JP5331467B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、特にユニフォミティに優れた空気入りタイヤに関するものである。
タイヤが充分な耐久性と性能を発揮するには、様々な有機繊維コードやスチールコードによってタイヤを補強することが必要となる。特に、タイヤのカーカスを構成するカーカスプライには、基本特性として内圧を保持するための強度や該強度を保持するための耐疲労性等を確保し又は向上させるため、例えば、レーヨン、ナイロン又はポリエステル等の各種有機繊維がコード材として使用されている。
また、タイヤのカーカスが複数枚のカーカスプライから構成される場合、カーカスプライ用コードには、一般に同一の材質で作られた有機繊維コードが使用され、特にタイヤの耐久性を向上させる観点から、ポリエステルコードが多用されている。しかしながら、ポリエステルコードには、ゴムに対する接着性や高速転動時の高温安定性の点で改良の余地がある。
一方、複数枚のカーカスプライからなるカーカスを具えたタイヤにおいて、カーカスプライ用コードの全てをレーヨンコードとした場合では、ポリエステルコードを用いた場合に比べて高速耐久性は向上するものの、レーヨンコードはその剛性が高くなり易く、また走行性能がピーキーになり操縦安定性を低下させる傾向があった。
これらの問題を解決するため、材質の異なるコードをカーカスプライに適用する手法が提案されている。例えば、特開昭64−32902号公報(特許文献1)には、複数のカーカスプライからなるカーカスを具えるタイヤにおいて、タイヤの内側のカーカスプライにナイロンコードを使用し、タイヤの外側のカーカスプライにポリエステルコードを使用することで、高荷重耐久性及び層間接着性を改善する技術が開示されている。しかしながら、特開昭64−32902号公報に開示の有機繊維コードの組み合わせでは、両材質での熱収縮率が異なるため、各有機繊維コードの加硫時における収縮挙動が異なり、製品時のカーカスプライが乱れ易く、十分なユニフォミティが確保できないという問題があった。
特開昭64−32902号公報
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、材質が異なる繊維コードをカーカスプライに用いても、加硫後にカーカスプライが乱れず、ユニフォミティに優れた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、繊維コードの材質が異なる二種類以上のカーカスプライを合計で少なくとも二枚用いたカーカスにおいて、これらのカーカスプライを構成する繊維コードの熱収縮率をいずれも特定値以下に制御することで、加硫後のカーカスプライの乱れを抑え、タイヤのユニフォミティを向上できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在させた二枚以上のカーカスプライからなるカーカスを具えた空気入りタイヤにおいて、前記カーカスは、繊維コードの材質が異なる二種類以上のカーカスプライからなり、前記カーカスプライを構成する繊維コードは、170℃における50g荷重下での熱収縮率が7.0%以下であり、前記二種類以上のカーカスプライのうち、最内層のカーカスプライを構成する繊維コードの170℃における50g荷重下での熱収縮率が、最外層のカーカスプライを構成する繊維コードの170℃における50g荷重下での熱収縮率よりも高いことを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記カーカスプライを構成する繊維コードは、170℃における50g荷重下での熱収縮率が5.0%以下であるのが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記カーカスプライを構成する繊維コードは、下記式(I):
N1=n1×(0.125×D1/ρ)1/2×10-3 ・・・ (I)
[式中、N1は下撚り係数で、n1は下撚り数(回/10cm)で、D1は下撚り糸の表示デシテックス数(dtex)で、ρは繊維の比重(g/cm3)である]で定義される下撚り係数N1と、下記式(II):
N2=n2×(0.125×D2/ρ)1/2×10-3 ・・・ (II)
[式中、N2は上撚り係数で、n2は上撚り数(回/10cm)で、D2は繊維コードの総表示デシテックス数(dtex)で、ρは繊維の比重(g/cm3)である]で定義される上撚り係数N2とが、下記式(III):
0.81 < N2/N1 ≦ (D2/D1)1/2 ・・・ (III)
[式中、N1、N2、D1及びD2は前記式(I)及び(II)と同義である]の関係を満たし、且つ、前記上撚り係数N2が、下記式(IV):
0.1 ≦ N2 ≦ 1 ・・・ (IV)
[式中、N2は前記式(II)と同義である]の関係を満たすことが好ましい。
本発明の空気入りタイヤの好適例においては、前記カーカスプライの少なくとも一枚が、複数のセルロース系繊維コードをコーティングゴムで被覆したカーカスプライからなる。この場合、タイヤの高温耐久性を向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記セルロース系繊維コードは、170℃における50g荷重下での熱収縮率が1.0%以下であるのが好ましい。また、本発明の空気入りタイヤにおいては、前記セルロース系繊維コードを用いたカーカスプライ以外のカーカスプライのうち少なくとも一枚が、複数のポリエステルコードをコーティングゴムで被覆したカーカスプライからなることが好ましい。この場合、セルロース系繊維コードにポリエステルコードを組み合わせることで、カーカスプライ用コードとして適切な剛性が確保され、操縦安定性を改善できる。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記カーカスプライを構成する繊維コードは、170℃における50g荷重下での熱収縮率の最大値と最小値の差が3.0%以下であるのが好ましく、1.0%以下であるのが更に好ましい。この場合、カーカスプライの乱れを確実に抑制し、タイヤのユニフォミティを大幅に向上できる。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記ポリエステルコードは、170℃における50g荷重下での熱収縮率が2.0%以下であるのが好ましい。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記ポリエステルコードは、低テンション処理によってディップ処理が施されたコードであるのが好ましい。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記カーカスプライの少なくとも一枚が、前記ビード部にそれぞれ埋設されたビードコア間にトロイド状に延在する本体部と該ビードコアの周囲で巻き返した巻き返し部とを有する第一カーカスプライからなり、前記第一カーカスプライの少なくとも一枚が、複数のセルロース系繊維コードをコーティングゴムで被覆したカーカスプライからなる。この場合、カーカスプライの巻き返し部端部の接着性が向上し、タイヤの耐久性を向上できる。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記セルロース系繊維コードが、レーヨンコード又はリヨセルコードである。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ポリエステルコードが、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートからなる。
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、更に、前記サイドウォール部に位置するカーカスの内側に配置された一対のサイド補強ゴム層を具える。この場合、繊維コードの剛性を高めることなく、サイドウォール部の剛性を向上できる。
本発明によれば、繊維コードの材質が異なる二種類以上のカーカスプライを合計で少なくとも二枚用いたカーカスにおいて、これらのカーカスプライを構成する繊維コードの熱収縮率をいずれも特定値以下に制御することで、加硫後にカーカスプライが乱れず、ユニフォミティに優れた空気入りタイヤを提供することができる。
以下に、図を参照しながら、本発明の空気入りタイヤを詳細に説明する。図1〜4は、本発明の空気入りタイヤの実施態様の断面図である。なお、図1〜4において、同一の符号は同じ部材であることを示す。
図1に示すタイヤは、ラジアルタイヤ1であって、一対のビード部2及び一対のサイドウォール部3と、両サイドウォール部3に連なるトレッド部4とを有し、上記一対のビード部2間にトロイド状に延在させた二枚以上のカーカスプライ5からなるラジアルカーカス6とを具える。ここで、本発明の空気入りタイヤにおいて、カーカス6は、繊維コードの材質が異なる二種類以上のカーカスプライ5からなるが、該カーカスプライ5を構成する繊維コードは、170℃における50g荷重下での熱収縮率がいずれも7.0%以下であり、前記二種類以上のカーカスプライのうち、最内層のカーカスプライを構成する繊維コードの170℃における50g荷重下での熱収縮率が、最外層のカーカスプライを構成する繊維コードの170℃における50g荷重下での熱収縮率よりも高いことを特徴とする。このように、各カーカスプライを構成する繊維コードの材質が異なる場合であっても、カーカスプライを構成する全ての種類の繊維コードの熱収縮率を7.0%以下に抑え、且つ、前記二種類以上のカーカスプライのうち、最内層のカーカスプライを構成する繊維コードの170℃における50g荷重下での熱収縮率を、最外層のカーカスプライを構成する繊維コードの170℃における50g荷重下での熱収縮率よりも高くすることで、加硫時に繊維コードがタイヤ内側へ食い込むことを防止することができる。このため、本発明の空気入りタイヤは、加硫後にカーカスプライが乱れず、ユニフォミティに優れる。
図示例のタイヤにおいて、カーカス6は、二枚のカーカスプライ5からなり、また、該カーカスプライ5は、上記ビード部2にそれぞれ埋設されたビードコア7間にトロイド状に延在する本体部と該ビードコア7の周囲でタイヤ幅方向の内側から外側に巻き返した巻き返し部とを有する第一カーカスプライ5aと、該第一カーカスプライ5aをその巻き返し部を含めて覆い該ビードコア7の少なくとも直下に終端を有する第二カーカスプライ5bとからなる。なお、本発明の空気入りタイヤにおいては、カーカスプライの枚数を少なくとも二枚とすればよく、カーカスプライの枚数及び構造は、図1に示すカーカスプライに限られるものではない。例えば、図2及び図4に示すタイヤは、二枚の第一カーカスプライ5aからなるカーカス6を具えている。
また、カーカスプライ5は、複数の繊維コードをコーティングゴムで被覆してなるが、本発明の空気入りタイヤにおいては、繊維コードの材質が異なるカーカスプライを二種類以上用いることを要する。このように、異種の繊維コードを用いたカーカスプライを組み合わせることで、単一の繊維コードを用いた際に見られる欠点を解消したり、タイヤに様々な特性を付与することができる。なお、図示しないが、三枚のカーカスプライからなるカーカスを具えるタイヤにおいては、全てのカーカスプライに対して異種の繊維コードを用いる場合に限定されず、二枚のカーカスプライに同じ材質の繊維コードを用い、残りの一枚に異なる材質の繊維コードを用いてもよい。また、カーカスプライ5を構成するコーティングゴムとしては、特に制限されるものではなく、通常のコーティングゴム用ゴム組成物を用いることができる。
例えば、タイヤの高速耐久性を向上させるためには、カーカスプライ5の少なくとも一枚に、複数のセルロース系繊維コードをコーティングゴムで被覆したカーカスプライを適用することができる。また、上述の通り、セルロース系繊維コードを用いたカーカスプライは、コードの剛性が高過ぎたり、操縦安定性を低下させるおそれもあるが、本発明の空気入りタイヤに従って、セルロース系繊維コード以外の繊維コードを用いたカーカスプライを組み合わせることで、かかる問題を解消することができる。具体的には、上記セルロース系繊維コードを用いたカーカスプライ以外のカーカスプライのうち少なくとも一枚に、複数のポリエステルコードをコーティングゴムで被覆したカーカスプライを適用することができる。このように、セルロース系繊維コードを用いたカーカスプライに、ポリエステルコードを用いたカーカスプライを組み合わせることで、カーカスプライ用コードとして適度な剛性が付与され、操縦安定性を向上させることができる。
また、空気入りラジアルタイヤのカーカス6は、第一カーカスプライ5aを一枚以上有していることが多いが、該第一カーカスプライ5aは、走行中に生じるビード部2の変形に伴い、ビード部2に位置する巻き返し部の端部とその近傍に大きな歪みが生じる結果、該端部近傍にてコードからコーティングゴムの剥離が起こり、セパレーションが発生し、カーカスプライ端部の耐久性を低下させるおそれがある。そこで、本発明の空気入りタイヤにおいては、カーカスプライ5の少なくとも一枚が第一カーカスプライ5aからなる場合、該第一カーカスプライ5aの少なくとも一枚に、複数のセルロース系繊維コードをコーティングゴムで被覆したカーカスプライを適用することができる。セルロース系繊維コードは、ゴムに対する接着性及び耐熱性に優れており、これを第一カーカスプライ5aに適用することで、巻き返し部端部でのコーティングゴムの剥離を抑制すると共に、高温時の弾性率の低下を抑えることができる。このため、カーカスプライ5の接着性及び耐熱性が向上し、タイヤの高速耐久性を改善することができる。
なお、上記セルロース系繊維コードは、セルロース系繊維を原料として作製したコードであって、該セルロース系繊維コードには、レーヨンコード又はリヨセルコードの他、天然の高分子であるセルロースを化学的にエステル化又はエーテル化等することによって得られるセルロース誘導体を原料として作製したコードも含まれる。一方、ポリエステルコードとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)からなるコードが挙げられる。また、カーカスプライ5を構成する繊維コードは、これらに限定されず、例えば、各種ナイロンコード、芳香族ポリアミド(アラミド)コード、ポリケトン繊維コード、カーボン繊維コード、ガラス繊維コード、スチールコード等を用いてもよい。
本発明の空気入りタイヤにおいて、カーカスプライを構成する繊維コードは、170℃における50g荷重下での熱収縮率が7.0%以下であることを要するが、ユニフォミティの向上効果の観点から、5.0%以下であることが好ましい。同様の観点から、上記カーカスプライを構成する繊維コードがセルロース系繊維コードである場合には、170℃における50g荷重下での熱収縮率は1.0%以下であるのが好ましく、該繊維コードがポリエステルコードである場合には、170℃における50g荷重下での熱収縮率が2.0%以下であるのが好ましい。また、タイヤの最外側に位置するカーカスプライを構成する繊維コードの170℃における50g荷重下での熱収縮率を2.0%以下に制御すれば、コーティングゴムのゲージの調整や拡張時のドラム幅の調整等と組み合わせて、製品時のカーカスプライの乱れを確実に抑制することができ、タイヤのユニフォミティを大幅に向上させることができる。
また、本発明者が検討したところ、カーカスプライを構成する繊維コードの熱収縮率を特定値以下に制御した上で、さらに繊維コードの熱収縮率の最大値と最小値の差を制御することによって、タイヤのユニフォミティを大幅に改善できることが分かった。従って、本発明の空気入りタイヤにおいて、カーカスプライを構成する繊維コードは、170℃における50g荷重下での熱収縮率の最大値と最小値の差が3.0%以下であるのが好ましく、1.0%以下であるのが更に好ましい。
更に、本発明の空気入りタイヤにおいて、カーカスプライを構成する繊維コードは、上記式(I)で定義される下撚り係数N1と上記式(II)で定義される上撚り係数N2とが上記式(III)の関係を満たし、且つ、上撚り係数N2が上記式(IV)の関係を満たすことが好ましい。カーカスプライ用繊維コードの撚り係数が上記式(III)及び(IV)の関係を満たすことで、耐疲労性、接着性、耐屈曲性等のタイヤコードに求められる性能を向上させることができる。なお、上撚り係数N2が0.1未満では、タイヤの耐久性が低下する場合があり、一方、1を超えると、撚糸コードの撚り戻り大きく、作業性が低下する。また、N2/N1が0.81以下では、下撚りと上撚りのトルクの差が大き過ぎ、例えば、ディッピング工程での作業性が低下する。また、N2/N1が(D2/D1)1/2を超えると、同様に作業性が低下する。
また、上記カーカスプライを構成する繊維コードは、強度が要求される分野での使用を可能にしたり、繊維コードの使用量を低減するため、その原糸の引張強度が3.0〜40cN/dtexであるのが好ましく、4.0〜10cN/dtexであるのが更に好ましい。なお、繊維コードの原糸の引張強度(cN/dtex)は、JIS規格に基づいて測定した値である。更に、繊維コードの弾性率が高い程、同一荷重下での寸法変化が小さく、形態安定性に優れることから、上記カーカスプライを構成する繊維コードは、その原糸の弾性率が50〜2500cN/dtexであるのが好ましく、100〜400cN/dtexであるのが更に好ましい。繊維コードの原糸の弾性率(cN/dtex)は、25℃における49N荷重時の弾性率であって、JISのコード引張り試験によるSSカーブの49N時の接線から算出した値である。
上記カーカスプライを構成する繊維コードは、繊維のフィラメント束1本を撚ってなる片撚り構造を有していてもよく、下撚りを施した繊維のフィラメント束を二本以上合わせて上撚りを施した双撚り構造を有していてもよい。ここで、下撚り及び上撚りの際にコードに付与する撚り数並びに撚り構造は、コードの強度、収束性及びその他諸物性を考慮して決定される。
なお、上記のように、カーカスプライ5を構成するコーティングゴムとしては、通常のコーティングゴム用ゴム組成物を用いることができる。例えば、上記コーティングゴム用ゴム組成物に用いるゴム成分としては、特に制限はなく、天然ゴム(NR)の他、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)等の合成ゴムを使用することができ、これらゴム成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。上記コーティングゴム用ゴム組成物には、上記ゴム成分の他、例えば、充填剤、軟化剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、シランカップリング剤等のゴム業界で通常使用される配合剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。上記コーティングゴム用ゴム組成物は、ゴム成分に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤とを配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
そして、図1に示すタイヤは、カーカス6のクラウン部のタイヤ半径方向外側に位置するベルト8を具える。ベルト8は、二枚のベルト層からなるが、本発明のタイヤにおいて、ベルトを構成するベルト層の枚数は、これに限られるものではない。また、ベルト層は、複数のコードをコーティングゴムで被覆してなり、該ベルト層を構成するコードには、例えば、有機繊維コード又はスチールコードを用いることが好ましく、該ベルト層を構成するコーティングゴムとしては、特に制限されるものではなく、通常のコーティングゴム用ゴム組成物を用いることができる。更に、本発明の空気入りタイヤは、図1に示すように、ベルト8のタイヤ半径方向外側に、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなるベルト補強層9を具えてもよい。ベルト補強層の枚数及び構造は、特に制限されず、例えば、図1に示すベルト補強層9は、ベルト8の全体を覆う一枚の第一ベルト補強層9aとベルト8の端部のみをそれぞれ覆う一対で且つ一枚の第二ベルト補強層9bとからなる。
なお、本発明の空気入りタイヤは、公知のタイヤ部材を必要に応じて更に具えることができる。例えば、本発明の空気入りタイヤは、図3及び4に示すように、サイドウォール部3に位置するカーカス6の内側に配置された一対のサイド補強ゴム層10を具えることができる。この場合、繊維コードの剛性を高めることなく、サイドウォール部の剛性を向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤは、上述の条件を満足する繊維コードをゴム引きしてなるゴム被覆コードをカーカスプライに適用して、常法により製造することができる。また、繊維コードのゴム引きに先立って、繊維コードにディップ処理(接着剤処理)を施し、コーティングゴムとの接着性を向上させてもよい。更に、繊維コードとしてポリエステルコードを使用する場合においては、例えば、張力が1.5kg/本以下、好ましくは1.0kg/本以下の低テンション処理によってディップ処理を行うことで、上記のような低い熱収縮率を達成することができる。なお、本発明の空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
次に、表1〜2に記載の繊維コードを経糸として複数本引き揃えて、細く弱い緯糸を粗く打ち込んだスダレ状の繊維コードに、必要に応じて低テンション処理(張力:1.0kg/本)によるディップ処理を施し、コーティングゴムで被覆してゴム被覆コードを作製した。得られたゴム被覆コードを、表1〜3に記載の組み合わせで、カーカスプライに用いて、表1〜2に示す構造を有し、タイヤサイズ:195/65R15のタイヤを試作した。該タイヤに対して、下記の方法で、ユニフォミティ、高速耐久性及び操縦安定性を評価した。結果を表1〜2示す。
(1)ユニフォミティ
JASO C 607(2000)に規定されたユニフォミティ測定方法に従って、ラジアルフォースバリエーション(RFV)及びラテラルフォースバリエーション(LFV)を測定し、比較例1のタイヤのRFV及びLEVをそれぞれ100として指数表示した。指数値が小さい程、タイヤのユニフォミティ(均一性)が高いことを示す。
(2)高速耐久性
供試タイヤを回転ドラムに組み付けて、150km/hの速度で30分間走行させ、故障が無ければ速度を6km/hづつ上げていき、故障発生までの耐久時間を測定し、比較例1の耐久時間を100として指数表示した。指数値が大きい程、耐久時間が長く高速耐久性に優れることを示す。
(3)操縦安定性
供試タイヤを装着して、専門のドライバーによる実車官能試験に基づき、操縦安定性の評価を行い、比較例1の操縦安定性を100として指数表示した。指数値が大きい程、操縦安定性に優れることを示す。
Figure 0005331467
Figure 0005331467
*1 66Nyは66ナイロンの略称であり,6Nyは6ナイロンの略称であり、PETはポリエチレンテレフタレートの略称であり,PENはポリエチレンナフタレートの略称である.
*2 170℃及び50g荷重下で、5分間放置したときの熱収縮率である.
*3 JISのコード引張り試験によるSSカーブの49N時の接線から算出した25℃における弾性率である.
*4 JISのコード引張り試験に基づき測定した引張強度である.
*5 4aは本体部と巻き返し部とを有する第一カーカスプライであり,4bは第一カーカスプライの巻き返し部を覆った第二カーカスプライである.
比較例1及び実施例の比較から、繊維コードの材質が異なる二種類以上のカーカスプライからなるカーカスを有するタイヤにおいては、カーカスプライを構成する繊維コードの熱収縮率を低下させ、且つ、前記二種類以上のカーカスプライのうち、最内層のカーカスプライを構成する繊維コードの170℃における50g荷重下での熱収縮率を、最外層のカーカスプライを構成する繊維コードの170℃における50g荷重下での熱収縮率よりも高くすることで、ユニフォミティを改善できることが分かる。更に、各カーカスプライを構成する繊維コードの熱収縮率の差を狭くすることで、ユニフォミティの改善効果が増大することが分かる。
本発明の空気入りタイヤの一例の断面図である。 本発明の空気入りタイヤの他の例の断面図である。 本発明の空気入りタイヤの他の例の断面図である。 本発明の空気入りタイヤの他の例の断面図である。
符号の説明
1 ラジアルタイヤ
2 ビード部
3 サイドウォール部
4 トレッド部
5 カーカスプライ
5a 第一カーカスプライ
5b 第二カーカスプライ
6 カーカス
7 ビードコア
8 ベルト
9 ベルト補強層
9a 第一ベルト補強層
9b 第二ベルト補強層
10 サイド補強ゴム層

Claims (14)

  1. 一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在させた二枚以上のカーカスプライからなるカーカスを具えた空気入りタイヤにおいて、
    前記カーカスは、繊維コードの材質が異なる二種類以上のカーカスプライからなり、
    前記カーカスプライを構成する繊維コードは、170℃における50g荷重下での熱収縮率が7.0%以下であり、
    前記二種類以上のカーカスプライのうち、最内層のカーカスプライを構成する繊維コードの170℃における50g荷重下での熱収縮率が、最外層のカーカスプライを構成する繊維コードの170℃における50g荷重下での熱収縮率よりも高い
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記カーカスプライを構成する繊維コードは、170℃における50g荷重下での熱収縮率が5.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記カーカスプライを構成する繊維コードは、下記式(I):
    N1=n1×(0.125×D1/ρ)1/2×10-3 ・・・ (I)
    [式中、N1は下撚り係数で、n1は下撚り数(回/10cm)で、D1は下撚り糸の表示デシテックス数(dtex)で、ρは繊維の比重(g/cm3)である]で定義される下撚り係数N1と、下記式(II):
    N2=n2×(0.125×D2/ρ)1/2×10-3 ・・・ (II)
    [式中、N2は上撚り係数で、n2は上撚り数(回/10cm)で、D2は繊維コードの総表示デシテックス数(dtex)で、ρは繊維の比重(g/cm3)である]で定義される上撚り係数N2とが、下記式(III):
    0.81 < N2/N1 ≦ (D2/D1)1/2 ・・・ (III)
    [式中、N1、N2、D1及びD2は前記式(I)及び(II)と同義である]の関係を満たし、且つ、前記上撚り係数N2が、下記式(IV):
    0.1 ≦ N2 ≦ 1 ・・・ (IV)
    [式中、N2は前記式(II)と同義である]の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記カーカスプライの少なくとも一枚が、複数のセルロース系繊維コードをコーティングゴムで被覆したカーカスプライからなることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記セルロース系繊維コードは、170℃における50g荷重下での熱収縮率が1.0%以下であることを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記セルロース系繊維コードを用いたカーカスプライ以外のカーカスプライのうち少なくとも一枚が、複数のポリエステルコードをコーティングゴムで被覆したカーカスプライからなることを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記カーカスプライを構成する繊維コードは、170℃における50g荷重下での熱収縮率の最大値と最小値の差が3.0%以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記ポリエステルコードは、170℃における50g荷重下での熱収縮率が2.0%以下であることを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記ポリエステルコードは、低テンション処理によってディップ処理が施されたコードであることを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記カーカスプライの少なくとも一枚が、前記ビード部にそれぞれ埋設されたビードコア間にトロイド状に延在する本体部と該ビードコアの周囲で巻き返した巻き返し部とを有する第一カーカスプライからなり、
    前記第一カーカスプライの少なくとも一枚が、複数のセルロース系繊維コードをコーティングゴムで被覆したカーカスプライからなることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記セルロース系繊維コードが、レーヨンコード又はリヨセルコードであることを特徴とする請求項4又は10に記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記ポリエステルコードが、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートからなることを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記カーカスプライを構成する繊維コードは、170℃における50g荷重下での熱収縮率の最大値と最小値の差が1.0%以下であることを特徴とする請求項7に記載の空気入りタイヤ。
  14. 更に、前記サイドウォール部に位置するカーカスの内側に配置された一対のサイド補強ゴム層を具えることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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