以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置100の概略構成図である。画像形成装置100は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のトナー像形成部1Y、1M、1C、1K(以下、各符号の添字Y、M、C、Kは、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、黒用の部材であることを示す)が、図示しない転写紙の移動方向における上流側から順に配置されている。トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kは、潜像担持体としての感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kなどを備えている。
また、画像形成装置100は、トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kの他、潜像形成手段としての光書込ユニット2、給紙カセット3、4、レジストローラ対5、転写ユニット6、ベルト定着ユニット7、排紙トレイ8や、図示しない手差しトレイ、トナー補給容器、廃トナーボトル、両面・反転ユニット、電源ユニットなども備えている。
ここで、光書込ユニット2について説明する。光書込ユニット2は、光源、ポリゴンミラー、f-θレンズ、反射ミラー等を備え、画像データに基づいて各感光体ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面にレーザ光を走査しながら照射する。
次に、イエローのトナー像形成部1Yの概略構成について説明する。図2は、上記トナー像形成部1Y、1M、1C、1Kのうち、イエローのトナー像形成部1Yの概略構成を示す拡大図である。なお、他のトナー像形成部1M、1C、1Kについてもそれぞれ同じ構成となっているので、これらの説明については省略する。
図2において、トナー像形成部1Yは、上述のように感光体ユニット10Yと現像装置20Yとを備えている。感光体ユニット10Yは、感光体ドラム11Yの他、ドラム表面に対し、潤滑剤を塗布するブラシローラ12Y、クリーニングを施す揺動可能なカウンタブレード13Y、除電処理を施す除電ランプ14Y、一様帯電処理を施す非接触型の帯電ローラ15Y等を備えている。感光体ドラム11Yとしては、その表面に有機感光体(OPC)層を有するものが用いられている。
感光体ユニット10Yにおいて、交流電圧が印加された帯電ローラ15Yによって一様帯電された感光体ドラム11Yの表面に、上記光書込ユニット2で変調及び偏向されたレーザ光が走査されながら照射されると、ドラム表面に静電潜像が形成される。以上が、イエローのトナー像形成部1Yの概略構成の説明である。
次に、現像装置100の構成の概要を説明する。現像装置20Yは、現像ケース21Yの開口から一部露出させるように配設された現像ローラ22Y、第1搬送スクリュウ23Y、第2搬送スクリュウ24Y、現像ドクタ25Y、トナー濃度センサ(Tセンサ)26Y,粉体ポンプ27Y等を備えている。
現像ケース21Yは、磁性キャリアとマイナス帯電性のYトナーとを含む現像剤が内包されている。この現像剤は、第1搬送スクリュウ23Y、第2搬送スクリュウ24Yによって攪拌搬送されながら摩擦帯電された後、現像剤担持体としての現像ローラ22Yの表面に担持される。現像によってYトナーを消費した現像剤は、現像ローラ22Yの回転に伴って現像ケース21Y内に戻される。
第1搬送スクリュウ23Yと、第2搬送スクリュウ24Yとの間には仕切り壁28Yが設けられており、これにより、現像ローラ22Y、第1搬送スクリュウ23Y等を収容する第1供給部29Yと、第2搬送スクリュウ24Yを収容する第2供給部30Yとが上記現像ケース21Y内で分かれている。
感光体ドラム11Y上で現像されたYトナー像は、後述の転写搬送ベルト60によって搬送される転写紙に転写される。
第1搬送スクリュウ23Yは、図示しない騒動手段によって回転駆動され、第1供給部29Y内の現像剤を現像ローラ22Yの表面に沿って図中手前側から奥側へと搬送しながら現像ローラ22Yに供給する。以上が、現像装置20の構成の概要についての説明である。
次に、現像装置20Yへの現像剤の補給方法について説明する。図3は、現像装置20Yを示す縦断面図である。図3に示すように、上記仕切り壁28Yは、第1供給部29Yと第2供給部30Yとを各搬送スクリュウの両端付近でそれぞれ連通させる2つの開口部を備えている。
第1搬送スクリュウ23Yによって第1供給部29Yの端部付近まで搬送された現像剤は、仕切り壁28Yに設けられた一方の上記開口部を通って第2供給部30Y内に進入する。
第2供給部30Y内において、第2搬送スクリュウ24Yは、図示しない駆動手段によって回転駆動され、第1供給部29Yから進入してきた現像剤を第1搬送スクリュウ23Yとは逆方向に搬送する。第2搬送スクリュウ24Yによって第2供給部30Yの端部付近まで搬送された現像剤は、仕切り壁28Yに設けられたもう一方の上記開口部を通って第1供給部29Y内に戻る。
透磁率センサからなるTセンサ26Yは、第2供給部30Yの中央付近の底壁に設けられ、その上を通過する現像剤の透磁率に応じた値の電圧を出力する。現像剤の透磁率は、現像剤のトナー濃度とある程度の相関を示すため、Tセンサ26YはYトナー濃度に応じた値の電圧を出力することになる。なお、この出力電圧の値は、後述するトナー補給制御部160(図5)に送られる。
トナー補給制御部160(図5)は、RAMを備えており、この中にTセンサ26Yからの出力電圧の目標値であるY用Vtrefや、他の現像装置に搭載されたTセンサ26M、26C、26Kからの出力電圧の目標値であるM用Vtref、C用Vtref、K用Vtrefのデータを格納している。
現像装置20Yについては、Tセンサ26Yからの出力電圧の値とY用Vtrefを比較し、図示しないYトナーカートリッジ内のYトナーを第2供給部30Y内に補給させる。
このように粉体ポンプ27Yの駆動が制御されることで、現像によってYトナーを消費してYトナー濃度を低下させた現像剤に第2供給部30Y内で適量のYトナーが補給され、第1供給部29Yに供給される現像剤のYトナー濃度が所定の範囲内に維持される。他の現像装置20M、20C、20Kについても、同様のトナー補給制御が実施される。
次に、画像形成装置100の作像条件について説明する。まず、画像形成装置100の感光体直径は60MM、感光体回転速度は282MM/SEC、感光体−現像ローラ間距離は0.3MM、現像剤容量は380G、トナー粒径は7μM、キャリア粒経は35μMであるとする。
これを式で表すと、トータルの補給量H(MG)は、画素補給制御における補給量P_PXL(MG)とセンサ補給制御における補給量P_VT(MG)の和として(1)式のように算出される。
H=P_PXL+P_VT・・・・・(1)
ここで、P_PXLとP_VTの内容は(2)式、(3)式のように表される。
P_PXL=(M/A)×PXL×α1・・・・・(2)
M/A:単位面積当たりのトナー付着量目標値(MG/CM2)
PXL:入力画像のドット画像面積(CM2)
α1:補給係数1
P_VT=(センサ感度)×(VTNOW−VTREF)×α2・・・(3)
VTNOW:現在のトナー濃度を表すセンサ出力値(V)
VTREF:目標となるトナー濃度のセンサ出力値(V)
α2:補給係数2
(2)式において、(M/A)は中間転写ベルト上の単位面積あたりのトナー付着量目標値であり、PXLは入力画像データから算出された画素数(DOT)のデータを(CM2)単位に変換した値、α1は機械の補給性能に対して画素補給量を補正する補正係数(固定値)である。
(3)式において、VTNOWは今現在のトナー濃度をセンサで検出したときの検出値であり、VTREFは目標となるトナー濃度に相当する。また、センサ感度はトナー濃度に対するセンサの出力値であり、単位は(WT%/V)である。補給係数α2はα1と同様に機械の補給性能に対してセンサ補給量を補正する補正係数(固定値)である。
次に、画像形成装置100の全体構成について説明する。図4は、画像形成装置100の全体構成図である。図4に示すように、画像形成装置100は、スキャナ40と、第1画像データ処理装置41と、バス制御装置42と、第2画像データ処理装置43と、HDD(Hard Disk Drive)44と、CPU45と、メモリ46とプロッタI/F装置47と、プロッタ装置48と、S.B.(South Bridge)52と、ROM(Read Only Memory)53と、操作表示装置49とから主に構成され、その他、回線I/F装置50、外部I/F装置51なども備える。
スキャナ40は、原稿読み取り部(不図示)に載置された原稿をスキャンする。
第1画像データ処理装置41は、スキャナ40からスキャンされたデジタル画像データに対し、後述する画像処理を施して出力する。
バス制御装置42は、画像形成装置100内で必要な画像データや制御コマンド等各種データのやり取りを行う。
第2画像データ処理装置43は、第1画像データ処理装置で処理されたデジタル画像データに対し、後述する画像処理を施し出力する。
HDD44は、画像データ、及び、デジタル画像データの付帯情報を記憶する。
CPU45は、画像形成装置100の制御全体を司るマイクロプロセッサである。
メモリ46は、CPU45が画像形成装置の制御を行う際に、プログラムや中間処理データを一時的に記憶するためなどに使用される揮発性メモリである。
プロッタI/F装置47は、CPU45から送られてくるCMYKのデジタル画像データを受け取り、プロッタ装置48の専用I/Fに出力する。
プロッタ装置48は、CMYKのデジタル画像データを受け取ると、レーザービームを用いた電子写真プロセスなどにより、転写紙に出力する。
ROM53は、CPU45が画像形成装置100の制御を行う際のプログラムが格納されるメモリである。
S.B.52は、South Bridgeと呼ばれるバスのブリッジ機能を汎用回路化したものである。
操作表示装置49は、LCD(液晶表示装置)とキースイッチから構成され、装置の各種状態や操作方法をLCDに表示し、ユーザからのキースイッチ入力を受け付ける。また、後述するユーザによる各種設定を受け付ける。
回線I/F装置50は、画像形成装置100の装置外にあるFAXと、画像データの授受を行う。なお、画像データの授受は回線I/F装置50によるほか、電話回線によっても可能である。
外部I/F装置51は、画像形成装置100の装置外にあるPDと、各種制御や画像データの入出力を行う。なお、データの入出力は、外部I/F装置51によるほか、ネットワーク(イーサネット(登録商標))によっても可能である。
次に、画像形成装置100が備える各部の機能について説明する。図5は、画像形成装置100の機能的構成を示すブロック図である。
図5に示すように、画像形成装置100は、主に、入力受付部101と、スキャナ部110と、HDD140と、第1画像データ処理装置120と、第2画像データ処理装置130と、トナー条件設定部150と、トナー補給制御部160と、トナーセーブ制御部170と、画像形成部180とから構成される。
まず、入力受付部101は、操作表示装置49(図4)に表示される、カラーモード選択機能、画質モード選択機能、画質調整機能、画像編集機能、部数指定等の表示に従って、各種設定のユーザ指定を受け付ける。
ここで、カラーモード選択機能とは、自動カラー選択モード、フルカラー選択モード、モノクロモード等のことである。また、画質モード選択機能とは、文字モード、文字写真モード、写真モード等のことである。
また、画質調整機能とは、地肌除去、濃度レベル、カラー変換等のことであり、画像編集機能とは、変倍、集約、反転、消去、印字等のことである。
入力受付部101により入力を受け付けたこれらの各種指定は、HDD140に画像データと共に付帯情報の1つとして記憶され、第2画像データ処理装置43において、記憶された画質設定情報に基づいた画質調整が行われて出力される。
スキャナ部110は、原稿をスキャンして取得した原稿の濃淡情報から、RGB各8ビットの600DPIデジタル画像データを生成し出力する。
HDD140は、スキャナ部110から読み取られて第1画像データ処理装置120で処理された画像を保存する。また、ネットワークを通じて外部のPCから入力される画像(アプリケーションソフトで作成された画像)も、RGB画像データとして低圧縮率(Q値=90)でJPEG圧縮保存する。
また、HDD140は、入力受付部101により入力を受け付けた各種設定を、スキャナ部110により取得された原稿とともに記憶する。
なお、HDD140に蓄積されている画像は、画質設定情報に応じた処理は施されていないので、原稿をスキャンする際に設定した画質設定情報とは別の設定で、HDD140に蓄積された画像を再利用することも可能である。
次に、第1画像データ処理装置120が備える各部の機能を説明する。第1画像データ処理装置120は、原稿種判定部121と、スキャナγ処理部112と、フィルタ処理部122と、色変換処理部124と、圧縮処理部125と、画素情報算出部126から構成される。
原稿種判定部121は、原稿の濃淡情報から、公知技術を用いて、文字のみの原稿(以下、「文字原稿」という。)であるか、絵柄を含む原稿(以下、「絵柄原稿」という。)であるかを判定したり、文字原稿の場合、文字の出力サイズに相当する情報を取得したり、絵柄原稿の場合、絵柄の出力サイズを取得したりする。
スキャナγ処理部122は、RGB各8ビット読み取り画像データに対してγ変換を行い、グレーバランスを合わせたり、階調特性を変換したりする。
フィルタ処理部123は、画像の絵柄部分を滑らかにするための平滑化や、文字部分を鮮明にするためのエッジ強調を行う。
色変換処理部124は、決められた特性の色空間のRGBデータに変換して出力する。この色空間は、例えば、ADOBE社が定義したADOBE−RGB空間である。
圧縮処理部125は、600DPIのRGB画像データに対し、JPEG圧縮されてHDDに記憶される。JPEG圧縮では、圧縮率と画質はクオリティファクター(Q値)によって決まる。Q値が大きいほど画質は良いが圧縮率は悪くなる。第1画像データ処理装置から出力された画像は、低圧縮率(例えば、Q値=90)で圧縮され、画質劣化を抑えて蓄積される。
画素情報算出部126は、多値画像に対して画素数または画像面積率をカウントする。ここで、画素情報算出処理を行うタイミングは、圧縮処理の前であってもよい。
なお、圧縮処理前にカウントすることでカウント数の精度が向上する。また、圧縮処理後にカウントする場合は、メモリの圧縮率をカウント数の代替方法として使うことが可能となる。
次に、第2画像データ処理装置130が備える各部の機能を説明する。第2画像データ処理装置130は、画素情報算出部131と、伸張処理部132と、地肌除去処理部1333と、フィルタ処理部134と、変倍処理部135と、色変換処理部136と、階調処理部137と、画素情報算出部138とから構成される。
画素情報算出部131は、多値画像に対して画素数または画像面積率をカウントする。本実施の形態では、伸張処理前にカウントするが、カウントするタイミングは、伸張処理の後であってもよい。
伸張処理前にカウントする場合は、メモリの圧縮率をカウント数の代替方法として使うことが可能となる。一方、伸張処理後にカウントした場合には、カウント数の精度が向上する。
伸張処理部132は、JPEG圧縮された600DPIのRGB画像データに対し伸張処理を施す。
地肌除去処理部133は、地肌除去処理の設定がされている場合に、公知技術を用いて画像の地肌部分の除去を行う。
フィルタ処理部134は、公知技術を用いて、画像の絵柄部分を滑らかにするための平滑化や、文字部分を鮮明にするためのエッジ強調を行う。
変倍処理部135は、画像データを出力の解像度や画像サイズに変換するための拡大・縮小処理を行う。
色変換処理部136は、RGB各8ビットのデータをプロッタ装置の階調数(例えば、CMYK各2ビット)に変換するために、公知技術を用いて、ディザ処理や誤差拡散処理といった擬似中間処理を行う。
階調処理部137は、CMYK各8ビットのデータをプロッタ装置の階調数(例えばCMYK各2ビット)に変換するために、公知技術を用いて、ディザ処理や誤差拡散処理といった擬似中間処理を行う。
画素情報算出部138は、階調処理部137による階調処理後のデータに対して画素数または画像面積率をカウントする。
なお、ネットワークを通じて外部のPC(Personal Computer)などにカラー画像として配信する場合には、色変換でグレースケールに変換し、階調処理でディザ処理や誤差拡散処理といった擬似中間処理、あるいは、単純二値化処理をして、そのモノクロ二値画像を配信する。
トナー補給制御部160は、図3において説明したように、現像装置20(図3)にトナーを補給する制御を行う。すなわち、Tセンサ26により出力された出力電圧の値を確認し、補給すべきトナー量を決定し、決定した量のトナーを現像装置20に補給する。また、トナー条件設定部150の設定に従って、トナー補給量を調整する制御を行う。
ここで、トナー補給量の調整とは、通常の間隔よりも短い間隔でTセンサ26からの出力電圧の値を確認することをいう。すなわち、通常は、図3で説明したように、所定の間隔(例えば、100枚間隔)でTセンサ26からの出力電圧を確認するところ、トナー補給量を調整する場合には、所定の間隔よりも短い間隔(例えば、10枚間隔)で確認する。
なお、より詳細なトナー補給制御については、特開2007−156411号公報に開示されている。
トナーセーブ制御部170は、階調処理後のデータを間引くことにより有効画素を減らし、トナー消費量を抑制する制御を行う。なお、トナーセーブ制御方法の詳細については、後述する。
トナー条件設定部150は、原稿種判定部121により判定された画像の種類と、入力受付部101により入力を受け付けた入力条件とから、現像装置20へのトナー補給量を調整するか否かについてのトナー補給条件、および、画像形成部180による画像形成処理時におけるトナー使用量を抑制するか否かについてのトナー使用条件を設定する。
画像形成部180は、トナー条件設定部150により設定されたトナー補給条件およびトナー使用条件の設定に従って、画像を形成する。
次に、ここで、画素情報算出部126、画素情報算出部131、画素情報算出部138のカウント数の使用方法について説明する。
まず、スキャナ部110で読み取って蓄積される画像である場合であっても、蓄積されない画像であっても、ユーザにより操作表示装置(不図示)から画像の転写紙サイズが指定されるので、その転写紙サイズを元に使用する画素情報算出部を決定する。
転写紙サイズが、S1(例えば、A4サイズ)未満であるか否かを判定し、S1未満である場合、第3画素情報算出部を使用する。転写紙サイズがS2(例えば、A3サイズ)未満であるか否かを判定し、S2未満である場合、第2画素情報算出部を使用する。
判定した結果、転写紙サイズがS2以上である場合は、第1画素情報算出部を使用する。すなわち、転写紙サイズが大きくなるほど、画素情報を算出する時間は増加し、フィードフォワード制御時にトナー補給が間に合わなくなることが考えられるので、転写紙サイズが所定サイズか否かの判定結果によって使用する画素情報算出部を選択することとなる。
このような方法により、転写紙サイズが大きい場合であっても、トナー補給制御を間に合わせることで高画質・高安定画像を得ることが可能となる。
次に、トナーセーブ制御部170によるトナーセーブ制御方法について説明する。図6−1から図6−6は、トナーセーブ制御部170によりトナーセーブ制御が行われた画像形成例を示す図である。
図6−1では、1ドットの太い縦線、細い縦線に対して各々トナーセーブ制御を行った場合を示している。1ドットの黒ラインの場合には、入力が図6−1に示す像を画像形成部180で処理した結果が画像処理部出力図6−2である。
画像データが黒(1、1)の場合、発光データを8ビットの最大値255に設定したとすると通常モードの時は、図6−3に示すコピー出力画像のような出力画像となる。
図6−3に示すコピー出力画像のような画像を従来のトナーセーブ制御で処理すると、一定間隔で間引きを例えば、1ライン毎に間引くと図6−4に示すコピー出力画像(間引き)のようになり、トナー消費量を下げることはできるが、印字品質が劣化してしまう。
また、一律に濃度を減らす場合は、図6−5に示すコピー出力画像(一律低下)のようになり、太いラインについては良いが、細いラインについては細くなり過ぎて擦れてしまい、やはり印字品質の低下は避けられない。
そこで、本実施の形態では、トナーセーブ制御部170によりトナーセーブ制御時において、画像形成部180の出力を原稿種判定部121により主走査方向3画素のパターンに応じてコード化し、得られたコードに応じて変換処理部で制御部により設定した発光データに変換して出力する。
これにより、本実施の形態で使用するトナー使用量として、1ドットの細い縦線については通常モードと同じ発光データで印字するか、または発光データを80〜90%程度とすることにより、トナーの消費量を減らしながら印字品質を保つことができる。
また、1ドットの太い縦線については、発光データを通常の50パーセント〜80%程度に下げて印字することにより、トナー消費を効果的に減らしながら印字品質を保つことができる。
次に、トナー条件設定部150により設定されるトナー補給条件とトナー使用条件についての設定型について説明する。図7は、トナー補給条件およびトナー使用条件の設定型のパターンを示す表である。
図7に示すように、設定型のパターンは、ユーザの使用用途に基づいて必要条件が決定され、各設定型に分類される。ここで、決定される必要条件としては、濃度の必要性と、安定の必要性とがある。
濃度の必要性とは、濃い濃度が必要であること、すなわち、トナーセーブを行うことにより、通常のトナー濃度よりも少ない濃度としてはならないことをいう。
また、安定の必要性とは、トナー補給制御部160によるトナー補給量を調整する制御が必要なこと、すなわち、複数印刷されたページ毎に濃度のばらつきや、むらが生じないように、短間隔でトナー補給制御を最適値に設定する必要があることをいう。
図7に示すパターンAでは、ユーザの使用用途は、原稿の内容が、大きな写真又は濃い写真であって、印刷部数が大量印刷である場合には、必要条件としては、高濃度必要かつ安定必要となり、設定型は、高濃度安定型となる。
パターンBでは、原稿の内容が、大きな写真又は濃い写真であって、印刷部数が少量印刷である場合には、必要条件としては、高濃度必要かつ不安定でOKとなり、設定型は、高濃度不安定型となる。
パターンCでは、原稿の内容が、小さな写真又は薄い写真であって、印刷部数が大量印刷である場合には、必要条件としては、高濃度必要かつ安定必要となり、設定型は、高濃度安定型となる。
パターンDでは、原稿の内容が、小さな写真又は薄い写真であって、印刷部数が少量印刷である場合には、必要条件としては、高濃度必要かつ不安定で十分であり、設定型は、高濃度不安定型となる。
パターンEでは、原稿の内容が、小さな文字又は薄い文字であって、印刷部数が大量印刷である場合には、必要条件としては、低濃度で十分かつ安定必要となり、設定型は、低濃度安定型となる。
パターンFでは、原稿の内容が、小さな文字又は薄い文字であって、印刷部数が少量印刷である場合には、必要条件としては、低濃度で十分かつ安定必要となり、設定型は、低濃度安定型となる。
パターンGでは、原稿の内容が、大きな文字又は濃い文字であって、印刷部数が大量印刷である場合には、必要条件としては、低濃度で十分かつ不安定で十分となり、設定型は、低濃度不安定型となる。
パターンHでは、原稿の内容が、大きな文字又は濃い文字であって、印刷部数が少量印刷である場合には、必要条件としては、低濃度で十分かつ不安定で十分となり、設定型は、低濃度不安定型となる。
まず、パターンA、Cの課題と、その課題を解決する制御について説明する。
例えば、コピー動作を行う際、絵柄を含む原稿で構成されている場合、かつ、大きな絵柄、または、濃い絵柄で構成されている場合に重視されることは、絵柄画像(例えば写真画像など)を鮮明に印字できることが第一の要求となり、低濃度で絵柄を印字することは望まれていない。また、大量印刷が前提の場合、ページ間のばらつきを抑えることは望まれる。
そこで、ユースケースA、Cの場合には、トナーセーブ制御OFFとし、原稿に忠実な画像を印字することを実現し、かつ、フィードフォワード系トナー補給制御ONとしページ間の濃度ばらつきを抑える制御を行えるコピー動作を実現する。
つまり、ユーザの要求を満たし、高画質であり、かつ、高安定な画像を形成する画像形成装置を提供することができる。この設定型を高濃度安定型とする。具体例としては、広告、チラシのような多人数向け業務資料等が挙げられる。
次に、パターンB、Dの課題と、その課題を解決する制御について説明する。
例えば、コピー動作を行う際、絵柄を含む原稿で構成されている場合、かつ、大きな絵柄、または、濃い絵柄で構成されている場合に重視されることは、絵柄画像(例えば写真画像など)を鮮明に印字できることが第一の要求となり、低濃度で絵柄を印字することは望まれていない。また、少量印刷が前提の場合、ページ間のばらつきを抑えることは重視されていない。
そこで、パターンB、Dの場合には、トナーセーブ制御OFFとし、原稿に忠実な画像を印字することを実現し、かつ、フィードフォワード系トナー補給制御OFFとしページ間の濃度ばらつきを抑える制御は行わず、必要最低限のトナー補給のみを行い、コピー動作の生産性向上およびプロッタユニットの耐久性を重視したコピー動作を実現する。
つまり、ユーザの要求を満たし、生産性を向上させ、耐久性にすぐれた画像形成装置を提供することができる。この設定型を高濃度不安定型とする。具体例としては、印刷紙写真つきレポートのような個人向け絵柄を含む資料等が挙げられる。
次に、パターンE、Fの課題と、その課題を解決する制御について説明する。
例えば、コピー動作を行う際、原稿が文字のみで構成されている場合で、かつ、小さな文字、または、薄い文字で構成されている場合に重視されることは、文字を判読できることが第一の要求となり、必要以上に高濃度で文字を印字すること(トナーを大量に消費すること)は重視されていない。
ただし、小さな文字である場合、または、薄い文字である場合、ページ間の濃度のばらつきがあると第一の要求である文字の判読が困難になる場合がある。
そこで、パターンE、Fの場合には、トナーセーブ制御ONとし、必要最低限のトナー消費量で印字することを実現し、かつ、フィードフォワード系トナー補給制御ONとしページ間の濃度ばらつきを抑える制御を行えるコピー動作を実現する。
つまり、ユーザの要求を満たし、トナー消費量を抑えた画像形成装置を提供することができる。この設定型を低濃度安定型とする。具体例としては、鉛筆などの手書き原稿のような個人向け業務資料等が挙げられる。
ここで、部数指定が所定値以下であった場合、当該機種のプロッタ特性を考慮して属性を決定する。具体例としては、同様に、鉛筆などの手書き原稿のような個人向け業務資料等が挙げられる。
次に、パターンG、Hの課題と、その課題を解決する制御について説明する。
また、コピー動作を行う際、原稿が文字のみで構成されている場合、かつ、大きな文字、または、濃い文字で構成されている場合に重視されることは、文字を判読できることが第一の要求となり、必要以上に高濃度で文字を印字すること(トナーを大量に消費すること)、ページ間のバラツキをおさえることは重視されていない。
そこで、パターンG、Hの場合には、トナーセーブ制御ONとし、必要最低限のトナー消費量で印字することを実現し、かつ、フィードフォワード系トナー補給制御OFFとしページ間の濃度ばらつきを抑える制御は行わず、必要最低限のトナー補給のみを行い、コピー動作の生産性向上およびプロッタユニットの耐久性を重視したコピー動作を実現する。
つまり、ユーザの要求を満たし、トナー消費量を抑え、生産性を向上させ、耐久性に優れた画像形成装置を提供することができる。この設定型を低濃度不安定型とする。具体例としては、プリントアウト原稿のような個人向け業務資料等が挙げられる。
以上が、トナー補給条件とトナー使用条件の設定型の分類表の説明である。
次に、この分類表に従って、画像形成装置100が処理する設定の一連の処理の流れを説明する。
図8は、トナー補給条件およびトナー使用条件の設定についての一連の処理の手順を示すフローチャートである。
まず、原稿種判定部121は、スキャナ部110により読み込まれた原稿が、文字のみで構成される文字原稿であるか、絵柄のみ又は文字と絵柄により構成される絵柄原稿であるか否かを判定する(ステップS801)。
文字原稿であると判定された場合には(ステップS801:Yes)、原稿種判定部121は、文字サイズが所定のサイズ以上又は濃度が所定の濃度以上であるか否かを判定する(ステップS802)。
文字サイズが所定のサイズ以上又は濃度が所定の濃度以上であると判定された場合には(ステップS802:Yes)、トナー条件設定部150は、入力受付部101により画質モードが、文字を鮮明に印刷する文字優先モードの入力が受け付けられているか否かを確認する(ステップS803)。
トナー条件設定部150により、トナー使用条件およびトナー補給条件が設定されると、画像形成部180は、設定された各条件に従って、画像を形成する(ステップS810)。
トナー条件設定部150は、入力受付部101により文字優先モードの入力が受け付けられていない場合には(ステップS803:No)、トナー使用条件をONに、トナー補給条件をOFFに設定する(ステップS805)。
ステップS801に戻り、トナー条件設定部150は、原稿種判定部121により、スキャナ部110により読み取られた原稿が絵柄原稿であると判定された場合には(ステップS801:No)、入力受付部101が所定値以上の部数指定の入力を受け付けたか否かを確認する(ステップS804)。
トナー条件設定部150は、入力受付部101により所定値以上の部数指定の入力が受け付けられたことを確認した場合には(ステップS804:Yes)、トナー使用条件をOFFに、トナー補給条件をONに設定する(ステップS807)。
一方、トナー条件設定部150は、入力受付部101により所定値以上の部数指定の入力が受け付けられていないことを確認した場合には(ステップS804:No)、トナー使用条件をOFFに、トナー補給条件をOFFに設定する(ステップS808)。
トナー条件設定部150によりトナー使用条件およびトナー補給条件が設定されると、画像形成部180は、設定された各条件に従って、画像を形成する(ステップS809)。
一方、ステップS802に戻り、原稿種判定部121は、文字サイズが所定のサイズ以上又は濃度が所定の濃度以上でないと判定した場合には(ステップS802:No)、トナー条件設定部150は、トナー使用条件をONに、トナー補給条件をONに設定する(ステップS806)。
このように、第1の実施の形態では、設定した出力条件および取得した画像の種類に応じて適切なトナー補給制御およびトナーセーブ制御の条件を設定することにより、画像の種類に応じた高画質な画像の提供とトナー消費量の削減をともに実現することができる。
また、第1の実施の形態によれば、設定した出力条件および取得した画像の種類からトナー補給制御およびトナーセーブ制御の条件を設定するので、ユーザによるトナーセーブモードの切り替え操作が不要になり、操作性が向上する。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、原稿の種類と入力条件に従って、トナー補給条件とトナー使用条件を設定していた。しかし、ユーザは、原稿の種類と入力条件にかかわらず、トナーセーブの指定を希望する場合もある。
そこで、第2の実施の形態では、ユーザによりトナーセーブのONまたはOFFの指示が入力された場合には、トナー条件設定部1150は、原稿の種類および入力条件にかかわらず、トナーセーブONまたはOFFを実行する。
画像形成装置1000が備える各部の機能について説明する。図9は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置1000のブロック図である。
図9に示すように、画像形成装置1000は、主に、入力受付部1101と、スキャナ部110と、HDD140と、第1画像データ処理装置120と、第2画像データ処理装置130と、トナー条件設定部1150と、トナー補給制御部160と、トナーセーブ制御部170と、画像形成部180とから構成される。
ここで、入力受付部1101と、トナー条件設定部1150以外の各部の機能については、第1の実施の形態の機能と同様であるので説明を省略する。
入力受付部1101は、操作表示装置49(図4)に表示される、カラーモード選択機能、画質モード選択機能、画質調整機能、画像編集機能、部数指定等の表示に従って、各種設定のユーザ指定を受け付けるほか、トナーセーブ機能(エコモード機能)のON・OFFの指定をも受け付ける。
トナー条件設定部1150は、原稿種判定部121により判定された画像の種類と、入力受付部1101により入力を受け付けた入力条件とから、トナー補給条件、および、トナー使用条件を設定する。ここで、入力条件として、トナーセーブ機能のON・OFFについて指定されていた場合には、画像の種類とその他の入力条件にかかわらず、指定されたトナーセーブ機能のON・OFFを優先する。
図10は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置1000による設定の一連の処理を示すフローチャートである。ステップS901からステップS903の処理については、図8に示した第1の実施の形態のフローチャートのステップS801からステップS803の処理と同様であるため説明を省略する。
ステップS903で、トナー条件設定部1150は、入力受付部1101により画質モードとして文字優先モードが入力されていないことを確認した場合には(ステップS903:No)、さらに、入力受付部1101によりトナーセーブOFFのユーザ指定の入力がされているか否かを確認する(ステップS904)。
トナー条件設定部1150は、入力受付部1101により、トナーセーブOFFのユーザ指定の入力がされていないことを確認した場合には(ステップS904:No)、図7の設定型に示したとおり、トナー使用条件をONに設定する(ステップS909)。
一方、トナー条件設定部1150は、入力受付部1101により、トナーセーブOFFのユーザ指定の入力が受け付けられていることを確認した場合には(ステップS904:Yes)、トナー使用条件をOFFに設定する(ステップS912)。
ステップS902において、原稿種判定部121により文字サイズが所定のサイズ以上又は濃度が所定の濃度以上でない場合(ステップS902:No)、または、ステップS903において、入力受付部1101により、画質モードとして文字優先モードの入力が受け付けられていることを確認した場合において(ステップS903:Yes)、トナー条件設定部1150は、入力受付部1101により、トナーセーブOFFのユーザ指定の入力が受け付けられていることを確認した場合には(ステップS905:Yes)、トナー使用条件をOFFに設定する(ステップS911)。
一方、トナー条件設定部1150は、入力受付部1101により、トナーセーブOFFのユーザ指定の入力が受け付けられていないことを確認した場合には(ステップS905:No)、図7の設定型に示したとおり、トナー使用条件をOFFに設定する(ステップS910)。
また、ステップS906において、入力受付部1101により所定値以上の部数指定が受け付けられた場合であって(ステップS906:Yes)、トナー条件設定部1150が、入力受付部1101によりトナーセーブONのユーザ指定の入力が受け付けられていない場合には(ステップS907:No)、図7の設定型のとおり、トナー使用条件をONに設定する(ステップS911)。
一方、ステップS906において、入力受付部1101により所定値以上の部数指定が受け付けられた場合であって(ステップS906:Yes)、トナーセーブONのユーザ指定の入力が受け付けられている場合には(ステップS907:Yes)、トナー条件設定部1150は、図7に示した設定型にかかわらず、トナー使用条件をONに設定する(ステップS910)。
また、ステップS906において、入力受付部1101により所定値以上の部数指定の入力が受け付けられていない場合であって(ステップS906:No)、トナーセーブONのユーザ指定の入力が受け付けられていない場合には(ステップS908:No)、図7の設定型のとおり、トナー使用条件をONに設定する(ステップS912)。
一方、ステップS906において、入力受付部101により所定値以上の部数指定の入力が受け付けられていない場合であって(ステップS906:No)、トナーセーブONのユーザ指定の入力が受け付けられた場合には(ステップS908:Yes)、図7の設定型にかかわらず、トナー使用条件をOFFにする(ステップS909)。
設定されたこれらのトナー使用条件およびトナー補給条件(ステップS909〜ステップS912)に従って、トナー条件設定部1150は、画像を形成する(ステップS913)。
このように、第2の実施の形態では、入力受付部1101により、トナーセーブ機能のON・OFF指定を受け付けるので、原稿の種類およびその他の入力条件にかかわらず、ユーザが希望するトナーセーブ機能のON・OFFを実行することができるので、ユーザの要求に合わせて画像出力することが可能となる。
なお、上記実施の形態では、本発明の画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。