JP2005343955A - 金属加工用水性潤滑剤組成物およびそれを用いた金属加工方法 - Google Patents

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秀幸 安江
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Abstract

【課題】鉄、銅、アルミ、特に鉄に対する防食性が充分であると共に、作業環境に負荷を与えることがなく、乾燥を簡易に行え、また比較的簡単に廃棄でき、従って環境面およびコストの面で有利であるような、金属加工用に適した潤滑剤組成物およびそれを用いた金属加工方法を提供する。
【解決手段】本発明の金属加工用水性潤滑剤組成物は、(A)金属防食剤0.1〜20重量%、(B)両性界面活性剤3〜30重量%、(C)分子量200〜10万の水溶性ポリアルキレングリコールまたはその誘導体0.5〜40重量%、(D)水10〜96重量%を含有し、かつpHが5.0〜9.0の範囲内である。好適には、金属防食剤(A)は、ベンゾトリアゾール類、チアゾール類、トリアゾール類、イミダゾール類から選択され、また、両性界面活性剤(B)は、ベタイン型、アラニン型、イミダゾリン型から選択される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属加工用の潤滑剤組成物およびそれを用いた金属加工方法に関し、より詳しくは、揮発油等の有機溶剤を使用しない、水をベースとした金属加工用の潤滑剤組成物およびそれを用いた金属加工方法に関する。
金属加工、例えば、エアコン等の熱交換器用のアルミフィンの加工においては、潤滑剤として、従来より、揮発性の炭化水素(例えば、合成炭化水素 商品名RF−190 NSルブリカント製、あるいは商品名AF−2C、AF−3C いずれも出光興産製)が使用されてきた。しかし、このような揮発性の炭化水素は皮膚刺激性がある、即ち作業環境に与える負荷が大きいといった問題があった。また、揮発性の炭化水素は沸点が高く(約130〜170℃)、加工後には熱風等の高温での乾燥が必要であるため、大掛かりな乾燥設備が必要であり、コスト高となっていた。加えて、この乾燥設備自体の操業によるCO2の排出があり、この点においても作業環境が悪いものであった。さらには、この揮発性の炭化水素は乾燥工程で回収されるが、回収後はそのまま廃棄することはできず、焼却による処分を行っており、環境面の問題とそれにかかるコストの問題があった。このように、揮発性の炭化水素の使用では、環境面でもコストの面でも大きな問題があった。
このような問題から、揮発性の炭化水素に置き換わる潤滑剤の開発が望まれていた。その1つとして水をベースとした潤滑剤が考えられる。水ベースであれば、皮膚刺激性がないため、作業環境に負荷を与えることがなく、また、乾燥に大掛かりな設備も必要とせず、乾燥を行わないかあるいは簡易の設備で行うことができ、さらには、廃棄についても比較的簡単に行うことができる。従って、環境面でもコストの面でも有利であると考えられる。
既に、水ベースの切削油剤として、例えば、アルキレンオキサイドブロック付加型非イオン界面活性剤とカルボン酸塩を含有する切削油剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−212584号公報
一般に、熱交換器用のアルミフィンの加工は鉄製の金型により打ち抜かれる。また、実使用の熱交換器では、何枚も重ねたアルミフィンの穴に銅配管を通して、この銅配管に冷媒を流すことにより熱交換されるが、この際、アルミフィンに付着する冷却水(空気中の水分が冷却したもの)は銅配管の外表面にも付着するので、アルミフィン表面に付着している成分は冷却水を介して銅配管の外表面にも付着する可能性がある。従って、特にアルミフィン加工用の潤滑剤としては、鉄、銅、アルミニウム、特に金型である鉄を腐蝕させることがないような、即ち、防食性が要求される。しかし、上記の切削油剤を潤滑剤として使用すると、上記の金属、特に、鉄に対する防食性が不充分であった。
本発明は、上記の課題を解決しようとするものであり、その目的は、鉄、銅、アルミニウム、特に鉄に対する防食性が充分であると共に、作業環境に負荷を与えることがなく、乾燥を簡易に行え、また比較的簡単に廃棄でき、従って環境面およびコストの面で有利であるような、金属加工用に適した潤滑剤組成物およびそれを用いた金属加工方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するために種々検討した結果、水をベースとし、特定の成分、特に両性界面活性剤の配合により、金属、特に鉄に対する防食性が充分であると共に、環境面およびコストの面で有利であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(A)金属防食剤0.1〜20重量%、
(B)両性界面活性剤3〜30重量%、
(C)分子量200〜10万の水溶性ポリアルキレングリコールまたはその誘導体0.5〜40重量%および
(D)水10〜96重量%
を含有し、かつpHが5.0〜9.0の範囲内であることを特徴とする、金属加工用水性潤滑剤組成物である。
本発明の好適な態様としては、金属防食剤(A)は、ベンゾトリアゾール類、チアゾール類、トリアゾール類およびイミダゾール類から選択される少なくとも1つであるのがよく、特に、ベンゾトリアゾール類から選択される少なくとも1つであるのがよい。
本発明の別の好適な態様としては、両性界面活性剤(B)は、ベタイン型両性界面活性剤、アラニン型両性界面活性剤およびイミダゾリン型両性界面活性剤から選択される少なくとも1つであるのがよく、特に、炭素原子数6〜50のベタイン型両性界面活性剤、炭素原子数6〜21のアラニン型両性界面活性剤および炭素原子数8〜25のイミダゾリン型両性界面活性剤から選択される少なくとも1つであるのがよい。
本発明のまた別の好適な態様としては、pH調整のために、無機塩基性物質をさらに配合するのがよい。
また、本発明は、上記の金属加工用水性潤滑剤組成物を、水、グリコール類およびアルコール類から選択される少なくとも1つで、1〜200倍に希釈して金属加工時に使用することを特徴とする、金属加工方法である。
本発明の金属加工用水性潤滑剤組成物によれば、金属防食剤(A)と両性界面活性剤(B)の配合、およびpHの調整により、鉄、銅、アルミニウムのいずれに対しても防食性が充分なものとなる。
また、水ベースの潤滑剤であるため、皮膚刺激性がなく、作業環境に負荷を与えることがない。また、乾燥に大掛かりな設備も必要とせず、乾燥を行わないかあるいは簡易の設備で行うことができる。さらには、廃棄についても、凝集沈殿等の比較的簡単な操作で行うことができる。従って、環境面でもコストの面でも有利なものとなる。
さらには、従来の潤滑油と比較して潤滑性が向上し、また、ぬれ性や親水性(乾燥後の水ぬれ性)も従来の潤滑油と遜色なく良好に維持される。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の金属加工用水性潤滑剤組成物は、金属防食剤(A)、両性界面活性剤(B)、分子量200〜10万の水溶性ポリアルキレングリコールまたはその誘導体(C)および水を必須成分として含有する。
<成分(A)>
本発明の水性潤滑剤組成物において、金属防食剤(A)は、金属、特に銅(銅合金も含む)の防食性を付与するため成分である。本発明で使用される金属防食剤(A)としては、例えば、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、2,5−ジアミノベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−アミノチアゾール等のチアゾール類;3−アミノトリアゾール、4−アミノトリアゾール等のトリアゾール類;2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール等のイミダゾール類等が挙げられる。これらの金属防食剤(A)は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、銅に対する防食性に優れている点から、ベンゾトリアゾール類が好適に使用される。
上記の金属防食剤(A)の含有量は、本発明の水性潤滑剤組成物中、0.1〜20重量%であり、好ましくは1〜15重量%である。この含有量が0.1重量%未満であると、金属、特に銅に対する防食性が不充分となり、逆に、15重量%を超えると、組成物中で析出が生じる等の問題がある。
<成分(B)>
本発明の水性潤滑剤組成物において、両性界面活性剤(B)は、金属、特に鉄の防食性を付与するための成分である。本発明者らは、両性界面活性剤(B)を配合することにより、意外にも、鉄に対する防食性が飛躍的に向上することを見出したのである。
本発明で使用される両性界面活性剤(B)としては、例えば、N−ラウリルグリシンナトリウム等のグリシン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のベタイン型両性界面活性剤;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等のアラニン型両性界面活性剤;オレイルイミダゾリン等のイミダゾリン型両性界面活性剤等が挙げられる。これらの両性界面活性剤(B)は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、鉄に対する防食性に優れている点から、ベタイン型両性界面活性剤、アラニン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤が好適に使用され、炭素原子数6〜50のベタイン型両性界面活性剤、炭素原子数6〜21のアラニン型両性界面活性剤、炭素原子数8〜25のイミダゾリン型両性界面活性剤が特に好適に使用される。
上記の両性界面活性剤(B)の含有量は、本発明の水性潤滑剤組成物中、3〜30重量%であり、好ましくは5〜20重量%である。この含有量が3重量%未満であると、金属、特に鉄に対する防食性が不充分となり、逆に、30重量%を超えると、組成物中で析出が生じる等の問題がある。
<成分(C)>
本発明の水性潤滑剤組成物において、ポリアルキレングリコールまたはその誘導体(C)は潤滑成分であり、金型と加工されるアルミニウムとの潤滑性を付与するものである。本発明で使用されるポリアルキレングリコールまたはその誘導体(C)としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(以下、「ポリオキシアルキレン」ともいう)コポリマー(ランダム、ブロックおよびそれらの混合物を含む)、並びにこれらの誘導体が挙げられ、誘導体としては、例えば、ポリオキシアルキレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル等が挙げられる。これらのポリアルキレングリコールまたはその誘導体(C)は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
なお、上記のポリアルキレングリコールまたはその誘導体(C)の分子量は、200〜10万であり、好ましくは400〜4000である。この分子量が200未満であると、組成物の表面張力が小さく、金属加工時に金属や金型表面に存在しにくくなるので、潤滑性が劣る。逆に、10万を超えると、組成物の粘度が高くなって、金型に蓄積されやすくなったり、組成物中の他の成分の析出が生じたりする。
上記のポリアルキレングリコールまたはその誘導体(C)の含有量は、本発明の水性潤滑剤組成物中、0.5〜40重量%であり、好ましくは5〜25重量%である。この含有量が0.5重量%未満であると、潤滑性が不充分となり、逆に、40重量%を超えると、組成物中で析出が生じる等の問題がある。
本発明の水性潤滑剤組成物においては、そのpHは5.0〜9.0であり、好ましくは7.0〜8.5である。このpHが5.0よりも低いと、金型である鉄に錆が発生し、また、長期保存した時に組成物が腐敗する。逆に9.0よりも高いと、アルミニウムが腐食し黒色に変色する。
pHを上記範囲に調整するには、公知の塩基性化合物が使用され、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;エチレンジアミン等の多価アミン;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル等の脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基性物質等が挙げられる。これらの塩基性物質は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、有機アミンは臭いがあり、また熱等によりアンモニアに分解して銅を防食するおそれがあるので、無機塩基性物質の使用が好適である。
本発明の水性潤滑剤組成物においては、本発明による効果が損なわれない範囲で、必要に応じて他の成分を配合してもよい。例えば、グリコール類等の溶解助剤、その他、酸化防止剤、泡消剤等が挙げられる。
本発明の水性潤滑剤組成物は、金属防食剤(A)、両性界面活性剤(B)、ポリアルキレングリコールまたはその誘導体(C)、必要に応じてその他の成分を水と共に混合することにより調製される。
本発明の水性潤滑剤組成物は、金属防食剤(A)と両性界面活性剤(B)の配合、およびpHの調整により、鉄、銅、アルミニウムのいずれに対しても防食性が充分なものとなる。特に、両性界面活性剤(B)の配合により、金型である鉄に対する防食性が飛躍的に向上する。また、pHの調整により、鉄とアルミニウムの両方の防食性を達成する。
本発明の水性潤滑剤組成物は水ベースの潤滑剤であるため、以下の利点がある。
従来の揮発油と比較して、皮膚刺激性がなく、作業環境に負荷を与えることがない。また、従来の揮発油と比較して沸点が低いため、乾燥性が良好であり、乾燥に大掛かりな設備も必要とせず、乾燥を行わないかあるいは電熱等の簡易の設備で行うことができる。加えて、廃棄についても、潤滑剤の成分や加工時の金属粉等を凝集沈殿等の比較的簡単な操作で除去でき、またろ液のCODの値も基準値よりも低いので、ろ液をそのまま廃棄することができる。従って、環境面でもコストの面でも有利なものとなる。
また、従来の潤滑油と比較して潤滑性が向上するため、従来の潤滑油の場合ではトップコート(潤滑皮膜)処理されたアルミニウムに対してしか加工できなかったが、そのような加工が施されていないアルミニウムに対しても加工することが可能となる。
また、ぬれ性も従来の潤滑油と遜色なく良好に維持され、少量でも、加工時にアルミニウム表面全体にまんべんなく充分に供給することができる。
また、親水性(乾燥後の水ぬれ性)も従来の潤滑油と遜色なく良好に維持され、エアコン等での使用時における、アルミフィン表面の水滴の流れ落ちが良好となり、エアコン性能が低下することがない。
このように調製された本発明の水性潤滑剤組成物は、1〜200倍、好ましくは20〜100倍に希釈されて金属加工に使用される。ここで、希釈剤としては、水;プロピレングリコール等のグリコール類;イソプロピルアルコール等のアルコール類等が挙げられ、これらは、単独で、あるいは2種以上を任意の割合で使用される。これらの中でも、安全性の点から、プロピレングリコールおよび/または水が好適に使用される。
希釈された本発明の水性潤滑剤組成物は、プレス加工、切削加工、打ち抜き加工等の金属加工時に使用される。ここで加工対象としては、アルミニウム板、トップコート処理されたアルミニウム板等が挙げられる。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでない。
実施例1
以下の処方により、水性潤滑剤を調製した。
配合量(重量%)
ベンゾトリアゾール 5
ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム 10
ポリオキシアルキレンラウリルエーテル(分子量750) 10
(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのコポリマー)
プロピレングリコール 10
水酸化ナトリウム 0.5
イオン交換水 64.5
合計 100
上記の本発明の水性潤滑剤(pH7.8)をイオン交換水により50倍に希釈し、これをサンプルとした。
比較例1
従来から使用されている揮発油としてRF−190(合成炭化水素 NSルブリカント製)を潤滑剤とし、これをサンプルとした。
実施例1の水性潤滑剤および比較例1の揮発油について、以下の評価試験を行った。
<評価方法>
1.ぬれ性
マイクロシリンジにてサンプル10mlをアルミベア材(JIS 1000系)表面に滴下し、工学顕微鏡を用いて接触角を室温にて測定し、その時の接触角をめれ性として評価した。その結果、実施例1の水性潤滑剤の接触角は15度以下であり、安定したぬれ性が確保されていることがわかる。なお、比較例1の揮発油は5度以下であり、水は87度であった。
2.潤滑性
サンプル0.5g/50cm2をアルミベア材(JIS 1000系)表面に塗布(滴下)した後、測定器(トライボギア TYPE 14DR)を用い、室温で水平法にて往復動試験による繰り返し摩擦試験を行った。条件は、荷重1kgfで、SUS(3/16インチball)を20mm/Sまたは50mm/Sの速度で100mmストロークを5回繰り返し、その時の摩擦力を潤滑性として評価した。実施例1の水性潤滑剤については、20mm/Sの速度で摩擦した時を図1に、50mm/Sの速度で摩擦した時を図2に示す。比較例1の揮発油については、20mm/Sの速度で摩擦した時を図3に、50mm/Sの速度で摩擦した時を図4に示す。図1〜図4から、実施例1の水性潤滑剤は、比較例1の揮発油と比較して、20mm/S、50mm/Sのいずれの速度でも、摩擦力(特に初期)が低く、潤滑性が良好であることがわかる。
3.防食性
60℃のサンプル(恒温層)に、普通鋼(JIS SS材)、銅(JIS H 1200)、超硬材(JIS V3.V4材)、アルミベア材(JIS 1000系)、をそれぞれ3時間、24時間、72時間半浸漬し、目視により防食性を評価した。その結果、実施例1の水性潤滑剤では、普通鋼、銅、超硬材、アルミベア材、アルミプレコート材はいずれも72時間後であってもほとんど腐蝕しておらず、防食性が良好であることがわかる。なお、比較例1の揮発油についても、いずれも72時間後でもほとんど腐蝕が見られなかった。
4.廃液処理性
ジャーテストにより行った。500mlビーカーにサンプルの50倍希釈液500mlを調製し、これにPAC(ポリ塩化アルミニウム8%水溶液)を4ml添加し撹拌した。次いで、硫酸水溶液(35%)または水酸化ナトリウム水溶液(20%)でpHを6.3〜6.7に調整した。次いで、高分子液(アルギン酸ナトリウム0.1%水溶液)を4.8ml添加し撹拌した後、18時間静置し、凝集の状態を目視により評価した。また、5Cろ紙でろ過後、ろ液のCOD(化学的酸素要求量)をCOD測定装置にて測定した。その結果、実施例1の水性潤滑剤では凝集沈殿が見られ、また、ろ液のCODは1500ppmであった。このことから、実施例1の水性潤滑剤は、廃液処理性が良好であることがわかる。
5.乾燥性
サンプル1g/50cm2をアルミベア材(JIS 1000系)上に塗布した後、100℃、130℃、160℃における蒸発減量を電子天秤ばかりにより測定した。100℃における蒸発減量の変化を図5に、130℃における蒸発減量の変化を図6に、160℃における蒸発減量の変化を図7にそれぞれ示す。図5〜図7から、実施例1の水性潤滑剤は100℃、130℃、160℃のいずれの温度においても、比較例1の揮発油と比較して蒸発減量が多く、乾燥性が良好であることがわかる。
6.親水性(乾燥後の水ぬれ性)
サンプル1g/1m2をアルミベア材(JIS 1000系)上に塗布し、160℃で4分間乾燥した。この時の水の接触角を工学顕微鏡を用いて測定した。また、これを流水で24時間洗浄した後の水の接触角の同様に測定した。その結果、実施例1の水性潤滑剤の水の接触角は水洗前では5度以下であり、水洗後では7度であった。このことから、実施例1の水性潤滑剤は、水洗前後で水ぬれ性はほとんど変わらず、水洗後であっても水ぬれ性は確保されていることがわかる。なお、比較例1の揮発油の水の接触角は水洗前では5度以下であり、水洗後では8度であった。
本発明の金属加工用水性潤滑剤組成物は、鉄、銅、アルミ、特に鉄に対する防食性が充分であると共に、水ベースであるため、作業環境に負荷を与えることがなく、乾燥を簡易に行え、また比較的簡単に廃棄でき、従って環境面およびコストの面で有利である。このような水性潤滑剤組成物は産業上の貢献が非常に大きいものと思われる。
実施例1の水性潤滑剤を20mm/Sの速度で摩擦した時の摩擦力の経時変化を示すグラフである。 実施例1の水性潤滑剤を50mm/Sの速度で摩擦した時の摩擦力の経時変化を示すグラフである。 比較例1の揮発油を20mm/Sの速度で摩擦した時の摩擦力の経時変化を示すグラフである。 比較例1の揮発油を50mm/Sの速度で摩擦した時の摩擦力の経時変化を示すグラフである。 実施例1の水性潤滑剤および比較例1の潤滑油についての100℃における蒸発減量の経時変化を示すグラフである。 実施例1の水性潤滑剤および比較例1の潤滑油についての130℃における蒸発減量の経時変化を示すグラフである。 実施例1の水性潤滑剤および比較例1の潤滑油についての160℃における蒸発減量の経時変化を示すグラフである。

Claims (7)

  1. (A)金属防食剤0.1〜20重量%、
    (B)両性界面活性剤3〜30重量%、
    (C)分子量200〜10万の水溶性ポリアルキレングリコールまたはその誘導体0.5〜40重量%および
    (D)水10〜96重量%
    を含有し、かつpHが5.0〜9.0の範囲内であることを特徴とする、金属加工用水性潤滑剤組成物。
  2. 金属防食剤(A)が、ベンゾトリアゾール類、チアゾール類、トリアゾール類およびイミダゾール類から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1記載の金属加工用水性潤滑剤組成物。
  3. 金属防食剤(A)が、ベンゾトリアゾール類から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1記載の金属加工用水性潤滑剤組成物。
  4. 両性界面活性剤(B)が、ベタイン型両性界面活性剤、アラニン型両性界面活性剤およびイミダゾリン型両性界面活性剤から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の金属加工用水性潤滑剤組成物。
  5. 両性界面活性剤(B)が、炭素原子数6〜50のベタイン型両性界面活性剤、炭素原子数6〜21のアラニン型両性界面活性剤および炭素原子数8〜25のイミダゾリン型両性界面活性剤から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の金属加工用水性潤滑剤組成物。
  6. pH調整のために、無機塩基性物質をさらに配合することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の金属加工用水性潤滑剤組成物。
  7. 請求項1〜6に記載のいずれかの金属加工用水性潤滑剤組成物を、水、グリコール類およびアルコール類から選択される少なくとも1つで、1〜200倍に希釈して金属加工時に使用することを特徴とする、金属加工方法。
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