本発明は、電磁調理器に関する。本発明に係る電磁調理器は、高周波磁界を発生して被調理物に誘導電流を生じさせる加熱手段、前記加熱手段に高周波電流を付与して同加熱手段を駆動する高周波付与手段、および、冷却ファンをケース内に備えるもので、前記ケースの天板に設けたトッププレートに載置した被調理物を前記加熱手段の駆動により加熱調理する電磁調理器である。
図1〜図4には、本発明の一実施形態に係る電磁調理器を示している。図1は、当該電磁調理器を斜め前方から見た斜視図であり、図2は、当該電磁調理器の正面図であり、図3は、当該電磁調理器の平面図であり、図4は、当該電磁調理器の図2の矢印4−4線で切断した縦断側面図である。また、図5は、当該電磁調理器を構成する天板を取り外した状態の平面図であり、図6は、当該電磁調理器が備える操作パネルの正面図である。
当該電磁調理器は、ケース10を構成する本体ケース10a内に、高周波磁界を発生して被調理物に誘導電流を生じさせる加熱手段、加熱手段に高周波電流を付与する高周波付与手段、および、本体ケース10a内に冷却用空気の流れを形成する冷却ファンを収納してなるもので、本体ケース10aを構成する天板11はトッププレート12を備えている。トッププレート12は、被調理物を収容する鍋等の容器を載置するもので、当該被調理物はこの状態で加熱調理を受けることになる。
ケース10は、上記した各部品を収納する本体ケース10aと、本体ケース10aの背面に取付けられて設置場所の壁部の壁面とともに排気通路を形成する排気通路ケース10bとからなり、本体ケース10aの底部の前端側部位に空気吸入口13aが形成されており、また、本体ケース10aの背部の中央部位に空気排気口13bが形成されている。空気吸入口13aおよび空気排気口13bは防塵用フィルターにて覆蓋されていて、空気吸入口13aや空気排気口13bから本体ケース10a内への粉塵等の侵入が規制されている。空気排気口13bは、本発明で規定する排気口部に該当する。
排気通路ケース10bは、本体ケース10aの背面における空気排気口13bより上方の部位に設けられて上方に延びる背面側が開放されている上方ケース部10b1と、本体ケース10aの背面における空気排気口13bより下方の部位に設けられて上方に延びる下方ケース部10b2にて形成されている。下方ケース部10b2は、その前側および上側が開放された箱状を呈するもので、その前後の幅および左右の幅が上方ケース部10b1の前後の幅および左右の幅より小さい寸法に形成されている。
一方、上方ケース部10b1における天板11の後端部に対応する部位には、後方へ略水平状に所定長さ延びる庇部10b3が設けられている。庇部10b3は、下方ケース部10b2の上方に近接して延びていて、上下にわずかな間隔を保持して、下方ケース部10b2の上端開口部を覆蓋している。上方ケース部10b1と下方ケース部10b2のこのような関係では、庇部10b3が本発明で規定する第1の遮蔽部材に該当し、下方ケース部10b2自体が本発明で規定する第2の遮蔽部材に該当する。従って、以下では、本発明で規定する第1の遮蔽部材を庇部10b3と称し、本発明で規定する第2の遮蔽部材を下方ケース部10b2と称する。
下方ケース部10b2は、本体ケース10aの背面に取付けられた状態では、本体ケース10aの背面に設けた空気排気口13bに対して所定の間隔を保持して対向して開口しているとともに、その上端部が上方ケース部10b1の下端開口部からその内部に挿入されて、第1の遮蔽部材である庇部10b3の下方に臨んでいる。これにより、第2の遮蔽部材である下方ケース部10b2は、本体ケース10a内から空気排気口13bを通して排出される排気を、下方ケース部10b2の起立壁部に衝突させて上方ケース10b1内に導くべく機能する。
本体ケース10a内には、左右の中央部にて所定の間隔を保持して左右一対の内側ガイド部材14aが立設され、また、各内側ガイド部材14aから左右に所定間隔離れた部位に左右一対の外側ガイド部材14bが立設されている。これらのガイド部材14a,14bは、空気吸入口13aから本体ケース10a内に吸入された冷却用空気の空気流通路P1,P2を形成している。また、排気通路ケース10bを構成する上方ケース部10b1は背面が開放されているもので、当該電磁調理器の設置場所の壁部と共働して排気通路P3を形成すべく機能する。
トッププレート12は、ガラス質、セラミック質等のプレートであって、天板11を構成するトップパネル11Aにおける中央部の方形状の開口縁部に載置した状態で液密的に接合されて、天板11の中央部に位置している。トッププレート12は、天板11に取付けられた状態では、その表面が天板11の表面よりわずかに高くなるように設定されていて、被調理物を収容する容器をトッププレート12に載置した際には、当該容器が天板11の表面に接触するのを防止している。これにより、当該容器からの天板11に対する直接の熱伝達が防止されるとともに、当該容器の移動時に天板11の表面を傷つけることがほとんどなく、天板11の表面に対する傷つきが防止される。
当該電磁調理器を構成する加熱手段である電磁コイルユニット21は、本体ケース10a内の上側開口部の近傍に設けた左右一対の支持台15に載置した状態で取付けられている。電磁コイルユニット21は、左右の外側ガイド部材14bの上端部間に臨んでいて、空気流通路P1の上端部に位置している。電磁コイルユニット21は円形状を呈するもので、電磁コイルユニット21の円中心部に、温度センサーであるサーミスタ22が設置されている。サーミスタ22は、トッププレート12に載置した容器(被調理物を収容する鍋)の温度を検出して、間接的に、被調理物や調理物の温度を検出すべく機能するもので、トッププレート12に載置された容器における底部のほぼ中央部に位置するように設定されている。
当該電磁調理器を構成する冷却ファンとしては、上下一対の冷却ファン23が採用されている。各冷却ファン23は、本体ケース10aの前側隔壁部16の上下にそれぞれ取付けられている。前側隔壁部16は本体ケース10aの底部に設けた空気吸入口13aの下流側に位置し、前側隔壁部16に取付けられている各冷却ファン23は、駆動時には、空気吸入口13aから吸入した冷却用空気を各空気流通路P1,P2に導入して、電磁コイルユニット21、および、後述する制御装置30の構成部品を冷却する。図7には、制御装置30と、入力部品と出力部品との接続関係を示している。当該制御装置30は、後述する操作パネル25の各機能部品、サーミスタ22、電磁コイルユニット21、および、冷却ファン23、さらには、後述する温度センサーC等に接続されている。
当該電磁調理器を制御する制御装置30は、冷却フィン24と一体の基板、および、図示しない高周波電流を供給する駆動回路、タイマー等を備えるもので、これらの部品をケースに収納した状態で、本体ケース10a内の底部に取付けられている。従って、当該制御装置30は、加熱手段である電磁コイルユニット21に高周波電流を付与する高周波付与手段としても機能する。
当該電磁調理器を構成する操作パネル25は、運転条件を設定するための操作と、設定された運転条件を表示することを主たる機能とするもので、本体ケース10aの前側壁部の開口部に嵌合して取付けられている。操作パネル25の前面には、図6に示すように、運転入/切ボタン25a、スタート/ストップボタン25b、出力調整ダイヤル25c、出力表示ランプ25d、モード切替ボタン25e1およびモード表示ランプ25e2、表示パネル25f、タイマーの設定時間や温度制御の設定温度を上下するアップボタン25h1およびダウンボタン25h2を備えている。操作パネル25を構成する各ボタン、ダイヤル、表示ランプ,表示パネル等は、制御装置30に接続されている。
運転入/切ボタン25aは当該電磁調理器の運転電源を入り切りするボタン、スタート/ストップボタン25bは通電を開始/停止をするボタン、出力調整ダイヤル25cは電磁コイルユニット21の出力(ヒータ出力)を手動で調整するダイヤル、出力表示ランプ25dは加熱の強さをランプの点灯数で表示するランプ、モード切替ボタン25e1は調理および保温時等の加熱方法(手動モード、タイマーモード、保温モード、温度制御モード)を選択する押しボタン、表示パネル25fは、タイマーの設定時間と設定温度を表示するとともに、異常時の警告を表示するパネル、アップボタン25h1およびダウンボタン25h2は設定時間および設定温度をアップ(上)およびダウン(下)する一対の押しボタンである。アップボタン25h1およびダウンボタン25h2を選択的に押動することにより、タイマーの設定時間および設定温度を押動回数に応じてアップまたはダウンすることができる。
モード切替ボタン25e1は、手動モード、タイマーモード、保温モード、および温度制御モードを選択的に切替えるもので、モード切替ボタン25e1の押動回数に応じて、図6(b)に示す6通りのモード態様(m1,m2,m3,m4,m5,m6)を選択することができる。なお、●印は選択したモードを意味する。
各モード態様のうち、モードm1は手動モードが選択されたことを表示し、m2は(手動モード+タイマーモード)の組み合わせモードが選択されたことを表示し、モードm3は保温モードが選択されたことを表示し、モードm4は(保温モード+タイマーモード)の組み合わせモードが選択されたことを表示し、モードm5は温度制御モードが選択されたことを表示し、モードm6は(温度制御モード+タイマーモード)の組み合わせモードが選択されたことを表示している。
手動モード(モードm1)は、当該電磁調理器の使用者が出力調整ダイヤル25cで出力(加熱温度)を調整しながら調理するもので、所望の時間が経過した時点で、スタート/ストップボタン25bのストップ操作により調理を終了させる。タイマーモードは、アップボタン25h1およびダウンボタン25h2の押動操作により設定された時間だけ調理または保温を行うもので、モードm2(手動モード+タイマーモード)は、当該電磁調理器の使用者が出力調整ダイヤル25cで出力(加熱温度)を調整しながら、タイマーセットされた時間調理するものである。本実施形態では、1分〜99分の範囲の間で、時間を設定することができる。
保温モード(モードm3)は、当該電磁調理器の使用者がアップボタン25h1およびダウンボタン25h2の押動操作により設定された温度の下で調理物を保温するもので、所望に時間経過した時点で、スタート/ストップボタン25bのストップ操作により保温を終了させる。本実施形態では、H1:45℃、H2:55℃、H3:65℃、H4:75℃、H5:85℃、H6:90℃の6通りの保温の温度設定をすることができる。モードm4(保温モード+タイマーモード)は、保温に先だって、アップボタン25h1およびダウンボタン25h2の押動操作により設定された時間だけ、設定された温度で保温を行うものである。
温度制御モード(モードm5)は、当該電磁調理器のオプション部品である温度センサーを使用して調理するもので、アップボタン25h1およびダウンボタン25h2の押動操作により設定された温度の下で調理し、所望に時間経過した時点で、スタート/ストップボタン25bのストップ操作により調理を終了させる。モードm6(温度制御モード+タイマーモード)は、調理に先だって、アップボタン25h1およびダウンボタン25h2の押動操作により設定された時間だけ、設定された温度で調理するものである。
制御装置30は、当該電磁調理器の運転を制御するもので、モード切替ボタン25e1の切替え操作により6段階のいずれかを選択されたモード運転を制御して、被調理物を設定された出力で設定された時間または所望の時間だけ加熱調理し、また、調理済みの調理物を設定された保温状態で設定された時間または所望の時間だけ保持する。
制御装置30は、当該電磁調理器の使用者がモードm1、モードm2、および、モードm5、モードm6を選択した場合には調理運転を行い、調理運転では、電磁コイルユニット21に高周波電流を付与するとともに冷却ファン23を駆動して、調理運転を開始する。調理運転では、冷却ファン23は、外部の空気を空気吸入口13aから本体ケース10a内に吸入して、吸入した空気を冷却用空気として本体ケース10a内の空気流通路P1,P2に導入して、電磁コイルユニット21および制御装置30の構成部品を冷却する。
電磁コイルユニット21および制御装置30の構成部品を冷却した空気は、空気排気口13bから、排気通路ケース10bが形成する排気通路P3に導入され、排気通路P3の上端部に形成されている上方ケース部10b1の頂部側および前面側の排気口13cから外部に排気される。図4に示す矢印は、本体ケース10a内に吸入された冷却用空気の流通状態および排出状態を示している。これにより、各調理運転時に発熱する電磁コイルユニット21および制御装置30の構成部品は、良好に冷却される。
一方、制御装置30は、当該電磁調理器の使用者が調理運転の終了後に、モードm3、モードm4を選択した場合には保温運転を行い、保温運転では、サーミスタ22からの温度検出信号に基づいて、電磁コイルユニット21に対する高周波電流を付与して、調理物を設定された温度で保温する。制御装置30は、サーミスタ22が調理物の温度低下を検出した場合には、電磁コイルユニット21に対する高周波電流を一時的に付与する。これにより、電磁調理器におけるトッププレート12上の調理物は、設定された保温温度の保温状態に保持される。
ところで、当該電磁調理器においては、排気通路ケース10bを構成する上方ケース部10b1に設けた第1の遮蔽部材である庇部10b3は、本体ケース10aの背部に設けた空気排気口部13bより上方の部位に位置している。このため、排気通路P3の上端部に位置する排気口13cから侵入した水は庇部10b3に一旦受承され、水が排気口部13cから本体ケース10a内に侵入することが防止される。また、本体ケース10aの背部に設けた第2の遮蔽部材である下方ケース部10b2は、本体ケース10aに設けた排気口部13bに対して所定の間隔を保持して対向していて、本体ケース10aの排気口部13bから排出した排気は、下方ケース部10b2の起立壁部に一旦衝突して上方へ導かれることになる。このため、当該電磁調理器が排気通路P3を形成し得ない場所に設置される場合でも、本体ケース10a内から排出される排気は、本体ケース10aの排気口部13bから直接外部に排出されることがなく、厨房の作業者や客に直接当たることがない。また、排気の排出騒音も大きく抑制される。
また、当該電磁調理器を設置場所の壁部に接して設置して、本体ケース10aの背部に排気通路P3を形成する使用態様では、当該電磁調理器にかかる水量が多い場合や水圧が高くて、排気通路P3に侵入した水滴が壁部の壁面から跳ね返える状態が発生しても、跳ね返った水滴は、第2の遮蔽部材である下方ケース部10b2の起立壁部に遮断されて、本体ケース10aの排気口部13bからその内部への侵入を阻止されることになる。
このように、本発明に係る電磁調理器においては、第1の遮蔽部材である庇部10b3と、第2の遮蔽部材である下方ケース部10b2の単独および共働作用により、排気通路P3の上端部の各排気口13cからその内部に侵入した水に対して的確に対処することができるとともに、排気通路P3が形成されない使用態様における本体ケース10aの排気口部13bから排出される排気に対しても的確に対処することがきるものである。また、本発明に係る電磁調理器の本実施形態では、その他に、種々の配慮がなされている。
当該電磁調理器においては、電磁調理器の天板11を構成するトップパネル11Aの本体ケース10aに対する取付けに、特殊な取付構造を採用している。天板11を構成するトップパネル11Aは、図8(a)、(b)に示すように長方形状を呈する浅皿状のもので、その中央部には、長方形状の大きな開口部11A1を備えている。また、トップパネル11Aの前端部は、同図(c)に拡大して示すように、上方から下方へ延びる円弧状を呈していて、その下端部には、後方へ所定長さ延びる短尺で平面状の係止部11A2を備えている。当該係止部11A2は、図4に示すように、本体ケース10aを構成するフロントパネル17の上端に設けた前方に突出する係止部17aに、その下側から係止されるように形成されている。当該トップパネル11Aは、その係止部11A2をフロントパネル17の係止部17aに嵌合した状態で係止することによってその前端部が取付けられ、その後端部はネジ止めすることによって固定される。
トップパネル11Aの本体ケース10aに対する取付けに当該取付構造を採用すれば、トップパネル11Aの前端部をネジ止めして取付ける場合に比較して、トップパネル11Aの組付け作業の作業性を向上させることができるとともに、工数の低減およびコストの低減を図ることができる。また、当該取付構造を採用すれば、トップパネル11Aの前端部をスポット溶接して取付ける場合に比較しても、工数の低減およびコストの低減を図ることができるとともに、スポット溶接や焼け跡消しの作業を廃止することができる。
また、当該取付構造では、トップパネル11Aは、本体ケース10aのケース部側とフロントパネルの前部側との間を前側から覆蓋していて、ケース部側とフロントパネル間の隙間が前方に露呈することがない。このため、当該電磁調理器を清掃する際に、当該電磁調理器に前方側からホース等で水をかけた場合でも、水が本体ケース10a内に侵入することはなく、本体ケース10a内に収納されている電気部品、電子部品、電磁部品等が損傷することがないとともに、これらの部品の誤動作を防止することができる。
また、当該取付構造では、トップパネル11Aの前側部は、本体ケース10a側にネジ止めや溶接等によって固定されてはいないことから、トップパネル11Aを本体ケース10aの上端部から取り外し易く、トップパネル11Aを容易に取り外して本体ケース10aの上端開口部を開放することによって、本体ケース10aに収納されている電気部品、電子部品、電磁部品等の保守、点検を容易にすることができるという利点がある。
当該電磁調理器においては、本体ケース10a内に、空気吸入口13aから吸入された冷却用空気を流通させる空気流通路P1,P2を設けて、電磁コイルユニット21や制御装置30の構成部品に対する冷却効果を向上させるべく意図しているが、空気流通路P1,P2を形成するために、本体ケース10aのベース上に、左右一対の内側ガイド部材14a、および、左右一対の外側ガイド部材14bを立設し、これらの一対の内側ガイド部材14a、および、一対の外側ガイド部材14bによって空気流通路P1,P2を形成して、本体ケース10aの下部に吸気スペースを確保している。
当該電磁調理器を構成するトッププレート12は、天板11を構成するトップパネル11Aにおける開口部11A1の方形の開口縁部に組付けられている。トップパネル11Aの開口部11A1の開口縁部は方形状の段部に形成されていて、トッププレート12は当該段部に嵌込んで組付けられる。トッププレート12を当該段部に嵌込む際には、当該段部にゴム製の両面テープを貼付け、その後、トッププレート12を当該段部に嵌込む。トッププレート12を当該段部に嵌込んだ後には、トッププレート12とトップパネル11Aとの隙間に例えばシリコン製の接着剤を介在して、トッププレート12をトップパネル11Aに固着する。このような組付け手段を採れば、トッププレート12のトップパネル11Aに対する組付けが簡単になって、組付け工数を低減することができるとともに、コーキング剤の塗布量を大幅に低減することができる。
当該電磁調理器においては、本体ケース10aを、天板11からの荷重を受けることができる構造体とし、かつ、起立壁部である内側ガイド部材14a、外側ガイド部材14b、前側隔壁部16等を当該構造体の内部構造部材としている。このため、当該構造体である本体ケース10aには、補強等の手段が不要であるとともに、本体ケース10aを採用して、当該電磁調理器を左右に複数配列する構造とする場合には、本体ケース10aにて各電磁調理器を仕切る構造を形成することができて、隣り合う電磁調理器からの熱の影響を大幅に抑制することができる。
当該電磁調理器においては、調理物の温度を間接的に検出するサーミスタ22を保持するセンサーホルダとして、図9に示すように、ゴムにて成形された筒状のセンサーホルダ22aを採用して、金属バネの使用を廃止している。サーミスタ22は、ゴム製の筒状のセンサーホルダ22aを使用して、電磁コイルユニット21の支持台の円中心部に組付けられている。センサーホルダ22aがゴム製であるため、電磁誘導では加熱されることがなく、また、組付け部品の部品点数を低減させることができる。また、ぐらつくことがないセンサーホルダ構造とすることができる。
当該電磁調理器においては、電磁コイルユニット21の組付け構造を簡単にしている。電磁コイルユニット21は、図4および図5に示すように、左右の両外側ガイド部材14bに設けた4台の支持台15上の各ピンに合わせて、スプリングを介して載置する組付け手段を採っている。このため、電磁コイルユニット21の組付け構造を簡単化することができ、また、左右の両ガイド部材14b間に導入される冷却用空気により電磁コイルユニット21を効率的に冷却することができる。さらに、スプリングにより、電磁コイルユニット21をトッププレート12に押し付けているため、トッププレート12との距離を一定に保持することができる。
なお、本実施形態では、トッププレート12と電磁コイルユニット21との距離を一定に保持するために、スプリングで押付ける構造としているが、これに代えて、電磁コイルユニット21の支持をトッププレート12を支持する本体ケース10aの上面と同じ面から電磁コイルユニット21の支持板を組付けることにより、トッププレート12と電磁コイルユニット21との距離を一定に保持するようにしてもよい。
当該電磁調理器が有する操作パネル25は、図10(a),(b)に示すように、背部が開口する箱状を呈するパネル本体25Aと、パネル本体25Aに嵌着されている操作パネル部25Bとにより形成されている。但し、図10(a)は、操作パネル25を前方からみた斜視図であり、同図(b)は操作パネル25を背部からみた斜視図である。
操作パネル25の本体ケース10aを構成するフロントパネル17に対する組付けでは、パネル本体25Aをその前側開口部に嵌合して組付ける組付け構造を採っている。また、パネル本体25Aに対する操作パネル部25Bの組付けでは、操作パネル部25Bをパネル本体25Aの前側の開口部に嵌合して取付ける手段を採って、操作パネル部25Bが下方から上方へ後方傾斜する形状としている。
当該組付け構造を採用すれば、操作パネル25の本体ケース10aの取付けには、最少限のネジ止めに留めることができる。また、操作パネル25の前面のほとんどは、天板11を構成するトップパネル11Aの前端突出部より内側に位置することになる。このため、操作パネル25の操作パネル部25Bへの上方からの水かかりを大幅に抑制することができるとともに、操作パネル25とフロントパネル17間からの本体ケース10a内への水の侵入を防止することができる。
また、操作パネル25を落とし込む形状としたことで、出力調整ダイヤル25cの出っ張りを最小限にすることができる。さらには、操作パネル部25Bを、前方へ下降傾斜するように、パネル本体25Aに組付けているので、運転/切ボタン25a、スタート/ストップボタン25b等の入り切りを表示する、これらのボタン25a,25b等の上側に位置するLEDランプの光をパネルの上方からも見やすくしている。
当該電磁調理器においては、図2に示すように、本体ケース10a側に板状の取付金具18が設けられているとともに、操作パネル25のパネル本体25A側に板状の取付金具18が挿入可能な取付用穴25A1が設けられていて、電磁調理器の保守、点検等で本体ケース10aから取外された操作パネル25を、取付金具18を介して引っかけて保持することができるようになっている。
なお、当該電磁調理器においては、図1に示す電磁調理器の天板11の後端部を形成する排気通路ケース10bの頂部における図示左側の隅部にホルダーを設けて、当該電磁調理器がオプションで装備する温度センサーを支持するようにすることができる。
図11には、本発明に係る電磁調理器を構成する天板の変形例を示している。当該天板110は、排気通路ケース10bを構成する上方ケース部10b1を一体的に備えるもので、天板110と上方ケース部10b1とは、トップパネル111をプレス成形等にて一体的に形成されている。上方ケース部10b1は、トップパネル11Aに取付けられている上方ケース部10b1と同様の形状を呈するもので、トップパネル111の立ち上がり部位に庇部10b3が取付けられている。
当該天板110は、トップパネル111の水平部位にトッププレート120を備えていて、本体ケース10aのケース部の上端開口部に天板11と同様に取付けられて、本体ケース10aを構成している。また、当該天板110が備える上方ケース部10b1は、トップパネル11Aに取付けられている上方ケース部10b1と同様に、その頂部および前面側に排気口112を備えていて、その頂部の一側が温度センサーを保持するホルダー130の取付部位となっている。図12には、当該ホルダー130、および、その取付け状態を示している。
ホルダー130は、図13に示す温度センサーCを保持すべく機能するもので、所定幅の鋼板の中央部を屈折させた側面L字状の支持ブラケット131と、所定長さの支持ロッド132とからなり、支持ブラケット131はその上面131aにて、トップパネル111が形成する上方ケース部10b1の頂部の隅部にネジ133止めされて取付けられている。支持ブラケット131のかかる取付け状態においては、支持ブラケット131の上面131aが上方ケース部10b1の頂部から前方へ水平に所定長さ突出し、かつ、その傾斜面131bが上面131aの前端から後方へ所定長さ下降傾斜している。当該支持ブラケット131には、その上面131aと傾斜面131bに、支持穴131c,131dが形成されている。両支持穴131c,131dは、温度センサーCの先端側ロッド部C1を挿通可能な径に形成されていて、互いに対向して位置している。
支持ロッド132は、円筒状を呈していて、支持ブラケット131の上面131aの基端部、上方ケース部10b1の頂部、および、上方ケース部10b1内に設けた固定板134を貫通した状態で、その上端フランジ部にて、支持ブラケット131とともに上方ケース部10b1の頂部にネジ133止めされて取付けられている。支持ロッド132の頂部には、温度センサーCのリード線C1を接続するコネクタ135が取付けられている。
図13は、トッププレート120に載置した容器Dに温度センサーCを取付ける状態を示している。温度センサーCは、容器Dの上端縁部に取付けられている支持ブラケットFに支持されて、その先端側の小径ロッド部C2のセンサー部を容器Dに収容されている食材E等の内部に所定長さ挿入される。当該温度センサーCは、容器Dに収容されている調理途中の食材E等の温度を直接測定すべく機能するもので、測定した温度はホルダー130に設けたコネクタ135を通して、温度信号として制御装置30に出力される。制御装置30は、当該温度信号に基づいて、モードm5およびモードm6等の温度制御モードに基づく調理運転を実施することになる。
このように機能する当該温度センサーCは、本発明に係る電磁調理器がオプション部品として装備するもので、使用しない場合には、上部ケース部10b1に設けたホルダー130に支持される。温度センサーCをホルダー130に支持するには、温度センサーCの先端側の小径ロッド部C2を、ホルダー130を構成する支持ブラケット131の上面131aおよび傾斜面131bの各支持穴131c,131dに挿通して、温度センサーCの後端側の大径ロッド部C3の根元部を上面131aに、吊下状に引っ掛ける。これにより、温度センサーCは、ホルダー130の支持ブラケット131と支持ロッド132に支持される。
このように、本実施形態では、当該温度センサーCを支持するホルダー130を、天板110が一体に備える上方ケース部10b1の頂部という見易い位置に設けているので、温度センサーCを使用する際のホルダー130からの取出し、および、温度センサーCの使用後のホルダー130への収納支持を容易に行うことができる。また、当該温度センサーCはその本体を、支持ブラケット131の上側の支持穴131cおよび下側の支持穴131dの2箇所で支持するものであるから、温度センサーCはホルダー130にぐらつくことなく安定した状態で支持されることになる。