JP5342616B2 - 微小なレーザ出力を安定に制御するレーザ装置 - Google Patents

微小なレーザ出力を安定に制御するレーザ装置 Download PDF

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Description

本発明は、レーザ出力を制御するレーザ装置、特に微小なレーザ出力を安定に制御するレーザ装置に関する。
通常、高出力レーザ装置の出力は数kW程度である。公知であるように、そのような高出力のレーザは、厚板の切断、および溶込み深さの深い溶接などの用途に用いられている。
一方、レーザ装置は、定格出力の一割以下の微小なレーザを出力することもできる。微小なレーザを出力する場合には、被加工物の表面への印字、または次工程で用いられる指示線の描画などのレーザマーキングを行ったり、被加工物の表面を溶かすことなしに被加工物の表面を改質することができる。
例えば、定格出力が6kWであるレーザ発振器を備えたレーザ切断機において、酸素アシストガスを用いてパルス周波数700Hzで平均出力4.5kWに設定した場合には、毎分550mmの送り速度により、30mm厚の鋼板を切断することが可能である。また、そのようなレーザ切断機において、酸素アシストガスを同様に用いてパルス周波数1000Hzで出力50W±10Wに設定した場合には、毎分送り5000mmの加工速度で鋼板の表面にレーザマーキングすることができる。
ところが、定格出力の一割以下の出力である微小なレーザを出力する場合には、レーザ装置周りの外部環境およびレーザ装置内部の温度状況などの影響を受け易く、レーザ出力が不安定になる傾向がある。その理由は、微小なレーザを出力する領域においては、励起エネルギを注入することでレーザ発振の特性が敏感に変化するためである。
定格出力が6kWである前述したレーザ発振器において定格出力を得るためにレーザ媒体に注入されるエネルギは30kWに相当する。従って、レーザ媒体、光学部品を含むレーザ共振器の熱的状態は、定格出力が得られる前後で、大きく異なっている。このような状況において定格出力の一割以下の出力である微小なレーザ出力は、レーザ発振器の熱的状態の影響を強く受け、その結果、レーザ出力が不安定化する。
この点に関し、特許文献1においては、複数のレーザ励起領域のそれぞれにおいて、放電位相、デューティ、およびパルス周波数を互いに異なるように制御することにより、微小なレーザ出力を安定に制御するようにしている。
特開 2006-344722 号公報
しかしながら、或る瞬間のみを考慮すると、特許文献1に開示される複数のレーザ励起領域を備える構成は、一つの励起領域における複数の部分を選択的に励起することと変わりはない。従って、レーザ励起のための注入エネルギに対するレーザ出力の増減については、その比も変わらない。つまり、微小なレーザ出力は、励起エネルギの指令値の変化に敏感に反応するので、特許文献1においても、微小なレーザ出力を制御し難いという課題は依然として残っている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、高出力レーザであっても微小なレーザを安定して出力することのできる、制御性の改善されたレーザ装置を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するために1番目の発明によれば、レーザ装置において、レーザ励起領域にエネルギを注入する電源ユニットを具備し、該電源ユニットは、第一のエネルギと、該第一のエネルギよりも小さい第二のエネルギとの間でエネルギをパルス状に注入しており、前記第一のエネルギはレーザ発振が開始される臨界注入エネルギ以上の所定の励起エネルギであり、前記第二のエネルギは前記レーザ励起領域が予備放電するのに必要とされる予備励起エネルギと前記臨界注入エネルギとの間のエネルギであり、前記電源ユニットは、前記予備励起エネルギと前記臨界注入エネルギとの間で前記第二のエネルギを変更し、それにより、レーザ出力を制御するレーザ装置が提供される。
番目の発明によれば、1番目の発明において、前記第二のエネルギは、所定の偏差エネルギを前記予備励起エネルギに加算または前記予備励起エネルギから減算して設定されるようにした。
3番目の発明によれば、1番目の発明において、さらに、レーザ出力の目標値と、前記第一のエネルギと、前記レーザ出力の目標値および前記第一のエネルギに応じて定まる第二のエネルギとを互いに対応させてデータテーブルまたは関数として記憶する記憶部を具備し、前記レーザ出力の目標値と、前記レーザ装置を動作させるプログラムに記載された第一のエネルギと、前記記憶部に記憶されたデータテーブルまたは関数とに基づいて前記第二のエネルギを定めるようにした。
4番目の発明によれば、1番目の発明において、さらに、レーザ出力の目標値に対応する前記第一および第二のエネルギの指令値を作成する指令作成部と、前記レーザ装置から出力されたレーザの検出値を取得する出力検出部と、前記指令作成部により作成された前記第一および第二のエネルギの指令値と前記出力検出部により検出されたレーザの検出値とに基づいて所定の演算により前記第二のエネルギの指令値を更新する指令演算部とを具備する。
1番目の発明においては、臨界注入エネルギ以上の第一のエネルギと、予備励起エネルギおよび臨界注入エネルギの間の第二のエネルギとの間でエネルギをパルス状に入力している。このため、第二のエネルギのみを変化させることにより、レーザ出力の変化率を小さくすることができる。従って、高出力のレーザ装置であっても、特にレーザ出力が比較的小さい領域において、レーザ出力を安定して微調整することができる。レーザ領域が単一である場合に特に有利である。
2番目の発明においては、第二のエネルギが比較的大きい場合であっても、レーザ出力を安定して微調整できる。
3番目の発明においては、データテーブルを利用することにより、第二のエネルギを簡易に求められる。
4番目の発明においては、第二のエネルギを更新することにより、レーザ出力をより正確に微調整できる。
本発明に基づくレーザ装置の一般的構成を示す略図である。 一つのレーザ励起領域において注入されたエネルギEと、レーザ出力Pとの間の関係を示す図である。 (a)従来技術における時間tと注入されたエネルギEとの関係を示す図である。(b)本発明の第一の実施形態において時間tと注入されたエネルギEとの関係を示す図である。 (a)従来技術において第二のレーザ励起領域におけるエネルギEsを臨界注入エネルギEtに固定したときに、第一のレーザ励起領域におけるエネルギEmとレーザ出力Pとの関係を示す図である。(b)本発明の第一の実施形態において第一のレーザ励起領域におけるエネルギEmを臨界注入エネルギEtよりも大きい値に固定したときに、第二のレーザ励起領域におけるエネルギEとレーザ出力Pとの関係を示す図である。 (a)従来技術における時間tと注入されたエネルギEとの関係を示す他の図である。(b)本発明の第二の実施形態において時間tと注入されたエネルギEとの関係を示す図である。 (a)低エネルギを予備励起エネルギEbに固定しつつ、高エネルギを臨界注入エネルギEt以上の領域で変化させたときにおける高エネルギE1とレーザ出力Pとの関係を示す図である(b)本発明の第二の実施形態において高エネルギE1を臨界注入エネルギEt以上の値に固定しつつ、低エネルギE2を予備励起エネルギEbと臨界注入エネルギEtとの間で変化させたときにおける低エネルギE2とレーザ出力Pとの関係を示す図である。 (a)〜(c)第一および第二のレーザ励起領域において予備励起エネルギEbが注入されている場合の時間tとエネルギEとの関係を示す図である。 第二高周波電源ユニットに関する機能ブロック図である。 第二レーザ励起領域において注入された励起エネルギEsとレーザ出力Pとの関係を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同様の部材には同様の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1は本発明に基づくレーザ装置の一般的構成を示す略図である。周知であるように、一般的には、レーザ装置の複数の励起領域への注入エネルギを増減することによりレーザ出力を増減させている。そのような場合には、全ての励起領域に対して同時にエネルギを加える方式と、複数の励起領域に対して順番にエネルギを加えていく方式とが存在する。本発明のようなガスレーザの場合には放電管に励起領域が形成される。しかしながら、本発明はガスレーザに限定されず、固体レーザであってもよい。固体レーザである場合には結晶ロッドまたは光ファイバに励起領域が形成されることに留意されたい。以下においては、ガスレーザである場合について説明する。
図1に示されるレーザ装置1は、CNC10と、レーザ発振器20とを主に含んでいる。レーザ発振器20は放電励起型である比較的高出力のレーザを出力する。このレーザ発振器20は、互いに対向するリア鏡23と出力鏡24とが配置された放電管26を含んでいる。ここで、出力鏡24は部分透過性であり、その透過率は約20%〜80%である。また、リア鏡23は部分透過性をほとんど有しておらず、その透過率は0.1%程度である。
また、リア鏡23の後方にはレーザパワーセンサ25が配置されている。リア鏡23から取出されたレーザ光はレーザパワーセンサ25により検出され、そのレーザ検出値PmはCNC10の指令演算部12に入力される。
図1においては、放電管26を挟むように配置された二組の放電電極対21、22がリア鏡23と出力鏡24との間の光共振空間に設けられている。これら放電電極対21、22は放電管26上に互いに直列に配置されている。これら放電電極対21、22は同一寸法であって、誘電体コーティングが施されているものとする。本願明細書においては、放電電極対21の間の空間を第一レーザ励起領域A、放電電極対22の間の空間を第二レーザ励起領域Bと呼ぶこととする。
また、これら放電電極対21、22は、第一高周波電源ユニットPSU1、第二高周波電源ユニットPSU2にそれぞれ接続されている。なお、これら放電電極対21、22と、第一および第二の高周波電源ユニットPSU1、PSU2の間には、それぞれ図示しないマッチング回路が設けられているものとする。
そして、第一および第二の高周波電源ユニットPSU1、PSU2はCNC10に接続されている。第一および第二のレーザ励起領域A、Bにそれぞれ供給される励起エネルギEm、EsはCNC10および高周波電源ユニットPSU1、PSU2により制御されるものとする。
図1に示されるように、放電管26には送風機28が配置され、送風機28の上流および下流には熱交換器27、27’がそれぞれ配置されている。さらに、レーザ発振器20は冷却水循環システム34に接続されており、放電管26内のレーザガスなどが適宜冷却されるようになっている。また、放電管26に接続されたレーザガス圧制御システム33は、放電管26へのレーザガスの供給および放電管26からのレーザガスの排出を行うことができる。
CNC10はデジタルコンピュータであり、レーザ発振器20全体の動作を制御する。図示されるように、CNC10は、レーザ出力Ptの目標値に対応する第一および第二の励起エネルギEm、Esの指令値を作成する指令作成部11としての役目を果たす。さらに、CNC10は、指令作成部11により作成された第一および第二の励起エネルギEm、Esの指令値とレーザパワーセンサ25により検出されたレーザの検出値Pmとに基づいて所定の演算により第二の励起エネルギEsの指令値を更新する指令演算部12としての役目を果たす。
さらに、CNC10は、レーザ出力Ptの目標値と、第一レーザ励起領域Aのための励起エネルギEmと、第一レーザ励起領域Aのための励起エネルギEmおよびレーザ出力Ptの目標値に応じて定まる第二レーザ励起領域Bのための励起エネルギEsの指令値との対応関係を予めデータテーブルまたは関数として記憶する記憶部13を含んでいる。この記憶部13は、レーザ装置1を動作させる動作プログラムおよび各種のデータも記憶している。なお、動作プログラムには、第一レーザ励起領域Aのための励起エネルギEmの指令値が予め記載されているものとする。
図2は、一つのレーザ励起領域において注入されたエネルギEと、レーザ出力Pとの間の関係を示す図である。図2に示されるように、エネルギEが小さい場合にはレーザ出力Pは発生しておらず、エネルギEが臨界注入エネルギEtに達すると、レーザ発振が開始してレーザ出力Pが得られる。なお、増幅されるレーザ光と、共振器内で損出するレーザ光は釣り合った状態とみることができる。そして、図2に示されるように、臨界注入エネルギEtよりも大きい励起エネルギ、例えば励起エネルギEmを注入していくと、レーザ出力Pもこれに応じて大きくなる。
ところで、現在、実用化されている多数のレーザ装置においては、レーザ出力に先立って、臨界注入エネルギEtよりも小さい予備励起エネルギEbをレーザ励起領域A、Bに予めまたは常時注入しておく場合がある。予備励起エネルギEbにおいてはレーザ出力Pは発生しない。しかしながら、予備励起エネルギEbをこのように注入しておくことにより、放電管26における放電状態を維持したり、レーザ出力時の過渡特性においてレーザ出力値がオーバシュートしないようにできる。このように予備励起エネルギEbを注入する方式は、予備放電またはシマー放電と呼ばれる場合がある。
図3(a)および図3(b)は、それぞれ従来技術および本発明の第一の実施形態において時間tと注入されるエネルギEとの関係を示す図である。これら図面においては、横軸は時間tを表し、縦軸はレーザ励起領域A、Bに注入されるエネルギEを表す。
以下、これら図面を参照して、本発明の第一の実施形態におけるレーザ装置の動作を説明する。図3(a)に示されるように、従来技術においては、第一のレーザ励起領域Aにおける励起エネルギEmを臨界注入エネルギEtよりも大きい励起エネルギとし、第二のレーザ励起領域Bには励起エネルギEsを注入しない。
図4(a)は従来技術において第二のレーザ励起領域Bにおける励起エネルギEsを臨界注入エネルギEtに固定したときに、第一のレーザ励起領域Aにおける励起エネルギEmとレーザ出力Pとの関係を示す図である。図4(a)から分かるように、第二のレーザ励起領域Bに臨界注入エネルギEtを注入しつつ、第一のレーザ励起領域Aに或る励起エネルギEm1を注入すると、目標としたレーザ出力Ptが得られる。そして、図示されるように、レーザ出力Pは、第一のレーザ励起領域Aにおける励起エネルギEmが臨界注入エネルギEt以上であるときに線形的に変化する。
しかしながら、図示されるように、エネルギEmを表す横軸と関係式との間のなす角度は比較的大きい。このため、第一のレーザ励起領域Aにおける励起エネルギEmをわずかながら変更すると、レーザ出力Pは大幅に変化することになる。従って、特に、第一のレーザ励起領域Aにおける励起エネルギEmが臨界注入エネルギEtに近い場合には、微小なレーザ出力Pを発生させるのが困難であった。
これに対し、本発明の第一の実施形態においては、図3(b)に示されるように、第一のレーザ励起領域Aにおける励起エネルギEmを臨界注入エネルギEtよりも大きい励起エネルギとしつつ、第二のレーザ励起領域Bにおいては臨界注入エネルギEt以下の励起エネルギEsを注入する。ここで、第二のレーザ励起領域Bにおける励起エネルギEsは、予備励起エネルギEbよりも大きいものとする。
そして、図4(b)は本発明の第一の実施形態において第一のレーザ励起領域Aにおける励起エネルギEmを臨界注入エネルギEtよりも大きい値に固定した場合における、第二のレーザ励起領域Bにおける励起エネルギEsとレーザ出力Pとの関係を示す図である。図4(b)に示されるように、第一の実施形態においては、レーザ出力Pの変化率は、第二のレーザ励起領域Bにおける励起エネルギEsが臨界注入エネルギEt以上であるか否かに応じて異なる。
具体的には、第二のレーザ励起領域Bにおける励起エネルギEsが臨界注入エネルギEtより小さい場合におけるレーザ出力Pの変化率は、第二のレーザ励起領域Bにおける励起エネルギEsが臨界注入エネルギEt以上である場合におけるレーザ出力Pの変化率よりも小さい。
つまり、本発明においては、レーザ出力Pが比較的小さい領域において、レーザ出力PがエネルギEに対して比較的鈍く変化するようにしている。それゆえ、第二のレーザ励起領域Bにおける励起エネルギEsが臨界注入エネルギEtよりも小さい場合に、微小なレーザ出力Pを安定して発生させて、容易に微調整できる。このような場合には、レーザ発振器20が熱的変化に晒されたとしても、熱的変化のレーザ出力Pに対する影響は小さいことが分かるであろう。
ところで、第一の実施形態におけるレーザ発振器20は二つの高周波電源ユニットPSU1、PSU2と、これらにそれぞれ対応する二つのレーザ励起領域A、Bを有している。しかしながら、レーザ装置1の形式によっては単一の高周波電源ユニットおよび単一のレーザ励起領域のみを有する場合がある。以下に述べる第二の実施形態のレーザ装置1においては、高周波電源ユニットPSU2および第二のレーザ励起領域Bが存在しないものとする。
図5(a)および図5(b)はそれぞれ従来技術および本発明の第二の実施形態において時間tとエネルギEとの関係を示す図である。これら図面においては、高エネルギE1と低エネルギE2とがパルス状に交互に入力されている。
図5(a)に示される従来技術における高エネルギE1は臨界注入エネルギEtよりも大きく、低エネルギE2は予備励起エネルギEbに相当している。従来技術においては、臨界注入エネルギEtよりも大きい領域において高エネルギE1を変化させることにより、レーザ出力Pを制御している。
また、図6(a)は低エネルギE2を予備励起エネルギEbに固定しつつ、高エネルギE1を臨界注入エネルギEt以上の領域で変化させたときにおけるエネルギEとレーザ出力Pとの関係を示す図である。図6(a)に示されるようにレーザ出力Pは、高エネルギE1が臨界注入エネルギEt以上であるときに線形的に変化する。しかしながら、この場合にも、高エネルギE1を表す横軸と関係式との間のなす角度は比較的大きく、前述したのと同様な問題が発生する。
これに対し、図5(b)に示される第二の実施形態においては、高エネルギE1を臨界注入エネルギEt以上の値に固定しつつ、低エネルギE2を予備励起エネルギEbと臨界注入エネルギEtとの間で変化させるようにしている。なお、図5(b)から分かるように、低励起エネルギEsの予備励起エネルギEbに対する偏差を偏差エネルギE0と称す場合がある。
そして図6(b)は本発明の第二の実施形態において高エネルギE1を臨界注入エネルギEt以上の値に固定しつつ、低エネルギE2を予備励起エネルギEbと臨界注入エネルギEtとの間で変化させたときにおけるエネルギE2とレーザ出力Pとの関係を示す図である。
図6(b)に示されるように、低エネルギE2が臨界注入エネルギEtより小さい場合におけるレーザ出力Pの変化率は、低エネルギE2が臨界注入エネルギEtと高エネルギE1との間に在る場合におけるレーザ出力Pの変化率よりも小さい。従って、第二の実施形態においても低エネルギE2が臨界注入エネルギEtよりも小さい場合に、微小なレーザ出力Pを安定して発生させ、容易に微調整できることが分かるであろう。
ところで、図7(a)〜図7(c)は第一および第二のレーザ励起領域A、Bにおいて予備励起エネルギEbが注入されている場合の時間tとエネルギEとの関係を示す図3(b)と同様な図である。第一および第二のレーザ励起領域A、Bにこのようにエネルギを注入する場合には、レーザ励起領域Bに注入されるエネルギを偏差エネルギE0分だけ増加させるか(図7(b))または偏差エネルギE0分だけ減少させる(図7(c))によりレーザ出力Pを変更させられる。
このような場合にも同様に、微小なレーザ出力Pを安定して発生させ、容易に微調整できることが分かるであろう。このことは、第二のエネルギを比較的大きくする必要がある場合に特に有利である。なお、図7に示される手法は、前述した第一および第二の実施形態の両方に適用できることに留意されたい。
ところで、前述したように図4(a)においては第二レーザ励起領域Bにおいて励起エネルギEsを臨界注入エネルギEtに固定した場合に、第一レーザ励起領域Aでの励起エネルギEmを変化させている。そして、図4(b)においては、第一のレーザ励起領域Aにおける励起エネルギEmを臨界注入エネルギEtよりも大きい値に固定した場合に、第二レーザ励起領域Bでの励起エネルギEsを変化させている。
これら図4(a)および図4(b)の内容から分かるように、このような場合のレーザ出力は第一および第二の第一レーザ励起領域A、Bに注入されるエネルギの合計値に比例するわけではない。言い換えれば、レーザ出力に基づいて第一および第二のエネルギを一義的に算出するのは困難である。
このため、本発明においては、以下の表に示されるように、レーザ出力Ptの目標値と、第一レーザ励起領域Aのための励起エネルギEmと、第一レーザ励起領域Aのための励起エネルギEmおよびレーザ出力Ptの目標値に応じて定まる第二レーザ励起領域Bのための励起エネルギEsの指令値との対応関係が予めデータテーブルまたは関数としてCNC10の記憶部13に記憶されている。このデータテーブルの内容は、実験等により作成されるものとする。以下の表1には、この対応関係の一部がデータテーブルとして記憶される状態が示されている。
Figure 0005342616
レーザ装置1を動作させるためのプログラムには、第一レーザ励起領域Aに注入される励起エネルギEmの指令値が記載されている。従って、レーザ出力Ptの目標値が定まれば、プログラムとデータテーブルとに基づいて第二レーザ励起領域Bに注入されるべき励起エネルギEsの指令値も自動的に定まる。
通常は、はじめにレーザ出力Ptの目標値を決定し、次いでプログラムに記載された第一レーザ励起領域Aに注入される励起エネルギEmの指令値から第二レーザ励起領域Bに注入されるべき励起エネルギEsの指令値が定まる。このようにデータテーブルを利用することにより、本発明では、第二の励起エネルギEsを簡易に求めることが可能である。あるいは、表1の左方に示される「条件」の番号から、励起エネルギEsの指令値を定めるようにしてもよい。
なお、表1の条件4、5におけるレーザ出力Ptの目標値は、条件1、2におけるレーザ出力Ptの目標値とそれぞれ同じである。しかしながら、第一レーザ励起領域Aにおける励起エネルギEmの指令値が互いに異なるので、第二レーザ励起領域Bにおける励起エネルギEsの指令値も異なる値になっている。言い換えれば、第二レーザ励起領域Bにおける励起エネルギEsを決定するためには、レーザ出力Ptと第一レーザ励起領域Aにおける励起エネルギEmとの両方が必要とされる。
図8は第二高周波電源ユニットに関する機能ブロック図である。出力条件Lxとレーザ出力Ptの目標値とが与えられると、CNC10は第一レーザ励起領域Aにおけるエネルギーの指令値Em*を所定の計算式に基づいて計算する。あるいは、レーザ装置1のプログラムに記載された第一レーザ励起領域Aにおけるエネルギーの指令値Em*を採用してもよい。
そして、本発明においては、図8に示されるフィードバック回路を用いて、第二レーザ励起領域Bに注入されるべきエネルギの指令値Es*を算出する。これにより、第一および第二のレーザ励起領域A、Bには、それぞれ指令値Em*、Es*に応じたエネルギが注入される。
図8に示されるように、レーザ出力Ptの指令値とレーザパワーセンサ25により検出されたレーザ検出値Pmの差分にゲインG1を乗算している。ここで、出力鏡24から出力されるレーザ光の強度は、レーザ検出値Pmに比例しているので、レーザ検出値Pmに所定の係数を乗算することにより、レーザ出力の値をCNC10に与えることができる。
そして、モニタMにより検出された注入エネルギの検出値Esm*をさらに減算し、次いで、ゲインG2を乗算することにより、第二レーザ励起領域Bに注入されるべき励起エネルギEsの指令値を決定する。この計算は指令演算部12が行うようにしてもよい。
言い換えれば、図8に示される実施形態においては、以下の式に基づいて第二の励起エネルギEsの指令値を決定している。
Es*=G2×(G1×(Pt−Pm)−Esm*)
この式から分かるように、Es*の影響によってレーザ出力は迅速に増減し、レーザ出力Ptの強度は指令値に近づくようになる。
あるいは、レーザ装置1からのレーザでレーザ加工を行う前に、レーザ出力を補正することも有効である。図9は第二レーザ励起領域において注入された励起エネルギEsとレーザ出力Pとの関係を示す図である。
はじめに、高周波電源ユニットPSU1から第一レーザ励起領域Aに励起エネルギEmが与えられる。次いで、高周波電源ユニットPSU2からエネルギEAを注入した場合のレーザ出力PAと、エネルギEBを注入した場合のレーザ出力PBとを取得する。これにより、図9に示される出力特性直線が算出される。この直線を用いて、図9に示されるレーザ出力Ptに必要な注入励起エネルギEs1を算出することができる。このような計算は、CNC10の指令演算部12により実施される。このようにして得られた注入励起エネルギEs1を使用することにより、安定したレーザ出力Ptが得られ、その結果、バラツキの少ないレーザ加工を行うことができる。
また、このような手法を用いて表1に示されるデータテーブル内の注入励起エネルギEsを励起エネルギEs1に置換える補正を行ってもよい。これにより、CNC10のプログラム上で指令を変更することなしに、レーザ出力をより正確に微調整することが可能となる。
なお、前述した実施形態においては励起エネルギの指令値の作成について説明した。しかしながら励起エネルギの量を実際に指令するに際し、放電管26に対する電圧または電流により指令してもよく、あるいは最大の注入エネルギに対する比により指令してもよい。
1 レーザ装置
10 CNC
11 指令作成部
12 指令演算部
13 記憶部
21 放電電極対
22 放電電極対
23 リア鏡
24 出力鏡
25 レーザパワーセンサ
26 放電管
27、27’ 熱交換器
28 送風機
33 レーザガス圧制御システム
34 冷却水循環システム
A 第一レーザ励起領域
B 第二レーザ励起領域
Em 第一レーザ励起領域におけるエネルギ
Es 第二レーザ励起領域におけるエネルギ
Pm レーザ検出値
PSU1 第一高周波電源ユニット
PSU2 第二高周波電源ユニット

Claims (4)

  1. レーザ装置において、
    レーザ励起領域にエネルギを注入する電源ユニットを具備し、
    該電源ユニットは、第一のエネルギと、該第一のエネルギよりも小さい第二のエネルギとの間でエネルギをパルス状に注入しており、
    前記第一のエネルギはレーザ発振が開始される臨界注入エネルギ以上の所定の励起エネルギであり、前記第二のエネルギは前記レーザ励起領域で予備放電するのに必要とされる予備励起エネルギと前記臨界注入エネルギとの間のエネルギであり、
    前記電源ユニットは、前記予備励起エネルギと前記臨界注入エネルギとの間で前記第二のエネルギを変更し、それにより、レーザ出力を制御するレーザ装置。
  2. 前記第二のエネルギは、所定の偏差エネルギを前記予備励起エネルギに加算または前記予備励起エネルギから減算して設定されるようにした請求項1に記載のレーザ装置。
  3. さらに、レーザ出力の目標値と、前記第一のエネルギと、前記レーザ出力の目標値および前記第一のエネルギに応じて定まる第二のエネルギとを互いに対応させてデータテーブルまたは関数として記憶する記憶部を具備し、
    前記レーザ出力の目標値と、前記レーザ装置を動作させるプログラムに記載された第一のエネルギと、前記記憶部に記憶されたデータテーブルまたは関数とに基づいて前記第二のエネルギを定めるようにした請求項1に記載のレーザ装置。
  4. さらに、レーザ出力の目標値に対応する前記第一および第二のエネルギの指令値を作成する指令作成部と、
    前記レーザ装置から出力されたレーザの検出値を取得する出力検出部と、
    前記指令作成部により作成された前記第一および第二のエネルギの指令値と前記出力検出部により検出されたレーザの検出値とに基づいて所定の演算により前記第二のエネルギの指令値を更新する指令演算部とを具備する請求項1に記載のレーザ装置。
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