上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。尚、実施例においては、特に断りがない限りは、パチンコ機正面に向かって右側を「右」と表現し、左側を「左」と表現する。
また、以下の実施例は次のような順序に従って説明する。
A.パチンコ機1の装置構成:
A−1.装置前面側の構成:
A−2.遊技盤の構成:
A−3.制御回路の構成:
B.遊技の進行態様:
C.移動役物装置70:
C−1.移動役物装置70の構成:
C−2.移動役物装置70の動作態様:
C−2−1.第1移動役物71に対する第2移動役物72の動作態様 :
C−2−2.移動役物装置70全体の動作態様 :
A.パチンコ機1の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられている。前面枠4は、一端(図1における左側)が中枠3に対して回動可能に軸支されている。中枠3の前面側には遊技盤20(図2参照)が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠3に対してパチンコ機1前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出された状態となる。中枠3は、一端(図1における左側)が本体枠2に対して回動可能に軸支されている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。
前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aにはガラス板等の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置される遊技盤20の遊技領域21(図2参照)を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置された遊技盤20のセグメント表示部50(図2参照)を視認可能である。詳しくは後述するが、セグメント表示部50(図2参照)とは、複数のLEDの組合せによって遊技に係る情報を表示する表示部である。
前面枠4における窓部4aの上方には上部ランプ5aが設けられ、窓部4aの周縁部における右部には右サイドランプ5bが設けられ、窓部4aの周縁部における左部には左サイドランプ5cが設けられている。また、前面枠4における窓部4aの左右上方には上部スピーカー6aが設けられており、本体枠2の下部の前面(いわゆる幕板)には下部スピーカー6bが設けられている。これらの上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c、上部スピーカー6a、下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7には、カードユニット242(図3参照)を介して貸し出される遊技球や、パチンコ機1から払い出される遊技球が貯留される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて貸し出された遊技球や、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
前面枠4における下皿部8の右方には、発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニット261(図3参照)に接続されている。この発射装置ユニット261には、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。そして、遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニット261に伝達され、発射装置ユニット261に内蔵された発射モーター262(図3参照)が回転して、回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
また、上皿部7の縁部には遊技者による押下操作が可能な演出ボタン10aが設けられており、下皿部8の左方には遊技者による押込操作や回転操作が可能なジョグシャトル10bが設けられている。これらの演出ボタン10aやジョグシャトル10bは、何れも遊技者によって操作される演出操作部であり、所定の条件成立時に遊技者によって操作されると、所定の遊技演出が行われる。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤20の盤面構成(前面側)を示す説明図である。前述したように、遊技盤20は中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤20の中央には略円形状の遊技領域21が形成されている。発射装置ユニット261(図3参照)から発射された遊技球は、外レール22と内レール23との間を通って遊技領域21に放出された後、遊技領域21を流下する。遊技領域21は、前面枠4の窓部4aを通して遊技者に視認されるので、当然ながら、遊技領域21を流下する遊技球の様子も窓部4aを通して遊技者に視認されることとなる。
遊技領域21の略中央には中央装置40が設けられており、中央装置40のほぼ中央には、演出表示装置41が設けられている。演出表示装置41は液晶表示器によって構成されており、その表示画面上には、演出用の種々の画像を表示することが可能である。尚、演出表示装置41の詳しい表示内容については後に説明する。
液晶表示装置41の前面側下方には、左右に1つずつ、移動役物装置70が設けられている。詳しくは後述するが、移動役物装置70は、後述の第1移動役物71および第2移動役物72を備えており、これらの役物を移動させる「移動役物演出」を行うための装置である。尚、移動役物装置70の下部側は、遊技盤20の裏側に設けられているため、図2においては、移動役物装置70の上部側(第2移動役物72)しか示されていない。
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の下方には、開口部の大きさが不変(一定)であり遊技球が常時入球可能な始動口である第1始動口24が設けられている。第1始動口24に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第1始動口24の内部の通路には第1始動口センサー24s(図3参照)が設けられており、第1始動口24に入球した遊技球を検知可能である。
また、遊技領域21における第1始動口24の下方には、遊技球の入球可能性が変化する入球口(始動口)である第2始動口25が設けられている。すなわち、第2始動口25は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉26を備えており、開閉扉26が略直立して遊技球が入球不能(または入球困難)な閉鎖状態と、開閉扉26がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能(または入球容易)な開放状態とに変化可能である。図2では、第2始動口25が開放状態となっている様子が示されている。第2始動口25に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。第2始動口25の内部の通路には第2始動口センサー25s(図3参照)が設けられており、第2始動口25に入球した遊技球を検知可能である。
また、遊技領域21において中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられており、普通図柄作動ゲート27の内部には、遊技球の通過を検知するゲートセンサー27s(図3参照)が設けられている。
また、遊技領域21における第1始動口24の右方には、略長方形状に大きく開口された大入賞口28(可変入球口)が設けられている。大入賞口28は、パチンコ機1の前後方向に回動可能な開閉扉29を備えており、開閉扉29が略直立して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉29がパチンコ機1の前方側に回動して遊技球が入球可能な開放状態とに変化可能である。図2では、大入賞口28が開放状態となっている様子が示されている。大入賞口28に入球した遊技球は、内部に設けられた通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれる。大入賞口28の内部の通路には大入賞口センサー28s(図3参照)が設けられており、大入賞口28に入球した遊技球を検知可能である。
また、上述した各遊技装置(遊技部品)の周辺には、遊技球が入球可能なその他入球口30や、遊技球の流下経路に影響を与える風車型ホイール31や多数の障害釘32が設けられている。遊技領域21の最下部であって第2始動口25の左下方と右下方には、2つのアウト口33が設けられており、上述した第1始動口24、第2始動口25、大入賞口28、その他入球口30の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口33から遊技盤20の裏側に排出される。
上述した第1始動口24には、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下する遊技球が入球可能である。これに対して、第2始動口25、普通図柄作動ゲート27、大入賞口28には、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下する遊技球が入球可能(または通過可能)である。以下では、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射させることを「左打ち」とも表現し、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下するように遊技球を発射させることを「右打ち」とも表現する。尚、本実施例のパチンコ機1では、第1始動口24、第2始動口25、その他入球口30の何れかに遊技球が入球した場合は、3個の遊技球が遊技者に払い出され、大入賞口28に遊技球が入球した場合は、13個の遊技球が遊技者に払い出される。
遊技盤20における遊技領域21の右下方には、LEDの組合せによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部50が設けられている。セグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者に視認される。尚、セグメント表示部50の詳しい表示内容については、後述する遊技の進行態様において説明する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図3は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示すブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板、中継端子板などから構成されている。詳しくは、遊技の基本的な進行に係る制御を司る主制御基板200や、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220、サブ制御基板220の制御下で画像の表示や音声の出力に係る制御を司る画像音声制御基板230、サブ制御基板220の制御下でランプの発光に係る制御を司るランプ制御基板226、遊技球の貸し出しや払い出しに係る制御を司る払出制御基板240、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPU(図3におけるCPU201、221、231等)や、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(図3におけるROM202、222、232等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(図3における203、223、233等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
主制御基板200には、第1始動口24へ入球した遊技球を検知する第1始動口センサー24sや、第2始動口25へ入球した遊技球を検知する第2始動口センサー25s、大入賞口28へ入球した遊技球を検知する大入賞口センサー28s、普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球を検知するゲートセンサー27sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第1始動口センサー24sや、第2始動口センサー25s、大入賞口センサー28s、ゲートセンサー27sなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったセンサーに対応するコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240、発射制御基板260などに向けて送信する。
また、主制御基板200には、第2始動口25に設けられた開閉扉26に開閉動作を行わせるための(第2始動口25を開放状態、閉鎖状態にするための)始動口ソレノイド26mや、大入賞口28に設けられた開閉扉29に開閉動作を行わせるための(大入賞口28を開放状態、閉鎖状態にするための)大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、始動口ソレノイド26m、大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50に向けて駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御を行う。
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226、演出操作基板228が接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その内容に応じた遊技演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対しては、出力画像や出力音声を指定するコマンドを送信し、ランプ制御基板226に対しては、上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c(以下「各種ランプ5a〜5c」ともいう)の発光パターンを指定するコマンドを送信したりすることによって、遊技の演出を行う。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出操作基板228を介して、演出ボタン10aやジョグシャトル10bに対する遊技者の操作を検知すると、該操作に対応する遊技演出を行う。
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用する画像データ(例えば、スプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置41の表示画面に出力する。また、画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する音声データを音声ROM236から読み出す。そして、該音声データに基づく音声を、アンプ基板224を介して、上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6b(以下「各種スピーカー6a,6b」ともいう)から出力する。また、画像音声制御基板230は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応する動作データをROM232から読み出す。そして、モーター基板229を介して、読み出した動作データに基づく態様で役物用モーター73を駆動する。尚、役物用モーター73は、移動役物装置70の一部として設けられたものであり、後述の第1移動役物71や第2移動役物72を移動させるためのモーターである。
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン241(図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット242、払出モーター243などが接続されている。球貸ボタン241が操作されると、この信号は、払出制御基板240を介してカードユニット242に伝達される。カードユニット242は、払出制御基板240とデータを通信しながら、払出モーター243を駆動して遊技球の貸し出しを行う。また、主制御基板200から遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信した場合も、払出モーター243を駆動して遊技球の払い出しを行う。
また、払出制御基板240には発射制御基板260が接続されており、発射制御基板260には、遊技球を発射させるための発射モーター262や遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263等を有する発射装置ユニット261が接続されている。発射制御基板260は、タッチスイッチ263を介して遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知すると、発射モーター262を駆動することによって、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球を発射する。
B.遊技の進行態様 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が進行する。上皿部7に遊技球が貯留された状態で発射ハンドル9が回転されると、上皿部7に貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域21に発射される。遊技球を打ち出す強さは発射ハンドル9の回転角度に対応するので、遊技者は発射ハンドル9の回転角度を変化させることによって、遊技者は所望する領域に遊技球を流下させることができる。例えば、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射させたり(左打ちを行ったり)、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下するように遊技球を発射させたり(右打ちを行ったり)することができる。
<特別図柄の変動表示>
図2を用いて前述したように、第1始動口24には左打ちされた遊技球が入球可能である。左打ちされた遊技球が第1始動口24に入球し、その入球した遊技球が第1始動口センサー24sにより検知されると、所定の判定乱数(大当り判定乱数など)を取得し、該判定乱数に基づいて大当りであるか外れであるかを判定する大当り判定を行う。そして、この大当り判定の結果に基づいて、第1の特別図柄(以下「第1特図」ともいう)を変動表示させた後に停止表示させる。また、図2を用いて前述したように、第2始動口25には右打ちされた遊技球が入球可能である。右打ちされた遊技球が第2始動口25に入球し、その入球した遊技球が第2始動口センサー25sにより検知されると、所定の判定乱数(大当り判定乱数など)を取得し、該判定乱数に基づいて大当りであるか外れであるかを判定する大当り判定を行う。そして、この大当り判定の結果に基づいて、第2の特別図柄(以下「第2特図」ともいう)を変動表示させた後に停止表示させる。ここで、第1特図、第2特図について説明する。
図4は、セグメント表示部50を拡大して示す説明図である。前述したように、セグメント表示部50は遊技盤20における遊技領域21の右下方に設けられており(図2参照)、遊技者は前面枠4の小窓部4c(図1参照)を通してセグメント表示部50を視認可能である。図4に示すように、セグメント表示部50には、第1特図を表示する第1特図表示部51と、第2特図を表示する第2特図表示部52が設けられており、これらの表示部にはそれぞれ8個のLEDが配置されている。第1特図および第2特図(以下、これらを特に区別をしない場合は、まとめて「特別図柄」という)は、それぞれの表示部において、8個のLEDのうち点灯するLEDを切り換えることによって変動表示され、8個のLEDのうち所定のLEDを点灯した状態とすることで停止表示される。本実施例のパチンコ機1では、第1特図として、大当り図柄1〜100、外れ図柄101の101種類の図柄を停止表示可能であり、第2特図として、大当り図柄201〜300、外れ図柄301の101種類の図柄を停止表示可能である。また、これらの図柄の種類は、点灯するLEDの組合せの相違によって識別可能である。遊技球が第1始動口24に入球することに基づく大当り判定(以下「第1特図についての大当り判定」ともいう)の結果が大当りである場合は、第1特図が大当り図柄1〜100の何れかで停止表示され、第1特図についての大当り判定の結果が外れである場合は、第1特図が外れ図柄101で停止表示される。また、遊技球が第2始動口25に入球することに基づく大当り判定(以下「第2特図についての大当り判定」ともいう)の結果が大当りである場合は、第2特図が大当り図柄201〜300の何れかで停止表示され、第2特図についての大当り判定の結果が外れである場合は第2特図が外れ図柄301で停止表示される。こうして特別図柄(第1特図または第2特図)を大当り図柄または外れ図柄で停止表示したら、停止表示された図柄を確定させるべく、図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持する表示(以下「確定表示」ともいう)を行う。以下では、特別図柄が変動表示を開始してから、所定の変動時間の経過により当該変動表示が終了して、特別図柄が大当り図柄または外れ図柄で確定表示されるまでの遊技、すなわち1回の変動表示の結果が得られるまでの遊技を「図柄変動遊技」とも表現する。
<大当り遊技>
第1特図または第2特図が何れかの大当り図柄で停止表示されると、大入賞口28が開放状態となるラウンド遊技が複数回行われる大当り遊技を開始する。図2を用いて前述したように、大入賞口28には右打ちされた遊技球が入球可能であるので、大当り遊技中は右打ちが行われることとなる。
本実施例のパチンコ機1では、停止表示された大当り図柄の種類によって、1回の大当り遊技におけるラウンド遊技の回数が異なる。すなわち、第1特図が大当り図柄1〜50で停止表示された場合は(第1特図が大当り図柄で停止表示される場合は50%の確率で)、4回のラウンド遊技が行われる4ラウンド大当り遊技が行われ、第1特図が大当り図柄51〜90で停止表示された場合は(第1特図が大当り図柄で停止表示される場合は40%の確率で)、6回のラウンド遊技が行われる6ラウンド大当り遊技が行われ、第1特図が大当り図柄91〜94で停止表示された場合は(第1特図が大当り図柄で停止表示される場合は4%の確率で)、7回のラウンド遊技が行われる7ラウンド大当り遊技が行われ、第1特図が大当り図柄95〜100で停止表示された場合は(第1特図が大当り図柄で停止表示される場合は6%の確率で)、16回のラウンド遊技が行われる16ラウンド大当り遊技が行われる。また、第2特図が大当り図柄201〜250で停止表示された場合は(第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は50%の確率で)4ラウンド大当り遊技が行われ、第2特図が大当り図柄251〜290で停止表示された場合は(第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は40%の確率で)6ラウンド大当り遊技が行われ、第2特図が大当り図柄291〜294で停止表示された場合は(第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は4%の確率で)7ラウンド大当り遊技が行われ、第2特図が大当り図柄295〜300で停止表示された場合は(第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は6%の確率で)16ラウンド大当り遊技が行われる。
本実施例のパチンコ機1において、1回のラウンド遊技は、9個の遊技球が入球した場合(9カウント)または30秒が経過した場合に終了するので、ほとんどの場合において1回のラウンド遊技では117個(9カウント×払出数13個)の遊技球が払い出される。従って、当然ながら、ラウンド遊技回数の多い大当り遊技の方が、ラウンド遊技回数が少ない大当り遊技よりも遊技者に多くの遊技球が払い出されることとなる。このため、ラウンド遊技回数のより多い大当り遊技が行われることを遊技者に期待させることができる。尚、このことは、遊技者にとっての有利度合が互いに異なる複数の大当り遊技(特定遊技)を実行可能であると捉えることができる。
上述した大当り遊技の実行中は、セグメント表示部50のラウンド表示部55に実行中の大当り遊技の種類(ラウンド遊技回数)が表示される。すなわち、図4に示すように、ラウンド表示部55には3個のLEDが配置されており、このラウンド表示部55では、3個のLEDのうち左のLEDを点灯することで4ラウンド大当り遊技の実行中であることを示し、中のLEDを点灯することで6ラウンド大当り遊技の実行中であることを示し、右のLEDを点灯することで7ラウンド大当り遊技の実行中であることを示し、3個全てのLEDを点灯することで16ラウンド大当り遊技の実行中であることを示す。
<特別図柄の保留>
遊技球が第1始動口24に入球すると、上述したように第1特図についての大当り判定や変動表示が行われるものの、これらの大当り判定や変動表示は、遊技球が第1始動口24に入球後に直ぐに行われるのではなく、取得された判定乱数を第1特図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した第1特図保留に基づいて大当り判定や第1特図の変動表示を行う。このような第1特図保留は4個を上限として記憶される。第1特図保留の記憶数(第1特図保留数)は、セグメント表示部50の第1特図保留表示部53に表示される。すなわち、図4に示すように、第1特図保留表示部53には2個のLEDが配置されており、この第1特図保留表示部53では、2個のLEDのうち1個のLEDを点灯することで第1特図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで第1特図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで第1特図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで第1特図保留数が4個であることを示す。
また、遊技球が第2始動口25に入球すると、上述したように第2特図についての大当り判定や変動表示が行われるものの、これらの大当り判定や変動表示も、遊技球が第2始動口25に入球後に直ぐに行われるのではなく、取得された判定乱数を第2特図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した第2特図保留に基づいて大当り判定や第2特図の変動表示を行う。このような第2特図保留も4個を上限として記憶される。第2特図保留の記憶数(第2特図保留数)は、セグメント表示部50の第2特図保留表示部54に表示される。すなわち、図4に示すように、第2特図保留表示部54にも2個のLEDが配置されており、この第2特図保留表示部54では、2個のLEDのうち1個のLEDを点灯することで第2特図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで第2特図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで第2特図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで第2特図保留数が4個であることを示す。
尚、本実施例のパチンコ機1では、何れかの特別図柄の変動表示中や、何れかの特別図柄の確定表示中、大当り遊技中は、第1特図保留や第2特図保留が記憶されていても、これらの保留に係る大当り判定や変動表示は行わない。また、第1特図保留および第2特図保留のうち第1特図保留のみが記憶されている場合は、最先に記憶された第1特図保留に係る大当り判定および第1特図の変動表示を行うが、第2特図保留が記憶されている場合は第1特図保留が記憶されているか否かに拘わらず、最先に記憶された第2特図保留に係る大当り判定および第2特図の変動表示を行う。すなわち、第2特図を第1特図に優先して変動表示させる(いわゆる第2特図の優先変動機能を有する)。
<普通図柄の変動表示、普図当り遊技>
図2を用いて前述したように、普通図柄作動ゲート27は右打ちされた遊技球が通過可能である。右打ちされた遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過し、その遊技球がゲートセンサー27sにより検知されると、所定の判定乱数(普図当り判定乱数など)を取得し、該判定乱数に基づいて普図当りであるか外れであるかを判定する普図当り判定を行う。そして、この普図当り判定の結果に基づいて、普通図柄を変動表示させた後に停止表示させる。図4に示すように、セグメント表示部50には、普通図柄を表示する普図表示部56が設けられており、普図表示部56には2個のLEDが配置されている。普通図柄は、普図表示部56において、2個のLEDのうち点灯するLEDを切り換えることによって変動表示され、2個のLEDのうち所定のLEDを点灯した状態とすることで停止表示される。本実施例のパチンコ機1では、普通図柄として、2個のLEDのうち左のLEDを点灯させた普図当り図柄と、右のLEDを点灯させた普図外れ図柄の2種類の図柄を停止表示可能である。普図当り判定の結果が普図当りである場合は普通図柄が普図当り図柄で停止表示され、普図当り判定の結果が普図外れである場合は普通図柄が普図外れ図柄で停止表示される。こうして普通図柄を当り図柄または外れ図柄で停止表示したら、停止表示された図柄を確定させるべく、図柄が停止表示された状態を所定の時間が経過するまで維持する表示(確定表示)を行う。そして、普通図柄が普図当り図柄で停止表示された場合は、第2始動口25が開放状態となった後に閉鎖状態となる普図当り遊技が行われる。
<普通図柄の保留>
遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過すると、普図当り判定や普通図柄の変動表示が行われるものの、これらの普図当り判定や変動表示は、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過後に直ぐに行われるのではなく、取得された判定乱数を普図保留として一旦記憶する。そして、所定の条件が成立したら、記憶した普図保留に基づいて普図当り判定や普通図柄の変動表示を行う。このような普図保留も4個を上限として記憶される。普図保留の記憶数(普図保留数)は、セグメント表示部50の普図保留表示部57に表示される。すなわち、図4に示すように、普図保留表示部57には2個のLEDが配置されており、この普図保留表示部57では、2個のLEDのうち1個のLEDを点灯することで普図保留数が1個であることを示し、2個のLEDを点灯することで普図保留数が2個であることを示し、1個のLEDを点滅することで普図保留数が3個であることを示し、2個のLEDを点滅することで普図保留数が4個であることを示す。尚、本実施例のパチンコ機1では、普図保留が記憶されている場合において、普通図柄の変動表示中、普通図柄の確定表示中、普図当り遊技中の何れでもなければ、最先に記憶された普図保留に係る普図当り判定および普通図柄の変動表示を行う。
<遊技状態>
ここで、本実施例のパチンコ機1では、大当り判定において大当りと判定される確率に係る遊技状態と、第2始動口25への遊技球の入球頻度に係る遊技状態とが適宜設定される。これらのうち大当り判定において大当りと判定される確率に係る遊技状態は、「大当り判定において大当りと判定される確率が低い(99.9分の1の確率である)低確率状態」または「大当り判定において大当りと判定される確率が高い(11.9分の1の確率である)高確率状態」に設定される。また、第2始動口25への遊技球の入球頻度に係る遊技状態は、「第2始動口25への遊技球の入球頻度が低い非電サポ状態」または「第2始動口25への遊技球の入球頻度が高い電サポ状態」に設定される。尚、以下では、高確率状態が設定された状態で実行可能な図柄変動遊技(特別図柄の変動表示)の回数を「高確回数」とも表現し、電サポ状態が設定された状態で実行可能な図柄変動遊技(特別図柄の変動表示)の回数を「電サポ回数」とも表現する。
本実施例のパチンコ機1では、何れの大当り遊技が行われた場合であっても、大当り遊技終了後は高確率状態と電サポ状態が併せて設定されるものの、電サポ回数は、大当り遊技の開始契機となった大当り図柄の種類によって異なる。すなわち、高確回数については、何れの大当り図柄が停止表示された場合であっても6回に設定される。これに対して、電サポ回数については、第1特図が大当り図柄1〜45で停止表示された場合は(第1特図が大当り図柄で停止表示される場合は45%の確率で)25回に設定され、第1特図が大当り図柄46〜50、51〜90、91〜94で停止表示された場合は(第1特図が大当り図柄で停止表示される場合は5%+40%+4%=49%の確率で)50回に設定され、第1特図が大当り図柄95〜100で停止表示された場合は(第1特図が大当り図柄で停止表示される場合は6%の確率で)100回に設定される。また、第2特図が大当り図柄201〜245で停止表示された場合は(第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は45%の確率で)25回に設定され、第2特図が大当り図柄246〜250、251〜290、291〜294で停止表示された場合は(第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は5%+40%+4%=49%の確率で)50回に設定され、第2特図が大当り図柄295〜300で停止表示された場合は(第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は6%の確率で)100回に設定される。
尚、高確回数が6回に設定された後に図柄変動遊技(特別図柄の変動表示)が6回行われた場合は、高確率状態は終了し、電サポ状態が設定されたまま低確率状態が設定される。また、25回、50回、100回の電サポ回数が設定された後に該電サポ回数と同数の図柄変動遊技(特別図柄の変動表示)が行われた場合は、電サポ状態は終了し、非電サポ状態が設定される。遊技者にとっては、電サポ状態の方が非電サポ状態よりも有利な状態であることから、より多くの電サポ回数が設定されることを遊技者に期待させることができる。
ここで、セグメント表示部50には、上述した電サポ状態の設定中であることを示す電サポ表示部58が設けられている。すなわち、図4に示すように、電サポ表示部58には、3個のLEDが配置されており、電サポ状態の設定中は、この3個のLEDを点灯することによって電サポ状態の設定中であることを示す。また、図4に示すように、セグメント表示部50には、右打ちを行うことを示す右打ち表示部59が設けられている。電サポ状態の設定中は第2始動口25への遊技球の入球頻度が高く、且つ、第2始動口25は右打ちされた遊技球が入球可能であるので、電サポ状態の設定中は右打ちを行うことが遊技者にとって有益である。また、大入賞口28も右打ちされた遊技球が入球可能であるので、大当り遊技中も右打ちを行うことが遊技者にとって有益である。そこで、電サポ状態の設定中および大当り遊技中は、右打ち表示部59に配置された2個のLEDを点灯することによって右打ちを行うことを示す。
<演出の内容>
上述したような遊技の進行は、主に主制御基板200のCPU201によって行われる。本実施例のパチンコ機1では、上述したような遊技の進行に合わせて、演出表示装置41に種々の画像を表示する演出を行う。このような演出は、主にサブ制御基板220のCPU221によって行われる。
例えば、演出表示装置41では、第1特図または第2特図の変動表示(図柄変動遊技)に合わせた各種の演出(以下「図柄変動演出」ともいう)が行われる。すなわち、第1特図表示部51または第2特図表示部52にて特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示(図柄変動遊技)の開始タイミングと同期して、演出表示装置41においても3つの識別図柄41a,41b,41cの変動表示を一斉に開始し、その後、特別図柄の変動時間が経過するまで種々の態様で変動表示を行う。そして、特別図柄の変動表示の終了タイミング(特別図柄の停止表示)と同期して3つの識別図柄41a,41b,41cの変動表示を終了する。本実施例のパチンコ機1では、識別図柄として「1」〜「9」までの9つの数字を意匠化した図柄を表示可能である。
図5(a)には、3つの識別図柄41a,41b,41cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左識別図柄41aが「1」〜「9」のいずれかの図柄で停止表示され、次に、右識別図柄41cが停止表示され、最後に中識別図柄41bが停止表示される。これら演出表示装置41で停止表示される3つの識別図柄41a,41b,41cの組合せは、前述した第1特図表示部51または第2特図表示部52で停止表示される特別図柄(第1特図または第2特図)と対応するように構成されている。例えば、第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示される場合は、演出表示装置41の3つの識別図柄41a,41b,41cが同じ図柄となる図柄組合せ(以下「ゾロ目」ともいう)で停止表示される。また、第1特図または第2特図が「外れ図柄」で停止表示される場合は、3つの識別図柄41a,41b,41cは同じ図柄で揃わない図柄組合せ(以下「バラケ目」ともいう)で停止表示される。尚、停止表示された識別図柄41a、41b、41cは、特別図柄の確定表示時間が経過するまで停止表示された状態となる(確定表示される)。
このように、第1特図表示部51または第2特図表示部52で表示される特別図柄と、演出表示装置41で表示される3つの識別図柄41a,41b,41cとは、表示内容が互いに対応しており、変動表示中の特別図柄が停止表示する際には、3つの識別図柄41a,41b,41cも停止表示するようになっている。しかも、図2に示すように、演出表示装置41は、第1特図表示部51または第2特図表示部52(セグメント表示部50)よりも目に付き易い位置に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置41の画面を見ながら遊技を行うことが通常である。従って、図5(b)に示すように、演出表示装置41の表示画面上で初めに停止表示される左識別図柄41aと、続いて停止表示される右識別図柄41cとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中識別図柄41bも同じ図柄で停止して、「大当り遊技が開始されるのではないか」と、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように、2つの識別図柄(一の識別図柄を除いた識別図柄)を同じ図柄(ゾロ目となり得る態様)で停止させて最後の識別図柄(一の識別図柄)を変動表示させた状態で行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、このリーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めている。
また、演出表示装置41の表示画面上の下部には、第1特図保留数を示すための第1保留表示領域41dと、第2特図保留数を示すための第2保留表示領域41eとが設定されている。本実施例のパチンコ機1では、第1保留表示領域41dに第1特図保留数と同数の「保留図柄(図中、小さい円形の図柄)」を表示することで第1特図保留数を示し、第2保留表示領域41eに第2特図保留数と同数の「保留図柄」を表示することで第2特図保留数を示す。従って、図5に示す例では、第1特図保留数および第2特図保留数が共に4個であることが示されている。尚、当然ながら、演出表示装置41の表示画面上に表示された保留図柄によって示される保留数と、セグメント表示部50の第1特図保留表示部53および第2特図保留表示部54にて示される保留数とは一致することとなる。
また、演出表示装置41では、大当り遊技の実行中に、該大当り遊技の実行中であることを示す演出(以下「大当り遊技演出」ともいう)が行われる。このような大当り遊技演出としては、例えば、実行中の大当り遊技にて行われるラウンド遊技の回数を示唆する演出や、実行中の大当り遊技の終了後に設定される遊技状態を示唆する演出などが行われる。
また、本実施例のパチンコ機1では、上述した図柄変動演出や大当り遊技演出の実行中に所定の条件が成立すると(例えば、特定の図柄変動演出や大当り遊技演出が実行されると)、移動役物装置70を利用した「移動役物演出」が行われる。図6(a)には、「移動役物演出」が行われていない状態が示されている。「移動役物演出」が行われていない場合は、図6(a)に示すように、第2移動役物72の上部側が遊技者側から視認可能である。「移動役物演出」としては、このような状態から、図6(b)に示すように第2移動役物72が上方へ移動し、第1移動役物71の上部側が遊技者側から視認可能となる演出が行われる。以下では、移動役物装置70の構成や、移動役物装置70の動作態様(移動役物演出の態様)について、更に詳しく説明する。
C.移動役物装置70 :
C−1.移動役物装置70の構成 :
図7および図8は、移動役物装置70の構成を示す説明図である。なかでも、図7は、移動役物装置70を前方からみた斜視図と分解斜視図であり、図8は、移動役物装置70を後方からみた斜視図と分解斜視図である。尚、図7および図8には、第2移動役物72が上方へ移動し、第1移動役物71の上部側が遊技者側から視認可能となった状態(移動役物演出が行われている状態)が示されている。また、図7および図8では、演出表示装置41前面側の左右に設けられた2つの移動役物装置70のうち、左側に設けられた移動役物装置70のみを示している。右側に設けられた移動役物装置70については、左側に設けられた移動役物装置70の構成の左右を入れ替えただけであるので、その説明を省略する。
図7および図8に示すように、移動役物装置70はおおまかには、後方が開口した箱状のベース部材74に、種々の遊技部品が組み付けられることによって構成されている。詳しくは、ベース部材74の前壁には、斜め上方に延びる摺動溝74aが形成されている。この摺動溝74aには、第1移動役物71の後部側の突出部(図示せず)が摺動可能に挿入されており、該突出部(図示せず)には、第1移動役物71と共にベース部材74(摺動溝74aの縁部)を挟むようにして、補助部材71a(図8参照)が固定されている。これによって、第1移動役物71は、ベース部材74から離脱しないように、且つ、ベース部材74に対して摺動可能に取り付けられている。
また、ベース部材74内部の下部には、役物用モーター73が設けられている。役物用モーター73の回転軸は、ベース部材74の前壁を貫通してベース部材74の前方側まで延びており、このベース部材74の前方側まで延びた回転軸にはモーター用ギヤ73a(図7参照)が固定されている。また、ベース部材74の前面側には、このモーター用ギヤ73aと歯合する(噛み合う)中継用ギヤ75(図7参照)が軸支(回動可能に支持)されている。さらに、ベース部材74の前面側には、下アーム76の一端側に形成されたアーム用ギヤ76aが軸支されており、このアーム用ギヤ76aは、中継用ギヤ75に歯合している。従って、役物用モーター73を駆動すると、役物用モーター73の駆動力が、モーター用ギヤ73aおよび中継用ギヤ75を介して、アーム用ギヤ76a(下アーム76)に伝達される。尚、下アーム76の動作態様については、後の「C−2.移動役物装置70の動作態様」欄において説明する。
下アーム76には、中アーム77が回動可能に連接されている。詳しくは、下アーム76のアーム用ギヤ76aが形成された側(一端側)とは反対側の端部(他端側)には、中アーム77の一端側である軸支部77c(図7参照)が軸支されている。中アーム77は、この軸支部77c(一端側)から他端側に向かって湾曲されて形成されており、この他端側には、後方に突出した突出部77a(図8参照)と前方に突出した突出部77b(図7(b)参照)が形成されている。これらのうち後方に突出した突出部77aは、第1移動役物71の下部に形成された長孔71bに摺動可能に挿入されている。一方、前方に突出した突出部77bは、上アーム78(図7(b)参照)の一端側に形成された長孔78aに摺動可能に挿入されている。
上アーム78の他端側には、扇状のピニオン部78bが形成されている。また、上アーム78の中途部78c(長孔78aとピニオン部78bとの間の箇所)は、第1移動役物71の前面側に軸支されている。従って、上アーム78は、この軸支された中途部78cを中心にして、第1移動役物71に対して回動可能であり、ひいては、両端にそれぞれ形成された長孔78aとピニオン部78bとが互い違いに上下動可能である。
役物用モーター73を駆動することによって、その駆動力が下アーム76に伝達されると(下アーム76が回動すると)、その駆動力はさらに、中アーム77、上アーム78、第1移動役物71に伝達される。尚、中アーム77、上アーム78、第1移動役物71の動作態様についても、後の「C−2.移動役物装置70の動作態様」欄において説明する。
第1移動役物71の前面側には、第1移動役物71に重ねて第2移動役物72が設けられている。詳しくは、第2移動役物72には後方に突出した突出部72a(図8(b)参照)が設けられており、この突出部72aは、第1移動役物71の中央に設けられた長孔71c(図7(b)参照)に摺動可能に挿入されている。この長孔71cは、長手方向がベース部材74の摺動溝74aの長手方向と平行に形成されている。従って、ベース部材74に対する第1移動役物71の移動可能な方向は、72に対する71の移動可能な方向と平行(同一方向または正反対方向)である。
また、第2移動役物72の後方側には、歯先を内側に向けてラック部72b(図7(b)、図8(b)参照)が設けられており、このラック部72bは上アーム78のピニオン部78b(図7(b)参照)と歯合している。尚、第2移動役物72の動作態様についても、後の「C−2.移動役物装置70の動作態様」欄において説明する。
また、ベース部材74内部の上部には、第1移動役物71を上方に付勢する後アーム79が設けられている。詳しくは、ベース部材74の前壁の後面側には、後方に突出した突出部74b(図8(b)参照)が設けられており、この突出部74bには、後アーム79の一端側が軸支されている。また、この後アーム79の一端側には、トーションバネ79a(ねじりバネ)が設けられている。一方、後アーム79の他端側には、長孔79bが設けられている。第1移動役物71に固定された補助部材71aの後面には、後方に突出した突出部71dが設けられており、この突出部71dは後アーム79の長孔79bに摺動可能に挿入されている。これによって、後アーム79は第1移動役物71を上方(摺動溝74aに沿った方向)に付勢している。尚、後アーム79およびトーションバネ79aは、本発明における「付勢手段」に相当する。
また、ベース部材74後方の開口部は、少なくとも一部が蓋部材80によって覆われており、この蓋部材80には、モーター基板229等の遊技部品が取り付けられている。
C−2.移動役物装置70の動作態様 :
以下では、移動役物装置70の動作態様(移動役物演出)について説明するが、先ずは、第1移動役物71に対する第2移動役物72の動作態様について説明し、その後に、移動役物装置70全体の動作態様について説明する。
C−2−1.第1移動役物71に対する第2移動役物72の動作態様 :
図9は、第1移動役物71に対する第2移動役物72の動作態様を示す説明図である。尚、図9において、向かって左側には、第2移動役物72(ラック部72b以外)の図示が省略された説明図が示されており、右側には、第2移動役物72が図示された説明図が示されている。また、以下において、「白抜き矢印」は遊技部品の移動方向を示している。
図9に示すように、第1移動役物71には、上アーム78の中途部78cが軸支されている。このため、上アーム78は、この軸支された中途部78cを中心にして、第1移動役物71に対して回動可能であり、ひいては、両端にそれぞれ形成された長孔78aとピニオン部78bとが互い違いに上下動可能である。
従って、図9(a)の左側に示すように、上アーム78の長孔78a側が下方に回動された場合は(白抜き矢印[1])、ピニオン部78b側が上方に回動する。この場合、第2移動役物72に設けられたラック部72bは、歯合するピニオン部78bによって、第1移動役物71に対して上方に移動させられる(白抜き矢印[2])。これに伴って、ラック部72bが設けられた第2移動役物72も、第1移動役物71に対して上方に移動させられる(白抜き矢印[3])。この結果、第1移動役物71の上部が遊技者側から視認不能な状態(第1移動役物71の上部が第2移動役物72から露出していない状態)となる。
これに対して、図9(b)の左側に示すように、上アーム78の長孔78a側が上方に回動された場合は(白抜き矢印[4])、ピニオン部78b側が下方に回動する。この場合、第2移動役物72に設けられたラック部72bは、歯合するピニオン部78bによって、第1移動役物71に対して下方に移動させられる(白抜き矢印[5])。これに伴って、ラック部72bが設けられた第2移動役物72も、第1移動役物71に対して下方に移動させられる(白抜き矢印[6])。この結果、第1移動役物71の上部が遊技者側から視認可能な状態(第1移動役物71の上部が第2移動役物72から露出した状態)となる。
以上のように、移動役物装置70においては、上アーム78の長孔78a側が下方に回動されると(白抜き矢印[1])、第2移動役物72は上方に移動させられて(白抜き矢印[3])、第1移動役物71の上部が遊技者側から視認不能な状態となる。これに対して、上アーム78の長孔78a側が上方に回動されると(白抜き矢印[4])、第2移動役物72は下方に移動させられて(白抜き矢印[6])、第1移動役物71の上部が遊技者側から視認可能な状態となる。
C−2−2.移動役物装置70全体の動作態様 :
次に、上述のような第2移動役物72の動作態様を踏まえた上で、移動役物装置70の動作態様について説明する。図10〜図13は、移動役物装置70の動作態様を示す説明図である。なかでも、図10〜図13において、(a)図は、移動役物装置70を前方からみた説明図であり、(b)図は、移動役物装置70を後方からみた説明図である。尚、(a)図において、向かって左側には、第2移動役物72(ラック部72b以外)の図示が省略された説明図が示されており、右側には、第2移動役物72が図示された説明図が示されている。また、図10〜図13では、「移動役物演出」に直接的に関係のない構成、すなわち、第1移動役物71および第2移動役物72の移動に直接的に関係のない構成については、その図示を省略している。また、以下において、「実線矢印」は、後アーム79(トーションバネ79a)によって遊技部品が付勢された方向を示している。
「移動役物演出」が行われていない場合は、図10に示すように、中アーム77は、下アーム76によって引き下げられた位置にあり、上アーム78および第1移動役物71は、中アーム77によって引き下げられた位置にある。また、後アーム79の長孔79bには、第1移動役物71の補助部材71aの突出部71dが挿入されているので、後アーム79は、第1移動役物71(補助部材71a)によって引き下げられた位置にある。これらの遊技部品が引き下げられた位置は、「移動役物演出」が行われる前の初期の位置であることから、以下では、これらの位置をそれぞれの遊技部品の「初期位置」とも表現する。
このように上述の遊技部品が「初期位置」にある状態においては、後アーム79は、トーションバネ79aによって、斜め上方に回動する方向である「第1方向」(実線矢印<1>)に付勢されている(図10(b)参照)。また、第1移動役物71に固定されている補助部材71aの突出部71dは、後アーム79の長孔79bに挿入されているので、第1移動役物71も「第1方向」(実線矢印<2>)に付勢されている。さらに、中アーム77の後方に突出した突出部77aは、第1移動役物71の長孔71bに挿入されているので、中アーム77も「第1方向」(実線矢印<3>)に付勢されている。
ここで、上述したように第1移動役物71と中アーム77は「初期位置」においては、「第1方向」(実線矢印<2>、実線矢印<3>)に付勢されているものの、この付勢力によっては、該「初期位置」から「第1方向」に移動することはない。これは次の理由による。つまり、中アーム77の軸支部77cは、下アーム76に軸支されているため、下アーム76の回動方向にしか移動できない。このため、中アーム77が「初期位置」にある場合においては、軸支部77cは、下アーム76が斜め下方に回動する方向である「第2方向」(白抜き矢印[7])にしか移動できない(図10(a)参照)。そして、この「第2方向」は、軸支部77c(中アーム77)が付勢されている方向である「第1方向」と逆方向の方向成分(破線矢印[7a])を含んでいる。換言すると、「第2方向」を分解すると、「第1方向」と逆方向の方向成分(破線矢印[7a])が抽出される。従って、軸支部77c(中アーム77)が「初期位置」にある場合は、「第1方向」に付勢されても、少なくとも該「第1方向」と逆方向に移動せざるを得ないので、軸支部77c(中アーム77)は「第1方向」に移動することができないこととなる。この結果、中アーム77が「初期位置」にある場合には、後アーム79によって「第1方向」に付勢されていても、中アーム77および第1移動役物71を「初期位置」に留めることが可能となる。このように中アーム77および第1移動役物71を「初期位置」に留める構成は、本発明における「停止手段」に相当する。
尚、上述のような構成は、次のような第1の遊技機として捉えることができる。
すなわち、
第1移動役物(第1移動役物71)と、
前記第1移動役物に直接的または間接的に連結された第1部材(中アーム77)と、
前記第1部材を第1方向(実線矢印<3>)に付勢する付勢手段(後アーム79、トーションバネ79a)と、
を備え、
前記第1部材が所定の位置(初期位置)にある場合は、前記第1部材の所定部(軸支部77c)は第2方向(白抜き矢印[7])のみに移動可能であり、
前記第2方向には、前記第1方向と逆方向の方向成分(破線矢印<7a>)が含まれている
ことを特徴とする第1の遊技機
として捉えることができる。
このような第1の遊技機では、第1部材が所定の位置にある場合には、付勢手段によって付勢されていても、第1部材が移動しないようにすることができ、ひいては、第1部材に連結された第1移動役物も移動しないようにすることができる。
本実施例の「移動役物演出」においては、上述の各遊技部品(下アーム76、中アーム77、上アーム78、第1移動役物71、後アーム79)が「初期位置」から離脱(移動)する「離脱動作」と、上述の遊技部品が「初期位置」に復帰(移動)する「復帰動作」とが行われる。以下では、このような「移動役物演出」について、「離脱動作」、「復帰動作」の順で説明する。
<移動役物演出における離脱動作>
「移動役物演出」を開始するに際しては、上述したように各遊技部品(下アーム76、中アーム77、上アーム78、第1移動役物71、後アーム79)が「初期位置」にある状態において、役物用モーター73を駆動する。役物用モーター73を駆動すると、その駆動力が、モーター用ギヤ73a、中継用ギヤ75を介して、アーム用ギヤ76aに伝達される。すると、下アーム76が斜め下方に回動し、これに伴って、中アーム77の軸支部77cも斜め下方(白抜き矢印[7])に移動する(図10(a)参照)。
やがて、軸支部77cが、図11に示すように、「第3方向」(白抜き矢印[8])に移動可能な位置まで移動したら、第1移動役物71は、後アーム79の付勢力によって、摺動溝74aに沿いながら上方へ移動する。また、この場合、第1移動役物71の上方への移動に追随して中アーム77も上方へ移動する。すなわち、「第3方向」は、軸支部77c(中アーム77)が付勢されている方向である「第1方向」と同一方向の方向成分を含んでいる(反対方向の方向成分を含んでいない)。換言すると、「第3方向」を分解すると、「第1方向」と同一方向の方向成分(破線矢印[8a])が抽出される(反対方向の方向成分が抽出されない)。従って、軸支部77cが「第3方向」(白抜き矢印[8])に移動可能な位置まで移動すると、第1移動役物71と中アーム77は、後アーム79の付勢力によって上方への移動を開始する。このように、役物用モーター73によって軸支部77cを「初期位置」から「第3方向」に移動可能な位置まで移動させることで、第1移動役物71および中アーム77を後アーム79の付勢力によって上方へ移動させることが可能となる。つまり、第1移動役物71が「初期位置」に停止された状態を解除することが可能となる。
尚、上述のような構成は、次のような第2の遊技機として捉えることができる。
すなわち、
上述の第1の遊技機において、
前記第1部材の所定部(軸支部77c)を、前記所定の位置(初期位置)から該所定部が第3方向(白抜き矢印[8])に移動可能な位置まで移動させる駆動源(役物用モーター73)を備え、
前記第3方向には、前記第1方向(実線矢印<3>)と同一方向の方向成分が含まれている
ことを特徴とする第2の遊技機
として捉えることができる。
このような第2の遊技機では、駆動源によって第1部材の所定部を所定の位置(初期位置)から該所定部が第3方向に移動可能な位置まで移動させることで、付勢手段の付勢力によって第1部材を移動させることができ、ひいては、第1部材に連結された第1移動役物も移動させることができる。
尚、役物用モーター73が中アーム77を上方へ移動させる力(駆動力)は、後アーム79が中アーム77を上方へ移動させる力(付勢力)より小さい。これによって、第1移動役物71と中アーム77は、役物用モーター73の駆動力ではなく、後アーム79の付勢力によって上方へ移動することとなる。また、この場合、下アーム76は中アーム77の上方への移動に追随して上方へ回動する。
こうして第1移動役物71と中アーム77が上方へ移動していき、第1移動役物71の突出部(図示せず)が、ベース部材74の摺動溝74a上端部に当接すると、図12に示す状態で、第1移動役物71の上方への移動が停止する。この状態は、換言すると、後アーム79の付勢力によって、第1移動役物71の突出部(図示せず)がベース部材74の摺動溝74a上端部に押しつけられて、第1移動役物71が上方への移動先の位置(いわゆる出現位置)で維持された状態である。もっとも、この状態(第1移動役物71の上方への移動が停止した状態)となった後も、役物用モーター73を継続して駆動するため、該駆動力によって下アーム76は更に上方へ回動する。
このように、第1移動役物71の上方への移動が停止した状態で下アーム76が更に上方へ回動すると、中アーム77は第1移動役物71に対して上方へ移動し、ひいては、図13に示すように、中アーム77の後方に突出した突出部77aが第1移動役物71の長孔71b内を上方へ移動する(白抜き矢印[9])。この場合、中アーム77の前方に突出した突出部77b(上アーム78の長孔78aに挿入された突出部77b)も第1移動役物71に対して上方に移動するので、上アーム78の長孔78a側は中途部78cを中心にして上方に回動する。
このように上アーム78の長孔78a側が上方に回動された場合は、図9(b)を用いて前述した態様で動作する。すなわち、図9(b)を用いて前述したように、上アーム78の長孔78a側が上方に回動されると(白抜き矢印[4])、ピニオン部78b側が下方に回動する。そして、この場合、第2移動役物72に設けられたラック部72bは、歯合するピニオン部78bによって、第1移動役物71に対して下方に移動させられる(白抜き矢印[5])。これに伴って、ラック部72bが設けられた第2移動役物72も、第1移動役物71に対して下方に移動させられる(白抜き矢印[6])。この結果、第1移動役物71の上部が遊技者側から視認可能な状態(第1移動役物71の上部が第2移動役物72から露出した状態)となる。
以上のように、「移動役物演出」の「離脱動作」では、先ず、第1移動役物71に対する第2移動役物72の位置を維持しつつ、第1移動役物71を「初期位置(本発明における第1位置)」から「第1移動役物71の突出部(図示せず)がベース部材74の摺動溝74a上端部に当接する位置(本発明における第2位置)」まで移動させる。この移動を本実施例では、「第1段階目の移動」ともいう。
そして、「第1段階目の移動」の後、第1移動役物71に対する第2移動役物72の位置を「第1移動役物71の上部が遊技者側から視認不能な位置(本発明における第3位置)」から「第1移動役物71の上部が遊技者側から視認可能な位置(本発明における第4位置)」まで移動させる。この移動を本実施例では、「第2段階目の移動」ともいう。
このように「移動役物演出」の「離脱動作」においては、「第1段階目の移動」では第1移動役物71と第2移動役物72との位置関係を維持しながら移動させ、「第2段階目の移動」では該位置関係を変化させる演出を行うことができる。換言すると、「第1段階目の移動」にて重なった状態で移動させる第1移動役物71と第2移動役物72とを、「第2段階目の移動」にてその重なりの程度を小さくする演出を行うことができる。この結果、遊技者に意外性を感じさせることができ、遊技興趣を高めることが可能となる。
また、「第2段階目の移動」にて第2移動役物72が第1移動役物71に対して移動する方向(斜め上方)は、「第1段階目の移動」にて第1移動役物71および第2移動役物72が移動する方向(斜め下方)と逆の方向である。この結果、「第1段階目の移動」から「第2段階目の移動」に移る際に遊技者の視線の移動方向を逆に変化させる(下から上→上から下に変化させる)ことができ、更に遊技者に意外性を感じさせることができる。
尚、上述の「第1段階目の移動」は、少なくとも後アーム79とトーションバネ79aによって行われる。従って、後アーム79とトーションバネ79aは、本発明における「第1移動手段」に相当する。また、上述の「第2段階目の移動」は、少なくとも役物用モーター73と上アーム78によって行われる。従って、役物用モーター73と上アーム78は、本発明における「第2移動手段」に相当する。
また、「移動役物演出」の「離脱動作」においては、「第1段階目の移動」も「第2段階目の移動」も、1つの駆動源(役物用モーター73)を駆動することによって実現することができる。この結果、移動役物装置70の軽量化を図ることができると共に、移動役物装置70の生産性を高めることができる。
また、本実施例では、「移動役物演出」の「離脱動作」中は役物用モーター73の駆動を継続させるものの、「第1段階目の移動」が行われている間は、第2移動役物72に対する役物用モーター73の駆動力の伝達を遮ることによって、「第2段階目の移動」が行われることを防止する。すなわち、「第1段階目の移動」が行われている間は、第1移動役物71が後アーム79によって上方へ付勢されているので、中アーム77の後方に突出した突出部77aは第1移動役物71の長孔71c下端部に当接した状態となる。このため、「第1段階目の移動」が行われている間は、中アーム77の前方に突出した突出部77bが上アーム78の長孔78a側を引き下げた状態となる。従って、「第1段階目の移動」が行われている間は、役物用モーター73が駆動していても、上アーム78は回動せず(ピニオン部78bに駆動力が伝達されず)、ひいては、第2移動役物72にも駆動力が伝達されない状態となる。この結果、「第1段階目の移動」が行われている間は、「2段階目の移動」が行われることを防止する(第1移動役物71に対する第2移動役物72の位置を維持する)ことができる。
そして、その後、第2移動役物72に役物用モーター73の駆動力を伝達することによって、「第2段階目の移動」を行う。すなわち、「第1段階目の移動」が終了したら(第1移動役物71の突出部(図示せず)がベース部材74の摺動溝74a上端部に当接したら)、第1移動役物71は、それ以上は上方へ移動できないので、役物用モーター73の駆動力によって、中アーム77の後方に突出した突出部77aが第1移動役物71の長孔71c内を上方に移動していく。このため、中アーム77の前方に突出した突出部77bも上方へ移動していき、上アーム78の長孔78a側を押し上げることとなる。この結果、上アーム78が回動し(ピニオン部78bに駆動力が伝達し)、ひいては、第2移動役物72にも駆動力が伝達される状態となる。この結果、「第2段階目の移動」が行われる。
以上のように、本実施例では、「移動役物演出」の「離脱動作」中は役物用モーター73の駆動を継続させるものの、「第1段階目の移動」が行われている間は、第2移動役物72に対する役物用モーター73の駆動力の伝達を遮ることによって、「第2段階目の移動」が行われることを防止する。そして、その後、第2移動役物72に役物用モーター73の駆動力を伝達することによって、「第2段階目の移動」を行う。こうすると、役物用モーター73を単純に継続して駆動させるだけで、換言すると、役物用モーター73の複雑な制御を要することなく、「第1段階目の移動」および「第2段階目の移動」を行わせることができる。
<移動役物演出における復帰動作>
こうして「離脱動作」を行ったら、続いて、上述の各遊技部品(下アーム76、中アーム77、上アーム78、第1移動役物71、後アーム79)を「初期位置」に復帰させる「復帰動作」を行う。「復帰動作」を行うに際しては、役物用モーター73を「離脱動作」時とは逆向きに駆動する。こうすると、先ず、図13に示す状態から図12に示す状態となる。すなわち、下アーム76が下方に回動し、この下アーム76の回動に追随して、中アーム77も下方に移動する。もっとも、中アーム77が下方に移動しても、第1移動役物71は、後アーム79によって上方に付勢された状態であるので下方へは移動せず、中アーム77の後方に突出した突出部77aが第1移動役物71の長孔71b内を下方へ移動する。この場合、中アーム77の前方に突出した突出部77b(上アーム78の長孔78aに挿入された突出部77b)も第1移動役物71に対して下方に移動するので、上アーム78の長孔78a側は中途部78cを中心にして下方に回動する。
このように上アーム78の長孔78a側が下方に回動された場合は、図9(a)を用いて前述した態様で動作する。すなわち、図9(a)を用いて前述したように、上アーム78の長孔78a側が下方に回動された場合は(白抜き矢印[1])、ピニオン部78b側が上方に回動する。そして、この場合、第2移動役物72に設けられたラック部72bは、歯合するピニオン部78bによって、第1移動役物71に対して上方に移動させられる(白抜き矢印[2])。これに伴って、ラック部72bが設けられた第2移動役物72も、第1移動役物71に対して上方に移動させられる(白抜き矢印[3])。この結果、第1移動役物71の上部が遊技者側から視認不能な状態(第1移動役物71の上部が第2移動役物72から露出していない状態)となる。この場合、中アーム77の後方に突出した突出部77aは、第1移動役物71の長孔71bの下端部に当接した状態となる。
このような状態になった後も、役物用モーター73を継続して駆動するので、後アーム79によって上方に付勢された第1移動役物71を、該付勢力に抗して引き下げるように、中アーム77と下アーム76とは下方(初期位置側)に移動する。この場合、第1移動役物71は、後アーム79によって上方に付勢されながらも、ベース部材74の摺動溝74aに沿って、下方(初期位置側)に移動する。
このように第1移動役物71は上方に付勢されながら下方(初期位置側)に移動するので、この移動の間は、第1移動役物71の長孔71bの下端部に中アーム77の突出部77aが当接したままとなる。すなわち、この移動の間は、第1移動役物71の上部が遊技者側から視認不能な状態(第1移動役物71の上部が第2移動役物72から露出していない状態)のままとなる。
やがて、中アーム77、下アーム76、第1移動役物71が「初期位置」まで移動すると、役物用モーター73の駆動を停止して、「復帰動作」を終了する。
以上のように、「移動役物演出」の「復帰動作」では、先ず、第1移動役物71に対する第2移動役物72の位置を「第1移動役物71の上部が遊技者側から視認可能な位置」から「第1移動役物71の上部が遊技者側から視認不能な位置」まで移動させる。この移動を本実施例では、「第3段階目の移動」ともいう。
そして、「第3段階目の移動」の後、第1移動役物71に対する第2移動役物72の位置を維持しつつ、第1移動役物71を「第1移動役物71の突出部(図示せず)がベース部材74の摺動溝74a上端部に当接する位置」から「初期位置(本発明における第1位置)」まで移動させる。この移動を本実施例では、「第4段階目の移動」ともいう。
このように「移動役物演出」の「離脱動作」においては、「第3段階目の移動」では第1移動役物71と第2移動役物72との位置関係を維持しながら移動させ、「第4段階目の移動」では該位置関係を変化させる演出を行うことができる。換言すると、「第3段階目の移動」にて重なった状態で移動させる第1移動役物71と第2移動役物72とを、「第4段階目の移動」にてその重なりの程度を大きくする演出を行うことができる。この結果、遊技者に意外性を感じさせることができ、遊技興趣を高めることが可能となる。
また、「第3段階目の移動」にて第1移動役物71および第2移動役物72が移動する方向(斜め上方)は、「第4段階目の移動」にて第2移動役物72が第1移動役物71に対して移動する方向(斜め下方)と逆の方向である。この結果、「第3段階目の移動」から「第4段階目の移動」に移る際に遊技者の視線の移動方向を逆に変化させる(下から上→上から下に変化させる)ことができ、更に遊技者に意外性を感じさせることができる。
また、「移動役物演出」の「復帰動作」においては、「第3段階目の移動」も「第4段階目の移動」も、1つの駆動源(役物用モーター73)を駆動することによって実現することができる。この結果、移動役物装置70の軽量化を図ることができると共に、移動役物装置70の生産性を高めることができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例では、「移動役物演出」の「離脱動作」において、先ず、第1移動役物71に対する第2移動役物72の位置を維持しつつ、第1移動役物71を「初期位置(本発明における第1位置)」から「第1移動役物71の突出部(図示せず)がベース部材74の摺動溝74a上端部に当接する位置(本発明における第2位置)」まで移動させる「第1段階目の移動」を行うこととした。そして、「第1段階目の移動」の後、第1移動役物71に対する第2移動役物72の位置を「第1移動役物71の上部が遊技者側から視認不能な位置(本発明における第3位置)」から「第1移動役物71の上部が遊技者側から視認可能な位置(本発明における第4位置)」まで移動させる「第2段階目の移動」を行うこととした。もっとも、第1移動役物71が「第1移動役物71の突出部(図示せず)がベース部材74の摺動溝74a上端部に当接する位置(本発明における第2位置)」に到達する前であっても、「役物用モーター73が中アーム77を上方へ移動させる力(駆動力)」が「後アーム79が中アーム77を上方へ移動させる力(付勢力)」より大きくなると、該駆動力によって「第2段階目の移動」が開始されることがある。このような場合においては、該「第2段階目の移動」が開始される際の第1移動役物71の位置が本発明における「第2位置」に相当する。
また、上述した実施例においては、遊技盤20に形成された遊技領域21に向けて遊技球を発射することによって遊技を行うパチンコ機1に本発明を適用したが、外周面に複数種類の図柄が描かれた回胴を回転させ、該回胴を停止させることによって遊技を行うスロットマシン(回胴式遊技機)に本発明を適用することとしてもよい。
また、上述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明した。これに限らず、「遊技球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入球口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。尚、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入球口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
また、上述した実施例または変形例のパチンコ機は、次のような遊技機として把握することもできる。すなわち、
<把握例1>
遊技媒体を利用して遊技を行う遊技機であって、
第1移動役物と、
前記第1移動役物に対して移動可能に設けられた第2移動役物と、
前記第1移動役物に対する前記第2移動役物の位置を維持しつつ、前記第1移動役物を第1位置から第2位置まで移動させる第1移動手段と、
前記第1移動役物が前記第2位置まで移動した後に、前記第1移動役物に対する前記第2移動役物の位置を第3位置から第4位置まで移動させる第2移動手段と、
を備える
ことを特徴とする。
このような遊技機では、第1移動役物が第2位置に移動するまでは第1移動役物と第2移動役物との位置関係を維持しながら移動させることができ、その移動先で、第1移動役物と第2移動役物との位置関係を変化させることができる。この結果、遊技者に意外性を感じさせることができ、遊技興趣を高めることが可能となる。
<把握例2>
また、こうした遊技機では、
前記第1移動役物を前記第1位置から前記第2位置に向けて付勢する付勢手段と、
前記付勢手段による付勢力に抗して、前記第1移動役物を前記第1位置に停止された状態とする停止手段と、
1つの駆動源と、
を備え、
前記第1移動手段は、
前記駆動源を駆動することによって、
前記停止手段による前記第1移動役物の停止された状態を解除し、前記付勢手段の付勢力によって前記第1移動役物を前記第1位置から前記第2位置まで移動させる手段であり、
前記第2移動手段は、
前記第1移動役物が前記第2位置まで移動した後も、前記駆動源の駆動を継続させることによって、
前記駆動源の力を前記第2移動役物に伝達して、前記第1移動役物に対する前記第2移動役物の位置を前記第3位置から前記第4位置まで移動させる手段である
こととしてもよい。
このような遊技機では、「第1移動役物に対する第2移動役物の位置を維持した、第1移動役物の第1位置から第2位置までの移動(以下「第1段階目の移動」ともいう)」も、「第1移動役物に対する第2移動役物の第3位置から第4位置までの移動(以下「第2段階目の移動」ともいう)」も、1つの駆動源を駆動することによって実現することができる。この結果、遊技機の軽量化を図ることができると共に、遊技機の生産性を高めることができる。
<把握例3>
また、こうした遊技機では、
前記第2移動役物は、駆動源の力が伝達されることによって、前記第3位置から前記第4位置まで移動されるものであり、
前記第1移動手段は、
前記第1移動役物を前記第1位置から前記第2位置まで移動させるまでは、前記第2移動役物に対する前記駆動源の力の伝達を遮ることによって、
前記第1移動役物に対する前記第2移動役物の位置を維持する手段である
こととしてもよい。
このような遊技機では、「第1段階目の移動」が行われている間は、第2移動役物に対する駆動源の力の伝達を遮ることによって、「第2段階目の移動」が行われることを防止する。そして、その後、第2移動役物に駆動源の力を伝達することによって、「第2段階目の移動」を行う。従って、駆動源を単純に継続して駆動させるだけで、換言すると、駆動源の複雑な制御を要することなく、「第1段階目の移動」および「第2段階目の移動」を行わせることができる。
<把握例4>
また、こうした遊技機では、
前記第2移動役物に設けられたラックと、
前記第1移動役物に設けられ、前記ラックと噛み合うピニオンと、
を備え、
前記第2移動手段は、
前記第1移動役物が前記第2位置まで移動した後に、前記ピニオンを回転させることによって、
前記第1移動役物に対する前記第2移動役物の位置を、前記第3位置から前記第4位置まで移動させる手段である
こととしてもよい。
このような遊技機では、「第1段階目の移動」の後にピニオンを回転させることによって、該ピニオンに歯合したラックを移動させて「第2段階目の移動」を行わせることができる。
<把握例5>
また、こうした遊技機では、
前記ピニオンは、駆動源の力が伝達されることによって回転されるものであり、
前記第1移動手段は、
前記第1移動役物を前記第1位置から前記第2位置まで移動させるまでは、前記ピニオンに対する前記駆動源の力の伝達を遮ることによって、
前記第1移動役物に対する前記第2移動役物の位置を維持する手段である
こととしてもよい。
このような遊技機では、「第1段階目の移動」が行われている間は、ピニオンに対する駆動源の力の伝達を遮ることによって、「第2段階目の移動」が行われることを防止する。そして、その後、ピニオンに駆動源の力を伝達することによって、「第2段階目の移動」を行う。従って、駆動源を単純に継続して駆動させるだけで、換言すると、駆動源の複雑な制御を要することなく、「第1段階目の移動」および「第2段階目の移動」を行わせることができる。
<把握例6>
また、こうした遊技機では、
前記第3位置から前記第4位置に向かう方向は、前記第1位置から前記第2位置に向かう方向の逆の方向である
こととしてもよい。
このような遊技機では、「第2段階目の移動」にて第2移動役物が第1移動役物に対して移動する方向は、「第1段階目の移動」にて第1移動役物および第2移動役物が移動する方向と逆の方向となる。この結果、「第1段階目の移動」から「第2段階目の移動」に移る際に遊技者の視線の移動方向を逆に変化させることができ、更に遊技者に意外性を感じさせることができる。