JP5346117B1 - 児童用手洗いカウンター - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数人の子供が横に並んで手洗いをすることができる大きさの横長のシンク2を、好ましくは人工大理石成形樹脂を用いてキャスト製法により、その底部21と周側部22,23,24,25とを一体成形し、且つ奥行きを400mm以上の寸法に設けて形成する。シンク2の上端外周には鍔部27を設ける。このシンク2の上端部に、鍔部27が接合する凹段部31cを開口部31aの周縁下面に設けたカウンター天板31を接着固定し、さらにカウンター天板31の端部にカウンター前面板32と左右側面板34,35を取り付けて手洗いカウンター1を構成する。
【選択図】図2
Description
人工大理石製の手洗いカウンターは、表面が綺麗で耐衝撃性に優れ、無垢材のため汚れが染み難く、手入れが簡単で衛生的であるという利点を備えていることから小学校の手洗い場などに設置する要請は多いものの、前記製造方法によっては、幼児や園児よりも体格のよい児童が使用しやすいように、奥行きと深さを大きくしたサイズのシンクは成形することができない。
さらに、小学校では、例えば図画や習字の授業の後に児童がめいめいで絵の具や墨汁が付着した筆を手洗いシンクで洗うなど、幼稚園の手洗いシンクの使用形態と比較して、手洗いシンクを利用する頻度や使用水量が多く、シンクに汚れが付着する機会も多い。この場合、水栓からシンク内に流出させた水がスムーズに排水口から排水されないと、シンクに付着した汚れでシンク表面が汚染され、滞留した水が雑菌の繁殖源となって不衛生となりやすい。よって、手洗いカウンターを清潔に保つ上でも、シンク内に流出させた水が、汚れとともに排水口に向けてスムーズに流下し、排水口から確実に排水されるように設けることが肝要である。
前記シンクは、流動状態にある合成樹脂を成形型内に流して固化させるキャスト製法により、その底部と当該底部の周縁から立ち上がった周側部とを一体成形して奥行きが400mm以上の寸法に設けられ、底部にバケツが載る平坦部を設けるとともに、底部上面にその周辺部から底部中央に形成された排水口に向けた水勾配であって当該底部上面の周辺部の勾配よりも前記排水口近傍の勾配が大きくなるように複数の勾配が付けられ且つ隣接する勾配の縁部間を曲面で繋いでなる水勾配を設けて成形された人工大理石製のシンクであり、
前記シンクの周側部上端により区画される開口部の上端外周に設けられた外方へ突出した鍔部の上面及び側面に、人工大理石製のカウンター天板の開口部周縁下面に設けられた凹段部を接合させ、且つ接合部を接着固定してシンクの上端部にカウンター天板が取り付けられ、
前記シンクの前部と左右側部が、前記カウンター天板の前端部と左右側端部に各々上端を接着固定した人工大理石製のカウンター前面板と左右側面板で囲われ、且つシンクとカウンター前面板の間に複数の補強板がその両側部をシンクの前部外面とカウンター前面板内面に密着させて接着固定された構成を有するとともに、
脚体上で前記シンクの底部下面とカウンター天板の下面が支持されて、脚体に一体に固定して設置される構成を有することを特徴とする。
シンクは、木型の成形型、或いは金型や鋳型などの成形型に、溶融樹脂を流し込んで固化させるキャスト製法により一体成形されるので、前記人工大理石板材をプレス加工してシンクを成形する場合に生じていた如き成形サイズの制限はなく、所望の大きさに作製された成形型を用いることで、奥行き及び深さが大きく、複数人の子供や大人が並んで手洗いをすることが可能な大きさに成形することができる。
また、前記人工大理石板材をプレス加工してシンクを成形する場合、シンクの底部上面の勾配が一定になるようにするため、長尺凹形に加工された人工大理石板材の表面を作業者が研磨する工程を必要とし、作業者により加工精度にバラツキが生じることがあったが、キャスト製法により成形型でシンクを一体成形することにより、シンクの底部上面の勾配や排水栓が装着される段差、後述するシンク内部の入隅の曲面など、シンク表面の微細な傾きや凹凸、曲面などを高精度で精密に成形することができるので、前記の如く作業者による加工工程が不要となり、一定の加工精度のシンクを量産することが可能となる。
底部と周側部が一体成形された人工大理石製のシンクは、シンク内に接着剤で接着固定した部位がないため、浸水により接着剤が劣化して強度が低下したり汚れが固着してシンク表面が汚染されたりするようなことはなく、人工大理石製のカウンター板との組み合わせにより、表面が綺麗で割れ難く、手入れが簡単で施工当初の強度を維持した衛生的な手洗いカウンターを構成することができる。
このように、シンクの開口部外周に鍔部を設け、この鍔部がカウンター天板の開口部に設けた凹段部に接合して接着固定されるように設けることで、単にシンクの上端部上面をカウンター天板の開口部下面に接着する場合よりも接着面積が大きいため接着部の強度が増加して、シンク及びカウンター天板の鉛直向きの耐荷重が高まり、シンクの中やカウンター天板上に重量物を置いたり上方から大きな衝撃が加わったりしても破損し難い構造とすることができる。
このように、補強板をシンクの前部とカウンター前面板との間に設けることで、カウンター前面板にかかる前方からの荷重に対する強度が高まり、利用者がカウンターに寄りかかったりぶつかったりしても、カウンター前面板を変形させたり破損させたりすることなく、手洗いカウンターの当初の形状を保つことができる。補強板は、人工大理石板材を切削加工し、その一側の端部をシンクの前部の外面に接合する形状、他側をカウンター前面板の内面に接合する形状に形成することができる。
さらには、シンクの底部上面の水勾配は、底部上面の周辺部から排水口周辺に至る勾配Aと、排水口の周辺から排水口近傍に至る勾配Bと、当該排水口近傍における勾配Cとの複数の勾配を連ね、且つ底部上面の周辺部よりも排水口に近づく程これら勾配の傾斜を大きくして(A<B<C)設けてあることが好ましい。
これによれば、シンクの底部上面の周辺部の勾配よりも、排水口の近傍の勾配が大きくなるように水勾配が付けてあれば、前記周辺部の勾配上を排水口に向けて流下する水は、排水口近傍の勾配を通る際に勢いが付けられ、流水速度を増して排水口に流下し、水栓からシンク内に流出させた水を排水口の周辺に滞留させることなく確実に排水させることができる。さらに徐々に傾斜角を大きくして勾配を三段以上に設けてあれば、前段の勾配を通過して勢いが付けられた水を、次段の勾配でさらに勢いを付け、流水速度を増して、排水口に装着された排水栓まで残らず流下させることができる。
このように、シンクの底部上面に複数段の水勾配を設けることによりシンクの排水機能が高まり、水栓からシンク内に流出させた水を排水口に向けてスムーズに流下させて排水口から確実に排水することができるので、シンク表面に水汚れが付着し難く、また、雑菌の繁殖源となりやすい水の滞留がなく、手洗いカウンターを清潔且つ衛生的に保つことが可能である。
なお、シンクの底部上面に水勾配を形成する各勾配の境界に折れ筋が表出していると、この境界部分で水の流れが渋滞してシンク上に水が滞留する原因となることから、隣接する勾配の縁部間を曲面で繋いで形成してあることが好ましい。また、シンクの周辺部から排水口までスムーズに水が流れるように、シンク表面は、#320程度のサンドペーパーで研磨して得られる程度の粗度であることが好ましい。
また、複数人の児童が並んで利用できるように、シンクは、3人用は1500mm程度、5人用は2500mm程度の長さLに成形することができる(図5参照)。さらに、シンクはその内部の入隅には適宜な曲げ半径の曲面を設け、底部にはバケツなどを載せることが可能な適宜な幅の平坦部を設けて成形することが好ましい。
本発明の手洗いカウンター1は、複数人の児童が横に並んで手洗いができる大きさに成形された横長なシンク2を備えて構成され、図1に示されるように、これを角管など鋼材により組み立てられた金属製の脚体7上に一体に固定して、小学校の手洗い場などに設置されるものである。同図中、符番5は水栓、6は排水栓である。
シンク2の前記周側部の上端外周、つまり開口部26の上端外周には、外方へ水平に突出した鍔部27が全周に亘って設けてあり、シンク2の内部における、左右側部24,25と前部22及び後部23との屈曲部の入隅は、それぞれ半径20mm程度の湾曲面(R1、R2)としてある(図5参照)。また、底部21と後部23との入隅は、半径20mm程度の湾曲面(R3)、底部21と前部22との入隅が半径50mm程度の湾曲面(R4)としてある(図6参照)。
また、シンク2は、その底部21の中央に排水口28を設けるとともに、底部21の上面に、当該底部21の周辺部である前記周側部の付け根部の入隅から排水口28に亘って、図9に示されるように、前記周辺部から排水口28の周辺に至る勾配Aと、排水口28の周辺から排水口28の近傍に至る勾配Bと、当該排水口28の近傍における勾配Cとを隣接勾配の縁部間を曲面で繋いで連ね、且つ前記周辺部よりも排水口28に近づく程これら勾配の傾斜を大きくした(A<B<C)水勾配を付けて成形してある。後述するように、水勾配を構成する各勾配(水平面に対する傾斜角)は、勾配Aは3°、勾配Bは15°、勾配Cは74°に設定してあることが好ましい。
シンク2は、児童が水栓5の操作を容易にできるように、その奥行きWを410mmに設定するとともに、5人の児童が並んで手洗いをしたりシンク2内にバケツを置いて水洗い作業をしたりしやすいように、その中央の深さDを230mm、長さLを2440mmに設定した大きさに成形してある。
より詳しくは、図2に示されるように、カウンター天板31は、縦横の幅がシンク2の奥行きD及び幅Wよりも若干大きな寸法、具体的には縦幅が550mm、横幅が2500mm程度に設定された平面視略矩形状を呈し、その面内の前寄りにシンク2の開口部26と略同形の開口部31a、後寄りに水栓6が取り付けられる5個の通孔31bをそれぞれ設けるとともに、開口部31aの周縁下面に、前記シンク2の鍔部27の上面と側面が接合する凹段部31cを設けて形成してある。
カウンター前面板32は、その長手幅をカウンター天板31の横幅と略同寸法に、短手幅をシンク2の深さDよりも大きな320mm程度の寸法にそれぞれ設定して矩形状に形成し、また、左右のカウンター側面板33,34は、その長手幅をカウンター天板31の縦幅と略同寸法に、短手幅をカウンター前面板32と略同寸法にそれぞれ設定して矩形状に形成してある。
予めカウンター天板31にカウンター前面板32と左右のカウンター側面板33,34を接着固定しておき、このカウンター天板31にシンク2を接着固定し、その後、補強板4をシンク2とカウンター前面板32の間に接着固定するようにしてもよい。
なお、脚体7は、児童が利用しやすいように、その上部で手洗いカウンター1を支持させた状態で、カウンター天板31が650mm〜750mm程度の高さとなる大きさに設けることが好ましい。
手洗いカウンター1を脚体7上に組み付けたならば、カウンター天板31に給水栓に接続した水栓5を取り付け、シンク2の排水口28に排水栓6と排水枡10を取り付けるとともに、排水枡10を排水路に接続することで、手洗い場として利用に供することができる。
給水路が壁面、排水路が床面に敷設してある場所では、手洗いカウンター1を脚体7にボルト留めせず、手洗いカウンター1と脚体7をそれぞれ直に壁面に固定して設置するようにしてもよい。
前述の通り、複数人の児童が並んで手洗いができるようにシンク2を横長に成形する場合、シンク2の周辺部から排水口28迄の距離が長く、同時に手洗いをするとシンク2内を流れる水量も多くなる。水栓5からシンク2内に流出させた多量の水が速やかに排水口28から排出されないと、シンク2の表面に汚れが付着し易く、滞留した水から雑菌が繁殖して不衛生となる。
そこで、シンク2内に流出させた水がスムーズ且つ確実に排水口28から排出されるようにするため、水勾配が異なるシンク2の供試体を複数作製し、各供試体について排水性能の試験を行って適切な水勾配の構成を確認した。
(供試体1)
図9に示される、シンク2の底部21上面に、その周辺部から排水口28の周辺に至る勾配Aと、排水口28の周辺から排水口28の近傍に至る勾配Bと、排水口28の近傍における勾配Cとを連ねた水勾配を付けた。
各勾配は、勾配Aは3°、勾配Bは15°、勾配Cは74°に設定し、隣接する勾配の境界部は曲面で繋いだ形状とした。
(供試体2)
図9に示される勾配Bは設けずに、勾配Aと勾配Cを連ねた水勾配を付けた。
勾配Aは3°、勾配Cは60°に設定し、両勾配の境界部は曲面で繋いだ形状とした。
(供試体3)
シンク2の底部21の周辺部から排水口28に亘り、傾斜角2.29°の水勾配を付けた。
(供試体4)
図9に示される勾配Cは設けずに、勾配Aと勾配Bを連ねた水勾配を付けた。
勾配Aは3°、勾配Bは6°に設定した。
供試体1では、流し落とした水が排水栓6まで完全に流れ落ち、排水栓6の排水口28との継ぎ目部分に沿って水は付着しているものの、その外側の排水口28の周辺部分にも水は残らなかった。
供試体2では、排水スピードがあり、水はほぼ排水栓6の目皿に流れ落ちたものの、排水栓6の排水口28との継ぎ目部分の周辺に亘って水が残っていることが確認された。
供試体3では、水は完全には排水されず、排水栓6の外側の排水口28の周辺部分にリング状に残ってしまった。
供試体4でも、水が排水栓6の外側の排水口28の周辺部分にリング状に残ってしまった。また、勾配Aと勾配Bの境界部に沿って、水がリング状に滞留してしまった。
以上の検証結果から、手洗いカウンター1のシンク2に付ける水勾配は、排水性を良好にするために供試体1、供試体2の構成のものを適用することができ、供試体1の構成のものが最適であることが確認できた。
前記形態では、人工大理石を成形する樹脂を用いてシンクを成形したが、他の適宜な樹脂を用いて成形してもよい。本発明の手洗いカウンターを図示した脚体以外の脚体を用いて設置してもよい。本発明の手洗いカウンターは、小学校などの子供が利用する教育施設の他に、成人が利用する各種施設、公園など屋内外の公共施設に設置することが可能である。
Claims (4)
- 複数人の児童が、横に並んで手洗いしたりシンク内にバケツを置いて水洗い作業をしたりすることができる大きさの横長のシンクを備えた児童用手洗いカウンターにおいて、
前記シンクは、流動状態にある合成樹脂を成形型内に流して固化させるキャスト製法により、その底部と当該底部の周縁から立ち上がった周側部とを一体成形して奥行きが400mm以上の寸法に設けられ、底部にバケツが載る平坦部を設けるとともに、底部上面にその周辺部から底部中央に形成された排水口に向けた水勾配であって当該底部上面の周辺部の勾配よりも前記排水口近傍の勾配が大きくなるように複数の勾配が付けられ且つ隣接する勾配の縁部間を曲面で繋いでなる水勾配を設けて成形された人工大理石製のシンクであり、
前記シンクの周側部上端により区画される開口部の上端外周に設けられた外方へ突出した鍔部の上面及び側面に、人工大理石製のカウンター天板の開口部周縁下面に設けられた凹段部を接合させ、且つ接合部を接着固定してシンクの上端部にカウンター天板が取り付けられ、
前記シンクの前部と左右側部が、前記カウンター天板の前端部と左右側端部に各々上端を接着固定した人工大理石製のカウンター前面板と左右側面板で囲われ、且つシンクとカウンター前面板の間に複数の補強板がその両側部をシンクの前部外面とカウンター前面板内面に密着させて接着固定された構成を有するとともに、
脚体上で前記シンクの底部下面とカウンター天板の下面が支持されて脚体に一体に固定して設置される構成を有することを特徴とする児童用手洗いカウンター。 - シンクの底部上面に、その周辺部から排水口に亘り、シンクの底部上面の周辺部から排水口の周辺に至る勾配Aと、排水口の周辺から排水口の近傍に至る勾配Bと、排水口の近傍における勾配Cとを連ねた水勾配を付けた構成を有することを特徴とする請求項1に記載の児童用手洗いカウンター。
- シンクの底部上面に付けられた勾配は、勾配A<勾配B<勾配Cの関係である構成を有することを特徴とする請求項2に記載の児童用手洗いカウンター。
- 勾配Aは3°、勾配Bは15°、勾配Cは74°に設定された構成を有する請求項3に記載の児童用手洗いカウンター。
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