JP2012014677A - センシングシステム、センシング方法、およびデータ解析装置 - Google Patents

センシングシステム、センシング方法、およびデータ解析装置 Download PDF

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弘貴 吉岡
Hideyuki Tsuboi
秀幸 坪井
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大樹 柴山
Atsuya Andou
篤也 安藤
Toshio Ito
俊夫 伊藤
Takeshi Kizawa
武 鬼沢
Hiroyuki Nakamura
宏之 中村
Hide Kaneko
英 金子
Yutaka Osada
豊 長田
Ryunosuke Seki
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Abstract

【課題】センサがセンシングした情報を送信する装置の消費電力を抑えること。
【解決手段】地下に設置された振動測定対象の振動の大きさを検出し、センサ出力信号を出力するセンサ200と、前記センサ出力信号に基づき、一定時間において前記振動の大きさが閾値以上となる回数をカウントしてカウント値を出力するデータ解析装置530と、前記データ解析装置から出力されたカウント値を含む信号を地上に設置されたリーダに送信する送信装置100、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、センサが検出した情報を無線で送信するセンシングシステム、センシング方法、およびデータ解析装置に関するものである。
例えば、マンホール内に配置されている通信設備の状況を監視するため、マンホールが受ける振動を検出するセンサとRFID(無線タグ)を用いて、センサが検出した情報を無線タグが地上のリーダに送信する方法がある(例えば、非特許文献1参照)。
ここでは、RFIDを設置する位置に応じて、地上に設置されるリーダがRFIDからの電波を受信する範囲が異なるため、RFIDの設置位置が重要であり、マンホールの蓋付近にタグを設置すると、通信可能距離が短くなることが記載されている。
岩谷純一,吉岡弘貴,安藤篤也,中村宏之、中本博司,RFIDを用いたマンホール内通信におけるタグの設置位置に関する一検討,B-5-138 電子情報通信学会総合大会,2009.3.17-20.
しかしながら、上述の方法のように、RFIDの設置場所を工夫して通信可能距離を短くしても、センサが検出した情報を、検出した信号そのままで地上のリーダに送信するため、リーダは、RFIDからの電波を受信し続けなければならない。このため、RFIDとリーダの駆動電力が消費され続けるため、効率が悪いという問題があった。
また、RFIDは、地下に設置されているため、駆動電力を消耗してしまった場合、交換するための作業者等の労力が比較的大きいため、消費電力を小さくする必要がある。
上述の課題を鑑み、本発明は、センサがセンシングした情報を送信する装置の消費電力を抑えることができるセンシングシステム、センシング方法、およびデータ解析装置を提供することを目的とする。
上述の課題を鑑み、本発明に係るセンシングシステムは、地下に設置された振動測定対象の振動の大きさを検出し、センサ出力信号を出力するセンサと、前記センサ出力信号に基づき、一定時間において前記振動の大きさが閾値以上となる回数をカウントしてカウント値を出力するデータ解析装置と、前記データ解析装置から出力されたカウント値を含む信号を地上に設置されたリーダに送信する通信機器、を備えることを特徴とする。
また、上述のセンシングシステムにおいて、前記データ解析装置は、前記センサ出力信号に基づき、前記センサ出力信号の振幅が前記閾値以上であるか否かを判断して、前記センサ出力信号の振幅が閾値以上となった場合、閾値以上の振幅が検出されたことを示す信号を出力する判定部と、前記判定部が出力する信号が入力すると、前記センサ出力信号の振幅が閾値以上となった回数をカウントするとともに、カウントされた回数が予め決められているカウント回数に到達したか否かを判断し、前記カウント回数に到達した場合、前記カウント値を1つ次に進めるカウント出力生成部を備えることを特徴とする。
また、上述のセンシングシステムにおいて、前記閾値は、複数の前記センサを前記振動測定対象に対して設置した状態において、前記振動測定対象に対して応力が与えられている状態で、前記センサが検出するセンサ出力信号の変動が一定の範囲に収束したときの前記センサ出力に基づき予め決定されることを特徴とする。
また、上述のセンシングシステムにおいて、前記振動測定対象に対して与えられる応力として静止している物体からの荷重が与えられている静的状態において、前記センサ出力信号の変動が一定の範囲に収束したときの前記センサ出力に基づき、前記閾値が予め決定される場合、前記センサは、前記振動測定対象であるマンホールのうち地下に広がる地下空間と当該地下空間と地面とを連結する首部空間において、前記首部空間において前記地下空間と隣接するマンホールの側面である第1の領域、あるいは、前記地下空間の天井面において前記首部空間の位置よりも地上を走行する車両の進行方向側となる第2の領域のうち、少なくとも1つの領域に、少なくとも1つ設置されていることを特徴とする。
また、上述のセンシングシステムにおいて、前記振動測定対象に対して与えられる応力として動いている物体からの衝撃が与えられている動的状態において、前記センサ出力信号の変動が一定の範囲に収束したときの前記センサ出力に基づき、前記閾値が予め決定される場合、加速度センサである前記センサは、前記振動測定対象であるマンホールのうち地下に広がる地下空間と当該地下空間と地面とを連結する首部空間において、前記首部空間のおけるマンホールの側面である第3の領域、あるいは、前記地下空間の天井面において前記首部空間の位置よりも地上を走行する車両の進行方向側となる第2の領域のうち前記首部空間に近い第4の領域のうち、少なくとも1つの領域に、少なくとも1つ設置され、歪みゲージである前記センサは、前記首部空間において前記地下空間と隣接するマンホールの側面である第1の領域、前記第2の領域、あるいは、前記首部空間において前記地上と隣接するマンホールの側面である第5の領域のうち、少なくとも1つの領域に、少なくとも1つ設置されていることを特徴とする。
また、上述のセンシングシステムにおいて、前記データ解析装置は、制御信号を入力する入力部と、前記判定部により参照される前記閾値を前記制御信号に基づき設定する閾値設定部と、前記カウント出力生成部により参照される前記カウント回数を前記制御信号に基づき設定するカウント生成設定部と、を備えることを特徴とする。
また、上述のセンシングシステムにおいて、前記データ解析装置と前記通信機器とが、1つの装置に搭載されていることを特徴とする。
また、上述のセンシングシステムにおいて、前記センサから出力されるセンサ出力信号を入力して、アナログ信号である前記センサ出力信号をデジタル信号に変換し、前記データ解析装置に出力するデータロガーをさらに備えることを特徴とする。
上述の課題を鑑み、本発明に係るセンシング方法は、地下に設置された振動測定対象の振動の大きさを検出し、センサ出力信号を出力するステップと、前記センサ出力信号に基づき、一定時間において前記振動の大きさが閾値以上となる回数をカウントしてカウント値を出力するステップと、前記カウント値を含む信号を地上に設置されたリーダに送信するステップ、を備えることを特徴とする。
上述の課題を鑑み、本発明に係るデータ解析装置は、地下に設置された振動測定対象の振動の大きさを検出するセンサからセンサ出力信号が入力する入力インターフェースと、前記センサ出力信号に基づき、一定時間において前記振動の大きさが閾値以上となる回数をカウントしてカウント値を、地上に設置されたリーダに送信する通信機器に出力する出力インターフェース、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、センサがセンシングした情報を送信する装置の消費電力を抑えることができる。
本発明の第1実施形態にかかるセンシングシステムの概要を説明するための図である。 本発明の実施形態にかかるセンシングシステムにおけるデータ転送について説明するための図である。 本発明の実施形態にかかるセンシングシステムにおいてデータの流れの一例を説明するための図である。 本発明の実施形態にかかるセンシングシステムにおいて転送される信号等とそのインターフェースについて説明するための図である。 本発明の実施形態にかかるセンシングシステムにおいて通過する車両の大きさ重量によるマンホールに伝わる振動の違いについて説明するための図である。 本発明の実施形態にかかるセンシングシステムにおける無線タグの構成と受信する無線信号について説明するための図である。 本発明の実施形態にかかるセンシングシステムにおけるデータ解析装置の構成と入出信号を示す図である。 マンホール内における無線タグの設置位置と通過損失について説明するための図である。 本発明の実施形態にかかるデータロガーの一例を説明するための図である。 本発明の第2実施形態にかかるセンシングシステムにおけるデータ転送について説明するための図である。 本発明の第2実施形態にかかるセンシングシステムにおいてデータの流れの一例を説明する図である。 本発明の第2実施形態にかかるセンシングシステムにおけるデータ解析装置の構成と入出信号を示す図である。 本発明の第3実施形態にかかるセンシングシステムにおけるデータ転送について説明するための図である。 本発明の第4実施形態にかかるセンシングシステムにおいて歪みセンサによる設定する閾値を説明するための図である。 本発明の第4実施形態にかかるセンシングシステムにおいて閾値を決定する際の静的状態の一例を説明するための図である。 本発明の第4実施形態にかかるセンシングシステムにおいて静的状態における振動の測定結果について説明するための図である。 本発明の第5実施形態にかかるセンシングシステムにおいて閾値を決定する際の動的状態の一例を説明するための図である。 本発明の第5実施形態にかかるセンシングシステムにおいて動的状態における振動の測定結果について説明するための図である。 本発明の第4、6、7実施形態にかかるセンシングシステムにおいて構成の一例を説明するための図である。 本発明の第6実施形態にかかるセンシングシステムにおけるデータ転送について説明するための図である。 本発明の第6、7実施形態にかかるセンシングシステムにおいて双方向型無線タグの構成の一例と無線送信信号の一例を説明するための図である。 本発明の第6実施形態にかかるセンシングシステムにおけるデータ解析装置の構成と制御の一例を説明するための図である。 本発明の第6実施形態にかかるセンシングシステムにおけるデータ転送について説明するための図である。 本発明の第7実施形態にかかるセンシングシステムにおけるデータ解析装置の構成と制御の一例を説明するための図である。
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るセンシングシステムの概要を説明するための図である。本実施形態においては、マンホールに設置したセンサ−無線タグ接続のシステムについて説明する。
図1に示す通り、マンホール400内には、加速度センサや歪みゲージなどが利用可能な複数のセンサ200と、無線タグ100と、防水ボックス500に収納されたデータ解析装置530と、バッテリー550が設置されている。
このマンホール400内に設置された複数のセンサ200は、地下に設置された振動測定対象の振動の大きさを検出するものであって、例えば、マンホール400上の道路を走行する車両から伝わる振動を示す情報を、加速度や歪みの変化という形で取得する。このような複数のセンサ200は、センシングしたデータ(センサ出力信号)をデータ解析装置530へ送信する。
複数のセンサ200で取得される加速度や歪み(センサ出力信号)は、データ解析装置530で処理される。このデータ解析装置530は、例えば、マンホール400の振動による加速度や歪みの値が、センサ200で取得されると、それらの加速度や歪が、予め決められている閾値Tを超えたか否かを判断し、その閾値Tを超えた回数をカウントする。そして、データ解析装置530は、一定時間において、閾値Tを超えた回数が何度あったのかを示す情報に整理して、無線タグ100に送信する。
つまり、データ解析装置530は、センサ200が取得したデータ(センサ出力信号)の解析を行い、この解析した結果(解析結果情報)を無線タグ100へ伝えている。この伝えられた結果、つまりデータ解析装置530から送信したデータを無線タグ100が受信すると、無線タグ100は、受信した解析結果情報を、地上に設置されているリーダ300へと電波により送信する。
言い換えると、データ解析装置530は、無線タグ100に送信するデータを圧縮(つまり、センサ出力信号を予め設けた閾値Tを超えた回数に応じたカウント値Cに変換)することにより無線タグ100の処理負荷を軽減させることができる。
無線タグ100は、例えば、426MHz1mWの特定小電力無線を用いたアクティブタグが利用可能である。この426MHzのアクティブタグを使用することで、無線タグ100は、通常地上から深さ1〜2m前後のマンホール400内に設置された場合であっても、地上に設置されているリーダ300に、解析結果情報を送信することができる。
リーダ300は、PC( Personal computer )330と接続されており、無線タグ100から送信された情報をこのPC330に表示させる。これにより、例えば、PC330を監視する監視官が、PC330に蓄積されている過去に得たデータ(振動情報)と、無線タグ100から送信された振動情報とを比較して、マンホール400内の状況やその変化を監視することもできる。
上述の通り、このような仕組みを用いることで、無線タグ100がデータ解析装置530から受信した解析結果情報は、センサ200で取得したデータに比べ、その容量を僅かなものにできる。また容量が僅かなデータであっても、その閾値Tを超える回数を的確に表わした情報を取得することができる。
なお、図1に示したシステム構成では、バッテリー550からデータ解析装置530に給電し、データ解析装置530からケーブル接続されたセンサ200と無線タグ100に給電して、それぞれ装置の駆動電力としている。
次に、図2を用いて、センサ200からPC330までのデータ転送について説明する。図2は、センサ200からPC330までのデータ転送について説明するための図である。
図2に示す通り、データ解析装置530は、複数のセンサ200と無線タグ100間に接続されているである。
データ解析装置530は、マンホール400内の状況を把握するシステムとして、センサ200から送られたデータ(センサ出力信号)の収集および分析を行う専用装置である。このデータ解析装置530を、センサ200および無線タグ100と接続することで、例えばセンサ200のデータにおいて予め決められた閾値Tを超えた回数のカウントなどの分析が可能であり、センサ200で取得した情報のデータ容量の削減が実現できる。
次に、図3を用いて、本実施形態にかかるセンシングシステムにおいてデータの流れの一例を説明する。この図3では、センサで取得したデータの集約と解析が可能な小型装置を接続した構成を示す。
本実施形態にかかるセンシングシステムは、「センサ関連とその処理部」として、マンホール400内の状況を取得するセンサ200と、センサ200から送られた取得データを1箇所で十分な処理をするデータ解析装置530と、バッテリー550とを含む。このデータ解析装置530に無線タグ100が接続される。
これらセンサ200、データ解析装置530、無線タグ100、およびバッテリーが、マンホール400内に設置されている。
無線タグ100は、データ解析装置530から出力する結果(振動情報)を受信して、電波に乗せて、振動情報をリーダ300に送信する。この振動情報を含む無線信号を、リーダ300が受信する。リーダ300で受信した振動情報は、表示およびマンホール400内の状況履歴の比較などを行うPC330に出力される。これら無線タグ100、リーダ300、およびPC330は、無線での送受信関連部になっている。
さらに、マンホール400内に設置されるバッテリー550が、データ解析装置530、および、無線タグ100に駆動電力を供給する。
この図3に示すセンサ−無線タグ接続において、各構成でデータのやり取りに関する特徴は、既存のデータロガーを用いずに、センサ200と無線タグ100の間にデータ解析装置530を挿入して接続させる点にある。
このデータ解析装置530は、センサ200から受信するデータを、必要な程度、蓄積して、解析処理を行う。また、データ解析装置530には、無線タグ100へデータを送るインターフェースを備えているが、このインターフェースとしては無線タグ100へ入力されやすい形態とすることができる。
これに対して、無線タグ100が送信する無線信号においては、データ解析装置530からのデータを載せてリーダ300に送信するフレームが必要であり、そのための仕組みが搭載される。
また、図3に示すセンサ−無線タグ接続において、給電の仕方としては2つある。1つの方法は、バッテリー550からデータ解析装置530に給電し、データ解析装置530からセンサ200と無線タグ100への給電する方法である。
一方、無線タグ100への給電が難しい場合は、別の給電の方法として、バッテリー550から無線タグ100へ直に給電する方法も利用可能である。無線タグ100へ給電に対して、それら2つの仕方のどちらが適用される場合でも、センサ200への給電はデータ解析装置530を介して行われる。
次に、センサ200が出力するセンサ出力信号について、図4を参照して説明する。図4は、センサ200が出力するセンサ出力信号と、無線タグ100に送信する振動情報、およびそのインターフェースについて説明する図である。
図4に示す通り、データ解析装置530は、センサ200およびバッテリー550とそれぞれ接続され、「センサ関連とその処理部」となる。また、無線タグ100とリーダ300が、「無線での送受信関連部」となる。これらの「センサ関連とその処理部」と「無線での送受信関連部」との間は、センサ側と無線側のインターフェースとなっている。
また、図4の上側に示す構成において、「センサ関連とその処理部」の中でセンサ200からデータ解析装置530へ出力されるデータ(センサ出力信号)を、図4(a)に、センサ200からの出力情報として示す。
図4(a)に示す出力信号は、マンホール400の振動を、加速度で示す一例である。このグラフでは、横軸が時間、縦軸が加速度の大きさを示す。加速度の大きさにおいて、マイナスは、プラスの振動方向と逆方向の振動の加速度を表わし、マンホール400の振動を示したものである。なお、ここでは、分かりやすいように加速度の大きな振幅と小さな振幅である2種類のマンホール400の振動が多数発生する例を用いて説明する。
データ解析装置530は、このセンサ200のセンサ出力信号に基づき、加速度の大きな振幅の振動のみ、その発生する回数をカウントする。この大きな振幅を決める基準は、予め設けた閾値Tを超えた加速度のみを扱うようにすれば良い。つまり、データ解析装置530は、このセンサ200のセンサ出力信号と閾値Tとを比較し、センサ出力信号の加速度の振幅が閾値Tを超えた回数をカウントする。
なお、マンホール400上の道路を走行する車両と、そのマンホール400の振動の関係については、図6を参照して後述する。
次に、センサ側と無線側のインターフェースとなるデータ解析装置530の出力情報(振動情報)を、図4(b)に示す。
データ解析装置530は、センサ200からのセンサ出力信号のうち、閾値Tを超えた振動をカウントするとともに、この閾値Tを超えた振動をカウントした回数が、予め決められた回数(カウント回数)を超えたか否かを判断する。この閾値Tを超えた振動をカウントした回数が、カウント回数を超えた場合、このデータ解析装置530は、図4(b)の縦軸に示すカウント値Cを1つ増やす。
例えば、理解を簡単にするため、データ解析装置530が、カウント回数が例えば2回と設定されている場合、閾値Tを超えた振動を連続して検出する回数が2回を超えたか否かを判断するものとする。また、データ解析装置530が増やすカウント値Cは、例えば、最大値で3(2進数で示すと“11”)とすることができる。データ解析装置530は、カウント値Cが最大値(2進数で示すと“11”)に達したら、最小値(2進数で示すと“00”)に戻り、カウント値Cの加算を繰り返す。
この図4(b)のグラフは、閾値Tを越えた振動の回数を示し、ある回数分(ここでは、2回とする)閾値Tを超えた振動を捉えるとデータ解析装置530が増やすカウント値Cを縦軸に示す。
従って、データ解析装置530が、閾値Tを超えた振動を2回、4回、6回、8回、・・・と取得した場合、データ解析装置530の出力情報(振動情報)であるカウント値Cが順に、1(2進数で“01”)、2(2進数で“10”)、3(2進数で“11”)、0(2進数で“00”)、1(2進数で“01”)・・・となる。
このように、データ解析装置530は、センサ200によって検出される出力信号を、その閾値Tを超えたものだけを検出し、かつ、閾値Tを超えたものが連続して検出された場合のみ、振動として検出してカウント値Cを加算するようにした。これにより、閾値T以下の小さな振動の検出を回避することができ、無線タグ100がデータ解析装置530から受け取り、リーダ300に送信する送信信号の容量を、数bit程度のデータ容量に抑えることができる。
さらに、図4(c)には、「無線での送受信関連部」において、無線タグ100から送信される無線信号を示す。この無線信号は、先の図4(b)に示された閾値Tを超えた振動の回数に相当するカウント値Cを含む。
この図4(c)に示す通り、カウント値Cが0(2進数で“00”)の時の無線信号は、無地の矩形S1で示す。カウント値Cが1(2進数で“01”)の時の無線信号は、斜めの縞々のハッチングを付した矩形S2で示す。カウント値Cが2(2進数で“10”)の時の無線信号は、横しま模様のハッチングを付した矩形S3で示す。カウント値Cが3(2進数で“11”)の時の無線信号は、黒色に塗潰した矩形S4で示す。なお、無線信号のフレームについては、図7を参照して後述する。
次に、図5を参照して、通過する車両の大きさ重量によるマンホールに伝わる振動の違いについて説明する。
この図5には、マンホール400の上の道路を通過する車両として、その重量が異なる大型の走行車両(例えばトラック)610と、小型の走行車両(例えば普通乗用車)620を示す。このように、車両の重量が異なると、マンホール400に伝わる振動にも違いが生じる。
マンホール400内には、上述の通り、センサ200とデータ解析装置530と無線タグ100とバッテリー550を接続した構成の装置が設置される。このマンホール400上の道路を車両が走行すると、マンホール400内に車両が走行する振動が伝わる。このマンホール400の振動を、センサ200が捕捉(センシング)する。
車両重量が重くて走行する速度が速いトラックなどの大型の走行車両610が走行した場合、マンホール400内の振動は大きくなり、センサ200により得られるデータも、その振幅が大きな波形となる。この場合に得られたセンサ200のデータは、図5(b)に示すグラフのようになる。
また、重量が軽くて走行速度が比較的遅い小型の走行車両620がマンホール400上の道路を走行する場合、マンホール400内の振動は大型の走行車両610が走行する際の振動に比べて小さくなる。この場合に得られるセンサ200のデータは、図5(a)に示すグラフのようになる。
本実施形態において、データ解析装置530において予め決められる閾値Tは、小型の走行車両620の走行によるマンホール400内の振動では超えることがないが、大型の走行車両610の走行による振動ではその閾値Tを超えるものであり、予め実験により求めておく。データ解析装置530は、この閾値Tを超えた出力信号をカウントして、無線タグ100に送信するカウント値Cを更新する。
次に、図6を参照して、無線タグ100の構成と、無線タグ100が受信する無線信号について説明する。図6は、無線タグ100の構成と、無線タグ100が受信する無線信号について説明するための図である。
図6(a)に示す通り、無線タグ100は、その内部構成として、インターフェース(I/F)101と、制御回路102と、無線回路103と、アンテナ104を含む。また、この無線タグ100は、電池105を搭載する構成であってもよい。
このI/F101は、データ解析装置530から送られるデータ(振動情報)、すなわち、閾値Tを超えたマンホール400内の振動をカウントしたカウント値Cを含む情報を受け取る入力ポートである。また、I/F101は、その一部として、当該無線タグ100を駆動させるために給電される電力を入力するポートも含む。
制御回路102は、I/F101から出力される振動情報、つまり閾値Tを超えた振動のカウント値Cを含む無線信号を、リーダ300に送信するように無線回路103を制御する。
無線回路103は、制御回路102の指示に従い、無線信号に、無線タグ100の識別子(ID)を対応付けてリーダ300に送信する。なお無線信号のフォーマットは、後で図6(b)を参照しながら説明する。
アンテナ104は、無線回路103で生成した無線信号を、無線タグ100から無線通信エリア内にあるリーダ300に送信する。
従って、以上説明した無線タグ100の構成により、所望のマンホール400内で閾値Tを超えた振動に関して、そのカウント値Cを含む無線信号を、無線タグ100は、リーダ300に送信することができる。
次に、この無線タグ100から送信される無線信号のフォーマットについて、図6(b)を参照して説明する。
無線タグ100から送信される無線信号のフォーマットには、プリアンブルと、ID( Identity Document:識別子)と、振動カウントと、EOF( End Of File:誤り検出符号)がある。
プリアンブルは、無線信号の初めを示し、この例でのプリアンブルは“1010101”である。
ID(識別子)は、個々の無線タグ100を特定する情報であって、予め各無線タグ100に割り当てられており、内蔵するメモリ部に記憶されている。
振動カウントは、データ解析装置530から受け取ったカウント値Cである。なお、上述の通り、閾値Tを超えた振動のカウント値Cが、1(2進数で“01”)の時の振動カウントの部分は、斜線のハッチングにより示す。また、カウント値Cが2(2進数で“10”)の時の振動カウントの部分は、横しま模様のハッチングにより示す。カウント値Cが3(2進数で“11”)の時の振動カウントの部分は、黒色に塗潰して、カウント値Cが0(2進数で“00”)の時の振動カウントの部分は、無地(無色)で示す。
以上説明したとおり、無線タグ100から送信する無線信号のフォーマットを用いることにより、地上にあるリーダ300がこの無線信号を受けることで、マンホール400内で閾値Tを超える振動の回数がどの程度あるのかを簡単に知ることができる。
次に、図7を参照して、データ解析装置530の構成と入出信号について説明する。
この図7に示すデータ解析装置530は、センサ200と無線タグ100との間に挿入接続されている。また、データ解析装置530は、バッテリー550から電力を供給されて動作する。
図7(a)には、データ解析装置530の構成を示す。
このデータ解析装置530は、アナログ入力I/F電力供給部531と、A/D変換部532と、センサデータ蓄積部533と、閾値超え有無判定部534と、カウント出力生成部535と、出力I/F536と、給電I/F537とを含む。
センサ200からの出力(センサ出力信号)は、データ解析装置530のアナログ入力I/F電力供給部531に入力する。このセンサ200からのセンサ出力信号は、検出した加速度の変化を示す値であって、アナログ信号である。これについては後述するが、その波形の一例を図7(b)に示す。この加速度の変化は、道路を車両が走行する際に車両のタイヤと路面間で生じる振動がマンホール400へ伝わったものである。
このアナログ入力I/F電力供給部531は、入力するセンサ出力信号を、A/D変換部532に出力する。加えて、アナログ入力I/F電力供給部531は、センサ200を駆動させる電力を供給する。A/D変換部532は、入力するセンサ出力信号を、デジタルデータに変換し、センサデータ蓄積部533に保存する。
センサデータ蓄積部533に保存されたセンサ出力信号は、一定期間(例えば、車両が通過する時間)、このセンサデータ蓄積部533に蓄積させる。なお、一定期間は、予め決められて、データ解析装置530に設定されている。
また、図7に示す閾値超え有無判定部534は、一定時間内において、センサ200により検出される振動の振幅が閾値Tを越える回数をカウントする。その結果は、センサ出力信号として、最終的にデータ解析装置530から無線タグ100へ送信される。
そもそも、無線タグ100は無線信号の送信を含め、間欠的な動作をしている。このため、データ解析装置530から無線タグ100へセンサ出力信号を送信するタイミングも間欠的である。この間欠の間隔によって一定時間が決められる。
上述の通り、図4のグラフ(c)には、無線タグ100から無線信号が定期的に送信されることが示されている。同じようにデータ解析装置530から無線タグ100へのセンサ出力信号の送信も一定時間ごとに繰り返し行われる。
無線タグ100からの無線信号の定期的な送信の時間間隔を、この一定時間と等しくするか、またはこの一定時間の倍数とすれば、データ解析装置530から無線タグ100へのセンサ出力信号の送信と無線タグ100からリーダ300への無線信号の送信の2つの動作が、時間的に衝突しないようにすることができ、処理の実行上、都合が良い。
閾値超え有無判定部534は、センサ出力信号に基づき、センサ出力信号の振幅が閾値T以上であるか否かを判断して、センサ出力信号の振幅が閾値T以上となった場合、閾値T以上の振幅が検出されたことを示す信号を出力する。
具体的にいうと、閾値超え有無判定部534は、設定された一定時間を経過した場合、センサデータ蓄積部533に保存されているセンサ出力信号を読み出し、このセンサ出力信号が、予め決めた閾値Tを超えるかどうかを判定する。
この判定で閾値Tを超えた場合は、閾値超え有無判定部534は、閾値Tを超えた信号が検出されたことを示す信号をカウント出力生成部535に出力する。
カウント出力生成部535は、閾値超え有無判定部534からの出力に基づき、閾値Tを超えた結果の回数をカウントして、このカウントの回数に対応するカウント値Cを生成する。つまり、カウント出力生成部535は、センサ出力信号の振幅が閾値以上となった回数をカウントするとともに、カウントされた回数が予め決められているカウント回数に到達したか否かを判断し、このカウント回数に到達した場合、カウント値Cを1つ次に進める。
例えば、カウント出力生成部535は、閾値Tを超えた結果の回数を連続してカウント回数(例えば2回)をカウントしたら、カウント値Cを1つ増やす。つまり、カウント出力生成部535は、例えば2回連続して、閾値Tを超えた結果をカウントしたら、出力するカウント値Cを変更する。
ここで、閾値Tを超えた回数を2回としたのは一例であり、好ましくは、1000回程度であることが好ましく、マンホール400の上を走行する大型の走行車両610の走行量に応じた回数がユーザによって選ばれる。
カウント出力生成部535の出力は、出力I/F536を介して、無線タグ100に出力される。
給電I/F537は、バッテリー550から電力を受け、データ解析装置530を駆動させる。この給電I/F537からこれまで説明したデータ解析装置530の全ての構成要素、つまりアナログ入力I/F電力供給部531、A/D変換部532、センサデータ蓄積部533、閾値超え有無判定部534、カウント出力生成部535、出力I/F536へ電力を供給する。なお、図7(a)では記載を省略しているが、必要ならば図3に示しているように、給電I/F537が、データ解析装置530から無線タグ100へバッテリー550の電力を給電することも可能である。
図7(b)には、データ解析装置530の入力信号(すなわち、センサ200からの出力信号)であるセンサ出力信号を示す。また、図7(c)には、データ解析装置530の出力信号(すなわち、無線タグ100への入力信号)を示す。
図7(b)に示すデータ解析装置530の入力信号は、センサ200が検出したマンホール400上の道路を走行した車両から伝わる振動のアナログ値である。
大型の走行車両610がマンホール400上の道路を通過した時、予め決められた閾値Tを超えるアナログ値を含む。一方、小型の走行車両620が道路を走行する場合、センサ200によって検出される信号は閾値Tを超えない。
図7(c)に示すデータ解析装置530の出力信号は、振動の振幅(例えば加速度)が閾値Tを2回超えるとカウント値C更新する。
また、図7(c)示す出力信号は、4値(2進数で“00” “01” “10” “11”)で示される。カウント出力生成部535は、カウント値Cが最大値“11”を超えると、カウント値を再び“00”に変更し、“01” “10” “11”の順番に更新を繰り返す。
ここで、例えば5分間隔に1回の割合で、閾値Tを超える振動あり、無線タグ100から30分間隔に、振動情報をリーダ300が受信する場合を例に説明する。
この場合、10分間隔に閾値Tを超える振動が2回発生し、この間隔で無線タグ100から更新された出力信号となる。そして、リーダ300が無線タグ100から30分毎の情報を受信するので、カウント値“00””の次は“11”、その次は“10”となる。
逆に考えると、前述した順番でリーダ300が無線タグ100の信号を30分間隔に受信すると、平均5分毎に閾値Tを超える振動があることが分かる。
この考えに従うと、リーダ300の受信が1時間毎で、かつ、このリーダ300で受信した無線信号の変化が“10”、“00”、“10”であるならば、閾値Tを超える振動が平均15分毎に発生していることがわかる。
このような仕組みを拡張して、例えば、カウント出力生成部535が、連続して閾値Tを超えたセンサ出力信号を500回カウントした場合に、カウント値Cを更新する例について説明する。
カウント出力生成部535は、連続して閾値Tを超えたセンサ出力信号を500回カウントした場合に、カウント値Cを、512値(“000000000”,“000000001”,“000000010”,・・・,“111111111”)の段階で更新する。
マンホール400内の無線タグ100からの信号が、2009年1月、2009年6月、2010年1月、・・・と、半年ごとにリーダ300に送信された場合、受信した結果が、順に“000100011”(10進値で“35”)、“001000110”(10進値で“70”)、“001100101”(10進値で“101”)、・・・であれば、半年毎にカウント値Cが約“33”増加するので閾値Tを超える振動が16500回、平均1日に90回、1時間平均3.7回、20分で1.3回の閾値Tを超えた振動となる。
これにより、マンホール400の補修計画において、例えば、多数のマンホール400内で作業員がマンホール内に入る詳細な点検保守を行う優先順位を判断するための有効な情報を、無線タグ100とリーダ300との通信負荷を軽減する方法で取得することができる。
上述の通り、マンホール400内に設置した振動を検知するセンサ200と無線タグ100の間に、データ解析装置530を設け、このデータ解析装置530が、無線タグ100に送信するデータを圧縮(加速度のデータに対し予め設けた閾値を超えた回数に応じたカウントに変換)することにより無線タグ100の処理負荷を軽減させる点に特徴がある。
これにより、マンホール400内に設置したセンサ200のデータから必要最小限の情報のみ扱うものとし無線タグ100の消費電力を抑えることができる。
これは、振動測定対象が、地下に埋設されている場合等に特に有益である。実施形態のように、マンホール400内に設置したセンサ200で捉えた情報を無線タグ100からIDと合せ地上のリーダ300に送信することで、マンホール400へわざわざ立入り点検調査作業を行わなくても、マンホール自体や内部の通信設備の現況調査をより効果的に実施でき、短い期間で多数のマンホール内部状況を把握できる。
また、このデータ解析装置530は、既存のデータロガーの機能のうち、必要な機能だけを備えた装置であって、例えば不必要に想定できない数まで増設される事態に備えて複数のセンサ200を接続可能にするための入力チャネル数を余分に確保して置く機能や、センサ200により取得されるデータをそのまま記録して保存する大容量のメモリなど、余計な機能を削減することで、消費電力の低減に貢献することができる。
例えば、データ解析装置530で不必要な機能として、最初の時点で後にセンサ数を幾つまで増設するか、あるいは、別の種類のセンサを接続するのかが判らない事態に備え、予め複数のセンサ200や異なる種類のセンサを接続可能にするための入力チャネル数を余分に確保して置く機能がある。他にも、センサ200により取得するデータをそのまま後に確認できるように記録して保存する大容量のメモリ、あるいは取得データに応じて簡単な解析を変更し実現できるある程度の処理機能などがある。これらの機能が既存のデータロガーに備わる機能であるが、本実施形態に係るデータ解析装置530には、このような余計な機能は不要であり、これらの余計な機能を削減することにより、データ解析装置530では消費電力の低減に貢献することができる。
なお、本実施形態のように、マンホール内で監視対象にセンサを設置し、無線タグを介してそのセンサで取得した情報を電波で地上のリーダへ送信するには以下に挙げるように幾つかの問題がある。
センサによる取得されたデータをそのまま無線タグで送信すると常に電波を送信し続けなければならず、駆動電力が常に消費される。
また、無線タグの情報を受信するリーダが、常に無線タグからの電波の受信範囲に存在すると保障されないため、センサの取得情報を全てリーダへ伝えられない。
加速度や歪みなどセンサの種類によって収集される情報量は、無線タグから電波で送信することができる僅かな情報と比較すると圧倒的に大きく、その無線タグでは処理できすに扱うことはできない。
そこで、本実施形態では、常時センサで取得される情報に対して、そのセンサで取得する情報の具体的な値に対して重要な意味がある閾値を儲け、この閾値Tを越えた回数をカウントし、そのカウント(回数)を無線タグから送信する情報として扱う。なお、この重要な意味のある閾値とは、実験的にユーザが求める値であって、マンホールが設置されている道路の交通量や環境等に応じて決められる。
リーダは無線タグから送信されたそのカウント(回数)に応じて適切な対処を行うようにする。そのセンサ取得データが閾値を超えたかどうかの判定及び閾値を超えた回数をカウントするためのデータロガーまたはデータ集約装置をセンサと無線タグ間に設ける。
これにより、マンホール内の状態を無線により簡便に地上から把握でき、マンホール内に設置される機器が消費する電力を抑えて長期間に渡り駆動させることができる。またそのマンホール内の状態を把握するためにマンホール内に設置された設備についても、マンホールへ出入りする作業員の邪魔にならない。さらに、電気・水道・通信などの社会インフラを設置するために必要となるマンホール内部の状態を無線により地上から容易に把握することができる。
次に、図8を参照して、マンホール内における無線タグ(例えば、RFID)の設置位置と通過損失について説明する。図8(a)は、マンホールの構造とタグの設置位置について説明するための図である。図8(b)は、マンホール通過損失と許容損失量について説明するための図である。
マンホール400内の通信設備を監視するためRFID( Radio Frequency IDentification:無線タグ)を使用することは、マンホール400に入らずに地上で情報取得が可能となり監視に必要な時間を短縮できるため、有効である。
監視対象となるマンホール400内の監視対象となる設備にセンサを設置して、RFIDを介して地上へ情報を伝える。
図8には、例えば、上述の非特許文献1に記載されているマンホール内でのRFIDの設置位置と通過損失を示す。この図8(a)には、マンホールの構造とタグの設置位置を示し、図8(b)には、マンホール通過損失と許容損失量を示す。
図8(a)に示すマンホール内の位置(1)〜(4)にRFID(例えば、無線タグ100)を設置して、このRFIDから送信される電波を地上のリーダ300が受信する。リーダ300は、同図において、黒色太線の矢印で示される範囲L1内において、受信する位置を変えて無線タグからの無線信号を受信する。
この受信信号に基づくデータを表わしたグラフが図8(b)である。横軸はRFID(無線タグ100)とリーダ300までの距離を対数変換した値であり、縦軸は電波を受信したレベルの低下すなわち損失量である。
この図8(b)に示しているグラフから分かるように、距離の対数に比例して損失量が増えており、この例として用いたRFID(無線タグ100)およびリーダ300の許容損失量では、グラフ横軸でlog(d)=0.464、距離(d=)2.91mが得られている。
なお、非特許文献1では、マンホールの金属製の蓋からの影響があることも述べられている。従ってマンホール400内に無線タグ100を用いて情報を得る際には、その無線タグ100が設置される位置が重要であることが分かる。
次に、マンホール400内の監視対象に設置されるセンサ200によって検出される情報に関して必要となる装置の一例について説明する。
図9は、センサ200が取得するデータを扱うデータロガーの一例を示す。詳細について、非特許文献2を参照する。
非特許文献2:(NI Developer Zone データロガーとは? National Instruments<http://zone.ni.com/devzone/cda/tut/p/id/5876>)
この図9(a)には、データロガーの使用方法を概略的に示す。また、図9(b)には、データロギングアプリケーションの構成要素の一例を示す。
図9(a)に示しているデータロガーの使用方法では、左から順にセンサを設置した対象物から中央にある各種のデータロガーを介して、右側にある情報の表示がなされている。センサから表示まででそれぞれの情報としては、センサからはその種類により電圧や電流などのアナログ/デジタル信号があり、データロガー510においてはそれらの電気的な信号をバイナリデータへ変換されデジタル化される。
データロガー510は、このデジタル化されたデータをそのまま、あるいは解析処理をした後で、表示、あるいは記録する。
図9(b)に示されるデータロギングアプリケーションは、データロガー510が備えるアプリケーションであって、その構成要素としては、データ処理の順に、集録部511、オンライン解析部512、記録部513、オフライン解析部514、表示/共有/レポート生成部515がある。
集録部511は、センサ200から出力される電気信号であるセンサ出力信号をデジタル化する変換処理を行う。オンライン解析部512は、分かりやすい単位系へと単純な変換処理を実行したり、予め決められた条件に合致した場合に収集を止めるなどの制御を行う処理を実行する。記録部513は、解析したデータを保存するとともに、保存しやすいデータへの変換も行う。オフライン解析部514は、保存されたデータを用いて解析することで、データ変化の傾向や履歴の解析で得られるデータ整理を行う。表示/共有/レポート生成部515は、オンライン解析部512によって解析された情報をそのまま表示する。オンライン解析部512により処理したデータ整理の結果を表示する。この表示/共有/レポート生成部515は、オンライン解析部512の解析結果とオンライン解析部512の処理結果を同時に表示することもでき、これにより、監視者が簡単に両方を監視することができる。
なお、システム構成の選択として取りうるいくつかの形態を図2、図10、図13にそれぞれ一例ずつ挙げて示した。センサ200が検出した情報であってセンサ200から送られてくるデータ(センサ出力信号)の集約および解析の機能を、どの装置に対処させて実装するかにより、以下の3つの実施形態が利用可能である。
(1) 既存のデータロガーに代わり、機能を限定したデータ集約分析装置を接続する方法
(2) 既存のデータロガーを使用する方法
(3) センサと無線タグを直接接続して、無線タグでデータを集約する方法
なお、(1)は、上述の第1実施形態(図1参照)に対応するものであり、(2)(3)は、それぞれ、後述の第2実施形態(図10参照)、第3実施形態(図13参照)に対応するものである。
[第2実施形態]
次に、図10を参照して、本願発明に係る第2実施形態の一例について説明する。図10は、センサ200からPC330までのデータ転送について説明するための図である。
本実施形態は、図10に示す通り、無線タグ100とセンサ200との間に、先の図2に示したデータ解析装置530に換えて、既存のデータロガー510とデータ解析装置520を使用するものである。なお、他の構成は、第1実施形態と同様であり、同一の符号を付すことで詳細な説明は省略する。
ここでは、例えば、2つのセンサ200がデータロガー510を介して無線タグ100に接続されている。無線タグ100は、センサ200から入力するセンサ出力信号を受信して、リーダ300に対して電波で送信する。
本実施形態において、センサ200とデータロガー510については、既存技術を流用するため、センサ200とデータロガー510間の機能接続について十分な確認できている点で有益である。
また、このセンサ200とデータロガー510の部分について、既に様々な用途に用いられているため構成の大部分に当たる機器調達コストを抑えられると予想される点も有益である。
なお、既存のデータロガー510は、センサ200からのデータをストアする機能は十分持ち合わせているものの、制御する装置(通常はPC)が取り付けられていないデータロガー510だけで、マンホール400内の状況を的確に伝える情報へ変換するためのデータを分析する機能が足らない。また、無線タグ100へ送信するデータは、センサ200から伝えられる膨大な容量のデータとなる。
よって、データロガー510は、消費電力が十数W程度あり、マンホール400内の電源確保が困難な環境においては、バッテリーのみで数年駆動させることが困難であるため、データ解析装置520とともに構成することによって、このような課題を改善することができる。
次に、図11を用いて、本実施形態にかかるセンシングシステムにおいてデータの流れの一例を説明する。この図11では、既存のデータロガーを活用した構成を示す。
本実施形態にかかるセンシングシステムは、「センサ関連とその処理部」として、マンホール400内の状況を取得するセンサ200と、センサ200から取得データを送られ1次処理するデータロガー510と、データロガー510から1次処理されたデータが伝えられそのデータをさらに解析して十分な処理をするデータ解析装置520と、バッテリー550とを含む。このデータ解析装置520に無線タグ100が接続されている。
これらセンサ200、データロガー510、データ解析装置520、およびバッテリー550が、マンホール400内に設置されている。
無線タグ100は、データ解析装置520が処理した結果(振動情報)を受信し、電波に乗せて、この振動情報をリーダ300に送信する。この振動情報を含む無線信号を、リーダ300が受信する。リーダ300で受信した振動情報は、表示およびマンホール400内の状況履歴の比較などを行うPC330に出力される。これら無線タグ100、リーダ300、およびPC330は、「無線での送受信関連部」になっている。
さらに、マンホール400内に設置されるバッテリー550が、データロガー510、データ解析装置520、および、無線タグ100に駆動電力を供給する。
この図11に示すセンサ−無線タグ接続において、各構成部分が扱うデータのやり取りに関係する特徴としては、既存のデータロガー510を使用するため、無線タグ100との接続にはデータ解析装置520が間に挿入されている点にある。
このデータ解析装置520において、無線タグ100に送るために十分なセンサデータの解析処理が行われる。この結果、データ解析装置520から無線タグ100へデータを送るインターフェースは、無線タグ100で扱いやすいものとできる。
また逆に、データロガー510からデータ解析装置520にデータを送るインターフェースについても既存のデータロガー510に合せることができる。無線タグ100が送信する無線信号は、データ解析装置520からのデータを無線タグ100のフレームに載せてリーダ300に送信する仕組みを搭載する必要がある。
そして、図11に示すセンサ−無線タグ接続において、給電の仕方としては2つある。1つの方法は、バッテリー550からデータ解析装置520に給電して、データ解析装置520からデータロガー510と無線タグ100への給電する方法である。
一方、データ解析装置520からの給電が難しい場合は、別の方法として、バッテリー550から無線タグ100やデータロガー510へそれぞれ直接給電する方法も利用可能である。また、これら2つの給電ともに給電され駆動しているデータロガー510からセンサ200へ給電する。
次に、図12を参照して、データ解析装置の構成と入出信号を示す.
この図12に示すデータ解析装置520は、データロガー510と無線タグと間に挿入接続されている。また、データ解析装置520は、バッテリー550からの電力の供給を受けて動作しており、データロガー510を経由してセンサ200からの信号を受けて、無線タグ100へ信号を出力する。
図12(a)には、データ解析装置520の構成を示す。
このデータ解析装置520は、デジタル入力I/F521と、センサデータ蓄積部522と、閾値超え有無判定部523と、カウント出力生成部524と、出力I/F525と、給電I/F526とを含む。
データロガー510の出力は、データ解析装置520のデジタル入力I/F521に入力する。このデータロガー510の出力は、センサ200で検出された加速度の変化の値であって、データロガー510によりアナログからデジタルに変換された信号である。このデータロガー510に入力するアナログのセンサ出力信号と、データロガー510によってデジタル化された信号とを、図12(b)に示す。
加速度の変化は、マンホール400上の道路を走行する車両が通過する際に発生する車両のタイヤと路面間の振動がマンホール400へ伝わったものである。この入力した信号が、デジタル入力I/F521からセンサデータ蓄積部522へ渡され、一時的に保存される。
センサデータ蓄積部522は、デジタル入力I/F521から入力された信号(センサデータ蓄積部522が受けたデータ)を、所定期間(例えば車両が通過する時間)だけ、保存する。
このセンサデータ蓄積部522に保存されているデータは、閾値T超え有無判定部523によって、例えば上記所定時間が経過した場合、センサデータ蓄積部522から読み出される。そして、閾値超え有無判定部523は、読み出されたデータの値が、予め決められた閾値Tの値を超えているかを判定する。
この判定において閾値Tを超えた場合、閾値超え有無判定部523は、カウント出力生成部524へ閾値Tを超えた回数を通知する。このカウント出力生成部524では、閾値Tを超えた結果を受けその閾値Tを超えた回数をカウントして、このカウントの回数に対応した出力を生成する。
例えば、閾値Tを超えた結果が2回発生していたら、初めてこのカウント出力生成部524の出力を変更する。この例の2回という閾値Tを超えた回数は、一例であって、実際は、200回、あるいは1000回程度であって、実際にマンホール400の上を走行する大型の走行車両610が通過する回数に対応した回数が選ばれる。カウント出力生成部524の出力は、出力I/F525からデータ解析装置520より出力される。このデータ解析装置520の出力I/F525からの出力が無線タグ100に伝えられる。
給電I/F526は、バッテリー550から電力を受け、データ解析装置520を駆動させる。この給電I/F526からこれまで説明したデータ解析装置520の全ての構成要素、つまりデジタル入力I/F521、センサデータ蓄積部522、閾値超え有無判定部523、カウント出力生成部524、出力I/F525へ電力を供給する。なお、図12(a)では記載を省略しているが、必要ならば図11に示しているように、給電I/F526が、データ解析装置520から無線タグ100およびデータロガー510へバッテリー550の電力を給電することも可能である。
図12(b)には、データ解析装置520の入力信号(つまり、データロガー510からの出力信号)を示す。図12(c)には、データ解析装置520の出力信号(つまり、無線タグ100への入力信号)を示す。
図12(b)に示すデータ解析装置520の入力信号は、センサ200で捉えられたマンホール400の上の道路を走行する車両によるマンホール内の振動がデータロガー510よってデジタル値に変換された信号である。
ここでは、プラス方向のみ4値(“0”、“1”、“2”、“3”)でデジタル化したものを示している。大型の走行車両610がマンホール400の上の道路を通過した時には、このデジタル値で“3”となり、予め決められた閾値Tを超える。
一方で、小型の走行車両620が道路を往来する場合は、その値は“2”で閾値Tは超えていない。
図12(c)に示すデータ解析装置520の出力信号は、加速度の閾値T“3”を超えた回数が2回となると、カウント出力生成部524によりカウント値Cが更新される。
また、図12(c)に示す出力信号は、4値(“00”、“01”、“10”、“11”)であり、最大値“11”を超えたら、カウント出力生成部524は、カウント値Cを“00”から再び繰り返す。
これにより、例えば5分間隔で閾値Tを超える振動が1回あり、30分間隔で無線タグ100からの情報をリーダ300が受信する場合を想定すると、閾値Tを超える振動が2回発生するのは10分間となり、この間隔で無線タグ100からの出力信号が更新される。
そして、30分間隔で、リーダ300が無線タグ100からの情報を受信すると、“00”の次は“11”その次は“10”となる。逆にこの順番でリーダ300が無線タグ100の信号を30分間隔で受信していると、平均5分間隔で閾値Tを超える振動があることが分かる。
この考えによれば、1時間毎にリーダ300が受信して、そのリーダ300で受信した無線信号の変化が“10”、次が“00”、その次が“10”なら、平均15分毎に閾値Tを超える振動があると分かる。
このような仕組みを拡張して考えると、例えば、データ解析装置520が、閾値Tを超える回数が1000回でカウント値Cを更新し、カウント値Cが,256値(“00000000”、“00000001”、“00000010”、・・・、“11111111”)とする。マンホール400内の無線タグ100からの信号について、2009年3月、2009年9月、2010年3月、・・・でのリーダ300による受信した結果が順に“00100010”(10進値に直すと“34”)、“01000011”(10進値に直すと“67”)、“01100010”(10進値に直すと“98”)、・・・となる。
つまり、凡そ半年毎にカウント値Cが約“32”増えているので、閾値Tを超える振動が32000回、平均すると1日に175回の閾値Tを超える振動、さらに短い1時間平均では7.3回、端的には5分に1.2回の閾値Tを超えた振動があると分かる。このような情報を得ることで、マンホール400の補修の計画すなわち多数あるマンホール400からどれから優先して保守や作業員がマンホール内に入る詳細な点検を行えばよいのかという貴重な指針とすることができる。
[第3実施形態]
次に、図13を参照して、本願発明に係る第3実施形態の一例について説明する。図13は、センサ200からPC330までのデータ転送について説明するための図である。
本実施形態は、無線タグ120とセンサ200を直接接続し、無線タグ120がデータを集約する形態である。
この無線タグ120は、先の図2、図3、図7に示したデータ解析装置530の機能を内蔵する構成である。例えば、この無線タグ120は、既存のデータロガーに備わる機能のうち、必要な機能だけを実装する。例えば、設置後にセンサ200を増設して接続を可能にするための入力チャネル数を余分に確保する機能、センサ200により取得するデータをそのまま記録し保存する大容量のメモリなどが余計な機能である。この無線タグ120は、これら余計な機能を無線タグ120に搭載しないことで、消費する電力増加を抑制させることができる。
これにより、数年間に渡り自身の識別のための無線信号のみを間欠送信するアクティブタグのような無線タグに比べて、無線タグ120の処理負荷や消費電力が、確実に増加する。しかしながら、先の図2、図10に示した無線タグ100とデータ解析装置530(またはデータ解析装置520)を合わせた処理負荷と消費電力と比較すれば、結果的に無線タグ120の処理負荷や消費電力を減少させることができる。
また、上記構成により、無線タグ120に接続可能なセンサ200数は、1,2個程度に限られることになる。この結果、入力チャネル数が制限されるため、センサ数を増加する必要がある時の対応が困難となる。このため、このマンホール400内の状況を把握するという目的のためには非常に柔軟性が乏しい。
なお、図10に示すデータロガー510とデータ解析装置520が果たす機能を、図13では無線タグ120が担うことになり、センサ200で取得する過程の対応および取得データの簡単な判定や一時的な記録についても無線タグ120に搭載されるI/Oやマイコン、メモリがそれらの処理を行う。
また、本実施形態において、振動測定対象は、地下に設置されたマンホールを例に説明したが、本発明はこれに限られず、地下に埋設されている他の対象であってもよい。
一方、本発明によらない場合、例えば、上述の非特許文献1は、マンホール内の通信設備を監視するためRFID(無線タグ)とセンサを用いるシステムにおいて、そのRFIDを設置する位置の違いに関連して地上のリーダによりそのRFIDからの電波を受信できる範囲が限られるため非常に重要であることを示している。
これに対して本願は、マンホール内の状況を捉えるセンサからマンホール内外間を電波により通信する無線タグまでを有線ケーブルで接続して、さらにセンサから無線タグまでの間に情報を解析処理するデータロガーないしデータ解析装置を介在させる。これらデータロガーやデータ解析装置の装置によりセンサで捉えた情報を無線タグで送信できる容量に圧縮し、マンホール内の情報をマンホール内に設置した無線タグから送信した無線を地上で受信して把握することができる。
また、非特許文献2(NI Developer Zone データロガーとは? National Instruments<http://zone.ni.com/devzone/cda/tut/p/id/5876>)には、センサにより取得された情報に対してデータロガーがどのように関係して、その情報をどのように扱うかが記載されている。また、センサからの取得情報は、そのままでは電圧や抵抗値などアナログ信号であるため、(先に図9を参照して説明したように)データロガーでは、デジタル信号に変換された情報を表示したり記録したりする。
これに対して本願は、マンホール内に設置されたセンサで捉えた情報をデータロガーないしデータ解析装置により、長期間駆動を実現するとともに、信号の処理能力が極めて少ない無線タグに送信する情報の情報量を縮小することができる。
[第4実施形態]
マンホールの構造に影響を与える振動は、マンホール上の道路(地上)を走行する大型車両のタイヤと地面との間で発生してマンホールへ伝わる。マンホール内に設置するセンサ(歪みゲージや加速度センサなど)でそのように地上で発生した伝わる振動がどのように捉えられるかを検討する。この検討においては、静的状態の一例である実験環境Aと動的状態の一例である実験環境Bの2つの環境に大別できる。
この静的状態の一例である実験環境Aは、例えば、マンホール上の道路に大型車両が停止している状況であり、主にこの第4実施形態として説明する。
一方、動的状態の一例である実験環境Bは、例えば、マンホール上の道路を走行する大型車両が通過する状況であり、この第4実施形態の後に第5実施形態として挙げて説明する。
まず、2つの環境(静的な実験環境Aと動的な実験環境B)に共通したことを述べる。
図14は、歪みセンサによる設定する閾値を説明するための図である。図14(a)には、荷重[tf]と歪み値[με]との対応関係を表わす関係表を示す。また、図14(b)には、マンホール鉄蓋の荷重−歪み特性を示すグラフを示す。この図14(b)に示すグラフは、横軸に歪み値[με]、縦軸に荷重[tf]をとる。
まず、図14(a)は、マンホールの蓋に荷重を加えた際に、マンホールの出入り口に設置した歪みゲージで測定した歪み値を関係表にした例である。つまり、マンホールの蓋に加えた荷重[tf]に応じて、歪みゲージによって計測される歪み値[με]を対応付けたデータである。
この荷重[tf]と歪み値[με]の関係表から、閾値として、荷重3.5[tf]において歪み値−60.0[με]を想定して、この値を超えた場合に無線タグへカウンタ値の変更をするようにできる。
この図14(a)に示す閾値を設定する根拠になる測定実験として、図14(b)のグラフを求めている。この図14(b)のグラフでは、実際のマンホールの蓋に荷重を加え、この荷重を変化させてそれぞれの荷重におけるマンホール蓋での歪みを歪みゲージにて捉えた測定結果をグラフ中の複数の“●(黒丸印)”でプロットした。
これらの実験の測定結果に最も近いと考えられる1次近似直線を求め、その近似直線上で大型に区分される車両610の1ヵ所の車輪がマンホール蓋に加える荷重を閾値として想定した。その閾値の例が、上述している荷重3.5[tf]である。なお、ここでの閾値の例として挙げた荷重3.5[tf]は、歪み値−60.0[με]を想定したものを説明のために仮に設定したものである。実際にはマンホールの耐荷重試験の測定データ、あるいは既存のマンホールの天井や側壁の倒壊や損傷の実態調査などに基づいて具体的な歪み値に対する荷重の値を用いて、設定する閾値を決定する。
次に、静的な実験環境Aに関することについて、図15を参照して説明する。
図15は、実験環境Aにおけるマンホールと停止車両との関係を説明するための図である。この図15では、停止している大型車両610の荷重での応力実験と、マンホール400内での複数のセンサ240(241,・・・,248)を設置した場所を示す。また、同じ図15の紙面右上側には、真上から見た大型車両610とマンホール蓋の位置関係を示す。
この図15に示す実験環境Aは、マンホール400内に設置するセンサ200(この図15では実線白色箱型で示す)として、複数の歪みゲージを用いる実験環境であって、8つの歪みゲージ241〜248を用いる。
なお、本実施形態では、後述する図17に示す加速度センサ260(この図15では破線白色箱型で示す)は使用しない。
そしてマンホール400内に歪みゲージ240を設置する位置は、以下の通り予め決められている。本実施形態の通り、8つの歪みゲージ240を設置する場合、予め決められているセンサ位置“1”〜“8”に設置される。なお、このセンサ位置“1”〜“8”は、マンホール400内における側面の領域を規定するものである。このマンホール400は、地下に広がる地下空間と、この地下空間と地面とを連結する首部空間とを含む。
センサ位置“1”は、マンホール400の出入り口で、地上に最も近い位置である。言い換えると、首部空間において地上と隣接するマンホールの側面領域である。
センサ位置“2”は、マンホール400の出入り口の首部空間内で最上面(地上に近い方の面)と最低面(地底に近い方の面)までの深さにおいて、その中央の深さに対応する位置のマンホールの側面領域である。
センサ位置“3”は、マンホール400の出入り口の首部空間において、最も下の位置、つまり、首部に相当する空間内で地底に近い方の最低面の深さに対応する位置である。言い換えると、センサ位置“3”は、首部空間において地下空間と隣接するマンホールの側面領域である。
なお、センサ位置“1”〜“3”は、首部空間を深さ方向に均等に3分割し、地面に近い方から、それぞれセンサ位置“1”〜“3”に対応する領域が割り当てられても良い。
センサ位置“4”は、マンホール400の出入り口の首部空間に近い、マンホール400の地下空間の天井面において首部空間の位置よりも地上を走行する車両の進行方向側の領域であって、首部空間の中心を含み地上を走行する車両の進行方向と平行な直線を含む領域である。
また、センサ位置“5”は、マンホール400の出入り口の首部空間の最低面と、マンホール400の地下空間において車両進行方向となるマンホール400の側壁との中間位置に当たる地下空間の天井の位置である。言い換えると、地下空間の天井面において首部空間の位置よりも地上を走行する車両の進行方向側の領域であって、車両進行方向と直交するマンホール側壁と首部空間とを結ぶ直線の中間点を含む領域である。
センサ位置“6”は、マンホール400の地下空間において、車両進行方向と平行なマンホール側壁中央の位置を含む領域である。
センサ位置“7”は、マンホール400の地下空間において、車両進行方向と直交するマンホール側壁のうち、車両進行方向側の側壁内の中央の位置を含む領域である。
センサ位置“8”は、マンホール400の地下空間において、車両進行方向と平行なマンホール側壁と床面との隣接する領域である。
以上、センサ位置“1”〜“8”のそれぞれに歪みゲージ(3軸)241〜248が取り付けられている。
ここで、この実施形態では、3軸の歪みゲージ240を用いて、歪み値を3軸空間内の値として説明する。しかし、本発明はこれに限られず、マンホール400に影響を与える振動を捉えることができれば、必ずしも軸によらず2軸の歪みゲージでもよく、1軸の歪みゲージでもよい。
ここでは、歪みゲージ240の3軸に関わる方向について簡単に説明しておく。
図15中で、マンホール400の右側に3つの矢印で示すように、まず1つ目の軸としては深さ方向に一致する向きが鉛直方向であり、2つ目の軸については、車両610が進む向きと同じ進行方向、最後の3つ目の軸がこれまでの鉛直方向と進行方向とに直行する水平方向がある。
また、実験環境Aでは、大型車両610の片方の前輪(タイヤ)がマンホール蓋の上となる位置で停止させ(図15に示したマンホール蓋と大型車両610の前輪の位置が重要)、マンホール蓋に大型車両610の荷重が直接加わるようにしている。図15の右上側には同じ実験環境Aを真上から見た状況を示す。
この図15の右上側に示す真上から見た実験環境Aの状況では、停止している大型車両610の前輪(タイヤ)がマンホール蓋の中央に位置しており、マンホール400と大型車両610の位置関係がより明確に示されている。
以上、説明した、この静的な応力をマンホール400の上から加える実験環境Aを用いて以降に述べる図16に示す結果を測定した。
図16には、実験環境Aにおける「静的な歪み」の測定結果を示す。
この図16(a)は、測定した回数に応じた、歪みと荷重の変化を表わす関係表を示す。また、図16(b)には、マンホール400内の各ヵ所(例えば、センサ位置“1”〜“8“)における歪み値を示す。本実施形態では、歪みゲージ241〜248から取得される歪み値を示す。
これら図16(a)と図16(b)に示したものは、先の図15の実験環境Aにおける大型車両610をマンホール400上で停止させた場合の「静的な応力」の測定結果である。
図16(a)に示す歪みは、図15で説明した実験環境Aにおいて大型車両610の前輪(タイヤ)をマンホール蓋の上で止めた際に、マンホール蓋(例えば、センサ位置“1”)に設置した歪みゲージ241により測定された結果である。この図16(a)に示す表のうち、荷重を求めるには、先の図14(b)に示すグラフを基に(つまり、このグラフに示される線形関係に基づき)、変換した値(つまり、歪み値に対応する荷重)を使用している。
ここでの回数は、マンホール蓋に大型車両610の前輪(タイヤ)を止めた順に、1回目の歪みゲージ240による計測、2回目の歪みゲージ240による計測、3回目の歪みゲージ240による計測を示している。
図16(a)に示すとおり、計測回数が増えると、歪み値が増加している。また、1回目から2回目の増加分(16.99−(−32.22)=49.21[ε×10^−6])よりも2回目から3回目の増加分((−32.22)−(−40.77)=8.55[ε×10^−6])は少なく、歪み値が一定に近づいていることを示している。
従って、図15に示す実験環境Aのように大型車両610の車輪(タイヤ)からマンホール400の構造に影響があるものとしては、3回目の値(歪み値:−40.77[ε×10^-6]、荷重:2.0[tf])がマンホール400の蓋に加わると見なせる。
なお、1回目の歪み値が最も小さく、その後に2回目から3回目と順に歪み値が安定していく理由としては、実験環境Aを準備するためマンホール蓋を開け閉め後から車両610の荷重によりマンホール蓋がきっちり閉じることがある。
この蓋がきっちり閉じる途中の段階で車両610の荷重がマンホール400に加わったとしても、マンホール蓋がきっちり閉じきれていないために応力が緩和される。その結果として、歪み値が少なく測定されと考えられる。
従って、数回の測定実験での測定結果から歪み値の閾値を決める場合には、測定で安定した値が得られるところ(後の数回で測定される歪みの値)を閾値として選ぶことが重要である。
上述の通り、図16(b)に示すマンホール400内の各ヵ所における歪み値は、先の図15を参照して述べた位置であるセンサ位置“1”〜“8”に設置されている歪みゲージ241〜248により計測される歪み値である。これらのセンサ位置“1”〜“8”の中で、最も歪み値が大きなセンサ位置は“4”である。これはマンホール400の出入り口の“首部”に近いマンホール天井の中央の位置である。その次に歪み値が大きいマンホール400内のセンサ位置は“5”あるいは“3”である。これらは、それぞれ、マンホール400の出入り口の“首部”と車両進行方向となるマンホール側壁の中間に当たる天井の位置、あるいはマンホール出入り口の“首部”での最も下の位置である。
これらの位置(センサ位置“4”、“5”あるいは“3”)に歪みゲージ243〜245を設置することで、大型車両610が地上を走行することにより発生するマンホール400内の歪み値を的確に捕捉することができると考えられる。なお、各センサ位置“1”〜“8”における歪み値の測定は、3回実施している。
図16(b)では、1回目の測定結果を菱印(“◇”)、2回目を丸印(“○”)、3回目を三角印(“△”)で表示している。
ここで図16(b)のセンサ位置“1”〜“5”における歪みゲージ241〜255による歪み値も、図16(a)と同じく、1回目の値が2回目と3回目に比べて大きい。この理由としても、実験環境Aを構築した際のマンホール蓋の開閉により最初の値から次第に安定した値へと変化しているためと考えられる。
例えば、センサ位置“4”の位置に設置した歪みゲージ244を用いた測定により得られるそれぞれの値は、1回目(菱印“◇”)が8.7[με]、2回目(丸印“○”)が8.2[με]、3回目(三角印“△”)が7.4[με]である。
また、センサ位置“3”の位置に設置した歪みゲージ243により得られる値は、1回目(菱印“◇”)が6.0[με]、2回目(丸印“○”)が4.2[με]、3回目(三角印“△”)が4.0[με]である。これらセンサ位置“4”と“5”においても、歪み値の測定回数による大小関係は、〔1回目〕>〔2回目〕かつ〔1回目〕>〔3回目〕となっている。
因みに、センサ位置“4”、“5”、“3”以外の位置に設置された歪みゲージ241、242、246〜248により2回目以降の測定で得られる値は何れも全て2.0[με]以下である。
従って、この図16(b)でのセンサ位置“1”〜“5”における3回目の測定値が最も安定したものと考えられる。従って、歪みゲージ240をセンサに選択する場合は、この歪みゲージ240を設置する位置が、センサ位置“4”、“5”、“3”、あるいはこれらのセンサ位置番号の組み合わせた複数の位置を採用することが好ましい。
また、図16(a)で説明したように複数回の測定実験で安定した値(後の回数の測定で得た値)を閾値に設定する。このセンサの設置位置と設定する閾値により、静的な応力が加わるマンホール400に対して、歪みゲージ240を用いて効果的なマンホール400内の情報を得ることができる。
言い換えると、閾値Tは、複数のセンサ200を振動測定対象であるマンホール400に対して設置した状態において、マンホール400に対して応力が与えられている状態で、センサ200が検出するセンサ出力信号の変動が一定の範囲に収束したときのセンサ出力に基づき予め決定される。
[第5実施形態]
先に述べた第4実施形態では、主に静的な実験環境A(マンホール上の道路に大型車両610が停止している状況)でのマンホール400の構造に影響を与える振動を捉えるための検討をした。第5実施形態では、動的な実験環境B(マンホール上の道路を走行する大型車両610が通過する状況)について検討を説明する。
図17には、実験環境B(マンホールと走行車両)を示す。この図17では、車両610が走行する実験環境Bおよびマンホール400内でのセンサ設置場所を示す。なお、センサの設置場所は、先の図15と同様であり、センサ位置“1”〜“8”である。
また、図15と同様に、図17の右上側には、真上から見た大型車両610とマンホール蓋の位置関係を示す。
まず、この図17に示す実験環境Bでのマンホール400内に設置するセンサ200は、加速度センサ260(この図17では実線白色箱型、先の図15では用いなかったため破線白色箱型)と歪みゲージ240(図17では実線ハッチ箱型)の2種類である。本実施形態において、加速度センサ260は、センサ位置“1”〜“8”にそれぞれ設置される複数の加速センサ261〜268を含む。また、歪みゲージ240は、センサ位置“1”〜“8”にそれぞれ設置される複数の歪みゲージ241〜248を含む。
そしてマンホール400内に、これら2種類のセンサ200を設置するセンサ位置は、図15と同様で、符号を付ける順に、センサ位置“1”〜“8”である。つまり、センサ位置“1”は、マンホール出入り口で地上に最も近い位置、センサ位置“2”はマンホール出入り口の”首部”の中央、センサ位置“3”は“首部”で最下の位置である。
また、センサ位置“4”は、“首部”に近いマンホール天井の中央、センサ位置“5”は、“首部”と車両進行方向となるマンホール側壁の中間に当たる天井の位置、センサ位置“6”は、車両進行方向と並行するマンホール側壁の中央である。
さらに、センサ位置“7”は、車両進行方向に当たるマンホール側壁の中央、そしてセンサ位置“8”は、車両進行方向と平行するマンホール側壁に接する床面の位置である。
以上のそれぞれセンサ位置“1”〜“8”に加速度センサ261〜268と歪みゲージ241〜248とともに(鉛直方向、水平方向、車両610の進行方向)3軸タイプが取り付けられている。
ここで、加速度センサ261〜268を設置する向き(姿勢)と歪みゲージ241〜248の3軸に関わる方向について簡単に説明しておく。
図15と同様に、図17中でマンホール400の右側に3つの矢印で示す通り、まず1つ目は深さ方向に一致する向きが鉛直方向であり、2つ目は車両610が進む向きと同じ進行方向、最後の3つ目がこれまでの鉛直方向と進行方向とに直行する水平方向がある。
さらに他方で、大型車両610が走行するマンホール蓋の手前にジャンプ台を設置して、走行する大型車両610の片方のタイヤ(図17では大型車両610の前輪)が、一旦地面より上がり下がる際に、マンホール400の蓋に衝撃が加わるようにしている。
図17の右上側には、同じ実験環境Bを真上から見た状況を示す。
この図17の右上側に示す真上から見た実験環境Bの状況では、走行する大型車両610の前輪(タイヤ)がマンホール蓋の中央を通るようにしてある。マンホール蓋の手前にジャンプ台が設置されている位置関係が明確に分かる。
以上、説明した通り、この「動的な応力」をマンホール400の上から加えるこの実験環境Bを用いて、以降に述べる図18に示す結果を測定した。
図18には、動的な実験結果(加速度と最大主応力)を示す。
この図18(a)では、マンホール400内の各ヵ所(例えば、センサ位置“1”〜“8”)における加速度センサ261〜268のよる3回目の検出結果を示す。また、図18(b)では、マンホール400内の各ヵ所(例えば、センサ位置“1”〜“8”)における最大主応力を示す。
ここで、この最大主応力とは、歪みゲージ241〜248(3軸)により測定した歪み値から最大の方向の歪み値を計算で求めて、この最大の歪み値を先に測定した図14に示すグラフの関係から応力に換算したものである。
これらの図18(a)と図18(b)に示した測定結果は、先の図17の実験環境Bにある大型車両610を走行させてマンホール蓋の直前に置いたジャンプ台で前輪(タイヤ)を上下させてマンホール400の上からの荷重が加わるようにして、「動的な応力」の測定を実施した結果である。
また、これら図18(a)と図18(b)のセンサ位置“1”〜“8”については、先の図16(b)と同様で、図17に示されている位置である。
図18(a)に示すグラフでは、鉛直方向の加速度を菱印(“◇”)、走行する大型車両610の進行方向の加速度を四角印(“□”)、水平方向の加速度を三角印(“△”)で表示している。
この図18(a)のグラフから分かるように、マンホール400の蓋(出入り口)から近い位置から順に(センサ位置“1”、“2”、・・・、“8”)、鉛直方向の加速度の値が、他の進行方向および水平方向の加速度に比べて大きい。
一方で、水平方向の加速度に関しては、センサ位置“1”〜“8”によらずに、ほぼ同じ値(0.2〜0.4m/s^2)である。
残りの進行方向の加速度については、先に述べた鉛直方向の加速度より小さく、水平方向の加速度より大きくなっている。言い換えると、センサ位置“1”〜“8”によらずに、鉛直方向及び進行方向の加速度の双方の中間が、進行方向の加速度の値となっている。
例えば、センサ位置“1”の加速度センサ261による測定値でも、鉛直方向の加速度(菱印“◇”)が0.81[m/s^2]、進行方向の加速度(四角印“□”)が0.47[m/s^2]、水平方向の加速度(三角印“△”)が0.19[m/s^2]である。それぞれの大小関係は、〔鉛直方向〕>〔進行方向〕>〔水平方向〕となっている。
従って、図18(a)のグラフから分かることは、加速度センサ260をマンホール400内に設置する場合、マンホール400の出入り口に近く(センサ位置は“1”、“2”、“4”)かつ設置する加速度センサの測定方向を鉛直方向にすることで、効果的に地上を走行する大型車両610の影響を捕捉することができる。
また他方で、図18(b)に示すグラフでは、センサ位置に対する加速度の測定値を示すグラフで、1回目の測定結果を菱印(“◇”)、2回目の測定結果を丸印(“○”)、3回目の測定結果を三角印(“△”)で表示している。
この図18(b)のグラフから、センサ位置が“4”、“1”、“3”、“5”の順に加速度センサから得られた最大主応力が大きい。これらのセンサ位置は、まずマンホール天井の中央で出入り口(首部)に近い所センサ位置“4”、次はマンホール400の出入り口で地上に最も近い所センサ位置“1”、そしてセンサ位置“4”から近いマンホール400の出入り口(首部)と天井が接合するセンサ位置“3”およびマンホール天井で中央と側面の間となるセンサ位置“5”となっている。
これらの位置に加速度センサ260を設置すると、効果的に地上の大型車両610が走行する影響を捕捉することができる。
例えば、図18(b)に示したとおり、センサ位置“4”に設置された歪みセンサ244により測定されたデータ(歪み値)から求められた最大主応力の値は、それぞれ1回目の測定結果に基づく最大主応力の値(菱印“◇”)が0.66[N/mm^−2]、2回目の測定結果に基づく最大主応力の値(丸印“○”)が0.63[N/mm^−2]、3回目の測定結果に基づく最大主応力の値(三角印“△”)が0.62[N/mm^−2]である。
センサ位置“5”に設置した歪みゲージ245で得られる歪み値に基づく最大主応力は、1回目:0.37[N/mm^−2]、2回目:0.35[N/mm^−2]、3回目:0.33[N/mm^−2]である。
因みに、センサ位置“4”、“1”、“3”、“5”以外の位置に設置された歪みゲージ242、246〜248により得られた歪み値に基づく最大主応力の値は、測定回数に関係なく、全て0.30[N/mm^−2]以下である。
従って、マンホール400内に設置するセンサとして加速度センサを選択する場合には、この加速度センサ260を設置する位置は、センサ位置“1”、“2”、あるいは“4”、またはこれらのセンサ位置“1”、“2”、“4”の組み合わせた複数の位置を採用して、鉛直方向に取り付けることが重要となる。
他方で、3軸の歪みゲージ240を採用する場合には、センサ位置番号“4”、“1”、“3”、“5”が適切な候補になる。これらの加速度センサ260あるいは3軸の歪みゲージ240を前述した良い位置に設置して動的な応力が加わるマンホール400に対して効果的なマンホール内の情報を得ることができる。
[第6実施形態]
次に、図19を参照して、第6実施形態について説明する。
図19は、システム構成の選択方法の一例を説明するための図である。
図19(b)は、センサ200からPC350までのデータ転送、及びPC350からセンサ200の情報収集に関わる制御・設定について説明するための図である。
図19(b)でのデータ転送については、実線の矢印で示す通りであって、図2を参照して説明した通りである。
図19(b)に示す通り、データ解析装置530は、複数のセンサ200と無線タグ140との間に接続され、マンホール400内の状況を把握するシステムとして、センサ200から送られたデータ(センサ出力信号)を収集・分析する専用装置である。
このデータ解析装置530を、センサ200と無線タグ140との間に挿入して両者を接続する。このデータ解析装置530は、例えばセンサ200によって検出されるデータが予め決められた閾値Tを超えた回数をカウントするとこでセンサ200が検出したデータを圧縮して、センサ200が検出したデータのデータ容量を削減する。
加えて、図19(b)に示すシステム構成は、図2と異なり、PC350から実線矢印で示すように、PC350がセンサ200の情報収集に関わる制御および設定をすることができる。
例えば、PC350は、データ解析装置530による上述したセンサ200のデータに対する処理において、閾値Tの設定や回数のカウントの仕方を制御することが考えられる。
次に、図20を参照して、第6実施形態に係るセンシングシステムにおけるデータと制御の流れを説明する。この図20には、図3を参照して説明した第1実施形態と類似する、センサで取得したデータを集約・解析する小型装置を接続した構成を示す。
この第6実施形態のセンシングシステムでは、マンホール400内の状況を取得するセンサ200と、センサ200からの取得データを処理するデータ解析装置530と、バッテリー550とが「センサ関連とその処理部」に含まれる。このデータ解析装置530に無線タグ140が接続され、ほかにセンサ200とバッテリー550が、マンホール400内に設置される。
無線タグ140は、データ解析装置530から出力する結果(振動情報)を受け取り、振動情報をリーダ320へ電波で送信する。この振動情報を含む無線信号を、リーダ320が受信する。
リーダ320は受信した振動情報を、表示やマンホール400内の状況履歴を比較するPC350へ出力する。なお、ここまでデータの流れは、図20中の破線矢印で示す。これら無線タグ140、リーダ320、およびPC350が、「無線での送受信関連部」に含まれる。
また一方で、図20に示す第6実施形態は、図3に示す第1実施形態と異なり、無線タグ140とリーダ320間は双方向通信を行い、PC350がセンサ情報の収集に関する制御および設定をすることができる。なお、このPC350による制御および設定の流れを、図20中の実線矢印で示す。
無線タグ140は、リーダ320から制御および設定に関わる指示信号を受信および復調し、データ解析装置530へ送信する仕組み(図20中では、「無線での送受信関連部」の一部に相当する)を搭載している。
言い換えると、センサ200は、検出された振動情報をデータ解析装置530に送信するインターフェースと、データ解析装置530から電力の供給を受ける給電部を備える。
無線タグ140は、データ解析装置530から電力の供給を受ける給電部と、を備える。
この無線タグ140には、データ解析装置530へ制御および設定を送るインターフェース(図20中では、「無線での送受信関連部」の一部に相当するステップST)を備えている。つまり、無線タグ140は、データ解析装置530からデータを受信するインターフェースと、データ解析装置530から受信したデータを無線タグ140のフレームにのせてリーダ320に送信するインターフェースと、リーダ320から受信した制御および設定を指示する制御信号を復調してデータ解析装置530に送信するインターフェースと、データ解析装置530に対して制御および設定を指示する制御信号を送信するインターフェースとを備える。
データ解析装置530は、無線タグから制御および設定を指示する制御信号を受信するインターフェース(図20中では、「センサ関連とその処理部」に相当する一部)を有している。
言い換えると、データ解析装置530は、センサ200から送信される振動情報を受信するインターフェースと、センサ200からのデータを蓄積するとともに解析を行う解析部と、バッテリー550から電力の供給を受けるとともに、センサ200および無線タグ140に対して電力を供給する給電部と、無線タグ140にデータを送信するインターフェースと、無線タグ140から制御および設定を指示する制御信号を受信するインターフェースとを備える。
さらに、マンホール400内に設置されるバッテリー550がデータ解析装置530と無線タグ140へ駆動電力を供給する。
この図20に示すセンサ−無線タグ接続の構成において、データと制御のやり取りに関する特徴は、図3に示す第1実施形態と同様に、既存のデータロガーを用いず、センサ200と無線タグ140の間にデータ解析装置530を挿入して接続させる点である。またこれに加えて、図3に示す第1実施形態と異なり、双方向に通信する無線タグ140とリーダ320を用い、センサ情報の収集に関する制御および設定をPC350ができる点にある。
このデータ解析装置530は、センサ200から受信するデータを、必要な程度、蓄積して解析処理をする。また、データ解析装置530には、無線タグ140へデータを送信するインターフェースを備えている。このインターフェースとしては、無線タグ140へ入力されやすい形態にデータを変換することができるインターフェースであることが好ましい。
これに対して、無線タグ140が送信する無線信号においては、データ解析装置530からのデータを載せてリーダ320に送信するフレームが必要であり、無線タグ140にはそのための仕組みが搭載される。
また逆方向となるPC350からのセンサ情報の収集に関する制御および設定について、無線タグ140は、リーダ320から受信した制御および設定を指示する制御信号を復調してデータ解析装置530へ送信する仕組みを搭載している。
そして無線タグ140は、データ解析装置530へ制御および設定を指示する制御信号を送るインターフェースを備える。データ解析装置530は、無線タグ140から制御および設定を指示する制御信号を受信するインターフェースを備える。
さらに、図20に示すセンサ−無線タグ接続において、図3に示す第1実施形態と同様に、センサ200への給電は、データ解析装置530を介して行われる。なお、無線タグ140への給電は2つの給電方法があり、いずれの給電方法を利用するものであってもよい。
一方は、バッテリー550からデータ解析装置530に給電し、データ解析装置530からセンサ200および無線タグ140への給電する方法である。もう一方は、バッテリー550から無線タグ140へ直に給電する方法である。
次に、図21を参照し、無線タグ140の構成と、無線タグ140が受信する無線信号について説明する。図21は、双方向型無線タグの構成と無線送信信号について説明するための図である。
図21(a)には、無線タグ140の構成を示す。図21(b)には、無線タグ140が受信する無線送信信号のフレームフォーマットを示す。
図21(a)に示す通り、図6(a)と同様に、無線タグ140は、その内部構成として、インターフェース(I/F)101と、制御回路102と、無線回路103と、アンテナ104を含む。また、この無線タグ140は、電池105を搭載している構成であってもよい。
このI/F101は、データ解析装置530から送られるデータ(振動情報)、すなわち、閾値Tを超えたマンホール400内の振動をカウントしたカウント値Cを含む情報を受け取る入力ポートである。また、I/F101は、センサ情報の収集に関する制御および設定を指示する制御信号をデータ解析装置へ渡す出力ポートにもなる。さらに、I/F101は、その一部として、無線タグ140を駆動させるために給電される電力を受信するポートも含む。
制御回路102は、I/F101から出力される振動情報、つまり閾値Tを超えた振動のカウント値Cを含む無線信号を、リーダ320に送信するように無線回路103を制御する。また、制御回路102は、無線回路103から受けたセンサ情報の収集に関する制御および設定を指示する制御信号を上述したI/F101へ渡す。
無線回路103は、制御回路102の指示に従い、無線信号に、無線タグ140の識別子(以下、無線タグIDという)を対応付けて、リーダ320に送信する。これにより、図21(a)に示す無線回路103の送信・変調部103aが動作し、サーキュレータを介しアンテナ104へ無線信号が出力される。なお無線信号のフォーマットは、先の第1実施形態で図6(b)に示し説明したものである。また他方で、無線回路103は、アンテナ104からサーキュレータを介し受けた制御および設定を指示する制御信号を受信および復調して、その復調された制御および設定を指示する制御信号を制御回路102に出力する。
アンテナ104は、無線回路103で生成した無線信号を、無線タグ140から無線通信エリア内にあるリーダ320に送信する。他方で、アンテナ104は、リーダ320から無線信号で送られてくる制御および設定を指示する制御信号を受信し、無線回路103へ出力する。
従って、以上説明した無線タグ140の構成により、無線タグ140は、所望のマンホール400内で閾値Tを超えた振動に関して、そのカウント値Cを含む無線信号を、リーダ320に送信する。また、並行して、リーダ320から送られる制御および設定を指示する制御信号を受信して、データ解析装置530に出力することができる。
ここで、この無線タグ140から送信される無線信号のフォーマットについては、先の第1実施形態において図6(b)を参照して説明したものと同じであり説明を省略する。
次に、リーダ320から無線タグ140へ送信される無線信号のフォーマットについて、図21(b)を参照して説明する。
リーダ320から送信される無線信号のフォーマットには、プリアンブル、ID(Identity Document :識別子)、閾値、カウント生成、EOF(End Of File :誤り検出符合)がある。
プリアンブルは、無線信号の初めを示し、この例でのプリアンブルは“10101010101”である。
ID(識別子)は、個々の無線タグ140を特定する情報であって、無線タグIDに相当する。
閾値は、センサから収集されるデータの処理において、この収集されるデータが予め設定される閾値T以上か否かの基準となる値である。具体的な閾値Tとして、第4実施形態および第5実施形態で示した図14、図16、図18を参照して、この例を挙げる。静的な歪み値では−35.0[με]、動的な加速度で0.45[m/sec^2]、或いは最大主応力0.55[N/mm^2]などである。これら何れかの値を示すデータが、図21(b)で“閾値”の設定として指示される。本実施形態においては、閾値は“5000”である。
カウント生成は、センサ200から収集されるデータが、上述した閾値T以上の回数でカウントを更新させるかの回数を設定するものである。例えば、動的な加速度をセンサにより収集するとして、ある日において先に挙げた閾値T=0.45[m/sec^2]を超えた回数が372回であるとする。ここで、カウント生成の設定としては50回を指示されている。この場合のカウンタの更新は[372/50]によりカウント値C=“7”であり、この後で残り28回、閾値Tを超えれば、カウンタはカウント値C=“8”に更新される。
以上説明したとおり、この第6実施形態においても先の第1実施形態と同様で、地上にあるリーダ320が無線タグ140からの無線信号を受けることで、マンホール400内で閾値Tを超える振動の回数がどの程度あるのかを簡単に知ることができる。これに加えて、この第6実施形態では、リーダ320から無線タグ140へ送信する無線信号のフォーマット(図21(b))を用いて、センサ200により収集するデータに対して、解析する設定値の変更を可能とし、より的確にマンホール400内の状況を把握できる。
次に、図22を参照して、データ解析装置530の構成について説明する。
図22は、データ解析装置530の構成と制御および設定を指示する制御信号について説明するための図である。
この図22に示すデータ解析装置530は、先の第1実施形態(図7参照)と同様に、センサ200と無線タグ140との間に接続されており、バッテリー550からの給電で動作する。
図22にはデータ解析装置530の構成を示す。このデータ解析装置530は、アナログ入力I/F電力供給部531、A/D変換部532、センサデータ蓄積部533、閾値超え有無判定部534、カウント出力生成部535、出力I/F536、給電I/F537に加え、入力I/F538、カウント生成設定部539、閾値設定部540を備える。
センサ200からの出力(センサ出力信号)をデータ解析装置530のアナログ入力I/F電力供給部531に入力する。このセンサ200からのセンサ出力信号は、アナログ信号で検出した加速度の変化を示す値である。その波形の一例は先の第1実施形態に挙げた図7(b)と同じである。この加速度の変化は、道路を走行する車両610のタイヤと路面間で起きる振動がマンホール400へ伝わり発生する。
次にアナログ入力I/F電力供給部531は、入力したセンサ出力信号を、A/D変換部532に出力するとともに、センサ200を駆動させる電力をセンサ200に供給する。A/D変換部532は、入力するセンサ出力信号をデジタルデータに変換し、センサデータ蓄積部533に保存する。
センサデータ蓄積部533は、保存するセンサ出力信号を一定期間(例えば、車両610が通過する時間)蓄積する。なお、予め決めた一定期間をデータ解析装置530に設定する。
閾値超え有無判定部534は、センサ出力信号に基づき、センサ出力信号の振幅が閾値T以上か否かを判断し、センサ出力信号が閾値T以上の場合、閾値T以上を示す信号を出力する。
具体的には、閾値超え有無判定部534は、設定された一定時間を経過した場合、センサデータ蓄積部533に保存したセンサ出力信号を読み出し、このセンサ出力信号が、予め決めた閾値T以上か否かを判定する。
この判定で閾値T以上の場合、閾値超え有無判定部534は、閾値Tを超えた信号をカウント出力生成部535に出力する。
カウント出力生成部535は、閾値超え有無判定部534からの出力に基づき、閾値Tを超えた結果の回数をカウントし、対応するカウント値Cを生成する。つまり、カウント出力生成部535は、センサ出力信号の振幅が閾値以上となる回数をカウントし、カウントした回数が予め決めたカウント回数に到達したか否かを判断し、このカウント回数に到達した場合、カウント値Cを1つ次に進める。
例えば、カウント出力生成部535は、閾値Tを超えた結果の回数を連続してカウント回数(例えば2回)をカウントしたら、カウント値Cを1つ増やす。つまり、カウント出力生成部535は、例えば2回連続して、閾値Tを超えた結果をカウントしたら、出力するカウント値Cを変更する。
ここで、閾値Tを超えた回数を2回としたのは一例であり、好ましくは、1000回程度であることが好ましく、マンホール400の上を走行する大型の走行車両610の走行量に応じた回数がユーザによって選ばれる。
カウント出力生成部535の出力は、出力I/F536を介して、無線タグ140に出力される。
他方で、入力I/F538は、無線タグからセンサ情報の収集解析の制御および設定を指示する制御信号を入力し、カウント生成設定部539と閾値設定部540に出力する。
カウント生成設定部539は、入力I/F538からセンサ情報の収集解析の制御および設定を指示する制御信号を入力すると、カウント生成に関わる設定を行う。具体的には、カウント生成設定部539は、センサにより取得するデータについて、後で述べる閾値を超えた回数に対し、何回でカウント値を更新するかを設定する。例えば、カウント生成設定部539は、カウント出力生成部535におけるカウント回数の設定を、閾値Tを超えるデータの数が2回でカウント値Cを更新する旧設定から、データが5回閾値Tを越えたらカウント値Cを更新する新設定に変更する設定を行う。
閾値設定部540は、入力I/F538からセンサ情報の収集解析の制御および設定を指示する制御信号を入力すると、センサ200から収集する情報の判定で基準となる閾値Tの設定を行う。具体的には、閾値設定部540は、センサ200により取得されたデータが閾値T以上か否かの判断基準となる値である閾値Tの設定を行う。例えば、閾値設定部540は、閾値超え有無判定部534における閾値Tの設定を、先の第4実施形態および第6実施形態で示した図16や図18を参照すると、静的な歪み値であれば閾値Tを−40.0[με]、動的な加速度なら閾値Tを0.3[m/sec^2]、あるいは最大主応力ならば閾値Tを0.5[N/mm^2]という値に設定する。
給電I/F537は、バッテリー550から電力の供給を受け、データ解析装置530を駆動させる。この給電I/F537からこれまで説明したデータ解析装置530の全ての構成要素、つまりアナログ入力I/F電力供給部531、A/D変換部532、センサデータ蓄積部533、閾値超え有無判定部534、カウント出力生成部535、出力I/F536、入力I/F538、カウント生成設定部539、閾値設定部540へ電力を供給する。なお、図22では記載を省略しているが、必要ならば図20に示しているように、給電I/F537により、バッテリー550の電力をデータ解析装置530から無線タグ140へ給電もできる。
次に、これまで述べた仕組みを拡張して、センサ200で収集した情報を処理する設定を変更する事例について説明する。
最初には、カウント出力生成部535が、連続して閾値T1(動的な加速度で0.50[m/sec^2])を超えたセンサ出力信号を50回カウントした場合に、カウント値Cを更新する設定(以下、設定1という)を想定する。次に、閾値T2(加速度で0.45[m/sec^2])を超えたセンサ出力信号を200回カウントした場合、カウント値Cを更新する設定(以下、設定2という)へと変更する。このように2つの設定を順に変更する例を想定して説明する。
最初の設定1においては、閾値設定部540の指示により、閾値超え有無判定部534は、センサ200で取得したデータ(センサ出力信号)が、閾値T=0.50[m/sec^2]を超えたか否かを判断する。そして、センサ出力信号が閾値T=0.50[m/sec^2]を超えた時に、閾値超え有無判定部534は、閾値Tを超えたことを示す出力結果をカウント出力生成部535に出力する。
カウント出力生成部535は、カウント生成設定部539の指示により、設定1におけるカウント回数でカウント値Cを更新する。つまり、カウント出力生成部535は、閾値超え有無判定部534から受けた出力結果に基づき、連続して閾値T=0.50[m/sec^2]を超えたセンサ出力信号を50回カウントした場合に、カウント値Cを、512値(“000000000”、“000000001”、“000000010”、・・・、“111111111”)の段階で更新する。
なお、カウント出力生成部535のカウント値Cが512値(“000000000”、“000000001”、“000000010”、・・・、“111111111”)の段階というのは、ここで第1実施形態と同じと想定したものである。なお、本発明は、第2実施形態のように、カウント値Cを256値(“00000000”、“00000001”、“00000010”、・・・、“11111111”)、或いは別の段階にしても実現することができる。
マンホール400内の無線タグ140からの無線信号が、2009年12月、2010年3月、2010年6月、・・・と、四半期年ごとにリーダ320に送信された場合について説明する。受信した結果が、順に“000100011”(10進値で“35”)、“000100110”(10進値で“38”)、“000101101”(10進値で“45”)、・・・であれば、3ヶ月毎にカウント値Cが約“5”増加するので、閾値T=0.50[m/sec^2]を超える振動が250回ある。
単純計算して、平均1日に2.7回、半日に1.4回、1時間平均0.12回の閾値T=0.50[m/sec^2]を超えた振動を受けていることになる。
ここまでの設定では、閾値T=0.50[m/sec^2]、この閾値以上のセンサ出力信号が50回あればカウント値Cを更新している。この設定において、上述した四半期ごとの経過を得た時点では、僅かな情報(1時間平均0.12回の閾値T=0.50[m/sec^2]を超えた振動)しか得られていないと考えられる。
そこで、これ以前までよりもきめ細かな情報を取得するように、地上からそれらの設定を変更する操作を行う。変更する設定としては、例えば、閾値T=0.50[m/sec^2]を、閾値T=0.45[m/sec^2]へ低下させる。つまり、カウント対象となる振動を増加させ、この増加に対応させるようにカウント値Cを更新するセンサ出力信号のカウント回数を50回から200回へ変更する。
これら設定の変更を指示する制御信号を、PC350からリーダ320へ出力する。つまり、リーダ320が、無線タグ140へ、図21(b)に示す無線受信信号フレームにおける閾値が“0045”(閾値T=0.45[m/sec^2]を意味する)、カウント生成が“00050”(カウント回数=50回を意味する)である無線受信信号を送信する。
このリーダ320からの無線送信信号(指示を含む制御信号)を無線タグ140が受信すると、図21(a)に示すアンテナ104から無線回路103内の受信・復調部103bで処理される。そして、制御回路102とI/F101を介して、データ解析装置530へ設定を変更する指示が伝えられる。
データ解析装置530へ伝えられた設定変更の指示を示す制御信号は、図22に示すデータ解析装置530内の入力I/F538を介して、カウント生成設定部539と閾値設定部540に入力する。そして、カウント生成設定部539と閾値設定部540は、この制御信号に基づき、設定の変更指示を行う。
閾値設定部540は、新たな設定2を指示する制御信号に基づいて、閾値超え有無判定部534における設定を、センサ200で取得したデータが閾値T=0.45[m/sec^2]を超えたか否かを判断し、この0.45[m/sec^2]を超えた時、閾値超え有無判定部534の出力結果がカウント出力生成部535に出力する設定に変更する。
これにより、カウント生成設定部539は、閾値超え有無判定部534の出力結果を受け、連続して閾値T=0.45[m/sec^2]を超えたセンサ出力信号を200回カウントした場合に、カウント値Cを、512値(“000000000”、“000000001”、“000000010”、・・・、“111111111”)の段階で更新するようになる。
以上により、マンホール400の補修計画において、マンホール400内で作業員がマンホール内に入る詳細な点検保守を行う優先順位を判断するための有効な情報を、現場でのセンサ情報処理の設定を変更することにより、さらに的確に修正しながら、センサ出力信号に関する情報を、無線タグ140とリーダ320との通信負荷を軽減する方法で取得できる。
また、この第6実施形態では、第1実施形態と同様、マンホール400内に設置した振動を検知するセンサ200と無線タグ140間にデータ解析装置530を設けている。このデータ解析装置530が、無線タグ140に送信するデータを圧縮(加速度センサ260によるセンサ出力信号を閾値Tを超えた回数を示すカウント値Cに変換すること)し、無線タグ140の処理負荷を軽減する点に特徴がある。
第6実施形態は、第1実施形態からさらに上述した閾値Tとカウント回数を設定変更できる。このため、マンホール400内に設置したセンサ200から得られるセンサ出力信号や、無線タグ140で扱うデータを、必要最小限なものでかつ状況に応じ最適に変更できる。
このほか、第1実施例で説明した市販のデータロガーではなくデータ解析装置530を用いることで、関連する機器全体の消費電力の削減・長期間の駆動、マンホールへ出入する保守作業の邪魔を無くすなどの効果もある。
[第7実施形態]
図19(a)を参照して、本願発明に係る第7実施形態の一例について説明する。
図19(a)は、センサ200からPC350までのデータ転送、及びPC350からセンサ200の情報収集に関わる制御および設定について説明するための図である。
この第7実施形態は、図19(a)に示す通り、図10と同様であり、無線タグ140とセンサ200との間に、先の図2に示すデータ解析装置530に換えて、既存のデータロガー510とデータ解析装置520を使用する。なお、他の構成は、第2実施形態および第4実施形態と同様で、第4実施形態と同一の構成には、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
ここでは、例えば、2つのセンサ200がデータロガー510を介して無線タグ140に接続される。無線タグ140は、センサ200から入力するセンサ出力信号を受信し、リーダ320に対して電波で送信する。
第7実施形態では、センサ200とデータロガー510について、既存技術を流用するため、センサ200とデータロガー510との間の機能接続が十分に確認されている点で有益である。また、このセンサ200とデータロガー510の部分が、既に様々な用途に使われ、構成の大部分に当たる機器調達コストを抑制できると予想される点も有益である。
なお、既存のデータロガー510は、センサ200からのデータをストアする機能は十分持ち合わせているが、制御する装置(通常はPC)が取り付けられないデータロガー510だけで、マンホール400内の状況を的確に伝える情報へ変換するデータ分析機能は不足している。また、無線タグ140へ送信するデータが、センサ200から伝わる膨大な容量のデータとなる。さらに、データロガー510は、消費電力が十数W程度あり、マンホール400内の電源確保が困難な環境下で、数年間バッテリーのみの駆動は困難である。
よって、データ解析装置520とともに構成することで、上述した課題を改善するものである。
図23を用い、この第7実施形態でのセンシングシステムにおけるデータと制御の流れを説明する。この図23では、第2実施形態(図11参照)と類似する既存のデータロガーを活用した構成を示す。
第7実施形態でセンシングシステムの「センサ関連とその処理部」には、マンホール400内の状況を取得するセンサ200と、センサ200から取得データを送り1次処理するデータロガー510と、データロガー510から1次処理したデータを伝えそのデータをさらに解析し十分な処理をするデータ解析装置520と、バッテリー550とが含まれる。これらデータ解析装置520に無線タグ140が接続され、センサ200、データロガー510、およびバッテリー550が、マンホール400内に設置される。
無線タグ140は、データ解析装置520が処理した結果(振動情報)を受信し、電波に乗せ、振動情報をリーダ320に送信する。振動情報を含む無線信号を、リーダ320が受信し、表示およびマンホール400内の状況履歴の比較などを行うPC350へ出力する。なお、データの流れを図23中で破線矢印で示す。これら無線タグ140、リーダ320、およびPC350は、「無線での送受信関連部」に相当する。
また一方で、第2実施形態(図11参照)と違い、図23に示す第7実施形態は、無線タグ140とリーダ320間は双方向通信で、PC350からセンサ情報の収集に関する制御・設定ができる。なお、この制御・設定を、図23中で実線矢印で示す。
無線タグ140は、リーダ320から制御および設定を指示する制御信号を受信・復調し、データ解析装置520へ送信する仕組み(図23中では、「無線での送受信関連部」の一部に相当する)を搭載している。
また、この無線タグ140は、データ解析装置520へ制御・設定を送るインターフェース(図23中では、「無線での送受信関連部」の一部に相当する)を備えている。
対向するデータ解析装置520は、無線タグから制御・設定を受信するインターフェース(図23中では、「センサ関連とその処理部」の一部に相当する)を有している。
さらに、マンホール400内に設置するバッテリー550が、データロガー510、データ解析装置520、および、無線タグ140に駆動電力を供給する。
この図23に示すセンサ−無線タグ接続において、各構成部分が扱うデータのやり取りに関係する特徴としては、第2実施形態(図11参照)と同様に、既存のデータロガー510を使用するため、無線タグ140との接続にはデータ解析装置520が間に挿入されている点がある。また、第2実施形態(図11参照)と異なり、双方向に通信する無線タグ140とリーダ320を用いセンサ出力信号の収集に関する制御・設定できる点にある。
このデータ解析装置520において、無線タグ140に送るために十分なセンサ出力信号の解析処理が行われる。この結果、データ解析装置520から無線タグ140へデータを送るインターフェースは、無線タグ140で扱いやすい形式にデータを変更するものであることが好ましい。
また、反対の視点からすると、データロガー510からデータ解析装置520にデータを送るインターフェースについても、既存のデータロガー510に合せて、データロガー510で扱いやすい形式にデータを変更するものであることが好ましい。
無線タグ140は、送信する無線信号が、データ解析装置520からのデータを無線タグ140のフレームに載せて、リーダ320に送信する仕組みを搭載する。
さらにまた逆方向となるセンサ出力信号の収集に関する制御・設定について、無線タグ140は、リーダ320から受信した制御および設定を指示する制御信号を復調して、データ解析装置520へ送信する仕組みを搭載している。
そして無線タグ140は、データ解析装置520へ制御および設定を指示する制御信号を送るインターフェースを備える。
データ解析装置520は、無線タグ140から制御および設定を指示する制御信号を受信するインターフェースを備える。
そして、図23に示すセンサ−無線タグ接続において、第2実施形態(図11参照)と同様に給電方法としては2つある。1つの方法は、バッテリー550からデータ解析装置520に給電して、データ解析装置520からデータロガー510と無線タグ140への給電する方法である。
一方、データ解析装置520からの給電が難しい場合は、別の方法として、バッテリー550から無線タグ140やデータロガー510へそれぞれ直接給電する方法も利用可能である。また、これら2つの給電ともに給電され駆動しているデータロガー510からセンサ200へ給電する。
図24を参照して、本実施形態に係るデータ解析装置520の構成について説明する。
この図24に示すデータ解析装置520は、データロガー510と無線タグ140と間に挿入して接続される。また、データ解析装置520は、バッテリー550からの電力の供給を受けて動作しており、データロガー510を経由してセンサ200からのセンサ出力信号を受信し、無線タグ140へセンサ出力信号を圧縮した信号を送信する。
図24には、本実施形態に係るデータ解析装置520の構成の一例を示す。本実施形態に係るデータ解析装置520は、先の第2実施形態(図12参照)と同様に、デジタル入力I/F521、センサデータ蓄積部522、閾値超え有無判定部523、カウント出力生成部524、出力I/F525、給電I/F526に加え、入力I/F527、カウント生成設定部528、閾値設定部529とを備える。
データロガー510からの出力は、データ解析装置520のデジタル入力I/F521に入力する。このデータロガー510からの出力は、センサ200で検出された加速度の変化の値(センサ出力信号)であって、データロガー510によりアナログからデジタルに変換された信号である。
このデータロガー510に入力するアナログのセンサ出力信号と、データロガー510によってデジタル化された信号は先の第2実施形態に挙げた図12(b)と同じである。
加速度の変化は、マンホール400上の道路を走行する車両610が通過する際に発生する車両610のタイヤと路面間の振動がマンホール400へ伝わったものである。この入力した信号が、デジタル入力I/F521からセンサデータ蓄積部522へ出力され、一時的に保存される。
センサデータ蓄積部522は、デジタル入力I/F521から入力された信号(センサデータ蓄積部522が受けたデータ)を、所定期間(例えば車両610,620が通過する時間)だけ、保存する。
このセンサデータ蓄積部522に保存されているデータは、閾値超え有無判定部523によって、例えば上記所定時間が経過した場合、センサデータ蓄積部522から読み出される。そして、閾値超え有無判定部523は、読み出されたデータの値が、予め決められた閾値Tの値を超えているかを判定する。
この判定において閾値Tを超えた場合、閾値超え有無判定部523は、カウント出力生成部524へ閾値Tを超えた回数を通知する。このカウント出力生成部524では、閾値Tを超えた結果を受けその閾値Tを超えた回数をカウントして、このカウントの回数に対応した出力を生成する。
例えば、閾値Tを超えた結果が2回発生していたら、初めてこのカウント出力生成部524の出力を変更する。この例の2回という閾値Tを超えた回数は、一例であって、実際は、200回、あるいは1000回程度であって、実際にマンホール400の上を走行する大型の走行車両610が通過する回数に対応した回数が選ばれる。
カウント出力生成部524の出力は、出力I/F525からデータ解析装置520より出力される。このデータ解析装置520の出力I/F525からの出力が無線タグ140に送信される。
他方で、入力I/F527は、無線タグ140からセンサ出力信号の収集解析の制御および設定を指示する制御信号を受信し、カウント生成設定部528と閾値設定部529に出力する。
カウント生成設定部528は、入力I/F527からセンサ出力信号の収集解析の制御および設定を指示する制御信号を入力すると、カウント生成に関わる設定を、カウント出力生成部524に対して行う。
具体的には、カウント生成設定部528が、センサ200により取得するデータについて後で述べる閾値Tを超えた回数に対し、何回でカウント値Cを更新するかを設定する。例えば、カウント生成設定部528は、閾値を超えるデータの数が2回でカウント値Cを更新する設定3から、データが5回閾値を越えたらカウント値Cを更新する設定4に変更する。
閾値設定部529は、入力I/F527からセンサ出力信号の収集解析の制御および設定を指示する制御信号を入力すると、センサ200から収集する情報の判定で基準となる閾値Tを制御および設定を指示する制御信号に基づき設定する。具体的には、閾値設定部529が、センサ200により取得されたデータが閾値T以上か否かの基になる値を、制御および設定を指示する制御信号に基づき、閾値超え有無判定部523に対して設定する。
例えば、閾値設定部529は、先の第4実施形態および第5実施形態で示した図16や図18を参照すると、静的な歪み値であれば閾値Tを−40.0[με]、動的な加速度なら閾値Tを0.3[m/sec^2]、あるいは最大主応力ならば閾値Tを0.5[N/mm^2]と設定する。
給電I/F526は、バッテリー550から電力を受け、データ解析装置520を駆動させる。この給電I/F526からこれまで説明したデータ解析装置520の全ての構成要素、つまりデジタル入力I/F521、センサデータ蓄積部522、閾値超え有無判定部523、カウント出力生成部524、出力I/F525へ電力を供給する。なお、図24では記載を省略しているが、必要ならば図23に示しているように、給電I/F526が、データ解析装置520から無線タグ140およびデータロガー510へバッテリー550の電力を給電することも可能である。
このような第7実施形態の仕組みを拡張して考えると、例えば、データ解析装置520が、閾値T=0.40[m/sec^2]を超える回数が1000回でカウント値Cを更新し、カウント値Cを、256値(“00000000”、“00000001”、“00000010”、・・・、“11111111”)で表わす。マンホール400内の無線タグ140からの信号について、2009年9月、2009年12月、2010年3月、・・・でのリーダ320による受信した結果が順に“00010101”(10進値に直すと“21”)、“01011111”(10進値に直すと“95”)、“10100010”(10進値に直すと“162”)、・・・となる。
つまり、凡そ四半期毎にカウント値Cが約“71”増えているので、閾値T=0.40[m/sec^2]を超える振動が71000回、平均すると1日に789回の閾値Tを超える振動、さらに短い1時間平均では32.9回、端的には5分に2.7回の閾値Tを超えた振動があると分かる。
ここで、先に説明した第6実施形態と同様、この第7実施形態での“閾値T”と“カウント値Cを更新するセンサの取得情報がその閾値を越えるカウント回数”について、これらの設定値を変更することができる。
すなわち、上述した設定(閾値T=0.40[m/sec^2]、カウント値Cを更新するセンサ出力信号の回数1000回)において、四半期ごとの経過を得た時点では過剰な情報(閾値T=0.40[m/sec^2]を超えた振動が、5分間平均2.7回も発生している)となる。これにより、マンホール400の構造に重大な影響を与える振動の情報が、より軽微な振動の情報に埋没してしまう課題があると考えられる。
そこで、これ以前に比べ限定して重大な影響となる振動に関わる情報のみを取得するように、地上からそれらの設定を変更する操作を行う。変更する設定としては、例えば閾値T=0.40[m/sec^2]を、閾値T=0.47[m/sec^2]へ向上させカウント対象となる振動を限定し、この限定した振動の回数に対応させるようにカウント値Cを更新するセンサ出力信号の回数1000回のカウントを250回へ変更する。
これら設定をPC350がリーダ320へ指示する。つまり、リーダ320が、図21(b)に示す無線受信信号フレームにおいて、閾値を“0047”(閾値Tが0.47[m/sec^2]であることを意味する)、カウント生成を“00250”(カウント回数が250回であることを意味する)である無線受信信号を無線タグ140に送信する。
このリーダ320の無線送信信号(指示を含む制御信号)を無線タグ140が受信すると、図21(a)でのアンテナ104から無線回路103内の受信・復調部103bで処理される。そして、制御回路102とI/F101を介して、データ解析装置530へ設定を変更する指示が伝えられる。
この設定変更の指示(制御および設定を指示する制御信号)が、図24に示すデータ解析装置520内の入力I/F527を介し、カウント生成設定部528と閾値設定部529に入力する。そして、カウント生成設定部528と閾値設定部529が、設定3を設定4に変更する。
そして、閾値超え有無判定部523は、新たな設定4に基づき、センサ200で取得したデータが閾値T=0.47[m/sec^2]を超えたか否かを判断する。この閾値T=0.47[m/sec^2]を超えた時、閾値超え有無判定部523は、出力結果をカウント出力生成部535に出力する。
他方、新たな設定4にて、カウント生成設定部528は、カウント出力生成部524が、閾値超え有無判定部523の出力結果を受け、閾値T=0.47[m/sec^2]を超えたセンサ出力信号を250回カウントする毎に、カウント値Cを更新するように設定する。これにより、カウント出力生成部524は、カウント値Cを、512値(“000000000”、“000000001”、“000000010”、・・・、“111111111”)の段階で更新するようになる。
このように設定変更を実施し、マンホール400の構造に対して影響を受ける、より的確で有用な情報を得られる。このような情報に基づきマンホール400の補修の計画すなわち多数のマンホール400でどれを優先し保守や作業員がマンホール内に入り詳細に点検するかという貴重な指針とすることができる。
[第8実施形態]
図19(c)を参照し、本願発明に係る第8実施形態の一例について説明する。図19(c)は、図13と同様でセンサ200からPC350までのデータ転送、及びPC350からセンサ200の情報収集に関わる制御・設定について説明するための図である。
この第8実施形態は、図19(c)に示す通り、無線タグ160とセンサ200を直接接続する構成である。本実施形態に係るセンシングシステムは、図13と同様となる無線タグ160がデータを集約することに加えて、PC350からリーダ320を介して無線タグ160に対し情報収集に関わる制御・設定を行うことが可能である。
この無線タグ160は、先の図19(a)、図20、図22に示したデータ解析装置530の機能を内蔵する構成である。但し、この無線タグ160は、既存のデータロガー510に備わる機能で、必要な機能だけを実装する。例えば、設置後にセンサ200を増設し接続を可能にするため確保される入力チャネル、センサ200により取得するデータを記録し保存する大容量のメモリ以外を無線タグ160に搭載しないことで、消費する電力増加を抑制する。
これにより、先の図19(b)、図19(a)に示した無線タグ140と、データ解析装置530(またはデータ解析装置520)を合わせた処理や電力と比べ、結果的に無線タグ160の処理負荷や消費電力を減少させられる。但し、数年間に渡り自身を識別する無線信号のみ間欠送信する無線タグ(アクティブタグ)との比較では無線タグ160の処理負荷や消費電力が増加する。
またこの図19(c)に示す構成により、無線タグ160に接続可能なセンサ200の数は、1、2個程度に限られ、センサの数を増加する場合の対応が困難となる。このため、このマンホール400内の状況を数十年の経過に合わせ順次センサ200を増設しながら、よりきめ細かく把握するという目的のためには非常に柔軟性が乏しい。
なお、図19(a)に示すデータロガー510とデータ解析装置520が果たす機能(センサ情報を収集処理する機能とこの処理に関する設定変更の機能)を、図19(c)では無線タグ160が担う。このため、センサ200で取得する過程の対応および取得データの簡単な判定や一時的な記録に加え、取得データに関する判定での基準値(閾値とカウント更新の回数)を制御・設定する点については、無線タグ160に搭載されるI/Oやマイコン、メモリがそれらの処理を行う。
なお、マンホール内にセンサを単純に設置しただけでは、マンホールの構造に影響を与える振動を的確に捉えられない。また仮に、センサにより上手く振動が捉えられた場合も、このセンサで取得した振動のデータはそのままでは情報量が多すぎて無線タグにより送信できない。
さらに、そのマンホール内に設置したセンサにより捉えた振動のデータを無線タグにより送信できる信号に処理することを考える。この処理の際にもその振動の値についてどのような基準値を扱えば良いのか、また設定した後の運用時でその基準値が合わない場合はどうしたらよいのかという課題がある。これらそれぞれの課題について以下に項目として列挙する。
〔振動情報を処理する基準値〕
マンホール内に設置したセンサにより捉えた振動のデータを無線タグにより送信できる信号に処理する必要がある。このような必要な処理において、センサが捉えた振動の値についてどのような基準値に対し処理すれば良いのか分からないという課題がある。さらに具体的に基準値として以下の項目に示すようにより細かな課題が挙げられる。
〔歪みゲージを設置する位置・方向〕
マンホール上から静的な/動的な応力が加わる場合に、マンホール内に歪みゲージを設置する場所や方向により、測定される歪みの値が異なる。このため、歪みゲージの設置位置・設置方向やその歪みの閾値をどう設定するのかが課題となる。
〔加速度センサを設置する位置・方向〕
マンホール上から動的な応力が加わる場合に、マンホール内に加速度センサを設置する場所や方向により、測定される加速度の値が異なる。このため、加速度センサの設置位置・設置方向やその加速度の閾値をどう設定するのかが課題となる。
〔運用時での基準値の不適合〕
センサにより取得したデータを処理するため必要となる基準値を設定した後の運用時でその基準値が合わないことがあるという課題がある
〔歪み測定値の変動〕
マンホール上に静的な/動的な応力を加える数回の測定実験では歪みの値が徐々に大きくなる現象がみられる。このように歪みが測定回数にともない変化する現象があるため、どのように閾値を設定するかが課題となる。
〔加速度測定値の変動〕
マンホール上に動的な応力を加える数回の測定実験では加速度の値が徐々に小さくなる現象がみられる。このように加速度が測定回数にともない変化する現象があるため、どのように閾値を設定するかが課題となる。
本願発明は、上記課題を解決するため以下のような手段を備えるものである。
つまり、マンホール内部の状況を把握する目的で、作業員がマンホール内に入ると面倒な様々な準備や手続きなどが必要になるので、これらの準備や手続きなどを無くすことを目標にする。この目標を実現するために、マンホール内に設置した無線タグを使用する。
センサにより捕捉した情報を、その無線タグを介して地上へ伝える。ここで、センサと無線タグの間にデータを圧縮する解析装置を挿入して、解析装置でのデータを圧縮としては、センサで取得したデータを予め決めた閾値を超える回数によりカウントした値を用いる。このように処理した値を地上へ伝える情報として無線タグで送信する。このようなマンホール内に設置するセンサと無線タグの接続の構成において、以下の項目に挙げる具体的な閾値の決め方や各種センサを設置する位置・方向を採用する。
また、上述した閾値やそのカウントを更新する閾値を超える回数の設定について、このマンホールの状況をセンシングするシステムを運用してある程度のデータを収集した後で変更することができるように、マンホールの外(地上)からの無線による指示により変更可能とする。このために、地上のリーダとマンホール内の無線タグ間は双方向通信として、リーダから無線タグへの通信を閾値やカウントする回数の更新などの設定を行うために活用する。
ここまでの概略を述べた方法について、以下に個々の項目別に解決方法を列挙する。
〔閾値の決め方〕
第4実施形態および第5実施形態、図16、図18を用いてその解決方法を具体的に説明した。
つまり、数回の測定で歪みの閾値を決める場合には、後の回数の測定で安定した値が得られるところを閾値として選ぶ。
〔歪みゲージの設置位置〕
第4実施形態(実験環境A)、図15、図16を用いてその解決方法を具体的に説明した。
つまり、マンホール上に静的な応力が加わる(停止した大型車両のタイヤがマンホールの蓋の上に乗る)ような場合でのマンホール内に設置する歪みゲージの場所としてはセンサ位置“3”〜“5”を採用する。
〔加速度センサの設置位置〕
第5実施形態(実験環境B)、図17、図18(a)を用いてその解決方法を具体的に説明した。
つまり、動的な応力が加わる(マンホール蓋の上を走行する大型車両の車輪が通過するような場合)マンホール内に加速度センサを設置する場所は、センサ位置“1”、“2”、“4”で鉛直方向に加速度センサを設置する
〔歪みゲージの設置位置〕
第5実施形態(実験環境B)、図17、図18(b)を用いてその解決方法を具体的に説明した。
つまり、歪みセンサを採用して動的な応力が加わる(走行する大型車両の車輪がマンホール蓋の上を通過する)マンホール内に設置する場合には、センサ位置“1”、“3”、“4”、“5”を選択する。
〔閾値の設定変更1〕
第6施形態、図19(b)、図20、図21、図22を用いてその解決方法を具体的に説明した。
つまり、マンホール設備を点検するシステムの特徴は、以下に挙げる地下に設置された構成をとる。
≪センサ≫ :振動を検出、センサ出力信号をデータ解析装置へ出力
≪データ解析装置≫ :先のセンサ出力信号を受信、一定時間で振動が閾値を越える回数をカウント、カウント値を出力する。
あらかじめ設定された閾値やカウント値、振動が閾値を越えた回数の蓄積する。
無線タグより渡された指示の受取、閾値やカウント値を更新する振動が閾値を超える回数についての設定を変更する。
≪無線タグ≫ :データ解析装置から出力されたカウント値を含む信号を地上に設置されたリーダに送信する。
リーダから送信された指示を受信し、この指示をデータ解析装置へ伝送する。
〔閾値の設定変更2〕
第7実施形態、図19(a)、図20、図23、図24を用いてその解決方法を具体的に説明した。
つまり、マンホール設備を点検するシステムの特徴は、以下に挙げる地下に設置された構成をとる。
≪センサ≫ :振動を検出、センサ出力信号をデータロガーへ出力する。
≪データロガー≫ :先のセンサ出力信号を受信、アナログ信号のセンサ出力信号をデジタル信号に変換、データ解析装置へ渡す。
≪データ解析装置≫ :デジタル信号に変換されたセンサ出力信号を受信、一定時間で振動が閾値を越える回数をカウント、カウント値を出力する。
あらかじめ設定された閾値やカウント値、振動が閾値を越えた回数の蓄積する。
無線タグより渡された指示の受取、閾値やカウント値を更新する振動が閾値を超える回数についての設定を変更する。
≪無線タグ≫ :データ解析装置から出力されたカウント値を含む信号を地上に設置されたリーダに送信する。
リーダから送信された指示を受信し、この指示をデータ解析装置へ伝送する。
〔閾値の設定変更3〕
第8実施形態、図19(c)を用いてその解決方法を具体的に説明した。
つまり、マンホール設備を点検するシステムの特徴は、以下に挙げる地下に設置された構成をとる。
≪センサ≫ :振動を検出、センサ出力信号を無線タグへ出力する。
≪無線タグ≫ :先のセンサ出力信号を受信、一定時間で振動が閾値を越える回数をカウント、カウント値を含む信号を地上に設置されたリーダに送信する。
リーダから送信された指示を受信、この指示を基に閾値やカウント値を更新する振動が閾値を超える回数についての設定を変更する。
[発明の効果]
マンホール内にセンサを設置したセンシングシステムは、マンホールの構造に影響を与える振動を的確に捉える。また、センサにより捉えた振動に関するデータを処理して、無線タグにより送信できる情報量とすることができる。さらに、そのマンホール内に設置したセンサにより捉えた振動のデータを無線タグにより送信できる信号に処理する際にもその振動の値について基準値/予め設定しされたその基準値を後の運用時でも変更・設定できる。これらそれぞれの効果について以下に項目として列挙する。
〔変動に合わせた適切な基準値を用いたマンホール情報の収集〕
マンホール上に応力を加える数回の測定実験で歪みや加速度が変化するものの、徐々に安定した値となりこれを閾値に用いる。これにより、センサが捉える歪みや加速度を対象とする変化する値にも対応して、適切にマンホール内の情報を収集できる。
〔センサ設置位置方向の最適化による的確なマンホール情報の収集〕
マンホール上から静的な/動的な応力が加わる場合に、マンホール内に歪みゲージや加速度センサを設置する場所や方向により、測定される歪みの値が異なるが、歪みゲージや加速度センサそれぞれに効果的にデータを取得できる設置場所や設置方向が決まっており、これらの歪みゲージや加速度センサの設置場所や設置方向で取得したデータを用いることで十分なマンホール内の情報収集を実現できる。
〔運用時の基準値の変更でより正確なマンホール情報の収集〕
双方向通信となることで地上からマンホールへの通信を用い、センサにより取得したデータを処理するため必要となる基準値を設定した後の運用時でも設定変更することができる。この設定変更により、マンホール毎にこのセンシングシステムを運用して収集されたデータから、個々のマンホールの状況に合わせより的確な情報を得られるようになる。
なお、上述した実施形態において、センサ200、無線タグ100、120、140、160、データ解析装置520、データ解析装置530等による機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、符号化処理、及び復号化処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
100・・・無線タグ、200・・・センサ、240・・・歪みゲージ、260・・・加速度センサ、300・・・リーダ、400・・・マンホール、510・・・データロガー、520・・・データ解析装置、530・・・データ解析装置、610・・・大型の走行車両、620・・・小型の走行車両

Claims (10)

  1. 地下に設置された振動測定対象の振動の大きさを検出し、センサ出力信号を出力するセンサと、
    前記センサ出力信号に基づき、一定時間において前記振動の大きさが閾値以上となる回数をカウントしてカウント値を出力するデータ解析装置と、
    前記データ解析装置から出力されたカウント値を含む信号を地上に設置されたリーダに送信する通信機器、
    を備えることを特徴とするセンシングシステム。
  2. 前記データ解析装置は、
    前記センサ出力信号に基づき、前記センサ出力信号の振幅が前記閾値以上であるか否かを判断して、前記センサ出力信号の振幅が閾値以上となった場合、閾値以上の振幅が検出されたことを示す信号を出力する判定部と、
    前記判定部が出力する信号が入力すると、前記センサ出力信号の振幅が閾値以上となった回数をカウントするとともに、カウントされた回数が予め決められているカウント回数に到達したか否かを判断し、前記カウント回数に到達した場合、前記カウント値を1つ次に進めるカウント出力生成部と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のセンシングシステム。
  3. 前記閾値は、
    複数の前記センサを前記振動測定対象に対して設置した状態において、前記振動測定対象に対して応力が与えられている状態で、前記センサが検出するセンサ出力信号の変動が一定の範囲に収束したときの前記センサ出力に基づき予め決定されることを特徴とする請求項1あるいは2に記載のセンシングシステム。
  4. 前記振動測定対象に対して与えられる応力として静止している物体からの荷重が与えられている静的状態において、前記センサ出力信号の変動が一定の範囲に収束したときの前記センサ出力に基づき、前記閾値が予め決定される場合、
    前記センサは、
    前記振動測定対象であるマンホールのうち地下に広がる地下空間と当該地下空間と地面とを連結する首部空間において、前記首部空間において前記地下空間と隣接するマンホールの側面である第1の領域、あるいは、前記地下空間の天井面において前記首部空間の位置よりも地上を走行する車両の進行方向側となる第2の領域のうち、少なくとも1つの領域に、少なくとも1つ設置されていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のセンシングシステム。
  5. 前記振動測定対象に対して与えられる応力として動いている物体からの衝撃が与えられている動的状態において、前記センサ出力信号の変動が一定の範囲に収束したときの前記センサ出力に基づき、前記閾値が予め決定される場合、
    加速度センサである前記センサは、
    前記振動測定対象であるマンホールのうち地下に広がる地下空間と当該地下空間と地面とを連結する首部空間において、前記首部空間のおけるマンホールの側面である第3の領域、あるいは、前記地下空間の天井面において前記首部空間の位置よりも地上を走行する車両の進行方向側となる第2の領域のうち前記首部空間に近い第4の領域のうち、少なくとも1つの領域に、少なくとも1つ設置され、
    歪みゲージである前記センサは、
    前記首部空間において前記地下空間と隣接するマンホールの側面である第1の領域、前記第2の領域、あるいは、前記首部空間において前記地上と隣接するマンホールの側面である第5の領域のうち、少なくとも1つの領域に、少なくとも1つ設置されていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のセンシングシステム。
  6. 前記データ解析装置は、
    制御信号を入力する入力部と、
    前記判定部により参照される前記閾値を前記制御信号に基づき設定する閾値設定部と、
    前記カウント出力生成部により参照される前記カウント回数を前記制御信号に基づき設定するカウント生成設定部と、
    を備えることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のセンシングシステム。
  7. 前記データ解析装置と前記通信機器とが、1つの装置に搭載されていることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載のセンシングシステム。
  8. 前記センサから出力されるセンサ出力信号を入力して、アナログ信号である前記センサ出力信号をデジタル信号に変換し、前記データ解析装置に出力するデータロガーをさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一項に記載のセンシングシステム。
  9. 地下に設置された振動測定対象の振動の大きさを検出し、センサ出力信号を出力するステップと、
    前記センサ出力信号に基づき、一定時間において前記振動の大きさが閾値以上となる回数をカウントしてカウント値を出力するステップと、
    前記カウント値を含む信号を地上に設置されたリーダに送信するステップ、
    を備えることを特徴とするセンシング方法。
  10. 地下に設置された振動測定対象の振動の大きさを検出するセンサからセンサ出力信号が入力する入力インターフェースと、
    前記センサ出力信号に基づき、一定時間において前記振動の大きさが閾値以上となる回数をカウントしてカウント値を、地上に設置されたリーダに送信する通信機器に出力する出力インターフェース、
    を備えることを特徴とするデータ解析装置。
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