JP5330536B2 - 植物ウイルス病防除効果を有するシュードモナス・オレオボランス菌株 - Google Patents

植物ウイルス病防除効果を有するシュードモナス・オレオボランス菌株 Download PDF

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Description

本発明は植物ウイルス病防除効果を有するシュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)菌株、及びこれを含有する植物ウイルス病防除用生物製剤に関するものである。
韓国内の園芸作物の総栽培面積は毎年増加する趨勢であるが、大部分の園芸作物において植物ウイルス病が発生しており、これによる経済的被害が非常に深刻な水準に及んでいる。
園芸作物に被害を与えている植物ウイルスとしては、キュウリモザイクウイルス(Cucumber mosaic virus; CMV)、タバコモザイクウイルス(Tobacco mosaic virus; TMV)及びジャガイモウイルスY(potato virus Y; PVY)等があり、このような植物ウイルスを防除するために無病種子を用いて作物を栽培する耕種的方法及びウイルス抵抗性品種の育成等の方法があるが、その効果は微々たるものである。
一方、ウイルス外被蛋白質遺伝子(coat protein gene)、複製関連遺伝子(replication-associated gene)及び衛星RNA遺伝子(satellite RNA gene)、アンチセンス遺伝子(antisense gene)等の遺伝子を植物体内に導入してウイルスに抵抗性を示す形質転換植物体を開発しているが、産業的に成功するためには多くの時間が必要である(Fitchen, J. H. and Beachy, R. N., Annu. Rev. Microbiol., 47:739-763, 1993)。
したがって、最近では微生物を利用して植物ウイルスを防除しようとする生物製剤の開発が活発に行われている。特に、防除用生物製剤は自然生態系を保存し、人畜に毒性のない親環境的な防除法としてその需要が増加している。
本発明の目的は、主な植物ウイルス病の防除効果を有する微生物及びこれを含有する生物製剤を提供することである。
前記目的を達成するために本発明は、植物ウイルス病防除効果を有するシュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)KBPF-004(KCTC 10159BP)菌株、前記菌株の培養液、前記培養液の乾燥粉末、及び前記菌株・前記培養液又は前記乾燥粉末を有効成分として含有する植物ウイルス病防除用生物製剤を提供する。
本発明の前記及び他の目的と特徴は、添付の図面とともに下記本発明の説明から明確になるはずである。
KBPF-004菌株の系統数分析を示したものである。 KBPF-004の25%水和剤の1000倍希釈液のタバコモザイクウイルスに対する防除活性を示したグラフである。 RT-PCRを利用したKBPF-004の25%水和剤のタバコモザイクウイルス抑制効果分析を示したものである。 RT-PCRを利用したKBPF-004の25%水和剤の単独又は複合感染ウイルスの抑制効果分析を示したものである(C:青陽トウガラシ、D:大明トウガラシ、M:サイズマーカー、H:健全植物、N:無処理区、及び1, 2:KBPF-004処理区)。 KBPF-004の25%水和剤処理に伴うウイルス粒子の電子顕微鏡写真である(TMV: タバコモザイクウイルス及びPVY:ジャガイモウイルスY)。 KBPF-004の25%水和剤処理に伴うタバコモザイクウイルスの感染抑制効果を示す写真である。 KBPF-004の25%水和剤処理に伴うトウガラシモットルウイルスの防除効果を示す写真である。 KBPF-004の25%水和剤処理に伴うイネ縞葉枯れウイルスの防除効果を示す写真である(A:無処理、及びB:KBPF-004の25%水和剤の500倍希釈液処理区)。 KBPF-004の2.5%粒剤処理に伴うタバコモザイクウイルスの防除効果を示す写真である。 KBPF-004の70%液状剤処理に伴うトマト黄化葉巻ウイルスの防除効果を示す写真である(A:無処理(慣行の殺虫剤処理区)、及びB:KBPF-004の70%液状剤500倍希釈液+慣行の殺虫剤混用処理区)。
本発明は植物ウイルス病の防除効果を有するシュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)KBPF-004(KCTC 10159BP)菌株を提供する。
本発明のシュードモナス・オレオボランスKBPF-004(KCTC 10159BP)菌株の菌叢は黄色であり、円形外角線に櫛目模様に広がった縞模様があり、菌株の形態は長さ2〜3μm及び幅0.3〜0.5μmの桿状菌であって1個の長い鞭毛を有している。
本発明の菌株は1,479bpであって配列番号1の16s rDNAの塩基配列を示すことを特徴とし、シュードモナス・オレオボランスIAM 1508Tと99.05%の類似度を有する。本菌株はクラスタル法(Thompson JD et al., Nuc. Acid. Res. 25: 4876-82, 1997)により系統数を調査して分類学的位置を確認することができた(図1)。
本発明の菌株は、特異的な抗ウイルス活性を示すという点において既存のシュードモナス・オレオボランスと異なる。
したがって、本発明者らは前記微生物をシュードモナス属のオレオボランス種であるKBPF-004(Pseudomonas oleovorans KBPF-004)と命名したのであり、2002年1月11日付で韓国生命工学研究院遺伝子銀行に寄託した(受託番号: KCTC 10159BP)。
また、本発明は植物ウイルス病の防除効果を有するシュードモナス・オレオボランスKBPF-004(KCTC 10159BP)菌株の培養液を提供する。
前記培養液は、シュードモナス・オレオボランスKBPF-004(KCTC 10159BP)菌株を培地に接種した後、発酵させて製造することができる。
前記培地としては一般的なグラム陰性菌の培養用培地成分が制限なく使用され得、水1lに対してグルコース1g乃至20g、酵母抽出物1g乃至30g、硫酸マグネシウム0.1g乃至1g、第1リン酸カリウム0.5g乃至5g及び第2リン酸カリウム0.5g乃至5gが含まれたものが好ましく、グルコース7g乃至14g、酵母抽出物15g乃至25g、硫酸マグネシウム0.1g乃至0.2g、第1リン酸カリウム1g乃至2g及び第2リン酸カリウム1g乃至2gが含まれたものがより好ましい。
前記発酵は20℃乃至40℃、好ましくは26℃乃至34℃の温度において、50l/分乃至200l/分、好ましくは100l/分乃至120l/分の曝気率で100rpm乃至250rpm、好ましくは120rpm乃至200rpmの撹拌速度で行われ得る。本発明で提供する生物製剤の生産のためには、細胞と培養濾液の両方を使用することが好ましい。
また、本発明は前記培養液の乾燥粉末を提供する。
前記乾燥粉末は菌株死滅、濃縮及び粉末化(凍結乾燥及び磨砕)段階を行うことにより製造することができる。
前記菌株死滅過程は、培養が終了した時点で培養液を80℃乃至120℃で1分間乃至20分間加熱処理して行うが、好ましくは90℃乃至100℃で5乃至10分間加熱処理を行うことができる。
前記濃縮過程は、滅菌した培養液を減圧濃縮機を利用して40℃乃至80℃で12時間乃至48時間の間、好ましくは65℃乃至75℃で24時間乃至36時間減圧濃縮させることにより行うことができる。
前記粉末化の過程は濃縮した培養液を凍結乾燥機又は噴霧乾燥機のような乾燥化装置を利用して粉末化させることにより行うことができるが、これに限定される訳ではない。
前記凍結乾燥過程は、濃縮した培養液を-80℃の温度で48時間乃至96時間の範囲で順次に温度を上昇させ、凍結乾燥させることにより行うことができるが、60時間乃至80時間凍結乾燥させることが好ましい。
前記磨砕過程は、前記凍結乾燥させた産物をピンミル粉砕機を利用して粒度2mm以下に粉砕することが好ましい。
以後、生物製剤は界面活性剤及び増量剤/栄養剤を添加して混合する等の剤形化を経て製造され得る。
また、本発明はシュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)KBPF-004(KCTC 10159BP)菌株、その培養液又はその培養液の乾燥粉末を有効成分として含有する植物ウイルス病防除用生物製剤を提供する。
前記植物ウイルス病防除用生物製剤は、有効成分の濃度-依存的な抗ウイルス活性を示す。
前記植物ウイルス病防除用生物製剤は2.5乃至70重量%のシュードモナス・オレオボランスKBPF-004(KCTC 10159BP)菌株、その培養液又はその乾燥粉末、2乃至30重量%の界面活性剤、及び残量として増量剤を含み得る。好ましくは、前記植物ウイルス病防除用生物製剤は2.5乃至70重量%のシュードモナス・オレオボランスKBPF-004(KCTC 10159BP)菌株、その培養液又はその乾燥粉末を含み得る。
前記界面活性剤は陰イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を単独又は混合して使用することができる。より具体的に、前記界面活性剤はC8~12アルキルアリルスルホン酸、C8~12ジアルキルアリルスルホン酸、C8~12ジアルキルスルホサクシネート、リグニンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸縮合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、C8~12アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物及びポリオキシエチレンC8~12アルキルフェニルスルホン酸のようなスルホン酸化合物のナトリウム塩又はカルシウム塩、C8~12アルキルサルフェート、C8~12アルキルアリルサルフェート、ポリオキシエチレンC8~12アルキルサルフェート及びポリオキシエチレンC8~12アルキルフェニルサルフェートのようなサルフェート化合物のナトリウム塩又はカルシウム塩、ポリオキシアルキレンスクシネートのようなスクシネート化合物のナトリウム塩又はカルシウム塩、ナトリウムベンゾエート及びアルキルカルボキシレートのような陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンC12~18アルキルエーテル、ポリオキシエチレンC8~12アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンC8~12アルキルフェニルポリマー及びエチレンオキサイドプロピレンオキサイドコポリマーのような非イオン性界面活性剤、ポリカルボキシレート、トリトン100、ツイン80及びこの混合物からなる群より選ばれ得るが、これに限定される訳ではない。
前記増量剤はベントナイト、滑石、粘土、カオリン、炭酸カルシウム、珪砂、軽石、珪藻土、酸性白土、ゼオライト、パーライト、ホワイトカーボン、アンモニウムサルフェート、沃素、ブドウ糖、デキストリン、水及びその混合物からなる群より選ばれ得るが、これに限定される訳ではない。
また、前記生物製剤は生化学農薬として使用可能な界面活性剤及び/又は増量剤を使用して水和剤、粒状水和剤、液状水和剤、粒剤、液状剤、水溶剤、水溶性粒剤又はカルシウム化剤の形態で製剤化され得る。
前記生物製剤において、前記菌株又はその培養液は植物ウイルス病防除用生物製剤に含まれたままで供給され得、長期間保存するために別途に保管しておいて使用直前に混合して使用することもできる。前記微生物を長期間保存した後で別途に供給する場合には、グリセロール保存溶液に-70℃以下で保存するか、又は凍結乾燥させて保存した上で使用することができる。
本発明で提供する生物製剤の一形態である粒剤は、前記培養液を後処理工程を通じて粉末化した後、界面活性剤及び増量剤/栄養剤を添加して混合することにより製造される。
本発明で提供する生物製剤の一形態である粒剤は、前記培養物を後処理工程を通じて粉末化した後、界面活性剤、増量剤及び崩壊剤を添加して混合することにより製造される。前記崩壊剤はベントナイト、タルク、ダイヤライト、カオリン、カルシウムカーボネート及びその混合物からなる群より選ばれ得る。
前記粒剤は微生物及び/又はその発酵産物(培養液)に表面活性剤、不活性担体、保存剤、湿潤剤、供給促進剤、誘引剤、カルシウム化剤、結合剤、乳化剤、染料、UV保護剤、緩衝剤及びホルム剤からなる群より選ばれたものをさらに含み得る。
本発明で提供する生物製剤の一形態である液状剤は、前記培養物を後処理工程を通じて死滅濃縮させた後、界面活性剤、保存剤、湿潤剤、供給促進剤、誘引剤、UV保護剤及び緩衝剤からなる群より選ばれたものを添加して混合することにより製造される。
本発明の生物製剤は、アレクシウイルス(Allexivirus)、アルファモウイルス(Alfamovirus)、アンペロウイルス(Ampelovirus)、バイモウイルス(Bymovirus)、ベゴモウイルス(Begomovirus)、キャピロウイルス(Capillovirus)、カーラウイルス(Carlavirus)、カルモウイルス(Carmovirus)、カウリモウイルス(Caulimovirus)、クロステロウイルス(Closterovirus)、コモウイルス(Comovirus)、ククモウイルス(Cucumovirus)、クリニウイルス(Crinivirus)、サイトラブドウイルス(Cytorhabdovirus)、ファバウイルス(Fabavirus)、フレキシウイルス(Flexiviridae)、 フォベアウイルス(Foveavirus)、フロウイルス(Furovirus)、ジェミニウイルス(Geminivirus)、ホルデイウイルス(Hordeivirus)、アイラーウイルス(Ilarvirus)、ルテオウイルス(Luteovirus)、マキュラウイルス(Maculavirus)、ネポウイルス(Nepovirus)、ポテックスウイルス(Potexvirus)、ポチウイルス(Potyvirus)、ファイトレオウイルス(Phytoreovirus)、ポレロウイルス(Polerovirus)、ポモウイルス(Pomovirus)、サドワウイルス(Sadwavirus)、Taastrupウイルス(Taastrupvirus)、テヌイウイルス(Tenuivirus)、トバモウイルス(Tobamovirus)、トブラウイルス(Tobravirus)、トンブスウイルス(Tombusvirus)、トスポウイルス(Tospovirus) 及びトリコウイルス(Trichovirus)グループのような大部分の植物ウイルスに効果的である。特に主な作物ウイルスグループの中で棒状(糸状)の一本鎖のRNAで構成されたトバモウイルス、ポチウイルス及びテヌイウイルスグループと球形の一本鎖RNAで構成されたククモウイルスグループ、球形の一本鎖DNAで構成されたベゴモウイルスグループに非常に効果的である。
さらに具体的には、トウガラシモットルウイルス(PepMoV; Pepper Mottle virus)、トウガラシマイルドモットルウイルス(PMMoV; Pepper Mild Mottle virus)、キュウリモザイクウイルス(CMV)、トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV; Tomato Yellow Leaf Curl Virus)、キュウリ緑斑モザイクウイルス(CGMMV; Cucumber Green Mottle Mosaic virus)、ジャガイモウイルスY(PVY)、ズッキーニ黄斑モザイクウイルス(ZYMV; Zucchini Yellow Mosaic Virus)、カブモザイクウイルス(TuMV; Turnip Mosaic Virus)又はイネ縞葉枯れウイルス(RSV; Rice Stripe Virus)等に非常に優れた防除効果を示す。
以下、本発明を下記実施例に基づいてさらに詳細に説明する。但し、下記実施例は本発明を例示するためのものであるだけで、本発明の範囲を限定するものではない。
<実施例1>KBPF-004菌株の分離及び同定
<1-1> BPF-004菌株の分離
忠清北道陰城地域のタバコ圃場にて、タバコ植物の根を含む土壌試料を採集した。前記土壌試料を滅菌蒸留水で希釈した後、抗生剤であるサイクロヘキサミド(cyclohexamide)が100 ppmの濃度で含まれたTSA 寒天培地(Difco, Detroit, MI)に土壌希釈液を塗抹した後、27 ℃で培養して菌を分離した。
<1-2> KBPF-004菌株の同定
前記<1-1>で分離した菌株をミューラーヒントン(Mueller Hinton)寒天培地(牛肉抽出物2.0 g、カゼイン17.5 g、澱粉1.5 g及び寒天17.5 g)を利用して30℃で24時間培養した。
菌叢は黄色であり、円形外角線に櫛目模様に広がった縞模様が確認された。菌株の形態は長さ2〜3μm及び幅0.3〜0.5μmの桿状菌であって、1本の長い鞭毛が観察された。本菌株の生化学的同定のために脂肪酸組成分析、Biolog GN microplate分析及びAPI20NE分析を行ってその結果をそれぞれ下記の表1乃至表3に示した。
また、本菌株の同定は16s rDNA塩基配列分析を通じて行われた。分析された16s rDNAの塩基配列(配列番号1)は総1,479bpであって、分離された菌株がシュードモナス・オレオボランスIAM 1508Tと99.05%の類似度を有する菌株であると判明した。本菌株はクラスタル法(Thompson JD et al., Nuc. Acid. Res. 25: 4876-82, 1997)により系統数を調査して分類学的位置を確認することができた(図1)。
本発明者らは前記微生物をシュードモナス属のオレオボランス種であるKBPF-004(Pseudomonas oleovorans KBPF-004)と命名したのであり、2002年1月11日付で韓国生命工学研究院遺伝子銀行に寄託した(受託番号: KCTC 10159BP)。
<1-3> 抗ウイルス活性を有するKBPF-004菌株の特異性
KBPF-004菌株及びその基準菌株であるシュードモナス・オレオボランスATCC8062をミューラーヒントン培地を利用して30℃で24時間の間振盪培養した後、培養液を20倍希釈し、タバコ半葉法を通じて抗ウイルス活性を検定した(Kim et al., Plant Pathol. J. 20(4): 293-296, 2004)。
前記タバコ半葉法は、局部感染寄主であるニコチアナタバカム(Nicotiana tabacum cv. Xanthi nc)がタバコモザイクウイルスの抵抗性遺伝子によりタバコモザイクウイルスに感染した周囲部に細胞壊死を起こし、黒い斑点を形成させる特徴を利用するものであって、具体的に本葉7葉期の局部感染寄主の上位3葉と4葉の半葉に抗ウイルス活性を検定しようとする物質を塗布した後、カーボランダム(研磨剤)を3葉と4葉に均等に振りかけ、タバコモザイクウイルスの希釈液を塗り抗ウイルス活性を検定した。この際、塗布されたカーボランダムによりタバコの葉に傷が生じ、その傷部位を通じてタバコモザイクウイルスが寄主植物体内に浸透するようになる。上記のような方法で薬剤処理及びタバコモザイクウイルスを接種した後、3〜4日後に黒色斑点が検定した葉に現われるようになる。
防除価は下記のような公式により算出したのであり、その結果を下記表4に示した。
防除価(%)=[1-(薬剤処理半葉の黒色斑点の個数/無処理半葉の黒色斑点の個数)]×100
表4に示されているように、抗ウイルス活性がKBPF-004菌株の培養液において特異的に高く現れた。これはKBPF-004菌株が既に知られているシュードモナス・オレオボランス菌株とは異なる抗ウイルス活性を有する特異的な系統であることを示す。
<1-4> KBPF-004菌株の抗ウイルス活性物質の特異性
シュードモナス・オレオボランス種は、生分解性高分子であるポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate; PHA)を生産する菌株として知られている。これに関し、KBPF-004菌株の特異的な抗ウイルス活性がPHAにより誘導されたものであるかを検証するために、タバコ半葉法を通じてPHA(シグマ社製)及びKBPF-004菌株培養液の抗ウイルス活性をそれぞれ測定して、その結果を下記表5に示した。
表5に示されているようにPHAでは抗ウイルス活性が現れなかったが、KBPF-004菌株の培養液では抗ウイルス活性が現れた。これは、KBPF-004菌株が生産する抗ウイルス物質がPHAとは異なる種類のものであることを示している。
また、KBPF-004菌株が生産する抗ウイルス物質が抗生効果を有するか否かを検定するために、植物病原性真菌7種と抗生剤超感受性菌株4種を用いてペーパーディスク検定法で前記菌株に対する抗生効果を低置換生成の有無により検定したのであり、その結果を下記表6に示した。
表6に示されているように、植物病原性真菌及び抗生剤超感受性菌株のいずれもKBPF-004菌株の培養液の阻害を受けずに生育することが分かった。これは、KBPF-004菌株が生成する抗ウイルス物質は既存の抗生物質とは異なるものであることを示している。
<実施例2>抗ウイルス活性物質の生産のための最適化培地の製造
ミューラーヒントン培地よりも抗ウイルス物質の生産量が優れた培地条件を選ぶために、多様な種類の炭素源と窒素源を利用して最適化培地を製造した。
具体的に、培養培地の炭素源としてデキストリン、グルコース、グリセロール、スクロース及び水溶性澱粉を利用し、窒素源にはペプトン、酵母抽出物、カゼイン、小麦ふすま抽出物、第1リン酸アンモニウム及び硫酸アンモニウムを利用して30℃で24時間の間振盪培養した後、600nmでの光学密度(O.D)及びタバコ半葉法を利用した抗ウイルス活性を測定してその結果を表7に示した。
表7に示されているように、炭素源としてはグルコース1乃至5%、窒素源としては酵母抽出物1乃至5%が含まれた最適化培地を用いて培養する方が既存のミューラーヒントン培地よりも菌株の生育及び抗ウイルス活性が格段に増加するものと示された。
<実施例3>KBPF-004菌株の培養液及び乾燥粉末の製造
<3-1> KBPF-004菌株の培養液の製造
KBPF-004菌株の培養液を大量に製造するために、水1L当りグルコース10g、酵母抽出物20g、硫酸マグネシウム0.2g、第1リン酸カリウム2g及び第2リン酸カリウム2gが添加された培地を使用した。
大量生産のための発酵はパイロット規模の発酵槽を利用したのであり、50Lの発酵槽で30Lを培養した後、培養が終われば500Lの発酵槽に培養液を移送する方法で培養規模を増やした。同じ方法で5,000Lの発酵槽で3,000Lを培養したのであり、30℃の発酵温度で1VVM(volume of air added to liquid volume per minute)の曝気率、200rpm(50Lの発酵槽)、150rpm(500Lの発酵槽)及び80rpm(5000Lの発酵槽)の撹拌速度で1日間ずつ発酵工程を行って培養液を製造した。
<3-2> KBPF-004菌株培養液の乾燥粉末の製造
KBPF-004菌株培養液の乾燥粉末を製造するために、菌株死滅、濃縮、凍結乾燥及び磨砕段階を含む後処理工程を行った。
前記菌株死滅過程では、培養が終了した時点で発酵槽を80℃で20分間加熱して菌株を死滅させた。濃縮過程では減圧濃縮機を利用して65℃の温度で32時間の間濃縮した。凍結乾燥の過程では、濃縮した培養液を-80℃の温度で52時間順次に温度を上昇させ凍結乾燥させた。磨砕過程では凍結乾燥させた産物をピンミル粉砕機を利用して粒度が2mm以下となるようにして粉砕し、乾燥粉末を製造した。
<実施例4>KBPF-004菌株の培養液産物を利用した生物製剤の製造
KBPF-004菌株の生物製剤は水和剤、粒状水和剤、液状水和剤及び粒剤の場合には培養液の乾燥粉末に、液状剤の場合には培養液に剤形化した。
<4-1> KBPF-004菌株の培養液乾燥粉末を利用した水和剤の製造
培養液の乾燥粉末を水和剤に剤形化するために、前記<3-2>で製造したKBPF-004菌株の培養液乾燥粉末25重量%、ポリオキシエチレンオクチルフェニルサルフェート3重量%、ソジウムリグニンスルホン酸3重量%、ソジウムラウリルサルフェート2重量%、ホワイトカーボン5重量%及び残量としてカオリンを混合し、生成された混合物を乾式粉砕機で粉砕した。粉砕後、前記混合物の平均粒子径は6.47μmであったのであり、このように得られた水和剤を理化学的分析及び生物試験に使用した。理化学的分析及び生物試験の結果を下記<4-6>に示した。
<4-2> KBPF-004菌株の培養液乾燥粉末を利用した粒状水和剤の製造
培養液の乾燥粉末を粒状水和剤に剤形化するために、前記<3-2>で製造したKBPF-004菌株の培養液乾燥粉末25重量%、ソジウムナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物6重量%、ソジウムラウリルスルホン酸2重量%、ソジウムリグニンスルホン酸2重量%、珪藻土5重量%及び残量としての炭酸カルシウムを混合し、生成された混合物を乾式粉砕機で粉砕した。粉砕後、前記混合物の平均粒子径は6.08μmであった。引き続き前記混合物に混合物対比10重量%の水を入れて捏ね、組立機により成形し、流動層乾燥機内で30分間乾燥させて粒状水和物を製造した。このように得られた粒状水和剤を理化学的分析及び生物試験に使用した。理化学的分析及び生物試験の結果を下記<4-6>に示した。
<4-3> KBPF-004菌株の培養液乾燥粉末を利用した液状水和剤の製造
培養液の乾燥粉末を液状水和剤に剤形化するために、前記<3-2>で製造したKBPF-004菌株の培養液乾燥粉末25重量%、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル3重量%、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドコポリマー2重量%、ソジウムジオクチルスルホサクシネート2重量%、プロピレングリコール10重量%及び蒸留水55.5重量%を混合し、生成された混合物を湿式粉砕機で粉砕した。粉砕後、混合物の平均粒子径は2.45μmであった。引き続き前記混合物に、混合機で撹拌及び混合して処理したキサンタンガムの2%水溶液の2.5重量%を添加した。前記物質を混合機で撹拌及び混合して水性混濁液形態の液状水和剤を製造した。このように得られた液状水和剤を理化学的分析及び生物試験に使用した。理化学的分析及び生物試験の結果を下記<4-6>に示した。
<4-4> KBPF-004菌株の培養液乾燥粉末を利用した粒剤の製造
KBPF-004菌株の土壌に処理する際の防除効果を調べるために、前記<3-2>で製造したKBPF-004菌株の培養液乾燥粉末2.5重量%、リグニンスルホン酸カルシウム0.5重量%、カオリン1.5重量%を混合した。引き続き、平均粒子径が6.25μmになるように乾式粉砕機で粉砕して混合物を製造した。ポリビニルアルコール1重量%とデキストリン0.5重量%を水1.5重量%に溶かして接着液を製造してから、砂94重量%に前記接着液を均等に付けた後、ここに前記混合物を塗抹した。このようにして製造された粒剤を流動層乾燥機内で30分間乾燥させた。このように得られた粒剤を理化学的分析及び生物試験に使用した。生物試験結果の具体的な内容を下記<4-6>に示した。
<4-5> KBPF-004菌株の培養液を利用した液状剤の製造
培養液を液状剤に剤形化するために、前記<3-1>で製造したKBPF-004菌株の培養液を後処理工程を通じて死滅、濃縮させた後、培養液70重量%、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル5重量%、ソジウムジオクチルスルホサクシネート5重量%、プロピレングリコール10重量%及びエタノール10重量%を混合した。生成された混合物を混合機で撹拌及び混合して液状剤を製造した。このように得られた液状剤を理化学的分析及び生物試験に使用した。理化学的分析及び生物試験の結果を下記<4-6>に示した。
<4-6> 剤形による物性及びタバコモザイクウイルスに対する薬効評価
前記<4-1>乃至<4-5>で製造した剤形の物性(製剤形態、外観、水和性、粉末度及び貯蔵安定性)試験及びタバコ半葉法を利用した薬効防除価を測定し、その結果を下記の表8に示した(農薬の検査方法、韓国農村振興庁告示)。
その結果、前記5種類の剤形のいずれも農薬管理法施行規則に定めた農薬の検討基準に適合した物性及び優れた薬効を示した。そのうち、<4-1>で製造した25%水和剤が最も優れた薬効を示したことにより、以後の試験においてはKBPF-004の25%水和剤、2.5%粒剤及び70%液状剤を用いて試験を実施した。
<4-7> KBPF-004の25%水和剤の経時安定性評価
<4-1>で製造したKBPF-004の25%水和剤の経時安定性を評価するために54℃で6週間以上保管して、毎週タバコ半葉法で抗ウイルス活性の消失有無を測定し、その結果を図2に示した。図2に示されているように、54℃で6週間以上タバコモザイクウイルスに対する抗ウイルス活性が維持されることが分かる。したがって、韓国農村振興庁で告示した農薬の登録試験基準と方法により約3年の薬効保証期間を設定した。
<実施例5>KBPF-004の25%水和剤の植物ウイルス抑制効果の検証
<5-1> 処理濃度によるタバコモザイクウイルスの感染抑制効果
KBPF-004の25%水和剤の処理濃度によるタバコモザイクウイルスの感染抑制効果を測定するために、ウイルスゲノムRNAの特異的な塩基配列(外被蛋白質領域)を認識することができるプライマー(Choi et al., Plant Pathol. J., 14: 7-12, 1998; Yoon, Doctoral Thesis, Seoul Women's Univ., Seoul, 166, 2003)を利用してRT-PCR(逆転写酵素重合連鎖反応)試験を行った結果を図3に示した。
図3に示されているように、KBPF-004の25%水和剤を0.005g乃至0.02g/mlの濃度に処理する場合、タバコモザイクウイルスが全く検出されなかった。したがって、KBPF-004菌株のタバコモザイクウイルスに対する感染抑制効果が明らかに示されることを確認した。
<5-2> 植物ウイルスの感染に対する防除効果
KBPF-004の25%水和剤の植物ウイルスの単独又は複合感染による防除効果を検定するために、<4-1>で製造したKBPF-004の25%水和剤を1000倍希釈して噴霧器を用いて青陽トウガラシに噴射処理した。引き続き、トウガラシモットルウイルス(PepMoV)、トウガラシマイルドモットルウイルス(PMMoV)及びキュウリモザイクウイルス(CMV)を単独又は複合的に接種し、RT-PCR産物の検出有無を確認した上でその結果を図4に示した。
図4に示されているように、トウガラシモットルウイルスを単独で接種したトウガラシは品種に関係なく30〜40日までウイルスが検出されなかったのであり、複合感染の場合、トウガラシモットルウイルス+キュウリモザイクウイルスを接種したトウガラシにおいて30日までウイルスが検出されなかった。
また、RT-PCR検定において抗ウイルス効果が認められたトウガラシモットルウイルス、トウガラシモットルウイルス+トウガラシマイルドモットルウイルス及びトウガラシモットルウイルス+キュウリモザイクウイルス試料をELISA(抗血清検定法)(Clark, et al., J. Gen. Virol. 34: 475-483, 1977)検定した結果を下記の表9に示した。
表9に示されているように、KBPF-004菌株のウイルス感染抑制効果が分子的、抗血清水準においても明らかに確認されることが分かった。
<5-3> ウイルスゲノムRNAに対する感染抑制効果
KBPF-004の25%水和剤のトウガラシマイルドモットルウイルスゲノムRNAに対する感染抑制効果を調べるために、<4-1>で製造したKBPF-004の25%水和剤を1000倍希釈して植物体に噴射処理した。引き続き、トウガラシマイルドモットルウイルスのゲノムRNAを局部感染寄主のタバコ(Nicotiana glutinosa)に接種した後、抑制効果が現れた結果を下記表10に示した。
表10に示されているように、KBPF-004の25%水和剤処理区ではウイルスの発生が全く現れなかったが、KBPF-004を処理していない無処理対照区ではトウガラシマイルドモットルウイルスが発病した。これは、KBPF-004菌株がウイルスゲノムRNAにも直接的な影響を及ぼすということを示す。
<5-4> 誘導抵抗性の効果
KBPF-004の25%水和剤処理による植物体の誘導抵抗性の効果を調べるために、2種類の品種のタバコ(Nicotiana tabacum cv. xanthi nc及びNicotiana glutinosa)の下葉にKBPF-004の25%水和剤を1000倍希釈して植物体に噴射処理してから、10日後にトウガラシマイルドモットルウイルスを接種して防除価を計算した。その結果を下記の表11に示した。
表11に示されているように、KBPF-004の25%水和剤処理区では処理葉(下葉)だけでなく第1上葉、第2上葉にまでトウガラシマイルドモットルウイルスの防除効果が現れた。したがって、KBPF-004の25%水和剤の処理はウイルスの直接的な感染及び複製抑制だけでなく、植物体自体の抵抗性を誘導する効果もあることが明らかになった。
<5-5> 電子顕微鏡を利用したウイルス抑制効果の検証
本発明の生物製剤の直接的なウイルス抑制効果を確認するために、電子顕微鏡を利用してKBPF-004菌株がウイルス粒子又は外被蛋白質に及ぼす影響を分析した。
タバコモザイクウイルス(TMV)とジャガイモウイルスY(PVY)を増殖寄主であるニコチアナベンサミアーナ(Nicotiana benthamiana)に接種し、2週間後に全身感染した葉を各50gずつ採取してウイルス粒子を精製した。引き続き、精製したウイルス粒子とKBPF-004の25%水和剤の1/100希釈液(10,000ppm)をそれぞれ1:1(v/v)の比率で混合して処理し、電子顕微鏡で観察してその結果を図5に示した。
図5に示されているように、KBPF-004の25%水和剤処理区でウイルス粒子の長さが短くなることを確認した。これはKBPF-004菌株によりTMVやPVYの粒子が区切られることを示す。
また、ウイルス粒子が区切られた試験試料をタバコ半葉法を利用して抗ウイルス活性の消滅有無を確認し、その結果を図6に示した。その結果、薬剤を処理した時間に応じて区切られたウイルス粒子が増加し、また局部病斑寄主の感染病斑数が急減することが分かった。
<実施例6>主な植物ウイルス病に対するKBPF-004菌株の薬効評価
<6-1> 薬効スクリーニング
植物ウイルスに対するKBPF-004菌株の生物製剤の薬効を評価するために、温室ポット水準で多様な作物を対象に試験を行った。
試験方法として、一般的な植物ウイルスに対するスクリーニング方法に準じて乳苗(幼い苗)及び必要に応じて成体植物試験も併せて行った。
検定のための植物ウイルスは、トバモウイルスグループとしてタバコモザイクウイルス、キュウリ緑斑ウイルス、トウガラシマイルドモットルウイルス、ポチウイルスグループとしてトウガラシモットルウイルス、ズッキーニ黄斑モザイクウイルス、ジャガイモウイルスY、スイカモザイクウイルス、ククモウイルスグループとしてキュウリモザイクウイルスを使用したのであり、作物はタバコ、トウガラシ、ズッキーニ、キュウリ、スイカ、カボチャ、ハクサイ、タバコ、及びメロンを使用した。
具体的に、<4-1>で製造したKBPF-004の25%水和剤の濃度を250、500及び1000倍に希釈して20L/1,000m2の量で前記作物に処理した後、それぞれの植物ウイルスを1000倍希釈して接種した。薬効評価はタバコモザイクウイルスではタバコ半葉法を使用したのであり、残りのウイルスでは罹病株率を用いて防除価を算出し、その薬効を評価した(◎:優秀、○:良好、△:不十分、×:不可)。その結果を下記の表12に示した。
罹病株率(%)= 罹病区数/試験区数
防除価(%)= [1-(薬剤処理区の罹病株率/無処理区の罹病株率]×100)
<6-2> タバコモザイクウイルスに対する圃場の薬効評価
前記<6-1>のタバコモザイクウイルスに対する防除試験において、タバコモザイクウイルスの接種4週間後にKBPF-004の25%水和剤の防除価を計算した結果を下記の表13に示した。その結果、前記水和剤の500倍及び1000倍希釈液はそれぞれ90.8%及び76.8%の防除効果が現れ、対照群である脱脂粉乳に比して優れた防除効果を示した。したがって、KBPF-004菌株の抗ウイルス物質が薬剤の濃度と比例するように薬効を示すことを確認した。
<6-3> トウガラシモットルウイルスに対する圃場の薬効評価
前記<6-1>のトウガラシモットルウイルスに対する防除試験において、KBPF-004の25%水和剤の防除価を計算した結果を下記の表14及び図7に示した。前記水和剤の500倍及び1000倍希釈液はいずれもトウガラシモットルウイルス病の感染抑制率が100%と示された。また、無処理区では薬剤処理前のウイルス感染率が5.4%であったが、薬剤処理後に11.8%に感染率が増加したのに対し、KBPF-004の25%水和剤処理区では薬剤処理後のウイルス感染率が減少し、それ以上ウイルスが伝播しないものと示された。
<6-4> イネ縞葉枯れウイルスに対するKBPF-004菌株の温室薬効評価
前記<6-1>のイネ縞葉枯れウイルスに対する防除試験において、保毒虫(ヨコバイ幼虫)をイネ幼苗に接種する1日前にKBPF-004の25%水和剤500倍及び1000倍の希釈液を処理し、保毒虫を接種してから14日後に発病度を測定した。その結果を下記の表15及び図8に示したのであり、KBPF-004の25%水和剤の500倍希釈液は無処理に比して優れた防除効果が現れることが分かった。
また、下記の表16に示されているように、保毒虫にKBPF-004の25%水和剤の500倍希釈液を直接処理し、1日後にイネ幼苗に接種する場合にもイネ縞葉枯れウイルスの媒介率が顕著に低くなる効果を確認することができた。
<6-5> タバコモザイクウイルスに対する土壌処理剤の薬効評価
前記実施例<4-4>で製造したKBPF-004の2.5%粒剤を土壌に処理する場合、タバコモザイクウイルスに対する防除効果を調べるために、タバコモザイクウイルスに感染したタバコを凍結乾燥させて粉砕して製造した感染源1gを真土100gと混合して罹病土を製造した。引き続き、KBPF-004の2.5%粒剤1 gを上記で製造した罹病土100gと十分に混合し、本葉3葉期の局部病斑寄主タバコ(Nicotiana tabacum cv. Xanthi nc)を移植して、3週間温室で栽培しながら枯死の有無を確認した。
その結果、下記表17及び図9に示されているように、無処理区ではタバコ幼苗が枯死したのに対し、KBPF-004の2.5%粒剤処理区では健全植物のようによく生育することが確認された。
<6-6>トマト黄化葉巻ウイルスに対する圃場の薬効評価
前記<4-5>で製造されたKBPF-004の70%液状剤の500倍希釈液を慣行の殺虫剤としてジノテフラン水和剤、粒剤(Dinotefuran WP, WG)、スピロメシフェン液状水和剤(Spiromesifen SC)、ジクロルボス油剤(Dichlorvos EC)及びアミトラズ+ブプロフェジン油剤(Amitraz+buprofezin EC)を共に混用して散布したところ、防除価が99.9%と示された。それに対し、慣行の殺虫剤としてスピノサド粒状水和剤(Spinosad WG)、アセタミプリド水和剤(Acetamiprid WP)、ジノテフラン水和剤、スピロメシフェン液状水和剤、及びエマメクチンベンゾエート油剤(Emamectin benzoate EC)のみを7日間隔で交互に散布したところ、持続的に病気が発生して80.2%の高い罹病率を示した。
特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約
国 際 様 式
原寄託に関する受託証
国際寄託機関において定めた規則7.1により発行

受領人:李ビョンマン
ソウル特別市瑞草区瑞草洞1337-4 (郵便番号137-070)
様式BP/4 (KCTC 様式17)

Claims (10)

  1. 植物ウイルス病防除効果を有するシュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)KBPF-004(KCTC 10159BP)菌株。
  2. 植物ウイルス病防除効果を有するシュードモナス・オレオボランスKBPF-004(KCTC 10159BP)菌株の培養液。
  3. 請求項2の培養液の乾燥粉末。
  4. 前記乾燥が凍結乾燥機又は噴霧乾燥機によるものであることを特徴とする請求項3の乾燥粉末。
  5. 植物ウイルス病防除効果を有するシュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)KBPF-004(KCTC 10159BP)菌株、その培養液又はその培養液の乾燥粉末を有効成分として含有する、植物ウイルス病防除用生物製剤。
  6. 前記生物製剤が、2.5乃至70重量%のシュードモナス・オレオボランスKBPF-004(KCTC 10159BP)菌株、その培養液又はその培養液の乾燥粉末、2乃至30重量%の界面活性剤、及び残量として増量剤を含むことを特徴とする、請求項5の植物ウイルス病防除用生物製剤。
  7. 前記界面活性剤が陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項6の植物ウイルス病防除用生物製剤。
  8. 前記増量剤がベントナイト、滑石、粘土、カオリン、炭酸カルシウム、珪砂、軽石、珪藻土、酸性白土、ゼオライト、パーライト、ホワイトカーボン、アンモニウムサルフェート、沃素、ブドウ糖、デキストリン、水及びこの混合物からなる群より選ばれたものであることを特徴とする、請求項6の植物ウイルス病防除用生物製剤。
  9. 前記生物製剤が、水和剤、粒状水和剤、液状水和剤、粒剤、液剤、水溶剤、水溶性粒剤及びカプセル化剤からなる群より選択された剤形であることを特徴とする、請求項5の植物ウイルス病防除用生物製剤。
  10. 前記植物ウイルスククモウイルス(Cucumovirus)ジェミニウイルス(Geminivirus)ポチウイルス(Potyvirus)テヌイウイルス(Tenuivirus)及びトバモウイルス(Tobamovirus)らなる群より選ばれた植物ウイルスであることを特徴とする、請求項の植物ウイルス病防除用生物製剤。
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