JP5358864B2 - ポリエステル樹脂用改質剤、およびこれを用いた成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステルに適した改質剤に関する。詳しくは、ポリエステル樹脂、特に結晶性ポリエステル樹脂である使用済みポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルから再生されたPETフレークを用いた射出成型、押出し成形、異形押出し成形、ダイレクトブロー成型、カレンダー加工成型における成形性の改良、および優れた機械的物性の改良を実現する改質剤、これを用いたポリエステル成形品に関する。
近年、PETボトルはミネラルウォーター等の各種清涼飲料分野で急成長している。一方、これに伴うPETボトルの廃棄問題が注目され、PETボトルスクラップ処理は環境問題として社会問題となった。このような背景から使用済みPETボトルの再資源化が鋭意検討されている。
PETボトルの再資源化にあたっては、使用済みPETボトルを回収後、粉砕、洗浄工程を経て再生PETフレークとし、これを原料として、製品を製造する場合と、溶融押出し工程からペレット化して、このペレットから溶融成形を経て製品を製造する場合がある。
この再生PETフレークは熱履歴等によって低分子量化していること、洗浄工程によって多量の水分を含んでいること、フレーク状であるため成形機への食込みが悪いことなどから成形が難しく、再生PETフレークのみでは、品質的に不安定で脆い製品しか得られない。また、PETは通常加水分解を受けやすく、未乾燥状態で成形する場合、加水分解が促進され、溶融時に分子量低下が発生して、耐衝撃性などの機械的物性が大幅に低下するため、通常のプラスチック製品に必要とされる性能を満足しない。
特に押出し成形、異形押出し成形においては、PETの場合、元々成形時のドローダウンが激しい為、成形加工が難しい。特に再生PETは熱履歴等で低分子量化しているため、溶融粘度が低下し、成形時のドローダウンは、さらに激しくなるため、複雑な形状・微細な寸法精度を必要とする製品を得ることが難しい。
これまでの検討として、熱履歴を経て低分子化した再生PETフレークから耐衝撃性の良好な製品を得る手法として、ポリエステルに有効な耐衝撃性改良剤を配合して溶融成形する方法が行われている。ポリエステルに有効な耐衝撃性改良剤は、特許文献1で示されている。ポリエステルと化学反応を伴うような化合物をグラフト、あるいは共重合したゴム状ポリマーが用いられている。特に効果あるものとしては、オレフィン系、並びにスチレン系ブロックポリマーをベースとした重合体である。
また、特許文献2では、ポリエステル樹脂に対して、ポリテトラフルオロエチレンと有機重合体とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体を配合することにより成形時のドローダウンを改良することが示されている。特許文献3では、ポリプロピレンと不飽和カルボン酸変性のエチレン系、またはスチレン系重合体をブレンドすることにより耐衝撃性を改良することが示されている。特許文献4および特許文献5では、増粘剤としてゴム系樹脂と高分子化剤としてエチレン系または、スチレン系エラストマーを配合することにより耐衝撃性を改良していることが示されている。
しかしながら上述のような耐衝撃性改良剤と再生PETフレークとの混練は、再押出しによる分子量低下が起こるため、少量の耐衝撃改良剤の添加では耐衝撃性が十分ではない。また、耐衝撃性改良剤の配合量を増加させた場合、ペレット化工程において、PETとの相溶性が悪い為、溶融状態が安定せず、ストランドカットが非常に困難となる。また、成形加工工程においても、流動性が低下し、製品の形状が安定しない。このため、特に結晶性ポリエステル樹脂である再生PETフレークに対して、分子量低下を防止した状態で高耐衝撃性を実現し、かつ成形時のドローダウンを防止できるポリエステル改質剤が求められてきたが、まだ提案されていない。
特公昭59−28223号公報(第2〜4頁) 特開平11−269360号公報(第1〜2頁) 特開2001−114995号公報(第2〜3頁) 特開2002−146167号公報(第2〜3頁) 特開2002−249649号公報(第2〜4頁)
本発明の目的は、ポリエステル樹脂、特に結晶性ポリエステルである使用済みポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルから再生されたPETフレークを用いた溶融成形、特に射出成型、押出し成形、異形押出し成形、ダイレクトブロー成型、カレンダー加工成型において、成形時のドローダウン防止分子量低下を防止し、しかも高耐衝撃性を実現するポリエステル改質剤、これを用いたポリエステル成形品を提供することにある。
本発明者らは上記問題を達成すべく鋭意研究した結果、特定の改質剤をポリエステル樹脂、特に再生PETフレークに配合して成型すると上記課題を全て解決できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、非晶性ポリエステル樹脂(I)、グリシジル基を1分子あたり2個以上含有し重量平均分子量200以上50万以下である反応性化合物(II)、および滑剤(III)を含むことを特徴とするポリエステル樹脂用改質剤に関する。
また上記改質剤とポリエステル樹脂が含まれる樹脂組成物、上記改質剤とポリエステル樹脂が含まれる成形品、上記改質剤とポリエステル樹脂を混合して溶融成型する成型品の製造方法に関する。
本発明の改質剤をポリエステル樹脂、特に結晶性ポリエステルである再生PETフレークに配合させることにより溶融成形、特に射出成型、押出し成形、異形押出し成形、ダイレクトブロー成型、カレンダー加工成型における成形性の改良、および優れた機械的物性を発現することができる。
本発明のポリエステル樹脂用改質剤、およびこれを用いた成形品は、ポリエステル樹脂、特に再生PETフレークに対して、非晶性ポリエステル樹脂(I)、グリシジル基を1分子あたり2個以上含有し重量平均分子量200以上50万以下である反応性化合物(II)、および滑剤(III)を含むことを含むことが望ましい。なお、本発明で言う滑剤とは広義の意味でいわゆる離型剤と呼ばれる添加剤も含むものである。
この処方、すなわち再生PETフレークに上述の改質剤を添加した場合、滑剤(III)が配合されているので射出成型金型、異形押出しサイジング金型、ダイレクトブロー成型時の金型、カレンダー加工成型のロール等への樹脂付着を防止させること、およびTダイ押出し成型時のダイ内におけるシート表面凹凸化を防止することができる。さらに、成型前と成型後における還元粘度を比較した場合、成型後に還元粘度が増加し、溶融成形時の分子量低下が防止できるため各種成型時のドローダウン性を改良でき、成形性や寸法安定性等を飛躍的に向上させることができる。さらに非晶性ポリエステル樹脂の添加によってマトリックスが非晶化に進行し柔軟な素材になり、耐衝撃性などの機械的物性を向上させることができる。同時に、また、異形押出し成形の場合、金型から吐出される樹脂のドローダウンを防止すると共に、「押出し工程、異形金型工程を経た吐出樹脂がサイジング金型に付着し、樹脂詰まり発生して連続生産を停止させる問題」、「サイジング工程で製品形状の寸法精度を悪化させる問題」、「サイジング金型での樹脂溶融特性が原因となり成形品表面にビビリ(進行方法に平行な筋)を発生させる問題」、「異形押出し成形進行方向に対して製品反りが発生する問題」等を改良することができる。
本発明のポリエステル樹脂用改質剤は、滑剤(III)が、モンタン酸エステル系ワックス、ポリエチレンワックスおよびアマイドワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることが好ましい。モンタン酸エステル系ワックスとは、酸成分としての炭素数が28から30の長さを持った直鎖状で分岐がない飽和モノカルボン酸と、グリコール成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、およびグリセリン等の脂肪族ポリオールから形成される。モンタン酸エステル系ワックスはモンタン酸金属塩を含有するものであることが成型時の金型離型性の観点からより好ましい。さらには、モンタン酸エステル化物と、モンタン酸と水酸化カルシウムとのケン化物との混合ワックスであることが最も好ましい。
また、ポリエチレンワックスとは、例えばチグラー触媒にて重合されるポリエチレンワックスであれば、問題なく使用できる。さらに、極性プラスチックへの相溶性を高める為に酸化されたポリエチレンワックスであることが好ましい。溶融粘度としては、140℃下で、3000mPa・s以下であることが好ましい。
さらにアマイドワックスとは、N,N’−エチレンビスステアリン酸アマイドタイプのワックスであれは、問題なく使用できる。
本発明のポリエステル樹脂用改質剤は、滑剤(III)が、グリセリン系化合物、ソルビタン系化合物、プロピレングリコール系化合物および高級アルコール系化合物の1種または、2種以上含むものも好ましい。
つまり、ポリエステル樹脂用改質剤としてグリセリン系化合物、ソルビタン系化合物、プロピレングリコール系化合物および高級アルコール系化合物の1種または、2種以上含有させることにより、溶融状態でポリエステルに対して非常に相溶性が良好で、かつ押出機等のシリンダ内における樹脂間の摩擦を低下させることから、樹脂のせん断発熱を防止することができる。このとき、上述の滑剤を配合しない場合に比べて、ダイから吐出される樹脂温度が低くなる為、樹脂のみかけの溶融強度が向上する。従って、ダイから吐出される樹脂のドローダウンを防止できるレベルにおいて、シリンダ先端・ダイ部分のみの温度設定を上げ、押出し成形品の表面光沢付与することが可能となる。また、ダイから吐出される樹脂温度が低くなるため、溶融時の樹脂粘着性が低減される。
さらに、溶融状態で非晶性ポリエステル(I)に対して非常に相溶性が良好であることと、樹脂のせん断発熱を抑制できたことの相乗効果によって、スクリュートルク低下や、吐出量の増大が実現できる。
この結果、例えば、異形押出し成形におけるサイジング金型への付着性を軽減できている為、連続生産を可能とし、生産量も増大した。また、サイジング金型内での樹脂流動性に優れる為、微細な寸法精度を実現し、樹脂粘着性軽減効果による優れたサイジング金型滑性により製品表面平滑性を実現、さらにはサイジング金型壁面への均一化かつ軽減された樹脂濡れ性、粘着性の効果から製品反り問題を解消することができる。
本発明に用いられるグリセリン系化合物、ソルビタン系化合物、プロピレングリコール系化合物、高級アルコール系化合物としては、特に限定されないが、グリセリン有機酸エステル、ポリグリセリン有機酸エステル、ソルビタン有機酸エステル、プロピレングリコール有機酸エステル、高級アルコール有機酸エステルであることが好ましく、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、高級アルコール脂肪酸エステルであることがさらに好ましい。また、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、高級アルコール脂肪酸エステルは、炭素数40未満の脂肪酸から誘導されるものであることが最も好ましい。
上記の添加剤のうち、好ましい化合物の具体例としては、ステアリン酸モノグリセライド、クエン酸飽和脂肪酸モノグリセライド、ソルビタンステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、ポリグリセリンステアレートである。
本発明で言う結晶性ポリエステルとは示差走査型熱量計(DSC)を用いて、−100℃〜300℃まで20℃/minで昇温し、次に−100℃まで50℃/minで降温し、続いて−100℃〜300℃まで20℃/minで昇温する二度の昇温過程において、どちらかの昇温過程に明確な融解ピークを示すものを指す。逆に非晶性ポリエステルとは、どちらにも融解ピークを示さないものを指す。
本発明で改質するために用いるポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とグリコール成分よりなるものであれば結晶性・非晶性を問わずあらゆるものが使用可能である。また、ポリ乳酸やポリカプロラクトンであっても問題なく使用できる。特に、本発明におけるポリエステル改質剤が好適に用いられるものとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、またはポリブチレンテレフタレート(PBT)であり、最も効果的なポリエステルは、再生ポリエチレンテレフタレート(PET)である。再生PETの場合、既に溶融粘度が大幅に低下しており、本改質剤により溶融粘度を回復、またはさらに向上させることで、成形性が良好となるからである。
本発明に用いられる非晶性ポリエステル樹脂(I)はジカルボン酸成分とグリコール成分よりなるものであればあらゆるものが使用可能である。
本発明に用いる非晶性ポリエステル樹脂(I)としては、炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールを主成分とすることが望ましい。ここでいう主成分とは全酸成分及びグリコール成分をそれぞれ100モル%としたとき、両成分それぞれが50モル%以上、好ましくは60モル%、さらに好ましくは65モル%以上である。両成分が50モル%未満になると成形品の伸度及び機械的物性が低下することがある。
さらには非晶性ポリエステル樹脂(I)のうち炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸および/またはイソフタル酸であることが望ましい。これらのジカルボン酸を使用すると成形品の伸度及び機械的物性がさらに向上する。好ましくはテレフタル酸を50モル%以上、さらには60モル%以上含むものであることが好ましく、テレフタル酸とイソフタル酸の両方を含むものも好ましい。
ポリエステル樹脂は、上記のテレフタル酸、イソフタル酸以外の他の多価カルボン酸を共重合しても良く、例えばオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸等の公知のものが使用できる。
本発明に用いる非晶性ポリエステル樹脂(I)には炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールを主成分とすることが、さらには該炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが原料入手の汎用性やコスト、相溶性、耐衝撃性の向上効果の面で好ましい。
この中でもエチレングリコールとネオペンチルグリコール(60/40〜90/10(モル比))、エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノール(60/40〜90/10(モル比))、エチレングリコールと1,2−プロパンジオール(90/10〜10/90(モル比))、の組み合わせは、溶融成形加工性と成形品の透明性を両立させやすい。
非晶性ポリエステル樹脂(I)は、上記のエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール以外の他の多価アルコール成分が共重合されていても良く、例えば1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、ダイマージオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン等が使用できる。
本発明に用いられる非晶性ポリエステル樹脂(I)にはカルボキシル基、ヒドロキシル基またはそれらのエステル形成性基を3個以上有する多官能化合物(例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、グリセリン、トリメチロールプロパン等)をポリエステルの酸成分および/またはグリコール成分の0.001〜5モル%含有することが成形性を高める上で好ましい。
本発明に用いられる非晶性ポリエステル樹脂(I)の還元粘度は、好ましくは0.4〜1.50dl/g、より好ましくは0.50〜1.20dl/g、さらに好ましくは0.60〜1.00dl/gである。還元粘度が0.40dl/g未満であると、樹脂凝集力不足のために成形品の強伸度が不足し、脆くなって使用できないことがある。一方、1.50dl/gを越えると溶融粘度が上がり過ぎるために、成形するのに最適な温度も上がってしまい、結果的に成形加工性を悪くしてしまう虞がある。
本発明に用いられる非晶性ポリエステル樹脂(I)の酸価は、好ましくは100当量/106g以下、より好ましくは50当量/106g以下、さらに好ましくは40当量/106g以下である。一方下限は低ければ低いほど好ましい。酸価が100当量/106gを越えると、溶融加工時に樹脂を加熱する際、加水分解がより促進され、できあがった成形品の機械的強度が低下する。
本発明で用いられる反応性化合物(II)には、ポリエステル樹脂との反応による分子量増加に依存する「溶融強度増強効果」を発現させるための加工条件管理幅を広げ、溶融強度調整が可能であるように制御することと、製品の耐折り曲げ白化性及び未反応物の製品表層へのブリードアウト抑制を満足するために、重量平均分子量が200以上50万以下、好ましい下限は500以上、より好ましくは700以上、最も好ましくは1000以上である。一方好ましい上限は30万以下、より好ましくは10万以下、最も好ましくは5万以下である反応性化合物をさらに配合することが好ましい。反応性化合物の重量平均分子量が200未満であると未反応の反応性化合物が製品の表面にブリードアウトし、製品の接着性低下、表面の汚染をひきおこす可能性がある。一方50万を越えると折り曲げでも、反応性化合物と非晶性ポリエステル間の相溶性が悪いためかボイドが発生し、成型品の折り曲げ白化性の悪化を招くことがある。
本発明に用いられる反応性化合物(II)は、ポリエステルの持つヒドロキシル基あるいはカルボキシル基と反応し得る官能基が分子内1分子あたり2個以上持つことが樹脂全体に一部架橋を導入する点で好ましい。反応性化合物の効果により、溶融押出時においてポリエステルの持つヒドロキシル基あるいはカルボキシル基と反応性化合物の反応物が生成する際、一部が架橋生成物となることによって溶融強度向上効果を得ることができるのである。
反応性化合物(II)が持つ官能基の具体例としては、反応の速さよりグリシジル基であることが好ましい。
反応性化合物中(II)の官能基の形態はいかなるものでも可能である。例えばポリマーの主鎖に官能基が存在するもの、側鎖に存在するもの、末端に存在するもの全てが可能である。
具体例としては、スチレン/メチルメタクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体、ビスフェノールA型やクレゾールノボラック、フェノールノボラック型のエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物等があるがこれらのいかなるものでもよく、またこれらを混合して使用することももちろん可能である。
特に、上述の反応性化合物(II)としては、(X)20〜99重量%のビニル芳香族モノマー、(Y)1〜80重量%のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよび/またはグリシジルアルキル(メタ)アクリレート、および(Z)0〜40重量%のアルキル(メタ)アクリレートからなる共重合体が好ましい。さらに好ましくは、(X)が25〜90重量%、(Y)が10〜75重量%、(Z)が0〜35重量%からなる樹脂で、最も好ましくは、(X)が30〜85重量%、(Y)が15〜70重量%、(Z)が0〜30重量%からなる樹脂である。これらの組成は、ポリエステル樹脂系との反応に寄与する官能基濃度に影響する為、上述のように適切に制御する必要がある。上述の組成から外れる場合、ポリエステル樹脂との反応性が低下し、成形加工性の低下する虞がある。
本発明の改質剤を製造する方法としては溶融押出し時に非晶性ポリエステル樹脂(I)中に反応性化合物(II)、滑剤(III)を圧入する方法、押出し前にポリエステル樹脂のペレットに添加してブレンドして溶融混練する方法等が考えられ、いかなる方法で実施することも可能であるが、押出し前にポリエステル樹脂のペレットに添加して溶融混練する方法が好ましい。その際の温度は非晶性ポリエステル樹脂(I)と反応性化合物(II)の反応を適度に進めるという観点から150〜270℃程度が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂(I)の添加量は、改質剤全体を100重量部としたときに40重量%以上99.8重量%以下が好ましく、下限は50重量%以上、上限は98重量%以下がより好ましい。40重量%未満であるとポリエステル樹脂への相溶性や樹脂流動性が発現しないことがあり、また99.8重量%を超えて添加すると後述する改質の効果が得られないことがある。
反応性化合物(II)の添加量は、分子量及び官能基の導入数により個々に選定できるが、改質剤全体を100重量部としたときに0.1重量%以上50重量%以下が好ましく、下限は1重量%以上、上限は40重量%以下がより好ましい。0.1重量%未満であると目標とした改質剤としての効果が発現しないことがあり、また50重量%を超えて添加すると製品の機械的特性に影響を与えることがある。
滑剤(III)の添加量は、改質剤全体を100重量部としたときに0.1重量%以上50重量%以下が好ましく、下限は1重量%以上、上限は40重量%以下がより好ましい。0.1重量%未満であると目標とした金型等への離型効果が発現しないことがあり、また40重量%を超えて添加すると製品の機械的特性に影響を与えることがある。
本発明の改質剤あるいは、それを用いたポリエステルの樹脂組成物には、加工時のポリエステル樹脂の熱劣化を抑制する(熱劣化による樹脂の着色や樹脂ダレの発生を防止する)ために酸化防止剤を配合して使用するのが望ましい。当該酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、有機亜リン酸エステル系化合物等が好適である。
本発明で使用するフェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル4−エチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキジフェニル)プロパン、ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)スルフィド、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)スルフィド、ビス(3−tert−ブチル5−エチル−2−ヒドロキジフェニル)メタン、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキジフェニル)メタン、ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、エチレンビス[3,3−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチラ−ト]、ビス[2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル5−メチルベンジル)−4−メチル−6−tert−ブチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、4−メトキシフェノール、シクロヘキシルフェノール、p−フェニルフェノール、カテコール、ハイドロキノン、4−tert−ブチルピロカテコール、エチルガレート、プロピルガレート、オクチルガレート、ラウリルガレート、セチルガレート、β−ナフトール、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキジベンジル)ベンゼン、1,6−ビス[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]ヘキサン、テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキジフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]スルフィド、n−オタタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート、ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキジフェニル)プロピオニルアミノ]ヘキサン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−4−メチルフェノール、ビス[S−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)]チオテレフタレート、トリス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)ブタン等が挙げられる。なお、これらの化合物は1種でも2種以上を併用して用いてもよい。
該フェノール系酸化防止剤の配合量は、改質剤を配合した後の組成物全体を100重量部としたときに、好ましい上限は1.0重量部以下、特に好ましくは0.8重量部以下、一方好ましい下限は0.01重量部以上、特に好ましくは0.02重量部以上である。配合量が0.01重量部未満では、加工時の熱劣化を抑制する効果が得られ難く、また、1.0重量部を越えると熱劣化を抑制する効果は飽和し経済的でない。
本発明で使用する有機亜リン酸エステル系化合物の具体例としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(メチルフェニル)ホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、トリス[デシルポリ(オキシエチレン)]ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリ(デシル)チオホスファイト、トリイソデシルチオホスファイト、フェニル・ビス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、フェニル・ジイソデシルホスファイト、テトラデシルポリ(オキシエチレン)・ビス(エチルフェニル)ホスファト、フェニル・ジシクロヘキシルホスファイト、フェニル・ジイソオクチルホスファイト、フェニル・ジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニル・シクロヘキシルホスファイト、ジフェニル・イソオクチルホスファイト、ジフェニル・2−エチルヘキシルホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイト、ジフェニル・シクロヘキシルフェニルホスファイト、ジフェニル・(トリデシル)チオホスファイト、ノニルフェニル・ジトリデシルホスファイト、フェニル・p−tert−ブチルフェニル・ドデシルホスファイト、ジイソプロピルホスファイト、ビス[オタデシルポリ(オキシエチレン)]ホスファイト,オクチルポリ(オキシプロピレン)・トリデシルポリ(オキシプロピレン)ホスファイト、モノイソプロピルホスファイト、ジイソデシルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、モノイソオクチルホスファイト、ジドデシルホスファイト、モノドデシルホスファイト、ジシクロヘキシルホスファイト、モノシクロヘキシルホスファイト、モノドデシルポリ(オキシエチレン)ホスファイト、ビス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、モノシクロヘキシル・フェニルホスファイト、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイト、テトライソオクチル・4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイト、テトラキス(ノニルフェニル)・ポリ(プロピレンオキシ)イソプロピルジホスファイト、テトラトリデシル・プロピレンオキシプロピルジホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキシルジホスファイト、ペンタキス(ノニルフェニル)・ビス[ポリ(プロピレンオキシ)イソプロピル]トリホスファイト、ヘプタキス(ノニルフェニル)・テトラキス[ポリ(プロピレンオキシ)イソプロピル]ペンタホスファイト、ヘプタキス(ノニルフェニル)・テトラキス(4,4’−イソプロピリデンジフェニル)ペンタホスファイト、デカキス(ノニルフェニル)・ヘプタキス(プロピレンオキシイソプロピル)オクタホスファイト、デカフェニル・ヘプタキス(プロピレンオキシイソプロピル)オクタホスファイト、ビス(ブトキシカルボエチル)・2,2−ジメチレン−トリメチレンジチオホスファイト、ビス(イソオクトキシカルボメチル)・2,2−ジメチレントリメチレンジチオホスファイト、テトラドデシル・エチレンジチオホスファイト、テトラドデシル・ヘキサメチレンジチオホスファイト、テトラドデシル・2,2’−オキシジエチレンジチオホスファイト、ペンタドデシル・ジ(ヘキサメチレン)トリチオホスファイト、ジフェニルホスファイト、4,4’−イソプロピリデン−ジシクロヘキシルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェニル・アルキル(C12〜C15)ホスファイト、2−tert−ブチル−4−[1−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキジフェニル)イソプロピル]フェニルジ(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジオクタデシル・2,2−ジメチレントリメチレンジホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、ヘキサトリデシル・4,4’,4”−1,1,3−ブタントリイル−トリス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)トリホスファイト、トリドデシルチオホスファイト、デカフェニル・ヘプタキス(プロピレンオキシイソプロピル)オクタボスファイト、ジブチル・ペンタキス(2,2−ジメチレントリメチレン)ジホスファイト、ジオクチル・ペンタキス(2,2−ジメチレントリメチレン)ジホスファイト、ジデシル・2,2−ジメチレントリメチレンジホスファイト並びにこれらのリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルジウム、バリウム、亜鉛及びアルミニウムの金属塩が挙げられる。なお、これらの化合物は1種でも2種以上を併用して用いても良い。
有機亜リン酸エステル系化合物の配合量は、改質剤を配合した後の組成物全体を100重量部としたときに、好ましい上限は3.0重量部以下、特に好ましくは2.0重量部以下であり、好ましい下限は0.01重量部以上、特に好ましくは0.02重量部以上である。配合量が0.01重量部未満では、加工時の熱劣化を抑制する効果が得られ難く、また、3.0重量部を越えると熱劣化を抑制する効果は飽和し経済的でない。
なお、フェノール系酸化防止剤と有機亜リン酸エステル系化合物とを併用すると熱劣化の抑制効果がより向上し、好ましい。
本発明においては、さらに樹脂組成物の耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、表面平滑性、剛性、その他機械特性等を改良する為に、以下のような樹脂を添加することができる。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂、または、エラストマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−ポリイソプレン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−イソプレン共重合体などの共役ジエン系重合体;該共役ジエン系重合体の水素添加物;エチレン−プロピレン共重合体などのオレフィン系ゴム;ポリアクリル酸エステルなどのアクリル酸ゴム;ポリオルガノシロキサン;熱可塑性エラストマー;エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基等を有する熱可塑性エラストマー;エチレン系アイオノマー共重合体などが挙げられ、これらは1種または、2種以上で使用される。中でも、アクリル系ゴム、共役ジエン系共重合体または共役ジエン系共重合体の水素添加物が好ましい。さらには、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−エチルデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−1,4ヘキサジエン共重合体、エチレン−ブテン−1−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−ブテン−1−1,4ヘキサジエン共重合体、アクリロニトリル−クロロプレン共重合体(NCR)、スチレン−クロロプレン共重合体(SCR)、ブタジエン−スチレン共重合体(BS)、エチレン−プロピレンエチリデン共重合体、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−エチレン共重合体、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)共重合体(α−MES−B−α−MES)、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリイソプレン−ポリ(α−メチルスチレン)共重合体等の樹脂または、エラストマーをポリエステル樹脂組成物に添加することもできる。
さらに、好ましくは、以下のような多層構造重合体粒子を配合することができる。多層構造重合体粒子は、コア/シェルと称されている層構造すなわち、外層により内層が覆われている内層/外層構造を一般的に有しており、2層または3層で構成されるものが多いが4層以上で構成されていてもよい。2層構造の場合は、ゴム層(中心層)/硬質層(最外層)の構成であるものが好ましく、3層構造の場合は、硬質層(中心層)/ゴム層(中間層)/硬質層(最外層)、ゴム層(中心層)/硬質層(中間層)/硬質層(最外層)またはゴム層(中心層)/ゴム層(中間層)/硬質層(最外層)の構成のものが好ましく、4層構造の場合は、例えば、ゴム層(中間層)/硬質層(中間層)/ゴム層(中間層)/硬質層(最外層)の構成であるものが好ましい。ただし、多層構造重合体粒子は、上記のものに限定されるものではなく、内層が部分的に外層に包まれている態様、内層中または粒子中に微小空隙(マイクロボイド、ボイド、キャビティーを包含する)を1つ以上有するような態様、内層中または粒子中に微小空隙を一つ以上有し、該空隙が粒子の外側の空間と連結する通路を1つ以上有する態様等をも包含する。なお、本明細書において用いられる用語「粒子」は、高分子化学において用語「粒子」が一般的に有する概念を完全に包含している。
本発明に用いられる多層構造重合体粒子の内層はゴムであることが後述する耐衝撃性や異型押出しをする際のサイジング金型加工性、射出成型時の金型離型性等を向上させる上で好ましい。ゴム層を構成する重合体については、特に限定されないが、好ましい重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−ポリイソプレン共重合体、アクリロニトリル−イソプレン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−イソプレン共重合体などの共役ジエン系重合体;該共役ジエン系重合体の水素添加物;エチレン−プロピレン共重合体などのオレフィン系ゴム;ポリアクリル酸エステルなどのアクリル酸ゴム;ポリオルガノシロキサン;熱可塑性エラストマー;エポキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基等を有する熱可塑性エラストマー;エチレン系アイオノマー共重合体などが挙げられ、これらは1種または、2種以上で使用される。このうち、アクリル系ゴム、共役ジエン系共重合体または共役ジエン系共重合体の水素添加物が好ましく用いることができる。上記のアクリル系ゴムを得るために重合で用いられるアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プルピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル等のアクリル酸エステル等が挙げられる。
上記のアクリル酸ゴム、または共役ジエン系重合体を得るためのアクリル酸エステルおよび/または共役ジエン系化合物からなる単量体系の重合において、他の単官能性の重合性単量体を共重合させることができる。共重合できる他の重合性単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ナフチル、メタクリル酸イソボルニル等のメタクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル等が挙げられる。これらの他の単官能性の重合性単量体の量は、ゴム層を形成する重合性単量体全体の20重量%以下であることが望ましい。
上記の多層構造重合体粒子の一部を構成するゴム層は、ゴム弾性を発現させるために架橋した分子鎖構造を持っていることが好ましく、またゴム層の分子鎖とそれに隣接する層中の分子鎖が化学結合によりグラフトされてもよい。そのためには、ゴム層を形成させるための単量体系の重合において、少量の多官能性の重合性単量体を架橋剤またはグラフト剤として併用することが望ましい場合がある。多官能性の重合性単量体は、分子内に炭素−炭素間二重結合を2個以上有する単量体であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸等の不飽和カルボン酸とアリルアルコール、メタクリルアルコール等の不飽和アルコールまたはエチレングリコール、ブタンジオール等のグリコールとのエステル;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸等のジカルボン酸と前記の不飽和アルコールとのエステルなどが包含され、具体的にはアクリル酸アリル、アクリル酸メタリル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸メタリル、桂皮酸アリル、桂皮酸メタリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ブタンジオール(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート等が例示される。なお、前記の用語「ジ(メタ)アクリレート」は、「ジアクリレート」と「ジメタクリレート」との総称を意味する。多官能性の重合性単量体は、単独でも、複数種を組み合わせても用いることができる。これらの中でも、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールアクリレート、メタクリル酸アリルなどが好ましく用いられる。ただし、多官能性の重合性単量体を使用する場合、多官能性の重合性単量体の量が多すぎると、多層構造重合体粒子におけるゴムとしての性能を低下させ、例えば異形押出しを行う場合、異形押出しサイジング金型加工過程におけるポリエステル樹脂のサイジング金型付着性低減処方による異形押出し連続生産性の向上、異形押出し製品の寸法精度向上・表面平滑性向上(ビビリの除去)、連続生産中の製品反り改良、および異形押出し加工時の樹脂ダレ改良によるダイ〜サイジング間での製品のコーナー、エッジ部の形状精度を向上させる効果が少なくなることがあるので、多官能性の重合性単量体の使用量は、ゴム層を形成する重合性単量体全体の10重量%以下に止めることが好ましい。なお、共役ジエン系化合物を主成分とする重合性単量体を用いる場合には、それ自体が架橋点あるいはグラフト点として機能するため、必ずしも多官能性の重合性単量体を併用しなくてもよい。
本発明に用いられる、多層構造重合体粒子のスキン層を構成する重合体は、Tgが25℃より高い温度となる限りにおいて特に限定されるものではないが、スキン層を形成させるために使用されうる重合性単量体として一般的なものは、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸ナフチル、メタクリル酸イソボニル等のメタクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル等である。これらの重合性単量体の中でも、アクリル酸(誘導体)および/またはメタクリル酸(誘導体)からなるポリマーが好ましく、メタクリル酸メチルもしくはスチレンを1種で、またはその一方を主成分とする2種以上のラジカル重合性単量体の組み合わせの形で使用するのも好ましい。上記多層構造重合体粒子におけるゴム層の含量は、必ずしも限定されるものではないが、25〜90重量%の範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは40〜80重量%の範囲内である。ゴム層を形成する重合体部分の量が少なすぎると柔軟性が不足し、ポリエステル系樹脂組成物にして異形押出し成形した場合における、サイジング金型加工性改良、すなわち金型付着性低減効果が不足して、連続生産性に劣ることがある。また、最外層を形成する硬質重合体の量が少なすぎると、ポリエステル樹脂系への相溶性が低下し、ポリマーマトリックス中で均一分散が難しく、偏在して製品の表面平滑性を悪化させる虞がある。
本発明における、上述の多層構造重合体粒子を製造するための重合法について特に制限はなく、例えば、通常の乳化重合法により、球状の多層構造重合体粒子を得ることができる。乳化重合法においては、公知の手段に従って、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等の連鎖移動剤を必要に応じて用いることができる。なお、乳化重合後、ポリマーラテックスからの多層構造重合体粒子の分離取得は公知の方法に従って、例えば凝固乾燥によって行うことができる。また、製造される多層構造重合体粒子の形態については、特に限定されるものではなく、例えば、相互に最外層部分で融着した状態のペレット状でもよく、パウダー状またはグラニュー状でもよく、いずれの場合であっても本発明のポリエステル樹脂組成物の製造に使用可能である。
本発明において、改質剤とポリエステルの樹脂組成物には、用途に応じて他の成分も適宜添加することができる。例えば、耐衝撃性向上剤、充填剤、紫外線吸収剤、表面処理剤、滑剤、光安定剤、顔料、帯電防止剤、抗菌剤、架橋剤、イオウ系酸化防止剤、難燃剤、可塑剤、加工助剤、発泡剤等があげられる。特にタルクを加えるのが結晶化促進の点で好ましい。タルクの好ましい添加量は0.01〜50重量部であり、好ましくは、0.1〜10重量部である。
ポリエステル樹脂と本発明の改質剤を溶融成形する条件としては、ポリエステル樹脂と改質剤のペレット同士や、ポリエステル樹脂フレークと改質剤をブレンドしてそのまま、溶融成型することが出来る。また、ポリエステル樹脂と改質剤を一軸式の押出機、二軸式の押出機等により溶融混練してペレット化しておき、混練後のポリマーを再度溶融成形加工する手段も問題なく使用できる。温度条件としては、押出に用いるポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂(I)が溶融流動できる範囲であればいかなる温度でも問題ないが、ポリエステル樹脂の性質上、100℃以上350℃以下と考えられ、より好ましくは150℃以上300℃以下が好適である。温度が低すぎるとポリマーを送り出しできないかまたは押出機に過大な負荷がかかり、逆に温度が高すぎるとポリマーが熱劣化を起こすため、好ましくない。
本発明の改質剤は、ポリエステル樹脂、好ましくは再生ポリエチレンテレフタレートのフレークに配合して溶融混練、成型して用いることにより成形性の改良、および機械的物性の改良を実現することができるのが特徴である。もし、再生ポリエチレンテレフタレートと反応性化合物(II)と滑剤(III)をドライブレンド(ペレット、粉末等同士を混合、以下同様)して、押出し機等成型機のホッパーに投入してそのまま溶融混練成型すると溶融体の増粘傾向が著しく、コントロールをすることが難しい上、最悪の場合、溶融時に(例えば押出し機の中で)ゲル化してしまうこともあり得る。また、溶融体の増粘傾向が著しい場合にそれを成型現場で最適な条件に調整することも難しく、結局成型がかえって難しくなってしまう。これに対して本発明のような改質剤を予め製造する場合、これと再生ポリエチレンテレフタレートを成型現場でブレンドし、その配合量比について成型状態を確認しながら調整するだけで簡単に最適成型条件を選定することができる。以下各成型方法における利点を具体的に説明する。
射出成型の場合、再生ポリエチレンテレフタレートと反応性化合物(II)と滑剤(III)を単純にそのまま溶融混練すると、射出成型機シリンダ内での混練性が不足することが多く、反応性化合物(II)のポリエステルマトリックスへの反応および、分散性が不十分となることがある。また、反応が過度に進行しゲル化することもある。このため、連続生産時の可塑化過程、および射出過程の溶融粘度が変動することがあり、量産安定性が悪化するので、成型品の形状を安定させることが困難となる。
これに対し本願発明の改質剤を用いる方法の場合、予め非晶性ポリエステル(I)と反応性化合物(II)から構成される改質剤を製造するときに急激な反応を抑制してペレット化できる。加えて滑剤(III)が良好な状態で分散される。これを射出成型時に再生ポリエチレンテレフタレートにペレットとして混合して溶融した場合、相溶性が良好で、かつ反応を緩やかに進行させることができる為、射出成型機シリンダ内でも十分に混練され、分散性も良好となり、滑剤の効果を十分に発現させることができる。
また、再生ポリエチレンテレフタレートの射出成型製品を製造する上での成型条件探索過程において、製品形状、ランナーの設計に適合した樹脂溶融特性が求められることがある。この場合、再生ポリエチレンテレフタレートと反応性化合物(II)と滑剤(III)を単純に溶融混練したペレットでは、加工温度、背圧、射出圧等の射出条件で制御するしか方法がない。しがし、本発明の場合、改質剤として再生ポリエチレンテレフタレートにドライブレンドにて容易に混合することができるため、配合量の調整によって、溶融粘度特性を変化させ、目的の製品形状となる樹脂組成物の決定が容易となる。
異形押出し成型の場合、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂と反応性化合物(II)と滑剤(III)を単純に溶融混練すると、異形押出し成型機シリンダ内での混練性が不足することが多く、反応性化合物(II)のポリエチレンテレフタレートマトリックスへの反応および、分散性が不十分となることがある。また、反応が過度に進行しゲル化することもある。このため、連続生産時に金型から吐出される溶融体の溶融粘度が変動することがあるため、「押出し工程、異形金型工程を経た吐出樹脂がサイジング金型に付着し、樹脂詰まり発生して連続生産を停止させる問題」、「サイジング工程で製品形状の寸法精度を悪化させる問題」、「成形品表面にビビリ(進行方法に平行な筋)を発生させる問題」、「異形押出し成形進行方向に対して製品反りが発生する問題」を抑制することが非常に困難となる。
これに対し本願発明の改質剤を用いる方法の場合、非晶性ポリエステル(I)と反応性化合物(II)から構成される改質剤を製造するときに急激な反応を抑制してペレット化できる。加えて滑剤(III)が良好な状態で混練される。これを異型押出し成型時に再生ポリエチレンテレフタレートに混合した場合、相溶性が良好で、かつ反応を緩やかに進行させることができる為、異形押出し成型機シリンダ内でも十分に混練され、分散性も良好となり、離型剤・滑剤の効果を十分に発現させることができる。
また、本発明の場合、改質剤として再生ポリエチレンテレフタレート樹脂にドライブレンドにて容易に混合することができるため、配合量の調整によって、溶融粘度特性を変化させ、目的の製品形状となる樹脂組成物の決定が容易となる。
ダイレクトブロー成型の場合、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂と反応性化合物(II)と滑剤(III)を単純に溶融混練すると、ダイレクトブロー成型機シリンダ内での混練性が不足することが多く、反応性化合物(II)のポリエチレンテレフタレートマトリックスへの反応および、分散性が不十分となることがある。また、反応が過度に進行し、ゲル化することもある。このため、連続生産時にダイスから吐出される溶融体の溶融粘度が変動することがあるため、パリソン形成状態が不安定となり連続生産安定性が低下する。製品物性としては、還元粘度が変動し、耐衝撃性等の機械的物性向上効果が製品によって異なることがある。この結果、ボトル容器内に内容物を充填した時のボトル強度向上効果がばらつき、落下時の破裂による内容物突出問題等を完全解決できない。
これに対し本発明の改質剤を用いる方法の場合、予め非晶性ポリエステル(I)と反応性化合物(II)から構成される改質剤を製造するときに急激な反応を抑制してペレット化できる。加えて滑剤(III)が良好な状態で分散される。これをダイレクトブロー成型時に再生ポリエチレンテレフタレートに混合した場合、相溶性が良好で、かつ反応を緩やかに進行させることができる為、ダイレクトブロー成型機シリンダ内でも十分に混練され、分散性も良好となり、滑剤の効果を十分に発現させることができる。
また、本発明の場合、改質剤として再生ポリエチレンテレフタレート樹脂にドライブレンドにて容易に混合することができるため、配合量の調整によって、溶融粘度特性を変化させ、適切なパリソン形状に調整し、金型内でブローすることができるので、目的の製品形状を得る為の樹脂組成物決定が容易となる。
カレンダー加工成型の場合、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂と反応性化合物(II)と滑剤(III)を単純に溶融混練するとカレンダーロール上で時間と共に増粘が起こるため、材料の供給速度、反応の進行、フィルム引取りのスピードをコントロールすることが難しい。また、反応が過度に進行し、ゲル化することもある。結局連続操業の際、初期に製造したフィルムと後期に製造したフィルムではその反応状態が変化しているため、フィルム物性が場所によって異なるという問題が発生する。これに対し本願発明の改質剤を用いる方法の場合、ある程度非晶性ポリエステル樹脂(I)と反応性化合物(II)の反応が進行しているため、再生ポリエチレンテレフタレートとの反応がマイルドになり、そのコントロールが易しく、安定した生産性を確保することが出来ると共にフィルム物性を高いレベルで安定化することができる。また、滑剤(III)分散性も良好となり、滑剤の効果を十分に発現させることができる。
上記は再生ポリエチレンテレフタレートにて説明したが、当然通常のポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、非晶性のポリエステル樹脂を用いる場合でも、同様の効果を期待することが出来る。
ポリエステル樹脂と、非晶性ポリエステル樹脂(I)、反応性化合物(II)、および滑剤(III)(すなわち本発明の改質剤)の樹脂組成物の加工法としては、上述した射出成型、押出し成形、異形押出し成形、ダイレクトブロー成形、カレンダー成形以外の方法においても特に制限はなく、ブローコンプレッション成形、延伸ブロー成形、熱成形(真空・圧空成形を含む)、反応射出成形、発泡成形、圧縮成形、粉末成形(回転・延伸成形を含む)、積層成形、注型、溶融紡糸等を挙げることができる。
本発明の改質剤を用いてポリエステル樹脂を改質する場合、その配合比は改質剤0.1〜50重量%、ポリエステル樹脂99.9〜50重量%の範囲であることが好ましい。改質剤が0.1重量%以下であると、成形性改良効果の認められないことがある。一方、50重量%を越えると、成形体の物性低下が起こることがある。最終的な組成比は、ポリエステル樹脂が55〜99.945重量%、グリシジル基を1分子あたり2個以上含有し重量平均分子量200以上50万以下である反応性化合物(II)が0.005〜30重量%、滑剤(III)が0.05〜15重量%で含まれる樹脂組成物となるものが好ましい。該ポリエステル樹脂は、結晶性と非晶性の2種以上のポリエステル樹脂で構成されるものが好ましい。また、該ポリエステル樹脂中には、再生ポリエチレンテレフタレートを50重量%以上含むものが好ましい。
本発明を更に詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。合成例に記載された測定値は以下の方法によって測定したものである。
還元粘度:測定用サンプル0.1gをフェノール/テトラクロロエタン(重量比6/4)混合溶媒25mlに溶解し、不溶部分を濾過して取除いた。
重量平均分子量:溶剤としてテトラヒドロフランおよび検定標準としてポリスチレンを用いるウオーターズ(Waters)ゲル透過クロマトグラフィーによって測定した。
樹脂組成:非晶性ポリエステル樹脂の組成は、重クロロホルム溶媒中でヴァリアン社製核磁気共鳴分析計(NMR)ジェミニ−200を用いて、1H−NMR分析を行なってその積分比より決定した。
ガラス転移温度、融点:セイコーインスツルメンツ(株)製示差走査熱量分析計(DSC)DSC−220を用いて、昇温速度20℃/分にて測定することにより求めた。
<結晶性ポリエステル樹脂(A)の合成例>
撹拌機、温度計、流出用冷却器を装備した反応缶内にテレフタル酸530重量部、イソフタル酸85重量部、アジピン酸203重量部、1,4−ブタンジオール928重量部、テトラブチルチタネート0.34重量部加え、170〜220℃で2時間エステル化反応を行った。エステル化反応終了後、反応系を220℃から250℃まで昇温する一方、系内をゆっくり減圧してゆき、60分かけて500Paとした。そしてさらに130Pa以下で55分間重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂(A)を得た。
結晶性ポリエステル樹脂(A)はNMR分析の結果、ジカルボン酸成分はテレフタル酸63モル%、イソフタル酸10モル%、アジピン酸27モル%、ジオール成分は1,4−ブタンジオール100モル%の組成を有していた。またガラス転移温度は−6℃、数平均分子量は35000、酸価28当量/106gであった。
結晶性ポリエステル樹脂(B)、(C)は、結晶性ポリエステル樹脂(A)と同様にして製造を行った。組成、及び測定結果を表1に示す。(数値は樹脂中のモル%)
<非晶性ポリエステル(D)の合成例>
撹拌機、温度計、流出用冷却器を装備した反応缶内にテレフタル酸ジメチル960重量部、エチレングリコール527重量部、ネオペンチルグリコール156重量部、テトラブチルチタネート0.34重量部加え、170〜220℃で2時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、反応系を220℃から270℃まで昇温する一方、系内をゆっくり減圧してゆき、60分かけて500Paとした。そしてさらに130Pa以下で55分間重縮合反応を行い、非晶性ポリエステル(D)を得た。
非晶性ポリエステル樹脂(D)はNMR分析の結果、ジカルボン酸成分はテレフタル酸100モル%、ジオール成分はエチレングリコール70モル%、ネオペンチルグリコール30モル%の組成を有していた。またガラス転移温度は78℃、酸価30当量/106gであった。
非晶性ポリエステル樹脂(E)〜(I)は、非晶性ポリエステル(D)と同様にして製造を行った。組成、及び測定結果を表1に示す。(数値は樹脂中のモル%)
<反応性化合物(J)の合成例>
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器にメチルエチルケトン50部を入れ70℃に昇温した後、スチレン36.4重量部、グリシジルメタクリレート37.3重量部、メチルメタクリレート 26.3重量部の混合物と、アゾビスジメチルバレロニトリル2部を 50部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を 1.2ml/minで反応器中のメチルエチルケトンに滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。その後、減圧することにより、メチルエチルケトンを反応器中から除去し、反応性化合物(J)を得た。
この反応性化合物(J)はNMR分析の結果、モノマー成分はスチレン40モル%、グリシジルメタクリレート30モル%、メチルメタクリレート30モル%の組成を有していた。またガラス転移温度は50℃、重量平均分子量は25000であった。
<反応性化合物(K)の合成例>
撹拌機、冷却器および加熱マントルを具備した3リットル丸底フラスコ中で乳化重合によって製造した。フラスコには最初に脱イオン水1800部、酢酸0.4部、FeSO40.01部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩二水和物0.12部からなる溶液を充填した。溶液に窒素ガスを散布して75℃に加熱した。75℃において、水150部中でドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.4部を用いて乳化させたスチレン366.1部、ヒドロキシエチルメタクリレート14.4部、およびブチルメタクリレートモノマー95.5部をフラスコに加え、次に過硫酸ナトリウム0.45部を開始剤として加えた。次に反応をそのまま約2時間、または固形物含有量の調査によってモノマーの99.9%以上が置換されるまで進行させた。反応遂行後にエマルジョンを室温に冷却し次いで噴霧乾燥して白色の粉末を得た。
この反応性化合物(K)はNMR分析の結果、モノマー成分はスチレン77モル%、ヒドロキシエチルメタクリレート3モル%、ブチルメタクリレート20モル%の組成を有していた。またガラス転移温度は50℃、重量平均分子量は20万あった。
<反応性化合物(L)の合成例>
反応性化合物(K)と同様の方法によって合成し、NMR分析の結果、モノマー成分は、スチレン75モル%、グリシジルメタクリレート4モル%、ブチルメタクリレート21モル%の組成を有していた。また、重量平均分子量は30万であった。
<離型剤・滑剤>
(X−1)モンタン酸エステルの部分ケン化エステルワックス
:リコワックスOP (クラリアント社製)
(X−2)モンタン酸ナトリウム塩:リコモントNaV101(クラリアント社製)
(Y−1)ポリエチレンワックス:リコルブH12(クラリアント社製)
(Y−2)アマイドワックス:リコルブFA1(クラリアント社製)
(Z−1)グリセリンモノステアレート:リケスターM100 (理研ビタミン社製)
(Z−2)プロピレングリコールモノステアレート:「リケマールPS100」(理研ビタミン社製)
(Z−3)クエン酸飽和脂肪酸モノグリセライド:「ポエムK30」(理研ビタミン社製)
<実施例1>
ポリエステル樹脂(D)90重量%、反応性化合物(J)9重量%、モンタン酸系ワックス(リコワックスOP)1.0重量%、安定剤としてビス[S−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)]チオテレフタレート1.0重量部、タルク10重量部を混合し、該混合物を、回転数30rpm、全バレル温度220℃に設定した押出機(L/D=30、スクリュー径=20mm、フルフライト、圧縮比2.0)で溶融混練し、ノズルから紐状に押出し、水中でカッターによって切断してペレット化したポリエステル樹脂用改質剤を得た。
[射出成型による評価]
上記ポリエステル樹脂用改質剤30重量部と、ポリエステル(A)70重量部をドライブレンドして、射出成形機(東芝IS−100E:型締力100トン)にてシリンダ温度230℃、金型温度30℃、背圧20kg/cm2物性試験用の試験片を作製した。これを用いて、以下の方法により評価を行った。結果を表2に示す。
還元粘度増減傾向:
◎:還元粘度15%以上増加
○:還元粘度増減無し
×:還元粘度低下
連続生産性:
○:「射出時間、射出圧力等が安定しており、製品の寸法精度が良好で、表面平滑性が良好である」、
×:「射出時間、射出圧力等が不安定で、製品の寸法精度がバラツキ、表面平滑性、光沢等が安定しない」とした。
金型離型性:
○:「金型からの離型性が良好」、
×:「金型からの離型性が不良」
とした。
耐衝撃性試験:ノッチ付きアイゾット衝撃強度(ASTM D−256)
(試験温度:23℃)
○:40J/m以上
△:25J/m以上40J/m未満
×:25J/m未満
[異形押出し成形による評価]
上記ポリエステル樹脂用改質剤30重量部と、ポリエステル(A)70重量部をドライブレンドして、シリンダ温度を210℃に設定し、単軸押出し機(L/D=25、フルフライトスクリュー、スクリュー径65mm)に図1に示す成形品を製造するダイリップを取り付け、次に冷却水槽の先端に異形押出し製品の最終寸法を決定するサイジング金型を取り付け、水槽を経由して、引取機を装備した異形押出し成形設備により成形し、その成形品のサイジング金型加工状況、製品寸法精度、表面平滑性、製品反りの有無を以下の基準に従って評価した。結果を表2に示す。
サイジング金型加工状況(連続生産性):
○:「サイジング金型内での樹脂の付着性もなく加工性はスムーズなものであり、ダイ〜サイジング間での成形品のエッジ形状精度が高いものであった。」、
×:「サイジング金型内での樹脂付着が生じ、サイジング工程へ移ることができなかった。または、サイジング工程で加工性が悪く、成形品のエッジ精度が低く、連続生産性を悪化させる」とした。
製品寸法精度:図1に示す成形品を製造するダイリップを取り付けた異形押出し成形し、その成形品の製品寸法精度を評価した。
○:製品の寸法が設計通りである
△:製品の寸法が設計値から0.3mm未満でズレる
×:製品の寸法が設計値より0.5mm以上ズレる
表面平滑性:成形品の外側表面凹凸状態を超深度表面形状測定顕微鏡(キーエンス製VK−8500)を用いて測定し、以下の評価を行なった。
○:凹凸面最大高さが100μm未満
△:凹凸面最大高さが100μm以上200μm未満
×:凹凸面最大高さが200μm以上
製品反り評価:異形押出し製品の押出し成形方向に対して、上下・左右の反りの有無について以下のように評価した。
有:押出し成形方向に対して、上下・左右の反りの有
無:押出し成形方向に対して、上下・左右の反りの無
樹脂の溶融強度の評価結果と併せて、表2に示す。
[ダイレクトブロー成型による評価]
上記ポリエステル樹脂用改質剤30重量部と、ポリエステル(A)70重量部をドライブレンドして、ダイレクトブロー成型機(単軸押出し機:L/D=25、フルフライトスクリュー、スクリュー径65mm)のシリンダ温度を180〜230℃に設定し、図2に示すダイレクトブロー成型ボトルを製造した。シリンダ先端には、パリソン形成用ダイリップを取り付け、金型内でブローエアーを封入し、ボトルを連続生産した。このときの、パリソン保持状態、製品寸法精度、透明性を以下の基準により評価した。
パリソン保持状態:
○:ドローダウン非常に小さく、形状保持している
△:ドローダウン大きく、形状崩れ気味だがなんとかブローできる
×:ドローダウン大きく、形状が崩れブローできない。
製品精度:
○:バリが小さく、肉厚が均一
×:バリが大きく、肉厚ムラが生じる
[カレンダー成型による評価]
上記ポリエステル樹脂用改質剤30重量部と、ポリエステル(A)70重量部をドライブレンドし、200℃に設定した2本の6インチテストロール上で混練した。時折ヘラでテストロールに付着した樹脂を剥がしながら混合し、5分混練後、ロール間隔を0.3mmに設定(シート厚み0.3mm設定)し、溶融シートをロールから30cmの距離まで引取り、その際のたれを目視で観察することにより、シートの引取り性を評価した。また、その際のロールからのシート剥離性も評価した。なお、評価基準は以下の通りである。
シート剥離性:
○:ロールからの剥離性良好
△:ロールへの粘着性が強く、時折剥離困難となる為、安定して量産できない
×:ロールへの粘着性が強く、剥離が困難で、正常なシートが採取できない
シート引き取り性
◎:たれ全く生じない
○:わずかにたれが生じるが実用上差し支えない
△:ロール温度条件等の調整によりシート生産できるが、安定して量産できない
×:溶融シートが自重でたれてしまい、正常なシートが採取できない
<実施例2〜、比較例1〜16>
表2、3に記載した原料を用いて、実施例1と同様な条件で、ポリエステル樹脂が結晶性樹脂の場合、融点より30℃高い温度にて、各種溶融成型を行った。また、ポリエステル樹脂が非晶性樹脂の場合、180〜250℃で各種溶融成型を行った。尚、比較例1〜6についてはそれぞれのポリエステル樹脂に安定剤を添加して各種成型を行い、評価した。比較例7〜9は耐衝撃改良剤とポリエステル樹脂をドライブレンド(ペレットと粉末上化合物のブレンド)して成型した。比較例10は反応性化合物(II)とポリエステル樹脂をドライブレンドして成型した。比較例11はポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル(I)をドライブレンドして成型した。比較例12はポリエステル樹脂と反応性化合物(II)と滑剤(III)をドライブレンドして成型した。比較例13はポリエステル樹脂、反応性化合物(II)と滑剤(III)を全量ドライブレンドし、回転数30rpm、全バレル温度220℃に設定した押出機(L/D=30、スクリュー径=20mm、フルフライト、圧縮比2.0)で溶融混練し、ノズルから紐状に押出し、水中でカッターによって切断してペレット化したポリエステル樹脂組成物とし、そのペレットを用いて各種成型を行った。比較例14は、ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル(I)、反応性化合物(II)、滑剤(III)をドライブレンドして成型した。比較例15、16ははじめに未使用ポリエチレンテレフタレート樹脂、反応性化合物(II)と滑剤(III)を47.5/5/47.5重量部の比率にて、ドライブレンドし、回転数30rpm、全バレル温度270℃に設定した押出機(L/D=30、スクリュー径=20mm、フルフライト、圧縮比2.0)で溶融混練し、ノズルから紐状に押出し、水中でカッターによって切断してペレット化したポリエステル樹脂組成物とし、さらにそれを再生ポリエチレンテレフタレート樹脂と20/80重量部の比率にてドライブレンドして各種成型を行った。
評価結果を表2、3に併せて示す。

尚、表2、3に記載された安定剤は以下の化合物を意味する。
M:ビス[S−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)]チオテレフタレート
表2、3中、PET、PBT、再生PETは以下のものを用いた。
PET:ポリエチレンテレフタレート 東洋紡績(株)RE530
PBT:ポリブチレンテレフタレート 三菱エンジニアリングプラスチックス(株)ノバデュラン5010R3
再生PETフレーク:よのPETボトルリサイクル(株)製YPRフレーク
また表2、3中の配合比については{ポリエステル樹脂+非晶性ポリエステル樹脂(I)+反応性化合物(II)、離型剤・滑剤(III)}を100重量比とし、安定剤、添加剤はその100重量比に対する添加量として表した。
表2、3から分かるように、実施例1〜は射出成型性の改良、連続生産性、および機械的物性の改良が実現しており、異形押出し加工性については連続生産性の改良、異形押出し製品の寸法精度向上・表面平滑性向上(ビビリの除去)、連続生産中の製品反り改良、および異形押出し加工時の樹脂ダレ改良によるダイ〜サイジング間での製品のコーナー、エッジ部の形状精度を向上させることに優れている。
ダイレクトブロー成型では、パリソンの保持が優れており、さらに製品精度が良好となるため、連続生産時の安定性、および良品生産率が大幅に向上する。
カレンダー加工成型では、ポリエステル樹脂組成物の溶融強度が大幅に向上するため、ロールからのシート剥離性、およびシート引取り性が改善され、寸法精度、表面性に優れたシートを安定して生産する事ができる。
一方、比較例1〜6は、反応性化合物(II)、滑剤(III)を含んでいないため、本発明の範囲外である。比較例10は、非晶性ポリエステル樹脂(I)、滑剤(III)が含まれていないので本発明の範囲外である。比較例11は、反応性化合物(II)、滑剤(III)が含まれていないので本発明の範囲外である。比較例12、13は、非晶性ポリエステル樹脂(I)が含まれていないので本発明の範囲外である。また、比較例10〜14は、改質剤としていないので本発明の範囲外である。比較例15、16は、非晶性ポリエステル樹脂(I)を使わず、ポリエチレンテレフタレートにより改質剤を作製したので本発明の範囲外である。
また、比較例10は反応性化合物の添加により樹脂ダレ防止、製品寸法精度がやや改良され、離型剤・滑剤(III)の為、金型等・金属ロール等への付着が防止される傾向にあるが、ドライブレンド成型している為、添加量の定量性が低下し、分散性が不安定となり、各種品質に悪影響を及ぼす。比較例7〜9では、金型・金属ロール等への付着が改良されるが、連続生産性が悪化した。また、サイジング金型での樹脂流動性がやや改善されるが、安定しないため、異形押出し製品の寸法精度・表面平滑性が悪化し、さらには製品反りの問題が発生し、異形押出し製品として不適切な状態となった。ダイレクトブロー成型では、パリソン保持がやや改良されるが、溶融特性が安定しない為、製品精度が低下する。カレンダー成型では、シート成形性がやや改良されるが、引取り性が悪化した。比較例12では、非晶性ポリエステル樹脂(I)と反応性化合物(II)、離型剤・滑剤(III)を全量溶融混練して得られたペレットを用いて各種成型を行った結果、還元粘度は増加したが、反応性が急激に起こってしまい、ゲル状物の発生により表面性が悪化した。また、連続生産中に、溶融粘度が徐々に上昇する傾向が進行するために、射出成型、異形押出し成形、ダイレクトブロー成型、カレンダー加工成型等において、目的とする製品寸法が得られなかった。比較例15、16では、金型等・金属ロール等への付着が防止される傾向にあるが、未使用PETベースによる改質剤のため、射出成形時の結晶化が早く、成型品のヒケ等が抑制できず、連続生産性が悪化した。またサイジング金型での樹脂流動性がやや改善されるが、安定しないため、異形押出し製品の寸法精度・表面平滑性が悪化し、さらには製品反りの問題が発生し、異形押出し製品として不適切な状態となった。また、製品冷却工程での結晶化遅延効果が小さい為、サイジング金型通過後の製品の寸法精度が、経時的に変化する問題が生じた。ダイレクトブロー成型では、パリソン保持がやや改良されるが、溶融特性が安定しない為、製品精度が低下する。カレンダー成型では、シート成形性がやや改良されるが、引取り性が悪化した。
本発明の改質剤を用いてポリエステル樹脂、特に再生PETフレークに配合させることにより溶融成形、特に射出成型、押出し成形、異形押出し成形、ダイレクトブロー成型における成形性の改良、および優れた機械的物性の改良を発現することが可能となり、産業界への寄与が大である。
評価を行った異形押出成形品の断面図である。 評価を行ったダイレクトブロー成型品の図である。

Claims (16)

  1. 非晶性ポリエステル樹脂(I)のペレットに、グリシジル基を1分子あたり2個以上含有し重量平均分子量200以上50万以下である反応性化合物(II)、および滑剤(III)を添加して溶融混練し予めポリエステル樹脂溶融成形用改質剤(IV)を製造し、次いで該改質剤(IV)とポリエステル樹脂(V)を溶融混練して溶融成形するポリエステル樹脂成形品の製造方法。
  2. 前記滑剤(III)がモンタン酸エステル系ワックス、ポリエチレンワックスおよびアマイドワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物である請求項1に記載のポリエステル樹脂成形品の製造方法。
  3. 前記モンタン酸エステル系ワックスが、モンタン酸金属塩を含有するものであることを特徴とする請求項2に記載のポリエステル樹脂成形品の製造方法。
  4. 前記滑剤(III)が、グリセリン系化合物、ソルビタン系化合物、プロピレングリコール系化合物および高級アルコール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂成形品の製造方法。
  5. 前記滑剤(III)が、グリセリン有機酸エステル、ポリグリセリン有機酸エステル、ソルビタン有機酸エステル、プロピレングリコール有機酸エステルおよび高級アルコール有機酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂成形品の製造方法。
  6. 前記有機酸が、炭素数40未満の脂肪酸であることを特徴とする請求項5に記載のポリエステル樹脂成形品の製造方法。
  7. 改質するための前記ポリエステル樹脂(V)が、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂成形品の製造方法。
  8. 改質するための前記ポリエステル樹脂(V)が、再生ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂成形品の製造方法。
  9. 前記反応性化合物(II)が、(X)20〜99重量%のビニル芳香族モノマー、(Y)1〜80重量%のグリシジルアルキル(メタ)アクリレート、および(Z)0〜40重量%のアルキル(メタ)アクリレートからなる共重合体であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステル樹脂成形品の製造方法。
  10. 前記非晶性ポリエステル樹脂(I)が、酸成分として炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸を50モル%以上、グリコール成分として炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールを50モル%以上含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステル樹脂成形品の製造方法。
  11. 前記炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸および/またはイソフタル酸であることを特徴とする請求項10に記載のポリエステル樹脂成形品の製造方法。
  12. 前記炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールおよび2−メチル−1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項10または11に記載のポリエステル樹脂成形品の製造方法。
  13. 前記非晶性ポリエステル樹脂(I)が、カルボキシル基、ヒドロキシル基またはそれらのエステル形成性基を3個以上有する多官能化合物単位をポリエステルの酸成分および/またはグリコール成分の0.001〜5モル%含有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のポリエステル樹脂成形品の製造方法。
  14. 前記非晶性ポリエステル樹脂(I)が40〜99.8重量%、前記グリシジル基を1分子あたり2個以上含有し重量平均分子量200以上50万以下である反応性化合物(II)が0.1〜50重量%、前記滑剤(III)が0.1〜50重量%で含まれる請求項1〜13のいずれかに記載のポリエステル樹脂成形品の製造方法。
  15. 前記ポリエステル樹脂(V)が結晶性ポリエステル樹脂(VI)であり、前記結晶性ポリエステル樹脂(VI)と前記非晶性ポリエステル樹脂(I)の合計量が55〜99.945重量%、前記グリシジル基を1分子あたり2個以上含有し重量平均分子量200以上50万以下である反応性化合物(II)が0.005〜30重量%、前記滑剤(III)が0.05〜15重量%の範囲で含まれる請求項1〜13のいずれかに記載のポリエステル樹脂成形品の製造方法。
  16. 前記結晶性ポリエステル樹脂(VI)が、再生ポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項15に記載のポリエステル樹脂成形品の製造方法。
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