JP3966749B2 - 液化ガス燃料供給システム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液化ガスを燃料とする液化ガス燃料供給システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
液化ガス燃料をエンジンシリンダ内に噴射して燃焼させる場合、液化ガスを加圧して液体の状態で噴射系に供給する必要があるが、特にディーゼルエンジンのような高圧縮エンジンに用いる場合には、液化ガスを極めて高い圧力で加圧して燃料噴射系に供給する必要がある。
【0003】
各種の液化ガスのうち、軽油に代わるディーゼル燃料として、セタン価が高く且つPMとNOxの発生が少なく、とりわけススの発生の極めて少ないジメチルエーテル(以下、DMEと言う)が低公害燃料として検討されているが、軽油に比べて粘性が大幅に低いため、エンジン停止中に於いて燃料配管内の高い燃料残圧により、メタルシールの電磁弁を有するインジェクタにあっても、インジェクタの噴孔からエンジンシリンダ内へDMEが徐々に漏れて滞留し、エンジンの始動時に異常燃焼を生じるという問題がある。
【0004】
この問題を解決するため、従来より各種の提案がされているが、代表的なものとしてドイツ特許第19611434号A1公報が挙げられる。
【0005】
前記公報は、エンジン停止中にインジェクタへ高圧燃料を供給するコモンレールを含む高圧燃料供給系及びインジェクタへの余剰燃料を燃料タンクに戻す燃料リターン系の配管内に残留する高圧液状のDMEを、複数の弁装置を開閉制御して低圧の捕集容器(パージタンクとも言う)に回収することにより、インジェクタの噴孔を大気圧に維持して、噴孔からのDMEの漏れを防止するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報に開示されているパージタンクは、高圧液状の残留DMEを低圧のガス状態で回収し貯留するために必然的に大容量となり、例えば、180リットルもある大型タンクとなるため、車両への搭載性に特に難点があることに加え装置コストも高くなるので、実用化に当たっては問題があった。
【0007】
そこで、本出願人は、先に、エンジン停止時に、インジェクタの噴孔からエンジンのシリンダ内に粘性の低いジメチルエーテル(DME)のような液化ガス燃料が漏れるのを防止するため、エンジン停止時に於いて、インジェクタを含む高圧燃料経路の一部を弁手段により区画隔離し、この隔離された隔離部分に残留する高圧液状燃料を燃料タンクに冷却器を通して直接に戻し、次いで隔離部分の圧力が設定値以下に低下した時点で、隔離部分に未だ残留しているガス状燃料をコンプレッサにより吸引して燃料タンクに戻すようにし、インジェクタの噴孔を大気圧近くに維持して、インジェクタの噴孔からの燃料漏れを無くすようにしたものを特願2002−26360号で出願した。
【0008】
ところで、エンジン運転中に、圧力調整器を介して冷却器を通り燃料タンクに戻って来る高圧液状燃料は、インジェクタから間欠的に噴射される燃料の一部が間欠的に戻って来るが、この場合は単位時間当たりの燃料戻り量は小さいので、所定の温度以下に冷却する冷却器の冷却能力は、それほど大きくなくても良い。そのため、燃料タンクに戻って来る燃料の冷却不足により、燃料タンクの圧力が限界値を超えることはエンジン運転中は無かった。
【0009】
しかしながら、前記の先の出願では、エンジン停止時に、隔離部分に残留する高圧液状燃料がバイパス経路を介して冷却器を通り燃料タンクに一度に戻って来る方式を用いているため、単位時間当たりの燃料戻り量は大きく、それにより冷却器の冷却能力不足から所定の温度以下に燃料を冷却することが出来ない場合には、燃料タンク内が限界温度を超えてタンク内の圧力が限界値を超える事態を生じる。また、夏場の大気温度が高い場合には燃料タンク自身が輻射熱により高温(50℃)となる。
【0010】
すなわち、安全弁の作動圧力は高圧ガス保安法により各燃料の最高充填圧力から決まるものであり、DMEの場合、その設定圧力は1.44MPaである。前記のように、冷却不足の燃料が燃料タンクに戻ってその燃料タンク内の温度が、例えば60℃になると、DMEの燃料タンク内圧力が図11の蒸気圧線図から明らかなように、1.5MPa弱となり、前記圧力限界値よりも超える事態が生じる。
【0011】
このような事態を解決するためには、冷却器の冷却能力を適合する能力まで上げれば良いが、その場合には冷却器が必然的に大型化するため、限定された車両の搭載スペースに対して、冷却器の大型化は車両への搭載上の問題を新たに抱えることになる。
【0012】
そこで本願発明は、前記本出願人が先に出願した液化ガス燃料供給システムに於いて、エンジンの停止時に、燃料タンク内の蒸気(ガス)圧を、前記の冷却器を利用して制御する簡単な圧力制御機構を付加することにより、前記のような燃料タンク内の圧力が限界値を超える事態と、冷却器の大型化の問題を共に解決する液化ガス燃料供給システムを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1に記載の第1の発明は、液化ガスを貯留する燃料タンクから高圧ポンプを介してエンジンへの燃料噴射器に燃料を供給する高圧燃料供給経路と、
前記高圧燃料供給路から圧力調整器と冷却器を介して前記燃料タンクに燃料を戻す燃料リターン経路と、
エンジン停止時に、前記高圧燃料供給路における燃料噴射器部を隔離して、該隔離部分の残留高圧液状燃料を前記圧力調整器をバイパスして前記燃料リターン経路における冷却器の上流側に戻すバイパス経路と、
前記隔離部分の残留高圧液状燃料を燃料タンクへ戻した後に、隔離部分に残留するガス状燃料をコンプレッサを介して前記燃料リターン経路における冷却器の上流側に戻すバイパス経路と、
前記各経路への燃料の流れを制御する制御手段と、
前記燃料タンクから分岐して前記ガス状燃料用のバイパス経路におけるコンプレッサの上流側に接続されたガス抜き経路と、
エンジン停止時に、前記燃料タンクのガス状燃料を前記ガス抜き経路を介して前記冷却器を通して前記燃料タンクに循環させる圧力制御手段と、
を備えたことを特徴とする液化ガス燃料供給システムである。
【0014】
上記の発明において、エンジン停止時には、高圧燃料供給路における燃料噴射器部を隔離し、隔離部分に残留する高圧液状燃料をバイパス経路から燃料タンクに回収する。また、隔離部分に残留するガス状燃料をコンプレッサによりバイパス経路から燃料タンクに回収する。これにより、隔離部分の圧力を略大気圧に低下させることができ、エンジン停止時に於いて、隔離部分に連通している燃料噴射器の噴孔からエンジンシリンダ内への燃料漏れは無くなる。
【0015】
また、エンジン停止時に於いて前記のように、隔離部分の燃料が燃料タンクへ戻される際に、燃料タンク内の圧力が設定値以上になると、圧力制御手段によって、ガス抜き経路が開かれるとともにコンプレッサが作動し、燃料タンク内のガス状燃料はコンプレッサに吸引され、冷却器で冷却されてから燃料タンク内に戻る循環を繰り返す。これにより、燃料タンク内の温度が低下し、燃料タンク内の圧力は急速に低下する。
【0016】
燃料タンク内の圧力が設定値以下になると、圧力制御手段によりガス抜き経路が閉ざされる。
【0017】
したがって、冷却器の能力を上げることなく、燃料タンク内の圧力が限界値を超えるような事態になることが未然に防止される。
【0018】
請求項2記載の第2の発明は、液化ガスを貯留する燃料タンクから高圧ポンプを介してエンジンへの燃料噴射器に燃料を供給し、所定の燃料噴射圧力に調圧する圧力調整器と冷却器を介して前記燃料タンクに燃料を戻す液化ガス燃料供給システムであって、
前記高圧ポンプから前記燃料噴射器に接続される高圧燃料供給経路に設けられ、該高圧燃料供給経路を開閉する高圧経路開閉弁と、
前記圧力調整器を介して燃料タンクに燃料を戻す燃料リターン経路に設けられ、該燃料リターン経路を開閉すると共に前記圧力調整器をバイパスして前記燃料リターン経路に接続される第1のバイパス経路へ切り替えるリターン経路切替弁と、
前記高圧経路開閉弁と前記リターン経路切替弁とにより区画される隔離部分から分岐し、前記燃料リターン経路に於ける冷却器の上流側に接続される第2のバイパス経路と、
該第2のバイパス経路に設けられ、該第2のバイパス経路を開閉するバイパス経路開閉弁と、
前記バイパス経路開閉弁の下流側に位置する前記第2のバイパス経路に設けられ、前記隔離部分のガス状燃料を吸引圧縮して前記冷却器を通して前記燃料タンクに戻すコンプレッサと、
前記各経路への燃料の流れを制御する制御手段と、
前記燃料タンクから分岐して前記バイパス経路開閉弁と前記コンプレッサの間の前記第2のバイパス経路に接続されるガス抜き経路と、
エンジン停止時に、前記燃料タンクのガス状燃料を前記ガス抜き経路を介して前記冷却器を通して前記燃料タンクに循環させる圧力制御手段と、
を備えたことを特徴とする液化ガス燃料供給システムである。
【0019】
上記の発明によれば、前記の高圧経路開閉弁とリターン経路切替弁とにより区画される隔離部分は、燃料噴射器の噴孔に連通しており、且つ前記の両弁により前記の燃料タンクに比べて大幅に小さい容積に区画設定されている。
【0020】
ここで、エンジン停止時には、高圧経路開閉弁、リターン経路切替弁、バイパス経路開閉弁及びコンプレッサが制御され、隔離部分に残留する高圧液状燃料は第1のバイパス経路から燃料タンクに回収され、また、隔離部分のガス状の残留燃料は第2のバイパス経路を通じて、隔離部分の圧力が略大気圧に低下するまでコンプレッサにより吸引されて減圧される。そのため、エンジン停止時に於いて、隔離部分に連通している燃料噴射器の噴孔からエンジンシリンダ内への燃料漏れは無くなる。
【0021】
また、エンジン停止時に於いて前記のように、第1のバイパス経路から高圧液状燃料が燃料タンクに戻される際及び第2のバイパス経路からガス状の燃料が燃料タンクへ戻される際に、燃料タンク内の圧力が設定値以上になると、圧力制御手段によって、ガス抜き経路が開かれ、燃料タンク内のガス状燃料はコンプレッサに吸引され、冷却器で冷却されてから燃料タンク内に戻る循環を繰り返す。これにより、燃料タンク内の温度が低下し、燃料タンク内の圧力は急速に低下する。
【0022】
燃料タンク内の圧力が設定値以下になると、圧力制御手段によりガス抜き経路が閉ざされる。
【0023】
したがって、冷却器の能力を上げることなく、燃料タンク内の圧力が限界値を超えるような事態になることが未然に防止される。
【0024】
請求項3記載の第3の発明は、液化ガスを貯留する燃料タンクから高圧ポンプを介してエンジンへの燃料噴射器に燃料を供給し、所定の燃料噴射圧力に調圧する圧力調整器と冷却器を介して前記燃料タンクに燃料を戻す液化ガス燃料供給システムであって、
前記高圧ポンプから前記燃料噴射器に接続される高圧燃料供給経路に設けられ、該高圧燃料供給経路を開閉する高圧経路開閉弁と、
前記圧力調整器を介して燃料タンクに燃料を戻す燃料リターン経路に設けられ、該燃料リターン経路を開閉するリターン経路開閉弁と、
前記高圧経路開閉弁と前記リターン経路開閉弁とにより区画される隔離部分から分岐し、前記燃料リターン経路に於ける冷却器の上流側に接続される第2のバイパス経路と、
該第2のバイパス経路に設けられ、該第2のバイパス経路を開閉するとともに前記圧力調整器をバイパスして前記燃料リターン経路に接続される第3のバイパス経路へ切り替えるバイパス経路切替弁と、
前記バイパス経路切替弁の下流側に位置する前記第2のバイパス経路に設けられ、前記隔離部分のガス状燃料を吸引圧縮して前記冷却器を通して前記燃料タンクに戻すコンプレッサと、
前記各経路への燃料の流れを制御する制御手段と、
前記燃料タンクから分岐して前記バイパス経路切替弁と前記コンプレッサの間の前記第2のバイパス経路に接続されるガス抜き経路と、
エンジン停止時に、前記燃料タンクのガス状燃料を前記ガス抜き経路を介して前記冷却器を通して前記燃料タンクに循環させる圧力制御手段と、
を備えたことを特徴とする液化ガス燃料供給システムである。
【0025】
この第3の発明によれば、請求項2に記載の発明に対して異なる点は、請求項2に記載のリターン経路切替弁に代えてリターン経路開閉弁を用いた点と、バイパス経路開閉弁に代えてバイパス経路切替弁を用いた点であり、それに伴い前記の隔離部分を区画する弁と、前記の第1のバイパス経路に相当する第3のバイパス経路に切り替える弁とが違っているだけであるので、前述の請求項2に記載の発明に於いて述べた作用、効果が得られる。
【0026】
請求項4記載の第4の発明は、前記第1又は第2又は第3の発明において、前記圧力制御手段が、前記燃料タンク内の圧力を検出する圧力センサと、該圧力センサの検出値に基づいて前記ガス抜き経路を開閉する開閉弁とよりなる液化ガス燃料供給システムである。
【0027】
本第4の発明によれば、前記のガス抜き経路を開閉する圧力制御手段として、燃料タンク内の圧力を検出する圧力センサの検出値に応じてガス抜き経路を開閉する開閉弁を用いているので、燃料タンクの圧力制御が精度良く行われる。
【0028】
請求項5記載の第5の発明は、前記第1又は第2又は第3の発明において、前記圧力制御手段が、前記燃料タンク内の圧力に応じて前記ガス抜き経路を開閉する圧力調整弁と、該圧力調整弁の開作動とともにコンプレッサを起動するコンプレッサ起動手段よりなる液化ガス燃料供給システムである。
【0029】
本発明によれば、前記の圧力センサと開閉弁に代えて、燃料タンクの圧力に応じて前記のガス抜き経路を開閉する圧力制御弁とコンプレッサ起動手段を用いているので、前記第1の発明と同等の効果がある。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図1乃至図8に基づいて説明する。
【0031】
図1は本発明の第1実施例を示すシステム構成図で、図中、1は液化ガスを貯留する燃料タンクであり、例えば20℃で約0.5MPaの蒸気圧を有するDMEが貯留されている。この燃料タンク1内には、DMEを所定圧(例えば約3MPa)に昇圧して圧送するフィードポンプ2が配設されており、フィードポンプ2から圧送されたDEMを更に所定圧(例えば25MPa〜35MPa)の高圧に昇圧する高圧ポンプ3が配設されていて、この高圧ポンプ3から圧送される高圧のDMEを蓄圧するコモンレール4を通じ、エンジン6の各シリンダ(図示せず)に高圧のDMEを噴射する電磁弁(図示せず)を内蔵したインジェクタ5が設けられている。
【0032】
高圧ポンプ3とコモンレール4を結ぶ高圧燃料供給経路Sには、該経路Sを開閉する電磁式の二方弁より成る高圧経路開閉弁11が設けられている。また、コモンレール4からは、圧力調整器7を介して前記燃料タンク1へ連通する燃料リターン経路Rが設けられており、コモンレール4から高圧の余剰DMEが圧力調整器7で所定の燃料噴射圧力(例えば25MPa〜35MPa)に調圧されてから、燃料リターン経路Rを介して、例えば熱交換器より成る冷却器8と逆止弁9を通じて燃料タンク1に戻されるようになっている。
【0033】
なお、冷却器8は燃料タンク1にリターンして来るDMEを出来るだけ冷却して燃料タンク1に戻すために用いられるものであり、逆止弁9は燃料タンク1内の圧力が過大となった場合、燃料リターン経路RにDMEが逆流するのを阻止するためのものである。
【0034】
ここで、コモンレール4と圧力調整器7とを結ぶ燃料リターン経路部分には、該燃料リターン経路部分を開閉すると共に、圧力調整器7をバイパスして燃料リターン経路Rに接続される第1のバイパス経路R1に切り替えることができる電磁式の三方弁より成るリターン経路切替弁12が設けられている。更に、コモンレール4から分岐され、前記圧力調整器7をバイパスして燃料リターン経路Rに接続される第2のバイパス経路R2が設けられていて、この第2のバイパス経路R2には、上流側に位置して該経路R2を開閉する電磁式の二方弁より成るバイパス経路開閉弁13と下流側に位置してコンプレッサ10が設けられている。
【0035】
コモンレール4とインジェクタ5を含む高圧燃料経路部分には、高圧経路開閉弁11とリターン経路切替弁12との閉弁によって区画される隔離部分Kが形成され、隔離部分Kと前記の各インジェクタ5の噴孔(図示せず)は連通している。この隔離部分Kの容積は、エンジン停止時に残留DMEを迅速に燃料タンク1に回収するため、燃料タンク1に比べて遙かに小さい容積となるように前記の両弁11と12の配設位置が設定されている。
【0036】
また、コモンレール4内には、例えば電極間のインピーダンスによりガス比率を検出する気液センサ21と圧力を検出する圧力センサ22が設けられている。
【0037】
前記のフィードポンプ2、高圧ポンプ3、各インジェクタ5の電磁弁、コンプレッサ10と、高圧経路開閉弁11、リターン経路切替弁12、バイパス経路開閉弁13と、気液センサ21、圧力センサ22等は、制御手段である電子制御装置(以下、ECUと言う)30に接続されており、エンジンの始動運転と停止の作動区分及び気液センサ21と圧力センサ22の検出値に基づいて、フィードポンプ2、高圧ポンプ3、コンプレッサ10の作動と、各インジェクタ5の電磁弁、高圧経路開閉弁11、リターン経路切替弁12、バイパス経路開閉弁13の開閉切り替えが、ECU30によって制御される。
【0038】
前記燃料タンク1にはガス抜き経路Gの一端が、燃料タンク1内の気相部に開口して設けられており、該ガス抜き経路Gの他端が、前記バイパス経路開閉弁13とコンプレッサ10との間の第2のバイパス経路R2に接続されている。更に、該ガス抜き経路Gには、燃料タンク1側(上流側)に位置して、燃料タンク1方向へのガスの流れを阻止する逆止弁41が設けられ、第2のバイパス経路R2側(下流側)に位置して電磁式の二方向弁よりなるガス抜き用開閉弁42が設けられている。更に、前記燃料タンク1には、該燃料タンク1内の圧力を検出する圧力センサ43が設けられている。
【0039】
前記ガス抜き用開閉弁42と圧力センサ43はECU30によって制御されるようになっており、燃料タンク1内の圧力が設定値以上になると、これを圧力センサ43により検出してその信号をECU30に入力し、ECU30からの信号によりガス抜き用開閉弁42が開作動し、燃料タンク1内の圧力が設定値以下になるとガス抜き用開閉弁42が閉作動するようになっている。これらのECU30と、ガス抜き用開閉弁42と圧力センサ43により圧力制御手段を構成している。
【0040】
次に、前記第1実施例の作用について説明する。
【0041】
先ず、先の出願に係る液化ガス燃料の漏れ防止システムについて説明する。
【0042】
エンジン始動及び運転時は、図1に於いて、ECU30によりフィードポンプ2と高圧ポンプ3が作動すると共に、各インジェクタ5の電磁弁、高圧経路開閉弁11、リターン経路切替弁12が開き、且つバイパス経路開閉弁13が閉じる。そのため、燃料タンク1内のDMEは、高圧燃料供給経路Sを通じてコモンレール4に流入して蓄圧され、各インジェクタ5の噴孔からエンジン6の各シリンダ(図示せず)内に高圧噴射されてエンジン6が始動する。各シリンダ内に噴射されたDMEの余剰燃料は、圧力調整器7で調圧されてから燃料リターン経路Rを介して冷却器8と逆止弁9を通り、燃料タンク1に戻るエンジン始動及び運転時の周知の燃料循環が行われる。
【0043】
ここで、エンジン停止時について、図2と図3の燃料流れ経路図及び図9の制御フローチャートに基づいて説明する。
【0044】
先ず、エンジン停止時には、図9に示すように、エンジンスイッチ(図示せず)がOFFされ(ステップ101)、このOFF信号がECU30に入力される。それにより、周知の如くフィードポンプ2と高圧ポンプ3の作動が停止し、且つ各インジェクタ5の電磁弁が閉じるが、これに加えて本発明では、高圧経路開閉弁11が閉じバイパス経路開閉弁13が継続して閉じ(ステップ102)、リターン経路切替弁12が第1のバイパス経路R1側に切り替わる(ステップ103)。
【0045】
この場合、図2の矢印で示すように、コモンレール4と各インジェクタ5を含む隔離部分Kに残留する高圧液状のDMEは、リターン経路切替弁12通じ、第1のバイパス経路R1を介して冷却器8と逆止弁9を通り、燃料タンク1内へ直接に戻る流れとなる。
【0046】
ここで、隔離部分Kは容積が小さいので、高圧液状のDMEは急速に比較的低圧のガス状DMEに変化し、隔離部分Kの温度によって決まる蒸気圧でバランスするが、図9に於いて、気液センサ21により直接に検出される隔離部分Kのガス比率が設定値以上(例えばガス比率90%以上)になると(ステップ104)、リターン経路切替弁12が閉じて(ステップ105)、バイパス経路開閉弁13が開き(ステップ106)、コンプレッサ10が作動する(ステップ107)。なお、ステップ104で気液センサ21の検出値が設定値以下の場合は、ステップ102に戻り前記のフローを繰り返す。
【0047】
コンプレッサ10の作動により、隔離部分Kに残留するガス状のDME(例えば図11に示すように、DMEは80℃で約2.2MPaの蒸気圧を有している。)は、図3の矢印で示すように、隔離部分Kから第2のバイパス経路R2を介してコンプレッサ10により吸引され、冷却器8と逆止弁9を通り、燃料タンク1に戻る流れとなる。
【0048】
ここで、コンプレッサ10の作動により、隔離部分K内は急速に減圧されていくが、図9に示すように、圧力センサ22により検出される隔離部分K内の圧力が設定値以下(例えば圧力0.12MPa以下)になると(ステップ108)、バイパス経路開閉弁13が閉じ(ステップ109)、コンプレッサ10の作動が停止する(ステップ110)。なお、ステップ108で圧力センサ22の検出値が設定値以上の場合は、ステップ105に戻り前記のフローを繰り返す。これにより、各インジェクタ5の噴孔に通じる隔離部分Kの圧力は大気圧近くになるので、噴孔からエンジンシリンダ内にDMEが漏れることは無くなる。
【0049】
次に、前記ガス燃料の漏れ防止システムに付加したガス抜きシステムの作用について説明する。
【0050】
前記のエンジン停止時に於いて、前記図2に示すように、隔離部分Kに残留する液状のDMEが第1のバイパス経路R1から燃料タンク1内へ戻される際に於いて、圧力センサ43とECU30によって燃料タンク1内の圧力値が設定値以上と判断されると、コンプレッサ10が作動されるとともにガス抜き用開閉弁42が開作動してガス抜き経路Gが開かれ、燃料タンク1内の気相部のガス状燃料は、逆止弁41、ガス抜き用開閉弁42、第2バイパス経路R2、コンプレッサ10、冷却器8、逆止弁9を経て燃料タンク1に戻る循環を繰り返し、燃料タンク1内の温度が低下して燃料タンク1内の圧力が急速に低下する。
【0051】
また、前記のエンジン停止時に於いて、前記図3に示すように、コンプレッサ10が作動して隔離部分Kに残留するガス状のDMEが第2のバイパス経路R2から燃料タンク1内へ戻される際に於いて、圧力センサ43とECU30によって燃料タンク1内の圧力値が設定値以上と判断されると、ガス抜き用開閉弁42が開作動してガス抜き経路Gが開かれ、燃料タンク1内の気相部のガス状燃料は、逆止弁41、ガス抜き用開閉弁42、第2バイパス経路R2、コンプレッサ10、冷却器8、逆止弁9を経て燃料タンク1に戻る循環を繰り返し、燃料タンク1内の温度が低下して燃料タンク1内の圧力が急速に低下する。
【0052】
以上のように、燃料タンク1内の圧力が設定値以下に低下すると、その圧力が圧力センサ43により検出され、ECU30によってガス抜き開閉弁42が閉じ、ガス抜き経路Gが閉ざされる。
【0053】
更に詳しくは、燃料タンク1内の気相部のガス状燃料の取り出しにより、燃料タンク1内の液相部の燃料が次々に気化していくため、液相部の燃料の気化によって蒸発潜熱が奪われ、燃料タンク1内の温度は低下していく。
【0054】
この温度低下に伴い、圧力センサ43の検出圧力が前記の設定圧力よりも低くなった場合には,ECU30によりガス抜き用開閉弁42が閉じるので、燃料タンク1内の気相部のガス状燃料の取り出しが停止する。
【0055】
図12は、上記の制御による燃料タンク1内の圧力の推移を模式的に示したものであり、エンジンの作動状況、外気温度により燃料タンク1内の圧力が設定圧力より上昇すると、ガス抜き用開閉弁42が開弁し、燃料タンク1の気相部からガス状燃料が取り出され、コンプレッサ10、冷却器8を経由して冷却されて燃料タンク1内に戻されるので、燃料タンク1内の圧力はPで示す一定の圧力範囲に制御される。
【0056】
したがって、前記のようなガス抜き経路Gによるガスの循環により、燃料リターン通路Rに配置される冷却器8を利用し、且つ、この冷却器8の能力を上げることなく、燃料タンク1内の圧力が限界値を超えるような事態になることを未然に防止することができる。なお、圧力センサ22と43の両者の検知圧力が設定値以下であることを確認してコンプレッサ10の作動を停止するとよい。
【0057】
なお、前記のように、ガス抜き経路Gを開閉する圧力制御手段を、燃料タンク1内の圧力を検出する圧力センサ43と、該圧力センサ43の検出値に基づいて作動するガス抜き開閉弁42を用いて構成したので、燃料タンク1の圧力制御が精度良く行われる。
【0058】
図4は第2実施例を示す。
【0059】
本第2実施例は、前記第1実施例に於けるガス抜き開閉弁42と圧力センサ43を排し、この代わりに、ガス抜き経路Gに圧力調整弁50と流量計51を設けたものである。この圧力調整弁50は、設定圧力で開閉するもので、燃料タンク1内の圧力が設定値以上になるとその圧力がガス抜き経路Gを経て圧力調整弁50に作用して自動的に開弁し、設定値以下になると自動的に閉弁するものである。また、流量計51は、ガス燃料が流れてくるとECU30に信号を発し、この信号によってECU30がコンプレッサ10を起動するようになっている。したがって、この流量計51はコンプレッサ起動手段を構成する。
【0060】
その他の構造は前記第1実施例と同様であるため、同一部分には前記と同一符号を付してその説明を省略する。
【0061】
本第2実施例に於いては、前記のようなエンジン停止時に於いて、前記図2及び図3のような液状及びガス状燃料の戻りの動作に際し、燃料タンク1内の温度が上昇して燃料タンク1内の圧力が設定値以上になると、圧力調整弁50が開作動し、流量計51がガスの流通を検知し、もってコンプレッサ10が起動し、燃料タンク1内のガスが前記と同様にガス抜き経路Gを循環し、燃料タンク1内の温度を下げて燃料タンク1内の圧力を低下させる。
【0062】
燃料タンク1内の圧力が設定値以下になると、圧力調整弁50が自動的に閉弁するとともに流量計51の流量が0となり、コンプレッサ10が停止する。
【0063】
本第2実施例に於いては、圧力制御手段を圧力調整弁50と流量計51で構成したので、前記第1実施例の圧力制御手段とほぼ同様の効果が得られる。なお、前記流量計51の代りに、圧力センサを燃料タンクの気相部に設け、この圧力センサが、圧力調整弁50が開作動する圧力を検知したときにコンプレッサ10を起動するようにしてもよい。すなわち、この圧力センサによりコンプレッサ起動手段を構成してもよい。
または、上記の圧力センサに代えて燃料タンク液相部に温度センサを設け、燃料タンク内の温度が設定値以上になったときにコンプレッサ10を起動するようにしてコンプレッサ起動手段を構成してもよい。
【0064】
次に、図5は本発明の第3実施例を示すシステム構成図で、図1の第1実施例と同じ符号を付したものは、同一又は同等の部分を示す。
【0065】
前述の第1実施例に比べて構成上から異なる点は、図5に示すように、前記のリターン経路切替弁12に代えて、電磁式の二方弁より成るリターン経路開閉弁14を用いた点と、前記のバイパス経路開閉弁13に代えて、電磁式の三方弁より成るバイパス経路切替弁15を用いた点である。
【0066】
それに伴い、前記の隔離部分Kが前記のリターン経路切替弁12に代わって、リターン経路開閉弁14によって区画され、且つ前記第1のバイパス経路R1に代わってバイパス経路切替弁15と燃料リターン経路Rを連通する第3のバイパス経路R3を設け、調圧弁7をバイパスする切り替えが前記のリターン経路切替弁12と第1のバイパス通路R1に代わって、バイパス経路切替弁15と第3のバイパス経路R3によって切り替えられる点が違っており、その他の点については図1の第1実施例と同じである。
【0067】
次に、本第3実施例の作用について説明する。
【0068】
先ず、液化ガス燃料の漏れ防止システムについて説明する。
【0069】
エンジン始動及び運転時は、第1実施例の場合と同じ燃料循環であるので、説明は省略する。
【0070】
エンジン停止時については、図6と図7の燃料流れ経路図及び図10の制御フローチャートに基づいて、第1実施例の場合と同じ部分は省略しながら説明する。
【0071】
初めに、エンジン6が停止すると、図10に示すように、エンジンスイッチのOFF(ステップ201)により、高圧経路開閉弁11とリターン経路開閉弁14が閉じ(ステップ202)、バイパス経路切替弁15が第3のバイパス経路R3側に切り替わる(ステップ203)。
【0072】
この場合、図6の矢印で示すように、隔離部分Kに残留する高圧液状のDMEは、バイパス経路切替弁15を通じ、第3のバイパス経路R3を介して冷却器8と逆止弁9を通り、燃料タンク1内へ直接に戻る流れとなる。
【0073】
次いで、図10に示すように、気液センサ21により検出される隔離部分Kのガス比率が設定値以上(例えばガス比率90%以上)になると(ステップ204)、バイパス経路切替弁15が第2のバイパス経路R2側に切り替わり(ステップ205)、コンプレッサ10が作動する(ステップ206)。
【0074】
この場合、隔離部分Kに残留するガス状のDMEは、図7の矢印で示すように、第2のバイパス経路R2を介してコンプレッサ10に吸引され、冷却器8と逆止弁9を通り、燃料タンク1内へ戻る流れとなる。そして、図10に示すように、圧力センサ22により検出される隔離部分Kの圧力が設定値以下(例えば圧力0.12MPa以下)になると(ステップ207)、バイパス経路切替弁15が閉じ(ステップ208)、コンプレッサ10の作動が停止するので(ステップ209)、第1実施例の場合と同じく、各インジェクタ5の噴孔からエンジンの各シリンダ内にDMEが漏れることは無くなる。
【0075】
次に、前記のガス燃料の漏れ防止システムに付加したガス抜きシステムの作用について説明する。
【0076】
本第3実施例においても、図6に示すように、前記高圧経路開閉弁11とリターン経路開閉弁14の閉弁によりバイパス経路切替弁15が第3のバイパス経路R3側に切り替って高圧液状のDMEが該経路R3を介して冷却器8、逆止弁9を経て燃料タンク1へ戻る流れと、図7に示すように、気液センサ21により検出される隔離部分Kのガス比率が設定値以上になって、バイパス経路切替弁15が第2のバイパス経路R2に切り替り、コンプレッサ10が作動して隔離部分Kに残留するガス状のDMEが第2のバイパス経路R2から燃料タンク1内へ戻される。このとき、圧力センサ43とECU30によって燃料タンク1内の圧力値が設定値以上と判断されると、ガス抜き用開閉弁42が開作動してガス抜き経路Gが開かれ、燃料タンク1内のガス状燃料は、逆止弁41、ガス抜き用開閉弁42、第2バイパス経路R2、コンプレッサ10、冷却器8、逆止弁9を経て燃料タンク1に戻る循環を繰り返し、燃料タンク1内の温度が低下して燃料タンク1内の圧力が急速に低下する。尚、本実施例における燃料タンク1の圧力制御は前記第1実施例の場合と同じであるので、重複説明は省略する。
【0077】
したがって、本第3実施例に於いても前記第1実施例と同様の効果を発揮する。
【0078】
図8は第4実施例を示す。
【0079】
本第4実施例は、前記図5に示す第3実施例に於けるガス抜き開閉弁42と圧力センサ43を排し、この代わりに、ガス抜き経路Gに、前記図4に示す第2実施例と同様の圧力調整弁50と流量計51を設けたものである。
【0080】
その他の構造は前記第3実施例と同様であるため、前記と同一部分には前記と同一符号を付してその説明を省略する。
【0081】
したがって、本第4実施例に於いても前記図4に示す第2実施例と同様の効果を発揮できる。
【0082】
なお、前記各実施例では、隔離部分Kのガス比率を気液センサ21で直接に検出する方法を用いたが、気液センサ21に代えて温度センサを用いることにより、温度センサで検出される隔離部分Kの温度と、前記の圧力センサ22で検出される隔離部分Kの圧力とにより、図11に示すDMEの蒸気圧線図から隔離部分Kのガス比率を間接的に求めることが可能である。
【0083】
更に、第1のバイパス経路R1又はR3側への切り替えから第2のバイパス経路R2側への切り替えに要する時間を予め実験で求めておけば、この時間をタイマで制御することにより、隔離部分Kのガス比率を間接的に検出して制御するのと同じになるので、気液センサ21は廃止される。
なお、本実施例においても、前記図4の実施例と同様に、流量計51に代えて圧力センサ、もしくは温度センサを利用して、これをコンプレッサ起動手段としてもよい。
【0084】
更に、前記各実施例では、コモンレール式の燃料噴射装置に適用した場合について述べたが、従来からあるジャーク式の燃料噴射装置にも適用することができる。
【0085】
なお、液化ガス燃料としてDMEを取り上げたが、DMEのように粘性の低い液化ガスならば、本実施例と同様の効果が得られる。また、燃料リターン経路やバイパス経路の切替弁として電磁式の三方弁を用いたが、通常の電磁式の二方弁をそれぞれ2個用いることにより、同様の機能を得ることができる。
【0086】
【発明の効果】
本発明は以上述べたように構成されているので、次の効果を奏する。
【0087】
隔離部分に連通している各燃料噴射器の各噴孔は、エンジン停止時に於いて、略大気圧に維持されるので、各噴孔からエンジンの各シリンダ内への燃料の漏れが無くなり、それによってエンジン始動時の異常燃焼の発生が防止される。
【0088】
更に、高圧液状の燃料を捕集するための大型パージタンクを必要としないので、車両への搭載性も問題が無く、且つシステムが比較的簡単な構成と簡単な制御で成り立つので、システムの装置コストが安くなる。
【0089】
更に、エンジンの停止中に於ける前記の燃料の戻し時に、燃料タンク内の圧力が設定値以上になった場合には、燃料タンク内のガス状燃料を、ガス抜き経路から冷却器を介して燃料タンクに戻すような循環を繰り返すことができるので、燃料タンク内の圧力を急速に低下させることができる。そのため、冷却器の能力を上げることなく、燃料タンク内の圧力が限界値を超えるような事態になることを未然に防止できる。
【0090】
また、請求項4及び5に記載の発明によれば、燃料タンク内の圧力制御が精度良く行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すシステム構成図。
【図2】図1のシステムに於けるエンジン停止当初の燃料流れを示す経路図。
【図3】図1のシステムに於けるエンジン停止途中からの燃料流れを示す経路図。
【図4】本発明の第2実施例を示すシステム構成図。
【図5】本発明の第3実施例を示すシステム構成図。
【図6】図5のシステムに於けるエンジン停止当初の燃料流れを示す経路図。
【図7】図5のシステムに於けるエンジン停止途中からの燃料流れを示す経路図。
【図8】本発明の第4実施例を示すシステム構成図。
【図9】図1の第1実施例のエンジン停止時の制御フローチャート。
【図10】図5に示す第3実施例のエンジン停止時の制御フローチャート。
【図11】DME(ジメチルエーテル)の蒸気圧線図。
【図12】本発明による燃料タンク内の圧力推移を示す図。
【符号の説明】
1 燃料タンク
2 フィードポンプ
3 高圧ポンプ
4 コモンレール
5 燃料噴射器(インジェクタ)
6 エンジン
7 圧力調整器
8 冷却器
9 逆止弁
10 コンプレッサ
11 高圧経路開閉弁
12 リターン経路切替弁
13 バイパス経路開閉弁
14 リターン経路開閉弁
15 バイパス経路切替弁
30 電子制御装置(ECU)
S 高圧燃料供給経路
R 燃料リターン経路
R1 第1のバイパス経路
R2 第2のバイパス経路
R3 第3のバイパス経路
G ガス抜き経路
41 逆止弁
42 開閉弁
43 圧力センサ
50 圧力調整弁
51 コンプレッサ起動手段である流量計
【発明の属する技術分野】
本発明は、液化ガスを燃料とする液化ガス燃料供給システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
液化ガス燃料をエンジンシリンダ内に噴射して燃焼させる場合、液化ガスを加圧して液体の状態で噴射系に供給する必要があるが、特にディーゼルエンジンのような高圧縮エンジンに用いる場合には、液化ガスを極めて高い圧力で加圧して燃料噴射系に供給する必要がある。
【0003】
各種の液化ガスのうち、軽油に代わるディーゼル燃料として、セタン価が高く且つPMとNOxの発生が少なく、とりわけススの発生の極めて少ないジメチルエーテル(以下、DMEと言う)が低公害燃料として検討されているが、軽油に比べて粘性が大幅に低いため、エンジン停止中に於いて燃料配管内の高い燃料残圧により、メタルシールの電磁弁を有するインジェクタにあっても、インジェクタの噴孔からエンジンシリンダ内へDMEが徐々に漏れて滞留し、エンジンの始動時に異常燃焼を生じるという問題がある。
【0004】
この問題を解決するため、従来より各種の提案がされているが、代表的なものとしてドイツ特許第19611434号A1公報が挙げられる。
【0005】
前記公報は、エンジン停止中にインジェクタへ高圧燃料を供給するコモンレールを含む高圧燃料供給系及びインジェクタへの余剰燃料を燃料タンクに戻す燃料リターン系の配管内に残留する高圧液状のDMEを、複数の弁装置を開閉制御して低圧の捕集容器(パージタンクとも言う)に回収することにより、インジェクタの噴孔を大気圧に維持して、噴孔からのDMEの漏れを防止するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報に開示されているパージタンクは、高圧液状の残留DMEを低圧のガス状態で回収し貯留するために必然的に大容量となり、例えば、180リットルもある大型タンクとなるため、車両への搭載性に特に難点があることに加え装置コストも高くなるので、実用化に当たっては問題があった。
【0007】
そこで、本出願人は、先に、エンジン停止時に、インジェクタの噴孔からエンジンのシリンダ内に粘性の低いジメチルエーテル(DME)のような液化ガス燃料が漏れるのを防止するため、エンジン停止時に於いて、インジェクタを含む高圧燃料経路の一部を弁手段により区画隔離し、この隔離された隔離部分に残留する高圧液状燃料を燃料タンクに冷却器を通して直接に戻し、次いで隔離部分の圧力が設定値以下に低下した時点で、隔離部分に未だ残留しているガス状燃料をコンプレッサにより吸引して燃料タンクに戻すようにし、インジェクタの噴孔を大気圧近くに維持して、インジェクタの噴孔からの燃料漏れを無くすようにしたものを特願2002−26360号で出願した。
【0008】
ところで、エンジン運転中に、圧力調整器を介して冷却器を通り燃料タンクに戻って来る高圧液状燃料は、インジェクタから間欠的に噴射される燃料の一部が間欠的に戻って来るが、この場合は単位時間当たりの燃料戻り量は小さいので、所定の温度以下に冷却する冷却器の冷却能力は、それほど大きくなくても良い。そのため、燃料タンクに戻って来る燃料の冷却不足により、燃料タンクの圧力が限界値を超えることはエンジン運転中は無かった。
【0009】
しかしながら、前記の先の出願では、エンジン停止時に、隔離部分に残留する高圧液状燃料がバイパス経路を介して冷却器を通り燃料タンクに一度に戻って来る方式を用いているため、単位時間当たりの燃料戻り量は大きく、それにより冷却器の冷却能力不足から所定の温度以下に燃料を冷却することが出来ない場合には、燃料タンク内が限界温度を超えてタンク内の圧力が限界値を超える事態を生じる。また、夏場の大気温度が高い場合には燃料タンク自身が輻射熱により高温(50℃)となる。
【0010】
すなわち、安全弁の作動圧力は高圧ガス保安法により各燃料の最高充填圧力から決まるものであり、DMEの場合、その設定圧力は1.44MPaである。前記のように、冷却不足の燃料が燃料タンクに戻ってその燃料タンク内の温度が、例えば60℃になると、DMEの燃料タンク内圧力が図11の蒸気圧線図から明らかなように、1.5MPa弱となり、前記圧力限界値よりも超える事態が生じる。
【0011】
このような事態を解決するためには、冷却器の冷却能力を適合する能力まで上げれば良いが、その場合には冷却器が必然的に大型化するため、限定された車両の搭載スペースに対して、冷却器の大型化は車両への搭載上の問題を新たに抱えることになる。
【0012】
そこで本願発明は、前記本出願人が先に出願した液化ガス燃料供給システムに於いて、エンジンの停止時に、燃料タンク内の蒸気(ガス)圧を、前記の冷却器を利用して制御する簡単な圧力制御機構を付加することにより、前記のような燃料タンク内の圧力が限界値を超える事態と、冷却器の大型化の問題を共に解決する液化ガス燃料供給システムを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1に記載の第1の発明は、液化ガスを貯留する燃料タンクから高圧ポンプを介してエンジンへの燃料噴射器に燃料を供給する高圧燃料供給経路と、
前記高圧燃料供給路から圧力調整器と冷却器を介して前記燃料タンクに燃料を戻す燃料リターン経路と、
エンジン停止時に、前記高圧燃料供給路における燃料噴射器部を隔離して、該隔離部分の残留高圧液状燃料を前記圧力調整器をバイパスして前記燃料リターン経路における冷却器の上流側に戻すバイパス経路と、
前記隔離部分の残留高圧液状燃料を燃料タンクへ戻した後に、隔離部分に残留するガス状燃料をコンプレッサを介して前記燃料リターン経路における冷却器の上流側に戻すバイパス経路と、
前記各経路への燃料の流れを制御する制御手段と、
前記燃料タンクから分岐して前記ガス状燃料用のバイパス経路におけるコンプレッサの上流側に接続されたガス抜き経路と、
エンジン停止時に、前記燃料タンクのガス状燃料を前記ガス抜き経路を介して前記冷却器を通して前記燃料タンクに循環させる圧力制御手段と、
を備えたことを特徴とする液化ガス燃料供給システムである。
【0014】
上記の発明において、エンジン停止時には、高圧燃料供給路における燃料噴射器部を隔離し、隔離部分に残留する高圧液状燃料をバイパス経路から燃料タンクに回収する。また、隔離部分に残留するガス状燃料をコンプレッサによりバイパス経路から燃料タンクに回収する。これにより、隔離部分の圧力を略大気圧に低下させることができ、エンジン停止時に於いて、隔離部分に連通している燃料噴射器の噴孔からエンジンシリンダ内への燃料漏れは無くなる。
【0015】
また、エンジン停止時に於いて前記のように、隔離部分の燃料が燃料タンクへ戻される際に、燃料タンク内の圧力が設定値以上になると、圧力制御手段によって、ガス抜き経路が開かれるとともにコンプレッサが作動し、燃料タンク内のガス状燃料はコンプレッサに吸引され、冷却器で冷却されてから燃料タンク内に戻る循環を繰り返す。これにより、燃料タンク内の温度が低下し、燃料タンク内の圧力は急速に低下する。
【0016】
燃料タンク内の圧力が設定値以下になると、圧力制御手段によりガス抜き経路が閉ざされる。
【0017】
したがって、冷却器の能力を上げることなく、燃料タンク内の圧力が限界値を超えるような事態になることが未然に防止される。
【0018】
請求項2記載の第2の発明は、液化ガスを貯留する燃料タンクから高圧ポンプを介してエンジンへの燃料噴射器に燃料を供給し、所定の燃料噴射圧力に調圧する圧力調整器と冷却器を介して前記燃料タンクに燃料を戻す液化ガス燃料供給システムであって、
前記高圧ポンプから前記燃料噴射器に接続される高圧燃料供給経路に設けられ、該高圧燃料供給経路を開閉する高圧経路開閉弁と、
前記圧力調整器を介して燃料タンクに燃料を戻す燃料リターン経路に設けられ、該燃料リターン経路を開閉すると共に前記圧力調整器をバイパスして前記燃料リターン経路に接続される第1のバイパス経路へ切り替えるリターン経路切替弁と、
前記高圧経路開閉弁と前記リターン経路切替弁とにより区画される隔離部分から分岐し、前記燃料リターン経路に於ける冷却器の上流側に接続される第2のバイパス経路と、
該第2のバイパス経路に設けられ、該第2のバイパス経路を開閉するバイパス経路開閉弁と、
前記バイパス経路開閉弁の下流側に位置する前記第2のバイパス経路に設けられ、前記隔離部分のガス状燃料を吸引圧縮して前記冷却器を通して前記燃料タンクに戻すコンプレッサと、
前記各経路への燃料の流れを制御する制御手段と、
前記燃料タンクから分岐して前記バイパス経路開閉弁と前記コンプレッサの間の前記第2のバイパス経路に接続されるガス抜き経路と、
エンジン停止時に、前記燃料タンクのガス状燃料を前記ガス抜き経路を介して前記冷却器を通して前記燃料タンクに循環させる圧力制御手段と、
を備えたことを特徴とする液化ガス燃料供給システムである。
【0019】
上記の発明によれば、前記の高圧経路開閉弁とリターン経路切替弁とにより区画される隔離部分は、燃料噴射器の噴孔に連通しており、且つ前記の両弁により前記の燃料タンクに比べて大幅に小さい容積に区画設定されている。
【0020】
ここで、エンジン停止時には、高圧経路開閉弁、リターン経路切替弁、バイパス経路開閉弁及びコンプレッサが制御され、隔離部分に残留する高圧液状燃料は第1のバイパス経路から燃料タンクに回収され、また、隔離部分のガス状の残留燃料は第2のバイパス経路を通じて、隔離部分の圧力が略大気圧に低下するまでコンプレッサにより吸引されて減圧される。そのため、エンジン停止時に於いて、隔離部分に連通している燃料噴射器の噴孔からエンジンシリンダ内への燃料漏れは無くなる。
【0021】
また、エンジン停止時に於いて前記のように、第1のバイパス経路から高圧液状燃料が燃料タンクに戻される際及び第2のバイパス経路からガス状の燃料が燃料タンクへ戻される際に、燃料タンク内の圧力が設定値以上になると、圧力制御手段によって、ガス抜き経路が開かれ、燃料タンク内のガス状燃料はコンプレッサに吸引され、冷却器で冷却されてから燃料タンク内に戻る循環を繰り返す。これにより、燃料タンク内の温度が低下し、燃料タンク内の圧力は急速に低下する。
【0022】
燃料タンク内の圧力が設定値以下になると、圧力制御手段によりガス抜き経路が閉ざされる。
【0023】
したがって、冷却器の能力を上げることなく、燃料タンク内の圧力が限界値を超えるような事態になることが未然に防止される。
【0024】
請求項3記載の第3の発明は、液化ガスを貯留する燃料タンクから高圧ポンプを介してエンジンへの燃料噴射器に燃料を供給し、所定の燃料噴射圧力に調圧する圧力調整器と冷却器を介して前記燃料タンクに燃料を戻す液化ガス燃料供給システムであって、
前記高圧ポンプから前記燃料噴射器に接続される高圧燃料供給経路に設けられ、該高圧燃料供給経路を開閉する高圧経路開閉弁と、
前記圧力調整器を介して燃料タンクに燃料を戻す燃料リターン経路に設けられ、該燃料リターン経路を開閉するリターン経路開閉弁と、
前記高圧経路開閉弁と前記リターン経路開閉弁とにより区画される隔離部分から分岐し、前記燃料リターン経路に於ける冷却器の上流側に接続される第2のバイパス経路と、
該第2のバイパス経路に設けられ、該第2のバイパス経路を開閉するとともに前記圧力調整器をバイパスして前記燃料リターン経路に接続される第3のバイパス経路へ切り替えるバイパス経路切替弁と、
前記バイパス経路切替弁の下流側に位置する前記第2のバイパス経路に設けられ、前記隔離部分のガス状燃料を吸引圧縮して前記冷却器を通して前記燃料タンクに戻すコンプレッサと、
前記各経路への燃料の流れを制御する制御手段と、
前記燃料タンクから分岐して前記バイパス経路切替弁と前記コンプレッサの間の前記第2のバイパス経路に接続されるガス抜き経路と、
エンジン停止時に、前記燃料タンクのガス状燃料を前記ガス抜き経路を介して前記冷却器を通して前記燃料タンクに循環させる圧力制御手段と、
を備えたことを特徴とする液化ガス燃料供給システムである。
【0025】
この第3の発明によれば、請求項2に記載の発明に対して異なる点は、請求項2に記載のリターン経路切替弁に代えてリターン経路開閉弁を用いた点と、バイパス経路開閉弁に代えてバイパス経路切替弁を用いた点であり、それに伴い前記の隔離部分を区画する弁と、前記の第1のバイパス経路に相当する第3のバイパス経路に切り替える弁とが違っているだけであるので、前述の請求項2に記載の発明に於いて述べた作用、効果が得られる。
【0026】
請求項4記載の第4の発明は、前記第1又は第2又は第3の発明において、前記圧力制御手段が、前記燃料タンク内の圧力を検出する圧力センサと、該圧力センサの検出値に基づいて前記ガス抜き経路を開閉する開閉弁とよりなる液化ガス燃料供給システムである。
【0027】
本第4の発明によれば、前記のガス抜き経路を開閉する圧力制御手段として、燃料タンク内の圧力を検出する圧力センサの検出値に応じてガス抜き経路を開閉する開閉弁を用いているので、燃料タンクの圧力制御が精度良く行われる。
【0028】
請求項5記載の第5の発明は、前記第1又は第2又は第3の発明において、前記圧力制御手段が、前記燃料タンク内の圧力に応じて前記ガス抜き経路を開閉する圧力調整弁と、該圧力調整弁の開作動とともにコンプレッサを起動するコンプレッサ起動手段よりなる液化ガス燃料供給システムである。
【0029】
本発明によれば、前記の圧力センサと開閉弁に代えて、燃料タンクの圧力に応じて前記のガス抜き経路を開閉する圧力制御弁とコンプレッサ起動手段を用いているので、前記第1の発明と同等の効果がある。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図1乃至図8に基づいて説明する。
【0031】
図1は本発明の第1実施例を示すシステム構成図で、図中、1は液化ガスを貯留する燃料タンクであり、例えば20℃で約0.5MPaの蒸気圧を有するDMEが貯留されている。この燃料タンク1内には、DMEを所定圧(例えば約3MPa)に昇圧して圧送するフィードポンプ2が配設されており、フィードポンプ2から圧送されたDEMを更に所定圧(例えば25MPa〜35MPa)の高圧に昇圧する高圧ポンプ3が配設されていて、この高圧ポンプ3から圧送される高圧のDMEを蓄圧するコモンレール4を通じ、エンジン6の各シリンダ(図示せず)に高圧のDMEを噴射する電磁弁(図示せず)を内蔵したインジェクタ5が設けられている。
【0032】
高圧ポンプ3とコモンレール4を結ぶ高圧燃料供給経路Sには、該経路Sを開閉する電磁式の二方弁より成る高圧経路開閉弁11が設けられている。また、コモンレール4からは、圧力調整器7を介して前記燃料タンク1へ連通する燃料リターン経路Rが設けられており、コモンレール4から高圧の余剰DMEが圧力調整器7で所定の燃料噴射圧力(例えば25MPa〜35MPa)に調圧されてから、燃料リターン経路Rを介して、例えば熱交換器より成る冷却器8と逆止弁9を通じて燃料タンク1に戻されるようになっている。
【0033】
なお、冷却器8は燃料タンク1にリターンして来るDMEを出来るだけ冷却して燃料タンク1に戻すために用いられるものであり、逆止弁9は燃料タンク1内の圧力が過大となった場合、燃料リターン経路RにDMEが逆流するのを阻止するためのものである。
【0034】
ここで、コモンレール4と圧力調整器7とを結ぶ燃料リターン経路部分には、該燃料リターン経路部分を開閉すると共に、圧力調整器7をバイパスして燃料リターン経路Rに接続される第1のバイパス経路R1に切り替えることができる電磁式の三方弁より成るリターン経路切替弁12が設けられている。更に、コモンレール4から分岐され、前記圧力調整器7をバイパスして燃料リターン経路Rに接続される第2のバイパス経路R2が設けられていて、この第2のバイパス経路R2には、上流側に位置して該経路R2を開閉する電磁式の二方弁より成るバイパス経路開閉弁13と下流側に位置してコンプレッサ10が設けられている。
【0035】
コモンレール4とインジェクタ5を含む高圧燃料経路部分には、高圧経路開閉弁11とリターン経路切替弁12との閉弁によって区画される隔離部分Kが形成され、隔離部分Kと前記の各インジェクタ5の噴孔(図示せず)は連通している。この隔離部分Kの容積は、エンジン停止時に残留DMEを迅速に燃料タンク1に回収するため、燃料タンク1に比べて遙かに小さい容積となるように前記の両弁11と12の配設位置が設定されている。
【0036】
また、コモンレール4内には、例えば電極間のインピーダンスによりガス比率を検出する気液センサ21と圧力を検出する圧力センサ22が設けられている。
【0037】
前記のフィードポンプ2、高圧ポンプ3、各インジェクタ5の電磁弁、コンプレッサ10と、高圧経路開閉弁11、リターン経路切替弁12、バイパス経路開閉弁13と、気液センサ21、圧力センサ22等は、制御手段である電子制御装置(以下、ECUと言う)30に接続されており、エンジンの始動運転と停止の作動区分及び気液センサ21と圧力センサ22の検出値に基づいて、フィードポンプ2、高圧ポンプ3、コンプレッサ10の作動と、各インジェクタ5の電磁弁、高圧経路開閉弁11、リターン経路切替弁12、バイパス経路開閉弁13の開閉切り替えが、ECU30によって制御される。
【0038】
前記燃料タンク1にはガス抜き経路Gの一端が、燃料タンク1内の気相部に開口して設けられており、該ガス抜き経路Gの他端が、前記バイパス経路開閉弁13とコンプレッサ10との間の第2のバイパス経路R2に接続されている。更に、該ガス抜き経路Gには、燃料タンク1側(上流側)に位置して、燃料タンク1方向へのガスの流れを阻止する逆止弁41が設けられ、第2のバイパス経路R2側(下流側)に位置して電磁式の二方向弁よりなるガス抜き用開閉弁42が設けられている。更に、前記燃料タンク1には、該燃料タンク1内の圧力を検出する圧力センサ43が設けられている。
【0039】
前記ガス抜き用開閉弁42と圧力センサ43はECU30によって制御されるようになっており、燃料タンク1内の圧力が設定値以上になると、これを圧力センサ43により検出してその信号をECU30に入力し、ECU30からの信号によりガス抜き用開閉弁42が開作動し、燃料タンク1内の圧力が設定値以下になるとガス抜き用開閉弁42が閉作動するようになっている。これらのECU30と、ガス抜き用開閉弁42と圧力センサ43により圧力制御手段を構成している。
【0040】
次に、前記第1実施例の作用について説明する。
【0041】
先ず、先の出願に係る液化ガス燃料の漏れ防止システムについて説明する。
【0042】
エンジン始動及び運転時は、図1に於いて、ECU30によりフィードポンプ2と高圧ポンプ3が作動すると共に、各インジェクタ5の電磁弁、高圧経路開閉弁11、リターン経路切替弁12が開き、且つバイパス経路開閉弁13が閉じる。そのため、燃料タンク1内のDMEは、高圧燃料供給経路Sを通じてコモンレール4に流入して蓄圧され、各インジェクタ5の噴孔からエンジン6の各シリンダ(図示せず)内に高圧噴射されてエンジン6が始動する。各シリンダ内に噴射されたDMEの余剰燃料は、圧力調整器7で調圧されてから燃料リターン経路Rを介して冷却器8と逆止弁9を通り、燃料タンク1に戻るエンジン始動及び運転時の周知の燃料循環が行われる。
【0043】
ここで、エンジン停止時について、図2と図3の燃料流れ経路図及び図9の制御フローチャートに基づいて説明する。
【0044】
先ず、エンジン停止時には、図9に示すように、エンジンスイッチ(図示せず)がOFFされ(ステップ101)、このOFF信号がECU30に入力される。それにより、周知の如くフィードポンプ2と高圧ポンプ3の作動が停止し、且つ各インジェクタ5の電磁弁が閉じるが、これに加えて本発明では、高圧経路開閉弁11が閉じバイパス経路開閉弁13が継続して閉じ(ステップ102)、リターン経路切替弁12が第1のバイパス経路R1側に切り替わる(ステップ103)。
【0045】
この場合、図2の矢印で示すように、コモンレール4と各インジェクタ5を含む隔離部分Kに残留する高圧液状のDMEは、リターン経路切替弁12通じ、第1のバイパス経路R1を介して冷却器8と逆止弁9を通り、燃料タンク1内へ直接に戻る流れとなる。
【0046】
ここで、隔離部分Kは容積が小さいので、高圧液状のDMEは急速に比較的低圧のガス状DMEに変化し、隔離部分Kの温度によって決まる蒸気圧でバランスするが、図9に於いて、気液センサ21により直接に検出される隔離部分Kのガス比率が設定値以上(例えばガス比率90%以上)になると(ステップ104)、リターン経路切替弁12が閉じて(ステップ105)、バイパス経路開閉弁13が開き(ステップ106)、コンプレッサ10が作動する(ステップ107)。なお、ステップ104で気液センサ21の検出値が設定値以下の場合は、ステップ102に戻り前記のフローを繰り返す。
【0047】
コンプレッサ10の作動により、隔離部分Kに残留するガス状のDME(例えば図11に示すように、DMEは80℃で約2.2MPaの蒸気圧を有している。)は、図3の矢印で示すように、隔離部分Kから第2のバイパス経路R2を介してコンプレッサ10により吸引され、冷却器8と逆止弁9を通り、燃料タンク1に戻る流れとなる。
【0048】
ここで、コンプレッサ10の作動により、隔離部分K内は急速に減圧されていくが、図9に示すように、圧力センサ22により検出される隔離部分K内の圧力が設定値以下(例えば圧力0.12MPa以下)になると(ステップ108)、バイパス経路開閉弁13が閉じ(ステップ109)、コンプレッサ10の作動が停止する(ステップ110)。なお、ステップ108で圧力センサ22の検出値が設定値以上の場合は、ステップ105に戻り前記のフローを繰り返す。これにより、各インジェクタ5の噴孔に通じる隔離部分Kの圧力は大気圧近くになるので、噴孔からエンジンシリンダ内にDMEが漏れることは無くなる。
【0049】
次に、前記ガス燃料の漏れ防止システムに付加したガス抜きシステムの作用について説明する。
【0050】
前記のエンジン停止時に於いて、前記図2に示すように、隔離部分Kに残留する液状のDMEが第1のバイパス経路R1から燃料タンク1内へ戻される際に於いて、圧力センサ43とECU30によって燃料タンク1内の圧力値が設定値以上と判断されると、コンプレッサ10が作動されるとともにガス抜き用開閉弁42が開作動してガス抜き経路Gが開かれ、燃料タンク1内の気相部のガス状燃料は、逆止弁41、ガス抜き用開閉弁42、第2バイパス経路R2、コンプレッサ10、冷却器8、逆止弁9を経て燃料タンク1に戻る循環を繰り返し、燃料タンク1内の温度が低下して燃料タンク1内の圧力が急速に低下する。
【0051】
また、前記のエンジン停止時に於いて、前記図3に示すように、コンプレッサ10が作動して隔離部分Kに残留するガス状のDMEが第2のバイパス経路R2から燃料タンク1内へ戻される際に於いて、圧力センサ43とECU30によって燃料タンク1内の圧力値が設定値以上と判断されると、ガス抜き用開閉弁42が開作動してガス抜き経路Gが開かれ、燃料タンク1内の気相部のガス状燃料は、逆止弁41、ガス抜き用開閉弁42、第2バイパス経路R2、コンプレッサ10、冷却器8、逆止弁9を経て燃料タンク1に戻る循環を繰り返し、燃料タンク1内の温度が低下して燃料タンク1内の圧力が急速に低下する。
【0052】
以上のように、燃料タンク1内の圧力が設定値以下に低下すると、その圧力が圧力センサ43により検出され、ECU30によってガス抜き開閉弁42が閉じ、ガス抜き経路Gが閉ざされる。
【0053】
更に詳しくは、燃料タンク1内の気相部のガス状燃料の取り出しにより、燃料タンク1内の液相部の燃料が次々に気化していくため、液相部の燃料の気化によって蒸発潜熱が奪われ、燃料タンク1内の温度は低下していく。
【0054】
この温度低下に伴い、圧力センサ43の検出圧力が前記の設定圧力よりも低くなった場合には,ECU30によりガス抜き用開閉弁42が閉じるので、燃料タンク1内の気相部のガス状燃料の取り出しが停止する。
【0055】
図12は、上記の制御による燃料タンク1内の圧力の推移を模式的に示したものであり、エンジンの作動状況、外気温度により燃料タンク1内の圧力が設定圧力より上昇すると、ガス抜き用開閉弁42が開弁し、燃料タンク1の気相部からガス状燃料が取り出され、コンプレッサ10、冷却器8を経由して冷却されて燃料タンク1内に戻されるので、燃料タンク1内の圧力はPで示す一定の圧力範囲に制御される。
【0056】
したがって、前記のようなガス抜き経路Gによるガスの循環により、燃料リターン通路Rに配置される冷却器8を利用し、且つ、この冷却器8の能力を上げることなく、燃料タンク1内の圧力が限界値を超えるような事態になることを未然に防止することができる。なお、圧力センサ22と43の両者の検知圧力が設定値以下であることを確認してコンプレッサ10の作動を停止するとよい。
【0057】
なお、前記のように、ガス抜き経路Gを開閉する圧力制御手段を、燃料タンク1内の圧力を検出する圧力センサ43と、該圧力センサ43の検出値に基づいて作動するガス抜き開閉弁42を用いて構成したので、燃料タンク1の圧力制御が精度良く行われる。
【0058】
図4は第2実施例を示す。
【0059】
本第2実施例は、前記第1実施例に於けるガス抜き開閉弁42と圧力センサ43を排し、この代わりに、ガス抜き経路Gに圧力調整弁50と流量計51を設けたものである。この圧力調整弁50は、設定圧力で開閉するもので、燃料タンク1内の圧力が設定値以上になるとその圧力がガス抜き経路Gを経て圧力調整弁50に作用して自動的に開弁し、設定値以下になると自動的に閉弁するものである。また、流量計51は、ガス燃料が流れてくるとECU30に信号を発し、この信号によってECU30がコンプレッサ10を起動するようになっている。したがって、この流量計51はコンプレッサ起動手段を構成する。
【0060】
その他の構造は前記第1実施例と同様であるため、同一部分には前記と同一符号を付してその説明を省略する。
【0061】
本第2実施例に於いては、前記のようなエンジン停止時に於いて、前記図2及び図3のような液状及びガス状燃料の戻りの動作に際し、燃料タンク1内の温度が上昇して燃料タンク1内の圧力が設定値以上になると、圧力調整弁50が開作動し、流量計51がガスの流通を検知し、もってコンプレッサ10が起動し、燃料タンク1内のガスが前記と同様にガス抜き経路Gを循環し、燃料タンク1内の温度を下げて燃料タンク1内の圧力を低下させる。
【0062】
燃料タンク1内の圧力が設定値以下になると、圧力調整弁50が自動的に閉弁するとともに流量計51の流量が0となり、コンプレッサ10が停止する。
【0063】
本第2実施例に於いては、圧力制御手段を圧力調整弁50と流量計51で構成したので、前記第1実施例の圧力制御手段とほぼ同様の効果が得られる。なお、前記流量計51の代りに、圧力センサを燃料タンクの気相部に設け、この圧力センサが、圧力調整弁50が開作動する圧力を検知したときにコンプレッサ10を起動するようにしてもよい。すなわち、この圧力センサによりコンプレッサ起動手段を構成してもよい。
または、上記の圧力センサに代えて燃料タンク液相部に温度センサを設け、燃料タンク内の温度が設定値以上になったときにコンプレッサ10を起動するようにしてコンプレッサ起動手段を構成してもよい。
【0064】
次に、図5は本発明の第3実施例を示すシステム構成図で、図1の第1実施例と同じ符号を付したものは、同一又は同等の部分を示す。
【0065】
前述の第1実施例に比べて構成上から異なる点は、図5に示すように、前記のリターン経路切替弁12に代えて、電磁式の二方弁より成るリターン経路開閉弁14を用いた点と、前記のバイパス経路開閉弁13に代えて、電磁式の三方弁より成るバイパス経路切替弁15を用いた点である。
【0066】
それに伴い、前記の隔離部分Kが前記のリターン経路切替弁12に代わって、リターン経路開閉弁14によって区画され、且つ前記第1のバイパス経路R1に代わってバイパス経路切替弁15と燃料リターン経路Rを連通する第3のバイパス経路R3を設け、調圧弁7をバイパスする切り替えが前記のリターン経路切替弁12と第1のバイパス通路R1に代わって、バイパス経路切替弁15と第3のバイパス経路R3によって切り替えられる点が違っており、その他の点については図1の第1実施例と同じである。
【0067】
次に、本第3実施例の作用について説明する。
【0068】
先ず、液化ガス燃料の漏れ防止システムについて説明する。
【0069】
エンジン始動及び運転時は、第1実施例の場合と同じ燃料循環であるので、説明は省略する。
【0070】
エンジン停止時については、図6と図7の燃料流れ経路図及び図10の制御フローチャートに基づいて、第1実施例の場合と同じ部分は省略しながら説明する。
【0071】
初めに、エンジン6が停止すると、図10に示すように、エンジンスイッチのOFF(ステップ201)により、高圧経路開閉弁11とリターン経路開閉弁14が閉じ(ステップ202)、バイパス経路切替弁15が第3のバイパス経路R3側に切り替わる(ステップ203)。
【0072】
この場合、図6の矢印で示すように、隔離部分Kに残留する高圧液状のDMEは、バイパス経路切替弁15を通じ、第3のバイパス経路R3を介して冷却器8と逆止弁9を通り、燃料タンク1内へ直接に戻る流れとなる。
【0073】
次いで、図10に示すように、気液センサ21により検出される隔離部分Kのガス比率が設定値以上(例えばガス比率90%以上)になると(ステップ204)、バイパス経路切替弁15が第2のバイパス経路R2側に切り替わり(ステップ205)、コンプレッサ10が作動する(ステップ206)。
【0074】
この場合、隔離部分Kに残留するガス状のDMEは、図7の矢印で示すように、第2のバイパス経路R2を介してコンプレッサ10に吸引され、冷却器8と逆止弁9を通り、燃料タンク1内へ戻る流れとなる。そして、図10に示すように、圧力センサ22により検出される隔離部分Kの圧力が設定値以下(例えば圧力0.12MPa以下)になると(ステップ207)、バイパス経路切替弁15が閉じ(ステップ208)、コンプレッサ10の作動が停止するので(ステップ209)、第1実施例の場合と同じく、各インジェクタ5の噴孔からエンジンの各シリンダ内にDMEが漏れることは無くなる。
【0075】
次に、前記のガス燃料の漏れ防止システムに付加したガス抜きシステムの作用について説明する。
【0076】
本第3実施例においても、図6に示すように、前記高圧経路開閉弁11とリターン経路開閉弁14の閉弁によりバイパス経路切替弁15が第3のバイパス経路R3側に切り替って高圧液状のDMEが該経路R3を介して冷却器8、逆止弁9を経て燃料タンク1へ戻る流れと、図7に示すように、気液センサ21により検出される隔離部分Kのガス比率が設定値以上になって、バイパス経路切替弁15が第2のバイパス経路R2に切り替り、コンプレッサ10が作動して隔離部分Kに残留するガス状のDMEが第2のバイパス経路R2から燃料タンク1内へ戻される。このとき、圧力センサ43とECU30によって燃料タンク1内の圧力値が設定値以上と判断されると、ガス抜き用開閉弁42が開作動してガス抜き経路Gが開かれ、燃料タンク1内のガス状燃料は、逆止弁41、ガス抜き用開閉弁42、第2バイパス経路R2、コンプレッサ10、冷却器8、逆止弁9を経て燃料タンク1に戻る循環を繰り返し、燃料タンク1内の温度が低下して燃料タンク1内の圧力が急速に低下する。尚、本実施例における燃料タンク1の圧力制御は前記第1実施例の場合と同じであるので、重複説明は省略する。
【0077】
したがって、本第3実施例に於いても前記第1実施例と同様の効果を発揮する。
【0078】
図8は第4実施例を示す。
【0079】
本第4実施例は、前記図5に示す第3実施例に於けるガス抜き開閉弁42と圧力センサ43を排し、この代わりに、ガス抜き経路Gに、前記図4に示す第2実施例と同様の圧力調整弁50と流量計51を設けたものである。
【0080】
その他の構造は前記第3実施例と同様であるため、前記と同一部分には前記と同一符号を付してその説明を省略する。
【0081】
したがって、本第4実施例に於いても前記図4に示す第2実施例と同様の効果を発揮できる。
【0082】
なお、前記各実施例では、隔離部分Kのガス比率を気液センサ21で直接に検出する方法を用いたが、気液センサ21に代えて温度センサを用いることにより、温度センサで検出される隔離部分Kの温度と、前記の圧力センサ22で検出される隔離部分Kの圧力とにより、図11に示すDMEの蒸気圧線図から隔離部分Kのガス比率を間接的に求めることが可能である。
【0083】
更に、第1のバイパス経路R1又はR3側への切り替えから第2のバイパス経路R2側への切り替えに要する時間を予め実験で求めておけば、この時間をタイマで制御することにより、隔離部分Kのガス比率を間接的に検出して制御するのと同じになるので、気液センサ21は廃止される。
なお、本実施例においても、前記図4の実施例と同様に、流量計51に代えて圧力センサ、もしくは温度センサを利用して、これをコンプレッサ起動手段としてもよい。
【0084】
更に、前記各実施例では、コモンレール式の燃料噴射装置に適用した場合について述べたが、従来からあるジャーク式の燃料噴射装置にも適用することができる。
【0085】
なお、液化ガス燃料としてDMEを取り上げたが、DMEのように粘性の低い液化ガスならば、本実施例と同様の効果が得られる。また、燃料リターン経路やバイパス経路の切替弁として電磁式の三方弁を用いたが、通常の電磁式の二方弁をそれぞれ2個用いることにより、同様の機能を得ることができる。
【0086】
【発明の効果】
本発明は以上述べたように構成されているので、次の効果を奏する。
【0087】
隔離部分に連通している各燃料噴射器の各噴孔は、エンジン停止時に於いて、略大気圧に維持されるので、各噴孔からエンジンの各シリンダ内への燃料の漏れが無くなり、それによってエンジン始動時の異常燃焼の発生が防止される。
【0088】
更に、高圧液状の燃料を捕集するための大型パージタンクを必要としないので、車両への搭載性も問題が無く、且つシステムが比較的簡単な構成と簡単な制御で成り立つので、システムの装置コストが安くなる。
【0089】
更に、エンジンの停止中に於ける前記の燃料の戻し時に、燃料タンク内の圧力が設定値以上になった場合には、燃料タンク内のガス状燃料を、ガス抜き経路から冷却器を介して燃料タンクに戻すような循環を繰り返すことができるので、燃料タンク内の圧力を急速に低下させることができる。そのため、冷却器の能力を上げることなく、燃料タンク内の圧力が限界値を超えるような事態になることを未然に防止できる。
【0090】
また、請求項4及び5に記載の発明によれば、燃料タンク内の圧力制御が精度良く行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すシステム構成図。
【図2】図1のシステムに於けるエンジン停止当初の燃料流れを示す経路図。
【図3】図1のシステムに於けるエンジン停止途中からの燃料流れを示す経路図。
【図4】本発明の第2実施例を示すシステム構成図。
【図5】本発明の第3実施例を示すシステム構成図。
【図6】図5のシステムに於けるエンジン停止当初の燃料流れを示す経路図。
【図7】図5のシステムに於けるエンジン停止途中からの燃料流れを示す経路図。
【図8】本発明の第4実施例を示すシステム構成図。
【図9】図1の第1実施例のエンジン停止時の制御フローチャート。
【図10】図5に示す第3実施例のエンジン停止時の制御フローチャート。
【図11】DME(ジメチルエーテル)の蒸気圧線図。
【図12】本発明による燃料タンク内の圧力推移を示す図。
【符号の説明】
1 燃料タンク
2 フィードポンプ
3 高圧ポンプ
4 コモンレール
5 燃料噴射器(インジェクタ)
6 エンジン
7 圧力調整器
8 冷却器
9 逆止弁
10 コンプレッサ
11 高圧経路開閉弁
12 リターン経路切替弁
13 バイパス経路開閉弁
14 リターン経路開閉弁
15 バイパス経路切替弁
30 電子制御装置(ECU)
S 高圧燃料供給経路
R 燃料リターン経路
R1 第1のバイパス経路
R2 第2のバイパス経路
R3 第3のバイパス経路
G ガス抜き経路
41 逆止弁
42 開閉弁
43 圧力センサ
50 圧力調整弁
51 コンプレッサ起動手段である流量計
Claims (5)
- 液化ガスを貯留する燃料タンクから高圧ポンプを介してエンジンへの燃料噴射器に燃料を供給する高圧燃料供給経路と、
前記高圧燃料供給路から圧力調整器と冷却器を介して前記燃料タンクに燃料を戻す燃料リターン経路と、
エンジン停止時に、前記高圧燃料供給路における燃料噴射器部を隔離して、該隔離部分の残留高圧液状燃料を前記圧力調整器をバイパスして前記燃料リターン経路における冷却器の上流側に戻すバイパス経路と、
前記隔離部分の残留高圧液状燃料を燃料タンクへ戻した後に、隔離部分に残留するガス状燃料をコンプレッサを介して前記燃料リターン経路における冷却器の上流側に戻すバイパス経路と、
前記各経路への燃料の流れを制御する制御手段と、
前記燃料タンクから分岐して前記ガス状燃料用のバイパス経路におけるコンプレッサの上流側に接続されたガス抜き経路と、
エンジン停止時に、前記燃料タンクのガス状燃料を前記ガス抜き経路を介して前記冷却器を通して前記燃料タンクに循環させる圧力制御手段と、
を備えたことを特徴とする液化ガス燃料供給システム。 - 液化ガスを貯留する燃料タンクから高圧ポンプを介してエンジンへの燃料噴射器に燃料を供給し、所定の燃料噴射圧力に調圧する圧力調整器と冷却器を介して前記燃料タンクに燃料を戻す液化ガス燃料供給システムであって、
前記高圧ポンプから前記燃料噴射器に接続される高圧燃料供給経路に設けられ、該高圧燃料供給経路を開閉する高圧経路開閉弁と、
前記圧力調整器を介して燃料タンクに燃料を戻す燃料リターン経路に設けられ、該燃料リターン経路を開閉すると共に前記圧力調整器をバイパスして前記燃料リターン経路に接続される第1のバイパス経路へ切り替えるリターン経路切替弁と、
前記高圧経路開閉弁と前記リターン経路切替弁とにより区画される隔離部分から分岐し、前記燃料リターン経路に於ける冷却器の上流側に接続される第2のバイパス経路と、
該第2のバイパス経路に設けられ、該第2のバイパス経路を開閉するバイパス経路開閉弁と、
前記バイパス経路開閉弁の下流側に位置する前記第2のバイパス経路に設けられ、前記隔離部分のガス状燃料を吸引圧縮して前記冷却器を通して前記燃料タンクに戻すコンプレッサと、
前記各経路への燃料の流れを制御する制御手段と、
前記燃料タンクから分岐して前記バイパス経路開閉弁と前記コンプレッサの間の前記第2のバイパス経路に接続されるガス抜き経路と、
エンジン停止時に、前記燃料タンクのガス状燃料を前記ガス抜き経路を介して前記冷却器を通して前記燃料タンクに循環させる圧力制御手段と、
を備えたことを特徴とする液化ガス燃料供給システム。 - 液化ガスを貯留する燃料タンクから高圧ポンプを介してエンジンへの燃料噴射器に燃料を供給し、所定の燃料噴射圧力に調圧する圧力調整器と冷却器を介して前記燃料タンクに燃料を戻す液化ガス燃料供給システムであって、
前記高圧ポンプから前記燃料噴射器に接続される高圧燃料供給経路に設けられ、該高圧燃料供給経路を開閉する高圧経路開閉弁と、
前記圧力調整器を介して燃料タンクに燃料を戻す燃料リターン経路に設けられ、該燃料リターン経路を開閉するリターン経路開閉弁と、
前記高圧経路開閉弁と前記リターン経路開閉弁とにより区画される隔離部分から分岐し、前記燃料リターン経路に於ける冷却器の上流側に接続される第2のバイパス経路と、
該第2のバイパス経路に設けられ、該第2のバイパス経路を開閉するとともに前記圧力調整器をバイパスして前記燃料リターン経路に接続される第3のバイパス経路へ切り替えるバイパス経路切替弁と、
前記バイパス経路切替弁の下流側に位置する前記第2のバイパス経路に設けられ、前記隔離部分のガス状燃料を吸引圧縮して前記冷却器を通して前記燃料タンクに戻すコンプレッサと、
前記各経路への燃料の流れを制御する制御手段と、
前記燃料タンクから分岐して前記バイパス経路切替弁と前記コンプレッサの間の前記第2のバイパス経路に接続されるガス抜き経路と、
エンジン停止時に、前記燃料タンクのガス状燃料を前記ガス抜き経路を介して前記冷却器を通して前記燃料タンクに循環させる圧力制御手段と、
を備えたことを特徴とする液化ガス燃料供給システム。 - 前記圧力制御手段が、前記燃料タンク内の圧力を検出する圧力センサと、該圧力センサの検出値に基づいて前記ガス抜き経路を開閉する開閉弁とよりなる請求項1又は2又は3に記載の液化ガス燃料供給システム。
- 前記圧力制御手段が、前記燃料タンク内の圧力に応じて前記ガス抜き経路を開閉する圧力調整弁と、該圧力調整弁の開作動とともにコンプレッサを起動するコンプレッサ起動手段よりなる請求項1又は2又は3に記載の液化ガス燃料供給システム。
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