JP5326265B2 - 密封装置 - Google Patents

密封装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5326265B2
JP5326265B2 JP2007313231A JP2007313231A JP5326265B2 JP 5326265 B2 JP5326265 B2 JP 5326265B2 JP 2007313231 A JP2007313231 A JP 2007313231A JP 2007313231 A JP2007313231 A JP 2007313231A JP 5326265 B2 JP5326265 B2 JP 5326265B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sealing
seal lip
sealing device
lip
piston
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007313231A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009097705A (ja
Inventor
賢一 安喰
学 平野
光 但野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nok Corp
Original Assignee
Nok Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nok Corp filed Critical Nok Corp
Priority to JP2007313231A priority Critical patent/JP5326265B2/ja
Priority to KR1020080089566A priority patent/KR20090031984A/ko
Priority to CN200810168044XA priority patent/CN101398085B/zh
Publication of JP2009097705A publication Critical patent/JP2009097705A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5326265B2 publication Critical patent/JP5326265B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Sealing With Elastic Sealing Lips (AREA)
  • Percussive Tools And Related Accessories (AREA)
  • Sealing Devices (AREA)

Description

本発明は、液体が密封された第1密封領域への気体漏れを防止すると共に気体が密封された第2密封領域への液体漏れを防止する密封装置に関するものである。
例えばブレーカーに用いられる油圧シリンダにおいては、油などの液体が密封された密封領域(第1密封領域)と窒素ガスなどの気体が密封された密封領域(第2密封領域)を有したものがある。このような油圧シリンダには、第1密封領域と第2密封領域を同時に密封する密封装置が設けられている。このような密封装置の従来例を、図7及び図8を参照して説明する。図7は従来例1に係る密封装置の模式的断面図である。図8は従来例2に係る密封装置の模式的断面図である。
第1密封領域から第2密封領域への液体の漏れと、第2密封領域から第1密封領域への気体の漏れを同時に防止するためには、第1密封領域側と第2密封領域側のそれぞれにシールリップを備えるのが適切である。そのため、2つの密封領域を同時に密封するためには、図7や図8に示すように、断面が略X形状のXリングが用いられるのが一般的である。
図7及び図8にそれぞれ示す密封装置100,110は、ブレーカーに用いられる油圧シリンダに備えられるもので、高速で往復移動するピストン132の外周表面と、シリンダ131に形成された軸孔の内周表面との間の環状隙間に配置されるものである。そして、これらの密封装置100,110によって、油が密封された第1密封領域Oと窒素ガスが密封された第2密封領域Gが同時に密封される。
図7に示す密封装置100は、その内周側に、第1密封領域O側に設けられる第1シールリップ101と、第2密封領域G側に設けられる第2シールリップ102とを備えている。これら第1シールリップ101と第2シールリップ102は、いずれもリップ先端が丸みを帯びた形状(曲面形状(R形状))で構成されている。そして、これら第1シールリップ101と第2シールリップ102は、ピストン132の外周表面に対して摺動する。
また、密封装置100は、その外周側に、第1密封領域O側に設けられる第3シールリップ103と、第2密封領域G側に設けられる第4シールリップ104とを備えている。これら第3シールリップ103と第4シールリップ104は、シリンダ131に設けられた環状溝131aの溝底面(内周表面)に対して密着する。
図8に示す密封装置110も、その内周側に、第1密封領域O側に設けられる第1シールリップ111と、第2密封領域G側に設けられる第2シールリップ112とを備えている。これら第1シールリップ111と第2シールリップ112は、いずれもリップ先端が角張った形状(エッジ形状(尖った形状))で構成されている。そして、これら第1シールリップ111と第2シールリップ112は、ピストン132の外周表面に対して摺動する。
また、密封装置110は、その外周側に、第1密封領域O側に設けられる第3シールリップ113と、第2密封領域G側に設けられる第4シールリップ114とを備えている。これら第3シールリップ113と第4シールリップ114は、シリンダ131に設けられた環状溝131aの溝底面(内周表面)に対して密着する。
ここで、ブレーカーにおいては、上記の通り、ピストン132が高速で往復移動するため、密封装置100,110には微振動が生じる。
そのため、密封装置100,110の挙動が不安定になり、第1シールリップ101,111及び第2シールリップ102,112によるシール性に悪影響を与える原因になっている。
また、上記の微振動に伴って、シリンダ131に設けられた環状溝131aの溝底面と、第3シールリップ103,113と第4シールリップ104,114との間には微摺動
が生じる。
そのため、これら第3シールリップ103,113及び第4シールリップ104,11
4が、油を掻き出してしまい、第2密封領域G側に油が漏れる原因となっている。
このように、従来例に係る密封装置100,110の場合には、シール性が不十分であった。
なお、関連する技術としては、特許文献1,2に開示されたものがある。
実開平1−174677号公報 特開平9−14451号公報
本発明の目的は、液体が密封された第1密封領域への気体漏れを防止すると共に気体が密封された第2密封領域への液体漏れを、より確実に防止することを可能とする密封装置を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、本発明の密封装置は、
ブレーカーに用いられる油圧シリンダを構成する、軸孔を有するシリンダと前記軸孔内
で往復移動するピストンとの間の環状隙間に配置される密封装置であって、
液体が密封された第1密封領域側に設けられ、かつ前記ピストンの外周表面に対して摺動する第1シールリップと、
気体が密封された第2密封領域側に設けられ、かつ前記ピストンの外周表面に対して摺動する第2シールリップと、
前記軸孔の内周表面に対して密着するシール部と、
を一体的に備え、
第1密封領域への気体漏れを防止すると共に第2密封領域への液体漏れを防止する密封装置において、
第1シールリップのリップ先端の形状と第2シールリップのリップ先端の形状が、
第1シールリップが前記ピストンの外周表面に対して摺動した際に摺動部分に形成される前記液体による膜の厚みが、第2シールリップが前記ピストンの外周表面に対して摺動した際に摺動部分に形成される前記液体による膜の厚みよりも薄くなるように構成され、
前記シール部は円筒面により構成されると共に、
前記密封装置は、前記シリンダに設けられた環状溝に装着され、
前記環状溝の両側面のうち少なくともいずれか一方の側面に対して、圧縮された状態で密着する少なくとも一つの突起を有することを特徴とする。
本発明によれば、シール部が円筒面により構成されるため、ピストンが高速で往復移動することにより、密封装置が微振動を伴ったとしてもシール部は殆ど変形しない。従って、シール部側が変形してしまうことによる第1シールリップと第2シールリップへの影響を抑制することができる。また、シール部は円筒面で構成されるため、シールリップで構成される場合のように、吸い込み現象が発生することはない。以上のことから、密封装置が微振動するような用途で用いられる場合においても、密封装置とシリンダとの間の隙間
からの液体や気体の漏れを抑制することができる。また、第1シールリップと第2シールリップの機能を安定的に発揮させることができる。
第1シールリップのリップ先端の形状と第2シールリップのリップ先端の形状を上記のように構成すれば、液体が第1密封領域側に吸い込まれる吸い込み現象が発生する。これにより、第2密封領域への液体漏れをより確実に防止することができる。そして、第1シールリップのリップ先端とピストンの外周表面との間、及び第2シールリップのリップ先端とピストンの外周表面との間には液体による膜が形成されるので、気体が第1密封領域に漏れてしまうこともない。
第1シールリップのリップ先端は角張った形状であるのに対して、第2シールリップのリップ先端は丸みを帯びた形状であるとよい。
このようにすることで、第1シールリップがピストンの外周表面に対して摺動した際に摺動部分に形成される前記液体による膜の厚みが、第2シールリップがピストンの外周表面に対して摺動した際に摺動部分に形成される前記液体による膜の厚みよりも薄くなるようにすることができる。
前記密封装置は、前記シリンダに設けられた環状溝に装着され、前記環状溝の両側面のうち少なくともいずれか一方の側面に対して、圧縮された状態で密着する少なくとも一つの突起を有するので、密封装置が環状溝内で移動したり振動したりすることを抑制できる。従って、シール部と環状溝の溝底との間で摺動が生じることをより一層抑制でき、シール部の変形をより確実に抑制することができる。
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
以上説明したように、本発明によれば、液体が密封された第1密封領域への気体漏れを防止すると共に気体が密封された第2密封領域への液体漏れを、より確実に防止することができる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
参考例1)
図1〜図3を参照して、本発明の参考例1に係る密封装置及びこの密封装置が適用される油圧シリンダについて説明する。
<油圧シリンダ>
図1を参照して、本発明の参考例及び実施例に係る油圧シリンダの構成について説明する。なお、ここでは、一例として油圧シリンダがブレーカーに適用された場合を例にして説明する。図1は本発明の参考例及び実施例に係る油圧シリンダが適用されたブレーカーの模式的断面図である。
ブレーカー30は、軸孔を有する筒状のシリンダ31と、このシリンダ31の軸孔内に、軸孔の内周面に対してクリアランスを有するように挿入されるピストン32とを備えている。ピストン32の先端には、コンクリートや岩盤を粉砕するためのチゼル(ロッド)33が設けられている。
そして、シリンダ31の先端側には筒状のフロントヘッド34が同軸的に固定されている。このフロントヘッド34の内側に、チゼル33が往復移動自在に設けられており、フロントヘッド34の内部には、チゼル33からの衝撃を受けるため、スラストリングやスラストブッシュが組み込まれている。また、シリンダ31の後端側には有底筒状のバックヘッド35が同軸的に固定されている。このバックヘッド35には、油圧の取出口やガスの吸気弁が組み込まれており、内部には窒素ガスが充填されている(以下、この窒素ガスが密封されている領域を第2密封領域Gと称する)。
また、ブレーカー30には、ピストン32の往復移動の制御を行うためのコントロールバルブ36や、シリンダ31内に設けられた油圧回路の圧力補償及び脈動防止を行い、内部には高圧の窒素ガスが充填されたアキュムレータ37も備えられている。
そして、シリンダ31に設けられた軸孔とピストン32との間の環状隙間を封止するために、後端側と先端側にそれぞれ第1シーリングシステム10と第2シーリングシステム20が設けられている。なお、図1においては、これら第1シーリングシステム10と第2シーリングシステム20は簡略的に示している。そして、これら第1シーリングシステム10と第2シーリングシステム20の間には、油が封じ込められている(以下、この油が密封されている領域を第1密封領域Oと称する)。第1シーリングシステム10は、この油の漏れを防止するとともに、上述した窒素ガスの漏れを防止する役割を担うものである。また、第2シーリングシステム20は、油の漏れを防止すると共に、外部からのダストの侵入を防止する役割を担うものである。
以上のように構成されたブレーカー30においては、油圧とガス圧により、ピストン32と共に杭状のチゼル33を軸方向に高速で往復移動させて、チゼル33の先端を破壊対象(コンクリートや岩盤など)に打ち付けることで、破壊対象を粉砕することができる。なお、油圧によりガスを圧縮し、ガスの反発力を利用することによって、ピストン32及びチゼル33を破壊対象に向けて高速(例えば、10m/s)で移動させることができる。
<第1シーリングシステム>
図2を参照して、第1シーリングシステム10について説明する。図2は本発明の参考例1に係る油圧シリンダの一部拡大断面図(第1シーリングシステムの辺りの拡大断面図)である。
第1シーリングシステム10は、第1密封領域O側に備えられる密封ユニット40と、第2密封領域G側に備えられる密封装置50とから構成される。シリンダ31の軸孔の内周面に、第1環状溝31aと第2環状溝31bが形成されている。そして、第1環状溝31aに密封ユニット40が備えられ、第2環状溝31bに密封装置50が備えられる。
密封ユニット40は、ピストン32の外周表面に対して摺動自在に設けられる樹脂製リング41と、樹脂製リング41の外周に嵌め込まれるゴム製リング42とから構成される。ゴム製リング42は、第1環状溝31aの溝底に密着しており、かつ、自己の弾性反発力によって、樹脂製リング41をピストン32の外周表面に向かって押圧している。このように構成される密封ユニット40は、主として、高圧となる油圧を緩衝する機能を発揮する。
密封装置50は、ゴム状弾性体製のシールリングであって、第1密封領域Oから第2密封領域Gへの油の漏れと、第2密封領域Gから第1密封領域Oへの窒素ガスの漏れを同時に防止するためのものである。この密封装置50について、以下に詳細に説明する。
<密封装置>
特に、図3を参照して、本発明の参考例1に係る密封装置50について詳細に説明する。図3は本発明の参考例1に係る密封装置の装着状態を示す模式的断面図である。
密封装置50は、ピストン32の外周表面に対して摺動する第1シールリップ51及び第2シールリップ52と、シリンダ31の軸孔内周に設けられた第2環状溝31bの溝底面(内周表面)に密着するシール部53とを備えている。
第1シールリップ51は第1密封領域O側に設けられ、第2シールリップ52は第2密封領域G側に設けられる。そして、第1シールリップ51のリップ先端と第2シールリップ52のリップ先端は、いずれも角張った形状(エッジ形状(尖った形状))で構成されている。
そして、本参考例に係る密封装置50においては、シール部53は、円筒面により構成されている。つまり、シール部53を断面で見た場合には、図2,3に示すように、直線形状で構成される。このように、本参考例に係る密封装置50は、外周側のシールが円筒面で構成される断面形状が略K字形状のKリングである。
以上のように、本参考例においては、非摺動側(シリンダ31に備えられた第2環状溝31bに装着される側)のシールの構成を、変形しにくい円筒面により構成した。
<本参考例の優れた点(密封装置の機能)>
以上のように構成したことで、本参考例に係る密封装置50においては、ピストン32が高速で往復移動することによって、密封装置50が微振動を伴う環境下においても、シール部53は殆ど変形しない。
従って、シール部53側が変形してしまうことによる第1シールリップ51と第2シールリップ52への影響を抑制することができる。また、シール部53は円筒面で構成されるため、シールリップで構成される場合のように、吸い込み現象が発生することはない。
以上のことから、密封装置50が微振動するような用途で用いられる場合においても、密封装置50とシリンダ31に設けられた第2環状溝31bの溝底面との間の隙間からの液体や気体の漏れを抑制することができる。また、第1シールリップ51と第2シールリップ52の機能を安定的に発揮させることができる。
また、本参考例に係る密封装置50は、外周側が単純な円筒形状であるので、金型により成形する際の離型性が優れている。従って、製造(成形)性に優れるという付随的効果もある。
参考例2)
図4には、本発明の参考例2が示されている。上記参考例1においては、第1シールリップ及び第2シールリップのリップ先端は、いずれも角張った形状(エッジ形状(尖った形状))で構成されていたのに対して、本参考例では、これらのリップ先端が、いずれも丸みを帯びた形状(曲面形状(R形状))で構成される場合について説明する。
その他の構成および作用については参考例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
図4は本発明の参考例2に係る密封装置の装着状態を示す模式的断面図である。本参考例に係る密封装置50aにおいても、ピストン32の外周表面に対して摺動する第1シールリップ51a及び第2シールリップ52aが設けられている。
参考例においては、これら第1シールリップ51a及び第2シールリップ52aのリップ先端が、いずれも丸みを帯びた形状(曲面形状(R形状))で構成されている。その他の構成については、上記参考例1と同一である。
参考例においても、上記参考例1の場合と同様の効果が発揮されることは言うまでもない。
参考例3)
図5には、本発明の参考例3が示されている。本参考例では、第1シールリップのリップ先端が角張った形状(エッジ形状(尖った形状))で構成され、第2シールリップのリップ先端が、丸みを帯びた形状(曲面形状(R形状))で構成される場合について説明する。
その他の構成および作用については参考例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
図5は本発明の参考例3に係る密封装置の装着状態を示す模式的断面図である。本参考例に係る密封装置50bにおいても、ピストン32の外周表面に対して摺動する第1シールリップ51b及び第2シールリップ52bが設けられている。
参考例においては、第1シールリップ51bのリップ先端が角張った形状(エッジ形状(尖った形状))で構成され、第2シールリップ52bのリップ先端が、丸みを帯びた形状(曲面形状(R形状))で構成されている。その他の構成については、上記参考例1と同一である。
このように、各シールリップのリップ先端の形状を異なる形状にした理由について、以下に詳細に説明する。
往復動用の密封装置における密封メカニズムは、摺動部分に形成される密封対象流体の厚みに基づくという考え方が一般的である。例えば、相対的に往復移動する軸とハウジングとの間の環状隙間に配置され、油が大気側に漏れてしまうことを防止する一般的な往復動用の密封装置の場合を例にして説明する。この場合、軸に対して密封装置が大気側に移動する場合(引き工程)に軸表面における密封装置が摺動する部分に形成される油膜の方が、軸に対して密封装置が密封領域側に移動する場合(押し工程)に上記部分に形成される油膜よりも厚みが厚くなるように構成される。このような構成により、油が密封流体側に吸い込まれる吸い込み現象が発生するため、油が大気側に漏れてしまうことを防止でき
る。
そして、上記参考例1,2の密封装置50,50aの場合には、ピストン32に対して、密封装置50,50aが第1密封領域O側に移動した場合に摺動部分にできる密封対象流体の膜の厚みと、第2密封領域G側に移動した場合に摺動部分にできる密封対象流体の膜の厚みが、理論上等しくなるように設定されている。
これは、往復動用シールにおける密封メカニズムの考え方は、密封対象流体が液体であっても気体であっても同じと考えられており、第2密封領域Gへの油漏れと第1密封領域Oへの窒素ガス漏れを同時に防止するためには、どちら側に対しても吸い込み現象が発生しないようにしなければならないという設計思想に基づくものである。なお、上記の密封装置50,50aにおいては、軸方向の幅の中心Cに対して対称形状とすることにより、どちら側に対しても吸い込み現象が発生しないようにしている。
しかしながら、実際上は、第2密封領域G側に油漏れが発生してしまっている。その理由としては、第1に、密封装置50,50aがピストン32に対して往復移動する場合に、往路にできる油膜の厚みと復路にできる油膜の厚みを理論上等しくしていても、実際には、何らかの影響(偏心などの外乱や各種寸法誤差など)により、油膜の厚みを常に設計どおりの厚みにすることは不可能であることが挙げられる。また、第2に、リップ先端とピストン32が摺動する部分には油膜が形成されるため、気体(窒素ガス)が第1密封領域Oに漏れてしまうことは殆どないと考えられることが挙げられる。
そこで、本参考例に係る密封装置50bにおいては、第1シールリップ51bがピストン32の表面に対して摺動した際に摺動部分に形成される油膜の厚みが、第2シールリップ52bがピストン32の表面に対して摺動した際に摺動部分に形成される油膜の厚みよりも薄くなるように構成している。
これは、上記の通り、本参考例に係る密封装置50bにおいては、第1シールリップ51bのリップ先端は角張った形状で構成されるのに対して、第2シールリップ52bのリップ先端は丸みを帯びた形状で構成されたことによるものである。
そのため、密封装置50bがピストン32に対して第1密封領域O側に移動した場合に、ピストン32の表面に密封装置50bによって形成される油膜の厚みの方が、密封装置50bがピストン32に対して第2密封領域G側に移動した場合に、ピストン32の表面に密封装置50bによって形成される油膜の厚みよりも薄くなる。
これにより、油が第1密封領域O側に吸い込まれる吸い込み現象が発生する。従って、第2密封領域Gへの油漏れをより確実に防止することができる。
ここで、第1密封領域O側に密封対象流体が吸い込まれる吸い込み現象が発生することから、一見、第2密封領域G側の窒素ガスが第1密封領域Oに漏れてしまうようにも思われる。しかしながら、実際上は、第1シールリップ51bのリップ先端とピストン32の表面は摺動しており、かつ、第2シールリップ52bのリップ先端とピストン32の表面も摺動しており、これらの摺動部分には油膜が形成される。そのため、窒素ガスが第1密封領域Oに漏れてしまうことはない。
なお、本参考例では、第1シールリップ51bのリップ先端は角張った形状で構成され
るのに対して、第2シールリップ52bのリップ先端は丸みを帯びた形状で構成される場合の例を示した。
しかしながら、要は、第1シールリップ51bがピストン32の表面に対して摺動した際に摺動部分に形成される油膜の厚みが、第2シールリップ52bがピストン32の表面に対して摺動した際に摺動部分に形成される油膜の厚みよりも薄くなるようにすれば良い。
これを実現するために、例えば、第1シールリップ51bのリップ先端と第2シールリップ52bのリップ先端を、いずれも丸みを帯びた形状とし、かつ、曲率半径を第1シールリップ51bの方が小さくなるようにしても良い。この場合、第2シールリップ52bのリップ先端の曲率半径(R)を、第2環状溝31bのスペースの許す限り大きくすると好適である。
なお、リップの圧縮量(締め代)に違いを持たせることで、油膜の厚みが異なるようにすることも考えられ得る。しかしながら、リップの圧縮量に違いを持たせた場合、リップ先端の面圧(接触圧力)に違いは出るものの、圧力勾配に違いは生じにくいため、油膜の厚みにはあまり差は出ない。従って、リップの圧縮量に違いを持たせることで、上記のように油膜の厚みが異なるようにするのはあまり現実的ではない。
(実施例)
図6には、本発明の実施例が示されている。本実施例では上記参考例3の構成に加え、軸方向に突起を追加した例である。その他の構成および作用については参考例3と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
図6は本発明の実施例に係る密封装置の装着状態を示す模式的断面図である。本実施例に係る密封装置50cは、軸方向の両側にそれぞれ突起54を備えている。これらの突起54は、シリンダ31の軸孔の内周面に設けられた第2環状溝31bの両側面に対して、それぞれ圧縮された状態で密着するように構成されている。
以上のように、本実施例では、圧縮された状態で第2環状溝31bの両側面に対してそれぞれ密着する突起54を設けたことにより、密封装置50cが第2環状溝31b内で移動したり振動したりすることを抑制できる。また、これに伴い、シール部53と第2環状溝31bの溝底面との間で摺動が生じることをより一層抑制でき、かつシール部53の変形をより確実に抑制することができる。従って、上記各参考例に比べて、第1シールリップ51bと第2シールリップ52bの機能をより一層安定的に発揮させることができる。
なお、これらの突起54は、全周に亘って連続的に設けられる環状突起により構成することもできるし、周方向に適当な間隔で独立的に設けられる突起により構成することもできる。また、図示の例では、軸方向の両側にそれぞれ突起を設ける構成を採用する例を示したが、いずれか一方にのみ突起を設ける構成を採用しても良い。この場合でも、軸方向の両側(一方は突起)が第2環状溝31bの両側面に対して接触した状態となるように構成されることは言うまでもない。
つまり、突起は密封装置が第2環状溝31b内で移動したり振動したりすることを抑制するために設けられる。一方、突起の圧縮力を高めるほど、密封装置を第2環状溝31bに装着する際の作業性を低下させる結果を招いてしまう。そこで、密封装置の移動や振動を抑制させる効果と密封装置を装着させる際の作業性のバランスを考慮して、突起を環状突起とするか独立的な突起とするか、または、突起を軸方向の両側に設けるか片側のみに設けるかを適宜選択すればよい。突起の大きさ(幅寸法や突出量)についても同様である。
図1は本発明の参考例及び実施例に係る油圧シリンダが適用されたブレーカーの模式的断面図である。 図2は本発明の参考例1に係る油圧シリンダの一部拡大断面図である。 図3は本発明の参考例1に係る密封装置の装着状態を示す模式的断面図である。 図4は本発明の参考例2に係る密封装置の装着状態を示す模式的断面図である。 図5は本発明の参考例3に係る密封装置の装着状態を示す模式的断面図である。 図6は本発明の実施例に係る密封装置の装着状態を示す模式的断面図である。 図7は従来例1に係る密封装置の模式的断面図である。 図8は従来例2に係る密封装置の模式的断面図である。
符号の説明
10 第1シーリングシステム
20 第2シーリングシステム
30 ブレーカー
31 シリンダ
31a 第1環状溝
31b 第2環状溝
32 ピストン
33 チゼル
34 フロントヘッド
35 バックヘッド
36 コントロールバルブ
37 アキュムレータ
40 密封ユニット
41 樹脂製リング
42 ゴム製リング
50,50a,50b,50c 密封装置
51,51a,51b 第1シールリップ
52,52a,52b 第2シールリップ
53 シール部
54 突起
O 第1密封領域
G 第2密封領域

Claims (2)

  1. ブレーカーに用いられる油圧シリンダを構成する、軸孔を有するシリンダと前記軸孔内で往復移動するピストンとの間の環状隙間に配置される密封装置であって、
    液体が密封された第1密封領域側に設けられ、かつ前記ピストンの外周表面に対して摺動する第1シールリップと、
    気体が密封された第2密封領域側に設けられ、かつ前記ピストンの外周表面に対して摺動する第2シールリップと、
    前記軸孔の内周表面に対して密着するシール部と、
    を一体的に備え、
    第1密封領域への気体漏れを防止すると共に第2密封領域への液体漏れを防止する密封装置において、
    第1シールリップのリップ先端の形状と第2シールリップのリップ先端の形状が、
    第1シールリップが前記ピストンの外周表面に対して摺動した際に摺動部分に形成される前記液体による膜の厚みが、第2シールリップが前記ピストンの外周表面に対して摺動した際に摺動部分に形成される前記液体による膜の厚みよりも薄くなるように構成され、
    前記シール部は円筒面により構成されると共に、
    前記密封装置は、前記シリンダに設けられた環状溝に装着され、
    前記環状溝の両側面のうち少なくともいずれか一方の側面に対して、圧縮された状態で密着する少なくとも一つの突起を有することを特徴とする密封装置。
  2. 第1シールリップのリップ先端は角張った形状であるのに対して、第2シールリップのリップ先端は丸みを帯びた形状であることを特徴とする請求項1に記載の密封装置。
JP2007313231A 2007-09-26 2007-12-04 密封装置 Active JP5326265B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007313231A JP5326265B2 (ja) 2007-09-26 2007-12-04 密封装置
KR1020080089566A KR20090031984A (ko) 2007-09-26 2008-09-11 밀봉장치
CN200810168044XA CN101398085B (zh) 2007-09-26 2008-09-25 密封装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007249877 2007-09-26
JP2007249877 2007-09-26
JP2007313231A JP5326265B2 (ja) 2007-09-26 2007-12-04 密封装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009097705A JP2009097705A (ja) 2009-05-07
JP5326265B2 true JP5326265B2 (ja) 2013-10-30

Family

ID=40516827

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007313231A Active JP5326265B2 (ja) 2007-09-26 2007-12-04 密封装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5326265B2 (ja)
CN (1) CN101398085B (ja)

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010286014A (ja) * 2009-06-09 2010-12-24 Nok Corp 油圧シリンダ
JP4665046B1 (ja) * 2009-10-07 2011-04-06 Nok株式会社 密封装置
SE535068C2 (sv) 2010-04-01 2012-04-03 Atlas Copco Rock Drills Ab Bergborrmaskin och användning därav för att förhindra uppkomst och spridning av kavitationsbubblor
KR101315419B1 (ko) * 2012-03-07 2013-10-14 주식회사수산중공업 브레이커의 피스톤 누유 방지장치
DE102012013409A1 (de) * 2012-05-23 2013-11-28 Atlas Copco Construction Tools Gmbh Schlagvorrichtung
CN104640585B (zh) * 2012-09-26 2017-05-03 泰尔茂株式会社 药液给予装置
CN103511630B (zh) * 2013-03-26 2016-05-11 淄博高新区成大机械设计研究所 一种高速电机用密封圈
JP6088374B2 (ja) * 2013-07-09 2017-03-01 三菱電線工業株式会社 軸シール
CN103671930B (zh) * 2013-12-12 2016-08-24 南车二七车辆有限公司 一种异形截面气动密封圈
JP6296500B2 (ja) * 2014-08-22 2018-03-20 日本バルカー工業株式会社 液体漏れ検知ユニット
EP3505799B1 (en) 2016-08-24 2023-02-15 Nok Corporation Sealing device
CN107289132B (zh) * 2017-08-22 2023-05-23 浙江工业大学 一种带增强骨架的星形往复密封圈
CN110219985A (zh) * 2018-03-02 2019-09-10 烟台冰轮医药装备有限公司 一种密封圈及具有该密封圈的密封机构、真空冷冻干燥机
CN109538779A (zh) * 2019-01-17 2019-03-29 广州宝力特密封技术有限公司 球阀用组合密封圈以及球阀
JP6894132B2 (ja) 2019-03-20 2021-06-23 株式会社ASCe 液体噴射機構及び液体噴射機構に用いられるピストン
CN109826956B (zh) * 2019-04-04 2023-08-04 铁岭五星密封研究所有限公司 浮动式双主唇组合密封圈
JP7166530B2 (ja) * 2019-07-05 2022-11-08 Smc株式会社 フッ素樹脂成形体

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57151489U (ja) * 1981-03-20 1982-09-22
JPH0731972Y2 (ja) * 1989-10-25 1995-07-26 マツダアステック株式会社 油圧打撃機の打撃ピストン支持装置
JPH0710628U (ja) * 1993-07-29 1995-02-14 エヌオーケー株式会社 パッキン
JPH07214479A (ja) * 1994-02-02 1995-08-15 Matsuda Astec Kk 油圧衝撃工具
US6290235B1 (en) * 1997-07-02 2001-09-18 Parker-Hannifin Corporation Sealing system for a reciprocating shaft
CN1320295C (zh) * 2001-06-04 2007-06-06 Nok株式会社 密封装置
CN2544146Y (zh) * 2002-06-18 2003-04-09 祁增荣 唇口型填料密封件
JP2006029367A (ja) * 2004-07-12 2006-02-02 Hirotaka Engineering:Kk 油空圧アクチュエータ摺動部のシール構造

Also Published As

Publication number Publication date
CN101398085B (zh) 2013-08-21
CN101398085A (zh) 2009-04-01
JP2009097705A (ja) 2009-05-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5326265B2 (ja) 密封装置
JP5825431B2 (ja) バッファリング
JP5040338B2 (ja) 密封装置及び油圧シリンダ
KR20090080540A (ko) 패킹 및 씰링 시스템
KR20100132439A (ko) 유압실린더
JP2008039080A (ja) シーリングシステム
JP6128286B2 (ja) 密封構造
JP2008267449A (ja) バックアップリング
JP2013194884A (ja) 密封装置
JP2017526872A (ja) 減衰要素を有するシール装置
KR20090031984A (ko) 밀봉장치
JP5531386B2 (ja) シーリングシステム
JP2015108414A (ja) 緩衝体
US20210003152A1 (en) Seal structure in hydraulic cylinder, and said hydraulic cylinder
JP5359638B2 (ja) 密封構造
JP5066845B2 (ja) 油圧シリンダ
JP6256030B2 (ja) バッファリング
US9371911B2 (en) Reciprocating sealing device
JP2012137121A (ja) 密封装置
JP2004332864A (ja) ガスケット
JP2008121846A (ja) バックアップリング
CN109899525B (zh) 杆密封件
EP4379241A1 (en) Sealing device
JP2004019866A (ja) 往復動シール
JP2017161024A (ja) 密封装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120530

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120605

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120725

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20130129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130415

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20130423

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130625

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130708

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5326265

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250