JP5339016B1 - 穿孔圧延用プラグの製造方法 - Google Patents

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Abstract

継目無鋼管の製造に用いられる穿孔圧延機で使用されるプラグの製造方法は、プラグの表面にショットブラストを施すショットブラスト工程と、ショットブラストを施したプラグの母材表面に溶射線材をアーク溶射して皮膜を形成するアーク溶射工程と、を含み、アーク溶射工程では、溶射線材として、鉄粒子(4)、および酸化鉄よりも熱伝導率が低い特性を有する低熱伝導材粒子(例えば、ZrO2粒子)(3)のうちで、少なくとも低熱伝導材粒子(3)が鉄製チューブ(2)の内部に充填されてなるコアードワイヤ(1)を用いてアーク溶射を行い、酸化鉄、Feおよび低熱伝導材で構成される皮膜を形成する。これにより、遮熱性の高い皮膜を形成でき、穿孔圧延時に安定してプラグ寿命を向上できるプラグを製造することが可能である。

Description

本発明は、継目無鋼管の製造に用いられる穿孔圧延機(以下、単に「穿孔機(ピアサ)」ともいう)で使用される穿孔圧延用プラグ(以下、単に「プラグ」ともいう)の製造方法に関し、特に、プラグの母材表面に鉄を主成分とする溶射線材をアーク溶射することによって皮膜が形成された穿孔圧延用プラグの製造方法に関する。
継目無鋼管は、マンネスマン製管法により製造することができる。この製管法は、次のステップからなる:
(1)穿孔機により、所定温度に加熱された素材(丸ビレット)を穿孔圧延し、中空素管(ホローシェル)に成形する;
(2)延伸圧延機(例:マンドレルミル)により、中空素管を延伸圧延する;
(3)定径圧延機(例:ストレッチレデューサ)により、延伸圧延した中空素管を所定の外径と肉厚に定径圧延する。
穿孔機による穿孔圧延においては、穿孔用工具としてプラグが用いられる。このプラグは、芯金の先端に装着され、1200℃程度の高温に加熱されたビレットを穿孔するため、高熱で高面圧を負荷される過酷な状況にさらされる。一般に、プラグは、熱間工具鋼を母材とし、この母材を保護するために、予め熱処理によって母材表面に酸化スケールの皮膜が形成され、そのうえで穿孔圧延に使用される。穿孔圧延時、プラグ表面のスケール皮膜は、ビレットからプラグ母材への熱伝達を遮るとともに、ビレットとプラグとの焼き付きを防止する役割を担う。
このようなスケール皮膜付きプラグは、穿孔圧延を繰り返すことに伴って、スケール皮膜が次第に摩耗する。スケール皮膜が摩耗すると、皮膜による遮熱効果が低下するため、穿孔中にプラグの温度が上昇し、プラグ母材の溶損や熱変形が生じやすくなる。また、スケール皮膜が消失しプラグ母材が直接ビレットに接触するようになると、焼き付きが生じ、鋼管の内面に疵が発生する。このため、プラグは、皮膜が失われた時点で使用不能となり、寿命に至る。
特に、Crを9%以上含有する高Cr含有鋼やNi基合金やステンレス鋼といった高合金鋼からなる継目無鋼管を製造する場合、穿孔圧延の際にプラグ表面のスケール皮膜の摩耗が顕著に起こり、プラグ寿命の低下が著しくなる。例えば、ステンレス鋼の穿孔では、プラグ表面のスケール皮膜は2、3パス(連続穿孔回数)で摩耗し、そのプラグは寿命に至る。このため、プラグを頻繁に交換する事態が生じ、鋼管の製造効率が低い。したがって、高合金鋼の継目無鋼管を製造する場合は特に、穿孔圧延時にプラグ寿命を向上させ、これにより鋼管の製造効率を高めることが要求される。
このような要求に対し、例えば、特許文献1には、プラグ母材の表面に形成する皮膜として、熱処理によるスケール皮膜に代え、プラグ母材の表面に鉄線材をアーク溶射してFe酸化物およびFeで構成される皮膜を形成したプラグが開示されている。このアーク溶射皮膜付きプラグは、プラグ表面の皮膜がFe酸化物およびFeで構成されるため、遮熱性および焼き付き防止性に優れ、プラグ寿命の向上が期待できる。
しかし、同文献に開示されるアーク溶射皮膜付きプラグであっても、穿孔圧延を繰り返すと、繰り返しの入熱に伴い皮膜にシワが発生し、寿命に至ることは否めない。また、穿孔圧延する時間が長くなると、プラグへの負荷が大きくなり、皮膜の剥離や皮膜のシワが発生し、寿命に至ることは否めない。これらの状況は、ビレットの穿孔長が長い場合やビレットの高温強度が高い場合に顕著に起こる。ここで、アーク溶射皮膜でシワの発生を抑制するには、皮膜を厚膜化し、皮膜の遮熱性を向上させることが有効であるが、皮膜を厚膜化すると、プラグ母材と皮膜の密着性が低下し、早期に皮膜が剥離してしまう。このため、プラグ寿命の向上を安定して得るという点では改善の余地があり、この点を改善できる穿孔圧延用プラグを製造することが強く求められる。
特許第4279350号公報
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、プラグの母材表面に鉄を主成分とする溶射線材をアーク溶射して皮膜を形成することを前提とし、その目的は、次の特性を有する穿孔圧延用プラグの製造方法を提供することである:
安定してプラグ寿命を向上できること。
本発明の要旨は、次の通りである。
継目無鋼管の製造に用いられる穿孔圧延機で使用されるプラグの製造方法であって、
当該穿孔圧延用プラグの製造方法は、
プラグの表面にショットブラストを施すショットブラスト工程と、
ショットブラストを施したプラグの母材表面に溶射線材をアーク溶射して皮膜を形成するアーク溶射工程と、を含み、
アーク溶射工程では、溶射線材として、鉄粒子、およびプラグ寿命の向上に寄与する特定粒子のうちで、少なくとも特定粒子が鉄製チューブの内部に充填されてなるコアードワイヤを用いてアーク溶射を行い、酸化鉄、Feおよび特定粒子で構成される皮膜を形成すること、
を特徴とする穿孔圧延用プラグの製造方法。
この製造方法において、前記特定粒子は酸化鉄よりも熱伝導率が低い特性を有する低熱伝導材粒子であることが好ましい。この場合、前記低熱伝導材粒子がZrO粒子であることが好ましく、前記コアードワイヤ中で前記ZrO粒子の占める割合が2.5〜30.0体積%であることが好ましい。
また、この製造方法において、前記特定粒子は固体潤滑剤粒子であることが好ましい。この場合、前記固体潤滑剤粒子がBN粒子であることが好ましく、前記コアードワイヤ中で前記BN粒子の占める割合が5.0〜20.0体積%であることが好ましい。
本発明の穿孔圧延用プラグの製造方法は、下記の顕著な効果を有する:
安定してプラグ寿命を向上できること。
図1は、本発明の第1実施形態の穿孔圧延用プラグの製造方法におけるアーク溶射で用いる溶射線材の横断面図である。 図2は、本発明の第2実施形態の穿孔圧延用プラグの製造方法におけるアーク溶射で用いる溶射線材の横断面図である。 図3は、実施例1の試験結果として、コアードワイヤ中のZrO粒子の占める割合とプラグ母材の変形量との関係をまとめた図である。 図4は、実施例2の試験結果として、コアードワイヤ中のBN粒子の占める割合とプラグ寿命比との関係をまとめた図である。
本発明者は、上記目的を達成するため、プラグ母材の表面に鉄を主成分とする溶射線材をアーク溶射して皮膜を形成することを前提とし、その皮膜を形成する手法について種々の試験を実施し、鋭意検討を重ねた。その結果、以下の知見を得た。
アーク溶射は、例えば、電極となる2本の溶射線材の先端間にアークを発生させて溶射線材を溶融させ、同時に溶射線材の先端間に圧縮空気や窒素ガスなどのジェットを供給して溶融材料を吹き飛ばし、これにより、対象物に溶融材料を吹き付けて皮膜を形成する技術である。前記特許文献1に開示されるアーク溶射では、溶射線材として鉄線材を用いることから、プラグの母材表面に形成される皮膜は、Fe酸化物(酸化鉄)およびFeで構成される。この皮膜中のFe酸化物は、アーク溶射の際に、鉄線材が溶融し、その溶融鉄がプラグ母材表面に到達するまでの飛行中に酸化することによって生成したものである。皮膜中のFeは、溶融鉄が飛行中に酸化しないままでプラグ母材表面に到達したものである。
(1)これに対し、溶射線材として、鉄線材と同質の鉄製チューブを外殻とし、その鉄製チューブ内に、酸化鉄よりも熱伝導率が低い特性を有する低熱伝導材粒子が充填され、場合によってはさらに鉄粒子が充填されてなるコアードワイヤを採用し、このコアードワイヤを用いてアーク溶射を行えば、プラグの母材表面に、Fe酸化物(酸化鉄)、Feおよび低熱伝導材で構成される皮膜を形成することができる。この皮膜中のFe酸化物は、アーク溶射の際に、コアードワイヤを構成する鉄製チューブ、さらには鉄粒子が溶融し、その溶融鉄がプラグ母材表面に到達するまでの飛行中に酸化することによって生成したものである。皮膜中のFeは、溶融鉄が飛行中に酸化しないままでプラグ母材表面に到達したものである。また、皮膜中の低熱伝導材は、コアードワイヤを構成する低熱伝導材粒子がプラグ母材表面に到達したものである。
このようにコアードワイヤを用いたアーク溶射によって形成された皮膜は、コアードワイヤを構成する低熱伝導材粒子を根源とする、Fe酸化物よりも熱伝導率が低い低熱伝導材が含まれるため、厚膜化しなくても、遮熱性が高くなる。したがって、このようなアーク溶射皮膜付きプラグは、繰り返しの穿孔圧延時に、皮膜の遮熱性が高いことから、安定してプラグ寿命が向上する。すなわち、低熱伝導材粒子は、プラグ寿命の向上に寄与する特定粒子である。
(2)溶射線材として、鉄線材と同質の鉄製チューブを外殻とし、その鉄製チューブ内に、固体潤滑剤粒子が充填され、場合によってはさらに鉄粒子が充填されてなるコアードワイヤを採用し、このコアードワイヤを用いてアーク溶射を行えば、プラグの母材表面に、Fe酸化物(酸化鉄)、Feおよび固体潤滑剤で構成される皮膜を形成することができる。この皮膜中のFe酸化物は、アーク溶射の際に、コアードワイヤを構成する鉄製チューブ、さらには鉄粒子が溶融し、その溶融鉄がプラグ母材表面に到達するまでの飛行中に酸化することによって生成したものである。皮膜中のFeは、溶融鉄が飛行中に酸化しないままでプラグ母材表面に到達したものである。また、皮膜中の固体潤滑剤は、コアードワイヤを構成する固体潤滑剤粒子がプラグ母材表面に到達したものである。
このようにコアードワイヤを用いたアーク溶射によって形成された皮膜は、コアードワイヤを構成する固体潤滑剤粒子を根源とする固体潤滑剤が含まれるため、穿孔圧延時に潤滑性が高くなる。したがって、このようなアーク溶射皮膜付きプラグは、繰り返しの穿孔圧延時に、皮膜の潤滑性が高いことから、安定してプラグ寿命が向上する。すなわち、固体潤滑剤粒子は、プラグ寿命の向上に寄与する特定粒子である。
本発明は、上記(1)、(2)に示す知見に基づき完成させたものである。以下に、本発明のプラグの製造方法の好ましい態様について説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態のプラグの製造方法では、アーク溶射の施工に先立ち、プラグの表面にショットブラストを施す。これにより、穿孔圧延に繰り返し使用され、寿命に至った後に再生するプラグを対象とする場合にあっては、プラグ表面に残存する穿孔圧延ままの皮膜が除去されてプラグの母材表面が露出するとともに、プラグ母材表面が適度な凹凸に荒される。また、新たに製作されるプラグを対象とする場合でも、プラグ母材表面が適度な凹凸に荒される。このようにショットブラストを施す理由は、残存皮膜が無く適度な凹凸のプラグ母材表面にアーク溶射を施せば、プラグ母材と皮膜との密着性が高まるからである。
続いて、第1実施形態のプラグの製造方法では、ショットブラストを施したプラグの母材表面に、鉄を主成分とするコアードワイヤを溶射線材としてアーク溶射し、皮膜を形成する。
図1は、本発明の第1実施形態の穿孔圧延用プラグの製造方法におけるアーク溶射で用いる溶射線材の横断面図である。同図に示すように、第1実施形態では、溶射線材としてコアードワイヤ1を用いる。このコアードワイヤ1は、その外殻が鉄製チューブ2で構成される。
鉄製チューブ2の内部には、低熱伝導材粒子3が充填されている。低熱伝導材粒子3は、酸化鉄よりも熱伝導率が低い特性を有し、さらにアーク溶射の際に燃焼して消滅することのないものであり、例えば、金属粒子やセラミックス粒子が該当する。その中でも、熱伝導率が極めて低いジルコニア(ZrO)粒子が好適である。また、低熱伝導材粒子3は、単に粒状のものに限らず、粉状や短繊維状のものも含む。なお、ここでいう酸化鉄は、酸化鉄(II)(FeO)、酸化鉄(III)(Fe)、酸化鉄(II、III)(Fe)などである。
鉄製チューブ2の内部には、低熱伝導材粒子3に加えて、鉄粒子4が充填されても構わない。鉄粒子4も、単に粒状のものに限らず、粉状や短繊維状のものも含む。
このような構成のコアードワイヤ(溶射線材)1を用いたアーク溶射により、プラグの母材表面には、Fe酸化物(酸化鉄)、Feおよび低熱伝導材で構成される皮膜を形成することができる。こうして製造されたアーク溶射皮膜付きプラグは、皮膜中にFe酸化物よりも熱伝導率が低い低熱伝導材が含まれるため、厚膜化しなくても、繰り返しの穿孔圧延時に、遮熱性が高くなり、プラグ寿命の安定した向上が可能になる。
ここで、低熱伝導材粒子3としてZrO粒子を適用する場合、鉄製チューブ2および低熱伝導材粒子3、さらに鉄粒子4を含めたコアードワイヤ1全体の中で、ZrO粒子の占める割合が2.5〜30.0体積%であることが好ましい。後述する実施例1で実証するとおり、ZrO粒子の占める割合が2.5体積%未満であると、プラグの皮膜中に含まれるZrOの量が不足することに起因し、穿孔圧延時に遮熱性を十分に向上させることができず、プラグ母材の変形が著しくなるため、再使用に適さなくなり、プラグ寿命が安定して向上しないからである。一方、ZrO粒子の占める割合が30.0体積%を超えると、プラグの皮膜中に含まれるZrOの量が過剰になることに起因し、プラグ母材と皮膜の密着性が低下して早期に皮膜が剥離し、プラグ母材が溶損してしまうため、やはり再使用に適さなくなるからである。より好ましくは、5.0〜30.0体積%である。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態のプラグの製造方法では、上記第1実施形態と同様に、アーク溶射の施工に先立ち、プラグの表面にショットブラストを施す。続いて、ショットブラストを施したプラグの母材表面に、鉄を主成分とするコアードワイヤを溶射線材としてアーク溶射し、皮膜を形成する。ただし、第2実施形態で用いるコアードワイヤは、上記第1実施形態のコアードワイヤとは以下の点で相違する。
図2は、本発明の第2実施形態の穿孔圧延用プラグの製造方法におけるアーク溶射で用いる溶射線材の横断面図である。同図に示すように、第2実施形態では、溶射線材としてコアードワイヤ1を用いる。このコアードワイヤ1は、その外殻が鉄製チューブ2で構成される。
鉄製チューブ2の内部には、固体潤滑剤粒子5が充填されている。固体潤滑剤粒子5は、穿孔圧延時に固体潤滑剤として機能する特性を有し、さらにアーク溶射の際に燃焼して消滅することのないものであり、例えば、金属粒子やセラミックス粒子が該当する。その中でも、固体潤滑性が極めて優れた窒化ホウ素(BN)粒子が好適である。また、固体潤滑剤粒子5は、単に粒状のものに限らず、粉状や短繊維状のものも含む。
鉄製チューブ2の内部には、固体潤滑剤粒子5に加えて、鉄粒子4が充填されても構わない。鉄粒子4も、単に粒状のものに限らず、粉状や短繊維状のものも含む。
このような構成のコアードワイヤ(溶射線材)1を用いたアーク溶射により、プラグの母材表面には、Fe酸化物(酸化鉄)、Feおよび固体潤滑剤で構成される皮膜を形成することができる。こうして製造されたアーク溶射皮膜付きプラグは、皮膜中に固体潤滑剤が含まれるため、繰り返しの穿孔圧延時に、潤滑性が高くなり、プラグ寿命の安定した向上が可能になる。
ここで、固体潤滑剤粒子5としてBN粒子を適用する場合、鉄製チューブ2および固体潤滑剤粒子5、さらに鉄粒子4を含めたコアードワイヤ1全体の中で、BN粒子の占める割合が5.0〜20.0体積%であることが好ましい。後述する実施例2で実証するとおり、BN粒子の占める割合が5.0体積%未満であると、プラグの皮膜中に含まれるBNの量が不足することに起因し、穿孔圧延時に潤滑性を十分に向上させることができず、穿孔効率の十分な向上も図れないため、プラグ寿命が安定して向上しないからである。一方、BN粒子の占める割合が20.0体積%を超えると、プラグの皮膜中に含まれるBNの量が過剰になることに起因し、プラグ母材と皮膜の密着性が低下して早期に皮膜が剥離し、プラグ母材が溶損してしまうため、再使用に適さなくなり、やはりプラグ寿命が安定して向上しないからである。より好ましくは、7.5〜20.0体積%である。
なお、ここでいう穿孔効率は、以下のことを意味する。穿孔圧延の際、ビレットが軸方向に搬送される速度(以下、「搬送速度」という)は、ピアサーロールの回転数により定められるが、実際の搬送速度は、互いに接触するプラグとビレットとの摩擦抵抗などの影響のため、設定されたピアサーロールの回転数から算出される理論上の搬送速度に比べて遅くなる。通常、その速度比(=(実際の搬送速度)/(理論上の搬送速度)×100[%])のことを「穿孔効率」と称する。穿孔効率は潤滑性の指標であり、これが高いと、穿孔圧延機の製造効率が上昇するだけでなく、プラグとビレットとが接触する時間が短縮されることから、プラグ寿命の延命化が図れる。
また、本発明のプラグの製造方法では、アーク溶射による皮膜形成の際、溶射距離が徐々に広がるように、溶射機をプラグの母材表面から徐々に遠ざかるように移動させながらアーク溶射を行うことができる。これにより、プラグ母材には、Fe酸化物の占める領域の比率(以下、「酸化物比率」という)が表層側ほど次第に増加する皮膜が形成される。このように、プラグ母材との隣接部で酸化物比率が低く、表層部で酸化物比率が高い皮膜を形成した場合、皮膜の表層部で遮熱性および焼き付き防止性を確保しつつ、プラグ母材との隣接部で密着性を確保できる点で有用である。
本発明の効果を確認するため、穿孔圧延用プラグを製造し、製造したプラグを穿孔機に装着して穿孔圧延する試験を行った。その試験条件は、下記の通りである。
<実施例1>
[試験方法]
(1)プラグの製造
JIS規定の熱間工具鋼を母材とし、最大直径が147mmである砲弾形状のプラグを多数準備した。各プラグの表面にショットブラストを施した後、各プラグの母材表面に、前記図1に示すコアードワイヤを用いたアーク溶射を行って皮膜を形成し、アーク溶射皮膜付きプラグを製造した。アーク溶射皮膜の形成に際しては、溶射機からプラグ母材表面までの溶射距離を最初は200mmとしてアーク溶射を行いつつ、逐次溶射機を遠ざけ、最後は溶射距離を1000mmまで広げてアーク溶射を行った。
その際、コアードワイヤ中の低熱伝導材粒子としてZrO粒子を採用し、そのZrO 粒子の占める割合を下記表1に示す通りに変更したコアードワイヤを用いた。なお、コアードワイヤの鉄製チューブ内には、ZrO粒子の占める割合に応じ、ZrO粒子とともに鉄粒子を充填した。
Figure 0005339016
(2)穿孔圧延
上記の各プラグを使用して、約1200℃に加熱した下記の被加工材(素材)を繰り返し穿孔圧延し、下記のホローシェルを作製した。
・被加工材の寸法 :直径191mm、長さ2200mmの丸ビレット
・被加工材の材質 :13%Cr鋼
・ホローシェル :外径196mm、肉厚16.82mm、長さ6520mm
[評価方法]
プラグごとに10回ずつ連続して繰り返し穿孔圧延を行った後、プラグの外観を検査し、その表面性状、すなわち皮膜の剥離に伴うプラグ母材の溶損の有無を調査した。これに加え、プラグの表面にショットブラストを施して残存皮膜を除去し、その後に、プラグ母材の高さ(軸方向長さ)を計測し、使用前に対する変形量、すなわち使用前後のプラグ母材高さの差を調査した。ここで、実操業では、プラグ母材の変形量を2.0mm以下に管理している。プラグ母材の変形量が2.0mmを超えてしまうと、再使用に適さなくなるからである。これらのことから、本試験では、プラグ母材が溶損することなく、プラグ母材の変形量が2.0mm以下である場合を良好と評価した。
[試験結果]
試験結果を表1および図3に示す。図3は、実施例1の試験結果として、コアードワイヤ中のZrO粒子の占める割合とプラグ母材の変形量との関係をまとめた図である。これらの結果から次のことが示される。
コアードワイヤ中の低熱伝導材粒子としてZrO粒子を採用し、このコアードワイヤを用いてアーク溶射皮膜を形成した場合、試験No.2〜6のように、コアードワイヤ中でZrO粒子を2.5体積%以上とすることにより、プラグ母材の変形量が2.0mm以下に抑制された。これは、プラグの皮膜中に適正量のZrOが含まれることから、遮熱性が高まることによる。このことから、ZrO粒子が2.5体積%以上のコアードワイヤを用いてアーク溶射皮膜が形成されたプラグは、安定してプラグ寿命が向上し、しかも、再使用に適したものとなることがわかった。
ただし、試験No.7、8のように、ZrO粒子が30.0体積%を超えるコアードワイヤを用いてアーク溶射皮膜を形成した場合、皮膜が早期に剥離し、プラグ母材が溶損した。これは、プラグの皮膜中にZrOが過剰に含まれることから、遮熱性が高まるとはいえども、プラグ母材と皮膜の密着性が低下することによる。このことから、ZrO粒子が30.0体積%を超えるコアードワイヤを用いてアーク溶射皮膜が形成されたプラグは、プラグ寿命の向上が安定しないことがわかった。
一方、試験No.1のように、ZrO粒子が0体積%のコアードワイヤを用いてアーク溶射皮膜を形成した場合(前記特許文献1に開示されるように、鉄線材を用いてアーク溶射皮膜を形成した場合に相当)、プラグ母材の変形量が2.0mmを遥かに超えた。これは、プラグの皮膜中に熱伝導率の低いZrOが含まれないことから、遮熱性が向上しないことによる。このことから、ZrO粒子が2.5体積%未満のコアードワイヤを用いてアーク溶射皮膜が形成されたプラグも、プラグ寿命の向上が安定しないことがわかった。
<実施例2>
[試験方法]
(1)プラグの製造
JIS規定の熱間工具鋼を母材とし、最大直径が147mmである砲弾形状のプラグを多数準備した。各プラグの表面にショットブラストを施した後、各プラグの母材表面に、前記図2に示すコアードワイヤを用いたアーク溶射を行って皮膜を形成し、アーク溶射皮膜付きプラグを製造した。アーク溶射皮膜の形成に際しては、溶射機からプラグ母材表面までの溶射距離を最初は200mmとしてアーク溶射を行いつつ、逐次溶射機を遠ざけ、最後は溶射距離を1000mmまで広げてアーク溶射を行った。
その際、コアードワイヤ中の固体潤滑剤としてBN粒子を採用し、そのBN粒子の占める割合を下記表2に示す通りに変更したコアードワイヤを用いた。なお、コアードワイヤの鉄製チューブ内には、BN粒子の占める割合に応じ、BN粒子とともに鉄粒子を充填した。
Figure 0005339016
(2)穿孔圧延
上記の各プラグを使用して、約1200℃に加熱した下記の被加工材(素材)を繰り返し穿孔圧延し、下記のホローシェルを作製した。
・被加工材の寸法 :直径191mm、長さ2200mmの丸ビレット
・被加工材の材質 :13%Cr鋼
・ホローシェル :外径196mm、肉厚16.82mm、長さ6520mm
[評価方法]
プラグごとに穿孔圧延する際の穿孔効率を調査した。穿孔効率は、実操業では70%以上を目標としており、本試験では、その目標を上回る場合を良好と評価した。これと合わせ、穿孔圧延を終えるたびにプラグの外観を検査し、皮膜が剥離してプラグが使用できなくなるか、またはプラグ先端部に溶損もしくは変形が発生したときのパス回数、すなわち連続して穿孔圧延することができたビレットの本数(連続穿孔回数)を調査した。この連続穿孔回数をプラグ寿命として評価した。プラグ寿命の評価は、前記特許文献1に開示されるように、鉄線材を用いてアーク溶射皮膜が形成されたプラグに相当するもの、すなわち上記表2中の試験No.11のように、BN粒子が0体積%のコアードワイヤを用いてアーク溶射皮膜が形成されたプラグの寿命を基準「1」とし、これに対する各プラグの寿命の比率(以下、「プラグ寿命比」という)で行った。
[試験結果]
試験結果を表2および図4に示す。図4は、実施例2の試験結果として、コアードワイヤ中のBN粒子の占める割合とプラグ寿命比との関係をまとめた図である。これらの結果から次のことが示される。
コアードワイヤ中の固体潤滑剤としてBN粒子を採用し、このコアードワイヤを用いてアーク溶射皮膜を形成した場合、試験No.13〜17のように、コアードワイヤ中でBN粒子を5.0体積%以上とすることにより、穿孔効率が70%以上に確保され、プラグ寿命比の上昇が認められた。これは、プラグの皮膜中に適正量のBNが含まれることから、潤滑性が高まることによる。このことから、BN粒子が5.0体積%以上のコアードワイヤを用いてアーク溶射皮膜が形成されたプラグは、安定してプラグ寿命が向上することがわかった。
ただし、試験No.18〜20のように、BN粒子が20.0体積%を超えるコアードワイヤを用いてアーク溶射皮膜を形成した場合、皮膜が早期に剥離し、プラグ母材が溶損した。これは、プラグの皮膜中にBNが過剰に含まれることから、潤滑性が高まるとはいえども、プラグ母材と皮膜の密着性が低下することによる。このことから、BN粒子が20.0体積%を超えるコアードワイヤを用いてアーク溶射皮膜が形成されたプラグは、プラグ寿命の向上が安定しないことがわかった。
一方、試験No.11、12のように、BN粒子が5.0体積%未満(0体積%を含む)のコアードワイヤを用いてアーク溶射皮膜を形成した場合、穿孔効率が70%に達せず、プラグ寿命比の上昇が小さかった。これは、プラグの皮膜中に固体潤滑剤として機能するBNが含まれないか、含まれたとしてもその量が不足することから、潤滑性が十分に向上しないことによる。このことから、BN粒子が5.0体積%未満のコアードワイヤを用いてアーク溶射皮膜が形成されたプラグも、プラグ寿命の向上が安定しないことがわかった。
本発明は、高合金鋼の継目無鋼管の製造に有効に利用できる。
1:コアードワイヤ(溶射線材)、 2:鉄製チューブ、
3:低熱伝導材粒子、 4:鉄粒子、 5:固体潤滑剤粒子

Claims (7)

  1. 継目無鋼管の製造に用いられる穿孔圧延機で使用されるプラグの製造方法であって、
    当該穿孔圧延用プラグの製造方法は、
    プラグの表面にショットブラストを施すショットブラスト工程と、
    ショットブラストを施したプラグの母材表面に溶射線材をアーク溶射して皮膜を形成するアーク溶射工程と、を含み、
    アーク溶射工程では、溶射線材として、鉄粒子、およびプラグ寿命の向上に寄与する特定粒子のうちで、少なくとも特定粒子が鉄製チューブの内部に充填されてなるコアードワイヤを用いてアーク溶射を行い、酸化鉄、Feおよび特定粒子で構成される皮膜を形成すること、
    を特徴とする穿孔圧延用プラグの製造方法。
  2. 前記特定粒子は酸化鉄よりも熱伝導率が低い特性を有する低熱伝導材粒子であること、を特徴とする請求項1に記載の穿孔圧延用プラグの製造方法。
  3. 前記低熱伝導材粒子がZrO粒子であること、
    を特徴とする請求項2に記載の穿孔圧延用プラグの製造方法。
  4. 前記コアードワイヤ中で前記ZrO粒子の占める割合が2.5〜30.0体積%であること、
    を特徴とする請求項3に記載の穿孔圧延用プラグの製造方法。
  5. 前記特定粒子は固体潤滑剤粒子であること、
    を特徴とする請求項1に記載の穿孔圧延用プラグの製造方法。
  6. 前記固体潤滑剤粒子がBN粒子であること、
    を特徴とする請求項5に記載の穿孔圧延用プラグの製造方法。
  7. 前記コアードワイヤ中で前記BN粒子の占める割合が5.0〜20.0体積%であること、
    を特徴とする請求項6に記載の穿孔圧延用プラグの製造方法。
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