以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
A.第1実施形態
図1は、本第1実施形態による、タグを用いた通信設備(マンホール)を現況調査する設備状況調査システムの構成を示すブロック図である。本第1実施形態では、マンホール300内の通信設備100を状況調査対象としている。マンホール300内に、無線タグ(ICタグ、電子タグ、RFタグ、RFID:Radio Frequency Identificationとも言われる。以下、タグという)200を設置する。特に、本第1実施形態では、タグ200として、電池を搭載して自ら電波を送信するアクティブ型タグを用いる。走行する自動車(以下、測定用車両)400にリーダ(読取装置、質問器、タグ受信機とも言われる。以下、リーダという)500を搭載して、タグ200からの電波を受信する。
ここで、図2は、本第1実施形態において、走行する測定用車両と道路にあるマンホールとの位置関係等を説明するための模式図である。測定用車両400は、近傍のマンホール(この図2では、測定用車両が矢印で示す方向へと走行しており、正に反対車線の測定対象となるマンホール)300内に設置されたタグ200の電波を受信できる場所(マンホール300の周囲に破線で示す円320内が電波を受信可能な範囲で、具体的な数値としては、円320の半径で約5〜7m、円310は、受信レベルが高い範囲)を走行中である。この時点で測定用車両400に搭載したリーダ500は、その反対車線の測定対象となるマンホール300に設置されたタグの情報を受信する。
測定用車両400には、カーナビゲーションシステム(以下、カーナビという)600も搭載されている。該カーナビ600は、リーダ500からタグ200の受信情報を受け取る。カーナビ600は次のような構成とする。
カーナビ600は、既存の機能として、GPS(Global Positioning System)機能部601、地図情報機能部602、表示機能部603を備えている。GPS機能部601は、4つ以上の衛星からの電波を捉えてその電波の中に含む高精度の送信時刻情報を利用して、到達までに要する時間から距離を計算し、計算により得られた4つ以上の衛星からの距離から自身の位置(経度、緯度)を特定し、地図情報機能部602に供給する。地図情報機能部602は、GPS機能部601から供給される位置(経度、緯度)を、予め記憶されている地図情報上にプロットする。表示機能部603は、地図情報機能部602から供給される、GPS機能部601から供給される位置(経度、緯度)がプロットされた地図情報を表示する。
本第1実施形態では、カーナビ600に新たに追加する機能として、タグ受信情報取り込み部604、登録タグ情報記憶部605、場所・ID比較部606、および現状調査データ保持/更新部607を備えている。タグ受信情報取り込み部604は、リーダ500からのタグ受信情報(ID:Identifier(識別子))の取り込むインタフェースとして機能し、取り込んだタグ受信情報(ID)を場所・ID比較部606に供給する。
登録タグ情報記憶部605は、車道の各所に設けられたマンホール300内に設置された複数のタグ200(図1では1つ)に対して、登録タグ情報(ID、場所:経度、緯度)を予め保持している。また、該登録タグ情報は、タグ200を設置した場合に新たに登録されたり、適宜、補正、更新されたりするが、この詳細については後述する第3実施形態で説明する。場所・ID比較部606は、登録されている該当タグの場所と、GPS測定による場所とを比較・照合する。現状調査データ保持/更新部607は、これら比較照合した結果を、該当タグのIDに対応付けて現状調査データとして保持/更新する。
図3は、本第1実施形態による、登録タグ情報記憶部605での登録タグ情報のデータ構成を示す概念図である。図示するように、登録タグ情報は、タグ200のIDと該タグの場所(位置)情報とを1組とした、全ての測定対象となるマンホール数に一致する離散的な情報である。場所・ID比較部606は、タグ受信情報取り込み部604から供給されるタグ受信情報(ID)に基づいて、事前に登録タグ情報記憶部605に登録しているタグの情報(ID、場所)から特定できる場所と、既存のカーナビ600のGPS機能部601で測定された場所とを比較・照合する。現状調査データ保持/更新部607は、その比較・照合した結果から、照合が一致していれば、現状調査データを保持し、もし不一致があれば、現状調査データを更新する。なお、場所・ID比較部606での比較・照合するデータ、あるいは、現状調査データ保持/更新部607で保持もしくは更新される現状調査データについても、図3に示すようなID(無線タグ)と場所(位置)情報の組となっている.
ここで、タグ200により特定できる場所とGPS機能部601から測定された場所との照合での一致判断においては、タグ200からの電波の受信可能な距離とGPS機能部601による測定誤差とを許容して対処する必要がある。
図4(a)、(b)は、タグから電波の受信可能な距離とGPS測定による誤差とを示す概念図である。ここでは、各々の値を次のように決める。タグ200から電波の受信可能な距離をD−tagとし、GPS測定による誤差をE−gpsとすると、照合の判定での許容ずれは、Dc=D−tag+E−gpsである。例えば、具体的に想定する値として、D−tag=7[m]、E−gps=30[m]と仮定するならば、照合の判定での許容ずれは、Dc=37[m]となる(図4(a)に示す「照合の判定での許容ずれ」)。
一方、登録(更新)で求められるずれ(Dr)は、照合の判定での許容ずれDcと同程度では不都合である。この理由としては、登録(更新)されている情報に基づいて照合を行うため、もし仮に照合時に許容するずれの程度を登録(更新)においても受け入れると、結果的に本来求める場所からの最も大きなずれは、その許容した2倍のずれとなってしまう。先の例で照合の判定での許容ずれDc=37[m]から単純に考えれば、その本来求める場所からの最も大きなずれが74[m]となり許容できない(別の通信設備を間違えて現況調査をしてしまう恐れも生じる)程に大きなものとなる。
そこで、照合での不一致がある場合のデータ更新については、後述する第3実施形態の処理(登録)と実質的に同じである。但し、先ほどのタグ200からの受信可能な距離や、GPS測定の誤差などを考慮した対応を要する。
図4(b)に「登録(更新)に求められるずれ」を示す。まず、タグ200からの電波の受信に関しては、単にリーダ(受信機)500が受信可能となるレベルの電波を受信するのではなく、ある閾値を上回る強いレベルの電波をリーダ500で受信するようにする。このようにすることにより、図4(b)に示すように、タグ200から強い電波のレベルで受信可能な距離D−tag_sを、上述したタグ200から電波の受信可能な距離D−tagよりも、さらに狭い範囲にすることができる(D−tag_s<D−tag)。例えば、具体的な数値として、D−tag_sは2[m]程度になる。
次に、GPS測定から求められる場所については、地図情報に基づいて補正する。例えば、測定用車両400が走行中であれば、地図情報での道路上にあることからGPS測定で求められた場所が道路から外れた場所なら道路に沿う場所へ補正することができる。また、走行中での右左折した地点からどの程度の距離を走行したかという経路情報を使うことで、単に道路に沿う場所だけでなく、その道路での場所も分かるので、GPS測定の場所をさらに的確に補正することができる。
このように、GPS測定から地図情報に基づいて補正された際の誤差E−gps+は、上述した単にGPS測定による誤差に比べて改善される(E−gps+<E−gps)。具体的な数値として、ここでは、例えば、E−gps+を3[m]と想定する。これらのタグ200から強い電波のレベルで受信可能な距離D−tag_sと、GPS測定から地図情報に基づいて補正された際の誤差E−gps+とにより、登録(更新)で求められるずれDr(=D−tag_s+E−gps+=5[m])を小さく抑制することができる。
上述したように、本第1実施形態では、通信設備100が敷設されているマンホール300内にタグ200を設置し、このタグ200からのタグ受信情報(ID)を読み取るために、走行する測定用車両400にリーダ500を搭載するとともに、リーダ500から取り込まれたタグ受信情報(ID)に基づいて、GPS機能部601、地図情報機能部602から得られる位置(場所)と、既に登録タグ情報記憶部605に記憶されている登録タグ情報(ID、場所)から得られる場所とを、場所・ID比較部606により比較・照合し、これら比較照合した結果を現状調査データ保持/更新部607の現状調査データとして保持/更新することにより、走行する測定用車両400を用いて、(マンホール300内の)通信設備100の状況を簡便に調査することができる。
上述した第1実施形態において、マンホール300内に設置したタグ200が電池で駆動するアクティブ型タグであったならば、タグ200からの電波を受信できるということは、電池寿命(例えば3年)内にマンホール300の蓋を開けて保守作業、ないしは確認作業が行われたことを意味している。すなわち、現場での電波の受信のみで、マンホール300の蓋を開けずに、一定期間内に保守作業、ないしは確認作業が行われているか否かが分かる。この結果、保守作業がなされていない箇所には、直ちに保守作業計画(予定)を検討するよう対処することができる。
図5(a)、(b)は、本第1実施形態における、マンホール点検作業とタグ寿命(電池寿命)との関係について説明するための概念図である。図5(a)には、道路上のマンホールの配置と測定用車両の走行状況とが示されており、道路上には、複数のマンホールA、B、C、Dがあるとする。また、図5(b)には、マンホールA〜Dにおいて、それぞれの蓋を開けて確認点検・保守作業を実施した時期と該時期からの経過状況(走行日:確認点検・保守作業日)とが示されている。それぞれのマンホールA、B、C、Dに対する確認点検・保守作業時期は異なる。なお、タグ200の電池寿命は、例えば、3年とする。
マンホールA〜Cは、図5(b)に示すように、点検作業から3年以内における測定用車両400の走行でタグ200から電波を受信できている。マンホールAについては、走行日からおよそ2年前に点検作業が実施されており、設置されたタグ200の寿命はまだ1年程残っている。マンホールBについては、点検作業から2年半以上が経過しているが3年経過していない。マンホールCについては、点検作業から1年しか経っていないので、まだ十分にタグ200の電池寿命が残っている。
マンホールA〜Cが送信する信号は、図5(a)では、破線の円320で示され(この表示は図2と同じ)、図5(b)では、実線と一点破線とのハッチが付けられた期間で送信されている。しかし、マンホールDについては、既に確認点検・保守作業が行われてから3年以上が経過していて、測定用車両400の走行日には、このマンホールD内に設置されたタグ200からの電波が受信できなくなっている。
このように、マンホール300に設置されているタグ200から電波を受信できない状況が確認されると、そのマンホール300(図5(b)では、マンホールD)の点検作業が必要との判断ができる。このマンホール300の設備状況の調査により判断された保守・点検作業(図5(b)に示すマンホールDのように、既に電池寿命が切れたタグ200の交換、あるいは図5(b)でのマンホールBのような電池寿命が近づいていると予測されたタグ200の交換・新たなタグ200の設置)が行われると、後述する図8に示すように、その後でマンホール300の資産情報の登録(この資産情報の登録については後述する第3実施形態で説明する)が行われる。
また、走行中の測定用車両400を使用してマンホール300に設置されているタグ200からの電波を読み取ることを資産調査として用いる場合には、その測定用車両400は、例えば、営業や、別の作業を行うことを目的とした走行車両であってもよい。この営業や、別の作業のために往復する途中経路で、マンホール300内に設置されたタグ200の電波を読み取ることになる。従って、このような場合に100%の読み取り率は、必ずしも要求されない。読み取られなかった箇所のマンホール300については、再度、別の機会に読み取りをしたり、本当の資産調査の際には、その箇所で停止(走行車線にマンホール300がある場合なら路肩に停止)して確実に読み取るようにすることもできる。
ちなみに、マンホール300内に426MHz、1mW(これは特定小電力無線に当たり、技術基準適合証明が取得でき、指定された周波数、送信電力(最大10mW)などで利用できる)のアクティブ型タグを設置した場合には、そのマンホール300の真上を中心にして道路上の半径7m程度の範囲で、タグ200の電波を測定用車両400に搭載したリーダ500で読み取ることが可能である。すなわち、仮にタグ200から1sec間隔での電波が送信されると、時速40〜50kmの走行速度で走行する車両に搭載したリーダ500でもタグ200の信号を読み取れることを意味する。
なお、例えば、300MHz帯の微弱無線(3[m]の距離における電界強度が許容値35[μV/m]以下、あるいは322MHz未満の周波数であれば、同距離の電界強度が500[μV/m]以下とする電界強度の許容値を満足すれば、変調方式などを問わず自由に電波を送信できる)のアクティブ型タグを仮にマンホール300内に設置した場合には、道路上でのマンホール300に近い範囲でしか電波を受信できない。従って、300MHz帯の微弱無線を用いたアクティブ型タグでは、このタグ200を連続的に電波を送信する状態にしない限り、道路上を走行している測定用車両400に搭載されたリーダ500では、このタグ200からの電波を受信することは困難である。
ここまでは、マンホール300内に設置したタグ200に関して説明したが、通信設備100として、電柱や、電柱上に設置された通信線用クロージャ(通信線を接続・分配するために設置される端子箱)を測定対象とし、該電柱や、通信線用クロージャにタグ200を取り付けることも考えられる。まず、マンホール300内に設置したタグ200の場合には、道路上に電波が到達するまでに鉄製であるマンホール300の蓋により電波が大幅に減衰して受信可能な範囲が限定される。
これに対して、電柱や、通信線用クロージャにタグ200を取り付ける場合には、そのようにタグ200からの電波が減衰することがなく道路上を走行する測定用車両へ到達する。このため、リーダ(受信機)500は、ある閾値を超える強いレベルで、タグ200からの電波を受信するというような条件を設ける必要がある。あるいは、電柱や、通信線用クロージャに対して設置するタグ200として、無線送信電力が小さい300MHz帯の微弱無線(タグ200から3[m]の距離における電界強度が許容値35[μV/m]以下、あるいは322MHz未満の周波数であれば、同距離の電界強度が500[μV/m]以下)を使用するタグ(通信距離は10[m]程度)を設置することを考え、マンホール300を設置対象として想定しているタグ(426MHz,1mW)と異なるようにすることを要する。
次に、上述した第1実施形態の動作について詳細に説明する。
図6は、本第1実施形態による設備状況調査システムの動作を説明するためのフローチャートである。図6に示すように、本第1実施形態の設備状況調査システムの動作には、大別して3つの区分がある。その区分としては、設備状況の調査、その調査を補う日常業務の走行、および保守点検である。
設備状況の調査は、まず、日常業務の走行の区分において、測定用車両400の走行により、マンホール300内に設置されたタグ200からタグ受信情報を取得し(ステップS1)、カーナビ600により、取得したタグ受信情報と設備データとを照合する(ステップS2)。ここで設備データは、後述する保守点検で作成される。照合の判定には、タグ200からの電波が受信可能な距離D−tagや、GPS機能部601により測定する場所の誤差E−gpsが考慮される(図4(a)に示す照合の判定での許容ずれ:Dcを参照)。
次に、その照合の結果として、設備状況の調査の区分において、確認済/未確認設備の区別が行われ(ステップS3)、そのうち、確認済設備データについては、調査区分から外される(ステップS4)。一方、未確認設備データについては、設備状況の調査に残され(ステップS5)、調査目的の車両走行を終了かが判定される(ステップS6)。この判定で終了ならば(ステップS6のYES)、未確認設備データより保守点検を実施(確認済設備は次回調査までは保守点検不要)され(ステップS7)、当該設備状況調査のアクションは終了する。
これに対して、調査目的の車両走行を終了していないならば(ステップS6のNO)、設備状況の調査となる区分において、未確認設備を調査するルートをさらに走行し、マンホール300内のタグ200からタグ受信情報を取得し(ステップS8)、カーナビ600でタグ受信情報と設備データとを照合する(ステップS9)。上述したステップS2での照合の判定と同様に、この照合の判定でも、タグ200からの電波が受信可能な距離や、GPS機能部601により測定する場所の誤差が考慮される(図4(a))。ここでの設備データも後述する保守点検で作成されたものを用いる。そして、照合の結果は、上述したステップS3の確認済/未確認設備の区別へと戻り、上述した処理を繰り返す。
この確認済/未確認設備の区別の後、未確認設備データに基づいて、保守点検の区分において、保守点検を行い(ステップS10)、その点検により設備データ登録を行う(ステップS11)。この登録で、設備データが更新される(ステップS12)。該「更新」には、「登録」と同程度の僅かなずれしか許容されず、タグ200から強い受信レベルで受信可能な距離D−tag_sとGPS測定から地図情報に基づいて補正した際の誤差E−gps+との程度しか考慮されない(図4(b)に示す「登録(更新)で求められるずれ:Dr」を参照)。この設備データが、日常業務の走行と設備状況の調査とで挙げた、上述したステップS2、S9でのタグ受信情報と設備データとの照合に用いられる。
次に、図7は、本第1実施形態による、現状調査データ保持/更新部607で保持される現況管理情報の例を示す概念図である。図7に示すように、本第1実施形態による現状調査データ保持/更新部607で保持される現況管理情報には、タグID、所在情報、現況調査日、前回保守日、および保守予定日がある。タグIDは、タグ200の識別子である。所在情報は、通信設備(マンホール300など)100が設置されている場所を示す情報である。現況調査日は、その通信設備(マンホール300など)100を調査確認した日を示し、本第1実施形態の場合、走行する測定用車両400に搭載したリーダ500で対象となるマンホール300に設置したタグ200からタグ受信情報を受信した日となる。
前回保守日は、対象のマンホール300が保守された日であり、その保守した際にタグ200を更改して管理情報が更新される。前述した「更新」と同じく、ここでの「更新」も「登録」と同程度の僅かなずれしか許容されない。従って、タグ200から強い受信レベルで受信可能な距離とGPS測定から地図情報に基づいて補正した際の誤差を適切に扱う(図4(b)参照)。保守予定日は、本第1実施形態を用いた現況調査により対象の通信設備(マンホール300など)100に設置しておいたタグ200からタグ受信情報を受信できなかった場合に、直ちに決定され、その対象の通信設備を保守可能な直近の予定の日程である。なお、通常のタグ200の送信信号は、プリアンブル(1010101)、ID(識別子)、EOF(誤り検出符号)からなる。
また、本第1実施形態におけるカーナビ600に新たに追加する機能のうち、登録タグ情報記憶部(ID、場所)605については、後述する第3実施形態での通信設備の資産登録/補正法を用いて作成することができる。すなわち、図8に示すように、本第1実施形態での「マンホールの設備状況の調査」においては、後述する第3実施形態で説明する「マンホールの資産情報の登録」で作成された情報登録を参照して行われる。
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
上述した第1実施形態での図1と同様に、本第2実施形態でもタグ200を用いた通信設備(マンホール300)100の現況調査において、走行する測定用車両400にリーダ500を搭載して、マンホール300に設置したタグ200からの電波を受信する。そして、この受信したタグ受信情報を、GPS測定による位置特定し、画面に表示するカーナビ600に取り込み、登録されているタグ情報(ID、場所)とGPS測定による場所とを比較・照合し、現況調査データを保持/更新する。
ここでの照合の判定および更新については、前述した第1実施形態と同じである。すなわち、照合の判定については、図4(a)に示す「照合の判定での許容ずれ:Dc」のように、タグ200からの電波が受信可能な距離D−tagや、GPS測定による場所の誤差E−gpsなどが考慮される。他方、「更新」については、図4(b)に示す「登録(更新)で求められるずれ:Dr」のように、「登録」と同程度の僅かなずれしか許容されず、タグ200から強い受信レベルで受信可能な距離D−tag_sとGPS測定から地図情報に基づいて補正した際の誤差E−gps+との程度しか考慮されない。
このような形態の現況調査で、本第2実施形態では、マンホール300に設置したタグ200が電池を搭載し、自ら駆動するアクティブ型タグであり、かつ電池寿命が切れそうになることを通知する、電池切れ前信号を送信するタグ200を用いる。本第2実施形態の場合には、前述した第1実施形態において、図5を参照し説明したように、タグ200からの電波を受信できることが、電池寿命(例えば、3年)内にマンホール300の蓋を開けて保守作業ないしは確認作業が行われたことを意味しているだけでなく、電池切れ前(例えば、8ヶ月間)信号を受信することで、保守・確認作業をどの程度の期間内に実施すればよいかを決定する際の判断材料として非常に役立つことになる。
すなわち、現場でのタグ200からの電波受信の有無のみにより、マンホール300の蓋を開けずに一定期間内に保守・確認作業がなされているか否かが分かることに加えて、今後の保守・確認作業をどのマンホール300に対して優先的に実施すればよいかも分かる。保守作業がなされていない箇所に対しては、直ちに保守作業を実施して、保守期間が近づいた箇所に対しては、保守作業計画(予定)を的確に検討することができる。
図9(a)、(b)は、本第2実施形態における、マンホール点検作業とタグ寿命(電池寿命)との関係について説明するための概念図である。図9(a)には、前述した図5(a)と同様に、道路上のマンホールの配置と測定用車両の走行状況とが示されており、複数のマンホールA、B、C、D(図5(a)、(b)のマンホールA〜Dと区別するため、図9(a)、(b)ではマンホールA'〜D'としている)がある。また、図9(b)には、マンホールA'〜D'において、それぞれの蓋を開けて確認点検・保守作業を実施した時期と該時期からの経過状況(走行日:確認点検・保守作業日)とが示されている。それぞれのマンホールA'〜D'に対する確認点検・保守作業時期は異なる。なお、タグ200の電池寿命は、例えば、3年とする。
マンホールA'〜C'は、図9(b)に示すように、点検作業から3年以内における測定用車両400の走行でタグ200から電波を受信できているが、マンホールB'のみは、電池切れ前に電池切れ前信号を送信している状態になっている。図示の例では、マンホールB'のタグは、確認点検・保守作業から2年4ヶ月が過ぎて3年経過前の8ヶ月の期間(図9(b)では、斜線のハッチが付けられた期間)に入っている。図9(a)では、マンホールB'のタグ200からの電波を、二点鎖線の円320で示している。また、マンホールA'からは、通常の送信信号で電波が受信され、このマンホールA'は、およそ2年前に点検作業が実施されており、設置されたタグ200の寿命は、まだ1年程残っている。また、マンホールC'からは、通常の送信信号で電波が受信され、このマンホールC'は、点検作業から1年しか経っていないので、まだ十分にタグ200の電池寿命が残っている。
つまり、これらマンホールA'とC'が送信する信号は、図9(a)では、破線の円で示され(この表示は、図2や、図5(a)と同じ)、図9(b)では、実線と一点破線とのハッチが付けられた期間で送信されている。しかしながら、マンホールB'については、点検作業から2年4ヶ月以上が経過しているので、通常の送信信号での電波ではないが、3年が過ぎていないので、電池切れ前信号が電波で送信されている。そして、マンホールD'については、既に確認点検・保守作業が行われてから3年以上が経過していて、測定用車両400の走行日には、このマンホールD'内に設置されたタグ200からの電波が受信できなくなっている。
このように、本第2実施形態では、マンホール300に設置されているタグ200から電波を受信できない状況に加え、電池切れ前信号を電波で受信して確認すると、そのマンホール300の点検作業が直ちに必要、あるいは点検を数月以内に予定する必要があると判断することができる。このマンホール300の設備状況の調査により判断された保守・点検作業(図9(b)に示すマンホールD'のように既に電池寿命が切れたタグ200の交換、あるいは図9(b)でのマンホールB'のような電池寿命が近づいていると予測されたタグ200の交換・新たなタグ200の設置)が行われると、図8に示すように、その後で「マンホールの資産情報の登録(この資産情報の登録については後述する第3実施形態で説明する)」が行われる。
また、本第2実施形態においても、前述した第1実施形態と同じことであるが、走行する測定用車両400に搭載したリーダ500にてマンホール300に設置されたタグ200からの電波を読み取ることを資産調査として用いる場合には、その測定用車両400は、例えば、営業や、別の作業を行うことを目的とした走行車両であってもよい。この営業や、別の作業のために往復する途中経路で、マンホール300内に設置されたタグ200の電波を読み取ることになる。従って、このような場合に100%の読み取り率は、必ずしも要求されない。読み取られなかった箇所のマンホール300については、再度、別の機会に読み取りをしたり、本当の資産調査の際には、その箇所で停止(走行車線にマンホール300がある場合なら路肩に停止)して確実に読み取るようにすることもできる。
ちなみに、マンホール内に426MHz、1mW(特定小電力無線)のアクティブ型タグを設置した場合には、そのマンホール300の真上を中心にして道路上の半径7m程度の範囲で、タグ200の電波を測定用車両400に搭載したリーダ500で読み取りが可能である。これは測定用車両が40〜50km/hで走行しているとしても、タグが電波を1sec毎に送信するならば、その測定用車両に搭載したリーダによりタグからの電波を受信できることを意味する。
次に、上述した第2実施形態の動作について詳細に説明する。
マンホール300に設置したタグ200が電池で駆動するアクティブ型タグで、かつ電池切れ前信号を送信するものであったならば、以下の処理が実行される。
図10は、本第2実施形態による設備状況調査システムの動作を説明するためのフローチャートである。本第2実施形態の設備状況調査システムの動作には、前述した図6と同様に、図10に示すように、大別して、設備状況の調査、その調査を補う日常業務の走行、および保守点検がある。
設備状況の調査は、まず、日常業務の走行の区分において、測定用車両400の走行により、マンホール300内に設置されたタグ200からタグ受信情報を取得し(ステップS21)、カーナビ600により、取得したタグ受信情報と設備データとを照合する(ステップS22)。より詳細には、マンホール300に設置したタグ200からのタグ受信情報に基づいて、GPS測定による位置(場所)と、設備データ(登録されている該当タグの場所)との照合することである。この照合についは、前述した第1実施形態における図6の説明と同じで、タグ200からの電波が受信可能な距離D−tagや、GPS機能部601により測定する場所の誤差E−gpsが考慮される(図4(a)に示す照合の判定での許容ずれ:Dcを参照)。また、設備データは、後述する保守点検で作成される。
次に、その照合の結果として、設備状況の調査の区分において、確認済/未確認設備の区別が行われ(ステップS23)、そのうち、確認済設備データについては、図6においては調査区分から外されるが、本第2実施形態では、調査区分から外される前に、電池切れ前信号を受信したか否かを判定する(ステップS24)。そして、電池切れ前信号を受信していないならば(ステップS24のNO)、確認済設備データとして調査区分から外される(ステップS25)。一方、電池切れ前信号を受信したならば(ステップS24のYES)、保守点検の区分において、点検の計画がなされ(ステップS26)、しかるべき時期に保守点検がなされる(ステップS32)。
他方、未確認設備データについては、設備状況の調査に残され(ステップS27)、図6と同様に、調査目的の車両走行を終了かが判定される(ステップS28)。この判定で終了ならば(ステップS28のYES)、未確認設備データより保守点検を実施(確認済設備は次回調査までは保守点検不要)され(ステップS29)、当該設備状況調査のアクションは終了する。
これに対して、調査目的の車両走行を終了していないならば(ステップS28のNO)、設備状況の調査となる区分において、未確認設備を調査するルートをさらに走行し、マンホール300内のタグ200からタグ受信情報を取得し(ステップS30)、カーナビ600でタグ受信情報と設備データとを照合する(ステップS31)。上述したステップS22での照合の判定と同様に、この照合の判定でも、タグ200からの電波が受信可能な距離や、GPS機能部601により測定する場所の誤差が考慮される(図4(a))。ここでの設備データも後述する保守点検で作成されたものを用いる。そして、照合の結果は、上述したステップS23の確認済/未確認設備の区別へと戻り、上述した処理を繰り返す。
この確認済/未確認設備の区別の後、未確認設備データに基づいて、保守点検の区分において、保守点検を行い(ステップS32)、その点検により設備データ登録を行う(ステップS33)。この登録で、設備データが更新される(ステップS34)。該「更新」については、前述した第1実施形態における図6の説明と同じで、「登録」と同程度の僅かなずれしか許容されず、タグ200から強い受信レベルで受信可能な距離D−tag_sとGPS測定から地図情報に基づいて補正した際の誤差E−gps+との程度しか考慮されない(図4(b)に示す「登録(更新)で求められるずれ:Dr」を参照)。この設備データが、日常業務の走行と設備状況の調査とで挙げた、上述したステップS22、S31でのタグ受信情報と設備データとの照合に用いられる。
上述したように、本第2実施形態の図10に示した処理は、前述した第1実施形態の図6に示した処理と大部分が共通するが、ステップS24における、条件判断<電池切れ前信号を受信したか?>と、ステップS26における[点検の計画]との2箇所で異なる。
次に、図11(a)、(b)、(c)は、各々、本第2実施形態による、電池切れ前信号を送信するタグ200の構成、電池電圧の変化、送信信号(通常時)/(電池切れ前)を示す説明図である。図11(a)に示すように、タグ200は、電池201、電圧測定回路202、制御回路203、無線回路204、アンテナ205から構成されている。電池201は、タグ200を駆動するため、電圧測定回路202と制御回路203、および無線回路204へ電力を供給する(図11(a)では二重線の矢印)。電圧測定回路202は、電池201での電圧を測定し、この電圧が予め決められた電圧を上回るか、あるいは決められた電圧以下かを制御回路203に通知する(図11(a)では、破線の矢印)。制御回路203は、電圧測定回路202から電池201の電圧を受けて、予め決められた電圧を上回れば無線回路204へ通常時の送信信号を、逆に決められた電圧以下なら電池切れ前の送信信号を送信するよう指示する(図11(a)では、実線の矢印)。無線回路204は、制御回路203の指示に従い、送信信号をアンテナ205へ送る(図11(a)では、実線の矢印)。アンテナ205は、無線回路204から供給される送信信号を送信する。
図11(b)は、本第2実施形態による、タグ200に搭載した電池電圧の変化を示す概念図である。図において、グラフの横軸は経過の時間であり、縦軸は電池201の電圧である。このグラフから分かるように、初期(初期の電圧はv0)からある期間(t1、この時の電圧はv1)までの電圧減少(v0−v1)は僅かしかない。しかし、ある程度時間が経過すると(t2以降)、電圧が(v2から)急激に低下する。ここで、例えば、期間t2が3年で、このときの電圧(v2)をタグ200が駆動できる最低の値とし、期間t1が2年4ヶ月で、このときの電圧(v1)を電池切れ前信号の送信に切り替える、予め決められた電圧とする。
ここで、電池201の電圧変化については、電池201の個体差があるとされている。しかし、初期電圧の確認など、設置前の事前検査により、ある一定の許容範囲内に収まる電圧特性を持つ電池のみを適用することで、個体差の課題は、回避できる。また、電池201の電圧変化には、環境として温度変化が大きく影響する。この環境の点は、マンホール300内にタグ200が設置されるために、地上での気温変化の幅に比べて、地中では温度変化は極めて少なく、このようなマンホール300に設置されたタグ200の電池電圧の変化が想定される変化と一致するものと考えられる。
図11(c)は、タグ200からの送信信号(通常時)/(電池切れ前)を示す概念図である。本第2実施形態では、タグ200は、上述した期間t1前後で、電圧v1より上回るか否かにより異なる送信信号を送信する。一方の送信信号(通常時)は、期間t1より前で、電圧v1より上回る期間での送信信号であり、この送信信号は、プリアンブル、電池切れ前情報、ID、EOFで構成される。プリアンブル(preamble)は、タグ200からの送信信号の始まりを示し、例えば、「1010101」である。次の電池切れ前情報(横線ハッチ)は、電池切れ前(電圧はv1を上回り、期間t1を経過していない)か否かを示す部分であり、通常時の送信信号では「01」である。また、IDは、タグ200の識別子である。最後のEOF(End of Frame)は、タグ200からの送信信号の終端を示し、誤り検出符号である。
他方の送信信号(電池切れ前)は、およそ期間t1(2年4ヶ月)後で、電圧v1以下になったときの送信信号である。該送信信号(電池切れ前)も、プリアンブル、電池切れ前情報、ID、EOFで構成される。ここでプリアンブル、ID、EOFについては上述した送信信号(通常時)と同じである。送信信号(電池切れ前)の場合、電池切れ前情報(斜め線を施したハッチ)については「00」である。
次に、図12は、本第2実施形態による、現状調査データ保持/更新部607で保持される現況管理情報の例を示す概念図である。本第2実施形態では、前述した第1実施形態の現況管理情報(図7)のデータ構成、すなわち、タグID、所在情報、現況調査日、前回保守日、保守予定日に加えて、電池切れ前情報がある。但し、後で述べるが前回保守日については必ずしも必要でなく、該前回保守日を除いた他の情報のみで現況管理情報としてもよい。タグID、所在情報、現況調査日、前回保守日については、前述した第1実施形態の図7で説明した現況管理情報と同じである。つまり、タグIDは、タグ200の識別子である。所在情報は、通信設備(マンホール300など)100が設置されている場所を示す情報である。現況調査日は、その通信設備(マンホール300など)100を調査確認した日を示し、本第2実施形態の場合、走行する測定用車両400に搭載したリーダ500で対象となるマンホール300に設置したタグ200からタグ受信情報を受信した日となる。
前回保守日は、対象のマンホール300が保守された日であり、その保守した際にタグ200を更改して管理情報が更新される。前述した「更新」と同じく、ここでの「更新」も「登録」と同程度の僅かなずれしか許容されない。従って、タグ200から強い受信レベルで受信可能な距離とGPS測定から地図情報に基づいて補正した際の誤差を適切に扱う(図4(b)参照)。保守予定日は、本第1実施形態を用いた現況調査により対象の通信設備(マンホール300など)100に設置しておいたタグ200からタグ受信情報を受信できなかった場合に、直ちに決定され、その対象の通信設備を保守可能な直近の予定の日程、あるいは後述する電池切れ前情報から推定される保守予定日である。また、電池切れ前情報は、先の保守点検からおよそ期間t1(2年4ヶ月)経過してタグ200の電池電圧がv1以下になったときの送信信号に含まれる電池切れ前情報である。
電池切れ前信号を送信可能なタグ200の場合、その送信信号は、前述したように、プリアンブル(1010101)、ID(識別子)、EOF(誤り検出符号)に加えて電池切れ前情報(01 or 00)がある。この電池切れ前情報以外は、通常のタグ200の場合における送信信号にある、プリアンブル(1010101)、ID(識別子)、EOF(誤り検出符号)と同じである。電池切れ前情報は、電池201が十分な時期には、「01」で、電池が残り少なくなると、「00」となる。すなわち、先の図11(b)に示したように電池電圧が、v1以上ならば、電池切れ前情報が「01」であり、電圧がv1未満なら、「00」である。
ここで、図13は、本第2実施形態において、保守予定日の設定について説明するためのタイムチャートである。図13には、上述した図9に挙げたマンホールA'〜D'を例にして、上述の電池切れ前情報、現況調査のタイミング(間隔)、および保守予定日を示している。
保守予定日は、その電池電圧がv1以下になってから設定されるが、保守予定日は、電池電圧がv2になってタグ200が動作しなくなる時点(t2)より前の日時に設定することができる。このために、現況調査が期間Ts毎に行われ(例えば、Tsは4半期毎の3ヶ月単位で行われ)、タグ200の電池201の電圧が電池切れ前情報を送信する電圧v1から電池切れとなる電圧v2になるまでの期間Tdであれば(この例としてTd=t2−t1なのでTd=3[年]−2[年]4[ヶ月]ということで8ヶ月であれば)、電圧v1となる電池切れ前情報を取得してからTd−Ts=t2−t1−Tsの期間内(この例では、Td−Tsが5ヶ月以内)に保守予定日を設定すればよいことになる(図13)。
そして、これらの内でタグIDおよび電池切れ前情報は、先の図11(c)に示す送信信号を、走行する測定用車両400に搭載したリーダ500が受信したタグ受信情報を基にしたものである。このように、電池切れ前情報を用いて、適切な間隔で対象となる通信設備の現況調査を行うことで、前回保守日から次回の保守予定日を求めなくても済むため、現況管理情報には、前回保守日を不要とすることができる。
図13に示すように、マンホールB'は、図9と同じく電池切れ前情報を捉え、点検作業を保守予定日に行うように設定されている。図9では対応されていなかったマンホールA'、C'、D'についても、図13では、どのマンホールに対してもタグ200の電池切れ前情報を適切に捉えられる現況調査のタイミング(間隔Ts)を採用しているので、マンホールB'と同様な点検作業を保守予定日に行うように設定することができる。
なお、本第2実施形態におけるカーナビ600に新たに追加する機能のうち、登録タグ情報記憶部(ID、場所)605については、前述した第1実施形態と同様に、後述する第3実施形態の通信設備の資産登録/補正法を用いて作成することができる。すなわち、図8に示すように、第1実施形態と同じく、本第2実施形態での「マンホールの設備状況の調査」においては、第3実施形態で説明する「マンホールの資産情報の登録」で作成された情報登録を参照して行われる。
C.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図14は、本第3実施形態による、タグを用いた通信設備(マンホール)の資産情報を登録する設備状況調査システムの構成を示すブロック図である。タグ200は、前述した第1実施形態(図1)と同じく、マンホール300内に設置される。リーダ500も同様に、走行する測定用車両400に搭載され、タグ200からの電波を受信する。
前述した第1実施形態でも述べたが、カーナビ600の既存の機能として、GPS機能部601で衛星からの距離を基に位置を特定し、地図情報機能部602で、GPS機能部601から供給される位置(経度、緯度)を、予め記憶されている地図情報上にプロットし、表示機能部603で、地図情報機能部602から供給される自身の位置(経度、緯度)がプロットされた地図情報を表示する。
本第3実施形態では、カーナビ600に追加する機能として、タグ受信情報取り込み部604、タグ情報・場所設定部(位置補正を含む)608、タグ設置場所・ID確定・登録部609、タグ設置データ補正部(ID、場所)610を備えている。タグ受信情報取り込み部604は、前述した第1実施形態と同様に、リーダ500からのタグ受信情報(ID:Identifier(識別子))の取り込むインタフェースとして機能し、取り込んだタグ受信情報(ID)をタグ設置場所・ID確定・登録部609に供給する。
タグ情報・場所設定部(位置補正を含む)608は、取り込んだタグ受信情報(ID)と上述したカーナビ600の既存の機能であるGPS機能部601により特定された場所との情報を用いて、該当タグ200の登録タグ情報としての場所を設定する(予め該当タグの登録タグ情報が登録されている場合には、そのGPS機能部601により特定した場所の情報で位置補正を行うこともある)。
このこのようにして、タグ200を設定した場所とタグIDとを1組として確定し登録する(図3を参照)。あるいは、タグ設置データ(ID、場所)補正部610でタグ200のID、場所を補正する。
以上のような一連の手順により、(マンホール300に設置したタグ200を用いて)通信設備100の資産情報を、走行する測定用車両400から登録データを作成することができる。
ここで示した通信設備(第3実施形態では、この設備として扱うマンホール300を含む)100の資産登録/補正法においては、測定用車両400が走行する車線にあるものをカーナビ600のGPS機能部601で特定する位置情報を用い登録することが簡単にできる。ところが、前述した図2に示すような道路では、歩道や、反対車線にもマンホール300があり、これらのマンホール300に設置したタグ200の電波を測定用車両400が走行する車線でも受信できてしまう。
この点に関連しては、前述した図4を示して技術的に課題(図4(a)に示すように特定される場所に誤差が生じること)、およびこの課題に対する一部の対策(同図(b)に示したように誤差を小さく抑制できる対処)について説明をしている。このような測定用車両400が走行する車線とは違うが、近傍にあるマンホール300(反対車線、歩道上のマンホール)に関しての位置情報の登録には注意を要する。
すなわち、このようなマンホール300については、リーダ500での受信レベルに制約を設けて(受信レベルが決められている閾値以上の高い(強い)タグ200の信号のみを用い、閾値よりも低い(弱い)受信レベルのタグの信号は扱わず、そのマンホール300に設置されたタグ200を、走行車線にあるマンホール300のタグ200と区別できるようにしておく。
そして、閾値以上の高い(強い)受信レベルのタグ200の信号については、図2では、マンホール300にある破線の2重円のうち、内側の円310に相当し、閾値より低い(弱い)受信レベルの信号については、外側の円320に相当する。つまり、簡単にいうと、図2において、マンホール300を囲む内側にある円310の範囲で、そのマンホール300の位置を特定して現況を捉えて資産登録/補正する。
また、仮に、図2に示した歩道や、反対車線にあるマンホール300の設備資産の登録に際しては、正確なデータ登録/補正を行うために、測定用車両400を道路脇(路肩)に一旦停止させるなどして、対象となるマンホール300の場所が停止させた測定用車両400からどの方向にそれだけずれているか正確に把握し、この位置ずれの情報を的確に補正するような操作が必要である。
例えば、地図情報上の目印となる箇所(交差点の角や、道路に面した建物の入り口側)からマンホール300への方向、およびメジャーなどによって測定したその間の距離に従って、地図上で正確な位置を特定するというような補正作業を実施する。このような労力を掛け、登録/補正したデータを前述した第1実施形態に活用すれば、より正確な現況調査を行うことができ、カーナビ600の位置精度の向上にも役立てることができる。
また、マンホール300に設置したタグ200からの送信信号を測定用車両400が受信し、カーナビ600内に登録された登録タグ情報(ID、場所)と組み合わせて活用することで、カーナビ600による位置精度向上のいずれにも役立つ。つまり、図8に示すように、本第3実施形態で説明した「マンホールの資産情報の登録」で作成された登録情報を参照して、前述した第1実施形態で述べた「マンホールの設備状況の調査」が実施されるし、あるいはまた同じ登録情報を利用した別の用途として、「カーナビ(GPS)の場所特定」の精度向上も図られる。
上述した第1、第2実施形態によれば、測定用車両に搭載されたリーダにより、通信設備(マンホール内、電柱、通信線用クロージャ等)に設置されたタグから、タグ受信情報(ID)を取り込み、IDと位置情報とを対応付けて記憶した登録タグ情報を該IDで照合し、位置情報を取得し、該位置情報とGPSで測定した位置情報とを比較し、該比較結果を現況調査データとして保持・更新するようにしたので、走行車線上のマンホールは、当然、測定対象となることに加えて、反対車線にあるマンホールも、歩道にあるマンホールも対象とすることができる。すなわち、道路に沿って、走行する測定用車両の近傍にある通信設備(マンホール内、電柱、通信線用クロージャ等)も対象になるため、反対車線を逆方向に走行することなく、同じ道路を一方向に一度走行するだけで、走行した車線側、反対車線側、及び歩道にあるマンホールなどの通信設備の状況調査を把握することができる。
また、上述した第1、第2実施形態によれば、マンホールに設置した無線タグのID、そのID(タグ情報)を受信した時の場所(位置)情報を1組にし、測定用車両400のリーダ500でタグ情報を受信した通信設備(マンホールの数)分に一致する離散的な情報として取り込むので、非常に僅かなデータ量を取り扱えばよい。この結果、マンホール識別番号(タグのID)とその位置情報のみで済ませることが可能で、極めて安価なメモリおよび装置とすることができる。
また、上述した第3実施形態によれば、電池切れ前信号を送信する無線タグを用いた通信設備の現況調査により、無線タグの電池切れ前に保守点検作業を予定することができる。また、保守点検作業を無線タグの電池切れ前にすれば、現況管理情報として、前回保守日を保持して該前回保守日から次回の保守予定日を求めなくても良いので、前回保守日を不要とすることができる。