以下に、本発明の実施形態に係る排水口カバーを図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る排水口カバー50が取り付けられる排水構造1であって、この排水構造1が備えられた洗い場構造体の外観が示され、図2および図3は、排水構造1の外観および断面が示されている。また、図4および図5は、他の排水構造101の外観および断面が示されている。
排水構造1は、浴室に備えられる洗い場構造体によって実現されるものである。図1に示されているとおり、洗い場構造体は、洗い場3にタイル2が敷き詰められ、排水口部10に排水口カバー30,50が被せられる。図2に示されているとおり、排水構造1は、プレス加工で板状の部材に形成された凹凸によって、洗い場3、排水溝20および排水口部10が形成されている。洗い場3および排水溝20は、それぞれ排水口部10に向けて下って傾斜している。洗い場3は、勾配が1/50(2%)よりも緩やかであり、好ましくは、勾配が1/75(約1.3%)である。なお、勾配は、洗い場3にタイル2が敷きつめられた状態(図1参照)であっても同様である。
以下の説明では、図2に示されているとおり、洗い場3における上流を「洗い場上流側」とし、下流を「洗い場下流側」とする。また、排水溝20における上流を「溝上流側」とし、下流を「溝下流側」とする。また、排水溝20における流水方向に対して洗い場3と同一平面上で直交する方向を「溝幅方向」とし、排水溝20における流水方向に対して洗い場3の厚み方向と平行な方向を「深さ方向」とする。
図2に示されているとおり、洗い場3は、洗い場下流側に排水溝20が連接され、この排水溝20の溝下流側に排水口部10が連接されている。詳説すれば、洗い場3は、長方形であり、長手方向を流水方向とし、長手方向における洗い場下流側の端に排水溝20および排水口部10が連接されている。排水溝20は、長手であり、洗い場3の短辺端に沿って形成されている。排水溝20と洗い場3との境界は、境界隆起部4が形成されている。排水口部10は、洗い場3の短辺端において中央に配置されている。すなわち、排水溝20は一対で構成され、それぞれ溝下流側が排水口部10に連接されている。この構成により、排水溝20における流下方向は、洗い場3における流下方向と交差し、両流下方向は、ほぼ直交している。
図2および図3に示されているとおり、排水溝20は、長手方向において、勾配および形状が異なる複数の傾斜面を有しており、様々な形状の傾斜面が連接された構成である。したがって、それぞれの傾斜面の境界を明確に区別することは困難であるが、以下では、排水溝20を理解しやすくするために、溝上流側と溝下流側とに区分して説明する。ここで、排水溝20の傾斜面は、底が溝底部21であり、溝底部21のうち、深さ方向において最も深い部分が最底部22である。また、傾斜面は、溝幅方向において洗い場3側である境界隆起部4と連接されている側が溝第一側部23であり、この溝第一側部23の反対側が溝第二側部24である。
排水溝20は、溝上流側範囲26と溝下流側範囲27とに区分され、溝上流側範囲26では、溝底部21が平坦であり(図3(d)参照)、溝下流側範囲27では、溝底部21が湾曲し(図3(e)参照)、下流側に向かうにしたがって湾曲の度合いが徐々に増している。排水溝20の勾配は、溝上流側範囲26と溝下流側範囲27とで異なり、溝下流側範囲27の勾配が溝上流側範囲26の勾配よりも急である(図3(c)参照)。また、最底部22は、溝上流側範囲26では溝第二側部24寄りに形成され、溝下流側範囲27では溝幅方向の中央寄りに形成されている。この構成によって、最底部22は、溝上流側範囲26から溝下流側範囲27に渡って、長手方向に向けて斜めに伸びている。
詳説すれば、図2(g)および図3(d)に示されているとおり、溝上流側範囲26では、溝底部21は、溝上流側で溝第一側部23から溝第二側部24に向かうにしたがって、排水溝20の深さ方向に下って傾斜した平坦な傾斜面である。すなわち、溝第一側部23は、境界隆起部4に連接されて水平であり、また、最底部22は溝第二側部24とほぼ同じ高さで溝第二側部24寄りに形成されている。排水溝20の傾斜面は、溝上流側範囲26から溝下流側範囲27に向かうにしたがって、溝底部21が徐々に湾曲すると共に溝第一側部23および溝第二側部24が徐々に切り立ち、最底部22が徐々に深さ方向に下がると共に溝第二側部24寄りから溝幅方向の中央寄りにずれる。
図2(g)および図3(e)に示されているとおり、溝上流側範囲26の下流側に連接された溝下流側範囲27では、溝底部21は、溝上流側範囲26よりも排水溝20の長手方向において勾配が急であると共に、下流側に向かうにしたがって排水溝20の深さ方向に向けて湾曲した湾曲面である。すなわち、溝第一側部23および溝第二側部24は溝底部21と共に湾曲し、最底部22は溝第一側部23および溝第二側部24よりも低い位置で溝幅方向の中央に形成されている。図3(c)に示されているとおり、溝下流側範囲27では、溝底部21の下流側に段部25が形成されている。段部25は、排水口部10の手前で切り立っている。
図2(g)および図3(a)に示されているとおり、排水口部10は、洗い場3よりも厚み方向に凹んだ窪みであり、次の各部から構成されている。すなわち、洗い場3との境界において、洗い場3の平面上よりも僅かに低い位置に形成された排水口第一縁部11と、この排水口第一縁部11から深さ方向に連接された漏斗状の漏斗部13と、この漏斗部13に連接されて排水溝20と連接された連接面部14と、この連接面部14の上部に連接されて排水口第一縁部11と対向した排水口第二縁部12と、漏斗部13と連接面部14とで囲まれて排水口部10の中央に形成された円形の孔である排水孔15とから、排水口部10が構成されている。
上記のとおり、排水構造1が構成されている。なお、排水溝20の長さは任意である。したがって、図4および図5に示されているとおり、他の排水構造101によれば、排水溝120は、洗い場103の長辺端に沿って形成されている。排水溝120の溝上流側範囲126は、排水構造1の溝上流側範囲26よりも長く形成されている。一方、溝下流側範囲127は、排水構造1の溝下流側範囲27とほぼ同じ長さである。排水構造101における他の構成は排水構造1と同様であるため、図示をもって説明を省略する。
また、洗い場3,103の形状は任意であり、正方形であってもよい。排水口部10の位置は任意であり、洗い場3,103の隅に配置されていてもよい。この場合、排水溝20は一対ではなく、単一である。
次に、本発明の実施形態に係る排水口カバーを、参考例と共に図面に基づいて説明する。図6から図22は、参考例に係る排水口第一カバー30が示され、図23から図46は、本発明の実施形態に係る排水口第二カバー50が示されている。なお、以下の説明では、図6に示されているとおり、厚み方向において排水口部10および排水溝20と対面する側を下側、反対側を上側とし、洗い場側を手前側、反対側を奥側とし、排水口第一カバー30を基準として排水溝20側を左右側とする。
図6および図7に示されているとおり、排水口第一カバー30は、ほぼ四角形であり、平坦な板状の平板部33の四辺に各縁脚部34,35,36,37が形成されている。排水口第一カバー30は、排水口部10に被せられ、カバー上流側範囲部31とカバー下流側範囲部32とに区分される。詳説すれば、カバー上流側範囲31は、排水口第一カバー30において手前側約3分の2から4分の3を占め、洗い場3と同一面上において排水口部10と対面している。一方で、カバー下流側範囲部32は、排水口第一カバー30において奥側約3分の1から4分の1を占め、排水溝20の延長線上において排水口部10と対面している。なお、カバー上流側範囲部31およびカバー下流側範囲部32の広狭は、排水溝20に応じて任意である。排水口第一カバー30は、例えば、ステンレスや耐腐食性の素材で構成されている。
図7から図11に示されているとおり、排水口第一カバー30は、カバー下流側範囲部32とカバー上流側範囲部31とが段違いに配置され、カバー下流側範囲部32が、カバー上流側範囲部31よりも高く隆起してカバー上流側範囲部31に連接されている。また、カバー下流側範囲部32およびカバー上流側範囲部31は、上面側においてなだらかに連接され、平板部33が歪んでいる。
各縁脚部34,35,36,37は、平板部33の周縁の四辺がそれぞれ下方に向けて折れ曲がって形成されたものであり、排水口部10に向けて伸びている。四辺の各縁脚部34,35,36,37は、それぞれ、手前側が手前縁脚部34、奥側が奥縁脚部35、右側が右縁脚部36、左側が左縁脚部37である。手前縁脚部34、右縁脚部36および左縁脚部37は、平板部33に対してほぼ直角に連接され、奥縁脚部35は、平板部33に対して僅かに鈍角に連接されている。カバー下流側範囲部32が隆起しているため、奥縁脚部35は、手前縁脚部34、右縁脚部36および左縁脚部37よりも下側に向けて長く形成されている。右縁脚部36および左縁脚部37は、排水溝20の下流側と対面する口部38が形成されている。詳説すれば、口部38は、右縁脚部36および左縁脚部37の下縁部が、カバー下流側範囲部32において平板部33と共に隆起したことで、鈍角なアール形状に形成されている。
手前縁脚部34および奥縁脚部35は、それぞれ左右側寄りに被取付部39が形成され、この被取付部39に、緩衝部材が取り付けられる。すなわち、排水口第一カバー30は、緩衝部材を取り付けるための緩衝部材取付構造90が備えられている。この緩衝部材取付構造90は、手前縁脚部34および奥縁脚部35の各被取付部39と緩衝部材とで実現される。
ここで、緩衝部材を排水口第一カバー30に取り付けるための緩衝部材取付構造90を図面に基づいて説明する。図12は、手前縁脚部34および拡大された被取付部39が示され、図13は、奥縁脚部35および拡大された被取付部39が示されている。図14および図15は、緩衝部材が示されている。図14に示されているのは、手前縁脚部34に取り付けられる第一緩衝部材70であり、図15に示されているのは、奥縁脚部35に取り付けられる第二緩衝部材80である。図16から図22は、各緩衝部材70,80が取り付けられた排水口第一カバー30が示されている。
詳説すれば、図12および図13に示されているとおり、被取付部39は、手前縁脚部34および奥縁脚部35においてそれぞれの左右側寄りに形成されている。被取付部39は、取付孔41が形成された平板状の被取付片40と、手前縁脚部34または奥縁脚部35において被取付片40と同一平面上の両側に間を空けて隣接した一対の溝形成片42と、被取付片40と溝形成片42との間に形成されて被取付片40の両側に隣接した被取付溝43とが形成されている。詳説すれば、被取付片40は、ほぼ四角形であり、長孔である取付孔41が中央に形成されている。溝形成片42は、下部に向かうにしたがって、被取付片40に向けて徐々に近づく方向に傾斜している。この構成によって、被取付溝43の幅は、下部に向かうにしたがって、徐々に狭く形成されている。
図14に示されているとおり、第一緩衝部材70は、互いに対面した一対の挟持面部71,72と、この挟持面部71,72の左右両端部同士に連接されると共に互いに対面した一対の端面部73と、挟持面部71,72および端面部73のそれぞれの下端部に連接された底面部74とから構成され、挟持面部71,72、端面部73および底面部74に囲まれたことで挟持溝75が形成されている。挟持面部71,72は、片方が、もう片方よりも上方に向けて長く形成されている。挟持面部71,72は、長い方が内側挟持面部71であり、短い方が外側挟持面部72である。外側挟持面部72は、挟持溝75において内側に突起部76が形成されている。突起部76は、被取付部39の取付孔41に対応した形状であり、内側挟持面部71に向けて突出している。第一緩衝部材70が手前縁脚部34の被取付部39に取り付けられる構造であるため、挟持面部71,72および挟持溝75は、平板部33に対する手前縁脚部34の角度に対応して、底面部74に対してほぼ直角に形成されている。内側挟持面部71の高さは、手前縁脚部34とほぼ同一である。挟持溝75の形状は、手前縁脚部34の被取付片40が挟まる大きさであり、端面部73は、手前縁脚部34の被取付溝43が挟まる大きさである。ただし、第一緩衝部材70は、例えば、ゴムやシリコンなどの素材で構成されているため、第一緩衝部材70が弾性変形して被取付部39に密着する寸法に各部が形成されている。
図15に示されているとおり、第二緩衝部材80は、第一緩衝部材70と同様の構成である。ここでは、第二緩衝部材80に関し、第一緩衝部材70と異なる構成を説明し、同様の構成は適宜説明を省略する。第二緩衝部材80が奥縁脚部35の被取付部39に取り付けられる構造であるため、挟持面部81,82および挟持溝85は、平板部33に対する奥縁脚部35の角度に対応して、底面部84に対して鈍角に形成されている。第二緩衝部材80は、第一緩衝部材70よりも、挟持面部81,82および端面部83が上方に向けて高く形成され、内側挟持面部81の高さが、奥縁脚部35とほぼ同一である。
図16から図22に示されているとおり、緩衝部材取付構造90において、手前縁脚部34の被取付部39に第一緩衝部材70が取り付けられ、奥縁脚部35の被取付部39に第二緩衝部材80が取り付けられる。詳説すれば、それぞれの被取付部39の被取付片40が、各緩衝部材70,80の挟持溝75,85に挟まれると共に、外側挟持面部72,82の突起部76,86が被取付片40の取付孔41に挿入されて嵌合する(図20参照)。同時に、それぞれの被取付部39の被取付溝43に、各緩衝部材70,80の端面部73,83が挟まって嵌合する(図21および図22参照)。ここで、被取付溝43の幅は、下部に向かうにしたがって徐々に狭く形成されており、換言すれば、被取付溝43の幅は、各緩衝部材70,80が取り外される方向に向かうにしたがって狭く形成されている(図12および図13参照)。そのため、被取付溝43の幅が狭い部分において、端面部83に溝形成片42が食い込み、堅牢な取付状態が実現する。また、第一緩衝部材70の内側挟持面部71の高さは、手前縁脚部34とほぼ同一であり、第二緩衝部材80の内側挟持面部81の高さは、奥縁脚部35とほぼ同一である(図20参照)。換言すれば、内側挟持面部71,81は、各緩衝部材70,80が取り付けられる方向に伸びた先端が、排水口第一カバー30の平板部33下面側に当たるため、各緩衝部材70,80が手前縁脚部34および奥縁脚部35に取り付けられる際、各緩衝部材70,80が位置決めされる。
図6に示されているとおり、組み立てられた排水口第一カバー30は、排水口部10に被せられ、排水口部10の排水口第一縁部11との接触部分に第一緩衝部材70が配置され、排水口部10の排水口第二縁部12との接触部分に第二緩衝部材80が配置される。また、口部38が排水溝20の下流側において対面する。
上記のとおり、排水口第一カバー30および緩衝部材取付構造90が構成されている。なお、上流側範囲部31および下流側範囲部32が同一平面上において平坦に連接され、下流側範囲部32において、左右端部のみが隆起することで口部38が形成された構成であってもよい。また、排水口部10が洗い場3,103の隅に配置されている場合、排水口第一カバー30における口部38は、右縁脚部36または左縁脚部37のいずれかにのみ形成されていればよい。排水口第一カバー30が適用される排水構造は、排水構造1,101に限られず任意である。
次に、本発明の実施形態に係る排水口第二カバー50を図面に基づいて説明する。
図23に示されているとおり、排水口第二カバー50は、排水口部10に被せられ、カバー上流側範囲部51とカバー下流側範囲部52とに区分される。詳説すれば、カバー上流側範囲部51は、排水口第二カバー50において手前側約3分の2から4分の3を占め、洗い場3と同一面上において排水口部10と対面している。一方で、カバー下流側範囲部52は、排水口第二カバー50において奥側約3分の1から4分の1を占め、排水溝20の延長線上において排水口部10と対面している。なお、カバー上流側範囲部51およびカバー下流側範囲部52の広狭は、排水溝20に応じて任意である。
図23から図25に示されているとおり、排水口第二カバー50は、下面側が排水口部10と対面する本体部材53と、この本体部材53の周縁に嵌合した枠部材60と、本体部材53の上面側において枠部材60に固定されるタイル部材69とから構成されている。すなわち、本体部材53によってカバー下流側範囲部52が構成され、タイル部材69によってカバー上流側範囲部51が構成されている。本体部材53は、排水溝20と同一の金属であり、ステンレスや耐腐食性の素材で構成されている。なお、ステンレスは、金属組織などに応じて複数の種類が存在するが、本発明では、ステンレスの同種・異種にかかわらず、ステンレスとして同一の金属であるものとする。したがって、本体部材53および排水溝20のは同種のステンレスであっても異種のステンレスであってもよい。枠部材60は樹脂製である。タイル部材69は、図23および図26に示されているとおり四角形の板状であり、洗い場3と同一のタイル2で構成されている。タイル部材69は、表面の微細な凹凸に汚れが付着するのを防ぐために、例えば釉薬などで表面がコーティングされている。タイル部材69の厚みは、タイル2よりも薄く形成され、例えば約5mmである。この構成によって、タイル部材69は、軽量化され、かつ、タイル2と同一平面上に揃えられる。
図27から図33に示されているとおり、本体部材53は、四角形の平板状に形成されたカバー下流側範囲部52としての上段部54と、四角形の平板状に形成されてタイル部材69の下面側に配置される下段部55とが段違いに配置され、上段部54が、下段部55よりも高く隆起して下段部55に連接されている。詳説すれば、上段部54と下段部55との間に、厚み方向に沿った平板状の平段部56が配置され、この平段部56が上段部54および下段部55とほぼ直角に連接されている。すなわち、上段部54と下段部55との段差によって、排水溝20の下流側と対面する口部57が上段部54に形成されている。口部57は、角張った形状である。
下段部55は、平段部56を除いた三辺に複数の突起片58が形成されている。突起片58は、下段部55の周縁の三辺がそれぞれ部分的に突出して形成されたものであり、下段部55と同一平面上に伸びている。
上段部54は、奥側の辺に奥縁脚部59が形成されている。奥縁脚部59は、上段部54の奥縁が下方に向けて折れ曲がって形成されたものであり、排水口部10側に向けて伸びている。奥縁脚部59は、被取付部39が形成され、この被取付部39に緩衝部材が取り付けられる。なお、図33に示されているとおり、被取付部39は排水口第一カバー30と同じ構成であり(図12参照)、緩衝部材も排水口第一カバー30の第一緩衝部材70と同じ構成であるため(図14参照)、緩衝部材取付構造90は、排水口第一カバー30と同様である。したがって、図示をもってこれらの説明を省略する。
図34から図40に示されているとおり、枠部材60は、手前枠部61と、この手前枠部61の左右両端に、手前枠部61と直角に連接された右枠部62および左枠部63とから形成されている。各枠部61,62,63は、断面がほぼ“L”字状であり、厚み方向に向けて沿った枠縁部64と、この枠縁部64の下端から枠部材60の内側に伸びた枠底部65とが直角に連接されている。各枠部61,62,63は、複数の被嵌合部66が形成されている。詳説すれば、被嵌合部66は、枠底部65と枠縁部64との境界に配置され、それぞれ内側に向けて突出すると共に、厚み方向において枠縁部64の上端よりも低い位置に、かつ、枠底部65の内側端よりも内側に形成されている。また、被嵌合部66は、枠縁部64に向けて被嵌合穴67が形成されている。枠底部65は、下面側に緩衝部68が形成されている。緩衝部68は、枠部材60の成形において一体として形成され、排水口部10の排水口第一縁部11との接触部分に配置されるため、数や形状は任意である。なお、緩衝部68に替えて、枠底部65の下面側に緩衝部材が取り付けられる構成であってもよい。
図24および図25に示されているとおり、排水口第二カバー50は、本体部材53に枠部材60が取り付けられ、この状態で、タイル部材69が本体部材53に載せられると共に枠部材60に仮固定され、接着剤6などでタイル部材69が枠部材60に固定される。詳説すれば、まず、本体部材53の下段部55が枠部材60の内側に配置され、下段部55の突起片58が枠部材60の被嵌合部66に嵌合する(図44(c)参照)。この状態で、タイル部材69が下段部55の上に載置され、枠部材60の内側において、対向する被嵌合部66同士の間に配置されることで位置決めされる(図42参照)。また、奥縁脚部59に第一緩衝部材70が取り付けられる(図44(a)(b)参照)。上記のとおりに組み立てられた排水口第二カバー50は、図41から図46に示されているとおりとなる。最後に、図24に示されているとおり、タイル部材69と枠部材60との隙間に接着剤6が充填され、タイル部材69が枠部材60に固定されることで、下段部55が枠部材60とタイル部材69とで挟まれて固定される。
図23に示されているとおり、組み立てられた排水口第二カバー50は、排水口部10に被せられ、この排水口部10の排水口第二縁部12との接触部分に第一緩衝部材70が配置され、排水口部10の排水口第一縁部11との接触部分に緩衝部68が配置される。また、洗い場3のタイル2との接触部分に枠部材60が配置される。また、口部57が排水溝20の下流側において対面する。
なお、排水口部10が洗い場3,103の隅に配置されている場合、排水口第二カバー50における口部57は、右側または左側のいずれかにのみ形成されていればよい。排水口第二カバー50が適用される排水構造は、排水構造1,101に限られず任意である。
上記のとおり、排水口第二カバー50および緩衝部材取付構造90が構成されている。
次に、排水構造1の効果を説明する。なお、排水構造101の効果は、排水構造1と同一であるため、説明を省略する。
上記したとおり、排水構造1によれば、排水溝20は、溝上流側範囲26と溝下流側範囲27とに区分され、溝下流側範囲27の勾配が溝上流側範囲26の勾配よりも急である(図3(c)参照)。すなわち、排水溝20の勾配が、溝上流側範囲26および溝下流側範囲27によって途中で変化したことで、排水の途中で流速が変化し、その際、泡が水に引き連れられて排水溝20から洗い流される。したがって、排水に伴って適切に泡を流すことができる。
さらに、溝下流側範囲27では、溝底部21の下流側に段部25が形成され、段部25が排水口部10の手前で切り立っている(図2(g)および図3(c)参照)。この構成により、下流側において、段部25から排水孔15に水が落下することで、水と共に一気に泡が排水孔15に引き連れられて排水される。したがって、排水に伴って適切に泡を流すことができる。
排水構造1によれば、溝上流側範囲26では、溝底部21は、溝上流側で溝第一側部23から溝第二側部24に向かうにしたがって、排水溝20の深さ方向に下って傾斜した平坦な傾斜面である(図2(g)および図3(d)参照)。また、溝上流側範囲26の下流側に連接された溝下流側範囲27では、溝底部21は、溝上流側範囲26よりも排水溝20の長手方向において勾配が急であると共に、下流側に向かうにしたがって排水溝20の深さ方向に向けて湾曲した湾曲面である(図2(g)および図3(e)参照)。すなわち、排水溝20が、三次元的に変化した形状であり、かつ、勾配が一定である一般的な排水溝と比較して、排水溝の深さが溝上流側範囲26において抑えられているため、排水溝20の形状が斬新である。したがって、優れた意匠を実現することができる。
排水構造1によれば、洗い場3は、勾配が1/50(2%)よりも緩やかであり、好ましくは、勾配が1/75(約1.3%)である。この構成により、洗い場3において流速が遅くなるため、泡が水に引き連れられて水と一緒に流される。したがって、排水に伴って適切に泡を流すことができる。
また、排水構造1は、本発明の実施形態に係る排水口第二カバー50または参考例に係る排水口第一カバー30が排水口部10に被せられることで、以下の効果を生じる。
排水口第一カバー30は、カバー下流側範囲部32が、カバー上流側範囲部31よりも高く隆起してカバー上流側範囲部31に連接され、右縁脚部36および左縁脚部37に、口部38が形成されている(図7および図8参照)。口部38は、右縁脚部36および左縁脚部37の下縁部が、カバー下流側範囲部32において平板部33と共に隆起したことで、鈍角なアール形状に形成されている。一方、排水口第二カバー50の本体部材53は、カバー下流側範囲部52を構成する上段部54が、下段部55よりも高く隆起して下段部55に連接され、上段部54と下段部55との段差によって、口部57が上段部54に形成されている(図24および図25参照)。この構成により、各排水口カバー30,50が排水口部10に被せられた状態において、下流側範囲部32,52が隆起した分、各口部38,57が広がることで、排水溝20における排水口部10への入り口が大きく形成される(図6および図23参照)。したがって、口部38,57を通過する流量が多く、排水に伴って適切に泡を流すことができる。
次に、本発明の参考例に係る排水口第一カバー30の効果を説明する。
上記したとおり、排水口第一カバー30によれば、カバー下流側範囲部32が、カバー上流側範囲部31よりも高く隆起してカバー上流側範囲部31に連接され、右縁脚部36および左縁脚部37に、排水溝20の下流側と対面する口部38が形成されている(図7および図8参照)。口部38は、右縁脚部36および左縁脚部37の下縁部が、カバー下流側範囲部32において平板部33と共に隆起したことで、鈍角なアール形状に形成されている。すなわち、下流側範囲部32が隆起した分、口部38が広がることで、排水口第一カバーが排水口部10に被せられた状態において、口部38が排水溝20の下流側において対面し、排水口部10への入り口が大きく形成される(図6参照)。したがって、口部38を通過する流量が多く、排水に伴って適切に泡を通過させることができる。また、口部38が鈍角なアール形状であるため、優れた意匠を実現することができる。
排水口第一カバー30によれば、カバー下流側範囲部32が、カバー上流側範囲部31よりも高く隆起してカバー上流側範囲部31に連接され、かつ、カバー下流側範囲部32およびカバー上流側範囲部31が、上面側においてなだらかに連接されて平板部33が歪んでいる。すなわち、排水口第一カバー30の形状が斬新である。したがって、優れた意匠を実現することができる(図7から図10参照)。
排水口第一カバー30によれば、各縁脚部34,35は、それぞれ左右側寄りに被取付部39が形成され、この被取付部39に、各緩衝部材70,80が取り付けられる。排水口第一カバー30は、排水口部10に被せられ、排水口部10の排水口第一縁部11との接触部分に第一緩衝部材70が配置され、排水口部10の排水口第二縁部12との接触部分に第二緩衝部材80が配置される。したがって、排水口第一カバー30と排水口部10との接触や擦れによって生じる損傷や異音を防ぐことができる。
排水口第一カバー30は、例えば、ステンレスや耐腐食性の素材で構成されている。したがって、樹脂などの素材と比較して容易に清掃をすることができ、また、優れた意匠を実現することができる。
次に、本発明の実施形態に係る排水口第二カバー50の効果を説明する。
上記したとおり、排水口第二カバー50によれば、本体部材53は、下流側範囲部52を構成する上段部54が、下段部55よりも高く隆起して下段部55に連接され、上段部54と下段部55との段差によって、排水溝20の下流側と対面する口部57が上段部54に形成されている(図24および図25参照)。すなわち、下流側範囲部52が隆起した分、口部57が広がることで、排水口第一カバーが排水口部10に被せられた状態において、口部57が排水溝20の下流側において対面し、排水口部10への入り口が大きく形成される(図23参照)。したがって、口部57を通過する流量が多く、排水に伴って適切に泡を通過させることができる。また、口部57が角張った形状であるため、優れた意匠を実現することができる。
排水口第二カバー50によれば、カバー上流側範囲部51が、洗い場3と同一のタイル2で構成されたタイル部材69で構成され、カバー下流側範囲部52が、排水溝20と同一の金属であるステンレスや耐腐食性の素材で構成されている。したがって、樹脂などの素材と比較して、擦りやすく、容易に清掃をすることができる。特に、タイル部材69は、例えば釉薬などで表面がコーティングされているため、表面の微細な凹凸に汚れが付着するのを防ぐことができる。また、洗い場3および排水溝20とそれぞれ馴染む素材で構成されているため、優れた意匠を実現することができる。
排水口第二カバー50によれば、カバー上流側範囲部51は、排水口第二カバー50において手前側約3分の2から4分の3を占め、洗い場3と同一面上において排水口部10と対面している(図23参照)。すなわち、洗い場3の一部にカバー上流側範囲部51が形成され、このカバー上流側範囲部51は洗い場3と同一のタイル2で構成されたタイル部材69で構成されている。したがって、利用者が、洗い場3においてカバー上流側範囲部51の上を歩いた場合であっても、滑りにくくすることができる。
排水口第二カバー50によれば、カバー下流側範囲部52は、排水口第二カバー50において奥側約3分の1から4分の1を占め、排水溝20の延長線上において排水口部10と対面している(図23参照)。この構成により、外観において、カバー下流側範囲部52が排水溝20と馴染む。したがって、排水口第二カバー50と排水溝20とで統一感を現すことができる。
排水口第二カバー50によれば、下面側が排水口部10と対面する本体部材53と、この本体部材53の周縁に嵌合した枠部材60と、本体部材53の上面側において枠部材60に固定されるタイル部材69とから構成されている。この構成により、洗い場3に適したタイル素材と排水溝20に適した金属素材とで、素材が異なる各部材53,69同士を合体させて排水口第二カバー50を構成することができる。
排水口第二カバー50によれば、まず、本体部材53の下段部55が枠部材60の内側に配置され、下段部55の突起片58が枠部材60の被嵌合部66に嵌合する(図42および図44参照)。この状態で、タイル部材69が下段部55の上に載置され、枠部材60の内側において、対向する被嵌合部66同士の間に配置されることで位置決めされる(図44参照)。奥縁脚部59に第一緩衝部材70が取り付けられる。最後に、タイル部材69と枠部材60との隙間に接着剤6が充填され、タイル部材69が枠部材60に固定されることで、下段部55が枠部材60とタイル部材69とで挟まれて固定される(図24および図25参照)。したがって、簡便に組み立てることができる。その際、下段部55が枠部材60の被嵌合部66に嵌合されることで、本体部材53が枠部材60に仮固定され、また、タイル部材69が被嵌合部66で位置決めされる。したがって、組み立てる過程において、各部材53,60,69同士がずれることがなく、簡便に組み立てることができる。
排水口第二カバー50によれば、奥縁脚部59は、被取付部39が形成され、この被取付部39に第一緩衝部材70が取り付けられる。排水口第二カバー50は、排水口部10に被せられ、この排水口部10の排水口第二縁部12との接触部分に第一緩衝部材70が配置され、排水口部10の排水口第一縁部11との接触部分に緩衝部68が配置される。また、洗い場3のタイル2との接触部分に枠部材60が配置される。したがって、排水口第二カバー50と排水口部10との接触や擦れによって生じる損傷や異音を防ぐことができる。また、排水口第二カバー50とタイル2との接触や擦れによって生じる損傷や異音を防ぐことができる。
次に、本発明の実施形態に係る排水口第二カバー50または参考例に係る排水口第一カバー30に備えられた緩衝部材取付構造90の効果を説明する。
上記したとおり、緩衝部材取付構造90は、手前縁脚部34および奥縁脚部35の各被取付部39と、第一緩衝部材70または第二緩衝部材80とで実現される。被取付部39は、取付孔41が形成された平板状の被取付片40と、被取付片40と同一平面上の両側に間を空けて隣接した一対の溝形成片42と、被取付片40と溝形成片42との間に形成されて被取付片40の両側に隣接した被取付溝43とが形成されている。被取付片40は、長孔である取付孔41が中央に形成されている。被取付溝43の幅は、下部に向かうにしたがって、徐々に狭く形成されている。一方、第一緩衝部材70は、互いに対面した一対の挟持面部71,72と、この挟持面部71,72の左右両端部同士に連接されると共に互いに対面した一対の端面部73と、挟持面部71,72および端面部73のそれぞれの下端部に連接された底面部74とから構成され、挟持面部71,72、端面部73および底面部74に囲まれたことで挟持溝75が形成されている。外側挟持面部72は、挟持溝75において内側に突起部76が形成され、突起部76は、被取付片40の取付孔41に対応した形状であり、内側挟持面部71に向けて突出している。
この構成により、それぞれの被取付部39の被取付片40が、第一緩衝部材70の挟持溝75に挟まれると共に、外側挟持面部72の突起部76が被取付片40の取付孔41に挿入されて嵌合する(図20参照)。したがって、堅牢な状態を実現することができ、また、着脱が可能である。
また、緩衝部材取付構造90によれば、それぞれの被取付部39の被取付溝43に、第一緩衝部材70の端面部73が挟まって嵌合する(図21および図22参照)。ここで、被取付溝43の幅は、下部に向かうにしたがって徐々に狭く形成されており、換言すれば、被取付溝43の幅は、第一緩衝部材70が取り外される方向に向かうにしたがって狭く形成されている(図12および図13参照)。そのため、被取付溝43の幅が狭い部分において、端面部73に溝形成片42が食い込む。したがって、堅牢な状態を実現することができ、また、着脱が可能である。なお、緩衝部材取付構造90における上記した効果は、第二緩衝部材80であっても第一緩衝部材70の場合と同様であるため、第二緩衝部材80についての説明を省略する。
緩衝部材取付構造90によれば、第一緩衝部材70の内側挟持面部71の高さは、手前縁脚部34とほぼ同一であり、第二緩衝部材80の内側挟持面部81の高さは、奥縁脚部35とほぼ同一である(図20参照)。この構成により、内側挟持面部71,81は、各緩衝部材70,80が取り付けられる方向に伸びた先端が、排水口第一カバー30の平板部33下面側に当たるため、各緩衝部材70,80が手前縁脚部34および奥縁脚部35に取り付けられる際、各緩衝部材70,80が位置決めされる。したがって、簡便に取り付けることができる。
同様に、第一緩衝部材70の内側挟持面部71の高さは、奥縁脚部59とほぼ同一である(図44参照)。この構成により、内側挟持面部71は、第一緩衝部材70が取り付けられる方向に伸びた先端が、排水口第二カバー50の上段部54下面側に当たるため、第一緩衝部材70が奥縁脚部59に取り付けられる際、第一緩衝部材70が位置決めされる。したがって、簡便に取り付けることができる。
緩衝部材取付構造90によれば、各排水口カバー30,50の周縁から厚み方向において排水口部10に向けて伸びた各縁脚部34,35および59に、被取付部39が形成され、この被取付部39に各緩衝部材70,80が取り付けられる。排水口第一カバー30は、排水口部10に被せられ、この排水口部10の排水口第一縁部11との接触部分に第一緩衝部材70が配置され、排水口部10の排水口第二縁部12との接触部分に第二緩衝部材80が配置される。また、排水口第二カバー50は、排水口部10に被せられ、排水口部10の排水口第一縁部11との接触部分に緩衝部68が配置され、排水口部10の排水口第二縁部12との接触部分に第一緩衝部材70が配置される。したがって、各排水口カバー30,50と排水口部10との接触や擦れによって生じる損傷や異音を防ぐことができる。
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。そして本発明は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。例えば、屋内外の種々の排水口に用いられる。