発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、本発明の可動役物装置が適用されたパチンコ機Pは、遊技場の島設備に配置される機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた前面枠2と、前面枠2に収納保持された後述する遊技盤3と、前面枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられたガラス扉4と、前面枠2の下方に配設された前面ボード5と、前面ボード5に取り付けられた発射ハンドル6等を具備しており、前面ボード5には受け皿7が設けられている。
図2と図3に示すように、遊技盤3の盤面はガイドレール8等で囲まれた遊技領域9となっており、発射ハンドル6が遊技者によって任意角度に回転操作されると、図示せぬ発射装置が受け皿7に貯留された遊技球を遊技領域9に向けて連続的に打ち出すようになっている。遊技領域9の上部中央付近には中央役物ユニット10が配設されており、この中央役物ユニット10は、中央部に矩形状の開口11を有する枠状の装飾ケース12と、装飾ケース12の右側部から下部内壁に亘る領域に配置された後述する可動役物装置13とを具備している。また、中央役物ユニット10の裏面には液晶パネル(LCD)からなる可変表示装置14が配設されており、この可変表示装置14の表示画面14aは装飾ケース12の開口11から露出している。
装飾ケース12には、上側ステージ15aと下側ステージ15bとで構成される二段ステージ15が設けられている。上側ステージ15aは開口11の下辺に沿って左右方向に延びており、下側ステージ15bは上側ステージ15aの下面に沿って左右方向に延びている。上側ステージ15aの中央部には導入口(図示せず)が形成されており、この導入口は下側ステージ15bの中央部下方に設けられた導出口16に連通している。また、装飾ケース12の左側壁には中空構造のワープ通路12aが形成されており、このワープ通路12aの入口は遊技領域9に開口していると共に、ワープ通路12aの出口は上側ステージ15aの左上部に開口している。したがって、中央役物ユニット10の左側の遊技領域9を流下する遊技球がワープ通路12aに入球すると、その遊技球はワープ通路12aの内部を通って上側ステージ15a上に導かれた後、前記導入口から導出口16を経て下方の遊技領域9に向けて排出される。
装飾ケース12の真下位置には第1の始動入賞口17と第2の始動入賞口18が上下に近接配設されており、導出口16から排出された遊技球は高い確率で第1の始動入賞口17へ導かれるようになっている。ここで、第1の始動入賞口17は上面に入賞孔が開口された単純構造の始動入賞口であるが、第2の始動入賞口18は一対の可動片を有する電動チューリップ構造の始動入賞口となっている。そして、第1および第2の始動入賞口17,18のいずれか一方に遊技球が入賞すると、それを契機として特別図柄表示の電子抽選が行われ、可変表示装置14の表示画面14a上で図柄の変動表示と停止表示が行われる。また、中央役物ユニット10の左側には通過チャッカー19が配設されており、この通過チャッカー19を遊技球が通過したことを契機に普通図柄表示の電子抽選が行われ、その抽選結果が当たりの場合に第2の始動入賞口18の可動片を一時的に開放して遊技球の入球を許可するようになっている。
さらに、第2の始動入賞口18の真下位置にはアタッカー20が配設されており、このアタッカー20によって図示せぬ大入賞口が覆われている。アタッカー20は、第1および第2の始動入賞口17,18のいずれか一方に遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄表示の電子抽選の結果、当たりとなって大当たり遊技状態(特別遊技モード)に移行した場合に作動される装置である。具体的には、特別図柄表示の抽選結果が当たりの場合、可変表示装置14の表示画面14a上で図柄の変動表示を例えば「777」のように特定図柄で停止させると共に、アタッカー20が複数回繰り返し開放動作して大入賞口を露呈させる。アタッカー20は1回の開放動作について例えば30秒経過するまで、あるいは遊技球が大入賞口に例えば10個入賞するまで開放状態を維持し、かかる開放動作を例えば15回繰り返した後に大当たりが終了する。その他、遊技領域9には遊技球の流下経路を担う遊技釘(図示せず)と風車21や、遊技球の払い出しのみを行う複数の一般入賞口22等が配設されており、いずれの始動入賞口17,18や一般入賞口22にも入賞しなかった遊技球は、遊技領域9の最下端部に設けられたアウト口23から遊技盤3の裏面側に排出されるようになっている。
図4〜図9に示すように、本発明の実施形態例に係る可動役物装置13は、装飾ケース12の内壁部に固定されたベース部材24と、ベース部材24に取り付けられた第1モータ25および第2モータ26と、第1モータ25を駆動源として回転する回転体27と、回転体27の回転に連動して選択的に揺動回転する第1駆動レバー28および第2駆動レバー29と、第1駆動レバー28の揺動回転に連動して昇降動作する第1の可動体30および第2の可動体31と、第1の可動体30の下端部とベース部材24との間に介設された支持アーム32と、支持アーム32の先端部と第1駆動レバー28との間に介設された連結アーム33と、第2モータ26を駆動源として回転する首振りアーム34と、首振りアーム34の回転に連動して揺動回転する第3駆動レバー35と、首振りアーム34と第3駆動レバー35との間に介設された中継レバー36と、第2の可動体31と第3駆動レバー35との間に介設されたスイングレバー37等によって主として構成されている。
ベース部材24は有色透明な合成樹脂で形成された板状の成形品であり、その上端部から右側部にかけたL字状部分は装飾部24aとなっている。装飾部24aの水平部分は前述した二段ステージ15を透過して目視されるようになっており、装飾部24aの垂直部分は第1の可動体30の裏面に対峙して目視可能となっている。ベース部材24の前面にはサブベース38がネジ止めにより一体化されており、図7に示すように、これらベース部材24とサブベース38との間に部品収納用のスペースSが確保されている。
第1モータ25はサブベース38の前面側上部に取り付けられており、第2モータ26はサブベース38の前面側下部に取り付けられている。第1モータ25は第1減速ギアユニット39に積層・一体化されており、第1モータ25の回転は第1減速ギアユニット39の出力軸(図示せず)から取り出される。同様に、第2モータ26は第2減速ギアユニット40に積層・一体化されており、第2モータ26の回転は第2減速ギアユニット40の出力軸(図示せず)から取り出される。これら両減速ギアユニット39,40の出力軸は前記スペースS内に突出しており、このスペースS内において、回転体27は第1減速ギアユニット39の出力軸に固着され、首振りアーム34は第2減速ギアユニット40の出力軸に固着されている。
図10〜図12に示すように、回転体27にはその回転中心軸O(第1減速ギアユニット39の出力軸)から偏心した位置に駆動突起27aが設けられており、第1モータ25を駆動源として回転体27が回転すると、駆動突起27aは回転中心軸Oを中心とする仮想円C上を移動するようになっている。なお、図示省略されているが、回転体27には駆動突起27aと反対方向へ突出する検出片が設けられると共に、サブベース38に取り付けられた小基板41の裏面側には検出片の回転軌跡上に位置するフォトインタラプタが搭載されており、このフォトインタラプタの出力信号に基づいて回転体27の原点位置を検出できるようになっている。
第1駆動レバー28はベース部材24とサブベース38間に架設された支軸42に揺動可能に支持されており、この第1駆動レバー28の先端部には円筒状の連結ピン28aが突設されている。第1駆動レバー28にはカム溝43が形成されており、回転体27の駆動突起27aはカム溝43内に挿入されている。このカム溝43は円弧状溝部43aと直線状溝部43bとによって構成されており、円弧状溝部43aは駆動突起27aの回転軌跡である前記仮想円Cと同じ曲率で延びる湾曲孔であり、直線状溝部43bは円弧状溝部43aの一端部から第1駆動レバー28の先端部に向かって真っ直ぐに延びる長孔である。詳細な動作については後述するが、第1駆動レバー28が図10に示す最下位置にあるとき、駆動突起27aは円弧状溝部43aと係合しており、この状態で駆動突起27aが仮想円C上を反時計回りに移動すると、駆動突起27aは円弧状溝部43aから脱して直線状溝部43b内を移動し、それに伴って第1駆動レバー28は図11の途中位置を経由して図12に示す最上位置まで揺動回転する。このとき円弧状溝部43aは仮想円Cと重なる位置まで移動しており、当該位置で駆動突起27aが円弧状溝部43a内を移動した場合、第1駆動レバー28は回転せずに図12に示す最上位置で停止したままの状態を維持する。なお、支軸42の周囲には図示せぬ捩りコイルばねの巻回部が巻装されており、この捩りコイルばねの一対の腕部を第1駆動レバー28とサブベース38に掛止めすることにより、第1駆動レバー28は捩りコイルばねの弾発力によって図10の反時計回り方向へ付勢されている。
第2駆動レバー29はベース部材24とサブベース38間に架設された支軸44に揺動可能に支持されており、この支軸44は第1駆動レバー28の回転中心軸である支軸42よりも上方位置に設けられている。第2駆動レバー29には、支軸44から下方に向かってくの字状に突出する当接部29aと、支軸44から上方に向かってL字状に突出する押圧部29bとが形成されており、押圧部29bの中央付近には作動ピン29cが突設されている。当接部29aは回転体27の回転領域内に突出しており、この当接部29aは前記仮想円C上を移動する駆動突起27aと接離可能になっている。図5と図6に示すように、第2駆動レバー29の押圧部29bとサブベース38の上端部との間にはコイルばね45が張架されており、第2駆動レバー29はこのコイルばね45の弾発力によって図10の時計回り方向へ付勢されている。また、サブベース38の上部内壁には第2駆動レバー29の揺動角度を規定するストッパ46が形成されており、このストッパ46は押圧部29bの側方に突出している(図8,9参照)。したがって、回転体27の駆動突起27aが当接部29aから離反した位置にあるとき、第2駆動レバー29は押圧部29bをストッパ46に圧接させた位置で停止しているが、回転体27の回転に伴って駆動突起27aが当接部29aを押圧すると、第2駆動レバー29はコイルばね45の弾発力に抗して図10の時計回り方向へ回転してストッパ46から離反する。
第1の可動体30は狙撃手(スナイパー)を模した役物本体であり、その裏面には支持板47がネジ止めにより一体化されている。支持板47の下端部と支持アーム32の先端部はピン48を用いて回転可能に連結されており、支持アーム32はベース部材24とサブベース38間に架設された支軸49に揺動可能に支持されている。この支軸49は第1駆動レバー28の回転中心軸である支軸42よりも下方位置に設けられている。前記ピン48には連結アーム33の下端部も回転可能に軸支されており、この連結アーム33の上端部は第1駆動レバー28にピン50を用いて回転可能に連結されている。したがって、回転体27の回転に伴って第1駆動レバー28が支軸42を中心に揺動回転すると、その回転が連結アーム33を介して支持アーム32に伝達されることにより、支持アーム32が支軸49を中心に揺動回転し、この支持アーム32の回転に伴って支持板47が第1の可動体30と一体的に上下動する。また、支持板47の上方部には斜め方向に延びるガイド溝47aが設けられており、このガイド溝47a内に第2駆動レバー29の作動ピン29cが挿入されている。
第2の可動体31はライフル銃を模した役物本体であり、図示せぬが、この第2の可動体31の内部には複数のLEDを実装した回路基板が収納されている。第2の可動体31の下側後端部には狙撃手の右腕を模した装飾体31aが固定されると共に、第2の可動体31の下側中央付近には狙撃手の右腕を模した別の装飾体31bが固定されており、この装飾体31bの下端部に設けられたボス(図示せず)はサブベース38に設けられたガイド孔38aに挿入されている(図4,5参照)。さらに、第2の可動体31の裏面後端部には水平方向に延びる長溝51が形成されており、この長溝51内に第1駆動レバー28の連結ピン28aがスライド可能かつ回転可能に挿入されている。これにより、回転体27の回転に伴って第1駆動レバー28が支軸42を中心に揺動回転すると、第1駆動レバー28の揺動角度に応じて第2の可動体31の後端部が上下動する。そして、第1駆動レバー28が図12に示す最上位置まで揺動回転すると、第2の可動体31も最上位置へと上昇し、当該位置で第2駆動レバー29の押圧部29bの先端が第2の可動体31の後端面に対向するようになっている。
首振りアーム34は第2モータ26を駆動源として正逆両方向へ回転動作され、この首振りアーム34には、第2減速ギアユニット40の出力軸から径方向外側へ突出する腕部34aと、腕部34aから分岐して外側へ突出する検出片34bとが形成されている。サブベース38には検出片34bの回転軌跡上に位置するフォトインタラプタ52が搭載されており、このフォトインタラプタ52の出力信号に基づいて首振りアーム34の原点位置を検出できるようになっている。
第3駆動レバー35はベース部材24の上端部に植設された支軸53に揺動可能に支持されており、この第3駆動レバー35には支軸53を中心に二股状に突出する一対のアーム部35a,35bが形成されている。一方のアーム部35aとベース部材24との間には図示せぬコイルばねが張架されており、第3駆動レバー35はこのコイルばねの弾発力によって図8,9の反時計回り方向へ付勢されている。他方のアーム部35bには中継レバー36の一端が回転可能に連結され、この中継レバー36の他端は首振りアーム34の腕部34aの先端に回転可能に連結されている。また、第3駆動レバー35の先端にはスイングレバー37の一端がピン54を用いて回転可能に連結されており、このスイングレバー37は第2の可動体31の裏面中央付近に支軸55を中心に揺動可能に支持されている。スイングレバー37の他端は延出部37aとなっており、この延出部37aと第2の可動体31の裏面に突設された掛止部31cとの間にコイルばね56を張架することにより、第2の可動体31は第2駆動レバー29の押圧部29bに圧接する方向(図12の矢印X1方向)へ付勢されている。
なお、前述した第1および第2モータ25,26と両フォトインタラプタ52(一方は図示せず)はベース部材24の前面下部に取り付けられた中継基板57にワイヤーハーネスを介して接続されており、第2の可動体31内に収納された回路基板もフラットケーブルを介して中継基板57に接続されている。この中継基板57は遊技盤3の裏面側に配設された制御基板(図示せず)に接続されており、制御基板から出力される制御信号に基づいて第1および第2モータ25,26の回転方向と回転量が制御されると共に、回路基板上のLEDが点灯動作されるようになっている。また、両フォトインタラプタ52の出力信号が中継基板57を介して制御基板に取り込まれることにより、回転体27と首振りアーム34の原点位置が検出されるようになっている。
このように構成された可動役物装置13において、通常、第1駆動レバー28と第3駆動レバー35は図8に示すホームポジションにあり、このホームポジションを待機位置と呼ぶと、図2に示すように、待機位置で第1の可動体30の上部は可変表示装置14の表示画面14aの右側部に露出しており、第2の可動体31は二段ステージ15の裏側に隠れている。この場合、第1駆動レバー28と第3駆動レバー35はいずれも先端側を前下がり状態に傾斜させた最下位置で停止しており、両駆動レバー28,35は互いに平行な状態でほぼ同じ揺動角度に保持されている。また、図10に示すように、回転体27の駆動突起27aは最下位置にある第1駆動レバー28の円弧状溝部43aと係合しており、第2駆動レバー29はコイルばね45(図6参照)の弾発力を受けてストッパ46に圧接された位置で停止している。さらに、第1の可動体30に一体化された支持板47は下降位置にあり、第2駆動レバー29の作動ピン29cは支持板47のガイド溝47aの上端と係合している。
この待機位置で第1モータ25と第2モータ26を始動すると、第1駆動レバー28と第3駆動レバー35が最下位置から図9に示す最上位置まで揺動回転し、それに伴って第1の可動体30と第2の可動体31が上方位置へ移動する。そして、当該位置を動作位置と呼ぶと、図3に示すように、この動作位置で第1の可動体30は表示画面14aの右側部に沿って大きく露出し、第2の可動体31は二段ステージ15の裏側から表示画面14aの前方へ出現する。以下、このときの第1駆動レバー28と第3駆動レバー35の動作について詳述する。
まず、第1駆動レバー28の揺動回転について説明する。第1モータ25を駆動源として回転体27が図10の反時計回りに回転すると、駆動突起27aがカム溝43の円弧状溝部43aから脱して直線状溝部43b内を移動し、それに伴って第1駆動レバー28が支軸42を中心に同図の反時計回りに揺動回転して図12に示す最上位置へと移動する。具体的には、駆動突起27aが円弧状溝部43aから直線状溝部43bの端部まで移動する間に、第1駆動レバー28は図10に示す前傾姿勢から反時計回りに回転して図11に示す水平姿勢となり、引き続いて駆動突起27aが直線状溝部43bの端部から円弧状溝部43aまで移動する間に、第1駆動レバー28は図11に示す水平姿勢から反時計回りに回転して図12に示す後傾姿勢となる。また、第1駆動レバー28が最上位置まで揺動回転すると、カム溝43の円弧状溝部43aが駆動突起27aの回転軌跡である仮想円Cと重なる位置まで移動する。なお、前述したように、第1駆動レバー28は図示せぬ捩りコイルばねの弾発力によって図10の反時計回り方向へ付勢されており、第1駆動レバー28の最上位置へ向かう方向の回転がこの捩りコイルばねによってアシストされるため、回転体27の回転に伴って第1駆動レバー28を最下位置から最上位置まで確実に揺動回転することができる。
このように第1駆動レバー28が最下位置から最上位置へ向かって回転すると、第1駆動レバー28の回転が連結アーム33を介して支持アーム32に伝達されるため、支持アーム32が支軸49を中心に図10の時計回りに回転し、この支持アーム32の回転力を受けて支持板47が第1の可動体30と一体的に上方へ移動する。このとき、第2駆動レバー29はストッパ46に圧接された位置で停止しているため、支持板47はガイド溝47aが第2駆動レバー29の作動ピン29cに案内されながら上方へ移動し、第1駆動レバー28が最上位置まで回転した時点でガイド溝47aの下端に作動ピン29cが係合した状態となる。また、第1駆動レバー28が最下位置から最上位置へ向かって回転する間に、第1駆動レバー28の連結ピン28aが第2の可動体31の長溝51と係合したまま上方へ移動するため、第1駆動レバー28の回転に伴って第2の可動体31の後端部が持ち上げられていく。そして、第1駆動レバー28が図12に示す最上位置まで回転すると、第2の可動体31も最上位置へと上昇し、当該位置で第2駆動レバー29の押圧部29bの先端が第2の可動体31の後端面に対向する。
次に、第3駆動レバー35の揺動回転について説明する。第2モータ26を駆動源として首振りアーム34が図8の時計回りに回転すると、首振りアーム34の回転が腕部34aから中継レバー36を介してアーム部35bに伝達されるため、第3駆動レバー35が支軸53を中心に同図の反時計回りに揺動回転し、それに伴って第3駆動レバー35の先端に連結されたスイングレバー37を介して第2の可動体31の中央部分が持ち上げられていく。この場合、前述したように、第2の可動体31の後端部も第1駆動レバー28の揺動回転に伴って持ち上げられていくため、第1駆動レバー28と第3駆動レバー35が平行状態を保ったまま揺動回転するように両モータ25,モータ26を回転制御すれば、第2の可動体31を水平姿勢で上昇させることができる。なお、第2の可動体31の姿勢は両モータ25,モータ26の動作タイミングによって変更可能であり、例えば第1駆動レバー28を第3駆動レバー35に先行して揺動回転すれば、第2の可動体31を前傾姿勢で上昇させることができ、その反対に第3駆動レバー35を第1駆動レバー28に先行して揺動回転すれば、第2の可動体31を後傾姿勢で上昇させることができる。
そして、第2の可動体31が最上位置まで持ち上げられたときに第2モータ26を停止すると、第3駆動レバー35が先端側を前上がり状態に傾斜させた最上位置で停止し、第2の可動体31の後端面に第2駆動レバー29の押圧部29bの先端が対向する。ただし、この時点で第2駆動レバー29はストッパ46に圧接された位置で停止しており、第2の可動体31がコイルばね56の引張力によって図12のX1方向へ付勢されているため、第1駆動レバー28の連結ピン28aは第2の可動体31の長溝51のほぼ中央位置で係合している。なお、前述したように、第3駆動レバー35のアーム部35aとベース部材24との間に図示せぬコイルばねが張架されており、第3駆動レバー35の反時計回り方向への回転がこのコイルばねによってアシストされるため、首振りアーム34の回転に伴って第3駆動レバー35を同方向へ確実に揺動回転することができる。
また、第1駆動レバー28と第3駆動レバー35が最上位置まで揺動回転した後、第2モータ26を停止したまま第1モータ25の回転を続行すると、回転体27の駆動突起27aがカム溝43の円弧状溝部43a内を図12の反時計回りに移動する。このとき、円弧状溝部43aは駆動突起27aの回転軌跡上に位置しているため、第1駆動レバー28は最上位置で停止したまま回転しないが、図12に示すように、駆動突起27aが当接部29aに当接してこれを押圧するため、第2駆動レバー29がコイルばね45の弾発力に抗して時計回り方向へ回転してストッパ46から離反する。すなわち、第1駆動レバー28が最上位置まで揺動回転すると、第1モータ25を駆動源とする回転体27の回転駆動力が第1駆動レバー28から第2駆動レバー29へと切り替えられ、第2駆動レバー29が支軸44を中心に図12の時計回りに回転する。その結果、第2駆動レバー29の押圧部29bが第2の可動体31の後端面をコイルばね56の引張力に抗して前方へ押圧するため、長溝51が第1駆動レバー28の連結ピン28aにガイドされながら前方へ移動すると共に、スイングレバー37がピン54を中心に図12の時計回りに回転し、第2の可動体31が水平姿勢を保ったまま前方(図12のX2方向)へ移動する。また、これと同時に第2駆動レバー29の作動ピン29cがガイド溝47aの内側壁を押圧するため、支持板47が第1の可動体30と一緒にピン48を中心に図12の時計回りに回転する。
しかる後、第1モータ25を逆転して回転体27が図12の時計回りに回転すると、駆動突起27aが円弧状溝部43aの図示左端部から右端部に向かって移動し、当接部29aに対する駆動突起27aの押圧力が解除される。その結果、第2駆動レバー29がコイルばね45の弾発力によって反時計回りに回転してストッパ46に当接し、それに伴って支持板47がピン48を中心に図12の時計回りに回転すると共に、第2の可動体31がコイルばね56の引張力によって後方(図12のX1方向)へ移動する。したがって、第1モータ25の正転/逆転を瞬時に切り替えて駆動突起27aが円弧状溝部43a内を往復移動するようにすれば、第1の可動体30と第2の可動体31が図3の左右方向へ素早い動きで一体的に往復移動し、それによって恰も狙撃手がライフル銃を発射する可動態様を実現することができる。なお、第1モータ25の正転/逆転を複数回繰り返すことにより、駆動突起27aが円弧状溝部43a内を連続的に往復移動するようにすれば、第2駆動レバー29を正逆両方向へ小刻みに揺動回転させて第2の可動体31を左右方向へ連続的に往復移動させることができる。また、第2の可動体31が左右方向へ移動する際に、第2の可動体31に収納した複数のLED(図示せず)を例えば先端側に向かって順次点灯するようにすれば、左右方向へ移動する第2の可動体31の前面からLEDの光が放射されるというライティング演出を行うことができる。
また、可動役物装置13が図3に示す動作状態となった後に第1モータ25と第2モータ26を上記と逆方向へ始動すると、第1駆動レバー28と第3駆動レバー35が図9に示す最上位置から図8に示す最下位置へ向かって揺動回転し、それに伴って第1の可動体30と第2の可動体31が下方位置へ移動する。そして、第1駆動レバー28と第3駆動レバー35が最下位置まで揺動回転すると、回転体27と首振りアーム34の原点位置が対応するフォトインタラプタによって検出され、それらの検出信号に基づいて第1モータ25と第2モータ26の回転が停止される。その結果、第1駆動レバー28と第3駆動レバー35は図8に示す待機位置(ホームポジション)に戻り、可動役物装置13は再び図2に示す非動作状態となって第2の可動体31が二段ステージ15の裏側に隠れる。
以上説明したように本実施形態例に係る可動役物装置13では、第1モータ25を駆動源として揺動回転する第1駆動レバー28の動きが連結ピン28aと長溝51の係合部分を介して第2の可動体31の上下運動に伝達されると共に、第2モータ26を駆動源として揺動回転する第3駆動レバー35の動きがスイングレバー37を介して第2の可動体31の上下運動に伝達されるため、第1駆動レバー28と第3駆動レバー35の相対的な揺動角度を適宜設定することにより、第2の可動体31を水平姿勢や前傾姿勢等の種々の姿勢で上下動させることができる。また、第2の可動体31が最上位置まで移動したときに第2モータ26の回転を停止し、この状態で第1モータ25の回転駆動力を第1駆動レバー28から第2駆動レバー29へ切り替えると、支軸44を中心に回転する第2駆動レバー29の押圧部29bが第2の可動体31の後端面を前方へ押圧するため、第2の可動体31がコイルばね56の引張力に抗して前方へ移動する。その際、長溝51は第1駆動レバー28の連結ピン28aにガイドされながら前方へ移動し、スイングレバー37は第3駆動レバー35との連結部であるピン54を中心に回転するため、第2の可動体31は水平姿勢を保ったまま前方へ移動する。したがって、前後方向に長尺で総重量も大きな第2の可動体31を本発明の役物本体として用いたのにも拘わらず、第1モータ25と第2モータ26の動作タイミングを適宜設定することにより、第2の可動体31を所望の姿勢で上下動させたり最上位置で左右方向へ往復移動させることができ、従来にない斬新でインパクトのある複合動作を行わせることができる。
また、第2モータ26を駆動源として回転する首振りレバー34の回転駆動力が中継レバー36を介して第3駆動レバー35に伝達されることにより、首振りレバー34の回転がリンク結合された3つのレバー(中継レバー36と第3駆動レバー35およびスイングレバー37)を介して第2の可動体31の上下動に変換されるため、首振りレバー34の回転角度に対する第2の可動体31の上下方向のストローク長を大きくすることができ、大型で長尺な役物本体である第2の可動体31を表示画面14aに対して容易に出入動作させることが可能となる。
また、スイングレバー37の一端を第3駆動レバー35の先端にピン54を用いて回転可能に連結すると共に、このスイングレバー37の他端に形成した延出部37aと第2の可動体31の掛止部31cとの間にコイルばね56の両端を掛止したので、弾性部材としてのコイルばね56を装着する組立作業性が向上すると共に、コイルばね56の弾発力によって第2の可動体31を最上位置で左右方向へ確実に往復移動させることができる。
なお、上記実施形態例では、第1の可動体30と第2の可動体31という2種類の役物本体を近接配置し、これら2種類の役物本体を2つのモータ(第1モータ25と第2モータ26)を駆動源として複合動作させるようにした可動役物装置13について説明したが、第1の可動体30についてはこれを省略しても良い。その場合、第1駆動レバー28は第2の可動体31の後端部を上下動させるためにのみ用いられ、第2駆動レバー29は第2の可動体31の後端部を左右方向に押圧動作させるためにのみ用いられる。