JP5330903B2 - リチウムイオン二次電池用負極材、および、その製造方法、ならびに、リチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極材、および、その製造方法、ならびに、リチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に用いられるリチウムイオン二次電池用負極材、その製造方法、このリチウムイオン二次電池用負極材を用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、携帯機器の小型化や高性能化により、搭載される二次電池のエネルギー密度への要求は益々高まっている。その中で、リチウムイオン二次電池は、ニッケル−カドミウム二次電池やニッケル−水素二次電池に比べて、高い電圧、高い充放電容量(エネルギー密度)を示すため、前記携帯機器の電源として広く使用され始めている。
リチウムイオン二次電池は、主に、負極材、正極材、これらの電極材を絶縁するセパレータ材、電極材間の電荷移動を補助する電解液、これらを収容する電池ケースから構成される。そして、リチウムイオン二次電池用負極材は、集電材料である銅箔または銅合金箔上に負極活物質がコーティングされたものから成り、負極活物質としては、黒鉛系炭素材料を使用したものが一般的である。しかし、黒鉛系炭素材料の放電容量は、理論容量(372mAh/g)に達しているため、より高い放電容量および充電容量を示す負極活物質が求められている。
そこで、高い充放電容量を示す負極活物質として、Si、Ge、Ag、In、Sn、およびPb等の、リチウムと合金化が可能な金属についての検討がされている。例えば、特許文献1には、黒鉛系炭素材料のおよそ2.5倍の993mAh/gという理論充放電容量を示すSnを集電体表面に蒸着した負極材が提案されている。しかし、Snはリチウムイオンの充放電時(リチウムとの合金化、リチウムの放出)に、体積膨張と収縮を繰り返すことで、Snが集電体から剥離して抵抗が増加したり、Sn自身が割れてSn同士の接触抵抗が増加したりしてしまうため、結果として充放電容量が大きく低下するという問題があった。
この問題を解決する方策として、負極活物質の体積変化を緩和するために、例えば、特許文献2には、Sn等の金属ナノ結晶の表面を炭素コーティングした金属ナノ結晶複合体、または、金属ナノ結晶複合体を炭素コーティング層で連結した金属ナノ結晶複合体を、ポリビニルジフロライド(PVDF)等の結合材とカーボンブラックを混合して銅集電体上に塗布後真空焼成した負極材が提案されている。
特開2002−110151号公報 特開2007−305569号公報
しかしながら、従来の技術においては、以下に示すような問題がある。
特許文献2による負極材では、リチウムを吸蔵する金属結晶をナノサイズにしているため、リチウム吸蔵による体積変化が小さく、充放電容量を高くできるが、金属ナノ結晶複合体同士の結合を、結合材を使って行っているために、カーボンブラックを添加したとしても負極電極材としては導電性が劣る。そのため、例えば、自動車のように高速充放電を行う必要がある用途では、大電流が流せず、充放電容量が低下するという問題がある。
そこで、本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであって、高い充放電容量を有し、かつ充放電サイクルに伴う負極活物質の劣化を改善することができると共に、高速で充放電ができるリチウムイオン二次電池用負極材、および、その製造方法、ならびに、リチウムイオン二次電池用負極材を用いたリチウムイオン二次電池を提供するものである。
前記課題を解決するための手段として、本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材は、リチウムイオン二次電池に用いられるリチウムイオン二次電池用負極材であって、前記リチウムイオン二次電池用負極材は、1〜40at%のSnと、3〜20at%の4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属(以下、適宜、4A、5A、6A族元素という)を含む負極活物質であって、Snは金属ナノ粒子として、また、4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属は炭素と結合した炭化物のナノ粒子として、それぞれ非晶質炭素中に分散した負極活物質を、負極集電体上に形成したものであることを特徴とする。
このような構成によれば、Snは炭素と合金化せずに非晶質炭素中にナノ粒子サイズで分散する。一方、4A、5A、6A族元素は炭素と結合し、非晶質炭素中にナノ粒子サイズの炭化物として分散する。そして、Snは非晶質炭素の結晶構造中のsp結合により、リチウム吸蔵による体積膨張が抑制される。このため、充放電容量(比質量容量または比体積容量)が高くなると共に、サイクル特性(充放電のサイクルを繰り返しても、負極活物質が劣化(剥離、脱落等)せず、充放電容量が低下しない性質)が向上する。一方、非晶質炭素中に分散した4A、5A、6A族元素の炭化物は導電性が高いため、膜の導電性が向上する。このため、大電流でも電子が流れやすくなり、高速充放電が可能となる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法は、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法であって、1〜40at%のSnと、3〜20at%の4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属を含む負極活物質であって、Snは金属ナノ粒子として、また、4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属は炭素と結合した炭化物のナノ粒子として、それぞれ非晶質炭素中に分散した負極活物質を、気相成長法により負極集電体上に形成させることを特徴とする。
このような製造方法によれば、気相成長法を用いることで、Snが非晶質炭素中に効率的に分散すると共に、4A、5A、6A族元素が炭化物として非晶質炭素中に分散する。また、非晶質炭素、および、所定の金属の組成の制御や、負極活物質による皮膜厚さの制御が容易となり、負極集電体上への負極活物質の形成を、容易、かつ簡便に行うことができる。
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法は、前記負極活物質の非晶質炭素の形成を、グラファイトターゲットを用いてアークイオンプレーティング法により行うことを特徴とする。
このような製造方法によれば、成膜速度が速く、厚膜化を図ることができ、また、グラファイト構造が多い膜が形成されることで、リチウムを吸蔵しやすくなる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材を用いたことを特徴とする。
このような構成によれば、本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材を用いることで、高い充放電容量を有し、サイクル特性に優れ、かつ高速充放電が可能なリチウムイオン二次電池となる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材によれば、高い充放電容量を有し、かつ充放電サイクルに伴う負極活物質の劣化する性質を改善することで、サイクル特性にも優れたリチウムイオン二次電池を製造することができる。さらに、導電性が向上することで、高速充放電も可能となる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法によれば、負極活物質において、1〜40at%のSnと、3〜20at%の4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属を、非晶質炭素中に効率的に分散させることができる。また、非晶質炭素、および、これらの金属の組成の制御や、負極活物質による皮膜厚さの制御を容易に行うことができ、負極集電体上に、負極活物質を容易、かつ簡便に形成することができる。
さらに、グラファイトターゲットを用いたアークイオンプレーティング法を用いることで、厚膜化を図ることができると共に、リチウムを吸蔵しやすい膜を形成することができる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、高い充放電容量を有し、サイクル特性に優れ、かつ高速充放電が可能なものとなる。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材の構成を模式的に示す断面図である。 本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材を製造するためのスパッタリング装置の模式図である。 本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材を製造するためのAIP−スパッタリング複合装置の模式図である。 実施例で用いた評価用セルの構造を示す模式図である。
次に、図面を参照して本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材、および、その製造方法、ならびに、リチウムイオン二次電池について詳細に説明する。
≪リチウムイオン二次電池用負極材≫
図1に示すように、本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材(以下、適宜、負極材ともいう)10は、負極集電体1と、負極集電体1上に形成された負極活物質2とを有し、負極活物質2は、非晶質炭素中に、1〜40at%のSnが金属ナノ粒子として、3〜20at%の4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属(以下、適宜、4A、5A、6A族元素ともいう)が炭化物ナノ粒子として分散したものである。
以下、各構成について説明する。
<負極集電体>
負極集電体1の材質は、負極活物質2が膨張しようとする応力に耐える機械的特性を有している必要がある。伸びが大きい(塑性変形が容易、耐力が小さい)材質では、負極活物質2の膨張に伴い、一緒に伸び(塑性変形)を生じてしまい、しわや折れ等が発生してしまう。このような理由から、負極集電体1の材質としては、一般に銅、銅合金、ニッケル、ステンレス等の金属が使用され、中でも薄膜に加工しやすいという点とコストの点から、耐力が大きく、破断伸びが2%程度以下であるような銅箔または銅合金箔が好ましい。また、引張強さは高ければ高いほど良く、少なくとも700N/mm以上の引張強さであることが好ましい。この点で、電解銅箔より圧延銅合金箔であることが好ましい。このような高強度の銅合金箔としては、例えば、NiやSiを含有する、いわゆるコルソン系銅合金を用いた箔が挙げられる。
負極集電体1の厚さは、1〜50μmが好ましい。厚さが1μm未満では、負極集電体1表面に負極活物質2を形成する際の応力に負極集電体1が耐えきれず、負極集電体1に切断や亀裂が生じる恐れがある。一方、厚さが50μmを超えると、製造コストが増大し、また、電池が大型化する恐れがある。なお、より好ましくは、5〜20μmである。
<負極活物質>
[非晶質炭素]
非晶質炭素は、炭素のspとsp結合をもつものであり、例えば、ダイヤモンドライクカーボンのような結晶構造を示す。前記構造中の炭素のsp結合が、充放電時における、非晶質炭素中に分散した金属の体積変化を抑制する働きをする。また、充放電容量増大の点から、非晶質炭素は、グラファイト構造等のリチウムを吸蔵する構造を有している方が好ましい。
[Snおよび4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属]
Snの組成は1〜40at%であり、4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属の組成は3〜20at%である。
Snは、リチウムと合金化が可能であると共に融点が低い金属であるため、融点が高い炭素と合金化せずに非晶質炭素中に分散する。また、4A、5A、6A族元素は、Snと金属間化合物を作る金属であるが、炭素が存在する場合には、ほとんどがSnと結合せずに炭素と結合して炭化物を形成し、非晶質炭素中に分散する。従って、非晶質炭素中には、Snの金属ナノ粒子と、4A、5A、6A族元素の炭化物のナノ粒子が分散した構造となる。
1〜40at%のSnを非晶質炭素中に分散(ナノクラスター状に分散)させることにより、負極集電体に黒鉛を塗布した負極材よりも、充放電容量(比質量容量または比体積容量)に優れ、かつサイクル特性を劣化させない負極材10とすることができる。なお、比質量容量を増加させる金属としては、Si、およびSnがあり、比体積容量を増加させる金属としては、Si、Ag、In、Sn、およびBiがある。
一方、4A、5A、6A族元素(すなわち、4A、5A、6A族元素の炭化物)を非晶質炭素中に分散(ナノクラスター状に分散)させることにより、導電性(電子導電性)が向上する。すなわち、これらの炭化物は導電性が高いため、電子の導電パスとなって高速充放電を可能とする。
負極活物質2中のSn含有量は、1〜40at%とする。Snを添加することで、充放電容量およびサイクル特性の向上を図ることができるが、特に含有量をこの範囲とすることで、充放電容量がさらに増大し、また、繰り返し充放電を行った後でも、Snの体積変化をカーボンマトリックスで緩和することができるため、良好なサイクル特性を得ることができる。Sn含有量が1at%未満では、充放電容量を増大させる効果が少ない。なお、充放電容量をより向上させるため、好ましくは、5at%以上、より好ましくは、10at%以上とする。一方、Sn含有量が40at%を超えると、Snの体積変化をカーボンマトリックスで緩和することができず、初期充放電容量は高いものの、膜構造が崩壊してサイクル特性が大きく低下してしまう。なお、サイクル特性をより向上させるため、好ましくは、35at%以下、より好ましくは、30at%以下とする。
4A、5A、6A族元素の含有量は、3〜20at%とする。
4A、5A、6A族元素の含有量が3at%未満では、導電性が向上せずに高速充放電ができない。一方、20at%を超えると、炭化物の割合が増えるため、負極活物質中のリチウム原子の拡散が抑制されるため、高速充放電ができなくなる。
ここで、非晶質炭素中に分散させるSnの粒子径は、0.5〜100nmが好ましい。粒子径が0.5〜100nmのナノクラスター状に分散させることにより、充放電時における金属の体積変化をさらに緩和することができる。また、4A、5A、6A族元素の炭化物の粒子径は、2〜30nmが好ましい。粒子径が2nm以上であれば、導電性が向上しやすく、30nm以下であれば、リチウムの拡散が阻害されにくい。
このようなSnや4A、5A、6A族元素の炭化物の粒子径の制御は、負極活物質2中の炭素と、これらの金属の組成を制御することにより行う。なお、組成の制御は、負極集電体1上に負極活物質2を形成する際の成膜条件により制御することができる。また、このようなSnや4A、5A、6A族元素の炭化物の粒子径の測定は、FIB−TEM観察や薄膜X(エックス)線回折により観察される金属の回折線強度の半値幅を基に行うことができる。そして、これらの金属の組成の分析は、オージェ電子分光分析(AES分析)により行うことができる。
≪リチウムイオン二次電池用負極材の製造方法≫
本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材10の製造方法は、1〜40at%のSnと、3〜20at%の4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属(金属の炭化物)が非晶質炭素中に分散した負極活物質2を、気相成長法により負極集電体1上に形成させるものである。
負極材10の製造方法は、負極集電体形成工程と、負極活物質形成工程と、を含み、負極集電体形成工程により、負極集電体1を形成した後、負極活物質形成工程により、この負極集電体1上に、1〜40at%のSnと、3〜20at%の4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属の炭化物が非晶質炭素中に分散した負極活物質2を、気相成長法により形成させる。
以下、各工程について説明する。
<負極集電体形成工程>
負極集電体形成工程は、負極集電体1を形成する工程である。すなわち、負極活物質2を形成させるために、負極集電体1を準備するものである。負極集電体1としては、前記したように、公知の負極集電体1を使用すればよい。なお、負極集電体形成工程により、負極集電体1の歪みの矯正や、研磨等を施してもよい。
<負極活物質形成工程>
負極活物質形成工程は、1〜40at%のSnと、3〜20at%の4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属の炭化物を、気相成長法により非晶質炭素中に分散させると共に、前記非晶質炭素中へのSnや炭化物の分散により形成される負極活物質2として、負極集電体1上に形成させる工程である。
気相成長法を用いることにより、1〜40at%のSnと、3〜20at%の4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属の炭化物を、非晶質炭素中にナノクラスター状に分散させながら、負極集電体1上に負極活物質2を形成させることができる。また、非晶質炭素、および、Snや4A、5A、6A族元素の組成を、広い範囲で自由に制御することができると共に、皮膜厚さも容易に制御することができ、負極集電体1に、負極活物質2を容易、かつ簡便に形成することができる。
また、本発明に係る製造方法では、気相成長法を用いるため、負極材10は、Snや4A、5A、6A族元素の炭化物を非晶質炭素中に分散させた膜を、負極集電体1上に、蒸着により形成させることで得られる。そのため、従来の製造方法における、黒鉛質炭素粉末を負極集電体上に塗布する工程、塗布した粉末を乾燥させる工程、および、塗布して乾燥させた粉末を負極集電体に押し付けて密度を向上させる工程を、省略することができる。
気相成長法としては、化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition法)や、物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition法)等を用いることができ、CVD法としては、プラズマCVD法があり、PVD法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、アークイオンプレーティング(AIP)法、レーザアブレーション法等がある。特に、厚膜化が必要なときは、成膜速度が速い手法を用いることが必要であり、それには、AIP法が有効である。例えば、ターゲットをグラファイトとしてアーク放電すれば、グラファイトがアーク放電の熱によりカーボン原子またはイオンとして蒸発し、負極集電体表面に非晶質炭素を堆積させることができる。さらに、グラファイトターゲットを用いたAIP法では、アーク放電が生じたターゲット表面からカーボン原子やイオン以外に、数μmから数十μmのグラファイトの微粒子(マクロパーティクル)も飛び出して負極集電体上に堆積するため、スパッタリング法やイオンプレーティング法に比べ、グラファイト構造が多い膜を形成することができる。このため、よりリチウムを吸蔵する膜を形成することができる。このAIP法による非晶質炭素膜形成と同時に同一チャンバー内で、Snおよび4A、5A、6A族元素を、真空蒸着法またはスパッタリング法により蒸発させれば、Snおよび4A、5A、6A族元素の炭化物を含有する非晶質炭素膜(負極活物質)を形成することができる。また、AIP法で放電を行うときに、メタンやエチレン等の炭化水素ガスを導入しながら実施すると、アーク放電により、これらの炭化水素ガスが分解し非晶質炭素膜として負極集電体表面に堆積するため、成膜速度をさらに向上させることができる。
次に、図2、3を参照して、スパッタリング法を用いた場合、および、AIP法を用いた場合のリチウムイオン二次電池用負極材10の製造方法の一例について説明するが、気相成長法を用いるものであれば、これらに限定されるものではない。なお、ここでは、Sn(スズ)とZr(ジルコニウム)を用いた場合について説明する。また、スパッタリング装置およびAIP−スパッタリング複合装置は、その構成を図2、3で示すものに限るものではなく、公知の装置が使用できる。
スパッタリング法を用いた場合については、図2に示すように、まず、スパッタリング装置20のチャンバー21内に、φ100mm×厚さ5mmの炭素ターゲット22、スズターゲット23、およびジルコニウムターゲット24をセットし、縦50×横50×厚さ0.02mmの銅箔25を、炭素ターゲット22、スズターゲット23、およびジルコニウムターゲット24に対向するように、基板台26にセットする。次に、チャンバー21内の圧力が1×10-3Pa以下となるように真空に引き、チャンバー21内を真空状態にする。その後、チャンバー21内にArガスを導入し、チャンバー21内の圧力を0.26Paとなるようにして、炭素ターゲット22、スズターゲット23、およびジルコニウムターゲット24にDC(直流)を印加してプラズマを発生させ、炭素ターゲット22、スズターゲット23、およびジルコニウムターゲット24をスパッタする。これにより、銅箔25上に、非晶質炭素中にスズおよびジルコニウム炭化物が分散した膜(負極活物質)を成膜する。このようにして、リチウムイオン二次電池用負極材を製造することができる。
AIP法を用いた場合については、図3に示すように、まず、AIP−スパッタリング複合装置30のチャンバー31内に、φ100mm×厚さ16mmのグラファイトターゲット32、および、φ6インチ×厚さ6mmのスズターゲット33とジルコニウムターゲット34をセットし、縦50×横50×厚さ0.02mmの銅箔35を公転する円筒状の基板台36表面にセットする。次に、チャンバー31内の圧力が1×10−3Pa以下となるように真空に引き、チャンバー31内を真空状態にする。その後、チャンバー31内にArガスを導入し、チャンバー31内の圧力を0.26Paとなるようにして、グラファイトターゲット32、スズターゲット33、およびジルコニウムターゲット34にDC(直流)を印加して、グラファイトターゲット32にアーク放電、スズターゲット33およびジルコニウムターゲット34にグロー放電を発生させて、グラファイトをアーク放電の熱により蒸発させると共に、スズおよびジルコニウムをアルゴンのスパッタにより蒸発させる。これにより、銅箔35上に、非晶質炭素中にスズおよびジルコニウム炭化物が分散した膜(負極活物質)を成膜する。このようにして、リチウムイオン二次電池用負極材を製造することができる。
なお、本発明を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、例えば、負極集電体洗浄工程、温度調整工程等、さらに、他の工程を含めてもよい。
≪リチウムイオン二次電池≫
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、前記記載のリチウムイオン二次電池用負極材を用いたものである。本発明に係る負極材を用いることにより、高い充放電容量を有し、サイクル特性に優れ、かつ高速充放電が可能なリチウムイオン二次電池を製造することができる。
<リチウムイオン二次電池の形態>
リチウムイオン二次電池の形態としては、例えば、円筒型、コイン型、基板搭載薄膜型、角型、シール型等が挙げられるが、本発明に係る負極材を用いることができるものであれば、どのような形態であってもよい。
リチウムイオン二次電池は、主に、負極材、正極材、これらの電極材を絶縁するセパレータ材、電極材間の電荷移動を補助する電解液、これらを収容する電池ケースから構成される。
以下、各構成について説明する。
<負極材>
負極材は、前記した本発明に係る負極材を使用し、また、この負極材は、前記した本発明に係る製造方法により製造する。
<正極材>
正極材は、特に限定されるものではなく、公知の材料、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn等のリチウム含有酸化物を使用することができる。正極材の製造方法も特に限定されるものではなく、公知の方法、例えば、粉末状のこれらの正極材料に、バインダーの他、必要であれば導電材、溶剤等を添加して十分混練した後、アルミニウム箔等の集電体に塗布し、乾燥、プレスして製造することができる。
<セパレータ材>
セパレータ材についても特に限定されるものではなく、公知の材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔質体のシートまたは不繊布等のセパレータ材を使用することができる。
<電解液>
電解液は、電池ケース内に注入されて密閉される。かかる電解液は、充放電時に、負極材および正極材で電気化学的反応によって生成されるリチウムイオンの移動を可能にする。
電解液の電解質用溶媒としては、リチウム塩を溶解できる公知の非プロトン性、低誘電率の溶媒を使用することができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチル・エチルカーボネート、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の溶媒を単独、あるいは複数混合して使用することができる。
電解液の電解質として用いるリチウム塩としては、例えば、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiB(C、LiCl、CHSOLi、CFSOLi等があり、これらの塩を単独、あるいは複数混合して使用することができる。
<電池ケース>
電池ケースは、前記した負極材、正極材、セパレータ材、電解液等を収容する。
なお、リチウム固体二次電池、ポリマーリチウム二次電池を製造する場合においては、公知の正極材、ポリマー電解質、固体電解質と共に、本発明のリチウムイオン二次電池用負極材を用いることにより、安全性が高く、高容量の二次電池を製造することができる。
次に、本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材、および、その製造方法、ならびに、リチウムイオン二次電池について、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
[第1実施例]
以下の方法により、試料を作製した。
図2に示すようなスパッタリング装置のチャンバー内に、φ100mm×厚さ5mmの炭素ターゲット、スズターゲット(高純度化学株式会社製:純度99.99%)およびジルコニウムターゲット(高純度化学株式会社製:純度99.2%)をセットし、縦50×横50×厚さ0.02mmの銅箔(株式会社ニラコ製)を、炭素ターゲット、スズターゲット、およびジルコニウムターゲットに対向するように、基板台にセットし、チャンバー内を1×10-3Pa以下となるように真空に引き、チャンバー内を真空状態とした。その後、チャンバー内にArガスを導入し、チャンバー内の圧力を0.26Paとなるようにして、炭素ターゲット、スズターゲット、およびジルコニウムターゲットにDC(直流)を印加してプラズマを発生させ、炭素ターゲット、スズターゲット、およびジルコニウムターゲットをスパッタした。これにより、銅箔上に、非晶質炭素中にスズおよびジルコニウム炭化物が分散した膜を成膜して、リチウムイオン二次電池用負極材を作製した。
このとき、炭素ターゲット、スズターゲット、およびジルコニウムターゲットに印加するDCパワーを調整することにより、炭素、スズ、ジルコニウムの組成を制御して、表1に示す実施例1〜4および比較例1〜3、5の負極材を作製した。なお、膜厚は全て1μmとした。また、比較例4は、銅箔上にバインダーを用いて黒鉛を塗布し、それを乾燥、プレスして作製した黒鉛負極材である。
なお、表1に示す実施例1について、負極材における非晶質炭素中の分散状態について、FIB−TEM観察により調べた。その結果、FIB−TEM観察時の炭素は、非晶質な相が観察され、非晶質炭素中には、2〜5nmの大きさのスズ粒子と5〜10nmの大きさの炭化ジルコニウムが分散している構造が観察された。
このようにして作製した試料について、以下の方法により、充放電特性評価を行った。
[充放電特性評価]
得られた負極材と、対極に正極材として金属リチウムとを配置し、両電極材間にポリプロピレン製の多孔質体のセパレータ材を挟んだ。電解液として、1mol/lの6フッ化りん酸リチウム塩を、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合有機溶媒に体積比1対1で溶かした溶液を使用し、2極式セルの評価用セルを作製した。なお、用いた評価用セルの構造を示す模式図を図4に示す。
この評価用セルについて、室温下、充放電速度を0.2Cおよび10Cの2種類として、カットオフ電圧を充電時0.005V、放電時1.2Vとして1サイクルとし、10Cでの充放電を100サイクル行なった。そして、充放電速度0.2Cおよび10Cでの初回の放電容量(初期放電容量)、および、充放電速度10Cでの100サイクル目の容量維持率を求めた。なお、容量維持率は、「100サイクル目の放電容量÷初期放電容量×100」の式より求め、10Cでの初期放電容量が250mA/g以上、かつ100サイクル目の容量維持率が75%以上を合格とした。ここで、充放電速度の単位Cは、放電しきった状態から満充電するのに、または満充電から放電しきるのに要する時間を表しており、1Cが1時間で満充電することを表し、10Cは1/10時間=6分で満充電することを表す。
これらの結果を表1に示す。なお、表中の各元素の含有量は、以下のオージェ電子分光分析(AES分析)により求めた。また、表1において、本発明の構成を満たさないもの、および、評価基準を満たさないものは、数値に下線を引いて示す。
(組成分析)
組成の分析は、オージェ電子分光分析(AES分析)を実施し、膜中の元素濃度を得た。ここで、AES分析には、パーキン・エルマー社製PHI650走査型オージェ電子分光装置を使用し、直径10μmの領域について分析を行った。膜中には、成膜時に不可避的に混入する、基板由来の銅および酸素等の不純物が10at%以下存在していたが、これを除き、(Snの原子分率)/(Snの原子分率+Zrの原子分率+Cの原子分率)を、膜中のSn組成として、同様に、(Zrの原子分率)/(Snの原子分率+Zrの原子分率+Cの原子分率)および(Cの原子分率)/(Snの原子分率+Zrの原子分率+Cの原子分率)を、それぞれ膜中のZr組成およびC組成として計算した。
Figure 0005330903
表1に示すように、実施例1〜4は、本発明の要件を満たしているため、黒鉛をバインダーを用いて銅箔上に塗布した比較例4に比べ、高い初期放電容量および100サイクル目の容量維持率を示した。
一方、比較例1は、Sn含有量が多いため、初期の容量は高いが、サイクル試験で劣化した。比較例2は、Zr含有量が多すぎて炭化物が形成しすぎたため、充放電速度を上げるとLiの拡散が阻害され、黒鉛をバインダーを用いて銅箔上に塗布した比較例4よりも初期放電容量が低下した。比較例3は、Zr含有量が少ないため、充放電速度0.2Cでは高い初期放電容量を示すが、充放電速度が10Cになると電子伝導性が悪いために初期容量が低下した。すなわち、比較例2、3は、高速充放電ができないものであった。また、比較例5は、Sn含有量が少ないため、初期の充放電容量が比較例4と殆ど差が無く、充放電容量の増大効果が無かった。
[第2実施例]
第1実施例と同様にスパッタリング装置を用いて、負極材を成膜した。但し、ジルコニウムターゲットを、別の4A,5A,6A族元素のターゲットに変えて成膜を実施した。
結果を表2に示す。
Figure 0005330903
表2に示すように、4A,5A,6A族元素を添加することにより、充放電速度が10Cでも充放電速度0.2Cと同程度の初期放電容量を示すことがわかる。また、Snの添加により、初期放電容量を比較例4に比べ高くすることができ、かつ、Snを本発明の範囲内に調整することにより、サイクル特性も良好となることがわかる。
[第3実施例]
第3実施例では、成膜方法として、AIP法で非晶質炭素を、スパッタリング法でSnとCrを同時成膜することによってリチウムイオン電池用負極材を作製した。
図3に示すようなAIP−スパッタリング複合装置のチャンバー内に、φ100mm×厚さ16mmのグラファイトターゲット、および、φ6インチ×厚さ6mmのスズターゲット(高純度化学株式会社製:純度99.99%)とクロムターゲット(高純度化学株式会社製:純度99.9%)をセットし、縦50×横50×厚さ0.02mmの銅箔(株式会社ニラコ製)を公転する円筒状の基板台表面にセットし、チャンバー内を1×10−3Pa以下となるように真空に引き、チャンバー内を真空状態とした。その後、チャンバー内にArガスを導入し、チャンバー内の圧力を0.26Paとなるようにして、グラファイトターゲット、スズターゲット、およびクロムターゲットにDC(直流)を印加して、グラファイトターゲットにアーク放電、スズターゲットおよびクロムターゲットにグロー放電を発生させて、グラファイトをアーク放電の熱により蒸発させると共に、スズおよびクロムをアルゴンのスパッタにより蒸発させた。これにより、銅箔上に、非晶質炭素中にスズおよびクロム炭化物が分散した膜(負極活物質)を成膜して、リチウムイオン二次電池用負極材を作製した。このときのアーク放電電流は60A、スパッタリングパワーは500W、基板に印加するバイアスは10Vとして、1時間の成膜を行った。
この負極材における非晶質炭素中のスズとクロムの分散状態について、FIB−TEM観察により調べたところ、炭素は、非晶質構造の中に乱層構造のグラファイトが含有された構造をしており、炭素相中に、粒径5〜10nmの大きさのスズ粒子と10〜15nmの大きさのクロム炭化物粒子が分散している構造が観察された。また、断面をSEMで観察したところ、負極材料の膜厚は5μmであった。また、SnとCr組成の分析は、第2実施例と同様に、オージェ電子分光分析(AES分析)を実施し、Snは3at%、Crは5at%を得た。
このようにして作製した試料について、第2実施例と同様の方法で、充放電特性評価を行い、充放電速度0.2Cと10Cでの初期放電容量の測定と、充放電速度10Cでの500サイクル充放電したときの容量維持率を求めた。その結果、初期放電容量は0.2Cのときに415mAh/g、10Cのときに410mAh/gであり、容量維持率は、83%であった。このように、AIP法で非晶質炭素を、スパッタリング法でSnとCrを同時成膜することによって得られた負極材についても、黒鉛のみを成膜した比較例4に比べ、高い初期放電容量を示し、容量維持率も75%以上を示した。
以上の結果から、本発明に係るリチウムイオン二次電池用負極材によれば、十分な充放電容量と、優れたサイクル特性とを兼ね備え、かつ高速充放電が可能なリチウムイオン二次電池を得ることができるといえる。
以上、本発明の好適な実施形態、実施例について説明してきたが、本発明は前記実施形態、実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲において広く変更、改変して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
1 負極集電体
2 負極活物質
10 リチウムイオン二次電池用負極材(負極材)

Claims (4)

  1. リチウムイオン二次電池に用いられるリチウムイオン二次電池用負極材であって、
    前記リチウムイオン二次電池用負極材は、1〜40at%のSnと、3〜20at%の4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属を含む負極活物質であって、Snは金属ナノ粒子として、また、4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属は炭素と結合した炭化物のナノ粒子として、それぞれ非晶質炭素中に分散した負極活物質を、負極集電体上に形成したものであることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法であって、
    1〜40at%のSnと、3〜20at%の4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属を含む負極活物質であって、Snは金属ナノ粒子として、また、4A、5A、6A族元素から選ばれる少なくとも一種以上の金属は炭素と結合した炭化物のナノ粒子として、それぞれ非晶質炭素中に分散した負極活物質を、気相成長法により負極集電体上に形成させることを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
  3. 前記負極活物質の非晶質炭素の形成を、グラファイトターゲットを用いてアークイオンプレーティング法により行うことを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極材の製造方法。
  4. 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極材を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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