JP5581305B2 - エチレン重合用触媒、それを用いたポリエチレンの製造方法、並びにブロー成形製品用ポリエチレン及び大型ブロー成形製品用ポリエチレン - Google Patents
エチレン重合用触媒、それを用いたポリエチレンの製造方法、並びにブロー成形製品用ポリエチレン及び大型ブロー成形製品用ポリエチレン Download PDFInfo
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Description
ポリエチレンについて、トリアルキルアルミニウム化合物担持クロム触媒を用い、水素を共存させながら重合を行うことにより、ブロー成形品、特に大型ブロー成形品に適したポリエチレンを製造する方法が提案されている(特許文献1参照。)。また、該文献1には、ジアルキルアルミニウムアルコキシド化合物担持クロム触媒を用いてポリエチレンを製造する方法も開示されている(比較例13)。
しかしながら、トリアルキルアルミニウム化合物を用いた場合、副生物として1−ヘキセンを生じやすくなる。そのため、この製造方法によって、一定密度のポリエチレンをプラントスケールで常時生産することは難しい。また、特許文献1、2に開示されているポリエチレン製造法によって、現在要求されている中空プラスチック成形品、特に自動車用燃料タンクに適した剛性と耐久性のバランスをもつポリエチレンが得られるとはいい難い。
また、クロム化合物を無機酸化物担体に担持し、非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子を6価としたクロム触媒及び特定の有機アルミニウム化合物(アルコキシド、シロキシド等)からなることを特徴とするポリエチレン製造触媒(特許文献4参照。)が提案されており、その際、得られたポリエチレンが、ESCRまたは耐クリープ性に優れていることも開示されている。
しかしながら、特許文献3〜6に開示されているポリエチレンの製造法で得られるポリエチレンの分子量分布は、いずれもそれほど広くなく、現在要求されている中空プラスチック成形品、特に自動車用燃料タンクに適した剛性と耐久性のバランスをもつポリエチレンが得られるとはいい難い。
しかしながら特許文献8、9に開示されているポリエチレンの製造方法では、エチレン重合活性はそれほど高くなく、有機アルミニウムを使用するための触媒製造コストを考慮すると、重合活性を改良する必要がある。
これらは、自動車メーカーの厳しい要求に応え、市場での評価を得た材料であるが、耐久性と剛性のバランス、耐衝撃性、成形性のレベルが必ずしも十分に高いレベルであるとは言えない。
(イ):無機酸化物担体(a)にクロム化合物(b)を担持し、非還元性雰囲気において焼成活性化する
(ロ):クロム化合物(b)を担持した無機酸化物担体(a)に、さらに有機マグネシウム化合物(c−1)またはアルモキサン系化合物(c−2)から選ばれる第1の金属化合物を不活性炭化水素溶媒中で担持させる
(ハ):次いで有機アルミニウム化合物(d)から選ばれる第2の金属化合物を不活性炭化水素溶媒中で担持させる
(ニ):最後に、前記不活性炭化水素溶媒を除去・乾燥させる
(1)第4の発明において、(イ)工程における焼成活性化は、300〜950℃、好ましくは325〜800℃、さらに好ましくは350〜650℃の温度で行うことを特徴とするエチレン重合用触媒。
(2)第4の発明において、有機アルミニウム化合物(d)の担持量は、クロム原子に対する有機アルミニウム化合物のモル比が0.01〜20、好ましくは0.03〜15、更に好ましくは0.05〜10であることを特徴とするエチレン重合用触媒。
(3)第4の発明において、有機マグネシウム化合物(c−1)あるいはアルモキサン系化合物(c−2)から選ばれる第1の金属化合物の担時量は、クロム原子に対する第1の金属化合物のモル比が0.01〜5、好ましくは0.05〜4、更に好ましくは0.10〜3であることを特徴とするエチレン重合用触媒。
本発明のエチレン重合用触媒は、無機酸化物担体(a)にクロム化合物(b)を少なくとも一部のクロム原子が6価となる状態で担持させた後、さらに有機マグネシウム化合物(c−1)またはアルモキサン系化合物(c−2)から選ばれる第1の金属化合物、および有機アルミニウム化合物(d)から選ばれる第2の金属化合物を順次または同時に担持させてなるクロム触媒であって、前記第1の金属化合物および第2の金属化合物、あるいは第2の金属化合物は、無機酸化物担体(a)の表面に集中して存在していることを特徴とする。
ところで、本発明のエチレン重合用触媒は、有機金属化合物担持クロム触媒であるが、その前駆体となる無機酸化物担体にクロム化合物を担持し、非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子が6価となるクロム触媒は、一般にフィリップス触媒として知られており公知である。
(i)M.P.McDaniel著,Advances in Catalysis,Volume 33,47頁,1985年,Academic Press Inc.
(ii)M.P.McDaniel著,Handbook of Heterogeneous Catalysis,2400頁,1997年,VCH
(iii)M.B.Welchら著,Handbook of Polyolefins:Synthesis and Property
無機酸化物担体としては、周期律表第2、4、13または14族の金属の酸化物を用いることができる。具体的には、マグネシア、チタニア、ジルコニア、アルミナ、シリカ、トリア、シリカ−チタニア、シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナまたはこれらの混合物が挙げられる。
耐久性及び耐衝撃性が共に優れた自動車用燃料タンク用途には、無機酸化物担体として、シリカのみのほうが好ましい。シリカ以外のものを担体として用いたとき、重合活性が低下し、ポリエチレンの低分子量成分の増加が原因であると考えられるが、耐衝撃性が低下する傾向にある。
(i)C.E.Marsden著,Preparation of Catalysts,Volume V,215頁,1991年,Elsevier Science Publishers
(ii)C.E.Marsden著,Plastics,Rubber and Composites Processing and Applications,Volume 21,193頁,1994年
また、担体の平均粒径としては、10〜200μm、好ましくは20〜150μm、さらに好ましくは30〜100μmの範囲のものが用いられる。上記範囲を外れると、ESCR及び耐衝撃性のバランスがとりにくくなる。
上記無機酸化物担体(a)にクロム化合物(b)を担持させる。クロム化合物としては、担持後に非還元性雰囲気で焼成活性化することにより少なくとも一部のクロム原子が6価となる化合物であればよく、酸化クロム、クロムのハロゲン化物、オキシハロゲン化物、クロム酸塩、重クロム酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、硫酸塩、クロム−1,3−ジケト化合物、クロム酸エステル等が挙げられる。
フッ素化合物の含有方法(フッ素化)は、溶媒中でフッ素化合物溶液を含浸させた後、溶媒を留去する方法、あるいは溶媒を用いずにフッ素化合物を昇華させる方法など、公知の方法によって行うことができ、使用するクロム化合物の種類によって、適宜好適な方法を用いればよい。無機酸化物担体にクロム化合物を担持してからフッ素化合物を含有させてもよいし、フッ素化合物を含有させてからクロム化合物を担持してもよいが、クロム化合物を担持してからフッ素化合物を含有させる方が好ましい。
フッ素化合物の含有量は、フッ素原子の含有量として、0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜8重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。
これらを、水又はアルコールなどの有機溶媒に溶解させた後、クロム触媒に含浸させるのが均一性の観点から好ましいが、固体のままクロム触媒と混合するだけでもよい。溶解して含浸させる場合は、表面張力による細孔体積の縮小(shrinkage)を抑えるために、アルコールなどの有機溶媒を用いるのがより好ましい。また、溶媒を用いた場合は、風乾、真空乾燥、スプレードライなど、既知の方法によって、溶媒を飛ばして乾燥させる。
(NH4)2SiF6 → 2NH3 + 2HF + SiF4
Si−OH + HF → Si−F + H2O
Si−OH + SIF4 → Si−O−SiF3 + HF
2Si−OH + SiF4 → (Si−O)2SiF2 + 2HF
クロム化合物の担持後、場合によっては、さらにフッ素化合物を担持した後、焼成して活性化処理を行う。焼成活性化は、通常300〜950℃、好ましくは325〜800℃、さらに好ましくは350〜650℃の温度で行う。焼成活性化を300℃未満で行うと、重合活性がでない。950℃を超える温度で行うと、シリカの細孔構造がつぶれていくシンタリング現象がおこり活性がでなくなる。焼成活性化は、水分を実質的に含まない非還元性雰囲気、例えば、酸素または空気下で行うことができる。この際、不活性ガスを共存させてもよい。好ましくは、モレキュラーシーブス等を流通させ十分に乾燥した空気を用い、流動状態下で行う焼成活性化により無機酸化物担体に担持されたクロム化合物のクロム原子が少なくとも一部は6価に酸化されて担体上に化学的に固定される。
(i)C.E.Marsden著,Plastics,Rubber and Composites Processing and Applications,Volume 21,193頁,1994年
(ii)T.Pullukatら著,J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.,Volume 18, 2857頁,1980年
(iii)M.P.McDanielら著,J.Catal.,Volume 82,118頁,1983年
本発明においては、焼成活性化したクロム触媒に、不活性炭化水素溶媒中で有機マグネシウム化合物(c−1)またはアルモキサン系化合物(c−2)から選ばれる第1の金属化合物、および有機アルミニウム化合物(c)から選ばれる第2の金属化合物を順次または同時に担持し、さらに溶媒を除去・乾燥することにより、目的とする有機金属化合物担持クロム触媒が得られる。
有機マグネシウム化合物(c−1)あるいはアルモキサン系化合物(c−2)の担持量は、クロム原子に対する有機金属化合物のモル比が0.01〜5であり、好ましくは0.05〜4、更に好ましくは0.1〜3である。このとき、有機マグネシウム化合物あるいはアルモキサン系化合物を担持しない場合に比べて、エチレン重合活性が大幅に向上する。このモル比が0.01未満では、この種の有機金属化合物を担持した効果が十分には発現されず、エチレン重合活性、耐久性はこの種の有機金属化合物を担持しない場合とさほど変わらない。一方、このモル比が5を超えると、エチレン重合活性がこの種の有機金属化合物を担持しない場合よりも、低下する。
本発明において用いられる有機マグネシウム化合物(c−1)としては、例えば、ジアルキルマグネシウム化合物や、アルキルハロゲン化マグネシウム化合物 RMgX(Rはアルキル基、フェニル基、Xはハロゲン基)が挙げられる。
ジアルキルマグネシウムの具体例としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジn−プロピルマグネシウム、ジn−ブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ジイソブチルマグネシウム、ジn−ヘキシルマグネシウム、ジオクチルマグネシウム等が挙げられる。
アルキルハロゲン化マグネシウム化合物の具体例としては、メチルマグネシウムブロマイド、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムクロライド、n−ブチルマグネシウムブロマイド、n−ブチルマギネシウムクロライド、sec−ブチルマグネシウムクロライド、t−ブチルマグネシウムクロライド、フェニルマグネシウムブロマイド、フェニルマグネシウムクロライド、ベンジルマグネシウムクロライド、ビニルマグネシウムクロライド、シクロヘキシルマグネシウムクロライド、n−ブチルエチルマグネシウムが挙げられる。
上記に挙げた有機マグネシウム化合物の中で、ジアルキルマグネシウム化合物が好ましく、ジn−ブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウムがさらに好ましい。
アルモキサン系化合物は、分子中に、Al−O−Al結合を有し、その結合数は通常1〜100、好ましくは1〜50個の範囲にある。このようなアルモキサン系化合物は通常、有機アルミニウム化合物と水とを反応させて得られる生成物である。
有機アルミニウムと水との反応は、通常、不活性炭化水素(溶媒)中で行われる。不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及び芳香族炭化水素が使用できるが、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素を使用することが好ましい。
上記有機アルミニウム化合物は、2種以上混合して使用することもできる。トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムから調製されるものは修飾メチルアルモキサン(MMAO)ともよばれる。なお、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムとの使用割合は、適宜選択することができる。例としては、東ソーファインケム社製のトリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムを用いたMMAO−3Aグレード等が挙げられる。
本発明において、アルモキサン系化合物としては、活性改善の観点からトリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムから調製される修飾メチルアルモキサンが好ましく、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムから調製される修飾メチルアルモキサンがさらに好ましい。
本発明においては、前述したように、焼成活性化したクロム触媒に不活性炭化水素溶媒中で有機マグネシウム化合物(c−1)またはアルモキサン系化合物(c−2)から選ばれる第1の金属化合物、および有機アルミニウム化合物(c)から選ばれる第2の金属化合物を順次または同時に担持し、さらに溶媒を除去・乾燥して、得られた有機金属化合物担持クロム触媒を、重合触媒として用いる。
第2の金属化合物は、有機アルミニウム化合物(d)から任意に選択されるが、このような有機アルミニウム化合物としては、アルキルアルミニウムアルコキシド化合物が好ましい。
アルキルアルミニウムアルコキシド化合物は、次の一般式(1)で示される化合物である。
また、R3の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチル、n−ノニル、n−ウンデシル、シクロヘキシルなどが挙げられるが、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘプチルが好ましく、なかでもメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルが特に好ましい。
その具体例としては、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジn−ブチルアルミニウムメトキシド、ジi−ブチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジn−ブチルアルミニウムエトキシド、ジi−ブチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムn−プロポキシド、ジエチルアルミニウムn−プロポキシド、ジn−ブチルアルミニウムn−プロポキシド、ジi−ブチルアルミニウムn−プロポキシド、ジメチルアルミニウムi−プロポキシド、ジエチルアルミニウムi−プロポキシド、ジn−ブチルアルミニウムi−プロポキシド、ジi−ブチルアルミニウムi−プロポキシド、ジメチルアルミニウムn−ブトキシド、ジエチルアルミニウムn−ブトキシド、ジn−ブチルアルミニウムn−ブトキシド、ジi−ブチルアルミニウムn−ブトキシド、ジメチルアルミニウムi−ブトキシド、ジエチルアルミニウムi−ブトキシド、ジn−ブチルアルミニウムi−ブトキシド、ジi−ブチルアルミニウムi−ブトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(ジシクロプロピル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(ジシクロプロピル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(ジシクロプロピル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(ジシクロプロピル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(ジシクロブチル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(ジシクロブチル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(ジシクロブチル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(ジシクロブチル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(ジシクロペンチル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(ジシクロペンチル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(ジシクロペンチル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(ジシクロペンチル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(ジシクロヘキシル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(ジシクロヘキシル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(ジシクロヘキシル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(ジシクロヘキシル)メトキシド、ジメチルアルミニウムシクロプロポキシド、ジエチルアルミニウムシクロプロポキシド、ジn−ブチルアルミニウムシクロプロポキシド、ジi−ブチルアルミニウムシクロプロポキシド、ジメチルアルミニウムシクロブトキシド、ジエチルアルミニウムシクロブトキシド、ジn−ブチルアルミニウムシクロブトキシド、ジi−ブチルアルミニウムシクロブトキシド、ジメチルアルミニウムシクロペントキシド、ジエチルアルミニウムシクロペントキシド、ジn−ブチルアルミニウムシクロペントキシド、ジi−ブチルアルミニウムシクロペントキシド、ジメチルアルミニウムシクロへキソキシド、ジエチルアルミニウムシクロへキソキシド、ジn−ブチルアルミニウムシクロへキソキシド、ジi−ブチルアルミニウムシクロへキソキシドが挙げられる。
その具体例としては、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジn−ブチルアルミニウムメトキシド、ジi−ブチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジn−ブチルアルミニウムエトキシド、ジi−ブチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムn−プロポキシド、ジエチルアルミニウムn−プロポキシド、ジn−ブチルアルミニウムn−プロポキシド、ジi−ブチルアルミニウムn−プロポキシド、ジメチルアルミニウムn−ブトキシド、ジエチルアルミニウムn−ブトキシド、ジn−ブチルアルミニウムn−ブトキシド、ジi−ブチルアルミニウムn−ブトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロプロピル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロブチル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロペンチル)メトキシド、ジメチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシド、ジエチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシド、ジn−ブチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシド、ジi−ブチルアルミニウム(シクロヘキシル)メトキシドが挙げられる。
すなわち、一般式(2)で示されるジアルキルアルミニウムアルコキシドを合成するには、以下の式に示すようにトリアルキルアルミニウムとアルコールを1:1のモル比で反応させる方法、
これらの反応は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素中で行うことが好ましい。反応温度は、反応が進行するならば任意の温度でよいが、好ましくは0℃以上、さらに好ましくは20℃以上で行う。使用した溶媒の沸点以上で加熱し、溶媒の還流下で反応を行わせることは、反応を完結させる上でよい方法である。反応時間は任意でよいが、好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上行うのがよい。反応終了後は、そのまま冷却し、溶液のままクロム触媒との反応に供してもよいし、溶媒を除去して、反応生成物を単離してもよいが、溶液のまま用いるのが簡便で好ましい。
なお、ジアルキルアルミニウムアルコキシドの合成方法および物理的・化学的性質については、T.Moleら著,Organoaluminum Compounds,3rd.ed.,1972年,Elsevier,第8章等に詳しく書かれている。
このとき、触媒担体に担持する有機アルミニウム化合物(d)の量を上げることにより、エチレン重合したとき得られるポリエチレンのHLMFRは大きくなる。すなわち、流動性は大きくなる。特に大型ブロー成形製品用の流動性をもつポリエチレを得るためには、クロム原子に対する有機アルミニウム化合物(d)のモル比は、0.01〜2.0、好ましくは0.05〜1.8、更に好ましくは0.10〜1.5である。
したがって、担持反応の際の溶媒との接触時間をも含めて、溶媒との接触時間を極力短縮し、速やかに溶媒を分離・除去することが好ましい。速やかな溶媒の分離・除去によって、活性よく、耐久性と耐衝撃性とが向上したポリエチレンが得られるという効果を記載した技術文献は見当たらず、担持反応後に溶媒を速やかに分離することは、本発明の最も重要な特徴点の一つである。
担持反応終了後、溶媒を分離し乾燥終了するのに要する時間は、20時間以内が好ましく、さらに15時間以内が好ましく、特に10時間以内が好ましい。担持開始から溶媒除去・乾燥完了となるまでの合計の時間は、5分〜28時間、好ましくは30分〜24時間、さらに好ましくは1〜20時間である。
クロム化合物(b)として酢酸クロムを用いて、焼成活性化した時、シリカ表面で起きる反応を下記に示した。
シリカ表面のシラノール基と酢酸クロムが反応し、カルボキシル基は燃焼してしまい、クロム酸エステル構造となる。この焼成活性化したクロム触媒によるエチレン重合では、重合時にクロム酸エステル構造がエチレンによって還元される。この還元に要する時間を誘導時間という。エチレンによる還元反応によって、反応に示したようにクロム部分が重合活性前駆体構造になることで、エチレンの重合が開始される。
この加えた有機アルミニウム化合物が表面に集中して存在していることは、EPMAの結果からも支持されている。つまり、この有機アルミニウム化合物担持クロム触媒は、一つのシリカ粒子の中で有機アルミニウム化合物が存在していない内側部分(部分A)と、有機アルミニウムによって少なくとも一部のクロム原子が還元されている表面部分(部分B)を有しており、その意味でこの触媒は、「擬似二元系触媒」と呼ぶことができる(図1参照。)。アルミニウム原子は、担体表面に多く存在しているということから、模擬的に図示すると、図1のようになる。
実際、加える有機アルミニウム化合物の量を増やしていくと、生成ポリエチレンのHLMFR(ハイロードメルトフローレート、温度190℃、荷重21.6kg)が大きくなる、すなわち平均分子量が小さくなっていくということが確かめられている。有機アルミニウム化合物と全く反応していない部分A(内側部分)から生成する重合ポリマーよりも低分子量成分の山をもったポリマーが、少なくとも一部分は有機アルミニウム化合物によって還元されている部分B(表面部分)からは生成しているのではないかと考えられる。
つまり、ひとつの触媒で二種類の異なった性質をもつ分子量分布を掛け持ちしたポリエチレンが作られるのである。結果として、有機アルミニウム化合物を加えていないクロム触媒から得られるポリエチレンと比べると、擬似二元系触媒である本発明の触媒からは広い分子量分布を持つポリエチレンが得られる。
すなわち、ジエチルアルミニウムエトキシドに代表される、ジアルキルアルコキシド類をクロム触媒に加えることにより、加える前に比べて、触媒の共重合性が低下することは知られている。このことを「擬似二元系触媒」の考え方に照らし合わせて考えると、部分Aの共重合性は変わっていないが、部分Bの共重合性が低下することにより、全体の触媒として共重合性が低下したといえる。つまり、ジアルキルアルコキシド担持クロム触媒は、アルミニウム非担持クロム触媒と比べて、低分子量成分に分岐鎖が多く含まれていないポリエチレンを生成させる。
一般的にクロム触媒の欠点として、低分子量成分に比べて、高分子量成分に分岐が組み込まれにくいことが知られている。しかしながら、ジアルキルアルコキシド担持クロム触媒を使うことにより、低分子量成分の共重合性を低くし、全体に占める相対的な高分子量成分の分岐数を多くすることができるのである。
直径1μm以下に絞り加速させた電子線を試料表面にあて、そこから出てくる特性X線を、X線分光器で測定する。特性X線は、各元素の原子核を取り巻く内殻電子の遷移によって発生するX線で、元素に固有な幾つかの波長(エネルギー)としてあらわれる。よって特性X線の波長から元素の種類が、その強度から元素の含有量がわかる。
1.エチレンの重合方法
本発明に係る重合方法によれば、有機アルミニウム化合物を予めクロム触媒に担持し、クロム原子に対する有機アルミニウム化合物のモル比が常に一定の触媒を反応器中に供給するので、同一規格の成形品を安定的に連続生産することができる。
従って、本発明のエチレンの重合方法は、一定品質のポリエチレンを連続生産するのに好適な優れた方法である。
液相重合法は、通常炭化水素溶媒中で行う。炭化水素溶媒としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素の単独または混合物が用いられる。
本発明の方法により、HLMFRが0.1〜100g/10分、好ましくは0.5〜80g/10分、密度が0.900〜0.980g/cm3、好ましくは0.920〜0.970g/cm3のポリエチレンが得られる。
得られるポリエチレンは、耐衝撃性、耐久性が高く、バランスに優れるので、特にブロー成形製品、なかんずく大型ブロー成形製品で大きな効果を発揮する。ブロー成形製品用のポリエチレンのHLMFRは、1〜100g/10分、特に大型ブロー成形製品用のポリエチレンは、1〜15g/10分である。ブロー成形製品用のポリエチレンの密度は、0.935〜0.970g/cm3、特に大型ブロー成形製品用のポリエチレンの密度は、0.940〜0.955g/cm3である。
ポリエチレンの耐クリープ性を向上させるには、分子量分布を広くすることが重要である。すなわち、耐クリープ性を向上するには、分子量をなるべく高くするのが好ましいが、分子量が高過ぎると樹脂の成形ができなくなってしまうので、流れ性を付与するために、低分子量領域のポリエチレンも必要で、結果として分子量分布を広くする必要がある(J.Scheirs,W.Kaminsky編,Metallocene−based Polyolefins,Volume2,365頁,2000年,John Wiley & Sons参照。)。
しかし、賦活温度および/または重合温度を下げると、活性が低下するのが一般的であり、また同時にHLMFRも低下してしまうので(前出「ポリエチレン技術読本」、134頁参照。)、所定のHLMFRのポリエチレンを得るための経済的に製造可能な重合条件が設定できないことが多い。
しかし、例えば、本発明の有機金属化合物担持クロム触媒では、これが達成できる。すなわち、有機アルミニウム化合物を担持することにより、分子量が向上し、重合温度を下げて、より一層分子量分布を広げることができる。その結果、所定のHLMFR範囲の中で、Mw/Mn>20、好ましくはMw/Mn>25、さらに好ましくはMw/Mn>30とすることができ、しかも重合活性は、実用的に製造可能なレベルを保つことができる。またさらに、有機アルミニウム化合物とともに、有機マグネシウム化合物あるいはMAO系化合物を触媒系として併用することにより、活性を一段と上げることができるということがこの発明の重要なポイントである。
実施例および比較例において、使用した測定方法は以下の通りである。
(i)物性測定のためのポリマー前処理:
添加剤として、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の酸化防止剤とリン系安定剤のブレンド物である「IRGANOX B225」を0.2重量%添加し、単軸押出機にて混練し、ペレタイズした。
(ii)ハイロードメルトフローレート(HLMFR):
JIS K7210(2004年版)の附属書A表1―条件Gに従い、試験温度190℃、公称荷重21.60kgおける測定値をHLMFRとして示した。
(iii)密度:
JIS K7112(2004年版)に従い、測定した。
(iv)分子量分布(Mw/Mn):
生成ポリエチレンについて、下記の条件でゲル透過クロマトグラフ(GPC)を行ない、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を求めて、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
[ゲル透過クロマトグラフ測定条件]:
装置:Waters 150Cモデル、
カラム:Shodex−HT806M、
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン、
温度:135℃、
単分散ポリスチレンフラクションを用いてユニバーサル評定。
MwのMnに対する比率(Mw/Mn)で示される分子量分布(Mw/Mnが大きいほど分子量分布が広い)については、「サイズ排除クロマトグラフィー(高分子の高速液体クロマトグラフィー)」(森定雄著,共立出版,96頁)に記載された分子量と検出器感度の式にn−アルカンおよびMw/Mn≦1.2の分別直鎖ポリエチレンのデータを当てはめて、次式で示される分子量Mの感度を求め、サンプル実測値の補正を行った。
分子量Mの感度=a+b/M
(a、bは定数で、a=1.032、b=189.2である。)
(1)クロム触媒の調製
クロム原子担持量が1.1重量%、比表面積が500m2/g、細孔体積が1.5cm3/gを有する触媒−1(シリカに酢酸クロムを担持させた触媒)を15g用意し、多孔板目皿付き、管径5cmの石英ガラス管に入れ、円筒状焼成用電気炉にセットし、モレキュラーシーブスを通した空気にて流動化させ、線速6cm/sにて500℃で18時間焼成活性化を行った。6価のクロム原子を含有することを示すオレンジ色のクロム触媒が得られた。
(2)有機金属化合物担持クロム触媒
予め窒素置換した100mlのフラスコに、上記(1)で得られたクロム触媒2gを入れ、蒸留精製したヘキサン30mlを加えスラリーとした。アルドリッチ社製ジブチルマグネシウムの1.0mol/L−ヘプタン溶液を0.42ml(Mg/Crモル比=1.0)を加え40℃で1時間攪拌した。その次に、東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を0.8ml(Al/Crモル比=0.2)添加し、40℃で1時間攪拌した。攪拌終了後直ちに減圧下で30分かけて溶媒を除去し、粘性、湿り気のない自由流動性(free flowing)の有機金属化合物担持クロム触媒を得た。
(3)重合
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに上記(2)で得られた有機金属化合物担持クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。1−ヘキセン5.0gをエチレンで加圧導入し、エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
上記実施例1(2)において、アルドリッチ社製ジブチルマグネシウムの代わりに東ソー・ファインケム社製ブチルエチルマグネシウムの1.0mol/L−ヘプタン溶液を0.42ml(Mg/Crモル比=1.0)を用いた以外は、全て実施例1と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
上記実施例1(2)において、アルドリッチ社製ジブチルマグネシウムの代わりに東ソー・ファインケム社製MMAO−3Aの1.0mol/L−ヘキサン溶液を0.42ml(Al/Crモル比=1.0)を用いた以外は、全て実施例1と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
上記実施例1(2)において、東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を0.8ml(Al/Crモル比=0.2)ではなく、2.1ml(Al/Crモル比=0.5)加えた以外は、全て実施例1と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
上記実施例1(2)において、アルドリッチ社製ジブチルマグネシウムの代わりに東ソー・ファインケム社製ブチルエチルマグネシウムの1.0mol/L−ヘプタン溶液を0.42ml(Mg/Crモル比=1.0)、さらに、東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を0.8ml(Al/Crモル比=0.2)ではなく、2.1ml(Al/Crモル比=0.5)加えた以外は、全て実施例1と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
上記実施例1(2)において、アルドリッチ社製ジブチルマグネシウムの代わりに東ソー・ファインケム社製MMAO−3Aの1.0mol/L−ヘキサン溶液を0.42ml(Al/Crモル比=1.0)、さらに、東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を0.8ml(Al/Crモル比=0.2)ではなく、2.1ml(Al/Crモル比=0.5)加えた以外は、全て実施例1と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
上記実施例1(2)において、アルドリッチ社製ジブチルマグネシウムの代わりに東ソー・ファインケム社製ブチルエチルマグネシウムの1.0mol/L−ヘプタン溶液を0.42ml(Mg/Crモル比=1.0)、さらに、東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を0.8ml(Al/Crモル比=0.2)ではなく、1.2ml(Al/Crモル比=0.3)加えた以外は、全て実施例1と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
上記実施例1(2)において、アルドリッチ社製ジブチルマグネシウムの代わりに東ソー・ファインケム社製ブチルエチルマグネシウムの1.0mol/L−ヘプタン溶液を0.42ml(Mg/Crモル比=1.0)、さらに、東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を0.8ml(Al/Crモル比=0.2)ではなく、1.6ml(Al/Crモル比=0.4)加えた以外は、全て実施例1と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
上記実施例1(2)において、アルドリッチ社製ジブチルマグネシウムの代わりに東ソー・ファインケム社製MMAO−3Aの1.0mol/L−ヘキサン溶液を0.42ml(Al/Crモル比=1.0)、さらに、東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を0.8ml(Al/Crモル比=0.2)ではなく、8.4ml(Al/Crモル比=2.0)加えた以外は、全て実施例1と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに、上記実施例1(1)で得られた活性化クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに、上記実施例1(1)で得られた活性化クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。1−ヘキセン5.0gをエチレンで加圧導入し、エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
(1)クロム触媒の調製
実施例1(1)と同様の操作を行うことにより活性化クロム触媒を得た。
(2)有機金属化合物担持クロム触媒
上記(1)で得られたクロム触媒2gを入れ、蒸留精製したヘキサン30mlを加えスラリーとした。アルドリッチ社製ジブチルマグネシウムの1.0mol/L−ヘプタン溶液を0.08ml(Mg/Crモル比=0.2)を加え40℃で2時間攪拌した。攪拌終了後直ちに減圧下で30分かけて溶媒を除去し、粘性、湿り気のない自由流動性(free flowing)の有機金属化合物担持クロム触媒を得た。
(3)重合
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに上記(2)で得られた有機金属化合物担持クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
アルドリッチ社製ジブチルマグネシウムの1.0mol/L−ヘプタン溶液を0.08ml(Mg/Crモル比=0.2)ではなく、0.21ml(Mg/Crモル比=0.5)加えた以外は、全て比較例3と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
アルドリッチ社製ジブチルマグネシウムの1.0mol/L−ヘプタン溶液を0.08ml(Mg/Crモル比=0.2)ではなく、0.42ml(Mg/Crモル比=1.0)加えた以外は、全て比較例3と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに、比較例5で用いた有機金属化合物担持クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。1−ヘキセン5.0gをエチレンで加圧導入し、エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
アルドリッチ社製ジブチルマグネシウムの1.0mol/L−ヘプタン溶液を0.08ml(Mg/Crモル比=0.2)ではなく、東ソー・ファインケム社製MMAO−3Aの1.0mol/L−ヘキサン溶液を0.42ml(Al/Crモル比=1.0)を加えた以外は、全て比較例3と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
アルドリッチ社製ジブチルマグネシウムの1.0mol/L−ヘプタン溶液を0.42ml(Mg/Crモル比=1.0)ではなく、0.50ml(Mg/Crモル比=1.2)加えた以外は、全て比較例6と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
東ソー・ファインケム社製MMAO−3Aの1.0mol/L−ヘキサン溶液を0.42ml(Al/Crモル比=1.0)ではなく、0.84ml(Al/Crモル比=2.0)を加えた以外は、全て比較例7と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
東ソー・ファインケム社製MMAO−3Aの1.0mol/L−ヘキサン溶液を0.42ml(Al/Crモル比=1.0)ではなく、1.3ml(Al/Crモル比=3.0)を加えた以外は、全て比較例7と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
アルドリッチ社製ジブチルマグネシウムの1.0mol/L−ヘプタン溶液を0.08ml(Mg/Crモル比=0.2)ではなく、2.1ml(Mg/Crモル比=5.0)加えた以外は、全て比較例3と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに、比較例8で用いた有機金属化合物担持クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。1−ヘキセン5.0gをエチレンで加圧導入し、エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
アルドリッチ社製ジブチルマグネシウムの1.0mol/L−ヘプタン溶液を0.08ml(Mg/Crモル比=0.2)ではなく、東ソー・ファインケム社製MMAO−3Aの1.0mol/L−ヘキサン溶液を2.1ml(Mg/Alモル比=5.0)を加えた以外は、全て比較例3と同様の操作を行った。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
(1)クロム触媒の調製
実施例1(1)と同様の操作を行うことにより活性化クロム触媒を得た。
(2)有機金属化合物担持クロム触媒
上記(1)で得られたクロム触媒2gを入れ、蒸留精製したヘキサン30mlを加えスラリーとした。東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を0.8ml(Al/Crモル比=0.2)添加し、40℃で2時間攪拌した。攪拌終了後直ちに減圧下で30分かけて溶媒を除去し、粘性、湿り気のない自由流動性(free flowing)の有機金属化合物担持クロム触媒を得た。
(3)重合
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに上記(2)で得られた有機金属化合物担持クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
(1)クロム触媒の調製
実施例1(1)と同様の操作を行うことにより活性化クロム触媒を得た。
(2)ジエチルアルミニウムエトキサイド担持クロム触媒
上記(1)で得られたクロム触媒2gを入れ、蒸留精製したヘキサン30mlを加えスラリーとした。東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を5.1ml(Al/Crモル比=1.2)添加し、40℃で2時間攪拌した。攪拌終了後直ちに減圧下で30分かけて溶媒を除去し、粘性、湿り気のない自由流動性(free flowing)のジエチルアルミニウムエトキサイド担持クロム触媒を得た。
(3)重合
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに上記(2)で得られたジエチルアルミニウムエトキサイド担持クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに比較例12で用いたジエチルアルミニウムエトキサイド担持クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。1−ヘキセン5.0gをエチレンで加圧導入し、エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
(1)クロム触媒の調製
実施例1(1)と同様の操作を行うことにより活性化クロム触媒を得た。
(2)有機金属化合物担持クロム触媒
上記(1)で得られたクロム触媒2gを入れ、蒸留精製したヘキサン30mlを加えスラリーとした。東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの0.1mol/L−ヘキサン溶液を8.4ml(Al/Crモル比=2.0)添加し、40℃で2時間攪拌した。攪拌終了後直ちに減圧下で30分かけて溶媒を除去し、粘性、湿り気のない自由流動性(free flowing)の有機金属化合物担持クロム触媒を得た。
(3)重合
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに上記で得られたジエチルアルミニウムエトキサイド担持クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。1−ヘキセン5.0gをエチレンで加圧導入し、エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
(1)クロム触媒の調製
実施例1(1)と同様の操作を行うことにより活性化クロム触媒を得た。
(2)有機金属化合物担持クロム触媒
上記(1)で得られたクロム触媒2gを入れ、蒸留精製したヘキサン30mlを加えスラリーとした。東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの1.0mol/L−ヘキサン溶液を2.1ml(Al/Crモル比=5.0)添加し、40℃で2時間攪拌した。攪拌終了後直ちに減圧下で30分かけて溶媒を除去し、粘性、湿り気のない自由流動性(free flowing)の有機金属化合物担持クロム触媒を得た。
(3)重合
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに上記で得られたジエチルアルミニウムエトキサイド担持クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。エチレン分圧を1.4MPaとなるように保ちながら、触媒生産性が3000g−ポリマー/g−触媒となるように重合を行った。ついで内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、ポリマー物性については表1に示した。
(1)クロム触媒の調製
実施例1(1)と同様の操作を行うことにより活性化クロム触媒を得た。
(2)有機金属化合物担持クロム触媒
上記(1)で得られたクロム触媒2gを入れ、蒸留精製したヘキサン30mlを加えスラリーとした。東ソー・ファインケム社製ジエチルアルミニウムエトキシドの1.0mol/L−ヘキサン溶液を8.4ml(Al/Crモル比=20)添加し、40℃で2時間攪拌した。攪拌終了後直ちに減圧下で30分かけて溶媒を除去し、粘性、湿り気のない自由流動性(free flowing)の有機金属化合物担持クロム触媒を得た。
(3)重合
充分に窒素置換した2.0Lのオートクレーブに上記で得られたジエチルアルミニウムエトキサイド担持クロム触媒100mgおよびイソブタン0.8Lを仕込み、内温を100℃まで昇温した。エチレン分圧を1.4MPaとなるように保った。このときポリエチレンは得られなかった。
(1)クロム触媒の調製
クロム原子担持量が2重量%、比表面積が300m2/g、細孔体積が1.6cm3/gを有する触媒−2(シリカに三酸化クロムを担持させた触媒)を用意し、酸素を流通させながら、流動床で500℃で5時間焼成活性化を行った。
(2)ポリイソブチルアルモキサンの調製
トリイソブチルアルミニウムの1.0M/L−ヘキサン溶液50mlに氷冷下、窒素を吹き込み脱酸素した純水を20μlずつ、10分間かけて合計0.9ml添加した(水/Alモル比=1)。その後、室温で30分反応させることによりポリイソブチルアルモキサン−ヘキサン溶液を調製した。
(3)重合
充分に窒素置換した3.0Lのオートクレーブに上記(1)で得られた有機金属化合物担持クロム触媒80mgおよびヘキサン1.5Lを仕込み、(2)で得られたポリイソブチルアルモキサン1.0mmol、ジイソブチルアルミニウムプロポキシド0.5mmolを加え、さらに、内温を80℃まで昇温した。ヘキサンの蒸気圧は0.15MPaを示した。分圧で水素を0.4MPaとなるように加え、十分、安定したところで、エチレンを全圧が1.0MPaとなるように保ちながら加圧し重合を開始した。重合開始60分後内容ガスを系外に放出することにより重合を終結した。重合結果、については表1に示した。
この重合方法は、重合活性においては優れているが、使われるアルモキサン系化合物が多いため経済的に効率が悪く、また、得られるポリマーを再現するためには、触媒成分の比の細かい制御が必要であるといったことがある。
(1)電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)による触媒分析:
以下のようにして、電子プローブマイクロアナライザーによって触媒分析を行った結果を図2に示す。
上記実施例4で調製したジブチルマグネシウム/ジエチルアルミニウムエトキシド化合物担持クロム触媒を分析した。
加速電圧(ACC.V):15kV
ビーム電流:50nA
ビーム径:1μm
測定時間:50msec
測定面積:512*512μm
分光結晶:Al;RAP(酸性フタル酸ルビジウム)C6H4(COOH)(COORb)
これに対して、金属化合物を非担持のクロム触媒で重合した比較例1、2では活性は低く、得られるポリマーのHLMFRの増加が見られず、また分子量分布も広がっていない。比較例3〜13は、有機マグネシウム化合物(c−1)またはアルモキサン系化合物(c−2)から選ばれる第1の金属化合物だけを担持したクロム触媒重合であるが、この場合も、活性はほとんど比較例1、2と変わらず、得られるポリマーのHLMFRの増加は見られず、また分子量分布も広がっていないことがわかる。さらに比較例14〜19は本発明の第2の金属化合物である有機アルミニウムだけを担持したクロム触媒重合であるが、この場合、得られるポリマーのHLMFRの増加。そして分子量分布は広がっていることがわかるが、重合活性は本発明の実施例と比較して低い。
このことから、この二つの化合物を担時させた触媒、すなわち、有機マグネシウムあるいはアルモキサン系化合物で処理し、かつ、有機アルミニウムで処理した触媒を用いると、大きな活性アップと、得られるポリマーのHLMFRの増加、そしてポリマーの耐久性アップに良い方向である広い分子量分布(Mw/Mn)の効果が得られていることが実施例からも明白である。
Claims (11)
- 無機酸化物担体(a)にクロム化合物(b)を少なくとも一部のクロム原子が6価となる状態で担持させた後、さらに有機マグネシウム化合物(c−1)またはアルモキサン系化合物(c−2)から選ばれる第1の金属化合物、および有機アルミニウム化合物(d)から選ばれる第2の金属化合物を順次または同時に担持させてなるクロム触媒であって、
前記第1の金属化合物および第2の金属化合物、あるいは第2の金属化合物は、無機酸化物担体(a)の表面に集中して存在し、かつ、下記(イ)〜(ニ)の工程により製造されることを特徴とするエチレン重合用触媒。
(イ):無機酸化物担体(a)にクロム化合物(b)を担持し、非還元性雰囲気において焼成活性化する
(ロ):クロム化合物(b)を担持した無機酸化物担体(a)に、さらに有機マグネシウム化合物(c−1)またはアルモキサン系化合物(c−2)から選ばれる第1の金属化合物を不活性炭化水素溶媒中で担持させる
(ハ):次いで有機アルミニウム化合物(d)から選ばれる第2の金属化合物を不活性炭化水素溶媒中で担持させる
(ニ):最後に、前記不活性炭化水素溶媒を除去・乾燥させる - 電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いて、触媒粒子の断面におけるアルミニウム原子含量を測定したとき、触媒粒子表面に存在するアルミニウム原子検出量が、触媒粒子内部に存在するアルミニウム原子より多いことを特徴とする請求項1に記載のエチレン重合用触媒。
- 有機マグネシウム化合物(c−1)を担持させた場合、電子プローブマイクロアナライザーを用いて、触媒粒子の断面におけるマグネシウム原子含量を測定したとき、触媒粒子表面に存在するマグネシウム原子検出量が、触媒粒子の内部に存在するマグネシウム原子より多いことを特徴とする請求項1または2に記載のエチレン重合用触媒。
- 有機アルミニウム化合物(d)は、ジアルキルアルミニウムアルコキシド、アルキルアルミニウムジアルコキシドまたはトリアルキルアルミニウムから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエチレン重合用触媒。
- 有機アルミニウム化合物(d)は、ジアルキルアルミニウムアルコキシドであることを特徴とする請求項4に記載のエチレン重合用触媒。
- 有機マグネシウム化合物(c−1)は、ジブチルマグネシウム、またはブチルエチルマグネシウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエチレン重合用触媒。
- アルモキサン系化合物(c−2)は、トリイソブチルアルミニウムによる修飾を受けさせたメチルアルモキサン(MMAO)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエチレン重合用触媒。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のエチレン重合用触媒を用いて、エチレン単独重合またはエチレンとα−オレフィンとの共重合を行うことを特徴とするポリエチレンの製造方法。
- 前記α−オレフィンは、炭素数が3〜8であることを特徴とする請求項8に記載のポリエチレンの製造方法。
- 温度190℃、荷重21.6kgにおけるハイロードメルトフローレート(HLMFR)が0.1〜100g/10分、密度が0.900〜0.980g/cm3であることを特徴とするブロー成形製品用ポリエチレンを製造することを特徴とする請求項8又は9に記載のポリエチレンの製造方法。
- 温度190℃、荷重21.6kgにおけるハイロードメルトフローレート(HLMFR)が1〜15g/10分、密度が0.940〜0.955g/cm3であることを特徴とする大型ブロー成形製品用ポリエチレンを製造することを特徴とする請求項8又は9に記載のポリエチレンの製造方法。
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