JP6639901B2 - Pseudomonas属細菌の新規農業用途 - Google Patents

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Description

本発明はエンドファイトであるPseudomonas属細菌を植物に人為的に感染させて該植物に病虫害抵抗性を付与する方法、該植物の生育を促進させる方法、及び該植物の収量を増加させる方法に関する。
これまでの化学農薬を中心とした病害虫防除技術は、効率的な食糧確保に貢献してきた。ところが近年、栽培の効率性だけでなく、安心・安全といった領域を含めた無農薬、減農薬による環境保全型農業が望まれ、それに適合した病害虫防除技術(例えば微生物農薬)や生産性の向上技術が必要とされている。
農業分野では、依然として、作物の生育促進には化学肥料が使用され、また、病害虫に対しては化学合成農薬が使用されている。また、一部では微生物や微生物が生産する物質を用いた微生物農薬も知られている。しかし、農薬の原体を化学合成により製造する際には、多量のエネルギーが投入されるという問題、環境への負荷が大きいという問題などがある。また、一方、現在使用されている環境負荷が小さい微生物農薬は高価であり、安定した防除効果が得られないため、品質や収量が減少してしまう問題がある。
このような状況において、植物に共生する微生物であるエンドファイトのなかに、病害虫の防除や収量の増加などの、植物に有益な特性を付与する微生物が報告されている(特許文献1〜9)。しかし、知られるエンドファイトの種類が少ないため、この分野での実用化のためには、実用化の可能性の高い微生物の探索と応用が求められている。
特開2013-042695号公報 特開2011-051902号公報 特開2009-232721号公報 特開2009-067717号公報 特開2009-051771号公報 特開2009-050206号公報 特開2003-300805号公報 特開2003-274779号公報 特開2002-223747号公報
本発明は、微生物学的な手段によって農業上有用な植物に対し有益な性質を付与することを目的とする。
とりわけ、本発明に関わるPseudomonas属細菌をイネ科、マメ科、ユリ科などの植物に定着させて生育促進による増収技術、病虫害を抑制させる技術などは、これまで知られていない。
本発明は、以下の特徴を包含する。
(1) シュードモナス(Pseudomonas)属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物に病虫害抵抗性を付与する能力を有する細菌を、該植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物に病虫害抵抗性を付与する方法。
(2) シュードモナス(Pseudomonas)属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物の収量を増加させる能力を有する細菌を、該植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物の収量を増加させる方法。
(3) シュードモナス(Pseudomonas)属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物の生育を促進する能力を有する細菌を、該植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物の生育を促進する方法。
(4) 農業上有用な植物が、マメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物、ウリ科植物及びセリ科植物から選択される植物である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 前記細菌が、配列番号1又は4に示す塩基配列と97%以上の同一性を有する塩基配列を含む16S rDNAを有する、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
(6) 前記細菌がPseudomonas sp. MYK105(受託番号NITE P-02061)又はPseudomonas sp. MYK104(受託番号NITE P-02060)、或いは、農業上有用な植物体内に共生して該植物に病虫害抵抗性を付与する能力、該植物の収量を増加させる能力、及び/又は該植物の生育を促進する能力を有する、その変異株である、(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7) シュードモナス(Pseudomonas)属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物に病虫害抵抗性を付与する能力、該植物の収量を増加させる能力、及び/又は該植物の生育を促進する能力を有する細菌を有効成分として含有する、農業上有用な植物用の微生物製剤。
(8) 農業上有用な植物が、マメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物、ウリ科植物及びセリ科植物から選択される植物である、(7)に記載の微生物製剤。
(9) ユリ科植物が、タマネギである、(8)に記載の微生物製剤。
(10) 前記細菌が、配列番号1又は4に示す塩基配列と97%以上の同一性を有する塩基配列を含む16S rDNAを有する、(7)〜(9)のいずれかに記載の微生物製剤。
(11) 前記細菌がPseudomonas sp. MYK105(受託番号NITE P-02061)若しくはPseudomonas sp. MYK104(受託番号NITE P-02060)、又はその変異株である、(7)〜(10)のいずれかに記載の微生物製剤。
(12) Pseudomonas sp. MYK105(受託番号NITE P-02061)又はPseudomonas sp. MYK104(受託番号NITE P-02060)、或いは、農業上有用な植物体内に共生して該植物に病虫害抵抗性を付与する能力、該植物の収量を増加させる能力、及び/又は該植物の生育を促進する能力を有する、その変異株。
本明細書において「シュードモナス(Pseudomonas)属細菌」は、農業上有用な植物体内に共生して植物に病虫害抵抗性を付与する能力、植物の収量を増加させる能力、及び/又は植物の生育を促進する能力を有する、エンドファイト細菌を指す。一般に、「エンドファイト」なる用語は、植物に共生する微生物をいう。
本発明により、微生物学的な手段、すなわちエンドファイトとして使用可能なシュードモナス(Pseudomonas)属細菌(例えばNITE P-02061株又はNITE P-02060株)によって、以下のものに限定されないが、マメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、ナス科植物、ウリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物及びセリ科植物から選択される植物について、該植物に病虫害抵抗性を付与すること、該植物の生育を促進すること、及び/又は該植物の収量を増加することが可能となる。例えばユリ科植物等に属する作物に対して、病虫害抵抗性を付与させるだけでなく、植物の生育を促進し、及び/又は植物の収量を増加させることが可能になる。後述の実施例で例証するように、本発明のシュードモナス(Pseudomonas)属細菌によって、タマネギ、キャベツ、コマツナ、レタス、及びナス等において、数%〜数十%の収量の増加が認められた。また、キャベツ軟腐病、キャベツ根こぶ病、キャベツのヨトウムシによる食害の被害率が約十%〜数十%低下した。
1. 細菌
本発明に用いることができる細菌は、シュードモナス(Pseudomonas)属に属する細菌、例えばPseudomonas koreensisであって、農業上有用な植物、例えば、マメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物、ウリ科植物及びセリ科植物から選択される植物の体内に共生して、該植物に病虫害抵抗性を付与する能力、該植物の生育(生長)を促進する能力、及び/又は、該植物の収量を増加する能力を有する細菌であれば特に限定されない。
本明細書では、植物の収量は、例えば種子、葉(鱗茎を含む)、実、茎、根、花などの植物体構成成分の収量を指す。
本明細書では、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌は、上記のいずれか1つ、2つ又は3つの能力を植物体に付与することができるエンドファイト細菌であり、自然界から単離された細菌だけでなく、そのような細菌に突然変異処理を施して産生された変異体も包含する。
上記細菌の具体例として、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌である、Pseudomonas sp. MYK105(受託番号NITE P-02061;以下では、単に「NITE P-02061株」と称することもある。)又はPseudomonas sp. MYK104(受託番号NITE P-02060;以下では、単に「NITE P-02060株」と称することもある。)、或いは、上記のいずれか1つ又は複数の能力を有する、その変異株が挙げられる。
上記のPseudomonas sp. MYK105は、自生しているユリ科植物から単離された菌株である。Pseudomonas sp. MYK105は、2015年5月29日を受託日として、ブダペスト条約下の国際寄託機関である、独立行政法人製品評価技術基盤機構、特許微生物寄託センター(〒292-0818千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に本出願人により寄託され、受託番号NITE P-02061が付与されている。
このNITE P-02061株は、種々の細菌の属及び種について、16S rDNAの部分配列(本件の場合、Pseudomonas sp. MYK105(受託番号NITE P-02061)株の16S rDNAの対応する部分塩基配列(配列番号1)との比較)を用いて、相同性検索を行った結果、相同性の高い菌として、相同性が高いほうから順に、Pseudomonas sp. WXGSA1(Accession No.:KJ184866.1、相同性: 100%)、Pseudomonas koreensis strain JH18(Accession No.:KF424274.1、相同性: 99.9%)、Pseudomonas sp. WXGSY2(Accession No.:KJ184891.1、相同性: 99.9%)、Pseudomonas koreensis strain JH14(Accession No.:KF424272.1、相同性: 99.8%)、Pseudomonas koreensis strain RK18 (Accession No.:KC790278.1、相同性: 99.8%)が認められたことから、Pseudomonas属に属する細菌であることが判明した。また、この結果から、NITE P-02061株は、Pseudomonas koreensisである可能性が高いと考えられた。
また、NITE P-02061は、以下の基質資化性を有している。
Figure 0006639901
Figure 0006639901
また、上記のPseudomonas sp. MYK104は、圃場で栽培されたアブラナ科植物から単離された菌株である。Pseudomonas sp. MYK104は、2015年5月29日を受託日として、ブダペスト条約下の国際寄託機関である、独立行政法人製品評価技術基盤機構、特許微生物寄託センター(〒292-0818千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に本出願人により寄託され、受託番号NITE P-02060が付与されている。
このNITE P-02060株は、種々の細菌の属及び種について、16S rDNAの部分配列(本件の場合、Pseudomonas sp. MYK104(受託番号NITE P-02060)株の16S rDNAの対応する部分塩基配列(配列番号4)との比較)を用いて、相同性検索を行った結果、相同性の高い菌としてPseudomonas koreensis strain NHZ12 (Accession No.: KJ875595.1、相同性: 100%)、Pseudomonas koreensis strain SMs14 (Accession No.: JX485811.1、相同性: 100%)、Pseudomonas koreensis strain PSB24 (Accession No.: KJ875683.1、相同性: 100%)、Pseudomonas koreensis strain IARI-HHS2-32 (Accession No.: KF054782.1、相同性: 100%)、Pseudomonas sp. BF1-3 (Accession No.: KJ849233.1、相同性: 100%)が認められたことから、Pseudomonas属に属する細菌であることが判明した。また、この結果から、NITE P-02060株は、Pseudomonas koreensisである可能性が高いと考えられた。
また、NITE P-02060は、以下の基質資化性を有している。
Figure 0006639901
Figure 0006639901
なお、NITE P-02061株の16S rDNA(配列番号1からなる塩基配列)とNITE P-02060株の16S rDNA(配列番号4からなる塩基配列)は、99.9%の相同性を有する。
本発明で使用できる細菌としては、Pseudomonas属細菌であるNITE P-02061株又はNITE P-02060株と同等の上記能力を有する細菌、例えば、(Pseudomonas koreensis等の)Pseudomonas属に属し、上記のいずれか1つ又は複数の能力を有し、及び、NITE P-02061株又はNITE P-02060株と同一又は同等の基質資化性等の性質を有する細菌や、Pseudomonas属に属し、上記のいずれか1つ又は複数の能力を有し、及び、配列番号1又は配列番号4に示す塩基配列又は該塩基配列と等価な配列を少なくとも一部分に含む16S rDNAを有する細菌が挙げられるがこれらには限定されない。ここで、同等の基質資化性を有するとは、NITE P-02061株又はNITE P-02060株の基質資化性と比べて、資化される基質及び/又は資化されない基質が、数個以下、例えば10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又は1個異なることを意味する。また、配列番号1又は配列番号4に示す塩基配列と等価な配列とは、配列番号1又は4に示す塩基配列と95%以上、96%以上、好ましくは97%以上、98%以上、又は99%以上、さらに好ましくは99.5%以上、99.7%以上、99.8%以上、又は99.9%以上の同一性を有する塩基配列を意味する。同一性の値は、複数の塩基配列間の同一性を演算するソフトウェア(例えば、FASTA、DANASYS、及びBLAST)を用いてデフォルトの設定で算出した値を示す。
さらにまた、NITE P-02061株又はNITE P-02060株が人為的に突然変異誘発処理されて産生されたその変異株であって、農業上有用な植物、例えばマメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物、ウリ科植物及びセリ科植物から選択される植物、の体内に共生して該植物に病虫害抵抗性を付与する能力、該植物の生育を促進する能力、及び/又は該植物の収量を増加させる能力を有する変異株もまた、本発明で使用することができる。
本発明で使用できるPseudomonas属細菌を自然界から分離するときには、農業上有用な植物の根、茎、葉などの植物体構成部から、該植物に共生する細菌類を培養により分離し、上記の能力のいずれかについて、並びに/或いは上記の配列番号1又は4に示す塩基配列との配列同一性等について、選抜試験を行い得る。
また、突然変異誘発処理を行う場合には、NITE P-02061株又はNITE P-02060株に対し任意の適当な変異原を用いて突然変異が行われ得る。
ここで、「変異原」なる用語は、広義の意味を有し、例えば変異原作用を有する薬剤のみならずUV照射等の高エネルギー線照射のような変異原作用を有する処理も含むものとする。適当な変異原の例として、エチルメタンスルホネート、UV照射、ガンマ線照射、X線照射、重イオンビーム照射、N−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、ブロモウラシルのようなヌクレオチド塩基類似体、及びアクリジン類が挙げられるが、他の任意の効果的な変異原もまた使用され得る。
或いは、細菌に変異を導入する他の手段には、遺伝子組換え法を利用する方法がある。特に、虫害対策の場合、細菌ゲノムへの、忌避物質の産生を可能とする遺伝子若しくはcDNAの導入、Btトキシンなどの殺虫蛋白質をコードする遺伝子若しくはcDNAの導入などが挙げられる。
本発明に用いられる細菌は、振とう培養等の通常の培養法により、Pseudomonas属細菌について通常使用されるような条件下で培養されうる。培養に用いる培地としては炭素源としてグルコース、シュークロース、デンプン、デキストリンなどの糖類を、窒素源として硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩、硝酸塩等の無機窒素源、又は、酵母エキス、コーン・スティープ・リーカー、肉エキス、小麦胚芽、ポリペプトン、サトウキビ絞り粕(バカス)、ビールカス、大豆粉、米糠、魚粉等の有機窒素源を、無機塩としてリン酸一カリ、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硫酸第一鉄等の、リン、カリウム、マンガン、マグネシウム、鉄等を含む塩類を、それぞれ含有する合成又は天然の培地が挙げられる。培養温度は、通常、20〜37℃、好ましくは27〜32℃で、12〜48時間、好気的条件下で行うことができる。
本発明の方法には、細菌の培養液をそのまま使用することができるが、細菌の培養液を膜分離、遠心分離、濾過分離等の方法により分離した、細菌の高濃度物を用いることもできる。
本発明の方法ではまた、細菌の培養液を乾燥させたものを使用することができる。また、細菌の培養液を活性炭、珪藻土、タルク、ゼオライト、ピートモス、パーライト、ベントナイト、モンモリナイト、バーミュキュライト等の多孔吸着体に吸着させ乾燥させたものを使用することができる。多孔吸着体は、1種類でもよいし、複数の担体を組合せて用いてもよい。乾燥方法は通常の方法でよく、例えば凍結乾燥又は減圧乾燥でよい。これらの乾燥物は乾燥後さらにボールミル等の粉砕手段で粉砕されてもよい。
細菌は、上記の培養液、高濃度物又は乾燥物としてそれ自体単独で本発明の用途に用いることができるが、更なる他の任意成分と組み合わせて通常の微生物製剤と同様の形態(例えば粉剤、水和剤、粒剤、乳剤、液剤、懸濁液、フロアブル剤、塗布剤等の形態)に製剤化して用いることもできる。組み合わせて使用することができる任意成分としては例えば固体担体、補助剤のような植物への適用が許容される材料が挙げられる。
2.農業上有用な植物
本発明の方法で使用可能な対象植物は、以下のものに限定されないが、例えばマメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物、ウリ科植物及びセリ科植物から選択される農業上有用な植物が挙げられる。
本明細書で使用される「農業上有用な植物」は、例えば野菜類、穀類植物などの作物、果樹などの農業において生産対象となる植物を指す。
イネ科植物としては、例えばイネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、ライコムギ、ハトムギ、ソルガム、エンバク、トウモロコシ、サトウキビ、アワ、ヒエなどの穀類が挙げられる。イネ科植物としてはさらに、例えばシバ、バッファローグラス、バミューダグラス、ウィーピンググラス、センチピードグラス、カーペットグラス、ダリスグラス、キクユグラス、セントオーガスチングラスなどの飼料又は牧草が挙げられる。
マメ科植物としては、例えばダイズ、アズキ、ラッカセイ、インゲンマメ、エンドウマメ、ハナマメ、ソラマメ、ササゲ、ヒヨコマメ、リョクトウ、レンズマメ、ライマメ、バンバラマメが挙げられる。
ユリ科植物としては、例えばタマネギ、ネギ、ラッキョウ、ニンニク、ニラ、アサツキ、ユリ、アスパラガス、エシャロット、ワケギなどが挙げられる。
アブラナ科植物としては、例えばアブラナ、カブ、チンゲンサイ、ノザワナ、カラシナ、タカナ、コブタカナ、水菜、コールラビー、ルッコラ、クレソン、タアサイ、カリフラワー、キャベツ、ケール、ハクサイ、コマツナ、ダイコン、ハツカダイコン、ブロッコリー、メキャベツ、ワサビ、セイヨウワサビ、シロイヌナズナが挙げられる。
キク科植物としては、例えばレタス、サニーレタス、シュンギク、キクなどが挙げられる。
ナス科植物としては、例えばナス、トマト、ピーマン、シシトウ、トウガラシ、ジャガイモ、クコ、パプリカ、ハラペーニョ、ハバネロなどが挙げられる。
ウリ科植物としては、例えばキュウリ、カボチャ、ゴーヤ、スイカ、ズッキーニ、トウガン、ヘチマ、メロン、ユウガオなどが挙げられる。
セリ科植物としては、ニンジン、ミツバ、パセリ、セロリ、セリ、アシタバ、スープセロリ、チャーベル、フェンネルなどが挙げられる。
3.病害虫
本発明の細菌が、上記の農業上有用な植物の体内に共生することによって病虫害抵抗性を付与する、対象の植物病及び害虫として、以下のものに限定されないが、例えば以下のものが挙げられる。
植物病の例は、以下のとおりである。
イネ科植物の植物病として、例えば幼鞘褐変病(Sheath brown rot of rice)、いもち病、白葉枯病、苗立枯病、紋枯病、ばか苗病などが挙げられる。
マメ科植物の植物病として、例えば灰色かび病、さび病、うどんこ病などが挙げられる。
ユリ科植物の植物病として、例えば軟腐病、べと病、い縮病、乾腐病、さび病、いちょう病、茎枯れ病、はん点病などが挙げられる。
アブラナ科の植物病として、例えば軟腐病、黒はん細菌病、苗立枯れ病、べと病、い黄病、モザイク病、根こぶ病、白はん病、しり腐れ病などが挙げられる。
キク科植物の植物病として、例えばモザイク病、軟腐病、腐敗病、うどんこ病、べと病などが挙げられる。
ナス科植物の植物病として、例えばモザイク病、黄化えそ病(TSWV)、青枯れ病、かいよう病、褐色根腐れ病、苗立枯れ病、うどんこ病、半身いちょう病、葉かび病などが挙げられる。
ウリ科植物の植物病として、例えば青枯れ病、苗立枯れ病、うどんこ病、べと病、つる割病などが挙げられる。
セリ科植物の植物病として、例えばモザイク病、軟腐病、黒葉枯れ病、はん点病、うどんこ病、菌核病などが挙げられる。
害虫の例は、以下のとおりである。虫害は、摂食、吸汁、ウイルス媒介などである。
イネ科植物の害虫として、例えばドロオイムシ、カメムシ、ニカメイガ、イチモンジセセリ、コブノメイガ、イネヨトウ、アワヨトウ、スジキリヨトウ、フタオビコヤガ、イネクビボソハムシ、その他ハムシ類、イネカラバエ、イネハモグリバエ、イネヒメハモグリバエ、コウモリガ、ミノガ、イネシンガレセンチュウ、その他センチュウ類、イネミズゾウムシ、コメツキムシ類、コガネムシ類、バッタ類、スクミリンゴガイ、シロトビムシ類、ガガンボ類、タマバエ類、セジロウンカ、トビイロウンカ、ヒメトビウンカ、その他ウンカ類、ヨコバイ類、フキムシ類、アブラムシ類、アザミウマ類などが挙げられる。
マメ科の害虫として、例えばホソヘリカメムシ、マメコガネ、ウコンノメイガ、アズキノメイガ、ヒメコガネ、マメノメイガ、マメドクガ、アオアツバ、イチジクキンウワバ、フタスジヒメハムシ、ブチヒゲカメムシ、ツマジロカメムシ、ヨモギエダシャク、ウリハムシモドキ、ナシケンモン、ミツモンキンウワバ、ヒメシロモンドクガ、モンキチョウ、ナカグロカスミカメ、ホシハラビロヘリカメムシ、ベッコウハゴロモなどが挙げられる。
ユリ科植物の害虫として、例えばネギアザミウマ、ネギハモグリバエ、アザミウマ類、ヨトウムシなどが挙げられる。
アブラナ科の害虫として、例えばコナガ、モンシロチョウ、オオモンシロチョウ、ハイマダラノメイガ、カブラヤガ、タマナヤガ、ヨトウムシ類、ハモグリバエ類、カブラハバチ類、キスジノミハムシ、ヤサイゾウムシ、アブラムシ類、アザミウマ類などが挙げられる。
キク科植物の害虫として、例えばシロシタヨトウ、イチジクキンウワバ、タマナギンウワバ、ホソバセダカモクメ、ナシケンモン、ヨモギエダシャク、オオトビスジエダシャク、ナガメなどが挙げられる。
ナス科植物の害虫として、例えばオオタバコガ、オオニジュウヤホシテントウ、ナスノミハムシ、アズキノメイガ、イチジクキンウワバ、トホシテントウなどが挙げられる。
ウリ科植物の害虫として、例えばオオタバコガ、ウリキンウワバ、ウリハムシ、アブラムシ類などが挙げられる。
セリ科植物の害虫として、例えばウリハムシモドキ、キアゲハ、ミツモンキンウワバなどが挙げられる。
その他、カタツムリ、センチュウなどが挙げられる。
4.病虫害抵抗性の付与、収量増加、及び生育促進のための微生物学的方法
本発明の方法は、Pseudomonas属に属し、農業上有用な上記の植物の体内に共生して該植物に病虫害抵抗性を付与する能力、該植物の収量を増加する能力、及び/又は、該植物の生育を促進する能力を有する細菌を、該植物に人為的に感染させる工程を含む。
植物に病虫害抵抗性を付与することは、植物が病害虫による影響、例えば摂食、吸汁、病原菌病、ウイルス病などによる植物被害、を抑制又は防止することに導く。理論により拘束されることを望むものではないが、本発明に係る細菌は病原体に直接作用するのではなく、植物自身が有する防御機能の活性化によって、植物に病虫害抵抗性を付与すると考えられる。抵抗性誘導により生じる反応として、限定されるものではないが、過敏感反応、抗菌タンパク質及び抗害虫性タンパク質の生産、パピラの形成、並びに細胞壁の硬化等が挙げられる。一般に、植物の抵抗性が誘導されれば、広範な病虫害に対して抵抗性を示すことが知られている。
植物の収量を増加することは、例えば、野菜であれば、例えば葉(鱗茎を含む)、根、根茎、種子、花などの食用部分を、穀類であれば、種子を、果樹であれば、実を、それぞれ増収穫させることを意味する。
植物の生育(生長)を促進することは、本発明の細菌を接種しない対照と比較して植物の成長を早めることを意味する。
植物への施用方法としては、種子コート、幼植物への潅注、塗布、植物根部の菌液への浸漬、又は噴霧処理する方法などが挙げられる。特に、種子又は植物体に人為的に傷を付け菌液の噴霧処理、塗布する方法が好ましい。その他の施用条件としては播種時、育苗期など圃場定植前に施用することが望ましい。また、さらに圃場栽培中に植物、場合により植物根部周囲の土壌、に噴霧処理することで効果の高発現が期待できる。
1つの例として、本発明の細菌の、植物への人為的な感染は、圃場に植えつける前の幼苗(例えば1〜4枚の本葉が出た時期の苗)に菌液を散布することにより行うことができる。散布後約3〜15日目に、苗を圃場に定植し得る。植物体内に侵入した菌がやがて、植物に共生するようになると考えられる。
菌液の濃度は、1×105〜1×109個/ml又はそれ以上であってよいが、これらの濃度範囲に限定されない。菌を懸濁する媒体は、水又は培地であることが好ましい。通常、高濃度菌液を水又は培地で所定濃度に希釈して使用することができる。
本発明の方法は、具体的には、次の第1から第3の態様からなる。
本発明の方法は、第1の態様により、シュードモナス(Pseudomonas)属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物に病虫害抵抗性を付与する能力を有する細菌を、該植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物に病虫害抵抗性を付与する方法を提供する。
本発明の方法は、第2の態様により、シュードモナス(Pseudomonas)属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物の収量を増加させる能力を有する細菌を、該植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物の収量を増加させる方法を提供する。
本発明の方法は、第3の態様により、シュードモナス(Pseudomonas)属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物の生育を促進する能力を有する細菌を、該植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物の生育を促進する方法を提供する。
5.微生物製剤
本発明はさらに、シュードモナス(Pseudomonas)属に属し、農業上有用な植物体内に共生して該植物に病虫害抵抗性を付与する能力、該植物の収量を増加させる能力、及び/又は、該植物の生育を促進する能力を有する細菌を有効成分として含有する、農業上有用な植物用の微生物製剤を提供する。
農業上有用な植物の例は、上で具体的に例示した、マメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、ナス科植物、ウリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物及びセリ科植物から選択される植物である。
好ましい細菌は、Pseudomonas sp. MYK105(受託番号NITE P-02061)若しくはPseudomonas sp. MYK104(受託番号NITE P-02060)、又はその変異株である。
微生物製剤は、細菌の高濃度物、細菌の培養液を乾燥させたものなどを使用することができる。また、細菌の培養液を活性炭、珪藻土、タルク、ゼオライト、ピートモス、パーライト、ベントナイト、モンモリナイト、バーミュキュライト等の多孔吸着体に吸着させ乾燥させたものを使用することができる。多孔吸着体は、1種類でもよいし、複数の担体を組合せて用いてもよい。乾燥方法は通常の方法でよく、例えば凍結乾燥、減圧乾燥でよい。これらの乾燥物は乾燥後さらにボールミル等の粉砕手段で粉砕されてもよい。
細菌は、上記の培養液、高濃度物又は乾燥物としてそれ自体単独で本発明の用途に用いることができるが、更なる他の任意成分と組み合わせて通常の微生物製剤と同様の形態(例えば粉剤、水和剤、粒剤、乳剤、液剤、懸濁液、フロアブル剤、塗布剤等の形態)に製剤化して用いることもできる。組み合わせて使用することができる任意成分としては例えば固体担体、補助剤のような植物への適用が許容される材料が挙げられる。
本発明はさらに、Pseudomonas sp. MYK105(受託番号NITE P-02061)又はPseudomonas sp. MYK104(受託番号NITE P-02060)、或いは、農業上有用な植物体内に共生して該植物に病虫害抵抗性を付与する能力、該植物の収量を増加させる能力、及び/又は、該植物の生育を促進する能力を有する、その変異株を提供する。
本発明の細菌は、振とう培養等の通常の培養法により、Pseudomonas属細菌について通常使用されるような、上記の条件下で培養されうる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は、それらの実施例によって制限されないものとする。
[実施例1]
<Pseudomonas sp. MYK105(受託番号NITE P-02061)株、及びPseudomonas sp. MYK104(NITE P-02060)株の単離>
自生しているユリ科植物を採取し、切断した。切断したユリ科植物を70%エタノールに30秒、2.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液に5分浸すことにより表面殺菌を行った。その後、植物体を乳鉢に移し滅菌した生理食塩水1mlと海砂を適量加えながら磨砕した。磨砕した上澄みを100μl、NA(Nutrient Agar)培地に塗布し、30℃、数日間培養後、シングルコロニーを単離することにより標題のNITE P-02061株を得た。
圃場で栽培されたキャベツを採取し、その茎を切断した。表面殺菌、磨砕、シングルコロニーの単離を上記と同様に行い、標題のNITE P-02060株を得た。
[実施例2]
<Pseudomonas sp. MYK105(受託番号NITE P-02061)株、及びPseudomonas sp. MYK104(NITE P-02060)株の同定>
1)方法
Pseudomonas sp. MYK105株菌体を0.85%NaCl水溶液500μlに懸濁し、遠心後に上清を除去した。菌体に滅菌水20μl、BL buffer(40mM Tris、1%Tween20、0.5% Nonidet P-40、1mM EDTA、pH 8.0)25μl、Proteinase K(1mg/ml)5μlを加え、軽く懸濁した。60℃、20分間放置後に105℃で5分間放置した。遠心し、上清をDNA抽出液とした。
滅菌水を6.95μl、Ex Taq Buffer(20mM)を1μl、dNTP Mixture(dATP、dCTP、dGTP、dTTP各2.5mM)を0.8μl、Ex Taq(5units/μl)を0.05μl、100nMプライマー(5'-AGAGTTTGATCCTGGCTCAG-3'(配列番号2)及び5'-GGCTACCTTGTTACGACTT-3'(配列番号3))を1μlずつ、滅菌水で10倍に希釈したDNA抽出液1μlを混合し、PCRを行った。反応は94℃、5分間を1サイクル、94℃、60秒間、55℃、60秒間、72℃、90秒間を35サイクル、72℃、2分間を1サイクルで実施した。
PCR後の溶液をアガロースゲルで電気泳動し、目的のDNA断片部分 (約1400bp)を切り出した。ゲルからDNA断片を抽出し、塩基配列の決定に使用した。決定された塩基配列は、配列番号1の配列からなるものであった。
実施例1で得られたNITE P-02060株についても、上記と同様に16S rDNAの配列を決定した。決定された塩基配列は、配列番号4の配列からなるものであった。
2)結果
Pseudomonas sp. MYK105株(NITE P-02061)について、得られた16SrDNAの塩基配列をDDBJ、EMBL、GenBankデータベースと比較した。その結果、相同性の高い菌として、相同性が高いほうから順に、Pseudomonas sp. WXGSA1(Accession No.:KJ184866.1、相同性: 100%)、Pseudomonas koreensis strain JH18(Accession No.:KF424274.1、相同性: 99.9%)、Pseudomonas sp. WXGSY2(Accession No.:KJ184891.1、相同性: 99.9%)、Pseudomonas koreensis strain JH14(Accession No.:KF424272.1、相同性: 99.8%)、Pseudomonas koreensis strain RK18 (Accession No.:KC790278.1、相同性: 99.8%)が認められた。以上から、本細菌はPseudomonas sp. と同定された。また、この結果から、NITE P-02061株は、Pseudomonas koreensisである可能性が高いと考えられた。
同様に、Pseudomonas sp. MYK104株(NITE P-02060)についても、得られた16S rDNAの塩基配列をDDBJ、EMBL、GenBankデータベースと比較した。その結果、相同性の高い菌として、Pseudomonas koreensis strain NHZ12 (Accession No.: KJ875595.1、相同性: 100%)、Pseudomonas koreensis strain SMs14 (Accession No.: JX485811.1、相同性: 100%)、Pseudomonas koreensis strain PSB24 (Accession No.: KJ875683.1、相同性: 100%)、Pseudomonas koreensis strain IARI-HHS2-32 (Accession No.: KF054782.1、相同性: 100%)、Pseudomonas sp. BF1-3 (Accession No.: KJ849233.1、相同性: 100%)が認められた。以上から、本細菌はPseudomonas sp. と同定された。また、この結果から、NITE P-02060株は、Pseudomonas koreensisである可能性が高いと考えられた。
[実施例3]
<NITE P-02061株によるタマネギの生育促進1>
1)方法
タマネギ品種:北もみじ2000
エンドファイト菌株:NITE P-02061株
接種日:平成22年4月27日
接種方法:1×108個/mlの菌懸濁液を500ml/育苗箱(3箱/処理区)に潅注処理した。
定植日:平成22年5月6日
圃場:北海道空知地区
測定項目:収穫期に2条を5mの範囲(3.0m2)で3箇所全量収穫し各規格の個数および重量を調査した。
収穫調査日:平成22年9月4日
2)結果
全量収穫し、各規格の個数と重量の測定を行なった(表1)。大きさ、外観から2L、L大、L、Mに分類された球を規格内とし、それ以外の小さいものや外観が悪いものは規格外とした。
収量調査の規格内収量の結果、NITE P-02061処理区においてはL大、L球の割合が無処理区と比較して大きくなり、収量が21.3%増加した(表2)。
Figure 0006639901
Figure 0006639901
[実施例4]
<NITE P-02061株によるタマネギの生育促進2>
1)方法
タマネギ品種:ターボ
エンドファイト菌株:NITE P-02061株
接種日:平成23年11月
接種方法:1×108個/mlの菌懸濁液を圃場にてスプレーで接種した。
定植日:平成23年11月
圃場:愛知県
測定項目:収穫期に2条を2mの範囲(0.8m2)で3箇所全量収穫し各規格の個数および重量を調査した。
収穫調査日:平成24年6月19日
2)結果
全量収穫し、各規格の個数と重量の測定を行なった(表3)。大きさ、外観から2L、L、M、Sに分類された球を規格内とし、それ以外の小さいものや外観が悪いものは規格外とした。
収量調査の規格内収量の結果、NITE P-02061処理区においてはL、M球の割合が無処理区と比較して大きくなり、収量が11.1%増加した(表4)。
Figure 0006639901
Figure 0006639901
[実施例5]
<NITE P-02061株によるタマネギの生育促進3>
1)方法
タマネギ品種:ターボ
エンドファイト菌株:NITE P-02061株
接種日:平成24年11月20日
接種方法:定植前日の苗の根部を1×108個/mlの菌懸濁液一晩漬けた。
定植日:平成24年11月21日
圃場:愛知県
測定項目:収穫期に2条を2mの範囲(0.8m2)で3箇所全量収穫し各規格の個数および重量を調査した。
収穫調査日:平成25年6月18日
2)結果
全量収穫し、各規格の個数と重量の測定を行なった(表5)。大きさ、外観から2L、L、M、Sに分類された球を規格内とし、それ以外の小さいものや外観が悪いものは規格外とした。
収量調査の規格内収量の結果、NITE P-02061処理区においては2L、L球の割合が無処理区と比較して大きくなり、収量が15.3%増加した(表6)。
Figure 0006639901
Figure 0006639901
[実施例6]
<NITE P-02061株によるタマネギの生育促進4>
1)方法
タマネギ品種:ターボ
エンドファイト菌株:NITE P-02061株
接種日:平成25年10月26日
接種方法: 1×108個/mlの菌懸濁液を苗に潅注処理した。
定植日:平成25年11月20日
圃場:愛知県
測定項目:収穫期に2条を2mの範囲(0.8m2)で3箇所全量収穫し各規格の個数および重量を調査した。
収穫調査日:平成26年6月6日
2)結果
全量収穫し、各規格の個数と重量の測定を行なった(表7)。大きさ、外観から2L、L、M、Sに分類された球を規格内とし、それ以外の小さいものや外観が悪いものは規格外とした。
収量調査の規格内収量の結果、NITE P-02061処理区においては2L、L球の割合が無処理区と比較して大きくなり、収量が8.3%増加した(表8)。
Figure 0006639901
Figure 0006639901
[実施例7]
<NITE P-02061株によるタマネギの軟腐病の防除>
1)方法
タマネギ品種:北もみじ2000
エンドファイト菌株:NITE P-02061株
接種日:平成22年4月27日
接種方法:1×108個/mlの菌懸濁液を500ml/育苗箱(3箱/処理区)に潅注処理した。
定植日:平成22年5月6日
圃場:北海道空知地区
測定項目:収穫期に2条を5mの範囲(3.0m2)で3箇所全量収穫し各規格の個数および重量を調査した。その際、乾腐病の病徴が見られる球数を目視により計測した。
収穫調査日:平成22年9月4日
2)結果
病害調査を行なった結果を表9に示した。また、収穫された全球数中の被害率を算出し、無処理区を100%としたときのNITE P-02061区の百分率を算出した。その結果、無処理区の被害率を100%とするとNITE P-02061区の被害率は53.1%であり、NITE P-02061処理が、被害を軽減していることが示唆された。
Figure 0006639901
[実施例8]
<NITE P-02060株による圃場におけるキャベツの生育促進1>
1)方法
キャベツ品種:親藍及びわかしお
エンドファイト菌株:NITE P-02060株
接種日:平成25年8月10日(親藍)、平成25年9月1日(わかしお)
定植日:平成25年8月14-15日(親藍)、平成25年9月5日(わかしお)
収穫日:平成25年11月8日(親藍)、平成25年12月12日(わかしお)
接種方法:1×108個/mlの菌懸濁液を500ml/育苗箱潅注処理
試験圃場:静岡県磐田市
試験規模:育苗箱4箱(512株)
測定項目:球径(結球しているキャベツの最大直径の平均値)、全収量(地際部で刈取った際の、結球していない葉も含めた全重量の平均値)、及び調整重量(結球していない葉を取り除き、出荷する状態の重量の平均値)
2)結果
各処理区24株を測定した結果を以下の表10及び11に示した。括弧内の数値は、無接種区を100としたときの相対値である。NITE P-02060接種区で球径が大きくなっており、生育が促進されたことが示された。また全重量及び調整重量において1球重量が増加しており、収量も増加したことが示された。
Figure 0006639901
Figure 0006639901
[実施例9]
<NITE P-02060株による圃場におけるキャベツの生育促進2>
1)方法
キャベツ品種:おきな
エンドファイト菌株:NITE P-02060株
接種日:平成26年6月3日
定植日:平成26年6月8日
収穫日:平成26年8月25日
接種方法:1×108個/mlの菌懸濁液を500ml/育苗箱潅注処理
試験圃場:北海道鹿追町
試験規模:育苗箱1箱(128株)
測定項目:実施例8と同様に測定を行った。
2)結果
各処理区24株を測定した結果を以下の表12に示す。括弧内の数値は、無接種区を100としたときの相対数である。実施例8と同様にNITE P-02060接種区で球径が大きくなっており、生育が促進されたことが示された。また、全重量及び調整重量において1球重量が増加しており、収量も増加したことが示された。
Figure 0006639901
[実施例10]
<NITE P-02060株による圃場におけるキャベツの虫害抵抗性の向上>
1)方法
実施例9において圃場で栽培したキャベツ(おきな)について、平成26年7月18日(定植後40日目)の時点で、各処理区90株程度について、目視により株ごとの食害痕の有無でヨトウムシによる食害を評価した。
2)結果
定植後40日目のキャベツを調査した結果、ヨトウムシによる食害株数、食害株率はNITE P-02060接種区で約56%減少した(表13)。
Figure 0006639901
[実施例11]
<NITE P-02060株による圃場におけるキャベツの病害抵抗性の向上>
1)方法
実施例8において圃場で栽培したキャベツ(親藍)について、収穫日(平成25年11月8日)におけるアブラナ科根こぶ病の罹病程度を測定した。具体的には、各処理区100株について、目視により株ごとの根こぶの罹病程度を5 段階に評価し(0:罹病率0%、1:罹病率1〜25%、2:罹病率26〜50%、3:罹病率51〜75%、4:罹病率76〜100%)、評価した値を用いて下記の計算式で根こぶ指数を算出して評価した。
根こぶ指数=(4A+3B+2C+D)/4×100
[A:4の株数,B:3の株数,C:2の株数,D:1の株数]
2)結果
無接種区を100としたときの被害度がNITE P-02060株接種区で12.3%減少した(表14)。
Figure 0006639901
[実施例12]
<NITE P-02060株によるポット試験におけるコマツナの生育促進>
1)方法
コマツナ品種:夏楽天
エンドファイト菌株:NITE P-02060株
試験規模:1処理区10株、3反復
5×5セル(計25セル)になるように準備したセルトレーの底に約2cm角に切った不織布を引き、タネマキ培土(タキイ種苗株式会社)を充填した。2粒/セルずつ播種し、タネマキ培土で覆土した。播種日を0日目として播種後7日目前後に間引きをして1株/セルにした。NITE P-02060株接種区には、播種後14日を目安に本葉が2〜3枚展開したところで、1×108cells/mlに純水を用いて調整した菌液を1ml/セルずつ接種した。15℃以下にならないように加温したガラス温室内で栽培し本葉が4枚以上展開するまで栽培した。その後地際部から切断し、双葉を取り除いた後、乾物重を測定した。
2)結果
各処理区3回反復試験を行った結果、無接種区を100としたときにNITE P-02060接種区で乾物重が8.8%増加していた(表15)。
Figure 0006639901
[実施例13]
<NITE P-02060株によるポット試験におけるレタスの生育促進>
1)方法
レタス(品種:グリーンウェーブ)を用いる以外は、実施例12と同様に試験を行い、乾物重を測定した。
2)結果
各処理区3回の反復試験を行った結果、無接種区を100としたときにNITE P-02060株接種区で乾物重が66.6%増加したことが示された(表16)。
Figure 0006639901
[実施例14]
<NITE P-02060株によるポット試験におけるタマネギの生育促進>
1)方法
タマネギ(品種:ネオアース)を用いる以外は、実施例12と同様に試験を行い、乾物重を測定した。
2)結果
各処理区3回反復試験を行った結果、無接種区を100としたときにNITE P-02060株接種区で乾物重が4.5%増加していた(表17)。
Figure 0006639901
[実施例15]
<NITE P-02060株によるポット試験におけるトマトの生育促進>
1)方法
トマト(品種:CF桃太郎ヨーク)を用いる以外は、実施例12と同様に試験を行い、乾物重を測定した。
2)結果
各処理区3回の反復試験を行った結果、無接種区を100としたときにNITE P-02060株接種区で乾物重が3.2%増加した(表18)。
Figure 0006639901

Claims (8)

  1. Pseudomonas sp. MYK105(受託番号NITE P-02061)又はPseudomonas sp. MYK104(受託番号NITE P-02060)、或いは、農業上有用な植物体内に共生して該植物に病虫害抵抗性を付与する能力、該植物の収量を増加させる能力、及び/又は該植物の生育を促進する能力を有する、その変異株である細菌。
  2. 請求項1に記載の細菌を、植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物に病虫害抵抗性を付与する方法。
  3. 請求項1に記載の細菌を、植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物の収量を増加させる方法。
  4. 請求項1に記載の細菌を、植物に人為的に感染させる工程を含む、農業上有用な植物の生育を促進する方法。
  5. 農業上有用な植物が、マメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物、ウリ科植物及びセリ科植物から選択される植物である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  6. 請求項1に記載の細菌を有効成分として含有する、農業上有用な植物用の微生物製剤。
  7. 農業上有用な植物が、マメ科植物、イネ科植物、ユリ科植物、アブラナ科植物、キク科植物、ナス科植物、ウリ科植物及びセリ科植物から選択される植物である、請求項に記載の微生物製剤。
  8. ユリ科植物が、タマネギである、請求項に記載の微生物製剤。
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