JP5339177B2 - 調質圧延液および調質圧延液用原液 - Google Patents
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Description
その結果、水溶性防錆剤中含有酸を完全に中和する以上のアルカリpH調整剤を添加することによりアルカリpH調整剤のフリーのアルカリ極性成分が防錆油中の極性成分と吸着することにより、防錆油中の極性成分と鋼板表面に形成されるNi酸化物またはNi水酸化物とが強固に吸着することを防ぎ、脱脂工程に於いて防錆油が除去しやすい効果を発揮することをつきとめた。
「(1)質量%で水溶性防錆剤:1〜6%、アルカノールアミン系アルカリpH調整剤:0.8〜5.5%、界面活性剤:0.005〜1%、残りは水および不可避的不純物からなり、かつ前記水溶性某製剤、アルカノールアミン系アルカリpH調整剤、界面活性剤の合計が3〜8質量%であって、水溶性防錆剤中含有酸1molに対して2倍mol以上4倍mol以下のアルカノールアミン系アルカリpH調整剤を含むことを特徴とするNiめっきされた鋼板に用いる調質圧延液。(2)アルカノールアミン系アルカリpH調整剤がモノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンのうち1種または2種の混合物であることを特徴とした(1)のNiめっきされた鋼板に用いる調質圧延液。(3)水溶性防錆剤が安息香酸誘導体、有機カルボン酸類、有機キレート含窒素化合物のうち1種または2種以上の混合物であることを特徴とした(2)のNiめっきされた鋼板に用いる調質圧延液。(4)界面活性剤が非イオン系界面活性剤であることを特徴とした(3)のNiめっきされた鋼板に用いる調質圧延液。(5)水で希釈することで(4)に記載のNiめっきされた鋼板に用いる調質圧延液となる調質圧延液用原液であって、水溶性防錆剤、アルカノールアミン系アルカリpH調整剤、界面活性剤の合計含有量が5〜50質量%で、残りは水および不可避的不純物であることを特徴とした調質圧延液用原液。」である。
本発明における調質圧延液は、水溶性防錆剤と水を主成分とし、含有酸に対し特定範囲のフリーアルカリ成分を含むアルカリpH調整剤を含む。
主成分としての水は特に制限されず、純水、脱イオン水、水道水などが使用できるが、水中に存在する各種イオンが水溶性防錆剤やアルカリpH調整剤や界面活性剤の効果に影響を与える場合があるため、純水または脱イオン水が好ましい。
ただし、亜硝酸塩とアルカノールアミンが共存する場合、反応してニトロソアミンが生成することがわかっており、人体への悪影響があるため注意を要する。
この中でも特に、アルカノールアミンを用いることが望ましい。アルカノールアミンとしては、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジブタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。親水基であるアミノ基側が鋼板表面に吸着することにより防錆効果を有すると共にpH調整効果も併せ持つ。ただし、疎水性が強くなる場合は水溶液中で乳化する傾向を示すようになるため、炭化水素基中の炭素数が6を超える場合は液安定性を確認する必要がある。
尚、これらアルカノールアミン系pH調整剤の濃度は0.8〜5.5質量%の範囲が好ましく、0.8質量%未満ではアルカリpH調整剤の水溶性防錆剤に対する添加量が低下するため防錆油の脱脂性が低下し、5.5質量%超では水溶性防錆剤に対するアルカリpH調整剤の添加量が多すぎるため、鋼板に付与する防錆力が不十分となるため望ましくない。
水溶性防錆剤中含有酸のmol量と同等mol量のアミン系pH調整剤からなる塩および界面活性剤を水に溶解した調質圧延液をベースとし、アミン系pH調整剤の添加量を過剰に添加した各種液を作成した(実施例1〜10および比較例1〜12)。各調質圧延液は、70℃の水に攪拌しながら各成分を添加し、均一に溶解した後、室温まで冷却することにより作成した。なお、各成分は市販試薬を使用し、界面活性剤については以下を使用した。
ライオン製レオコールSCI
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールブロックコポリマー界面活性剤
三洋化成工業製ニューポールPE64
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル界面活性剤
三洋化成工業製ナロアクティCL−100
脱イオン水 73.2質量%
水性防錆剤 pニトロ安息香酸 9.9質量%
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 7.6質量%
水性防錆剤 計 17.5質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 イソプロパノールアミン 8.8質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤2倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤0・5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 26.8質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 67.3質量%
水性防錆剤 pニトロ安息香酸 9.1質量%
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 7.0質量%
水性防錆剤 計 16.1質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 イソプロパノールアミン 16.1質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤4倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 32.7質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 73.6質量%
水性防錆剤 pニトロ安息香酸 9.9質量%
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 7.6質量%
水性防錆剤 計 17.5質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 イソプロパノールアミン 8.8質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤2倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤0.05質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 26.35質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 72.2質量%
水性防錆剤 pニトロ安息香酸 9.7質量%
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 7.5質量%
水性防錆剤 計 17.2質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 イソプロパノールアミン 8.6質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤2倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤1.96質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 27.76質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 76.6質量%
水性防錆剤 pニトロ安息香酸 10.3質量%
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 8.0質量%
水性防錆剤 計 18.3質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 イソプロパノールアミン 4.6質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤1倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 23.4質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 74.9質量%
水声防錆剤 pニトロ安息香酸 10.1質量%
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 7.8質量%
水性防錆剤 計 17.9質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 イソプロパノールアミン 6.7質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤1.5倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 25.1質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 66.0質量%
水性防錆剤 pニトロ安息香酸 8.9質量%
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 6.9質量%
水性防錆剤 計 15.8質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 イソプロパノールアミン 17.7質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤4.5倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 34.0質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 73.6質量%
水性防錆剤 pニトロ安息香酸 9.9質量%
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 7.6質量%
水性防錆剤 計 17.5質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 イソプロパノールアミン 8.8質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤2倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤0.008質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 26.308質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 70.9質量%
水性防錆剤 ドデカンニ酸 6.4質量%
安息香酸ナトリウム 7.4質量%
水性防錆剤 計 13.8質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 ジイソプロパノールアミン 14.7質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤2倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 29.0質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 61.8質量%
水性防錆剤 ドデカンニ酸 5.6質量%
安息香酸ナトリウム 6.4質量%
水性防錆剤 計 12.0質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 ジイソプロパノールアミン 25.7質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤4倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 38.2質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 76.6質量%
水性防錆剤 ドデカンニ酸 7.0質量%
安息香酸ナトリウム 8.0質量%
水性防錆剤 計 15.0質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 ジイソプロパノールアミン 8.0質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤1倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 23.5質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 73.7質量%
水性防錆剤 ドデカンニ酸 6.7質量%
安息香酸ナトリウム 7.7質量%
水性防錆剤 計 14.4質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 ジイソプロパノールアミン 11.5質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤1.5倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 26.4質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 59.9質量%
水性防錆剤 ドデカンニ酸 5.4質量%
安息香酸ナトリウム 6.2質量%
水性防錆剤 計 11.6質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 ジイソプロパノールアミン 28.0質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤4.5倍mol)
界面圧制剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 40.1質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 73.2質量%
水性防錆剤 pニトロ安息香酸 9.9質量%
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 7.6質量%
水性防錆剤 計 17.5質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 イソプロパノールアミン 8.8質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤2倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
グリコールブロックコポリマー界面活性剤 0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 26.8質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 76.6質量%
水性防錆剤 pニトロ安息香酸 10.3質量%
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 8.0質量%
水性防錆剤 計 18.3質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 イソプロパノールアミン 4.6質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤1倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
グリコールブロックコポリマー界面活性剤 0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 23.4質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 73.2質量%
水性防錆剤 pニトロ安息香酸 9.9質量%
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 7.6質量%
水性防錆剤 計 17.5質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 イソプロパノールアミン 8.8質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤2倍mol)
界面活性剤 ポリオキシアルキレンアルキルエーテル界面活性剤0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 26.8質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 76.6質量%
水性防錆剤 pニトロ安息香酸 10.3質量%
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 8.0質量%
水性防錆剤 計 18.3質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 イソプロパノールアミン 4.6質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤1倍mol)
界面活性剤 ポリオキシアルキレンアルキルエーテル界面活性剤0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 23.4質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 75.4質量%
水性防錆剤 ドデカンニ酸 3.9質量%
安息香酸ナトリウム 1.7質量%
水性防錆剤 計 5.6質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 ジイソプロパノールアミン 18.5質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤4倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤 0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 24.6質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。
脱イオン水 73.2質量%
水性防錆剤 pニトロ安息香酸 9.9質量%
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 7.6質量%
水性防錆剤 計 17.5質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 イソプロパノールアミン 8.8質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤2倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤 0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 26.8質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。ただし、評価時は希釈後有効成分合計濃度質量%が8%。
脱イオン水 61.8質量%
水性防錆剤 pニトロ安息香酸 9.9質量%
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール 19.0質量%
水性防錆剤 計 28.9質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 イソプロパノールアミン 8.8質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤2倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤 0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 38.2質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。ただし、評価時は希釈後有効成分合計質量濃度%が8%。
脱イオン水 61.8質量%
水性防錆剤 ドデカンニ酸 5.6質量%
安息香酸ナトリウム 6.4質量%
水性防錆剤 計 12.0質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 ジイソプロパノールアミン 25.7質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤4倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤 0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 38.2質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。ただし、評価時は希釈後有効成分合計濃度質量%が8%。
脱イオン水 58.0質量%
水性防錆剤 ドデカンニ酸 5.3質量%
安息香酸ナトリウム 6.0質量%
水性防錆剤 計 11.3質量%
アルカノールアミン系
アルカリpH調整剤 ジイソプロパノールアミン 30.2質量%
(酸に対するアルカリpH調整剤5倍mol)
界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤 0.5質量%
調質圧延液の原液 有効成分 合計 42.00質量%
上記組成からなる調質圧延液原液。ただし、評価時は希釈後有効成分合計濃度質量%が8%。
厚さ0.8mmのアルミキルド鋼を、70℃の3%塩酸にて30秒間酸洗した後、水洗し、その後、硫酸ニッケル6水和物15g/lのNiめっき浴(めっき浴温度40℃)にて、5A/dm2の電流密度でNiめっきを行った。Ni付着量は通電時間を変化させてコントロールした。
(1)小型圧延機による調質圧延
前記液A1〜10および液B1〜12を調質圧延液の原液として、圧延時の本件有効成分が表1の各質量%となるよう、脱イオン水で希釈し、ダルロール(表面粗さRa=3μm、径150mm)を装着した小型圧延機にて調質圧延を行った。圧延条件は、圧延速度10m/min、圧下率1%であった。小型圧延機出側の水切りエアーの流量を調整して鋼板表面の残有機物量を調整した。
調質圧延後の鋼板から100mm×100mmサイズで切板サンプルを準備し、エタノール1000ccに30分間浸漬し、調質圧延液の残有機物量を抽出した後、その抽出液をエバポレーターで5mlにまで濃縮し、液体クロマトグラフィ分析した。片面当たりの残有機物量は、抽出された残有機物重量(mg)/切板サンプル面積半分(m2)で計算した。
調質圧延したサンプルに防錆油(パーカー興産製ノックスラスト530F40)をラボロールコーター(ウレタンゴムロール、径150mm)を用いて塗布した。塗油量は1.0〜1.5g/m2の範囲でほぼ一定とした。ロール回転数とロール圧下力により塗油量をコントロールした。
前記各種条件にて作成した鋼板サンプルについて以下の性能評価を実施した。なお、サンプル水準と性能評価結果を表1にまとめる。
脱脂性は、アルカリ脱脂後に水洗し、水洗後取り出した時の表面水濡れ面積率により評価した。アルカリ脱脂液は、日本パーカライジング製FC−4460Aを20g/L、FC−4460Bを12g/L、溶解した40℃の水溶液(pH12.1)を用いた。主成分は、炭酸ナトリウム、リン酸塩、水酸化ナトリウム、界面活性剤である。需要家における連続操業時の脱脂された防錆油の混入による液劣化やpHの変化などの工程変動を考慮すると、新液での評価では不十分であるため、日本パーカライジング製FC−4460を20g/L溶解した40℃のアルカリ脱脂液にあらかじめ防錆油(パーカー興産製ノックスラスト530F)を10g/L添加し、十分攪拌した後炭酸ガスを含ませることによりpHを10まで低下させた模擬劣化液を20L作成した。この模擬劣化液をステンレス製の容器に入れ、10mmφの羽根型攪拌翼を用いて500rpmにて攪拌した状態で、鋼板サンプルを2分間浸漬しアルカリ脱脂を実施した。脱脂後、60秒間スプレー水洗し、水洗取り出し後30秒後の鋼板表面の水濡れ面積率を目視にて評価した。評価は下記の判定基準に従った。
評点◎:水濡れ95〜100%
○:水濡れ80〜94%
△:水濡れ50〜79%
×:水濡れ50%未満
前記脱脂および水洗後の鋼板サンプルに対し、表面調整剤(日本パーカライジング製プレパレン4040、温度23℃)を20秒スプレーし、化成処理液(日本パーカライジング製パルボンド3020、リン酸亜鉛化成処理剤、温度42℃)に2分間浸漬することにより化成皮膜を形成、その後30秒間スプレー水洗し、乾燥した。化成処理を行ったサンプルについて、外観の目視評価、化成結晶形態のSEM観察し、化成処理皮膜付着量を測定した。SEM観察は、加速電圧20kV、倍率3000倍で実施した。目視での外観観察とSEM観察の結晶形態やサイズから総合的に判断して化成処理皮膜としての良否を判断した。また、化成皮膜量は化成皮膜剥離前後の重量差から重量法により測定した。化成皮膜の剥離は、70℃の5重量%無水クロム酸水溶液中に鋼板を15分間浸漬して実施した。5重量%無水クロム酸水溶液は、和光純薬工業製無水クロム酸(和光規格1級品)をイオン交換水に添加して作成した。
(3−1)屋内暴露試験
防錆油を塗布した100×100mmサイズの鋼板サンプルを1枚ずつサンプル架台に立てかけてサンプル保管倉庫屋内に14日間放置後、表面のさび、変色などの発生状況を目視評価した。評価は下記の判定基準に従った。
評点◎:錆、変色の発生がなし
○:錆、変色の発生が3%未満
△:錆、変色の発生が3〜30%
×:錆、変色の発生が30%超
防錆油を塗布した100×100mmサイズの鋼板サンプルの5枚重ねを一組とし、スタックした鋼板サンプルをテフロン(登録商標)シートで挟んだ後、端部4箇所にボルト用穴を有した150×150×4mm厚のステンレス板で挟み、トルク2Nmでボルト締めした後、50℃×湿度95%の恒温恒湿試験装置に14日間静置したあと取り出し、積み重ねた試験サンプルの表面を目視観察した。評価は下記の判定基準に従った。
評点◎:錆、変色の発生がなし
○:錆、変色の発生が3%未満
△:錆、変色の発生が3〜30%
×:錆、変色の発生が30%超
調質圧延した直後の鋼板サンプル(防錆油塗油なし、100×100mmサイズ)についてゴムロール絞りを行う。サンプル100枚を絞った後に、ロールを回転させながら50℃の温風にてロール表面を乾燥し、ロール表面への付着物発生状況を目視確認する。評価は下記の判定基準に従った。
評点◎:付着物なし
○:ロールの一部にごくわずかに付着物が認められる
△:ロール全面にごくわずかに付着物が認められる
×:ロール全面に付着物が認められる
調質圧延液10mlと防錆油(パーカー興産製ノックスラスト530F40)20mlを均一混合し100℃で1時間乾燥して水を蒸発させた液を、ラボロールコーター(2ロール型、ウレタンゴムロール、径150mm、回転数50rpm)のロール部に滴下し、72時間連続回転した後のロール表面状態を目視確認する。ピックアップロールとアプリケーターロールの回転はナチュラル回転で、ロールは接触した状態で回転させた。評価は下記の判定基準に従った。
評点◎:付着物なく、液が均一に分散している
○:液のべたつきがわずかに認められるものの付着物はない
△:液のべたつきが認められるか、ロール一部にわずかに付着物が認められる
×:ロール全面に付着物が認められる
Claims (5)
- 質量%で
水溶性防錆剤:1〜6%、
アルカノールアミン系アルカリpH調整剤:0.8〜5.5%、
界面活性剤:0.005〜1%、
残りは水および不可避的不純物からなり、かつ前記水溶性防錆剤、アルカノールアミン系アルカリpH調整剤、界面活性剤の合計が3〜8質量%であって、水溶性防錆剤中含有酸1molに対して2倍mol以上4倍mol以下のアルカノールアミン系アルカリpH調整剤を含むことを特徴とするNiめっきされた鋼板に用いる調質圧延液。 - アルカノールアミン系アルカリpH調整剤がモノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンのうち1種または2種の混合物であることを特徴とした請求項1記載のNiめっきされた鋼板に用いる調質圧延液。
- 水溶性防錆剤が安息香酸誘導体、有機カルボン酸類、有機キレート含窒素化合物のうち1種または2種以上の混合物であることを特徴とした請求項2記載のNiめっきされた鋼板に用いる調質圧延液。
- 界面活性剤が非イオン系界面活性剤であることを特徴とした請求項3に記載のNiめっきされた鋼板に用いる調質圧延液。
- 水で希釈することで請求項4に記載のNiめっきされた鋼板に用いる調質圧延液となる調質圧延液用原液であって、水溶性防錆剤、アルカノールアミン系アルカリpH調整剤、界面活性剤の合計含有量が5〜50質量%で、残りは水および不可避的不純物であることを特徴とした調質圧延液用原液。
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JP2007058573 | 2007-03-08 | ||
JP2008036047A JP5339177B2 (ja) | 2007-03-08 | 2008-02-18 | 調質圧延液および調質圧延液用原液 |
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