従来、走行する自動車(車両)を用いて通信設備を点検するケーブル地上高測定システム(通信線の高さの測定、以下、「地上高システム」と呼ぶ)が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
図11は、従来技術による地上高システムの構成を示す概念図である。図11に示す地上高システムのための測定用車両1には、地上高センサ11、ノートPC架空施設センシング装置(ソフトウェア)12、GPS(Global Positioning System)13、ビデオカメラ14、BATT(蓄電池)15−1、15−2、DC/AC(直流/交流変換回路)16−1、16−2が搭載されている。
該測定用車両1は、車道の走行車線を走行しながら天井に設置した地上高センサ11を用いて、通信線の高さを測定する。ノートPC架空施設センシング装置12は、ソフトウェアによる実装で必要となる機能を実現しており、地上高センサ11の測定情報に基づいて、通信線の高さが、基準となる高さを満たすか否かを判定する。走行中の測定用車両1の場所は、GPS13により特定している。また、ビデオカメラ14により測定用車両1の前方の映像を撮影している。
そして、BATT15−1、15−2およびDC/AC16−1、16−2は、前述した地上高センサ11や、ノートPC架空施設センシング装置12、GPS13、ビデオカメラ14の電源を供給している。このような構成・機能を持つ地上高システムは、通信設備(通信線の高さ)が設置基準通りか確認するとともに、その通信設備の場所(GPS13にて特定)および概観の状態(ビデオカメラ14により撮影された映像)を記録に残す。
図12は、非特許文献1の地上高システムが測定対象とする通信線(ケーブル)を示す模式図である。図12には、上方から道路および走行する測定用車両1を見下ろす方向で描いたものである。図12から分かるように、地上高システムでは、車道を横断して、電柱20間に張られた通信線30が、走行車線を走行する測定用車両1の地上高センサ11による測定対象になる。
図13は、非特許文献1の地上高システムで扱うデータを示す概念図である。図13において、1つ1つのデータは、通信線の地上高40、走行する測定用車両の場所(位置)情報41、ビデオカメラ14により測定用車両前方の状況を撮影した映像(ビデオ撮影)情報42である。これらの情報が、測定用車両1が走行した移動分の連続的に繋がった情報として扱われる。斜線部分が通信線30のある箇所のデータであり、それ以外の(白色の部分の)箇所については、通信線30がないものの、測定用車両1が走行して取得した途中のデータである。
上述したような地上高システム(図11)に対して、無線タグを用いてマンホール現況調査、及びマンホール資産登録を行う、通信設備を点検するケーブル測定システムが考えられる。
図14は、無線タグを用いてマンホール現況調査、及びマンホール資産登録を行う設備状況調査システムの構成を示すブロック図である。図14において、マンホール300内に、無線タグ(ICタグ、電子タグ、RFタグ、RFID:Radio Frequency Identificationとも言われる)200を設置する。特に、無線タグ200として、電池を搭載して自ら電波を送信するアクティブ型タグを用いる。走行する自動車(以下、測定用車両)400にリーダ(読取装置、質問器、タグ受信機とも言われる。以下、リーダという)500を搭載して、無線タグ200からの電波を受信する。測定用車両400には、カーナビゲーションシステム(以下、カーナビという)600も搭載されている。該カーナビ600は、リーダ500からタグ200の受信情報を受け取る。
カーナビ600は、既存の機能として、GPS(Global Positioning System)機能部601、地図情報機能部602、表示機能部603、タグ受信情報取り込み部604、登録タグ情報記憶部605、場所・ID比較部606、および現状調査データ保持/更新部607を備えている。
GPS機能部601は、4つ以上の衛星からの電波を捉えてその電波の中に含む高精度の送信時刻情報を利用して、到達までに要する時間から距離を計算し、計算により得られた4つ以上の衛星からの距離から自身の位置(経度、緯度)を特定し、地図情報機能部602に供給する。地図情報機能部602は、GPS機能部601から供給される位置(経度、緯度)を、予め記憶されている地図情報上にプロットする。表示機能部603は、地図情報機能部602から供給される、GPS機能部601から供給される位置(経度、緯度)がプロットされた地図情報を表示する。
タグ受信情報取り込み部604は、リーダ500からのタグ受信情報(ID:Identifier(識別子))の取り込むインタフェースとして機能し、取り込んだタグ受信情報(ID)を場所・ID比較部606に供給する。登録タグ情報記憶部605は、車道の各所に設けられたマンホール300内に設置された複数のタグ200(図1では1つ)に対して、登録タグ情報(ID、場所:経度、緯度)を予め保持している。また、該登録タグ情報は、タグ200を設置した場合に新たに登録されたり、適宜、補正、更新されたりするが、この詳細については後述する。場所・ID比較部606は、登録されている該当無線タグの場所と、GPS測定による場所とを比較・照合する。現状調査データ保持/更新部607は、これら比較照合した結果を、該当タグのIDに対応付けて現状調査データとして保持/更新する。
図15は、無線タグを用いた通信設備(マンホール)の資産情報を登録する設備状況調査システムの構成を示すブロック図である。無線タグ200は、前述したマンホール現況調査を行う設備状況調査システムを示すブロック図(図14)と同じく、マンホール300内に設置される。リーダ500も同様に、走行する測定用車両400に搭載され、タグ200からの電波を受信する。
カーナビ600の機能として、GPS機能部601で衛星からの距離を基に位置を特定し、地図情報機能部602で、GPS機能部601から供給される位置(経度、緯度)を、予め記憶されている地図情報上にプロットし、表示機能部603で、地図情報機能部602から供給される自身の位置(経度、緯度)がプロットされた地図情報を表示する。タグ受信情報取り込み部604は、リーダ500からのタグ受信情報(ID:Identifier(識別子))の取り込むインタフェースとして機能し、取り込んだタグ受信情報(ID)をタグ設置場所・ID確定・登録部609に供給する。
タグ情報・場所設定部(位置補正を含む)608は、取り込んだタグ受信情報(ID)と上述したカーナビ600の既存の機能であるGPS機能部601により特定された場所との情報を用いて、該当無線タグ200の登録タグ情報としての場所を設定する(予め該当タグの登録タグ情報が登録されている場合には、そのGPS機能部601により特定した場所の情報で位置補正を行うこともある)。
このように、マンホール現況調査と資産登録は、無線タグ200をマンホール300に設置し、測定用車両400に搭載したリーダ500とカーナビ600とを用いて実施される。リーダ500により無線タグ200から送信される情報、無線タグ200のタグ受信情報を取得し、カーナビ600に用いるGPSにより地図上の位置を把握し、走行しながらマンホール300の現況調査、及び資産データ登録を簡便に行うことができるようになっている。
図16(a)、(b)は、設備状況調査システムにおける、マンホール点検作業とタグ寿命(電池寿命)との関係について説明するための概念図である。図16(a)には、道路上のマンホールの配置と測定用車両の走行状況とが示されており、道路上には、複数のマンホールA、B、C、Dがあるとする。また、図16(b)には、マンホールA〜Dにおいて、それぞれの蓋を開けて確認点検・保守作業を実施した時期と該時期からの経過状況(走行日:確認点検・保守作業日)とが示されている。それぞれのマンホールA、B、C、Dに対する確認点検・保守作業時期は異なる。なお、タグ200の電池寿命は、例えば、3年とする。
これらのマンホール現況調査、及びマンホール資産登録では、図16(b)に示すように、マンホールDに設置した無線タグ200の電池切れが生じると、点検作業を行い、無線タグ200の交換が必要になる。その無線タグ200の電池切れと交換との間は、マンホール現況調査ができなくなり、また、無線タグ200の交換時に資産データ登録が必要である。そこで、電池切れ前を知らせる無線タグ200を用いることが考えられる。
図17(a)、(b)、(c)は、各々、電池切れ前信号を送信する無線タグ200の構成、電池電圧の変化、送信信号(通常時)/(電池切れ前)を示す説明図である。図17(a)に示すように、電池切れ前信号を送信する無線タグ200には、電池201の電圧測定回路202が組み込まれている。この電圧測定回路202により図17(b)に示す電池の電圧変化を検知して、図17(c)に示す送信信号(通常時と電池切れ前)を知らせることができる。
図18は、保守予定日の設定について説明するためのタイムチャートである。図18には、上述した図16に挙げたマンホールA〜Dを例にして、上述の電池切れ前情報、現況調査のタイミング(間隔)、および保守予定日を示している。図18において、保守予定日は、その電池電圧がv1以下になってから設定されるが、保守予定日は、電池電圧がv2になってタグ200が動作しなくなる時点(t2)より前の日時に設定することができる。
このために、現況調査が期間Ts毎に行われ(例えば、Tsは4半期毎の3ヶ月単位で行われ)、タグ200の電池201の電圧が電池切れ前情報を送信する電圧v1から電池切れとなる電圧v2になるまでの期間Tdであれば(この例としてTd=t2−t1なのでTd=3年−2年4ヶ月ということで8ヶ月であれば)、電圧v1となる電池切れ前情報を取得してからTd−Ts=t2−t1−Tsの期間内(この例では、Td−Tsが5ヶ月以内)に保守予定日を設定すればよいことになる。
そして、図17(c)の送信信号(電池切れ前)を知ることで、図18に示す現況調査の期間と保守予定日との設定が可能となる。こうなれば、無線タグ200の寿命(電池切れ)前に保守予定日を設定し、無線タグ200の交換することができ、常に、マンホール300の現況調査が可能になる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
A.第1実施形態
本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本第1実施形態による、複数の無線タグを用いた通信設備(マンホール)を現況調査する設備状況調査システムの構成を示すブロック図である。なお、図14に対応する部分には同一の符号を付けて簡単に説明する。図1において、マンホール300内には、電池を搭載した2つのアクティブタグ(Tag−α)200a、(Tag−β)200bを設置する(以下、無線タグ200a、200b、または無線タグTag−α、Tag−βなどと表す)。走行する測定用車両400には、無線タグ200a、200bの電波を受信するリーダ500、及びカーナビ700が搭載される。
カーナビ700は、GPS機能部601、地図情報機能部602、表示機能部603、タグ受信情報取り込み部704、登録タグ情報記憶部705、場所・ID比較部706、および現状調査データ保持/更新部707を備えている。GPS機能部601、地図情報機能部602、表示機能部603については、図14に示すものと同じである。
タグ受信情報取り込み部704は、リーダ500からのタグ受信情報の取り込むインタフェースとして機能し、取り込んだ無線タグ200a、200bそれぞれのタグ受信情報(ID)を場所・ID比較部706に供給する。登録タグ情報記憶部(ID、場所)705は、車道の各所に設けられたマンホール300内に設置された複数の無線タグ200a、200bのそれぞれに対して、登録タグ情報(ID、場所:経度、緯度)を予め保持している。また、該登録タグ情報は、無線タグ200a、200bを設置した場合に新たに登録されたり、適宜、補正、更新されたりするが、この詳細については後述する。
場所・ID比較部706は,タグ受信情報取り込み部704から供給されるタグ受信情報(ID)に基づいて、事前に登録タグ情報記憶部705に登録しているタグの情報(ID、場所)から特定できる場所と、カーナビ700のGPS機能部601で測定された場所とを比較・照合する。
ここで、図2は、本第1実施形態による、登録タグ情報記憶部705での登録タグ情報のデータ構成を示す概念図である。図示するように、登録タグ情報は、無線タグ200a、200bのそれぞれのIDとその場所(位置)情報とを1組とした、全ての測定対象となるマンホール数に一致する離散的な情報である。
現状調査データ保持/更新部707は、その比較・照合した結果から、照合が一致していれば、現状調査データを保持し、もし不一致があれば、現状調査データを更新する。なお、場所・ID比較部706での比較・照合するデータ、あるいは、現状調査データ保持/更新部707で保持もしくは更新される現状調査データについても、図2に示すようなID(無線タグ)と場所(位置)情報の組となっている。
ここで、図3は、本第1実施形態において、走行する測定用車両と道路にあるマンホールとの位置関係等を説明するための模式図である。測定用車両400は、近傍のマンホール(この図3では正に反対車線の測定対象となるマンホール)300内に設置されたタグ200a、200bの電波を受信できる場所(マンホール300の周囲に破線で示す円320内が電波を受信可能な範囲で、具体的な数値としては、円320の半径で約5〜7m、円310は、受信レベルが高い範囲)を走行中である。この時点で測定用車両400に搭載したリーダ500は、その反対車線の測定対象となるマンホール300に設置された無線タグ200a、200bの情報を受信する。
前述した従来技術に挙げた図14に示すマンホール現況調査と、本第1実施形態で、図1に示す現況調査とが異なる点は、マンホール300に複数の無線タグ200a、200bが設置されており、それぞれの無線タグ200a、200bが電池で駆動するアクティブタグであり、これら無線タグ200a、200bが電池寿命Te(例えば、20ヶ月(1年8ヶ月))を有していることにある。
このマンホール300に設置した複数の無線タグ200a、200bの各々の電池切れ期間内には、マンホール300の蓋を開けた保守作業、ないし確認作業が実施されることになる。即ち、登録された無線タグ200a、200bの情報(ID、場所)において、同じ場所となる複数の無線タグ200a、200bの情報(ID)があることである。この同じ場所となる複数ある無線タグ200a、200bのIDを全て受信できたか否かを調査後に確認して、受信できていない同じ場所で登録された数の無線タグ(200a、または200b)のIDがなければ、その場所の通信設備100a、100bを点検予定するようにする。
本第1実施形態では、図1に示す複数の無線タグ200a、200bを用いることで、マンホール点検作業と寿命に係る課題として述べた、無線タグ200の電池切れを生じ、現況調査ができない期間が生じることを解消することができる。
図4は、本第1実施形態による、複数の無線タグ200a、200bを用いる場合の保守予定日の設定方法を示す概念図である。現況調査のタイミングは、期間Tc毎(図18のTsに相当するもの)であり、例えば、Tcは、6ヶ月毎(半年毎)とする。また、無線タグTag−α、Tag−βの電池切れ期間、つまり電池寿命は、Te(図18のTdに相当するもの)である。例えば、電池寿命Teが20ヶ月(1年8ヶ月)であれば、保守予定の設定期間は、Te/2−Tcと設定できる。期間Tc=6ヶ月、電池寿命Te=20ヶ月という事例では、この保守予定の設定期間は、Te/2−Tc=20/2−6=4ヶ月となる。
このように、現況調査のタイミングTc(例えば、Tc=6ヶ月)毎、電池寿命Te(例えば、Te=20ヶ月)のときに、保守予定の設定期間をTe/2−Tc(この例では、Te/2−Tc=4ヶ月)とする。このようにすれば、1つのマンホール300(保守対象となる通信設備100a、100b)に対して、2つの無線タグTag−α、Tag−βを設置することで、少なくとも1つの無線タグTag−α、または無線タグTag−βから常に電波を送信させることができる。図4に示すように、無線タグTag−α、Tag−βを保守・交換する仕方を適用することで問題が生じないことは後述する。
図4には、マンホール300として、4箇所のマンホールA”、B”、C”、D”を挙げている。これら4箇所のマンホールA”、B”、C”、D”には、各々、ある時点で、複数の無線タグTag−α(A”1)、Tag−β(A”1)、Tag−α(B”1)、Tag−β(B”1)、Tag−α(C”1)、Tag−β(C”1)、Tag−α(D”1)、Tag−β(D”1)が設置されている。これらの無線タグTag−α(A”1)〜Tag−β(D”1)は、時間経過とともに、電池切れを生じる。
したがって、現況調査を行い、無線タグTag−α(A”1)〜Tag−β(D”1)のいずれかからの電波が検出できない場合には、該当マンホール内の保守点検を実施し、電池切れとなった無線タグを新たな無線タグに交換する。図4には、そのような無線タグの交換も含めて示しており、マンホールA”では、無線タグTag−α(A”1)から無線タグTag−β(A”2)へ交換、マンホールB”では、無線タグTag−α(B”1)から無線タグTag−α(B”2)へ交換、無線タグTag−β(B”1)から無線タグTag−β(B”2)へ交換、マンホールC”では、無線タグTag−α(C”1)から無線タグTag−α(C”2)へ交換、マンホールD”では、無線タグTag−α(D”1)から無線タグTag−α(D”2)へ交換、無線タグTag−β(D”1)から無線タグTag−β(D”2)へ交換されている。
ここで,マンホールA”に注目してみると、測定用車両400による走行日(▼)には、1つの無線タグTag−α(A”2)からの電波のみしかリーダ500が受信できない。マンホールA”に設置されているもう1つの無線タグTag−β(A”1)については受信されないので、保守点検を予定する必要がある。マンホールD”においても同じように、一方の無線タグTag−β(D”2)からの電波しか受信できないので、保守点検を予定する必要がある。
これに対して、マンホールB”においては,2つの無線タグTag−α(B”2)、Tag−β(B”2)からの電波が受信できるので、暫く保守点検を予定する必要はない。同じように、マンホールC”においても、測定用車両400が走行していた時点で、2つの無線タグTag−β(C”1)、Tag−α(C”2)からの電波を受信できるので、点検を予定する必要はない。
以上のように、本第1実施形態によれば、適切な現況調査のタイミングと保守点検の予定を設定する期間(保守予定の設定期間)とを決めることで、1つのマンホール300当たり、複数のタグ200a、200bを用いて、マンホール300の現況調査や、保守点検の予定を的確に実施することができる。
これら図1、及び図4に示す、1箇所のマンホール300に複数の無線タグ200a、200bを用いる第1実施形態の利点は、前述した図17(a)に示すような、電池切れ前を知らせる無線タグ200を用いなくとも、普通のアクティブタグで対処することが可能となる。つまり、特別ではない複数の無線タグ200a、200bを用いることにより、図17(a)に示す電池の電圧測定回路202を備える構成で、同じく図17(b)のように変化する電池電圧を捉え、図17(c)に示す送信信号を送信する無線タグ200を必要としない。
また、複数の無線タグ200a、200bが設置されていることで、全数の無線タグ(この場合、2つの無線タグ200a、200b)から電波を受信できなくとも、一部の無線タグ(無線タグ200aまたは200bのいずれか一方)の電波を受信できれば、現況調査が可能となる。さらに、同じマンホール300で電波を受信できない無線タグ(無線タグ200aまたは200b)が確認できれば、次回の保守点検の予定日を設定するようにできる。
ところで、図4では、特に、複数の無線タグ200a、200bを用いるときの保守日の設定を、なぜこのようにしたかについて、特に、複数の無線タグ200a、200bを用いるときの保守日設定の注意点について、より詳細に説明する。
ここで、図5(a)〜(c)は、複数の無線タグTag−α、Tag−βを用いた場合に保守点検日を設定する際の課題を説明するための概念図である。図5(a)〜(c)には、各々、2つの無線タグTag−α、Tag−βを1つのマンホール300に取り付けて、一方の無線タグTag−α、またはTag−βの電池切れが発生した後、一定期間(Tc:例えば、図4と同じ6ヶ月(半年))内に、電池切れを起こした無線タグTag−α、またはTag−βを交換する形態を示している。
このように無線タグTag−α、またはTag−βに電池切れが発生した後、一定期間(Tc)内に交換する仕方が最も単純に考えられる形態である。そこで、図5(a)〜(c)には、その電池切れ後の一定期間(Tc)に保守取替えを行うタイミングがそれぞれに異なる場合を想定して示している。以下、この一定期間(Tc)に保守取替える形態において発生する課題について述べる。
まず、図5(a)には、電池切れ一定期間内の早い時期に保守取替えを行う場合、すなわち、一定期間(Tc:例えば、図4と同じ6ヶ月(半年)を期間Tcと想定して、この一定期間Tc)内の早いタイミングで保守取替えがあることが示されている。例えば、無線タグTag−α(X1)の電池切れから無線タグTag−α(X2)の取替えまで(例えば、図5(a)では、1〜2ヶ月の間)、また、無線タグTag−β(X1)の電池切れから無線タグTag−β(X2)の取替えまで(同じく、図5(a)で2〜3ヶ月の間)が一定期間(Tc:6ヶ月)内の早いタイミングで実施されている。
図5(a)において、8回目の電池切れ保守交換の間に、つまり、一方の無線タグTag−β(X4)の電池が切れた後で、無線タグTag−β(X5)に交換する間に、他方の無線タグTag−α(X5)の電池切れが起きて、マンホール300に設置している2つの無線タグTag−α、Tag−βの両方(この場合、Tag−β(X4)、Tag−α(X5))が電池切れとなる。
したがって、図5(a)に示すように、電池切れ一定期間内の早いタイミング(1〜3[ヶ月])で保守取替えを実施する場合には、保守回数を重ねると、複数の無線タグTag−α、Tag−βが同時に電池切れになる可能性がある。
図5(a)において、8回目の保守交換(Tag−β(X4)からTag−β(X5)への交換)時のように、設置している複数の無線タグTag−β(X4)、Tag−α(X5))が同時に電池切れになると、複数の無線タグTag−α、Tag−βを用いている意味、すなわち、常に1つの無線タグTag−α、またはTag−βのいずれかは電池切れにならず、電波を送信するようにした意味がない。このような状況は、従来技術で述べた、図16に示す無線タグ200の電池切れにより現況調査ができない期間が生じることと等しい。
次に、図5(b)には、電池切れ一定期間内の遅い時期に保守取替えを行う場合、すなわち、2つの無線タグTag−α(Y1)、Tag−α(Y2)、Tag−α(Y3)、…、Tag−β(Y1)、Tag−β(Y2)、Tag−β(Y3)、…のそれぞれの電池切れ後の一定期間(Tc:例えば、図4や、図5(a)と同じ6ヶ月(半年)の期間)内の遅いタイミング(例えば、図5(b)では、3〜5ヶ月間)で無線タグの保守取替えを行うことが示されている。
加えて、図5(b)には、特に、一方の無線タグTag−α(Y1)、Tag−α(Y2)、Tag−α(Y3)、…の取替え(図5(b)では、4〜5ヶ月間)が、他方の無線タグTag−β(Y1)、Tag−β(Y2)、Tag−β(Y3)、…の取替えタイミング(同じ図5(b)で、3〜4ヶ月間)より若干遅い場合が示されている。
このような場合も、保守回数を重ねると、図5(b)では、2つの無線タグTag−α(Y5)、Tag−β(Y4)とも電池切れという状態が生じてしまうという課題がある。
つまり、図5(b)に示すように、無線タグTag−α、またはTag−βの電池切れ後で、一定期間Tc(6ヶ月)内の遅いタイミングに(3〜5ヶ月間に)、無線タグTag−α、またはTag−βを保守取替えたとしても、保守回数を重ねると、複数の無線タグTag−α、Tag−βが同時に電池切れになる可能性がある。このような状況が発生すると、図5(a)と同じように、複数の無線タグTag−α、Tag−βを用いている意味がない(常に、少なくとも1つの無線タグTag−α、またはTag−βは電池切れにせず、電波を送信するようにする目的が達成できない)。
あるいは、図5(c)に示すように、一定期間(Tc:これまでの図4、図5(a)、及び図5(b)と同じく6ヶ月)内での保守取替えで、明確に一方の無線タグTag−α(Z1)、Tag−α(Z2)、Tag−α(Z3)、…の電池切れ後の交換・取替えが早く(1〜2ヶ月間)、他方の無線タグTag−β(Z1)、Tag−β(Z2)、Tag−β(Z3)、…の取替えが遅い(4〜5ヶ月間)場合を検討する。
図5(c)の場合においては、保守・取替えを重ねる回数が5回と、これまで図5(a)や、図5(b)の保守回数である8回と比較すると少ない回数でも、設置している複数の無線タグTag−α(Z3)とTag−β(Z2)が同時に電池切れになる。複数のタグTag−α、Tag−βが設置されて、それらの電池切れの後で保守・取替えのタイミングに大きな差があれば、保守・取替えを重ねる回数が比較的少なくても、同時に設置されている無線タグTag−α、Tag−βの双方の電池が切れ、電波を送信していない状態が生じる。
以上、図5(a)〜(c)で示すように、保守・取替えが一定期間(Tc)内とする幾つか異なるタイミングで、無線タグTag−α、Tag−βを交換する例について検討した。図5(a)〜(c)に示すような複数の無線タグTag−α、Tag−βを設置した場合に、どれか1つの無線タグTag−α、またはTag−βの電池が切れ、その後の一定期間(Tc)内に保守取替えを行う場合には、設置している無線タグTag−α、Tag−βの双方が同時に電池切れる可能性がある。設置された複数の無線タグTag−α、Tag−βを電池切れの後一定期間内で取替える方法自体は、設置された複数の無線タグTag−α、Tag−βから常に電波を送信しているようにする目的を達成できず無駄になる。そこで、複数の無線タグTag−α、Tag−βを用いる場合には、常に何れかの無線タグTag−α、またはTag−βが電波を送信する必要がある。以下に、常に何れかの無線タグTag−α、またはTag−βが電波を送信する方法について説明する。
図6(a)〜(c)は、本第1実施形態において、設置された複数の無線タグTag−α、Tag−βが同時に電池切れの状態を回避する解決方法を説明するための概念図である。該解決方法とは、前の保守(一方の無線タグTag−α、またはTag−βが電池切れする前に、他方の無線タグTag−β、またはTag−αの保守取替えをした)時点から、ある期間(Te/2=20ヶ月/2=10ヶ月、Teは電池寿命)を経てから、一定期間(Te/2−Tc=10ヶ月/2−6ヶ月=4ヶ月、Tcは現況調査のタイミング)内に取替えを行うことである。
図6(a)〜(c)には、図5(a)〜(c)の課題を検討した場合と同様に、3つケースでの複数の無線タグTag−α、Tag−βを保守・交換する例について示している。まず、1つ目の図6(a)には、前の保守から、ある期間(Te/2=10ヶ月、ここでTeは電池寿命)後の一定期間(Te/2−Tc=4ヶ月、ここでTcは現況調査のタイミング)内の早いタイミング(1〜2ヶ月内)で保守取替えを行う場合を示している。
図6(a)において、設置されている一方のタグTag−α(X1)、Tag−α(X2)、Tag−α(X3)、…の保守・交換は、前の保守から、ある期間(Te/2=10ヶ月)後の一定期間(Te/2−Tc=4ヶ月)内の早いタイミング(ここでは、1ヶ月内)であり、他方のタグ(Tag−β(X1)、Tag−β(X2)、Tag−β(X3)、…を交換するタイミング(ここでは、1〜2ヶ月の期間内)よりも早くしている。図6(a)に示す場合には、図5(a)で無線タグTag−α、Tag−βの保守交換を重ねると、設置された複数の無線タグTag−α、Tag−βが同時に電池切れで電波の送信が止まるという問題があることとは違い、何度も無線タグTag−α、Tag−βの保守交換を繰り返しても、複数の無線タグTag−α、Tag−βが電池切れにより同時に電波の送信が止まるような問題を生じることがない。
次に、図6(b)には、前の保守から、ある期間(Te/2=10ヶ月、ここでTeは電池寿命)後の一定期間(Te/2−Tc=4ヶ月、ここでTcは現況調査のタイミング)内の遅いタイミング(ここでは、3〜4ヶ月内)で保守取替えを行う場合を示している。図6(b)において、設置されている一方の無線タグTag−α(Y1)、Tag−α(Y2)、Tag−α(Y3)…の保守・交換は、前の保守からある一定期間(Te/2−Tc=10ヶ月)後の一定期間(Te/2−Tc=4ヶ月)内の遅いタイミング(ここでは、3〜4ヶ月内)で行われる。
他方の無線タグTag−β(Y1)、Tag−β(Y2)、Tag−β(Y3)、…を保守交換するタイミング(ここでは、2〜3ヶ月内)は、上述した一方の無線タグTag−α(Y1)、Tag−α(Y2)、Tag−α(Y3)…を保守交換するタイミング(上述した3〜4ヶ月内)と違って、少し早くしている。
図6(b)に示す場合も、無線タグTag−α、Tag−βの保守交換を重ねると、複数の無線タグTag−α、Tag−βが同時に電池切れにより電波の送信が止まるようなことはなく、何度も無線タグTag−α、Tag−βの保守交換を繰り返しても、複数の無線タグTag−α、Tag−βが同時に電池切れせずに、常に少なくとも1つの無線タグTag−α、またはTag−βは電波を送信する。
そして、最後の図6(c)には、前の保守からある期間(Te/2=10ヶ月、ここでTeは電池寿命)後の一定期間(Te/2−Tc=4ヶ月、ここでTcは現況調査のタイミング)内で、一方の無線タグTag−αの保守取替えは(ここでは、1〜2ヶ月内と)早く、他方の無線タグTag−βは(ここでは、3〜4ヶ月内と)遅い場合を示している。
図6(c)では、一方の無線タグTag−α(Z1)、Tag−α(Z2)、Tag−α(Z3)、…を保守・交換するタイミングが、前の保守からある一定期間(Te/2=10ヶ月)後の一定期間(Te/2−Tc=4ヶ月)内の早い場合(ここでは、1ヶ月内)である。他方の無線タグTag−β(Y1)、Tag−β(Y2)、Tag−β(Y3)、…を保守交換するタイミング(ここでは、3〜4ヶ月内)は遅い。つまり、この他方の無線タグTag−βを保守交換するタイミング(直前の3〜4ヶ月内)は、前述した一方の無線タグTag−αを保守交換するタイミング(その3〜4ヶ月内)と明確に違いがあるように早くしている。
図6(c)に示す場合も、図4(c)で示した場合のように、無線タグTag−α、Tag−βの保守交換を重ねても、同時に複数の無線タグTag−α、Tag−βが電池切れになって電波の送信が止まることはなく、何度も無線タグTag−α、Tag−βの保守交換を繰り返しても、複数の無線タグTag−α、Tag−βが同時に電池切れせず、常に少なくとも1つの無線タグTag−α、またはTag−βは電波を送信する。
以上のように図6(a)〜(c)のいずれの場合においても、少なくとも1つの無線タグTag−α、またはTag−βが常に動作しており、全ての無線タグTag−α、Tag−βが同時に電池切れになるような問題は発生しないし、また、一方の無線タグが電池切れになった状況で、取替え保守を効率的に行うことができる。
ここまでの説明で分かるように、重要になるのは、電池切れとなった無線タグTag−α、またはTag−βを保守交換するタイミングを決めるために必要になる同じマンホール300に設置された他方の無線タグTag−β、またはTag−αを取り付けた保守日である。そこで、該マンホール300に設置される複数の無線タグTag−α、Tag−βに関する情報については、図7(a)に示すように、各マンホール300に設置される複数の無線タグにおけるID(無線タグ)、場所(位置)情報、保守日を、後述する処理により登録し、保存して所持している。
該3種類のデータ内で、場所(位置)情報と保守日とについては、同じマンホール300内に設置している複数の無線タグTag−α、Tag−βに関してそれぞれ1つにまとめて扱うこともできる。つまり、図7(a)に示すように、同じマンホール300に2つの無線タグTag−α、Tag−βが設置される場合には、一方の無線タグTag−α分の場所(位置)情報と保守日とを省くこともできる。また、同じマンホール300に2つの無線タグTag−α、Tag−βが設置される場合には、図7(b)に示すように、2つの無線タグTag−α、Tag−βの情報を共有するようにしてもよい。
ここで、場所(位置)情報は、複数の無線タグを同じマンホール300に設置していることから、特に、それぞれ、場所(位置)情報を2つ分持つことは冗長であった点を改善している。また、他方で省略された保守日については、マンホール300に設置している2つの無線タグTag−α、Tag−βのうち、より新たに実施した保守日とする。この保守日は、次に他方の無線タグTag−βが電池切れになり、無線タグTag−βを交換する予定期間を決めるために必要となる情報である。
上述した第1実施形態によれば、電池切れ前信号を送信しない簡易なアクティブ無線タグであっても、1つの通信設備(例えば、マンホール300)毎に複数の無線タグを設置することで、これら複数の無線タグの何れか一部の無線タグからの電波のみ受信すれば、点検保守を予定することができる。このような対処をすることで、通信設備毎に設置した無線タグからの電波を常に(複数の無線タグのどれかの電波が)受信可能となり、現況調査が確実に実施するこができる。
B.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図8は、本第2実施形態による、複数の無線タグを用いた通信設備(マンホール)を現況調査する設備状況調査システムの構成を示すブロック図である。なお、図1に対応する部分には同一の符号を付けて簡単に説明する。
カーナビ800は、GPS機能部601、地図情報機能部602、表示機能部603、タグ受信情報取り込み部804、場所・ID比較部805、タグ情報・場所設定部(位置補正を含む)806、タグ設置場所・ID確定・登録部807、およびタグ設置データ補正部(ID、場所)808を備えている。GPS機能部601、地図情報機能部602、表示機能部603については、図1、図14に示すものと同じである。
タグ受信情報取り込み部804は、マンホール300に設置された複数の無線タグ(Tag−α:これまで既に設置されていたタグ)200a、(Tag−β:保守取替えで新たに設置したタグ)200bから送信されたタグ受信情報を、リーダ500が受信しているので、該リーダ500からタグ受信情報(ID)を取り込み、取り込んだ無線タグTag−αのタグ受信情報(ID)を場所・ID比較部805に供給し、無線タグTag−βのタグ受信情報(ID)を、タグ設置場所・ID確定・登録部807に供給する。
場所・ID比較部805は、既に設置されたままの状態にある無線タグTag−αのID情報に基づいて、より詳細な場所を求め、タグ情報・場所設定部(位置補正を含む)806に供給する。また、タグ情報・場所設定部(位置補正を含む)806は、保守取替えを行って新たに設置した無線タグTag−βについて、カーナビ800の既存の機能であるGPS機能部601により特定された場所の情報を用いて、無線タグTag−βの場所を設定する。このとき、場所・ID比較部805により求められた無線タグTag−αの場所情報に基づいて、同じマンホール300に新たに設置される無線タグTag−βの場所を補正してもよい。
タグ設置場所・ID確定・登録部807は、タグ受信情報取り込み部804からの無線タグTag−βのタグ受信情報(ID)と、タグ情報・場所設定部(位置補正を含む)806からの無線タグTag−βの設置場所とIDとを確定して登録する。タグ設置データ補正部(ID,場所)808は、一旦、無線タグTag−βの情報が登録された場合に、そのGPS機能部601により特定した場所の情報や、場所・ID比較部805により他の無線タグTag−αの情報で位置補正を行う。
ここで、図9(a)、(b)は、無線タグから電波の受信可能な距離とGPS測定による誤差とを示す概念図である。ここでは、各々の値を次のように決める。無線タグTag−βから電波の受信可能な距離をD−tagとし、GPS測定による誤差をE−gpsとすると、照合の判定での許容ずれは、Dc=D−tag+E−gpsである。例えば、具体的に想定する値として、D−tag=7[m]、E−gps=30[m]と仮定するならば、照合の判定での許容ずれは、Dc=37[m]となる(図9(a)に示す「照合の判定での許容ずれ」)。すなわち、照合判定での許容ずれDcは、無線タグTag−βからの電波の受信可能な距離D−tagとGPS測定による誤差E−gpsとの和となる。
一方、登録(更新)で求められるずれ(Dr)は、照合の判定での許容ずれDcと同程度では不都合である。この理由としては、登録(更新)されている情報に基づいて照合を行うため、もし仮に照合時に許容するずれの程度を登録(更新)においても受け入れると、結果的に本来求める場所からの最も大きなずれは、その許容した2倍のずれとなってしまう。先の例で照合の判定での許容ずれDc=37[m]から単純に考えれば、その本来求める場所からの最も大きなずれが74[m]となり許容できない(別の通信設備を間違えて現況調査をしてしまう恐れも生じる)程に大きなものとなる。これが、従来技術で説明した、資産登録における高い位置精度が求められる理由である。
そこで、照合での不一致がある場合のデータ更新については、上述した図7を参照した説明の処理(登録)と実質的に同じである。但し、先ほどのタグ200からの受信可能な距離や、GPS測定の誤差などを考慮した対応を要する。
図9(b)に「登録(更新)に求められるずれ」を示す。まず、タグ200からの電波の受信に関しては、単にリーダ(受信機)500が受信可能となるレベルの電波を受信するのではなく、ある閾値を上回る強いレベルの電波をリーダ500で受信するようにする。このようにすることにより、図9(b)に示すように、タグ200から強い電波のレベルで受信可能な距離D−tag_sを、上述したタグ200から電波の受信可能な距離D−tagよりも、さらに狭い範囲にすることができる(D−tag_s<D−tag)。例えば、具体的な数値として、D−tag_sは2[m]程度になる。
次に、GPS測定から求められる場所については、地図情報に基づいて補正する。例えば、測定用車両400が走行中であれば、地図情報での道路上にあることからGPS測定で求められた場所が道路から外れた場所なら道路に沿う場所へ補正することができる。また、走行中での右左折した地点からどの程度の距離を走行したかという経路情報を使うことで、単に道路に沿う場所だけでなく、その道路での場所も分かるので、GPS測定の場所をさらに的確に補正することができる。
このように、GPS測定から地図情報に基づいて補正された際の誤差E−gps+は、上述した単にGPS測定による誤差に比べて改善される(E−gps+<E−gps)。具体的な数値として、ここでは、例えば、E−gps+を3[m]と想定する。これらのタグ200から強い電波のレベルで受信可能な距離D−tag_sと、GPS測定から地図情報に基づいて補正された際の誤差E−gps+とにより、登録(更新)で求められるずれDr(=D−tag_s+E−gps+=5[m])を小さく抑制することができる。すなわち、無線タグTag−βから強い電波のレベルで受信可能な距離D−Tag_sとGPS測定から地図情報に基づき補正した際の距離E−gps+との和である。
この高い位置の精度Drで求められた情報が、1箇所の通信設備100において複数の無線タグ200a、200bを用いることで、これらの無線タグ200a、200bの保守交換においても順次引き継がれている。したがって、電池切れになった無線タグ200aの保守交換においても、既に求められた詳細な場所を用いて、無線タグ200aを設定した場所とタグIDとを組(図2−タグを使う設備状況調査で取込むデータにおける登録データ構成を参照)として確定し登録する。また、既にその登録タグ情報記憶部に一旦登録されている無線タグ200aが設置されていることに関するデータ(ID、場所)を補正することもある。
このようにして、マンホール300に設置した複数の無線タグ200a、200bを用いることで、前述した従来技術に比べ、簡単により詳細に場所を確定でき、走行する自動車(測定用車両)400から通信設備100の資産情報の登録データを作成することができる。すなわち、資産登録の場合(特に、電池切れによるタグを交換する場合)に、GPS測定や、無線タグの電波を受けて特定する設備の位置に生じる誤差を補正するような面倒な作業を無くし、同じ通信設備に設置されているタグの登録データを引き継ぐことにより登録データを生成することができる。
なお、図8を参照して説明した4つ目の「タグ設置のデータ補正部(ID、場所)808」において、図7に示す「登録における別タグのデータ上の位置情報の活用」がある.この点をより具体的に説明しておく。
あるマンホール300には、2つの無線タグTag−α(200a)、Tag−β(200b)が設置されおり、これらのうち、無線タグTag−βが電池切れとなり、交換が必要になった場合を想定する。図7に示す行列状に挙げた、ある行が今回対象になる1箇所のマンホール300に当たる。該当行において、一方の無線タグTag−α(200a)は、電池切れを起こしていないので、電波を送信し続けている。該無線タグTag−αからの電波には、該無線タグTag−αの識別子IDが含まれており、図7に示すデータと照合して確認できる。他方の無線タグTag−β(200b)は、電池が切れ動作不能の状況になっているので、電波を送信できない。当然のこと、該無線タグTag−βのIDを照合して確認できない。
そこで、無線タグTag−βを新たな無線タグへ取り換える予定日(次の保守日)を、図7に示すデータを参照して決定する。このとき、同じマンホール300に設置されている、一方の無線タグTag−αの識別子IDを元に、図7に記憶されている保守日が読み出され、無線タグTag−βを取り換える予定日を決定するための情報として用いられる。
また、無線タグTag−βを取り換えて、該新たな無線タグTag−βの情報を、図7に登録する際には、該無線タグTag−βの場所(位置)情報として、一方の無線タグTag−αと同じ場所(位置)情報が継承され活用される。これにより、新たな無線タグTag−βをデータに登録する際の普段のGPSより高い精度の位置情報を取り直す手間も省くことができる。
上述した第2実施形態によれば、少なくとも1つの通信設備(例えば、マンホール300)毎に設置されている一部の無線タグから常に電波を送信することができるので、該電波を受信した情報を用いて、既に登録されている高い位置の精度を持つ情報を引き継ぐことで、交換する無線タグに関して正確な位置情報を含む資産登録を行うことができる。