JP5359691B2 - 電子写真トナー用樹脂組成物及び電子写真トナー - Google Patents

電子写真トナー用樹脂組成物及び電子写真トナー Download PDF

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Description

本発明は、連続印刷時の画質の安定性、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐ブロッキング性及び光沢性に優れる電子写真トナーが得られる樹脂組成物に関する。
近年、電子写真トナーには、更なる連続印刷時の画質の安定性、低消費電力化のための低温定着性、耐ブロッキング性(コピー機内での保存中にトナー粒子が凝集しない性質)が求められている。低温定着性や耐ブロッキング性を向上させる為、結着樹脂として結晶構造を有する樹脂(結晶性樹脂)を用いることが知られている。具体的には、例えば、170℃における貯蔵弾性率が10〜10000Pa、融解熱の最大ピーク温度が55〜150℃、軟化点と融解熱の最大ピーク温度が0.6〜1.3である結晶性ポリエステル樹脂が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、結晶性ポリエステル樹脂は、体積抵抗値が例えば1014Ωcm未満と結晶構造を有さないポリエステル樹脂(非晶性ポリエステル樹脂)と比較して体積抵抗値が低い。その為、該結晶性ポリエステル樹脂のみを結着樹脂として用いた電子写真トナーは帯電保持力が弱く帯電量の経時的な低下が見られる。その結果、該電子写真トナーには連続印刷時の画質の安定性に劣る問題がある。この結晶性ポリエステル樹脂の欠点を克服する為に、前記特許文献1においても、結着樹脂として帯電量の経時的な低下が少ない非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを混合させた樹脂(ハイブリッド樹脂)として用いざるを得ない。
前記非晶性ポリエステル樹脂は結晶性ポリエステル樹脂と比べて低温定着性や耐ブロッキング性に劣る。その為、非晶性ポリエステル樹脂の含有割合を高くした結着樹脂は帯電量の経時的安定性が向上していくものの、結晶性ポリエステル樹脂の有する低温定着性、耐ブロッキング性という優れた性能が相殺される問題が生じる。従って、結晶性ポリエステル樹脂が有する低温定着性、耐ブロッキング性という優れた特徴を発揮するのは困難である。また、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを併用する際には、結着樹脂の設計を複雑化する問題もある。
さらに、非晶性ポリエステル樹脂を用いずに結晶性ポリエステル樹脂の低温定着性と耐ブロッキング性を両立する報告がなされている(例えば、特許文献2参照。)該公報によると、軟化点60〜130℃のエポキシ樹脂と融点50〜120℃の結晶性ポリエステル樹脂のブロック共重合体もしくはグラフト共重合体にすることで低温定着性と耐ブロッキング性を両立できる。しかしながら、該文献に記載されたポリエステル樹脂を用いた電子写真トナーは低温定着性と耐ブロッキング性は十分とは言えず、また帯電安定性は不十分な為、連続印刷時の画質が不安定である。
上記問題を解決するために、デンドリマー等の規則性分枝構造を有する末端水酸基に長鎖アルキル基を有するモノカルボン酸とを反応させた結晶性ポリエステル樹脂を用いた電子写真トナーが開示されている。(例えば特許文献3参照)。該公報によれば、長鎖アルキル基の鎖長と含有量を最適化することで、あえて非晶性ポリエステル樹脂を用いずとも結晶性ポリエステル樹脂単独で低温定着性、耐ブロッキング性を両立することができる。しかしながら、該結晶性ポリエステル樹脂の融点が低いために、連続印刷時に定着ヒートロールへの巻きつき(ホットオフセット)を引き起こす。その為、結局のところ耐ホットオフセット性を向上させるために、高融点の結晶性ポリエステル樹脂や上記非晶性ポリエステル樹脂を併用せざるを得ず、この併用の為、得られる電子写真トナーの低温定着性や光沢性が低下してしまう。
このように低温定着性と光沢性は、耐ブロッキング性と耐ホットオフセット性と相反する関係にあり、これらをすべて満足する電子写真トナーを得るのは困難である。加えて、連続印刷時の画質の安定性も近年の高画質化、低消費電力化を重視するコピー機やカラーレーザープリンタにおいて非常に重要な課題である。
特開2004−197051号公報 特開平4−250464号公報 特開2008−241845号公報
本発明の課題は連続印刷時の画質の安定性、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐ブロッキング性及び光沢性に優れる電子写真トナーが得られる樹脂組成物及び該樹脂組成物を含有する電子写真トナーを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、モノカルボン酸、エポキシ化合物、ジカルボン酸及びジオールとを反応させて得られるポリエステル樹脂として、それぞれ特定の化合物を選択し、且つ、それらの反応割合を限定して得られるポリエステル樹脂を用いる事により連続印刷時の画質の安定性、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐ブロッキング性及び光沢性に優れる電子写真トナーが得られること等を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、炭素原子数17〜30のアルキル基または炭素原子数17〜30のアルケニル基を有するモノカルボン酸(a1)と、エポキシ当量140〜280で、且つ、1分子中にエポキシ基を2〜8個有するエポキシ化合物(a2)と、炭素原子数4〜18のアルキル基を有するジカルボン酸(a3)と、炭素原子数4〜18のアルキル基を有するジオール(a4)とを、モル比(%)が〔(a1)/(a2)/(a3)/(a4)〕=〔(20〜65)/(1〜7)/(14〜40)/(14〜40)〕となる範囲で反応させて得られる結晶性ポリエステル樹脂(A)と、着色剤(B)とを含有することを特徴とする電子写真トナー用樹脂組成物を提供するものである。
また、本発明は、前記電子写真トナー用樹脂組成物を含有することを特徴とする電子写真トナーを提供するものである。
本発明によれば、連続印刷時の画質の安定性、低温定着性、耐ホットオフセット性、耐ブロッキング性及び光沢性に優れる電子写真トナーが得られる樹脂組成物を提供することができる。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)は、炭素原子数17〜30のアルキル基または炭素原子数17〜30のアルケニル基を有するモノカルボン酸(a1)と、エポキシ当量140〜280で、且つ、1分子中にエポキシ基を2〜8個有するエポキシ化合物(a2)と、炭素原子数4〜18のアルキル基を有するジカルボン酸(a3)と、炭素原子数4〜18のアルキル基を有するジオール(a4)とを、モル比(%)が〔(a1)/(a2)/(a3)/(a4)〕=〔(20〜65)/(1〜7)/(14〜40)/(14〜40)〕となる範囲で反応させて得られる結晶性ポリエステル樹脂である。
前記モノカルボン酸として、炭素原子数が17より小さいアルキル基やアルケニル基を有するモノカルボン酸を前記モル比で20モル%より少ない量を用いたのでは得られる電子写真トナーの耐ブロッキング性と連続印刷時の画質の安定性が不十分となる為、好ましくない。また、炭素原子数が17より小さいアルキル基やアルケニル基を有するモノカルボン酸を前記モル比で65モル%より多く用いた場合も、得られる電子写真トナーの耐ブロッキング性と連続印刷時の画質の安定性が不十分となる為、好ましくない。
前記モノカルボン酸として、炭素原子数が30を超えるアルキル基やアルケニル基を有するモノカルボン酸を前記モル比で20モル%より少ない量を用いたのでは、得られる電子写真トナーの低温定着性と連続印刷時の画質の安定性が不十分となる為、好ましくない。炭素原子数が30を超えるアルキル基やアルケニル基を有するモノカルボン酸を前記モル比で65モル%より多く用いたのでは、得られる電子写真トナーの低温定着性が不十分となる為、好ましくない。
モノカルボン酸(a1)としては、炭素原子数21〜27のアルキル基または炭素原子数21〜27のアルケニル基を有するモノカルボン酸を前記モル比で22〜45%用いるのが好ましい。
前記エポキシ化合物として、1分子中にエポキシ基の数が2より少なくエポキシ当量が140より小さい化合物を前記モル比で1モル%より少ない量を用いたのでは、得られる電子写真トナーの耐ホットオフセット性が不十分となる為、好ましくない。前記エポキシ化合物として、1分子中にエポキシ基の数が2より少なくエポキシ当量が140より小さい化合物を前記モル比で7モル%より多く用いた場合も、得られる電子写真トナーの耐ホットオフセット性が不十分となる為、好ましくない
前記エポキシ化合物として、1分子中にエポキシ基の数が2より少なくエポキシ当量が280より大きい化合物を前記モル比で1モル%より少ない量を用いたのでは、得られる電子写真トナーの耐ホットオフセット性、光沢性が不十分となる為、好ましくない。前記エポキシ化合物として、1分子中にエポキシ基の数が2より少なくエポキシ当量が280より大きい化合物を前記モル比で7モル%より多く用いた場合も、得られる電子写真トナーの耐ホットオフセット性、光沢性が不十分となる為、好ましくない。
前記エポキシ化合物として、1分子中にエポキシ基の数が8より多くエポキシ当量が140より小さい化合物を前記モル比で1モル%より少ない量を用いたのでは、得られる電子写真トナーの耐ホットオフセット性が不十分となる為、好ましくない。前記エポキシ化合物として、1分子中にエポキシ基の数が8より多くエポキシ当量が140より小さい化合物を前記モル比で7モル%より多く用いた場合は、ポリエステル樹脂(A)の合成中に該樹脂(A)がゲル化してしまいポリエステル樹脂(A)を得にくい為、好ましくない
前記エポキシ化合物として、1分子中にエポキシ基の数が8より多くエポキシ当量が280より大きい化合物を前記モル比で1モル%より少ない量を用いたのでは、得られる電子写真トナーの耐ホットオフセット性が不十分となる為、好ましくない。前記エポキシ化合物として、1分子中にエポキシ基の数が8より多くエポキシ当量が280より大きい化合物を前記モル比で7モル%より多く用いた場合は、ポリエステル樹脂(A)の合成中に該樹脂(A)がゲル化してしまいポリエステル樹脂(A)を得にくい為、好ましくない。
エポキシ化合物(a2)としては、エポキシ当量180〜220で、且つ、1分子中にエポキシ基を4〜8個有する化合物を前記モル比で1.5〜4.5%用いるのが好ましい。
前記ジカルボン酸として炭素原子数が4より小さいアルキル基を有するジカルボン酸を前記モル比で14モル%より少ない量を用いたのでは、得られる電子写真トナーの耐ブロッキング性が不十分となる為、好ましくない。また、炭素原子数が4より小さいアルキル基を有するジカルボン酸を前記モル比で40モル%より多く用いたのでは、得られる電子写真トナーの連続印刷時の画質の安定性が不十分となる為、好ましくない。
前記ジカルボン酸として炭素原子数が18より大きいアルキル基を有するジカルボン酸を前記モル比で14モル%より少ない量を用いたのでは、得られる電子写真トナーの耐ホットオフセット性が不十分となる為、好ましくない。また、炭素原子数が18より大きいアルキル基を有するジカルボン酸を前記モル比で40モル%より多く用いたのでは、得られる電子写真トナーの低温定着性が不十分となる為、好ましくない。
ジカルボン酸(a3)としては、炭素原子数4〜16のアルキル基を有するジカルボン酸を前記モル比で16〜38%用いるのが好ましい。
前記ジオールとして炭素原子数が4より小さいアルキル基を有するジオールを前記モル比で14モル%より少ない量を用いたのでは、得られる電子写真トナーの耐ホットオフセット性が不十分となる為、好ましくない。また、炭素原子数が4より小さいアルキル基を有するジオールを前記モル比で40モル%より多く用いたのでは、得られる電子写真トナーの連続印刷時の画質の安定性が不十分となる為、好ましくない。
前記ジオールとして炭素原子数が18より大きいアルキル基を有するジオールを前記モル比で14モル%より少ない量を用いたのでは、得られる電子写真トナーの耐ホットオフセット性が不十分となる為、好ましくない。また、炭素原子数が18より大きいアルキル基を有するジオールを前記モル比で40モル%より多く用いたのでは、得られる電子写真トナーの低温定着性が不十分となる為、好ましくない。
ジオール(a4)としては、炭素原子数6〜12のアルキル基を有するジオールを前記モル比で16〜38%用いるのが好ましい。
従って、本発明においては、モノカルボン酸(a1)が炭素原子数21〜27のアルキル基または炭素原子数21〜27のアルケニル基を有するモノカルボン酸で、エポキシ化合物(a2)がエポキシ当量180〜220で、且つ、1分子中にエポキシ基を4〜8個有するエポキシ化合物で、ジカルボン酸(a3)が炭素原子数4〜16のアルキル基を有するジカルボン酸で、ジオール(a4)が炭素原子数6〜12のアルキル基を有するジオールであることが好ましい。
そして、本発明で用いるポリエステル樹脂は、モノカルボン酸(a1)、エポキシ化合物(a2)、ジカルボン酸(a3)およびジオール(a4)をモル比(%)が〔(a1)/(a2)/(a3)/(a4)〕=〔(22〜45)/(1.5〜4.5)/(16〜38)/(16〜38)〕となる範囲で反応させて得られる結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
更に、本発明で用いるポリエステル樹脂(A)は、モノカルボン酸(a1)として炭素原子数21〜27のアルキル基または炭素原子数21〜27のアルケニル基を有するモノカルボン酸を用い、エポキシ化合物(a2)としてエポキシ当量180〜220で、且つ、1分子中にエポキシ基を4〜8個有するエポキシ化合物を用い、ジカルボン酸(a3)として炭素原子数4〜16のアルキル基を有するジカルボン酸を用い、ジオール(a4)として炭素原子数6〜12のアルキル基を有するジオールを用い、且つ、モノカルボン酸(a1)、エポキシ化合物(a2)、ジカルボン酸(a3)およびジオール(a4)をモル比(%)が〔(a1)/(a2)/(a3)/(a4)〕=〔(22〜45)/(1.5〜4.5)/(16〜38)/(16〜38)〕となる範囲で反応させて得られる結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
本発明において、「結晶性」とは、樹脂骨格中に存在する規則的配列構造に由来するラメラ結晶型や球晶型などの結晶構造を有し、この結晶構造が熱により融解する際に発生する単独または複数の結晶融解熱に由来する吸熱ピークを有する性質をいう。本発明で用いるポリエステル樹脂はこの性質を有するポリエステル樹脂である。前記規則的配列構造としては、例えば、前記(a1)、(a3)及び(a4)が有するアルキル基等の構造やアルケニル基等の構造が挙げられる。
本発明で用いる化合物(a1)は、炭素原子数17〜30のアルキル基または炭素原子数17〜30のアルケニル基を有するモノカルボン酸である。炭素原子数17〜30のアルキル基を有するモノカルボン酸としては、例えば、ステアリン酸(炭素原子数17)、アラキン酸(炭素原子数19)、ベヘニン酸(炭素原子数21)、セロチン酸(炭素原子数25)、モンタン酸(炭素原子数27)、メリシン酸(炭素原子数29)、ヘントリアコンタン酸(炭素原子数30)等が挙げられる。
前記炭素原子数17〜30のアルケニル基を有するモノカルボン酸としては、例えば、オレイン酸(炭素原子数17)、ガドレイン酸(炭素原子数19)、エルカ酸(炭素原子数21)、ネルボン酸(炭素原子数23)、トリアコンテン酸(炭素原子数29)、ヘントリアコンテン酸(炭素原子数30)等が挙げられる。
本発明で用いるモノカルボン酸(a1)の中でも、アルキル基を有するモノカルボン酸が好ましい。
本発明で用いるエポキシ化合物(a2)はエポキシ当量140〜280で、且つ、1分子中にエポキシ基を2〜8個有するエポキシ化合物である。このような化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂及びフェノールノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる一種以上のエポキシ樹脂が、耐ホットオフセット性と光沢性に優れる電子写真トナーが得られることから好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる一種以上のエポキシ樹脂がより好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が更に好ましい。
本発明で用いるジカルボン酸(a3)は炭素原子数4〜18のアルキル基を有するジカルボン酸である。炭素原子数4〜18のアルキル基を有するジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸(炭素原子数4)、セバシン酸(炭素原子数8)、テトラデカン二酸(炭素原子数12)、オクタデカン二酸(炭素原子数16)、エイコサン二酸(炭素原子数18)等が挙げられる。
本発明で用いるジオール(a4)は炭素原子数4〜18のアルキル基を有するジオールである。炭素原子数4〜18のアルキル基を有するオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール(炭素原子数4)、1,6−ヘキサンジオール(炭素原子数6)、デカンジオール(炭素原子数10)、ドデカンジオール(炭素原子数12)、オクタデカンジオール(炭素原子数18)等が挙げられる。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)は、例えば、下記の方法で得ることができる。下記の方法ではモノカルボン酸(a1)と、エポキシ化合物(a2)と、ジカルボン酸(a3)と、ジオール(a4)とが、モル比(%)が〔(a1)/(a2)/(a3)/(a4)〕=〔(20〜65)/(1〜7)/(14〜40)/(14〜40)〕となる範囲で用いる。
製法1:(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)を一括に仕込み、140℃〜260℃で4〜30時間反応させる方法。
製法2:(a1)と(a2)と反応させ水酸基を有する反応物を得た後、該反応物と(a3)と(a4)とを反応させる方法。
製法3:(a1)と(a2)と反応させて得られる水酸基を有する反応物と、(a3)と(a4)とを反応させて得られるカルボキシル基を有するポリエステル樹脂とを反応させる方法。
上記方法の中でも製造中に樹脂のゲル化が発生しにくく、本発明で用いるポリエステル樹脂(A)を製造しやすいことから製法2が好ましい。以下製法2について説明する。
前記製法2において、(a1)と(a2)と反応させ水酸基を有する反応物は、公知慣用の酸/エポキシ反応により得られる。例えば、窒素雰囲気下で加熱し、エポキシ基をカルボン酸にて開環付加させる。この時の加熱温度は、例えば、100〜160℃である。また、反応時間は2〜8時間である。反応触媒として、トリメチルホスフィンやトリフェニルホスフィン等のリン化合物を用いることができる。
(a1)と(a2)とを反応させる比率は、前記ゲル化の発生を抑制しやすいこと、および低温定着性と耐ホットオフセット性に優れる電子写真トナーが得られることからモル比〔(a1)/(a2)〕で10〜15が好ましく、10.2〜14.8がより好ましい。
次に、前記開環付加して得られる反応物と(a3)と(a4)とを反応させることでポリエスエル樹脂(A)を得る。この場合、公知慣用の重縮合反応法により任意に製造される。例えば、エステル化触媒(錫化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物等)の存在下やエステル交換触媒(鉛化合物、錫化合物、亜鉛化合物、チタン化合物等)の存在下に、ジカルボン酸メチルエステル等の低級アルキルエステル使用のエステル交換反応、常圧脱水反応、減圧および真空脱水反応、溶液重縮合法、固相重縮合反応等いずれの製造法にて実施してもよい。この時のポリエステル化反応の追跡は、酸価、水酸基価、粘度または軟化点を測定することにより行うことができる。この場合の反応温度は、例えば、140〜260℃、反応時間4〜10時間である。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)は、前記(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)以外の化合物も本発明の効果を損なわない範囲で用いて製造することができる。前記(a1)、(a2)、(a3)及び(a4)以外の化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族2価アルコール類;ビスフェノールA、ビスフェノールAのポリアルキレンオキサイド付加物等のビスフェノールA誘導体等の芳香族2価アルコール類;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族2価アルコール類等;カージュラE10「シェルケミカル社製 分枝脂肪酸のモノグリシジルエステル」等の脂肪族モノエポキシ化合物;
オルソフタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、無水コハク酸等の芳香族2価カルボン酸類;
グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2−メチルプロパントリオール等の3価以上のアルコール;
トリメリット酸、無水トリメリット酸、シアヌール酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等の3価以上のカルボン酸;
ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、リンゴ酸、およびそれらの誘導体等の水酸基とカルボキシル基を併有するヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)のテトラヒドロフラン可溶分の重量平均分子量(Mw)は、低温定着性と耐ホットオフセット性に優れる電子写真トナーが得られることから50,000〜450,000が好ましく、60,000〜420,000がより好ましい
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)のテトラヒドロフラン可溶分の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比〔(Mw)/(Mn)〕は、低温定着性と耐ホットオフセット性および光沢性に優れる電子写真トナーが得られることから15〜180が好ましく、20〜155がより好ましい。
なお、本発明において、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を用い、下記の条件により行った。
測定装置 ;東ソー株式会社製 HLC−8120GPC
カラム ;東ソー株式会社製 TSK−GUARDCOLUMN HXL−H
+東ソー株式会社製 TSK−GEL G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSK−GEL G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSK−GEL G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSK−GEL G2000HXL
検出器 ;RI(示差屈折計)
データ処理;東ソー株式会社製 マルチステーションGPC−8020modelII
測定条件 ;カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;単分散ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4重量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)のテトラヒドロフラン不溶分は、低温定着性に優れる電子写真トナーが得られることから30重量%未満が好ましく、20重量%未満がより好ましい。
本発明において、テトラヒドロフラン不溶分の測定は、下記の静置法により行った。
<テトラヒドロフラン不溶分の測定>
目開き710μmの篩いにかけた結晶性ポリエステル樹脂1.5gを秤量し、500メッシュの金網に入れる。この金網を、80gのテトラヒドロフランの入った密閉容器に浸漬し、24時間静置する。24時間後金網を取出し、70℃の乾燥機で1時間乾燥させる。乾燥させた金網を室温まで冷却して金網の重さを量る。下記の式より不溶分を算出する。
不溶分(%)=浸漬後の金網重量÷樹脂の重量を含む浸漬前の金網重量×100
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)の融点は、低温定着性と耐ブロッキング性に優れる電子写真トナーが得られることから50〜95℃が好ましく、55〜90℃がより好ましい。
本発明で用いるポリエステル樹脂(A)の融点は、示差走査熱量分析(DSC)法を用い、下記の条件により求めた。
測定装置 ;セイコーインスツル株式会社製 DSC−220C
データ処理;EXSTAR6000 PCステーション
測定条件 ;1.20℃から150℃まで昇温(10℃/min)
2.150℃にて10分間保持
3.150℃から0℃まで降温(10℃/min)
4.0℃にて10分間保持
5.0℃から150℃まで昇温(10℃/min)
解析 ;5.の測定結果において、融解熱の最大吸熱ピーク温度を融点とする。
本発明の電子写真トナー用樹脂組成物は少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有する組成物で前記着色剤としては、例えば、種々の有機顔料、無機顔料、染料等を用いることができる。具体的には、例えば、カーボンブラック、ランプブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、ウルトラマリンブルー、フタロシアニンブルー、クロムイエロー、ピグメントイエローL、チタンイエロー、ローズベンガラ、キナクリドンレッド、ウオッチングレッド等を挙げることができ、1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
本発明の電子写真トナー用樹脂組成物中の着色剤の重量割合は特に制限されないが、通常トナー用樹脂組成物100重量部当たり、着色剤1〜60重量部、好ましくは3〜30重量部である。
本発明の電子写真トナーは、必要に応じて離型剤、帯電制御剤等の添加剤を添加してポリエステル樹脂(A)の融点以上で溶融混練した後、粉砕し、分級することにより得ることができる。勿論、これ以外の方法で製造してもよい。
上記離型剤としては、例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス、ステアリルビスアミド、酸化ワックス等の合成ワックスや、カルナウバワックス、モンタンワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の天然ワックス等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。好適な離型剤としては、例えば、天然エステル系ワックスである精製カルナウバワックス1号〜3号[(株)加藤洋行製]や合成ポリプロピレンワックスであるビスコール660P、ビスコール550P[三洋化成工業(株)製]等がある。
本発明の電子写真用トナー中の離型剤の重量割合は特に制限されないが、通常電子写真用トナー100重量部当たり、離型剤0.3〜15重量部、好ましくは1〜5重量部である。
上記帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、トリメチルエタン系染料、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、金属錯塩アゾ系染料等の重金属含有酸性染料等公知慣用の電荷制御剤を挙げることができ、1種又は2種以上の組み合わせで使用することができる。
前記電子写真トナー中の帯電制御剤の重量割合は特に制限されるものではないが、好ましくは電子写真トナー100重量部当たり、帯電制御剤0.5〜3重量部が望ましい。
電子写真トナーを得るに当たっては、その製造の任意の工程において、更に、流動性向上剤等の各種助剤を加えることができる。流動性向上剤は、電子写真トナーの表面に付着させるのが有効である。
さらに、本発明で得られる電子写真トナーは、このままでもトナーとして使用することができるが、シリカを外添することにより、より粉体流動性を向上させることができ実用上好適である。
シリカとしては、比較的大きい平均粒子径を有するものと、比較的小さい平均粒子径を有するものがあり、これらは単独で用いても併用してもよい。シリカの外添量としては、帯電量が必要充分となり、感光体ドラムを傷つけたり、トナーの環境特性の悪化を招くこと等がないことから、電子写真トナー粒子100重量部に対し、0.1〜5.0重量部が実用上好適である。
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。例中「部」とあるのは、特にことわりがない限り重量部を表すものとする。
合成例1〔結晶性ポリエステル樹脂(A)の合成〕
攪拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の3Lステンレスフラスコに、モノカルボン酸として炭素原子数17のアルキル基を有するステアリン酸568.9g(20.0モル)、エポキシ化合物として1分子中にエポキシ数2個エポキシ当量140のナフタレン型エポキシ樹脂39.2g(1.4モル)を仕込み、窒素気流下にて攪拌しながら140℃まで昇温して加熱溶解させた。このときのモノカルボン酸とポリエポキシ樹脂のモル比は14.3であった。次に、同温度にてトリフェニルホスフィン3.0gを加えて5時間反応させた。さらに、210℃まで昇温した後、同温度にて酸価が3以下になるまで反応した。次に、120℃まで降温した後、ジカルボン酸として炭素原子数4のアルキル基を有するアジピン酸570.0g(39.0モル)とジオールとして炭素原子数6のアルキル基を有する1,6−ヘキサンジオール468.0g(39.6モル)およびジブチルスズオキサイド0.3gを加えて220℃まで昇温した。同温度にて8時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂(A1)を得た。結晶性ポリエステル樹脂(A1)の重量平均分子量(Mw)は63000、数平均分子量(Mn)は3800、Mw/Mnは17、融点は56℃であった。
合成例2〜40〔同上〕
合成例1のモノカルボン酸、エポキシ化合物、ジカルボン酸およびジオールを第1表〜第5表の仕込み量(モル)にした以外は合成例1と同様にして結晶性ポリエステル樹脂(A2〜A40)を得た。
合成例41〜72〔比較対照用結晶性ポリエステル樹脂(A´)の合成〕
合成例1のモノカルボン酸、エポキシ化合物、ジカルボン酸およびジオールを第6表〜第9表の仕込み量(モル)にした以外は合成例1と同様にして結晶性ポリエステル樹脂(A´1〜A´32)を得た。
合成例73〔同上〕
攪拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の3Lステンレスフラスコに、トリメチロールプロパン107.2gとジメチロールプロピオン酸321.6gおよびp−トルエンスルホン酸0.20gを仕込み攪拌しながら窒素気流下130℃まで昇温した。さらに0.5時間をかけて減圧しながら140℃まで昇温させた。反応の進行は酸価の変化で確認し、確認の際は窒素ガスを導入しながら減圧を解除して行った。酸価1以下になるまで140℃で減圧を続け、酸価が1以下になった事を確認した。この反応物にジメチロールプロピオン酸を643.2g加え、140℃で減圧しながら酸価1以下になるまで反応を進行させた。酸価1以下を確認した後、さらにこの反応混合物にジメチロールプロピオン酸を1286.4g加え酸価1以下になるまで140℃で減圧しながら反応を進行させた。酸価1以下になったら窒素ガスを導入しながら減圧を解除し、ポリエステル樹脂(a2)としての反応混合物(a2−1)2056.0g(調製に用いた原料のモル量は17.6モル)を取り出した。この反応混合物(a2−1)の水酸基価は524mgKOH/gであった。この反応混合物(a2−1)1310g(調製に用いた原料のモル量は11.2モル)を、別に準備した攪拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の3Lステンレスフラスコに移し取り、次いで化合物(a1)としてベヘニン酸(炭素原子数22)1010.0g(3.0モル)を仕込んだ。更にジブチルスズオキサイド1.0gを仕込み、攪拌しながら140℃減圧下で5時間反応させた。この後、窒素ガスを導入しながら常圧に戻し、窒素ガス雰囲気下で190℃に昇温し無水トリメリット酸77.6gを仕込み、0.5時間反応させた後、結晶性ポリエステル樹脂(A´33)を得た。結晶性ポリエステル樹脂(A´33)の重量平均分子量(Mw)は9800、数平均分子量(Mn)は4700、Mw/Mnは2、融点は56℃であった。
合成例74〔同上〕
攪拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の5Lステンレスフラスコに、ジカルボン酸として炭素原子数8のアルキル基を有するセバシン酸1500.0g(7.4モル)とジオールとして炭素原子数6のアルキル基を有する1,6−ヘキサンジオール964.0g(8.1モル)およびジブチルスズオキサイド0.7gを加えて窒素気流下220℃まで昇温した。同温度にて6時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂(A´34)を得た。結晶性ポリエステル樹脂(A´34)の重量平均分子量(Mw)は13200、数平均分子量(Mn)は4300、Mw/Mnは3、融点は62℃であった。
合成例75〔同上〕
攪拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の3Lステンレスフラスコに、ジカルボン酸として炭素原子数4のアルキル基を有するアジピン酸360.0g(2.4モル)、フマル酸360.0g、ジオールとして炭素原子数6のアルキル基を有する1,6−ヘキサンジオール1204.0g(10.2モル)、ジブチルスズオキサイド4.0gおよびハイドロキノン2.0gを加えて窒素気流下160℃まで昇温した。同温度にて5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂(A´35)を得た。結晶性ポリエステル樹脂(A´35)の重量平均分子量(Mw)は15800、数平均分子量(Mn)は4700、Mw/Mnは3、融点は80℃であった。
合成例76〔比較対照用非結晶性ポリエステル樹脂(B)の合成〕
攪拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の3Lステンレスフラスコに、フマル酸464.0g、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物1225.0g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物488.0gおよびジブチルスズオキサイド4.0gを加えて窒素気流下220℃まで昇温した。同温度にて8時間反応させた後、さらに8.3kPaにて1時間反応させた。さらに、210℃に降温して無水トリメリット酸192.0gを加えて同温度にて1時間反応させて非晶性ポリエステル樹脂(B1)を得た。非晶性ポリエステル樹脂(B1)のガラス転移点は61℃であった。
合成例77〔同上〕
攪拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の3Lステンレスフラスコに、テレフタル酸631.0g、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物490.0g、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物845.0gおよびジブチルスズオキサイド4.0gを加えて窒素気流下220℃まで昇温した。同温度にて8時間反応させた後、さらに8.3kPaにて1時間反応させて非晶性ポリエステル樹脂(B2)を得た。非晶性ポリエステル樹脂(B1)のガラス転移点は64℃であった。
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実施例1
結晶性ポリエステル樹脂(A1)84部、カーボンブラックMA−11(三菱化学製)5部、ボントロンS34(オリエント化学製 帯電制御剤)1部及びカルナウウバワックス10部をヘンシェルミキサ−で混合し、本発明の電子写真トナー用ポリステル樹脂組成物を得た後、2軸混練機で混練し、混練物を得た。このようにして得られた混練物を粉砕、分級した。シリカR972(日本アエロジル製)1部をヘンシェルミキサーで混合後、篩かけをして混合物を得た。得られた混合物5部とキャリア(シリコン樹脂被覆フェライトキャリア)95部を混合攪拌して電子写真用トナー1を調整した。トナー1について、低温定着性、耐ブロッキング性、耐ホットオフセット性、連続印刷時の画質の安定性および光沢性を下記評価方法に従って評価した。評価結果を第10表に示す。
<低温定着性の評価>
熱ロールの設定温度を5℃きざみに80℃から140℃まで変化させ、ベタ印刷を行った。ベタ印刷部分に堅牢度試験を行い試験前後の画像濃度をマクベス濃度計(RD−918)で測定し、その試験前の値に対する剥離後の濃度値の比率を%で表示した場合に、その値が80%以上となる温度を定着開始温度とした。この温度が低いほど低温定着性の良好な電子写真用トナーである。低温定着性の評価基準は下記の通りとした。尚、堅牢度試験は学振型摩擦堅牢度試験機(荷重:200g、擦り操作:5ストローク)を用いて行った。
◎;定着開始温度が110℃未満の場合
○;定着開始温度が110℃以上、115℃未満の場合
△;定着開始温度が115℃以上、120℃未満の場合
×;定着開始温度が120℃以上の場合
<耐ブロッキング性の評価方法>
40℃50%RHの環境下で66g/cm の負荷をかけて48時間放置したトナーをサンプルとして用い、同サンプル400gを目開き45μmの篩いをセットした振動篩い装置で振幅1mm30秒間振動させた。篩いに残った凝集物の割合を下記の基準で評価した。凝集物の割合が小さいものほど耐ブロッキング性は良好である。
◎;10質量%未満の場合
○;10〜20質量%未満の場合
△;20〜30質量%未満の場合
×;30質量%以上の場合
<耐ホットオフセット性の評価方法>
熱ロールの設定温度を5℃きざみに150℃から210℃まで変化させたときに、ベタ印刷部分が再び同じ用紙にオフセットし、目視で確認できる最低の温度で表示した。この温度が高いほど耐オフセット性が良好であることを示す。
◎;オフセット開始温度が210℃以上の場合
○;オフセット開始温度が180℃以上、210℃未満の場合
△;オフセット開始温度が150℃以上、180℃未満の場合
×;オフセット開始温度が150℃未満の場合
ただし、高温でオフセットしない場合でも、樹脂自体がワックスとして作用し印刷媒体への定着性が悪いものは×の評価とした。
尚、定着開始温度、耐オフセット性の評価は、次のようなヒートローラー定着機条件で行った。
ロール材質:上;ポリテトラフルオロエチレン、下;シリコーン
上ロール荷重:7Kg/350mm
ニップ幅:4mm
紙通し速度:90mm/sec
<連続印刷時の画質の安定性の評価方法>
連続印刷時の画質の安定性は電子写真トナーの帯電量の経時安定性を評価することにより行った。トレックジャパン(株)製210HSー2Aブローオフ帯電量測定機器を用い、結晶性ポリエステル樹脂(A1)1.5gとフェライトキャリアMF−100(日本鉄粉社製)48.5gの混合物を50mlのポリ容器にて1分間、10分間、30分間、60分間ターブラシェイカーミキサーにて混合し帯電量測定機器によって測定した。このときの最大帯電量と最小帯電量の差を求め、この値を帯電量の経時安定性の評価とした。この値が小さいほど帯電安定性に優れており、画像形成時の画像安定性に優れていることを表す。
帯電量の経時安定性の評価基準
◎:最大帯電量と最小帯電量の差が−3μC/g未満
○:最大帯電量と最小帯電量の差が−3μC/g以上、−6μC/g未満
△:最大帯電量と最小帯電量の差が−6μC/g以上、−9μC/g未満
×:最大帯電量と最小帯電量の差が−9μC/g以上、−12μC/g未満
<光沢性の評価>
市販の印刷機にてベタ印刷を行い印刷物を得た。印刷面の光沢を日本電色工業(株)製のグロスメーターを使用し投受光角60°で測定し、下記基準に従って評価した。
◎:数値が9以上
○:数値が7以上、9未満
△:数値が5以上、7未満
×:数値が3以上、5未満
実施例2〜40及び比較例1〜32
第1表〜第9表に示す結晶性ポリエステル樹脂(A)および比較対照用結晶性ポリエステル樹脂(A´)を用いた以外は実施例1と同様にして電子写真用トナー2〜40および比較対照用電子写真用トナー1´〜32´を作成した。実施例1と同様に評価を行い、その結果を第10表及び第11表に示す。
比較例33
結晶性ポリエステル樹脂(A1)の代わりに結晶性ポリエステル樹脂(A´33)を用いた以外は実施例1と同様にして比較対照用電子写真用トナー33´を作成した。実施例1と同様に評価を行い、その結果を第11表に示す。
比較例34
結晶性ポリエステル樹脂(A1)の代わりに、結晶性ポリエステル樹脂(A´34)13部およびエポキシ化合物としてエピコート1002(エポキシ当量600〜700、1分子中にエポキシ基を平均1.8個)71部を用いた以外は実施例1と同様にして比較対照用電子写真用トナー34´を作成した。実施例1と同様に評価を行い、その結果を第11表に示す。
比較例35
結晶性ポリエステル樹脂(A1)の代わりに、結晶性ポリエステル樹脂(A´35)17部、非晶性ポリエステル樹脂(B1)42部および非晶性ポリエステル樹脂(B2)25部を用いた以外は実施例1と同様にして比較対照用電子写真用トナー35´を作成した。実施例1と同様に評価を行い、その結果を第11表に示す。
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第11表の脚注
低温定着性、耐ブロッキング性、耐ホットオフセット性、帯電時の経時安定性、光沢性における―:結晶性ポリエステル樹脂合成時にゲル化したためトナー評価はできなかった。

Claims (8)

  1. 炭素原子数17〜30のアルキル基または炭素原子数17〜30のアルケニル基を有するモノカルボン酸(a1)と、エポキシ当量140〜280で、且つ、1分子中にエポキシ基を2〜8個有するエポキシ化合物(a2)と、炭素原子数4〜18のアルキル基を有するジカルボン酸(a3)と、炭素原子数4〜18のアルキル基を有するジオール(a4)とを、モル比(%)が〔(a1)/(a2)/(a3)/(a4)〕=〔(20〜65)/(1〜7)/(14〜40)/(14〜40)〕となる範囲で反応させて得られる結晶性ポリエステル樹脂(A)と、着色剤(B)とを含有することを特徴とする電子写真トナー用樹脂組成物。
  2. 前記ポリエステル樹脂(A)が、モノカルボン酸(a1)とエポキシ化合物(a2)とを、モル比〔(a1)/(a2)〕で10〜15となる範囲で用いて得られるポリエステル樹脂である請求項1記載の電子写真トナー用樹脂組成物。
  3. 前記モノカルボン酸(a1)が炭素原子数21〜27のアルキル基または炭素原子数21〜27のアルケニル基を有するモノカルボン酸で、エポキシ化合物(a2)がエポキシ当量180〜220で、且つ、1分子中にエポキシ基を4〜8個有するエポキシ化合物で、ジカルボン酸(a3)が炭素原子数4〜16のアルキル基を有するジカルボン酸で、ジオール(a4)が炭素原子数6〜12のアルキル基を有するジオールである請求項1記載の電子写真トナー用樹脂組成物。
  4. 前記ポリエステル樹脂(A)がモノカルボン酸(a1)、エポキシ化合物(a2)、ジカルボン酸(a3)およびジオール(a4)をモル比(%)が〔(a1)/(a2)/(a3)/(a4)〕=〔(22〜45)/(1.5〜4.5)/(16〜38)/(16〜38)〕となる範囲で反応させて得られる結晶性ポリエステル樹脂である請求項3記載の電子写真トナー用樹脂組成物。
  5. 前記エポキシ化合物(a2)がナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる一種以上のエポキシ樹脂である請求項1記載の電子写真トナー用樹脂組成物。
  6. 前記ポリエステル樹脂(A)が重量平均分子量(Mw)50,000〜450,000のポリエステル樹脂である請求項1記載の電子写真トナー用樹脂組成物。
  7. 前記ポリエステル樹脂(A)が重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比〔(Mw)/(Mn)〕が15〜180のポリエステル樹脂である請求項1記載の電子写真トナー用樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項記載の電子写真トナー用樹脂組成物を含有することを特徴とする電子写真トナー。
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