上記目的を達成するために、本発明による対物レンズは、波長λ1の第1光源からの第1光束を用いて厚さt1の第1保護基板を有する第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源からの第2光束を用いて厚さt2(t2>t1)の第2保護基板を有する第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源からの第3光束を用いて厚さt3(t3>t2)の第3保護基板を有する第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、かつ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録について、共通の対物レンズを用いる光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記対物レンズは単レンズであって、前記対物レンズの入射瞳面を、光軸近傍から外側に向かって順に、第1光束領域、第2光束領域、第3光束領域、の輪帯状の3つの光束領域に分割したとき、前記第1光束領域、前記第2光束領域及び前記第3光束領域は回折構造を有し、前記第1光束領域に入射した前記第1乃至第3光束は、前記回折構造を有する前記第1光束領域によって、それぞれ前記第1乃至第3光情報記録媒体の各情報記録面上に回折限界内となる状態で集光され、かつ、前記第2光束領域に入射した前記第1及び第2光束は、前記回折構造を有する前記第2光束領域によって、それぞれ前記第1及び第2光情報記録媒体の各情報記録面上に回折限界内となる状態で集光されるが、前記第2光束領域に入射した前記第3光束は、前記回折構造を有する前記第2光束領域によって、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上でフレア成分とされ、かつ、前記第3光束領域に入射した前記第1光束は、前記回折構造を有する前記第3光束領域によって、前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に回折限界内となる状態で集光されるが、前記第3光束領域に入射した前記第2及び第3光束は、前記回折構造を有する前記第3光束領域によって、それぞれ前記第2及び第3光情報記録媒体の各情報記録面上でフレア成分とされることを特徴とする。
この光ピックアップ装置用の対物レンズによれば、3種類の規格の異なる光情報記録媒体について情報の記録及び/又は再生を共通の対物レンズを用いて行うことができる。また、対物レンズは単玉レンズであるので、特に、透明基板厚の大きい、第3の光情報記録媒体について情報の記録及び/または再生を行う際の作動距離を十分に確保できる。
上記対物レンズにおいて、前記第i光束領域に形成された前記回折構造に、前記第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をni1、前記第i光束領域に形成された前記回折構造に、前記第2光束が入射した場合に発生する前記第2光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をni2、としたとき、次式を満たすことが好ましい。
|ni1|>|ni2|(ただし、iは、1または2または3)
また、前記第i光束領域に形成された前記回折構造に、前記第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をni1、前記第i光束領域に形成された前記回折構造に、前記第3光束が入射した場合に発生する前記第3光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をni3、としたとき、次式を満たすことが好ましい。
|ni1|>|ni3|(ただし、iは、1または2または3)
また、前記第2及び第3光束領域には、それぞれ同心円状の複数の輪帯からなる回折構造が形成され、前記第2光束領域に形成された前記回折構造に、前記第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn21、前記第3光束領域に形成された前記回折構造に、前記第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn31、としたとき、次式を満たすことが好ましい。
|n31|>|n21|
また、前記第2光束領域に形成された前記回折構造は、前記回折次数n21と最適化波長λB2で最適化され、かつ、前記第3光束領域に形成された前記回折構造は、前記回折次数n31と最適化波長λB3で最適化され、次式を満たすことが好ましい。
λB2≠λB3
また、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
また、上記対物レンズはプラスチック材料またはガラス材料から形成されることが好ましい。
本発明の光ピックアップ装置は上記対物レンズを有することが好ましい。また、本発明による記録・再生装置は、上記光ピックアップ装置を搭載したことを特徴とする、音声及び/または画像の記録装置、及び/または、音声及び/または画像の再生装置である。
本発明による光ピックアップ装置の光学系について図1乃至図8により説明する。なお、図1乃至図8は各光ピックアップ装置を概念的に示す図であり、図1乃至図8では光ピックアップ装置の光学系を構成する各素子の位置を概念的に示すために各素子が分離して示されているが、実際には同一の素子が2つ又は2つ以上の素子の機能を有する場合がある。
本発明による光ピックアップ装置の光学系では、図1乃至図4のように、第1光源乃至第3光源からの各光束が通過する共通の光路に基板厚差補正手段を配置する。
即ち、図1の光ピックアップ装置は、第1光源1乃至第3光源3からの各光束が通過する共通の光路に第1保護基板乃至第3保護基板のうち少なくとも2つの保護基板の厚さの違いに起因して変化する球面収差を補正するための基板厚差補正手段7と、第1光情報記録媒体が有する第1保護基板の厚み誤差に起因して変化する球面収差を補正するための基板厚誤差補正手段6と、第1光源1の微少な波長変化に起因する色収差を補正するための色収差補正手段5と、を有し、第1光源1,第2光源2及び第3光源3からの各光束は共通の対物レンズ8により第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に集光される。なお、各光源からの発散光束は光路合成手段9aにより光路が合成された後、カップリングレンズ4aにより発散角が変換されて、対物レンズ8にむかう。
また、図2の光ピックアップ装置は、第1光源1乃至第3光源3からの各光束が通過する共通の光路に、基板厚差補正手段7と、基板厚誤差補正手段6と、を配置し、第1光源1からの光束のみが通過する光路に、第1光源1の微少な波長変化に起因する色収差を補正するための色収差補正手段5を配置し、第1光源1,第2光源2及び第3光源3からの各光束は共通の対物レンズ8により第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に集光される。カップリングレンズ4bにより発散角が変換された第1光源1からの光束と、カップリングレンズ4cにより発散角が変換された第2光源2及び第3光源3からの光束は、光路合成手段9aにより光路が合成された後、対物レンズ8にむかうが、以下の図3乃至図7の光ピックアップ装置でも同様である。
また、図3のピックアップ装置は、第1光源1乃至第3光源3からの各光束が通過する共通の光路に色収差補正手段5と基板厚差補正手段7とを配置し、第1光源1からの光束のみが通過する光路に第1保護基板の厚み誤差に起因して変化する球面収差を補正するための基板厚誤差補正手段6を配置し、第1光源1,第2光源2及び第3光源3からの各光束は共通の対物レンズ8により第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に集光される。
また、図4の光ピックアップ装置は、第1光源1乃至第3光源3からの各光束が通過する共通の光路に基板厚差補正手段7を配置し、第1光源1からの光束のみが通過する光路に第1光源1の微少な波長変化に起因する色収差を補正するための色収差補正手段5と、第1保護基板の厚み誤差に起因して変化する球面収差を補正するための基板厚誤差補正手段6とを配置し、第1光源1,第2光源2及び第3光源3からの各光束は共通の対物レンズ8により第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に集光される。
また、図5の光ピックアップ装置は、第1光源1乃至第3光源3からの各光束が通過する共通の光路に色収差補正手段5を配置し、第2光源2及び第3光源3からの各光束のみが通過する共通の光路に第1保護基板乃至第3保護基板のうち少なくとも2つの保護基板の厚さの違いに起因して変化する球面収差を補正するための基板厚差補正手段7を配置し、第1光源1からの光束のみが通過する光路に第1の保護基板の厚み誤差に起因して変化する球面収差を補正するための基板厚誤差補正手段6を配置し、第1光源1,第2光源2及び第3光源3からの各光束は共通の対物レンズ8により第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に集光される。
また、図6の光ピックアップ装置は、第1光源1乃至第3光源3からの各光束が通過する共通の光路に基板厚誤差補正手段6を配置し、第2光源2及び第3光源3からの各光束のみが通過する共通の光路に第1保護基板乃至第3保護基板のうち少なくとも2つの保護基板の厚さの違いに起因して変化する球面収差を補正するための基板厚差補正手段7を配置し、第1光源1からの光束のみが通過する光路に第1光源の微少な波長変化に起因する色収差を補正するための色収差補正手段5を配置し、第1光源1,第2光源2及び第3光源3からの各光束は共通の対物レンズ8により第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に集光される。
また、図7の光ピックアップ装置は、第2光源2及び第3光源3からの各光束のみが通過する共通の光路に第1保護基板乃至第3保護基板のうち少なくとも2つの保護基板の厚さの違いに起因して変化する球面収差を補正するための基板厚差補正手段7を配置し、第1光源1からの光束のみが通過する光路に第1光源1の微少な波長変化に起因して変化する色収差を補正するための色収差補正手段5と、第1の保護基板厚の厚み誤差に起因して変化する球面収差を補正するための基板厚誤差補正手段6とを配置し、第1光源1,第2光源2及び第3光源3からの各光束は共通の対物レンズ8により第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に集光される。
また、本発明による光ピックアップ装置の光学系では、図8のように、第2光源からの光束のみが通過する光路に、第1保護基板及び第2保護基板の厚さの違いに起因して変化する球面収差を補正するための基板厚差補正手段7aを配置し、さらに、第3光源からの光束のみが通過する光路に、第1保護基板及び第3保護基板の厚さの違いに起因して変化する球面収差を補正するための基板厚差補正手段7bを配置する。
即ち、図8の光ピックアップ装置は、第1光源1からの光束のみが通過する光路に色収差補正手段5と基板厚誤差補正手段6とを配置し、第2光源2からの光束のみが通過する光路に第1保護基板及び第2保護基板の厚さの違いに起因して変化する球面収差を補正するための基板厚差補正手段7aを配置し、第3光源3からの光束のみが通過する光路に、第1保護基板及び第3保護基板の厚さの違いに起因して変化する球面収差を補正するための基板厚差補正手段7bを配置する。カップリングレンズ4bで発散角が変換された第1光源1からの光束と、カップリングレンズ4dで発散角が変換された第2光源2からの光束は、光路合成手段9bにより光路が合成されて、カップリングレンズ4eで発散角が変換された第3光源3からの光束は、光路合成手段9cにより第1光源1及び第2光源2からの光束と光路が合成される。第1光源1,第2光源2及び第3光源3からの各光束は共通の対物レンズ8により第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体のそれぞれの情報記録面上に集光される。
なお、図1乃至図8の光ピックアップ装置では、各光源からの発散光束の発散角を、カップリングレンズ4aまたはカップリングレンズ4bまたはカップリングレンズ4cまたはカップリングレンズ4dを用いて変換する構成としたが、かかるカップリングレンズは本発明による光ピックアップ装置の光学系には含まれない場合もある。また、図1乃至図7の光ピックアップ装置では、図面の簡略化のために第2光源と第3光源を同一の記号を用いて表しているが、実際の光ピックアップ装置では、第2光源と第3光源は別体の光源である場合もある。さらに、図1乃至図8の光ピックアップ装置では、第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体を同一の記号10を用いて表しているが、実際の光ピックアップ装置では各光情報記録媒体は当然別々である。さらに、図1乃至図8の光ピックアップ装置では、対物レンズ8を駆動するためのアクチュエータや1/4波長板、光情報記録媒体10からの反射光束を検出するための光検出器等は省略されているが、実際の光ピックアップ装置ではこれらを有する。
上述の光ピックアップ装置において、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をそれぞれNA1、NA2、NA3としたとき、前記第1光源の波長λ1、前記第2光源の波長λ2、前記第3光源の波長λ3、前記第1保護基板の厚さt1、前記第2保護基板の厚さt2、前記第3保護基板の厚さt3、及び、前記対物レンズの所定の像側開口数NA1、NA2、NA3が次式を満たすことが好ましい。
350nm<λ1<550nm
600nm<λ2<700nm
700nm<λ3<850nm
0.0mm≦t1<0.3mm
0.5mm<t2<0.7mm
1.0mm<t3<1.3mm
0.99>NA1≧0.80
0.80>NA2≧0.55
0.55>NA3≧0.40
また、前記対物レンズの前記波長λ1における焦点距離をf1(mm)、中心厚さをd(mm)、前記対物レンズに入射する前記波長λ1の光束の径をΦ1(mm)、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの作動距離をfB3(mm)としたとき、次式を満たすことが好ましい。
0.7<d/f1<1.5
2.8<Φ1<5.8
fB3>0.2
また、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの結像倍率をm3としたとき、次式を満たすことが好ましい。−1<m3<0
また、前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの結像倍率をm2としたとき、次式を満たすことが好ましい。−1<m2<0
上述のように、保護基板厚の異なる3種類の光情報記録媒体のうち、保護基板厚の大きい第2光情報記録媒体及び/または第3光情報記録媒体に対して情報の再生及び/または記録を行う場合に、対物レンズを、発散光束が入射する有限仕様とすると、作動距離を十分に確保することができる。
前記対物レンズはプラスチック材料から形成されるか、または、ガラス材料から形成される。
前記対物レンズはガラス転移点Tgが400℃以下のガラス材料から形成されたことを特徴とする。
前記基板厚差補正手段7は、同心円状の複数の輪帯からなる回折構造が形成された少なくとも1つの回折面を有することが好ましい。
前記回折構造は、入射する光束の波長が長くなる方向に変化した場合に、球面収差が補正不足方向に変化するような球面収差特性を有することを特徴とする。
また、前記回折構造は前記対物レンズの少なくとも1つの光学面上に形成される。
また、前記基板厚差補正手段7は、光軸方向に変移することで、前記対物レンズに入射する光束のマージナル光線の傾角を変化させることができる少なくとも1つの可動光学素子と、前記可動光学素子を光軸方向に変移させるための駆動手段と、を備えることが好ましい。
また、前記基板厚差補正手段7は、少なくとも1つの屈折率分布可変材料層と、電場または磁場または熱を印加するための印加手段と、を備え、前記屈折率分布可変材料層に前記印加手段により電場または磁場または熱を印加することにより前記屈折率分布可変材料層の屈折率分布を変化させることが好ましい。
また、前記第1光情報記録媒体に情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの結像倍率をm1、前記第2光情報記録媒体に情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの結像倍率をm2、前記第3光情報記録媒体に情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの結像倍率をm3としたとき、前記m1、m2、m3のうち少なくとも2つの結像倍率の値を異なるようにすることで、前記第1保護基板乃至第3保護基板の厚さの違いに起因して変化する球面収差を補正することが好ましい。
上述の光ピックアップ装置において、前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数NA1が0.8以上であって、前記第1保護基板乃至第3保護基板のうち、前記第1保護基板の厚さ誤差に起因して変化する球面収差を補正するための基板厚誤差補正手段6を、前記第1光源からの光束が通過する光路中に有することが好ましい。これにより、特に、高密度記録用の第1光情報記録媒体について安定した記録及び/または再生が可能となる。
また、前記第1光情報記録媒体は、同一光束入射面側に複数の情報記録層を有する構造を有し、前記第1光情報記録媒体の各々の情報記録層の情報記録面に、前記第1光源からの光束を集光させる際に、前記第1光情報記録媒体の光束入射面から各々の情報記録面までの保護基板の厚さの違いに起因して変化する球面収差を、前記基板厚誤差補正手段6で補正することが好ましい。
また、前記基板厚誤差補正手段6は、光軸方向に変移することで、前記対物レンズに入射する前記第1光源からの光束のマージナル光線の傾角を変化させることができる少なくとも1つの可動光学素子と、前記可動光学素子を光軸方向に変移させるための駆動手段と、を備えることが好ましい。これにより、特に第1光情報記録媒体が有する第1の保護基板厚の厚み誤差に起因する球面収差を補正できるとともに、対物レンズ等の光学系を構成する光学素子の製造誤差、特に第1光源の製造誤差による波長の変化、及び温度変化や湿度変化による対物レンズ等の光学系を構成する光学素子の形状変化や屈折率変化による球面収差の変化を補正できる。このため、特に、高密度記録用の第1光情報記録媒体について安定した記録及び/または再生が可能となる。
また、前記基板厚誤差補正手段6は、前記第1光源からの発散光束の発散角を変化させるためのカップリングレンズであって、前記カップリングレンズを構成する光学素子のうち少なくとも1つが前記可動光学素子であることが好ましい。または、前記基板厚誤差補正手段6は、少なくとも1つの正レンズ群と、少なくとも1つの負レンズ群とから構成され、略平行光束である入射光束を略平行光束として射出することのできるビームエキスパンダ、及び/または、ビームシュリンカであって、前記正レンズ群、及び前記負レンズ群のうち少なくとも1つのレンズ群が前記可動光学素子であることが好ましい。
また、前記基板厚誤差補正手段6は、少なくとも1つの屈折率分布可変材料層と、電場または磁場または熱を印加するための印加手段と、を備え、前記屈折率分布可変材料層に前記印加手段により電場または磁場または熱を印加することにより前記屈折率分布可変材料層の屈折率分布を変化させることが好ましい。これにより、特に第1光情報記録媒体が有する第1の保護基板厚の厚み誤差に起因する球面収差を補正できるとともに、対物レンズ等の光学系を構成する光学素子の製造誤差、特に第1光源の製造誤差による波長の変化、及び温度変化や湿度変化による対物レンズ等の光学系を構成する光学素子の形状変化や屈折率変化による球面収差の変化を補正できる。このため、特に、高密度記録用の第1光情報記録媒体について安定した記録及び/または再生が可能となる。
上述の光ピックアップ装置において、前記第1光源の波長λ1が550nmより短く、前記第1光源の微少な波長変化に起因する前記対物レンズの色収差を補正するための色収差補正手段5を、前記第1光源からの光束が通過する光路中に有することが好ましい。これにより、光源の単色性の悪さ等に起因する色収差を補正できる。このため、特に、高密度記録用の第1光情報記録媒体について安定した記録及び/または再生が可能となる。
前記第1光源乃至第3光源からの各光束がすべて通過する共通の光路に、前記色収差補正手段5を配置することが好ましい。
また、前記色収差補正手段5は、同心円状の複数の輪帯からなる回折構造が形成された回折面を有する2つの光学素子が、前記回折面を互いに対向するように近接して配置された構造を有し、前記2つの光学素子の材料は前記波長λ1近傍の波長領域で所定の屈折率差を有するとともに、前記2つの光学素子の材料の前記波長λ2近傍の波長領域、及びλ3近傍の波長領域での屈折率差が略零であることが好ましい。これにより、第1光源の波長近傍の光のみが光学素子間の屈折率差により回折するので第1光源の波長変動に起因する対物レンズ8の色収差を補正することができる。
また、前記色収差補正手段5は、同心円状の複数の輪帯からなる回折構造を有し、前記回折構造に前記第1光源からの波長λ1の第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn1、前記回折構造に前記第2光源からの波長λ2の第2光束が入射した場合に発生する前記第2光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn2、前記回折構造に前記第3光源からの波長λ3の第3光束が入射した場合に発生する前記第3光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn3とするとき、
|n1|>|n2|≧|n3|
を満たすことが好ましい。
この場合、前記回折構造は前記対物レンズの少なくとも1つの光学面上に形成されることが好ましい。
また、前記第1光源からの光束のみが通過し、かつ、前記第2光源及び前記第3光源からの光束は通過しない光路に、前記色収差補正手段を配置することが好ましい。
また、前記色収差補正手段5は、同心円状の複数の輪帯からなる回折構造が形成された少なくとも1つの回折面を有し、第i回折面の回折構造により透過波面に付加される光路差を、
Φbi=ni・(b2i・hi2+b4i・hi4+b6i・hi6+・・・)
により定義される光路差関数で表す場合に(ここで、niは、前記第i回折面の回折構造に前記波長λ1の光束が入射した場合に発生する、前記波長λ1の光束の回折光のうち最大の回折光量を有する回折光の回折次数、hiは光軸からの高さ(mm)、b2i、b4i、b6i、・・・はそれぞれ2次、4次、6次、・・・の光路差関数係数(回折面係数ともいう)である)、
PD=Σ(−2・ni・b2i)
により定義される回折構造のみのパワー(mm-1)が次式を満たすことが好ましい。
1.50×10-2<PD<15.0×10-2
上記式の下限以上で、光情報記録媒体の情報記録面上に集光された波面の軸上色収差が補正不足になりすぎず、また、上限以下で、光情報記録媒体の情報記録面上に集光された波面の軸上色収差が補正過剰になりすぎない。
また、前記色収差補正手段5は、相対的にアッベ数の大きい正レンズ群と相対的にアッベ数の小さい負レンズ群とから構成され、前記正レンズ群のアッベ数νdP及び前記負レンズ群のアッベ数νdNが次式を満たすことにより、色収差を適切に補正することができる。
νdP>55
νdN<35
また、前記第1光源の波長が+1nm変化した場合の、前記対物レンズと前記色収差補正手段とを合わせた光学系の近軸焦点位置の変化量ΔfBOBJ+CAが次式を満たすことが好ましい。
|ΔfBOBJ+CA・NA12|<0.15(μm)
なお、本明細書中において、「基板厚誤差補正手段6、及び/または、基板厚差補正手段7によって球面収差を(良好に)補正する」とは、少なくとも、基板厚誤差補正手段6、及び/または、基板厚差補正手段7と対物レンズとから構成される光学系を通過した光束が、各光情報記録媒体に対して情報の再生、及び/または、記録を行うのに必要な対物レンズの所定の各像側開口数内で、各情報記録媒体の情報記録面上に、λを光源の波長としたとき、波面収差が0.07λrms以下(より好ましくは0.05λrms以下)の状態で、集光されるように球面収差を補正することを指す。
上述の光ピックアップ装置において、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をそれぞれNA1、NA2、NA3としたとき、
NA1>NA2>NA3
を満たし、前記NA1とNA2とNA3との開口切替手段を備えることにより、共通の対物レンズで第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体に対し情報の記録及び/または再生を行う際にそれぞれの対物レンズの所定の像側開口数に応じて開口の切り替えを行うことができる。
これにより、第2光情報記録媒体及び第3光情報記録媒体に対する情報の再生、及び/または、記録を行う場合に、各情報記録媒体上での集光スポットの大きさが必要以上に小さくなりすぎないので、ディスクスキューで発生するコマ収差を小さくすることができ、十分なディスクスキューマージンを得ることができる。また、必要開口数以上の領域を通過した、集光に寄与しない不要光を光検出器が検出するのを防ぐことができるので、良好なフォーカシング特性やトラッキング特性を得ることができる。
前記開口切替手段は、前記第1光源乃至前記第3光源からの各光束がすべて通過する共通の光路に配置されることを特徴とする。
前記開口切替手段は、同心円状の複数の輪帯からなる回折構造が形成された少なくとも1つの回折面を有し、前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合に、前記対物レンズの像側開口数NA2からNA1に対応する前記開口切替手段の領域を通過する波長λ2の光束をフレア成分とし、及び/または、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合に、前記対物レンズの像側開口数NA3からNA1に対応する前記開口切替手段の領域を通過する波長λ3の光束をフレア成分とすることで、第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または再生を行う場合に、第2光源からの波長λ2の光束を、NA1で決定される絞りに対し、開放で通過させても、NA2からNA1に対応する開口切替手段の領域を通過した光束は、第2光情報記録媒体の情報記録面上への集光に寄与しないので、開口切替手段として機能する。第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合も同様に、第3光源からの波長λ3の光束を、NA1で決定される絞りに対し、開放で通過させても、NA3からNA1に対応する開口切替手段の領域を通過した光束は、第3光情報記録媒体の情報記録面上への集光に寄与しないので、開口切替手段として機能する。このように、簡易な構造で、自動的に開口切替えを行うことができるので、特別な開口切替手段を設ける必要がなく、コスト上有利である。
また、前記開口切替手段と前記対物レンズとを合わせた光学系において、前記像側開口数NA2と前記第2保護基板の厚さt2と前記第2光源の波長λ2との組合せにおける波面収差が0.07λ2rmsより小さいとともに、前記像側開口数NA1と前記第2保護基板の厚さt2と前記第2光源の波長λ2との組合せにおける波面収差が0.07λ2rmsより大きく、及び/または、前記像側開口数NA3と前記第3保護基板の厚さt3と前記第3光源の波長λ3との組合せにおける波面収差が0.07λ3rmsより小さいとともに、前記像側開口数NA1と前記第3保護基板の厚さt3と前記第3光源の波長λ3との組合せにおける波面収差が0.07λ3rmsより大きいことが好ましい。
また、前記開口切替手段は、前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合に、前記対物レンズの像側開口数NA2内に対応する前記開口切替手段の領域に入射する波長λ2の光束を透過するとともに、前記対物レンズの像側開口数NA2からNA1に対応する前記開口切替手段の領域に入射する波長λ2の光束を遮断し、及び/または、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合に、前記対物レンズの像側開口数NA3内に対応する前記開口切替手段の領域に入射する波長λ3の光束を透過するとともに、前記対物レンズの像側開口数NA3からNA1に対応する前記開口切替手段の領域に入射する波長λ3の光束を遮断するような波長選択性を有するように構成してもよく、第2光情報記録媒体及び第3光情報記録媒体に対する情報の再生、及び/または、記録を行う場合に、必要開口数以上の領域を通過した光束を自動的に遮断するので、特別な切り替え手段を設ける必要がなく、コスト上有利である。
また、前記開口切替手段は前記対物レンズの少なくとも1つの光学面上に形成されることが好ましく、開口切替手段を簡単に構成できる。
また、前記開口切替手段は、前記対物レンズの光束入射面側に配置されるとともに、前記対物レンズと一体となってトラッキングを行うことが好ましい。これにより良好なトラッキング特性を得ることができる。
上述の光ピックアップ装置において、前記対物レンズは、前記像側開口数NA1と前記第1保護基板の厚さt1と前記第1光源の波長λ1との組合せにおいて球面収差が最小となるように収差補正され、前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合に、前記第2保護基板と前記第1保護基板との厚さの違いに起因して変化する球面収差を前記基板厚差補正手段で補正するとともに、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合に、前記第3保護基板と前記第1保護基板との厚さの違いに起因して変化する球面収差を前記基板厚差補正手段で補正することが好ましい。これにより、上述の対物レンズで第2または第3光情報記録媒体について再生または記録を行うときの第1の保護基板厚t1に対する各保護基板厚の差に起因する球面収差を適正に補正できる。
また、前記第1光源乃至第3光源のうち少なくとも2つの光源はユニット化されていることが好ましく、このように一体化することで部品点数を削減でき、光ピックアップ装置をコンパクトに構成できるとともにコスト減に寄与できる。
また、前記基板厚差補正手段と、前記基板厚誤差補正手段と、前記色収差補正手段と、前記開口切替手段のうち、少なくとも2つは一体化されていることが好ましい。このように一体化することで部品点数を削減でき、光ピックアップ装置をコンパクトに構成できるとともにコスト減に寄与できる。
また、本発明による記録・再生装置は、上述のいずれかの光ピックアップ装置を搭載し、音声及び/または画像を記録し、及び/または、音声及び/または画像を再生可能なように構成できる。例えば、上述の本発明による各光ピックアップ装置は、例えば、次世代のより高密度な第1光情報記録媒体と、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD-RW、DVD+RWD等の第2光情報記録媒体と、CD、CD-R,CD-RW,CD-Video,CD-ROM等の第3光情報記録媒体と、に対してコンパチブルなプレーヤーまたはドライブ等、あるいはそれらを組み込んだAV機器、パソコン、その他の情報端末等の音声および/または画像の記録装置および/または再生装置に搭載することができる。
また、参考例による別の光ピックアップ装置は、波長λ1の第1光源からの光束を用いて厚さt1の第1保護基板を有する第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源からの光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の第2保護基板を有する第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源からの光束を用いて厚さt3(t3≧t2)の第3保護基板を有する第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う光ピックアップ装置であって、前記光ピックアップ装置は、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録について、共通の対物レンズを用い、前記光ピックアップ装置は、前記第1光源乃至第3光源からの各光束がすべて通過する共通の光路中に配置された、前記第1保護基板厚乃至第3保護基板厚の差に起因して変化する球面収差を補正するための基板厚差補正手段を有し、前記基板厚差補正手段は、同心円状の複数の輪帯からなる回折構造を有する回折光学素子であって、前記回折構造に前記第1光源からの波長λ1の第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn1、前記回折構造に前記第2光源からの波長λ2の第2光束が入射した場合に発生する前記第2光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn2、前記回折構造に前記第3光源からの波長λ3の第3光束が入射した場合に発生する前記第3光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn3とするとき、
|n1|>|n2|
かつ
|n1|>|n3|
を満たすとともに、前記波長λ1の光束により、前記第1光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA1、前記波長λ2の光束により、前記第2光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA2、前記波長λ3の光束により、前記第3光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA3、とするとき、前記対物レンズは、前記第1光束のn1次回折光を、前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録を行うために、前記開口数NA1内で、良好な波面を形成するように、前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光でき、前記第2光束のn2次回折光を、前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録を行うために、前記開口数NA2内で、良好な波面を形成するように、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光でき、前記第3光束のn3次回折光を、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録を行うために、前記開口数NA3内で、良好な波面を形成するように、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光できることを特徴とする。
この光ピックアップ装置によれば、第1光源乃至第3光源からのすべての光束が通過する共通の光路に配置した基板厚差補正手段としての回折光学素子により、第1保護基板から第3保護基板の厚さのうち、少なくとも2つの異なる保護基板の厚さの差によって発生する球面収差を補正するので第1光情報記録媒体から第3光情報記録媒体のすべてに対して、情報の記緑または再生を良好に行うことができる。
ところで、規格の異なる3種類の光ディスクに対してコンパチブルな光ピックアップシステムでは、波長の異なる3つの光源が搭載される。その理由として以下のことがあげられる。第1に、短波長領域における、2層ディスクの情報記録層間の中間層の反射率が低いために、高密度DVD用の短波長レーザ光源では、DVDの2層ディスクが読めないことである。第2に、CD−RやCD−RWでは、情報記録面の反射特性を利用して情報の再生を行うために、高密度DVD用の短波長レーザ光源では、CDのうち、CD−RやCD−RWを読めないことである。従って、規格の異なる3種類の光ディスクに対してコンパチブルな光ピックアップシステムでは、400nm付近のレーザ光を発生する青紫色レーザと、650nm付近のレーザ光を発生する赤色レーザと、780nm付近のレーザ光を発生する赤外レーザとの波長の異なる3つの光源を搭載する必要がある。
そこで、参考例による光ピックアップ装置では、第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体の記録及び再生に使用する光束の回折次数が上式を満たすように基板厚差補正手段としての回折光学素子の回折構造を決定するようにした。これにより、第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体の記録及び再生に使用する各光束に対して、それぞれ高い回折効率を得ることができる。また、基板厚差補正手段としての回折光学素子の回折作用により、波長の異なるそれぞれの光源からの光束が対物レンズに入射した場合に、レンズ材料の分散によって変化する球面収差を補正するので、第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体のすべてに対して、情報の記録または再生を良好に行うことができる。
前記回折構造が波長λB、前記回折次数n1で最適化されているとともに、次式を満たすことが好ましい。
300nm<λB<500nm
また、次式を満たすことが好ましい。
|n1|≦10
また、前記回折構造が波長λB、前記回折次数n1で最適化されているとともに、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
340nm<λB<440nm
|n1|=2
|n2|=1
|n3|=1
また、次式を満たすことが好ましい。
350nm<λB<420nm
また、前記回折構造が波長λB、前記回折次数n1で最適化されているとともに、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
400nm<λB<430nm
|n1|=6
|n2|=4
|n3|=3
また、次式を満たすことが好ましい。
405nm<λB<425nm
また、前記回折構造が波長λB、前記回折次数n1で最適化されているとともに、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
390nm<λB<420nm
|n1|=8
|n2|=5
|n3|=4
次式を満たすことが好ましい。
395nm<λB<415nm
また、前記回折構造が波長λB、前記回折次数n1で最適化されているとともに、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
390nm<λB<420nm
|n1|=10
|n2|=6
|n3|=5
次式を満たすことが好ましい。
395nm<λB<412nm
また、前記回折構造は正のパワーを有することが好ましい。
また、波長λB、前記回折次数n1で最適化された前記回折構造の前記複数の輪帯の各位置を、
Φb=n1・(b2・h2+b4・h4+b6・h6+・・・)
により定義される光路差関数で表す場合に(ここで、hは光軸からの高さ(mm)、b2、b4、b6、・・・はそれぞれ2次、4次、6次、・・・の光路差関数係数(回折面係数ともいう)である)、
PD=Σ(−2・n1・b2)
により定義される回折構造のみのパワー(mm-1)が次式を満たすことが好ましい。
0.5×10-2<PD<5.0×10-2
また、前記対物レンズは屈折型対物レンズであって、前記屈折型対物レンズの光束入射側に前記回折光学素子が配置されることが好ましい。
また、前記回折構造は、平面上に形成されることが好ましい。または、前記回折構造は、非球面上に形成されることが好ましい。
また、前記回折光学素子は、前記屈折型対物レンズと一体となってトラッキング駆動されることが好ましい。
また、前記回折光学素子は、前記対物レンズと一体に形成され、前記回折構造は前記対物レンズの光源側の光学面を含む、少なくとも1つの光学面上に形成されることが好ましい。
また、前記像側開口数NA1乃至NA3は、
NA1>NA2>NA3
を満たすとともに、
前記光ピックアップ装置は、前記第1光源乃至第3光源からの各光束がすべて通過する共通の光路中に配置された、NA1とNA2とNA3との開口切替手段を有することが好ましい。前記開口切替手段は、前記対物レンズと一体となってトラッキング駆動されることが好ましい。
また、前記開口切替手段は、前記基板厚差補正手段と同一の回折光学素子であって、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する、前記開口切替手段の領域を通過した前記波長λ2の光束は、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上まで到達するとともに、前記波長λ2の光束は、前記像側開口数NA1内で、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.07λ2rmsより大きい状態であり、かつ前記波長λ2の光束は、前記像側開口数NA2内で、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.07λ2rmsより小さい状態であることが好ましい。
また、前記波長λ2の光束は、前記像側開口数NA1内で、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.20λ2rmsより大きい状態であることが好ましい。
また、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する、前記開口切替手段の領域を通過した前記波長λ3の光束は、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上まで到達するとともに、前記波長λ3の光束は、前記像側開口数NA1内で、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.07λ3rmsより大きい状態であり、かつ前記波長λ3の光束は、前記像側開口数NA3内で、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.07λ3rmsより小さい状態であることが好ましい。
また、前記波長λ3の光束は、前記像側開口数NA1内で、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.20λ3rmsより大きい状態であることが好ましい。
また、前記開口切替手段は、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する、前記開口切替手段の領域に入射する前記波長λ2の光束を遮断して、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する、前記開口切替手段の領域に入射する前記波長λ2の光束が前記第2光情報記録媒体の情報記録面上まで到達しないようにすることが可能であることが好ましい。
また、前記開口切替手段は、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する、前記開口切替手段の領域に入射する波長λ1の光束を透過するとともに、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する、前記開口切替手段の領域に入射する波長λ2の光束を遮断するような波長選択性を有することが好ましい。
また、前記開口切替手段は、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する、前記開口切替手段の領域に入射する前記波長λ3の光束を遮断して、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する、前記開口切替手段の領域に入射する前記波長λ3の光束が前記第3光情報記録媒体の情報記録面上まで到達しないようにすることが可能であることが好ましい。
また、前記開口切替手段は、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する、前記開口切替手段の領域に入射する波長λ1の光束を透過するとともに、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する、前記開口切替手段の領域に入射する波長λ3の光束を遮断するような波長選択性を有することが好ましい。
また、前記開口切替手段は、前記対物レンズの光学面上に形成された波長選択フィルタに構成できる。
上述の各光ピックアップ装置において、前記対物レンズは1つのレンズ群から構成されることが好ましい。これにより、光ピックアップ装置で特に第3の光情報記録媒体に対する作動距離を十分に確保できる。この場合、前記対物レンズの前記波長λ1における焦点距離をf1(mm)、中心厚さをd(mm)、前記対物レンズに入射する前記波長λ1の光束の径をΦ1(mm)、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの作動距離をfB3(mm)としたとき、次式を満たすことが作動距離を十分に確保する上で更に好ましい。
0.7<d/f1<1.5
2.8<Φ1<5.8
fB3>0.2
また、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの結像倍率をm3とした場合に、次式を満たすことが好ましい。
m3<0
この場合、次式を満たすことが好ましい。
−0.25<m3<−0.05
また、前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの結像倍率をm2とした場合に、次式を満たすことが好ましい。
m2<0
この場合、次式を満たすことが好ましい。
−0.20<m2<−0.02
また、上述の各光ピックアップ装置において、前記対物レンズは、プラスチック材料から形成されるか、または、ガラス材料から形成されることが好ましい。
また、上述の各光ピックアップ装置において、前記対物レンズはガラス転移点Tgが400℃以下であるガラス材料から形成されたことが好ましい。
また、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
0.0mm≦t1<0.3mm
0.5mm<t2<0.7mm
1.0mm<t3<1.3mm
0.99>NA1≧0.70
0.70>NA2≧0.55
0.55>NA3≧0.40
また、第1光源乃至第3光源のうち少なくとも2つの光源はユニット化されていることが好ましい。
上述の各光ピックアップ装置を搭載し、音声及び/または画像を記録し、及び/または、音声及び/または画像を再生可能なように本発明による記録・再生装置を構成できる。
また、参考例による対物レンズは、波長λ1の第1光源からの光束を用いて厚さt1の第1保護基板を有する第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源からの光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の第2保護基板を有する第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源からの光束を用いて厚さt3(t3≧t2)の第3保護基板を有する第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記対物レンズは、少なくとも1つの光学面上に、同心円状の複数の輪帯からなる回折構造を有し、前記回折構造に前記第1光源からの波長λ1の第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn1、前記回折構造に前記第2光源からの波長λ2の第2光束が入射した場合に発生する前記第2光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn2、前記回折構造に前記第3光源からの波長λ3の第3光束が入射した場合に発生する前記第3光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn3、前記波長λ1の光束により、前記第1光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA1、前記波長λ2の光束により、前記第2光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA2、前記波長λ3の光束により、前記第3光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA3、
とするとき、
|n1|>|n2|
かつ
│n1│>│n3│
を満たすとともに、
前記対物レンズは、前記第1光束のn1次回折光を、前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録を行うために、前記開口数NA1内で、良好な波面を形成するように、前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光でき、前記第2光束のn2次回折光を、前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録を行うために、前記開口数NA2内で、良好な波面を形成するように、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光でき、前記第3光束のn3次回折光を、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録を行うために、前記開口数NA3内で、良好な波面を形成するように、前記第3情報記録媒体の情報記録面上に集光できることを特徴とする。
参考例による別の対物レンズは、波長λ1の第1光源からの光束を用いて厚さt1の第1保護基板を有する第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源からの光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の第2保護基板を有する第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源からの光束を用いて厚さt3(t3≧t2)の第3保護基板を有する第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記波長λ1の光束により、前記第1光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA1、前記波長λ2の光束により、前記第2光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA2、前記波長λ3の光束により、前記第3光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA3、とするとき、前記対物レンズの少なくとも1つの光学面は、前記第1乃至第3光情報記録媒体のすべてに対して再生及び/または記録を行うために用いられる前記開口数NA3内に対応する共通領域と、該共通領域よりも周辺側に位置し、少なくとも前記第1光情報記録媒体に対して再生及び/または記録を行うために用いられる周辺領域の、少なくとも2つの領域からなり、前記共通領域には、同心円状の複数の輪帯からなる回折構造が形成され、前記共通領域に形成された回折構造に光源からの波長λ1の第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn1、前記共通領域に形成された回折構造に前記第2光源からの波長λ2の第2光束が入射した場合に発生する前記第2光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn2、前記共通領域に形成された回折構造に前記第3光源からの波長λ3の第3光束が入射した場合に発生する前記第3光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn3、
とするとき、
|n1|>│n2|
かつ
│n1|>│n3│
を満たすとともに、
前記対物レンズは、前記共通領域で発生する前記第1の光束のn1次回折光を、前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生び/又は記録を行うために前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光し、前記共通領域で発生する前記第2光束のn2次回折光を、前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録を行うために前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光し、前記共通領域で発生する前記第3光束のn3次回折光を、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録を行うために前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光することを特徴とする。
上述の各対物レンズによれば、第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体の記録及び再生に使用する光束の回折次数が上式を満たすように回折構造を決定するので、第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体の記録及び再生に使用する各光束に対して、それぞれ高い回折効率を得ることができる。さらに、この回折構造の作用により、第1保護基板厚乃至第3保護基板厚のうち、少なくとも2つの異なる保護基板厚の差によって発生する球面収差を補正するので第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体のすべてに対して、情報の記録または再生を良好に行うことができる。また、回折構造の作用により、波長の異なるそれぞれの光源からの光束が対物レンズに入射した場合に、レンズ材料の分散によって変化する球面収差を補正するので、第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体のすべてに対して、情報の記録または再生を良好に行うことができる。
上記各対物レンズにおいて、前記回折次数n1乃至n3は次式を満たすことが好ましい。
|n2|=INT(λ1・|n1|/λ2)
|n3|=INT(λ1・|n1|/λ3)
|n1|>|n2|≧|n3|
ただし、n1は0、±1以外の整数であり、INT(λ1・|n1|/λ2)はλ1・|n1|/λ2を四捨五入して得られる整数であり、INT(λ1・|n1|/λ3)はλ1・|n1|/λ3を四捨五入して得られる整数である。
この場合、次式を満たすことが好ましい。
|INT(λ1・|n1|/λ2)−(λ1・|n1|/λ2)|<0.4
|INT(λ1・|n1|/λ3)−(λ1・|n1|/λ3)|<0.4
上述のようにして回折次数n1乃至n3を決定することで、各光束に対して、n1次回折光、n2次回折光、n3次回折光の各回折効率を高くすることができる。
また、前記回折構造に入射する前記波長λ1の光束の光量をIIN(λ1)、該IIN(λ1)の光量を有する前記波長λ1の光束が前記回折構造を通過した後の光量をIOUT(λ1)、前記回折構造に入射する前記波長λ2の光束の光量をIIN(λ2)、該IIN(λ2)の光量を有する前記波長λ2の光束が前記回折構造を通過した後の光量をIOUT(λ2)、前記回折構造に入射する前記波長λ3の光束の光量をIIN(λ3)、該IIN(λ3)の光量を有する前記波長λ3の光束が前記回折構造を通過した後の光量をIOUT(λ3)としたとき、次式を満たすことが好ましい。
IOUT(λ1)/IIN(λ1)>0.7
IOUT(λ2)/IIN(λ2)>0.7
IOUT(λ3)/IIN(λ3)>0.7
前記回折構造は、波長λB、前記回折次数n1で最適化されているとともに、次式を満たすことが好ましい。
300nm<λB<500nm
|n1|≦10
前記回折構造が波長λB、前記回折次数n1で最適化されているとともに、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
340nm<λB<440nm
|n1|=2
|n2|=1
|n3|=1
また、次式を満たすことが好ましい。
350nm<λB<420nm
また、前記対物レンズは、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際に、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有することが好ましい。
また、前記対物レンズは、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際に、バックフォーカスが短くなる方向に変化するような軸上色収差の波長依存性を有し、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際のバックフォーカスの変化量をΔCA、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際の前記開口数NA1に対応するマージナル光線の変化量をΔSAとしたとき、次式を満たすことが好ましい。
−1<ΔCA/ΔSA<0
また、波長λB、前記回折次数n1で最適化された前記回折構造の前記複数の輪帯の各位置を、
Φb=│n1|・(b2・h2+b4・h4+b6・h6+・・・・・・)
により定義される光路差関数で表す場合に(ここで、hは光軸からの高さ(mm)、b2、b4、b6、・・・・・はそれぞれ2次、4次、6次、・・・・・・の光路差関数係数(回折面係数ともいう)である)、
PD=Σ(−2・│n1|・b2)
により定義される回折構造のみのパワー(mm-1)が次式を満たすことが好ましい。
0.5×10-2<PD<5.0×10-2
また、前記回折構造は、波長λB、前記回折次数n1で最適化されているとともに、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
400nm<λB<430nm
|n1│=6
|n2│=4
│n3|=3
また、次式を満たすことが好ましい。
405nm<λB<425nm
また、前記対物レンズは、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際に、球面収差が補正不足方向に変化するような球面収差の波長依存性を有することが好ましい。
また、前記対物レンズは、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際に、バックフォーカスが長くなる方向に変化するような軸上色収差の波長依存性を有し、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際のバックフォーカスの変化量をΔCA、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際の前記開口数NA1に対応するマージナル光線の変化量をΔSAとしたとき、次式を満たすことが好ましい。
−1<ΔCA/ΔSA<0
また、波長λB、前記回折次数n1で最適化された前記回折構造の前記複数の輪帯の各位置を、
Φb=│n1│・(b2・h2+b4・h4+b6・h6+・・・・・)
により定義される光路差関数で表す場合に(ここで、hは光軸からの高さ(mm)、b2、b4、b6、・・・・・はそれぞれ2次、4次、6次、・・・・・の光路差関数係数(回折面係数ともいう)である)、
PD=Σ(−2・|n1|・b2)
により定義される回折構造のみのパワー(mm-1)が次式を満たすことが好ましい。
−5.0×10-2<PD<2.0×10-2
また、前記回折構造は、波長λB、前記回折次数n1で最適化されているとともに、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
390nm<λB<420nm
|n1|=8
|n2│=5
|n3|=4
また、次式を満たすことが好ましい。
395nm<λB<415nm
前記回折構造は、波長λB、前記回折次数n1で最適化されているとともに、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
390nm<λB<420nm
|n1|=10
|n2│=6
|n3|=5
また、次式を満たすことが好ましい。
395nm<λB<412nm
また、前記対物レンズは、1つのレンズ群から構成されたことが好ましい。
また、前記対物レンズの前記波長λ1における焦点距離をf1(mm)、中心厚さをd(mm)、前記対物レンズに入射する前記波長λ1の光束の径をΦ1(mm)、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの作動距離をfB3(mm)としたとき、次式を満たすことが好ましい。
0.7<d/f1<1.5
2.8<Φ1<5.8
fB3>0.2
また、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの結像倍率をm3とした場合に、次式を満たすことが好ましい。
m3<0
また、次式を満たすことが好ましい。
−0.25<m3<−0.05
また、前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの結像倍率をm2とした場合に、次式を満たすことが好ましい。
m2<0
また、次式を満たすことが好ましい。
−0.20<m2<−0.02
また、前記像側開口数NA1及びNA2は、
NA1>NA2
を満たすとともに、前記対物レンズの前記像側開口数NA2内に対応する領域を通過した前記波長λ2の光束は、前記像側開口数NA2内で、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.07λ2rmsより小さい状態であり、かつ、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域を通過した前記波長λ2の光束は、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上まで到達するとともに、前記波長λ2の光束は、前記像側開口数NA1内で、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.07λ2rmsより大きい状態であることが好ましい。
また、前記波長λ2の光束は、前記像側開口数NA2内で、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.05λ2rmsより小さい状態であり、かつ、前記像側開口数NA1内で、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.20λ2rmsより大きい状態であることが好ましい。
また、前記対物レンズの前記像側開口数NA2内に対応する領域を通過した前記波長λ2の光束の前記第2光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差と、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域を通過した前記波長λ2の光束の前記第2光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差は、前記像側開口数NA2において不連続であることが好ましい。
また、前記回折構造が形成された前記対物レンズの光学面において、前記像側開口数NA2内に対応する領域に形成された回折構造に、前記第1光源からの波長λ1の第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数と、前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に形成された回折構造に、前記第1光源からの波長λ1の第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数は、互いに異なる次数であって、前記像側開口数NA2内に対応する領域に形成された回折構造と、前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に形成された回折構造は、互いに異なる波長と、互いに異なる次数で最適化されていることが好ましい。
また、前記回折構造が形成された前記対物レンズの光学面において、前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に形成された回折構造は、波長λ1、所定の回折次数で最適化されていることが好ましい。
また、前記対物レンズは、
NA1>NA2
を満たすとともに、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に入射する前記波長λ2の光束を遮断して、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に入射する前記波長λ2の光束が前記第2光情報記録媒体の情報記録面上まで到達しないようにすることが可能な開口切替手段を有することが好ましい。
また、前記開口切替手段は、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に入射する波長λ1の光束を透過するとともに、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に入射する波長λ2の光束を遮断するような波長選択性を有することが好ましい。
また、前記開口切替手段は、前記対物レンズの光学面上に形成された波長選択フィルタであることが好ましい。
また、前記対物レンズの像側開口数NA1、NA2、NA3は、
NA1>NA2>NA3
を満たすとともに、前記対物レンズの前記像側開口数NA3内に対応する領域を通過した前記波長λ3の光束は、前記像側開口数NA3内で、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.07λ3rmsより小さい状態であり、かつ、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域を通過した前記波長λ3の光束は、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上まで到達するとともに、前記波長λ3の光束は、前記像側開口数NA1内で、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.07λ3rmsより大きい状態であることが好ましい。
また、前記波長λ3の光束は、前記像側開口数NA3内で、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.05λ3rmsより小さい状態であり、かつ、前記像側開口数NA1内で、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.20λ3rmsより大きい状態であることが好ましい。
また、前記対物レンズの前記像側開口数NA3内に対応する領域を通過した前記波長λ3の光束の前記第3光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差と、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域を通過した前記波長λ3の光束の前記第3光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差は、前記像側開口数NA3において不連続であることが好ましい。
また、前記回折構造が形成された前記対物レンズの光学面において、前記像側開口数NA3内に対応する領域に形成された回折構造に、前記第1光源からの波長λ1の第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数と、前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域に形成された回折構造に、前記第1光源からの波長λ1の第2光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数は、互いに異なる次数であって、前記像側開口数NA3内に対応する領域に形成された回折構造と、前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域に形成された回折構造は、互いに異なる次数で最適化されていることが好ましい。
また、前記回折構造が形成された前記対物レンズの光学面において、前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に形成された回折構造は、波長λ1、所定の回折次数で最適化されていることが好ましい。
また、前記対物レンズは、
NA1>NA2>NA3
を満たすとともに、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域に入射する前記波長λ3の光束を遮断して、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域に入射する前記波長λ3の光束が前記第3光情報記録媒体の情報記録面上まで到達しないようにすることが可能な開口切替手段を有することが好ましい。
また、前記開口切替手段は、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域に入射する波長λ1の光束と波長λ2の光束とを透過するとともに、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域に入射する波長λ3の光束を遮断するような波長選択性を有することが好ましい。
また、前記開口切替手段は、前記対物レンズの光学面上に形成された波長選択フィルタであることが好ましい。
また、上述の対物レンズはプラスチック材料から形成されることが好ましく、また、ガラス材料から形成されてもよい。この場合、前記ガラス材料は、転移点Tgが400℃以下であることが好ましい。
また、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
0.0≦t1<0.3
0.5≦t2<0.7
1.0≦t3<1.3
0.99>NA1≧0.70
0.70>NA2≧0.55
0.55>NA3≧0.40
また、参考例による更に別のピックアップ装置は、波長λ1の第1光源からの光束を用いて厚さt1の第1保護基板を有する第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源からの光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の第2保護基板を有する第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源からの光束を用いて厚さt3(t3≧t2)の第3保護基板を有する第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う光ピックアップ装置であって、上述の対物レンズを備えたことを特徴とする。また、この光ピックアップ装置を搭載し、音声及び/または画像の記録、及び/または、音声及び/または画像の再生が可能なように参考例による記録・再生装置を構成できる。
また、本発明による更に別の対物レンズは、波長λ1の第1光源からの光束を用いて厚さt1の第1保護基板を有する第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源からの光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の第2保護基板を有する第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源からの光束を用いて厚さt3(t3≧t2)の第3保護基板を有する第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記対物レンズは、屈折型レンズと、前記屈折型レンズの光束入射面側に配置され、少なくとも1つの光学面上に、同心円状の複数の輪帯からなる回折構造を有する回折光学素子とから構成された複合型対物レンズであって、前記回折構造に前記第1光源からの波長λ1の第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn1、前記回折構造に前記第2光源からの波長λ2の第2光束が入射した場合に発生する前記第2光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn2、前記回折構造に前記第3光源からの波長λ3の第3光束が入射した場合に発生する前記第3光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn3、前記波長λ1の光束により、前記第1光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA1、前記波長λ2の光束により、前記第2光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA2、前記波長λ3の光束により、前記第3光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA3、とするとき、
|n1|>|n2|
かつ
|n1|>|n3|
を満たすとともに、
前記対物レンズは、前記第1光束のn1次回折光を、前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録を行うために、前記開口数NA1内で、良好な波面を形成するように、前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光でき、前記第2光束のn2次回折光を、前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録を行うために、前記開口数NA2内で、良好な波面を形成するように、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光でき、前記第3光束のn3次回折光を、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録を行うために、前記開口数NA3内で、良好な波面を形成するように、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光できることを特徴とする。
参考例による更に別の対物レンズは、波長λ1の第1光源からの光束を用いて厚さt1の第1保護基板を有する第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源からの光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の第2保護基板を有する第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源からの光束を用いて厚さt3(t3≧t2)の第3保護基板を有する第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記対物レンズは、屈折型レンズと、前記屈折型レンズの光束入射面側に配置された回折光学素子とから構成された複合型対物レンズであって、前記波長λ1の光束により、前記第1光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA1、前記波長λ2の光束により、前記第2光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA2、前記波長λ3の光束により、前記第3光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA3、とするとき、前記回折光学素子の少なくとも1つの光学面は、前記第1乃至第3光情報記録媒体のすべてに対して再生及び/または記録を行うために用いられる前記開口数NA3内に対応する共通領域と、該共通領域よりも周辺側に位置し、少なくとも前記第1光情報記録媒体に対して再生及び/または記録を行うために用いられる周辺領域の、少なくとも2つの領域からなり、前記共通領域には、同心円状の複数の輪帯からなる回折構造が形成され、前記共通領域に形成された回折構造に光源からの波長λ1の第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn1、前記共通領域に形成された回折構造に前記第2光源からの波長λ2の第2光束が入射した場合に発生する前記第2光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn2、前記共通領域に形成された回折構造に前記第3光源からの波長λ3の第3光束が入射した場合に発生する前記第3光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn3、とするとき、
|n1|>|n2|
かつ
|n1|>|n3|
を満たすとともに、
前記対物レンズは、前記共通領域で発生する前記第1光束のn1次回折光を、前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録を行うために前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に集光し、前記共通領域で発生する前記第2光束のn2次回折光を、前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録を行うために前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光し、前記共通領域で発生する前記第3光束のn3次回折光を、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/又は記録を行うために前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光することを特徴とする。
上記各対物レンズによれば、第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体の記録及び再生に使用する光束の回折次数が上式を満たすように回折光学素子の回折構造を決定するので、第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体の記録及び再生に使用する各光束に対して、それぞれ高い回折効率を得ることができる。さらに、この回折構造の作用により、第1保護基板乃至第3保護基板の厚さのうち、少なくとも2つの異なる保護基板の厚さの差によって発生する球面収差を補正するので、第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体のすべてに対して、情報の記録または再生を良好に行うことができる。また、回折構造の作用により、波長の異なるそれぞれの光源からの光束が対物レンズに入射した場合に、レンズ材料の分散によって変化する球面収差を補正するので、第1光情報記録媒体乃至第3光情報記録媒体のすべてに対して、情報の記録または再生を良好に行うことができる。
上記各対物レンズにおいて、前記回折次数n1乃至n3は次式を満たすことが好ましい。
|n2|=INT(λ1・|n1|/λ2)
|n3|=INT(λ1・|n1|/λ3)
|n1|>|n2|≧|n3|
ただし、n1は0、±1以外の整数であり、INT(λ1・|n1|/λ2)はλ1・|n1|/λ2を四捨五入して得られる整数であり、INT(λ1・|n1|/λ3)はλ1・|n1|/λ3を四捨五入して得られる整数である。
また、次式を満たすことが好ましい。
|INT(λ1・|n1|/λ2)−(λ1・|n1|/λ2)|<0.4
|INT(λ1・|n1|/λ3)−(λ1・|n1|/λ3)|<0.4
また、前記回折構造に入射する前記波長λ1の光束の光量をIIN(λ1)、該IIN(λ1)の光量を有する前記波長λ1の光束が前記回折構造を通過した後の光量をIOUT(λ1)、前記回折構造に入射する前記波長λ2の光束の光量をIIN(λ2)、該IIN(λ2)の光量を有する前記波長λ2の光束が前記回折構造を通過した後の光量をIOUT(λ2)、前記回折構造に入射する前記波長λ3の光束の光量をIIN(λ3)、該IIN(λ3)の光量を有する前記波長λ3の光束が前記回折構造を通過した後の光量をIOUT(λ3)としたとき、次式を満たすことが好ましい。
IOUT(λ1)/IIN(λ1)>0.7
IOUT(λ2)/IIN(λ2)>0.7
IOUT(λ3)/IIN(λ3)>0.7
また、前記回折構造は、波長λB、前記回折次数n1で最適化されているとともに、次式を満たすことが好ましい。
300nm<λB<500nm
|n1│≦10
また、前記回折構造は、波長λB、前記回折次数n1で最適化されているとともに、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
340nm<λB<440nm
|n1│=2
|n2|=1
|n3|=1
また、次式を満たすことが好ましい。
350nm<λB<420nm
また、前記対物レンズは、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際に、球面収差が補正過剰方向に変化するような球面収差の波長依存性を有することが好ましい。
また、前記対物レンズは、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際に、バックフォーカスが短くなる方向に変化するような軸上色収差の波長依存性を有し、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際のバックフォーカスの変化量をΔCA、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際の前記開口数NA1に対応するマージナル光線の変化量をΔSAとしたとき、次式を満たすことが好ましい。
−1<ΔCA/ΔSA<0
また、波長λB、前記回折次数n1で最適化された前記回折構造の前記復数の輪帯の各位置を、
Φb=|n1|・(b2・h2+b4・h4+b6・h6+・・・・・)
により定義される光路差関数で表す場合に(ここで、hは光軸からの高さ(mm)、b2、b4、b6、・・・・・・はそれぞれ2次、4次、6次、・・・・・・の光路差関数係数(回折面係数ともいう)である)、
PD=Σ(−2・|n1|・b2)
により定義される回折構造のみのパワー(mm-1)が次式を満たすことが好ましい。
0.5×10-2<PD<5.0×10-2
また、前記回折構造は、波長λB、前記回折次数n1で最適化されているとともに、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
400nm<λB<430nm
|n1|=6
|n2│=4
|n3|=3
また、次式を満たすことが好ましい。
405nm<λB<425nm
また、前記対物レンズは、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際に、球面収差が補正不足方向に変化するような球面収差の波長依存性を有することが好ましい。
また、前記対物レンズは、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際に、バックフォーカスが長くなる方向に変化するような軸上色収差の波長依存性を有し、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際のバックフォーカスの変化量をΔCA、前記波長λ1より5nm長い波長の光が入射した際の前記開口数NA1に対応するマージナル光線の変化量をΔSAとしたとき、次式を満たすことが好ましい。
−1<ΔCA/ΔSA<0
また、波長λB、前記回折次数n1で最適化された前記回折構造の前記複数の輪帯の各位置を、
Φb=|n1|・(b2・h2+b4・h4+b6・h6+・・・・・)
により定義される光路差関数で表す場合に(ここで、hは光軸からの高さ(mm)、b2、b4、b6・・・・・・はそれぞれ2次、4次、6次、・・・・・・の光路差関数係数(回折面係数ともいう)である)、
PD=Σ(−2・|n1|・b2)
により定義される回折構造のみのパワー(mm-1)が次式を満たすことが好ましい。
−5.0×10-2<PD<2.0×10-2
また、前記回折構造は、波長λB、前記回折次数n1で最適化されているとともに、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
390nm<λB<420nm
|n1|=8
|n2|=5
│n3|=4
また、次式を満たすことが好ましい。
395nm<λB<415nm
また、前記回折構造は、波長λB、前記回折次数n1で最適化されているとともに、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
390nm<λB<420nm
|n1|=10
|n2|=6
│n3|=5
また、次式を満たすことが好ましい。
395nm<λB<412nm
また、前記屈折型レンズの近軸パワーをP1(mm-1)、前記回折光学素子の近軸パワーをP2(mm-1)としたとき、次式
|P1/P2|≦0.2
を満たすことが好ましい。
また、前記回折光学素子を透過して前記屈折型レンズに入射する光束のマージナル光線が収斂光線であることが好ましい。
また、前記回折構造は、平面上に形成されたことが好ましい。また、前記回折構造は、非球面上に形成されたことが好ましい。また、少なくとも2つの光学面上に、前記回折構造が形成されたことが好ましい。
また、前記回折光学素子はプラスチック材料から形成されたことが好ましい。また、前記屈折型レンズは、プラスチック材料から形成されたことが好ましい。
また、前記屈折型レンズは、ガラス材料から形成されたことが好ましい。前記ガラス材料は、転移点Tgが400℃以下であることが好ましい。
また、光束を規制する絞りが、前記回折光学素子の前記屈折型レンズ側に位置する光学面と、前記屈折型レンズの前記回折光学素子側に位置する光学面との間に配置されたことが好ましい。
また、前記屈折型レンズは、所定の結像倍率m、前記波長λ1、前記第1保護基板の厚さt1、前記像側開口数NA1の組合せに対してその波面収差が0.07λ1rms以下となるように収差補正されていることが好ましい。
また、前記回折光学素子は、前記屈折型レンズと一体となってトラッキング駆動されることが好ましい。
また、前記回折光学素子と前記屈折型レンズとはそれぞれ光学面と一体に成形されたフランジ部を有し、前記それぞれのフランジ部が嵌合されることで、前記回折光学素子と前記屈折型レンズとが一体化されることが好ましい。
また、前記屈折型レンズは、1つのレンズ群から構成されたことが好ましい。
また、前記屈折型レンズと前記回折光学素子とを合わせた前記対物レンズ全系の前記波長λ1における焦点距離をf1(mm)、前記屈折型レンズの中心厚さをd(mm)、前記対物レンズに入射する前記波長λ1の光束の径をΦ1(mm)、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの作動距離をfB3(mm)としたとき、次式を満たすことが好ましい。
0.7<d/f1<1.5
2.8<Φ1<5.8
fB3>0.2
また、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの結像倍率をm3とした場合に、次式を満たすことが好ましい。
m3<0
また、次式を満たすことが好ましい。
−0.25<m3<−0.05
また、前記対物レンズにより前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光された、光軸上に配置された前記第3光源からの光束の波面収差を前記像側開口数NA3内で測定した際のコマ収差成分と、前記対物レンズにより前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に集光された、光軸からその垂直方向に0.2mm離れた位置に配置された前記第3光源からの光束の波面収差を前記像側開口数NA3内で測定した際のコマ収差成分との差が、0.07λ3rmsより小さいことが好ましい。
また、前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの結像倍率をm2とした場合に、次式を満たすことが好ましい。
m2<0
また、次式を満たすことが好ましい。
−0.20<m2<−0.02
また、前記対物レンズにより前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光された、光軸上に配置された前記第2光源からの光束の波面収差を前記像側開口数NA2内で測定した際のコマ収差成分と、前記対物レンズにより前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に集光された、光軸からその垂直方向に0.2mm離れた位置に配置された前記第2光源からの光束の波面収差を前記像側開口数NA2内で測定した際のコマ収差成分との差が、0.07λ2rmsより小さいことが好ましい。
また、前記像側開口数NA1及びNA2は、
NA1>NA2
を満たすとともに、前記対物レンズの前記像側開口数NA2内に対応する領域を通過した前記波長λ2の光束は、前記像側開口数NA2内で、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.07λ2rmsより小さい状態であり、かつ、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域を通過した前記波長λ2の光束は、前記第2光情報記録媒体の情報面上まで到達するとともに、前記波長λ2の光束は、前記像側開口数NA1内で、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.07λ2rmsより大きい状態であることが好ましい。
また、前記波長λ2の光束は、前記像側開口数NA2内で、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.05λ2rmsより小さい状態であり、かつ、前記像側開口数NA1内で、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.20λ2rmsより大きい状態であることが好ましい。
また、前記対物レンズの前記像側開口数NA2内に対応する領域を通過した前記波長λ2の光束の前記第2光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差と、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域を通過した前記波長λ2の光束の前記第2光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差は、前記像側開口数NA2において不連続であることが好ましい。
また、前記回折構造が形成された前記回折光学素子の光学面において、前記像側開口数NA2内に対応する領域に形成された回折構造に、前記第2光源からの波長λ2の第2光束が入射した場合に発生する前記第2光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数と、前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に形成された回折構造に、前記第2光源からの波長λ2の第2光束が入射した場合に発生する前記第2光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数は、互いに異なる次数であって、前記像側開口数NA2内に対応する領域に形成された回折構造と、前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に形成された回折構造は、互いに異なる次数で最適化されていることが好ましい。
また、前記回折構造が形成された前記回折光学素子の光学面において、前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に形成された回折構造は、波長λ1、所定の回折次数で最適化されていることが好ましい。
また、前記対物レンズは、
NA1>NA2
を満たすとともに、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に入射する前記波長λ2の光束を遮断して、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に入射する前記波長λ2の光束が前記第2光情報記録媒体の情報記録面上まで到達しないようにすることが可能な開口切替手段を有することが好ましい。
また、前記開口切替手段は、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に入射する波長λ1の光束を透過するとともに、前記対物レンズの前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に入射する波長λ2の光束を遮断するような波長選択性を有することが好ましい。
また、前記開口切替手段は、前記対物レンズの光学面上に形成された波長選択フィルタであることが好ましい。
また、前記対物レンズの像側開口数NA1、NA2、NA3は、
NA1>NA2>NA3
を満たすとともに、前記対物レンズの前記像側開口数NA3内に対応する領域を通過した前記波長λ3の光束は、前記像側開口数NA3内で、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.07λ3rmsより小さい状態であり、かつ、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域を通過した前記波長λ3の光束は、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上まで到達するとともに、前記波長λ3の光束は、前記像側開口数NA1内で、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.07λ3rmsより大きい状態であることが好ましい。
また、前記波長λ3の光束は、前記像側開口数NA3内で、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.05λ3rmsより小さい状態であり、かつ、前記像側開口数NA1内で、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上において、波面収差が0.20λ3rmsより大きい状態であることが好ましい。
また、前記対物レンズの前記像側開口数NA3内に対応する領域を通過した前記波長λ3の光束の前記第3光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差と、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域を通過した前記波長λ3の光束の前記第3光情報記録媒体の情報記録面上での球面収差は、前記像側開口数NA3において不連続であることが好ましい。
また、前記回折構造が形成された前記回折光学素子の光学面において、前記像側開口数NA3内に対応する領域に形成された回折構造に、前記第3光源からの波長λ3の第3光束が入射した場合に発生する前記第3光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数と、前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域に形成された回折構造に、前記第3光源からの波長λ3の第2光束が入射した場合に発生する前記第3光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数は、互いに異なる次数であって、前記像側開口数NA3内に対応する領域に形成された回折構造と、前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域に形成された回折構造は、互いに異なる波長と、互いに異なる次数で最適化されていることが好ましい。
また、前記回折構造が形成された前記回折光学素子の光学面において、前記像側開口数NA2からNA1に対応する領域に形成された回折構造は、波長λ1、所定の回折次数で最適化されていることが好ましい。
また、前記対物レンズは、
NA1>NA2>NA3
を満たすとともに、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域に入射する前記波長λ3の光束を遮断して、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域に入射する前記波長λ3の光束が前記第3光情報記録媒体の情報記録面上まで到達しないようにすることが可能な開口切替手段を有することが好ましい。
また、前記開口切替手段は、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域に入射する波長λ1の光束と波長λ2の光束とを透過するとともに、前記対物レンズの前記像側開口数NA3からNA1に対応する領域に入射する波長λ3の光束を遮断するような波長選択性を有することが好ましい。
また、前記開口切替手段は、前記対物レンズの光学面上に形成された波長選択フィルタであることが好ましい。
また、次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
0.0≦t1<0.3
0.5≦t2<0.7
1.0≦t3<1.3
0.99>NA1≧0.70
0.70>NA2≧0.55
1.55>NA3≧0.40
また、参考例による回折光学素子は、上述の各対物レンズに適用可能なものである。
また、参考例による更に別の光ピックアップ装置は、波長λ1の第1光源からの光束を用いて厚さt1の第1保護基板を有する第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源からの光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の第2保護基板を有する第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源からの光束を用いて厚さt3(t3≧t2)の第3保護基板を有する第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う光ピックアップ装置であって、上述の対物レンズを備えたことを特徴とする。また、この光ピックアップ装置を搭載し、音声及び/または画像の記録、及び/または、音声及び/または画像の再生が可能なように参考例による記録・再生装置を構成できる。
また、参考例による更に別の対物レンズは、波長λ1の第1光源からの光束を用いて厚さt1の第1保護基板を有する第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源からの光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の第2保護基板を有する第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源からの光束を用いて厚さt3(t3≧t2)の第3保護基板を有する第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う光ピックアップ装置用の対物レンズであって、前記光ピックアップ装置は、前記第1保護基板乃至第3保護基板の厚さの違いに起因して変化する球面収差を補正するための基板厚差補正手段を有し、前記波長λ1の光束により、前記第1光情報記録媒体に再生及び/または記録を行うのに必要な前記対物レンズの所定の像側開口数をNA1、前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの結像倍率をm1とした場合に、前記対物レンズは、前記波長λ1、前記第1保護基板の厚さt1、前記像側開口数NA1、前記結像倍率m1の組み合わせにおいて、球面収差が最小にあるように最適化されたことを特徴とする。
この対物レンズによれば、第1光情報記録媒体に用いられる波長の最も短い光束について球面収差が最小となるとともに3種類の異なる光情報記録媒体について情報の記録または再生を行うときに適用できる対物レンズを提供できる。
前記対物レンズは屈折型レンズであることが好ましく、また、前記対物レンズは1つのレンズ群から構成されることが好ましい。
この場合、前記対物レンズの前記波長λ1における焦点距離をf1(mm)、中心厚さをd(mm)、前記対物レンズに入射する前記波長λ1の光束の径をΦ1(mm)、前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う場合の前記対物レンズの作動距離をfB1(mm)としたとき、次式を満たすことが好ましい。
0.7<d/f1<1.5
2.8<Φ1<5.8
fB1>0.5
上述の対物レンズは、プラスチック材料から形成されるか、または、ガラス材料から形成されることが好ましい。
前記ガラス材料は、ガラス転移点Tgが400℃以下であることが好ましい。
また、上述の対物レンズでは次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
0.0mm≦t1<0.3mm
0.99>NA1≧0.70
また、参考例による更に別の光ピックアップ装置は、波長λ1の第1光源からの光束を用いて厚さt1の第1保護基板を有する第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源からの光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の第2保護基板を有する第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源からの光束を用いて厚さt3(t3≧t2)の第3保護基板を有する第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う光ピックアップ装置であって、上述の対物レンズを備えたことを特徴とする。これにより、特に第1光情報記録媒体について安定して情報の記録及び/または再生を行うことができる。また、この光ピックアップ装置を搭載し、音声及び/または画像を記録し、及び/または、音声及び/または画像を再生可能なように参考例による記録・再生装置を構成できる。
また、参考例による光学素子は、波長λ1の第1光源からの第1光束を用いて厚さt1の第1保護基板を有する第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源からの第2光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の第2保護基板を有する第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源からの第3光束を用いて厚さt3(t3≧t2)の第3保護基板を有する第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、かつ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録について、共通の対物レンズを用いる光ピックアップ装置用の光学素子であって、前記光学素子の入射瞳面を、光軸近傍から外側に向かって順に、第1光束領域、第2光束領域、第3光束領域、の輪帯状の3つの光束領域に分割した場合に、前記各光束領域に入射した光束が通過する前記光学素子の領域をそれぞれ、光軸近傍から外側に向かって順に、第1光学領域、第2光学領域、第3光学領域、としたとき、前記第1光学領域に入射した前記第1乃至第3光束は、それぞれ前記第1乃至第3光情報記録媒体の各情報記録面上に良好な波面を形成するように集光し、かつ、前記第2光学領域に入射した前記第1及び第2光束は、それぞれ前記第1及び第2光情報記録媒体の各情報記録面上に良好な波面を形成するように集光するが、前記第2光学領域に入射した前記第3光束は、前記第3光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成せず、かつ、前記第3光学領域に入射した前記第1光束は、前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成するように集光するが、前記第3光学領域に入射した前記第2及び第3光束は、それぞれ前記第2及び3光情報記録媒体の各情報記録面上に良好な波面を形成しないことを特徴とする。
この光学素子によれば、3つの光学領域を有し3種類の異なる光情報記録媒体について情報の記録及び/または再生を行う光ピックアップ装置に適用できる光学素子を提供できる。
また、参考例による別の光学素子は、波長λ1の第1光源からの第1光束を用いて厚さt1の第1保護基板を有する第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源からの第2光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の第2保護基板を有する第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源からの第3光束を用いて厚さt3(t3≧t2)の第3保護基板を有する第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、かつ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録について、共通の対物レンズを用いる光ピックアップ装置用の光学素子であって、前記光学素子の入射瞳面を、光軸近傍から外側に向かって順に、第1光束領域、第2光束領域、第3光束領域、の輪帯状の3つの光束領域に分割した場合に、前記各光束領域に入射した光束が通過する前記光学素子の領域をそれぞれ、光軸近傍から外側に向かって順に、第1光学領域、第2光学領域、第3光学領域、としたとき、前記第1光学領域に入射した前記第1乃至第3光束は、それぞれ前記第1乃至第3光情報記録媒体の各情報記録面上に良好な波面を形成するように集光し、かつ、前記第2光学領域に入射した前記第1及び第2光束は、それぞれ前記第1及び第2光情報記録媒体の各情報記録面上に良好な波面を形成するように集光するが、前記第2光学領域に入射した前記第3光束は、遮断され前記第3光情報記録媒体の情報記録面に到達せず、かつ、前記第3光学領域に入射した前記第1光束は、前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成するように集光するが、前記第3光学領域に入射した前記第2光束は、前記第2光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成しないとともに、前記第3光学領域に入射した前記第3光束は、遮断され前記第3光情報記録媒体の情報記録面に到達しないことを特徴とする。
この光学素子によれば、3つの光学領域を有し3種類の異なる光情報記録媒体について情報の記録及び/または再生を行う光ピックアップ装置に適用できる光学素子を提供できる。
上述の光学素子は、前記第2及び第3光学領域に入射した前記第3光束が、遮断され前記第3光情報記録媒体の情報記録面に到達しないようにすることができる光束切替手段を有する光ピックアップ装置に用いられることが好ましい。
この場合、前記光束切替手段は、前記光学素子の光学面上に形成された波長選択フィルタであることが好ましい。
また、参考例による更に別の光学素子は、波長λ1の第1光源からの第1光束を用いて厚さt1の第1保護基板を有する第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源からの第2光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の第2保護基板を有する第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源からの第3光束を用いて厚さt3(t3≧t2)の第3保護基板を有する第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、かつ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録について、共通の対物レンズを用いる光ピックアップ装置用の光学素子であって、前記光学素子の入射瞳面を、光軸近傍から外側に向かって順に、第1光束領域、第2光束領域、第3光束領域、の輪帯状の3つの光束領域に分割した場合に、前記各光束領域に入射した光束が通過する前記光学素子の領域をそれぞれ、光軸近傍から外側に向かって順に、第1光学領域、第2光学領域、第3光学領域、としたとき、前記第1光学領域に入射した前記第1乃至第3光束は、それぞれ前記第1乃至第3光情報記録媒体の各情報記録面上に良好な波面を形成するように集光し、かつ、前記第2光学領域に入射した前記第1及び第2光束は、それぞれ前記第1及び第2光情報記録媒体の各情報記録面上に良好な波面を形成するように集光するが、前記第2光学領域に入射した前記第3光束は、遮断され前記第3光情報記録媒体の情報記録面に到達せず、かつ、前記第3光学領域に入射した前記第1光束は、前記第1光情報記録媒体の情報記録面上に良好な波面を形成するように集光するが、前記第3光学領域に入射した前記第2及び第3光束は、ともに遮断されそれぞれ前記第2及び第3光情報記録媒体の情報記録面に到達しないことを特徴とする。
この光学素子によれば、3つの光学領域を有し3種類の異なる光情報記録媒体について情報の記録及び/または再生を行う光ピックアップ装置に適用できる光学素子を提供できる。
上述の光学素子は、前記第2及び第3光学領域に入射した前記第3光束が、遮断され前記第3光情報記録媒体の情報記録面に到達しないようにするとともに、前記第3光学領域に入射した前記第2光束が、遮断され前記第2光情報記録媒体の情報記録面に到達しないようにすることができる光束切替手段を有する光ピックアップ装置に用いられることが好ましい。
この場合、前記光束切替手段は前記光学素子の光学面上に形成された波長選択フィルタであることが好ましい。
また、前記光学素子は、対物レンズであることが好ましい。
また、前記光学素子は、前記対物レンズの光束入射面側に配置されることが好ましい。
また、前記光学素子は、前記対物レンズと一体になってトラッキング駆動されることが好ましい。
また、前記第1光束を用いて、前記第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う際の前記対物レンズの所定の像側開口数をNA1、前記第2光束を用いて、前記第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う際の前記対物レンズの所定の像側開口数をNA2(NA2<NA1)、前記第3光束を用いて、前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う際の前記対物レンズの所定の像側開口数をNA3、とするとき、次式を満たすことが好ましい。
NA2=N2・SINθ2
NA3=N3・SINθ3
ただし、
SINθ2:前記第2光学領域の最周辺を通過した前記第2光束のマージナル光線の、前記対物レンズ最終面からの、光軸を基準として測った出射角θ2(deg)の絶対値の正弦
SINθ3:前記第1光学領域の最周辺を通過した前記第3光束のマージナル光線の、前記対物レンズ最終面からの、光軸を基準として測った出射角θ3(deg)の絶対値の正弦
N2:前記対物レンズの像側空間の前記波長λ2における屈折率
N3:前記対物レンズの像側空間の前記波長λ3における屈折率
この場合、前記第1乃至第3光学領域のうち、少なくとも1つの光学領域には、同心円状の複数の輪帯からなる回折構造が形成されることが好ましい。
また、前記第i光学領域に形成された前記回折構造に、前記第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をni1、前記第i光学領域に形成された前記回折構造に、前記第2光束が入射した場合に発生する前記第2光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をni2、としたとき、次式を満たすことが好ましい。
|ni1|>|ni2|(ただし、iは、1または2または3)
この場合、前記第i光学領域に形成された前記回折構造に、前記第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をni1、前記第i光学領域に形成された前記回折構造に、前記第3光束が入射した場合に発生する前記第2光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をni3、としたとき、次式を満たすことが好ましい。
|ni1|>|ni3|(ただし、iは、1または2または3)
また、前記第2及び第3光学領域には、それぞれ同心円状の複数の輪帯からなる回折構造が形成され、前記第2光学領域に形成された前記回折構造に、前記第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn21、前記第3光学領域に形成された前記回折構造に、前記第1光束が入射した場合に発生する前記第1光束の回折光のうち、最大の回折光量を有する回折光の回折次数をn31、としたとき、次式を満たすことが好ましい。
|n31|≠|n21|
この場合、前記第2光学領域に形成された前記回折構造は、前記回折次数n21と波長λB2で最適化され、かつ、前記第3光学領域に形成された前記回折構造は、前記回折次数n31と波長λB3で最適化され、次式を満たすことが好ましい。
λB2≠λB3
また、上述の回折光学素子は次式を満たすことが好ましい。
380nm<λ1<420nm
630nm<λ2<670nm
760nm<λ3<800nm
また、参考例による更に別の光ピックアップ装置は、波長λ1の第1光源からの第1光束を用いて厚さt1の第1保護基板を有する第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ2(λ1<λ2)の第2光源からの第2光束を用いて厚さt2(t2≧t1)の第2保護基板を有する第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、波長λ3(λ2<λ3)の第3光源からの第3光束を用いて厚さt3(t3≧t2)の第3保護基板を有する第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、かつ、前記第1光情報記録媒体乃至前記第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録について、共通の対物レンズを用いる光ピックアップ装置であって、上述のいずれかの光学素子を備えたことを特徴とする。また、この光ピックアップ装置を搭載し、音声及び/または画像を記録し、及び/または、音声及び/または画像を再生可能なように参考例による記録・再生装置を構成できる。
参考例による更に別の光ピックアップ装置は、光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行うための光ピックアップ装置において、第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行うための波長λ1の光束を発生する第1光源と、第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行うための波長λ2(λ2>λ1)の光束を発生する第2光源と、第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行うための波長λ3(λ3>λ2)の光束を発生する第3光源と、入射光に対して所定の次数の回折光を発生する回折部と、前記第1乃至第3情報記録媒体の情報記録面に、前記第1乃至第3光源からの光束をそれぞれ集光させるために、前記第1乃至第3情報記録媒体に対向する位置に配置される対物レンズと、を有する集光光学系と、を具備し、前記波長λ1の光束が前記回折部を通過することで発生するn1次回折光の回折光量が、前記波長λ1の光束の他のいずれの次数の回折光の回折光量よりも大きい場合に、前記波長λ2の光束が前記回折部を通過することで発生するn2次回折光の回折光量が、前記波長λ2の光束の他のいずれの次数の回折光の回折光量よりも大きく、かつ、前記波長λ3の光束が前記回折部を通過することで発生するn3次回折光の回折光量が、前記波長λ3の光束の他のいずれの次数の回折光の回折光量よりも大きく、さらに、前記回折次数n1乃至n3は次式を満たすことを特徴とする。
|n2|=INT(λ1・|n1│/λ2)
|n3|=INT(λ1・|n1|/λ3)
|n1|>|n2|≧|n3|
ただし、n1は0、±1以外の整数であり、INT(λ1・|n1|/λ2)はλ1・|n1|/λ2を四捨五入して得られる整数であり、INT(λ1・|n1|/λ3)はλ1・│n1|/λ3を四捨五入して得られる整数である。
上記光ピックアップ装置は次式を満たすことが好ましい。
|INT(λ1・|n1|/λ2)−(λ1・|n1|/λ2)|<0.4
|INT(λ1・|n1|/λ3)−(λ1・|n1|/λ3)|<0.4
また、前記集光光学系は、前記第1の光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行うための光ビームとして、前記n1次回折光を前記第1の光情報記録媒体の情報記録面上に集光し、前記第2の光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行うための光ビームとして、前記n2次回折光を前記第2の光情報記録媒体の情報記録面上に集光し、前記第3の光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行うための光ビームとして、前記n3次回折光を前記第3の光情報記録媒体の情報記録面上に集光することが好ましい。
また、前記回折部に入射する前記波長λ1の光束の光量をIIN(λ1)、該IIN(λ1)の光量を有する前記波長λ1の光束が前記回折部を通過した後の光量をIOUT(λ1)、前記回折部に入射する前記波長λ2の光束の光量をIIN(λ2)、該IIN(λ2)の光量を有する前記波長λ2の光束が前記回折部を通過した後の光量をIOUT(λ2)、前記回折部に入射する前記波長λ3の光束の光量をIIN(λ3)、該IIN(λ3)の光量を有する前記波長λ3の光束が前記回折部を通過した後の光量をIOUT(λ3)としたとき、次式を満たすことが好ましい。
IOUT(λ1)/IIN(λ1)>0.7
IOUT(λ2)/IIN(λ2)>0.7
IOUT(λ3)/IIN(λ3)>0.7
また、前記第1情報記録媒体は、情報記録面の光束入射面側に所定の厚さt1を有する第1保護層を有し、前記第2情報記録媒体は、情報記録面の光束入射面側に所定の厚さt2(t2≧t1)を有する第2保護層を有し、前記第3情報記録媒体は、情報記録面の光束入射面側に所定の厚さt3(t3≧t2)を有する第3保護層を有し、前記集光光学系は、前記波長λ1の光束が前記回折部を通過することで発生する前記n1次回折光を、前記第1保護層を介して前記第1情報記録媒体の情報記録面に波面収差が0.07λ1rms以下の状態で集光し、前記波長λ2の光束が前記回折部を通過することで発生する前記n2次回折光を、前記第2保護層を介して前記第2情報記録媒体の情報記録面に波面収差が0.07λ2rms以下の状態で集光し、前記波長λ3の光束が前記回折部を通過することで発生する前記n3次回折光を、前記第3保護層を介して前記第3情報記録媒体の情報記録面に波面収差が0.07λ3rms以下の状態で集光することが好ましい。
また、前記回折部は、前記対物レンズの光束入射面側に配置されたことが好ましい。
また、前記回折部は、前記対物レンズの光学面上に形成されたことが好ましい。
また、上述の光ピックアップ装置を搭載し、音声及び/または画像の記録、及び/または、音声及び/または画像の再生が可能なように参考例による記録・再生装置を構成できる。
参考例による光学素子は、第1光源からの波長λ1の光束を用いて第1光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、第2光源からの波長λ2(λ2>λ1)の光束を用いて第2光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行い、第3光源からの波長λ3(λ3>λ2)の光束を用いて第3光情報記録媒体に対する情報の再生及び/または記録を行う光ピックアップ装置用の光学素子であって、前記光学素子は、入射光に対して所定の次数の回折光を発生する回折部を有し、前記波長λ1の光束が前記回折部を通過することで発生するn1次回折光の回折光量が、前記波長λ1の光束の他のいずれの次数の回折光の回折光量よりも大きい場合に、前記波長λ2の光束が前記回折部を通過することで発生するn2次回折光の回折光量が、前記波長λ2の光束の他のいずれの次数の回折光の回折光量よりも大きく、かつ、前記波長λ3の光束が前記回折部を通過することで発生するn3次回折光の回折光量が、前記波長λ3の光束の他のいずれの次数の回折光の回折光量よりも大きく、さらに、前記回折次数n1乃至n3は次式を満たすことを特徴とする。
|n2|=INT(λ1・|n1|/λ2)
|n3|=INT(λ1・|n1|/λ3)
│n1|>│n2|≧|n3│
ただし、n1は0、±1以外の整数であり、INT(λ1・|n1|/λ2)はλ1・|n1|/λ2を四捨五入して得られる整数であり、INT(λ1・|n1|/λ3)はλ1・|n1|/λ3を四捨五入して得られる整数である。
上記光学素子は次式を満たすことが好ましい。
│INT(λ1・|n1|/λ2)−(λ1・|n1|/λ2)|<0.4
│INT(λ1・|n1|/λ3)−(λ1・│n1|/λ3)|<0.4
また、前記回折部に入射する前記波長λ1の光束の光量をIIN(λ1)、該IIN(λ1)の光量を有する前記波長λ1の光束が前記回折部を通過した後の光量をIOUT(λ1)、前記回折部に入射する前記波長λ2の光束の光量をIIN(λ2)、該IIN(λ2)の光量を有する前記波長λ2の光束が前記回折部を通過した後の光量をIOUT(λ2)、前記回折部に入射する前記波長λ3の光束の光量をIIN(λ3)、該IIN(λ3)の光量を有する前記波長λ3の光束が前記回折部を通過した後の光量をIOUT(λ3)としたとき、次式を満たすことが好ましい。
IOUT(λ1)/IIN(λ1)>0.7
IOUT(λ2)/IIN(λ2)>0.7
IOUT(λ3)/IIN(λ3)>0.7
また、前記光学素子は、前記第1乃至第3光情報記録媒体の情報記録面に、前記第1乃至第3光源からの光束をそれぞれ集光させるために、前記第1乃至第3光情報記録媒体に対向する位置に配置される対物レンズであることが好ましい。