JP5356045B2 - 密閉式混練機、および密閉式混練機の固定側シール部材位置監視方法 - Google Patents
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Description
まず、主に図4を参照しつつ本発明の一実施形態に係る密閉式混練機1の構成について説明する。図4に示すように、密閉型混練機1は、一対の混練ロータ(ロータ)2・2と、これら混練ロータ2・2を回転自在に収容する中空状のケーシング3とを有している。ケーシング3には、ケーシング3を介して混練物を冷却あるいは昇温させる媒体流通機構(不図示)が設けられている。一方、ケーシング3の内面壁は、縦断面まゆ型形状に形成されており、このケーシング3の側面にエンドプレート8が接合されることによって(図2参照)、左右一対の混練室4a・4aからなるチャンバ4を形成するようになっている。
次に、密閉式混練機1のダストストップ装置について説明する。ダストストップ装置は、チャンバ4に圧入され混練されている混練材料が、混練ロータ2端部から混練室4aの外部へダストとして漏れ出さないようにするための装置である。図1〜3に示すように、このダストストップ装置は、混練ロータ2の端面2bに固設された回転側シール部材9と、混練ロータ2のロータ軸7を回転自在に貫挿する固定側シール部材10と、固定側シール部材10を回転側シール部材9に圧接するべく固定側シール部材10を混練ロータ2の端面2b方向に付勢する押圧力付与機構29とを有している。
密閉式混練機1の混練室4a・4aには、上述の混練ロータ2・2がそれぞれ貫挿されている。各混練ロータ2・2は、図2および3に示すように、両端部のロータ径がロータ端面2bで最大となるように拡径されており(拡径部2a)、ロータ端面2bの内周側には、拡径部2aのロータ径よりも小さなシャフト径のロータ軸7が突設されている。一方、ロータ端面2bには、2分割可能なリング状の回転側シール部材9が固設されている。ここで、混練ロータ端面2bには、円周状に凹部が形成され、回転側シール部材9は当該凹部に固設されている。また、回転側シール部材9は、断面L字状のシール部材本体9aと、その後端(ロータ軸7側)に固設されたリング状の摺動部材9bとからなる。そして、回転側シール部材9は、その内周側から外周側に向かってリング状のカラー11で押されてロータ端面2bに固設されている。なお、この押し付け力は、ボルト12の締め込みによって生じる。また、回転側シール部材9は、混練ロータ2と一体に回転する部材である。
固定側シール部材10は、2分割可能なリング状の部材であり、その内周側にロータ軸7が回転自在に貫挿されている。上述の回転側シール部材9が回転するのに対し、当該固定側シール部材10は回転しない。また、固定側シール部材10は、リング状のシール部材本体10aと、その先端(混練ロータ2側)に固設されたリング状の摺動部材10bとからなる。ここで、固定側シール部材10のシール部材本体10aは、混練物や潤滑油を外部に漏洩させないように、その混練ロータ2側においてシールリング14を介してエンドプレート8に液密状態に嵌合されている。さらに、シール部材本体10aには、その後端側において冷却水路15が周方向に形成されているとともに、潤滑油路17が軸方向に形成されている。そして、冷却水路15および潤滑油路17には、冷却水配管16および潤滑油配管18がそれぞれ接続されており、冷却水路15は、冷却水配管16を介して冷却水が流入されることにより固定側シール部材10を冷却するようになっている。一方、潤滑油路17は、摺動部材10bに形成された貫通孔に連通されており、潤滑油配管18を介して潤滑油が流入されることにより摺動部材10bと回転側シール部材9の摺動部材9bとの当接面間に潤滑油を供給するようになっている。
次に、押圧力付与機構29について説明する。押圧力付与機構29は、油圧シリンダ23と、油圧シリンダ23に取り付けられたリニアセンサ26と、油圧シリンダ23が一方の端部に取り付けられたヨーク20とを有している。
油圧シリンダ23は、シリンダ本体24と、ピストンロッド25とを有し、シリンダ本体24のヘッド側室23aに油が給排されることで、ピストンロッド25が直線運動するリニアアクチュエータである。なお、リニアアクチュエータとは、直線運動するアクチュエータのことをいい、油圧シリンダ23に限られることはない。また、作動源は、油圧に限られず他の液体であってもよいし、空圧シリンダを用いることもできる。
リニアセンサは、リニアアクチュエータの直線運動の動作距離を測定するセンサである。本実施の形態におけるリニアセンサ26は、油圧シリンダ23のピストンロッド25のストローク(ピストンの位置)を検出するためのセンサであり、油圧シリンダ23のヘッド側に取り付けられている。リニアセンサ26としては、例えば、磁歪式変位センサを用いることができる。磁歪式変位センサは、ヴィーデマン効果(Wiedemann効果)による磁歪現象を応用した変位センサであり、ロッド状のセンサプローブに沿って非接触で移動するマグネットがプローブ内部の磁歪線の上にねじり歪を発生させ、その歪みの伝播時間を測定することでマグネットの絶対位置を高精度に検出する。なお、リニアセンサとしては、ワイヤー式のセンサやレーザー式のセンサなども利用できる。
ヨーク20は、油圧シリンダ23の作動力を、固定側シール部材10に伝えるための板材であり、一方の端部に油圧シリンダ23が取り付けられ、二股に分かれた他方の端部にはそれぞれヨークピン21が取り付けられている。また、ヨーク20の二股に分かれる部分(ヨーク20のほぼ中心部分)にはヨーク鋲22が貫挿され、このヨーク鋲22を支点としてヨーク20は揺動する(ヨーク機構)。また、ヨーク鋲22はエンドプレート8に固設されており、ヨーク鋲22でヨーク20は支持されている。また、2つのヨークピン21の先端部は、固定側シール部材10のロータ軸7側端面に形成された穴にそれぞれ嵌められている。
図2に示したように、リニアセンサ26には、表示器27(表示装置)が電気的に(出力ケーブルを介して)接続されている。表示器27は、リニアセンサ26からの出力信号を取り込み、リニアセンサ26の検出値に応じた固定側シール部材10押圧時の変位情報を表示するものである。表示器27は、遠隔表示(押圧力付与機構29から離れた位置での表示)が可能なものであって、密閉式混練機1の傍らに設置されている操作盤などに組み込まれる。また、密閉式混練機1の傍らに設置されている操作盤の運転モニター画面や、密閉式混練機1とは離れた場所に設置されている集中管理システムの操作端末画面自体を、検出値に応じた固定側シール部材10押圧時の変位情報を表示する表示装置としてもよい。なお、前記したように、図2は図1のB−B断面図であるが、表示器27の図示に関しては断面図となっておらず、当該表示器27がリニアセンサ26に結線されていることを模式的に示しているのみである。
次に、密閉型混練機1の動作を通じてダストストップ装置の動作を説明する。まず、押付力付与機構29の油圧シリンダ23により、ヨーク20およびヨークピン21を介して固定側シール部材10を混練ロータ2の端面2b方向に付勢し、固定側シール部材10の摺動部材10bを、回転側シール部材9の摺動部材9bに所定の押圧力で圧接させる。このとき、端がエンドプレート8に当接するバネ28は、固定側シール部材10の摺動部材10bが上記摺動部材9bに圧接した状態を保つように、混練ロータ2の軸方向の微少な動きにヨーク20を追従させる役割をする。
次に、シール部材位置監視方法について説明する。
まず、両摺動部材リング9b・10bを圧接させながら混練ロータ2を回転させているとき、油圧シリンダ23のヘッド側に取り付けられたリニアセンサ26により、固定側シール部材10を混練ロータ2の端面2b方向に押圧している油圧シリンダ23のピストンロッド25のストローク(ピストンの位置)を検出する。
次に、リニアセンサ26による検出値に応じた固定側シール部材10の変位情報を表示器27に表示する。ここで、検出値に応じた固定側シール部材10の変位情報とは、前記したように、油圧シリンダ23のピストンロッド25の押圧時の位置(検出値)そのものでもあってもよいし、ピストンロッド25の初期位置からの変化量であってもよいし、検出値又はピストンロッド25の初期位置からの変化量をヨーク機構のレバー比(油圧シリンダ23−ヨーク鋲22間の距離と、ヨーク鋲22−ヨークピン21間の距離との比)に応じた固定側シール部材10の位置又はその変化量(変位)に変換したものであってもよい。これにより、固定側シール部材10が、初期の位置から摩耗分だけ混練ロータ2の端面2b方向に押し込まれた量、すなわち、摺動部材リング9b・10bの合計の厚みを把握することができる。ここで、摺動部材リング10bよりも摺動部材9bのほうが摩耗しにくい材料からなる場合には、摺動部材10bの厚みを把握することになるし、摺動部材リング9bよりも摺動部材10bのほうが摩耗しにくい材料からなる場合には、摺動部材9bの厚みを把握することになる。通常、摺動部材9bおよび摺動部材10bのうちのいずれか一方を磨耗しにくい部材とし、他方を摩耗しやすい(磨耗しにくい一方に比して摩耗しやすい)部材とする。
次に、リニアセンサ26からの検出値と、表示器27に予め設定した設定値とを比較して当該検出値が当該設定値に到達したときにアラーム(警報)を出す。このアラームは、表示器27に組み込まれたアラーム手段であってもよいし、表示器27とは別途設けられた警報を発するアラーム手段であってもよい。また、アラーム(警報)は、表示器27などに表示される警報表示であってもよいし、警報装置から発せられる警報音であってもよい。警報表示は、警告文字の表示、警報ランプの点灯、表示器に表示された固定側シール部材10の変位情報の表示形態の変更、表示画面の背景色の変更などにより行うことができる。警報音に関しては、サイレン音や警鐘音などを発生する発振回路を用いて警報音を発してもよいし、メモリに記憶された警報音の出力波形を読み込んで、スピーカを用いて警報音を発してもよい。
2:混練ロータ
2b:ロータ端面
4:チャンバ
4a:混練室
7:ロータ軸
8:エンドプレート
9:回転側シール部材
10:固定側シール部材
23:油圧シリンダ(リニアアクチュエータ)
26:リニアセンサ
27:表示器(表示装置)
29:押圧力付与機構
Claims (7)
- 混練室に貫挿されるロータのロータ端面に固設されて当該ロータと一体に回転する回転側シール部材と、前記ロータのロータ軸を回転自在に貫挿するリング状の固定側シール部材と、前記固定側シール部材を前記回転側シール部材に圧接するべく当該固定側シール部材を前記ロータ端面方向に付勢する押圧力付与機構とを備え、両シール部材を圧接して当接面の間でダストストップを構成するダストストップ装置を備えた密閉式混練機において、
前記押圧力付与機構は、
前記固定側シール部材を前記ロータ端面方向に付勢するリニアアクチュエータと、
前記リニアアクチュエータに取り付けられ、当該リニアアクチュエータの変位を検出するリニアセンサと、
一方の端部には前記リニアアクチュエータが取り付けられ、二股に分かれた他方の端部にはそれぞれヨークピンが取り付けられ、前記二股に分かれる部分には揺動の支点となるヨーク鋲が貫挿されたヨークと、
を有し、
前記ヨークピンの先端部は、前記固定側シール部材のロータ軸側の端面に形成された穴に嵌められており、
前記密閉式混練機の機外に設けられ、前記リニアセンサからの検出値に応じた固定側シール部材押圧時の変位情報を表示する表示装置を具備してなることを特徴とする、密閉式混練機。 - 前記検出値と予め設定した設定値とを比較して当該検出値が当該設定値に到達したときにアラームを出すアラーム手段を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の密閉式混練機。
- 前記アラーム手段は、前記設定値を少なくとも2段階に設定可能であることを特徴とする、請求項2に記載の密閉式混練機。
- 前記アラームは、前記表示装置に表示されることを特徴とする、請求項2または3に記載の密閉式混練機。
- 前記表示装置は、前記変位情報の表示方法を変更することにより、前記アラームの表示が行われるように構成されていることを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載の密閉式混練機。
- 混練室に貫挿されるロータのロータ端面に固設されて当該ロータと一体に回転する回転側シール部材と、前記ロータのロータ軸を回転自在に貫挿するリング状の固定側シール部材と、前記固定側シール部材を前記回転側シール部材に圧接するべく当該固定側シール部材を前記ロータ端面方向に付勢する押圧力付与機構とを備え、両シール部材を圧接して当接面の間でダストストップを構成するダストストップ装置を備え、
前記押圧力付与機構は、
前記固定側シール部材を前記ロータ端面方向に付勢するリニアアクチュエータと、
前記リニアアクチュエータに取り付けられ、当該リニアアクチュエータの変位を検出するリニアセンサと、
一方の端部には前記リニアアクチュエータが取り付けられ、二股に分かれた他方の端部にはそれぞれヨークピンが取り付けられ、前記二股に分かれる部分には揺動の支点となるヨーク鋲が貫挿されたヨークと、
を有し、
前記ヨークピンの先端部が、前記固定側シール部材のロータ軸側の端面に形成された穴に嵌められている、密閉式混練機の固定側シール部材位置監視方法であって、
前記リニアセンサにより、前記リニアアクチュエータの変位を検出する検出工程と、
前記密閉式混練機の機外に設けられた表示装置により、前記リニアセンサからの検出値に応じた固定側シール部材押圧時の変位情報を表示する表示工程と、
を備えることを特徴とする、密閉式混練機の固定側シール部材位置監視方法。 - 前記検出値と予め設定した設定値とを比較して当該検出値が当該設定値に到達したときにアラームを出すアラーム発報工程を備えることを特徴とする、請求項6に記載の密閉式混練機の固定側シール部材位置監視方法。
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