JP4440418B2 - 調質圧延剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷延鋼板、熱延酸洗処理帯鋼板、鋳鉄等の鋼材を製造する際に使用される調質圧延剤に関する。更に詳しくは、防錆油を用いた際のガムアップの発生を防止することができる調質圧延剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
調質圧延された冷延鋼板は、それぞれの用途に応じて加工使用されるまでにかなりの期間があるために、防錆油で処理されている。
しかしながら、それら製造時に用いられてきた従来の水溶性タイプの調質圧延剤中の成分と防錆油中の成分とが化学反応を起こし、いわゆる「ガムアップ」と呼ばれる粘着物が生成する。その粘着物は鉄粉やカーボン等の異物を抱き込んで搬送ロールに堆積し、ロールから鋼板に転写されて黒色状の汚れとなり、表面品位を著しく損なわせる。更に該鋼板のプレス加工における機械の送り時に「滑り」を生じさせ、乱尺問題を引き起こしている。鋼板製造メーカーでは、鋼板加工メーカー先でのトラブルを回避するため、コイル毎にロール手入れを実施して対処しているのが現状である。該ロール手入れ作業は、その労力、手間を要し、生産性を低下させる要因となる。また、鋼板が汚染されて商品価値が低下してしまった場合には更に清浄化工程が必要となっている。
よって、鋼板の製造及び加工業界では、ガムアップの発生を防止できる調質圧延剤の開発が強く望まれている。
【0003】
一方、調質圧延剤に求められる性能として防錆性がある。圧延後防錆油を用いて錆の発生を抑制しているが、長期にわたる保管での防錆能としては不十分であるために一般に防錆剤が添加された調質圧延剤が用いられている。用いられる防錆剤としては、例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール化合物又はその塩やフェノキシアルキルカルボン酸塩化合物が知られている。特公昭53−27694号には1−ヒドロキシベンゾトリアゾール化合物又はその塩が鋼材の防錆剤成分として有効であることが記載されており、特公昭59−22793号には、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール化合物と脂肪族ジカルボン酸とからなるpH7〜10の領域の水溶液もしくはエマルション液で鋼材を処理する方法が述べられ、界面活性剤の添加が防錆性の向上に寄与することが記載されている。また、特公昭59−31594号にはフェノキシアルキルカルボン酸塩化合物が防錆剤として有効であることが記載されている。
【0004】
しかしながら、これら公報にはガムアップ防止能については一切示唆されておらず、事実単純にこれら化合物を組み合わせることによって、防錆性に優れ、且つガムアップの発生を防止できる調質圧延剤を得ることはできない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究した結果、ある種の界面活性剤及び防錆剤のある特定の含有量によってガムアップの発生を防止でき、且つ防錆性に優れた新規な調質圧延剤を見出して本発明を完成させた。即ち、本発明は、
【化3】
Figure 0004440418
(式中、R1及びR2は同一又は異なった水素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、スルホニル基、アミノ基、又はフェニル基を示す。該フェニル基には炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよい。)で表される1−ヒドロキシベンゾトリアゾール化合物又はその塩から選ばれる少なくとも1種を0.2〜5重量%、
【化4】
Figure 0004440418
(式中、R3、R4及びR5は水素原子、炭素数3〜16のアルキル基を示す。但し、R3、R4及びR5が同時に水素原子ではない。nは1又は2の整数を示す。)で表されるフェノキシアルキルカルボン酸化合物又はその塩から選ばれる少なくとも1種を0.2〜5重量%、脂肪族ジカルボン酸の少なくとも1種を0.2〜5重量%、及びHLBが11〜13である非イオン性界面活性剤の少なくとも1種を0.05〜0.1重量%含有し、アルカリ剤が添加されてpH7〜12である調質圧延剤に係る。さらに、前記アルカリ剤がモノイソプロパノールアミン及び/又はジイソプロパノールアミンである調質圧延剤に係る。
【0006】
式(1)中における炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基を挙げることができる。
また、炭素数1〜4のアルキル基を有してもよいフェニル基としては、任意の位置に同種又は異種の炭素数1〜4のアルキル基が置換しているフェニル基もしくは無置換のフェニル基であって、具体的にはフェニル基、トリル基、クメニル基、キシリル基、メシチル基等が挙げられる。
【0007】
また、式(1)で表される1−ヒドロキシベンゾトリアゾール化合物としては、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシトリルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−4−メチルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−5−メチルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−4−カルボキシルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−5−カルボキシルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−4−ニトロベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシ−5−アミノベンゾトリアゾール等が例示でき、これらは1種単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
これらの化合物の中でも1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシトリルベンゾトリアゾールが、好ましい。
【0008】
さらに、式(1)で表される1−ヒドロキシベンゾトリアゾール化合物の塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア水、ヒドラジン類、トリエチルアミン等のトリアルキルアミン類、ピリジン類、エタノールアミン、イソプロパノールアミン等のモノアルカノールアミン類、ジエタノールアミン等のジアルカノールアミン類、トリエタノールアミン等のトリアルカノールアミン類等の一般に酸化合物の中和に用いられる塩基によって形成される塩が例示されるが、ガムアップ発生防止効果、ダイレクトペイント性及び安全性から、モノイソプロパノールアミン塩及びジイソプロパノールアミン塩が特に好ましい。
【0009】
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール化合物又はその塩の配合量は、調質圧延剤全量に対し、0.2〜5重量%とするのが好ましい。
【0010】
式(2)中における炭素数3〜16のアルキル基としては、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基,イソヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基等の炭素数3〜16の直鎖状、分枝状及び環状のアルキル基を挙げることができる。
【0011】
また、式(2)で表されるフェノキシアルキルカルボン酸化合物としては、フェノキシ酢酸、ジ−sec−ブチルフェノキシ酢酸、p−tert−ブチルフェノキシ酢酸、p−ノニルフェノキシ酢酸等が例示でき、これらは1種単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
これらの化合物の中でもフェノキシ酢酸、p−tert−ブチルフェノキシ酢酸が好ましい。
【0012】
さらに、式(2)で表されるフェノキシアルキルカルボン酸化合物の塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア水、ヒドラジン類、トリエチルアミン等のトリアルキルアミン類、ピリジン類、エタノールアミン、イソプロパノールアミン等のモノアルカノールアミン類、ジエタノールアミン等のジアルカノールアミン類、トリエタノールアミン等のトリアルカノールアミン類等の一般に酸化合物の中和に用いられる塩基によって形成される塩が例示されるが、ガムアップ発生防止効果、ダイレクトペイント性及び安全性から、モノイソプロパノールアミン塩及びジイソプロパノールアミン塩が特に好ましい。
【0013】
フェノキシアルキルカルボン酸化合物又はその塩の配合量は、調質圧延剤全量に対し、0.2〜5重量%とするのが好ましい。
【0014】
脂肪族ジカルボン酸としては、アゼライン酸、セバシン酸等を挙げることができ、脂肪族ジカルボン酸の塩としては、前記と同様に一般に酸化合物の中和に用いられる塩基によって形成される塩が例示されるが、ガムアップ発生防止効果、ダイレクトペイント性及び安全性から、モノイソプロパノールアミン塩及びジイソプロパノールアミン塩が特に好ましい。
また、脂肪族ジカルボン酸の添加量は調質圧延剤全量に対し0.2〜5重量%とするのがよい。
【0015】
式(1)で表される1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、式(2)で表されるフェノキシアルキルカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及び各化合物の塩の各配合量については、0.2重量%よりも少なくなると本来有する防錆効果が十分に発揮できず、一方、5重量%よりも多くなるとガムアップの生成を抑制できなくなってしまうばかりか、逆にガムアップの生成を助長する結果となる。また、防錆油との組み合わせでのオイルステイン性も低下する。
【0016】
式(1)で表される1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、式(2)で表されるフェノキシアルキルカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及びこれらの各化合物は防錆剤として添加されるものであるが、HLBが11〜13の範囲にある非イオン性界面活性剤と組み合わせることで、良好なガムアップ防止効果が得られることは予想以上の効果であった。
【0017】
従って、非イオン性界面活性剤は、親油性と親水性との釣り合いを表すHLBが11〜13の範囲にあることが特に好ましい。HLBが該範囲から外れた界面活性剤を用いた場合、乳化が十分に起こらず油層又は水層が完全に乳化されないため、油層と乳化層が分離した状態もしくは油層と水層とが分離した状態となり、ガムアップ防止効果を向上することができない。
かかる非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合体、ポリオキシアセチレノール等が挙げられる。
【0018】
非イオン性界面活性剤の配合量は、調質圧延剤全量の0.01〜0.1重量%となるように加えて使用するのがよい。0.01重量%よりも少ないと乳化が不十分となり、また0.1重量%よりも多いと防錆剤の防錆効果が低下するため、好ましくない。
【0019】
アルカリ剤としては、一般に酸化合物の中和に用いられる塩基を使用することができるが、中でもモノイソプロパノールアミン又はジイソプロパノールアミンが特に好ましく、この場合には上述したように、式(1)で表される1−ヒドロキシベンゾトリアゾール化合物、脂肪族ジカルボン酸、及び/又は式(2)で表されるフェノキシアルキルカルボン酸化合物が、モノイソプロパノールアミン塩及びジイソプロパノールアミン塩を形成することができる。
【0020】
アルカリ剤の使用量は、式(1)で表される1−ヒドロキシベンゾトリアゾール化合物、式(2)で表されるフェノキシアルキルカルボン酸化合物、及び脂肪族カルボン酸の全当量数に対し、1〜3倍当量であり、調質圧延剤のpHを7〜12に調整するように加えられる。pHが12を超えるようにアルカリ剤を添加することは、粘度を上昇させ、べたつきを生じ易くするため好ましくない。
【0021】
本発明の調質圧延剤は、式(1)で表される1−ヒドロキシベンゾトリアゾール化合物又はその塩、式(2)で表されるフェノキシアルキルカルボン酸又はその塩、脂肪族カルボン酸又はその塩、非イオン性界面活性剤を所定の量で適当な溶剤中に含有させ、アルカリ剤でpH7〜12の範囲に調整して溶解又は懸濁させることにより製造することができる。
ここで使用できる溶剤としては、後の排液処理を考慮すると水が好ましく、水としては特に制限されず、例えば水道水、地下水、脱イオン水、純水等を使用できるが、その中でも脱イオン水又は純水が好ましい。
【0022】
本発明の調質圧延剤を用いる際には、そのままか、或いは適宜希釈等の操作で適当な濃度に調整して使用することができる。本発明の調質圧延剤を鋼板に塗布し、圧延することで平滑性が得られ、次いで塗油機によって鋼板表面に防錆油が塗布される。使用される防錆油としては、特に制限されず、従来から使用されている防錆油を用いることができる。
【0023】
一般に調質圧延剤に求められる性能としては、ガムアップを生成しないことに加え、1)良好な防錆性、2)脱脂、化成処理性、3)ダイレクトペイント性、4)ゴムロール非腐食性、5)適度な摩擦係数、6)排水処理容易性、7)カビ等微生物の非生育状態、が挙げられる。本発明の調質圧延剤で処理された鋼板表面には本発明の調質圧延剤の成分である1−ヒドロキシベンゾトリアゾール化合物及びフェノキシアルキルカルボン酸化合物等の皮膜が形成され、本来の防錆効果が発揮される。また、本発明の調質圧延剤は、その他求められる性能を有し、調質圧延剤として十分に満足できるものである。
特に、ガムアップの発生を防止できる本発明の調質圧延剤は、鋼板製造において、ロール手入れ等のガムアップ対処作業を省略し、低コスト化を実現し、加工メーカーに対する良好な製品の提供を可能にした。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を試験例1〜3により具体的に説明する。
【0025】
試験例1
<本発明に係る調質圧延剤1〜3の調製>
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール0.5部、フェノキシ酢酸0.5部、アゼライン酸0.5部、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルアミン0.05部を水中に投入し、アルカリ剤としてモノイソプロパノールアミンを加え、pH10.5に調整して、全量100部の調質圧延剤1を調製した。ここで部とは、重量部のことであり、以下についても同様とする。
また、調質圧延剤1と同様に表1の配合で調質圧延剤2及び3を調製した。
【0026】
<防錆試験>
清浄化された冷延鋼板(SPCC−D材、70mmx150mmx0.8mm)を上記調製した調質圧延剤1に浸漬し、以下の防錆性試験を行った。また、調質圧延剤2及び3についても同様の試験を行った。
【0027】
▲1▼ 無塗油単体スタック試験
冷延鋼板3枚を重ねてトルクレンジで閉め(加重70kgf)、ビニル梱包した後、恒温恒湿機(50℃、95%RH)に14日間保管した。重ね合わせた3枚の鋼板のうち、中に挟まれた鋼鈑の両面での錆の発生面積を測定し、評価した。結果を表2に示した。
【0028】
▲2▼ 塗油単体スタック試験
冷延鋼板に防錆油(NoxRust530F40、パーカー興産製)をロールコーターで1g/m2になるように塗布した後、上記無塗油単体スタック試験と同様に試験した。結果を表2に示した。
【0029】
▲3▼ 塗油Vスタック試験
上記塗油単体スタック試験と同様に防錆油を塗布した後、鋼板の一端部に0.5mmのテフロンスペーサーを挟んで鋼板3枚を重ね、Wクリップで鋼板の中央部を閉めた後、恒温恒湿機に14日間保管した。重ね合わせた鋼板面における錆の発生面積の測定及びステイン(着色)の観察を行い、評価した。結果を表2に示した。
【0030】
比較例1
試験例1の調質圧延剤の調製と同様に比較剤1〜5を表1の配合で調製し、各々試験例1と同様に3種の防錆性試験を行い、結果を表2に示した。
【0031】
【表1】
Figure 0004440418
1)1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
2)フェノキシ酢酸
3)アゼライン酸
4)ポリオキシエチレンアルキルアミン(日本油脂社製、ナイミーンL207、HLB値12.8)
5)ジイソプロパノールアミン
6)モノイソプロパノールアミンとジイソプロパノールアミンとの体積比1:2の混合物
7)モノイソプロパノールアミン
【0032】
【表2】
Figure 0004440418
評価基準(単体スタック試験)
◎:発錆面積 0%
○:発錆面積 1〜5%
△:発錆面積 6〜25%
X:発錆面積 26%以上
評価基準(Vスタック試験)
◎:発錆面積 0%、ステイン無し
○:発錆面積 1〜5%、ステイン無し
△:発錆面積 6〜25%、ステイン少量発生
X:発錆面積 26%以上、ステイン多量発生
【0033】
試験例2
<本発明に係る調質圧延剤4〜10の調製>
表3に示す界面活性剤を用いて、調質圧延剤1の調製と同様に調質圧延剤4〜10を調製した。
【0034】
<乳化試験>
調質圧延剤1の25mL及び防錆油(NoxRust530F40)25mLを100mLビーカーに入れ、5分間撹拌(1000rpm)した後、5分間静置保管し、乳化状態を観察した。結果を表4に示した。
また、調質圧延剤4〜10についても同様の試験を行った。
【0035】
比較例2
表3に示す界面活性剤を用いて、調質圧延剤1の調製と同様に比較剤6〜21を調製し、各々試験2記載の乳化試験を行った。結果を表4に示した。
【0036】
【表3】
Figure 0004440418
【0037】
【表4】
Figure 0004440418
評価基準
A:乳化層を形成する。
B:油層と乳化層とを形成する。
C:油層と乳化層と水層とを形成する。
【0038】
結果から解るように、HLB値が11未満の界面活性剤を使用した場合にはBの状態となり、HLB値が13よりも大きい場合にはCの状態となり、HLB値が11〜13の範囲にある界面活性剤を使用する本発明の調質圧延剤を防錆油と使用した際には、水と油との両層が乳化するAの状態となる。
【0039】
試験例3
本試験には、調質圧延剤1と、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール0.5部、フェノキシ酢酸0.5部、アゼライン酸0.2部、リポノックスNCG0.05部を水中に投入し、モノイソプロパノールアミンを加え、pH11.7に調製して、全量100部とした調質圧延剤11とを用いた。
【0040】
<ロール試験>
調質圧延剤1の25mlと防錆油(NoxRust530F40)25mlとを混合攪拌し、105℃、2時間乾燥して水分を除き、均一に混合した液を試験液とした。試験液20gを回転している二円筒回転ロール試験機(端部 溝きり部設置タイプ)のロール中央部に滴下して加え、5日間運転後のロールの表面状態及びべたつき程度を観察した。また、異物が混入した場合を想定し、試験液20gに鉄粉3g又はカーボン(カーボングラファイト:RAS−1)20gを添加し、同試験を行った。結果を表5に示した。
尚、用いた二円筒回転ロール試験機には、直径10cm、長さ30cmの円筒ゴム製ロールを上下に配置し、下ロールをモーターで回転させると接触した上ロールが同時に回転する構造を有し、該ロールには両端部から2cmの部分から中央部に向かって1cmの幅で深さ3mmの溝を有している。
調質圧延剤11についても同様の試験を行い、結果を表5に示した。
【0041】
比較例3
試験には、比較剤12と、調質圧延剤4のアゼライン酸量を10部とした比較剤22とを用い、試験例3のロール試験を行った。結果を表5に示した。
【0042】
【表5】
Figure 0004440418
評価基準
(ロールの表面状態)
○:堆積物が無く、試験液が均一に分散した。
×:ロール中央部に堆積物を認めた。
(ロールのベタツキ程度)
○:手触りで、殆どベタツキが無い。
△:手触りで、少しベタツキを認めた。
×:手触りで、ベタツキが大きい。
【0043】
本発明に係る水溶性の調質圧延剤を防錆油と混合すると、前記試験例2で示したように乳化層が均一に生成する。これらを回転しているロールに滴下してロールの経時的変化を観察すると、ロール上に局部的な堆積がなくロール全面に均一に分散していた。また、鋼板製造時に生成し、ガムアップ生成の要因の一つである鉄粉、カーボンを混合した場合には、鉄粉又はカーボンがロール端部の溝部に堆積して、溝部以外の、鋼板と接触するロール表面には局部的な堆積が認められず、ベタツキも殆ど認められなかった。
一方、比較剤を用いた場合には、ロール上に局部的な堆積物を認め、鉄粉やカーボンを添加した場合にはより顕著な堆積傾向を示すと共に、ロールのベタツキがひどくなった。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る調質圧延剤によれば、防錆性を有しつつ、さらにガムアップの発生を効果的に防止することできるため、鋼鈑製造工程において、表面品位を損なわせることなく、鋼鈑を製造することが可能となる。

Claims (2)

  1. Figure 0004440418
    (式中、R1及びR2は同一又は異なった水素原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、スルホニル基、アミノ基、又はフェニル基を示す。該フェニル基には炭素数1〜4のアルキル基を有していてもよい。)で表される1−ヒドロキシベンゾトリアゾール化合物又はその塩から選ばれる少なくとも1種を0.2〜5重量%、
    Figure 0004440418
    (式中、R3、R4及びR5は水素原子、炭素数3〜16のアルキル基を示す。但し、R3、R4及びR5が同時に水素原子ではない。nは1又は2の整数を示す。)で表されるフェノキシアルキルカルボン酸化合物又はその塩から選ばれる少なくとも1種を0.2〜5重量%、脂肪族ジカルボン酸の少なくとも1種を0.2〜5重量%、及びHLBが11〜13である非イオン性界面活性剤の少なくとも1種を0.05〜0.1重量%含有し、アルカリ剤が添加されてpH7〜12である調質圧延剤。
  2. アルカリ剤がモノイソプロパノールアミン及び/又はジイソプロパノールアミンである請求項1記載の調質圧延剤。
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