以下、発明の実施の形態例を図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた前面枠2と、前面枠2の内側に収容された遊技盤3と、前面枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部8が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部8に取り付けられた透明なガラス板10と、前面枠2の下側に開閉自在に配設され、遊技球を収容する受皿5を有する前面ボード6と、前面枠2の下部に設けられた発射装置9と、前面ボード6に取り付けられたハンドル7等を具備している。さらに、ガラス扉4の上部にはスピーカ20が左右に1個ずつ取り付けられており、遊技に関する様々な効果音を発している。
また、図3に示すように、このパチンコ機Pは、背面側に、主制御処理部11と、副制御処理部を構成する演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12c、および普通図柄表示制御部12fと、払出制御処理部12eと、発射制御処理部13と、賞球払出装置14等を備えている。続いて、図1〜図4を参照して、本実施形態に係るパチンコ機Pの構成を詳しく説明していくことにする。
遊技盤3は、その盤面に遊技領域31を有しており、前面枠2に装着した後、ガラス板10から遊技領域31を観察することができる。遊技領域31は、遊技球を滑走させるガイドレール32と遊技球規制レール33によって略円形状となるように区画形成されており、発射装置9によって打ち出された遊技球はこの遊技領域31内を流下する。また、遊技領域31内には、特別図柄表示装置17と、演出表示装置34と、スルーチャッカ21と、普通図柄表示装置22と、電動チューリップ49と、ステージ36と、始動入賞口(始動口)37と、一般入賞口38と、アウト口39と、遊技釘(図示せず)と、風車(図示せず)と、アタッカー装置41等が設けられている。
演出表示装置34は、遊技盤3の略中央部に設けられ、始動入賞口37に遊技球が入賞することを契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果に基づいて所定の演出態様を表示するものであって、本実施形態では液晶表示装置が用いられている。この演出表示装置34には、所定の演出態様の一部として、特別図柄表示装置17に変動表示される特別図柄と同期をとってダミー図柄(演出図柄)が変動表示されるようになっている。なお、この演出表示装置34には、保留球乱数が保留球乱数記憶部(メモリ)115に記憶された場合に保留表示(保留球乱数が記憶された旨の表示)を行うための表示領域が区画形成されている。つまり、この表示領域の部分が保留球表示装置34aとなっているのである。この保留球表示装置34aは、通常は、保留表示として「★」が表示される。
また、特別図柄表示装置17は、始動入賞口37に遊技球が入賞することを契機に行われた特別図柄に係る電子抽選の結果を表示するためのものであって、より具体的には、抽選結果を、特別図柄(数字や絵柄)を変動させた後に停止させるといった態様で表示するものである。この特別図柄表示装置17は、本実施形態では7セグメント表示器が用いられており、演出表示装置34を見ている遊技者の視界に同時に入らないように遊技盤3の右下部分に離れて設けられている。
スルーチャッカ21は、遊技球が通過可能なゲート構造を成しており、その内部には遊技球が通過したことを検知する磁気センサタイプのスルーチャッカ検知センサ46が内蔵されている。また、このスルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に行われる普通図柄に係る電子抽選の結果を表示するための普通図柄表示装置22が、特別図柄表示装置17の隣に設けられている。この普通図柄表示装置22は、本実施形態では、二つのLEDランプで構成されており、普通図柄当たりのときに一方のLEDランプが点灯し、ハズレのときには他方のLEDランプが点灯するようになっている。
電動チューリップ49は、始動入賞口37の入口に設けられ、遊技盤3の面に直交する軸を中心に回動する一対の羽根部材を備えており、ソレノイドに通電がなされると一対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して、始動入賞口37の入口を拡大するようになっている。ステージ36は、演出表示装置34の下方に配置されており、遊技球が転動しながら一時的に滞在する構造物である。このステージ36の中央には溝が形成されており、この溝の真下の位置には始動入賞口37が配されている。そのため、溝から落下した遊技球は、高い確率で始動入賞口37へと導かれる。
アタッカー装置41は、始動入賞口37に遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果、大当たりとなって大当たり遊技に移行した場合に所定回数開放される装置である。このアタッカー装置41が開放すると、大入賞口42が露呈し、そこに遊技球が入賞することで多くの賞球が獲得できるようになっている。また、一般入賞口38に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。そして、始動入賞口37や一般入賞口38に入らなかった遊技球は、アウト口39から回収される。なお、始動入賞口37、一般入賞口38、大入賞口42の内部にはそれぞれ遊技球の通過を検知するためのセンサ43〜45(図4参照)が設けられている。
前面ボード6には遊技球を収容するとともに、外部に排出可能な受皿5が取り付けられている。この受皿5は、遊技者が投入した遊技球を収容するだけでなく、賞球払出装置14から賞球として払い出された遊技球も収容可能となっている。また、遊技球を遊技領域31に向けて発射するための発射装置9が前面枠2の下部に取り付けられており、受皿5に収容されている遊技球がこの発射装置9に1個ずつ供給される。そして、前面ボード6の右下に取り付けられたハンドル7を回動させると、その回動量に応じた発射強度で発射装置9が遊技球を遊技領域31へと発射することができるようになっている。また、図1に示すように、受皿5の側部には、遊技者が押下操作するタッチボタン60が設けられている。
主制御処理部11は、遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられている。この主制御装置11は、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶及び記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等とにより構成されている。このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。
具体的には、図4に示すように、始動入賞口37に遊技球が入賞したことを契機に特別図柄に係る電子抽選を行う特別図柄抽選部(電子抽選手段)110と、この特別図柄抽選部110が判定した抽選結果に応じて特別図柄を決定する特別図柄決定部120と、遊技コマンドである変動パターンコマンドを決定するための変動パターンコマンド決定部(遊技コマンド決定手段)140と、特別図柄抽選部110による抽選結果の判定が大当たりとなった場合にアタッカー装置41(のソレノイド)を作動させて大当たり遊技に移行する大当たり遊技制御部(大当たり遊技制御手段)160と、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に普通図柄に係る電子抽選を行う普通図柄抽選部170と、電動チューリップ49の作動を制御する電動チューリップ作動制御部180と、賞球払出し個数に係るコマンドを送信する賞球払出個数コマンド送信部(賞球払出個数コマンド送信手段)190と、を備えて主制御処理部11は構成されている。
特別図柄抽選部110は、周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成する特別図柄用乱数発生部(特別図柄用乱数発生手段)111と、始動入賞口37に遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43からの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)乱数を1つ取得(ラッチ)する特別図柄用乱数取得部(特別図柄用乱数取得手段)112と、この特別図柄用乱数取得部112が取得した乱数が大当たりであるか否かを特別図柄判定テーブル114を参照して決定する特別図柄当否判定部(特別図柄当否判定手段)113と、特別図柄用乱数取得部112が乱数を取得したときに特別図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を保留球乱数として所定個数である4個(即ち、M=4)の上限まで記憶する保留球乱数記憶部115と、を備えている。
変動パターンコマンド決定部140は、演出態様を決定するためのコマンドである変動パターンコマンドの決定に用いられる変動パターン用乱数の抽選処理を行う変動パターン用乱数抽選部130と、変動パターン用乱数と変動パターンコマンドのパターンNo.(遊技コマンド)とが対応づけられたテーブルが複数記憶されたコマンド参照テーブル135と、を備えている。この変動パターン用乱数抽選部130は、図5に示すように、周期的(例えば2ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(0〜63まで)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成する変動パターン用乱数発生部131と、始動入賞口37に遊技球が入賞したことに基づいて(始動入賞口検知センサ43からの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)乱数を1つ取得(ラッチ)する変動パターン用乱数取得部132と、この変動パターン用乱数取得部132が取得した乱数を記憶する変動パターン用乱数記憶部134と、を備えている。
また、コマンド参照テーブル135は、図6に示すように、取得した特別図柄用乱数が大当たり乱数である場合に参照される大当たり時参照テーブル135aと、ハズレの場合に参照されるハズレ時参照テーブル135bとを有しており、これらのテーブル135a、135bを参照して、変動パターンコマンド決定部140は、変動パターンNo.を決定している。
より具体的に説明すると、大当たり時参照テーブル135aには、遊技コマンドである変動パターンNo.1〜64までが割り当てられ、ハズレ用時参照テーブル135bには遊技コマンドである変動パターンNo.65〜127までが割り当てられている。そして、特別図柄用乱数取得部112が取得した乱数が大当たり乱数である場合には、変動パターンコマンド決定部140は変動パターンNo.1〜64の中から変動パターン用乱数に基づいて1つのパターンを選択して、そのパターンを変動パターンコマンド(遊技コマンド)として演出制御処理部12aに送信している。
同様に、ハズレの場合には、変動パターンコマンド決定部140は、変動パターンNo.65〜127の中から変動パターン用乱数に基づいて1つのパターンを選択して演出制御処理部12aにそのコマンドを送信している。なお、変動パターンNo.1〜64までは、変動パターンNo.65〜127に比べて全体的に特別図柄の変動時間が長い変動パターンコマンドとなっており(詳しくは後述)、変動時間が長い演出態様が表示されると、遊技者は大当たりの可能性が高いのではないかと予測することができるようになっている。
ここで、本実施形態では、始動入賞口37に遊技球が入賞したタイミングで変動パターン用乱数を取得する。そして、この入賞で直ちに遊技が開始する場合には、この変動パターン用乱数に基づいて変動パターンコマンドを決定している。この入賞が特別図柄の変動中であったため、この入賞に基づいて取得した特別図柄用乱数が保留球乱数として保留球乱数記憶部115に記憶される場合においても、同様に、この入賞のタイミングで取得した変動パターン用乱数に基づいて変動パターンコマンドを決定して、その変動パターンコマンドを演出制御処理部12aに送信している。これは、保留球乱数に係る遊技情報を先に報知する演出、即ち、先読み演出を行うために変動パターンコマンドが必要だからである。
また、保留球乱数として記憶される場合には、当該保留球乱数に基づく遊技が開始するまで、この取得した変動パターン用乱数は、変動パターン用乱数記憶部134に記憶されている。そして、保留球乱数に基づく遊技が開始される際には、変動パターン用乱数記憶部134に記憶されている変動パターン用乱数を再び読み出して、コマンド参照テーブル135を参照して変動パターンコマンドが決定されるようになっている。
つまり、特別図柄用乱数が保留球乱数として記憶される場合には、変動パターンコマンドは2回決定され、1回目の決定は、始動口37への遊技球の入賞のタイミングであり、ここで決定した変動パターンコマンドを受けて、このコマンドに対応する保留球乱数のことを指す先読み対象保留球乱数に係る遊技情報を、当該先読み対象保留球乱数に基づく遊技が開始されるより前に報知するか否かを先読み演出決定部230が抽選により決定する。2回目の決定は、保留球乱数に基づく遊技が開始するタイミングであり、このタイミングで当該遊技に関する正式な変動パターンコマンドが決定されることとなる。つまり、1回目の決定はあくまで先読み演出決定部230による抽選に用いるためのものであり、2回目の決定が遊技に用いる正式な変動パターンコマンドとなるのである。なお、1つの保留球乱数に係る変動パターン用乱数は同じなので、1回目と2回目の変動パターンコマンドは基本的に同じとなるが、実際の遊技が開始される時点で保留球乱数が4個の上限まで記憶されているような場合には、2回目の変動パターンコマンドは特別図柄の変動時間が短いコマンドとなっている場合があり得る。
ここで、本実施形態では、大当たり時に選択可能な変動パターンNo.30〜64と、ハズレ時に選択可能な変動パターンNo.65〜80で特定の変動パターンコマンド(特定の遊技コマンド)を構成している。そして、特定の変動パターンコマンドの内訳は、大当たり時の変動パターンコマンドがNo.30〜64までの合計35個、ハズレ時の変動パターンコマンドがNo.65〜80までの合計16個となっており、特別図柄用乱数が大当たりである場合に選択される変動パターンコマンドの数の方が、ハズレである場合に選択される変動パターンコマンドの数より多くなっている。
そして、これらの特定の変動パターンコマンドを受信したときに行う先読み演出決定部230(図7参照)による抽選で当選する確率は、それ以外の変動パターンコマンドを受信したときに行う先読み演出決定部230による抽選で当選する確率よりも高くなっている。そのため、演出表示装置34に特定予告態様を用いた報知がなされた場合には、大当たりの可能性が高いのではないかと期待することができるのである。
なお、以下の説明において、1回目の決定に係る変動パターンコマンドと2回目の決定に係る変動パターンコマンドとを区別して表現する必要がある部分については、1回目の決定に係る変動パターンコマンドに対してはカッコ書きで(先読みコマンド)を、2回目の決定に係る変動パターンコマンドに対してはカッコ書きで(正規コマンド)をそれぞれ付記することにする。
次に、大当たり遊技制御部160は、大当たりの種類に応じて所定のラウンド数だけアタッカー装置41の開閉を行うように制御している。また、普通図柄抽選部170は、特別図柄用乱数発生手段111が発生させる乱数の数より少ないが同様の構成からなる普通図柄用乱数発生部と、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に(スルーチャッカ検知センサ46からの検知信号が主制御処理部11に入力されたタイミングで)乱数を1つ取得(ラッチ)する普通図柄用乱数取得部と、この普通図柄用乱数取得部が取得した乱数が普通図柄当たりであるか否かを普通図柄判定テーブルを参照して決定する普通図柄当否判定部と、普通図柄用乱数取得部が乱数を取得したときに普通図柄が変動中である場合に、この取得した乱数を普通図柄用保留球乱数として記憶する普通図柄用保留球乱数記憶部と、を備えている。また、電動チューリップ作動制御部180は、普通図柄抽選部170による電子抽選で普通図柄当たりに当選したコマンドに基づいて、電動チューリップ49のソレノイドに通電して開閉するよう制御している。
賞球払出個数コマンド送信部190は、賞球払出装置14の作動を制御する払出制御処理部12eに賞球払出個数に係るコマンドを送信すると共に、同じ内容のコマンドを演出制御処理部12aにも同時に送信している。本実施形態において、始動入賞口37に遊技球が入賞した場合に払い出される賞球は3個(Na=3)であり、一般入賞口38に遊技球が入賞した場合に払い出される賞球は、始動入賞口37より多い10個(Nb=10)と予め設定されている。従って、賞球払出個数コマンド送信部190は、始動入賞口37に遊技球が入賞して始動入賞口検知センサ43からの検知信号が入力されると、払出制御処理部12eと演出制御処理部12aに同時に賞球を3個払い出す旨のコマンドを送信する。同様に、賞球払出個数コマンド送信部190は、一般入賞口38に遊技球が入賞して一般入賞口検知センサ44からの検知信号が入力されると、払出制御処理部12eと演出制御処理部12aに同時に賞球を10個払い出す旨のコマンドを送信する。
続いて、主制御処理部11からの指令(コマンド)を受けて各種装置を制御する副制御処理部について説明する。副制御処理部を構成する演出制御処理部12a、特別図柄表示制御部12b、ランプ制御処理部12c、および普通図柄表示制御部12fは、遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられ、主制御処理部11が生成した処理情報に従って、演出表示装置34やスピーカ20、その他の演出装置(LED装置など)などの制御を行う装置である。また、払出制御処理部12e、および発射制御処理部13は前面枠2の裏面下部に設けられている。
演出制御処理部12aは、図7に示すように、処理部として、演出態様を決定するための演出態様決定部(演出態様決定手段)210と、この演出態様決定部210が決定した演出態様を演出表示装置34に表示するよう制御する演出表示制御部(演出表示制御手段)220と、先読み対象保留球乱数に係る遊技情報を先読み予告(特定予告態様)を用いて報知するか否かの抽選を行う先読み演出決定部(先読み演出決定手段)230と、賞球払出個数コマンド送信部190からのコマンドに基づき賞球払出し個数をカウントする賞球払出個数カウント部(賞球払出個数カウント手段)240と、を備えて構成されている。
先読み演出決定部230は、変動パターンコマンド(先読みコマンド)を受信すると、そのコマンドに対応する保留球乱数のことを指す先読み対象保留球乱数に係る遊技情報を、先読み予告を用いて報知するか否か(別言すれば、先読み演出を行うか否か)の抽選を直ちに行う。この抽選に当選すると、先読み対象保留球乱数に基づく遊技が開始されるより前に先読み予告の表示を行うことを決定する。この抽選に当選する確率は、上述したように、変動パターンコマンド(先読みコマンド)が特定の変動パターンコマンド(先読みコマンド)である方が高くなっている。なお、先読み予告の表示が行われるためには、次に述べる賞球払出個数カウント部240が予め定めた条件を達成する必要がある。
賞球払出個数カウント部240は、1個目の保留球乱数のために賞球払出し個数のカウントを行う保留1用賞球払出個数カウント部240aと、2個目の保留球乱数のために賞球払出し個数のカウントを行う保留2用賞球払出個数カウント部240bと、3個目の保留球乱数のために賞球払出し個数のカウントを行う保留3用賞球払出個数カウント部240cと、4個目の保留球乱数のために賞球払出し個数のカウントを行う保留4用賞球払出個数カウント部240dの4つのカウント部を備えており、賞球払出個数コマンド送信部190からの賞球払出し個数に係るコマンドが演出制御処理部12aに入力されると、保留球乱数として記憶されているカウント部240a〜240dがそれぞれカウントを行うようになっている。なお、カウントの具体例については後述する。
また、演出制御処理部12aは、図7に示すように、記憶部として、複数種類の演出態様が記憶された演出態様記憶部260を備えている。この演出態様記憶部260には、大当たりの時に参照される大当たり用演出テーブル260aと、ハズレのときに参照されるハズレ用演出テーブル260bと、先読み演出を行うことが決定した場合に参照される先読み予告演出テーブル260cとが格納されている。以下、これらのテーブル構成について図8〜図11を参照しながら具体的に説明する。
大当たり用演出テーブル260aは、図8に示すように、変動パターンNo.1〜No.64までの変動パターンコマンドに1対1で対応するように演出態様が割り当てられている。例えば、変動パターンNo.1には「ロングリーチA」が、変動パターンNo.2には「ロングリーチB」が、変動パターンNo.30には「超スーパーリーチA」が、変動パターンNo.64には「プレミアリーチC」が割り当てられている。これらの演出態様は全てリーチ(複数の演出図柄のうち変動中の演出図柄を一つ残して、その他の演出図柄が全て同一図柄で停止した状態の演出態様のこと)を含んでおり、リーチを含まない演出に比べて長時間の演出が行われる態様となっている。
ハズレ用演出テーブル260bは、図9に示すように、変動パターンNo.65〜No.127までの変動パターンコマンドに1対1で対応するように演出態様が割り当てられている。例えば、変動パターンNo.65には「リーチなしA」が、変動パターンNo.66には「リーチなしB」が、変動パターンNo.85には「ロングリーチA」が、変動パターンNo.127には「スーパーリーチB」が割り当てられている。このように、この第1ハズレ用演出テーブル260bは、リーチなしの演出が多数含まれた構成となっている。
先読み予告演出テーブル260cは、図10に示すように、変動パターンNo.1〜No.25までの変動パターンコマンドに対応するように演出態様の一部である先読み予告態様(特定予告態様)「●」が割り当てられており、同様にして、変動パターンNo.26〜No.45には「☆」が、変動パターンNo.46〜No.55には「◎」が、変動パターンNo.56〜No.64には「$」が、変動パターンNo.65〜No.80には「☆」が、変動パターンNo.81〜No.95には「◎」が、変動パターンNo.96〜No.127には「●」が割り当てられている。これらの先読み予告態様は、保留表示装置34aに表示されるものであり、この図10から明らかなように、「$」は変動パターンコマンドが大当たりに係るものであるときにしか選択されないようになっているので、保留球表示装置34aに「$」が表示されると、遊技者は保留球乱数に大当たりがあることが分かることとなる。また、上述したように、特定の変動パターンコマンド(No.30〜No.80)の場合には、先読み演出決定部230による抽選に当選する可能性が高いため、例えば、保留球表示装置34aに「◎」が表示されると、この「◎」は特定の変動パターンコマンドであるNo.46〜No.55に基づいた表示である可能性が高いため、遊技者は「◎」の表示により保留球乱数の中に大当たりがあるのではないかと期待をすることができるようになっている。
ここで、演出態様決定部210が、先読み対象保留球乱数に対する遊技情報を、先読み予告演出テーブル260cを参照して特定予告態様である先読み予告態様を用いて保留球表示装置34aに表示することを決定するためには、先読み演出決定部230による抽選に当選するだけでなく、先読み対象保留球乱数が保留球乱数記憶部115に記憶されたときから、当該先読み対象保留球乱数に基づく遊技が開始されるまでの間に賞球払出個数カウント部240によるカウントが、予め定めた個数Nc以上でなければならない。この個数Ncは、本実施形態では6個と定められている。つまり、本実施形態では、始動入賞口37に入賞した場合の賞球個数Na=3、一般入賞口38に入賞した場合の賞球個数Nb=10、保留球乱数を記憶できる上限個数M=4であるので、3<Nc<3*4(=12)、かつ、Nc<10を満たす範囲でNc=6と設定している。よって、先読み対象保留球乱数に関する遊技情報を先に知りたい場合には、始動入賞口37に2回入賞させて賞球払出し個数を6個カウントするか、あるいは一般入賞口38に1回入賞させて賞球払出個数を10個カウントするかが必要となる。
図4に説明を戻すと、特別図柄表示制御部12bは、主制御処理部11の特別図柄決定部120が決定した特別図柄のコマンドと、変動パターンコマンド決定部140が決定した変動パターンコマンド(正規コマンド)に基づき、特別図柄表示装置17に特別図柄を所定の時間だけ変動させた後に停止させる態様で特別図柄決定部120が決定した特別図柄を表示する。一方、普通図柄表示制御部12fは、普通図柄抽選部170による普通図柄に係る抽選結果のコマンドを受け、そのコマンドに基づいて普通図柄表示装置22に普通図柄を変動させた後に停止させる態様で表示するよう制御している。なお、普通図柄表示制御部12fは、上記した特別図柄表示制御部12bによる表示制御と比べて表示する図柄の対象が相違するものの、表示制御の基本構成はほぼ同じである。また、ランプ制御処理部12cは、主制御処理部11からコマンドを受けて各種ランプや電飾の点灯制御を行うものである。
払出制御処理部12eは、CRユニットからの信号を受けて遊技球を遊技者に貸し出すように賞球払出装置14を制御する他、主制御処理部11の賞球払出個数コマンド送信部190からの払出指令を受けて、所定個数の賞球を遊技者に対して払い出すように賞球払出装置14を制御する。この賞球払出装置14は、遊技球を1個ずつ保持する切欠きが形成されたスプロケット(図示せず)と、このスプロケットを回転させるモータ(図示せず)とを備えて構成されている。そして、モータの回転を制御することにより、必要な数だけ賞球を払い出すことができるようになっている。具体的には、始動入賞口検知センサ43、一般入賞口検知センサ44、大入賞口検知センサ45等が遊技球の通過を検知したら、賞球払出装置14は賞球払出個数に係るコマンドに基づき遊技球を払い出す。
発射制御処理部13は、ハンドル7の回動量に応じて、発射装置9に対する作動の制御を行う装置である。より具体的に言うと、発射装置9に対して通電させたり、通電を停止したり、あるいは、通電電流を変化させるといった制御処理を行う。なお、この発射制御処理部13は、払出制御処理部12eと接続されており、CRユニットが接続されていない場合に発射停止信号が受信されるようになっている。
次に、上記したパチンコ機Pの先読み演出の決定に係る処理と先読み予告表示の具体例について、図11および図12を参照しながら説明する。先読み演出の決定処理では、まず、始動入賞口37に遊技球が入賞して保留球乱数記憶部115に保留球乱数として記憶されたか否かを判断する(ステップS10)。ステップS10でYesの場合には、図12(a)に示すように保留球表示装置34aの保留1の領域に保留球乱数が記憶された旨を表す「★」印が表示される。なお、図12の「↓↓↓」は演出図柄が変動表示中であることを示している。
次いで、ステップS11に進み、保留1に係る先読み対象保留球乱数について先読み演出決定部230による抽選で当選したか否かを判断する。このステップS11でYesの場合、即ち、保留1について先読み演出を行うと決定した場合には、ステップS12に進んで、保留1用賞球払出個数カウント部240aのカウンタをゼロにセットして、この保留1が記憶されたときから賞球払出し個数のカウントを開始する(図12(a)の保留1の状態)。次いで、ステップS13で賞球があったか否かを判断する。このステップS13でYesの場合には、賞球払出カウント部240は各保留球乱数に対応したカウンタに賞球払出し個数を加算する。例えば、図12(b)に示すように、保留1の後にさらに始動入賞口37に遊技球が入賞して保留2に保留球乱数が記憶されると3個の賞球があるので、保留1用賞球払出個数カウント部240aに+3が加算されることとなる。なお、この保留2も先読み演出決定部230による抽選で当選しているものとして説明を続けることにする。
次いで、ステップS15にて、賞球払出個数カウント部240のカウンタの値が予め定めた個数Ncである10に到達したか否かを判断する。図12(b)の状態では保留1に対応する保留1用賞球払出個数カウント部240aのカウンタの値は+3であるので、ステップS15の判断ではNoとなる。そして、ステップS15でNoの場合には、ステップS17で保留球乱数に基づく遊技が開始されたか否かを判断する。図12の保留1を例に挙げると、この保留1に基づく遊技が開始されたか否かを判断する。図12(b)の状態では、まだ保留1の遊技は開始されていないので、このステップS17でNoとなる。
このステップS17でNoの場合には、ステップS13の手前に戻って再び賞球があったか否かを判断する。ここで、図12(c)に示すように、保留1と保留2が保留球乱数記憶部115に記憶されている状態で、始動入賞口37に遊技球が入賞すると保留3に「★」が表示されると共に、ステップS13でYesとなってステップS14に進み、保留1用賞球払出個数カウント部240aのカウンタが+3から3個加算されて+6となると同時に、保留2に対しても同様の処理手順により保留2用賞球払出個数カウント部240bのカウンタがゼロから3加算されて+3となる。
そうすると、保留1は、保留1用賞球払出個数カウント部240aのカウンタの値+6がNc(Nc=6)と同じ値となるので、ステップS15でYesとなってステップS16に進み先読み演出を行う。例えば、図12(c)に示すように、演出態様決定部210が先読み予告テーブル260cを参照しながら、保留1に係る変動パターンコマンド(先読みコマンド)に基づいた先読み予告態様を決定し、この決定に基づいて演出表示制御部220が保留1の領域に表示されていた「★」を、「◎」の表示に変更してリターンとなる。なお、「◎」が表示されるということは、図10に示すように、変動パターンNo.は、No.46〜No.55か、あるいはNo.81〜No.95である。ここで、変動パターンNo.46〜55は上述したように特定の変動パターンコマンドであるため、この「◎」の表示を見た遊技者は保留1が大当たりの可能性が高いのではないかと期待することができることとなる。なお、この保留3も先読み演出決定部230による抽選で当選しているものとして説明を続ける。
図12(d)に示すように、保留1〜保留3が保留球乱数記憶部115に記憶されている状態で、運良く一般入賞口38に遊技球が入賞すると、この入賞に係る賞球は10個なので、保留2は、ステップS13でYesとなりステップS14にて保留2用賞球払出個数カウント部240bのカウンタが+3から10加算されて+13となる。保留3についても同様の処理手順により保留3用賞球払出個数カウント部240cのカウンタがゼロから一気に10加算されて+10となる。
そうすると、保留2については、保留2用賞球払出個数カウント部240bのカウンタの値+13がNc(Nc=6)を超えているので、ステップS15でYesとなってステップS16に進み先読み演出を行う。例えば、図12(d)に示すように、演出態様決定部210が先読み予告テーブル260cを参照しながら、保留2に係る変動パターンコマンド(先読みコマンド)に基づいた先読み予告態様を決定し、この決定に基づいて演出表示制御部220が保留2の領域に表示されていた「★」を、「●」の表示に変更する。なお、「●」が表示されるということは、図10に示すように、変動パターンNo.は、No.1〜No.25か、あるいはNo.96〜No.127であるので、この「●」印が表示されたときの大当たりの期待はそれほど高くない。
これに対して、保留3については、一度の一般入賞口38への遊技球の入賞により保留3用賞球払出個数カウント部240cのカウンタの値が一気に+10となってNc(Nc=6)を超えたので、ステップS15でYesとなり、次のステップS16に進んで先読み演出を行うこととなる。例えば、図12(d)に示すように、演出態様決定部210が先読み予告テーブル260cを参照しながら、保留3に係る変動パターンコマンド(先読みコマンド)に基づいた先読み予告態様を決定し、この決定に基づいて演出表示制御部220が保留3の領域に表示されていた「★」を、「$」の表示に変更する。なお、「$」が表示されるということは、図10に示すように、変動パターンNo.は、No.55〜No.64であり、この「$」が表示されると大当たりが確定することとなる。
なお、保留1については、既に図12(c)の段階で先読み演出を行っているので、一般入賞口38の入賞による保留1用賞球払出個数カウント部240aのカウントは行われない。また、ステップS10でNoの場合、ステップS11でNoの場合は、そのままリターンとなり、ステップS13でNoの場合にはステップS15の手前に進むこととなる。
以上、説明したように、本発明の実施の形態例に係るパチンコ機Pでは、保留球乱数に係る遊技情報を先に知りたい場合、即ち、保留球に係る先読み演出を見たい場合には、遊技者は、保留球乱数が記憶されてから、当該保留球乱数に基づく遊技が開始するまでの間に始動入賞口37や一般入賞口38に遊技球を入賞させて賞球をカウントしていかなければならないため、保留球乱数が記憶されても遊技球を打ち出し続けなければならない。よって、パチンコ機の稼働は維持あるいは向上されることとなる。
なお、上記の例では、賞球払出個数カウント部240のカウント値が予め定めた個数Nc以上になったら直ちに保留球表示装置34aの表示を変更するようにしたが、この構成に代えて、カウント値に応じて段階的に保留球表示装置34aの表示を変更するようにしても良い。例えば、保留球表示として最初は「★」印が表示され、先読み演出決定部230による抽選に当選し、賞球払出個数カウント部240のカウンタの値が+3となったときに保留表示を「◎」にし、+6になったら「☆」にし、+10になったら「$」とステップアップするような表示にしても良い。この構成によれば、表示のバリエーションが増え、遊技の趣向性がより一層向上することとなる。
また、上記の例では、先読み演出決定部230は変動パターンコマンド(先読みコマンド)を受けたときに抽選により先読み予告を用いて報知するか否かを決定するようにしたが、この構成に代えて、先読み演出決定部230は、特定の変動パターンコマンド(先読みコマンド)を受けたときには必ず先読み予告を用いた報知を行うことを決定し、それ以外の変動パターンコマンド(先読みコマンド)を受けたときには先読み予告を用いた報知は行わないように決定する構成とすることもできる。かかる構成によれば、先読み演出に係る抽選処理が省略できるので、制御が簡単になるといった効果がある。