JP5345692B2 - 内燃エンジン用流体アキュムレータ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、高圧流体用アキュムレータ装置に関する。更に詳細には、本発明は、圧縮点火式内燃エンジンの燃料噴射システムの、高圧燃料を貯蔵するためのアキュムレータ装置に関するが、これに限定されない。
圧縮点火式内燃エンジン、又は当該技術分野で周知の「ディーゼル」エンジンは、例えば、小型及び大型の乗用車、貨物搬送車両、発電機、及び船舶用推進システム等の多くのオンロード及びオフロードの用途で使用される推進システムである。
図1に示すように、代表的なディーゼルエンジンシステム2は、エンジンブロック4と、このエンジンブロック4のシリンダ(図示せず)に燃料を送出するための燃料送出システム6とを含む。燃料送出システム6は、複数の電子作動式燃料インジェクタ8を含む。これらのインジェクタ8は、エンジンブロック4の各シリンダと夫々一つづつ関連している。図1に示すディーゼルエンジンシステム2は、例示の目的で簡略化してあるということは理解されるべきである。
燃料インジェクタ8には、高圧燃料アキュムレータ容積10から高圧燃料が供給される高圧燃料アキュムレータ容積10は、更に一般的には、「コモンレール」と呼ばれる。コモンレール10は、加圧燃料を受け取って収容するための内部容積を形成する金属製本体の形態をなしている。燃料ポンプ12が燃料タンク14から低圧燃料を引き出し、コモンレール10に高圧燃料を供給する。
インジェクタ8がエンジンに送出する燃料の容積は、エンジン制御システム16によって制御される。エンジン制御システム16は、エンジン速度、エンジン温度、及びアクセルペダルの位置等の多くの車両のパラメータに関するリアルタイムデータをセンサ入力データリンク18によって受け取り、このようなセンサ入力に応じて、所望の作動条件を達成するように、エンジンのシリンダに送出される燃料の適切な容積を計算する。
インジェクタ8が送出する燃料の容積は、一般的には、燃料の圧力及びインジェクタの「開放」期間の関数である。従って、燃焼プロセスを最適レベルに維持するため、コモンレール10に貯蔵された燃料の圧力を正確に制御することが重要である。
任意の所与の用途について、コモンレールの設計には幾つかの重要な配慮がなされる。例えば、エンジンの用途によっては、エンジンに加わる負荷がいきなり変化する。負荷がこのように変化するときに最適燃焼状態を維持するため、エンジンの負荷が増大する場合、コモンレール内の燃料の圧力を大幅に且つ急速に上昇するのが望ましい。このような場合には、コモンレールの内部容積を比較的小さくしておくのが好ましい。他方、コモンレール内の燃料の圧力がインジェクタ充填事象に対して応答しないのが望ましく、この目的に対し、比較的大きな容積の方が適している。しかしながら、実際には、これらの設計上の制約の各々には欠点があり、そのため、コモンレールの設計は、望ましからぬ圧力変化に対して十分に堅牢であるように十分な容積を持つコモンレールを提供することと、高圧燃料ポンプがコモンレール内の燃料圧力を、最適燃焼条件を維持するのに十分に急速に変化できるように十分に小さい容積を持つコモンレールを提供することとの妥協による。
本発明の目的は、現存の高圧コモンレールデバイスと関連した上述の問題点の少なくとも幾つかをなくす、又は少なくとも緩和する、改良コモンレールを提供することである。
本発明の第1の態様によれば、圧縮点火式内燃エンジンで使用するのに適した流体アキュムレータ装置において、第1貯蔵容積と、第2貯蔵容積と、第1貯蔵容積と第2貯蔵容積との間を流体的に連結するバルブ手段とを含み、バルブ手段は三方向制御バルブであり、第1位置において、第1貯蔵容積は第2貯蔵容積と連通し、第2位置において、第1貯蔵容積は第2貯蔵容積から遮断され、第3位置において、第1貯蔵容積又は第2貯蔵容積のうちの一方が低圧ドレンと連通する、流体アキュムレータ装置が提供される。
本発明は、エンジンの夫々のシリンダに高圧燃料を送出するように構成された複数の燃料インジェクタにアキュムレータ容積(以下、「コモンレール」と呼ぶ)が流体的に連結されたディーゼルエンジンに関して特に有用である。従って、以下に説明する本発明は、コモンレール、加圧燃料をコモンレールに供給するように構成された燃料ポンプ、及びコモンレールによって燃料が供給されるように構成された複数のインジェクタを含む燃焼噴射システムを含む。
本発明の利点は、コモンレールを分離可能な二つの貯蔵容積に分割し、これらの貯蔵容積を電動式バルブによって関連し、これによって可変容積のコモンレールを提供することである。その結果、第1及び第2の貯蔵容積を連結することによって、加圧燃料を貯蔵するためのコモンレールの全容積を最大にできる。これにより、レール内の流体圧力が燃焼噴射事象による影響を比較的受けないようにする。別の態様では、レール圧力の変化を要求するエンジンの負荷の変化に応じてコモンレール内の燃料の圧力を急速に上昇したり低下したりできるように、第1及び第2の貯蔵容積を遮断してもよい。
別の利点は、第1貯蔵容積内の圧力に影響を及ぼすことなく、第2貯蔵容積内の加圧燃料を低圧部に排出できるということである。このような情況は、幾つかの燃焼要件に対して及び/又はシステムの応力を低減する上で望ましい。
本発明の別の実施例では、別の一つ又はそれ以上の貯蔵容積が設けられていてもよい。前記別の一つ又はそれ以上の貯蔵容積を第1貯蔵容積に連結するため、これらの貯蔵容積にはバルブ手段が夫々設けられている。この実施例は、アキュムレータ装置の全容積を段階的に変化させることができ、容積の制御が大幅に向上するという利点を提供する。
本発明の一実施例では、第1貯蔵容積は主容積であり、燃料噴射システムの複数のインジェクタの各々に対する連結部を備えており、更に、高圧燃料ポンプとの連結部を備えている。
更に、第1貯蔵容積には、圧力感知手段が設けられていてもよい。圧力感知手段は、好ましくは、侵入的圧力センサの形態であり、第1貯蔵容積内に設置される。圧力センサは、第1貯蔵容積内に設置されるため、第2貯蔵容積から遮断されている場合には、第1貯蔵容積内の燃料圧力のみを感知し、第1及び第2の貯蔵容積がバルブ手段によって連結されている場合には、第1及び第2の貯蔵容積の組み合わせ容積内の燃料圧力を感知する。別の態様では、又は追加として、第2貯蔵容積にも適当な圧力センサが設けられていてもよい。
第2の態様では、第1貯蔵容積と、第2貯蔵容積と、第1貯蔵容積と第2貯蔵容積との間を流体的に連結するバルブ手段とを含む、圧縮点火式内燃エンジンで使用するのに適した流体アキュムレータ装置が提供される。バルブ手段は、第1位置と第2位置との間で作動でき、第1位置では、第1貯蔵容積が第2貯蔵容積と連通しており、第2位置では、第1貯蔵容積が第2貯蔵容積から遮断されている。第2の態様の流体アキュムレータ装置は、更に、別の一つ又はそれ以上の貯蔵容積を含み、これらの別の一つ又はそれ以上の貯蔵容積を第1貯蔵容積に連結するため、これらの貯蔵容積の各々に一つ又はそれ以上の別のバルブ手段のうちの一つが夫々設けられている。
本発明の第1の態様の好ましい特徴及び/又は随意の特徴を、本発明の第2の態様と適当に組み合わせてもよく、本発明の第2の態様の好ましい特徴及び/又は随意の特徴を、本発明の第1の態様と適当に組み合わせてもよいということに着目されるべきである。
第1貯蔵容積と第2貯蔵容積との間の流体流れを電子制御装置によって制御するため、バルブ手段は電動式バルブであってもよく、最も簡単な形態では、バルブ手段は二方向バルブであり、第1位置において第1貯蔵容積が第2貯蔵容積と連通し、第2位置において第1貯蔵容積と第2貯蔵容積との間の連通を阻止する。
別の態様では、第1貯蔵容積と、第2貯蔵容積と、第1貯蔵容積と第2貯蔵容積とを流体的に連結するバルブ手段とを含む、燃料噴射システムで使用するのに適した流体アキュムレータ装置が提供される。この流体アキュムレータ装置は、エンジン作動条件の安定性を示す信号を受信し、この信号に応じてバルブ手段を制御するように作動できるように構成された制御手段を含む。
第1及び第2の貯蔵容積と関連したインジェクタの作動による影響が、これらの貯蔵容積内の圧力に実質的に及ぼされないようにするため、信号(例えば、第1貯蔵容積即ち主容積の燃料圧力要求)が比較的安定したエンジン作動条件を示す場合に第1貯蔵容積が第2貯蔵容積と連通するように制御手段がバルブ手段を作動するのが好ましい。
変形例では、又は追加として、バルブ制御手段は、信号がエンジンの比較的不安定な作動条件を示す場合に第1貯蔵容積が第2貯蔵容積から遮断されるようにバルブ手段を作動する。従って、第1貯蔵容積に加圧燃料を供給するのに使用される圧送システムは、第1貯蔵容積に収容された燃料の圧力を要求燃料圧力に遅れずに上昇できる。有利には、これにより、このようなシステムで低容量ポンプを使用できる。
燃料圧力要求信号は、エンジン作動条件の安定性を表すものとして使用するのに適していると考えられるけれども、他のパラメータ、例えば要求燃料圧力と実際の燃料圧力との間の誤差を示す値、スロットル位置の変化速度もまた適しているということに着目されるべきである。
一実施例では、バルブ制御手段は、エンジン始動事象を示す信号を受信するように構成されている。エンジン始動事象では、バルブ制御手段は、第1貯蔵容積が第2貯蔵容積から遮断されるようにバルブ手段を作動する。この結果、第1貯蔵容積内の燃料の圧力を、第1及び第2の貯蔵容積が連結された場合よりも急速に上昇することができる。これは、エンジンの始動中に有利である。
別の態様では、第1貯蔵容積と、第2貯蔵容積と、第1貯蔵容積と第2貯蔵容積とを流体的に連結するバルブ手段と、エンジン始動事象を示す信号を受信するように構成された制御手段とを含む、燃料噴射システムで使用するのに適した流体アキュムレータ装置が提供される。エンジン始動事象では、制御手段は、i)第1貯蔵容積内の流体圧力を示す第1圧力値を決定し、ii)第2貯蔵容積内の流体圧力を示す第2圧力値を決定し、iii)第1貯蔵容積及び第2貯蔵容積の組み合わせ容積の流体圧力を示す第3圧力値を計算し、iv)第3圧力値を所定の閾値と比較し、v)第3圧力値が所定の閾値とほぼ等しいか或いはそれ以上である場合、バルブ手段を作動し、第1貯蔵容積及び第2貯蔵容積を流体的に連結するように作動できる。
アキュムレータ装置と関連した適当なエンジンを、キーを回してからできるだけ迅速に始動できるようにするため、上述の所定の閾値は、エンジンの燃焼事象を開始する上で必要とされる第1貯蔵容積で必要な最小流体圧力を表すことができる。
更に、制御手段は、エンジン停止事象の信号を受信し、これに応じて、エンジンの次の始動事象前に第1貯蔵容積を第2貯蔵容積から遮断するようにバルブ手段を作動する。
御手段は、関連したエンジンの作動中に第2貯蔵容積内の圧力を最適にするようにバルブ手段を作動するように形成されていてもよい。
適当には、これには、第1貯蔵容積及び第2貯蔵容積が互いから遮断された場合に第1貯蔵容積及び第2貯蔵容積内の燃料の圧力を監視するように、及び第1貯蔵容積内の圧力が第2貯蔵容積内の圧力を越えた場合に第1貯蔵容積と第2貯蔵容積とを所定期間に亘って連結するように、制御手段を形成することを含むことができる。
上文中に説明した本発明の様々な態様の好ましい特徴又は随意の特徴は、互いに適切に組み合わせてもよいということは理解されるべきである。
上文中に説明した図1は、公知のディーゼルエンジンシステムの概略図である。本発明を更によく理解するため、次に、単なる例として添付図面を参照して説明する。 図2は、本発明の第1実施例のコモンレール装置の概略図である。 図3は、図2のコモンレール装置に適用できる制御戦略のフローチャートである。 図4は、代替例の制御戦略のフローチャートである。 図5は、別の代替例の制御戦略のフローチャートである。 図6は、図2に示す装置に対する代替例のコモンレール装置の概略図である。 図7は、更に別の代替例のコモンレール装置の概略図である。
図2を参照すると、この図には燃料噴射システム20が概略に示してある。燃料噴射システム20は、アキュムレータ装置即ち「コモンレール」装置22(破線で囲った部分)を含む。コモンレール装置22は、高圧燃料ポンプ24及び複数の燃料インジェクタ26に連結されている。図2には示してないが、燃料インジェクタ26は、エンジンの夫々のシリンダに燃料を送出するため、使用時に、内燃エンジンのエンジンブロックに設置されている。
コモンレール装置22は、三つの主要構成要素、即ち第1貯蔵容積27、第2貯蔵容積28、及び第1貯蔵容積27を第2貯蔵容積28に流体的に連結する電動式二方向バルブ30の形態のバルブ手段を含む。以下、第1貯蔵容積27を「主容積」と呼び、第2貯蔵容積28を「副容積」と呼ぶ。主容積27は、副容積28よりも大きい容量を持つように示してある。
主容積27及び副容積28は、比較的厚い金属製の壁を持つ管状部材である。これらの管状部材は、ディーゼル燃料の形態の高圧燃料を収容し且つこれに耐えるように形成されている。本発明の目的のため、主容積27及び副容積28の正確な形体は重要ではなく、これらの容積は、150×10hPa(約150バール)乃至最大2000×10hPa乃至3000×10hPa(2000バール乃至3000バール)の圧力の燃料を貯蔵できる、例えば球形又は部分的に球形の圧力容器等の他の形態をとってもよいということは当業者には理解されよう。

主容積27及び副容積28の各々の内端は二方向バルブ30に連結されており、これによって一方の容積を他方の容積に流体的に連結する。二方向バルブ30は、第1位置と第2位置との間で作動できる。第1位置では、図2に示すように、主容積27は副容積28と流体連通しており、高圧燃料用の、単一の比較的大きな容積が提供される。しかしながら、第2位置では、二方向バルブ30は、主容積27と副容積28との間の連通を遮断する。かくして、二方向バルブ30は、主容積27と副容積28との間の連通を選択的に開放したり閉鎖したりすることによってアキュムレータの全容積を変化する手段を提供する。
侵入的圧力センサ(invasive pressure sensor)32の形態の圧力感知手段が二方向バルブ30とは反対側の主容積27の外端に設置されている。圧力センサ32を主容積27に取り付けることは必須ではない(圧力感知手段は、システムのこの他の場所、例えばインジェクタ入口に設けられていてもよい)が、圧力センサ32は、主容積27内の燃料の圧力を計測するための信頼性があり且つ対費用効果に優れた手段を提供する。副容積28の外端は、シール部材34によってシールされているが、別体のシール部材は必須ではなく、閉鎖端は、副容積28の一体の部分であってもよいということは理解されるべきである。別の態様では、副容積28内部の燃料圧力を評価するための直接的な手段を提供するため、副容積28の外端にも圧力センサを設けてもよい。
高圧ポンプ24が燃料タンク35から低圧燃料を引き出し、加圧燃料を、第1高圧連結部40によって主容積27に供給する。更に、四つの燃料インジェクタ26の各々は、追加の高圧連結部42によって主容積27に夫々連結されている。理解を容易にするためにここには示してないけれども、燃料噴射システムは、一つ又はそれ以上の燃料フィルタ、リフトポンプ、及び/又は燃料冷却器/加熱器を含んでいてもよいということに着目されるべきである。
燃焼噴射システム20は、更に、燃料インジェクタ26からの燃料の噴射を制御するため、燃料インジェクタ26に電気的に接続された噴射制御モジュール即ち「ユニット」50と、主容積27へのポンプの流体出力量を制御するため、燃料ポンプ24に電気的に接続されたポンプ制御モジュール即ち「ユニット」52と、二方向バルブ30の作動を適切な制御戦略に従って以下に更に詳細に説明するように制御するためのバルブ制御モジュール即ち「ユニット」54とを含む。
バルブ制御モジュール54、ポンプ制御モジュール52、及びインジェクタ制御モジュール50を個々のユニットとして説明したが、実用上は、燃料噴射システム20の所望の作動を提供するため、これらのユニット及び他の車両サブシステムの機能を調整するエンジン管理システム(図示せず)の支配下に置かれるように、これらのユニットの機能を組み合わせてもよいということは理解されるべきである。
図3は、図2のバルブ制御モジュールが実施する制御戦略の一例を示す。この制御戦略は、コモンレール装置22内の燃料圧力の過渡的応答を、要求レール圧力の変化に合わせて最適にする上で特に適している。
例えば、本発明の燃焼噴射システム20が設置されたエンジンを持つ道路車両が自動車道に沿って巡航しているのを考える。このような安定したエンジン作動条件では、エンジンが要求する燃料送出量、及び従って要求燃料圧力は比較的一定であり、実質的に安定している。このような場合には、圧送パルス及び燃料インジェクタの断続的作動による影響を圧力が比較的受けないように、コモンレール装置の全容積は大きいのが好ましい。従って、バルブ制御モジュール54は、二方向バルブ30を第1位置に設定し、主容積27及び副容積28を連結する。適当な制御戦略のこの初期状態を図3の工程100に示す。換言するとレール内の燃料の圧力は、噴射事象及び充填パルスにより生じる小さな摂動の影響をほとんど受けない。
図3の制御戦略は、レール圧力要求信号の連続的監視を行う。レール圧力要求信号は、要求燃料レール圧力を満たすためにコモンレールに供給する必要がある燃料の容積を決定するため、ポンプ制御モジュール52によって使用される。これは、チェック工程102でわかる。チェック工程102では、制御戦略は、安定性パラメータをチェックする。安定性パラメータは、本発明の目的では、レール圧力要求信号である。
決定工程104では、制御戦略は、燃料レール圧力要求信号の変化速度が安定しているかどうか、即ち、所定の受容可能なレベル内にあるかどうかを決定する。レール圧力要求信号が安定していると決定された場合には、バルブ制御モジュール54は二方向バルブ30を第1位置に維持し、その結果、主容積27及び副容積28の容積が組み合わせられる。このような状態は、エンジンの作動条件が比較的ゆっくりとしか変化せず、レール圧力要求信号における不安定性を大きくしない状態である。例えば、ゆっくりとした加速中又は道路車両が穏やかな傾斜を上る場合等である。プロセスは、その場合、工程102に戻り、安定性パラメータが不安定であることを示すまで、このように監視を続行する。
エンジンの作動条件が比較的急速に変化する間、例えば急加速中又は不安定な加速中、レール圧力要求信号は比較的急速に変化し、決定工程104は負の値を戻し、バルブ制御モジュール54が二方向バルブ30を作動し、第2位置にする。これによって、工程106に示すように副容積28を主容積27から遮断する。この状態では、燃料ポンプ24が燃料を主容積27にしか供給しないため、ポンプ制御モジュール52は、インジェクタ制御モジュール50の燃料圧力要求の変化に追従するように、主容積27内の燃料圧力を急速に変化するように燃料ポンプ24を良好に制御できる。
工程106の後、戦略ループは工程102に戻り、及びかくして、レール圧力要求信号が安定状態に戻るまで、主容積27及び副容積28がバルブ30によって遮断されたままであるように、レール圧力要求信号を監視し続ける。
上文中に説明した作動戦略では、バルブ制御モジュール54は、コモンレール装置22の過渡的応答性能を最適にするように作動できると同時に、入力及び出力の比較的ゆっくりとした変化に対し、コモンレール装置22内の圧力がほとんど変化しないようにする。これに関し、制御戦略は、レール圧力要求信号の安定性についてのバルブ30の状態に対する決定に基づくが、使用されるべき他の信号に対しても同様に使用できるということに着目されるべきである。非限定的例として、エンジンの安定性の計測値を得ることができる二つのこのようなパラメータは、要求レール圧力と実際のレール圧力との間の不適当な組み合わせ即ちミスマッチを表すエラー信号、及びインジェクタからの要求燃料送出量を示す送出要求信号である。
バルブ制御モジュール54が二方向バルブ30を第2位置に維持する別の情況は、エンジンの始動事象中、及び詳細には、燃料レール圧力を比較的高いレベルまで急速に上昇させる必要があるエンジンの始動後の期間中である。以下に更に詳細に説明するように、エンジンの始動事象中、主容積27及び副容積28を遮断するのが有利である。これは、コモンレール装置が単一の容積しか持たない燃料噴射システムと比較して、短時間で所望の燃料圧力に到るように、ポンプ制御システム52が燃料ポンプ24を作動できるためである。これに関し、図4は、エンジンの始動速度を改善するためにバルブ制御モジュール54によって実施されてもよい別の制御戦略を示す。
工程200では、エンジンは通常作動しており、バルブ制御モジュール54は、コモンレール装置22のバルブ30を、例えば図3を参照して上文中に説明したように、又は図5を参照して以下に説明するように、所定のバルブ制御戦略に従って作動している。この時、バルブ制御戦略は待機状態にあり、エンジン管理システムから受信されるべきエンジン停止信号を監視している。
工程202では、バルブ制御モジュール54はエンジン停止信号を受信し、これに応じてバルブ30を作動し、加圧燃料が副容積28に捕捉されるように、主容積27を副容積28から遮断する。ここで、バルブ制御戦略は別の待機状態に入り、エンジン管理システムから受信されるべきエンジン始動信号を監視する。エンジン停止信号を受信した後、主容積27内の圧力を大幅に周囲圧力まで低下し、システム内の応力を減少するということに着目されるべきである。
工程204でエンジン始動信号を受信すると、バルブ制御戦略は、エンジンの始動時間を最小にするため、バルブ30についての最も適当な作動を決定するプロセスを開始する。このプロセスの第1の作動で、工程204で、バルブ制御戦略は、副容積28に取り付けられた圧力センサ(図2には示さず)を読み取ることによって、副容積28内に収容された燃料の圧力を評価する。別の態様では、主容積27を副容積28から遮断する(この時でなければ、主容積27及び副容積28内の圧力は等しい)直前の主容積27内の圧力を表す値をメモリーから引き出すことによって、副容積28内の圧力を決定できるということは理解されるべきである。
工程206で、バルブ30を適当に作動することによって主容積27を副容積28と連結した場合の燃料の圧力を決定するため、計算を行う。
工程208で、工程206で計算した値(以下、「組み合わせ容積圧力」と呼ぶ)を、エンジンを始動可能にする上で必要な、即ちエンジンのシリンダ内で燃焼を行うのに必要な最小燃料圧力(以下、「最小始動圧力」と呼ぶ)を表す所定の値と比較する。
組み合わせ容積圧力が最小始動圧力と等しいか或いはそれ以上であることが工程208で確認された場合には、戦略は工程210に進み、ここでバルブ制御モジュール54がバルブ30を作動し、主容積27を副容積28と連結する。その後、高圧ポンプ24がポンプ制御モジュール52の制御下で燃料をコモンレール装置22に最小送出量で送出する。これは、コモンレールが最小始動圧力に達するために燃料の送出が必要とされないためである。
最後に、工程212で、エンジンを再始動し、プロセスは工程214に進む。この工程で、現在のバルブ制御戦略が、エンジンの通常作動用の別の制御戦略に制御を受け渡す。次いで工程200に進み、次のエンジン停止信号を待機する。ここで、例えば、主容積27内の圧力をできるだけ急速に上昇するため、主容積27を副容積28から遮断するコマンドをバルブ30に与えてもよい。
決定工程208に戻る。組み合わせ容積圧力が最小始動圧力よりも低いことが確認された場合には、プロセスは工程218に進む。この工程では、バルブ30を、主容積27をから副容積28から遮断する位置に維持する。次いで、工程220に進み、この工程でポンプ制御モジュール52により燃料ポンプ24を制御し、最小始動圧力に達するまで、主容積27への燃料送出量を最大にする。その後、プロセスは工程212に進み、この工程でエンジンを始動する。次いで、工程214で現在のバルブ制御戦略が、エンジンの通常作動用の別の制御戦略に制御を受け渡す。次いで工程200に進み、次のエンジン停止信号を待機する。
この制御戦略の実施例の利点は、組み合わせ容積圧力が十分であることが計算された場合には、副容積28に貯えられた圧力により、主容積27及び副容積28の組み合わせ容積内の圧力をブーストできるようにバルブ30を作動するだけで、ほぼ瞬間的にエンジンの最小始動圧力に達するということである。
図4を参照して上文中に説明した制御戦略を補完するため、バルブ制御モジュール54が工程202でエンジン停止信号を受け取ったとき、副容積28内の圧力ができるだけ高いということが、必須ではないが、望ましい。従って、図4を参照して説明した制御戦略に対する変形例の制御戦略をバルブ制御モジュール54によって実施してもよい。この際、続いて行われるエンジン停止事象の準備で副容積が適当な圧力にあるように、エンジンは作動している。
図5を参照すると、変形例のバルブ制御戦略は工程300で開始する。工程300で、エンジンは実質的に安定的に作動しており、バルブ30は第2位置にあり、主容積27が副容積28から遮断されている。
工程302で、プロセスは監視段階に入り、主容積27及び副容積28の両方の圧力を計測する。次いで、これらの二つの値を決定工程304で比較する。主レール容積内の圧力が副レール容積内の圧力よりも低いことが確認された場合には、プロセスは工程302に戻り、ループを繰り返す。
しかしながら、主容積27内の圧力が副容積28内の圧力よりも大きいことが確認された場合には、プロセスは工程306に進み、この工程306でバルブ制御モジュール54がバルブ30を作動し、主容積27及び副容積28の二つの容積内の圧力を等しくできるのに十分な所定期間に亘って、主容積27を副容積28に連結する。
工程308で、バルブ制御モジュール54がバルブ30を再び作動してその第1位置に戻し、主容積27を副容積28から遮断し、これによって副容積28内に最大化した燃料圧力を捕捉する。プロセスは、次いで、工程302に戻り、この工程302で監視段階を続行する。有利には、この実施例により、副容積28は、常に、最高可能圧力にある。この最高可能圧力は、図4を参照して上文中に説明したエンジン始動事象の制御戦略に特に適しており、主容積及び副容積の組み合わせ容積の圧力が最小始動圧力と等しいか或いはそれ以上である可能性を高くする。
この実施例では、エンジンの通常作動状態中に主容積及び副容積が互いからほぼ遮断されているため、主容積27を副貯蔵容積28よりもかなり大きくするのが好ましいということは理解されるべきである。
変形例の制御戦略を上文中に説明した。コモンレール装置22の別の形体を図6に示す。図6では、図2に示すのと同様の部分に同じ参照番号が付してある。図6のコモンレール装置22は、図2のコモンレール装置22とほぼ同じであり、相違点だけをここに説明する。更に、図3、図4、及び図5の制御戦略は、図6のコモンレール装置22に適用できるということに着目されるべきである。
図6では、コモンレール装置22は、電動式三方向バルブ59を含む。三方向バルブ59は、第1位置及び第2位置において図2の実施例の二方向バルブ30と同様に作動できるが、主容積27が副容積28から遮断され、副容積28が低圧ドレン、例えば車両の燃料タンク35と連通した第3位置でも作動できる。従って、有利には、主容積27内の燃料の圧力に影響を及ぼすことなく、副容積28内の加圧燃料を排出できる。これは、特定のエンジン燃焼要求及び/又はシステム内の応力低減に対して望ましい。
更に、又は上述の実施例の変形例として、三方向バルブ59は、主容積27を低圧ドレン35に連結する位置に作動するように形成されていてもよい。
特許請求の範囲に定義した本発明の全概念から逸脱することなく、上述の実施例に様々な変更を加えてもよいということは理解されるべきである。例えば、主容積は副容積よりも大きいと上文中に説明したけれども、必ずしもそのようになっていなくてもよく、システムが使用されるべき用途の設計上の配慮に応じて副容積の大きさが主容積と等しくてもよいし、これよりも大きくてもよい。更に、図2及び図6に示す燃焼噴射システムの正確な形体は単なる例示であって、本発明を限定しようとするものではないということは理解されよう。例えば、燃料をタンクからコモンレール装置に直接的に圧送するものとしてポンプを示したが、実際には、燃焼噴射システムは、燃料フィルタを含んでいてもよく、更に燃料冷却器又は燃料加熱器を含んでいてもよいが、これらは、添付の特許請求の範囲に定義されているように、本発明の概念にとって必須ではない。更に、図2及び図6を参照して上文中に単一の副容積を説明したが、容積を高度に制御できる別の実施例を以下に説明する。
図7は、理解を容易にするため、コモンレール装置を含む燃料噴射システムを簡略化した概略の形態で示す。図2及び図6の実施例と同様に、高圧ポンプ62から加圧燃料を受け取って加圧燃料を複数の燃料インジェクタ64に供給する主燃料容積60が設けられている。しかしながら、この実施例では、バルブ68を介して主容積60に連結された第2容積66に加え、第3及び第4の容積70、72が更に設けられている。これらの容積は、各々、夫々のバルブ74、76を介して主容積60に連結されている。バルブ68、74、76の作動に対する適当な電子的制御により、アキュムレータ装置の全容積は高度の制御により可変であり、これにより、燃焼効率に関して更なる利点が提供される。勿論、これらのバルブ68、74、76の各々は、適宜、二方向バルブ又は三方向バルブのいずれであってもよい。
20 燃料噴射システム
22 コモンレール装置
24 高圧燃料ポンプ
26 燃料インジェクタ
27 主容積
28 副容積
30 二方向バルブ
32 圧力センサ

Claims (15)

  1. 圧縮点火式内燃エンジンで使用するのに適した流体アキュムレータ装置であって、第1貯蔵容積(27)と、第2貯蔵容積(28)と、前記第1貯蔵容積(27)と前記第2貯蔵容積(28)とを流体的に連結するバルブ手段(30、59)と、エンジン始動事象を示す信号を受けるように構成された制御手段(54)とを含み、前記エンジン始動事象を示す信号を受けたとき、前記制御手段(54)は、
    i)前記第1貯蔵容積内の流体圧力を示す第1圧力値を決定し、
    ii)前記第2貯蔵容積内の流体圧力を示す第2圧力値を決定し、
    iii)前記第1貯蔵容積及び前記第2貯蔵容積の組み合わせ容積の流体圧力を示す第3圧力値を計算し、
    iv)前記第3圧力値を所定の閾値と比較し、
    v)前記第3圧力値が前記所定の閾値と実質的に等しいか或いはそれより大きい場合、前記第1貯蔵容積及び前記第2貯蔵容積を流体的に連結するように前記バルブ手段を作動する、流体アキュムレータ装置。
  2. 請求項1に記載の流体アキュムレータ装置において、
    前記所定の閾値は、関連したエンジンで燃焼事象を開始するのに必要とされる、前記第1貯蔵容積で必要な最小流体圧力を示す値である、流体アキュムレータ装置。
  3. 請求項1又は2に記載の流体アキュムレータ装置において、
    前記制御手段は、エンジン停止事象の信号を受信し、これに応じて、続いて行われるエンジン始動事象の前に、前記バルブ手段に前記第1貯蔵容積を前記第2貯蔵容積から遮断させる、流体アキュムレータ装置。
  4. 請求項1、2、又は3に記載の流体アキュムレータ装置において、
    前記制御手段は、前記バルブ手段を、関連したエンジンの作動中に作動し、前記第2貯蔵容積内の圧力を最適にするように構成されている、流体アキュムレータ装置。
  5. 請求項4に記載の流体アキュムレータ装置において、
    前記制御手段は、前記第1貯蔵容積及び前記第2貯蔵容積が互いから遮断されたとき、前記第1貯蔵容積及び前記第2貯蔵容積内の燃料の圧力を監視するように構成されており、前記第1貯蔵容積内の圧力が前記第2貯蔵容積内の圧力よりも高い場合、所定期間に亘り、前記第1貯蔵容積を前記第2貯蔵容積と連結するように構成されている、流体アキュムレータ装置。
  6. 圧縮点火式内燃エンジンで使用するのに適した流体アキュムレータ装置において、第1貯蔵容積(27)と、第2貯蔵容積(28)と、前記第1貯蔵容積(27)と前記第2貯蔵容積(28)とを流体的に連結するバルブ手段(30、59)と、エンジン作動条件の安定性を示す信号を受信し、この信号に応じて前記バルブ手段(30、59)を制御するように作動できる制御手段(54)とを含む、流体アキュムレータ装置。
  7. 請求項に記載の流体アキュムレータ装置において、
    前記信号が比較的安定したエンジン作動条件を示す場合、前記制御手段(54)は、前記第1貯蔵容積(27)が前記第2貯蔵容積(28)と連通するように前記バルブ手段(30、59)を作動する、流体アキュムレータ装置。
  8. 請求項又はに記載の流体アキュムレータ装置において、
    前記信号が比較的不安定なエンジン作動条件を示す場合、前記制御手段(54)は、前記第1貯蔵容積(27)が前記第2貯蔵容積(28)から遮断されるように前記バルブ手段(30、59)を作動する、流体アキュムレータ装置。
  9. 請求項6、7、又は8に記載の流体アキュムレータ装置において、
    前記信号は、前記第1貯蔵容積内の要求燃料圧力を示す値である、流体アキュムレータ装置。
  10. 請求項乃至のうちのいずれか一項に記載の流体アキュムレータ装置において、
    前記制御手段(54)は、エンジン始動事象を示す信号を受け取るように構成されており、前記エンジン始動事象では、前記制御手段(54)は、前記第1貯蔵容積(27)が前記第2貯蔵容積(28)から遮断されるように前記バルブ手段(30、59)を作動する、流体アキュムレータ装置。
  11. 圧縮点火式内燃エンジンで使用するのに適した流体アキュムレータ装置(22、100)において、第1貯蔵容積(27)と、第2貯蔵容積(28)と、前記第1貯蔵容積(27)と前記第2貯蔵容積(28)との間を流体的に連結するバルブ手段(30、59)とを含み、前記バルブ手段は三方向制御バルブ(59)であり、第1位置において、前記第1貯蔵容積(27)は前記第2貯蔵容積(28)と連通し、第2位置において、前記第1貯蔵容積(27)は前記第2貯蔵容積(28)から遮断され、第3位置において、前記第1貯蔵容積(27)又は前記第2貯蔵容積(28)のうちの一方が低圧ドレン(35)と連通する、流体アキュムレータ装置。
  12. 請求項11に記載の流体アキュムレータ装置において、更に、
    別の一つ又はそれ以上の貯蔵容積(70、72)を含み、これらの容積の各々には、追加の前記別の一つ又はそれ以上の貯蔵容積(70、72)を前記第1貯蔵容積(27、60)に連結するため、二方向バルブ又は三方向バルブ(74、76)が夫々設けられている、流体アキュムレータ装置。
  13. 請求項11又は12に記載の流体アキュムレータ装置において、
    前記第1貯蔵容積(27)は、一つ又はそれ以上の燃料インジェクタ(26)と連通している、流体アキュムレータ装置。
  14. 請求項11乃至13のうちのいずれか一項に記載の流体アキュムレータ装置において、
    前記第1貯蔵容積(27)は、流体圧力感知手段(32)を含む、流体アキュムレータ装置。
  15. 請求項11乃至14のうちのいずれか一項に記載の流体アキュムレータ装置において、
    前記第1貯蔵容積(27)は、高圧流体ポンプ(24)への連結部を含む、流体アキュムレータ装置。
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