JP2007304344A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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隆史 小出
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Manabu Furuki
学 古木
Masahiro Uchida
正博 内田
Naoki Onishi
直樹 大西
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Abstract

【課題】圧力不足によるオフセットの発生を抑えた定着装置、およびその定着装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】融点を有する樹脂を含有する結着樹脂と無定形高分子樹脂を主成分とする表面層とを有するトナーから構成された未定着トナー像を担持した記録用シートを挟み込むニップ領域に、記録用シートを所定方向から通過させることで未定着トナー像に所定のニップ圧を加え、未定着トナー像を記録用シートに定着する定着装置において、ニップ領域を形成するニップ領域形成部と、記録用シートの坪量が所定値以下である場合には、ニップ領域よりも記録用シートの通過方向上流側で未定着トナー像に、ニップ圧よりも高い、未定着トナー像を構成するトナーの表面層を破壊するプレ圧力を付与し、記録用シートの坪量が所定値より大きい場合には、プレ圧力を抜くプレ加圧部とを備えた。
【選択図】図2

Description

本発明は、未定着トナー像に所定のニップ圧を加え、その未定着トナー像を記録用シートに定着する定着装置、およびその定着装置を備えた画像形成装置に関する。
電子写真方式では、静電潜像が形成された像担持体の静電潜像に、トナーを帯電させて静電的に移行させ、像担持体上にトナー像を形成し、そのトナー像を最終的に記録用シートに転写する。この電子写真方式の複写機やプリンタあるいはファクシミリなどに用いられる画像形成装置には、用紙等の記録用シートに転写された未定着のトナー像を加熱および加圧することによりそのトナー像を記録用シートに定着する定着装置が備えられている。この定着装置として、回転可能な一対の回転体の周面を互いに接触させることで、記録用シートを挟み込むニップ領域を形成し、このニップ領域に未定着のトナー像を担持した記録用シートを通過させることで、未定着トナー像に熱を加えるとともに圧力も加え、未定着トナー像を記録用シートに定着させるものが知られている。例えば、回転可能な一対の回転体として、内部に熱源を有する加熱ロールと弾性層が設けられた圧力ロールを用いた、いわゆるロール−ロール型の定着装置が知られているが、このロール−ロール型の定着装置では、所定長以上のニップ領域を形成するため、加熱ロールにも厚めの弾性層を設けている。このため、加熱ロールの熱容量が増大し、加熱ロールを室温から定着可能な温度に上昇させるまでの時間(ウォームアップタイム)が長くなってしまうという問題がある。そこで、圧力ロールを無端ベルトに代え熱容量を小さくした、いわゆるロール−ベルト型の定着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、定着温度に関して、近年のエコロジーの観点から、更なる消費電力の低減が求められ、低温で定着することが課題になってきている。また、トナーの帯電性を十分に確保することも重要な課題であり、これら2つの課題を解決するためにコアシェル構造をもったトナーの開発が行なわれている。コアシェル構造をもったトナーは、融点を有する樹脂を含有する結着樹脂(コア)を、無定形高分子樹脂を主成分とする表面層(シェル)によって覆い、低温定着性に優れる結晶性樹脂の性質と、良好な帯電性を有する非結晶性樹脂の性質を併せ持つようにしたものである。このコアシェル構造をもったトナーから構成される未定着トナー像を低温で定着するには、定着時に表面層を破壊し、表面層の外に結着樹脂を漏れ出させる必要があるが、表面層には、定着工程に至る前の転写工程等の様々な画像形成工程において、融点を有する樹脂がトナーの破壊等により表面に極力存在しないようにある程度の強度が与えられている。
特開平11−133776号公報
ところが、上述のロール−ベルト型の定着装置では、無端ベルトを用いているため充分な剛性の確保が難しく、ニップ圧力もロール−ロール型の定着装置に比べて高めることが難しい。特に、記録用シートの厚みが小さい場合には、記録用シートがニップ領域を通過する際に、記録用シートを挟み込むニップ圧力が不足してコアシェル構造をもったトナーの表面層が破壊されず、定着不良が生じることがある。さらに、コアの結着樹脂が離型剤を含有している場合には、ニップ圧力の不足のため離型剤が表面層の外に漏れ出さず、トナーが加熱ロールの表面に付着して記録用シートが汚れてしまうオフセットが発生しやすい。なお、ニップ圧力の不足は、ロール−ベルト型の定着装置に限らず、ロール−ロール型の定着装置等においても生じることがある。
本発明は上記事情に鑑み、圧力不足によるオフセットの発生を抑えた定着装置、およびその定着装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を解決する本発明の定着装置は、
融点を有する樹脂を含有する結着樹脂と無定形高分子樹脂を主成分とする表面層とを有するトナーから構成された未定着トナー像を担持した記録用シートを挟み込むニップ領域に、該記録用シートを所定方向から通過させることで該未定着トナー像に所定のニップ圧を加え、該未定着トナー像を該記録用シートに定着する定着装置において、
上記ニップ領域を形成するニップ領域形成部と、
上記記録用シートの坪量が所定値以下である場合には、上記ニップ領域よりも上記記録用シートの通過方向上流側で上記未定着トナー像に、上記ニップ圧よりも高い、上記未定着トナー像を構成するトナーの表面層を破壊するプレ圧力を付与し、上記記録用シートの坪量が上記所定値より大きい場合には、該プレ圧力を抜くプレ加圧部とを備えたことを特徴とする。
本発明の定着装置によれば、上記記録用シートの坪量が所定値以下である場合には、上記プレ加圧部のプレ圧力によってコアシェル構造のトナーの表面層(シェル)が確実に破壊された後、上記未定着トナー像を担持した記録用シートが上記ニップ領域を通過するため、上記ニップ領域では上記結着樹脂が上記表面層の外部に漏れ出し、圧力不足による定着不良の発生が抑えられる。また、上記結着樹脂(コア)が離型剤を含有していても、上記加圧部材によってトナーの表面層(シェル)が確実に破壊されるため、上記ニップ領域では離型剤が表面層の外部に染み出し、オフセットの発生も抑えられる。また、上記記録用シートの坪量が上記所定値より大きい場合には、上記プレ圧力を抜くので、上記プレ加圧部周辺への損傷が低減される。
本発明の定着装置において、上記ニップ圧が、1.2kg/cm〜1.5kg/cmの範囲内の圧力であり、
上記プレ加圧部は、上記記録用シートの坪量が60g/m以下である場合に、上記プレ圧力を付与するものであるという形態は好ましい形態である。
1.2kg/cm〜1.5kg/cmの範囲にあるニップ圧の値が、標準的な定着
器のニップ圧の値であり、このようなニップ圧を採用した場合には、記録用シートの坪量の閾値を60g/mとして圧力の付与を行うことで、オフセットの発生の回避と、付与するプレ圧力による、上記プレ加圧部周辺への損傷の低減とが両立する。
ここで、本発明の定着装置は、上記ニップ領域形成部が、回転することで表面が循環移動する回転体と、その回転体表面に外周面が押し付けられその回転体表面との間に上記ニップ領域を形成し、その回転体の回転とともに循環するベルト管状体と、そのベルト管状体の内周面側に配備されその内周面側からそのベルト管状体の外周面をその回転体表面に向けて押し付け上記ニップ領域に上記所定のニップ圧を作用させる押圧部材とを有するものであり、
上記プレ加圧部が、そのベルト管状体の内周面側に配備され、上記記録用シートの坪量が上記所定値以下である場合に該ベルト管状体を上記回転体表面に向けて押し付けて上記プレ圧力を発生させる加圧部材を備えたものであってもよい。
また、本発明の定着装置は、上記ニップ領域形成部が、回転することで表面が循環移動する回転体と、その回転体表面に外周面が押し付けられその回転体表面との間に上記ニップ領域を形成し、その回転体の回転とともに循環するベルト管状体と、そのベルト管状体の内周面側に配備されその内周面側からそのベルト管状体の外周面をその回転体表面に向けて押し付け上記ニップ領域に上記所定のニップ圧を作用させる第1の押圧部材と、上記第1の押圧部材と交替自在な、該第1の押圧部材と同等の第2の押圧部材とを有するものであり、
上記プレ加圧部が、そのベルト管状体の内周面側に配備され、該ベルト管状体を上記回転体表面に向けて押し付けて上記プレ圧力を発生させる、上記第1の押圧部材に固定された加圧部材を備えた、該加圧部材が固定された上記第1の押圧部材と、上記第2の押圧部材とを、上記記録シートの坪量に応じて交替させるものであってもよい。
さらに、本発明の定着装置は、上記ニップ領域形成部が、回転することで表面が循環移動する回転体と、その回転体表面に外周面が押し付けられその回転体表面との間に上記ニップ領域を形成し、その回転体の回転とともに循環するベルト管状体と、そのベルト管状体の内周面側に配備されその内周面側からそのベルト管状体の外周面をその回転体表面に向けて押し付け上記ニップ領域に上記所定のニップ圧を作用させる押圧部材とを有するものであり、
上記プレ加圧部が、そのベルト管状体の内周面側に配備され、上記記録用シートの坪量が所定値以下である場合に、上記押圧部材よりも上記回転体表面側に突出して上記プレ圧力を発生させる加圧部材を備えたものであって、
上記押圧部材が、上記記録用シートの通過方向に関し、上記回転体の回転中心を含む所定範囲に配備されたものであり、
上記押圧部材の、上記ベルト管状体内周面側の高さをh1とし、上記加圧部材の突出先端部の高さをh2とした場合、
0.8≦h1/h2<1.0 (式1)
上記式1で示す関係を満たすことが好ましい。
ここで、上記h1およびh2は、所定の基準位置からの高さである。また、上記押圧部材が、上記ニップ領域に上記所定のニップ圧を作用させることで弾性変形するものであれば、上記h1は、弾性変形した弾性部材の高さである。
上記式1は、上記加圧部材が、上記押圧部材よりも上記回転体側へどの程度突出したものであるかを表すパラメータである。上記h1/h2が1.0であると、上記押圧部材における、上記ベルト管状体内周面側の高さ位置と、上記加圧部材の突出先端部の高さ位置が一致してしまい、上記加圧部材が、上記ニップ圧よりも高い圧力を付与することができなくなる。反対に上記h1/h2が0.8未満であると、上記ニップ領域におけるニップ圧の低下や、上記ニップ領域の、上記通過方向の長さ(ニップ巾)を確保しにくくなる。
また、本発明の定着装置は、上記プレ加圧部が、この定着装置によって上記記録シートに定着されたトナー像を、その記録シートの厚さ方向に断面したときの断面構造における、上記表面層の主成分である樹脂が露出した部分の長さの総和をL1とし、その断面構造における、上記結着樹脂が露出した部分の長さの総和をL2とした場合、
(L1/L2)≦0.6 (式2)
上記式2で示す関係を満たすように上記表面層を破壊するプレ圧力を付与するものであることも好ましい。
上記式2は、この定着装置による上記表面層の破壊具合を表すパラメータに相当し、上記L1/L2が0.6以下であれば、上記表面層が破壊され、中から結着樹脂が十分に漏れ出ていることになる。
上記目的を解決する本発明の画像形成装置は、
融点を有する樹脂を含有する結着樹脂と無定形高分子樹脂を主成分とする表面層とを有するトナーから構成されたトナー像が形成されるトナー像担持体に形成された該トナー像を、最終的に記録用シート上に転写し、記録用シートに転写された未定着のトナー像に熱を加えるとともに圧力も加え、該未定着のトナー像を該記録用シートに定着することにより該記録用シートに画像を形成する画像形成装置において、
未定着トナー像を担持した記録用シートを挟み込むニップ領域に、該記録用シートを所定方向から通過させることで該未定着トナー像に所定のニップ圧を加え、該未定着トナー像を該記録用シートに定着する定着装置を備え、
上記定着装置が、
上記ニップ領域を形成するニップ領域形成部と、
上記記録用シートの坪量が所定値以下である場合には、上記ニップ領域よりも上記記録用シートの通過方向上流側で上記未定着トナー像に、上記ニップ圧よりも高い、上記未定着トナー像を構成するトナーの表面層を破壊するプレ圧力を付与し、上記記録用シートの坪量が上記所定値より大きい場合には、該プレ圧力を抜くプレ加圧部とを備えたものであることを特徴とする。
すなわち、本発明の定着装置を備えた画像形成装置である。
ここで、本発明の画像形成装置は、離型剤成分を含有した上記結着樹脂を上記表面層によってコーティングしたトナーを保持したトナー保持部を備え、上記トナー像担持体に、そのトナー保持部に保持されているトナーを用いてトナー像を形成する現像器を備えたものであってもよい。
本発明によれば、圧力不足によるオフセットの発生を抑えた定着装置、およびその定着装置を備えた画像形成装置を提供することができる。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態に相当するフルカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。
図1に示す画像形成装置1には、本発明の定着装置の一実施形態に相当するロール−ベルト型の定着装置100が組み込まれている。また、この画像形成装置1は、感光体ドラム10および中間転写ベルト20も備えている。感光体ドラム10は、時計回りに回転するものである。中間転写ベルト20は、複数の支持ロールに張架されて感光体ドラム10の表面に接触するように配置されている。また、この画像形成装置1では、中間転写ベルト20を挟んで感光体ドラム10と対向する位置に、1次転写ロール40が配設されている。感光体ドラム10と中間転写ベルト20とが接する部分が1次転写位置である。
感光体ドラム10の周囲には、帯電器12、露光器13、現像装置50、クリーニング装置15、および除電ランプ16が備えられている。
帯電器12は、感光体ドラム10の表面に接触した状態で回転する帯電ロール121と、その帯電ロール121に電力を供給する電源122を備えている。この電源122は、帯電ロール121に、直流電圧に交流電圧を重畳させた帯電バイアスを印加する。帯電ロール121は、感光体ドラム10に接触して回転する半導電性のものであり、感光体ドラム10との接触部近傍の微小空隙で放電を発生させることにより感光体ドラム10を帯電させる。なお、帯電ロール121に代えてブレード状の帯電部材、ベルト状の帯電部材、ブラシ状の帯電部材、磁気ブラシ状の帯電部材などが適用可能である。また、帯電ロール121やブレード状の帯電部材については感光体ドラム10に対し、接触状態に限らずある程度の空隙(100μm以下)を有した近接状態として配置しても構わない。さらに、ここで説明した帯電方式は接触帯電方式であるが、非接触帯電方式であるコロトロン帯電方式を採用してもよい。
露光器13は、感光体ドラム10の表面に向けて、画像情報に基づくレーザ光を照射するものである。このレーザ光の照射によって、感光体ドラム10の表面には静電潜像が形成される。
現像装置50は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の現像器5Y、5M、5C、5Kを周方向に沿って配置した回転式の現像装置である。この現像装置5に備えられた4つの現像器5Y、5M、5C、5Kそれぞれには、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色うちの1色のトナーを収容したトナーカートリッジが装着されている。各色のトナーには、離型剤が内添されている。これらの現像器5Y、5M、5C、5Kは、全て同様に構成されているので、ここでは、イエロー(Y)のトナーを収容したトナーカートリッジが装着された現像器5Yを例にあげて説明する。図1に示す現像器5Yは、トナーカートリッジ51が本体部に対して着脱自在に装着されている。本体部には、装着されたトナーカートリッジ51から新しいトナーが供給されるトナー保持部52が設けられており、このトナー保持部52には、離型剤が内添されたトナーとキャリアとを含む現像剤が保持されている。トナー保持部52に保持されたトナーは、低温定着が可能なコアシェル構造をもったものである。すなわち、融点を有する結着樹脂(コア)を、無定形高分子樹脂を主成分とする表面層(シェル)によって覆った構造のものである。コアに相当する結着樹脂には、離型剤が内添されている。トナーについてのこれ以上の詳しい説明は後述する。
また、トナー保持部52には、紙面に垂直な方向に延びた2本の撹拌搬送用スクリューオーガ53、54が配設されている。さらに、この現像器5Yには、これらの撹拌搬送用スクリューオーガ53、54と平行に延びた現像ロール55も配備されている。図1に示す現像器5Yでは、現像ロール55が回転すると、右上側の撹拌搬送用スクリューオーガ54が、トナー保持部52に保持されている現像剤を紙面と垂直な一方向に攪拌しながら搬送する。一方、左下側の撹拌搬送用スクリューオーガ53は、右上側の撹拌搬送用スクリューオーガ54の搬送方向とは逆方向に現像剤を攪拌しながら搬送して、現像剤を現像ロール55に均等に供給する。現像ロール55は、内部に固定した状態で配設されるマグネットロール(不図示)によって現像剤に含まれるキャリアを磁力で吸着し、現像ロール55の表面に現像剤の磁気ブラシを形成し、キャリアに吸着したトナーを感光体ドラム10と対向する現像領域へと搬送する。そして、現像ロール55は、現像バイアスの作用によって感光体ドラム10の表面にトナーを供給し、静電潜像がトナーによって現像される。こうしたトナー供給が行われると、トナー保持部52に保持されていたトナーが消費され、消費されたトナー量に見合った量のトナーがトナーカートリッジ51からトナー保持部52へ補給される。
中間転写ベルト20の周囲には、1次転写位置の下流側に、2次転写部材としてのバイアスロール60が設けられ、さらに、中間転写ベルト20を挟んでバイアスロール60と対向する位置には、バックアップロール70が設けられている。この画像形成装置1では、バイアスロール60とバックアップロール70とで挟まれた位置が2次転写位置になり、この2次転写位置には、坪量(単位面積あたりの質量)やサイズの異なる用紙をそれぞれ収容した4つのトレイ80a,80b,80c,80dから供給される用紙や、あるいは手差し台81に置かれた用紙やOHPシート等が送り込まれる。ここで、4つのトレイ80a,80b,80c,80dのうち、どのトレイにどのような種類(坪量・サイズ)の用紙を収容するかは、ユーザが画像形成装置の上部に備えられた操作パネル202を操作することによって設定される。画像出力の際には、この画像形成装置1に、各色の画像信号が入力されるとともに用紙の種類(坪量・サイズ)も指定され、指定された種類(坪量・サイズ)の用紙がトレイから取り出されてその用紙に画像が出力される。
図1に示す画像形成装置1に入力される画像信号は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色の画像信号である。これらの画像信号が入力されると、この画像形成装置1では、感光体ドラム10の表面を、帯電器12により一様に帯電した後、入力された画像情報のうち、シアンの画像信号に応じたレーザ光を露光器13から感光体ドラム10に向けて照射することで感光体ドラム10の表面に静電潜像を形成し、感光体ドラム10の表面に形成された静電潜像を、現像装置50に備えられたシアントナーを収納した現像器5Cにより現像し、感光体ドラム10の表面にシアントナー像を形成する。シアントナー像の形成を終えた現像装置50は所定のタイミングで回転駆動し、マゼンタトナーを収納した現像器5Mの現像ロールが、感光体ドラム10と対向する現像位置へ移動する。1次転写位置においては、感光体ドラム10上のシアントナー像を中間転写ベルトに1次転写する。シアントナー像が中間転写ベルト20に1次転写された後の感光体ドラム10の表面からは、クリーニング装置15によって残留物が除去され、除電ランプ16によって残存電荷が除去される。
続いて今度は、感光体ドラム10の表面に、同様にしてマゼンタトナー像を形成する。マゼンタトナー像の形成を終えた現像装置50は所定のタイミングで再び回転駆動し、今度はイエロートナーを収納した現像器5Yの現像ロール52が、感光体ドラム10と対向する現像位置へ移動する。1次転写位置においては、マゼンタトナー像を、中間転写ベルト20に先に1次転写されたシアントナー像と重なるように中間転写ベルト20に1次転写する。
以降、イエロートナー像およびブラックトナー像を順次形成し、1次転写位置において、中間転写ベルト20に先に1次転写されたトナー像と重なるように順次1次転写する。こうすることにより、中間転写ベルト20には、ベルト表面側からシアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの順で1つに重なり合ったトナー像が形成される。
続いて、この1つに重なり合ったトナー像を、バイアスロール60とバックアップロール70とで挟まれた2次転写位置において用紙に2次転写する。こうして、トナー像が用紙に転写され、トナー像が転写された用紙は定着装置100に送られる。定着装置100では、未定着トナー像を担持した用紙を所定のニップ領域を通過させることでその未定着トナー像に熱を加えるとともに圧力も加え、未定着トナー像を用紙に定着する。トナー像が定着した用紙は、この画像形成装置1に備えられた排出トレイ90に排出される。
なお、ここでは、中間転写ベルト20を備えた画像形成装置について説明したが、本発明は、中間転写ベルトに代えて中間転写ドラムを備えた画像形成装置に適用することもでき、さらには、用紙を静電的に吸着して搬送し、感光体ドラム10に形成されたトナー像を、搬送されてきた用紙に、転写コロトロンや転写ロール等を用いて直接転写する直接転写方式にも適用することができる。また、本発明は、複数の感光体ドラムを中間転写ベルトの循環移動方向に並べて配置したいわゆるタンデム方式の画像形成装置にも適用することができる。
図2は、図1に示す画像形成装置に組み込まれた定着装置の概略構成を示す図である。
図2に示す定着装置100は、ベルトニップ方式が採用された定着装置であって、無端状の定着ベルト110を備える他、加熱ロール120も備えており、この定着装置100では、加熱ロール120に定着ベルト110が接触することで、用紙Pを挟み込むニップ領域Nが形成されている。用紙Pに担持された未定着トナー像Tは、加熱ロール120側を向いてニップ領域Nまで搬送されてくる(図中矢印C参照)。すなわち、この図2では、未定着トナー像Tを担持した用紙Pが、図の右側から左側に向けて搬送され、ニップ領域Nを通過する。
加熱ロール120には、不図示の駆動モータから駆動力が伝達され、この加熱ロール120は所定の回転軸120aを中心に回転駆動する(図中矢印Rm参照)。一方、定着ベルト110は、接触する加熱ロール120の回転を受けてに矢印Rs方向に循環し、ニップ領域Nに用紙Pが送り込まれると、ニップ領域Nを通過する用紙Pの移動に従って、同じく矢印Rs方向に循環する。
加熱ロール120は、中空アルミニウム製のコア121の外周面にシリコーンゴム等による弾性層122が形成され、その弾性層122の表面にはフッ素樹脂等による離型層123が形成されたものである。弾性層122の厚みはロール−ロール型の加熱ロールの弾性層の厚みよりも薄く、加熱ロール120の熱容量は低く抑えられている。このため、図2に示す定着装置100によれば、ウォームアップタイムの短縮が実現される。この加熱ロール120の外径は26mmである。アルミニウム製のコア121内には、熱源としてハロゲンランプ124が配備されており、加熱ロール120の表面120bの温度が所望の温度となるように、図示しない温度コントローラにより制御されている。ニップ領域Nまで用紙Pに担持されて搬送されてきた未定着トナー像Tは、加熱ロール120の表面120bに接し、ハロゲンランプ124からの熱によって加熱される。ニップ領域Nでは、用紙Pに担持された未定着トナー像Tが加熱ロール表面120bに接した状態で圧力が加えられる。
この定着装置100は、ハロゲンランプ124からの熱が定着装置100の外に拡散するのを抑制するために、断熱カバー1000を備えている。断熱カバー1000は、図に示すように、加熱ロール120の周りと、定着ベルト110の周りにそれぞれ備えられており、この2つの断熱カバー20の間の隙間を利用して、未定着トナー像Tを有する用紙Pが、図の右側から定着装置100内に搬送されて来る構成となっている。
定着ベルト110は、この定着ベルト110の裏面を構成する基材111と、この定着ベルト110の表面を構成する、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)による表面層112とからなるものである。なお、図2に示す表面層112には、カーボンブラック、金属酸化物等の充填剤が適宜添加されていてもよい。また、この表面層112としては、PFAに限らず用紙Pとの適度な離型性を示すものであれば特に制限はなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂であってもよい。
さらに、図2に示す定着装置100は、無端状の定着ベルト120の内周面側に支持体130と加圧部材140とを有する。支持体130は、定着ベルト120の内周面側から定着ベルト120を加熱ロール周面120aに向けて付勢しながら支持するものである。この支持体130は、弾性部材131と、支持枠132と、ベースフレーム133とを備えている。図2に示す弾性部材131は、用紙Pの通過方向に関し、加熱ロール120の回転軸120aを含む所定範囲Sに配備されたシリコンゴムからなるものである。この弾性部材131は、定着ベルト外周面を加熱ロール周面120aに向けて押し付け、ニップ領域Nに所定のニップ圧力として1.3kg/cmの圧力を付与するものであり、本発明にいう押圧部材の一例に相当する。弾性部材131は、支持枠132から加圧ロール110に向けて僅かに突出するように、支持枠132に設けられた凹部1321に収容されているが、図2には、加圧ロール110に押し付けられ凹部1321内に入り込むほど変形した弾性部材131が示されている。この弾性部材131は、定着ベルト110の内周面に接しているが、定着ベルト内周面と弾性部材131との間の摩擦抵抗は、定着ベルト外周面と加熱ロール120との間の摩擦抵抗よりも小さい。このため、定着ベルト110は、加熱ロール120の回転に伴ってスムーズに従動循環する。なお、弾性部材131と定着ベルト内周面との間に低摩耗シートを介在させてもよい。ここにいう低摩耗シートとは、定着ベルト内周面に接するおもて面が、弾性部材131よりも摩擦抵抗が小さく、硬質でかつ可撓性を有する低摩擦材料からなるものである。
支持枠132には、弾性部材131を収容する凹部1321の他に、用紙Pの通過方向下流側に凸部1322も設けられている。この支持枠132はアルミニウム等の金属材料からなるものである。
ベースフレーム133は、不図示のスプリングからの荷重により、支持体130全体を加熱ロール120の軸心(回転軸120a)に向けて付勢するものである。このベースフレーム133には、定着ベルト110の循環方向の弛みを規制し、スムーズに回転するように設けられたベルト走行ガイド134が取り付けられている。
また、この定着装置100は、定着べルト110の内周面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段150も備えている。この潤滑剤供給手段150は、定着べルト110の内周面に接したフェルト151を備えている。フェルト151には、潤滑剤としてのヒンダードアミンオイルが含浸されており、このフェルト151が、定着べルト110の内周面に潤滑剤を塗布する。
加圧部材140は、ニップ領域Nよりも用紙Pの通過方向上流側に配備されており、弾性部材131よりも硬い、アルミニウムからなるものである。この加圧部材140は、加圧部材140の下部に備えられたカム1401が駆動軸1402を中心として回動することによって、用紙Pの坪量が60g/m以下である場合には、定着ベルト110側(図の上側)に突出し、用紙Pの坪量が上記の60g/mより大きい場合には、ベースフレーム133側(図の下側)に引っ込む。なお、ここでは、用紙Pの厚みの閾値として、60g/mが採用されているが、ニップ領域Nにかかるニップ圧力に応じて、この閾値は変更してもよい。図2では、用紙Pの坪量が60g/m以下であり、加圧部材140が上側に突出している状態が示されている。
このように、加圧部材140が定着ベルト110側に突出している状態では、加圧部材140は、加熱ロール120に押し付けられ凹部1321内に入り込むほど変形した弾性部材131よりも加熱ロール周面側に突出しており、これにより、出力用紙に対し、弾性部材131によって付与される1.3kg/cmの圧力よりも高い2.6kg/cmの圧力を付与している。ここで、支持枠132と弾性部材131とが接する水平面の高さ位置を基準に、加熱ロール120に押し付けられ弾性変形した弾性部材131の、定着ベルト110の内周面側の最も低い高さをh1とし、加圧部材140の突出先端部141の高さをh2とした場合、
0.8≦h1/h2<1.0 (式1)
上記式1で示す関係を満たすことが好ましい。上記式1は、加圧部材140が、弾性変形した弾性部材131よりも加熱ロール120側へどの程度突出したものであるかを表すパラメータである。上記h1/h2が1.0であると、弾性変形した弾性部材131の高さ位置と、加圧部材140の突出先端部141の高さ位置が一致してしまい、加圧部材140が、ニップ領域Nにおけるニップ圧力よりも高いプレ圧力を付与することができなくなる。反対に上記h1/h2が0.8未満であると、ニップ領域Nにおけるニップ圧力の低下や、ニップ領域Nの、用紙通過方向の長さ(ニップ巾)を確保しにくくなる。
図2に示す定着装置100では、未定着トナー像Tを担持した用紙Pが、ニップ領域Nを通過することで、未定着トナー像Tにはハロゲンランプ124からの熱が加えられるとともにニップ領域Nに作用するニップ圧力も加えられ、未定着トナー像Tが用紙Pに定着する。
一般に、用紙の厚みが小さい(坪量が小さい)場合には、用紙がニップ領域を通過する際に、用紙を挟み込むニップ圧力が不足してコアシェル構造をもったトナーの表面層が破壊されず、定着不良が生じることがある。特に、コアの結着樹脂が離型剤を含有している場合には、ニップ圧力の不足のため離型剤が表面層の外に漏れ出さず、トナーが加熱ロールの表面に付着し、記録用シートが汚れてしまうオフセットが発生しやすい。
図2に示す定着装置100では、用紙Pの坪量が60g/m以下である場合には、加圧部材140が定着ベルト110側に突出することにより、コアシェル構造のトナーの表面層(シェル)が確実に破壊された後、未定着トナー像Tを担持した用紙Pがニップ領域Nを通過する。このため、ニップ領域Nでは結着樹脂が表面層の外部に漏れ出し、圧力不足による定着不良の発生が抑えられる。また、結着樹脂に内添されていた離型剤が表面層の外部に染み出し、オフセットの発生も抑えられる。さらに、この定着装置100では、断熱カバー1000の存在により、ニップ領域Nの周辺の温度が定着処理に適した温度に維持されている。このため、トナーへの加熱不足でトナーの溶解が不充分となることや、逆に過度の加熱でトナーが溶解し過ぎてトナーの粘度が低下することが防がれ、定着性が維持されている。
一方、用紙の厚みが充分大きい(坪量が大きい)場合には、用紙がニップ領域を通過する際に用紙を挟み込むニップ圧力が充分に生じ、プレ圧力がなくても定着は良好となる。
図2に示す定着装置100では、用紙Pの坪量が60g/mより大きい場合には、加圧部材140がベースフレーム133側(図の下側)に引っ込むことにより、加圧部材141が定着べルト110に圧力をかけるのを停止する。このため、定着べルト110にかかる負担が減少し、定着べルト110の磨耗が回避される。加圧部材140がベースフレーム133側に引っ込んだ状態は、加圧部材140の下部に備えられたカム1401が、駆動軸1402を中心に図2の矢印D方向に回動することによって実現する。
図3は、図2に示す加圧部材が、ベースフレーム側に引っ込んだときの様子を表した図である。
図3に示すように、カム1401は図2の状態に比べて駆動軸1402を中心に180度回動しており、加圧部材140は、図2の状態に比べてベースフレーム133側に引っ込んでいる。この図3に示す状態では、弾性変形した弾性部材131の高さ位置と、加圧部材140の突出先端部141の高さ位置が一致している。この状態では、支持枠132と弾性部材131とが接する水平面の高さ位置を基準に、加熱ロール120に押し付けられ弾性変形した弾性部材131の、定着ベルト110の内周面側の最も低い高さをh1’とし、ベースフレーム133側に引っ込んだときの加圧部材140の突出先端部141の高さをh2’としたときに、h1’=h2’=h1の関係が成立している。この状態では、加圧部材140によって付与される圧力は、ニップ領域Nにおけるニップ圧力以下の圧力となる。この図3の状態から、カム1401が、駆動軸1402を中心に図3の矢印E方向に180度回動すると、図2の状態が実現する。
次にカム1401を回動させる機構について説明する。
図4は、図2に示す加圧部材が定着ベルト側に突出している状態を、図2の矢印Cで示す定着器側面方向から見たときの図、図5は、加圧部材がベースフレーム側に引っ込んでいる状態を、定着器側面方向から見たときの図である。
図4および図5に示すように、加圧部材140の下部には、加圧部材140に沿って延びたカム1401が備えられており、このカム1401によって加圧部材140が支えられている。カム1401は、駆動軸1402と一体化されており、駆動軸1402の回動とともに回動する。ここでは、駆動軸1402の方向に連続的に延びた形状のカム1401が採用されているが、図4および図5に示すカムよりも横幅の短いカムが、駆動軸1402と一体化されて駆動軸1402の方向に複数個並んでいる形態も採用可能である。
駆動軸1402の左端には歯車1403が備えられており、駆動軸1402の右端は、不図示の機構により回動自在に固定されている。歯車1403は、モータ1400aの回転駆動力を受けて回転するギア1400と噛み合っており、ギア1400の回転によって従動回転する。図4および図5に示すように、カム1401は、駆動軸1402に対して偏心しており、駆動軸1402の回動とともにカム1401が回動すると、カム1401によって支えられている加圧部材140が、上下方向に移動する。図4では加圧部材140が上側に移動した状態が示されており、この状態が図2に示す、加圧部材140が定着ベルト110側に突出している状態に対応する。図5では、加圧部材140が下側に移動した状態が示されており、この状態が図3に示す、加圧部材140がベースフレーム側に引っ込んでいる状態に対応する。このようなモータ1400aの駆動は、CPU5によって制御されている。CPU5は、この画像形成装置1に指定された用紙の坪量を入手し、その坪量が60g/m以下である場合には、モータ1400aを駆動させて加圧部材140を図4のように上方向に移動させ、一方、用紙の坪量が60g/mより大きい場合には、加圧部材140を図5のように下方向に移動させる。ここで、加圧部材140、カム1401、駆動軸1402、歯車1403、モータ1400a、ギア1400を合わせたものが、本発明にいうプレ加圧部の一例に相当する。
続いて、図1に示すトナー保持部52に保持されたトナーについて説明する。
図1に示すトナー保持部52に保持されたトナーは、主に結着樹脂としての結晶性ポリエステルと無定形高分子とを含み、表面が上記無定形高分子を主成分とする表面層(シェル)で被覆されたものである。
結着樹脂としては、結晶性ポリエステルを用いることが好ましい。ここにいう『結晶性』とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が6℃以内であることを意味する。一方、半値幅が6℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶質樹脂(無定形高分子)を意味するが、無定形高分子としては、明確な吸熱ピークが認められない樹脂を用いることが好ましい。
また、結着樹脂に用いる「結晶性ポリエステル樹脂」としては、その構成成分が100%ポリエステル構造からなるポリマー以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマー(共重合体)であってもよい。
なお、トナーを構成する成分としては、既述したように結晶性ポリエステルと無定形高分子とを含むものであればよく、必要に応じて、離型剤等の他の成分を含んでいてもよい。
以下に、各成分や製造方法について詳細にする。
−結着樹脂:結晶性ポリエステル樹脂、及びその他ポリエステル樹脂−
トナーに用いられる結晶性ポリエステル樹脂や、その他すべてのポリエステル樹脂は多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、上記ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸、などがあげられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていることが好ましい。上記スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化或いは懸濁して、樹脂粒子を作成する際に、スルホン酸基があれば、後述するように、界面活性剤の使用を抑制して、乳化或いは懸濁が可能である。
このようにスルホン基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらスルホン酸基を有する2価以上のカルボン酸成分は、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分に対して1〜15モル%、好ましくは2〜10モル%含有する。含有量が少ないと乳化粒子の経時安定性が悪くなる一方、15モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下するばかりではなく、凝集後、粒子が融合する工程に悪影響を与え、トナー径の調整が難しくなるという不具合が生じる。
さらに、前述の脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有することがより好ましい。2重結合を持つジカルボン酸は、2重結合を介して、ラジカル的に架橋結合させ得る点で定着時のホットオフセットを防ぐ為に好適に用いることができる。このようなジカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマル酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級エステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、フマル酸、マレイン酸等が挙げられる。
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7〜20である直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。上記脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下してしまう為、耐トナーブロッキング性、画像保存性、及び低温定着性が悪化してしまう場合がある。また、炭素数が7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融点が高くなり、低温定着が困難となることがある一方、20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。上記炭素数としては14以下であることがより好ましい。
結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、上記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%以上であることが好ましく、より好ましくは、90%以上である。上記脂肪族ジオール成の含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
なお、必要に応じて、酸価や水酸基価の調製等の目的で、酢酸、安息香酸等の1価の酸や、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等の1価のアルコールも使用することができる。
−無定形高分子−
無定形高分子樹脂としては、例えば、従来公知の熱可塑性結着樹脂などが挙げられ、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類の単独重合体又は共重合体(スチレン系樹脂);アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のビニル基を有するエステル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂);エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体(オレフィン系樹脂);エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル縮合系樹脂、及びこれらの非ビニル縮合系樹脂とビニル系モノマーとのグラフト重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でもビニル系樹脂やポリエステル樹脂が特に好ましい。
ビニル系樹脂の場合、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合やシード重合により樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。上記ビニル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸、ビニルスルフォン酸、エチレンイミン、ビニルピリジン、ビニルアミンなどのビニル系高分子酸やビニル系高分子塩基の原料となるモノマー挙げられる。
上記樹脂粒子は、上記ビニル系モノマーをモノマー成分として含有していることが好ましい。これらのビニル系モノマーの中でも、ビニル系樹脂の形成反応の容易性等の点でビニル系高分子酸がより好ましく、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ケイ皮酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する解離性ビニル系モノマーが、重合度やガラス転移点の制御の点で特に好ましい。
なお、上記解離性ビニル系モノマーにおける解離基の濃度は、例えば、高分子ラテックスの化学(高分子刊行会)に記載されているような、トナー粒子等の粒子を表面から溶解して定量する方法などにより決定することができる。なお、上記方法等により、粒子の表面から内部にかけての樹脂の分子量やガラス転移点を決定することもできる。
一方、無定形高分子としてポリエステル樹脂を用いる場合には、樹脂の酸価の調整やイオン性界面活性剤などを用いて乳化分散することにより、樹脂粒子分散液を容易に調製することができる点で有利である。乳化分散に用いる無定形のポリエステル樹脂は多価カルボン酸と多価アルコールとを脱水縮合して合成される。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いることができる。これら多価カルボン酸の中、芳香族カルボン酸を使用することが好ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種又は2種以上用いることができる。これら多価アルコールの中、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより好ましい。また良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合によって得られたポリエステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、および/またはモノアルコールを加えて、重合末端のヒドロキシル基、および/またはカルボキシル基をエステル化し、ポリエステル樹脂の酸価を調整しても良い。モノカルボン酸としては酢酸、無水酢酸、安息香酸、トリクロル酢酸、トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸等を挙げることができ、モノアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、オクタノール、エチルヘキサノール、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、フェノールなどを挙げることができる。
ポリエステル樹脂は上記多価アルコールと多価カルボン酸を常法に従って縮合反応させることによって製造することができる。例えば、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下、150〜250℃で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
このポリエステル樹脂の合成に使用する触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド等の有機金属やテトラブチルチタネート等の金属アルコキシドなどのエステル化触媒が挙げられる。このような触媒の添加量は、原材料の総量に対して0.01〜1重量%とすることが好ましい。
無定形高分子は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフイー(GPC)法による分子量測定で、重量平均分子量(Mw)が5000〜1000000であることが好ましく、更に好ましくは7000〜500000であり、数平均分子量(Mn)は2000〜100000であることが好ましく、分子量分布Mw/Mnが1.5〜100であることが好ましく、更に好ましくは2〜60である。
重量平均分子量及び数平均分子量が上記範囲より小さい場合には、低温定着性には効果的ではある一方で、耐ホットオフセット性が著しく悪くなるばかりでなく、トナーのガラス転移点を低下させる為、トナーのブロッキング等保存性にも悪影響を及ぼす。一方、上記範囲より分子量が大きい場合には、耐ホットオフセット性は充分付与できるものの、低温定着性は低下する他、トナー中に存在する結晶性ポリエステル相の染み出しを阻害する為、ドキュメント保存性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、上述の条件を満たすことによって低温定着性と耐ホットオフセット性、ドキュメント保存性を両立することができる。
ここに記す樹脂の分子量は、THF可溶物を、東ソー製GPC・HLC 8120、東ソー製カラム・TSKgel SuperHMーM(15cm)を使用し、THF溶媒で測定し、単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して分子量を算出したものである。
ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するに必要なKOHのmg数)は、上記のような分子量分布を得やすいことや、乳化分散法によるトナー粒子の造粒性を確保しやすいことや、得られるトナーの環境安定性(温度・湿度が変化した時の帯電性の安定性)を良好なものに保ちやすいことなどから、1〜30mgKOH/gであることが好ましい。ポリエステル樹脂の酸価は、原料の多価カルボン酸と多価アルコールの配合比と反応率により、ポリエステルの末端のカルボキシル基を制御することによって調整することができる。あるいは多価カルボン酸成分として無水トリメリット酸を使用することによってポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を有するものが得られる。
無定形高分子のガラス転移温度及び結晶性ポリエステル樹脂の融点は、35〜100℃であることが好ましく、貯蔵安定性とトナー定着性のバランスの点から、50〜80℃であることがより好ましい。ガラス転移温度および融点が35℃未満であると、トナーが貯蔵中又は現像機中でブロッキング(トナーの粒子が凝集して塊になる現象)を起こしやすい傾向にある。一方、100℃を超えると、トナーの定着温度が高くなってしまい好ましくない。
−離型剤−
トナーに含有させておく離型剤としては、公知の離型剤であれば特に限定されないが、例えば、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス等の合成或いは鉱物・石油系ワックス、脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、これらの離型剤は、1種単独で用いても良く、2種以上併用しても良い。離型剤は、結着樹脂に内添させておく。
離型剤の融点は、保存性の観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。また、耐オフセット性の観点から、110℃以下であることが好ましく、100℃以下であることがより好ましい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1から30質量部の範囲内であることが好ましく、2〜20質量部の範囲内であることがより好ましい。離型剤の含有量が1質量部未満であると離型剤添加の効果がなく、高温でのホットオフセットを引き起こす場合がある。一方、30質量部を超えると、帯電性に悪影響を及ぼす他、トナーの機械的強度が低下する為、現像機内でのストレスで破壊されやすくなり、キャリア汚染などを引き起こす場合がある。また、カラートナーとして用いた場合、定着画像中にドメインが残留し易くなり、OHP透明性が悪化するという問題が生じる場合がある。
なお、この離型剤をトナーに含有させおく必要は必ずしもない。
−着色剤−
また、図1に示すトナー保持部52に保持されたトナーは、着色剤を含有したものである。この着色剤としては、公知の着色剤であれば特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、ベンガラ、紺青、酸化チタン等の無機顔料、ファストイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンレッド、キレートレッド、ブリリアントカーミン、パラブラウン等のアゾ顔料、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、フラバントロンイエロー、ジブロモアントロンオレンジ、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット等の縮合多環系顔料があげられる。また、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラロゾンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、デュポンオイルレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・57:1、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3などの種々の顔料などを例示することもでき、これらを1種または2種以上を併せて使用することができる。
着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1〜30質量部が好ましいが、また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーや上記トナーを混合させたに二次色、三次色等を得ることができる。
−その他の添加剤−
さらに、図1に示すトナー保持部52に保持されたトナーには、上記したような成分以外にも、必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機微粒子)、有機微粒子等の種々の成分を添加することができる。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。また、無機粉体は主にトナーの粘弾性調整を目的として添加され、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸カルシウム、酸化セリウム等の下記に詳細に列挙するような通常、トナー表面の外添剤として使用されるすべての無機微粒子が挙げられる。
また、トナーの表面(表面層)に外添される無機微粒子としては以下のようなものが挙げられる。例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。中でも、シリカ微粒子や酸化チタン微粒子が好ましく、疎水化処理された微粒子が特に好ましい。
上記無機微粒子の1次粒子径としては、1〜200nmが好ましく、その添加量としては、トナー100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
また、図1に示すトナー保持部52にはキャリアも保持されているが、このキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアを用いることができる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等を挙げることができる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
図1に示すトナー保持部52におけるトナーとキャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲である。
なお、本発明の画像形成装置は、前述のトナーをそのまま一成分現像剤として保持したトナー保持部を有する画像形成装置にも適用することができる。
ここで、上記のトナーを用いて、坪量が56g/mのS紙(富士ゼロックス社製)に、縦20mm×横20mmのハーフトーン画像を出力したときの、形成された画像の断面構造について説明する。この構造の解析の手順は以下の通りである。
まず、定着トナー像を、片刃ナイフで短冊状に切り出し、切り出したものを試料とする。次いで、上記試料を染色剤を投入したデシケーター内で蒸気染色する。ここで用いる染色剤は、結晶性ポリエステル(コア)と無定形高分子(非結晶性樹脂)、さらにはコアに含有している離型剤を識別するためのものであり、例えば、四酸化オスミウム,四酸化ルテニウム,ヨウ素などが挙げられる。なお、染色剤の種類と量や染色時間は、トナーを構成する材料により充分に条件探索する必要がある。染色後、試料をデシケーターから取り出し、試料に付着した余分なガスを排気する。続いて、上記試料表面に金属蒸着を施し、エポキシ樹脂で包埋する。硬化後、先端をトリミングし、ダイヤモンドナイフを取り付けたミクロトームにて、切片厚設定0.25μmで切片を作製する。得られた切片をメッシュ上に戴物しTEM観察用の試料とする。切削装置としてはReichert社製ウルトラカットNを使用する。なお、トナーを構成する材料によっては、染色剤の浸透が悪く上記染色では、各材料の識別が困難な場合が発生する。そのような場合には、上記染色処理に加え、得られた切片を再度上記方法にて切片染色を施す必要がある。続いて、透過型電子顕微鏡FEI社製TecnaiG2を用い、加速電圧100KV、倍率4,500倍、試料の向きは被転写体を下側にして、トナー定着層断面を10視野以上撮影する。
次いで、4500倍のTEM画像全範囲について、画像解析装置SIS社製analySISを用いて組織解析を行う。具体的には、初めにTEM画像を組織解析に適した明るさとコントラストに調整する。また画像に色調勾配がある場合は、シェーディング補正を行う。画像輝度しきい値計算の対象を、TEM画像の階調ヒストグラム全体に自動設定する。トナー定着層最表面、すなわち金属蒸着保護層直下の断面像を確認しながら、3つの組織、すなわち最も低輝度(暗い)組織である無定形高分子(非結晶性樹脂)領域、続いて次に低輝度組織である結晶性ポリエステル(コア)領域、最も高輝度(明るい)組織である離型剤領域について、手動で多値化しきい値設定を行う。結晶性ポリエステルと無定形高分子が溶融している場合は、組織数を2とし、二値化しきい値設定を行う。グレースケール画像を各組織ごとに疑似カラー表示し、トナー層最表面の各組織に着目し、各組織の最表面露出長さ、すなわち各組織の金属保護層との接触面の長さを計測する。そして、3つの組織毎に、長さの総和を求める。結晶性ポリエステルと無定形高分子が溶融している場合は、2つの組織毎に長さの総和を求める。
この解析の結果を、用紙に定着されたトナー像を、その用紙の厚さ方向に断面したときの断面構造における、トナーの表面層の主成分である無定形高分子樹脂が露出した部分の長さの総和をL1とし、その断面構造における、結晶性ポリエステル樹脂が露出した部分の長さの総和をL2としたときの、L1/L2で表される値で表す。
画像形成装置1によって形成された上記のハーフトーン画像では、このL1/L2は、0.5となっており、トナーの表面層から結晶性ポリエステル樹脂が十分に漏れ出している結果となっている。
続いて、図2に示す定着装置の変形例について説明する。以下、図2に示す定着装置の構成要素と同等な構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明する。
図6は、図2に示す定着装置の変形例を示す図である。
この図において図2で示す構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素についての重複説明は省略する。この図に示す定着装置100’も、ベルトニップ方式が採用された定着装置であるが、図2に示す定着装置100とは異なり、無端状の定着ベルト110の内側には、支持枠、弾性部材、加圧部材、ベースフレーム組が2組存在し、この2組は、互いに同一の弾性部材131、支持枠132、およびベースフレーム133’を有しているが、加圧部材については、互いに長さが異なった加圧部材140a,140bを備えている。これらの2組は、いずれも固定台1330に固定されている。この固定台1330は、不図示の機構で図の両矢印F方向に移動することができ、この固定台1330の移動によって定着ベルト110および上記の2組の構成要素が移動し、この移動によって、定着ベルト110と加熱ロール120とが当接した状態と離間した状態とが切り換えられる。図では、定着ベルト110と加熱ロール120とが当接している状態が示されている。固定台1330は、不図示のモータに接続された回動軸1330aと一体化しており、定着ベルト110と加熱ロール120とが離間している状態では、固定台1330は、その不図示のモータの駆動力により回動軸1330aを中心として180度回動することができる。この180度の回動は用紙Pの坪量に応じて行われ、用紙Pの坪量が60g/m以下である場合には、2つの加圧部材のうち長い方の加圧部材140aが固定台1330の上側に位置するように固定台1330が回動し、一方、用紙Pの坪量が60g/mより大きい場合には、短い方の加圧部材140aが固定台1330の上側に位置するように固定台1330が回動する。固定台1330の回動の後、固定台1330は、加熱ロール120に向かって移動し、定着ベルト110が加熱ロール120と当接する。
2つの加圧部材のうち長い方の加圧部材140aが固定台1330の上側に位置している状態では、図2に示す定着装置100において加圧部材140が定着ベルト110側に突出した状態と同様に、上述した、式1で示す関係が成立している。一方、2つの加圧部材のうち短い方の加圧部材140bが固定台1330の上側に位置している状態では、図2に示す定着装置100において加圧部材140が、ベースフレーム133側に引っ込んだ状態と同様に、h1’=h2’=h1の関係が成立している。
以上説明した構成により、図6に示す定着装置100’では、長さの異なる2種類の加圧部材140a,140bを切り換えて使用することで、図2に示す定着装置100と同様、オフセットの発生を抑制しながら、定着べルト110の磨耗が回避されている。
なおここでは、定着ベルト110が張架されていないフリーベルトニップ方式の定着装置を例にあげて説明したが、本発明の定着装置は、定着ベルト110が張架されたベルトニップ方式の定着装置にも適用することができ、さらには、定着ベルト110に代えてロールを配備したロール−ロール型の定着装置等にも適用することができる。
以下、本発明を、実施例をあげてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を限定するものではない。
(トナーの作製)
<結晶性ポリエステル樹脂分散液の調製>
加熱乾燥した三口フラスコに、1,10ドデカン二酸98.0mol%、及びイソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム2.0mol%の酸成分、および、1,6ヘキサンジオール100mol%と、触媒としてTi(OBu)(酸成分に対し、0.014重量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で6時間還流を行った。その後、減圧蒸留にて過剰な1,6ヘキサンジオールを除去し、220℃まで徐々に昇温を行い3.5時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量22,000になったところで、減圧蒸留を停止し、空冷し結晶性ポリエステル樹脂を得た。酸価は11.8mgKOH/gであった。
ついで、これを溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(株式会社ユーロテック製)に毎分100gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクには試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.37重量%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で、上記ポリエステル樹脂溶融体と同時に上記キャビトロンに移送した。この状態で、回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cmの条件でキャビトロンを運転し、体積平均粒径が0.36μmポリエステルからなる結晶性ポリエステル樹脂分散液(樹脂粒子濃度:20重量%)を得た。
―無定形高分子樹脂粒子分散液の調製―
スチレン 85部
アクリル酸ブチル 15部
ドデシルメルカプタン 2.0部
(以上、和光純薬社製)
βカルボキシエチルアクリレート(ローディア日華製) 2部
デカンジオールジアクリル酸エステル 0.6部
(新中村化学社製)
上記成分を混合溶解して溶液を調製し、他方、非イオン性界面活性剤(日本油脂社製、ノニオンP−213)1部、及びアニオン性界面活性剤(日本油脂社製、ニューレックスR)1部をイオン交換水120部に溶解し、これに上記溶液を加えてフラスコ中で分散し乳化して10分間ゆっくりと混合しながら、過硫酸アンモニウム(和光純薬社製)1.2部を溶解したイオン交換水50部を投入し、次いで、系内を窒素で置換した後、フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、そのまま6時間乳化重合を継続した。その後、この反応液を室温まで冷却し、樹脂粒子分散液(3)を得た。この樹脂粒子分散液(3)の一部を80℃のオーブン上に放置して水分を除去し、残留物の特性を測定したところ、残留物のMwが40000、Tgが59℃であった。
<離型剤分散液の調製>
パラフィンワックス(日本精蝋(株)製:HNP9,融点77℃):50部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK):5部
イオン交換水:200部
以上を110℃に加熱して、ホモジナイザ(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で分散処理し、平均粒径が210nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(離型剤濃度:20重量%)を調製した。
<着色剤分散液の調製>
シアン顔料(大日精化(株)製、Pigment Blue 15:3(銅フタロシアニン)):10部
アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製:ネオゲンRK):1.5部
イオン交換水:90部
以上を混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー((株)スギノマシン製、HJP30006)を用いて約1時間分散して着色剤(シアン顔料)を分散させてなる着色剤分散液を調製した。着色剤分散液における着色剤(シアン顔料)の平均粒径は、0.16μm、着色剤粒子濃度は23重量%であった。
−電子写真用トナーの作製―
結晶性ポリエステル樹脂分散液 1360部
無定形高分子樹脂分散液 120部
着色剤分散液 52部
離形剤分散液 66部
以上の成分に、更に塩化カルシウム5部(和光純薬社製)、イオン交換水300部、を丸型ステンレス製フラスコ中に収容させ、pH4.0に調整した後、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散させた後、加熱用オイルバス中で60℃まで攪拌しながら加熱した。60℃で3時間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.0μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。更に1時間、60℃で加熱攪拌を保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5.5μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
この凝集粒子分散液のpHは3.8であった。そこで炭酸ナトリウム(和光純薬社製)を0.5質量%に希釈した水溶液を穏やかに添加し、pHを5.0に調整した。この凝集粒子分散液を攪拌を継続しながら80℃まで昇温して30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、合一した球形粒子が観察された。その後イオン交換水を添加しながら1℃/分の速度で30℃まで降温して粒子を固化させた。
その後、反応生成物をろ過し、2000部のイオン交換水で洗浄した後、再びろ過を行い、SC50%のコア粒子1のトナーケーキ560部を得た。
コア粒子1のトナーケーキを3Lフラスコに入れた後、無定形高分子分散液を100部添加し、攪拌を開始した。10分後、固形分が35%となる量となるようにイオン交換水を250g添加した後、0.3mol/Lの硝酸水溶液を徐々に添加することにより、pHを3.0に調整した。30分後、ポリ塩化アルミニウムを0.28部添加して30分後、0.5℃/1分の速度で48℃まで昇温した。48℃で2時間経過した後、0.1℃/1分の速度で57℃まで昇温した。この際のpHは7.3であったため、0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を徐々に添加することにより、pH7.5に調整し、10時間加熱を続けた。10時間後、電子顕微鏡(SEM)撮影にてコア粒子表面に付着粒子の被覆層(表面層)が形成されていることを確認した後、30分で20℃まで降温した。
冷却後、コールターカウンター[TA−II]型(アパーチャー径:50μm、コールター社製)を用いて測定したところ、体積平均粒子径は5.6μmであった。
その後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、真空乾燥機を用いて乾燥させることにより電子写真用トナー粒子を得た。
電子写真用トナー粒子に、表面疎水化処理した、平均1次粒子径40nmのシリカ粒子(日本アエロジル社製疎水性シリカ:RX50)0.8質量%と、メタチタン酸100質量部にイソブチルトリメトキシシラン40質量部、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン10質量部で処理した反応生成物である平均1次粒子径20nmのメタチタン酸化合物粒子1.0質量%とを、ヘンシェルミキサーにて5分間添加混合した。その後45μmの篩分網で篩分して電子写真用トナーを作製した。
<キャリアの作製>
トルエン1.25質量部にカーボンブラック(商品名;VXC−72、キャボット社製)0.12質量部を混合し、サンドミルで20分攪拌分散したカーボン分散液に3官能性イソシアネート80質量%酢酸エチル溶液(タケネートD110N:武田薬品工業社製)1.25質量部を混合攪拌したコート剤樹脂溶液と、mn−mg−Srフェライト粒子(平均粒径;35μm)1000部をニーダーに投入し、常温で5分間混合攪拌した後、常圧にて150℃まで昇温し溶剤を留去した。さらに30分混合攪拌後、ヒーターの電源を切り50℃まで降温した。得られたコートキャリアを75μmメッシュで篩分し、キャリアを作製した。
<電子写真用現像剤の作製>
該電子写真用トナー6質量部と該キャリア94質量部を30rpmで15分間V型ブレンダーを用いて攪拌し電子写真用現像剤を得た。
(実施例)
上述の方法で作製された電子写真用現像剤を図1に示す画像形成装置1に入れ、縦20mm×横20mmのハーフトーン画像を下記の4種類の方式で連続出力する。
・ 上記ハーフトーン画像をC2紙(富士ゼロックス社製)に500枚連続出力し
た後、上記ハーフトーン画像をS紙(富士ゼロックス社製)に500枚連続出力する。
(2)上記ハーフトーン画像をS紙(富士ゼロックス社製)に1000枚連続出力する。
(3)上記ハーフトーン画像をC2紙(富士ゼロックス社製)に1000枚連続出力する。
(4)上記ハーフトーン画像をJ紙(富士ゼロックス社製)に1000枚連続出力する。
以上の(1)〜(4)の連続出力では、それぞれの連続出力ごとに定着器100を新品のものに取り替えて連続出力が行われる。ここで、上記のJ紙の坪量は82g/m、C2紙の坪量は70g/m、上記のS紙の坪量は56g/mである。従って、定着器100においては、3種類の用紙の中で、S紙に画像を出力する場合にのみ、加圧部材が定着ベルト側に突出することになる。このように加圧部材が定着ベルト側に突出することによって未定着トナー像に対してニップ圧力より大きいプレ圧力を付与することを、以下では、単にプレ加圧と呼ぶ。以上の4種類の連続出力それぞれについて、オフセットレベルの調査と定着ベルトの磨耗の調査を行う。
オフセットレベルの調査は、画像先端部からプロセス方向に、外径26mmの加熱ロールの周長である82mmから画像の縦距離を加えた102mmまでの範囲内において行われ、下記の判定基準に基づき、調査結果を評価する。
○:オフセット未発生
×:オフセット発生
さらにオフセットが発生した場合には、発生枚数も調査する。なお、上記の(1)C2紙500枚の連続出力とS紙500枚の連続出力の1000枚連続出力の場合には、それぞれ500枚の連続出力に対しても上記のオフセットレベルの調査が行われる。
また、定着ベルトの磨耗は、定着ベルト表面(加熱ロールと接する側の面)が、使用前の表面と比較して最大でどの程度の深さまで削れているかを測定することに調べられる。この最大に削れた深さが磨耗量である。磨耗量の測定結果を、下記の判定基準に基づき評価する。
○:磨耗量が0.1μm未満
×:磨耗量が0.1μm以上
一般に、磨耗量が0.1μm未満であれば、定着ベルトが消耗して使用不能になるまでに20万枚程度まで出力することができ、耐久性の高い定着器であると呼ぶことができる。
(比較例1)
加圧部材を上下方向に移動させる機構が存在せず、加圧部材が、ベースフレーム側に引っ込んだ位置に固定されている点を除けば、画像形成装置1と同様の構成を持つ画像形成装置を用いて、実施例1と同様の4種類の連続出力を行い、オフセットレベルの調査と定着ベルトの磨耗の調査を行う。この比較例1では、用紙の坪量に関わらず、加圧部材が、図3に示す加圧部材の位置に固定された状態となっており、3種類の用紙のいずれに画像を出力する場合でも、プレ加圧は行われない。
(比較例2)
加圧部材を上下方向に移動させる機構が存在せず、加圧部材が、定着ベルト側に突出している位置に固定されている点を除けば、画像形成装置1と同様の構成を持つ画像形成装置を用いて、実施例1と同様の4種類の連続出力を行い、オフセットレベルの調査と定着ベルトの磨耗の調査を行う。この比較例2では、用紙の坪量に関わらず、加圧部材が、図2に示す加圧部材の位置に固定された状態となっており、3種類の用紙のいずれに画像を出力する場合でも、プレ加圧が行われる。
下記表1に実施例、比較例1および比較例2の結果を示す。
Figure 2007304344
用紙の坪量に応じてプレ加圧が行われる実施例と、全くプレ加圧が行わない比較例1とを比較する。比較例1では、S紙が画像出力に使用されている、C2紙500枚の連続出力とS紙500枚の連続出力とからなる1000枚連続出力の場合、S紙1000枚の連続出力の場合において、オフセットが2枚および4枚それぞれ発生しているのに対し、実施例では、オフセットは全く発生していない。この比較から、S紙(坪量が56g/m)のように、坪量が小さい用紙に画像を出力する場合には、実施例1のようにプレ加圧を行うことで、オフセットの発生が抑制されることがわかる。
次に、用紙の坪量に応じてプレ加圧が行われる実施例と、常にプレ加圧を行う比較例2とを比較する。比較例2では、C2紙500枚の連続出力とS紙500枚の連続出力とからなる1000枚連続出力の場合、C2紙1000枚の連続出力の場合、およびJ紙1000枚の連続出力の場合において、定着ベルトにそれぞれ磨耗量が0.11μm,0.12μm,0.11μmの磨耗が発生しているのに対し、実施例では、いずれの場合も磨耗量が0.1μm未満(評価は○)となっている。これらの連続出力に対しては、実施例と比較例2ともに、オフセットは発生しておらず、実施例と比較例2の結果から、J紙(坪量が82g/m)やC2紙(坪量が70g/m)のように、坪量が充分大きい用紙に画像を出力する場合には、オフセットの防止にプレ加圧を行うことは不要で、むしろ実施例のようにプレ加圧を行わないことで、定着ベルトの磨耗を抑制できるということがわかる。
以上の結果をまとめると、坪量が比較的小さい用紙に画像を出力する場合にだけプレ加圧を行うことで、オフセットを防止と耐久性の維持とが両立するということが結論できる。
本発明の画像形成装置の一実施形態に相当するフルカラー画像形成装置の概略構成を示す図である。 図1に示す画像形成装置に組み込まれた定着装置の概略構成を示す図である。 図2に示す加圧部材が、ベースフレーム側に引っ込んだときの様子を表した図である。 図2に示す加圧部材が定着ベルト側に突出している状態を、図2の矢印Cで示す定着器側面方向から見たときの図である。 加圧部材がベースフレーム側に引っ込んでいる状態を、定着器側面方向から見たときの図である。 図2に示す定着装置の変形例を示す図である。
符号の説明
1 画像形成装置
5 CPU
10 感光体ドラム
101 表面
12 帯電器
13 露光器
15 クリーニング装置
16 除電ランプ
20 中間転写ベルト
40 1次転写ロール
50 現像装置
52 トナー保持部
60 バイアスロール
70 バックアップロール
80a,80b,80c,80d 給紙トレイ
90 排出トレイ
100,100’ 定着装置
110 定着ベルト
120 加熱ロール
130 支持体
131 弾性部材
132 支持枠
133,133’ ベースフレーム
1330 固定台
1330a 回動軸
140,140a,140b 加圧部材
1400 ギア
1400a モータ
1401 カム
1402 駆動軸
N ニップ領域
202 操作パネル
1000 断熱カバー

Claims (2)

  1. 融点を有する樹脂を含有する結着樹脂と無定形高分子樹脂を主成分とする表面層とを有するトナーから構成された未定着トナー像を担持した記録用シートを挟み込むニップ領域に、該記録用シートを所定方向から通過させることで該未定着トナー像に所定のニップ圧を加え、該未定着トナー像を該記録用シートに定着する定着装置において、
    前記ニップ領域を形成するニップ領域形成部と、
    前記記録用シートの坪量が所定値以下である場合には、前記ニップ領域よりも前記記録用シートの通過方向上流側で前記未定着トナー像に、前記ニップ圧よりも高い、前記未定着トナー像を構成するトナーの表面層を破壊するプレ圧力を付与し、前記記録用シートの坪量が前記所定値より大きい場合には、該プレ圧力を抜くプレ加圧部とを備えたことを特徴とする定着装置。
  2. 融点を有する樹脂を含有する結着樹脂と無定形高分子樹脂を主成分とする表面層とを有するトナーから構成されたトナー像が形成されるトナー像担持体に形成された該トナー像を、最終的に記録用シート上に転写し、記録用シートに転写された未定着のトナー像に熱を加えるとともに圧力も加え、該未定着のトナー像を該記録用シートに定着することにより該記録用シートに画像を形成する画像形成装置において、
    未定着トナー像を担持した記録用シートを挟み込むニップ領域に、該記録用シートを所定方向から通過させることで該未定着トナー像に所定のニップ圧を加え、該未定着トナー像を該記録用シートに定着する定着装置を備え、
    前記定着装置が、
    前記ニップ領域を形成するニップ領域形成部と、
    前記記録用シートの坪量が所定値以下である場合には、前記ニップ領域よりも前記記録用シートの通過方向上流側で前記未定着トナー像に、前記ニップ圧よりも高い、前記未定着トナー像を構成するトナーの表面層を破壊するプレ圧力を付与し、前記記録用シートの坪量が前記所定値より大きい場合には、該プレ圧力を抜くプレ加圧部とを備えたものであることを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012002956A (ja) * 2010-06-15 2012-01-05 Canon Inc 像加熱装置
JP2013186160A (ja) * 2012-03-06 2013-09-19 Konica Minolta Inc 定着装置及び画像形成装置
JP2015075554A (ja) * 2013-10-08 2015-04-20 富士ゼロックス株式会社 定着装置及び画像形成装置
JP2019101314A (ja) * 2017-12-06 2019-06-24 コニカミノルタ株式会社 定着装置および画像形成装置

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