以下、本発明の実施形態を示す一実施例について図面を用いて説明する。本発明の遊技機をパチンコ遊技機(以下、単に遊技機という)に適用した実施例を図1〜図10に示す。
図1は、本実施例の遊技機1の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、本体枠2、中枠3、前面枠4、上皿部5、下皿部6、施錠装置9、遊技盤20等を備えている。なお、図1では遊技盤20の詳細な図示を省略している。また、中枠3は前面枠4等が前面側に配置されているため、図1においては明示されていない。
本体枠2は木製の板状体を略長方形の枠状に組立てたものであり、遊技機1の外枠を構成している。中枠3はプラスチック製であり、本体枠2の内側にはめ込まれて設置されており、外枠2に対して開閉可能に左端で軸支されている。中枠3は、上側2/3程度を占める枠体部と下側1/3程度を占める下板部とから構成されている。枠体部の前面側には遊技盤20と前面枠4とが重なるように設けられており、下板部の前面側には上皿部5と下皿部6が設けられている。下板部には、遊技球を遊技盤20に発射する発射手段を構成する発射装置ユニット(図示略)、遊技球を発射装置ユニットに供給する球送り装置(図示略)が設けられている。
前面枠4は、中枠3の前面側に配置され、中枠3の左端で開閉可能に支持されている。前面枠4はプラスチック製であり、奥側に配置される遊技盤20の盤面を視認可能にするために、円形状の開口部4aが形成されている。前面枠4の裏面には、開口部4aに対応したガラス板等の透明板を備える略長方形状の透明板枠(図示略)が装着されている。前面枠4における遊技盤20の周囲には、LED等のランプ類(図示略)が設けられている。これらのランプ類は、遊技効果を高めるためにゲーム進行に応じて点灯・消灯あるいは点滅する。
上皿部5は、前面枠4の下側に設けられ、中枠3の左端に開閉可能に支持されている。上皿部5は、皿外縁部5aと、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口5bと、上皿部5の遊技球を下皿部6に排出する球抜きボタン5cとを備えている。皿外縁部5aの上面には、演出スイッチ5dや球貸ボタン5e等が設けられている。
下皿部6は、上皿部5の下方に設けられている。下皿部6の略中央には、遊技機1の内部から下皿部6に遊技球を排出するための排出口6aが設けられている。下皿部6の左端には灰皿7が設けられている。下皿部6の右端には、遊技者が発射装置ユニット(図示略)を操作するための発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者が触れていることを検出する接触検知手段としてのタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
施錠装置9は、中枠3の右端中央に設けられており、前面枠4を閉じた場合にこれを施錠するためのものである。
また、遊技機1には、遊技状態に応じた効果音等を発生させるためのスピーカ10a〜10dが設けられている。スピーカ10a〜10dは、遊技機1の上部に設けられた上部スピーカ10a、10bと遊技機1の下部に設けられた下部スピーカ10c、10dとからなる。さらに、遊技機1の左側には、プリペイドカードユニット13(CRユニット)が装着されている。
次に、本実施例の遊技盤20の表面構造について説明する。図2は遊技盤20の正面図である。遊技盤20は、略長方形の木製の板状体であって中枠3に着脱可能に取り付けられているとともに、裏機構盤(図示略)によりその背面側が覆われている。
図2に示すように、遊技盤20には、遊技盤20の表面に設けられた外レール22と内レール23とにより略円形状の遊技領域21が形成されている。遊技領域21内には、センター役物24、普通図柄作動ゲート27、始動口28、大入賞装置(特別電動役物)33、左入賞口34、35、右入賞口36、37等の遊技装置が配設されている。なお、図示を省略しているが、遊技領域21には各遊技装置との位置バランスを考慮して多数の障害釘が配設されている。
センター役物24は、遊技領域21を装飾する装飾部材として機能するもので、遊技領域21の略中央部に配置されている。このセンター役物24の中央には、図柄表示装置25が設けられている。図柄表示装置25は、大型の液晶表示装置により構成されており、遊技の進行に応じて種々の図柄表示が可能な表示領域を有する表示装置として機能する。図柄表示装置25では特別図柄や普通図柄の表示やその他の演出表示が行われる。
センター役物24における図柄表示装置25の下方は、遊技球が転動可能なステージ24aとして構成されている。センター役物24の左側には、遊技領域21を流下する遊技球をステージ24aに導くためのワープ通路24bが設けられている。ステージ24aの上方には、クルーン24cと遊技球通路24dが設けられている。ワープ通路24bを通過した遊技球は、遊技球通路24dの上を転動してクルーン24cに到達するか、あるいは途中で下方に落下するようになっている。
図3は、センター役物24の単体斜視図であり、ワープ通路24bと遊技球通路24dの図示を省略している。図3に示すように、クルーン24cには3つの穴が設けられており、特定の穴に入球した遊技球はステージ24aの手前側(遊技者側)に落下する。ステージ24aの下方には後述の始動口28が配置されており、ステージ24aから落下した遊技球は始動口28に入賞する可能性が高くなる。さらに、センター役物24には可動役物装置100が設けられている。可動役物装置100の構成については後で詳細に説明する。
図2に戻り、普通図柄作動ゲート27は、センター役物24の左側に設けられている。普通図柄作動ゲート27の内部には、遊技球の通過を検知する普通図柄作動ゲート検知スイッチ27sが設けられている。
遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過することで、図柄表示装置25の普通図柄表示領域で普通図柄が変動開始し、所定時間経過後に普通図柄が当り普通図柄の表示態様あるいは外れ普通図柄の表示態様で停止表示される。本実施例では、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過した際に、始動口(普通電動役物)28を作動させるか否かの普通図柄当否判定が行われ、当りと判定された場合には、普通図柄は当り普通図柄の表示態様に決定され、外れと判定された場合には、普通図柄は外れ普通図柄の表示態様に決定される。普通図柄が予め設定された当り普通図柄の表示態様で停止表示すると、始動口28が所定時間(例えば0.1秒)だけ開放される。
始動口28は、センター役物24の中央位置の下方に設けられている。始動口28は、2つの入球口が上下方向に並んで配置されている。上側始動口(上始動口)は常時開口しており、下側始動口(下始動口)はいわゆるチューリップ式で左右に一対の翼片部が開閉するように形成されている。普通図柄が当り図柄の組合せで停止表示された場合には、翼片部が開いて下側始動口が開放される。つまり、下側始動口は普通電動役物として機能する。
始動口28の内部には、遊技球の入球を検知する始動口入球検知スイッチ28s(図4参照)と、翼片部を作動させるための始動口ソレノイド(図示略)とが備えられている。この一対の翼片部が左右に開いた場合には、下段側入球口は遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が立設された場合には、下段側入球口は遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。遊技球が始動口28に入球することで、図柄表示装置25の特別図柄表示領域で特別図柄が変動開始し、所定時間経過後に特別図柄が当り図柄の組合せあるいは外れ図柄の組合せで停止表示される。
遊技球が始動口28に入球した際に、条件装置を作動させるか否かの特別図柄当否判定が行われ、当りと判定された場合には、特別図柄は当り図柄の組合せのいずれかに決定され、外れと判定された場合には、特別図柄は外れ図柄の組合せに決定される。停止表示された特別図柄の組合せが当り特別図柄の組合せであった場合には、主制御基板200のCPUは遊技者に相対的に有利な特別遊技状態を発生させる。特別遊技状態は、大入賞装置33を作動させることで遊技者に利益を付与するものである。
大入賞装置33は、始動口28の下方に配設されている。ここで、大入賞装置33は、帯状に開口された大入賞口33aと、この大入賞口33aを開放・閉鎖する開閉板33bと、この開閉板33bを開閉するための大入賞口ソレノイド(図示略)と、遊技球の入球を検知する入球検知スイッチ(図示略)とから主に構成されている。
特別遊技状態の発生により、大入賞装置(特別電動役物)33および条件装置が作動する。ここで、条件装置とは、役物連続作動装置が作動するための条件となる装置である。具体的には、条件装置は、後述の主制御基板200のCPUを主体として構成され、特別図柄が大当り図柄で停止表示することで作動を開始し、役物連続作動装置を作動させるものである。また、役物連続作動装置とは、後述の主制御基板200のCPUを主体として構成され、大入賞装置33を連続して作動させ、大入賞口33aを連続して開放状態とする装置である。役物連続作動装置の作動開始により、大入賞口33aが連続して開放する特別遊技状態が開始される。
大入賞装置33の作動開始(特別遊技状態の開始)により、大入賞口33aが開放して遊技球受入状態となる。この遊技球受入状態は、所定の終了条件成立により終了し、開放していた大入賞口33aが閉鎖状態となる。所定の終了条件として、遊技球受入状態の開始後における大入賞口33aの開放時間が所定時間(本実施例では30秒)に達したとき、もしくは遊技球受入状態の開始後、大入賞口33aに入球した遊技球数が所定数(本実施例では10個)に達したときとすることができる。
この遊技球受入状態の開始から終了までを1ラウンドとした場合、上述の役物連続作動装置は、所定ラウンドが終了したときに作動終了する。大入賞装置33では、遊技球受入状態が終了してから所定時間(例えば0.5秒)が経過した後に、大入賞口33aが開放して再び遊技球受入状態となり、次のラウンドが開始する。このような開始から終了までを1ラウンドとする遊技球受入状態は、所定の最高継続ラウンド数(本実施例では15ラウンド)が終了して役物連続作動装置の作動が終了するまで繰り返し継続される。
大入賞装置33の左斜め上方には、左入賞口34、35が設けられている。これらの内部には、それぞれ左入賞口入球検知スイッチ(図示略)が設けられている。大入賞装置33の右斜め上方には、右入賞口36、37が設けられている。これらの内部には、右入賞口入球検知スイッチ(図示略)が設けられている。
次に、本実施例の遊技機1の電子制御装置について、図4に基づいて説明する。図4は、電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図4に示すように、電子制御装置は、主制御基板200と、その主制御基板200に接続された副制御基板230、260、280とを含んで構成されている。副制御基板は、払出制御基板(賞球制御基板)230、サブ制御基板260及び演出表示制御基板280から構成される。
主制御基板200は、遊技の進行を司る主制御手段を構成するものであり、各副制御基板230、260に処理内容を指示する指令信号(コマンドデータ)を送信し、各副制御基板230、260、280は指令信号に基づいて各種制御を行うように構成されている。
例えば、主制御基板200から払出制御基板230には、賞球払出を指示する賞球指示信号、遊技開始許可を指示する遊技開始許可信号、各種発射制御コマンド等のコマンドが送信される。各種発射制御コマンドには、球送り許可・禁止、発射許可・禁止、遊技開始許可等が含まれている。また、主制御基板200からサブ制御基板260には、各種ランプ制御コマンド及び各種音声制御コマンドが送信される。主制御基板200から演出表示制御基板280には、サブ制御基板260を介して、普通図柄や特別図柄の表示制御を指示する各種図柄制御制御コマンドが送信される。サブ制御基板260から演出表示制御基板280には、演出表示制御を指示する各種演出表示制御コマンドが送信される。
各制御基板200、230、260、280には、主電源129と接続された電源受電基板128から電源基板127と電源中継基板121とを介して電源が供給されている。また、電源立上げ時には、システムリセット信号が電源基板127および電源中継基板121を介して各制御基板200、230、260、280に送信される。なお、本実施例の遊技機1は、電源断時に主制御基板200及び払出制御基板230に作動電圧を供給する図示しないバックアップ電源部(図示略)を備えており、電源断時にも主制御基板200及び払出制御基板230のRAMデータが保持される。
主制御基板200のCPUは、CPUコア、内蔵RAM(以下、単にRAMともいう)、内蔵ROM(以下、単にROMともいう)等を備えており、ROMに格納された制御プログラムにより、RAMをワークエリアとして遊技機1全体の作動制御(遊技の基本進行制御)を司る。また、主制御基板200は、CPUが主体となって、ROMに格納された当否判定プログラムにより当否判定を行う当否判定手段を構成している。なお、本実施例の主制御基板200のCPUにおける制御周期は4msに設定されている。
主制御基板200には、盤用外部端子基板201、始動口入賞検知スイッチ28s、普通図柄作動ゲート検知スイッチ27s、盤面中継基板210及び遊技枠中継基板220が接続されている。盤面中継基板210は、遊技盤20面に設けられた表示装置やスイッチ等と主制御基板200との間で、表示制御信号やスイッチ信号等を中継するものである。遊技枠中継基板220は、主に中枠3に設けられた各種スイッチ等と主制御基板200との間で、スイッチ信号等を中継するものである。
次に、払出制御基板230について説明する。払出制御基板230は、主制御基板200のCPUと同様の構成を有するCPUを備えている。払出制御基板230には、枠用外部端子基板122、スイッチ中継端子基板231、CR接続基板234、発射制御基板250等が接続されている。スイッチ中継端子基板231には、賞球タンク105内の球切れを検知するタンク球切れスイッチ232、下皿部6の下受け皿の満タン状態を検知する下皿満タンスイッチ233が接続されている。タンク球切れスイッチ232は、枠用外部端子基板122にも接続されている。
次に、サブ制御基板260を図4に基づいて説明する。図4は、サブ制御基板260に接続された各種遊技装置を示すブロック図である。サブ制御基板260には、CPU、RAM、ROM、サウンドジェネレータ、入出力ポート等を有する演算回路構成要素(図示略)とが設けられており、入出力ポートにおいて主制御基板200に接続されている。
サブ制御基板260には、演出表示制御基板280が接続されている。演出表示制御基板280には、CPU、RAM、ROM、入出力ポート、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)等を有する演算回路構成要素(図示略)が設けられ、入出力ポートにおいてサブ制御基板260に接続されている。演出表示制御基板280には図柄表示装置25が接続されている。演出表示制御基板280は、CPUがROMに格納された制御プログラムに従ってRAMをワークエリアとして図柄表示装置25の表示制御を行うように構成されている。演出表示制御基板280のROMには、図柄表示装置25で表示される演出用の図柄画像データが格納されている。
サブ制御基板260には、装飾駆動基板261を介して、各種盤面LED基板や各種遊技枠LED基板等の各種LED基板262が接続されている。各種LED基板262は遊技効果を高めるためのLED基板であり、これらのランプ類はゲームの進行に対応して点灯・消灯又は点滅し、遊技効果を高めている。さらに、サブ制御基板260にはアンプ基板263が接続されている。アンプ基板263にはスピーカ10a〜10dおよび音量スイッチ基板264が接続されている。スピーカ10a〜10dからは、遊技の進行に対応して各種サウンド、音声等が出力される。音量スイッチ基板264は、図示しない音量スイッチの操作に従ってスピーカ10a〜10dの出力音量の設定を行うものである。さらにサブ制御基板260には、可動役物装置100を作動させるための単一のモータ106が接続されている。このモータ106の駆動態様、すなわち可動役物装置100の作動態様は、主制御基板200からサブ制御基板260に向けて送信される、図柄表示装置25の演出表示態様(特別図柄の変動態様)を示す演出パターン指定コマンドに基づいて特定される。つまり、可動役物装置100を作動させる(モータ106を駆動させる)演出態様を含む演出パターン指定コマンドが主制御基板200からサブ制御基板260に送信された場合に、サブ制御基板260のCPUは、図柄表示装置25による演出表示の制御を行うとともに、可動役物装置100の作動制御(モータ106の駆動制御)を行う。これにより、図柄表示装置25での演出表示が実行されるとともに可動役物装置100が作動することとなる。なお、モータ106が本発明の駆動手段に相当している。
次に、可動役物装置100について図3、図6〜図10に基づいて説明する。図6は、可動役物装置100の動きを順に示している。可動役物装置100は、例えば図柄表示装置25の表示領域でストーリ演出を行う場合などに、その演出の進行状況に連動して作動する。
図3に示すように、可動役物装置100は、センター役物24に配置されてこのセンター役物24と一体化されており、被収納部材101、第1収納部材102、第2収納部材103を備えている。可動役物装置100はカセットテープ再生装置を模して構成されている。被収納部材101はカセットテープを模しており、第1収納部材102はカセットテープ再生装置の蓋部を模しており、第2収納部材103はカセットテープ再生装置の本体部を模している。なお、第1収納部材102が本発明の収納部材に相当している。
図6(a)は被収納部材101が第1収納部材102から最も露出した状態(第一の状態)を示し、図6(b)は被収納部材101が第1収納部材102に収納された状態(第二の状態)を示し、図6(c)は被収納部材101を収納した第1収納部材102が第2収納部材103に収納された状態(第三の状態)を示している。可動役物装置100は図6(a)→図6(b)→図6(c)の順、あるいは図6(c)→図6(b)→図6(a)の順に作動することができる。可動役物装置100が図6(a)→図6(b)→図6(c)の順に作動した場合には、被収納部材101はスライド移動して第1収納部材102に収納され、被収納部材101を収納した第1収納部材102が第2収納部材103に収納される。可動役物装置100が図6(c)→図6(b)→図6(a)の順に作動した場合には、被収納部材101を収納した第1収納部材102が第2収納部材103から持ち上がり、さらに被収納部材101がスライド移動して第1収納部材102から露出(排出)される。
図3に示すように、可動役物装置100をセンター役物24に配置した状態では、被収納部材101の板面は、図柄表示装置25の表示面に対して平行に配置されているので、被収納部材101は図柄表示装置25の表示面と平行な方向(本実施例では左右方向)に移動して、第1収納部材102に収納され、または第1収納部材102から露出(排出)されるように動作する。また、図3に示すように、可動役物装置100をセンター役物24に配置した状態では、第2収納部材103は第1収納部材102より図柄表示装置25の表示面に近い側に配置されているので、被収納部材101を収納した第1収納部材102(被収納部材101と第1収納部材102)は図柄表示装置25の表示面に対向する方向に移動することで、第2収納部材103に収納され、あるいは第2収納部材103から持ち上がるように動作する。つまり、被収納部材101を収納した第1収納部材102がセンター役物24の奥側に位置するときには、その第1収納部材102が第2収納部材に収納された状態となり、被収納部材101を収納した第1収納部材102がセンター役物24の手前側に位置するときには、その第1収納部材102が第2収納部材103から露出した状態となる。
図7(a)は可動役物装置100の全体を示す斜視図であり、図7(b)は可動役物装置100から被収納部材101と第1収納部材102を取り除いた状態を示す斜視図である。図7に示すように、可動役物装置100は被収納部材101、第1収納部材102、第2収納部材103を備えている。被収納部材101は、カセットテープを模した略板状部材であり、カセットテープ再生装置の蓋部を模した第1収納部材102の内部に配置されている。被収納部材101は、板面と平行方向に移動可能することで、第1収納部材102から一部が露出した状態と完全に収納された状態に移行することができるように構成されている。第1収納部材102は、被収納部材101を収納した状態で、カセットテープ再生装置の本体部を模した第2収納部材103に収納可能に構成されている。
第1収納部材102には、複数の三角形状の進行方向表示部102aが一列に並んで設けられており、中心を境にして三角形の頂点が外側に向かうように配置されている。本実施例では6個の進行方向表示部102aが設けられており、図7(a)における奥側3個の進行方向表示部102aの頂点が奥側に向かうように配置され、手前側3個の進行方向表示部102aの頂点が手前側に向かうように配置されている。
第1収納部材102には、進行方向表示部102aに対応する部位でLEDを点灯可能なLED基板が内蔵されている。カセットテープ形状の被収納部材101が第1収納部材102に収納された際に、進行方向表示部102aでLEDを点灯表示することで、カセットテープの進行方向を疑似的に表現するように構成されている。図7(a)における奥側3個の進行方向表示部102aを点灯表示させた場合には、カセットテープが左側(順方向)に進行している状態を示し、手前側3個の進行方向表示部102aを点灯表示させた場合には、カセットテープが手前側(逆方向)に進行している状態を示すこととなる。
図8は被収納部材101を中心とする斜視図であり、(a)は被収納部材101が第1収納部材102から露出(排出)される位置にある状態(第一の状態)を示し、(b)は被収納部材101が第1収納部材102に収納される位置にある状態(第二の状態)を示している。保持部材104は第1収納部材102の内部に設けられる部材であり、第1収納部材102は保持部材104に固定される。図8に示すように、被収納部材101は、第1収納部材102の内部に設けらた保持部材104に保持されており、保持部材104に対してスライド可能になっている。保持部材104は、一対の平行な棒状部104aを備え、被収納部材101には棒状部104aが挿入可能な孔(図示せず)が設けられている。被収納部材101は、その孔に棒状部104aが挿入された状態で棒状部104aに沿ってスライドすることができる。上述のように、可動役物装置100をセンター役物24に配置した状態では、被収納部材101の板面は、図柄表示装置25の表示面に対して平行に配置されているので(図3参照)、被収納部材101は棒状部104aに沿って移動する際に、図柄表示装置25の表示面と平行な方向に移動することとなる。
保持部材104には、カム105が固定されている。カム105は略円柱形状であり、モータ106により軸方向を中心に回転可能になっている。カム105の円板面には突起部105が設けられており、突起部105aは円運動する。被収納部材101には案内孔101aが設けられており、この案内孔101aにカム105の突起部105aが係合するようになっている。被収納部材101の案内孔101aはJ字状に形成され、直線部分と湾曲部分を有している。カム105が回転運動することで、カム105の突起部105aが被収納部材101の案内孔101a内を移動し、被収納部材101は保持部材104の棒状部104aに沿って直線的に移動する。つまり、カム105の回転運動が被収納部材101の直線運動に変換される。
保持部材104には回転軸104bが設けられており、回転軸104bを中心に回動可能に構成されている。第2収納部材103における保持部材104の回転軸104bに対応する部位には支持孔103aが設けられており(図7参照)、保持部材104の回転軸104bが第2収納部材103の支持孔103aに挿入されることで、保持部材104が第2収納部材103に対して回動可能に支持される。上述のように、第2収納部材103は第1収納部材102より図柄表示装置25の表示面に近い側に配置されているので(図3参照)、保持部材104が第2収納部材103に対して回動した場合には、被収納部材101(保持部材104)は、図柄表示装置25の表示面に対向する方向に移動する。
図9は保持部材104とカム105の斜視図であり、(a)と(b)はそれぞれ保持部材104の回動位置が異なる状態を示している。図9に示すように、カム105の外周面には案内溝105bが形成されている。カム105の案内溝105bには、第2収納部材103に固定される位置固定部材107に設けられた案内突起107aが挿入されている。カム105が回転することで、位置固定部材107の案内突起107aは案内溝105bの内部を移動することができる。
図10は、カム105の回転位置を変更した場合の被収納部材101、カム105、案内突起107aの関係を示しており、(a)〜(d)は平面図を左側に示し、X方向からみた側面図を右側に示している。図10(a)は被収納部材101が第1収納部材102から最も露出した状態(第一の状態)に対応しており、図10(b)は図10(a)からカム105が90°回転した状態を示し、図10(c)は図10(a)からカム105が180°回転した状態を示し、図10(d)は図10(a)からカム105が270°回転した状態を示している。
図10に示すように、カム105の案内溝105bには、カム105の回転方向に平行な平行部Aと回転方向に対して傾斜している傾斜部Bが形成されている。傾斜部Bでは、カム105の円板面からの案内溝105bの距離が変化する。案内突起107aが案内溝105bの平行部Aを移動する場合には、カム105の軸方向におけるカム105と案内突起107aの位置関係は変化しない。これに対し、案内突起107aが案内溝105bの傾斜部Bを移動する場合には、カム105の軸方向におけるカム105と案内突起107aの位置関係が変化する。図10(d)に示すように、傾斜部Bは平行部Aに対する高さが最大Hとなっており、この高さHの分だけ案内突起107aに対してカム105の高さが変化する。
次に、上記構成の可動役物装置100の作動について説明する。可動役物装置100は、例えば図柄表示装置25の表示領域でストーリ演出を行う場合などに、その演出の進行状況と連動して作動する。
まず、可動役物装置100が図6(a)→図6(b)→図6(c)の順に作動する場合について説明する。図6(a)に示す被収納部材101が第1収納部材102から最も露出した状態(第一の状態)では、カム105は図10(a)に示す位置となっている。この状態からカム105は、モータ106により図10の平面図における時計方向に回転し、図10(b)に示す位置、さらに図10(c)に示す位置に回転する。このとき、カム105の突起部105aは被収納部材101の案内孔101aの内部における直線部分を移動し、被収納部材101はカム105の時計方向ヘの回転に伴って、図10の平面図における上方、つまり、図8に示す保持部材104側(図8の直線矢印方向)に向かってスライド移動する。これにより、図6(b)に示すように被収納部材101は第1収納部材102に収納される(第二の状態)。上述のように、可動役物装置100をセンター役物24に配置した状態では、被収納部材101は第1収納部材102に収納される際に図柄表示装置25の表示面と平行な方向に移動することとなる。なお、図6(a)から図6(b)に至るまで(図10(a)から図10(c)に至るまで)、位置固定部材107の案内突起107aはカム105の案内溝105bにおける平行部Aを移動する。このため、カム105の軸方向におけるカム105と案内突起107aの位置関係は変化しない。
次に、カム105が図10(c)に示す位置から図10(d)に示す位置に移行する。このとき、カム105の突起部105aは、被収納部材101の案内孔101aの内部における湾曲部分を移動し、被収納部材101の第1収納部材102に対する位置は変化しない。つまり、被収納部材101は第1収納部材102に収納された状態(第二の状態)のまま変化しない。これに対し、図6(b)から図6(c)に至るまで(図10(c)から図10(d)に至るまで)、案内突起107aはカム105の案内溝105bにおける傾斜部Bを移動する。このとき、カム105の軸方向におけるカム105と案内突起107aの位置関係が変化し、カム105は高さHだけ下方に移動する(案内突起107aによってカム105が高さHだけ押し下げられる)。これにより、保持部材104(棒状部104a)が下方に回動する(図9(b)参照)。このように、カム105が高さHだけ下方に移動し、保持部材104(棒状部104a)が下方に移動するのは、位置固定部材107が第2収納部材103に固定され、保持部材104が第2収納部材103(支持孔103a)によって回動可能に支持されているからである。そして、保持部材104(棒状部104a)が下方に移動することで、保持部材104は第2収納部材103に近づく方向に回動することとなる。この結果、図6(c)に示すように、被収納部材101を収納した第1収納部材102は第2収納部材103に近づく方向に回動し、被収納部材101を収納した第1収納部材102が第2収納部材103に収納される。上述のように、可動役物装置100をセンター役物24に配置した状態では、第2収納部材103は、被収納部材101と第1収納部材102が第2収納部材103に収納される際に、被収納部材101と第1収納部材102は図柄表示装置25の表示面に対向する方向(近づく方向、すなわちセンター役物24の奥側)に移動することとなる。
以上の図6(a)から図6(c)に至る一連の動作により、カセットテープ(被収納部材101)がカセットテープ再生装置の蓋部(第1収納部材102)に収納され、さらにカセットテープ再生装置の本体部(第2収納部材103)に収納される動きを忠実に再現することができる。そして、可動役物装置100が図6(c)に示す状態になった場合に、第1収納部材102の進行方向表示部102aでLEDを点灯してカセットテープの進行方向を模擬的に表示し、図柄表示装置25の表示面で演出表示を開始することで、あたかもカセットテープの再生により図柄表示装置25での演出表示が行われているような印象を遊技者に与えることができる。
次に、可動役物装置100が図6(c)→図6(b)→図6(a)の順に作動する場合について説明する。可動役物装置100が図6(c)に示す状態にある場合には、カム105は図10(d)に示す位置にあるので、この状態からモータ106によりカム105を図10の平面図における反時計方向に回転し、図10(c)に示す位置に移行させる。このとき、案内突起107aはカム105の案内溝105bにおける傾斜部Bを移動して平行部Aに向かい、カム105の軸方向におけるカム105と案内突起107aの位置関係が変化する。そして、案内突起107aが平行部Aに到達したときには、高さHだけ下方に移動していた(図10(d)の状態にあった)カム105は高さHだけ上方に移動し、元の状態(図10(c)の状態)に戻る。これにより、図6(b)に示すように、被収納部材101と第1収納部材102が第2収納部材103の上方に移動する。つまり、可動役物装置100をセンター役物24に配置した状態では、被収納部材101と第1収納部材102は、図柄表示装置25の表示面から遠ざかる方向(センター役物24の手前側)に移動することとなる。
そして、カム105を更に反時計方向に回転させて図10(c)に示す位置から図10(b)に示す位置に移動させ、さらに図10(a)に示す位置に移動させる。このとき、カム105の突起部105aは被収納部材101の案内孔101aの内部における直線部分を移動し、被収納部材101はカム105の反時計方向ヘの回転に伴って、図10の平面図における下方、つまり、図8に示す保持部材104から離れる方向(図8の直線矢印と逆方向)にスライド移動する。これにより、被収納部材101がスライド移動して第1収納部材102から露出する。可動役物装置100をセンター役物24に配置した状態では、被収納部材101は、図柄表示装置25の表示面と平行方向に移動することとなる。
以上の図6(c)から図6(a)に至る一連の動作により、カセットテープ(被収納部材101)を収納したカセットテープ再生装置の蓋部(第1収納部材102)がカセットテープ再生装置の本体部(第2収納部材103)から持ち上がり、さらにカセットテープ再生装置の蓋部(第1収納部材102)からカセットテープ(被収納部材101)が露出(排出)される動きを忠実に再現することができる。
以上の構成により、可動役物装置100は1つのモータ106によって、被収納部材101を図柄表示装置25の表示面の平行方向に移動させ、さらに被収納部材101と第1収納部材102を図柄表示装置25の表示面に対向する方向に移動させることができる。これにより、コンパクトな構成で被収納部材101と第1収納部材102とを互いに異なる方向へ順次移動させることができる。そして、被収納部材101と第1収納部材102との動きを連続させることで、被収納部材101の動きと第1収納部材102の動きとが相俟って、可動役物装置100の演出態様(複数の可動部材、すなわち被収納部材101と第1収納部材102の作動態様)を複雑かつ立体的なものとすることができる。この結果、可動役物装置100の演出態様が斬新でインパクトのあるものとなり、可動役物装置100による演出効果を十分に得ることができる遊技機を提供できる。
(他の実施形態)
なお、上記実施例では、図柄表示装置25が設けられたセンター役物24に可動役物装置100を配置し、図柄表示装置25の表示面の前方(手前側)で可動役物装置100が作動するように構成したが、これに限らず、遊技盤20の遊技領域21上(遊技盤面上)に可動役物装置100を単体で設けてもよい。あるいは遊技盤面上に設けられたセンター役物24とは別の他の装飾部材、例えば、遊技盤面上の遊技領域の周縁に配置されるサイド飾りに可動役物装置100を一体的に設けてもよい。
このように可動役物装置100を遊技盤面上に単体で設けたり、センター役物24とは別の他の装飾部材と一体的に設けたりする場合には、可動役物装置100を構成する被収納部材101、第1収納部材102、第2収納部材103のうち、第1収納部材101は遊技盤面に対して平行な方向に移動することとなり、第1収納部材102および第2収納部材103は遊技盤面と対向する方向に移動することとなる。このような場合においても、上記実施例と同様に、可動役物装置100の演出態様(複数の可動部材、すなわち被収納部材101と第1収納部材102の作動態様)を複雑かつ立体的なものとすることができ、可動役物装置100による演出効果を十分に得ることができる遊技機を提供できる。
1…遊技機、24…センター役物、25…図柄表示装置、100…可動役物装置、101…被収納部材、102…第1収納部材(収納部材)、103…第2収納部材、104…保持部材、105…カム、106…モータ(駆動手段)、107…位置固定部材、107a…案内突起、200…主制御基板、260…サブ制御基板、280…演出表示制御基板。