JP5358556B2 - エチレン重合用触媒及びそれを用いたエチレン系重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
一般に、エチレン系重合体は、重合触媒を用いたエチレンの単独重合によって、あるいは、エチレンとα−オレフィン等のコモノマーとの共重合によって製造されるが、用途に応じた適切な特性を有するエチレン系重合体を製造するために、様々な重合触媒が開発されている。現在、主要な重合触媒として、ラジカル重合触媒、チーグラー触媒、メタロセン触媒と並んで、フィリップス触媒が重用されている。
フィリップス触媒は、クロム化合物をシリカ、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア等の無機酸化物担体に担持させ、非還元性雰囲気で賦活することにより、担持されたクロム原子の少なくとも一部のクロム原子を6価としたクロム触媒であるが、比較的広い分子量分布と長鎖分岐構造に起因する、優れた溶融加工特性を有するエチレン系重合体を生成することから、特に中空成形分野において重要なエチレン重合用触媒となっている。
しかしながら、これらの方法により得られたエチレン重合用触媒は、粉砕による粒子形状や微細構造の破壊が生じることを避けることはできないため、触媒粒子性状やα−オレフィン共重合性が悪かったり、重合活性や生成ポリマー粒子性状の改善が不十分であったりして、改善の余地が大きかった。
しかしながら、これらの方法により得られたエチレン重合用触媒は、固体担体粒子や原料シリカゲルの粒子性状や微細構造の特性が凝集後の形状や微細構造にそのまま受け継がれるため、粒子の不均一性が生じることが避けられず、触媒粒子性状や生成ポリマー粒子性状が必ずしも良好なものではなく、また、α−オレフィン共重合性や重合活性の改善への寄与が不十分であった。
特許文献7には、非還元性雰囲気で焼成活性化した固体クロム触媒成分、ジアルキルアルミニウム官能基含有アルコキシド、トリアルキルアルミニウムからなるエチレン系重合用触媒が提案されており、ここでは、耐クリープ性及びESCRに優れた、HLMFRが1〜100g/10分、密度が0.935〜0.955g/cm3のブロー成形品用のエチレン系重合体が開示されている。
しかしながら、この提案では、トリアルキルアルミニウム化合物を用いた場合、副生物として1−ヘキセンを生じやすくなるため、ESCR及び耐衝撃性がともに優れたポリエチレンの製造法として好適ではなく、また、中空プラスチック成形品、特に耐衝撃性に優れた自動車用燃料タンクに適したポリエチレンについては、何ら示唆も、開示もされていない。
また、特許文献9には、クロム化合物を無機酸化物担体に担持し、非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子を6価としたクロム触媒及び特定の有機アルミニウム化合物(アルコキシド、シロキシド等)からなることを特徴とするエチレン系重合体製造触媒が提案され、ESCRまたは耐クリープ性に優れたエチレン系重合体が開示されている。
しかしながら、これらの方法の場合、特許文献10に、分子量分布(Mw/Mn)が20.9(実施例)のエチレン系重合体が開示されているのみであって、中空プラスチック成形品、特に自動車用燃料タンクに適した耐衝撃性に優れたポリエチレンについては、何ら示唆も開示もされていない。
上記のほか、自動車用燃料タンクに用いられる市販ポリエチレンとして、例えば、日本ポリエチレン社製高密度ポリエチレン「HB111R」、Basell社製高密度ポリエチレン「4261AG」などが知られている。
これらは、自動車メーカーの厳しい要求に応え、市場での評価を得た材料であるが、耐久性と剛性のバランス、耐衝撃性、成形性のレベルが必ずしも十分に高いレベルであるとは言えない。
(イ):無機酸化物担体(a)にクロム化合物(b)を担持し、非還元性雰囲気において焼成活性化する
(ロ):クロム化合物(b)を担持した無機酸化物担体(a)に、さらに有機アルミニウム化合物(c)を不活性炭化水素溶媒中で担持させる
(ハ):最後に、前記不活性炭化水素溶媒を除去・乾燥させる
本発明のエチレン系重合用触媒は、無機酸化物担体(a)にクロム化合物(b)を少なくとも一部のクロム原子が6価となる状態で担持させた後、さらに有機アルミニウム化合物(c)を担持させてなるクロム触媒であって、無機酸化物担体(a)は、無機酸化物が触媒粒子内部よりも触媒粒子表面に多く集中して存在する粒子構造を有すること、および、有機アルミニウム化合物(c)は、無機酸化物担体(a)の表面に集中して存在することを特徴とする。
ところで、本発明のエチレン系重合用触媒は、有機アルミニウム化合物担持クロム触媒であるが、その前駆体となる無機酸化物担体にクロム化合物を担持し、非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子が6価となるクロム触媒は、一般にフィリップス触媒として知られており公知である。
そして、この触媒の概要は、例えば、以下の文献に記載されている。
(i)M.P.McDaniel著,Advances in Catalysis,Volume 33,47頁,1985年,Academic Press Inc.
(ii)M.P.McDaniel著,Handbook of Heterogeneous Catalysis,2400頁,1997年,VCH
(iii)M.B.Welchら著,Handbook of Polyolefins:Synthesis and Propert
クロム化合物を無機酸化物担体に担持し、非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子が6価となるクロム触媒は、一般にフィリップス触媒として知られており、公知である。なお、この触媒の概要は、前述の各文献に記載されている。
無機酸化物担体としては、周期律表第2、4、13または14族の金属の酸化物を用いることができる。具体的には、マグネシア、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカ、トリア、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナまたはこれらの混合物が挙げられる。
ESCR及び耐衝撃性が共に優れた自動車用燃料タンク用途には、無機酸化物担体として、シリカのみのほうが好ましい。シリカ以外のものを担体として用いたとき、重合活性が低下、あるいは、ポリエチレン系重合体の低分子量成分の増加が原因であると考えられるが耐衝撃性が低下する傾向にある。
そして、これらのクロム触媒に適する担体の製法、物理的性質および特徴は、例えば、以下の文献に記載されている。
(i)C.E.Marsden著,Preparation of Catalysts,Volume V,215頁,1991年,Elsevier Science Publishers
(ii)C.E.Marsden著,Plastics,Rubber and Composites Processing and Applications,Volume 21,193頁,1994年
また、担体の平均粒径としては、10〜200μm、好ましくは20〜150μm、さらに好ましくは30〜100μmの範囲のものが用いられる。上記範囲を外れると、ESCR及び耐衝撃性のバランスがとりにくくなる。
また、優れた粒子性状のエチレン重合用触媒を得るためには、更には、後述する微粉が少なく球形の極めて優れた粒子性状を有するエチレン系重合体粒子を得るためには、前記無機酸化物担体は、径が250μm以上の粒子が全体の0.3重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以下であることが更に好ましく、検出されないことが特に好ましい。更には、メディアン粒径の1/10倍の粒径以下の粒子が全体の0.3重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以下であることが更に好ましく、検出されないことが特に好ましい。
凝集成長法による定形粒子は、ケイ酸アルカリ水溶液と酸水溶液の混合液を放置して生成する粒状ゾルとして得られるが、このとき、凝集成長剤としてカルボキシメチルセルロース、アクリルアミド系重合体等の水溶性高分子を添加したり、更に凝集成長助剤として、上記以外にも水溶性高分子や、水溶性無機電解質である金属鉱産塩あるいは有機酸塩を使用することも出来る。
その際、助剤として使用可能な水溶性高分子としては、例えば、澱粉、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビヤガム、トラガントガム、プリテイシュガム、クリスタルガム、セネガールガム、PVA、ポリアクリル酸ソーダ、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリエチレングリコール、等のノニオン系の高分子を使用することができ、また、水溶性無機電解質としては、アルカリ金属塩、例えば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等のアルカリ金属の鉱酸塩;アルカリ土類金属塩、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸カルシウム等の鉱酸塩;塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸チタニル等の他の水溶性金属塩を使用することができる。
上記の定形粒子と微粒子のスラリーを噴霧造粒することにより、本発明のエチレン重合用触媒の担体として好適な無機酸化物担体を製造する。噴霧造粒に供するスラリーとしては、該定形粒子と微粒子がSiO2基準のシリカ重量比が好ましくは20:80〜80:20、更に好ましくは30:70〜70:30で混合されたスラリーが用いられる。
また、上述のような無機酸化物担体を製造する方法の別の方法の一つとして、適切に選択された界面活性剤の共存下において生成せしめたヒドロゲルを利用する方法も考えられ、これについては、例えば特開2004−143026号公報等に詳細に記載されている。
加熱処理は、通常窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下あるいは気流下、100〜900℃、好ましくは150〜700℃、更に好ましくは200℃〜650℃の温度で実施される。
上記無機酸化物担体にクロム化合物を担持させる。クロム化合物としては、担持後に非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子が6価となる化合物であればよく、酸化クロム、クロムのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、クロム酸塩、重クロム酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、硫酸塩、クロム−1,3−ジケト化合物、クロム酸エステル等が挙げられる。
具体的には、三酸化クロム、三塩化クロム、塩化クロミル、クロム酸カリウム、クロム酸アンモニウム、重クロム酸カリウム、硝酸クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、トリス(2−エチルヘキサノエート)クロム、クロムアセチルアセトネート、ビス(tert−ブチル)クロメート等が挙げられる。なかでも三酸化クロム、酢酸クロム、クロムアセチルアセトネートが好ましい。酢酸クロム、クロムアセチルアセトネートのような有機基を有するクロム化合物を用いた場合でも、後に述べる非還元性雰囲気での焼成活性化によって有機基部分は燃焼し、最終的には三酸化クロムを用いた場合と同様に、無機酸化物担体表面の水酸基と反応し、少なくとも一部のクロム原子は6価となってクロム酸エステルの構造で固定化されることが知られている((i)V.J.Ruddickら著,J.Phys.Chem.,Volume 100,11062頁,1996年、(ii)S.M.Augustineら著,J.Catal.,Volume 161,641頁,1996年、を参照。)。
フッ素化合物の含有方法(フッ素化)は、溶媒中でフッ素化合物溶液を含浸させた後、溶媒を留去する方法、あるいは溶媒を用いずにフッ素化合物を昇華させる方法など、公知の方法によって行うことができ、使用するクロム化合物の種類によって、適宜好適な方法を用いればよい。無機酸化物担体にクロム化合物を担持してからフッ素化合物を含有させてもよいし、フッ素化合物を含有させてからクロム化合物を担持してもよいが、クロム化合物を担持してからフッ素化合物を含有させる方が好ましい。
フッ素化合物の含有量は、フッ素原子の含有量として、0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜8重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。
これらを、水又はアルコールなどの有機溶媒に溶解させた後、クロム触媒に含浸させるのが均一性の観点から好ましいが、固体のままクロム触媒と混合するだけでもよい。溶解して含浸させる場合は、表面張力による細孔体積の縮小(shrinkage)を抑えるために、アルコールなどの有機溶媒を用いるのがより好ましい。また、溶媒を用いた場合は、風乾、真空乾燥、スプレードライなど、既知の方法によって、溶媒を飛ばして乾燥させる。
(NH4)2SiF6 → 2NH3 + 2HF + SiF4
Si−OH + HF → Si−F + H2O
Si−OH + SIF4 → Si−O−SiF3 + HF
2Si−OH + SiF4 → (Si−O)2SiF2 + 2HF
クロム化合物の担持後、場合によっては、さらにフッ素化合物を担持した後、焼成して活性化処理を行う。焼成活性化は、水分を実質的に含まない非還元性雰囲気、例えば、酸素または空気下で行うことができる。この際、不活性ガスを共存させてもよい。好ましくは、モレキュラーシーブス等を流通させ、十分に乾燥した空気を用い、流動状態下で行う。焼成活性化は、400〜900℃、好ましくは420〜850℃、さらに好ましくは450〜800℃にて、30分〜48時間、好ましくは1時間〜36時間、さらに好ましくは2時間〜24時間行う。この焼成活性化により、無機酸化物担体に担持されたクロム化合物のクロム原子が少なくとも一部は6価に酸化されて担体上に化学的に固定される。焼成活性化を450℃未満で行うと、重合活性が低下し、400℃未満で行うと、重合活性はなくなる。一方、焼成活性化を、900℃を超える温度で行うと、シンタリングが起こり、活性が低下する。
これらの方法は、例えば、以下の文献に記載されている。
(i)C.E.Marsden著,Plastics,Rubber and Composites Processing and Applications,Volume 21,193頁,1994年
(ii)T.Pullukatら著,J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.,Volume 18, 2857頁,1980年
(iii)M.P.McDanielら著,J.Catal.,Volume 82,118頁,1983年
本発明において、ESCR及び耐衝撃性が共に優れた自動車用燃料タンク用途には、無機酸化物であるシリカ担体のみであるほうが好ましい。これらの金属アルコキシド類もしくは有機金属化合物を無機酸化物に加えると、ポリエチレン重合体の低分子量成分の増加あるいは分子量分布の狭窄化が起きる傾向にある。
本発明においては、焼成活性化したクロム触媒に不活性炭化水素溶媒中で有機アルミニウム化合物を担持し、さらに、溶媒を除去・乾燥して、得られた有機アルミニウム化合物担持クロム触媒を、重合触媒として用いる。
用いる有機アルミニウム化合物としては、アルキルアルミニウムアルコキシド化合物が好ましい。
アルキルアルミニウムアルコキシド化合物は、次の一般式(1)で示される化合物である。
また、R2の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチル、n−ノニル、n−ウンデシル、シクロヘキシルなどが挙げられるが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチルが好ましく、なかでもメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルが特に好ましい。
また、R5の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチル、n−ノニル、n−ウンデシル、シクロヘキシルなどが挙げられるが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチルが好ましく、なかでもメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルが特に好ましい。
その例としては、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジn−ブチルアルミニウムメトキシド、ジi−ブチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジn−ブチルアルミニウムエトキシド、ジi−ブチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムn−プロポキシド、ジエチルアルミニウムn−プロポキシド、ジn−ブチルアルミニウムn−プロポキシド、ジi−ブチルアルミニウムn−プロポキシド、ジメチルアルミニウムi−プロポキシド、ジエチルアルミニウムi−プロポキシド、ジn−ブチルアルミニウムi−プロポキシド、ジi−ブチルアルミニウムi−プロポキシド、ジメチルアルミニウムn−ブトキシド、ジエチルアルミニウムn−ブトキシド、ジn−ブチルアルミニウムn−ブトキシド、ジi−ブチルアルミニウムn−ブトキシド、ジメチルアルミニウムi−ブトキシド、ジエチルアルミニウムi−ブトキシド、ジn−ブチルアルミニウムi−ブトキシド、ジi−ブチルアルミニウムi−ブトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(ジシクロプロピル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(ジシクロプロピル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(ジシクロプロピル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(ジシクロプロピル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(ジシクロブチル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(ジシクロブチル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(ジシクロブチル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(ジシクロブチル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(ジシクロペンチル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(ジシクロペンチル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(ジシクロペンチル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(ジシクロペンチル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(ジシクロヘキシル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(ジシクロヘキシル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(ジシクロヘキシル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(ジシクロヘキシル)メトキシド、ジメチルアルミニウムシクロプロポキシド、ジエチルアルミニウムシクロプロポキシド、ジn−ブチルアルミニウムシクロプロポキシド、ジi−ブチルアルミニウムシクロプロポキシド、ジメチルアルミニウムシクロブトキシド、ジエチルアルミニウムシクロブトキシド、ジn−ブチルアルミニウムシクロブトキシド、ジi−ブチルアルミニウムシクロブトキシド、ジメチルアルミニウムシクロペントキシド、ジエチルアルミニウムシクロペントキシド、ジn−ブチルアルミニウムシクロペントキシド、ジi−ブチルアルミニウムシクロペントキシド、ジメチルアルミニウムシクロへキソキシド、ジエチルアルミニウムシクロへキソキシド、ジn−ブチルアルミニウムシクロへキソキシド、ジi−ブチルアルミニウムシクロへキソキシドが挙げられる。
その例としては、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジn−ブチルアルミニウムメトキシド、ジi−ブチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジn−ブチルアルミニウムエトキシド、ジi−ブチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムn−プロポキシド、ジエチルアルミニウムn−プロポキシド、ジn−ブチルアルミニウムn−プロポキシド、ジi−ブチルアルミニウムn−プロポキシド、ジメチルアルミニウムn−ブトキシド、ジエチルアルミニウムn−ブトキシド、ジn−ブチルアルミニウムn−ブトキシド、ジi−ブチルアルミニウムn−ブトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシドが挙げられる。
すなわち、一般式(2)で示されるジアルキルアルミニウムアルコキシドを合成するには、以下の式に示すようにトリアルキルアルミニウムとアルコールを1:1のモル比で反応させる方法、
これらの反応は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素中で行うことが好ましい。反応温度は、反応が進行するならば任意の温度でよいが、好ましくは0℃以上、さらに好ましくは20℃以上で行う。使用した溶媒の沸点以上で加熱し、溶媒の還流下で反応を行わせることは、反応を完結させる上でよい方法である。反応時間は任意でよいが、好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上行うのがよい。反応終了後は、そのまま冷却し、溶液のままクロム触媒との反応に供してもよいし、溶媒を除去して、反応生成物を単離してもよいが、溶液のまま用いるのが簡便で好ましい。
このモル比が0.1未満では、有機アルミニウム化合物を担持した効果が十分には発現されず、エチレン重合活性は、有機アルミニウム化合物を担持しない場合とさほど変わらない。一方、このモル比が20を超えると重合活性があらわれない。有機アルミニウムの副反応によるCr活性点の不活性化がおこっているものと考えられる。
具体的には、不活性炭化水素溶媒にクロム触媒を懸濁させ、有機アルミニウム化合物を添加してこれを攪拌する担持反応の操作が好ましい。
有機アルミニウム化合物は、焼成活性化後に少なくとも一部が6価となったクロム原子と反応し、これを低原子価のクロム原子に還元する。この現象は、焼成活性化後のクロム触媒が6価のクロム原子特有のオレンジ色であるのに対して、有機アルミニウム化合物による担持操作をされたクロム触媒が緑色もしくは青緑色であることから確認できる。すなわち、このクロム触媒の色の変化から6価クロム原子の少なくとも一部が3価または2価のクロム原子に還元されているものと、推定される。
ただし、全Cr原子のなかで実際の重合活性点の割合は、約10%〜30%と言われており(M.P.McDanielら著、J.Phys.Chem.,Volume 95,3289頁、1991年参照。)、重合活性点のクロム原子の原子価が何であるかは現時点で結論は得られていない。Monoiらは、トリアルキルクロム錯体をシリカに担持した触媒がフィリップス触媒と同様の重合挙動を示すこと(T.Monoiら著,Polym.J.,Volume 35,608頁,2003年参照。)、また、Espelidらは、フィリップス触媒のモデル活性点におけるエチレン挿入反応の活性化エネルギーを理論計算することにより、3価のクロム原子が活性点の原子価であることを提唱している(O.Espelidら著,J.Catal.,Volume 195,125頁,2000年参照。)。
担持反応終了後、溶媒を分離し乾燥終了するのに要する時間は、20時間以内が好ましく、さらに15時間以内が好ましく、特に10時間以内が好ましい。担持開始から溶媒除去・乾燥完了となるまでの合計の時間は、5分〜28時間、好ましくは30分〜24時間、さらに好ましくは1〜20時間である。
しかし、いずれの方法も、クロム触媒と有機アルミニウム化合物を反応器に別々に供給しながら連続生産を行うものであるから、連続的に供給するクロム触媒とアルキルアルミニウムアルコキシド化合物の量とその比率を正確に調整しなければ、得られるポリエチレン系樹脂の重合活性や分子量が変動して同一規格の成形品を連続的に生産することは困難となる。
本発明の有機アルミニウム化合物担持クロム触媒は、電子線プローブマイクロアナライザー(Electron Probe Micro Analyzer ;以下、EPMAと略する。)を用いてその構造・形態が解析される。なお、EPMAは、以下のような原理を持った装置である。
直径1μm以下に絞り加速させた電子線を試料表面にあて、そこから出てくる特性X線を、X線分光器で測定する。特性X線は、各元素の原子核を取り巻く内殻電子の遷移によって発生するX線で、元素に固有な幾つかの波長(エネルギー)としてあらわれる。よって特性X線の波長から元素の種類が、その強度から元素の含有量がわかる。
その結果を図2に示す。この結果より、ケイ素原子が触媒粒子内部よりも触媒粒子表面に多く集中して存在していること、そして、アルミニウム原子が触媒表面に集中して存在していることがわかる。この結果はシリカゲルが触媒粒子内部よりも触媒粒子表面に存在していること、そしてアルミニウムアルコキシドを反応させた時、触媒表面に集中して反応していることを示している。
この有機アルミニウム化合物担持クロム触媒は、一つのシリカ粒子の中で有機アルミニウム化合物が存在していない内側部分(部分A)と、有機アルミニウムによって少なくとも一部のクロム原子が還元されている表面部分(部分B)を有しており、その意味でこの触媒は、「擬似二元系触媒」と呼ぶことができる(図1参照。)。アルミニウム原子は、担体表面に多く存在しているということから、模擬的に図示すると、図1のようになる。
実際、加える有機アルミニウム化合物の量を増やしていくと、生成ポリエチレンのHLMFR(ハイロードメルトフローレート、温度190℃、荷重21.6kg)が大きくなる、すなわち平均分子量が小さくなっていくということが確かめられている。有機アルミニウム化合物と全く反応していない部分A(内側部分)から生成する重合ポリマーよりも低分子量成分の山をもったポリマーが、少なくとも一部分は有機アルミニウム化合物によって還元されている部分B(表面部分)からは生成しているのではないかと考えられる。
つまり、ひとつの触媒で二種類の異なった性質をもつ分子量分布を掛け持ちしたポリエチレンが作られるのである。結果として、有機アルミニウム化合物を加えていないクロム触媒から得られるポリエチレンと比べると、擬似二元系触媒である本発明の触媒からは広い分子量分布を持つポリエチレンが得られる。実際、有機アルミニウム処理をした触媒を用いたとき、有機アルミニウム処理をしていない触媒と比べると、分子量分布が広いポリマーが得られており、ポリマーの耐久性の向上が期待できる。(表1の実施例1〜5と比較例1〜5の比較)。
本発明の触媒によって、微粉量が少なく、粒子性状の良く、かつ耐久性の向上に好ましい広い分子量分布をもったポリマーが得られる。
1.エチレン系重合体の重合
上記の有機アルミニウム担持クロム触媒を用いて、エチレン系重合体の製造を行うに際しては、スラリー重合、溶液重合のような液相重合法あるいは気相重合法など、いずれの方法を採用することができる。
液相重合法は、通常炭化水素溶媒中で行う。炭化水素溶媒としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素の単独または混合物が用いられる。
本発明のエチレン系重合体及びエチレン系重合体粒子は、上記[II]のエチレン系重合体の製造方法によって製造される。
該エチレン系重合体は、エチレン単独重合体の場合もあるし、コモノマーとしてプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンなどのα−オレフィンを1種類以上含むエチレン・α−オレフィン共重合体の場合もあり、この時得られるエチレン・α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含量は15mol%以下、好ましくは10mol%以下が望ましい。α―オレフィンとしては好ましくは1−ブテン、1−ヘキセン、さらに好ましくは1−ヘキセンが好適に用いられる。また上述のように少量のジエン類やスチレン類等の改質用モノマーを含有することもできる。
密度が0.900g/cm3未満であると、中空プラスチック成形品の剛性が不足し、0.980g/cm3を越えると中空プラスチック成形品の耐久性が不足する。密度は、α−オレフィンの種類や含有量の制御などの方法で調整することができる。例えば、ポリエチレン系樹脂中のα−オレフィン含有量を低くする(重合時のα−オレフィン添加量を低くする)、又は同じ含有量であれば、炭素数の小さいα−オレフィンを用いることにより、密度を高くすることができる。密度は、JIS K−7112に準拠し、ペレットを温度160℃の熱圧縮成形機により溶融後25℃/分の速度で降温し、厚み2mmtのシートを成形し、このシートを温度23℃の室内で48時間状態調節した後、密度勾配管に入れ測定したものである。
[ゲル透過クロマトグラフ(GPC)測定条件]
装 置:Waters社製150Cモデル、
カラム:昭和電工社製Shodex−HT806M、
溶 媒:1,2,4−トリクロロベンゼン、
温 度:135℃、
単分散ポリスチレンフラクションを用いてユニバーサル評定。
分子量Mの感度=a+b/M
(式中、a、bは、定数であって、a=1.032、b=189.2である。)
得られたエチレン系重合体は、次いで混練することも好ましい。単軸又は二軸の押出機又は連続式混練機を用いて行われる。上記の方法により製造されたエチレン系重合体は、1種類でも複数種類を混合して使用してもよく、常法に従い、ペレタイザーやホモジナイザー等による機械的な溶融混合によりペレット化した後、各種成形機により成形を行って所望の成形品とすることができるが、本発明で製造されるエチレン系重合体粒子は、そのきわめて良好な粉体粒子性状を活用することにより、ペレット化を経ることなく、直接各種成形機に供給して成形を行って所望の成形品とすることも可能であり、ペレット化の工程を省略することが可能であるので省エネルギー化の観点で非常に好ましい。
添加剤として、例えば、酸化防止剤(フェノール系、リン系、イオウ系)、滑剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等を1種又は2種以上適宜併用することができる。充填材としては、炭酸カルシウム、タルク、金属粉(アルミニウム、銅、鉄、鉛など)、珪石、珪藻土、アルミナ、石膏、マイカ、クレー、アスベスト、グラファイト、カーボンブラック、酸化チタン等が使用可能である。いずれの場合でも、上記ポリエチレン系樹脂に、必要に応じ各種添加剤を配合し、混練押出機、バンバリーミキサー等にて混練し、成形用材料とすることができる。
本発明のエチレン系重合体及びエチレン系重合体粒子は、特に限定されず、従来からの公知の多層中空成形機を用いて押出ブロー成形法により成形することができる。例えば、複数の押出機で各層の構成樹脂を加熱溶融させた後、多層のダイにより溶融パリソンを押出し、次いでこのパリソンを金型で挟み、パリソンの内部に空気を吹き込むことにより、多層の中空プラスチック成形品が製造される。
さらに、本発明のエチレン系重合体及びエチレン系重合体粒子には、必要に応じて目的を損なわない範囲で、帯電防止剤、酸化防止剤、中和剤、滑剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、有機あるいは無機系顔料、充填剤、無機フィラー、紫外線防止剤、分散剤、耐候剤、架橋剤、発泡剤、難燃剤などの公知の添加剤を添加することができる。
また、本発明のエチレン系重合体及びエチレン系重合体粒子は、具体的には、製品としては、燃料タンク等のタンク、灯油缶、ドラム缶、薬品用容器、農薬用容器、溶剤用容器、各種プラスチックボトル等の製品、特に自動車用燃料タンクとして供され、或いは本発明の中空プラスチック成形品の用途としては、燃料タンク等のタンク、灯油缶、ドラム缶、薬品用容器、農薬用容器、溶剤用容器、各種プラスチックボトル等が挙げられ、特に自動車用燃料タンクとして用いられるのが最も好ましい。
(i)物性測定のためのポリマー前処理:
添加剤として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の酸化防止剤とリン系安定剤のブレンド物である「IRGANOX B225」を0.2重量%添加し、単軸押出機にて混練し、ペレタイズした。
(ii)ハイロードメルトフローレート(HLMFR):
JIS K7210(2004年版)の附属書A表1―条件Gに従い、試験温度190℃、公称荷重21.60kgおける測定値をHLMFRとして示した。
(iii)密度:
JIS K7112(2004年版)に従い、測定した。
(iv)分子量分布(Mw/Mn):
生成エチレン系重合体について、下記の条件でゲル透過クロマトグラフ(GPC)を行ない、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を求めて、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
装置:Waters 150Cモデル、
カラム:Shodex−HT806M、
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン、
温度:135℃、
単分散ポリスチレンフラクションを用いてユニバーサル評定。
MwのMnに対する比率(Mw/Mn)で示される分子量分布(Mw/Mnが大きいほど分子量分布が広い)については、「サイズ排除クロマトグラフィー(高分子の高速液体クロマトグラフィー)」(森定雄著,共立出版,96頁)に記載された分子量と検出器感度の式にn−アルカンおよびMw/Mn≦1.2の分別直鎖ポリエチレンのデータを当てはめて、次式で示される分子量Mの感度を求め、サンプル実測値の補正を行った。
分子量Mの感度=a+b/M
(a、bは定数で、a=1.032、b=189.2である。)
触媒の試料を樹脂包埋後、研磨紙(粒度#1500〜#4000)を用いて研磨した。その後、ダイヤモンド懸濁液(粒度1μm)で更に研磨した。Au蒸着(約300Å)後、島津製作所(株)社製EPMA−1600でマッピング分析を行った。その結果を図2に示した。
加速電圧(ACC.V):15kV
ビーム電流:50nA
ビーム径:1μm
測定時間:50msec
測定面積:512*512μm
分光結晶:Al;RAP(酸性フタル酸ルビジウム)C6H4(COOH)(COORb)
Si;PET(ペンタ・エリスリトール)C(CH2OH)4
Cr;LiF(フッ化リチウム)
(1)レーザー回折散乱法による粒子の粒径分布の測定
粉体試料を以下の条件にて粒径分布の測定を行った。
装置名:日機装(株)社製MICROTRAC MT3000型
屈折率:粒子1.81、ヘキサン溶媒1.38
測定時間:30s
内径75mmの標準篩7個(目開き45μm、90μm、180μm、355μm、710μm、1400μm、2800μm)に製品粒子5.0gを入れ、10分間振とうした。
(1)クロム触媒前駆体の調製
攪拌装置付き1Lフラスコにシリカゲル(水澤化学工業社製;商品名 MST190801)50gとイオン交換水200mLを加え、回転数50rpmで攪拌しながら、オイルバスにて50℃に加温した。ここへ、別途調製した酢酸クロム(III)(和光純薬製)2.2gをイオン交換水70mLに溶解した水溶液全量を添加し、回転数を150rpmに上げて4時間攪拌を継続することによりクロム化合物をシリカゲルによく含浸させた。次に、オイルバス温度を155℃として水を全量留去した後、更に120℃で一晩乾燥して、緑白色を呈した流動性のよいクロム触媒前駆体粒子を得た。
上記(1)で得たクロム触媒前駆体粒子15gを多孔板目皿付き、管径5cmの石英ガラス管に入れ、円筒状焼成用電気炉にセットし、モレキュラーシーブスを通した空気にて流動化させ、線速6cm/sにて500℃で18時間焼成活性化を行った。6価のクロム原子を含有することを示すオレンジ色のクロム触媒が得られた。
予め窒素置換した100mlのフラスコに、上記(2)で得られたクロム触媒2gを入れ、蒸留精製したヘキサン15mlを加えスラリーとした。東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を4.6ml(Al/Crモル比=1.2)添加し、40℃で2時間攪拌した。攪拌終了後直ちに減圧下で30分かけて溶媒を除去し、さらさらの自由流動性(free flowing)のジエチルアルミニウムエトキシド化合物担持クロム触媒を得た。触媒は緑色であり、6価のクロムが還元されていることを示す。
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに上記(2)で得られたジエチルアルミニウムエトキシド化合物担持クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を98℃まで昇温した。1−ヘキセン6.0gをエチレンで加圧導入し、エチレン分圧を1.0MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が4000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、重合ポリマーのHLMFR、密度、分子量(Mn、Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、の測定結果等を表1、2に示した。
実施例1で用いたシリカゲル(水澤化学工業社製;商品名 MST190801)の代わりに、シリカゲル(水澤化学工業社製;商品名 MST191201)を用いた以外は、全て実施例1と同様に行った。重合結果、重合ポリマーのHLMFR、密度、分子量(Mn、Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、の測定結果等を表1、2に示した。
実施例1で用いたシリカゲル(水澤化学工業社製;商品名 MST190801)の代わりに、シリカゲル(水澤化学工業社製;商品名 MST210601)を用いた以外は、全て実施例1と同様に行った。重合結果、重合ポリマーのHLMFR、密度、分子量(Mn、Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、の測定結果等を表1、2に示した。
また、ここで得られたジエチルアルミニウムエトキシド化合物担持クロム触媒について、電子プローブマイクロアナライザーによって触媒分析を行った結果を図2に示す。
実施例1で用いたシリカゲル(水澤化学工業社製;商品名 MST190801)の代わりに、グレース社製球形シリカゲル(イ)を用い、また加えるジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を4.6ml(Al/Crモル比=1.2)から19ml(Al/Crモル比=5)に代えた以外は、実施例1(1)、(2)、(3)と同様にしてジエチルアルミニウムエトキシド化合物担持クロム触媒を調製した。
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに、このジエチルアルミニウムエトキシド化合物担持クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、重合ポリマーのHLMFR、密度、分子量(Mn、Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、の測定結果等を表1、2に示した。
実施例1で用いたシリカゲル(水澤化学工業社製;商品名 MST190801)の代わりに、グレース社製球形シリカゲル(ロ)を用い、また加えるジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を4.6ml(Al/Crモル比=1.2)から19ml(Al/Crモル比=5)に代えた以外は、実施例1(1)、(2)、(3)と同様にしてジエチルアルミニウムエトキシド化合物担持クロム触媒を調製した。
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに、このジエチルアルミニウムエトキシド化合物担持クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、重合ポリマーのHLMFR、密度、分子量(Mn、Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、の測定結果等を表1、2に示した。
また、ここで得られたジエチルアルミニウムエトキシド化合物担持クロム触媒について、電子プローブマイクロアナライザーによって触媒分析を行った結果を図2に示す。
(1)クロム触媒前駆体の調製
攪拌装置付き1Lフラスコにシリカゲル(水澤化学工業社製;商品名 MST190801)50gとイオン交換水200mLを加え、回転数50rpmで攪拌しながら、オイルバスにて50℃に加温した。ここへ、別途調製した酢酸クロム(III)(和光純薬製)2.2gをイオン交換水70mLに溶解した水溶液全量を添加し、回転数を150rpmに上げて4時間攪拌を継続することによりクロム化合物をシリカゲルによく含浸させた。次に、オイルバス温度を155℃として水を全量留去した後、更に120℃で一晩乾燥して、緑白色を呈した流動性のよいクロム触媒前駆体粒子を得た。
上記(1)で得たクロム触媒前駆体粒子15gを多孔板目皿付き、管径5cmの石英ガラス管に入れ、円筒状焼成用電気炉にセットし、モレキュラーシーブスを通した空気にて流動化させ、線速6cm/sにて500℃で18時間焼成活性化を行った。6価のクロム原子を含有することを示すオレンジ色のクロム触媒が得られた。
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに上記(2)で得られたジエチルアルミニウムエトキシド化合物担持クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を98℃まで昇温した。1−ヘキセン6.0gをエチレンで加圧導入し、エチレン分圧を1.0MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が4000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、重合ポリマーのHLMFR、密度、分子量(Mn、Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、の測定結果等を表1、2に示した。
比較例1で用いたシリカゲル(水澤化学工業社製;商品名 MST190801)の代わりに、シリカゲル(水澤化学工業社製;商品名 MST191201)を用いた以外は、全て比較例1と同様に行った。重合結果、重合ポリマーのHLMFR、密度、分子量(Mn、Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、の測定結果等を表1、2に示した。
比較例1で用いたシリカゲル(水澤化学工業社製;商品名 MST190801)の代わりに、シリカゲル(水澤化学工業社製;商品名 MST210601)を用いた以外は、全て比較例1と同様に行った。重合結果、重合ポリマーのHLMFR、密度、分子量(Mn、Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、の測定結果等を表1、2に示した。
比較例1で用いたシリカゲル(水澤化学工業社製;商品名 MST190801)の代わりに、グレース社製球形シリカゲル(イ)を用いた以外は、比較例1(1)、(2)と同様にして焼成活性化クロム触媒を調製した。
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに、この焼成活性化クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、重合ポリマーのHLMFR、密度、分子量(Mn、Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、の測定結果等を表1、2に示した。
比較例1で用いたシリカゲル(水澤化学工業社製;商品名 MST190801)の代わりに、グレース社製球形シリカゲル(ロ)を用いた以外は、比較例1(1)、(2)と同様にして焼成活性化クロム触媒を調製した。
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに、この焼成活性化クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、重合ポリマーのHLMFR、密度、分子量(Mn、Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、の測定結果等を表1、2に示した。
(1)クロム触媒の焼成活性化
グレース社製のクロム触媒前駆体粒子(HA30W)を15g多孔板目皿付き、管径5cmの石英ガラス管に入れ、円筒状焼成用電気炉にセットし、モレキュラーシーブスを通した空気にて流動化させ、線速6cm/sにて500℃で18時間焼成活性化を行った。6価のクロム原子を含有することを示すオレンジ色のクロム触媒が得られた。
予め窒素置換した100mlのフラスコに、上記(1)で得られたクロム触媒2gを入れ、蒸留精製したヘキサン15mlを加えスラリーとした。東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を4.6ml(Al/Crモル比=1.2)添加し、40℃で2時間攪拌した。攪拌終了後直ちに減圧下で30分かけて溶媒を除去し、さらさらの自由流動性(free flowing)のジエチルアルミニウムエトキシド化合物担持クロム触媒を得た。触媒は緑色であり、6価のクロムが還元されていることを示す。
ここで得られたジエチルアルミニウムエトキシド化合物担持クロム触媒について、電子プローブマイクロアナライザーによって触媒分析を行った結果を図2に示す。
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに上記(2)で得られたジエチルアルミニウムエトキシド化合物担持クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、重合ポリマーのHLMFR、密度、分子量(Mn、Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、の測定結果等を表1、2に示した。
触媒として、比較例6(2)で得られたジエチルアルミニウムエトキシド化合物担持クロム触媒の代わりに、比較例6(1)で得られた活性化クロム触媒を用いた以外は、比較例(3)と同様にして、重合を行った。重合結果、重合ポリマーのHLMFR、密度、分子量(Mn、Mw)、分子量分布(Mw/Mn)、の測定結果等を表1、2に示した。
このことから、本発明で提供されている触媒は、有機アルミニウム処理の効果によって、耐久性向上に好ましい広い分子量分布をもつポリマーが得られたと考えられる。
また、比較例6、7では、触媒粒子の粒径分布は広くなったものを使った場合も優れた重合活性を示しているが、ポリマー微粉量が多い。
以上から、本発明の触媒によって、重合活性、触媒粒子性状に優れ、かつ、パウダー粒子性状、溶融流動性に優れたエチレン系重合体粒子を製造することができることが判る。
したがって、このようなエチレン系重合体粒子を安定にかつ効率的に製造する本発明のエチレン重合用触媒の工業的価値は極めて大きい。
Claims (11)
- 無機酸化物担体(a)にクロム化合物(b)を少なくとも一部のクロム原子が6価となる状態で担持させた後、さらに有機アルミニウム化合物(c)を担持させてなるクロム触媒であって、
無機酸化物担体(a)は、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いて、触媒粒子の断面におけるケイ素原子含量を測定したとき、触媒粒子表面に存在するケイ素原子検出量が、触媒粒子内部に存在するケイ素原子より多い粒子構造を有し、かつ、
有機アルミニウム化合物(c)は、無機酸化物担体(a)の表面に集中して存在することを特徴とするエチレン重合用触媒。 - 電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いて、触媒粒子の断面におけるアルミニウム原子含量を測定したとき、触媒粒子表面に存在するアルミニウム原子検出量が、触媒粒子内部に存在するアルミニウム原子より多いことを特徴とする請求項1に記載のエチレン重合用触媒。
- 無機酸化物担体(a)の表面に有機アルミニウム化合物(c)が存在することにより、少なくとも一部の6価のクロム原子が還元されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエチレン重合用触媒。
- 無機酸化物担体(a)は、凝集成長法で合成した非晶質シリカの定形粒子を主成分とするコアと、シリカヒドロゲルを微粉砕して得られた非晶質シリカ微粒子を主成分とするシェルから構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエチレン重合用触媒。
- 前記エチレン重合用触媒は、下記(イ)〜(ハ)の工程により製造されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエチレン重合用触媒。
(イ):無機酸化物担体(a)にクロム化合物(b)を担持し、非還元性雰囲気において焼成活性化する
(ロ):クロム化合物(b)を担持した無機酸化物担体(a)に、さらに有機アルミニウム化合物(c)を不活性炭化水素溶媒中で担持させる
(ハ):最後に、前記不活性炭化水素溶媒を除去・乾燥させる - 前記無機酸化物の主成分は、シリカであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエチレン重合用触媒。
- 無機酸化物担体(a)は、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸を反応させてシリカゾルとし、固形物を分離、乾燥して得られたものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のエチレン重合用触媒。
- 無機酸化物担体(a)の粒径分布は、粒子径が250μm以上の粒子が全体の0.3重量%以下、メディアン粒径の1/10倍の粒径以下の粒子が全体の0.3重量%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエチレン重合用触媒。
- 有機アルミニウム化合物(c)は、ジアルキルアルミニウムアルコキシドであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のエチレン重合用触媒。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のエチレン重合用触媒を用いて、エチレン単独重合又はエチレンとα−オレフィンとの共重合を行うことを特徴とするエチレン系重合体の製造方法。
- 前記α−オレフィンは、炭素数が3〜8であることを特徴とする請求項10に記載のエチレン系重合体の製造方法。
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