JP5339779B2 - 画像形成方法および定着方法 - Google Patents

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Description

本発明は電子写真法、静電記録法、磁気記録法等に用いられる画像形成方法、定着方法及びトナーに関するものである。
従来、画像形成装置において、記録材上に形成させた未定着トナー画像を永久固着画像として加熱定着する装置としては接触加熱型の装置が汎用されている。この接触加熱型の定着装置は、記録材に接触する表面の温度を所定の定着温度に加熱した回転部材(以下、定着ローラと記す)を記録材に対してニップ部にて接触させて、記録材上の未定着トナー画像を永久固着画像として加熱定着するものである。
定着ローラの加熱方式としては、従来から内部加熱方式がある。これは、定着ローラの内部に加熱手段(加熱源:ヒータ等)を配設し、定着ローラを内側から加熱して定着ローラの表面を所定の定着温度に加熱するものである。しかし、内部加熱方式ではローラ全体を加熱する必要があるために時間が掛かり、オンデマンド性には劣る。
オンデマンド性に対応するために、種々の検討がなされており、中でもフィルムを用いた加熱定着方式は有用な定着方式である。これは、フィルムを介してヒータが直接加熱する方式であるため、ヒータの熱を効率良く記録材に付与することが出来る。しかし、この方式はフィルムを使用するため、長期使用の際にフィルムが破れる、という不具合が生じることがある。
こうした懸念点を払拭する新たな定着方法として、外部加熱方式(表面加熱方式)が検討されている。
外部加熱方式の装置は、セラミックヒータやハロゲンヒータなどにより定着ローラを外側から直接的に加熱するため、定着ローラの表面を急激に昇温させることが可能である。そのため、内部加熱方式の装置に比べてウォームアップ時間や、プリント信号を受信してから未定着トナー画像が形成された記録材を加熱定着するまでの時間(以後、ファーストプリントアウトタイムと記す)を短縮できる。それらに伴ってオンデマンド性も高まるため、好ましい。また、フィルムを用いないことから前述の不具合は生じないため、好ましい。
このような外部加熱方式に関する技術として例えば、定着ローラの内部を断熱化し、且つ最表層は熱伝導フィラーを入れることで高熱伝導化するものがある(特許文献1,2参照)。しかし、この技術によってウォームアップタイムの短縮がなされオンデマンド性は高まるものの、こうした熱伝導フィラーはトナーとの親和性が非常に高いため、巻きつきには不利になり、低温オフセットが生じやすい等、改善の余地を残している。
巻きつきや低温オフセットを改善するために、特許文献3では、表層に離型性の高いPFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)を配置し、用紙への粘着性を低下させる技術が開示されている。しかし、表層部分がPFAに覆われてしまうと熱量の伝達効率が下がり、定着温度が高くなると共にオンデマンド性に劣ってしまうため、更なる改善の余地がある。
また、耐巻きつき性を改善するには、像加熱部材表面に、記録材との離型性に優れる離型層を設けることが非常に有効であり、種々の検討がなされている(特許文献4,5,6)。しかし、表層の熱容量が小さくなることで像加熱部材から記録材への熱の伝達効率は低下する。そのため、加熱装置は像加熱部材に高いエネルギーを付与する必要が生じてしまう。また、耐低温オフセット性も十分とは言えず、改善の余地を残している。
したがって、更に低い温度での定着を可能にし、耐低温オフセット性を改善できる画像形成方法が求められている。
こうした要求に対して、トナー表面物性の制御によって低温定着性を改良する検討がなされている。(特許文献7,8,9参照)しかし、低温環境の如き像加熱部材が冷えやすい状況下では十分な定着性能を発揮できず、改善の余地を残している。
また、特許文献10ではトナー粒子表面に球形ワックス粒子を固定することで、低温オフセットを改良する技術が提案されている。しかし、この技術ではワックスが均一にトナーを覆っていないため、低温環境で放置した後のスタートのような厳しい状況における耐低温オフセット性は不十分であり、改善の余地を残している。
これらのことから、離型層を持つ像加熱部材を用いた系において、画像形成方法、定着方法及びトナーの改善によって、低温定着性、耐低温オフセット性を向上できる技術が求められている。
特開2004−317788号公報 特開2007−121441号公報 特開2004−86202号公報 特開2003−173096号公報 特開2002−278338号公報 特開2003−186327号公報 特開2002−6541号公報 特開2004−145243号公報 特開2004−157423号公報 特開2001−305782号公報
本発明の課題は離型層を持つ定着部材を用いた場合においても、低温定着性と耐低温オフセット性を両立することである。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、離型層を有する像加熱部材であっても、熱容量と表面組成を適正化した像加熱部材と、表面組成を制御したトナーを組み合わせることで課題に対して大きな効果があることを見出し、本発明に至った。すなわち、上記目的は以下のトナーにより達成できる。
(1)静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、該帯電された静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、該静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して、又は介さずに記録材へ転写する転写工程、該トナー像を担持する記録材を加圧部材と回転可能な像加熱部材とで形成されるニップ部を通過させることにより加熱加圧定着する定着工程を有する画像形成方法において、
該像加熱部材は、外部加熱手段により最表層表面から加熱され、
該像加熱部材は、最表層として厚さ5μm以上200μm以下の離型層を有しており、その下層として蓄熱層を有し、更にその下層として弾性層を有するローラであり、
該像加熱部材は、熱伝導率5.0W/mK以上の熱伝導フィラーを含有し、該熱伝導フィラーはAl及び/又はZn化合物であり、
該像加熱部材の表面をEPMA(電子線マイクロアナライザー)により測定した際の該熱伝導フィラーに由来するAl及び/又はZn元素の存在割合が、EPMAで検出される全元素量に対して0.10質量%以上3.00質量%以下であり、
該蓄熱層の単位面積あたりの熱容量が100J/m2K以上600J/m2K以下であり、
該トナーは少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含有しており、
該トナーをメタノール中にて1時間撹拌し、乾燥した後のメタノール濡れ性をW(a)、該トナーをメタノール中にて1時間撹拌し、乾燥した後に、該トナーのガラス転移温度にて3時間加熱した後のメタノール濡れ性をW(b)とすると、
2%≦W(b)−W(a)≦15%
40%≦W(b)≦75%
を満たすことを特徴とする画像形成方法。
(2)該像加熱部材の表面粗さRzが1.0μm以上10.0μm以下であることを特徴とする(1)の画像形成方法。
(3)該像加熱部材の離型層がフッ素ゴムを主成分とするソリッドゴム層であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の画像形成方法。
(4)該像加熱部材の蓄熱層の中に熱伝導フィラーが10質量%以上50質量%以下含有されることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の画像形成方法。
(5)該像加熱部材のマイクロ硬度が30°以上68°以下であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の画像形成方法。
(6)該弾性層は熱伝導率が0.15W/mK以下であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の画像形成方法。
(7)該トナーは気相中にて熱による球形化処理を施していることを特徴とする(6)に記載の画像形成方法。
(8)記録材上に形成されているトナー画像を加圧部材と回転可能な像加熱部材とで形成されるニップ部を通過させることにより加熱加圧定着する定着方法において、
該像加熱部材は、外部加熱手段により最表層表面から加熱され、
該像加熱部材は、最表層として厚さ5μm以上200μm以下の離型層を有しており、その下層として蓄熱層を有し、更にその下層として弾性層を有するローラであり、
該像加熱部材は、熱伝導率5.0W/mK以上の熱伝導フィラーを含有し、該熱伝導フィラーはAl及び/又はZn化合物であり、
該像加熱部材の表面をEPMA(電子線マイクロアナライザー)により測定した際の該熱伝導フィラーに由来するAl及び/又はZn元素の存在割合が、EPMAで検出される全元素量に対して0.10質量%以上3.00質量%以下であり、
該蓄熱層の単位面積あたりの熱容量が100J/m2K以上600J/m2K以下であり、
該トナーは少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含有しており、
該トナーをメタノール中にて1時間撹拌し、乾燥した後のメタノール濡れ性をW(a)、該トナーをメタノール中にて1時間撹拌し、乾燥した後に、該トナーのガラス転移温度にて3時間加熱した後のメタノール濡れ性をW(b)とすると、
2%≦W(b)−W(a)≦15%
40%≦W(b)≦75%
を満たすことを特徴とする定着方法。
(9)該トナーは気相中にて熱による球形化処理を施していることを特徴とする(8)に記載の定着方法。
本発明によれば、離型層を有する定着部材を用いた場合でも低温定着性及び耐低温オフセット性に優れる画像形成方法、定着方法及びトナーを提供出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、画像形成方法、定着方法及びトナーに関するものであるが、像担持体を一様に帯電する帯電工程、帯電した像担持体を露光することで潜像を形成する潜像形成工程、静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像工程、現像画像を記録材上に転写する転写工程に関しては、従来公知の電子写真プロセスが適用でき、特に限定されるものではない。
本発明の画像形成方法は、静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、該帯電された静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、該静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して、又は介さずに記録材へ転写する転写工程、該トナー像を担持する記録材を加圧部材と回転可能な像加熱部材とで形成されるニップ部を通過させることにより加熱加圧定着する定着工程を有する画像形成方法において、
該像加熱部材は、外部加熱手段により最表層表面から加熱され、
該像加熱部材は、最表層として厚さ5μm以上200μm以下の離型層を有しており、その下層として蓄熱層を有し、更にその下層として弾性層を有するローラであり、
該像加熱部材は、熱伝導率5.0W/mK以上の熱伝導フィラーを含有し、該熱伝導フィラーはAl及び/又はZn化合物であり、
該像加熱部材の表面をEPMA(電子線マイクロアナライザー)により測定した際の該熱伝導フィラーに由来するAl及び/又はZn元素の存在割合が、EPMAで検出される全元素量に対して0.10質量%以上3.00質量%以下であり、
該蓄熱層の単位面積あたりの熱容量が100J/m2K以上600J/m2K以下であり、
該トナーは少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含有しており、
該トナーをメタノール中にて1時間撹拌し、乾燥した後のメタノール濡れ性をW(a)、該トナーをメタノール中にて1時間撹拌し、乾燥した後に、該トナーのガラス転移温度にて3時間加熱した後のメタノール濡れ性をW(b)とすると、
2%≦W(b)−W(a)≦15%
40%≦W(b)≦75%
を満たすことを特徴とする画像形成方法である。
まず、本発明の像加熱部材について説明する。
本発明の像加熱部材は、像加熱部材の表面から順に離型層、蓄熱層、弾性層の三層構造であり、離型層は5μm以上200μm以下としたものである。この離型層は、像加熱部材とトナーとの離型効果を著しく高めるため、様々なメディアとトナーを組み合わせて使用する上で重要な構成である。しかし、離型層の熱伝導率は低いため、ヒータにより熱量を付与される際にロスを生じることで定着に必要な熱量は増大してしまう。本発明者らの検討によると、高い離型性を付与しつつ、熱量のロスを抑えられる離型層厚の範囲は5μm以上200μm以下であった。
離型層の厚みが5μm未満であると、像加熱部材とトナーの離型性が低くなり、低温オフセットの如き定着時の不具合が生じる。200μmを超えると低温オフセットは良化するものの、表面の熱容量が低くなる為、ヒータの温度を高くしなければならない。このため、離型層の厚みは5μm以上200μm以下であることが重要であり、5μm以上100μm以下であると、より好ましい。
こうした像加熱部材構成において、更に定着温度を下げる検討を重ねた結果、熱伝導フィラーの物性と存在状態、及び蓄熱層の物性をそれぞれ制御することが重要であった。なお、本発明の熱伝導フィラーは、Al及び/又はZnを含有するものである。これは、Al及び/又はZnを含有させるとフィラーは高い熱伝導性を得やすく、しかも本件の像加熱部材に対して非常に適用しやすかったためである。
すなわち、本発明において、(A)像加熱部材の表面をEPMA(電子線マイクロアナライザー)により測定した際の熱伝導フィラーに由来するAl及び/又はZn元素の存在割合が、EPMAで検出される全元素量に対して0.10質量%以上3.00質量%以下であり、(B)熱伝導フィラーの熱伝導率は5.0W/mK以上であり、(C)蓄熱層の熱容量を100J/m2K以上600J/m2K以下に制御することが重要であった。
まず、(A)について説明する。本発明の像加熱部材は離型層、蓄熱層、弾性層の3層構成である。しかし、前述のように、熱伝導率の低い離型層があることによって表面の熱伝導率は下がるため、定着温度は上がってしまう。そこで、離型層の熱伝導性を高める検討を行ったところ、離型層表面に少量の熱伝導フィラーを存在させることで、定着温度を大幅に下げられることを見出した。
本発明において、離型層表面の熱伝導フィラーの検出方法としては、EPMAを用いた。EPMAは表面から数μmの深さまでに存在する元素を測定するものであり、検出されるAlやZn元素は表面から数μmまでの深さに存在する熱伝導フィラー量と対応する。
本発明者らの検討によると、EPMA測定で検出されるAl及び/又はZnの存在割合が、検出される全元素量に対して0.10質量%以上であると上記効果が得られた。この理由として、本発明者らは以下のように考えている。離型層がヒータから熱量を受け取ると、熱量は離型層を通って蓄熱層まで到達し、蓄熱される。この時、離型層は熱伝導性が低いため熱量のロスが発生してしまう。ここで、離型層表面にAl及び/又はZnの存在割合が0.10質量%以上となる量の熱伝導フィラーがあると、熱は熱伝導性の高いフィラーを介して蓄熱層に効率良く伝達される。こうして熱量ロスは生じ難くなり、必要最小限のヒータ温度で像加熱部材を所望の温度まで加熱することが出来ると考えている。
このため、離型性表面の熱伝導フィラー量は多い方が熱伝導率が高まり、定着温度を下げる効果が大きくなる。しかし、一般的にAl及び/又はZnを含有する熱伝導フィラーはローラを形成するゴムよりもトナーとの親和性が高い。そのため、離型層に多く含有させると離型効果が失われ、低温オフセットが発生してしまう。本発明者らの検討によると、EPMA測定で検出されるAl及び/又はZnの存在割合が3.00質量%以下であれば定着温度を下げつつ、耐低温オフセット性も満足させることが出来る。
したがって、像加熱部材表面には像加熱部材の表面をEPMAにより測定した際のAl及び/又はZn元素の存在割合が検出される全元素量に対して0.10質量%以上、3.00質量%以下となる量の熱伝導フィラーが必要である。0.10質量%未満であると、表面と蓄熱層を仲介するフィラーが足りず、ヒータから受け取った熱量は蓄熱層に伝達される前に大きくロスしてしまい、定着温度は上昇してしまう。一方3.00質量%を超えると、熱伝導フィラー量が多いために離型層とトナーの付着力が高まり、耐低温オフセット性が著しく悪化してしまう。
次に、(B)の熱伝導フィラーの熱伝導率について説明する。本発明の像加熱部材構成における熱伝導フィラーは、離型層表面から蓄熱層に熱を効率的に伝える必要がある。このため、高い熱伝導率を有する必要があり、具体的には5.0W/mK以上であると、表面の僅かなフィラー存在量でも蓄熱層に熱を効率的に伝えることが出来る。5.0W/mK未満であると熱伝達効率の低下に伴って熱量ロスが増大し、定着温度は高まってしまうため好ましくない。
(A)により像加熱部材表面に僅かに熱伝導フィラーを存在させた上で、(B)により熱伝導フィラーの熱伝導率を高く調整すると、(A)で述べたような熱伝導フィラーの表面と蓄熱層を熱的に仲介する効果が大幅に高まる。こうした(A)(B)の相乗効果によって、像加熱部材は高い離型性及び表面−蓄熱層間の高い熱伝達効率を両立することが出来るため、耐低温オフセット性を向上させ、定着温度を下げることが出来る。
(C)の蓄熱層の熱容量について説明する。本発明における像加熱部材は外側から加熱する手段を具備するものである。ここで、熱の移動を追って考えてみると、ヒータが発した熱は像加熱部材が受け取り、更に記録材上のトナーに付与されて定着する。ただし、ヒータと記録材定着部分とは離れているため、ヒータで加熱された部分が定着部分に到達するまでの間、蓄熱層で熱を保持しなければならない。そのため、蓄熱層の熱容量を高める必要がある。具体的には100J/m2K以上が必要であった。一方、熱容量が大きすぎると、像加熱部材表面の温度の上がり方が遅くなる。そのため、オンデマンド性に劣ると共に、定着に必要な熱量は増大してしまう。こうした弊害を無くすためには、蓄熱層の熱容量は600J/m2K以下とする必要があった。したがって、蓄熱層の熱量は100J/m2K以上600J/m2K以下とすることが重要である。熱容量が100J/m2K未満になると、放熱量が多くなると共に記録材に熱を奪われ易くなる。そのため、定着時に像加熱部材が必要とする熱エネルギーは増大してしまう。600J/m2Kを超えると像加熱部材の温度上昇速度が低下し、ウォームアップタイムが延びるなどしてオンデマンド性に劣るため好ましくない。
以上述べてきたように、本発明の像加熱部材では、像加熱部材を3層構造とした上で(A)表面の熱伝導フィラー量調整、(B)熱伝導フィラーの熱伝導率調整、(C)蓄熱層の熱容量制御が重要であった。(A)(B)(C)を満たす像加熱部材と以下に述べるトナーとの組み合わせによって、本発明の目的は達成し得る。
次に、本発明のトナーについて説明する。
本発明の像加熱部材構成において、更に耐低温オフセット性の向上及び定着温度を下げる検討を行ったところ、上述の像加熱部材の他にトナー表面及び内部のワックス存在状態を制御することが重要であった。
まず、低温オフセットに関して述べる。本発明の像加熱部材は、表面にトナーと親和性の高いフィラーが存在するものである。本発明者らは、フィラーとの離型性という観点で検討した結果、ワックスをトナー表面に露出させると共に、熱溶融時にワックスがある程度染み出し、潤滑性が高まる構成であると大きな効果が得られることが分かった。
具体的には、少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含有しており、該トナーをメタノール中にて1時間撹拌し、乾燥した後のメタノール濡れ性をW(a)、該トナーをメタノール中にて1時間撹拌し、乾燥した後に、該トナーのガラス転移温度にて3時間加熱した後のメタノール濡れ性をW(b)とすると、
2%≦W(b)−W(a)≦15%
40%≦W(b)≦75%
を満たすトナー構成である。
本発明者らは、耐低温オフセット性及び低温定着性を向上させるために、定着時のトナーの物性変化に着目した。しかし、定着工程は一瞬であり、そこでのトナー物性をモニターすることは困難であったため、トナーの熱溶融状態に近い状態を再現する検討を実施した。本発明者らの検討によって、トナーをガラス転移温度にて3時間加熱するとトナーをある程度熱溶融させた状態を作り出すことが出来、その物性値が耐低温オフセット性や低温定着性と密接に関わっていることが見出された。本発明者らは、この加熱後のトナーは定着時の熱溶融状態に近いものであると考えている。上式の「W(b)−W(a)」はトナーが定着時に熱溶融し始めた状態と、通常状態におけるメタノール濡れ性の差に対応するものである。なお、濡れ性測定に際しては、トナーに含まれるワックスの存在状態を純粋に見るため、トナーを1時間メタノール中で撹拌し、外添剤を除去したものを用いている。
W(b)−W(a)が大きいトナーは熱によってワックスが多量に染み出しやすいものであり、逆に小さいトナーはワックスの染み出しが少なく、ガラス転移温度での加熱前後で表面組成変化が小さいトナーであることを示している。一方、熱溶融時のトナー内部のワックス量に関してはW(b)−W(a)が大きいと内部のワックスは少なく、小さいと内部に多くワックスが保持されていることになる。ワックスは染み出すことで離型効果を発揮するものの、染み出しを適量に抑えないと内部ワックス量が不足して定着性の悪化を招く。よって、W(b)−W(a)が上記範囲であると、表面にワックスが存在するとともにトナー内部にも十分ワックスが存在していることを示しており、定着時に一気に溶融することでトナーが大きく変形し、優れた定着性を発揮すると考えている。
また、W(b)は、熱溶融後の表面ワックス量に対応する。W(b)を上記範囲とすると、ワックスが適正量染み出していることを表す。したがって、熱溶融時の離型性に対して感度が非常に大きい物性値である。
本発明者らの検討により、W(b)を調整したトナーと離型層を有する像加熱部材を組み合わせると、トナーと像加熱部材との離型性が飛躍的に高まることを見出した。具体的には、W(b)が40%以上75%以下であると非常に顕著な効果が得られる。本発明者らは、これは熱溶融時にワックスが染み出すことで、離型層の持つ離型効果を飛躍的に高まっているためと推察している。
また、本発明者らはW(b)−W(a)と像加熱部材の組み合わせについても検討した。その結果、W(b)−W(a)を適正範囲とした上で像加熱部材表面の熱伝導フィラー量を前述の範囲に制御すると、離型性を保持しながらトナーの定着温度を大幅に下げられることを見出した。具体的にはW(b)−W(a)は2%以上、15%以下であると、大きな効果が得られる。本発明者らはこれについて、以下のように考えている。上記範囲を満たすようなワックス染み出し量であった時、上記範囲の像加熱部材表面の熱伝導フィラー量であると、染み出したワックス量と熱伝導フィラー量のバランスが取れているため離型性に関しては十分な性能を保持できる。また、上記範囲のように熱溶融時の内部ワックス量、及び像加熱部材表面の熱伝導フィラー量を制御すると、外部加熱手段により得た熱を効率的にトナーに伝えることが可能となると共に、トナーが熱を得てから変形する速度が非常に早くなる。そのため、それらの相乗効果によって、大幅に定着温度を下げることが可能になる。
W(b)−W(a)が2%を下回るとワックスの染み出し量が足りないため、低温オフセット性が悪化する。また、15%を上回ると、内部のワックス量が足りないため、定着温度が高くなってしまう。W(b)が40%を下回ると、表面ワックス量が足りないため、低温オフセット性が悪化する。一方、75%を上回ると表面ワックス量多すぎるため、画像濃度が低下するなどの弊害を生じてしまう。
以下に本発明の像加熱部材(以下、定着ローラ、とも記載する)について、好ましい形態を説明する。
図1に示すように、本発明の像加熱部材30は、芯金31の外周に、熱伝導率が低く、弾性を持つ弾性層(以下、断熱弾性層とも記載する)32を形成する。断熱弾性層32の外側には蓄熱層33が形成され、更に外側に離型層(不図示)を形成したものである。
本発明の像加熱部材の芯金31は、例えば、アルミや鉄、SUM材等の金属材料、セラミック等の他の剛体材料により形成される。芯金31は、断熱弾性層32によって定着ローラ表面から断熱される為、低熱伝導性、低熱容量であっても良い。また、その形態は中空の筒状であっても良い。
芯金31の外周に形成する断熱弾性層32は低熱伝導化したゴム層であり、熱伝導率は蓄熱層33より小さくなるよう配合調整される。本発明において、弾性層は熱伝導率が0.15W/mK以下であると、蓄熱層の熱量は芯金に逃げにくく、熱量のロスがなくなるため好ましい。
断熱弾性層32の厚さは特に制限されないが、有効な断熱性を有し、かつ熱容量が大きくなりすぎず、小径の定着ローラ30を構成するためには、1.0mm以上5.0mm以下、好ましくは2.0mm以上4.0mm以下とするのが良い。
断熱弾性層32は、耐久性や断熱性の観点から、オルガノポリシロキサン組成物に中空フィラーを配合した配合物、あるいは、オルガノポリシロキサン組成物に吸水性ポリマーおよび水を配合した配合物を形成後に焼成および硬化して形成されたものが好ましい。
断熱弾性層32の形成方法を以下に例示する。
例えば、シリコーンゴム組成物であり、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物100質量部に、平均粒子径が500μm以下の中空フィラーを0.1質量部以上200.0質量部以下配合してなるシリコーンゴム組成物を加熱硬化して形成されるバルーンゴム層とする。
ここで、中空フィラーとしては、硬化物内に気体部分を持つことでスポンジゴムのように熱伝導率を低下させるもので、マイクロバルーン材等がある。マイクロバルーン材としては、ガラスバルーン、シリカバルーン、カーボンバルーン、フェノールバルーン、アクリロニトリルバルーン、塩化ビニリデンバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、シラスバルーン等が挙げられる。
上記の中空フィラーの配合量は、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物100質量部に対し0.1質量部以上200.0質量部以下であり、好ましくは0.2質量部以上150.0質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上100.0質量部以下である。この場合、中空フィラーの定着ローラ用シリコーンゴム組成物中での含有量が体積比で10%以上80%以下、特に15%以上75%以下となるように配合することが好ましい。体積割合が少なすぎると熱伝導率の低下が不十分となりやすく、また多すぎると成形、配合が難しいだけでなく成形物もゴム弾性のない脆いものとなってしまう恐れがある。
また、例えば、吸水性ポリマーおよび水を添加する方法で、シリコーンゴム断熱層32を形成したものでも良い。かかるシリコーンゴム組成物としては、オルガノポリシロキサン組成物100質量部に吸水性ポリマーを0.1質量部以上50.0質量部以下、水を10質量部以上200質量部以下、その他、白金化合物触媒のような硬化触媒、SiHポリマーのような架橋剤を添加した組成物を形成する。その後、これを加熱成形して断熱弾性層32としても良い。
また、この場合には、以下の3段階あるいは2段階に分けて加熱する。即ち、第一段階では、シリコーンベースポリマーの実質的な硬化が起こらず、しかも水分が蒸発しない100℃以下、好ましくは50℃以上80℃以下のもとで10時間以上、30時間以下加熱して型成型する。次いで、第二段階では、該型成形物を120℃以上250℃以下、好ましくは120℃以上180℃以下で1時間から5時間加熱して、含まれている水及び水を含んだ不純物中の水分を蒸発させる。そして、最後の第三段階では、得られた気泡体を180℃以上300℃以下、好ましくは200℃以上250℃以下で2時間から8時間加熱して、硬化を進めることにより、所望の多孔質ゴム状弾性体のシリコーンゴム層を完成させる。
よって、断熱弾性層32は、マイクロバルーン等のバルーンや吸水性ポリマーが含有されたオルガノポリシロキサンを主成分とする液状シリコーン組成物より形成されたものが望ましい。このようにして得られた断熱弾性層は、スポンジシリコーンゴム断熱層や、ソリッドゴム断熱層に比べ、断熱性と耐久性に優れ、また、熱膨張も少ない。
次に、断熱弾性層32の外周に形成する蓄熱層33について説明する。蓄熱層33は、例えばシリコーンゴム、あるいはフッ素ゴムなどに、粉末状の熱伝導フィラー(以下、単に「フィラー」とも呼ぶ)を混入させた層を断熱弾性層32の上に形成したソリッドゴム層が好適な形態として挙げられる。蓄熱層が上記のような形態であると、離型層を介して蓄熱層に付与された熱量が素早く蓄熱層全体に拡散するため、好ましい。
該蓄熱層の熱伝導率は、断熱弾性層32よりも高いことが重要である。好ましくは、一般的なソリッドゴムよりも熱伝導率を高め、0.30W/m・K以上とするのが望ましい。
内部の断熱層の熱伝導率を、蓄熱層の熱伝導率よりも低くすることで、定着ローラ表面から伝達された熱を、表面近傍の蓄熱層に偏在させ、保ちやすくする。また、蓄熱層の熱伝導率を高くする事で、蓄熱層での熱の吸収と放出を迅速に行うことができる。
蓄熱層33の厚みは20μm以上500μm以下で形成されていることが望ましい。
フィラーを分散し、高熱容量化された蓄熱層33は、弾性は持つものの硬度が高くなる。そのため、蓄熱層が厚すぎると定着ローラ表面も硬くなり、記録材への密着性が悪くなる。そのため均一なトナー画像定着を行う事が難しくなる。このため、蓄熱層33は500μm以下が望ましい。
一方、蓄熱層が薄すぎると、フィラーを均一に分散し、均一な熱容量とすることが難しくなり、定着ムラなどの原因となる。よって、蓄熱層33は20μm以上が好ましい。
本発明で用いる熱伝導フィラーは、熱伝導率が5.0W/mK以上のものである。また、フィラーの形状はどのような形状のものであっても良い。本発明においては、熱伝導フィラーはAl及び/又はZnを含有するものである。これらは熱伝導率が高く、定着温度を下げられる傾向があるため必須である。本発明で用いることの出来る熱伝導フィラーとしては、アルミナ、酸化亜鉛、チッ化アルミ、チッ化亜鉛、金属アルミ、金属亜鉛、アルミ含有合金、亜鉛含有合金等の粉末状の熱伝導フィラーが挙げられる。
熱伝導フィラーの混入量は10質量%以上50質量%以下であるとオンデマンド性が高まると共に、熱を保持しやすくなる為に好ましい。熱伝導フィラーの混入量が10質量%以上であると蓄熱層の熱容量が十分に高まるため、像加熱部材の定着温度を低く出来る傾向がある。。一方、50質量%以下であると、蓄熱層の熱容量が適正になることで昇温速度が高まり、ウォームアップタイムが短縮される傾向が見られる。
本発明の蓄熱層の製造方法としては、任意の手法を用いることが出来る。例えば、ディッピング塗工、スプレー塗工、および円柱状の芯金周囲に円筒形状の塗工ヘッドを用いて液状樹脂を被覆形成するリング塗工などの方法が挙げられる。特に、リング塗工は蓄熱層を均一に形成出来るため、好ましく用いることが出来る。
図2にリング塗工装置の例を示す。架台71の上に垂直にコラム72が取り付けられ、さらに架台71とコラム72の上部に精密ボールネジ73が垂直に取り付けられている。また、精密ボールネジ73と平行に2本のリニアガイド84がコラム72に取り付けている。LMガイド4はリニアガイド84及び精密ボールネジ73と連結し、サーボモータ75よりプーリ76を介して回転運動が伝達され昇降できるようになっている。コラム72には、円筒状の芯体85の外周面に塗布液を吐出するリング形状の塗工ヘッド78が取り付けられている。さらにLMガイド74上にブラケット77が取り付けられ、このブラケット77には芯体85を保持し固定するワーク下保持具79が垂直に取り付けられ、また逆側の芯体85を保持するワーク上保持具80の中心軸がブラケット77の上部に取り付けられ、ワーク上保持具はワーク下保持具79に対向して同芯になるように配置して芯体85を保持している。
リング形状の塗工ヘッド78の中心軸は、ワーク下保持具79とワーク上保持具80の移動方向と平行となるように支持されている。また、ワーク下保持具79及びワーク上保持具80が昇降移動時において、塗工ヘッド78の内側に開口した環状スリットになっている吐出口の中心軸と、ワーク下保持具79及びワーク上保持具80の中心軸が同芯になるように調節してある。このような構成により塗工ヘッド78の環状スリットになっている吐出口の中心軸を芯体85の中心軸に同芯に合わせることができ、リング形状の塗工ヘッドの内周面と芯体85の外周面との間に均一な隙間が形成される。
また、塗布液の供給口81は、塗布液搬送用の配管82を介して材料供給弁83に接続されている。材料供給弁83は、その手前に混合ミキサー、材料供給ポンプ、材料定量吐出装置、材料タンク等を備え、定量(単位時間当たりの量が一定)の塗布液を吐出可能なものとしている。
芯体の外周上に形成された未加硫の液状ゴムを半硬化する工程と、半硬化した液状ゴム及び塗布積層後の樹脂液の硬化接着工程では、周方向の温度を一定に保つためにゴムローラを回転させながら加熱する方法を用いることが好ましい。熱源としては、ゴムローラに非接触で加熱できる遠赤外セラミックヒータ、近赤外線ヒータ、ランプ加熱ヒータ、UVヒータ、マイクロヒータ等が望ましい。
これらの熱源は、ゴムローラの両端部から中央部に向かって連続的に加熱温度を変化させるために、ゴムローラの長手方向に一定間隔で複数配置される。熱源の数はゴムローラの長手方向における加熱温度の変化パターンに合わせて適宜に決定されることになるが、その数が多いほど、ゴムローラの長手方向における温度変化を微妙にかつ正確に制御することが可能となる。
本発明の像加熱部材は、蓄熱層33の更に外周に離型層(不図示)を形成するものである。離型層は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂等で形成されることが多い。本発明においては、フッ素ゴムを主成分とするソリッドゴム層であると、トナーとの離型性が高く、且つ離型層表面の硬さが安定するため、好ましい。なお、ここで言う「主成分」は離型層全成分に対して70質量%以上占める成分を指す。
離型層の形成方法としては蓄熱層同様、ディスパージョンによるディッピング塗工、スプレー塗工、リング塗工等、任意の方法が用いられる。中でもリング塗工は、離型層形成時において蓄熱層の表面近傍にフィラーを偏在させることができるので、好ましく用いることが出来る。
また、本発明の像加熱部材では、像加熱部材表面の粗さを制御することも重要である。具体的には、像加熱部材の表面粗さRzが1.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。Rzが1.0μm以上10.0μm以下であると像加熱部材の表面の比表面積が大きくなり、外側からの加熱の際に効率的に像加熱部材に蓄熱することができる。また、適度に凹凸が存在しているため、トナーとの離型性を向上することができる。
像加熱部材の表面のRzが1.0μm以上になると、トナーと像加熱部材との接触面積が適正化されるため、低温オフセットが向上する傾向がある。また、像加熱部材の表面のRzが10.0μm以下であれば、像加熱部材の表面の凹凸が適正になることでトナーに対する均一且つ効率的な熱付与が出来るため、定着温度を低く抑えられる傾向が見られる。
Rzの制御の方法として、表面を機械的に研磨する方法を挙げることができる。粗面化方法としては、研磨粒子や、研磨粒子をテープ及び紙等に接着させ、それを押し当てることで研磨する等の公知の研磨方法を使用することができる。また、研磨粒子を表面にぶつけるサンドブラスト法なども用いることができる。中でも、研磨ペーパーを用いて研磨するとRzの制御が容易であり、好ましく用いることが出来る。
また、本発明の像加熱部材は、適度な硬さを持つことが好ましい。像加熱部材が適度な硬さを持つと、トナーとの離型性が高まる。具体的には、加熱部材のマイクロ硬度が30°以上68°以下であると好ましい。30°以上であると、定着ニップ部の圧力を所望の値にした際にもニップ面積を適正領域に維持出来るため、低温オフセットが良化する傾向がある。68°以下になると、像加熱部材の硬さが適正化されることで定着ニップ面積も適正化され、定着温度が低くなる傾向が見られる。
本発明の像加熱部材は、ヒータから熱量を受け取った後速やかに記録材へ熱付与できる構成であると良い。したがって、定着ローラ30は小径であることが望ましく、外径5mm以上20mm以下の範囲が望ましい。
本発明に係るトナーの製造方法について以下に詳述する。
本発明に係るトナーを作製するには、以下の製造方法を用いることが好ましい。まず、任意のトナー構成材料をボールミルその他の混合機により十分混合した後、熱ロール,ニーダー,エクストルーダーの如き熱混練機を用いてよく混練し、冷却固化後粗粉砕を行った後に微粉砕、分級を行うことでトナー粒子を得る。更に、得られたトナー粒子に対して表面改質装置を用いて球形化処理を施す。必要に応じ所望の添加剤をヘンシェルミキサーの如き混合機により十分混合し、トナーを得る。
好ましいトナー粒子の球形化処理方法としては、トナー粒子に気相中にて熱を付与する方法である。例えば瞬間的にトナー粒子表面に高温の熱風を吹き付け、直後に瞬間的に冷風によってトナー粒子を冷却する方法が挙げられる。このような手法によってトナー粒子の表面を改質することは、トナー粒子に過度の熱を加えることがない。よって、原材料成分の変質を防ぎつつトナー粒子の球形化処理を行うことができる。高温の熱風を吹き付けるとトナー粒子の表面近傍は瞬間的に溶融状態になり、トナー粒子中のワックスは容易に表面に染み出すことが出来る。さらにその状態で瞬間的に冷却されるため、表面に存在するワックス量及び存在状態を制御したトナー粒子を得ることができる。
トナー粒子の球形化処理には例えば図5に示すような表面改質装置を用いることができる。トナー粒子51はオートフィーダー52で供給ノズル53を通じて、一定量で表面改質装置内部54に供給される。表面改質装置内部54はブロワー58で吸引されているので、供給ノズル53から導入されたトナー粒子51は機内に分散する。機内に分散にされたトナー粒子51は、熱風導入口55から導入される熱風で、瞬間的に熱が加えられて表面改質される。本発明ではヒーターにより熱風を発生させているが、トナー粒子の表面改質に十分な熱風を発生させられるものであれば装置は特に限定されない。表面改質されたトナー粒子57は、冷風導入口56から導入される冷風で瞬時に冷却される。本発明では冷風には液体窒素を用いているが、球形化処理されたトナー粒子57を瞬時に冷却することができれば、手段は特に限定されない。球形化処理されたトナー粒子57はブロワー59で吸引されて、サイクロン58で捕集される。
本発明のトナーは、公知の製造装置を用いて製造することができ、例えば、状況に応じて以下の製造装置を用いることができる。
例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製),スーパーミキサー(カワタ社製),リボコーン(大川原製作所社製),ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製),スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製),レーディゲミキサー(マツボー社製)等が挙げられる。
混練機としては、例えばKRCニーダー(栗本鉄工所社製),ブス・コ・ニーダー(Buss社製),TEM型押し出し機(東芝機械社製),TEX二軸混練機(日本製鋼所社製),PCM混練機(池貝鉄工所社製),三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製),ニーデックス(三井鉱山社製),MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製),バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)等が挙げられる。
粉砕機としては、例えばカウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製),IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製),クロスジェットミル(栗本鉄工所社製),ウルマックス(日曹エンジニアリング社製),SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製),クリプトロン(川崎重工業社製),ターボミル(ターボ工業社製),スーパーローター(日清エンジニアリング社製)等が挙げられる。
分級機としては、例えばクラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラッシファイアー(セイシン企業社製),ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製),ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製),エルボジェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製),YMマイクロカット(安川商事社製)等が挙げられる。
粗粒等をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、例えばウルトラソニック(晃栄産業社製),レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社),バイブラソニックシステム(ダルトン社製),ソニクリーン(新東工業社製),ターボスクリーナー(ターボ工業社製),ミクロシフター(槙野産業社製),円形振動篩い等が挙げられる。
次に、本発明のトナーに用いることの出来る材料について述べる。
本発明のトナーの結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、スチレン/ブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられるが、特に限定されず従来公知の樹脂を用いることができる。このうち、ポリエステル樹脂及びスチレン/アクリル系樹脂が好ましい。特に、ポリエステルユニットとビニル系共重合ユニットを有するハイブリッド樹脂成分を含有すると、熱溶融時におけるワックスの染み出し量と内部に保持される量を制御しやすくなるため、好ましい。
上記のような樹脂を2種またはそれ以上併用しても良い。特に、ピーク分子量が異なる2種類のハイブリッド樹脂成分を含有する樹脂を併用すると、ワックスの分散性が高まるため、好ましい。
本発明に用いられるポリエステル樹脂のモノマーとしては以下のアルコール成分、2価のカルボン酸、多価アルコール類、多価カルボン酸類が挙げられる。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノ−ルA、また(ア)式で表されるビスフェノール誘導体及び下記(イ)式で示されるジオール類が挙げられる。
Figure 0005339779
また、2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等のベンゼンジカルボン酸類又はその無水物,コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6以上、18以下のアルキル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物:フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
また、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、さらには、例えばノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル等の多価アルコール類,トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物などの多価カルボン酸類等が挙げられる。
また、3価以上の多価カルボン酸又はその無水物、又は3価以上の多価アルコールで架橋された架橋構造を有しているものが好ましい。3価以上の多価カルボン酸またはその無水物としては例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物又は低級アルキルエステル等が挙げられ、3価以上の多価アルコールとしては例えば、1,2,3−プロパントリオール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等が挙げられるが、好ましくは1,2,4−ベンゼントリカルボン酸及びその無水物である。
スチレン/アクリル系樹脂を生成するためのビニル系モノマーとしては次のようなものが挙げられる。
スチレン:o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン及びその誘導体,エチレン、プロビレン、ブチレン、イソブチレンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類,ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類,塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類,酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類,メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類:アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類,ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類:ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロヘニルケトンの如きビニルケトン類,N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物,ビニルナフタリン類,アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸,マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物,マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトフコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和塩基酸のハーフエステル,ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和塩基酸エステル,アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα、β−不飽和酸無水物,該α、β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物,アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
さらに、2−ヒドロキシルエチルアクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシルプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシル基を有するモノマーが挙げられる。
また必要に応じて以下に例示するような架橋性モノマーで架橋された重合体であってもよい。
芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ,アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ:エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えばジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ,芳香族基及びエ一テル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ,ポリエステル型ジアクリレー卜類として例えば、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの,トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート,が挙げられる。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量%に対して、0.01質量%以上10.00質量%以下(さらに好ましくは0.03質量%以上5.00質量%以下)用いることができる。
これらの架橋性モノマーのうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられるものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエ一テル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が挙げられる。
本発明のビニル系共重合体を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(−2メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソプチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパ−オキサイド、シクロヘキサノンパ−オキサイドの如きケトンパ−オキサイド類、2,2’−ビス(t−ブチルパ−オキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパ−オキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパ−オキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパ−オキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパ−オキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパ−オキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロビルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パ−オキシカ−ボネ−ト、アセチルシクロヘキシルスルホニルパ−オキサイド、t−ブチルパ−オキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパ−オキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネ−ト、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエト、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートがあげられる。
ビニル系共重合体とポリエステル樹脂の反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系共重合体及びポリエステル樹脂のそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応をさせることにより得る方法が好ましい。
上記のような結着樹脂を単品で使用しても良いが、2種以上の結着樹脂を混合して使用しても良い。
本発明のトナーは、必要に応じて1種もしくは2種以上のワックスを含有しても良く、該ワックスの示差走査型熱量計(DSC)で測定される昇温時の吸熱ピーク温度で規定される融点は、60乃至130℃であることが好ましく、更に好ましくは100℃以下である。融点が60℃未満の場合はトナー表面へのワックス染み出しが過剰になりやすく、画像濃度にムラを生じる傾向が見られる。融点が130℃超の場合は逆に染み出し量が不足しやすく、耐低温オフセット性が低下する傾向が見られる。
また該ワックスはトナー表面におけるワックス存在量が制御し易くなることから、結着樹脂100質量部に対して、1乃至30質量部添加することが好ましい。
該ワックスとしては例えば、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス及びパラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス,酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物,それら脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物,カルナバワックス、サゾールワックス及びモンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類,脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸類,ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類,ステアリンアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類の如き飽和アルコール類,ソルビトールの如き多価アルコール類:ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの),脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類,ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物,植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。中でも低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュ法による炭化水素系ワックスが好ましく用いられる。
該ワックスは、トナー製造中の溶融混練時において添加しても良く、また樹脂製造時に添加しても良い。
本発明のトナーでは、公知の着色剤を用いることが出来る。
着色剤として用いる磁性材料としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトなどの酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄,Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bf,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、及びこれらの混合物等が挙げられる。従来、四三酸化鉄(Fe34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄亜鉛(ZnFe24)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe512)、酸化鉄カドミウム(Cd3Fe24)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe512)、酸化鉄銅(CuFe24)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル(NiFe24)、酸化鉄ネオジム(NdFe23)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnFe24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が知られている。上述した磁性材料を単独で或いは2種以上の組合せで選択使用する。特に好適な磁性材料は四三酸化鉄又はγ三二酸化鉄の微粉末である。
また、本発明のトナーには着色剤として任意の適当な顔料または染料を用いることもできる。
本発明のトナーには、帯電特性を安定化するために帯電制御剤を用いることが出来、公知のものが利用できる。具体的な化合物としては、負帯電制御剤としてサリチル酸、アルキルサリチル酸、ジアルキルサリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸の如き芳香族カルボン酸の金属化合物、アゾ染料あるいはアゾ顔料の金属塩または金属錯体、ホウ素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン、スルホン酸基を側鎖に持つ高分子が挙げられる。正帯電制御剤として四級アンモニウム塩、該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、ニグロシン系化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。
本発明のトナーには、流動性向上剤を添加しても良い。流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。このような流動性向上剤としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフウルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末,湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理微粉末,酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物,チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き複酸化物,炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩化合物等が挙げられる。
本発明のトナーは、必要に応じてさらに他の外添剤(例えば荷電制御剤等)と混合して一成分現像剤として用いることができ、またキャリアと併用して二成分現像剤として用いることができる。二成分現像方法に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものがすべて使用可能であるが、具体的には、表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物等の、平均粒径20μm以上300μm以下の粒子が好ましくは使用される。
次に、本発明の画像形成方法を実施するための画像形成装置について説明する。
(1)画像形成装置例
図3は、本実施形態の画像形成装置を好適に示す一例たるレーザビームプリンタ(以下、プリンタと略称する)1の概略構成を示す模式的断面図である。
このプリンタ1には、プリンタ本体の外部に設けられたホストコンピュータ等の画像情報提供装置(図示せず)から画像情報が入力する。そして、プリンタ1は、入力した画像情報に応じた画像をシート状の記録材(記録媒体)Pに形成して記録するという一連の画像形成プロセスを公知の電子写真方式に則り行う。
プリンタ1は、潜像担持体としてのドラム状の回転自在な電子写真感光体(以下、感光体と略記する)2と、一次帯電機構8と、現像装置3と、を保持するプロセスカートリッジ4を備えている。また、画像情報提供装置から入力した画像情報に応じた露光処理工程により感光体2の外周面に前記画像情報に応じた静電潜像を形成するレーザスキャナユニット(以下、スキャナと略記する)5を備えている。また、記録材Pに画像を転写する処理を施すロール状の回転自在な転写体6と、画像転写処理済みの記録材Pに加熱及び加圧により定着処理を施す像加熱装置としての定着装置7を備えている。
プロセスカートリッジ4はプリンタ本体に対して着脱自在に支持されている。感光体2の修理及び現像装置3への現像剤補給等のメンテナンスが必要であるときには、前記本体にて開閉自在に支持されているカバー9を開いたのち、プロセスカートリッジ4ごと交換することによりメンテナンスの迅速化及び簡易化等が図られている。
一次帯電機構8は、スキャナ5による露光処理工程前において規定のバイアスを印加されることにより、回転している感光体2の外周面を規定電位分布に帯電せしめるようになっている。
スキャナ5は、画像情報提供装置からの画像情報に応じたレーザLaを出力する。そして、そのレーザLaにより、プロセスカートリッジ本体に設けられた窓4aを通して、感光体2の帯電処理済みの外周面が走査及び露光される。これにより、前記画像情報に応じた静電潜像が感光体2の外周面に形成されようになっている。
次に、プリンタ1における一連の画像形成プロセスに関して説明する。プリンタ本体に設けられたスタートボタン等(図示せず)が押されるなどにより、感光体2の回転駆動が開始される。感光体2は矢印K1の時計方向に規定の周速度にて回転駆動される。これと共に、規定のバイアスが印加されている一次帯電機構8により感光体2の外周面が規定の電位分布に帯電せしめられる。
次に、画像情報提供装置からの画像情報に応じて感光体2の外周面の帯電処理済みの部位がスキャナ5により走査及び露光される。これにより、前記画像情報に応じた静電潜像が感光体2の前記部位に形成される。その静電潜像が現像装置3の現像剤により現像されてトナー画像として可視像化される。
一方、所定のタイミングにて駆動された給紙ローラ12により給紙カセット11から記録材Pが給送される。給紙カセット11から給送された記録材Pはレジストローラ対12aにより所定の制御タイミングにて感光体2と転写体6との間に形成された転写ニップ部へと給送され、転写ニップ部を挟持搬送されていく。この挟持搬送過程において感光体2側の前記トナー画像が転写体6により記録材P側に順次に転写される。
そして、転写処理済みの記録材Pは、定着装置7によりトナー画像の加熱定着処理が施されたのち、プリンタ本体にて回転自在に支持された定着排紙部10を経由してプリンタ排紙部13により機外へと排紙される。排紙された記録材Pは、プリンタ本体の上面に取り付けられたトレイ14上に積載される。以上により、一連の画像形成プロセスが終了することとなる。
(2)定着装置7
図4は本実施形態を好適に示す一例たる外部加熱方式の像加熱装置である定着装置7の模式的断面図である。
30は記録材上の画像をニップ部にて加熱する回転可能な加熱部材としての定着ローラ(定着用回転体)である。63は加圧部材としての回転可能な加圧ローラである。なお、加圧部材63は固定されたパッドであっても良い。
定着ローラ30と加圧ローラ63は、上下にほぼ並行に配列され、且つ端部の加圧バネ(図示せず)により圧接されている。これにより、両者間に記録材搬送方向において所定幅の定着ニップ部(圧接ニップ部)Ntを形成させている。
定着ローラ30は駆動手段(図示せず)によって矢印の時計方向に規定の周速度で回転駆動される。加圧ローラ63は定着ローラ30の回転に従動して回転する。なお、定着ローラ30と、加圧ローラ63を別途、回転駆動しても良い。
21は定着ローラ30をその外側から加熱する加熱手段(加熱源)である。本実施例において、この加熱手段21は板状ヒータ(以下、ヒータと略記する)である。このヒータ21は、ヒータホルダ24に固定して保持させて、定着ローラ30上側に並行に配列してある。そして、ホルダ24を加圧機構(図示せず)により一定圧力で加圧し、ヒータ21が定着ローラ30の上面に所定の圧力で圧接するように調整している。ヒータ21は定着ローラ30に対して常に同じ部位で接触して、定着ローラ30との間に定着ローラ30の回転方向において所定幅の加熱ニップ部Nhを形成している。
回転する定着ローラ30は、加熱ニップ部Nhにおいてヒータ21により外側から加熱されて、定着ニップ部Ntにて記録材P上の未定着トナー画像Tを定着するのに必要・十分な熱量が与えられる。
記録材Pは前述したように画像形成部にてトナー画像Tが形成されたあと、定着装置7へ送られ、定着ローラ30と加圧ローラ63とで形成される定着ニップ部Ntへ導入されて挟持搬送される。記録材Pはこの定着ニップ部Ntを挟持搬送されていく過程において、定着ローラ30で加熱され、またニップ部圧を受けて、未定着トナー画像Tが記録材P面に永久固着画像として熱圧定着される。
≪測定方法≫
(1)定着ローラ表面のEPMA(電子線マイクロアナライザー)測定
本発明では、定着ローラの表面を電子線マイクロアナライザー(EPMA)により測定した際の検出される全元素量に対するAl及び/又はZn元素の存在割合を規定している。この時、Al元素やZn元素は熱伝導フィラーに由来するものである。EPMAは表面から数μmの深さまでに存在する元素を測定するものであり、全元素量に対するAlやZnの存在割合は表面から数μmまでの深さに存在する熱伝導フィラー量と対応する。したがって、AlやZnの存在割合が高い場合、表面部分により多く熱伝導フィラーが存在することを示す。
<測定条件>
装置:電子線マイクロアナライザー EPMA−1610(島津製作所製)
加速電圧:15kV
照射電流:20nA
計測時間:500msec
ビーム径:10μm
(2)熱伝導フィラー、蓄熱層、断熱弾性層の熱伝導率測定及び蓄熱層の単位面積あたりの熱容量
○蓄熱層の単位面積あたりの熱容量測定
本発明では、蓄熱層の単位面積あたりの熱容量を規定している。ここで、蓄熱層の表面積とは、離型層を全て剥離した際に現れる蓄熱層表面の面積を指す。したがって、「試験片の表面積」も上述のように剥離した際に現れる面の面積のみを表している。
蓄熱層の単位面積あたりの熱容量は、以下の式で求められる。
定着ローラの単位面積あたりの熱容量
=試験片の体積×体積熱容量÷試験片の表面積
または、
=体積熱容量×比熱容量×蓄熱層33厚み 式(A)
したがって、蓄熱層の単位面積あたりの熱容量を算出するには、まず比熱容量及び体積熱容量を測定する必要がある。比熱容量及び体積熱容量は以下のように求めた。
まず、定着ローラ30の蓄熱層33より、縦5mm、横5mmの試験片を切り出し、上記試験片を、乾式自動密度計(型番AccuPyc1330 株式会社 島津製作所)にて測定し、質量密度を求める。
次に、上記試験片を、示差走査熱量計(型番DSC8240、株式会社リガク製)にて測定し、比熱容量を求める。
体積熱容量は、下式から求められるため、上記により得られた値から計算される。
体積熱容量=質量密度×比熱容量
こうして得られた比熱容量と体積熱容量を式(A)に代入することで蓄熱層の単位面積あたりの熱容量を算出した。
○熱伝導フィラー/蓄熱層/断熱弾性層の熱伝導率の測定
フーリエ変換型温度熱拡散率測定装置(型番FTC−1、アルバック理工株式会社製)にて熱拡散率を測定する。蓄熱層や断熱弾性層を測定する場合、厚み方向の測定を行う。そして、下記の式から、熱伝導フィラーの熱伝導率、及び蓄熱層又は断熱弾性層の厚み方向の熱伝導率を求める。
熱伝導率=熱拡散率×質量密度×比熱容量
(3)像加熱部材表面のRz測定方法
サーフコーダーSE−3300(小坂研究所製)にて、測定距離4mmで測定した。測定箇所は、像加熱部材のゴム端部から30mm以上40mm以下の位置の両端部及び、ゴム端部から110mm以上120mm以下の位置の中央部とした。それぞれの箇所で軸方向と周方向について測定し、6点の測定値の平均値をRzとした。
(4)像加熱部材のマイクロ硬度の測定
像加熱部材のマイクロ硬度は、マイクロ硬度計MD−1型(高分子計器株式会社製)を用い、23℃/55%RH環境においてピークホールドモードで測定した値とすることができる。具体的には、像加熱部材を金属製の板の上に置き、金属製のブロックを置いて像加熱部材が転がらないように簡単に固定し、金属板に対して垂直方向から像加熱部材の中心に正確に測定端子を押し当て5秒後の値を読み取る。これを像加熱部材のゴム端部から30mm以上40mm以下の位置の両端部及び中央部について合計3点測定し、反転させた後同様に3点測定する。得られた合計6点の測定値の平均値をマイクロ硬度とした。
(5)ワックスの融点及びトナーのガラス転移温度測定
ワックスおよびトナーの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、トナー約10mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを、本発明のトナーのDSC測定における吸熱曲線の最大吸熱ピークとする。この2度目の昇温過程で、温度40℃〜100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、トナーのガラス転移温度Tgとする。
(6)トナーのメタノール濡れ性W(a)及びW(b)の測定
本発明におけるトナーの濡れ性は、メタノール滴下透過率曲線を用いて測定する。具体的には、その測定装置として、例えば、(株)レスカ社製の粉体濡れ性試験機WET−100Pを用い、下記の条件及び手順で測定したメタノール滴下透過率曲線を利用する。
[1]W(a)の測定
濡れ性測定に際しては、トナーに含まれるワックスの存在状態を純粋に見るため、以下の操作を行った後に測定する。
<1−1>トナー5gに対してメタノール200gを加え、1時間撹拌する。
<1−2>上記<1−1>で得られたトナーを25℃にて乾燥し、下記のように濡れ性を測定する。
まず、メタノール40体積%と、水60体積%とからなる含水メタノール液70mlを容器中に入れ、その測定用サンプル中の気泡等を除去するために超音波分散器で5分間分散を行う。この中に検体である磁性トナーを0.5g精秤して添加し、磁性トナーの疎水特性を測定するためのサンプル液を調製する。尚、この測定において、フラスコとしては、直径5cmの円形で、1.75mmのガラス製のものを用い、マグネティックスターラーとしては、長さ25mm、最大径8mmの紡錘形でありフッ素樹脂コーティングを施されたものを用いた。
次に、この測定用サンプル液を撹拌しながら、メタノールを1.3ml/min.の滴下速度で連続的に添加し、波長780nmの光で透過率を測定することで、メタノール滴下透過率曲線を作成する。ここで、上述の透過率曲線における透過率50%のときの値をW(a)とした。
[2]W(b)の測定
上記<1−2>で得られた乾燥後トナーを(5)で得られたトナーのガラス転移温度にて、3時間加熱する。加熱後のトナーを用いて、[1]と同様に濡れ性を測定し、W(b)を得る。
(7)トナーの粒度分布
トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行う前に、以下のように専用ソフトの設定を行った。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
<1>Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
<2>ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
<3>発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
<4>前記<3>のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
<5>前記<4>のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
<6>サンプルスタンド内に設置した前記<1>の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記<5>の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
<7>測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。尚、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
(8)樹脂の分子量分布測定
樹脂の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
以下、本発明を製造例及び実施例により更に具体的に説明するが、これらは本発明をなんら限定するものではない。
◎定着ローラの製造
(蓄熱層用塗工液1乃至4の製造)
シリコーンゴム原料組成物として、付加型シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製(商品名:DY35−561A/B))70質量部に対し、フィラーとしてアルミナ(昭和電工(株)製(商品名:アルミナビーズCB−A50S))を30質量部配合した。これを固形分濃度10%となるように、メチルエチルケトンで希釈し、混練して蓄熱層用塗工液1を得た。液粘度は3.0×10-2Pa・sであった。また、表1のようにフィラー種の選択及び配合比調整を行い、蓄熱層用塗工液2乃至4を得た。なお、表中の「アルミナ」は昭和電工(株)製アルミナ(商品名:アルミナビーズCB−A50S)、「酸化亜鉛」は境化学工業(株)製酸化亜鉛(商品名:LPZINC−11)、「ジルコニア」はアスザック(株)製ジルコニア(商品名:AZI)を示す。
Figure 0005339779
(離型層用分散液の製造)
・離型層用分散液1、3、4の製造
PFA分散液(商品名:ネオフロンAD−2CR、ダイキン工業株式会社)に対し、フィラーとしてアルミナ(昭和電工(株)製(商品名:アルミナビーズCB−A50S))をPFAの固形分に対する含有率が1.00質量%となるよう配合し、離型層用分散液1を得た。含有率を0.05質量%、3.00質量%として同様に操作し、離型層用分散液3及び4を作製した。主成分、フィラー含有率を表2に示す。
・離型層用分散液2の製造
付加型シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製(商品名:DY35−561A/B))99質量部に対し、フィラーとしてアルミナ(昭和電工(株)製(商品名:アルミナビーズCB−A50S))を1質量部配合した。これを固形分濃度10%となるようにメチルエチルケトンで希釈し、離型層用分散液2を得た。主成分、フィラー含有率を表2に示す。
Figure 0005339779
(定着ローラ1の製造)
[1]弾性層の製造
信越化学工業製の付加硬化型液状シリコーンゴム材料KE1218A液(主剤)/B液(硬化剤)各50質量部に、中空フィラーとして松本油脂製薬製のマイクロバルーンF80S(材質:アクリロニトリル、軟化温度:160℃以上、170℃以下)を3質量部、ポリエチレングリコール1質量部を添加し、15分撹拌を続け、シリコーンゴムを得た。
外径8mmのSUM芯金上に、上記で得たシリコーンゴムを注型し、150℃で1時間、一次加硫を行った後、型から脱型して取り出した。次に、200℃で4時間、2次加硫を行った後、更に、230℃で4時間の加熱処理を施すことで、厚み2mmの弾性層を有する定着ローラ前駆体1−1を作製した。この弾性層はバルーンゴムであり、熱伝導率は0.12W/mKであった。
[2]蓄熱層の製造
リング塗工装置を用いて蓄熱層用塗工液1を定着ローラ前駆体1−1に塗布した。この時、リング塗工装置の条件は移動速度15mm/s、材料吐出量2100mm3/secとした。その後300℃の温風循環加熱炉で60分加熱し、ソリッドゴム層及びフィラーから構成される、厚み150μmの蓄熱層を有する定着ローラ前駆体1−2を得た。
フィラーの熱伝導率は23.0W/mK、蓄熱層の単位表面積あたりの熱容量は250J/m2K、蓄熱層の熱伝導率は0.32W/mK、蓄熱層の厚みは150μmであった。
[3]離型層の製造
リング塗工装置を用いてPFA分散液(商品名:ネオフロンAD−2CR、ダイキン工業株式会社)を定着ローラ前駆体1−2に塗布した。なお、リング塗工装置の条件は移動速度15mm/s、材料吐出量2100mm3/secとした。乾燥後300℃で30分焼成を行うことでソリッドゴム層及びフィラーから構成される、厚み50μmの離型層を形成した。その後、表面を研磨ペーパーを用いて研磨(研磨機:松田精機製スーパーフィニッシャー、研磨紙:3Mインペリアルラッピングフィルム30micシリコンカーバイド砥粒タイプ)し、定着ローラ1を得た。定着ローラ1のRzは6.0μm、外径は12mm、ゴム部の長さは230mm、外周面(図1に斜線部分Sとして図示)の表面積は8671mm2であった。作製したローラの概要は表3の通りである。なお、表中の「表面存在割合」とは、定着ローラをEPMAで測定した際に検出される全元素量に対するAl及び/又はZnの存在割合を示す。ここでAl、Zn元素は熱伝導フィラーに由来するものである。
(定着ローラ2の製造)
弾性層に用いるシリコーンゴムを付加型シリコーンゴム(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製(商品名:DY35−561A/B))に変え、離型層形成後の研磨を調整することでRzを11.0μmとしたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、定着ローラ2を得た。弾性層の熱伝導率は0.25W/mKであった。作製したローラの概要は表3の通りである。
(定着ローラ3の製造)
離型層を形成する際に、スプレーコートによって厚み60μmの層を形成し、乾燥後、リング塗工装置を用いて更に50μmの層を形成することで離型層の厚みを110μmとし、離型層形成後に研磨を行わなかったこと以外は定着ローラ2と同様に製造し、定着ローラ3を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(定着ローラ4の製造)
離型層を形成する際に、スプレーコートによって厚み140μmの層を形成し、乾燥後、リング塗工装置を用いて更に50μmの層を形成することで離型層の厚みを190μmとしたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、定着ローラ4を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(定着ローラ5の製造)
リング塗工装置を用いて離型層の厚みを5μmとしたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、定着ローラ5を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(定着ローラ6の製造)
離型層形成時に使用する離型層用分散液を離型層用分散液2に変えたこと以外は定着ローラ5と同様に製造し、定着ローラ6を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(定着ローラ7の製造)
使用する蓄熱層用塗工液を蓄熱層用塗工液2に変え、蓄熱層を形成する際にスプレーコートによって厚み200μmの層を形成し、乾燥後、リング塗工装置を用いて更に50μmの層を形成することで蓄熱層の厚みを250μmとしたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、定着ローラ7を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(定着ローラ8の製造)
使用する蓄熱層用塗工液を蓄熱層用塗工液3に変え、蓄熱層を形成する際にスプレーコートによって厚み50μmの層を形成し、乾燥後、リング塗工装置を用いて更に50μmの層を形成することで蓄熱層の厚みを100μmとしたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、定着ローラ8を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(比較用定着ローラ1の製造)
使用する蓄熱層用塗工液を蓄熱層用塗工液4に変えたこと以外は定着ローラ8と同様に製造し、比較用定着ローラ1を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。なお、比較用定着ローラ1に関してのみ、表中の「表面存在割合」はEPMA測定で検出された全元素量に対するジルコニウムの存在割合を示している。ジルコニウムは、比較用定着ローラ1で熱伝導フィラーの代わりに用いたジルコニアに由来するものである。
(比較用定着ローラ2の製造)
蓄熱層を形成する際にスプレーコートによって厚み220μmの層を形成し、乾燥後、リング塗工装置を用いて更に50μmの層を形成することで蓄熱層の厚みを270μmとしたこと以外は定着ローラ7と同様に製造し、比較用定着ローラ2を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(比較用定着ローラ3の製造)
蓄熱層を形成する際にスプレーコートによって厚み30μmの層を形成し、乾燥後、リング塗工装置を用いて更に50μmの層を形成することで蓄熱層の厚みを80μmとしたこと以外は定着ローラ8と同様に製造し、比較用定着ローラ3を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(比較用定着ローラ4の製造)
離型層を形成する際に、スプレーコートによって厚み170μmの層を形成し、乾燥後、リング塗工装置を用いて更に50μmの層を形成することで離型層の厚みを220μmとしたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、比較用定着ローラ4を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(比較用定着ローラ5の製造)
離型層を形成する際に、リング塗工装置を用いて3μmの層を形成したこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、比較用定着ローラ5を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(比較用定着ローラ6の製造)
離型層形成時に使用する離型層用分散液を離型層用分散液3に変えたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、比較用定着ローラ6を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
(比較用定着ローラ7の製造)
離型層形成時に使用する離型層用分散液を離型層用分散液4に変えたこと以外は定着ローラ1と同様に製造し、比較用定着ローラ7を得た。作製したローラの概要は表3の通りである。
Figure 0005339779
◎トナーの製造
次に、本発明の実施例で用いるトナーの製造方法について説明する。なお、以下に示したトナー1乃至4、及び比較用トナー1乃至5の物性は表4に示した。
[トナー1の調製]
<磁性体1の製造>
第一鉄塩を主成分とする水溶液に鉄に対して当量以上の水酸化ナトリウム水溶液を混合し、水酸化第一鉄スラリーを得る。この水酸化第一鉄スラリーのpHを12に維持して80℃で酸化反応を行った。得られたマグネタイト粒子を含むスラリーに対してろ過、洗浄、乾燥、粉砕を行い、磁性体1を得た。得られた磁性体の平均粒径は0.33μm、磁気特性は飽和磁化78Am2/kg、残留磁化8Am2/kg、保持力が9kA/mであった。
なお、上記磁気特性は、振動型磁力計VSMP−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場796kA/mで測定した。また、磁性体の粒径はレーザ回折/散乱粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所)を用いて測定した。
<結着樹脂1の製造>
結着樹脂1(a)の製造
・テレフタル酸 28質量部
・無水トリメリット酸 1質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体 71質量部
(R:プロピレン基でx+y=2.2)
これらに触媒としてジブチルスズオキサイドを0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、結着樹脂1(a)(Tg58.0℃、ピーク分子量Mp=5700)を得た。
結着樹脂1(b)の製造
・テレフタル酸 20質量部
・イソフタル酸 3質量部
・無水トリメリット酸 7質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体 70質量部
(R:プロピレン基でx+y=2.2)
これらに触媒としてジブチルスズオキサイドを0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、結着樹脂1(b)(Tg57.0℃、ピーク分子量Mp=7800)を得た。
結着樹脂1(a)、結着樹脂1(b)を6:4の割合で混合し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機社製)で予備混合した。その後、溶融混練機 PCM30(池貝鉄工所社製)にて回転数200rpm、混練樹脂温度100℃の条件で溶融ブレンドすることで結着樹脂1を得た。
・結着樹脂1 100質量部
・HNP−10(日本精蝋(株)社製、融点75℃) 4質量部
・磁性体1 95質量部
・モノアゾ鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 2質量部
上記混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、110℃に加熱された2軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機ターボミル(ターボ工業社製,回転子および固定子の表面に炭化クロムを含有したクロム合金めっきでコーティング(めっき厚150μm、表面硬さHV1050))を用いて入口と出口のエアー温度を調整して機械式粉砕させて微粉砕し、得られた微粉砕物をコアンダ効果を利用した多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に分級除去した。そこで得られた原料トナー粒子のコールターカウンター法で測定される重量平均粒径(D4)は6.3μmであった。
得られたトナー粒子を図5に示す表面改質装置により球形化処理を行った。表面改質時の条件は、原料供給速度は2kg/hr、熱風の吐出温度は300℃で表面改質を行い、重量平均粒径(D4)6.6μmのトナー粒子1を得た。
このトナー粒子100質量部と、ヘキサメチルジシラザン処理し、次いでジメチルシリコーンオイル処理を行った疎水性シリカ微粉体1.35質量部とを、ヘンシェルミキサーで混合してトナー1を調製した。
[トナー2、3、4の調製]
使用するワックスを表4のように変更したこと以外はトナー1と同様にし、トナー2、3、4を作製した。
[比較用トナー1の調製]
<ポリエステル樹脂R−1の製造>
以下の手順でポリエステル樹脂R−1を調製した。
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:100質量部
テレフタル酸:100質量部
これらに触媒としてジブチルスズオキサイドを0.1質量部添加し、220℃で縮合重合して、結着樹脂R−1(Tg:63℃,重量平均分子量:9000)を得た。
<磁性体2の製造>
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄イオンに対して1.0〜1.1当量の苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液をpH9に維持しながら、空気を吹き込み、80〜90℃で酸化反応を行い、種晶を生成させるスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し0.9〜1.2当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応を進め、酸化反応の終期にpHを約6に調整し、シランカップリング剤[n−C613Si(OCH33]を酸化鉄100質量部に対し0.6質量部添加し、十分撹拌した。生成した疎水性酸化鉄粒子を常法により洗浄、濾過、乾燥し、次いで凝集している粒子を解砕処理し、疎水性の磁性体2を得た。
<トナーの製造>
(A)顔料分散液の作製
以下の手順で顔料分散液を調製した。
1.ポリエステル樹脂R−1: 50質量部
2.磁性体2: 90質量部
3.酢酸エチル 100質量部
上記材料組成の分散液に、ガラスビーズを加えサンドミル分散機に装着した。分散容器回りを冷却しながら、高速撹拌モードで3時間分散し顔料濃度10質量%濃度の顔料分散液を調製した。
(B)微粒子化ワックスの作製
以下の手順で微粒子化ワックスの分散液を調製した。
1.パラフィンワックス: 15質量部
(融点:85℃)
2.トルエン 85質量部
上記材料を撹拌羽根を装着し、容器回りに熱媒を循環させる機能を持った分散機に投入した。毎分83回転で撹拌しながら徐々に温度を上げてゆき、最後に100℃に保ったまま3時間撹拌した。次に撹拌を続けながら毎分約2℃の割合で室温まで冷却し、微粒子化したワックスを析出させた。レーザ回折/散乱粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所)を用いてワックスの平均粒度を測定すると約1.02μmであった。このワックス分散液を高圧乳化機(APV GAULIN HOMOGENIZER 15MR型)を用い、圧力500kg/cm2で再度分散を行った。同様にワックス粒度を測定したところ0.81μmであった。作製した微粒子化ワックスの分散液は、ワックスの重量濃度が15質量%濃度になるように酢酸エチルで希釈した。
(C)油相の作製
以下の手順でトナー油相を調製した。
1.ポリエステル樹脂R−1: 85質量部
2.顔料分散液: 50質量部
3.微粒子化ワックスの分散液:(ワックス濃度15質量%) 33質量部
4.酢酸エチル 32質量部
上記材料組成の油相をポリエステル樹脂が充分に溶解することを確認したのち調製した。上記油相を、ホモミキサー(エースホモジナイザー、日本精機社製)に投入し、毎分15000回転で二分間撹拌し、均一な油相を調製した。
(D)水相の作製
以下の手順で水相を調製した。
1.炭酸カルシウム:(平均粒径0.03μm) 60質量部
2.純水 40質量部
上記材料をボールミルで4日間撹拌した。レーザ回折/散乱粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所)を用いて炭酸カルシウムの平均粒度を測定すると約0.08μmであった。一方、
1.カルボキシルメチルセルロース(セロゲンBSH,第一工業製薬) 2質量部
2.純水 98質量部
を溶解させ、同じく水相とした。
(E)トナー製造方法
トナーの作製方法として、以下の材料を調製した。
1.油相(C): 60質量部
2.炭酸カルシウム水溶液(D): 10質量部
3.カルボキシルメチルセルロース水溶液(D): 30質量部
上記材料をコロイドミル(日本精機社製)に投入し、ギャップ間隔1.5mm、毎分8000回転で20分間乳化をおこなった。次に上記乳化物を、ロータリーエバポレータに投入、25℃にて4000Paの減圧下で3時間脱溶媒を行った。その後12N塩酸をpH2になるまで加え、炭酸カルシウムをトナー表面から除去した。その後、10Nの水酸化ナトリウムをpH10になるまで加え、さらに超音波洗浄槽中で撹拌機で撹拌しながら一時間撹拌を継続した。さらに遠心沈降を行い、その上澄みを三回交換して洗浄した後、乾燥してトナー粒子を取り出した。このトナー粒子に、0.2%の疎水性シリカ(日本アエロジル社製R−972)をドライブレンドして平均粒径7.8μmの比較用トナー1を得た。
[比較用トナー2の調製]
<ポリエステル樹脂R−2の製造>
撹拌機、温度制御装置、N2ガス導入管を有する反応装置に、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物639.9質量部、テレフタル酸350.1質量部、カージュラE10(シェルケミカル社製分岐脂肪酸のモノグリシジルエステル)40.0質量部、ジブチル錫オキシド0.3質量部を入れ、窒素気流下にて240℃で撹拌した。反応はJIS K−2207に準拠した軟化点試験法(環球法)により追跡し、軟化点が110℃に達したとき反応を終了し、ポリエステル樹脂R−2(Tg:63.5℃、重量平均分子量:12,000)を得た。
<トナーの製造>
・ポリエステル樹脂(R−2):94質量部
・ワックス(カルナバワックス1号粉末,日本ワックス(株)製):1質量部
・磁性体1:90質量部
上記成分を2軸連続混練機を用いて着色樹脂混練物とし、これを180℃に加熱して着色樹脂溶融体としキャビトロンCD1010に毎分100gの速度で移送した。
別途準備した水性媒体タンクにはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.03質量%濃度の水を入れ、熱交換器で95℃に加熱しながら毎分0.2リットルの速度で、上記着色樹脂溶融体と同時にキャビトロンに移送した。回転子の回転速度は1分間に7500回回転する速度として圧力は5Kg/cm2で運転し、製造したスラリーは95℃から25℃まで急速に冷却してトナー粒子を取り出した。このトナー粒子を水洗及び乾燥した後、0.2%の疎水性シリカ(日本アエロジル社製R−972)をドライブレンドして平均粒径6.2μmの比較用トナー2を得た。
[比較用トナー3の調製]
<ウレア変性ポリエステル樹脂の製造>
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724質量部、イソフタル酸276質量部およびジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下にて230℃で8時間反応し、さらに1330Paから2000Paの減圧下で5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32質量部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート188質量部を添加して2時間反応させ、イソシアネート含有プレポリマーを得た。次いでこのプレポリマー267質量部とイソホロンジアミン14質量部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステルを得た。
<ポリエステル樹脂R−3の製造>
上記ウレア変性ポリエステル樹脂の製造と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724質量部、テレフタル酸276質量部を常圧下、230℃で8時間重縮合し、次いで1330Paから2000Paの減圧下で5時間反応して、ピーク分子量:5000、Tg:68℃のポリエステル樹脂R−3を得た。
<トナーの製造>
ウレア変性ポリエステル200質量部とポリエステル樹脂R−3 800質量部を酢酸エチル/MEK(1/1)混合溶剤2000質量部に溶解、混合した。この酢酸エチル/MEK溶液240質量部、ワックスとしてエステルワックス5質量部(融点73℃)、磁性体2を90質量部ビーカーに入れ、60℃にてTK式ホモミキサーを用いて1分間に12000回回転する周速に調整して撹拌し、均一に溶解、分散させた。ビーカー内にイオン交換水706質量部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)294質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部を入れ均一に溶解した。ついで60℃に昇温し、TK式ホモミキサーを用いて1分間に12000回回転する周速に調整して撹拌しながら、上記トナー材料溶液を投入し10分間撹拌した。その後、2時間静置させて、安定化させた。ついでこの混合液を撹拌棒および温度計付のコルベンに移し、98℃まで昇温して溶剤を除去し、濾別、洗浄、乾燥した後、風力分級し、トナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100質量部に疎水性シリカ0.5質量部と、疎水化酸化チタン0.5質量部をヘンシェルミキサーにて混合して、比較用トナー3を得た。重量平均粒径(D4)は6.3μm。
[比較用トナー4の調製]
<低分子量ポリエステル(L体)の製造>
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:5モル%
ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:5モル%
トリメリット酸:5モル%
フマル酸:7モル%
温度計、撹拌器、流下式コンデンサーおよび窒素導入管を取り付けたガラス製4つ口フラスコに、下記のモル比でアルコール成分および酸成分を重合開始剤(ジブチル錫オキサイド)とともに入れた。これをマントルヒーター中で窒素雰囲気下にて、220℃で撹拌しつつ反応させて、乾燥後、1mm以下に粗砕し、Tg:60℃の低分子量ポリエステル(L体)を得た。
<高分子量ポリエステル(H体)の製造>
ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:10モル%
ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:1モル%
テレフタル酸:4.5モル%
フマル酸:4.5モル%
温度計、撹拌器、流下式コンデンサーおよび窒素導入管を取り付けたガラス製4つ口フラスコに、上記モル比でアルコール成分および酸成分を重合開始剤(ジブチル錫オキサイド)とともに入れた。これをマントルヒーター中で窒素雰囲気下にて、135℃で撹拌しつつ、滴下ロートよりスチレン等を滴下した後、昇温して230℃で反応させて、乾燥後、1mm以下に粗砕し、高分子量ポリエステル(H体)を得た。Tg:66.5℃であった。
<トナーの製造>
・結着樹脂(H体/L体質量比率50/50の混合樹脂、Tg:63℃):100質量部
・磁性体1:90質量部
・ポリエチレンワックス(分子量:1500、融点:88℃):2.5質量部
上記成分を仕込み、ヘンシェルミキサーにより混合し、これをエクストルーダにより溶融混練した。この混練物を冷却後、粗粉砕して、重量平均粒径(D4)が6.5μmの粉砕物を得た。これを更に分級して重量平均粒径(D4)が7.0μmのトナー粒子を得た。このトナー粒子100質量部に対して、前処理剤として疎水性二酸化チタン(MT−150W,テイカ社製)1.0質量部と疎水性シリカ(AEROGIL 90G,日本アエロジル社製)のヘキサメチルシラザン処理品1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合処理した後、更にあらかじめ平均粒径1.5μmに粉砕した低分子量ポリプロピレンワックス(分子量3000、融点140℃)1質量部を添加し混合した。この時、低分子量ポリプロピレンワックスの平均粒径はレーザ回折/散乱粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所)を用いて測定した。この粒子を処理温度180℃の熱風、15℃の冷風で瞬間加熱処理を施してトナーを得た。トナー100質量部に対して、後処理剤として疎水性シリカ微粒子(H2000,ヘキスト社製)0.3質量部、疎水性二酸化チタン微粒子(MT−500B,テイカ社製)0.3質量部、チタン酸ストロンチウム微粒子(粒径300nm)1.5質量部添加し、比較用トナー4を得た。
[比較用トナー5の調製]
1)油性混合物の調製
ポリエステル樹脂(ビスフェノールAポリオキシエチレン付加物とテレフタル酸との縮重合物、Mn:2000、Mw:12000、Tg:66℃)
100質量部
酢酸エチル 100質量部
磁性体2 90質量部
上記組成の混合物を、ミキサーの回転せん断力によって溶媒の中でポリエステル樹脂が溶解し、顔料が分散されるように十分撹拌して油性混合物を調製した。
2)水性媒体の調製
水 400質量部
炭酸カルシウム(平均粒径1μm) 144質量部
セルロース 10質量部
上記組成の混合物を、ミキサーの回転せん断力によって十分撹拌し、分散させて水性媒体を作製した。
3)球形トナーに造粒する工程
上記の水性媒体に、上記の油性混合物を添加し、ミキサーにより1分間に6000回転する周速で6分間混合して、収縮流とせん断流によって、ポリエステル樹脂と顔料よりなる油性混合物を水性媒体中に分散させ、重量平均粒径(D4)8μmの球状粒子を形成させた。その際、トナー表面積比で約90%に炭酸カルシウムが付着していた。
4)ワックスの付着工程
水40質量部にポリエチレンワックス(融点89℃)16質量部を平均粒径1μmになるように分散させたワックス分散液を、上記3)で作製されたトナー粒子を含む水性媒体に加えてゆっくり撹拌した。それにより、トナー粒子表面の炭酸カルシウムが付着した残りの部分(10%)にポリエチレンワックスが付着した。
5)脱溶媒およびワックスの融着
上記のようにして得られた水性分散混合物を、40℃に加熱しながら30分間撹拌し、酢酸エチルを蒸発させた。その後、ポリエチレンワックスの融点である89℃まで温度を上昇させ、3分間保持して、トナー表面にポリエチレンワックスを融着させた。
6)無機分散剤の除去および洗浄
上記の処理を行った水性分散混合物に濃度36%の塩酸水溶液を添加し、10分間撹拌することによって、トナー表面に付着した炭酸カルシウムを完全に除去した。水性分散混合物を濾過し、pHが中性になるまで水洗した後、真空乾燥して比較用トナー5を得た。
[比較用トナー6の調製]
<トナーの製造>
・ポリエステル樹脂(R−2) 100質量部
・C−105(サゾールワックス社製、融点105℃) 0.5質量部
・磁性体1 95質量部
・モノアゾ鉄錯体(T−77:保土ヶ谷化学社製) 2質量部
上記混合物をヘンシェルミキサーで前混合した後、110℃に加熱された2軸エクストルーダで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕してトナー粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物を、機械式粉砕機であるジェットミルを用い、微粉砕した。その後、得られた微粉砕物を多分割分級装置(日鉄鉱業社製エルボジェット分級機)で微粉及び粗粉を同時に分級除去し重量平均粒径(D4)6.9μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子100質量部と、ヘキサメチルジシラザン処理し、次いでジメチルシリコーンオイル処理を行った疎水性シリカ微粉体1.35質量部とを、ヘンシェルミキサーで混合して比較用トナー6を調製した。
Figure 0005339779
本発明の実施例及び比較例で用いた画像形成装置と、評価方法及び判断基準について以下に述べる。
<実施例1>
以下に、用いた画像形成装置について述べる。
[画像形成装置]
表4記載のトナーと表3記載のローラについて、図4に示す定着装置7を備えた図3に示す画像形成装置1を用いて、定着特性と現像特性の画像評価を行った。なお、定着ローラの表面温度を変える場合は、セラミックヒータの温調温度を変えることにより制御し、定着ローラの表面温度は非接触の放射温度計を用いて測定した。
以下に述べる評価方法にてトナー1及び定着ローラ1を組み合わせて評価した。その結果、耐低温オフセット性及び定着性に優れ、ウォームアップタイムや画像濃度にも問題は見られなかった。評価結果の詳細を表5に記載した。
[評価方法]
(1)耐低温オフセット性試験
低温低湿環境(15℃,10%RH)下にトナー及び画像形成装置を3時間調湿した後、定着装置のヒータを切って、ベタ黒画像を3枚通紙した。この操作によって、定着ローラにトナーを付着させ、低温オフセットに対して厳しい環境にて評価した。画像の前半半分がベタ黒、後半半分が白地の静電オフセット試験用チャートを作成し、A4の75g/m2紙を用いて定着装置全体の温度が、雰囲気温度になじんだ状態から連続100枚の画出しを行った。目視にて、定着画像の低温オフセットによる汚れの程度を評価した。
ランクA:低温オフセット未発生
ランクB:わずかに低温オフセットが発生(実用レベル)
ランクC:ひどく低温オフセットが発生(実用が難しいレベル)
(2)ウォームアップタイム測定
定着装置を低温低湿環境(15℃,10%RH)に3時間放置し、電源を入れてから定着ローラ表面が190℃に達するまでの時間を測定した。
(3)定着試験
メディアとしてはExtra80g紙を用い、ハーフトーン画像の画像濃度が0.60以上、0.65以下となるように現像バイアスを設定した。次いで、定着器を室温まで冷却し、定着器のヒーター温度を所望の温度になるよう設定した。所望の温度に達してから10秒後に画像を通紙し、定着させた。その後、50g/cm2の加重をかけたシルボン紙で定着画像を10回摺擦し、摺擦後の定着画像の濃度低下率が10%となる温度を定着温度とした。定着ローラの表面温度は非接触の放射温度計を用いて測定した。表中の評価基準は以下の通り。
ランクA:定着温度180℃以上、190℃未満
ランクB:定着温度190℃以上、200℃未満(実用レベル)
ランクC:定着温度200℃以上、220℃未満(実用が困難なレベル)
ランクD:定着温度220℃以上(実用が非常に困難なレベル)
(4)画像濃度
常温常湿環境下(23℃/60%RH)にて印字率が4%の横線を連続モードで4000枚画出し試験を行った。なお、記録媒体としてはA4の75g/m2の紙を使用した。耐久試験後にベタ画像部を形成し、このベタ画像の濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定した。なお、評価基準は以下のようにした。
ランクA:実用上全く問題ない。
ランクB:多少濃度のムラが見られるが実用上問題ないレベル
ランクC:濃度のムラが目立ち、実用が難しいレベル
<実施例2から実施例8、及び比較例1から比較例7>
使用する定着ローラを表5のように変更し、定着ローラ2から定着ローラ8、及び比較用定着ローラ1から比較用定着ローラ7を評価した。なお、この時使用するトナーは全てトナー1とした。その結果、実施例1から実施例8では実用上問題は見られなかった。一方、比較例1から比較例7では、耐低温オフセット性に劣る、定着温度が高まる、またはウォームアップタイムが長くなる等、実用上の問題が見られた。評価結果の詳細を表5に記載した。
Figure 0005339779
<実施例9から実施例11、及び比較例8から比較例13>
実施例1と同様にトナー2からトナー4、及び比較用トナー1から比較用トナー6を評価した。なお、この時使用する定着ローラは全て定着ローラ1とした。その結果、実施例9から実施例11では実用上問題は見られなかった。一方、比較例8から比較例13では、耐低温オフセット性に劣る、定着温度が高まる、または画像濃度のムラが目立つ等、実用上の問題が見られた。評価結果の詳細を表6に記載した。
Figure 0005339779
本発明における像加熱部材(像加熱部材30)の構成図である。 本発明で好ましく用いられるリング塗工装置を説明する構成図である。 本発明に用いることの出来る画像形成装置(画像形成装置1)の構成図である。 本発明における定着装置(定着装置7)の構成図である。 本発明で好ましく用いられる表面改質装置の一例を説明する構成図である。
符号の説明
51 トナー粒子
52 オートフィーダー
53 供給ノズル
54 表面改質装置内部
55 熱風導入口
56 冷風導入口
57 表面改質されたトナー粒子
58 サイクロン
59 ブロワー

Claims (7)

  1. 静電潜像担持体を帯電手段により帯電する帯電工程、該帯電された静電潜像担持体を露光して静電潜像を形成する露光工程、該静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して、又は介さずに記録材へ転写する転写工程、該トナー像を担持する記録材を加圧部材と回転可能な像加熱部材とで形成されるニップ部を通過させることにより加熱加圧定着する定着工程を有する画像形成方法において、
    該像加熱部材は、外部加熱手段により最表層表面から加熱され、
    該像加熱部材は、最表層として厚さ5μm以上200μm以下の離型層を有しており、その下層として蓄熱層を有し、更にその下層として弾性層を有するローラであり、
    該像加熱部材は、熱伝導率5.0W/mK以上の熱伝導フィラーを含有し、該熱伝導フィラーはAl及び/又はZn化合物であり、
    該像加熱部材の表面をEPMA(電子線マイクロアナライザー)により測定した際の該熱伝導フィラーに由来するAl及び/又はZn元素の存在割合が、EPMAで検出される全元素量に対して0.10質量%以上3.00質量%以下であり、
    該蓄熱層の単位面積あたりの熱容量が100J/m2K以上600J/m2K以下であり、
    該トナーは少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含有しており、
    該トナーをメタノール中にて1時間撹拌し、乾燥した後のメタノール濡れ性をW(a)、該トナーをメタノール中にて1時間撹拌し、乾燥した後に、該トナーのガラス転移温度にて3時間加熱した後のメタノール濡れ性をW(b)とすると、
    2%≦W(b)−W(a)≦15%
    40%≦W(b)≦75%
    を満たすことを特徴とする画像形成方法。
  2. 該像加熱部材の表面粗さRzが1.0μm以上10.0μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 該像加熱部材の離型層がフッ素ゴムを主成分とするソリッドゴム層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 該像加熱部材のマイクロ硬度が30°以上68°以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. 該弾性層は熱伝導率が0.15W/mK以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
  6. 該トナーは、気相中にて熱による球形化処理が施されたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成方法。
  7. 記録材上に形成されているトナー画像を加圧部材と回転可能な像加熱部材とで形成されるニップ部を通過させることにより加熱加圧定着する定着方法において、
    該像加熱部材は、外部加熱手段により最表層表面から加熱され、
    該像加熱部材は、最表層として厚さ5μm以上200μm以下の離型層を有しており、その下層として蓄熱層を有し、更にその下層として弾性層を有するローラであり、
    該像加熱部材は、熱伝導率5.0W/mK以上の熱伝導フィラーを含有し、該熱伝導フィラーはAl及び/又はZn化合物であり、
    該像加熱部材の表面をEPMA(電子線マイクロアナライザー)により測定した際の該熱伝導フィラーに由来するAl及び/又はZn元素の存在割合が、EPMAで検出される全元素量に対して0.10質量%以上3.00質量%以下であり、
    該蓄熱層の単位面積あたりの熱容量が100J/m2K以上600J/m2K以下であり、
    該トナーは少なくとも結着樹脂、着色剤、ワックスを含有しており、
    該トナーをメタノール中にて1時間撹拌し、乾燥した後のメタノール濡れ性をW(a)、該トナーをメタノール中にて1時間撹拌し、乾燥した後に、該トナーのガラス転移温度にて3時間加熱した後のメタノール濡れ性をW(b)とすると、
    2%≦W(b)−W(a)≦15%
    40%≦W(b)≦75%
    を満たすことを特徴とする定着方法。
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