JP4437972B2 - 音響異方性の少ない母材靭性に優れた厚鋼板およびその製造方法 - Google Patents

音響異方性の少ない母材靭性に優れた厚鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、橋梁、ペンストック、タンク、その他の大型構造物に使用される、引張強度が570MPa級(570〜780MPa)の“音響異方性の少ない”母材靭性に優れた厚鋼板およびその製造方法に関するものである。
例えば、建築用や橋梁用の鋼板(厚鋼板)では、溶接部に欠陥が存在すると、この部分が破壊発生の起点となり易いため、超音波探傷試験によって欠陥部分の有無を調査し、欠陥部分が存在していた場合には、該部分を補修するといった作業が一般的に行われている。ところが、探傷方向によって著しく音速が変化する鋼板(音響異方性が多い鋼板)では、超音波探傷試験で溶接欠陥部の正確な位置を検出できないことから、上記分野などに適用される鋼板においては、 “音響異方性が小さい”ことが要求されている。
また、こうした建築用や橋梁用などに用いられる鋼板では、母材強度、靭性などの特性が要求され、特に、シビアな環境(例えば、−50℃といった極低温)でも母材靭性を確保した厚鋼板が要望されている。
特許文献1には、溶接継手部の低温靭性を向上するためにC量を低減し、C量低減による強度低下を抑制するためにNbを積極的に含有させると共に、熱間圧延完了後500〜650℃の温度範囲までの冷却速度を3〜15℃/秒にすることが開示されている。
また、特許文献2には、ベイナイト地に島状マルテンサイトが微細分散したミクロ組織とすることによって、音響異方性が小さく、かつ塑性変形態が大きい非調質型低降伏比高張力鋼板を製造することが開示されている。
さらに、特許文献3には、溶接割れ性と大入熱溶接性および音響異方性に優れた高張力鋼を製造するために、母材強度確保のためにCおよびNbを比較的多量に添加し、合金元素の成分から最適な圧延を終了する下限温度を与える関数を見出し、音響異方性を低減することが開示されている。
さらにまた、特許文献4には、音響異方性、母材靭性および溶接性(特に大入熱HAZ靭性)に優れた590MPa級の高張力鋼板を製造するために、Mn、Cr,およびMo量を適切に調整することが開示されている。
しかし、上記特許文献1〜4のいずれも、本発明の目指す極低温(−50℃)での良好な母材靭性を確保するまでには至っていない。例えば、特許文献1、2および4は、音響異方性は確保できているものの、NbまたはBを多量に添加しており、その結果、ベイナイト組織のブロックサイズが粗大化して母材靭性が低下している。また、特許文献3は、同様に音響異方性は確保できているが、C量が多くMA分率が高いために、母材靭性が低下している。
一方、厚鋼板は、実用上、溶接性も一定レベル以上であることが要求されている。
特開平3−177515号公報 特開2002−53912号公報 特開平8−209238号公報 特開2004−300567号公報
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、低音響異方性を有し、かつ良好な溶接性および極低温での母材靭性を有する570MPa級の厚鋼板、並びにその製造方法を提供することである。
本発明は、低音響異方性、良好な母材強度、極低温での母材靭性及び溶接性を達成するために、鋼組織を考慮した成分設計と、圧延時の再結晶域圧延、低温焼戻し処理を行うことにより上記課題を解決するものである。
すなわち、本発明の厚鋼板は、化学成分として、C:0.010以上〜0.060%未満(%は質量%の意味、以下同じ)、Si:0.02〜1.00%、Mn:1.25〜2.50%、Al:0.20%以下(ただし、0を含まない)、Cr:0.35〜2.00%、Mo:0.05〜1.00%、Ti:0.005〜0.030%、N:0.0020〜0.0100%を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなり、鋼組織の90体積%以上がベイナイトであり、ベイナイトブロックサイズが15μm以下であり、旧γ粒の平均アスペクト比が3.0以下であり、かつ下記(1)式で規定されるTA1値が2.00〜4.00の範囲内にあることを特徴とする音響異方性の少ない母材靭性に優れた厚鋼板である。
TA1=[Mn]+[Cr]・・・(1)
(式中、[ ]は各元素の含有量(質量%)を表す。)
本発明の厚鋼板は、更に、Nbおよび/またはBを、0≦Nb<0.005%かつ0<B≦0.0030%の量で含有する、あるいは0.005≦Nb≦0.03%かつ0≦B<0.0006%の量で含有することが好ましい。
本発明の厚鋼板は、更に、Cu:1.00%以下、Ni:1.40%以下を含有し、かつ下記(2)式で規定されるTA2値が2.00〜4.00の範囲内にあることが好ましい。
TA2=[Mn]+[Ni]+2×[Cu]+[Cr]・・・(2)
(式中、[ ]は各元素の含有量(質量%)を表す。)
本発明の厚鋼板は、更に、V:0.30%以下を含有することが好ましい。また、更に、P:0.030%以下かつS:0.010%以下に抑えることが好ましい。また、更に、Ca:0.0005〜0.0050%、Mg:0.0001〜0.0050%およびREM:0.005%以下からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。また、更に、Hf:0.050%以下および/またはZr:0.100%以下を含有することが好ましい。また、更に、Co:2.5%以下および/またはW:2.5%以下を含有することが好ましい。
本発明の厚鋼板は、厚鋼板の板厚の1/4部位において、マルテンサイトとオーステナイトよりなる混合組織(MA組織)の平均体積分率が、3.0%以下であることが好ましい。
本発明の厚鋼板は、上記の化学成分の要件を満たす鋼材を、Ac3点〜1300℃に加熱して圧延を行う際に、全圧下量の70%以上を再結晶域圧延することにより製造できる。前記圧延後、200℃以下まで冷却し、その後500℃以下の温度で焼戻しを行うことが好ましく、さらに、前記圧延後の冷却を、水冷で行うことがより好ましい。
本発明によれば、音響異方性が小さく、また良好な母材強度、極低温での母材靭性及び溶接性が確保された厚鋼板を提供することができる。これにより、超音波探傷試験による溶接欠陥の正確な調査が可能であり、例えば、橋梁、ペンストック、タンク、その他の大型構造物の分野において、信頼性の高い材料として適用し得る。
本発明は、音響異方性が少なく、母材強度、母材靭性および溶接性の確保された厚鋼板を実現するものである。本発明は、母材靭性および母材強度に悪影響を及ぼす要因となるものを徹底的に排除したものである。
一般に、Cは、母材強度を確保するために必要な元素であり、C量が過多になると母材靭性に悪影響を及ぼし、極低C量では母材強度の低下を招く。だが、本発明者等は、下記(1)式で規定されるTA1値が2.00〜4.00であり、かつベイナイト量が90体積%以上となるとき、極低C量においても母材強度を十分確保することができることを新たに見出した。また、本発明の厚鋼板では、必要によりNi、Cuを含有させることも有効であり、これらの元素をも含有させる場合には、下記(2)式で規定されるTA2値を、2.00〜4.00の範囲内にすればよいことも見出した。
TA1=[Mn]+[Cr]・・・(1)
TA2=[Mn]+[Ni]+2×[Cu]+[Cr]・・・(2)
(各式中、[ ]は各元素の含有量(質量%)を表す。)
(以下、TA1値とTA2値を、まとめてTA値と称する場合がある。)
本発明は、母材靭性確保のためにC量を極低量にし、極低C量化による母材強度の低下を防止するために、焼入れ性向上元素であるMnおよびCr、並びに必要によりNiおよび/またはCuを、TA値が2.00〜4.00の範囲内で積極的に添加し、母材強度を確保したものである。Mn、Cr、Ni、Cuの添加量は特に母材強度と密接な関係があり、母材強度を570MPa級にするには、後述の実施例からも明らかなように、TA値を2.00以上、好ましくは2.50以上となるようにMnおよびCr、並びに必要によりNiおよび/またはCuを添加することが必要である。TA値が2.00未満だと母材強度が低くなり、4.00を超えると強度が高くなりすぎる。
本発明の厚鋼板では、旧γ粒の形態制御に伴う母材強度(例えば、0.2%伸長時の耐力)低下を抑制するため、鋼組織の90体積%以上をベイナイトとする。すなわち、母材靭性確保の点で旧γ粒を微細化するため、結果として焼入れ性の低下による鋼板の強度低下が引き起こされるが、鋼組織をベイナイト主体とすることによってこれを回避するのである。
鋼組織の90体積%以上をベイナイトとすることで、優れた耐力を確保することができる。なお、上記0.2%伸長時の耐力および引張強度は、鋼板の板厚1/4部位から、JIS4号試験片を採取し、引張試験を行うことで得られる値である。より好ましい鋼組織中のベイナイト分率は、95体積%以上であり、さらに好ましくは97体積%以上である。鋼組織の90体積%以上をベイナイトとするには、後に詳細に記載するが、圧延後に水冷で急冷すればよい。
鋼組織中のベイナイト分率は、例えば、以下のようにして測定される。板厚の1/4部位を鏡面研磨した試験片を、山本科学工具研究社製AGS液や、2%硝酸−エタノール液(2%ナイタール液)などを用いて腐食処理する。なお、腐食条件は、上記AGS液の場合は室温で5〜10分、2%ナイタール液の場合は室温で5〜30秒とすることが推奨される。腐食処理後の試験片を、光学顕微鏡を用いて倍率400倍で観察して写真撮影を行う。得られた顕微鏡写真(観察視野10視野)について、Media Cybernetics社製「Image−Pro Plus」などを用いて画像解析を行い、フェライト、擬ポリゴナルフェライト、MA(Martensite Austenite Constituent)以外のラス状組織を全てベイナイトとみなして、ベイナイトの面積率を測定し、この値からベイナイト分率(体積%)を算出し、観察視野10視野の平均値として求める。
また、Nb、Bが多量にあると、母材靭性に悪影響を及ぼすが、Nb、Bが少量だと母材強度が不足するため、従来ではNb量、B量を低減することができなかった。本発明では、焼入れ性向上元素であるMn、Cr、(必要により)NiおよびCuを積極的に添加し、これら焼入れ性向上元素の含有量によって定まるTA値を適切に制御することにより、十分母材強度を確保することができるため、Nb量、B量を従来に比して低減することができる。さらに、TA値の制御(好ましくはNbおよび/またはB量も制御)することは、優れた溶接性(本発明において溶接性は、特に、大入熱HAZ靭性および耐溶接割れ性を意味する)を確保する観点からも、有用である。
さらに、母材靭性は、焼戻し温度を高温化するほど向上することが一般に知られている。しかし、本発明者等の鋭意検討の結果、極低C量におけるベイナイトでは、焼戻し温度が高すぎる(500℃超)とベイナイトブロックの回復が進み、焼戻し後のベイナイトブロックサイズが粗大となり、逆に母材靭性が低下することを新たに見出した。従って、本発明では、ベイナイトブロックサイズは15μm以下であり、ベイナイトブロックのサイズが粗大化しないようにすることも大きなポイントとなる。ベイナイトブロックサイズの粗大化を防止するためには、まず、焼戻し温度を500℃以下とすることが好ましい。低温焼戻し処理を行うことで、ベイナイトブロックの回復を抑制することができる。
本発明では、Nb、Bの添加を抑制することにより、ベイナイトブロックサイズの微細化を達成することができる。この様に、低温焼戻し処理と、Nb、B添加量の抑制により、ベイナイトブロックサイズの微細化(15μm以下)を達成し、母材靭性を確保する。
ここで、ベイナイトブロックサイズとは、同一方位を有するベイナイト粒の集団(束)である組織単位のことをいい、例えば、以下のようにして測定される。測定方法は、EBSP(Electron backscatter diffraction patern)を用いて方位解析を行い、各方位のベイナイト粒の粒径(短径)を測定し、それを平均化する。測定領域は70μ角、測定ステップは0.2μm間隔とし、測定方位の信頼性を示すコンフィデックス・インデックスが0.1以下の測定点は、測定対象から除外する。更に、測定領域の端にかかる結晶粒についても、測定対象から除外する。
従来は、高冷却速度ではマルテンサイト、低冷却速度ではフェライトまたは擬ポリゴナルフェライトを生成するために、硬さの冷却速度依存性が大きく、小入熱溶接時におけるHAZ部の硬さ低減(耐溶接割れ性の改善)と母材強度を両立させることができず、予熱フリーの達成が困難であったが、本発明によれば、高冷却速度、低冷却速度のいずれにおいても低温変態ベイトナイトを生成し、硬さの冷却速度依存が低下し、溶接時のHAZ部の硬さ低減(耐溶接割れ性の改善)と母材強度確保の両立ならしめた。
一方、大入熱溶接の場合、HAZの冷却速度が遅くなるため、従来はフェライトまたは擬ポリゴナルフェライトが生成し、それに伴い粗大かつ島状マルテンサイト組織が生成してHAZ靭性の劣化を招いていたが、本発明では、冷却速度が遅くても低温変態ベイナイトが生成するため、塊状ではなく、フィルム状のマルテンサイト組織になると同時に、極低Cであるため、生成するマルテンサイト組織が微細となり、HAZ靭性を確保できる。
加えて、上述の如く極低Cとすると共に焼入れ性向上元素の添加は、鋼組織をベイナイト主体とする点においても重要である。
従って、上記をまとめると、本発明は、母材強度を確保すべく、C量を極低量に制御した上で、Nb、Bの添加を抑制し、かつ焼入れ性向上元素であるMn、Cr、(必要により)Ni、Cuを積極的に添加し、さらに母材靭性を確保すべく、ベイナイト組織のブロックサイズを微細化するために、低温焼戻し処理をするものであり、母材強度および母材靭性の確保を両立することができる。
さらに、本発明では、鋼板の音響異方性低減の観点から、旧γ粒のアスペクト比に着目し、検討を重ねた。音響異方性については、JIS Z 3060に規定されている横波音速比CSL/CSC(振動方向をL方向(圧延方向)とC方向(圧延直角方向)として得られた横波音速値CSL(m/秒)とCSC((m/秒)との比)と旧γ粒のアスペクト比との間には相関があり、本発明では、例えば、横波音速比1.02以下といった低い値、すなわち音響異方性が少ない旧γ粒の平均アスペクト比を割り出した。
なお、本発明でいう「旧γ粒」とは、上記のとおり、旧オーステナイト粒を意味し、一般に組織がオーステナイトの状態から冷却されると、組織変態が生じてフェライトやマルテンサイトなどの別組織になるが、この変態前のオーステナイト粒を、変態後の鋼材(鋼板など)より見る立場から指す用語が「旧γ粒」である。
図1は、旧γ粒の平均アスペクト比と横波音速比(CSL/CSC)との関係を表したグラフである。図示されるように、旧γ粒のアスペクト比が3.0以下のときに、横波音速比が1.02以下といった低音響異方性が達成される。より好ましい旧γ粒のアスペクト比は、2.0以下、さらに好ましくは1.5以下である。旧γ粒のアスペクト比を3.0以下とするには、後に詳細に説明するように、圧延条件を特定の条件にすればよい。
旧γ粒の平均アスペクト比は、以下のようにして測定される。前記した鋼組織中のベイナイト分率を測定する際に得られる光学顕微鏡写真を、前記と同様の方法で画像解析し、旧γ粒の長径および短径を測定する。平均アスペクト比については、観察視野中に認められる個々の旧γ粒のアスペクト比(長径/短径)を求め、このアスペクト比の平均値を求めることで得られる。
次に、本発明にかかる厚鋼板の基本となる化学成分について個々に説明する。
C:0.010以上〜0.060未満%
Cは、母材強度を確保するために必要な元素である。C量が0.010%未満では母材強度を確保することができなくなる。一方、C量が0.060%以上になると、MA組織が多くなりすぎて、母材靭性が低下する。そのため、C量を0.010%以上、好ましくは0.030%以上とし、一方その上限を0.060%未満とする。
Si:0.02〜1.00%
Siは脱酸剤の作用を有する元素であり、Si量が0.02%未満では、その効果が過小であり、一方、1.00%を超えると溶接性および母材靭性を劣化させる。従って、Si量の下限を0.02%とし、その上限を1.00%、好ましくは0.50%とする。
Mn:1.25〜2.50%
Mnは、焼入れ性の向上、強度、靭性の確保に有効であり、1.25%未満ではかかる作用が過小であり、一方、2.50%を越えると低温靭性が劣化する。このため、Mnの下限を1.25%、好ましくは1.50%とし、その上限を2.50%、好ましくは2.00%とする。
Al:0.20%以下(0%を含まない)
Alは、脱酸、およびミクロ組織微細化による母材靭性向上効果を有するので添加される。もっとも、過多に添加するとかえって母材靭性が低下するため、上限を0.20%とする。好ましくは、0.06%以下とするのが良い。一方、下限は0.01%以上、好ましくは0.02%以上とするのがよい。
Cr:0.35〜2.00%
Crは、母材、溶接部の強度を高めるが、Crの量が0.35%未満ではかかる効果が過小であり、一方、2.00%を超えると、母材靭性やHAZ靭性を劣化させるようになる。このため、Cr量の下限を0.35%、好ましくは0.50%、より好ましくは0.70%とし、その上限を、2.00%、好ましくは1.50%、より好ましくは1.00%とする。
Mo:0.05〜1.00%
Moは、焼入れ性の向上、強度の確保に有効であり、焼戻し脆性を防止するために有効な元素である。Mo量が0.05%未満ではかかる作用が過小であるので、Mo量の下限を0.05%とする。一方、過多に添加すると母材靭性が劣化する。このため、Mo量の下限を0.05%、好ましくは0.15%、上限を1.00%、好ましくは0.50%とする。
Ti:0.005〜0.030%
TiはNと窒化物を形成し、溶接時におけるHAZ部のオーステナイト粒を微細化し、HAZ靭性改善に有効な元素である。Ti量が0.005%未満では、細粒化効果が過小であり、一方、0.030%を超えるとかえってHAZ靭性を劣化させる。このため、Ti量の下限を0.005%、好ましくは0.008%とし、その上限を0.030%、好ましくは0.020%以下とする。
N:0.0020〜0.0100%
Nは、Tiと結合し、TiNを形成して大入熱溶接時のオーステナイト粒を微細化し、HAZ靭性を向上させる効果を有する。しかし、Nの過剰な添加は、母材靭性、HAZ靭性に悪影響を与えるため、その上限を0.0100%、好ましくは0.0080%、さらに好ましくは0.0060%とする。一方、下限は、0.0020%、好ましくは、0.0040%以上とするのがよい。
次に、本発明において、厚鋼板の特性をさらに改善するために、必要に応じて添加される化学成分について説明する。
Nb、B:0≦Nb<0.005%であり、かつ0<B≦0.0030%、あるいは0.005≦Nb≦0.03%であり、かつ0≦B<0.0006%
Nb、Bは、素地の焼入れ性を向上させて母材強度、溶接継手強度を向上させる効果がある反面、ベイナイトブロックを粗大化し、母材靭性を劣化させる本発明で最も有害となる元素の1つである。さらに、固溶Nb、Bは、加工オーステナイトの再結晶温度を高温化させ、低温での再結晶域圧延を困難にし、母材靭性確保をより困難にする。そのため、本発明では、基本的には添加しないこととするが、母材靭性を劣化しない程度に添加する場合、その添加量は、0≦Nb<0.005%であり、かつ0<B≦0.0030%とするか、あるいは0.005≦Nb≦0.03%であり、かつ0≦B<0.0006%とする。
Cu:1.00%以下
Cuは、固溶強化および析出強化によって母材強度を向上させ、またMo、Mn、Ni、Crほどではないが、焼入れ性を向上させるため、必要に応じ添加することができる。かかる作用を効果的に発現させるには、0.20%以上、より好ましくは0.40%以上の添加が好ましい。もっとも、1.00%を超えると母材靭性を低下させるので、Cu量の上限を1.00%、好ましくは0.60%とする。
Ni:1.40%以下
Niは、鋼の低温靭性の向上および焼入れ性を高めて強度を向上させるため、必要に応じ添加することができる。かかる作用を効果的に発現させるには、0.20%以上、より好ましくは、0.40%以上の添加が好ましい。一方、1.40%を超えると、母材靭性が劣化する。このため、Ni量の上限を1.40%、好ましくは1.00%とする。
V:0.30%以下(0%を含む)
Vは、少量の添加で焼入れ性および焼戻し軟化抵抗を高める作用があるため、必要に応じて添加することができる。ただし、0.30%を超えて添加すると大入熱HAZ靭性が低下する。このため、V量の上限を0.30%、好ましくは0.20%とする。
P:0.030%以下
不純物元素であるPは、溶接部の靭性に悪影響を及ぼすため、P量は0.030%以下に止める。好ましくは0.010%以下とする。
S:0.010%以下
Sは、MnSを形成して延性を低下させる元素であり、特に高強度鋼において、その影響が大きいため、S量は0.010%以下、好ましくは0.005%以下に止めるのがよい。
Ca:0.0005〜0.0050%、Mg:0.0001〜0.0050%、REM:0.005%以下
CaおよびREMは、MnSを球状化するという介在物の形態制御による異方性を低減する効果を有する。一方、Mgは、MgOを形成し、HAZのオーステナイト粒の粗大化を抑制することによってHAZ靭性を向上させる効果を有する。Ca量0.0005%未満、Mg量0.0001%未満では、このような効果は過小であり、一方、Ca量0.0050%超、Mg量0.0050%超、REM量0.005%超では、添加量が過剰のため、母材靭性をかえって劣化させるようになる。このため、Ca量の下限を0.0005%とし、その上限を0.0050%、好ましくは0.0030%とする。また、Mg量の下限を0.0001%とし、その上限を0.0050%、好ましくは0.0035%とする。さらに、REM量の上限を、0、005%、好ましくは0.003%とする。
Zr:0.100%以下、Hf:0.050%以下
Zr、Hfは、Tiと同様、Nと窒化物を形成し、溶接時におけるHAZのオーステナイト粒を微細化し、HAZ靭性改善に有効な元素である。しかし、過剰に添加するとかえって、母材靭性、HAZ靭性を低下させる。このため。Zr量の上限を0.100%、Hf量の上限を0.050%とする。
Co:2.5%以下、W:2.5%以下
Co、Wは、焼入れ性を向上させ、母材強度を高める効果を有するので、必要により添加される。しかし、過剰に添加すると、母材靭性が劣化するため、その上限をいずれも2.5%とする。
本発明で規定する、必要に応じて添加されるものを含めた含有元素は上記の通りであり、残部の化学成分はFeおよび不可避不純物である。よって、鋼中に、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる、0.0030%以下のO(酸素)等の不純物が含まれることは本発明において許容される。さらに、本発明の作用、効果に悪影響を与えない範囲内で、上記以外の元素を積極的に含有させることも可能である。
また、本発明の厚鋼板において特に好ましいのは、上記鋼組織に占めるマルテンサイトとオーステナイトよりなる混合組織(以下「MA組織」と称する場合がある)の平均体積分率が、3.0%以下であるものである。後述する実施例から明らかな様に、本発明者らが種々研究を重ねた結果、MA組織の平均体積分率を3.0%以下に抑制することによって、母材の靭性が一段と向上することが明らかになったからである。母材の靭性を確保する観点からは、MA組織の割合は、3.0%まで許容できるが、MA組織の割合はできるだけ少ない方が良く、より好ましくは2.0%以下に抑えることが推奨される。最も好ましいMA組織の割合は、0%であるが、実操業でMA組織の生成量を0%にすることは非常に困難であり、少なからず生成する。
MA組織の生成を3.0%以下に抑制するには、下記に詳細に記載するが、圧延後に水冷で急冷すればよく、冷却時の降温速度を高めて急冷することでMA組織の生成を抑えればよい。
MA組織以外の組織は、実質的にベイナイト組織であることが好ましい。「実質的に」とは、不可避的に生成する他の組織の混入を許容する意味であり、基本的にはMA組織とベイナイト組織からなることを表している。
鋼組織に占めるMA組織の平均体積分率は、鋼板の厚みをtとしたときに、鋼板表面からの深さがt/4の位置における組織を光学顕微鏡で観察することによって求める。鋼板の組織は、加熱条件や冷却条件に大きく影響を受けて変化するので、鋼板の表面部と中心部では生成する組織の割合に若干のバラツキを生じる。そのため、鋼板の表面部におけるMA組織の生成量と中心部におけるMA組織の生成量を比べると、MA組織の生成量は、表面部の方が中心部よりも相対的に少なくなる。そこで、本発明において上記MA組織の平均体積分率は、鋼板表面からの深さがt/4の位置における組織を観察し、これを代表値として用いることとする。また、鋼板の特性を評価する際に用いる試験片(供試体)は、鋼板表面からの深さがt/4の位置から切り出すことが一般的であり、このことからも明らかな様に、鋼板表面からの深さがt/4の位置における組織組成を鋼板全体の組織組成とすることは妥当である。
なお、MA組織の平均体積分率は、例えば、次のようにして測定する。まず、鋼板表面からの深さがt/4となる部位を鏡面研磨した試験片を、腐食液を用いてエッチング処理し、処理後の試験片を、光学顕微鏡を用いて倍率:1000倍で観察して写真撮影する。MA組織を観察するためのエッチング処理には、エタノール(96質量%)とピクリン酸(4質量%)を混合して得られるA液と、蒸留水(99質量%)とメタ重亜硫酸ナトリウム(1質量%)を混合して得られるB液を、50質量部:60質量部(A液:B液)で混合して得られる腐食液を用いる。次に、得られた顕微鏡写真(観察視野10視野)について、Media Cybernetics社製「Image−Pro Plus」などを用いて画像解析を行って、MA組織の平均体積率を測定する。
なお、本発明において、厚鋼板とは、厚みが6mm以上である鋼板のことをいう。本発明の厚鋼板では、例えば、肉厚が50mm以上の厚物でも、良好な母材靭性と低音響異方性を有するものとなる。
次に、本発明に係る厚鋼板の製造方法について説明する。本発明の製造方法においては、上記化学組成を満足する鋼材を用いることに加えて、特に旧γ粒の形態を上述のように制御するに当たり、圧延条件を厳格に管理する必要がある。具体的には、AC3点〜1300℃に加熱して圧延を行う際に、全圧下量の70%以上、好ましくは全圧下量の90%以上を、再結晶域で圧延する。こうした操作で再結晶という現象を利用することにより、鋼板中の旧γ粒を上述の形態(平均アスペクト比)に抑制することができる。
本発明において再結晶域とは、該温度域においてγ粒径:100±10μmとした鋼板試験片を、歪速度:10sec-1、相当歪:0.2の条件で圧下を加えて10sec後に組織を凍結(例えば水冷)したときに、20〜80体積%が再結晶粒となる温度域である。この再結晶域は、鋼板の化学組成に応じて変動するので、圧延を実施する前に、各鋼板と同じ化学組成の鋼板試験片について上記操作を行い、確認しておけばよい。
なお、鋼組織の90体積%以上をベイナイト組織とすると共に、該鋼組織に占めるMA組織の平均体積率を3.0%以下に抑制するためには、上記圧延後、Bs点以下の温度まで水冷することが好ましい。圧延後の鋼板を水冷によって急冷すると、MA組織の生成が抑制されて当該組織の平均円相当径も小さくなり、母材の靭性が向上するからである。
また、上記圧延後に200℃以下まで冷却し、その後、必要に応じて500℃以下の温度で焼戻しを行うことが好ましい。焼戻し温度が高すぎる(500℃超)と、ベイナイトブロックの回復が進み、焼戻し後のベイナイトブロックのサイズが粗大となり、逆に母材靭性が低下することから、本発明では、焼戻し温度を500℃以下とすることが好ましい。低温焼戻し処理を行うことで、母材靭性確保を達成することができる。
本発明の厚鋼板を製造するには、上記再結晶域におけるトータルの圧下率が重要であり、圧延後の冷却手段や冷却条件は特に限定されず、通常通り空冷すればよい。
なお、上記200℃まで冷却する際の冷却手段も特に限定されず、通常通り空冷すればよいが、空冷の代わりに水冷することによってMA組織の結晶成長を抑えても、勿論構わない。
上記水冷条件は特に限定されないが、本発明で採用する上記水冷とは、降温速度が3℃/sec以上の冷却を指す。より好ましくは、水冷時の降温速度を5℃/sec以上とし、さらに好ましくは、10℃/sec以上とする。
本発明の厚鋼板を製造する際の、その他の工程・条件は特に限定されず、通常用いられる厚鋼板の製造工程、および条件(温度、時間など)を適宜採用すればよい。なお、本発明では、所謂調質処理を施さない非調質鋼板のままで、低音響異方性、母材強度・靭性、溶接性、といった各種特性を確保できる。よって、製造工程の省略が可能であり、生産コストを低減できる。
次に、実施例および比較例を挙げ、本発明について詳細に説明する。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
表1(実施例)および2(比較例)に示す組成の鋼を、通常の溶製法により溶製してスラブとした後、表3および4に示す条件にて加熱し、圧延した。その後、記載される冷却速度で200℃まで冷却し、焼戻し処理を行い、評価用鋼板を製造した。
この鋼板に対し、下記要領で母材特性および溶接性(耐低温割れ性、HAZ靭性)の試験を行った結果を、それぞれ表3(実施例)および表4(比較例)に記載する。また、得られた鋼板に対し、板厚1/4の部位から試験片を採取し、組織観察を行った結果も表3および表4に記載する。
[ベイナイトブロックサイズ]
ベイナイトブロックサイズは、以下のように測定した。測定方法は、EBSP(Electron Backscatter Diffraction Patern)を用いて結晶粒の方位解析を行い、その後、各方位の結晶粒径を決定した。測定領域は70μ角、測定ステップは0.2μm間隔とし、測定方位の信頼性を示すコンフィデックス・インデックスが0.1以下の測定点は、測定対象から除外した。更に、測定領域の端にかかる結晶粒についても、測定対象から除外した。
[旧γ粒のアスペクト比およびベイナイト分率]
各鋼板の板厚1/4部位を鏡面研磨した試験片を、2%ナイタール液でエッチング後、該箇所について光学顕微鏡を用いて400倍で観察し、写真撮影をした。この観察視野10視野について、Media Cybernetics社製「Image−Pro Plus」を用いて画像解析を行い、鋼組織中の旧γ粒の形態(平均アスペクト比)およびベイナイト分率を測定した。この際、フェライト、擬ポリゴナルフェライトおよびMA以外のラス状組織はベイナイトとみなした。なお、本実施例に示す鋼組織は全て、90体積%以上がベイナイトであった。
[MA組織の平均体積分率]
鋼板表面からの深さが1/4となる部位を鏡面研磨した試験片を、腐食液を用いてエッチング処理し、処理後の試験片を、光学顕微鏡を用いて倍率:1000倍で観察して写真撮影した。尚、エッチング処理には、エタノール(96質量%)とピクリン酸(4質量%)を混合して得られるA液と、蒸留水(99質量%)とメタ重亜硫酸ナトリウム(1質量%)を混合して得られるB液を、50質量部:60質量部(A液:B液)で混合して得られる腐食液を用いた。次に、得られた顕微鏡写真(観察視野10視野)について、Media Cybernetics社製「Image−Pro Plus」などを用いて画像解析を行い、MA組織の平均面積率を測定した。
[引張強度]
各鋼板の板厚1/4部位からJIS4号試験片を得て、引張試験を行うことにより、0.2%耐力、引張強度を測定した。引張強度が、590MPa〜780MPaであるものを合格とした。
[母材靭性]
各鋼板の板厚1/4部位からJIS4号試験片を採取し、−50℃でシャルピー衝撃試験を行い、吸収エネルギー(vE-50)を求めた。vE-50が、250J以上であるものを合格とした。
[音響異方性(横波音速比)]
JIS Z 3060に規定されている横波音速比CSL/CSCを、すなわち、それぞれ振動方向をL方向(圧延方向)とC方向(圧延直角方向)として得られた横波音速値CSL(m/秒)とCSC(m/秒)との比を測定した。横波音速比CSL/CSCが、1.02以下であるものを合格とした。
[HAZ靭性]
入熱10kJ/mmで溶接(サブマージアーク溶接)を行い、図2に示す部位から、JIS4号試験片を採取し、−40℃でシャルピー衝撃試験を行い、ボンド部の吸収エネルギー(vE-40)を求めた。vE-40が、vE-40≧100Jであるものを合格とした。
[耐低温割れ性]
JIS Z3158に規定されたy形溶接割れ試験方法に基づいて、入熱1.7kJ/mmで被覆アーク溶接を行い、ルート割れ防止予熱温度を測定した。予熱温度が0℃とあるのは、試験に供した鋼板を0℃に冷やした状態で溶接を行い、溶接後に割れが生じなかったことを示す。
上記測定結果を表3および表4に併せて示す。またTA値と強度との関係を図3に示す。図3から、TA値と強度との関係は相関することが分かる。従って、この結果から、本発明では、2.00≦TA≦4.00とした。
表3により、実施例はすべて、母材靭性について、vE-50が250J以上であり、母材靭性に優れており、さらに、各特性評価項目においてすべて合格した。一方、合金組成、TA値等が発明範囲を外れる比較例は、表4に示すように、引張強度が570MPa未満であったり、母材靭性について、vE-50が100J未満、あるいは音響異方性(音速比)が1.02超過であったり等で、特性評価において合格レベルに達していない項目があった。
音響異方性が少なく、母材靭性に優れる本発明の厚鋼板は、例えば、橋梁、ペンストック、タンク、その他の大型構造物に使用できる。
平均の旧γ粒のアスペクト比と音響異方性(Csl/Csc)の関係を表すグラフである。 サブマージアーク溶接のボンド靭性の試験片採取位置を示す図である。 母材引張強度とTA値の関係を表すグラフである。

Claims (12)

  1. 化学成分として、
    C:0.010以上〜0.060%未満(%は質量%の意味、以下同じ)、
    Si:0.02〜1.00%、
    Mn:1.25〜2.50%、
    Al:0.20%以下(ただし、0%を含まない)、
    Cr:0.35〜2.00%、
    Mo:0.05〜1.00%、
    Ti:0.005〜0.030%、
    N:0.0020〜0.0100%
    を含有し、
    残部がFe及び不可避不純物からなり、
    鋼組織の90体積%以上がベイナイトであり、
    ベイナイトブロックサイズが15μm以下であり、
    旧γ粒の平均アスペクト比が3.0以下であり、かつ、
    下記(1)式で規定されるTA1値が2.00〜4.00の範囲内にあることを特徴とする、音響異方性の少ない母材靭性に優れた厚鋼板。
    ただし、
    TA1=[Mn]+[Cr]・・・(1)
    (式中、[ ]は各元素の含有量(質量%)を表す。)
  2. 更に、Nbおよび/またはBを、下記(a)または(b)の範囲で含有する請求項1記載の厚鋼板。
    (a)0≦Nb<0.005%であり、かつ0<B≦0.0030%
    (b)0.005≦Nb≦0.03%であり、かつ0≦B<0.0006%
  3. 更に、Cu:1.00%以下、Ni:1.40%以下を含有し、かつ下記(2)式で規定されるTA2値が2.00〜4.00の範囲内にある請求項1又は2記載の厚鋼板。
    TA2=[Mn]+[Ni]+2×[Cu]+[Cr]・・・(2)
    (式中、[ ]は各元素の含有量(質量%)を表す。)
  4. 更に、V:0.30%以下を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の厚鋼板。
  5. 更に、P:0.030%以下およびS:0.010%以下を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の厚鋼板。
  6. 更に、Ca:0.0005〜0.0050%、Mg:0.0001〜0.0050%およびREM:0.005%以下からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の厚鋼板。
  7. 更に、Hf:0.050%以下および/またはZr:0.100%以下を含有する請求項1〜6のいずれかに記載の厚鋼板。
  8. 更に、Co:2.5%以下および/またはW:2.5%以下を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の厚鋼板。
  9. 前記厚鋼板の板厚の1/4部位において、マルテンサイトとオーステナイトよりなる混合組織(MA組織)の平均体積分率が、3.0%以下である請求項1〜8のいずれかに記載の厚鋼板。
  10. 前記請求項1〜8のいずれか1項に記載された化学成分の要件を満たす鋼材を、AC3点〜1300℃に加熱して圧延を行う際に、全圧下量の70%以上を再結晶域圧延することを特徴とする厚鋼板の製造方法。
  11. 前記圧延後、200℃以下まで冷却し、その後500℃以下の温度で焼戻しを行う請求項10記載の製造方法。
  12. 前記圧延後の冷却を、水冷で行う請求項11記載の製造方法。
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