JP5333217B2 - ポリ乳酸樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物に関し、詳しくは、ポリ乳酸樹脂に特定のポリエステルポリオール及び結晶核剤を混合・分散させることによって、成形時におけるポリ乳酸樹脂の結晶化速度を向上させると共に、耐熱性、耐衝撃性を向上させたポリ乳酸樹脂組成物に関する。
近年、石油由来の樹脂に代替する材料として、自然環境下で微生物による分解が可能な、いわゆる生分解性樹脂が注目を浴びている。このような生分解性樹脂として、既に、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリヒドロキシバリレート、ポリ乳酸などの各種樹脂が実用化されつつある。その中でも特にポリ乳酸は、トウモロコシ等の植物が光合成を経て生成するでんぷんを発酵させることにより得られる乳酸を原料とするため、植物由来のプラスチックとして注目を浴びている。
ポリ乳酸は、剛性に優れ、更に、非晶質状態では透明性に優れるものの、ガラス転移点(Tg)が60℃程度とポリエチレンテレフタレート(PET)と比べ約15℃ほど低く、高温条件下、例えば食品用の包装容器などに使用した場合の電子レンジによる加熱時に熱変形を起こす等の欠点がある。
そのため、耐熱性を付与するため、成形加工時に金型内で結晶化させたり、成形後に成形品をアニール処理して結晶化させることが行われている。しかしながら、ポリ乳酸の結晶化速度が遅いため、金型内での結晶化は時間を要し、工業的に有利な方法とは言えず、また、アニール処理による後結晶化は成形品が結晶化する過程で変形し易い等の欠点がある。
ポリ乳酸の結晶化速度を高める方法として、タルクや紙粉などの結晶核剤を添加する方法が知られており、これらの結晶核剤と可塑剤とを併用することも行われている(特許文献1,2)。しかしながら、可塑剤を併用した場合、添加した可塑剤の樹脂表面へにじみ出し、所謂ブリードアウトの問題があり、耐ブリードアウト性と耐熱性を両立させることは困難である。
特開2005−133076号公報 特開2002−146170号公報
本発明が解決しようとする課題は、ポリ乳酸樹脂の結晶化によって耐熱性を高めた樹脂組成物を得る場合において、一般的な結晶核剤を使用し、工業的にコストを掛けずに、結晶核剤の分散、微粒子化を実現し、短時間で結晶化を進め、耐熱性を向上させたポリ乳酸樹脂組成物を得ることである。また、ポリ乳酸樹脂組成物用に添加する際に、結晶核剤の分散性に優れ耐ブリードアウト性に優れたポリエステルポリオールを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のポリエステルポリオールと結晶核剤を組み合わせることより、ポリ乳酸の結晶化速度を速め、耐熱性を向上させたポリ乳酸樹脂組成物を得ることが出来るとの知見を得、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の要旨は、少なくとも、ポリ乳酸樹脂、ポリエステルポリオール及び結晶核剤を含有してなるポリ乳酸樹脂組成物において、ポリエステルポリオールが、コハク酸、グルタル酸及びアジピン酸から選択された1種又は2種以上のカルボン酸と、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールから選択された1種又は2種のアルコールより得られるエステル化反応物であり、ポリ乳酸樹脂100重量部に対する、ポリエステルポリオールの割合が0.1〜20重量部、結晶核剤の割合が0.1〜50重量部であることを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物に存する。
そして、本発明の第2の要旨は、記載のポリ乳酸樹脂組成物の製造方法であって、ポリエステルポリオール中に結晶核剤を分散させた後にポリ乳酸樹脂と混合することを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物の製造方法に存する。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、結晶化速度が速いため、短時間で、耐熱性および耐衝撃性の優れた結晶性ポリ乳酸樹脂成形物を得ることが出来る。また、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、本発明で使用するポリエステルポリオールがポリ乳酸樹脂との相溶性に優れるため、耐ブリードアウト性に優れている。更に、本発明で使用するポリエステルポリオールは、結晶核剤、特に無機系の結晶核剤や植物由来繊維系の結晶核剤となじみが良いため、結晶核剤をポリ乳酸樹脂の均一に分散させることが出来、大きな結晶核剤効果、すなわち結晶化速度向上を達成でき、耐熱性の高い成形物を与える。特にポリエステルポリオールとして、コハク酸とトリエチレングリコールから得られるエステル化反応物を使用した場合に上記の効果が顕著となる。
本発明に使用されるポリ乳酸樹脂とは、L−乳酸及び/又はD−乳酸を主要構成成分とする縮重合物である。本発明のポリ乳酸樹脂としてはこれらの乳酸以外の構成成分を0.01〜10重量%含んでいてもよい。乳酸以外の構成成分としては、コハク酸、グルタル酸、アジビン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸テレフタル酸などの多価カルボン酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールが挙げられる。
また、ポリ乳酸樹脂の光学純度は耐熱性の観点から高いほうが好ましい。L−乳酸又はD−乳酸の全乳酸構成成分に対する割合は、通常90%以上、好ましくは95%以上である。なお、目標物性に応じ、ポリ乳酸樹脂を他の熱可塑性樹脂と混合して使用してもよい。
本発明に使用されるポリエステルポリオールは、コハク酸、グルタル酸及びアジピン酸から選択された1種又は2種以上のカルボン酸と、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールから選択された1種又は2種のアルコールより得られるエステル化反応物である。
原料カルボン酸の70重量%以上が、コハク酸、グルタル酸又はアジピン酸、或いはこれらから選ばれたカルボン酸の混合物であれば、他の多価カルボン酸、例えば、フタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸などを併用してもよい。また、原料アルコールの70重量%以上が、ジエチレングリコール又はトリエチレングリコール或いはこれらの混合物であれば、他の多価アルコール、例えば、エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジール、グリセリン、トリエタノールプロパン等を併用してもよい。なお、これらの多価のカルボン酸や多価アルコールに加え、更に、オクタン酸、ノナン酸、安息香酸などのモノカルボン酸や、オクチルアルコール、ノニルアルコール等のモノアルコールを少量併用することでポリエステルポリオールの特性を変性することも可能である。
これらのポリエステルポリオールのうち、ポリエステルポリオールの物性の制御、ポリ乳酸樹脂に添加した際の効果などの点から、カルボン酸の70重量%以上をコハク酸とし、アルコールの70重量%以上をトリエチレングリコールとして得られるものが好ましく、カルボン酸の全量をコハク酸とし、アルコールの全量をトリエチレングリコールとしたものが最も好ましい。
ポリエステルポリオールは、公知の方法に従って、前記のカルボン酸成分とアルコール成分を原料としたエステル化反応により得られる。エステル化反応では、一般に、エステル化触媒として酸触媒が使用される。酸触媒として使用されるルイス酸としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のオルトチタン酸エステル、ジエチル錫オキシド、ジブチル錫オキシド等の錫系化合物、酸化亜鉛などの金属化合物が挙げられる。また、ルイス酸の他には、パラトルエンスルホン酸などのブレンステッド酸を使用しても構わない。これらの触媒の使用量は、原料のカルボン酸とアルコール成分の合計100重量部に対し、通常0.01〜1.0重量部、好ましくは0.01〜0.2重量部、更に好ましくは0.01〜0.1重量部である。
エステル化反応は、原料カルボン酸成分に対する原料アルコール成分の割合が1.05〜1.50モル比の条件下に行なう。かかる条件により、得られるエステル化反応物(ポリエステルポリオール)は、アルコール成分が過剰のため末端にアルコール性水酸基(−OH)を有することになる。上記仕込みモル比によって水酸基価(OH価)が決まり、従って仕込み比で水酸基価(OH価)を調節できる。原料種により多少異なるが、例えばコハク酸とトリエチレングリコールの場合、上記仕込みモル比を1.15にすると水酸基価(OH価)は55mgKOH/gになり、仕込みモル比を1.35にすると水酸基価(OH価)は150mgKOH/gとなる。
原料カルボン酸成分に対する原料アルコール成分の割合が1.05モル比未満、すなわち水酸基価(OH価)25mgKOH/g未満では、エステル化反応の完結が困難になる。また、得られるポリエステルポリオールの粘度が高くなり、常温での流動性が失われ取り扱いが困難になる。一方、1.50モル比を超えると、すなわち水酸基価(OH価)170mgKOH/gを超えると、ポリ乳酸樹脂に添加した場合に無視出来ないブリードアウトが生じる。好ましい水酸基価(OH価)の範囲は40〜160mgKOH/gである。
エステル化反応の反応温度は、通常150〜250℃、好ましくは180〜230℃である。例えば、150℃で反応を開始し、反応の進行に伴って230℃まで徐々に昇温するような条件であれば、反応を制御し易い。また、反応圧力は、常圧でも構わないが、副生する水を系外に除去し、反応を速やかに完結させるため、反応の進行に伴って、徐々に減圧するとよい。ただし、反応時の減圧度が不足するとエステル化反応の完結度が低くなり、酸価の高いポリエステルポリオールが生成する。一方、反応時に過度に減圧にすると、アルコール成分が系外に留去され収率を損なうばかりか、高分子量のポリエステルポリオールが形成され、得られたポリエステルポリオールの粘度が著しく上昇して取り扱いが困難となる。従って、適切な到達反応圧力は、反応温度によっても異なるが、例えば、反応温度が200℃の場合、通常1〜30kPa、好ましくは2〜20kPaである。勿論、目標とするポリエステルポリオールの水酸基価(OH価)、原料の種類、使用量によっては、上記の圧力範囲以外の条件で反応を行っても構わない。また、減圧にする代わりに、トルエン、キシレン等の有機溶媒を少量併用して副生する水を系外に共沸させて除去しても構わない。
通常、反応の終点は、使用したカルボン酸成分の未反応カルボキシル基の量で決定する。未反応のカルボキシル基の量(すなわち酸価)は、出来るだけ低い方が好ましく、通常5mgKOH/g以下、好ましくは3mgKOH/g以下、更に好ましくは1mgKOH/g以下である。
ポリエステルポリオールの添加量は、ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、0.1〜20重量部、好ましくは、3〜10重量部である。添加量が0.1重量部未満では添加効果が認められず、逆に20重量部を超える添加量は、成形物の耐熱性低下やブリードアウトの原因となる。
本発明に使用されるポリエステルポリオールは次の特性を有する。(1)末端がアルコール性OH基で、適度な極性を有し、このため、タルク等の無機天然物の微粒子及び植物由来繊維の結晶核剤に対する濡れ性が良く、(2)一方で、ポリ乳酸樹脂との相溶性がある。このため、本発明に使用されるポリエステルポリオールは、結晶核剤の分散性を向上させ、ひいては、ポリ乳酸の結晶化速度向上してポリ乳酸樹脂成形物の耐熱性と耐衝撃性向上をもたらす。
結晶核剤として、有機/無機、天然/合成、微粒子/繊維など、種々のものが提案されている。本発明に使用される結晶核剤は、特に限定されないが、本発明に使用されるポリエステルポリオールに対して濡れ性の高いものが好ましい。例えば、無機天然物の微粒子(粒径1〜10μm)としては、タルク、カオリン、モンモリナイト等が挙げられる。植物由来繊維では、紙粉、木粉、ケナフ繊維、ヘンプ繊維、ジュート繊維などが挙げられる。これらのうち、入手し易く、また、本発明に使用されるポリエステルポリオールとのなじみの良さから、タルクや紙粉が好ましい。その他、有機結晶核剤としては、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アミド、安息香酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
結晶核剤の添加量は、成形物に求められる物性に依存するために一概には言えないが、ポリ乳酸樹脂100重量部に対し、通常0.1〜50重量部、好ましくは0.2〜10重量部である。0.1重量部未満では添加効果が殆ど認められず、50重量部を超えると成形物の物性が低下する恐れがある。
ポリ乳酸樹脂への結晶核剤、ポリエステルポリオール及びその他添加剤の添加手順は、特に限定されないが、結晶核剤とポリエステルポリオールを事前に混合し、結晶核剤をポリエステルポリオールに分散した後にポリ乳酸と溶融混合するのが好ましい。また、事前に混合・分散する際、同時に結晶核剤を粉砕し、微細化する(混合・粉砕・分散)ことが出来れば更に好ましい。ポリエステルポリオール中に結晶核剤を混合・分散させる際に結晶核剤を粉砕するならば、耐熱性、耐衝撃性が更に向上する。
結晶核剤を混合・分散する方法としては、ヘンシェルミキサーのような公知の混合装置を使用すればよいが、後述の実施例においては、ガラス板上でヘラを使用して結晶核剤とポリエステルポリオールを混合した。
結晶核剤を混合・粉砕・分散する方法としては、結晶核剤とポリエステルポリオールの混合比によって適当な装置を選ぶことが出来る。装置の種類は、結晶核剤の物性に依存するために一概には言えないが、結晶核剤/ポリエステルポリオールの重量比が約1/2以上の場合はバッチ式又は連続式ニーダーが適しており、約1/2以下の場合はビーズミル又はホモジナイザーが適している。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り「重量部」及び「重量%」である。
<ポリエステルポリオールAの調製>
還流冷却機、加熱装置、温度計、圧力計などを装備した容積が1リットルのガラス製反応器に、コハク酸478g、トリエチレングリコール668gを仕込み、反応器の空間部を窒素ガスで置換した後、反応器内容物を加熱し、反応を開始した。その後、2時間かけて内温を200〜210℃に昇温し、反応終了までこの温度に保持した。一方、反応器内の圧力は、内温が180℃の時点から200℃に達するまでは、常圧に対する減圧度で87kPaに維持した。その後、触媒としてテトライソプロピルチタネート0.05%(対仕込み総量)を仕込み、4時間かけて、原料アルコール留去しない範囲内で徐々に減圧した。組成物によるが、4kPaまで減圧して行き、反応が終了するまでこの圧力を保持した。組成物を一部抜き出し、酸価を測定して2.0mgKOH/g未満になったことを確認して反応を終了した。エステル化反応物1kgが得られ、これについて、酸価、OH価、水分、粘度を分析した結果、以下の通りであった。
Figure 0005333217
<ポリエステルポリオールBの調製>
コハク酸の代りにアジピン酸644g、トリエチレングリコールの代りにジエチレングリコール516gを仕込んだ他は、上記ポリエステルポリオールAと同様の操作を行い、エステル化反応物1kgを得、これについて、上記と同様にして、酸価、OH価、水分、粘度を分析した結果、以下の通りであった。
Figure 0005333217
実施例1〜7及び比較例1〜3:
原料は以下のものを使用した。
(1)ポリ乳酸樹脂として、三井化学株式会社製の「レイシア H−400」を使用した。
(2)ポリエステルポリオールA及びBとして前述の調製品を使用した。
(3)汎用可塑剤としてアジピン酸ジイソノニル(和光純薬工業株式会社製の試薬1級)を使用した。
(4)タルクとして平均粒径3〜7μmのもの(和光純薬工業株式会社製の試薬1級)を使用した。
(5)紙裁断・解砕品として次の調製品を使用した。すなわち、先ず、パルプ製書道半紙100gをシュレッダーに3回かけて裁断し、水1Lを加え、攪拌しながら80℃で2時間処理した。次いで、冷却後に市販ミキサー(1万r.p.m.)で3分間処理した後、濾過、ケーキ水洗した。次いで、60℃で10時間減圧乾燥し、紙裁断・解砕品を得た。
ポリ乳酸樹脂組成物の調製は、以下のように行った。
(A)結晶核剤とポリエステルポリオールの事前混合なしの場合:
ポリ乳酸樹脂と結晶核剤をドライブレンドし、2軸混練機で溶融混合し、ポリエステルポリオール又は汎用可塑剤を混練域の中央から所定量注入した。混練域の温度は190℃に設定し、押し出されるストランドは5℃の水で冷却し、これをカッターで裁断してペレット化した。その後50℃で10時間減圧乾燥して、ポリ乳酸樹脂組成物とした。なお、ポリエステルポリオール及び汎用可塑剤を添加しない場合(比較例3)についても実施した。
(B)結晶核剤とポリエステルポリオール又は汎用可塑剤を事前に「混合・分散」する場合:
結晶核剤とポリエステルポリオール又は汎用可塑剤を各100gを使用し、ガラス板上でヘラによって結晶核剤の凝集粒子が認められなくなるまで混合・分散した。この混合物とポリ乳酸樹脂を所定の重量比でブレンドし、2軸混練機で溶融混合し、その後、上記と同様の操作でポリ乳酸樹脂組成物を得た。
(C)結晶核剤とポリエステルポリオールを事前に「混合・粉砕・分散」する場合:
結晶核剤とポリエステルポリオールを各100g使用し、1Lニーダー(Σ羽根、40/60r.p.m.)に仕込み、30〜40℃で3時間処理(混合・粉砕・分散)した。この混合物とポリ乳酸樹脂を所定の重量比でブレンドし、2軸混練機で溶融混合し、その後、上記と同様の操作でポリ乳酸樹脂組成物を得た。
<成形品の作成と物性評価法>
得られたポリ乳酸樹脂組成物を使用して射出成形試験片(80mm×10mm×4mm)を作成した。射出成形条件は、射出温度:200℃、金型温度:90℃、金型内滞留時間:60秒である。各評価項目は以下のようにして実施した。
(1)結晶化度:
DSCで結晶化熱(ΔHc)、結晶融解熱(ΔHm)を測定し、結晶化度100%の融解熱(Hc)の値:93J/gを使用し、下式より算出した。なお、DSCは、窒素気流下で−20℃で5分間保持した後、200℃まで20℃/minで昇温する操作で測定し、ΔHc、ΔHmは、それぞれに帰属される発熱又は吸熱ピークのピーク面積から得られた熱量を使用した。
Figure 0005333217
(2)耐熱温度:
JISK7191−2準拠し、荷重たわみ温度を測定し、これを耐熱温度とした。荷重たわみ温度は、フラットワイズ応力:0.45MPa、昇温速度:2℃/min、支点間距離:64mmの条件で測定した。
(3)耐衝撃性:
JISK7111に準拠し、シャルピー衝撃強度を測定した。測定条件は、ノッチ:なし、エッジワイズハンマ:3Jである。
(4)耐ブリードアウト:
80℃のオーブンに2枚の試験片を5時間入れておき、取り出した2枚の試験片を重ねた後、試験片の剥がれ易さで耐ブリードアウト性の評価指標とした。すなわち、重ねた試験片のうち上側の試験片のみを持ち上げ、下側の試験片が自重で落下するまでの時間を評価指標とし、持ち上げた時に試験片がくっつかずに直ぐに落下するものを○(耐ブリードアウト性に優れる)、10秒未満で落下するものを△(耐ブリードアウト性やや不良)、落下するのに10秒以上かかるものを×(耐ブリードアウト性不良)とした。
<成形品の物性評価結果>
種々のポリ乳酸樹脂組成物で物性評価(実施例1〜7、比較例1〜3)を行い、その結果を表3に示した。
Figure 0005333217
表3より以下のことが明らかである。
(1)実施例1〜7と比較例1及び2との比較:
汎用可塑剤であるアジピン酸ジイソノニルを使用した場合と比べ、ポリエステルポリオールA又はBを使用した場合は、結晶化度に差異はないが、耐熱性、耐衝撃性、耐ブリードアウト性に優れている。但し、実施例3は結晶化度においても優れる。
(2)実施例1と2の比較、実施例4と5の比較、実施例6と7の比較:
実施例2、5、7に示すように、結晶核剤とポリエステルポリオールを事前に混合・分散することによって、結晶化度、耐熱性、耐衝撃性が向上する。
(3)実施例2と3の比較:
実施例3に示すように、混合・分散時に同時に結晶核剤の粉砕まで行うと、結晶化度、耐熱性、耐衝撃性がより一層向上する。
(4)比較例1と3の比較:
汎用可塑剤であるアジピン酸ジイソノニル添加によって、結晶化度と若干の耐衝撃性の向上は認められるが、耐熱性に対する効果は認められない。耐熱性向上が認められなかったのは、結晶化度向上による耐熱性向上分と非晶質部分に濃集された可塑剤による可塑化が打ち消し合ったためと考えられる。
(5)実施例1及び2と実施例4及び5の比較:
実施例1及び2に示すように、ポリエステルポリオールA(コハク酸+トリエチレングリコール)を使用した場合は、ポリエステルポリオールB(アジピン酸+ジエチレングリコール)を使用した実施例4及び5の場合に比べ、耐熱性向上及び耐衝撃性向上においてより優れた効果を示す。

Claims (4)

  1. 少なくとも、ポリ乳酸樹脂、ポリエステルポリオール及び結晶核剤を含有してなるポリ乳酸樹脂組成物において、ポリエステルポリオールが、コハク酸、グルタル酸及びアジピン酸から選択された1種又は2種以上のカルボン酸と、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールから選択された1種又は2種のアルコールより得られるエステル化反応物であり、ポリ乳酸樹脂100重量部に対する、ポリエステルポリオールの割合が0.1〜20重量部、結晶核剤の割合が0.1〜50重量部であることを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物。
  2. ポリエステルポリオールが、コハク酸とトリエチレングリコールから得られるエステル化反応物である請求項1に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  3. ポリエステルポリオールの水酸基価が25〜170mgKOH/gである請求項1又は2に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載のポリ乳酸樹脂組成物の製造方法であって、ポリエステルポリオール中に結晶核剤を分散させた後にポリ乳酸樹脂と混合することを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物の製造方法。
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