JP5347827B2 - 音響異方性に優れた高降伏点490MPa級溶接構造用鋼およびその製造方法 - Google Patents
音響異方性に優れた高降伏点490MPa級溶接構造用鋼およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5347827B2 JP5347827B2 JP2009188508A JP2009188508A JP5347827B2 JP 5347827 B2 JP5347827 B2 JP 5347827B2 JP 2009188508 A JP2009188508 A JP 2009188508A JP 2009188508 A JP2009188508 A JP 2009188508A JP 5347827 B2 JP5347827 B2 JP 5347827B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- steel
- acoustic anisotropy
- structural steel
- welded structural
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
高降伏点を達成するためには、炭素当量Ceqや溶接割れ感受性指数Pcmを、高い値にすることで母材の強度を向上させたり、比較的低温での制御圧延を実施したりするといった方法をとるのが一般的である。
そのような本発明の要旨は、以下のとおりである。
(2)さらに、質量%で、Cu:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜1.0%、Cr:0.05〜1.0%、Mo:0.05〜1.0%、V:0.01〜0.20%、Mg:0.0002〜0.0030%、Ca:0.0003〜0.0030%、REM:0.0003〜0.0050%のうち1種または2種以上含有することを特徴とする、上記(1)に記載の音響異方性に優れた490MPa級溶接構造用鋼。
(3)上記(1)または(2)に記載の化学成分を有する鋼からなる鋳片を連続鋳造法により作製し、該鋳片をAc3点以上、1250℃以下に加熱後、900℃以上の再結晶温度域において累積圧下率で30%以上の熱間圧延を行い、続いて30秒以上空冷した後、840℃から870℃までの未再結晶温度域において累積圧下率で20%以上60%以下の熱間圧延を行い、840℃以上で熱間圧延を完了させた後、750℃以上の温度から5℃/s以上の冷却速度で650℃以下まで冷却することにより、旧オーステナイト粒のアスペクト比の平均値が1.6以上4以下で、降伏強度が431MPa以上としたことを特徴とする、音響異方性に優れた490MPa級溶接構造用鋼の製造方法。
(4)上記(3)に記載の製造方法において、前記冷却した鋼を、400〜650℃で焼戻し処理を施すことを特徴とする、音響異方性に優れた490MPa級溶接構造用鋼の製造方法。
また、本発明によれば、高降伏点化によって、設計耐力が上昇することで鋼材使用量の削減が可能となり、経済的であるとともに、さらに、本発明では降伏強度は従来の490MPa級鋼より上昇しているが、引張強度は従来鋼と同等であり、高強度側の溶接材料を使用する必要がなく、溶接施工性も従来鋼と同等である。
まず、本発明で、鋼組成を上記のように規定した理由について説明する。なお、含有量の%は質量%を意味する。
Sは不純物元素であり、Sの低減はMnSの低減を通じて母材及びHAZの板厚方向材質を向上させるため0.007%以下とした。
Nbのより好ましい範囲は、0.008〜0.020%である。
Tiのより好ましい範囲は、0.008〜0.015%である。
Cr、Moは母材の強度及び靭性を向上させる。これらの効果を発揮させるためには最低0.05%以上必要である。但し過剰な添加は母材、溶接部の靭性及び溶接性の劣化を招くため、上限を1.0%とした。
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B
ここで、C、Si、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Bは、各元素の質量%で表される含有量である。含有していない元素は、0として計算する。
Pcmは0.27%を超えると従来鋼材の溶接予熱温度より高い温度での予熱が必要となり、溶接施工管理が煩雑となることから0.27%以下とした。
加熱温度は、組織をオーステナイト化させるためAc3点以上の温度とする。しかし、加熱温度が高すぎると、オーステナイト粒径の粗大化を招き、靭性を悪化させるので1250℃以下とした。
840℃から870℃までの未再結晶温度域での累積圧下率は母材靭性及び音響異方性を考慮して20%以上60%以下とした。
図2に、後述の実施例のデータを用いて作成した、オーステナイト粒のアスペクト比と仕上げ圧延終了温度の関係を示す。
図2には、オーステナイト粒のアスペクト比は、仕上げ圧延終了温度に依存することが示されており、オーステナイト粒のアスペクト比を1.6以上4以下として音響異方性を確保するためには、仕上げ圧延終了温度を840℃以上930℃以下の範囲とするのがよいことがわかる。
冷却開始温度は、組織を微細化し強度靭性を確保する加速冷却の効果を得るべく750℃以上とした。750℃を下回るとフェライトが析出し始め、強度低下や靭性を劣化させる。
冷却終了温度は組織を微細化し強度靭性を確保する加速冷却の効果を得るべく650℃以下とした。強度を調整する上では、一般的に薄手では高温側、厚手になるほど、より加速冷却の効果が必要となるため、低温側の停止温度となる。
冷却速度は加速冷却の効果を得るため5℃/s以上とした。
Claims (4)
- 質量%で、
C :0.05〜0.15%、
Si:0.02〜0.50%、
Mn:0.3〜2.0%、
P :0.010%以下、
S :0.007%以下、
Nb:0.005〜0.024%、
Ti:0.003〜0.030%、
Al:0.060%以下、
B :0.0003%以下(0を含む)、
N :0.0010〜0.0060%
を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなり、次式、
Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B
で表されるPcmが0.27以下で、旧オーステナイト粒のアスペクト比の平均値が1.6以上4以下であり、かつ、降伏強度が431MPa以上であることを特徴とする、音響異方性に優れた490MPa級溶接構造用鋼。 - さらに、質量%で、
Cu:0.05〜1.0%、
Ni:0.05〜1.0%、
Cr:0.05〜1.0%、
Mo:0.05〜1.0%、
V :0.01〜0.20%、
Mg:0.0002〜0.0030%、
Ca:0.0003〜0.0030%、
REM:0.0003〜0.0050%
のうち1種または2種以上含有することを特徴とする、請求項1に記載の音響異方性に優れた490MPa級溶接構造用鋼。 - 請求項1または2に記載の化学成分を有する鋼からなる鋳片を連続鋳造法により作製し、該鋳片をAc3点以上、1250℃以下に加熱後、900℃以上の再結晶温度域において累積圧下率で30%以上の熱間圧延を行い、続いて30秒以上空冷した後、840℃から870℃までの未再結晶温度域において累積圧下率で20%以上60%以下の熱間圧延を行い、840℃以上で熱間圧延を完了させた後、750℃以上の温度から5℃/s以上の冷却速度で650℃以下まで冷却することにより、旧オーステナイト粒のアスペクト比の平均値が1.6以上4以下で、降伏強度が431MPa以上としたことを特徴とする、音響異方性に優れた490MPa級溶接構造用鋼の製造方法。
- 請求項3に記載の製造方法において、前記冷却した鋼を、400〜650℃で焼戻し処理を施すことを特徴とする、音響異方性に優れた490MPa級溶接構造用鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009188508A JP5347827B2 (ja) | 2009-08-17 | 2009-08-17 | 音響異方性に優れた高降伏点490MPa級溶接構造用鋼およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009188508A JP5347827B2 (ja) | 2009-08-17 | 2009-08-17 | 音響異方性に優れた高降伏点490MPa級溶接構造用鋼およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011038172A JP2011038172A (ja) | 2011-02-24 |
JP5347827B2 true JP5347827B2 (ja) | 2013-11-20 |
Family
ID=43766217
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009188508A Expired - Fee Related JP5347827B2 (ja) | 2009-08-17 | 2009-08-17 | 音響異方性に優れた高降伏点490MPa級溶接構造用鋼およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5347827B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101786258B1 (ko) * | 2015-12-23 | 2017-10-18 | 주식회사 포스코 | 용접 열영향부 인성이 우수한 고강도 강판 및 그 제조방법 |
CN112195406B (zh) * | 2020-09-29 | 2021-11-19 | 南京钢铁股份有限公司 | 低成本高性能Q370qE-HPS桥梁钢及生产方法 |
CN115537647B (zh) * | 2021-06-30 | 2023-10-13 | 宝山钢铁股份有限公司 | 高韧性、低屈强比与低纵横向强度各向异性600MPa级钢板及其制造方法 |
KR20230078073A (ko) * | 2021-11-26 | 2023-06-02 | 주식회사 포스코 | 용접 열영향부 인성이 우수한 강재 및 그 제조방법 |
CN114262845B (zh) * | 2021-12-06 | 2023-04-28 | 邯郸钢铁集团有限责任公司 | 一种500Mpa级薄规格桥梁板及其生产方法 |
CN115558849A (zh) * | 2022-09-23 | 2023-01-03 | 鞍钢股份有限公司 | 一种345MPa级别工程结构用热轧钢板及其制造方法 |
CN115558851A (zh) * | 2022-09-23 | 2023-01-03 | 鞍钢股份有限公司 | 一种370MPa级别工程结构用热轧钢板及其制造方法 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4066850B2 (ja) * | 2003-03-03 | 2008-03-26 | Jfeスチール株式会社 | 溶接部のctod特性に優れる高張力鋼の製造方法 |
JP4317499B2 (ja) * | 2003-10-03 | 2009-08-19 | 新日本製鐵株式会社 | 音響異方性が小さく溶接性に優れる引張強さ570MPa級以上の高張力鋼板およびその製造方法 |
JP2006241508A (ja) * | 2005-03-02 | 2006-09-14 | Nippon Steel Corp | 溶接部の耐亜鉛めっき割れ性に優れたHT490MPa級溶接構造用耐火鋼とその製造方法 |
JP4437972B2 (ja) * | 2005-04-22 | 2010-03-24 | 株式会社神戸製鋼所 | 音響異方性の少ない母材靭性に優れた厚鋼板およびその製造方法 |
JP4226626B2 (ja) * | 2005-11-09 | 2009-02-18 | 新日本製鐵株式会社 | 音響異方性が小さく溶接性に優れる、板厚中心部も含めて降伏応力450MPa以上かつ引張強さ570MPa以上の高張力鋼板およびその製造方法 |
JP4959402B2 (ja) * | 2007-03-29 | 2012-06-20 | 新日本製鐵株式会社 | 耐表面割れ特性に優れた高強度溶接構造用鋼とその製造方法 |
JP5079419B2 (ja) * | 2007-08-09 | 2012-11-21 | 新日本製鐵株式会社 | 溶接熱影響部の靱性が優れた溶接構造物用鋼とその製造方法および溶接構造物の製造方法 |
-
2009
- 2009-08-17 JP JP2009188508A patent/JP5347827B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011038172A (ja) | 2011-02-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5079419B2 (ja) | 溶接熱影響部の靱性が優れた溶接構造物用鋼とその製造方法および溶接構造物の製造方法 | |
JP5076658B2 (ja) | 大入熱溶接用鋼材 | |
JP5347827B2 (ja) | 音響異方性に優れた高降伏点490MPa級溶接構造用鋼およびその製造方法 | |
JP2008261046A (ja) | 溶接性および塑性変形能に優れた高張力鋼材、並びに冷間成形鋼管 | |
JP7262288B2 (ja) | 母材と溶接熱影響部の靭性に優れかつ音響異方性の小さい高強度低降伏比厚鋼板およびその製造方法 | |
JP4464909B2 (ja) | 溶接熱影響部の靭性に優れた高降伏比高張力鋼板 | |
JP5045074B2 (ja) | 低降伏比を有する高張力薄肉鋼板およびその製造方法 | |
JP2019199649A (ja) | 非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法 | |
JP2007177325A (ja) | 低降伏比を有する高張力厚鋼板およびその製造方法 | |
JP4507708B2 (ja) | 低降伏比高強度高靱性鋼板の製造方法 | |
JP6086090B2 (ja) | 溶接熱影響部靭性に優れた非調質低降伏比高張力厚鋼板およびその製造方法 | |
JP2011214053A (ja) | 超大入熱溶接部靭性に優れた低降伏比建築構造用厚鋼板およびその製造方法 | |
JP2010174357A (ja) | 厚鋼板およびその製造方法 | |
JP2008248359A (ja) | オンライン冷却型高張力鋼板の製造方法 | |
JP6354571B2 (ja) | 圧延h形鋼及びその製造方法 | |
JP5999005B2 (ja) | 溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力鋼板およびその製造方法 | |
JP4848960B2 (ja) | 薄肉低降伏比高張力鋼板およびその製造方法 | |
JP4008378B2 (ja) | 靭性および溶接性に優れた低降伏比高強度鋼 | |
JP3602471B2 (ja) | 溶接性に優れた高張力鋼板およびその製造方法 | |
JP4506985B2 (ja) | 極厚鋼材及びその製造方法 | |
JP4868762B2 (ja) | 音響異方性の小さい高強度高靭性ベイナイト非調質鋼板 | |
JP5515954B2 (ja) | 耐溶接割れ性と溶接熱影響部靭性に優れた低降伏比高張力厚鋼板 | |
JP3734692B2 (ja) | 音響異方性が小さく溶接性に優れた非調質型低降伏比高張力鋼板の製造方法 | |
JP5326827B2 (ja) | 低降伏比鋼材およびその製造方法 | |
JP5008879B2 (ja) | 強度および低温靭性の優れた高張力鋼板および高張力鋼板の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110816 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130314 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130326 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130523 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130611 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130704 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130723 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130805 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5347827 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |