JP5352824B2 - 太陽電池の製造方法 - Google Patents
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Description
一方、太陽電池は、軽量で、フレキシブルで自由に曲げることができるものが求められている。ポリマーフィルム上にCIGS薄膜を含む太陽電池を形成することにより、フレキシブルな太陽電池を得ることができる。しかし、ポリマーフィルムはCIGS薄膜を形成するのに最適な温度(500℃以上)まで耐えられない。例えば、ポリイミドフィルムは400℃以上の温度では変形し、化学的変化が起こる。そのため、ポリマーフィルム上にCIGS薄膜を形成する場合は、結晶性の良いCIGS薄膜を得るのに最適な温度より低い温度で形成しなければならない。そのため、ポリマーフィルム上に形成したCIGS薄膜は、光の変換効率が劣っていた。
また、本発明の別の目的は、太陽電池層の溶液成長のプロセスでは、リフトオフ層が溶解しないように保護し、品質の良いフレキシブルな太陽電池を得ることである。
本発明では、塩化ナトリウム(NaCl)を利用してリフトオフを行う。NaClは、融点が約800℃と高いので、NaCl層上に別の薄膜を高温で成膜することができる。またNaClは無機材質なので高温真空中でもアウターガスを発生しにくい。また、NaClは水に溶解するので、特別な薬品を用いることなく、室温でNaClを水で溶解するので、上に形成された膜を容易に剥離することができる。リフトオフ層として、フッ化バリウム層を使用することもできる。
(a) ガラス基板の上に、水に容易に溶解する材料でリフトオフ層を形成し、
(b) 前記リフトオフ層の上に太陽電池層を形成し、
(c) 前記太陽電池層の上に接着剤層を介して透明フィルム層を貼り付け、
(d) 前記(a)〜(c)により前記太陽電池層と、前記接着剤層と、前記透明フィルム層とを含む積層体が形成されたガラス基板を水に浸漬して、前記リフトオフ層を水に溶解し、前記積層体を前記ガラス基板から剥離する、ステップを備えることを特徴とする太陽電池の製造方法である。
バッファ層はCdS層であり、透明電極層はZnO層であることが好ましい。
これにより、高効率の太陽電池を得ることができる。
これにより、塩化ナトリウム層からCIGS層へナトリウムを拡散させることができる。
前記拡散防止層は、二酸化珪素又はアルミナを含む酸化物層であることが好ましい。これにより、リフトオフ層からナトリウムその他の不純物の拡散を制御することができる。又は、前記拡散防止層は、モリブテン、銅、又はアルミニウムを含む金属層であることが好ましい。
拡散防止層に金属を使用すると、太陽電池の形状を維持するのに役立ち、また屈曲させても割れにくいという利点がある。
前記(c)ステップで前記太陽電池層の上に接着剤層を介して透明フィルム層を貼り付けた後、前記保護層を除去することが好ましい。
前記保護層は、前記リフトオフ層の外周部と上部に形成する拡散防止層であることが好ましい。
前記保護層は、前記リフトオフ層を形成し、前記太陽電池層のうち前記Mo層と、前記CIGS層を形成した後に前記基板の外周部に塗布した接着材層であることが好ましい。
前記保護層を除去するステップは、前記積層体が形成されたガラス基板の外周部をカットすることにより行うことが好ましい。
これにより、太陽電池層の溶液成長のプロセスでは、リフトオフ層を保護し、リフトオフ工程で確実にリフトオフ層が溶解し、品質の良い太陽電池を得ることができる。
これにより、ポリマーフィルムに貼り付けたフレキシブルな太陽電池を得ることができる。
(a) ガラス基板の上面の外周部をマスキングして、前記ガラス基板の上に塩化ナトリウム層又はフッ化バリウム層からなるリフトオフ層を形成し、マスキング層を除去し、
(b) 前記リフトオフ層の上に前記リフトオフ層の外周部を含めて、拡散防止層を形成し、
(c) 前記拡散防止層の上にMo層と、CIGS層と、バッファ層と、透明電極層とを有する太陽電池層を形成し、
(c) 前記太陽電池層の上に接着剤層を介して透明フィルム層を貼り付け、
(d) 前記太陽電池層の外周部をカットして、前記リフトオフ層の外周部が露出するようにし、
(e) 前記(a)〜(d)ステップにより前記太陽電池層と、前記接着剤層と、前記透明フィルム層とを含む積層体が形成されたガラス基板を水に浸漬して、前記リフトオフ層を水に溶解し、前記積層体を前記ガラス基板から剥離する、
ステップを備える太陽電池の製造方法である。
(a) ガラス基板の上に、塩化ナトリウム層又はフッ化バリウム層からなるリフトオフ層を形成し、
(b) 前記リフトオフ層の上に拡散防止層を形成し、
(c) 前記拡散防止層の上に太陽電池層のうちMo層と、CIGS層とを形成し、
(d) 前記基板の外周部に接着材層からなる保護層を形成し、
(e) 前記CIGS層の上に、太陽電池層のうちバッファ層と、透明電極層を形成し、
(f) 前記太陽電池層の上に接着剤層を介して透明フィルム層を貼り付け、
(g) 前記保護層と前記太陽電池層の外周部をカットして、前記リフトオフ層の外周部が露出するようにし、
(h) 前記(a)〜(g)ステップにより前記太陽電池層と、前記接着剤層と、前記透明フィルム層とを含む積層体が形成されたガラス基板を水に浸漬して、前記リフトオフ層を水に溶解し、前記積層体を前記ガラス基板から剥離する、
ステップを備える太陽電池の製造方法である。
バッファ層はCdS層であり、透明電極層はZnO層であることが好ましい。
また、本発明では通常のガラス基板上に太陽電池を形成するプロセスを使用するので、容易に変換効率の良いCIGS層を使用したフレキシブルな太陽電池を製造することができる。
また、太陽電池層の溶液成長のプロセスでは、NaCl層を保護し、その後保護層を除去してリフトオフするので、品質の良い太陽電池を得ることができる。
図1A〜Eは、本発明の第1の実施形態によるCIGS層を用いた太陽電池の製造プロセスを示す概略断面図である。
NaCl層12の代わりとして、融点が高く、高温真空中でアウターガスを発生しにくく、水に溶解し易いものであれば使用することができ、フッ化バリウム等を使用することができる。NaCl等の材料は耐熱性も高いので、NaCl等で形成されたリフトオフ層上には、真空蒸着法、スパッタリング法等により、膜を成形することができる。
次に、ZnO透明電極24を形成した。ZnO透明電極24は、窒素をスパッタガスとして、スパッタ法により約0.1μmの厚さに形成した。透明電極としては、ZnO以外にITO等を使用することもできる。こうして、太陽電池層20が形成された。
こうして、両面にポリマーフィルム16,18を貼り付けたフレキシブルな太陽電池ができた。
図2Bを参照する。NaCl層12の上に、NaCl層12の着いていないガラス基板11の外周部も含めて、SiO2層13を蒸着する。これにより、NaCl層12の外周部はSiO2の保護層13aで覆われ、露出していない。
図2Cに示す太陽電池層20(Mo電極21、CIGS層22、CdSバッファ層23、ZnO透明電極24)の形成は、第1の実施形態と同様である。CdSバッファ層23を形成するとき、NaCl層12は外周部のSiO2の保護層13aにより保護されているので、溶解しにくい。
図2Eを参照する。太陽電池のNaCl層12の形成されていない外周部をカットする。カットする幅は、保護層13aの幅より若干広くして、NaCl層12の断面が確実に出るようにする。図2Eに示す断面と直角方向の断面についても同様にカットする。これにより、NaCl層12が外周部に露出し、リフトオフするときに、NaCl層12が確実に溶解するようになる。
図2Gに示す接着剤17によるポリマーフィルム18の貼り付けは、第1の実施形態と同様である。
第2の実施形態では、CdSバッファ層23を形成するとき、NaCl層12を保護層13aで保護し、リフトオフするときは保護層13aがないので、NaCl層12が容易に溶解する。
第2の実施形態では、接着剤15によりポリマーフィルム16を貼り付けてから、外周部をカットした。保護層13aは、CdSバッファ層23を形成するときNaCl層12保護するため形成するので、外周部をカットするのは、CdSバッファ層23を形成した後であればよい。接着剤15によりポリマーフィルム16を貼り付ける前でもよい。
図3Bを参照する。太陽電池層20のうち、Mo電極21と、CIGS光吸収層22を形成する。
図3Cを参照する。NaCl層12と、SiO2層13と、Mo電極21と、CIGS光吸収層22を形成した基板の外周部に保護層25を形成する。保護層25は例えば接着剤を塗布する。図3Cには一方向の断面を示すが、これと直角方向の断面にも保護層25を形成する。
CIGS光吸収層22を形成するときは高温(約550℃)になるので、保護層25を形成するのは、Mo電極21と、CIGS光吸収層22を形成した後が好ましい。
図3Dを参照する。次に、CdSバッファ層23を形成する。このとき、NaCl層12は外周部の保護層25により保護されているので、溶解しにくい。次に、ZnO透明電極24を形成する。
図3Fを参照する。太陽電池の外周部の保護層25と太陽電池の外周部をカットする。カットする幅は、保護層25の幅より若干広くして、NaCl層12の断面が確実に出るようにする。図3Fに示す断面と直角方向の断面についても同様にカットする。これにより、NaCl層12が外周部に露出し、リフトオフするときに、NaCl層12が確実に溶解するようになる。これにより、NaCl層12が外周部に露出し、リフトオフするときに、NaCl層12が溶解するようになる。
図3Hに示す接着剤17によるポリマーフィルム18の貼り付けは、第1の実施形態と同様である。
第3の実施形態では、CdSバッファ層23を形成するとき、保護層25によりNaCl層12を保護し、リフトオフするときは、保護層25がないので、NaCl層12が容易に溶解する。
第3の実施形態では、接着剤15によりポリマーフィルム16を貼り付けてから、外周部をカットした。保護層25は、CdSバッファ層23を形成するときNaCl層12保護するため形成するので、外周部をカットするのは、CdSバッファ層23を形成した後であればよい。接着剤15によりポリマーフィルム16を貼り付ける前でもよい。
12 リフトオフ層(塩化ナトリウム(NaCl)層)
13 拡散防止層(SiO2)層
15 接着剤
16 透明フィルム
17 接着剤
18 ポリマーフィルム
20 太陽電池層
21 Mo電極
22 CIGS光吸収層
23 CdSバッファ層
24 ZnO透明電極
25 保護層
Claims (10)
- 太陽電池の製造方法であって、
(a) ガラス基板の上に、水に容易に溶解する材料でリフトオフ層を形成し、
(b) 前記リフトオフ層の外周部と上部に保護層として拡散防止層を形成し、
(c) 前記拡散防止層の上に太陽電池層を形成し、前記太陽電池層は、Mo層と、Cu(In,Ga)Se2(CIGS)層と、液相成長のプロセスにより形成されたCdS層からなるバッファ層と、ZnO層からなる透明電極層とを備え、
(d) 前記保護層を除去し、
(e) 前記太陽電池層の上に接着剤層を介して透明フィルム層を貼り付け、
(f) 前記(a)〜(e)ステップにより前記太陽電池層と、前記接着剤層と、前記透明フィルム層とを含む積層体が形成されたガラス基板を水に浸漬して、前記リフトオフ層を水に溶解し、前記積層体を前記ガラス基板から剥離する、
ステップを備えることを特徴とする太陽電池の製造方法。 - 太陽電池の製造方法であって、
(a) ガラス基板の上に、水に容易に溶解する材料でリフトオフ層を形成し、
(b) 前記リフトオフ層の上に拡散防止層を形成し、
(c) 前記拡散防止層の上に太陽電池層のうち、Mo層と、Cu(In,Ga)Se2(CIGS)層とを形成し、
(d) 前記基板の外周部に保護層として接着剤層を塗布し、
(e) 太陽電池層のうち、液相成長のプロセスにより形成されるCdS層からなるバッファ層と、ZnO層からなる透明電極層とを形成し、
(f) 前記保護層を除去し、
(g) 前記太陽電池層の上に接着剤層を介して透明フィルム層を貼り付け、
(h) 前記(a)〜(g)ステップにより前記太陽電池層と、前記接着剤層と、前記透明フィルム層とを含む積層体が形成されたガラス基板を水に浸漬して、前記リフトオフ層を水に溶解し、前記積層体を前記ガラス基板から剥離する、
ステップを備えることを特徴とする太陽電池の製造方法。 - 前記リフトオフ層は、塩化ナトリウム層又はフッ化バリウム層である請求項1又は2に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記拡散防止層は、二酸化珪素又はアルミナを含む酸化物層である請求項1又は2に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記拡散防止層は、モリブテン、銅、又はアルミニウムを含む金属層である請求項1又は2に記載の太陽電池の製造方法。
- 前記太陽電池層の上に接着材層を介して透明フィルムを貼り付けた後、前記保護層を除去する請求項1又は2に記載の太陽電池の製造方法。
- 更に、前記(f)ステップの後に、(g) 前記積層体の下側に、接着剤を介してフィルムを貼り付けるステップを備える請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
- 更に、前記(h)ステップの後に、(i) 前記積層体の下側に、接着剤を介してフィルムを貼り付けるステップを備える請求項2に記載の太陽電池の製造方法。
- 太陽電池の製造方法であって、
(a) ガラス基板の上面の外周部をマスキングして、前記ガラス基板の上に塩化ナトリウム層又はフッ化バリウム層からなるリフトオフ層を形成し、マスキング層を除去し、
(b) 前記リフトオフ層の上に前記リフトオフ層の外周部を含めて、保護層として拡散防止層を形成し、
(c) 前記拡散防止層の上にMo層と、CIGS層と、液相成長のプロセスによるCdS層からなるバッファ層と、ZnO層からなる透明電極層とを有する太陽電池層を形成し、
(d) 前記太陽電池層の上に接着剤層を介して透明フィルム層を貼り付け、
(e) 前記太陽電池層の外周部をカットして、前記リフトオフ層の外周部が露出するようにし、
(f) 前記(a)〜(e)ステップにより前記太陽電池層と、前記接着剤層と、前記透明フィルム層とを含む積層体が形成されたガラス基板を水に浸漬して、前記リフトオフ層を水に溶解し、前記積層体を前記ガラス基板から剥離する、
ステップを備えることを特徴とする太陽電池の製造方法。 - 太陽電池の製造方法であって、
(a) ガラス基板の上に、塩化ナトリウム層又はフッ化バリウム層からなるリフトオフ層を形成し、
(b) 前記リフトオフ層の上に拡散防止層を形成し、
(c) 前記拡散防止層の上に太陽電池層のうちMo層と、CIGS層とを形成し、
(d) 前記基板の外周部に接着材層からなる保護層を形成し、
(e) 前記CIGS層の上に、太陽電池層のうち、液相成長のプロセスによるCdS層からなるバッファ層と、ZnO層からなる透明電極層を形成し、
(f) 前記太陽電池層の上に接着剤層を介して透明フィルム層を貼り付け、
(g) 前記保護層と前記太陽電池層の外周部をカットして、前記リフトオフ層の外周部が露出するようにし、
(h) 前記(a)〜(g)ステップにより前記太陽電池層と、前記接着剤層と、前記透明フィルム層とを含む積層体が形成されたガラス基板を水に浸漬して、前記リフトオフ層を水に溶解し、前記積層体を前記ガラス基板から剥離する、
ステップを備えることを特徴とする太陽電池の製造方法。
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