JP5348078B2 - レンジ検出装置 - Google Patents
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Description
入力軸は、自動変速機のレンジの選択に応じて操作力が作用する。
スライダは、入力軸の一端に固定され、入力軸と一体に往復移動可能である。
ハウジングは、樹脂製であり、スライダを摺動可能に案内する案内レールが形成される。
耐熱性樹脂部は、スライダの案内レールとの摺動面に設けられ、スライダの摺動時に案内レールに接触可能である。
変位検出手段は、スライダに設けられるセンサ可動部、及び、ハウジングに設けられるセンサ固定部から構成され、センサ可動部とセンサ固定部との相対位置に基づいてレンジを検出する。
また、スライダの重心と、入力軸において操作力が作用する作用点とは、スライダの摺動方向に平行な面の法線方向からの投影位置が互いに異なる。
耐熱性樹脂は、一般にスーパーエンプラに属し、比較的コストが高く、成形性が悪いものが多い。したがって、スライダ全体を耐熱性樹脂で成形する場合に比べ、接触部の表面にのみ耐熱性樹脂の皮膜を形成することで製造コストを低減することができる。
摺動面の中でも「接触部」となりうる部分は、摺動方向の端部寄りの部分のみである。そこで、摺動方向の中間部に凹状の逃がし部を設け、この逃がし部以外の両側部分を「接触部」とみなすことで、製造時に「接触部」の範囲を容易に特定することができる。
熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂と異なり、成形時に一旦硬化した後は溶融しない。そのため、仮に摩擦熱が想定以上の温度に達した場合でも接触部が溶融することがない。したがって、溶融樹脂の付着によるスライダの摺動不良を確実に防止することができる。
これにより、非接触式の変位検出手段を実現できる。非接触式変位検出手段は、接点の電気的接触または非接触によりスライダの変位を検出する接触式変位検出手段に比べ、接点の摩耗等の問題がない点で有利である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるレンジ検出装置を図1〜図9に示す。
本実施形態のレンジ検出装置は、自動車等の自動変速機に適用される。図2に示すように、自動変速機2は、変速機ケース3、オイルパン4、油圧制御装置20、ディテント機構10およびレンジ検出装置30を備えている。
オイルパン4は、自動変速機2で使用する作動油を内部に蓄える。オイルパン4内には油圧制御装置20およびレンジ検出装置30が収容されている。
ハウジング31は、バルブボディ6に固定される。ハウジング31は、耐油性の樹脂材料、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)で成形される。あるいは、耐摩耗性を向上するため、PPSにガラス繊維を入れた樹脂で成形される。
スライダ51は、入力軸52が固定される露出面53、露出面53と反対側のセンサ面54、案内レール351、352に沿って摺動可能な摺動面551、552、及び、摺動方向に向く端面561、562の6面から構成されている。
スライダ51の内部には、後述するセンサ可動部72としての磁石M1〜M3が設けられている。具体的には、スライダ51は、例えば、PPSに鉄粉を混合したプラスチックマグネットで成形されることで、磁石M1〜M3を内包することができる。
また、シフトレバーの非操作時にディテントプレート12の回動が規制されるため、スライダ51は、各レンジの選択に応じた位置で移動が規制される。
耐熱性樹脂の皮膜59を形成する方法としては、例えば、スライダ51の摺動面551、552以外の面をマスキングした後、スライダ51に耐熱性樹脂をスプレーする方法が用いられる。
ホール素子H1〜H3は、検出ラインUがS極と重なるときオン電圧を出力し、検出ラインUがN極と重なるときオフとなる。その結果、図9のパターン表に示すように、ホール素子H1〜H3のオンオフの組合せとレンジ位置とが一対一に対応する。
シフトレバーによりレンジが選択されると、ディテント機構10を介して、油圧制御装置20のバルブボディ6のスプール孔6aに嵌入されたスプール7が往復移動する。これにより油圧制御装置20が各摩擦要素への供給油圧を制御するとともに、レンジ検出装置30のスライダ51がスプール7の往復移動に追従して摺動する。
このとき、スライダ51の摺動面551、552がハウジング31の案内レール351、352の内壁361、362に沿って摺動する。スライダ51の摺動面551、552に形成される耐熱性樹脂の皮膜59は、スライダ51の摺動時に接触部57が摩擦熱で溶融することを防止する。
レンジ検出装置30の位置センサ70は、スライダ51の移動位置に応じたオン電圧をTCU75へ出力し、TCU75は、選択されたレンジを判定する。
次に、本発明の第1実施形態によるレンジ検出装置30の効果を説明する。
(1)スライダ51の摺動面551、552の接触部57に耐熱性樹脂の皮膜59が形成される。これにより、スライダ51の摺動時に接触部57が案内レール351、352の内壁361、362に接触し摩擦熱が発生しても、接触部57の溶融を防止することができる。したがって、溶融樹脂の付着によるスライダ51の摺動不良を防止することができる。
続いて、本発明の第2実施形態を図10に基づいて説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対し、スライダ51の形状の一部が異なる。なお、第1実施形態と実質的に同一の部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第2実施形態では、スライダ51は、摺動面551、552の摺動方向の中間部に逃がし部58を有している。逃がし部58の両側部分は、「接触部57」とみなされる。
次に、本発明の第3実施形態を図11〜図14に基づいて説明する。第3実施形態は、変位検出手段が第1実施形態と異なる。第3実施形態では、変位検出手段としての位置センサ80(図13参照)は、センサ固定部81およびセンサ可動部82から構成される。センサ固定部81は、「電極プレート」により構成され、センサ可動部82は、電極プレートに接触する接点を有する「ターミナル」により構成される。これにより、センサ固定部81とセンサ可動部82とが接触してスライダの変位を検出することができる。すなわち、位置センサ80は、接触式の変位検出手段である。
また、スライダ61の摺動面651、652には、第1実施形態と同様、耐熱性樹脂の皮膜69が形成される。
(ア)上記の実施形態では、スライダの摺動面に耐熱性樹脂の皮膜が形成される。その他、スライダ全体が耐熱性樹脂で成形されてもよい。
(イ)スライダの摺動面に加えて、スライダの他の面の一部または全部に耐熱性樹脂の皮膜が形成されてもよい。これにより、マスキングの箇所を減らし、マスキング作業の工数を低減することができる。
(カ)非接触式の位置センサの固定部として、ホール素子の代わりに磁気抵抗素子を使用してもよい。
6 ・・・バルブボディ
7 ・・・スプール
10 ・・・ディテント機構
20 ・・・油圧制御装置
30 ・・・レンジ検出装置
31、41 ・・・ハウジング
33、43 ・・・ベース部
34、44 ・・・ベース面、
351、352、451、452・・・案内レール
361、362、461、462・・・内壁
51、61 ・・・スライダ
52、62 ・・・入力軸
53、63 ・・・露出面
54、64 ・・・センサ面
551、552,651、652・・・摺動面
561、562、661、662・・・端面
57 ・・・接触部
58 ・・・逃がし部
59、69 ・・・耐熱性樹脂の皮膜
70、80 ・・・位置センサ(変位検出手段)
71、81 ・・・センサ固定部
72、82 ・・・センサ可動部
75 ・・・TCU
G ・・・重心
Q ・・・作用点
H1、H2、H3 ・・・ホール素子(磁気検出素子)
M1、M2、M3 ・・・磁石
T1、T2、T3、T4 ・・・ターミナル
E1、E2、E3、E4 ・・・電極プレート
U ・・・検出ライン
Vp、Vr、Vn、Vd ・・・被検出ライン
Claims (5)
- 自動変速機のレンジの選択に応じて操作力が作用する入力軸と、
前記入力軸の一端に固定され、前記入力軸と一体に往復移動可能なスライダと、
前記スライダを摺動可能に案内する案内レールが形成される樹脂製のハウジングと、
前記スライダの前記案内レールとの摺動面に設けられ、前記スライダの摺動時に前記案内レールに接触可能な耐熱性樹脂部と、
前記スライダに設けられるセンサ可動部、及び、前記ハウジングに設けられるセンサ固定部から構成され、前記センサ可動部と前記センサ固定部との相対位置に基づいてレンジを検出する変位検出手段と、
を備え、
前記スライダの重心と、前記入力軸において前記操作力が作用する作用点とは、前記スライダの摺動方向に平行な面の法線方向からの投影位置が互いに異なることを特徴とするレンジ検出装置。 - 前記耐熱性樹脂部は、耐熱性樹脂の皮膜として形成されることを特徴とする請求項1に記載のレンジ検出装置。
- 前記スライダの前記摺動面は、摺動方向の中間部に凹状の逃がし部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のレンジ検出装置。
- 前記耐熱性樹脂部は、熱硬化性樹脂で形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のレンジ検出装置。
- 前記センサ可動部は磁石であり、前記センサ固定部は前記磁石が発生する磁界の変化を検出する磁気検出素子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンジ検出装置。
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