率半径(例えば5μm)を持つダイヤモンドバイトとなっている。
また、NC旋盤2は、Z移動テーブル22、X移動テーブル23、主軸25の駆動機構を制御する制御ユニット28を備えている。制御ユニット28は、NC旋盤2の作動内容が記述されたNCプログラム29の入力を受け付けると、受け付けたNCプログラム29を読み出して記憶媒体に記録し、さらにこのNCプログラム29に従ってNC旋盤2の上記駆動機構のそれぞれを制御することで、Z移動テーブル22およびX移動テーブル23を移動させ、主軸25の作動を制御する。なお、NCプログラム29には、切削加工中におけるZ移動テーブル22のZ軸方向の位置および移動速度、X移動テーブル23のX軸方向の位置および移動速度を規定するデータが含まれている。また、主軸25の回転数については、制御ユニット28が制御することもできるし、図示しない回転数設定部を作業者が操作することで、作業者が直接制御することもできる。
また、制御ユニット28には、表示装置28aが備えられており、制御ユニット28はこの表示装置28aを用いて、Z移動テーブル22、X移動テーブル23の現在の制御状態を表示するようになっている。より具体的には、Z移動テーブル22のZ軸方向の位置座標値(すなわち、Z座標値)、および、X移動テーブル23のX軸方向の位置座標値(すなわち、X座標値)を、加工位置座標表示として表示装置28aに表示させる。なお、1つのライズ面12の加工に要する時間は、30秒から1分程度である。
以下、NC旋盤2を用いたフレネルレンズ1の切削加工の工程について説明する。切削加工では、具体的には、被加工物30の表面が所期の形状精度でフレネルレンズ1の表面に一致するよう、バイト27で被加工物30をプロファイル切削する。
まず、準備作業として、フレネルレンズ1の素材となる被加工物30を主軸25に固定し、刃物台26にバイト27を取り付ける。
次に、実際の切削加工を行う。具体的には、被加工物30の表面が所期の形状精度でフレネルレンズ1の表面に一致するよう、バイト27で被加工物30をプロファイル切削する。図6に、この切削加工の詳細な工程のフローチャートを示す。
この切削加工の概要は、以下の通りである。図7に示すように、被加工物30を固定した主軸25を回転させることで、被加工物30をバイト27に対して相対的に回転させる。そしてその際、Z移動テーブル22、X移動テーブル23を移動させることで、バイト27を被加工物30に対して被加工物30の厚み方向(Z軸方向に相当する)および被加工物30の径方向(X軸方向に相当する)に相対的に移動させる。この厚み方向および径方向の位置変化を調整することで、バイト27のノーズが、フレネルレンズ1の所期の表面形状に沿って被加工物30を削りながら径方向に移動するように制御することが可能となる。このZ移動テーブル22およびX移動テーブル23が走査装置の一例に相当する。
以下、切削加工の詳細を説明する。切削加工では、まずあらかじめ作業者が、被加工物30に設けたい段差数(すなわち、ライズ面12の数)を確認し、バイト27が各フレネル面11を加工するときの主軸25の回転数を決定する(ステップ100)。本実施形態においては、回転数は400rpmから1000rpmの間で変化するように設定する。ただし、バイト27が1つのフレネル面11を加工している間は、回転数が一定となるようにする。
図8に、加工径と主軸25の回転数との関係を模式的にグラフ50で示す。ここで、加工径とは、バイト27が加工している被加工物30上の位置の、回転中心からの距離をいう。このグラフ50に示すように、1つのフレネル面11内では、回転数は加工径にかかわらず一定となっている。しかし、隣り合うフレネル面11間では、加工径の大きい側の方が回転数が小さくなっている。つまり、回転中心から離れたフレネル面11ほど、加工時の回転数が小さくなる。
図8では更に、グラフ50のように回転数を設定した場合における、加工径と周速度との関係を模式的に示すグラフ51も表している。ここで、周速度とは、バイト27が加工している被加工物30上の位置と、バイト27との間の相対速度の、回転方向(すなわち周方向)の成分をいう。回転中心から離れたフレネル面11ほど加工時の回転数が小さくなるようにすることで、このグラフ51に示すように、1つのフレネル面内において周速度は加工径に比例して増大するが、隣り合うフレネル面11間での周速度の差はあまりない。その結果、被加工物30全体として見れば、周速度は加工径の増大とともに若干増大するものの、加工径に比例して大きくなる場合に比べれば増大量は遙かに小さく、周速度は概ね一定になっていると言える。したがって、被加工物30の回転中心付近と外周付近とで、周速度が大きく違ってしまうということがなくなり、例えば、被加工物30の加工表面の面粗さを概ね一定にすることができる。
このようにして決めた回転数の特徴点は、隣り合う2つのフレネル面11の間で回転数を変化させ、1つのフレネル面11内では回転数を一定に保つ点である。
続いて作業者は、制御ユニット28に所定のNCプログラム29の実行を開始させる(ステップ110)。すると制御ユニット28は、主軸25を回転させると共に、Z移動テーブル22およびX移動テーブル23の位置を適宜変化させることで、バイト27のノーズが、フレネルレンズ1の所期の形状を形成するよう、被加工物30の表面を厚み方向および径方向に相対的に移動しつつ、バイト27で被加工物30を切削し始める。
そして制御ユニット28は、以下に説明するステップ120〜160のループを1回実行することで、一対の隣り合うフレネル面11およびライズ面12を切削加工し、そのループをフレネルレンズ1の段差数だけ繰り返す。そしてループの繰り返しを終えた後、最後に、一番中心に近いフレネル面11を加工する(このステップは図示しない)ことで、完成したフレネルレンズ1を得る。また、作業者は、これらループの繰り返しの際に、主軸25の回転数を調整する。
より具体的には、各ループにおいて、まず制御ユニット28は、NCプログラム29に従って、図9(a)に示すように、バイト27にフレネル面11の走査(厚み方向および径方向への相対移動による切削をいう。以下同じ。)を開始させる(ステップ120)。
そして、NCプログラム29に従ってこのフレネル面11の走査が進行し、その後、図9(b)に示すようにフレネル面11の走査が終了すると(ステップ130)、制御ユニット28は続いて、NCプログラム29に従って、図9(c)に示すように、バイト27にライズ面12の走査を開始させる(ステップ140)。
そして、このライズ面12上の走査がNCプログラム29に従って進行しているとき、作業者は、バイト27がライズ面12を走査していると判断し、主軸25の回転数を変化させる(ステップ150)。具体的には、ステップ100で決定した回転数のうち、次に走査するフレネル面11における回転数に一致するよう、主軸25の回転数を調整する。したがって、バイト27がライズ面12を切削加工している間に、主軸25の回転数が変化することになる。
なお、作業者は、バイト27がライズ面12を走査しているか否かを、制御ユニット28の加工位置座標表示を目視で確認して判断する。具体的には、加工位置座標表示において、フレネル面11の走査時には、X座標値およびZ座標値の両方が変化するが、ライズ面12の走査時には、Z座標値は変化するがX座標値はほとんど変化しないので、作業者は、X座標値に比べてZ座標値が大きく変化しているときに、バイト27がライズ面12を走査していると判断する。
その後、ライズ面12の走査が終了すると(ステップ160)、ループの1回分が終了して次のループが始まり、NCプログラム29に従って次のフレネル面11の走査が開始される(ステップ120)。
このように、本実施形態の切削加工においては、フレネル面11の加工中には主軸25の回転数は一定に保たれ、ライズ面12の加工中に回転数を変化させる。つまり、図10に示すように、バイト27の走査軌跡を破線52で表した場合、点52aから点52bまでにバイト27が移動している間にのみ、主軸25の回転数を変化させる。
したがって、フレネル面11の切削加工中には、主軸25の回転数変化に伴うナノレベルの軸ぶれが発生せず、また、主軸25の回転数変化に伴う回転数安定までの回転むらが発生せず、その結果、フレネル面11に面粗さや形状の悪化が生じてしまうことがなくなる。すなわち、回転揺らぎの影響を与えることなくフレネル面11において良好な仕上げ面を得ることができる。
他方、ライズ面12の切削加工中には、主軸25の回転数変化があるので、その回転数変化に伴うナノレベルの軸ぶれが発生し、また、回転変化に伴う回転数安定までの回転むらが発生し、その結果、ライズ面12に面粗さや形状の悪化が生じてしまう恐れがある。しかしながら、ライズ面12は、フレネルレンズ1の実際の使用において光を透過しないので、フレネル面11に面粗さや形状の悪化が生じてしまう場合に比べて、悪影響は遙かに小さい。
また、ライズ面12に面粗さや形状の悪化が生じてしまう恐れがあるものの、バイト27の移動を止めることなく、フレネル面11に悪影響を及ぼさずに主軸25の回転数を変化させることができるという利点もある。
なお、本実施形態においては、図6のステップ120から130まで、およびステップ120〜160のループの繰り返しの終了後の最後のフレネル面11の加工工程が、フレネル面加工工程に相当し、ステップ140から160までが、ライズ面加工工程に相当する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、主軸25の回転数を変化させるときのバイト27の位置である。より具体的には、本実施形態においては、バイト27がフレネル面11の加工を終えて被加工物30から離れたときに、主軸25の回転数を変化させる。
本実施形態において用いるNC旋盤2は、第1実施形態と同じものを用いる。また、被加工物30の加工についても、荒取り加工については、第1実施形態と同じでよい。
以下では、本実施形態における被加工物30の切削加工について説明する。図11に、この切削加工の詳細な工程のフローチャートを示す。
なお、本実施形態のNCプログラム29には、切削加工中におけるZ移動テーブル22のZ軸方向の位置および移動速度、X移動テーブル23のX軸方向の位置および移動速度に加え、フレネル面11の走査が終了した時点でバイト27のノーズを被加工物30から離し、バイト27の移動(正確には、被加工物30の回転中心に対する移動)を停止させることを規定するデータが含まれている。
切削加工では、まずあらかじめ作業者が、図6のステップ100と同様に、被加工物30に設けたい段差数を確認し、加工時の主軸25の回転数を決定する(ステップ200)。加工径と主軸25の回転数との関係も、第1実施形態と同じである(図8参照)。なお、第1実施形態と同様、バイト27が1つのフレネル面11を加工している間は、回転数が一定となるようにする。
続いて作業者は、第1実施形態のステップ110と同様、制御ユニット28に所定のNCプログラム29の実行を開始させる(ステップ210)。
そして制御ユニット28は、以下に説明するステップ220〜290のループを1回実行することで、一対の隣り合うフレネル面11およびライズ面12を加工し、そのループをフレネルレンズ1の段差数だけ繰り返す。そしてループの繰り返しを終えた後、最後に、一番中心に近いフレネル面11を加工する(このステップは図示しない)ことで、切削加工が完了し、フレネルレンズ1が完成する。また、作業者は、これらループの繰り返しの際に、主軸25の回転数を調整する。
各ループにおいて、ステップ220、230の作動は、図6のステップ120、130の作動と同じである(図12(a)、(b)参照)。フレネル面11の走査が終了すると、続いて制御ユニット28は、NCプログラム29に従い、図12(c)に示すように、バイト27のノーズを被加工物30から離し(ステップ240)、その離れた状態で、NCプログラム29に従いバイト27の移動(つまり、Z移動テーブル22およびX移動テーブル23の移動)を停止させる(ステップ250)。
続いて、作業者は、バイト27の移動が停止したことを確認すると、第1実施形態のステップ150と同じ方法で、主軸25の回転数を変化させる(ステップ260)。したがって、バイト27のノーズが被加工物30から離れている間に、主軸25の回転数が変化することになる。
主軸25の回転数を変化させた後、作業者は続いてNC旋盤2を操作することで、制御ユニット28の制御によるバイト27の移動を再開させる(ステップ270)。
すると制御ユニット28は、バイト27をNCプログラム29に従って移動させ、第1実施形態のステップ140と同様に、ライズ面12の加工を開始する(ステップ280)。その後、ライズ面12の加工が終了すると(ステップ290)、ループの1回分が終了して次のループが始まり、NCプログラム29に従って次のフレネル面11の走査が開始される(ステップ220)。
このように、本実施形態の切削加工においては、フレネル面11の加工中およびライズ面12の加工中には主軸25の回転数は一定に保たれ、フレネル面11の加工が終了してからライズ面12の加工を開始するまでの間に、バイト27を被加工物30から離して停止させ、バイト27が被加工物30から離れて停止した状態で、主軸25の回転数を変化させる。つまり、図13に示すように、バイト27の走査軌跡を破線53で表した場合、点53aの位置でバイト27が停止している間に、主軸25の回転数を変化させる。
したがって、フレネル面11およびライズ面12の切削加工中には、主軸25の回転数変化に伴うナノレベルの軸ぶれが発生せず、また、主軸25の回転数変化に伴う回転数安定までの回転むらが発生せず、その結果、フレネル面11およびライズ面12に面粗さや形状の悪化が生じてしまうことがなくなる。すなわち、回転揺らぎの影響を与えることなくフレネル面11およびライズ面12において良好な仕上げ面を得ることができる。
本実施形態においては、第1実施形態と異なり、フレネル面11の加工が終わった後にバイト27を被加工物30から離して停止させるという工程があるので、第1実施形態に比べて加工時間が長くなるものの、ライズ面12にも面粗さや形状の悪化が生じないという利点がある。
なお、本実施形態においては、図11のステップ220から230まで、およびステップ220〜290のループの繰り返しの終了後の最後のフレネル面11の加工工程が、フレネル面加工工程に相当し、ステップ280から290までが、ライズ面加工工程に相当し、ステップ240が離す工程に相当する。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、図6のステップ150の回転数変更を、制御ユニット28が自動的に実行するようになっている点である。
図14に、本実施形態における切削加工の詳細な工程のフローチャートを示す。なお、図6と図14のフローチャートで同じ符号が付されているステップの作動内容は、互いに同じである。
なお、NCプログラム29には、切削加工中におけるZ移動テーブル22のZ軸方向の位置および移動速度、X移動テーブル23のX軸方向の位置および移動速度を規定するデータに加え、バイト27の加工径と主軸25の回転数との対応関係式のデータも含められている。この対応関係式のデータとしては、例えば、加工径の増大と共に線形的に回転数が低下するような式でもよいし、加工径に反比例して回転数が低下するような式でもよい。
以下、切削加工工程について説明する。本実施形態の切削加工では、まず作業者は、制御ユニット28に所定のNCプログラム29の実行を開始させ(ステップ110)、それにより、ステップ120〜160のループが繰り返され、各ループにおいて、制御ユニット28の制御によってまずフレネル面11が走査され(ステップ120、130)その後、ライズ面12の加工が始まる(ステップ140)。
ライズ面12の加工が始まると、制御ユニット28は、現在のX座標値、Z座標値に基づいて、現在のバイト27の加工径を算出し(ステップ345)、続いて、NCプログラム29に記録されている対応関係式のデータに基づいて、算出した加工径に対応する回転数を算出する(ステップ350)。さらに続いて、算出した回転数を実現するよう、主軸25の回転数を変更する(ステップ355)。
なお、制御ユニット28は、現在フレネル面11を加工しているのかライズ面12を加工しているのかについては、X座標値に比べてZ座標値が大きく変化していることに基づいて、バイト27がライズ面12を走査していると判定してもよい。あるいは、ライズ面12を加工しているときのX座標時およびZ座標値を、回転数を変更するときのX座標時およびZ座標値として、あらかじめNCプログラム29に記録しておき、制御ユニット28は、そのNCプログラム29中の回転数を変更するときのX座標時およびZ座標値が実現しているときに、ライズ面12を走査していると判定し、ステップ345〜355を実行するようになっていてもよい。
回転数の変更後、ライズ面12の走査が終了すると(ステップ160)、ループの1回分が終了して次のループが始まる。このように、制御ユニット28があらかじめ加工径と回転数の対応関係式のデータを読み取り、ライズ面12の加工中のある一時点において、その時点の加工径に対応する回転数を対応関係式のデータに基づいて算出し、決定した回転数を実現するよう、主軸25の回転数を変更する。
このようになっていることで、第1実施形態と同様に、フレネル面11に面粗さや形状の悪化が生じてしまうことがなくなる。すなわち、回転揺らぎの影響を与えることなくフレネル面11において良好な仕上げ面を得ることができる。また、制御ユニット28が自動的に加工径に応じて回転数を変更するので、作業者の手間が省ける。また、作業者が上記対応関係式のデータをNC旋盤2に記録させるだけで、NC旋盤2が自動的に回転数を調整するようになる。
なお、本実施形態においては、図14のステップ120から130まで、およびステップ120〜160のループの繰り返しの終了後の最後のフレネル面11の加工工程が、フレネル面加工工程に相当し、ステップ140から160までが、ライズ面加工工程に相当する。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態が第2実施形態と異なるのは、図11のステップ260、270の回転数変更および移動再開の作業を、制御ユニット28が自動的に実行するようになっている点である。
図15に、本実施形態における切削加工の詳細な工程のフローチャートを示す。なお、図11と図15のフローチャートで同じ符号が付されているステップの作動内容は、互いに同じである。
なお、NCプログラム29には、切削加工中におけるZ移動テーブル22のZ軸方向の位置および移動速度、X移動テーブル23のX軸方向の位置および移動速度を規定するデータに加え、第3実施形態と同様にして作成された、バイト27の加工径と主軸25の回転数との対応関係式のデータも含められている。
以下、切削加工工程について説明する。本実施形態の切削加工では、まず作業者は、制御ユニット28に所定のNCプログラム29の実行を開始させ(ステップ210)、それにより、ステップ220〜290のループが繰り返され、各ループにおいて、制御ユニット28の制御によってまずフレネル面11が走査され(ステップ220、230)その後、バイト27のノーズが被加工物30から離れて停止する(ステップ240、250)。
バイト27の移動を停止した状態で、制御ユニット28は、現在のX座標値、Z座標値に基づいて、現在のバイト27の加工径を算出し(ステップ455)、続いて、NCプログラム29に記録されている対応関係式のデータに基づいて、算出した加工径に対応する回転数を算出する(ステップ460)。さらに続いて、算出した回転数を実現するよう、主軸25の回転数を変更する(ステップ465)。その後制御ユニット28は、回転数の変更後、バイト27の移動を再開し(ステップ470)、ライズ面12を加工する(ステップ280、290)。
このようになっていることで、第2実施形態と同様に、フレネル面11およびライズ面12に面粗さや形状の悪化が生じてしまうことがなくなる。すなわち、回転揺らぎの影響を与えることなくフレネル面11およびライズ面12において良好な仕上げ面を得ることができる。また、制御ユニット28が自動的に加工径に応じて回転数を変更するので、作業者の手間が省ける。また、作業者が上記対応関係式のデータをNC旋盤2に記録させるだけで、NC旋盤2が自動的に回転数を調整するようになる。
なお、本実施形態においては、図15のステップ220から230まで、およびステップ220〜290のループの繰り返しの終了後の最後のフレネル面11の加工工程が、フレネル面加工工程に相当し、ステップ280から290までが、ライズ面加工工程に相当し、ステップ240が離す工程に相当する。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
例えば、上記実施形態では、フレネルレンズ1に対して、500nm未満の形状精度および50nm未満の表面粗さRzが望ましく、また、フレネル面11とライズ面12の間の溝部13の曲率半径は5μm未満であることが望ましいと記載したが、製造するフレネルレンズ1は、必ずしもこのような条件のものに限らない。
また、第1、第2実施形態において、ステップ150、260、270の作業を、人ではなく制御ユニット28の自動制御によって実現させるようになっていてもよい。その場合NCプログラム29には、主軸25の回転数の変更のタイミングのデータ、および、各タイミングにおける変化後の回転数のデータも含める。その場合、制御ユニット28は、ステップ150において、フレネル面11を走査中であるかライズ面12を走査中であるかについては、第3実施形態と同じ方法で判定する。
また、第3、第4実施形態においては、制御ユニット28は、NCプログラム29にあらかじめ記録された対応関係式に基づいて、現在の加工径に応じた回転数を算出するようになっているが、最初から、加工径と回転数との対応表が、あらかじめNCプログラム29に記録されているようになっていてもよい。
この場合、NCプログラム29には、切削加工中におけるZ移動テーブル22のZ軸方向の位置および移動速度、X移動テーブル23のX軸方向の位置および移動速度を規定するデータに加え、バイト27の各加工径における主軸25の回転数のデータ(すなわち、対応表)も含まれる。そして制御ユニット28は、ステップ350および450で、この対応表に基づいて、現在の加工径に対応する回転数を算出する。
また、第1実施形態では、バイト27を被加工物30の外周から回転中心に向って走査するようになっているが、逆に、被加工物30の回転中心から外周に向って走査するようになっていてもよい。その場合でも、ライズ面12の切削加工中に、主軸25の回転数を上昇させるようになっていればよい。
また、第2実施形態でも、バイト27を被加工物30の外周から回転中心に向って走査するようになっているが、逆に、被加工物30の回転中心から外周に向って走査するようになっていてもよい。その場合は、第2実施形態とは逆に、1つのライズ面12の切削加工が終わった後、次のライズ面12の切削加工を行う前に、バイト27を被加工物30から離して停止させ、その停止した状態で主軸25の回転数を上昇させるようになっていればよい。つまり、バイト27を被加工物30から離して停止させ、その停止した状態で主軸25の回転数を上昇させるのは、フレネル面11とライズ面12面の境界のうち、奥まった溝部13(図4参照)ではなく、突出した頂点部14を加工した直後である。
また、上記実施形態においては、切削加工されたフレネルレンズ1の用途として、ヘッドアップディスプレイ50の拡大投影用レンズが例示されているが、フレネルレンズ1の用途としては、このようなものに限らず、例えば高詳細オーバーヘッドプロジェクタのレンズ、高詳細ルーペ等にも用いることができる。
また、上記実施形態では、フレネルレンズとして、凸レンズの表面を複数の同心円で区分けし、それら区分けされた各区間(フレネル面)の高さを概ね一様にするために、隣り合う区間の間に段差がつけられた凸型フレネルレンズが例示されている。しかし、この凸型フレネルレンズを凹型フレネルレンズに代えても、同じ切削加工を用いて同じ効果を得ることができる。なお、凹型フレネルレンズとは、凹レンズの表面を複数の同心円で区分けし、それら区分けされた各区間(フレネル面)の高さを概ね一様にするために、隣り合う区間の間に段差がつけられたフレネルレンズをいう。
また、上記実施形態においては、NC旋盤2を用いてフレネルレンズ1を製造するようになっているが、NC旋盤2は、フレネルレンズ1ではなく、樹脂成形(例えば射出成形)によってフレネルレンズ1を製造するための金型の切削加工にも、用いることができる。図16に、このような金型40の断面図を示す。
この場合も、金型40の素材となる被加工物に対して、上記実施形態と同じ方法で切削加工することができる。その場合、上記の各実施形態においては、被加工物30を、フレネルレンズの金型40の素材となる被加工物(例えば、ニッケルメッキを施した主に鉄系材料から成る板)に読み替え、フレネル面11は、「金型において成形時にフレネルレンズ1のフレネル面11の型となるフレネル型面41」に読み替え、ライズ面12は、「金型において成形時にフレネルレンズ1のライズ面12の型となるライズ型面42」に読み替え、フレネル面加工工程は、フレネル型面加工工程に読み替え、ライズ面加工工程は、ライズ面加工工程に読み替える。
そのように読み替えれば、本発明の切削加工方法は、フレネルレンズの金型40としても捉えることができる。そして、このようにして製造された金型40においても、そのような金型40を用いて製造されたフレネルレンズ1についても、フレネル面(またはフレネル面を形成する金型上の面)に面粗さや形状の悪化が生じてしまうことがなくなる。
また、上記実施形態においては、フレネルレンズ1または金型40を切削加工する装置として、NC旋盤2が用いられているが、上記実施形態のような加工機能を実現可能な切削加工装置なら、NC旋盤2以外の装置(例えば、マシニングセンタ)を用いてよい。
1 フレネルレンズ
2 NC旋盤
11 フレネル面
12 ライズ面
22 Z移動テーブル
23 X移動テーブル
25 主軸
27 バイト
28 制御ユニット
28a 表示装置
29 NCプログラム
30 被加工物
40 金型
41 フレネル型面
42 ライズ型面
50 加工径と回転数との関係を示すグラフ
51 加工径と周速度との関係を示すグラフ
52、53 バイト27の加工軌跡

Claims (5)

  1. 被加工物(30)をバイト(27)に対して相対的に回転させると共に、前記バイト(27)を前記被加工物(30)に対して前記被加工物(30)の厚み方向および前記被加工物(30)の径方向に相対的に移動させることで、前記バイト(27)で前記被加工物(30)を切削加工し、その結果、同心円状に交互にフレネル面(11)およびライズ面(12)が形成されたフレネルレンズ(1)を製造するフレネルレンズの製造方法であって、
    前記フレネル面(11)の1つを切削加工するフレネル面加工工程と、前記ライズ面(12)の1つを切削加工するライズ面加工工程とを交互に繰り返し、
    前記フレネル面加工工程中には、前記被加工物(30)の前記バイト(27)に対する回転数を一定に保ち、
    前記ライズ面加工工程中には、前記回転数を変化させることを特徴とするフレネルレンズの製造方法。
  2. 被加工物(30)をバイト(27)に対して相対的に回転させる主軸(25)と、
    前記バイト(27)を前記被加工物(30)に対して前記被加工物(30)の厚み方向および前記被加工物(30)の径方向に相対的に移動させる走査装置(22、23)と、
    前記主軸(25)および前記操作装置(22、23)を制御することで、前記バイト(27)で前記被加工物(30)を切削加工し、その結果、同心円状に交互にフレネル面(11)およびライズ面(12)が形成されたフレネルレンズ(1)を製造する制御ユニット(28)と、を備えた切削加工装置であって、
    前記制御ユニット(28)は、前記フレネル面(11)の1つを切削加工するフレネル面加工工程と、前記ライズ面(12)の1つを切削加工するライズ面加工工程とを交互に繰り返し、前記フレネル面加工工程中には、前記被加工物(30)の前記バイト(27)に対する回転数を一定に保ち、前記ライズ面加工工程中には、前記回転数を変化させることを特徴とする切削加工装置。
  3. 被加工物(30)をバイト(27)に対して相対的に回転させると共に、前記バイト(27)を前記被加工物(30)に対して前記被加工物(30)の厚み方向および前記被加工物(30)の径方向に相対的に移動させることで、前記バイト(27)で前記被加工物(30)を切削加工し、その結果、同心円状に交互にフレネル面(11)およびライズ面(12)が形成されたフレネルレンズ(1)の金型(40)を製造する金型の製造方法であって、
    前記金型(40)において前記フレネル面(11)の型となるフレネル型面(41)の1つを切削加工するフレネル型面加工工程と、前記金型(40)において前記ライズ面(12)の型となるライズ型面(42)の1つを切削加工するライズ型面加工工程とを交互に繰り返し、
    前記フレネル型面加工工程中には、前記被加工物(30)の前記バイト(27)に対する回転数を一定に保ち、
    前記ライズ型面加工工程中には、前記回転数を変化させることを特徴とする金型の製造方法。
  4. 被加工物(30)をバイト(27)に対して相対的に回転させる主軸(25)と、
    前記バイト(27)を前記被加工物(30)に対して前記被加工物(30)の厚み方向および前記被加工物(30)の径方向に相対的に移動させる走査装置(22、23)と、
    前記主軸(25)および前記操作装置(22、23)を制御することで、前記バイト(27)で前記被加工物(30)を切削加工し、その結果、同心円状に交互にフレネル面(11)およびライズ面(12)が形成されたフレネルレンズ(1)の金型(40)を製造する制御ユニット(28)と、を備えた切削加工装置であって、
    前記制御ユニット(28)は、前記金型(40)において前記フレネル面(11)の型となるフレネル型面(41)の1つを切削加工するフレネル型面加工工程と、前記金型(40)において前記ライズ面(12)の型となるライズ型面(42)の1つを切削加工するライズ型面加工工程とを交互に繰り返し、前記フレネル型面加工工程中には、前記被加工物(30)の前記バイト(27)に対する回転数を一定に保ち、前記ライズ型面加工工程中には、前記回転数を変化させることを特徴とする切削加工装置。
  5. 前記制御ユニット(28)は、前記バイト(27)の加工径と前記回転数との対応関係式のデータを記録し、
    前記回転数を変化させるときに、現在のバイト(27)の加工径を算出し、続いて、記録した対応関係式のデータに基づいて、算出した加工径に対応する回転数を算出し、算出した回転数を実現するよう、主軸25を制御することを特徴とする請求項2または4に記載の切削加工装置。
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