JP3602396B2 - 溶接性に優れた低降伏比高張力鋼板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接性(耐低温割れ性及びHAZ靭性)に優れた低降伏比(特にYS/TSで表されるYRがYR≦82%)高張力鋼板に関し、更には母材靭性にも優れた低降伏比高張力鋼板に関するものである。本発明の低降伏比高張力鋼板は、特に低降伏比が要求される建築分野等に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
780MPa級以上の高張力鋼板では、母材強度の確保という観点から合金成分を多量に添加する為、小入熱溶接条件では冷却速度が速く、HAZ(溶接熱影響部)が硬化して溶接割れ(低温割れ)を生じ易いという問題がある。かかる溶接割れを防止する為には、溶接施工時に100℃程度の予熱を行う必要があった。従って、この予熱工程を省略できれば施工効率が大きく上昇し、且つコストダウンにもつながる為、耐低温割れ性に優れた780MPa級以上の高張力鋼板の提供が切望されている。
【0003】
ところで、耐低温割れ性の指標としては下式で定義されるPcm(%)というパラメーターが用いられている。
Pcm=[C]+[Si]/30+[Mn]/20+[Cu]/20+[Ni]/60+[Cr]/20+[Mo]/15+[V]/10+5×[B]
(式中、[ ]は各元素の含有量を示す)
【0004】
そして、従来は上記Pcmを制御することにより耐低温割れ性を改善すると共に、合金成分の含有量制限に伴う母材強度低下を、製造方法を改良する等して補っていた。これにより、780MPa級以上の高張力鋼板において、母材製造時の焼入れにおける冷却速度が比較的速い薄物(≦34mm)では予熱フリーを達成できたが、冷却速度が遅い厚物(≧40mm)では予熱フリーと母材強度の両立を達成することができなかった。また、Cuの析出を利用して母材強度を確保する方法も開示されているが、冷却速度が遅い厚物では充分な母材強度が得られなかった。
【0005】
一方、780MPa級以上の高張力鋼板において、大入熱溶接時にHAZ靭性が劣化するという問題がある。これは、入熱が大きくなるとHAZ部の冷却速度が遅くなり、それに伴いHAZ部の焼入れ性が低下し、粗大な島状マルテンサイトが生成するため、靭性が低下すると考えられる。この様な問題は、厚物、薄物のいずれにおいても見られ、実施の溶接施工時には入熱制限(5kJ/mm以下)を余儀なくされていた。
【0006】
そこで、780MPa級以上の高張力鋼板における大入熱HAZ靭性の改善を目的として種々の提案がなされている(特開平5−163527号公報、特開昭61−44161号公報等)が、いずれも不充分であった。
【0007】
この様に小入熱溶接においてHAZ部は高温に加熱され、且つ冷却速度が速い為、硬化して低温割れを起こし易い。一方、母材は板厚が厚くなる程冷却速度が遅くなる為、圧延後の焼入れで強度が確保し難くなる。従って、780MPa級以上の高張力鋼板での厚物では、小入熱溶接時の低温割れを防止する為、冷却速度が速い場合に硬くならない様にした上で、鋼板製造時の焼入れ過程において冷却速度が遅い場合に如何に強度を確保するかが最重要課題となる。
【0008】
また、厚物、薄物のいずれにおいても、大入熱溶接に際しては、HAZ部の冷却速度が遅くなり、それに伴いHAZ部の焼入れ性が低下し、島状マルテンサイト組織が生成するため靭性が低下するが、このHAZ靭性を改善するためには、冷却速度が遅い場合に、如何にして島状マルテンサイト組織の生成を抑制するかが課題となる。
【0009】
更に近年、特に耐震性が要求される高層建築構造物等の分野においては、地震時にそのエネルギーを吸収し建物の倒壊を防止できる鋼、即ち、降伏比(YR)の低い鋼(YR≦82%)が要求されている。ところが一般に高張力鋼では、YRは高くなる傾向がある。そこで、溶接性の改善と降伏比の低減を兼ね備えた高張力鋼を提供すべく種々の検討がなされている。
【0010】
例えば特開平6−248336及び特開平6−248337には、実質的にBを含有しない鋼を熱間圧延した後、所定の熱処理条件を施すことにより低降伏比高張力鋼板を製造する方法が開示されている。ところがこの方法によればBを実質的に含有しない為、強度確保を目的として、C及びV等の合金元素を多量に添加しなければならず、耐割れ性との両立が困難である他、熱処理工程が複雑であるという問題を抱えている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的は、溶接性(耐低温割れ性及びHAZ靭性)に優れると共に、降伏比の低減された(特にYR≦82%)高張力鋼板、更に好ましくは母材靭性も高められた低降伏比高張力鋼板を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し得た本発明に係る溶接性に優れた低降伏比高張力鋼板とは、
C :0.010〜0.06%(質量%の意味、以下同じ),
Mn:1.0〜3.0%,
Cr:0.1〜2.0%,
Mo:0.1〜1.5%,
を含有し、更に
B :0.0006〜0.0050%を含有し、更に
Si:1.0%以下 (0%を含まない),
Ni:6%以下 (0%を含む),
を含有し、
残部:鉄及び不可避不純物であり、
残留γ量が1.0%以上であると共に、
下式(1)で表されるKPがKP≧3.2を満足するものであるところに要旨を有するものである。
KP=[Mn]+1.5×[Cr]+2×[Mo] … (1)
(式中、[ ]は各元素の含有量(%)を意味する)
【0013】
本発明において、更に、Ti:0.03%以下,Zr:0.05%以下,及びHf:0.10%以下よりなる群から選択される少なくとも一種を含有し、更に、N:0.020%以下(0%を含む)を含有し、且つ下式(2)で表されるKNが−1≦KN≦4.0を満足するもの;更にCu:2.0%以下(0%を含む),V:0.10%以下(0%を含む),Al:0.20%以下(0%を含む),Nb:0.05%以下(0%を含む)を満たすもの;更にCa:0.0005〜0.005%を含有するものは、溶接性及び靭性が一層高められるので好ましい態様である。
KN=([N]/14−[Ti]/48−[Zr]/91−[Hf]/178)×104 …(2)
(式中、[ ]は各元素の含有量(%)を意味する)
【0014】
更に、本発明では母材靭性の更なる向上を目指して、残留γ量を8%以下に制御したり;板厚の1/4位置を鏡面研磨した試験片についての旧γ粒の短径および長径を測定したとき、{(短径/長径)×100}で算出される旧γ粒の偏平率が平均で50%以下に制御することが推奨される。ここで旧γ粒とは、旧オーステナイト粒を意味する。一般に組織がオーステナイトの状態から冷却されると、組織変態が起ってフェライトやセメンタイト等の別組織になる。この変態前のオーステナイト粒を、変態後の鋼材から見る立場から指す用語が旧γ粒である。
【0015】
更に、本発明において、上記KPがKP≧4.0を満足する低降伏比高張力鋼板は、靭性が一層高められるので好ましい態様である。
【0016】
【発明の実施の形態】
前述した通り、490〜590MPa級の高張力鋼板では、Pcmの制御により耐低温割れ性の改善と母材強度の確保を両立させることができたが、780MPa級以上の高張力鋼板ではPcmによる成分制御を行ったとしても、特に厚物において両特性の両立を図ることは困難であった。そこで本発明では成分設計に当たり、これまで耐低温割れ性の指標とされてきたPcmではなく、全く別のパラメータにより耐低温割れ性を制御することができないか鋭意検討した。その結果、鋼組織を考慮した上式(1)で表されるKPを用い、更にC量を極低減化し、好ましくは更にBを添加することにより耐低温割れ性と母材強度を両立できることが明らかになると共に、一方、特にYR≦82%の低降伏比をも兼ね備えた鋼板を得る為には、島状MAを積極的に形成させること、具体的には残留γ量を所定範囲に生成させることが有効であることを見出し、本発明を完成したのである。
【0017】
まず、本発明における耐低温割れ性の改善法について説明する。上述した通り、本発明では、Cを極低Cにすると共に、焼入れ性向上元素であるMn,Cr及びMoを積極的に添加し、当該焼入れ性向上元素よって定められるKP値を適切に制御すると共に、好ましくは更にBを添加することにより耐低温割れ性の向上を図るものである。これらの成分を適切に添加することにより、ベイナイトのCCT線(図4のCCT線図を参照)が短時間側且つ低温度側に移動すると共に、フェライトのCCT線が長時間側に移動する(実線→破線へと移動)。
【0018】
従って、従来によれば、高冷却速度ではマルテンサイト、低冷却速度ではフェライトまたは高温ベイナイトを生成するために、硬さの冷却速度感受性が大きく、小入熱溶接時のHAZ部の硬さ低減(耐低温割れ性の改善)と母材強度の確保が両立できず、予熱フリーの達成が困難であったが、本発明によれば、高冷却速度、低冷却速度のいずれにおいても低温ベイナイトが生成され、硬さの冷却速度感受性が低下し、溶接時のHAZ部の硬さ低減(耐低温割れ性の改善)と母材強度確保を両立ならしめたのである。
【0019】
一方、大入熱溶接の場合、HAZ部の冷却速度が遅くなる為、従来の方法によれば、フェライトまたは高温ベイナイトが生成し、それに伴い粗大且つ塊状の島状マルテンサイト組織が生成する為、HAZ靭性が劣化していたが、本発明によれば、冷却速度が遅くとも低温ベイナイトが生成し、しかも極低Cである為、生成する島状マルテンサイト組織が微細となる結果、所望のHAZ靭性を確保することができるのである。
【0020】
尚、上述した耐低温割れ性向上に対するアプローチは、本発明の出願前に明らかになったものであり、これについては既に出願を済ませている(特願平10−336268)。この先願発明は、特に780MPa級以上の高張力鋼板において、大入熱溶接時にHAZ靭性が劣化し、実際の溶接施工時では入熱制限(5kJ/mm以下)を行う必要があるという実状に鑑み検討されたものであり、溶接時におけるHAZ部の硬さ低減(耐低温割れ性の改善)と母材強度確保の両立は勿論のこと、大入熱溶接時におけるHAZ靭性を改善する為には、前述の方法を採用することが有効であることを見出し、出願されたものである。本発明は、この先願発明において、更に降伏比の低減された高張力鋼板を提供すべく、新たに検討されたものである。そして、本発明によれば、特にYR≦82%という低降伏比を確保する為には、島状MAを利用することが有効であることを見出したところに特徴の一つを有するものであり、先願発明では開示されていなかった新しい技術的思想が付加されている点で、本願発明は、先願発明とは異なる発明である。即ち、本発明は、「大入熱溶接時における耐低温割れ性及びHAZ靭性の向上」という課題に対しては、先願発明のアプローチをそのまま踏襲していくと共に、本発明独自に提起された「降伏比の低減」という課題に対しては、新たに見出した島状MAの積極的利用により達成した次第であり、両者は解決すべき課題及び達成手段が異なるものである。
【0021】
以下、耐低温割れ性向上に寄与する成分及びKP値について説明する。
【0022】
C:0.01〜0.06%
Cは、溶接時におけるHAZ部の耐低温割れ性と母材強度確保を両立させる為に必要な元素である。Cが0.06%を超えると高冷却速度側で低温ベイナイトではなくマルテンサイトが生成する様になり、耐低温割れ性が改善されない。好ましくは0.055%以下である。尚、0.01%未満では必要最小限の母材強度が得られない。好ましくは0.030%以上である。
【0023】
Mn:1.0〜3.0%
Cr:0.1〜2.0%
Mo:0.1〜1.5%
これらの元素は焼入れ性を改善する作用を有し、高冷却速度〜低冷却速度で低温ベイナイトを生成し易くすると共に、前述の通り、極低Cとし、好ましくは更に所定のB量を添加することにより溶接時におけるHAZ部の耐低温割れ性と母材強度の確保を両立させることができる点で有用である。
【0024】
まず、Mn,Cr及びMoの含有量は、夫々1.0%以上,0.1%以上,0.1%以上であることが必要である。これらの含有量に満たないと所望の焼入れ性改善作用が発揮されず、母材強度が不足する。好ましくはMn:1.25%以上,Cr:0.3%以上、Mo:0.3%以上である。但し、Mn,Cr及びMoの含有量が、夫々3.0%,2.0%,1.5%を超えると母材の靭性が低下する。好ましくはMn:2.5%以下,Cr:1.5%以下、Mo:1.3%以下である。
【0025】
更に、これらの元素で定められるKP値は3.2以上であることが必要である。KP値が3.2未満では、上記作用を有効に発揮させることができず、高温ベイナイトまたはフェライトが生成する様になり、母材靭性が得られなくなる。図1にKP値と母材靭性との関係を示したグラフの一例を示す。このグラフより、KP値を3.2以上にすればvE−40≧47Jの靭性レベルが得られることが分かる。好ましくは4.0以上である。その上限は、Mn,Cr,Moの各添加量の上限に基づいて定められる範囲であれば特に制限されないが、母材靭性等を考慮すれば7以下、より好ましくは6以下に制御することが推奨される。
【0026】
B:0.0006〜0.0050%
Bは焼入れ性改善元素で、低冷却速度で低温ベイナイトを生成させ易くすると共に、前述の通り、極低Cとし、同時に適量のMn,Cr,Moを添加することにより熱溶接時におけるHAZ部の耐低温割れ性と母材強度確保を両立させることができる点で有用である。Bが0.0006%未満では、焼入れ性改善効果が期待できず、母材強度が不足してしまう。より好ましくは0.0007%以上である。但し、Bが0.0050%を超えると、かえって焼入れ性が低下し、母材強度が不足する。好ましくは0.0030%以下である。
【0027】
以上が、主に耐低温割れ性等の溶接性向上に寄与する成分及び要件である。そして、本発明のもう一つの課題である降伏比の低減を達成する為には、島状MA(マルテンサイトとオーステナイトの混合組織)を積極的に利用することが必要であり、これによりYR≦82%という低降伏比を確保することができるが分かった。尚、780MPa級の高張力鋼板ではベイナイト組織が主体となる為、島状MAは当該ベイナイトラス間に生成されることになるが、この島状MAは非常に微細なものである。この様な微細島状MAを測定することは極めて困難であることから、本発明では、低降伏比達成の指標として、測定困難な島状MAの代わりに、当該島状MAと相関性の極めて高い(略1:1で対応する)残留γ量を測定することにした。従って、本発明の特許請求の範囲において島状MAではなく残留γ量を特定したのは、微細島状MAの測定が極めて困難であるのに対し、当該島状MAと極めて相関性の高い残留γ量はX線回折等により容易に測定可能である、という測定技術の理由に過ぎず、本発明の技術的思想は、あくまでも島状MAの利用により低降伏比を実現させたところにあることは言うまでもない。よって、前記KP値を満足すると共に、残留γ量を所定範囲に制御した高張力鋼板は勿論のこと、残留γ量ではなく島状MAを制御することにより低降伏比を実現した高張力鋼板も全て本発明の範囲内に包含されることになる。
【0028】
ここで、島状MAと降伏比の関係について説明する。一般に島状MAはマトリックスよりも非常に硬質な為、当該島状MAを残留させると降伏比が低下することが知られている。ところが、島状MAを残留させると母材靭性が低下することから、通常は、島状MAが残留しない下部ベイナイトを生成させるか、或いは、島状MAが残留する上部ベイナイトが生成した場合にはわざわざ焼戻処理して当該島状MAを分解させる等していた。即ち、島状MAの生成は母材靭性低下の観点から好ましくないという理由により、従来は、当該島状MAを利用して低降伏比を実現しよう等とは全く考えられておらず、島状MAの残留しない下部ベイナイトを利用していた(その為にC量を高め、焼入れしていた)のが実情である。
【0029】
ところが残留γ量を残留させる上部ベイナイトについて、本発明者らが詳細に検討したところ、上部ベイナイト組織であっても、靭性低下にさほど影響しない部分があることが明らかになった。例えば鋼中のC量を低減すれば上部ベイナイトが得られるが、この場合、高温で変態させると靭性は著しく低下するのに対し、低温で変態させた場合には靭性はさほど低下しないことが明らかになった。従って、上部ベイナイトであっても、低温で変態させた場合には島状MAの生成による降伏比低減が図れると共に、所定の靭性も確保される。本発明によれば、上記KP値を制御することにより焼入れ性が充分確保されているので、上部ベイナイトが低温で変態する結果、靭性に悪影響を及ぼすことなく島状MA生成による低降伏比を有効に実現ならしめるものであり、これにより、所望の溶接性に優れた低降伏比鋼板が得られるのである。従って、本発明では島状MAの生成は所望の特性付与に極めて重要であるから、当該島状MAが分解しない様、焼戻処理せず焼入れままか、或いは、当該島状AMが分解しない程度の焼戻し処理を行う等の熱処理法を採用することになる。
【0030】
具体的には残留γ量を1.0%以上に制御することが必要である。尚、降伏比の低減と溶接性向上の観点からすれば島状MAは多い程好ましく、残留γ量で1.5%以上、より好ましくは2.0%以上である。但し、あまり多過ぎると母材靭性が低下することから、優れた母材靭性をも確保する為には、その上限を8%以下に制御することが推奨される。より好ましくは6%以下である。
【0031】
ここで、残留γ量はX線回折により測定することができる。詳細には、X線ピーク強度比により測定することができる。前述した通り、島状MA自体は微細な為、測定が困難であるが、残留γでは、たとえ数%程度であってもX線回折により測定が可能になる。その理由は、残留γ量は結晶構造が面心立方構造を有するのに対し、マルテンサイトやフェライト等の組織は体心立方構造を有するからである。
【0032】
更に本発明において、溶接性向上及び降伏比の低減のみならず、極めて高度の母材靭性をも兼ね備えた高張力鋼板を得る為には、旧γ粒の偏平率を平均で50%以下に制御することが推奨される。前述の要件を満たす鋼板は、それ自体vE−40≧47Jと良好な母材靭性が得られるが、更に旧γ粒の偏平率を制御することにより、vE−100≧100Jという極めて高レベルの母材靭性を達成することができるのである。
【0033】
ここで、旧γ粒の偏平率を制御することにより極めて優れた母材靭性が得られるのは、旧γ粒の形状を、短径に比べて長径が長い「細長状態」とすることにより核生成サイトが増える結果、微細なベイナイトが生成し、母材靭性が向上するからと考えられる。
【0034】
尚、490〜590MPa級の高張力鋼板では、旧γ粒の微細化による母材靭性の改善が一般に行われているが、これは、フェライト組織が主体である鋼板において有用な方法であり、780MPa級の高張力鋼板では、ベイナイト組織が主体となる為、γ粒を微細化した場合は焼入れ性が劣化し、むしろ母材靭性が劣化すると考えられていた。
【0035】
例えば特開平10−158778号公報は、フェライトとベイナイトを含み、当該フェライト体積率を10〜40%、且つベイナイトラス長さを15μm以下に制御することにより所望の靭性と溶接性を確保するものであるが、この方法を、ベイナイト組織主体の780MPa級高張力鋼板にそのまま適用することはできない。また、上記公報で対象としているのはせいぜい約570〜660MPa級の高張力鋼板であり、780MPa級の強度は得られず、また、靭性にしても、本発明の最大目標レベルであるvE−100≧100Jという非常に高度の靭性を達成することは困難である。
【0036】
この様に780MPa級の高張力鋼板になると、490〜590MPa級の高張力鋼板の場合と同様、加工γから変態させて微細ベイナイトを得ようとしても、焼入れ性が低下して強度の確保が困難である為、合金元素を多量に添加しなければならず、耐割れ性が低下することから、当該範囲の高張力鋼板では、再結晶γの微細化により靭性を高める方法が一般に採用されている。ところが、当該方法をもってしても、本発明で最大目標とするvE−100≧100Jという極めて高度の靭性を確保することは極めて困難であった。
【0037】
これに対し、本発明では低C及びKP値の制御により高焼入れ性を充分確保しているので、これが旧γ粒の偏平率制御と相俟って、結果的に高度の母材靭性を達成できたものと思料される。前述した通り、焼入れ性を確保しないまま単純に加工γから焼入れすると、焼入れ不足となり、靭性が低下し、所望の強度及び靭性を確保することができないからである。
【0038】
従って、本発明では、旧γ粒の偏平率を平均で50%以下に制御することが好ましい。ここで、旧γ粒の偏平率は以下の様にして算出される。まず、板厚の1/4位置を鏡面研磨した試験片を、旧γ粒界腐食液でエッチング処理する。用いられる旧γ粒界腐食液としては、例えば山本科学工具研究社製AGS液や2%硝酸−エタノール液(2%ナイタール液)等が挙げられる。また、エッチング条件は、上記AGS液を用いる場合は室温で5〜10分、上記2%ナイタール液を用いる場合は室温で5〜30秒とすることが推奨される。次に、エッチング処理した後の試験片について、画像解析装置(例えばMEDIA CYBERNETICS製Image−Pro PLUSなど)を用い、鋼板中に存在する旧γ粒の短径および長径を測定する。そして、{(短径/長径)×100}の測定値を、本発明における旧γ粒の偏平率と定義する。
【0039】
本発明では、上記偏平率は小さければ小さい程好ましい。この様な偏平率に制御することにより、変態後のベイナイトのブロックサイズが微細化され、母材靭性が向上するものと考えられる。
【0040】
尚、本発明の成分組成については前述のC,Mn,Cr及びMoを必須成分として含有し、残部:実質的に鉄であるが、更に、本発明の作用を損なわない許容成分や不純物も本発明の範囲内に包含される。
【0041】
例えば本発明では、更に一層優れた特性の付与を目指して、Ti:0.03%以下,Zr:0.05%以下,及びHf:0.10%以下よりなる群から選択される少なくとも一種を含有し、上式(2)で表されるKNが−1≦KN≦4.0を満足する様制御することが推奨される。
【0042】
上記Ti,Zr,Hfの元素は、不純物として含まれるNを固定する作用を有し、溶接時におけるHAZ部でNが固溶Bと結合し、Bが消費されてB添加による作用が損なわれるのを防止する作用もある。更に、Ti等の窒化物は溶接時におけるHAZ部のγ粒を微細化し、HAZ靭性改善にも寄与する。かかる観点から、これらの元素は鋼中のN含有量に応じ、必要があれば積極的に添加することが推奨される。その場合、上記元素のうちTiは必ず含まれる様に添加し、他の元素(Zr,Hf)は必要に応じてTiと共に添加することが好ましい。具体的には、Ti:0.03%,Zr:0.05%,Hf:0.10%を超えると母材の靭性が劣化するので、これ以下に制御することが推奨される。
【0043】
更に上記元素を添加する場合には、上式(2)で定義されるKN値が−1〜4.0であることが好ましい。例えばN量が多いにもかかわらず上記元素の添加量が少ない為、KN値が4.0を超えるときには、B添加による作用が有効に発揮されず、HAZ靭性が低下する。ちなみに図2は、入熱5kJ/mmの溶接時のHAZ靭性(vE−40)とKN値の関係をグラフ化したものであるが、KN値を−1.0〜4.0の範囲に制御することにより47J以上のHAZ靭性が得られることが分かる。一方、上記元素の添加量が多すぎてKNが−1未満になると、母材の靭性が劣化する。より好ましくは0.0以上、3.0以下である。
【0044】
更に本発明では、一層優れた溶接性・母材靭性の向上を目指して、下記元素を積極的に添加することが推奨される。
【0045】
Si:1.0%以下(0%を含まない)
Siは脱酸剤として有用な元素であり、この様な作用を有効に発揮させる為には、0.05%以上添加することが好ましい。但し、1.0%を超えて添加すると溶接性及び母材靭性が低下するので、その上限を1.0%とすることが好ましい。より好ましくは0.50%以下である。
【0046】
Cu:2.0%以下(0%を含む)
Cuは固溶強化及び析出強化により母材強度を向上させると共に、焼入れ性向上作用も有する元素である。但し、2.0%を超えて添加するとHAZ靭性が低下する為、その上限を2.0%とすることが好ましい。より好ましくは1.5%以下である。
【0047】
Ni:6%以下(0%を含む)
Niは母材靭性向上に有用な元素であるが、6%を超えて添加するとスケール疵が発生し易くなる為、その上限を6%とすることが好ましい。より好ましくは4%以下である。
【0048】
V:0.10%以下(0%を含む)
Vは少量添加により焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗を高める作用がある。但し、0.10%を超えて添加するとHAZ靭性が低下する為、その上限を0.10%とすることが好ましい。より好ましくは0.07%以下である。
【0049】
Al:0.20%以下(0%を含む)
Alは脱酸元素であると共に、Nを固定し、固溶Bを増加させることによりBの焼入れ性を高める元素である。この様な作用を有効に発揮させる為には0.01%以上添加することが好ましい。但し、0.20%を超えて添加すると靭性が劣化するので、その上限を0.20%とすることが好ましい。より好ましくは0.10%以下である。
【0050】
N:0.020%以下(0%を含む)
NはBと結合して固溶Bを減少させ、Bの焼入れ性向上作用を阻害し、母材の靭性及びHAZ靭性を低下させる。Nの含有量が0.020%を超えるとその作用が顕著になる為、Ti等の添加によるKN値制御によるHAZ靭性・母材靭性の向上、Al添加による焼入れ性向上効果を有効に発揮させることができない。より好ましくは0.010%以下である。
【0051】
Nb:0.05%以下(0%を含む)
Nbは、旧γ粒の微細化により靭性向上作用に寄与する元素である。この様な作用を有効に発揮させる為には0.010%以上添加することが好ましく、より好ましくは0.020%以上、更により好ましくは0.030%超である。但し、Nbの添加量が0.05%を超えるとHAZ靭性等が低下する。好ましくは0.040%以下である。
【0052】
Ca:0.0005〜0.005%
CaはMnSを球状化し、介在物の形態制御による異方性を低減する効果を有する元素である。この様な作用を有効に発揮させる為には0.0005%以上添加することが好ましい。但し、0.005%を超えて過剰に添加すると母材靭性が低下するのでその上限を0.005%とすることが好ましい。
【0053】
次に、本発明の鋼板を製造する方法について説明する。
【0054】
前述した通り、本発明では、所望の特性付与を目指して島状MAの生成を積極的に利用するものであるから、当該島状MAが分解しない様、焼戻処理せず焼入れままか、或いは、当該島状MAが分解しない程度の低温焼戻し処理(例えば200〜400℃)を行う等の熱処理法を採用することが必要である。具体的には、上記成分組成を満足する鋼を用い、加熱、熱間圧延、及び焼入れした後、必要に応じて焼戻しすることにより所望の高張力鋼板を得ることができる。例えば1100〜1200℃に加熱した後、950℃以上で圧延し、その後500℃まで水冷し、そこからは空冷するといった方法が推奨される。従って、本発明によれば、前述の特開平6−248336等に記載の如く繁雑な熱処理を採用しなくとも、所望の低降伏比高張力鋼板を製造することができる点で、極めて有用である。
【0055】
尚、母材靭性の向上に有効な旧γ粒の偏平率を制御する方法としては、公知の方法が挙げられ、本発明でも、当該公知の方法のうちいずれかを選択して制御することができる。例えばその一例として、仕上圧延温度を850℃以下に制御する方法を採用することができる。この方法は通常の仕上圧延温度よりも低い温度で圧延を完了し、旧γ粒の偏平率を平均で50%以下に制御するというものである。通常の仕上圧延温度は950℃以上であるが、これではγ粒が再結晶して偏平とならない為、本発明では、通常の圧延温度に比べ、850℃と低い温度で仕上圧延し、焼入れを行う。この様に低温で圧延すれば、γ粒が再結晶せず、歪んだまま焼入れすることができる為、旧γ粒を所定の偏平率に制御することが可能になる。好ましくは850℃以下、より好ましくは800℃以下である。勿論、上述した方法は、本発明製造法の一例であり、当該方法に限定する趣旨では決してなく、その他公知の、旧γ粒偏平率制御方法を採用できることは言うまでもない。
【0056】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0057】
【実施例】
表1〜2に示す成分組成の鋼を通常の溶製法により溶製し、スラブとした後、1100〜1150℃で2時間保持した後、熱間圧延し、上記表に示す条件で圧延を完了し、更に同表に記載の冷却速度で冷却した。その後、必要に応じて焼戻しすることにより所定の板厚からなる高張力鋼板を製造した。
【0058】
この様にして得られた各鋼板について、下記要領で母材特性[強度及び靭性(vE−40)]を評価し、本発明で基準とする母材特性レベル(強度≧780MPa、vE−40≧47J)及び低降伏比(YR≦82%)をクリアしたものについては、更に溶接性(耐低温割れ性及びHAZ靭性)を評価した。また、前述の測定方法に従い、旧γ粒の偏平率を算出した。
【0059】
[母材特性試験]
▲1▼引張試験:各鋼板の板厚1/4部位からJIS4号試験片を採取し、引張試験を行うことにより0.2%耐力(YS)及び引張強さ(TS)を測定した。本発明では、引張強さ≧780MPaを合格とした。また、降伏比YR(YS/TS)×100≦82%を合格とした、
▲2▼衝撃試験:各鋼板の板厚1/4部位からJIS4号試験片を採取し、シャルピー衝撃試験を行うことにより吸収エネルギー(vE−40)を得た。本発明では、vE−40≧47Jを合格とした。
【0060】
[溶接性試験]
▲1▼HAZ靭性:入熱5kJ/mm及び15kJ/mm(サブマージ溶接法)で溶接を行い、図4に示す部位からJIS4号試験片を採取してシャルピー試験を行い、ボンド部の吸収エネルギー(vE−10)を求めた。本発明では、vE−10≧47Jを合格とした、
▲2▼耐低温割れ性:JIS Z 3158に記載のy形溶接割れ試験法に基づいて、入熱1.7kJ/mmで被覆アーク溶接を行い、ルート割れ防止予熱温度を測定した。本発明では25℃以下を合格とした。
【0061】
これらの結果を表3〜4に併記する。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
表3及び表4より以下の様に考察することができる。
【0067】
まず、表1の鋼板は本発明の要件を満足する実施例であり、表3に示す通り、いずれの鋼板も母材特性及び溶接性に優れていた。このうちNo.5及び17は300℃で低温焼戻しした例であるが、この様な低温度での焼戻しであれば、島状MAは分解せず、所望の残留γ量を確保することができる。
【0068】
これに対し、表2の鋼板は本発明の要件を満足しない比較例であるが、これらは表4に示す不具合を有している。
【0069】
まず、No.22はC量が本発明の下限値を下回る例であり、所望の母材強度が得られなかった。また、No.23はC量が本発明の上限値を超える例であり、耐低温割れ性が低下した。
【0070】
No.24及び25は、焼戻温度が高い為、残留γ量が本発明の下限値を下回る例であり、降伏比が著しく上昇した。
【0071】
No.26及び27は、仕上圧延温度が高い為、旧γ粒の偏平率が本発明の上限値を超える例であり、母材靭性が劣化した。
【0072】
No.28はSi量が本発明の上限値を超える例であり、母材靭性が得られなかった。
【0073】
No.29はMn量が本発明の下限値を下回る例であり、所望の母材強度が得られなかった。また、No.30はMn量が本発明の上限値を超える例であり、母材靭性が低下した。
【0074】
No.31はNi量が本発明の上限値を超える例であり、耐低温割れ性が低下した。
【0075】
No.32はCr量が本発明の上限値を超える例であり、所望の母材靭性が得られなかった。
【0076】
No.33はMo量が本発明の上限値を超える例であり、所望の母材靭性が得られなかった。
【0077】
No.34はNb量が本発明の上限値を超える例であり、HAZ靭性が低下した。
【0078】
No.35はCu量が本発明の上限値を超える例であり、母材靭性が低下した。
【0079】
No.36はV量が本発明の上限値を超える例であり、HAZ靭性が低下した。
【0080】
No.37/No.38はB量が本発明の好ましい下限値/上限値を下回る/超える例であり、母材強度が劣化した。
【0081】
No.39はTi量が本発明の上限値を超える例であり、母材靭性が低下した。
【0082】
No.40はKN値が本発明の下限値を下回る例であり、母材靭性が低下した。また、No.44はKN値が本発明の上限値を超える例であり、HAZ靭性が低下した。
【0083】
No.41はZr量が本発明の上限値を超える例であり、母材靭性が低下した。
【0084】
No.42はHf量が本発明の上限値を超える例であり、母材靭性が低下した。
【0085】
No.43はCa量が本発明の上限値を超える例であり、母材靭性が低下した。
【0086】
No.45はN量が本発明の上限値を超える例であり、HAZ靭性が低下した。
【0087】
No.46はKP値が本発明の下限値を下回る例であり、所望の母材靭性が得られなかった。
【0088】
【発明の効果】
本発明法は以上の様に構成されており、溶接性(耐低温割れ性及びHAZ靭性)に優れる低降伏比高張力鋼板を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】母材靭性とKP値の関係を示すグラフである。
【図2】HAZ靭性とKN値の関係を示すグラフである。
【図3】サブマージアーク溶接時のボンド靭性の試験片採取位置を示す概略説明図である。
【図4】本発明の成分設計の考え方を説明するための模式的なCCT線図である。
Claims (7)
- C :0.010〜0.06%(質量%の意味、以下同じ),
Mn:1.0〜3.0%,
Cr:0.1〜2.0%,
Mo:0.1〜1.5%,
を含有し、更に
B :0.0006〜0.0050%を含有し、更に
Si:1.0%以下 (0%を含まない),
Ni:6%以下 (0%を含む),
を含有し、
残部:鉄及び不可避不純物であり、
残留γ量が1.0%以上であると共に、
下式(1)で表されるKPがKP≧3.2を満足するものであることを特徴とする溶接性に優れた低降伏比高張力鋼板。
KP=[Mn]+1.5×[Cr]+2×[Mo] … (1)
(式中、[ ]は各元素の含有量(%)を意味する) - 更に
Ti:0.03%以下,
Zr:0.05%以下,及び
Hf:0.10%以下
よりなる群から選択される少なくとも一種を含有し、
更に、N :0.020%以下(0%を含む)を含有し、且つ
下式(2)で表されるKNが−1≦KN≦4.0を満足するものである請求項
1または2に記載の低降伏比高張力鋼板。
KN=([N]/14−[Ti]/48−[Zr]/91−[Hf]/178)
×104 …(2)
(式中、[ ]は各元素の含有量(%)を意味する) - 更に
Cu:2.0%以下 (0%を含む),
V :0.10%以下 (0%を含む),
Al:0.20%以下 (0%を含む),
Nb:0.05%以下(0%を含む)
を満たすものである請求項1または2に記載の低降伏比高張力鋼板。 - 更に
Ca:0.0005〜0.005%を含有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の低降伏比高張力鋼板。 - 残留γ量を8%以下に制御することにより母材靭性が高められたものである請求項1〜4のいずれかに記載の低降伏比高張力鋼板。
- 板厚の1/4位置を鏡面研磨した試験片についての旧γ粒の短径および長径を測定したとき、{(短径/長径)×100}で算出される旧γ粒の偏平率が平均で50%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の低降伏比高張力鋼板。
- 上記KPがKP≧4.0を満足するものである請求項1〜6のいずれかに記載の低降伏比高張力鋼板。
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