JP5335856B2 - 光ピックアップ - Google Patents

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本発明は、記録媒体に情報を記録する、あるいは記録媒体から情報を再生するための光ピックアップに関し、特に、光入射面から情報記録面に至る光透過層の厚さや、利用する光ビームの最適な波長の異なる記録媒体に対して情報を記録あるいは再生するために好適な光ピックアップに関する。
従来、例えばDVD(digital video disc)やCD(compact disc)等の光ディスク(光記録媒体)から記録情報を読み取り可能な光学式ディスクプレーヤ(光学式記録再生装置)がある。最近では、容量4.7GBのDVDが市場に導入されているが、さらに高密度な光ディスクへの要求が強く、その実現に向けた検討が進んでいる。記録密度の向上には、よく知られているように読み取りに使用する光の短波長化、及び対物レンズの高NA化が有効である。
現在、次世代高密度光ディスクを再生するための光ピックアップでは、対物レンズの開口数(Numerical Aperture:NA)が従来のDVDにおける0.6から0.85に引き上げられるとともに、使用する光の波長が従来のDVDにおける650nmから405nmに短波長化されることにより、絞り込みスポットが微小化され、高記録密度化が図られている。
ところで、対物レンズのNAを大きくすると光ディスクが傾いたときに発生するコマ収差が急激に増大するため、絞り込みスポットの集光特性が劣化しやすくなるという問題点がある。なお、本明細書において、コマ収差とは、光軸上以外で焦点を結ぶときに発生する収差を指す。光ディスクの傾きにより発生するコマ収差は、光ディスクにおける光入射面から情報記録面に至る光透過層の厚さに比例するため、光ディスクの光透過層を薄くすることにより対物レンズのNAを大きくすることにともなうコマ収差の増大を抑制することが可能である。この考え方に基づいて、次世代高密度光ディスクにおいては、光透過層を従来のDVDにおける0.6mmから0.1mmに薄型化することが提案されている。
ここで、次世代高密度光ディスクには、現在広く普及している従来のDVDやCDとの互換性の確保が求められる。つまり、次世代高密度光ディスクを再生するための光学式ディスクプレーヤは、現在のDVDやCDをも再生できることが必要となる。
しかし、使用する光の波長や、光ディスクの光透過層の厚さが異なると、光ディスクの互換性の確保が困難になるという問題がある。通常、対物レンズは、特定の光ディスクの光透過層厚さ、及び使用する光の波長を想定して設計されているため、光透過層厚さや使用する光の波長が大きく異なる光ディスクに対しては、絞り込みスポットに球面収差が発生し、絞り込みスポットの集光特性が劣化するからである。なお、本明細書において、球面収差とは、光線中心に近い光線である近軸光線の焦点位置と、光線中心から離れた光線である周辺光線の焦点位置との差を指す。
このため、使用波長に応じた複数のレーザ光源を備え、同一の対物レンズで情報記録面へ必要な開口数でレーザ光を収束する光ピックアップが、提案されている(例えば特許文献1から3及び非特許文献1)。
特許文献1には、使用波長が400nmで光透過層が0.6mmの光ディスクと、使用波長が650nmで光透過層が0.6mmの光ディスクと、使用波長が780nmで光透過層が1.2mmの光ディスクとを、対物レンズの曲面上に回折面を設けた光学系により記録再生する技術が開示されている。また、このとき回折面を設けた対物レンズは、それぞれの波長にたいして1次回折光を利用するように設計されている。
特許文献2には、第1光源、第2光源、集光光学系および補正光学系を備えた光ピックアップ装置が開示されている。この光ピックアップ装置において、第1光源は、波長650nmの光ビームを出射する。第2光源は、波長780nmの光ビームを出射する。この集光光学系は、第1光源からの光ビームを、球面収差が低減された状態で、DVDの情報記録面に集束させることができるように構成される。補正光学系は、第2光源と集光光学系との間に配置される。この補正光学系は、第2光源からの光ビームが集光光学系によってCDの情報記録面に集光されるときに発生する球面収差を低減する。
特許文献3には、使用する光の波長が異なり、光透過層が同じ厚さの光ディスクを再生するための光ピックアップに関する技術が、例えば、特許文献1に開示されている。この技術においては、それぞれ405nm及び650nmの波長の光(それぞれ青色光及び赤色光)を発する2つの光源、並びに青色光を光透過層厚さが0.6mmの光ディスクに集光することができる回折光学素子及び対物レンズを設けて構成されている。そして、何れの波長の光も平行光で回折光学素子に入射するように構成されており、青色光については回折光学素子による2次回折光を利用し、赤色光については1次回折光を利用することにより、異なる2つの波長の光に対して十分な回折効率を得ることができ、また、赤色光に対して発生する球面収差を補正することができるようになっている。
非特許文献1には、使用波長が405nmで光透過層が0.1mmの光ディスクと、使用波長が655nmで光透過層が0.6mmの光ディスクと、使用波長が785nmで光透過層が1.2mmの光ディスクとを、対物レンズと、785nmの波長の光ビームに対してのみ凹レンズとして作用するホログラム(回折素子)とを設けた光学系により記録再生する技術が開示されている。
特開2002−197717号公報(公開日2002年7月12日) 特開2000−306261号公報(公開日2002年11月2日) 特開2001−93179号公報(公開日平成13年4月6日)
海保直樹、他6名,「Blu−ray DiscにおけるDVD/CD互換技術」,第63回応用物理学関係連合講演会2002秋季 講演予稿集,No.3、1008頁 講演番号(27p−YD−5)
上記特許文献1に開示された技術を、互いに厚さの異なる光透過層を有する光ディスク、すなわち、次世代高密度光ディスク(使用波長400nm、光透過層0.1mm)と、DVD(使用波長650nm、光透過層0.6mm)と、CD(使用波長780nm、光透過層1.2mm)とに適応させた場合の問題点を以下に示す。
一般に、記録密度の異なる光ディスクに対応可能な光ピックアップ(互換型光ピックアップ)では、より記録容量の多い光ディスクに対して収差が補正された対物レンズが用いられる。したがって、上記次世代高密度光ディスクと、従来のDVDと、従来のCDとに対応可能な互換型光ピックアップでは、次世代高密度光ディスクに対して対物レンズの収差が補正されることになる。この対物レンズを、次世代高密度光ディスクとは光透過層の厚さの異なる従来のDVDやCDにそのまま使用すると、球面収差が増大して記録再生できなくなる。
この問題を解消するためには、従来のDVDを記録再生する際に、上記対物レンズに発散光を入射させ、光透過層が厚いために発生する球面収差と逆向きの収差を発生させることにより補正することが考えられる。
つまり、厚さの異なる光透過層を有する光ディスクを記録再生するためには、それぞれに対応する波長の光の収束/発散度合いを変えて対物レンズに対して入射させることになる。
有効径が3mmの対物レンズに対し、青色光(400nmの波長の光)を平行光に入射させ、光透過層の厚みが0.1mmの次世代光ディスクに集光させる場合、光透過層の厚みが大きいために発生するDVDでの球面収差を補正するためには、赤色光(650nmの波長の光)の発散度合いを約−0.03とする必要があり、さらに光透過層の厚みが大きいCDでの球面収差を補正するためには、赤外光(780nmの波長の光)の発散度合いを約−0.07と大きくする必要がある。ここで、収束/発散度合いは焦点距離の逆数であり、負の値のときは発散光を、正の値のときは収束光を表す。
このとき、赤色光及び赤外光に関しては、対物レンズに入射する光の発散度合いが大きいため、トラッキングなどによる対物レンズのラジアル方向(対物レンズに入射する光ビームの光軸にほぼ直交する方向)のシフトにより、光ディスク上の絞り込みスポットに付加されるコマ収差が増大してしまい集光特性が大きく劣化してしまうという問題を招来する。特に、CDの場合は、対物レンズに入射する光の発散度合いがより大きいため、対物レンズのラジアル方向のシフトによる集光特性の劣化が大きくなってしまう。
また、上記特許文献1に開示されている、回折面を設けた対物レンズでは、1つの波長での1次光の回折効率をほぼ100%とした場合に、他の波長での1次回折光の回折効率には限界があり、所望の高い回折効率は得られない。そのため、光量のロスが生じ、光の利用効率が悪くなってしまうという問題を招来する。光量のロスが生じると、特に情報の記録時においてより高パワーのレーザが必要になってしまう。また、利用回折次数以外の不要光が、再生時に検出器に迷光として入射してしまい、信号の劣化などを引き起こしてしまう恐れが生じる。
上記特許文献2に開示された技術を、次世代高密度光ディスクおよびDVDから情報を読み取るための光ピックアップ装置に適用した場合には、開口数の高い対物レンズが設けられる。この対物レンズは、屈折率の高い硝材から成るので、波長依存性が高い。このように対物レンズの波長依存性が高いので、モードホップ現象による波長変動および高周波重畳による波長変動などのようなアクチュエータが追従できない波長変動に対して、焦点位置が大きくずれてしまうという問題が生じる。
上記特許文献3に開示された技術を、互いに厚さの異なる光透過層を有する光ディスク、すなわち、次世代高密度光ディスク(光透過層厚さ0.1mm)、及び従来のDVD(光透過層厚さ0.6mm)に適応させ、回折光学素子に対し、赤色光、青色光ともに平行光を入射させた場合、光透過層の厚みの差が大きいために発生する球面収差を補正するのに必要となる、青色光の回折角と赤色光の回折角との角度差を約2から3°に大きくする必要がある。ここで、回折光学素子における回折格子のピッチと上記角度差との関係は、図35のグラフのようになる。図35より、上記角度差を約2から3°にするためには、回折格子のピッチを3.5から4.5μmの細かい幅にする必要があることがわかる。
また、一般に、対物レンズ(無限系の対物レンズ)は無限遠方から来た青色光に対して最適化されているため、回折光学素子から出射した光を平行光にする必要がある。そのために、回折光学素子において、回折面で曲げられた青色光を屈折面(回折光学素子の対物レンズ側の面)で平行光にする必要がある。なお、こうすることにより、回折光学素子と対物レンズとの位置ずれによる収差の発生を防止することもできる。
そこで、回折光学素子に対して平行光で入射した青色光が回折光学素子を通過後も平行光となる場合の、回折格子のピッチと回折光学素子の屈折面の曲率との関係を図36に示す。なお、図36に示した関係は、有効半径が2mmの対物レンズを使用する光ピックアップにおける回折光学素子の場合である。また、回折光学素子の屈折面は球面とする。図36より、回折格子のピッチを上記の3.5から4.5μmとするためには、回折光学素子の屈折面の曲率半径を2.2mm以下にする必要があることがわかる。
しかし、対物レンズの有効半径が2mmであることから、回折光学素子の有効径も2mmとなるため、曲率半径が2.2mm以下の屈折面はほぼ半球となり、作製が不可能、あるいは実質上使用が不可能となる。また、屈折面を非球面にしたとしても、曲率が極端に小さいため、作製が困難であり、また、作製できたとしても、軸上の集光特性は何れの光ディスクの場合も0.018λ(rms)と大きくなってしまう。
ところで、一般に、ホログラム(回折素子)の利用波長の回折効率は、回折格子の深さにより決定される。図2は、PC(ポリカーボネイト)基板に回折格子を形成した場合の回折格子の深さと各利用波長の各回折次数についての回折効率との関係を示すグラフである。図2中、B0、B1、B2、R0、R1、Ir0、及びIr1は、それぞれ次世代高密度光ディスクの使用波長(400nm)の光ビームの0次回折光、1次回折光、2次回折光、DVDの使用波長(650nm)の光ビームの0次回折光、1次回折光、CDの使用波長(780nm)の光ビームの0次回折光、1次回折光の回折効率を表している。
上記非特許文献1に開示された技術を、上記光ピックアップに利用した場合、本願発明の実施形態で使用する図2に示すグラフからわかるように、780nmの波長での1次回折光が、その波長での他の次数の回折光より高くなるように回折格子の深さを設定すると、他の波長での所定回折次数の回折光(405nm及び650nmの波長では0次回折光)の回折効率は概ね10%以下になり、逆に、405nmまたは655nmの波長での0次回折光が、それぞれの波長での他の次数の回折光より高くなるように回折格子の深さを設定すると、785nmの波長での1次回折光の回折効率が概ね10%以下となる。このため、どの波長の光に対しても光の利用効率が高くなるように回折格子の深さを設定することは実質的に不可能である。
特に、より高出力のレーザの作成が困難である405nmの波長の光ビームに対して、回折効率、すなわち光の利用効率が大きくなるように、例えばその回折効率が80%以上となるように上記回折格子の深さを設定した場合、780nmの波長の1次回折光の利用効率は5%以下になってしまう。そのため、上記光ピックアップを用いた場合、CDに対する情報の記録または再生に際し、十分な光量が得られないという問題が発生する。
本発明は、上記の各問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、光透過層の厚さ及び再生に最適な光ビームの波長の異なる記録媒体に対して、情報の記録又は再生が可能であるとともに、対物レンズのラジアル方向のシフトにより集光特性が大きく劣化するのを抑えることができ、かつ波長変動に起因する焦点位置のずれを抑制することができる光ピックアップを提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明の光ピックアップは、情報記録面上に厚さt1の光透過層を備えた第1記録媒体の前記情報記録面に対して、波長λ1の第1光ビームを集光して第1光スポットを形成することにより情報の記録又は再生が可能であり、かつ、情報記録面上に厚さt2(t2>t1)の光透過層を備えた第2記録媒体の前記情報記録面に対して、波長λ2(λ2>λ1)の第2光ビームを集光して第2光スポットを形成することにより情報の記録又は再生が可能な光ピックアップであって、前記第1及び第2光ビームが入射することにより、入射した第1及び第2光ビームを回折させ、かつ、屈折させて出射する回折光学素子と、回折光学素子から出射された第1光ビームの2次回折光及び第2光ビームの2次及び1次回折光を、それぞれ前記第1記録媒体の情報記録面及び第2記録媒体の情報記録面に対して集光して前記第1及び第2光スポットを形成する対物レンズとを備え、第1光ビームは、回折光学素子に対して平行光で入射し、平行光で対物レンズに入射し、前記回折光学素子は、上記対物レンズの光源側に配され、収束型の回折面と、対物レンズ側に配された凹面の屈折面とを有し、前記回折光学素子と上記対物レンズとは、保持体によって保持され、前記第2光ビームは発散光として前記回折光学素子に入射することを特徴としている。
上記の構成によれば、少なくとも、第1光ビームに対して、対物レンズユニットのラジアル方向シフトによるコマ収差の発生の低減が可能であり、さらに、回折光学素子に対する対物レンズのラジアル方向への位置ズレによる収差の発生の低減を可能である。
前記回折光学素子の回折面は、屈折面上に形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、回折光学素子の屈折面と回折面との位置合わせが不要になり、回折光学素子の作成を容易にすることができる。
前記回折光学素子の回折面には、鋸歯状又は階段状の回折格子が形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、回折光学素子における各光ビームの回折効率を向上させることができる。これにより、各光ビームの光源の出力を小さくできるため、光源での消費電力を抑えることができる。上記構成は、高出力なビームが必要となる情報の記録や消去を行う光ピックアップに特に有効である。
本発明の光ピックアップは、情報記録面上に厚さt1の光透過層を備えた第1記録媒体の前記情報記録面に対して、波長λ1の第1光ビームを集光して第1光スポットを形成することにより情報の記録又は再生が可能であり、かつ、情報記録面上に厚さt2(t2>t1)の光透過層を備えた第2記録媒体の前記情報記録面に対して、波長λ2(λ2>λ1)の第2光ビームを集光して第2光スポットを形成することにより情報の記録又は再生が可能な光ピックアップであって、前記第1及び第2光ビームが入射することにより、入射した第1及び第2光ビームを回折させ、かつ、屈折させて出射する回折光学素子と、回折光学素子から出射された第1光ビームの2次回折光及び第2光ビームの2次及び1次回折光を、それぞれ前記第1記録媒体の情報記録面及び第2記録媒体の情報記録面に対して集光して前記第1及び第2光スポットを形成する対物レンズとを備え、第1光ビームは、回折光学素子に対して平行光で入射し、平行光で対物レンズに入射し、前記回折光学素子は、上記対物レンズの光源側に配され、収束型の回折面と、対物レンズ側に配された凹面の屈折面とを有すると共に、上記対物レンズと保持体によって保持され、前記第2光ビームは発散光として前記回折光学素子に入射することで、少なくとも、第1光ビームに対して、対物レンズユニットのラジアル方向シフトによるコマ収差の発生の低減が可能であり、さらに、回折光学素子に対する対物レンズのラジアル方向への位置ズレによる収差の発生を低減できるという効果を奏する。
本発明の実施の一形態にかかる光ピックアップにおける光学系のブロック図である。 本発明の一実施形態の回折光学素子の深さと回折効率との関係を示すグラフである。 上記光ピックアップおける回折光学素子の作用を説明する図である。 本発明の一実施形態の回折光学素子における、曲率半径の形状を決めるための、第1の波長の光ビームにおける一次回折光と、第2の波長の光ビームにおける回折光との関係を示すグラフである。 本発明の他の実施形態の回折光学素子における、曲率半径の形状を決めるための、第1の波長の光ビームにおける一次回折光と、第2の波長の光ビームにおける回折光との関係を示すグラフである。 (a)は、本発明における他の実施例の回折光学素子に第1光ビームが入射される場合の作用を説明する対物レンズユニットの部分断面図であり、(b)は、本発明における他の実施例の回折光学素子に第2光ビームが入射される場合の作用を説明する対物レンズユニットの部分断面図である。 (a)は、本発明におけるさらに他の実施例の回折光学素子に第1光ビームが入射される場合の作用を説明する対物レンズユニットの部分断面図であり、(b)は、本発明におけるさらに他の実施例の回折光学素子に第2光ビームが入射される場合の作用を説明する対物レンズユニットの部分断面図である。 本実施形態の光ピックアップによって、一方の記録媒体の情報記録面にスポット光を形成したときの、波面収差λrmsの波長依存性を示すグラフである。 本発明の実施の一形態における光ピックアップの概略構成を示す概略構成図である。 本発明の実施の一形態における実施例として作製した対物レンズユニットにより光ビームを光ディスクに集光する様子を示した上記対物レンズユニットの断面図であり、(a)は第1光ビームを第1光ディスクに集光する場合の断面図、(b)は第2光ビームを第2光ディスクに集光する場合の断面図である。 図1の対物レンズユニットにより光ビームを集光した場合の対物レンズユニットのシフト量と波面収差との関係を示すグラフであり、(a)は第1光ビームを集光した場合のグラフ、(b)は第2光ビームを集光した場合のグラフである。 図10の対物レンズユニットにより第1光ビームを第1光ディスクに集光した場合の第1光ビームの波長の変化に対する波面収差の変化を示すグラフである。 本発明の実施の一形態における実施例として作製した対物レンズユニットにより光ビームを光ディスクに集光する様子を示した上記対物レンズユニットの断面図であり、(a)は第1光ビームを第1光ディスクに集光する場合の断面図、(b)は第2光ビームを第2光ディスクに集光する場合の断面図である。 図13の対物レンズユニットにより光ビームを集光した場合の対物レンズユニットのシフト量と波面収差との関係を示すグラフであり(a)は第1光ビームを集光した場合のグラフ、(b)は第2光ビームを集光した場合のグラフである。 本発明の実施の一形態における第3実施例として作製した対物レンズユニットにより光ビームを光ディスクに集光する様子を示した上記対物レンズユニットの断面図であり、(a)は第1光ビームを第1光ディスクに集光する場合の断面図、(b)は第2光ビームを第2光ディスクに集光する場合の断面図である。 図15の対物レンズユニットにより光ビームを集光した場合の対物レンズユニットのシフト量と波面収差との関係を示すグラフであり(a)は第1光ビームを集光した場合のグラフ、(b)は第2光ビームを集光した場合のグラフである。 本発明の実施の一形態に係る光ピックアップの概略構成を示す構成図である。 図17の光ピックアップに備わる回折光学素子の回折面及び屈折面のパワー、並びに回折光学素子前後における光ビームの収束/発散度合いを説明するための断面図である。 図17の光ピックアップに備わる回折光学素子の回折格子の深さと、各回折次数についての回折効率との関係を示すグラフである。 図17の光ピックアップに備わる回折光学素子へ入射する第1光ビームの収束/発散度合いと、第2及び第3光ビームの収束/発散度合いとの関係を示すグラフである。 図17の光ピックアップに備わる回折光学素子へ入射する第1光ビームの収束/発散度合いと、第1、第2及び第3光ビームの波面収差との関係を示すグラフである。 本発明の実施の一形態に係る光ピックアップにおける光ビームの収束/発散度合いの一実施例を示す断面図であり、(a)〜(b)はそれぞれ青色光、赤色光及び赤外光の場合を示す断面図である。 図22に示す実施例と比較例とについて、対物シフトのシフト量と波面収差との関係を比較するグラフであり、(a)〜(c)はそれぞれ青色光、赤色光及び赤外光の場合を示すグラフである。 図22に示す実施例において、青色光の波長シフトと波面収差との関係を示すグラフである。 本発明の実施の一形態に係る光ピックアップにおける光ビームの収束/発散度合いの他の実施例を示す断面図であり、(a)〜(c)はそれぞれ青色光、赤色光及び赤外光の場合を示す断面図である。 図25に示す実施例と比較例とについて、対物シフトのシフト量と波面収差との関係を比較するグラフであり、(a)〜(c)はそれぞれ青色光、赤色光及び赤外光の場合を示すグラフである。 図25に示す実施例において、青色光の波長シフトと波面収差との関係を示すグラフである。 図25に示す実施例において、回折光学素子の屈折面のパワーと回折格子の最小ピッチとの関係を示すグラフである。 図25に示す実施例において、回折光学素子の屈折面のパワーと対物シフトのシフト量が200μmのときの青色光の波面収差との関係を示すグラフである。 本発明の実施の一形態に係る光ピックアップにおける光ビームの収束/発散度合いの一実施例を示す断面図であり、(a)〜(c)はそれぞれ青色光、赤色光及び赤外光の場合を示す断面図である。 図30に示す実施例と比較例とについて、対物シフトのシフト量と波面収差との関係を比較するグラフであり、(a)〜(c)はそれぞれ青色光、赤色光及び赤外光の場合を示すグラフである。 図30に示す実施例において、青色光の波長シフトと波面収差との関係を示すグラフである。 本発明の実施の一形態に係る光ピックアップにおける光ビームの収束/発散度合いの他の実施例を示す断面図であり、(a)〜(c)はそれぞれ青色光、赤色光及び赤外光の場合を示す断面図である。 図33に示す実施例と比較例とについて、対物シフトのシフト量と波面収差との関係を比較するグラフであり、(a)〜(c)はそれぞれ青色光、赤色光及び赤外光の場合を示すグラフである。 回折光学素子における回折格子のピッチと回折角度差との関係を示すグラフである。 回折光学素子に対して平行光で入射した青色光が回折光学素子を通過後も平行光となる場合の、回折格子のピッチと回折光学素子の屈折面の曲率との関係を示すグラフである。 本発明の実施の一形態に係る光ピックアップにおける光ビームの収束/発散度合いの他の実施例を示す断面図であり、(a)〜(c)はそれぞれ青色光、赤色光及び赤外光の場合を示す断面図である。 図33に示す実施例と比較例とについて、対物シフトのシフト量と波面収差との関係を比較するグラフであり、(a)〜(c)はそれぞれ青色光、赤色光及び赤外光の場合を示すグラフである。 図37に示す実施例において、青色光の波長シフトと波面収差との関係を示すグラフである。 本発明の光ピックアップの他の例を示す概略構成図である。 (a)は、本発明の光ピックアップに備えられた回折光学素子の凹面が光源側に備えた対物レンズユニットに第1光ビームが入射された場合の作用を示す説明図であり、(b)は、(a)の構成の光ピックアップの対物レンズユニットに第2光ビームが入射された場合の作用を示す説明図である。 (a)(b)は、本発明の光ピックアップの対物レンズユニットの他の例を示す概略構成図である。 回折光学素子における回折格子のピッチと回折角度差との関係を示すグラフである。 回折光学素子に対して平行光で入射した青色光が回折光学素子を通過後も平行光となる場合の、回折格子のピッチと回折光学素子の屈折面の曲率半径との関係を示すグラフである。 本発明の光ピックアップの他の例を示す概略構成図である。 本発明の光ピックアップを備えた記録再生装置の一例を示す概略構成図である。
本発明の各実施形態について、以下に説明する。
〔実施形態1〕
図1に、本実施形態にかかる光ピックアップ100の概略構成を示す。本実施形態では、次世代高密度光ディスク14a(第1光ディスク、第1記録媒体)及び従来のDVD14b(第2光ディスク、第2記録媒体)に対応可能な光ピックアップ100について説明する。
なお、第1光ディスクは、使用する光(第1光ビームL1)が波長(第1波長λ1)405nm付近の短波長の青色光、光透過層の厚さt1が0.1mmのものであり、第2光ディスクは、使用する光(第2光ビームL2)が波長(第2波長λ2)650nm付近の長波長の赤色光、光透過層の厚さt2が0.6mmのものである。
また、光ピックアップ100は、第1波長λ1を有する第1光ビームL1を出射する半導体レーザ1aと、第1波長λ1より長い第2波長λ2を有する第2光ビームL2を出射する半導体レーザ1bとを備えている。半導体レーザ1aと半導体レーザ1bとは、対象となる光ディスクに応じて互いに切り換えて点灯される。
上記光ピックアップ100は、さらに、半導体レーザ1a・1bから出射された第1及び第2光ビームL2をそれぞれほぼ平行にするコリメータレンズ2a・2b、楕円形強度分布を有する第1及び第2光ビームL2をそれぞれほぼ円形の強度分布に整形する整形プリズムなどの整形光学系3a・3b、整形光学系3a・3bからの第1及び第2光ビームL2をそれぞれ透過させるビームスプリッタ4a・4b、を備えている。
上記整形光学系3a・3bは、1つの三角プリズム、貼り合わされた三角プリズム、あるいは独立して配置された2つの三角プリズム等の公知の光学系によって構成されている。なお、光ピックアップ1は、整形光学系3a・3bを備えていなくてもよい。
半導体レーザ1a、コリメータレンズ2a、整形光学系3a、及びビームスプリッタ4aにより第1光学系16aが構成され、半導体レーザ1b、コリメータレンズ2b、整形光学系3b、及びビームスプリッタ4bにより第2光学系16bが構成されている。
第1及び第2光学系16a・16bから出射された第1及び第2光ビームL2は、ダイクロプリズム5により互いの光軸が合わせられ、それ以降は共通光学系を通ることになる。
共通光学系において、第1及び第2光ビームL2は、球面収差補償系6及び1/4波長板8を通過し、ミラー9で反射された後、対物レンズユニット13に入る。
対物レンズユニット13に入った第1及び第2光ビームL2は、波長選択性開口フィルタ10、回折光学素子11、及び対物レンズ12を順次通過し、第1光ディスク14aの情報記録面に微小な光スポットを、あるいは第2光ディスク14bの情報記録面に微小な光スポットを形成する。
ここで、球面収差補償系6は、第1及び第2光ディスク14a・14bにおける光透過層の厚みムラ等により発生する球面収差を補正するものであり、例えばビームエキスパンダーや液晶補正素子などで構成されている。
なお、光ピックアップ1が整形光学系3a・3bを備えない構成である場合には、球面収差補償系6を用いなくてもかまわない。また、波長選択性開口フィルタ10は、波長が第1波長λ1の光ビームに対しては開口数がNA1(具体的には0.85)となるように働き、波長が第2波長λ2の光ビームに対しては開口数がNA2(具体的には0.6)となるように開口制御する。なお、ここでは波長選択性開口フィルタ10を、ミラー9と回折光学素子11との間に配置しているが、回折光学素子11及び対物レンズ12と一体的に動作可能な場所であればどこでもよい。また、上記のような開口制御と同じ機能を有するものであれば、波長選択性開口フィルタ10以外のものであってもよい。
なお、回折光学素子11と対物レンズ12とは、図1に示すように、ホルダ17(保持体)にて保持されている。これにより、回折光学素子11および対物レンズ12は保持体によって保持されることで、回折光学素子および対物レンズの相対的な位置のずれが防がれる。よって、回折光学素子および対物レンズの相対的な位置のずれに起因する集光特性の劣化が防がれる。
また、対物レンズユニット13は、図示しない駆動ユニット(駆動手段)を備えており、光ディスク14a・14bに照射される光の焦点を調節するようになっている。つまり、上記駆動ユニットは、光ディスク14a・14bの面振れおよび回転偏芯に追従させるようになっている。
波長選択性開口フィルタ10、回折光学素子11及び対物レンズ12は、対物レンズユニット13として一体化されている。
光ピックアップ100は、以上の光照射光学系に加えて、さらに再生信号検出光学系15a・15bを備えている。再生信号検出光学系15a・15bでは、従来公知の種々の光学系により、自動焦点やトラック追従といった光点制御信号、及び光ディスクに記録された情報信号の再生が行なわれる。
回折光学素子11は、ガラス又はプラスチックなどからなっている。また、回折光学素子11の回折格子は、光軸を中心にして同心円状に、切削された環状溝又はフォトリソグラフィにより積層された凸の輪帯からなる。この回折格子は、光軸を含んだ平面に現れる断面形状がブレーズ形状すなわち鋸歯状、又は、階段状となるように形成される。鋸歯状又は階段状断面の回折格子(特に鋸歯状断面)の回折格子は、回折効率が他より高いので有利である。
また、このようなブレーズ化した回折格子の回折効率ηmは、以下の数式1で求める事ができる。
Figure 0005335856
式中、A(x)は透過振幅分布、φ(x)は位相分布、Tはグレーティングのピッチを示している。
また、具体的にPC(ポリカーボネイト)基板に回折格子を形成した回折光学素子の場合の回折効率を図2に示す。図2において、B0,B1,B2,R0,R1,R2は、それぞれ第1光ビームL1の0次回折光、1次回折光、2次回折光、第2光ビームL2の0次回折光、1次回折光、2次回折光の回折効率を表している。
ここで、各々の回折次数の利用効率は、回折格子の深さにより決まり、適当な回折次数及び格子深さを設定することで記録再生に十分な光ビームを得ることができる。よって、高出力が必要な情報の記録や消去を行う光ピックアップが実現でき、更に、レーザ出力を小さくできるため消費電力を抑えることができる。
また、光ディスク14a・14bにおける光透過層の厚さにより発生する球面収差は、前記対物レンズ12に発散光を入射した場合に発生する球面収差と逆向きに発生する。その為、前記対物レンズ12を使用して次世代高密度光ディスクの記録層とDVDディスクの記録層との両方に光ビームを集光させるためには、青色の光ビームを平行光で対物レンズ12に入射し、赤色の光ビームを発散光で対物レンズ11に入射することが望ましい。
従って、本発明の光ピックアップ100においては、前記回折光学素子11は、例えば、波長405nmの青色の第1光ビームL1が通過後に平行光となり、波長650nmの赤色の第2光ビームL2が通過後に発散光となるように設計されることが好ましい。
ここで、上記の条件となる光ピックアップ100における対物レンズユニット13について、図3に基づいてより詳細に説明する。この対物レンズユニット13では、屈折率nのレンズ部11bの回折面に回折格子11aが形成されている回折光学素子11を通過した光ビームが対物レンズ12により光ディスク14における記録層に集光されるようになっている。また、上記レンズ部11bの頂点と回折面との光軸方向の距離をaとする。
なお、図3において、回折格子11a、対物レンズ12を経て光ディスク14aに合焦している破線を第1光ビームL1、光ディスク14aに合焦している太線を第2光ビームL2とする。
ここで、対物レンズ12の開口数がNA2(具体的に0.6)に対応した波長650nmの光ビーム(第2光ビームL2)が回折光学素子11における回折面を通過する場合の最外周の半径をR(つまり、第2光ビームL2の半径をR)とする。このとき、回折光学素子11における半径Rを通過するそれぞれの波長の第1光ビームL1と第2光ビームL2とが回折光学素子11を通過した後の光軸に対する角度が光ディスクの記録層に良好に集束される角度になるように考えればよい。つまり、405nmの光ビームはm1の回折次数で回折し、650nmの光ビームはm2の回折次数で回折する場合、上記の設計を可能にする回折次数の組み合わせは、以下の数式2および数式3の条件式を満足する。
Figure 0005335856
ただし、上記rは、曲率半径であり、f(d、mX)は数式3のような関数である。
Figure 0005335856
ここで、Xは1または2であり、対物レンズ12の開口数NA2に対応した第2光ビームL2の回折面での半径はRである。また、回折光学素子11の回折格子11aにおいては、第1光ビームL1はm1の次数で回折され、第2光ビームL2はm2の回折次数で回折されており、そのときの回折角をα1、α2とする。さらに、光ディスク(記録媒体)に良好な集光スポットとなる時のレンズ部11bを通過後の光線と光軸との角度をβ1、β2とし、半径Rでの回折格子11aのピッチをdとしている。
具体的に球面収差を打ち消すための発散角度β1及びβ2は対物レンズ12の形状によって変化するが、次世代高密度光ディスクとDVDディスクとの場合で、回折光学素子11のレンズ部11b(基板)をポリカーボネート(PC)とし、青色光(第1光ビームL1)を対物レンズ12に平行光入射した時、次世代高密度光ディスクに対して無収差となるように設計された後述のレンズ形状を使用した場合、β1は0°、β2は約2.5°となる。この時の球面の曲率半径rと半径R=1.1での回折格子11aのピッチdとの関係を図4、図5に示す。図4は青色光(405nm)の回折次数が1次回折の場合、図5は青色光(405nm)の回折次数が2次回折の場合の計算結果をしめす。ここで、交点が存在しない回折次数の組み合わせは次世代高密度光ディスクとDVDディスクの両方を集光させる回折光学素子11を作製できないことを意味する。作製可能な回折次数の組み合わせを以下の表1に示す。
Figure 0005335856
上記では、球面収差を打ち消す為の発散角度β2を2.5°としたが、1から5°の間の入射角であれば、2.5°の場合と同じ回折次数の組み合わせで次世代高密度光ディスクとDVDディスクの両方を集光させる回折光学素子11を作成できる。
以下に、本実施形態に係る光ピックアップの実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例では、上記実施形態1で説明した光ピックアップ100において、図6(a)(b)に示すように、回折光学素子11が回折格子11aと凸球面11cとを有するレンズ11bで構成されており、回折格子11aが光源側に備えられている。そして、回折光学素子11の基板材料(レンズ)としてPCを用い、405nmの波長の第1光ビームL1における1次回折光を使用し、650nmの波長の第2光ビームL2における1次回折光を使用した場合について詳細を説明する。
図6(a)に示すように、405nmのレーザ光(第1光ビームL1)がこの回折光学素子11に平行光束で入射したとき、この第1光ビームL1は、回折格子11aの面で1次回折方向(発散方向)に回折され、凸球面11cで屈折され、平行光として回折光学素子11から出射される。この平行光は、対物レンズ12により、厚さ0.1mmの光透過層を有する光ディスク(次世代高密度光ディスク)14aの記録層上に集光される。これにより、上記光ピックアップ100では、良好な集光特性が得られる。
また、図6(b)に示すように、650nmのレーザ光(第2光ビームL2)が回折光学素子11に平行光束で入射したとき、この第2光ビームL2は、回折格子11aの面で1次回折方向(発散方向)に回折され、凸球面11cで屈折し、発散光として回折光学素子11から出射される。この発散光は、対物レンズ12により、厚さ0.6mmの光透過層を有する光ディスク14b(DVDディスク)の記録層上に集光される。これにより、上記光ピックアップ100では、良好な集光特性が得られる。
この時、光ディスク14bにおける光透過層の厚さのために発生する球面収差は、発散光を対物レンズ12に入射することで抑えられる。また、それ以外の補正しきれない球面収差は、回折格子11aの非球面項により補正することができる。もちろん、上記凸球面11cを非球面にして、より収差を抑える設計にしてもかまわない。
ここで、開口数が0.6に対応した光束より外側の光は光透過層の厚さ0.6mmの光ディスク14b上に集光させないように、405nmの波長の光は透過し、650nmの波長の光は透過しない波長選択性フィルタ10を用いて対物レンズ12の開口数を切り替えるようにする。
本実施例において、第1光ビームL1である405nmの波長のレーザ光(青色光)を、厚さ0.1mmの光透過層を有する光ディスクに適用する場合のRMS波面収差は、0.002λで十分小さい収差量である。また、第2光ビームL2である650nmの波長のレーザ光(赤色光)を、厚さ0.6mmの光透過層を有する光ディスクに適用する場合のRMS波面収差は、0.002λで十分小さい収差量である。したがって、上記光ピックアップ100は、上記光ディスク14a・14bの情報信号読み出しが十分可能である。
本実施例では、光源側に回折格子11aで対物レンズ12側が凸面となる回折光学素子11を備えているが、これに限らず、回折光学素子11を光源側が凸面で、対物レンズ12側が回折格子11aになる構成にしても良い。
ここで、回折光学素子11の回折格子11aの形状と屈折面の曲率半径の自動設計したデータは表2〜4のとおりである。この表2〜4に示した値は、具体的に次世代高密度光ディスク(波長405nm、光透過層厚0.1mm)とDVD(波長650nm、光透過層厚0.6mm)における波面収差の計算結果である。
ここで、回折光学素子11の回折格子11aの形状と屈折面の曲率半径の自動設計したデータは表2〜4のとおりである。この表2〜4に示した値は、具体的に次世代高密度光ディスク(波長405nm、光透過層厚0.1mm)とDVD(波長650nm、光透過層厚0.6mm)における波面収差の計算結果である。ここで、表2〜4における対物レンズは、青色光を、厚さ0.1mmの光透過層を有する光ディスクに対して集光するように最適設計されている。
Figure 0005335856
Figure 0005335856
Figure 0005335856
また、表2〜4において、面番号1及び2は回折光学素子11の入射面及び出射面、面番号3及び4は対物レンズ12の入射面及び出射面、面番号5及び6はそれぞれの光ディスクの表面及び情報記録面である。なお、各面番号の行に記載の面間隔は、当該面番号の面と、当該面番号の次の面番号の面との光軸上の距離を意味する。
表3は、各面の非球面係数を表す。
また、位相関数Φ(r)は、以下の数式4で表される。
Figure 0005335856
(但し、m:回折次数、λ:波長、r:光軸からの半径、DF1〜DF5:係数)
本実施例(表2〜表4の回折光学素子11を用いた場合)において、405nmの波長のレーザ光(青色光)を、厚さ0.1mmの光透過層を有する光ディスクに適用する場合のRMS波面収差は、0.002λで十分小さい収差量である。また、650nmの波長のレーザ光(赤色光)を、厚さ0.6mmの光透過層を有する光ディスクに適用する場合のRMS波面収差は、0.002λで十分小さい収差量である。したがって、上記光ピックアップは、上記光ディスク14a・14bの情報信号読み出しが十分可能である。
(実施例2)
本実施例では、上記実施形態1で説明した光ピックアップ100において、図7(a)(b)に示すように、前記実施例1の対物レンズユニット13の代わりに対物レンズユニット113を備えた構成となっている。すなわち、回折光学素子111が凹面111cと回折格子111aとを有するレンズ111bで構成されており、回折格子111aが光源側に備えられている。そして、回折光学素子111の基板材料(レンズ)としてPCを用い、回折光学素子111の回折格子111a面は、第1回折光の回折次数をm1、第2回折光の回折次数をm2、回折格子111aの溝間隔をdとしたとき、以下の数式6、
Figure 0005335856
を満たす場合、ここで、第1回折光M1の回折次数m1は+1であり、かつ第2回折光M2の回折次数m2は0、つまり405nmの波長の第1光ビームL1における1次回折光を使用し、650nmの波長の第2光ビームL2における0次回折光を使用した場合について詳細を説明する。
図7(a)に示すように、405nmのレーザ光(第1光ビームL1)がこの回折光学素子111に平行光束で入射したとき、この第1光ビームL1は、回折格子111aの面で1次回折方向(収束方向)に回折され、凹面111cで発散方向に屈折されて平行光として出射される。この平行光は、対物レンズ112により、厚さ0.1mmの光透過層を有する光ディスク14aの記録層上に集光される。これにより、上記光ピックアップ100では、良好な集光特性が得られる。
また、図7(b)に示すように、650nmのレーザ光(第2光ビームL2)が回折光学素子111に平行光束で入射したとき、この第2光ビームL2は、回折格子111aの面で回折されず(0次回折)、凹面111cで発散方向に屈折され発散光として回折光学素子11から出射される。この発散光は、対物レンズ112により、厚さ0.6mmの光透過層を有する光ディスク14b上に集光される。これにより、上記光ピックアップ100では、良好な集光特性が得られる。
この時、光ディスク14bにおける光透過層の厚さのために発生する球面収差は、発散光を対物レンズ112に入射することである程度抑えられる。また、それ以外の補正しきれない球面収差は、回折格子の非球面項により補正することができる。もちろん、凹面111cを非球面にすることで補正してもよい。
ここで、開口数が0.6に対応した光束より外側の光は光透過層の厚さ0.6mmの光ディスク14b上に集光させないように、405nmの波長の光は透過し、650nmの波長の光は透過しない波長選択性フィルタを用いて対物レンズ12の開口数を切り替えるようにする。
本実施例において、第1光ビームL1である405nmの波長のレーザ光(青色光)を、厚さ0.1mmの光透過層を有する光ディスクに適用した場合のRMS波面収差は、0.002λで十分小さい収差量である。また、第2光ビームL2である650nmの波長のレーザ光(赤色光)を、厚さ0.6mmの光透過層を有する光ディスクに適用する場合のRMS波面収差は、0.002λと球面収差が補正され十分小さい収差である。従って、上記光ピックアップ100は、上記光ディスク14a・14bの情報信号読み出しが十分可能である。
本実施例では、上述のように、回折光学素子111の回折格子111aが光源側に向いた例を示したが、凹面111cが光源側に向いていても同様の効果を奏する。例えば、図41(a)(b)に示すように、回折光学素子111の凹面111cが光源側に備えられていてもよい。
この場合、図41(a)に示すように、405nmのレーザ光(第1光ビーム)がこの回折光学素子111に平行光束で入射したとき、この第1光ビームは、凹面111cで発散方向に屈折され、回折格子111aの面で1次回折方向(収束方向)に、平行光として出射される。この平行光は、対物レンズ112により、厚さ0.1mmの光透過層を有する光ディスク14aの記録層上に集光される。これにより、上記光ピックアップでは、良好な集光特性が得られる。
また、図41(b)に示すように、650nmのレーザ光(第2光ビーム)が回折光学素子111に平行光束で入射したとき、この第2光ビームは、凹面111cで発散方向に屈折され、回折格子111aの面で回折されず(0次回折)発散光として回折光学素子111から出射される。この発散光は、対物レンズ112により、厚さ0.6mmの光透過層を有する光ディスク14b上に集光される。これにより、上記光ピックアップでは、良好な集光特性が得られる。
この時、光ディスク14bにおける光透過層の厚さのために発生する球面収差は、発散光を対物レンズに入射することである程度抑えられる。また、それ以外の補正しきれない球面収差は、回折格子の非球面項により補正することができる。もちろん、凹面を非球面にすることで補正してもよい。
ここで、開口数が0.6に対応した光束より外側の光は光透過層の厚さ0.6mmの光ディスク14b上に集光させないように、405nmの波長の光は透過し、650nmの波長の光は透過しない波長選択性フィルタを用いて対物レンズ112の開口数を切り替えるようにする。
ここで、図41(a)(b)に示した回折光学素子111の回折面の形状と屈折面の曲率半径及び非球面項を自動設計したデータは表5〜7のとおりである。この表5〜7に示した値は、具体的に次世代高密度光ディスク(波長405nm、光透過層厚0.1mm)とDVD(波長650nm、光透過層厚0.6mm)における波面収差の計算結果である。ここで、表5〜7の対物レンズは、青色光を、厚さ0.1mmの光透過層を有する光ディスクに対して集光するように最適設計されている。また、凹面は650nmの波長の光が光ディスクにおける光透過層により生じる収差を補正するために非球面形状としている。
Figure 0005335856
Figure 0005335856
Figure 0005335856
また、表5〜7において、面番号1及び2は回折光学素子111の入射面及び出射面、面番号3及び4は対物レンズ112の入射面及び出射面、面番号5及び6はそれぞれの光ディスクの表面及び情報記録面である。なお、各面番号の行に記載の面間隔は、当該面番号の面と、当該面番号の次の面番号の面との光軸上の距離を意味する。
表6は、各面の非球面係数を表す。
本実施例(表5〜表7の回折光学素子111を用いた場合)において、405nmの波長のレーザ光(青色光)を、厚さ0.1mmの光透過層を有する光ディスクに適用した場合のRMS波面収差は、0.002λで十分小さい収差量である。また、650nmの波長のレーザ光(赤色光)を、厚さ0.6mmの光透過層を有する光ディスクに適用する場合のRMS波面収差は、0.002λと球面収差が補正され十分小さい収差である。従って、上記光ピックアップは、上記光ディスク14a・14bの情報信号読み出しが十分可能である。
本実施例では、光源側に凹面で対物レンズ側が回折格子となる回折光学素子を備えているが、これに限らず、光源側が回折格子で、対物レンズ側に凹面になる構成にしても本発明の効果を損なうものではない。
以上述べてきた本発明の実施例においては、光ディスクとして、次世代高密度光ディスク(光透過層厚0.1mm、青色光(405nm)利用)、およびDVD(光透過層厚0.6mm、赤色光(650nm)利用)を中心に説明してきたが、本発明の内容は上記光ディスクにおける光透過層の厚さ及びその光ディスクに使用される光の波長に限定されず、多種多様の光ディスクにおける光透過層の厚さや光の波長に適用可能である。
以上のように、本発明の光ピックアップは、第1の波長λ1の第1光ビームL1を出射する第1の光源と開口数NA1の対物レンズとにより形成された集光スポットを用いて記録あるいは再生可能な光入射面から情報記録面に至る光透過層の厚さがt1の第1の記録媒体と、第1の波長より長い第2の波長λ2の第2光ビームL2を出射する第2の光源と前記対物レンズの開口数NA2(NA2<NA1)の領域のみ利用して形成された集光スポットを用いて記録あるいは再生が可能な光入射面から情報記録面に至る光透過層の厚さがt2(t2>t1)の第2の光記録媒体の両者に対して、共通の対物レンズを用いて集光スポットを形成する互換型の光ピックアップにおいて、前記第1及び第2の光源から前記対物レンズまでの光路中に配置された回折素子と屈折率がnのレンズを備え、前記回折素子面とレンズ面の頂点との距離をa、対物レンズの開口数NA2に対応した第2光ビームL2の回折面での半径をR、前記回折素子が第1光ビームL1に対してはm1の次数で回折し、第2光ビームL2に対してはm2の回折次数で回折し、回折角をα1、α2、前記記録媒体に良好な集光スポットとなる時のレンズを通過後の光線と光軸との角度をβ1、β2とする時、半径Rでの回折素子ピッチdにおいて、下記の条件を示す数式6および数式7、
Figure 0005335856
ただし、f(d、m)は下記のような関数で、Xは1または2である。
Figure 0005335856
を満足する回折次数m1とm2の組み合わせを用いるといえる。
これにより、波長の大きく異なる光源で開口数の大きな対物レンズを用いても光透過層厚の異なる光ディスク上に、数式6の条件式を満たす回折次数を利用する回折素子とレンズを利用することで、それぞれ回折限界まで集光する光スポットを形成し、ディスクの光透過層厚及び再生に最適な波長の異なる光ディスクに対して、記録再生可能な光ピックアップを実現できる。
また、図8においては、本実施形態の光ピックアップ100における波面収差λrmsの波長依存性を実線Aで示し、他の光ピックアップ装置における波面収差λrmsの波長依存性を破線Bで示す。ここで、各波長における波面収差λrmsは、波面収差λrmsが最小となる波長における最良像点の位置での波面収差λrmsである。
波面収差λrmsは、第1光ビームL1の第1波長λ1が405nmから離れるにつれて、徐々に増加する。図8によると、この波面収差λrmsの増加は、本実施形態の光ピックアップ100の方が、前記他の光ピックアップ装置に比べて小さいことが判る。したがって、本実施形態の光ピックアップ100は、波長依存性が低いことが判る。
第1および第2光源1a,2bは、前述のように半導体レーザ装置によって実現されるので、モードホップ現象などによって、波長変動が生じる。また高周波重畳によっても、波長変動が生じる。このような波長変動による焦点位置のずれは、対物レンズ12を駆動するアクチュエータが追従することができない。本実施形態の光ピックアップ100は、前記他の光ピックアップ装置に比べて、モードホップ現象による波長変動および高周波重畳による波長変動などのような波長変動に対して、波面収差の変化が小さい。したがって、前記波長変動に起因する焦点位置のずれが抑制され、前記波長変動に拘わらず、良好なスポット光を形成することができる。
また、本実施形態では第1光ビームL1における波長変動に起因する焦点位置ズレの抑制は次世代高密度光ディスク専用のピックアップの場合でも有効である。つまり、第1光ビームL1に対応する部品のみで構成された場合においても効果を損なわない。
この時、前記回折光学素子のパワーをΦ、前記回折光子の回折面のパワーをΦD、屈折面のパワーをΦLとしたとき、
Φ=ΦD+ΦL=0
であれば、第1光学系16aで平行光に出射された第1光ビームL1を回折光学素子通過後も平行光で出射でき、対物レンズ12との位置ズレによる収差の悪化を抑えることができる。この場合、回折光学素子は第1光ビームL116aと対物レンズとの間であればどこに挿入してもかまわなくなる。
本実施例では、光源側に凹面で対物レンズ側が回折格子となる回折光学素子とすることで回折格子のピッチや凹面の曲率を大きくすることができ作成には有利である。しかしながら、これに限らず、光源側が回折格子で、対物レンズ12側に凹面になる構成にしても本発明の効果を損なうものではない。
また、本実施形態では次世代高密度光ディスクに対応する部品のみで構成された場合においても効果を損なわない。
本実施形態においては、図1に示す構成の光ピックアップの他に、例えば、図40に示す光ピックアップにおいても適用可能である。この図40に示す光ピックアップは、図1に示す光ピックアップにおける1/4波長板8と球面収差補正系6との位置、対物レンズユニット13内の回折光学素子11と波長選択性フィルタ10との位置が逆になっているだけで、その他の構成は、図1に示す光ピックアップと同じである。
〔実施形態2〕
図9に、本実施形態の光ピックアップ200の概略構成を示す。本実施形態では、次世代高密度光ディスク(第1光ディスク)及び従来のDVD(第2光ディスク)に対応可能な光ピックアップ200について説明する。
なお、第1光ディスクは、使用する光(第1光ビームL1)が波長(第1波長λ1)405nm付近の短波長の青色光、光透過層の厚さt1が0.1mmのものであり、第2光ディスクは、使用する光(第2光ビームL2)が波長(第2波長λ2)650nm付近の長波長の赤色光、光透過層の厚さt2が0.6mmのものである。
また、光ピックアップ200は、第1波長λ1を有する第1光ビームL1を出射する半導体レーザ1aと、第1波長λ1より長い第2波長λ2を有する第2光ビームL2を出射する半導体レーザ1bとを備えている。半導体レーザ1aと半導体レーザ1bとは、対象となる光ディスクに応じて互いに切り換えて点灯される。
上記光ピックアップ200は、さらに、半導体レーザ1a・1bから出射された第1及び第2光ビームL2をそれぞれほぼ平行にするコリメータレンズ2a・2b、楕円形強度分布を有する第1及び第2光ビームL2をそれぞれほぼ円形の強度分布に整形する整形プリズムなどの整形光学系3a・3b、整形光学系3a・3bからの第1及び第2光ビームL2をそれぞれ透過させるビームスプリッタ4a・4b、を備えている。
整形光学系3a・3bは、1つの三角プリズム、貼り合わされた三角プリズム、あるいは独立して配置された2つの三角プリズム等の公知の光学系によって構成されている。なお、光ピックアップ2は、整形光学系3a・3bを備えていなくてもよい。
半導体レーザ1a、コリメータレンズ2a、整形光学系3a、及びビームスプリッタ4aにより第1光学系16aが構成され、半導体レーザ1b、コリメータレンズ2b、整形光学系3b、及びビームスプリッタ4bにより第2光学系16bが構成されている。
第1及び第2光学系16a・16bから出射された第1及び第2光ビームL2は、ダイクロプリズム5により互いの光軸が合わせられ、それ以降は共通光学系を通ることになる。
共通光学系において、第1及び第2光ビームL2は、球面収差補償系6で光ビームの種類(第1光ビームL1又は第2光ビームL2)に応じて収束・発散度合いが変化され、1/4波長板8、ミラー9で反射された後、対物レンズユニット213に入る。
対物レンズユニット213に入った第1及び第2光ビームL2は、波長選択性開口フィルタ210、回折光学素子211、及び対物レンズ212を順次通過し、第1光ディスクの情報記録面上に微小な光スポットを、あるいは第2光ディスクの情報記録面上に微小な光スポットを形成する。
ここで、球面収差補償系6は、第1及び第2光ディスクにおける光透過層の厚みムラ等により発生する球面収差を補正するビームエキスパンダーであるとともに、上記のように第1及び第2光ビームの収束・発散度合いを変化させる光ビーム制御手段としての機能を有している。
なお、光ピックアップ200が整形光学系3a・3bを備えない構成である場合には、球面収差補償系6を用いることなく、コリメータレンズ2a・2bを使って第1及び第2光ビームL2の収束・発散度合いを変化させるようにしてもかまわない。さらに、これら以外の素子を使って第1及び第2光ビームL2の収束・発散度合いを変化させるようにしてもよい。
また、波長選択性開口フィルタ210は、波長が第1波長λ1の光ビームに対しては開口数がNA1(具体的には0.85)となるように働き、波長が第2波長λ2の光ビームに対しては開口数がNA2(具体的には0.6)となるように開口制御する。なお、ここでは波長選択性開口フィルタ210を、ミラー9と回折光学素子211との間に配置しているが、回折光学素子211及び対物レンズ212と一体的に動作可能な場所であればどこでもよい。また、上記のような開口制御と同じ機能を有するものであれば、波長選択性開口フィルタ210以外のものであってもよい。
波長選択性開口フィルタ210、回折光学素子211及び対物レンズ212は、対物レンズユニット213として一体化されて光ピックアップ2の他の光学系に対して移動できるようになっている。これにより、第1及び第2光ディスクの情報記録面の面振れや、第1及び第2光ディスクの情報トラックの回転偏心に対して、集光スポットを良好に追従させることができる。
光ピックアップ200は、以上の光照射光学系に加えて、さらに再生信号検出光学系15a・15bを備えている。再生信号検出光学系15a・15bでは、従来公知の種々の光学系により、自動焦点やトラック追従といった光点制御信号、及び光ディスクに記録された情報信号の再生が行なわれる。
回折光学素子211を、収束型の回折格子211aと、発散型の平凹レンズ211bとを備えて構成することにより、波長変動に対する波面収差の劣化を抑えることができ、波長変動に対しても良好な集光特性を得ることができる。
ここでは、部品点数を減らすために、平凹レンズ211bの平面上に回折格子211aを形成して回折光学素子211を構成しているが、回折素子及びレンズの2つの光学素子を組み合わせて回折光学素子を構成してもよい。
また、透光性のレンズの平面とは反対側の屈折面上に回折格子を備えた回折光学素子211を用いて対物レンズユニット213を構成してもよい。
回折光学素子211の平凹レンズ211bは、ガラス又はプラスチックなどからなっている。また、回折光学素子211の回折格子211aは、平凹レンズ211bの平面上に、光軸を中心にして同心円状に、切削された環状溝又はフォトリソグラフィにより積層された凸の輪帯からなる。この回折格子211aは、光軸を含んだ平面に現れる断面形状がブレーズ形状すなわち鋸歯状、又は、階段状となるように形成される。鋸歯状又は階段状断面の回折格子(特に鋸歯状断面)の回折格子は、回折効率が他より高いので有利である。
なお、回折光学素子211としては、上述のように平凹レンズ211bの凹面に回折格子211aを形成しても同様の効果を得ることができる。また、この場合は、凹面と回折格子211aとの位置合わせが簡単になり、凹面及び回折格子211aの形成が容易になる。
ここで、回折光学素子211の回折格子211aによる回折光のうち、光ピックアップ200の記録再生に利用する回折光の回折次数は、最も効率がよくなるように、第1光ビームL1(波長405nm)については2次回折光を利用し、第2光ビームL2(波長650nm)については1次回折光を利用する。
光ピックアップ200では、この回折光学素子211に対して、第1及び第2光ビームL2の少なくとも一方を、収束光又は発散光、つまり非平行光で入射させる。つまり、回折光学素子211に入射する際の第1光ビームL1と第2光ビームL2との間で、収束・発散角度に角度差をつけておく。これにより、光透過層の厚みの差が大きいことにより発生する球面収差を補正するために必要となる、回折格子での第1光ビームL1の回折角と、第2光ビームL2の回折角との角度差を約0.5から1.5°程度にすることができる。その結果、回折格子のピッチを広げることができるようになり、それにとともなって凹面の曲率半径も大きくすることが可能になる。これにより、回折光学素子211の作製が容易になる。
なお、本明細書において、「収束・発散角度」とは、光ビームの光軸を含む断面において、光軸と光ビームの最外周とのなす角度を指し、その光ビームが収束光の場合には収束・発散角度を負の値とし、その光ビームが発散光の場合には収束・発散角度を正の値とする。
また、図42(a)に示すように、透光性の平凹レンズ122a’の平面S1とは反対側の屈折面(凹面)S2上に回折格子122b’を備えた回折光学素子122’を用いて対物レンズユニット120’を構成してもよい。
回折光学素子122’の平凹レンズ122a’は、ガラス又はプラスチックなどからなっている。また、回折光学素子122’の回折格子122b’は、平凹レンズ122a’の平面S1上に、光軸を中心にして同心円状に、切削された環状溝又はフォトリソグラフィにより積層された凸の輪帯からなる。この回折格子122b’は、図3に示すように、光軸を含んだ平面に現れる断面形状がブレーズ形状すなわち鋸歯状に形成されることが好ましい。鋸歯状断面の回折格子は、回折効率が他より高いので有利である。また、図42(b)に示すように、回折格子122b”は、光軸を含んだ平面に現れる断面形状が階段状となるように形成した対物レンズユニット120”としてもよい。階段状断面の回折格子122b”は、鋸歯状断面の回折格子122b’に次いで回折効率が高いので有利である。
なお、図42(b)に示す回折光学素子122”としては、図42(a)ni示すように平凹レンズ122a”の凹面S2に回折格子122b”を形成しても同様の効果を得ることができる。また、この場合は、凹面S2と回折格子122b”との位置合わせが簡単になり、凹面S2及び回折格子122b”の形成が容易になる。
以下に、本実施形態にかかる光ピックアップ200の実施例について説明する。
(実施例3)
本実施例では、図10(a)及び(b)に示すように、第1光ビームL1(波長405nm)については、対物レンズユニット213に対して平行光で(つまり、収束・発散角度θが0°となるように)入射させ、回折光学素子211による2次回折光を利用し、第2光ビームL2(波長650nm)については、対物レンズユニット213に対して発散光で(具体的には、収束・発散角度θが1.5°となるように)入射させ、回折光学素子211による1次回折光を利用する対物レンズユニット213を作製した。対物レンズ212には非球面レンズを用い、回折光学素子211の凹面も非球面形状とした。
第1光ビームL1が回折光学素子211に平行光で入射すると、回折光学素子211の回折格子で2次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された回折光が、回折光学素子211の平凹レンズで発散方向に屈折されて出射されることにより、平行光で対物レンズ212に入射する。この回折光は、さらに対物レンズ212によって集光され、光透過層(厚さ0.1mm)を透過し、情報記録面上に微小な光スポットを形成することにより、良好な集光特性が得られる。
また、第2光ビームL2が回折光学素子211に発散光で入射すると、回折光学素子211の回折格子で1次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された回折光が、回折光学素子211の平凹レンズで発散方向に屈折されて出射されることにより、発散光で対物レンズ212に入射する。この回折光は、さらに対物レンズ212によって集光され、光透過層(厚さ0.6mm)を透過し、情報記録面上に微小な光スポットを形成することにより、良好な集光特性が得られる。
このように、第1光ビームL1を回折光学素子211に平行光で入射させ、かつ、第2光ビームL2を回折光学素子211に発散光で入射させることにより、第1光ビームL1の2次回折光が対物レンズ212に入射するときの収束・発散角度θを0°に設定しつつ、第2光ビームL2の1次回折光が対物レンズ212に入射するときの収束・発散角度を2°から3°に設定するように(すなわち、第1光ビームL1の2次回折光の収束・発散角度と、第2光ビームL2の1次回折光の収束・発散角度との角度差を2°から3°に設定するように)、回折格子のピッチ、及び平凹レンズの凹面の形状を設計することが可能になった。
設計した対物レンズ212及び回折光学素子211の面データ等は表8から11のとおりである。表8から11において、面番号0は仮想光源を表し、面番号1及び2は回折光学素子211の入射面及び出射面、面番号3及び4は対物レンズ212の入射面及び出射面、面番号5及び6は光ディスクの表面及び情報記録面である。なお、各面番号の行に記載の面間隔は、当該面番号の面と、当該面番号の次の面番号の面との光軸上の距離を意味する。
表10は、各面の非球面係数を表し、表11は回折面の位相差関数Φ(r)を数式8で表したときの各項の係数である。数式8において、mは回折次数、λは波長、rは光軸との距離、DF1からDF5は係数である。また、表10及び11において、例えば「−2.2E−03」は、「−2.2−3」を意味する。
Figure 0005335856
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本実施例として作製した光ピックアップ200を用いて光ディスクに集光させた場合の、対物レンズユニット213の光軸方向へのシフト量に対する像面での波面収差λrmsの変化を図11(a)及び(b)に実線で示す。また、比較のために作製した従来の光ピックアップを用いた場合を図11(a)及び(b)に破線で示す。なお、図11(a)は第1光ディスクに集光した結果であり、図11(b)は第2光ディスクに集光した結果である。
比較のために作製した従来の光ピックアップは、第1及び第2光ビームL2の何れも対物レンズユニットに対して平行光で入射させ、第1光ビームL1については2次回折光を、第2光ビームL2については1次回折光を利用した場合に波面収差が最適となるように作製したものである。
図11(a)からわかるように、光ピックアップ200を用いることにより、従来の光ピックアップと比較して第1光ディスクに対する波面収差を低減することができ、良好な集光スポットを形成することができる。
また、図11(b)からわかるように、光ピックアップ200において、第2光ビームL2を発散光で対物レンズユニット213に入射させることにより発生する、対物レンズユニット213のシフトによる影響も、第2光ディスクに対する波面収差に関しては、対物レンズユニット213のシフト量が0.15mm以下の範囲であれば従来の光ピックアップと比較して低減することができる。
このように、光ピックアップ200により、従来の光ピックアップと比較して、第1及び第2光ディスクに対する波面収差の低減を図ることができる。
また、本実施例として作製した光ピックアップ200を用いて第1光ディスクに集光させた場合の、第1光ビームL1の波長の変化に対する波面収差λrmsの変化を図12に実線で示す。また、比較のために作製した第1光ディスク専用の光ピックアップを用いた場合を図12に破線で示す。
比較のために作製した第1光ディスク専用の光ピックアップは、本実施例とした作製した光ピックアップ200における対物レンズ212(第1光ビームL1専用の対物レンズ)単体で対物レンズユニットを構成したものである。
図12からわかるように、光ピックアップ200では、第1光ディスク専用の光ピックアップよりも使用可能な波長範囲が広い。これは、本実施例の光ピックアップ200の回折光学素子211が収束型の回折格子及び平凹レンズで構成されているためであり、これにより第1光ビームL1専用の対物レンズを単体で用いる場合よりも波長依存特性を改善することができる。したがって、光ピックアップ200では、モードホップなどによる波長変動が生じても、良好な集光スポットを形成することができる。
(実施例4)
本実施例では、図13(a)及び(b)に示すように、第1光ビームL1(波長405nm)については、対物レンズユニット213に対して収束光(具体的には、収束・発散角度θが−1.5°となるように)入射させ、回折光学素子211による2次回折光を利用し、第2光ビームL2(波長650nm)については、対物レンズユニット213に対して平行光で(つまり、収束・発散角度θが0°となるように)入射させ、回折光学素子211による1次回折光を利用する対物レンズユニット213を作製した。対物レンズ212には非球面レンズを用い、回折光学素子211の凹面も非球面形状とした。
第1光ビームL1が回折光学素子211に収束光で入射すると、回折光学素子211の回折格子211aで2次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された回折光が、回折光学素子211の平凹レンズ211bで発散方向に屈折されて出射されることにより、平行光で対物レンズ212に入射する。この回折光は、さらに対物レンズ212によって集光され、光透過層(厚さ0.1mm)を透過し、情報記録面上に微小な光スポットを形成することにより、良好な集光特性が得られる。
また、第2光ビームL2が回折光学素子211に平行光で入射すると、回折光学素子211の回折格子211aで1次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された回折光が、回折光学素子211の平凹レンズ211bで発散方向に屈折されて出射されることにより、発散光で対物レンズ212に入射する。この回折光は、さらに対物レンズ212によって集光され、光透過層(厚さ0.6mm)を透過し、情報記録面上に微小な光スポットを形成することにより、良好な集光特性が得られる。
このように、第1光ビームL1を回折光学素子211に収束光で入射させ、かつ、第2光ビームL2を回折光学素子211に平行光で入射させることにより、第1光ビームL1の2次回折光が対物レンズ212に入射するときの収束・発散角度θを0°に設定しつつ、第2光ビームL2の1次回折光が対物レンズ212に入射するときの収束・発散角度θを2°から3°に設定するように(すなわち、第1光ビームL1の2次回折光の収束・発散角度と、第2光ビームL2の1次回折光の収束・発散角度との角度差を2°から3°に設定するように)、回折格子のピッチ、及び平凹レンズの凹面の形状を設計することが可能になった。
設計した対物レンズ212及び回折光学素子211の面データ等は表12から15のとおりである。なお、表12から15における記号等は表8から11のものと同一内容である。
Figure 0005335856
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本実施例として作製した光ピックアップ200を用いて光ディスクに集光させた場合の、対物レンズユニット213の光軸方向へのシフト量に対する像面での波面収差λrmsの変化を図14(a)及び(b)に実線で示す。また、比較のために作製した従来の光ピックアップを用いた場合を図14(a)及び(b)に破線で示す。なお、図14(a)は第1光ディスクに集光した結果であり、図14(b)は第2光ディスクに集光した結果である。
比較のために作製した従来の光ピックアップは、前記実施例3の場合と同様、第1及び第2光ビームL2の何れも対物レンズユニットに対して平行光で入射させ、第1光ビームL1については2次回折光を、第2光ビームL2については1次回折光を利用した場合に波面収差が最適となるように作製したものである。
図14(a)からわかるように、光ピックアップ200において、第1光ビームL1を収束光で対物レンズユニット213に入射させることにより発生する、対物レンズユニット213のシフトによる影響も、第1光ディスクに対する波面収差に関しては、対物レンズユニット213のシフト量が0.12mm以下の範囲であれば従来の光ピックアップと比較して低減することができる。
また、図14(b)からわかるように、光ピックアップ200を用いることにより、従来の光ピックアップと比較して第2光ディスクに対する波面収差を低減することができ、良好な集光スポットを形成することができる。
このように、光ピックアップ200により、従来の光ピックアップと比較して、第1及び第2光ディスクに対する波面収差の低減を図ることができる。
(実施例5)
本実施例では、図15(a)及び(b)に示すように、第1光ビームL1(波長405nm)については、対物レンズユニット213に対して収束光(具体的には、収束・発散角度θが−0.8°となるように)入射させ、回折光学素子211による2次回折光を利用し、第2光ビームL2(波長650nm)については、対物レンズユニット213に対して発散光で(具体的には、収束・発散角度θが0.8°となるように)入射させ、回折光学素子211による1次回折光を利用する対物レンズユニット213を作製した。対物レンズ212には非球面レンズを用い、回折光学素子211の凹面も非球面形状とした。
第1光ビームL1が回折光学素子211に収束光で入射すると、回折光学素子211の回折格子で2次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された回折光が、回折光学素子211の平凹レンズで発散方向に屈折されて出射されることにより、平行光で対物レンズ212に入射する。この回折光は、さらに対物レンズ212によって集光され、光透過層(厚さ0.1mm)を透過し、情報記録面上に微小な光スポットを形成することにより、良好な集光特性が得られる。
また、第2光ビームL2が回折光学素子211に発散光で入射すると、回折光学素子211の回折格子で1次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された回折光が、回折光学素子211の平凹レンズで発散方向に屈折されて出射されることにより、発散光で対物レンズ212に入射する。この回折光は、さらに対物レンズ212によって集光され、光透過層(厚さ0.6mm)を透過し、情報記録面上に微小な光スポットを形成することにより、良好な集光特性が得られる。
このように、第1光ビームL1を回折光学素子211に収束光で入射させ、かつ、第2光ビームL2を回折光学素子211に発散光で入射させることにより、第1光ビームL1の2次回折光が対物レンズ212に入射するときの収束・発散角度θを0°に設定しつつ、第2光ビームL2の1次回折光が対物レンズ212に入射するときの収束・発散角度θを2°から3°に設定するように(すなわち、第1光ビームL1の2次回折光の収束・発散角度と、第2光ビームL2の1次回折光の収束・発散角度との角度差を2°から3°に設定するように)、回折格子のピッチ、及び平凹レンズの凹面の形状を設計することが可能になった。
設計した対物レンズ212及び回折光学素子211の面データ等は表16から19のとおりである。なお、表16から19における記号等は表8から11のものと同一内容である。
Figure 0005335856
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本実施例として作製した光ピックアップ200を用いて光ディスクに集光させた場合の、対物レンズユニット213の光軸方向へのシフト量に対する像面での波面収差λrmsの変化を図16(a)及び(b)に実線で示す。また、比較のために作製した従来の光ピックアップを用いた場合を図16(a)及び(b)に破線で示す。なお、図16(a)は第1光ディスクに集光した結果であり、図16(b)は第2光ディスクに集光した結果である。
比較のために作製した従来の光ピックアップは、前記実施例4の場合と同様、第1及び第2光ビームL2の何れも対物レンズユニットに対して平行光で入射させ、第1光ビームL1については2次回折光を、第2光ビームL2については1次回折光を利用した場合に波面収差が最適となるように作製したものである。
図16(a)及び(b)からわかるように、本実施例の光ピックアップ200を用いることにより、従来の光ピックアップと比較して第1及び第2光ディスクに対する波面収差を低減することができ、良好な集光スポットを形成することができる。
また、光ピックアップ200において、第1及び第2光ビームL2をそれぞれ収束光及び発散光で対物レンズユニット213に入射させることにより発生する、対物レンズユニット213のシフトによる影響も、第1光ディスクに対する波面収差に関しては対物レンズユニット213のシフト量が0.23mm以下の範囲、第2光ディスクに対する波面収差に関しては対物レンズユニット213のシフト量が0.3mm以下の範囲であれば、従来の光ピックアップと比較して低減することができる。
このように、対物レンズユニット213に対して、第1光ビームL1を収束光で入射させ、第2光ビームL2を発散光で入射させることにより、対物レンズユニット213が第1及び第2光ビームL2の光軸方向にシフトした場合でも、比較的広いシフト範囲において波面収差の劣化を低く抑えることができる。
以上の実施例3から5では、回折光学素子211の凹面を非球面で作製しているが、球面でも作製しても同様の効果を得ることができる。球面で作製する場合は、非球面で作製する場合と比較して回折光学素子211の作製が容易になり、安価な回折光学素子211を提供でき、コスト低減が可能になる。
本光ピックアップ200では、第1光ビームL1と第2光ビームL2とが、互いに収束又は発散度合いの異なる光ビームとして回折光学素子211に入射することにより、上記角度差を大きくしやすくすることができる。これにより、回折光学素子211に要求される回折及び屈折特性の制限を緩和して、回折光学素子211の設計上の制約を緩和することができる。その結果、作製しやすい回折光学素子211を用いて、集光する回折光の波面収差を十分小さくすることができる光ピックアップ200を実現することが可能になる。
なお、第1光ビームL1と第2光ビームL2とが互いに収束又は発散度合いの異なる光ビームとして回折光学素子211に入射する形態としては、実施例3から5で説明した、一方が収束光で他方が発散光で入射する場合や、一方が平行光で他方が収束光又は発散光で入射する場合のほか、両方が収束光又は発散光であり、かつ、その収束度合い又は発散度合いが異なる場合であってもよい。
なお、次世代高密度光ディスクと、従来のDVDとの互換を実現するためには、回折光学素子211に対し、赤色光、青色光ともに平行光を入射させた場合、光透過層の厚みの差が大きいために発生する球面収差を補正するのに必要となる、青色光の回折角と赤色光の回折角との角度差を、上述のように、約2°から3°に大きくする必要がある。ここで、回折光学素子211における回折格子211aのピッチと上記角度差との関係は、図43のグラフのようになる。図43より、上記角度差を約2°から3°にするためには、回折格子のピッチを3.5から4.5μmの細かい幅にする必要があることがわかる。
また、一般に、対物レンズ(無限系の対物レンズ)は無限遠方から来た青色光に対して最適化されているため、回折光学素子から出射した光を平行光にする必要がある。そのために、回折光学素子において、回折面で曲げられた青色光を屈折面(回折光学素子の対物レンズ側の面)で平行光にする必要がある。なお、こうすることにより、回折光学素子と対物レンズとの位置ずれによる収差の発生を防止することもできる。
そこで、回折光学素子に対して平行光で入射した青色光が回折光学素子を通過後も平行光となる場合の、回折格子のピッチと回折光学素子の屈折面の曲率半径との関係を図44に示す。なお、図44に示した関係は、有効半径が2mmの対物レンズを使用する光ピックアップにおける回折光学素子の場合である。また、回折光学素子の屈折面は球面とする。図44より、回折格子のピッチを上記の3.5から4.5μmとするためには、回折光学素子の屈折面の曲率半径を2.2mm以下にする必要があることがわかる。
しかし、一般的な対物レンズの有効半径が2mmであることから、回折光学素子の有効径も2mmとなるため、曲率半径が2.2mm以下の屈折面はほぼ半球となり、作製が不可能、あるいは実質上使用が不可能となる。また、屈折面を非球面にしたとしても、曲率半径が極端に小さいため、作製が困難であり、また、作製できたとしても、軸上の集光特性は何れの光ディスクの場合も0.018λ(rms)と大きくなってしまう。
ところが、上述のように、本実施形態にかかる光ピックアップ200によれば、上述したように、このような問題を解決することができる。すなわち、本光ピックアップ200によれば、透過層の厚さ及び再生に最適な波長の異なる記録媒体に対して、情報の記録又は再生が可能であるとともに、作製しやすく、かつ、集光する光ビームの収差を十分に小さくすることができるという効果を奏する。
本実施形態においては、図9に示す光ピックアップの他に、例えば、図45に示す光ピックアップにおいても適用可能である。この図45に示す光ピックアップは、図9に示す光ピックアップ200における1/4波長板8と球面収差補正系6との位置が逆になっているだけで、その他の構成は、図9に示す光ピックアップ200と同じである。
〔実施形態3〕
図17に、本実施形態の光ピックアップ300の概略構成を示す。本実施形態では、次世代高密度光ディスク(第1光ディスク14a、第1記録媒体)、従来のDVD(第2光ディスク14b、第2記録媒体)、及び従来のCD(第3光ディスク14c、第3記録媒体)に対応可能な光ピックアップ300について説明する。
なお、第1光ディスク14aは、使用する光(第1光ビームL1)が波長(第1波長λ1)405nm付近の短波長の青色光、光透過層の厚さt1が0.1mmのものであり、第2光ディスク14bは、使用する光(第2光ビームL2)が波長(第2波長λ2)650nm付近の長波長の赤色光、光透過層の厚さt2が0.6mmのものであり、第3光ディスク14cは、使用する光(第3光ビームL3)が波長(第3波長λ3)780nm付近の長波長の赤外光、光透過層の厚さt3が1.2mmのものである。
光ピックアップ300は、第1波長λ1を有する第1光ビームL1を出射する半導体レーザ1a、第1波長λ1より長い第2波長λ2を有する第2光ビームL2を出射する半導体レーザ1b、及び第2波長λ2より長い第3波長λ3を有する第3光ビームL3を出射する半導体レーザ1cを備えている。半導体レーザ1a、半導体レーザ1b及び半導体レーザ1c(光源)は、対象となる光ディスクに応じて互いに切り換えて点灯される。
上記光ピックアップ300は、さらに、半導体レーザ1a・1bから出射された第1及び第2光ビームL2をそれぞれほぼ平行光にするコリメータレンズ2a・2b、楕円形強度分布を有する第1及び第2光ビームL2をそれぞれほぼ円形の強度分布に整形する整形プリズムなどの整形光学系3a・3b、整形光学系3a・3bからの第1及び第2光ビームL2をそれぞれ透過させるビームスプリッタ4a・4bを備えている。
整形光学系3a・3bは、1つの三角プリズム、貼り合わされた三角プリズム、あるいは独立して配置された2つの三角プリズム等の公知の光学系によって構成されている。なお、光ピックアップ300は、整形光学系3a・3bを備えていなくてもよい。
さらに、光ピックアップ300は、半導体レーザ1cから出射された第3光ビームL3を所定の発散光にする補正レンズ2c、補正レンズ2cを経た第3光ビームL3を透過させるビームスプリッタ4cを備えている。ここで、補正レンズ2cは、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトの影響を小さくする目的で挿入されている非球面のレンズである。
半導体レーザ1a、コリメータレンズ2a、整形光学系3a、及びビームスプリッタ4aにより第1光学系16aが構成され、半導体レーザ1b、コリメータレンズ2b、整形光学系3b、及びビームスプリッタ4bにより第2光学系16bが構成され、半導体レーザ1c、補正レンズ2c、及びビームスプリッタ4cにより第3光学系16cが構成されている。
第1及び第2光学系16a・16bから出射された第1及び第2光ビームL2は、ダイクロミラー5により互いの光軸が合わせられ、球面収差補償系6で光ビームの種類(第1光ビームL1又は第2光ビームL2)に応じて収束/発散度合いが変化される。その後、第1及び第2光ビームL2は、第3光学系16cから出射された第3光ビームL3とダイクロミラー7により互いの光軸が合わせられ、それ以降は共通光学系を通ることになる。
ここで、球面収差補償系6は、第1及び第2光ディスク14a・14bにおける光透過層の厚みムラ等により発生する球面収差を補正するビームエキスパンダーであるとともに、上記のように第1及び第2光ビームL2の収束/発散度合いを変化させる光ビーム制御手段としての機能を有している。なお、第3光ビームL3の収束/発散度合いを変化させる光ビーム制御手段としての機能は、補正レンズ2cが担っている。
なお、光ピックアップ300が整形光学系3a・3bを備えない構成である場合には、球面収差補償系6を用いることなく、コリメータレンズ12a・12bを使って第1及び第2光ビームL2の収束/発散度合いを変化させるようにしてもかまわない。さらに、これら以外の素子を使って第1及び第2光ビームL2の収束/発散度合いを変化させるようにしてもよい。
共通光学系において、第1、第2及び第3光ビームは、1/4波長板8を通過し、ミラー9で反射された後、対物レンズユニット313に入る。
対物レンズユニット313に入った第1、第2及び第3光ビームは、波長選択性開口フィルタ310、回折光学素子311、及び対物レンズ312を順次通過し、第1光ディスク14a、第2光ディスク14b又は第3光ディスク14cの情報記録面上に微小な光スポットを形成する。
また、波長選択性開口フィルタ310は、波長が第1波長λ1の第1光ビームL1に対しては開口数がNA1(具体的には0.85)となるように働き、波長が第2波長λ2の第2光ビームL2に対しては開口数がNA2(具体的には0.6)となるように働き、波長が第3波長λ3の第3光ビームL3に対しては開口数がNA3(具体的には0.45)となるように働くことで開口制御する。なお、ここでは波長選択性開口フィルタ310を、ミラー9と回折光学素子311との間に配置しているが、回折光学素子311及び対物レンズ312と一体的に動作可能であり、かつ、対物レンズ312と光源との間の場所であればどこに配置してもかまわない。また、上記のような開口制御と同じ機能を有するものであれば、波長選択性開口フィルタ310以外のものであってもよい。
波長選択性開口フィルタ310、回折光学素子311及び対物レンズ312は、対物レンズユニット313として一体化され、光ピックアップ300の他の光学系に対して、光軸方向、すなわち図17中矢印Z方向に移動できるようになっている。これにより、第1、第2及び第3光ディスク14a・14b・14cの情報記録面の面振れや、第1、第2及び第3光ディスク14a・14b・14cの情報トラックの回転偏心に対して、集光スポットを良好に追従させることができる。
光ピックアップ300は、以上の光照射光学系に加えて、さらに再生信号検出光学系15a・15b・15cを備えている。再生信号検出光学系15a・15b・15cでは、公知の種々の光学系により、自動焦点やトラック追従といった光点制御信号、及び光ディスクに記録された情報信号の再生が行なわれる。
対物レンズユニット313は、第1、第2及び第3光ビームをそれぞれ第1、第2及び第3光ディスク14a・14b・14cの情報記録面へ集光する対物レンズ312、透光性を有する発散型のレンズである平凹レンズ311bと平凹レンズ311bの平面上に形成された収束型の回折格子311aとを有する回折光学素子311、及び波長選択性開口フィルタ310が一体化された組立体である。
回折光学素子311を、収束型の回折格子311aと、発散型の平凹レンズ311bとを有する構成にすることにより、波長変動に対する波面収差の劣化を抑えることができ、波長変動に対しても良好な集光特性を得ることができる。なお、本明細書においては、収差の量を表す語として波面収差を使用する。
ここでは、部品点数を減らすために、平凹レンズ311bの平面上に回折格子311aを形成して回折光学素子311を構成しているが、回折素子及びレンズの2つの光学素子を組み合わせて回折光学素子を構成してもよい。いずれにしても、回折光学素子311において回折作用を有する面を回折面、屈折作用を有する面を屈折面と称する。
なお、本光ピックアップ300では、回折光学素子311の回折格子311aが波長選択性開口フィルタ310(光源側)にあるが、対物レンズ312側に回折格子311aがあっても同様の効果を得ることができる。
また、透光性のレンズの平面とは反対側の凹面(屈折面)上に回折格子を備えた回折光学素子を用いて対物レンズユニット313を構成してもよい。この場合は、凹面と回折格子との位置合わせが簡単になる。
回折光学素子311の平凹レンズ311bは、ガラス又はプラスチックなどからなっている。また、回折光学素子11の回折格子311aは、平凹レンズ311bの平面上に、光軸を中心にして同心円状に、切削された環状溝又はフォトリソグラフィにより積層された凸の輪帯からなる。もしくは、ガラスモールドや樹脂成型により光軸を中心に同心円状に作製されている。
この回折格子311aは、光軸を含んだ平面に現れる断面形状がブレーズ形状すなわち鋸歯状に形成されることが好ましい。鋸歯状断面の回折格子311aは、回折効率が他より高いので有利である。また、回折格子311aは、光軸を含んだ平面に現れる断面形状が階段状となるように形成されてもよい。階段状断面の回折格子311aは、鋸歯状断面の回折格子311aに次いで回折効率が高いので有利である。
ここで、対物レンズ312は、第1光ビームL1(青色光:波長405nm)が第1光ディスク14a(次世代高密度光ディスク:使用波長405nm、光透過層0.1mm)の情報記録面に対して収差が補正されるように設計しておく。
回折光学素子311を通過後の第1、第2及び第3光ビームの収束/発散度合いΦoutb、Φoutr、ΦoutIrはそれぞれ数式9のように表すことができる。
Figure 0005335856
ただし、Φinb、Φinr及びΦinIrは、それぞれ回折光学素子311に入射する第1、第2及び第3光ビームの収束/発散度合いを表し、ΦHOEb、ΦHOEr及びΦHOEIrは、第1、第2及び第3光ビームに対する回折光学素子311の回折面でのパワーを表し、ΦLb、ΦLr及びΦLIrは、第1、第2及び第3光ビームに対する回折光学素子311の屈折面でのパワーを表している。
ここで、本明細書における収束/発散度合いや各面でのパワーの定義について図18を用いて説明する。図18は、屈折率nの部材で作られた回折光学素子311を通過する光線の状態を、光軸に垂直な方向から見た断面図であり、物点Oからの光線が回折面Tで回折され、屈折面Sで屈折されている様子を表している。
回折光学素子311に入射する収束/発散度合い(入射収束/発散度合い)Φinは、物点Oと、光軸が回折面Tに交わる点Aとの距離sの逆数を表す。つまり、回折面Tの光軸との交点Aから距離h離れた回折面Tに角度uで入射する光線の収束/発散度合いは数式10のように表すことができる。
Figure 0005335856
また、回折光学素子311から出射する収束/発散度合い(出射収束/発散度合い)Φoutは、回折光学素子311通過後の光線と光軸とが交わる点O’と、屈折面Sとの距離s’の逆数を表す。つまり、屈折面Sの頂点Bから距離h’離れた屈折面Sからu’の角度で出射する光線の収束/発散度合いは数式11のように表すことができる。
Figure 0005335856
なお、本明細書では、収束/発散度合いが負の値のときは発散光を、正の値のときは収束光を表す。また、本明細書では、ΦinやΦoutに、第1光ビームL1に対する対物レンズ312の有効径φをかけたφ×Φinやφ×Φoutにより収束/発散度合いを表すこともある。
次に、屈折面SのパワーΦLb,ΦLr,ΦLIrは、数式12のように表すことができる。なお、本明細書では、パワーが負の値のときは発散のパワーを、正の値のときは収束のパワーを表す。
Figure 0005335856
ここで、nb,nr,nIrは、それぞれ第1、第2及び第3光ビームについての回折光学素子311の屈折率であり、Rは屈折面Sの曲率半径である。また、回折面TのパワーΦHOEは、回折面Tの形状を表す光路差関数から求めることができる。なお、屈折面Sのパワーと回折面TのパワーΦHOEとは、入射光線を屈折させる能力を表す値として、同等の意味をもつものである。
第1光ビームL1が平行光で対物レンズ312に入射し、第1光ディスク14aに対して無収差となる場合、第2及び第3光ディスク14b・14cに対して、光透過層の厚みの差により発生する球面収差を補正するのに必要な第2及び第3光ビームの回折光学素子311通過後の収束/発散度合い(対物レンズに入射する収束/発散度合い)は一般的に、それぞれ数式13の範囲であればよい。なお、数式13におけるφは第1光ビームL1に対する対物レンズ312の有効径を表す。
Figure 0005335856
本光ピックアップ300は、回折光学素子311を用いることで、数式14を満たすように設計されている。
Figure 0005335856
これにより、発散度合いの絶対値が比較的小さい第2及び第3光ビームを対物レンズユニット313に入射させても、光透過層の厚さの違いにより発生する球面収差を補正するのに十分な発散度合いの光ビームを対物レンズ312に入射させることができるようになる。このように、発散度合いの絶対値が比較的小さい第2及び第3光ビームを対物レンズユニット313に入射させることができるので、トラッキングなどに伴う対物レンズユニット313のラジアル方向(入射する第1、第2及び第3光ビームの光軸にほぼ直交する方向、図17中矢印Z方向)のシフトの影響を小さくすることができる。
上記数式14を満たすためには、回折面の形状を表す光路差関数や、第1、第2及び第3光ビームの利用する回折次数、回折光学素子311へ入射する第1、第2及び第3光ビームの収束/発散度合い、屈折面の曲率半径、回折光学素子311の屈折率から決まる。
また、本光ピックアップ300では、Φoutb=0であることが好ましい。これにより、波面収差の精度が最も厳しい短波長の第1光ビームL1を対物レンズ312に対して平行光で入射することができる。その結果、第1光ビームL1を使用する場合において、回折光学素子311と対物レンズ312との位置ずれに起因する収差の発生を抑制することができる。
次に、回折光学素子311の回折面で回折した光ビームのうち、利用する光ビームの回折次数について説明する。ブレーズ化した回折格子の回折効率は、数式15で求める事ができる。
Figure 0005335856
ここで、mは回折次数、A(x)は透過振幅分布、φ(x)は位相分布、Tはx軸方向の周期の長さを示す。なお、以下の計算においてはA(x)=1として規格化している。この数式15を用いて、PC(ポリカーボネイト)基板に回折格子を形成した場合の回折効率を具体的に計算した結果を図19に示す。
図19において、B0,B1,B2,R0,R1,R2,Ir0,Ir1,Ir2は、それぞれ第1光ビームL1の0次回折光、1次回折光、2次回折光、第2光ビームL2の0次回折光、1次回折光、2次回折光、第3光ビームの0次回折光、1次回折光及び2次回折光の回折効率を表している。
本光ピックアップ300では、第1光ビームについては2次回折光を利用し、第2及び第3光ビームについてはそれぞれ1次回折光を利用するように設定している。これにより、第1、第2及び第3光ビームそれぞれの利用効率を高めることができる。
具体的には回折光学素子の材料としてPCの場合、図19より、回折格子の深さを約1.3μmにすることで、第1光ビームL1をほぼ100%利用可能であり、かつ、第2及び第3光ビームにおいても90%以上で利用可能になる。これにより、高出力の光ビームが必要な情報の記録や消去を行う光ピックアップを容易に実現できる。また、光源の出力を小さくできるため、消費電力を抑えることができる。さらに、利用回折光以外の不要光がほとんど発生することがないため、再生時に再生信号検出光学系15a等の検出器に迷光が入射することを抑制し、再生信号の劣化を抑えることができる。
次に、第1、第2及び第3光ビームの回折光学素子311への入射収束/発散度合いの関係を図20に示す。図20は、第1光ビームL1の入射収束/発散度合い(φ×Φinb)を変化させたときの、第2及び第3光ビームの入射収束/発散度合い(φ×Φinr及びφ×ΦinIr)の変化を示している。
ここで、第1光ビームL1の対物レンズ312への入射光(回折光学素子311からの出射光)は平行光(φ×Φoutb=0)としている。
また、第2光ビームL2の対物レンズ312への入射光(回折光学素子311からの出射光)は発散光φ×Φoutr=−0.1とし、第3光ビームの対物レンズ312への入射光(回折光学素子311からの出射光)は発散光φ×ΦoutIr=−0.2としている。これらの発散度合いは、第2及び第3光ビームをそれぞれ第2及び第3光ディスク14b・14cに集光させるときに、第1光ディスク14aとの光透過層の厚みの差により発生する球面収差を補正するのに必要な一般的な発散度合いの範囲として上述した、数式13のそれぞれほぼ中心値であり、補正するのにもっとも効果のある発散度合いである。
また、ここでは回折光学素子311の回折面における利用する回折次数を第1光ビームL1は2次回折光、第2及び第3光ビームはそれぞれ1次回折光とし、回折光学素子311の屈折面の曲率半径は5mmで回折光学素子311の材料はPCを使用している。そして、回折光学素子311の回折面の形状を変化させることにより、第1光ビームL1の入射収束/発散度合いを変化させている。
図20からわかるように、第1光ビームL1の入射収束/発散度合いと、第2及び第3光ビームの入射収束/発散度合いとは、ほぼ比例関係にある。また、第3光ビームL3の回折光学素子311への入射収束/発散度合いを負の値、つまり、第3光ビームL3を発散光で回折光学素子311へ入射させることにより、第1及び第2光ビームL2の回折光学素子311への入射収束/発散度合いの絶対値を比較的小さく抑えることができる。そして、特に第1光ビームL1の入射収束/発散度合いが0以上の範囲、つまり、第1光ビームL1を平行光又は収束光で回折光学素子311に入射させる場合において、第2及び第3光ビームの入射収束/発散度合いの絶対値が小さくなる。
したがって、例えば、回折光学素子311に対して第1及び第2光ビームがそれぞれ平行光及び発散光で入射するように設定することが好ましい。これにより、最も厳しい集光特性が要求される第1光ビームL1を回折光学素子311に対して平行光で入射させつつ、回折光学素子311に対して入射する第2及び第3光ビームの発散度合いを比較的小さくすることができる。その結果、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトによる集光特性の劣化をより効果的に抑えることができる。
あるいは、回折光学素子311に対して第1光ビームL1が収束光で入射し、第2光ビームL2が収束光、平行光又は発散光で入射するように設定することが好ましい。これにより、回折光学素子311に対して入射する第1、第2及び第3光ビームの収束/発散度合いの絶対値を比較的小さくすることができる。その結果、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトによる集光特性の劣化をより効果的に抑えることができる。
これを具体的に検証した結果を図21に示す。図21は、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトのシフト量が200μmであるときの、第1光ビームL1の回折光学素子311への入射発散度合いと波面収差との関係を示したものである。
本光ピックアップ300では、図20より、第1光ビームL1の回折光学素子311への入射収束/発散度合いを数式16範囲とすることで、第2及び第3光ビームの回折光学素子11への入射収束/発散度合いがそれぞれ数式17、18を満たすようになる。
Figure 0005335856
Figure 0005335856
Figure 0005335856
の範囲にある。そして、この場合、図21に示すように、第1、第2及び第3光ビーム全てについて波面収差を0.04λrms以下に抑えることができる。
また、この場合、図21からわかるように、上述した数式14を満たすことになる。これにより、回折光学素子311に入射する第2及び第3光ビームの収束/発散度合いを小さくすることができ、トラッキングなどに伴う対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトの影響を小さくすることができる。
ここで、第1、第2及び第3光ビームについての回折光学素子311のパワーΦb・Φr・ΦIrを数式19のように定義する。つまり、回折光学素子311のパワーは、回折面のパワー(ΦHOE)と屈折面のパワー(ΦL)との和として定義する。
Figure 0005335856
上記数式9及び数式19より、数式20が成り立つ。
Figure 0005335856
よって、Φinの範囲を示す16,17,18と、Φoutの範囲を示すΦoutb=0、及び数式13とより、本光ピックアップ300では、回折光学素子311のパワーがそれぞれ、数式21を満たしていることになる。
Figure 0005335856
これにより、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトの有無にかかわらず良好な波面収差を得ることができる。
また、回折光学素子311の回折面及び屈折面のそれぞれのパワーは、回折光学素子311のパワーが上記範囲内となる範囲で適宜設定することが可能であるが、本光ピックアップ300では回折面が正のパワー(収束型の回折面)をもち、屈折面が負のパワー(凹面)をもつ。これにより、後述するように、光源の波長がシフトした場合に発生する波面収差の増加量を低減することが可能になる。
ここで、第1光ビームL1の回折光学素子311への入射収束/発散度合いφ×Φinb=0(回折光学素子311に対し、第1光ビームL1を平行光で入射させる)とすることにより、波長が短いため集光特性がより厳しくなる第1光ビームL1に対しても、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトによる波面収差の劣化を小さくすことができる。さらに、φ×Φoutb=0(対物レンズ312に対し、第1光ビームL1を平行光で入射させる)とする場合には、第1光ビームL1の回折光学素子311のパワーはΦb=0になるように設定される。この構成についての詳細は実施例6で説明する。
また、別の実施例として、第1光ビームL1の回折光学素子311への入射発散度合いをφ×Φinb=0.06程度(回折光学素子311に対し、第1光ビームL1を収束光で入射させる)とすると、ほぼφ×Φinr=0であり(ほぼ平行光入射)、ほぼφ×ΦinIr=−0.15(発散光入射)(図20参照)である。この場合、第2光ビームL2に対しても対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトによる波面収差の劣化を小さくすことができる(図21参照)。この構成についての詳細は実施例7で説明する。
また、上記のように所定の収束/発散度合いの第1、第2及び第3光ビームを回折光学素子311に入射することで、対物レンズユニット313がラジアル方向にシフトした場合でも波面収差の劣化を抑えられるが、回折光学素子311に発散光を入射したときに対物レンズユニット313がラジアル方向にシフトすることで発生するコマ収差が小さくなるように非球面レンズを光源と回折光学素子311の間に挿入することでさらに良好な波面収差を得ることができる。
(実施例6)
本発明の実施例について、図22(a)(a)(c),図23(a)(b)(c),図24に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施例は、集光特性がより厳しくなる第1光ビームL1に対して、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトの影響をほぼなくすことができるように、図22(a)(b)(c)に示すように、第1光ビームL1が回折光学素子311に入射するときの収束/発散度合いφ×Φinb=0となる構成である。なお、ここでは、第1光ビームL1に対する有効径φ=3mmの対物レンズ312を使用した。
本実施例としては、第1光ビームL1に対しては平行光φ×Φinb=0で回折光学素子に入射し、回折光学素子311の回折面で2次回折光を利用し、第2光ビームL2に対しては発散光φ×Φinr=−0.048で回折光学素子に入射し、回折光学素子311の回折面で1次回折光を利用し、さらに、第3光ビームL3に対しては発散φ×ΦinIr=−0.18で回折光学素子に入射し、回折光学素子311の回折面で1次回折光を利用する光ピックアップ300を作製した。
回折光学素子311は、凹面311cと回折格子311aで構成されており、非球面の対物レンズ312の光源側に配置され、凹面は球面形状で曲率半径は5mmとした。
ここで、凹面311cを球面状にすることにより凹面311cの作製が容易になる。また、非球面形状とすることで、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフト特性をより改善することができる。
本実施例の光ピックアップ300では、第1光ディスク14aに対しては、図22(a)に示すように、第1光ビームL1がこの回折光学素子311に平行光φ×Φinb=0で入射させ、回折格子311a回折面で2次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された光ビームが、凹面311cで発散方向に屈折されることにより、平行光で対物レンズ312に入射し、光透過層厚0.1mmの第1光ディスク14a上に集光し、良好な集光特性が得られる。
第2光ディスク14bに対しては、図22(b)に示すように、第2光ビームL2が回折光学素子311に発散光束φ×Φinr=−0.048で入射させ、回折格子311aの回折面で1次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された光ビームが、凹面311cで発散方向に屈折することにより、所定の発散度合いの光ビーム(本実施例ではφ×Φoutr=−0.1)で対物レンズ312に入射し、光透過層厚0.6mmと厚い第2光ディスク14bに対して良好な集光特性を得ることができる。
このとき、回折光学素子311を配置することで対物レンズ312に入射する発散度合いより小さな発散度合いの光ビームを対物レンズユニット313に入射することが可能になり、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトに対する影響を小さくすることができる。
また、第3光ディスク14cの場合、図22(c)に示すように、第3光ビームL3が回折光学素子311に発散光束φ×ΦinIr=−0.18で入射した場合、回折格子311aの回折面で1次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された光ビームが、凹面311cで発散方向に屈折することにより、所定の発散度合いの光ビーム(本実施例ではφ×ΦoutIr=−0.2)で対物レンズ312に入射し、光透過層厚1.2mmと厚い第3光ディスク14cに対して良好な集光特性を得ることができる。
このとき、回折光学素子311を配置することで対物レンズ312に入射する発散度合いより小さな発散度合いの光ビームを対物レンズユニット313に入射することが可能になり、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトに対する影響を小さくすることができる。
本実施例として作製した光ピックアップ300を用いて第1、第2及び第3光ビームをそれぞれ第1、第2及び第3光ディスク14a・14b・14cに集光させた場合の、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフト(対物シフト)のシフト量に対する像面での波面収差λrmsの変化を図23(a)(b)(c)に実線で示す。また、比較のために作製した光ピックアップ(比較例1a)を用いた場合を図23(a)(b)(c)に破線で示す。なお、図23(a)は第1光ビームL1を第1光ディスク14aに集光した結果であり、図23(b)は第2光ビームL2を第2光ディスク14bに集光した結果であり、図23(c)は第3光ビームL3を第3光ディスク14cに集光した結果である。
比較例1aは、第1光ビームL1を対物レンズに対して平行光で入射させ、第2及び第3光ビームについては光透過層厚の差による球面収差を補正するために所定の発散光を対物レンズに入射させ、その発散光の光路中に対物レンズのシフト特性の悪化を防ぐために非球面のレンズを挿入し、波面収差が最適となるように作製したものである。
図23(a)からわかるように、本実施例の光ピックアップ300を用いることにより、第1光ディスク14aに良好な集光スポットを形成することができる。
また、図23(b)からわかるように、本実施例の光ピックアップ300を用いることにより、第2光ディスク14bに良好な集光スポットを形成することができる。比較例1aと比較すると、第2光ビームL2を発散光で回折光学素子311に入射させることにより発生する、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトの影響が大きくなっている部分もあるが、波面収差の劣化度合いは小さく抑えられている。ここで、より対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトの影響を抑えるために、光源と回折光学素子311との間のレンズ面を非球面としている。
また、図23(c)からわかるように、本実施例の光ピックアップ300を用いることにより、第3光ディスク14cに良好な集光スポットを形成することができる。本実施例の光ピックアップ300において、第3光ビームL3を発散光で回折光学素子311に入射させることにより発生する、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトによる影響を、比較例1aと比較して低減することができる。ここで、より対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトの影響を抑えるために、光源と回折光学素子311との間のレンズ面を非球面としている。
このように、本実施例の光ピックアップ300では、第1光ビームL1については比較例1aと同等、第3光ビームL3については比較例1aより良好な波面収差を得ることができる。また、第2光ビームL2については、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトのシフト量によっては比較例1aより波面収差が劣化する場合もあるが、劣化の程度は小さく抑えることができる。
次に、本実施例の光ピックアップ300を用いて第1光ビームL1を第1光ディスク14aに集光させた場合の、第1光ビームL1の波長のシフトに対する波面収差λrmsの変化を図24に実線で示す。また、比較のために作製した第1光ディスク14a専用の光ピックアップ(比較例1b)を用いた場合を図24に破線で示す。比較例1bは、本実施例の光ピックアップ300における対物レンズ312(第1光ビームL1専用の対物レンズ312)単体で対物レンズユニットを構成したものである。ここで、各波長における波面収差の値は、波面収差が最小となる波長における最良像点の位置での値である。
図24からわかるように、本実施例の光ピックアップ300では、比較例1bよりも使用可能な波長範囲が広い。これは、本実施例の光ピックアップ300の回折光学素子311が収束型の回折格子及び平凹レンズで構成されているためであり、これにより第1光ビームL1専用の対物レンズを単体で用いる場合よりも波長依存特性を改善することができる。
一般的に、次世代高密度光ディスクで使用する高NAの対物レンズは屈折率の高い硝材を使用しているため、波長依存性が大きく、そのためモードホップなどのようなアクチュエータが追従できない波長変動に対して焦点位置が大きくずれてしまい良好なスポットを形成することが困難である。しかし、本実施例の光ピックアップ300を用いれば、モードホップなどによる波長変動が生じても、良好な集光スポットを形成することができる。
さらに、図19からわかるように、本実施例の光ピックアップ300における回折光学素子311の回折面は第1光ビームL1に対しては2次回折光を、第2及び第3光ビームに対しては1次回折光を利用しているため、第1、第2及び第3光ビームのすべてに対して90%以上の効率で光の利用が可能となる回折格子の深さを設定できる。このため、高出力の光ビームが必要な情報の記録や消去を行う光ピックアップを容易に実現できる。また、光源の出力を小さくできるため、消費電力を抑えることができる。さらに、利用回折光以外の不要光が検出器に入射するのを抑えることができるので信号の劣化が抑えられる。
(実施例7)
本発明の実施例について図25(a)(b)(c),図26(a)(b)(c),図27〜29に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施例は、図25(a)(b)(c)に示すように、第1光ビームL1が回折光学素子11に入射するときの収束度合いφ×Φinb=0.06となる構成である。なお、前記実施例6と同様に、第1光ビームL1の有効径φ=3mmの対物レンズ12を使用した。
本実施例としては、第1光ビームL1L1に対しては収束光φ×Φinb=0.06で回折光学素子311に入射し、回折光学素子311の回折面で2次回折光を利用し、第2光ビームL2に対してはほぼ平行光φ×Φinr=0で回折光学素子311に入射し、回折光学素子311の回折面で1次回折光を利用し、さらに、第3光ビームL3に対しては発散φ×ΦinIr=−0.15で回折光学素子311に入射し、回折光学素子311の回折面で1次回折光を利用する光ピックアップ3を作製した。
回折光学素子311は、凹面311cと回折格子311aで構成されており、非球面の対物レンズ312の光源側に配置され、凹面311cは球面形状で曲率半径は5mmとした。
ここで、凹面311cを作製が容易な球面形状としたが、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフト特性をより改善するために非球面形状としてもよい。
本実施例の光ピックアップ300では、第1光ディスク14aに対しては、図25(a)に示すように、第1光ビームL1L1がこの回折光学素子311に収束光φ×Φinb=0.06で入射させ、回折格子311aの回折面で2次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された光ビームが、凹面311cで発散方向に屈折されることにより、平行光で対物レンズ312に入射し、光透過層厚0.1mmの第1光ディスク14a上に集光し、良好な集光特性が得られる。
第2光ディスク14bに対しては、図25(b)に示すように、第2光ビームL2が回折光学素子311にほぼ平行光φ×Φinr=0で入射させ、回折格子311aの回折面で1次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された光ビームが、凹面311cで発散方向に屈折することにより、所定の発散度合いの光ビーム(本実施例ではφ×Φoutr=−0.1)で対物レンズ312に入射し、光透過層厚0.6mmと厚い第2光ディスク14bに対して良好な集光特性を得ることができる。
このとき、回折光学素子311を配置することで対物レンズ312に発散光を入射させ、かつ、対物レンユニット313に平行光を入射させることが可能になり、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトに対する影響を小さくすることができる。
また、第3光ディスク14cの場合、図25(c)に示すように、第3光ビームL3が回折光学素子311に発散光束φ×ΦinIr=−0.15で入射した場合、回折格子311aの回折面で1次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された光ビームが、凹面311cで発散方向に屈折することにより、所定の発散度合いの光ビーム(本実施例ではφ×ΦoutIr=−0.2)で対物レンズ312に入射し、光透過層厚1.2mmと厚い第3光ディスク14cに対して良好な集光特性を得ることができる。
このとき、回折光学素子311を配置することで対物レンズ312に入射する発散度合いより小さな発散度合いの光ビームを対物レンユニット313に入射することが可能になり、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトに対する影響を小さくすることができる。
本実施例として作製した光ピックアップ300を用いて第1、第2及び第3光ビームをそれぞれ第1、第2及び第3光ディスク14a・14b・14cに集光させた場合の、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフト(対物シフト)のシフト量に対する像面での波面収差λrmsの変化を図26(a)(b)(c)に実線で示す。また、比較のために作製した光ピックアップ(比較例2a)を用いた場合を図26(a)(b)(c)に破線で示す。なお、図26(a)は第1光ビームL1を第1光ディスク14aに集光した結果であり、図26(b)は第2光ビームL2を第2光ディスク14bに集光した結果であり、図26(c)は第3光ビームL3を第3光ディスク14cに集光した結果である。
比較例2aは、第1光ビームL1を対物レンズに対して平行光で入射させ、第2及び第3光ビームについては光透過層厚の差による球面収差を補正するために所定の発散光を対物レンズに入射させ、その発散光の光路中に対物レンズのシフト特性の悪化を防ぐために非球面のレンズを挿入し、波面収差が最適となるように作製したものである。なお、比較例2aは上記比較例1aと同一のものである。
図26(a)からわかるように、本実施例の光ピックアップ300を用いることにより、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトによる影響を抑え、第1光ディスク14aに良好な集光スポットを形成することができる。
また、図26(b)からわかるように、本実施例の光ピックアップ300を用いることにより、第2光ビームL2をほぼ平行光で回折光学素子11に入射させるため、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトによる影響を、比較例2aと比較して低減することができる。
また、図26(c)からわかるように、本実施例の光ピックアップ300を用いることにより、第3光ビームL3を発散光で回折光学素子311に入射させることにより発生する、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトによる影響を、比較例2aと比較して低減することができる。ここで、より対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトの影響を抑えるために、光源と回折光学素子311との間のレンズ面を非球面としている。
このように、本実施例の光ピックアップ300では、比較例2aと比較して、第1、第2及び第3光ディスク14a・14b・14cに対する波面収差を低減することができる。
次に、本実施例の光ピックアップ300を用いて第1光ビームL1を第1光ディスク14aに集光させた場合の、第1光ビームL1の波長のシフトに対する波面収差λrmsの変化を図27に実線で示す。また、比較のために作製した第1光ディスク14a専用の光ピックアップ(比較例2b、比較例1bと同じ)を用いた場合を図27に破線で示す。比較例2bは、本実施例の光ピックアップ300における対物レンズ312(第1光ビームL1専用の対物レンズ312)単体で対物レンズユニットを構成したものである。ここで、各波長における波面収差の値は、波面収差が最小となる波長における最良像点の位置での値である。
図27からわかるように、本実施例の光ピックアップ300では、比較例2bよりも使用可能な波長範囲が広い。これは、本実施例の光ピックアップ300の回折光学素子311が収束型の回折格子311a及び平凹レンズ311bで構成されているためであり、これにより第1光ビームL1専用の対物レンズを単体で用いる場合よりも波長依存特性を改善することができる。また、本実施例の光ピックアップ300でも、モードホップなどによる波長変動が生じても、良好な集光スポットを形成することができる。
さらに、図19からわかるように、本実施例の光ピックアップ300における回折光学素子311の回折面は第1光ビームL1に対しては2次回折光、第2及び第3光ビームに対しては1次回折光を利用しているため、第1、第2及び第3光ビームのすべてに対して90%以上の効率で光の利用が可能となる回折格子の深さを設定できる。このため、高出力の光ビームが必要な情報の記録や消去を行う光ピックアップを容易に実現できる。また、光源の出力を小さくできるため、消費電力を抑えることができる。さらに、利用回折光以外の不要光が検出器に入射するのを抑えることができるので信号の劣化が抑えられる。
ここで、第1光ビームL1を回折光学素子311にφ×Φinb=0.06の収束/発散度合いで入射させたときの、第1光ビームL1に対する回折光学素子311の屈折面のパワーと、回折面における最小格子ピッチとの関係を図28に示す。屈折面が凹面の場合を実線で示し、屈折面が凸面の場合を破線で示している。図28に示すように、屈折面を凹面とし、かつ、屈折面のパワーの絶対値を小さくした方が、回折面の最小ピッチを大きくすることができる。回折面の最初ピッチが大きくなると、回折光学素子311の作成を容易になる。また、回折面と屈折面との偏芯により発生する収差を低減することが可能になる。
また、第1光ビームL1を回折光学素子にφ×Φinb=0.06の収束/発散度合いで入射させたときの、第1光ビームL1に対する回折光学素子311の屈折面のパワーと、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフト(対物シフト)のシフト量が200μmである場合の波面収差との関係を図29に示す。図29からわかるように、回折光学素子311の屈折面のパワーが−0.1を下回ると、急激に波面収差が悪化する。このため屈折面のパワーは−0.1以上にすることが好ましい。
(実施例8)
本発明の実施例について図30(a)(b)(c),図31(a)(b)(c)、図32に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施例は、図30(a)(b)(c)に示すように、第1光ビームL1が回折光学素子311に平行光で入射するときの構成である。
実施例に係る光ピックアップ300は、集光特性がより厳しくなる第1光ビームL1に対して、対物レンズユニット313のラジアル方向へのシフトの影響をほぼなくすことができるように、第1光ビームL1が、平行光で回折光学素子311に入射する構成である。すなわち、第1光ビームL1が回折光学素子311に入射するときの収束/発散度合いφ×Φinb=0となる構成である。なお、ここでは、第1光ビームL1に対する有効径φ=3mmの対物レンズ312を使用した。
また、第1光ビームL1に対しては、平行光で回折光学素子311に入射し、該回折光学素子311の回折面で1次回折光を利用し、第2光ビームL2に対しては平行光で回折光学素子311に入射し、該回折光学素子311の回折面で0次回折光を利用し、第3光ビームL3に対しては発散光束で回折光学素子311に入射し、該回折光学素子311の回折面で0次回折光を利用する光ピックアップ300を作製した。
回折光学素子311は、凹面311c(屈折面V)と回折格子311aとで構成されており、対物レンズ312の光源側に配置され、凹面311cは非球面形状とした。
ここで、凹面311cを非球面形状とすることで、第2及び第3光ディスク14b,14cに対して、光透過層の厚みの差により発生する球面収差をさらに補正し、かつ、対物レンズユニット313のラジアル方向へのシフト特性をより改善することができ、より良好な集光特性が得ることができる。
光ピックアップ300では、第1光ディスク14aに対しては、図30(a)に示すように、第1光ビームL1が回折光学素子11に平行光で入射し、回折格子311aの回折面で1次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された光ビームが、凹面311cで発散方向に屈折されることにより、平行光で対物レンズ312に入射し、光透過厚0.1mmの第1光ディスク14a上に集光し、良好な集光特性が得られる。
第2光ディスク14bに対しては、図30(b)に示すように、第2光ビームL2が回折光学素子311にほぼ平行光で入射した場合、回折格子311aの回折面では回折されない第2光ビームL2が、凹面311cで発散方向に屈折することにより、所定の発散度合いの光束(本実施例ではφ×Φoutr=−0.03)で対物レンズ312に入射し、光透過厚0.6mmと厚い第2光ディスク14bに対して良好な集光特性が得ることができる。また、凹面311cの形状を非球面とすることで残存する球面収差をさらに補正し、かつ、対物レンズユニット313のシフト特性の悪化を抑えることができ、より良好な集光特性を得ることができる。
このとき、回折光学素子311を配置することで、対物レンズユニット313に、第2光ビームL2をほぼ平行光で入射しても、対物レンズ312には所定の発散度合いで光ビームを入射することが可能になる。そのため、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトに対する影響を小さくすることができる。
また、第3光ディスク14cの場合、第3光ビームL3が回折光学素子311に発散光束で入射した場合、回折格子311aの回折面で回折されない光ビームが、凹面311cで発散方向に屈折することにより、所定の発散度合いの光束(本実施例では、φ×ΦoutIr=−0.07)で対物レンズ312に入射し、光透過厚1.2mmと厚い第3光ディスク14cに対して良好な集光特性が得ることができる。また、凹面311cの形状を非球面とすることで残存する球面収差をさらに補正し、かつ、対物レンズユニット313のシフト特性の悪化を抑えることができ、より良好な集光特性が得ることができる。
このとき、回折光学素子311を配置することで対物レンズ312に入射する発散度合いより小さな発散度合いの光ビームを対物レンズユニット313に入射することが可能になり、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトに対する影響を小さくすることができる。
以上のように、実施例に係る光ピックアップ300における回折光学素子311の回折面は第1光ビームL1に対しては1次回折光、第2及び第3光ビームに対しては0次回折光を利用しているため、高出力の光ビームが必要な情報の記録や消去を行う光ピックアップが容易に実現できる。また、光源の出力を小さくできるため、消費電力を抑えることができる。
また、本実施例では、収束型の回折面を有する回折格子311aと凹面311cを組み合わせた回折光学素子311を配置することで対物レンズユニット313に弱い発散光を入射するだけで、対物レンズ12に所定の発散度合いで光ビームを入射することが可能になる。そのため、対物レンズユニット313のラジアル方向へのシフトに対する影響を小さくすることができ、また半導体レーザ1a,1b,1cを、上記対物レンズユニット313に対し、遠い位置に配置することが可能になり、該半導体レーザ1a,1b,1cの配置が容易になる。しかも、上記回折光学素子311が、収束型の回折面と凹面からなる屈折面とを有していることで、第1光ディスク14a専用の光ピックアップよりも使用可能な波長範囲が広くなり、第1光ディスク14a専用の対物レンズを単体で用いる場合よりも波長依存特性を改善することができる。このため、上記の構成によれば、モードポップなどによる波長変動が生じても、良好な集光特性を保つことができる。また、上記の構成によれば、回折光学素子311の回折面の最小ピッチを広げることができ、回折光学素子311の作成を容易にすることができる。
本実施例で作製した光ピックアップ300を用いて第1,第2及び第3光ビームをそれぞれ第1,第2及び第3光ディスク14a,14b,14cに集光させた場合における対物レンズユニット313のラジアル方向のシフト(対物シフト)のシフト量に対する像面での波面収差λrmsの変化を図31(a)〜(c)に実線aで示す。また、比較のために作製した光ピックアップ(以下、比較用光ピックアップ(I)と記す)を用いて同様の操作を行った場合における対物レンズユニット313のラジアル方向のシフト(対物シフト)のシフト量に対する像面での波面収差λrmsの変化を図31(a)〜(c)に破線bで示す。なお、図31(a)は第1光ビームL1を第1光ディスク14aに集光した結果であり、図31(b)は第2光ビームL2を第2光ディスク14bに集光した結果であり、図31(c)は第3光ビームL3を第3光ディスク14cに集光した結果である。なお、本明細書においては、収差の量を表す語として、前記したように波面収差を使用する。
また、比較用光ピックアップは、第1光ビームL1を対物レンズに対して平行光で入射させ、第2及び第3光ビームについては光透過層厚の差による球面収差を補正するために所定の発散光を対物レンズに入射させ、その発散光の光路中に対物レンズのシフト特性の悪化を防ぐために非球面のレンズを挿入し、波面収差が最適となるように作製したものである。
図31(a)からわかるように、実施例に係る光ピックアップ300を用いることにより、対物レンズユニット313のラジアル方向へのシフトによる影響を抑え、第1光ディスク14aに良好な集光スポットを形成することができる。
また、図31(b)からわかるように、実施例に係る光ピックアップ300を用いることにより、第2光ビームL2をほぼ平行光で回折光学素子311に入射させるため、第2光ディスクに良好な集光スポットを形成することができる。特に、本実施例では、比較用光ピックアップと比較して、第2光ビームL2を発散光で回折光学素子311に入射させることにより発生する対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトによる影響が小さく抑えられている。
また、図31(c)からわかるように、実施例に係る光ピックアップ300を用いることにより、第3光ディスク14cに良好な集光スポットを形成することができる。実施例の光ピックアップ300によれば、第3光ビームL3を発散光で回折光学素子311に入射させることにより発生する、対物レンズユニット313のシフトによる影響を、比較用光ピックアップと比較して低減することができる。
このように、実施例の光ピックアップ300では、第1光ビームL1については比較用光ピックアップと同等、第2及び第3光ディスク14b,14cについて従来の光ピックアップより良好な波面収差を得ることができる。
次に、実施例の光ピックアップ300を用いて第1光ビームL1を第1光ディスク14aに集光させた場合における第1光ビームL1の波長の変化(シフト)に対する波面収差λrmsの変化を図32に実線cで示す。また、比較のために作製した第1光ディスク14a専用の光ピックアップを用いた場合における第1光ビームL1の波長の変化(シフト)に対する波面収差λrmsの変化を図32に破線dで示す。比較用光ピックアップは、実施例に係る光ピックアップ300における対物レンズ312(第1光ビームL1専用の対物レンズ312)単体で対物レンズユニットを構成したものである。ここで、各波長における波面収差の値は、波面収差が最小となる波長における最良像点の位置での値である。
図32からわかるように、実施例に係る光ピックアップ300では、比較用光ピックアップよりも使用可能な波長範囲が広い。また、実施例に係る光ピックアップ300では、第1光ディスク14a専用の光ピックアップよりもモードホップなどのようなアクチュエータが追従できない波長変動に対しての収差の劣化が少ない。これらは、実施例に係る光ピックアップ300の回折光学素子311が収束型の回折格子311a及び平凹レンズ311bで構成されているためであり、これにより、第1光ビームL1専用の対物レンズを単体で用いる場合よりも波長依存特性を改善することができる。
一般的に、次世代高密度光ディスクで使用する高NAの対物レンズは屈折率の高い硝材を使用しているため、波長依存性が大きく、そのためモードホップなどのようなアクチュエータが追従できない波長変動に対して焦点位置が大きくずれてしまい良好なスポットを形成することが困難である。しかし、実施例に係る光ピックアップ3を用いれば、モードホップなどによる波長変動が生じても、良好な集光スポットを形成することができる。
(実施例9)
本発明の実施例について図33(a)(b)(c),図34(a)(b)(c)に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施例は、図33(a)(b)(c)に示すように、第1光ビームL1が回折光学素子311に平行光で入射するときの構成である。
本実施例に係る光ピックアップ300は、集光特性がより厳しくなる第1光ビームL1に対して、対物レンズユニット313のラジアル方向へのシフトの影響をほぼなくすことができるように、第1光ビームL1が、平行光で回折光学素子311に入射する構成である。すなわち、本実施例に係る光ピックアップ300もまた、前記実施例8同様、第1光ビームL1が回折光学素子311に入射するときの収束/発散度合いφ×Φinb=0となる構成である。なお、ここでは、前記実施例8と同様に、第1光ビームL1に対する有効径φ=3mmの対物レンズ12を使用した。
本実施例においては、第1光ビームL1に対しては、平行光で回折光学素子311に入射し、回折光学素子311の回折面で1次回折光を利用し、第2光ビームL2に対しては、平行光で回折光学素子311に入射し、回折光学素子311の回折面で1次回折光を利用し、第3光ビームL3に対しては発散光束で回折光学素子311に入射し、回折光学素子311の回折面で1次回折光を利用する光ピックアップ300を作製した。
回折光学素子311は、凸面311d(屈折面V)と回折格子311aとで構成されており、対物レンズ312の光源側に配置され、凸面311dは非球面形状とした。
ここで、凸面311dを非球面形状とすることで、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフト特性をより改善することができる。
本実施例の光ピックアップ300では、第1光ディスク14aに対しては、図33(a)に示すように、第1光ビームL1がこの回折光学素子311に平行光で入射し、回折格子311aの回折面で1次回折方向(光軸に対して発散方向)に回折された光ビームが、凸面311dで収束方向に屈折されることにより、平行光で対物レンズ312に入射し、光透過厚0.1mmの第1光ディスク14a上に集光し、良好な集光特性が得られる。
第2光ディスク14bに対しては、図33(b)に示すように、第2光ビームL2が回折光学素子311にほぼ平行光で入射した場合、回折構成311aの回折面で1次回折方向(光軸に対して発散方向)に回折された光ビームが、凸面311dで収束方向に屈折することにより、所定の発散度合いの光束(本実施例9ではφ×Φoutr=−0.03)で対物レンズ312に入射し、光透過厚0.6mmと厚い第2光ディスク14bに対して良好な集光特性が得ることができる。また、凸面311dの形状を非球面とすることで残存する球面収差をさらに補正し、かつ、対物レンズユニット313のシフト特性の悪化を抑えることができ、より良好な集光特性が得ることができる。
このとき、回折光学素子311を配置することで、対物レンズユニット313に、第2光ビームL2をほぼ平行光で入射しても、対物レンズ312には所定の発行度合いで光ビームを入射することが可能になる。そのため、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトに対する影響を小さくすることができる。
また、第3光ディスク14cの場合、図33(c)に示すように、第3光ビームL3が回折光学素子311に発散光束で入射した場合、回折格子311aの回折面で1次回折方向(光軸に対して発散方向)に回折された光ビームが、凸面311dで収束方向に屈折することにより、所定の発散度合いの光束(本実施例2ではφ×ΦoutIr=−0.07)で対物レンズ312に入射し、光透過厚1.2mmと厚い第3光ディスク14cに対して良好な集光特性が得ることができる。
また、凸面311dの形状を非球面とすることで残存する球面収差をさらに補正し、かつ、対物レンズユニット313のシフト特性の悪化を抑えることができ、より良好な集光特性が得ることができる。
このとき、回折光学素子311を配置することで対物レンズ312に入射する発散度合いより小さな発散度合いの光ビームを対物レンズユニット313に入射することが可能になり、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトに対する影響を小さくすることができる。
以上のように、本実施例に係る光ピックアップ300における回折光学素子311の回折面は、第1,第2及び第3光ビームのそれぞれに対して1次回折光を利用することで高出力の光ビームが必要な情報の記録や消去を行う光ピックアップを容易に実現することができる。また、光源の出力を小さくできるため、消費電力を抑えることができる。
また、本実施例では、発散型の回折面を有する回折格子311aと凸面311dを組み合わせた回折光学素子311を配置することで対物レンズユニット313に弱い発散光を入射するだけで、対物レンズ312に所定の発散度合いで光ビームを入射することが可能になる。そのため、対物レンズユニット313のラジアル方向へのシフトに対する影響を小さくすることができ、また半導体レーザ1a,1b,1cを、上記対物レンズユニット313に対し、遠い位置に配置することが可能になり、該半導体レーザ1a,1b,1cの配置が容易になる。
本実施例で作製した光ピックアップ300を用いて第1,第2及び第3光ビームをそれぞれ第1,第2及び第3光ディスク14a,14b,14cに集光させた場合における対物レンズユニット313のラジアル方向へのシフト量に対する像面での波面収差λrmsの変化を図34(a)〜(c)に実線eで示す。また、上記光ピックアップ300に代えて、比較のために作製した従来の光ピックアップ(前記比較用光ピックアップを用いて同様の操作を行った場合における対物レンズユニット313のラジアル方向のシフト(対物シフト)のシフト量に対する像面での波面収差λrmsの変化を図34(a)〜(c)に破線fで示す。なお、図34(a)は第1光ビームL1を第1光ディスク14aに集光した結果であり、図34(b)は第2光ビームL2を第2光ディスク14bに集光した結果であり、図34(c)は第3光ビームL3を第3光ディスク14cに集光した結果である。
なお、比較用光ピックアップは、前記したように、第1光ビームL1を対物レンズに対して平行光で入射させ、第2及び第3光ビームについては光透過層厚の差による球面収差を補正するために所定の発散光を対物レンズに入射させ、その発散光の光路中に対物レンズのシフト特性の悪化を防ぐために非球面のレンズを挿入し、波面収差が最適となるように作製したものである。
図34(a)からわかるように、実施例に係る光ピックアップ300を用いることにより、対物レンズユニット313のラジアル方向へのシフトの影響を抑え、第1光ディスク14aに良好な集光スポットを形成することができる。
また、図34(b)からわかるように、実施例に係る光ピックアップ300を用いることにより、第2光ビームL2をほぼ平行光で回折光学素子311に入射させるため、第2光ディスクに良好な集光スポットを形成することができる。特に、本実施例では、比較用光ピックアップと比較して、第2光ビームL2を発散光で回折光学素子311に入射させることにより発生する対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトによる影響が小さく抑えられている。
また、図34(c)からわかるように、実施例に係る光ピックアップ300を用いることにより、第3光ビームL3を発散光で回折光学素子311に入射させることにより発生する、対物レンズユニット313のラジアル方向のシフトによる影響を、比較用光ピックアップと比較して低減することができる。
このように、実施例に係る光ピックアップ300では、比較用光ピックアップと比較して、第2、第3光ディスク14b,14cに対する波面収差を低減することができる。
なお、上記した各実施例においては、上記第1の光ビームを1次回折光とし、第2,第3の光ビームを、共に0次回折光または共に1次回折光としたが、第2,第3光ビームは、上記第1光ビームL1の回折次数と同じかもしくはそれより低い回折次数の回折光であればよく、第2,第3光ビームが同じ回折次数を有していなくても構わない。
例えば、光ピックアップ300において、第1及び第2光ビームL2についてはそれぞれ1次回折光を利用し、第3光ビームL3については0次回折光を利用するように設定してもよい。これにより、第1,第2及び第3光ビームそれぞれの利用効率を高めることができる。
〔実施形態4〕
本実施形態の光ピックアップの概略構成は、前記実施形態3で示した図17の光ピックアップとほぼ同じである。よって、光ピックアップの詳細な説明については、前記実施形態3と異なる構成を除いて省略する。本実施形態では、前記実施形態3と同様に、次世代高密度光ディスク(第1光ディスク14a、第1記録媒体)、従来のDVD(第2光ディスク14b、第2記録媒体)、及び従来のCD(第3光ディスク14c、第3記録媒体)に対応可能な光ピックアップについて説明する。
なお、本実施形態にかかる光ピックアップは、前記実施形態3の光ピックアップ300の対物レンズユニット312に代えて、図37(a)(b)(c)に示すような対物レンズユニット413を備えている。
本実施形態では、第1光ディスク14aは、使用する光(第1光ビームL1)が波長(第1波長λ1)405nm付近の短波長の青色光、光透過層の厚さt1が0.6mmのものであり、第2光ディスク14bは、使用する光(第2光ビームL2)が波長(第2波長λ2)650nm付近の長波長の赤色光、光透過層の厚さt2が0.6mmのものであり、第3光ディスク14cは、使用する光(第3光ビームL3)が波長(第3波長λ3)780nm付近の長波長の赤外光、光透過層の厚さt3が1.2mmのものである。ここで、対物レンズは第1光ディスク用に最適化されたレンズを用いる。
また、本実施形態では、波長選択性開口フィルタ410は、波長が第1波長λ1の第1光ビームL1に対しては開口数がNA1(具体的には0.65)となるように働き、波長が第2波長λ2の第2光ビームL2に対しては開口数がNA2(具体的には0.6)となるように働き、波長が第3波長λ3の第3光ビームL3に対しては開口数がNA3(具体的には0.45)となるように働くことで開口制御する。
以下に、本実施形態にかかる光ピックアップの実施例について説明する。
(実施例10)
本実施例は、図37(a)(b)(c)に示すように、第1光ビームL1が回折光学素子411に集束光で入射する構成である。
本実施例としては、第1光ビームL1に対しては収束光で回折光学素子411に入射し、回折光学素子411の回折面で2次回折光を利用し、第2光ビームL2に対しては収束又は発散光で回折光学素子411に入射し、回折光学素子411の回折面で1次回折光を利用し、さらに、第3光ビームに対しては発散光で回折光学素子411に入射し、回折光学素子411の回折面で1次回折光を利用する光ピックアップを作製した。
回折光学素子411は、凹面411cと回折格子411aで構成されており、対物レンズ412の光源側に配置され、凹面は球面形状である。
ここで、凹面411cを作製が容易な球面形状としたが、対物レンズユニット413のラジアル方向のシフト特性をより改善するために非球面形状としてもよい。
本実施例の光ピックアップでは、第1光ディスク14aに対しては、図37(a)に示すように、第1光ビームL1がこの回折光学素子411に収束光で入射させ、回折格子411aの回折面で2次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された光ビームが、凹面411cで発散方向に屈折されることにより、平行光で対物レンズ412に入射し、光透過層厚0.6mmの第1光ディスク14a上に集光し、良好な集光特性が得られる。
第2光ディスク14bに対しては、図37(b)に示すように、第2光ビームL2が回折光学素子411に収束又は発散光で入射させ、回折格子411aの回折面で1次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された光ビームが、凹面411cで発散方向に屈折することにより、所定の発散度合いの光ビームで対物レンズ412に入射し、使用する波長の異なる光透過層0.6mmの第2光ディスク14bに対して良好な集光特性を得ることができる。ここで所定の発散度合いとは使用する波長の違いによる球面収差を補正するのに必要な対物レンズに入射する光ビームの発散度合いのことである。
また、第3光ディスク14cの場合、図37(c)に示すように、第3光ビームL3が回折光学素子11に発散光束で入射した場合、回折格子411aの回折面で1次回折方向(光軸に対して収束方向)に回折された光ビームが、凹面411cで発散方向に屈折することにより、所定の発散度合いの光ビームで対物レンズ412に入射し、光透過層厚1.2mmと厚い第3光ディスク14cに対して良好な集光特性を得ることができる。ここで所定の発散度合いとは使用する波長や光ディスクの光透過層厚の違いによる球面収差を補正するのに必要な対物レンズに入射する光ビームの発散度合いのことである。
このとき、回折光学素子411を配置することで対物レンズ412に入射する発散度合いより小さな発散度合いの光ビームを対物レンユニット413に入射することが可能になり、対物レンズユニット413のラジアル方向のシフトに対する影響を小さくすることができる。
本実施例として作製した光ピックアップを用いて第1、第2及び第3光ビームをそれぞれ第1、第2及び第3光ディスク14a・14b・14cに集光させた場合の、対物レンズユニット413のラジアル方向のシフト量に対する像面での波面収差λrmsの変化を図38(a)(b)(c)に実線Aで示す。また、比較のために作製した光ピックアップ(比較例)を用いた場合を図38(a)(b)(c)に破線Bで示す。なお、図38(a)は第1光ビームL1を第1光ディスク14aに集光した結果であり、図38(b)は第2光ビームL2を第2光ディスク14bに集光した結果であり、図38(c)は第3光ビームL3を第3光ディスク14cに集光した結果である。
比較例は、回折光学素子を用いずに、第1光ビームL1を対物レンズに対して平行光で入射させ、第2及び第3光ビームについては使用する光の波長の違いや光透過層厚の差による色収差や球面収差を補正するために必要な所定の発散光を対物レンズに入射させた場合の波面収差である。
図38(a)からわかるように、本実施例の光ピックアップを用いることにより、対物レンズユニット413のラジアル方向のシフトによる影響を抑え、第1光ディスク14aに良好な集光スポットを形成することができる。
また、図38(b)からわかるように、本実施例の光ピックアップを用いることにより、第2光ディスク14bに良好な集光スポットを形成することができる。比較例と比較すると、第2光ビームL2を発散光で回折光学素子411に入射させることにより発生する、対物レンズユニット413のラジアル方向のシフトの影響が大きくなっている部分もあるが、波面収差の劣化度合いは小さく抑えられている。
また、図38(c)からわかるように、本実施例の光ピックアップを用いることにより、第3光ビームL3を発散光で回折光学素子411に入射させることにより発生する、対物レンズユニット413のラジアル方向のシフトによる影響を、比較例と比較して低減することができる。
このように、本実施例の光ピックアップでは、比較例と比較して、第1、第2及び第3光ディスク14a・14b・14cに対する波面収差を低減することができる。
次に、本実施例の光ピックアップを用いて第1光ビームL1を第1光ディスク14aに集光させた場合の、第1光ビームL1の波長のシフトに対する波面収差λrmsの変化を図39に実線Aで示す。また、比較のために作製した第1光ディスク14a専用の光ピックアップ(比較例)を用いた場合を図39に破線Bで示す。比較例は、本実施例の光ピックアップにおける対物レンズ412(第1光ビームL1専用の対物レンズ412)単体で対物レンズユニットを構成したものである。ここで、各波長における波面収差の値は、波面収差が最小となる波長(実施例では波長は405nm)における最良像点の位置での値である。
図39からわかるように、本実施例の光ピックアップでは、比較例よりも使用可能な波長範囲が広い。これは、本実施例の光ピックアップの回折光学素子411が収束型の回折格子及び平凹レンズで構成されているためであり、これにより第1光ビームL1専用の対物レンズを単体で用いる場合よりも波長依存特性を改善することができる。また、本実施例の光ピックアップでも、モードホップなどによる波長変動が生じても、良好な集光スポットを形成することができる。
さらに、前記実施形態3の図19からわかるように、本実施例の光ピックアップにおける回折光学素子411の回折面は第1光ビームL1に対しては2次回折光、第2及び第3光ビームに対しては1次回折光を利用しているため、第1、第2及び第3光ビームのすべてに対して90%以上の効率で光の利用が可能となる回折格子の深さを設定できる。このため、高出力の光ビームが必要な情報の記録や消去を行う光ピックアップを容易に実現できる。また、光源の出力を小さくできるため、消費電力を抑えることができる。さらに、利用回折光以外の不要光が検出器に入射するのを抑えることができるので信号の劣化が抑えられる。
以上のように、本実施形態の光ピックアップは、光透過層の厚さ及び再生に最適な光ビームの波長の異なる記録媒体に対して、情報の記録又は再生が可能であるとともに、対物レンズに入射する光の発散度合いが大きくなる光透過層の厚い光ディスク(具体的にCD)に対して、対物レンズのラジアル方向のシフトにより集光特性が大きく劣化するのを抑えることができ、かつ構成が簡単な光ピックアップを提供することができる。
以上の各実施形態で示した光ピックアップは、例えば図46に示すような情報記録/再生装置に適用できる。ここで、図46は、図17に示す光ピックアップ300を使用した情報記録/再生装置の概略ブロック図を示す。
図6に示すように、本実施形態にかかる情報記録/再生装置は、図17に示した光ピックアップ300に加え、次の構成を有している。
すなわち、再生信号検出光学系15a、15b、15cは復調回路19及びエラー検出回路17に接続されている。エラー検出回路17は対物レンズユニット313のトラッキング制御及びフォーカス制御機構を駆動する駆動回路18に接続されている。光検出器は、光スポット像に応じた電気信号を復調回路19及びエラー検出回路17に供給する。復調回路19は、その電気信号に基づいて記録信号を生成する。エラー検出回路17は、その電気信号に基づいてフォーカスエラー信号や、トラッキングエラー信号や、その他サーボ信号などを生成し、駆動回路18を介して各駆動信号を供給し、これらが各駆動信号に応じて対物レンズユニット313などをサーボ制御駆動する。
光ピックアップユニット25は、第1の波長、第2の波長および第3の波長をそれぞれ出射する光源である半導体レーザ1a、1bおよび1cに半導体レーザを駆動させる半導体レーザ駆動回路21a、21bおよび21cが接続された図1に示す光ピックアップ300を示す。
入出力端子23は、変調/復調回路19に接続され、上位装置からの記録データを変調/復調回路19に入力し、情報記録/再生装置の再生データを変調/復調回路19から上位装置へ出力する。
制御信号入出力端子24は、制御回路20に接続され、上位装置からの制御信号が入力され、情報記録/再生装置の制御結果が上位装置に出力される。制御回路20はエラー検出回路17、変調/復調回路19、切替え回路22に接続され、制御信号入出力端子24からの制御信号により、記録動作、再生動作の制御を行う。
変調/復調回路19は、半導体レーザ駆動回路21a、21bおよび21cに記録データに応じた記録信号を供給し、再生信号検出光学系15a、15bおよび15cからの再生信号が入力される。エラー検出回路17は、再生信号検出光学系15a、15bおよび15cからの再生信号が入力され、その再生信号に基づいてフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、その他サーボ信号を生成して駆動回路18に駆動信号を出力する。駆動回路18はエラー検出回路17からの駆動信号により、光ピックアップユニット25をサーボ制御駆動する。
切替え回路22は、制御回路22の指示により、第1光ビームL1に係る半導体レーザ駆動回路21aおよび再生信号検出光学系15a、第2光ビームL2に係る半導体レーザ駆動回路21bおよび再生信号検出光学系15b、第3光ビームL3に係る半導体レーザ駆動回路21cおよび再生信号検出光学系15c、を切替えると共に記録または再生に応じた半導体レーザパワーを供給する。ここで、再生信号検出光学系15a、15b、15cに入射される迷光が実質的に無視できるのであれば、再生信号検出光学系15a、15b、15cを切替え回路22により切替えなくてもよい。
次に、記録時および再生時の動作について、図46を参照して説明する。
記録時は、上位装置から入出力端子23に記録データが入力され、制御入出力端子24に記録制御信号および入力情報記録/再生装置に挿入されている光ディスクに応じた光ビーム切替え信号が入力される。以下、光ビーム切替え信号として、第1光ビームL1が入力されたものとして説明する。
切替え回路22は、制御回路20の指示により、第1光ビームL1に係る半導体レーザ駆動回路21aおよび再生信号検出光学系15aをオンし、他の半導体レーザ駆動回路(21b、21c)および再生信号検出光学系(15b、15c)をオフする。また、半導体レーザ1aを再生レベルより強い記録パワーで駆動するよう半導体レーザ駆動回路21aを駆動する。
入出力端子23からの記録データは、制御回路20の指示により、変調/復調回路19が記録データから記録信号を出力し、この記録信号が半導体レーザ駆動回路1aに入力され、記録信号に応じた第1光ビームL1が第1光ディスク14aに照射される。また、第1光ビームL1が照射された第1光ディスク14aに形成された光スポット像に応じた出力信号が再生信号検出光学系15aを介してエラー検出回路17に入力され、この出力信号に基づいて、エラー検出回路17が、制御回路17の指示により駆動回路18に駆動信号を供給し、光ピックアップユニット25をサーボ制御する。このように本実施形態の情報記録/再生装置は、光ピックアップユニット25をサーボ制御しながら、記録信号に応じた第1光ビームL1が記録パワーで第1光ディスク14aに照射されることにより、第1光ディスク14aに上位装置からの記録データを記録する。
再生時は、制御入出力端子24に再生制御信号および入力情報記録/再生装置に挿入されている光ディスクに応じた光ビーム切替え信号が入力される。以下、光ビーム切替え信号として、第1光ビームL1が入力されたものとして説明する。
切替え回路22は、制御回路20の指示により、第1光ビームL1に係る半導体レーザ駆動回路21aおよび再生信号検出光学系15aをオンし、他の半導体レーザ駆動回路(21b、21c)および再生信号検出光学系(15b、15c)をオフする。また、半導体レーザ1aを記録レベルより弱い再生パワーで駆動するよう半導体レーザ駆動回路21aを駆動する。
半導体レーザ1aより照射された第1光ビームL1が第1光ディスク14aを再生パワーで照射すると、再生信号検出光学系15aは、第1光ディスク上で形成された光スポット像に応じた出力信号を変調/復調回路19およびエラー検出回路17に供給する。制御回路20の指示により、エラー検出回路17は、この出力信号に基づいて、駆動回路18に駆動信号を供給し、光ピックアップユニット25をサーボ制御する。また、制御回路20の指示により、変調/復調回路19は、この出力信号に基づき入出力端子23に再生データを出力して、再生データを上位装置に出力する。
このように、本実施形態の情報記録/再生装置は、光ピックアップユニット25をサーボ制御しながら、第1光ビームL1が再生パワーで第1光ディスク14aに照射されることにより、第1光ディスク14aに記録された記録信号を再生し、上位装置に再生データを出力する。
あるいは、光ビーム切替え信号として、第2光ビームL2が入力された場合、切替え回路22は、半導体レーザ駆動回路21bおよび再生信号検出光学系15bをオンし、第3光ビームL3が入力された場合、切替え回路22は、ビーム半導体レーザ駆動回路21cおよび再生信号検出光学系15cをオンする。従って、第2光ディスクが挿入され場合は、第2光ビームL2に係る半導体レーザ駆動回路21bおよび再生信号検出光学系15bによって、第2光ディスクに対して情報を記録または再生することができ、第3光ディスクが挿入され場合は、第3光ビームL3に係る半導体レーザ駆動回路21cおよび再生信号検出光学系15cによって、第3光ディスクに対して情報を記録または再生することができる。
図46では、3つの光源を有した情報記録/再生装置を示したが、これに限定されるものではなく、例えば図1に示すような光ピックアップ100、すなわち、2つの光源を有した光ピックアップも情報記録/再生装置に適用することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下において、本願発明の参考例について説明する。
本発明の光ピックアップは、上記の課題を解決するために、第1の波長λ1を有する第1光ビームを出射する第1の光源、第1の波長よりも長い第2の波長λ2を有する第2光ビームを出射する第2の光源、第1光透過層を有する第1記録媒体の情報記録面に前記第1光ビームを集光させるとともに、第1光透過層よりも厚い第2光透過層を有する第2記録媒体の情報記録面に前記第2光ビームを集光させる対物レンズ、および前記第1及び第2の光源から前記対物レンズまでの光路中に配置されている、回折格子と屈折率nのレンズとを有する回折光学素子を備える光ピックアップにおいて、上記回折格子の回折面とレンズのレンズ面の頂点との間の距離をa、第2光ビームの半径をR、および第2ビームの最外の光線が通過する上記回折格子におけるピッチをdとしたとき、上記回折光学素子は、上記第1光ビームの上記回折格子におけるm1次回折光の回折角α1、m1次回折光のレンズにおける屈折光と上記第1光ビームの光軸との角度β1、上記第2光ビームの上記回折格子におけるm2次回折光の回折角α2、およびm2次回折光のレンズにおける屈折光と上記光軸との角度β2が、以下の式
Figure 0005335856
ただし、f(d、mx)は下記の関数、ここで、Xは1または2である、
Figure 0005335856
を満たすようにm1、m2が設定されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、第1記録媒体に対して第1光ビームを用い、第2記録媒体に対して第2光ビームを用いている。このとき、第1記録媒体における第1光透過層は、第2記録媒体における第2光透過層よりも厚いため、上記第2光透過層の厚さにより収差が生じる。しかしながら、上記の式を満たすことにより、この収差を補正することができる。したがって、より高精度に記録媒体の情報記録面に集光することができ、記録、再生を行うことができる光ピックアップを提供することができる。
つまり、波長の大きく異なる光源で開口数の大きな対物レンズを用いても光透過層の厚さの異なる記録媒体上に、数1の条件式を満たす回折次数を利用する回折格子とレンズを有する回折光学素子を利用することで、それぞれ回折限界まで集光する光スポットを形成し、光透過層の厚さ及び再生に最適な波長の異なる記録媒体に対して、記録再生可能な光ピックアップを実現できる。
また、上記構成の光ピックアップに、前記第1光源と回折光学素子との間および前記第2光源と回折光学素子との間には、第1および第2光源からの第1および第2光ビームを、平行光にして、回折光学素子に入射させるコリメータレンズが設けられた構成であっても、上記同様の効果を奏する。
本発明の光ピックアップは、上記回折光学素子が、前記回折格子とレンズとが一体になっていることが好ましい。
上記の構成によれば、上記光ピックアップにおける部品点数を減らすことができる。
本発明の光ピックアップは、β1=0、β2>0であることが好ましい。
上記の構成によれば、第1光ビームは、β1=0とすることにより、平行光となり、対物レンズにおけるシフト特性を確保しやすくすることができる。このとき、第2記録媒体の第2光透過層では、球面収差が生じるが、上記のように、β2>0として第2光ビームを発散光とすることにより、この球面収差を抑制することができる。
また、本発明の光ピックアップは、前記m2次回折光が、前記m1次回折光以下の次数であることが好ましい。
上記の構成によれば、前記m1次回折光と前記m2次回折光とが記録媒体の情報記録面上において、同一の焦点を形成することがないので、これら回折光による読取または記録への影響を抑えることができる。
また、本発明の光ピックアップは、前記回折光学素子が、m1=1、m2=1に設定されていることが好ましい。さらに、前記レンズは、凸面が球面である平凸レンズであり、前記回折格子は、前記平凸レンズの平面に備えられていることが好ましい。
また、本発明の光ピックアップは、前記回折光学素子が、m1=1、m2=0に設定されていることが好ましい。さらに、前記レンズは、凹面が非球面である平凹レンズであり、前記回折格子が平凹レンズの平面に備えられているが好ましい。さらに、前記回折格子が対物レンズ側に備えられていることが好ましい。
上記のように、各条件を設定することにより上記光ピックアップを好適に実現することができる。
また、本発明の光ピックアップは、前記回折光学素子の回折格子面が、第1回折光の回折次数をm1、第2回折光の回折次数をm2、環状溝の間隔をdとし、回折格子面の法線に関して前記予め定める光軸側へ傾斜する角度を正としたとき、次式、
Figure 0005335856
を満たし、かつ前記第1回折光の回折次数m1は+1であり、かつ前記第2回折光の回折次数m2は0であることが好ましい。
上記の構成によれば、第1回折光の回折次数m1は+1であり、かつ第2回折光の回折次数m2は0である。このように前式を満たす各回折光のうちで、回折次数m1が最も小さい第1回折光と回折次数m2が最も小さい第2回折光とが利用されるので、第1および第2回折光の回折効率を容易に確保することができる。
また、本発明の光ピックアップは、前記回折光学素子の回折格子面が、前記第1および第2光ビームを前記予め定める光軸に近接させる方向に回折特性を有することが好ましい。
上記の構成によれば、回折光学素子の回折格子面は、第1および第2光ビームを前記予め定める光軸に近接させる方向に回折特性を有するので、第1回折光の回折効率を向上させることができる。これによって第1光ビームの利用効率を向上させることができる。
また、本発明の光ピックアップは、前記回折光学素子が、第1および第2光ビームが入射する側に前記回折格子面が形成され、第1および第2回折光が出射する側に前記回折格子面と共通な光軸を有する凹面が形成されていることが好ましい。
上記の構成によれば、回折光学素子には、回折格子面および凹面が形成される。凹面は、対物レンズの軸上色収差を低減する。したがって回折格子面に加えて凹面が形成されることによって、第1回折光に関しては、波長変動に起因する焦点位置のずれをさらに抑制することができる。また第2回折光に関しても、波長変動に起因する焦点位置のずれを抑制することができる。
また、本発明の光ピックアップは、前記凹面が非球面であることが好ましい。
上記の構成によれば、回折光学素子に形成される凹面は非球面である。この凹面が適切な非球面に形成されることによって、凹面が球面である場合に比べて、光透過層の厚みが相互に異なる2つの記録媒体の各情報記録面に対して、球面収差をさらに低減して、より良好なスポット光をそれぞれ形成することができる。
本発明の光ピックアップは、情報記録面上に厚さt1の光透過層を備えた第1記録媒体の前記情報記録面に対して、波長λ1の第1光ビームを集光して第1光スポットを形成することにより情報の記録又は再生が可能な光ピックアップであって、前記第1光ビームを回折させ、かつ、屈折させて出射する回折面と屈折面を持った回折光学素子と、回折光学素子から出射された第1ビームの所定回折次数の回折光を、それぞれ前記第1記録媒体の情報記録面に対して集光して前記第1光スポットを形成する対物レンズと、前記第1光源と回折光学素子との間には、第1光源からの第1光ビームを、平行光にして、回折光学素子に入射させるコリメータレンズとを備え、前記回折光学素子の回折面は第1光ビームを光軸に近接させる方向に回折特性を有し、屈折面は凹面であることを特徴としている。
上記の構成によれば、次世代高密度光ディスク専用のピックアップの場合であっても、波長変動に起因する焦点位置のずれをさらに抑制することができる。
本発明の光ピックアップは、前記回折光学素子のパワーをΦ、前記回折光子の回折面のパワーをΦD、屈折面のパワーをΦLとしたとき、
Φ=ΦD+ΦL=0
であることが好ましい。
上記構成によれば、第1光学系で平行光に出射された第1光ビームを回折光学素子を通過後も平行光で出射でき、対物レンズとの位置ズレによる収差の悪化を抑えることができる。この場合、回折光学素子は第1光ビームと対物レンズとの間であればどこに挿入してもかまわなくなる。
また、本発明の光ピックアップは、情報記録面上に厚さt1の光透過層を備えた第1記録媒体の前記情報記録面に対して、波長λ1の第1光ビームを集光して第1光スポットを形成することにより情報の記録又は再生が可能であり、かつ、情報記録面上に厚さt2(t2>t1)の光透過層を備えた第2記録媒体の前記情報記録面に対して、波長λ2(λ2>λ1)の第2光ビームを集光して第2光スポットを形成することにより情報の記録又は再生が可能な光ピックアップであって、上記の課題を解決するために、前記第1及び第2光ビームが入射することにより、入射した第1及び第2光ビームを回折させ、かつ、屈折させて出射する回折光学素子と、回折光学素子から出射された第1及び第2光ビームのそれぞれ所定回折次数の回折光を、それぞれ前記第1及び第2記録媒体の情報記録面に対して集光して前記第1及び第2光スポットを形成する対物レンズとを備え、前記第1光ビームと第2光ビームとが、互いに収束又は発散度合いの異なる光ビームとして前記回折光学素子に入射することを特徴としている。
上記の構成によれば、互いに厚さの異なる光透過層を備えた第1及び第2記録媒体の情報記録面に対して、互いに波長の異なる第1及び第2光ビームの回折光を共通の対物レンズにより集光させてそれぞれ第1及び第2光スポットを形成する場合、集光させる各回折光の波面収差を十分小さくして良好な集光特性を得るためには、対物レンズに入射する際の各回折光の収束・発散角度の角度差をある程度大きくする必要がある。
従って、第1光ビームと第2光ビームとが、互いに収束又は発散度合いの異なる光ビームとして回折光学素子に入射することにより、上記角度差を大きくしやすくすることができる。これにより、回折光学素子に要求される回折及び屈折特性の制限を緩和して、回折光学素子の設計上の制約を緩和することができる。その結果、作製しやすい回折光学素子を用いて、集光する回折光の波面収差を十分小さくすることができる光ピックアップを実現することが可能になる。
なお、第1光ビームと第2光ビームとが互いに収束又は発散度合いの異なる光ビームとして回折光学素子に入射する形態としては、例えば、一方が収束光で他方が発散光で入射する場合や、一方が平行光で他方が収束光又は発散光で入射する場合などがあり、さらに、両方が収束光又は発散光であり、かつ、その収束度合い又は発散度合いが異なる場合であってもよい。
また、本発明の光ピックアップは、前記回折光学素子が、収束型の回折格子と、発散型のレンズとを備えることが好ましい。
上記の構成によれば、波長変動に対する波面収差の劣化を抑えることができ、波長変動に対しても良好な集光特性を得ることができる。
さらに、本発明の光ピックアップは、前記回折光学素子に対して、前記第1光ビームが収束光で入射し、前記第2光ビームが発散光で入射することが好ましい。
上記の構成によれば、回折光学素子及び対物レンズが第1及び第2光ビームの光軸方向にシフトした場合でも、比較的広いシフト範囲において波面収差の劣化を低く抑えることができる。
また、本発明の光ピックアップは、前記対物レンズが、前記回折光学素子から出射された第1及び第2光ビームのそれぞれ2次及び1次回折光を、それぞれ前記第1及び第2記録媒体の情報記録面に対して集光して前記第1及び第2光スポットを形成することが好ましい。
あるいは、本発明の光ピックアップは、前記対物レンズが、前記回折光学素子から出射された第1及び第2光ビームのそれぞれ3次及び2次回折光を、それぞれ前記第1及び第2記録媒体の情報記録面に対して集光して前記第1及び第2光スポットを形成することが好ましい。
上記の構成によれば、回折光学素子による高い回折効率の回折光を利用できる。これにより、第1及び第2光ビームを効率的に利用することができ、第1及び第2光ビームの光源の消費電力を抑えつつ、高出力な光を第1及び第2記録媒体へ照射することができるようになる。
本発明の光ピックアップは、それぞれ情報記録面上に厚さt1,t2,t3(t1<t2<t3)の光透過層を備えた第1、第2及び第3記録媒体の前記各情報記録面に対して、それぞれ波長λ1,λ2,λ3(λ1<λ2<λ3)の第1、第2及び第3光ビームを集光して情報の記録又は再生が可能な光ピックアップであって、上記の課題を解決するために、入射する第1、第2及び第3光ビームの光軸にほぼ直交する方向に移動可能であり、この第1、第2及び第3光ビームをそれぞれ前記第1、第2及び第3記録媒体の各情報記録面に対して集光する対物レンズと、前記対物レンズに対して第1、第2及び第3光ビームの入射側に、前記対物レンズと一体となって移動可能に設けられており、第1、第2及び第3光ビームを回折させ、かつ、屈折させて所定回折次数の第1、第2及び第3光ビームを前記対物レンズに入射させる回折光学素子とを備え、前記回折光学素子は、前記対物レンズに対して第2及び第3光ビームを発散光で入射させるとともに、第2及び第3光ビームについて、前記回折光学素子に入射する収束/発散度合いをそれぞれΦinr及びΦinIrとし、前記対物レンズに入射する発散度合いをそれぞれΦoutr及びΦoutIrとすると、
|Φinr|<|Φoutr|、かつ、|ΦinIr|<|ΦoutIr|
を満たすことを特徴としている。
上記の構成によれば、互いに異なる波長の第1、第2及び第3光ビームを用いて、それぞれ第1、第2及び第3記録媒体の記録又は再生を行う光ピックアップでは、最も短波長の第1光ビームを第1記録媒体に集光する場合について収差が補正された対物レンズを用いることになる。
一方、第1記録媒体とは光透過層の厚さの異なる第2及び第3記録媒体に対してそれぞれ第2及び第3光ビームを集光させるために上記対物レンズをそのまま使用すると、第2及び第3光ビームの球面収差が増大してしまう。この球面収差の増大を抑えるためには、補正のために逆向きの収差を発生させるべく、第2及び第3光ビームを上記対物レンズに発散光として入射させればよい。
ここで、球面収差の増大抑制効果を十分に得るためには、対物レンズに入射させる第2及び第3光ビームの発散度合いを大きくする必要がある。ところが、対物レンズに入射させる光ビームの発散度合いを大きくすると、トラッキングなどによる対物レンズのラジアル方向(対物レンズに入射する第1、第2及び第3光ビームの光軸にほぼ直交する方向)の移動により、記録媒体上の絞り込みスポットに付加されるコマ収差が増大してしまい集光特性が大きく劣化してしまうという問題を招来する。
そこで、上記構成では、第2及び第3光ビームを対物レンズに発散光として入射させる際に、対物レンズと一体となって移動可能に設けられた回折光学素子を用いる。そして、この回折光学素子は、
|Φinr|<|Φoutr|、かつ、|ΦinIr|<|ΦoutIr|
を満たすように作用する。すなわち、回折光学素子に入射する第2及び第3光ビームよりも、回折光学素子から出射する第2及び第3光ビームの方が、収束/発散度合いの絶対値が大きくなるようにする。
これにより、球面収差の増大抑制効果を十分に得つつ、対物レンズと回折光学素子とからなるユニット(対物レンズユニット)に対して入射させる第2及び第3光ビームの収束/発散度合いの絶対値を小さくする、つまり、平行光に近づけることが可能になる。その結果、上記構成では、回折光学素子を用いない場合と比較して、上記対物レンズユニットのラジアル方向の移動(対物シフト)による集光特性の劣化を抑制することができる。
このように、上記の構成では、1つの対物レンズを用いて、異なる光透過層厚の記録媒体に対して良好な集光スポットを形成し、情報の記録又は再生が可能になるとともに、対物レンズユニットのラジアル方向の移動によっても集光特性が大きく劣化するのを抑えることができる。
本発明の光ピックアップは、上記構成において、前記回折光学素子は、前記対物レンズに対して第1光ビームを平行光で入射させることが好ましい。
上記構成によれば、最も厳しい集光特性が要求される短波長の第1光ビームを対物レンズに対して平行光で入射させることにより、第1光ビームの使用における回折光学素子と対物レンズとの位置ずれによる収差の発生を抑制することができる。
本発明の光ピックアップは、上記構成において、前記回折光学素子は、第1光ビームの2次回折光、第2光ビームの1次回折光、及び第3光ビームの1次回折光をそれぞれ前記対物レンズに入射させ、前記回折光学素子では、第1光ビームについては2次回折光の回折効率が最も高く、第2光ビームについては1次回折光の回折効率が最も高く、第3光ビームについては1次回折光の回折効率が最も高いことが好ましい。
上記構成によれば、第1、第2及び第3光ビーム全ての回折効率を向上させることができる。これにより、各光ビームの光源の出力を小さくできるため、光源での消費電力を抑えることができる。上記構成は、高出力なビームが必要となる情報の記録や消去を行う光ピックアップに特に有効である。特に、前記回折光学素子では、第1光ビームについては2次回折光の回折効率が90%以上であることが好ましい。
本発明の光ピックアップは、上記構成において、前記回折光学素子に対して第3光ビームが発散光で入射することが好ましい。
上記構成によれば、球面収差の増大を抑えるために、最も発散度合いの大きくする必要がある第3光ビームを、回折光学素子に対して発散光で入射させることにより、回折光学素子に入射させる第1及び第2光ビームの発散度合いが大きくなるのを防ぐことができる。
本発明の光ピックアップは、上記構成において、前記回折光学素子に対して第1及び第2光ビームがそれぞれ平行光及び発散光で入射することが好ましい。
上記構成によれば、回折光学素子に対して第1光ビームを平行光で入射させつつ、回折光学素子に対して入射する第2及び第3光ビームの発散度合いを比較的小さくすることができる(図20参照)。その結果、対物レンズユニットのラジアル方向の移動による集光特性の劣化をより効果的に抑えることができる。
本発明の光ピックアップは、上記構成において、前記回折光学素子に対して第1光ビームが収束光で入射し、第2光ビームが収束光、平行光又は発散光で入射することが好ましい。
上記構成によれば、回折光学素子に対して入射する第1、第2及び第3光ビームの収束/発散度合いの絶対値を比較的小さくすることができる(図20参照)。その結果、対物レンズユニットのラジアル方向の移動による集光特性の劣化をより効果的に抑えることができる。
例えば、第1光ビームに対する対物レンズの有効径をφとすると、前記回折光学素子に入射する第1、第2及び第3光ビームの収束/発散度合いは、
0≦φ×Φinb≦0.11、
−0.048≦φ×Φinr≦0.04、かつ、
−0.18≦φ×ΦinIr≦−0.1
を満たすことが好ましい。
言い換えれば、第1、第2及び第3光ビームに対する前記回折光学素子のパワーをそれぞれΦb,Φr,ΦIrとすると、
−0.11≦φ×Φb≦0、
−0.2≦φ×Φr≦−0.002、かつ、
−0.16≦φ×ΦIr≦0.03
を満たすことが好ましい。
本発明の光ピックアップは、上記構成において、前記回折光学素子は、収束型の回折面、及び凹面の屈折面を備えることが好ましい。
上記構成によれば、第1記録媒体専用の光ピックアップよりも使用可能な波長範囲が広くなり、第1記録媒体専用の対物レンズを単体で用いる場合よりも波長依存特性を改善することができる。したがって、上記構成では、モードホップなどによる波長変動が生じても、良好な集光特性を保つことができる。また、回折光学素子の回折面の最小ピッチを広げることができ、回折光学素子の作成を容易にすることができる。
本発明の光ピックアップは、上記構成において、前記回折光学素子の屈折面は、球面であることが好ましい。
上記構成によれば、回折光学素子の作成が容易になり、安価な光ピックアップを提供することができる。
本発明の光ピックアップは、上記構成において、第1光ビームに対する前記回折光学素子の屈折面のパワーは、−0.1以上であることが好ましい。
上記構成によれば、対物レンズユニットのラジアル方向の移動による集光特性の劣化をより効果的に抑えることができる。
本発明の光ピックアップは、上記の課題を解決するために、λ1<λ2<λ3の関係を有する波長λ1,λ2,λ3の第1,第2,第3の光ビームをそれぞれ出射する第1,第2,第3の光源(例えば半導体レーザ)を備え、上記第1,第2,第3の光ビームを、同じ集光手段(例えば対物レンズ)により、光透過層の厚さが異なる第1,第2,第3の記録媒体(光ディスク、例えば、順に、次世代高密度光ディスク、DVD、CD)の各情報記録面に集光させて情報の記録あるいは再生を行う光ピックアップにおいて、上記第1,第2,第3の光源から上記対物レンズまでの共通の光路中に配置され、回折面と屈折面とを有し、各光ビームを、光ビームの波長に応じて収束/発散させると共に、上記回折面で、第1の光ビームは1次回折光とし、第2の光ビーム及び第3の光ビームは第1の光ビームの回折次数と同じかもしくはそれより低い回折次数の回折光として上記集光手段に入射させる回折光学素子を備え、上記回折光学素子の回折面における回折格子の深さは、上記集光手段に入射する各光ビームの回折光の回折効率が、それぞれ、他の回折次数の回折光の回折効率よりも高くなるように設定されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、互いに異なる波長の第1,第2,第3の光ビームを用いて、それぞれ第1,第2,第3の記録媒体の記録または再生を行う光ピックアップでは、最も短波長の第1の光ビームを第1の記録媒体に集光する場合について収差が補正された集光手段が用いられる。一方、第1の記録媒体とは光透過層の厚さの異なる第2,第3の記録媒体に対してそれぞれ第2,第3の光ビームを集光させるために同一の集光手段を使用すると、そのままでは第2,第3の光ビームの球面収差が増大してしまう。
しかしながら、上記の構成によれば、上記第1,第2,第3の光源から上記対物レンズまでの共通の光路中に上記回折光学素子が配置されることで、光透過層の厚さが異なる第1,第2,第3の記録媒体の各情報記録面に、互いに波長が異なる第1,第2,第3の光ビームが上記集光手段を介して形成する集光スポットの位置を変化させることができる。このため、上記の構成によれば、光透過層の厚さが異なる第1,第2,第3の記録媒体の各情報記録面に、互いに波長が異なる第1,第2,第3の光ビームを、1つの集光手段を用いて集光させることが可能であり、しかも、上記回折光学素子に対する上記第2,第3の光ビームの発散度合いを抑えることができ、トラッキングなどによる上記集光レンズのラジアル方向へのシフトの影響を抑えることが可能となる。
また、上記回折光学素子における各光ビームの回折光の回折効率は、該回折光学素子の回折面における回折格子の深さにより決定される。本願発明者らの検討によれば、上記回折光学素子が、その回折面では第1の光ビームを1次回折光とし、第2の光ビーム及び第3の光ビームを第1の光ビームの回折次数と同じかもしくはそれより低い回折次数の回折光とし、該回折面における回折格子の深さが、上記集光手段に入射する各光ビームの回折光の回折効率がそれぞれ他の回折次数の回折光の回折効率よりも高くなるように設定されていることで、各記録媒体に入射される光量のロスを、どの回折光に対しても低減することができる。このため、上記の構成によれば、光透過層の厚さの異なる3つの記録媒体に対する互換性を有し、かつ、各記録媒体の各情報記録面に入射される各回折光の回折効率、すなわち、上記各光ビームの利用効率が高く、高出力の光ビームが必要となる情報の記録や消去を行うことができる光ピックアップを実現することができる。さらに、上記の構成によれば、各光ビームの出力を小さくすることができるため、光源での消費電力を抑えることができる。
本発明の光ピックアップは、上記の課題を解決するために、上記回折光学素子は、上記第1の光ビームを1次回折光とし、第2,第3の光ビームを0次回折光として上記集光手段に入射させ、上記回折光学素子の回折面における回折格子の深さは、上記第1の光ビームに対しては1次回折光の回折効率が最も高く、第2,第3の光ビームに対してはそれぞれ0次回折光の回折効率が最も高くなるように設定されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記回折光学素子が、上記第1の光ビームを1次回折光とし、第2,第3の光ビームを0次回折光として上記集光手段に入射させ、上記回折光学素子の回折面における回折格子の深さは、上記第1の光ビームに対しては1次回折光の回折効率が最も高く、第2,第3の光ビームに対してはそれぞれ0次回折光の回折効率が最も高くなるように設定されていることで、各記録媒体に入射される光量のロスを、どの回折光に対しても低減することができると共に、同じ集光手段を用いて異なる光透過層厚の記録媒体に対して良好な集光スポットを形成することができる。また、上記の構成によれば、上記回折光学素子に対する上記第2,第3の光ビームの発散度合いを抑えることができ、トラッキングなどによる上記集光レンズのラジアル方向へのシフトの影響を抑えることが可能となる。このため、上記の構成によれば、光透過層の厚さの異なる3つの記録媒体に対する互換性を有し、かつ、各記録媒体の各情報記録面に入射される各回折光の回折効率が何れも高く、高出力の光ビームが必要となる情報の記録や消去を行うことができる光ピックアップを実現することができる。さらに、上記の構成によれば、各光ビームの出力を小さくすることができるため、光源での消費電力を抑えることができる。
本発明の光ピックアップは、上記の課題を解決するために、上記回折光学素子は、上記回折面及び屈折面として、収束型の回折面と凹面の屈折面とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、第1の記録媒体専用の光ピックアップよりも使用可能な波長範囲が広くなり、第1の記録媒体専用の対物レンズを単体で用いる場合よりも波長依存特性を改善することができる。したがって、上記構成では、モードポップなどによる波長変動が生じても、良好な集光特性を保つことができる。また、回折光学素子の回折面の最小ピッチを広げることができ、回折光学素子の作成を容易にすることができる。
さらに、上記の構成によれば、上記集光手段に弱い発散光を入射するだけで、上記集光手段に所定の発散度合いで光ビームを入射することが可能になる。そのため、上記集光手段のラジアル方向へのシフトに対する影響を小さくすることができると共に、上記集光手段に対する光源の位置を遠くすることが可能になり、光源の配置が容易になる。
本発明の光ピックアップは、上記の課題を解決するために、上記回折光学素子の回折面における回折格子の深さは、上記第1の光ビームの1次回折光の回折効率が90%以上になるように設定されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記第1,第2,第3のどの光ビームの回折光に対しても回折効率を向上させることができる。これにより、各光ビームの出力を小さくすることができるため、光源の消費電力を抑えることができる。また、上記の構成によれば、高出力のレーザを作成することが困難な第1の光ビームに対して、より利用効率の高い光ピックアップを実現することができる。
本発明の光ピックアップは、上記の課題を解決するために、上記回折光学素子に入射する第2,第3光ビームの収束/発散度合いをそれぞれΦinr,ΦinIrとし、上記集光レンズに入射する第2,第3光ビームの収束/発散度合いをそれぞれΦoutr,ΦoutIrとすると、
|Φoutr|>|Φinr|、かつ、|ΦoutIr|>|ΦinIr|
を満足することを特徴としている。
上記の構成によれば、回折光学素子に入射する第2,第3の光ビームよりも、回折格子から出射する第2,第3の光ビームの方が、収束/発散度合いの絶対値を大きくなるようにすることにより、光透過層の厚さが異なることにより発生する球面収差の増大抑制効果を十分に得つつ、回折光学素子に対して入射させる第2,第3の光ビームの収束/発散度合いの絶対値を小さくすることが可能となる。つまり、平行光に近づけることが可能となる。これにより、特に本発明の光ピックアップにおいて、第3光ビームを小さい収束/発散度合いで回折光学素子に入射することが可能となる。
本発明の光ピックアップは、上記の課題を解決するために、上記回折光学素子は、上記第1,第2,第3の光ビームを、それぞれ1次回折光として上記集光手段に入射させ、上記回折光学素子の回折面における回折格子の深さは、上記第1,第2,第3の何れの光ビームに対しても1次回折光の回折効率が最も高くなるように設定されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記回折光学素子が、上記第1,第2,第3の光ビームを、それぞれ1次回折光として上記集光手段に入射させ、上記回折光学素子の回折面における回折格子の深さは、上記第1,第2,第3の何れの光ビームに対しても1次回折光の回折効率が最も高くなるように設定されていることで、各記録媒体に入射される光量のロスを、どの回折光に対しても低減することができると共に、同じ集光手段を用いて異なる光透過層厚の記録媒体に対して良好な集光スポットを形成することができる。また、上記の構成によれば、上記回折光学素子に対する上記第2,第3の光ビームの発散度合いを抑えることができ、トラッキングなどによる上記集光レンズのラジアル方向へのシフトの影響を抑えることが可能となる。このため、上記の構成によれば、光透過層の厚さの異なる3つの記録媒体に対する互換性を有し、かつ、各記録媒体の各情報記録面に入射される各回折光の回折効率が何れも高く、高出力の光ビームが必要となる情報の記録や消去を行うことができる光ピックアップを実現することができる。さらに、上記の構成によれば、各光ビームの出力を小さくすることができるため、光源での消費電力を抑えることができる。
本発明の光ピックアップは、上記の課題を解決するために、上記回折光学素子は、上記回折面及び屈折面として、発散型の回折面と凸面の屈折面とを備えていることを特徴としている。
上記の構成によれば、1つの集光手段を用いて、光透過層の厚さが異なる各記録媒体に対して、良好な集光スポットを形成することができる。また、上記の構成によれば、上記集光手段に弱い発散光を入射するだけで、上記集光手段に所定の発散度合いで光ビームを入射することが可能になる。そのため、上記の構成によれば、第2,第3の光ビームの上記回折光学素子への発散度合いを抑えることができ、上記集光手段のラジアル方向へのシフトによる集光特性の劣化をより効果的に抑えることができると共に、上記集光手段に対する光源の位置を遠くすることが可能になり、光源の配置が容易になる。
本発明の光ピックアップは、上記の課題を解決するために、上記回折光学素子の屈折面は非球面であることを特徴としている。
上記の構成によれば、上記各記録媒体の光透過層の厚さの違いによって発生する球面収差をさらに補正し、かつ、上記集光手段のシフト特性の悪化を抑えることができ、より良好な集光特性が得ることができる。
上記の各構成の光ピックアップにおいて、前記回折光学素子の回折面は、屈折面上に形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、回折光学素子の屈折面と回折面との位置合わせが不要になり、回折光学素子の作成を容易にすることができる。
上記の各構成の光ピックアップにおいて、前記回折光学素子の回折面には、鋸歯状又は階段状の回折格子が形成されていることが好ましい。
上記構成によれば、回折光学素子における各光ビームの回折効率を向上させることができる。これにより、各光ビームの光源の出力を小さくできるため、光源での消費電力を抑えることができる。上記構成は、高出力なビームが必要となる情報の記録や消去を行う光ピックアップに特に有効である。
本発明の光ピックアップは、それぞれ情報記録面上に厚さt1,t2,t3(t1=t2<t3)の光透過層を備えた第1、第2及び第3記録媒体の前記各情報記録面に対して、それぞれ波長λ1,λ2,λ3(λ1<λ2<λ3)の第1、第2及び第3光ビームを集光して情報の記録又は再生が可能な光ピックアップであって、この第1、第2及び第3光ビームをそれぞれ前記第1、第2及び第3記録媒体の各情報記録面に対して集光する対物レンズと、前記対物レンズに対して第1、第2及び第3光ビームの入射側に、前記対物レンズと一体に設けられ、第1、第2及び第3光ビームを回折させ、かつ、屈折させて所定回折次数の第1、第2及び第3光ビームを前記対物レンズに入射させる回折光学素子とを備え、前記回折光学素子は、前記対物レンズに対して第3光ビームを発散光で入射させるとともに、第3光ビームについて、前記回折光学素子に入射する収束/発散度合いをΦinIrとし、前記対物レンズに入射する発散度合いをΦoutIrとすると、|ΦinIr|<|ΦoutIr|
を満たすことを特徴としている。
上記の構成によれば、互いに異なる波長の第1、第2及び第3光ビームを用いて、それぞれ第1、第2及び第3記録媒体の記録又は再生を行う光ピックアップでは、最も短波長の第1光ビームを第1記録媒体に集光する場合について収差が補正された対物レンズを用いることになる。
一方、第1記録媒体とは使用波長や光透過層の厚さの異なる第2及び第3記録媒体に対してそれぞれ第2及び第3光ビームを集光させるために上記対物レンズをそのまま使用すると、第2及び第3光ビームの色収差や球面収差が増大してしまう。この球面収差の増大を抑えるためには、補正のために逆向きの収差を発生させるべく、第2及び第3光ビームを上記対物レンズに発散光として入射させればよい。
ここで、球面収差の増大抑制効果を十分に得るためには、対物レンズに入射させる第3光ビームの発散度合いを大きくする必要がある。ところが、対物レンズに入射させる光ビームの発散度合いを大きくすると、トラッキングなどによる対物レンズのラジアル方向(対物レンズに入射する第1、第2及び第3光ビームの光軸にほぼ直交する方向)の移動により、記録媒体上の絞り込みスポットに付加されるコマ収差が増大してしまい集光特性が大きく劣化してしまうという問題を招来する。
そこで、上記構成では、第3光ビームを対物レンズに発散光として入射させる際に、対物レンズと一体となって移動可能に設けられた回折光学素子を用いる。そして、この回折光学素子は、
|ΦinIr|<|ΦoutIr|
を満たすように作用する。すなわち、回折光学素子に入射する第3光ビームよりも、回折光学素子から出射する第3光ビームの方が、収束/発散度合いの絶対値が大きくなるようにする。
これにより、球面収差の増大抑制効果を十分に得つつ、対物レンズと回折光学素子とからなるユニット(対物レンズユニット)に対して入射させる第3光ビームの収束/発散度合いの絶対値を小さくする、つまり、平行光に近づけることが可能になる。その結果、上記構成では、回折光学素子を用いない場合と比較して、上記対物レンズユニットのラジアル方向のシフトによる集光特性の劣化を抑制することができる。
このように、上記の構成では、1つの対物レンズを用いて、使用波長や異なる光透過層厚の記録媒体に対して良好な集光スポットを形成し、情報の記録又は再生が可能になるとともに、対物レンズユニットのラジアル方向の移動によっても集光特性が大きく劣化するのを抑えることができる。
本発明の光ピックアップは、上記構成において、前記回折光学素子は、前記対物レンズに対して第1光ビームを平行光で入射させることが好ましい。
上記構成によれば、最も厳しい集光特性が要求される短波長の第1光ビームを対物レンズに対して平行光で入射させることにより、第1光ビームの使用における回折光学素子と対物レンズとの位置ずれによる収差の発生を抑制することができる。
本発明の光ピックアップは、上記構成において、前記回折光学素子に対して第1光ビームが平行光もしくは収束光で入射することが好ましい。
上記構成によれば、回折光学素子に対して入射する第3光ビームの収束/発散度合いの絶対値を比較的小さくすることができる。その結果、対物レンズユニットのラジアル方向の移動による集光特性の劣化をより効果的に抑えることができる。
本発明の光ピックアップは、上記構成において、前記回折光学素子は、第1光ビームの2次回折光、第2光ビームの1次回折光、及び第3光ビームの1次回折光をそれぞれ前記対物レンズに入射させ、前記回折光学素子では、第1光ビームについては2次回折光の回折効率が他の回折次数の効率よりも高く、第2光ビームについては1次回折光の回折効率が他の回折次数の効率よりも高く、第3光ビームについては1次回折光の回折効率が他の回折次数の効率よりも高いことが好ましい。
上記構成によれば、第1、第2及び第3光ビーム全ての回折効率を向上させることができる。これにより、各光ビームの光源の出力を小さくできるため、光源での消費電力を抑えることができる。上記構成は、高出力なビームが必要となる情報の記録や消去を行う光ピックアップに特に有効である。特に、前記回折光学素子では、第1光ビームについては2次回折光の回折効率が90%以上であることが好ましい。
本発明の光ピックアップは、上記構成において、前記回折光学素子は、収束型の回折面、及び凹面の屈折面を備えることが好ましい。
上記構成によれば、第1記録媒体専用の光ピックアップよりも使用可能な波長範囲が広くなり、第1記録媒体専用の対物レンズを単体で用いる場合よりも波長依存特性を改善することができる。したがって、上記構成では、モードホップなどによる波長変動が生じても、良好な集光特性を保つことができる。また、回折光学素子の回折面の最小ピッチを広げることができ、回折光学素子の作成を容易にすることができる。
本発明の光ピックアップは、情報記録面上に厚さt1の光透過層を備えた第1記録媒体の前記情報記録面に対して、波長λ1の第1光ビームを集光して第1光スポットを形成することにより情報の記録又は再生が可能であり、かつ、情報記録面上に厚さt2(t2>t1)の光透過層を備えた第2記録媒体の前記情報記録面に対して、波長λ2(λ2>λ1)の第2光ビームを集光して第2光スポットを形成することにより情報の記録又は再生が可能な光ピックアップであって、前記第1及び第2光ビームが入射することにより、入射した第1及び第2光ビームを回折させ、かつ、屈折させて出射する回折光学素子と、回折光学素子から出射された第1及び第2光ビームのそれぞれ2次及び1次回折光あるいは3次及び2次回折光を、それぞれ前記第1及び第2記録媒体の情報記録面に対して集光して前記第1及び第2光スポットを形成する対物レンズとを備え、第1光ビームは、回折光学素子に対して平行光で入射し、平行光で対物レンズに入射し、前記回折光学素子は、収束型の回折格子と、発散型のレンズとを備え、前記第1光ビームと第2光ビームとが、互いに収束又は発散度合いの異なる光ビームとして前記回折光学素子に入射することを特徴としている。
上記の構成によれば、少なくとも、第1光ビームに対して、対物レンズユニットのラジアル方向シフトによるコマ収差の発生の低減が可能であり、さらに、回折光学素子に対する対物レンズのラジアル方向への位置ズレによる収差の発生の低減を可能である。
本発明は、異なる波長の光ビームを用いた光ピックアップに適用できる。
1a 半導体レーザ
1b 半導体レーザ
1c 半導体レーザ
2a コリメータレンズ
2b コリメータレンズ
2c 補正レンズ
3a 整形光学系
3b 整形光学系
4a ビームスプリッタ
4b ビームスプリッタ
4c ビームスプリッタ
5 ダイクロミラー
6 球面収差補償系
7 ダイクロミラー
8 1/4波長板
9 ミラー
10 波長選択性開口フィルタ
11 回折光学素子
12 対物レンズ
13 対物レンズユニット
14a 第1光ディスク
14b 第2光ディスク
14c 第3光ディスク
15a 再生信号検出光学系
15b 再生信号検出光学系
15c 再生信号検出光学系
16a 第1光学系
16b 第2光学系
16c 第3光学系
100 光ピックアップ
111 回折光学素子
112 対物レンズ
113 対物レンズユニット
200 光ピックアップ
211 回折光学素子
212 対物レンズ
213 対物レンズユニット
300 光ピックアップ
311 回折光学素子
312 対物レンズ
313 対物レンズユニット
411 回折光学素子
412 対物レンズ
413 対物レンズユニット

Claims (3)

  1. 情報記録面上に厚さt1の光透過層を備えた第1記録媒体の前記情報記録面に対して、波長λ1の第1光ビームを集光して第1光スポットを形成することにより情報の記録又は再生が可能であり、かつ、情報記録面上に厚さt2(t2>t1)の光透過層を備えた第2記録媒体の前記情報記録面に対して、波長λ2(λ2>λ1)の第2光ビームを集光して第2光スポットを形成することにより情報の記録又は再生が可能な光ピックアップであって、
    前記第1及び第2光ビームが入射することにより、入射した第1及び第2光ビームを回折させ、かつ、屈折させて出射する回折光学素子と、
    回折光学素子から出射された第1光ビームの2次回折光及び第2光ビームの1次回折光を、それぞれ前記第1記録媒体の情報記録面及び第2記録媒体の情報記録面に対して集光して前記第1及び第2光スポットを形成する対物レンズとを備え、
    第1光ビームは、回折光学素子に対して平行光で入射し、平行光で対物レンズに入射し、
    前記回折光学素子は、上記対物レンズの光源側に配され、収束型の回折面と、対物レンズ側に配された凹面の屈折面とを有し、
    前記回折光学素子と上記対物レンズとは、保持体によって保持され、
    前記第2光ビームは発散光として前記回折光学素子に入射することを特徴とする光ピックアップ。
  2. 前記回折光学素子の回折面は、屈折面上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ。
  3. 前記回折光学素子の回折面には、鋸歯状又は階段状の回折格子が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光ピックアップ。
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