JP5324687B2 - インサートメタル - Google Patents

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本発明は、インサートメタルに関する。
従来のインサートメタルにあっては、たとえば、複筒型等に設定される油圧緩衝器のシリンダと外筒の開口端に嵌合する環状のロッドガイドに積層されて、上記ロッドガイドに軸支されてシリンダ内に進退されるロッドの外周をシールするシール部材の芯材として使用されるものが知られており、具体的には、肉厚円環状とされ、シール部材の変形を防止し、作用圧に対するシール部材の強度と剛性を補償している。(たとえば、特許文献1参照)。
特開2007−120514号公報
上記インサートメタルは、機能上、特に問題はないのであるが、以下の点で改善の余地がある。
というのは、インサートメタルの肉厚は、シリンダ或いは外筒の開口端を加締めて固定されることを念頭にして、全体一様に加締め荷重に耐えうる厚さに設定され、シール部材の変形、剛性および強度の観点から要求される肉厚に比較して厚く、インサートメタルの重量が嵩んでおり、軽量化が要望されている。
そこで、本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、軽量なインサートメタルを提供することである。
上記した目的を達成するため、本発明における課題解決手段は、環状であってロッドガイドに積層されて筒状のアウターシェルの内周に嵌合し、ロッドガイドに軸支されてアウターシェル内に進退するロッドの外周をシールするシール部を保持するとともに、外周部がアウターシェルの管端を加締めて形成される加締部とロッドガイドに挟持されてアウターシェルに固定されるインサートメタルにおいて、ロッドガイドに積層される円環状のロアプレートと、ロアプレートの外周からロッドガイドから離間する方向へ立ち上がるロア側外筒と、ロアプレートの内周からロッドガイドから離間する方向へ立ち上がる内筒と、内筒に連なって外周方向へ延びてロアプレートに隙間をもって対向する円環状のアッパープレートと、アッパープレートの外周からロッドガイド側へ垂下されるとともにロア側外筒の内周に当接するアッパー側外筒とを備え、加締部にロア側外筒を対向させたことを特徴とする。
加えて、本発明における別の課題解決手段は、環状であってロッドガイドに積層されて筒状のアウターシェルの内周に嵌合し、ロッドガイドに軸支されてアウターシェル内に進退するロッドの外周をシールするシール部を保持するとともに、外周部がアウターシェルの管端を加締めて形成される加締部とロッドガイドに挟持されてアウターシェルに固定されるインサートメタルにおいて、ロッドガイドに積層される円環状のロアプレートと、ロアプレートの外周からロッドガイドから離間する方向へ立ち上がる外筒と、ロアプレートの内周からロッドガイドから離間する方向へ立ち上がるロア側内筒と、外筒に連なって内周方向へ延びてロアプレートに隙間をもって対向する円環状のアッパープレートと、アッパープレートの内周からロッドガイド側へ垂下されるとともにロア側内筒の外周に当接するアッパー側内筒とを備え、加締部に外筒を対向させたことを特徴とする。
さらに、本発明におけるさらに別の課題解決手段は、環状であってロッドガイドに積層されて筒状のアウターシェルの内周に嵌合し、ロッドガイドに軸支されてアウターシェル内に進退するロッドの外周をシールするシール部を保持するとともに、外周部がアウターシェルの管端を加締めて形成される加締部とロッドガイドに挟持されてアウターシェルに固定されるインサートメタルにおいて、ロッドガイドに積層される円環状のプレートと、当該プレート外周に連なる外端部を折り曲げることでプレート外周に積層させて折曲部とを備え、当該折曲部を加締部に対向させたことを特徴とする。
本発明のインサートメタルによれば、アウターチューブの加締部から作用する加締め荷重を受ける部位に付いては肉厚と強度を確保しつつ、その他の部位については従来のインサートメタルに比して軽量とすることができるので、全体として軽量化することができる。
参考例におけるインサートメタルを備えたシール部材の縦断面図である。 他の参考例におけるインサートメタルを備えたシール部材の縦断面図である。 他の参考例におけるインサートメタルを備えたシール部材の縦断面図である。 他の参考例におけるインサートメタルを備えたシール部材の縦断面図である。 他の参考例におけるインサートメタルを備えたシール部材の縦断面図である。 他の参考例におけるインサートメタルを備えたシール部材の縦断面図である。 実施の形態におけるインサートメタルを備えたシール部材の縦断面図である。
以下、本発明のインサートメタルを図に基づいて説明する。
図1は、参考例におけるインサートメタルを備えたシール部材の縦断面図である。
図2は、参考例の一変形例におけるインサートメタルを備えたシール部材の縦断面図である。
図3は、参考例の他の変形例におけるインサートメタルを備えたシール部材の縦断面図である。
図4は、参考例の別の変形例におけるインサートメタルを備えたシール部材の縦断面図である。
図5は、他の参考例におけるインサートメタルを備えたシール部材の縦断面図である。
図6は、参考例におけるインサートメタルを備えたシール部材の縦断面図である。図7は、実施の形態におけるインサートメタルを備えたシール部材の縦断面図である。
なお、図2から図7においては、断面が左右対称に現れるので図中において左半分の断面の記載を省略している。
一参考例におけるインサートメタル2は、図1に示すように、油圧緩衝器のロッド4の外周をシールするシール部材1の芯材として使用されており、基本的には、環状であってロッドガイド5に積層されて筒状の油圧緩衝器のアウターシェル6の内周に嵌合し、ロッドガイド5に軸支されてアウターシェル6内に進退するロッド4の外周をシールするシール部3を保持するとともに、外周部がアウターシェル6の管端を加締めて形成される加締部6aとロッドガイド5に挟持されてアウターシェル6に固定されるようになっている。
また、油圧緩衝器は、シリンダ7と、シリンダ7の外方に配置されるとともにシリンダ7を覆う筒状のアウターシェル6と、シリンダ7の開口端およびアウターシェル6の管端を閉塞すると共にシリンダ7内に移動自在に挿入されるロッド4を軸支するロッドガイド5とを備え、シール部材1は、ロッドガイド5に積層されてアウターシェル6に固定され、ロッド4の外周をシールしている。
また、シリンダ7の下方には、図示はしないが、ロッド4の図外下端に連結されるピストンが摺動自在に挿入されており、このピストンでシリンダ7内に作動油で満たされるロッド側室R1と図外のピストン側室が区画され、さらに、シリンダ7とアウターシェル6との間にはガスと作動油が充填されるリザーバRが形成されている。すなわち、この油圧緩衝器は、いわゆる複筒型の緩衝器として構成されている。なお、上述したところでは、緩衝器は、作動油を作動流体とする油圧緩衝器とされているが、作動流体は他の液体とされてもよく、また、気体としてもよい。
つづいて、ロッドガイド5は、環状に形成されており、図1中下端からは凸部5aが下方へ突出するように設けられ、この凸部5aがシリンダ7の図1中上端となる開口端に嵌まり込んで、シリンダ7の上端を閉塞する。また、ロッドガイド5は、アウターチューブ6の図1中上端となる開口端の内周側に挿入されて、アウターチューブ6の管端をも閉塞する。
また、ロッドガイド5の内周に筒状のベアリング8が装着されており、このベアリング8内にロッド4が摺動自在に挿入されている。また、ロッドガイド5は、図1中上端内周側に設けた凹部5bと、凹部5bの外周部に連なる段部5cと、上記段部5cの外縁からロッドガイド5のリザーバRに臨む面までを連通する連通孔5dとを備え、さらには、外周に全周に亘って形成される切欠5eを備えている。
つづいて、このロッドガイド5の図1中上方に積層されるシール部材1は、インサートメタル2と、インサートメタル2に保持されてロッド4の外周をシールするシール部3とを備えて構成されている。
インサートメタル2は、シール部3を保持する保持環10と、保持環10の外周に嵌合される外環11とを備えて構成されている。保持環10は、プレート状の円環部10aと円環部10aの外周を立ち上げて形成した筒状の立上部10bと、円環部10aの内周端をロッドガイド5から離間する方向へ曲げ加工して立ち上げて形成した筒状の曲部10cとを備えている。
より詳しくは、保持環10における円環部10aは、ロッドガイド5に積層され、立上部10bは、円環部10aの外周をロッドガイド5から離間する方向へへ曲げ加工して立ち上げて形成されている。
外環11は、保持環10における立上部10bの外周に嵌合される筒部11aと、筒部11aの内周からロッド4側へ延設されて立上部10bの端部に当接するフランジ部11bとを備えて構成され、フランジ部11bの内径は、立上部10bの図1中上端を覆うことができる程度の内径に設定され、具体的には、立上部10bの内径と同じか若干程度小径に設定されている。
これら保持環10および外環11は、ともに従来のインサートメタルより薄肉に設定されており、保持環10の円環部10aの底面から外環11のフランジ部11bの上面までの高さは従来のインサートメタルの高さ程度とされている。
そして、この保持環10と外環11とを上述の如く嵌合させて一体として、インサートメタル2が形成される。なお、この実施の形態の場合、保持環10と外環11との一体化に際して、保持環10の立上部10bを外環11の筒部11aに圧入することで分離を防止するようにしてもよいし、溶接や接着によって分離を防止するようにしてもよい。
このように構成されるインサートメタル2は、シール部3を形成する金型内にインサート品として挿入され、周囲にシール部3を成すゴムを融着させて、シール部材1を得ることができる。
シール部3は、この場合、保持環10の円環部10aの内周から曲部10cに架けて融着されて保持される環状のオイルリップ3aおよびダストリップ3bと、保持環10の円環部10aの外周から外環11の筒部11aの下端に架けて融着されて保持される環状の外周シール3cとを備えており、シール部材1をロッドガイド5に積層すると、外周シール3cが圧縮された状態でロッドガイド5の切欠5e内に圧縮状態で侵入し、アウターシェル6とロッドガイド5との間の隙間をシールされる。
詳しくは、オイルリップ3aは、保持環10の円環部10aの内周から曲部10cの彎曲面に融着されており、ダストリップ3bは、曲部10cの中間部から上端に架けて融着されている。
また、この参考例の場合、オイルリップ3aはロッド4の外周に摺接してロッド4がアウターシェル6から退出する際に外周に付着した作動油を凹部5b内へ掻き落として、油圧緩衝器外への作動油の漏洩を防止している。さらに、ダストリップ3bは、ロッド4がアウターシェル6内へ侵入する際にロッド4の外周に付着した塵、埃や水滴等を掻き落として、油圧緩衝器内への塵等の侵入を防止している。
なお、油圧緩衝器がリザーバRを備えている場合、ロッド4がシリンダ7内に侵入する際に、リザーバR内の気体がロッド4とベアリング8との間を通過して減圧されるロッド側室R1内へ引き込まれることを阻止しつつ、ロッド4に付着した作動油がオイルリップ3aによって掻き落とされてロッドガイド5の凹部5b内に貯留されて凹部5b内を蓄圧することを解消するために、インサートメタル2の図1中円環部10aの下部にゴムを融着してチェックシールを設けるようにしてもよい。チェックシールは、円環部10aの下部から延びて先端をロッドガイド5の段部5cに当接させることによって撓み、自身の弾発力でこの先端を当該段部5cに押し付ける周知の構成を採用すればよい。
このように本参考例のインサートメタル2は構成され、シール部材1の芯材として利用され、インサートメタル2をアウターシェル6内に嵌合してロッドガイド5に積層し、アウターシェル6の管端を加締めることで加締部6aとロッドガイド5とで挟持されて、アウターシェル6に固定される。
そして、このインサートメタル2においては、保持環10の立上部10bを加締部6aに対向させてあって、立上部10bには外環11のフランジ部11bが積層されており、保持環10および外環11が従来のインサートメタルより薄肉に設定されていても、加締部6aから加締め荷重が負荷される部位の肉厚が確保されるとともに、立上部10bは円環部10aの外周を曲げ加工によって立ち上げられているので加締め荷重に対して強度も充分に確保される。
このようにインサートメタル2は、加締め荷重に対しては充分な強度を確保している一方、保持環10と外環11とで構成されることで加締め荷重の作用しない部位の肉厚は保持環10のみの肉厚となるので、従来のインサートメタルに比較して軽量となる。
すなわち、この参考例のインサートメタル2によれば、アウターチューブ6の加締部6aから作用する加締め荷重を受ける部位に付いては肉厚と強度を確保しつつ、その他の部位については従来のインサートメタルに比して軽量とすることができるので、全体として軽量化することができる。
また、この参考例におけるインサートメタル2の保持環10は、円環部10aの内周端を曲げ加工して立ち上げた曲部10cを備えて、この曲部10cに油圧緩衝器内から圧力が作用するオイルリップ3aが融着されるようになっており、上記圧力の作用によってオイルリップ3aが変形する際に応力集中が生じにくくなっているため、シール部3の劣化を抑制でき、シール部材1の長寿命化を図ることができる。これに対して、従来のインサートメタルにあっては、オイルリップが融着される内周下部の断面は直角とされており、圧力の作用によって変形するとオイルリップ中のインサートメタルの内周下部周辺にて応力が集中し易いことからも上記利点が理解できよう。また、従来のインサートメタルでは、内周下部に面取り等を施すことで応力集中を回避することができるが、後加工が必要なために、コスト高となってしまうが、本参考例のインサートメタル2にあっては、保持環10の形状を得る塑性加工によって曲部10cを設ければよいので、コスト高となる危惧もない。
なお、曲部10cの上端の内周の断面は直角となっており、ここにダストリップ3bが融着されるが、ダストリップ3bには高圧力が作用することがないので、不都合は生じない。また、特に、オイルリップ3aの応力集中の問題が無い場合には、円環部10aの内周端を曲げ加工して曲部10cを設けることを要しない。さらに、図1に示したインサートメタル2を天地逆にしてロッドガイド4に積層して使用することも可能であり、曲部をロッドガイドから離間する方向に曲げ加工して立ち上げるようにすれば、上記と同様にオイルリップ3aの応力集中を防止することができる。
さらに、図2に示した参考例のインサートメタル2のように、外環11のフランジ部11bを内周側へ延長して、フランジ部11bを空隙を持って保持環10の円環部10aに対向させ、フランジ部11bの内周を保持環10の曲部10cの外周へ当接させるようにしてもよい。このようにしても、インサートメタル2の内部が中空となるので、従来のインサートメタルに比較して軽量となる。
また、この場合には、保持環10と外環11とで形成される空隙は、閉じられており、内部への塵や埃、水等の浸入が阻止されるので、シール部材1への塵等の蓄積が防止される利点がある。なお、図2のインサートメタル2にあっても、図中天地逆にして使用することも可能である。
さらに、図3に示した参考例のインサートメタル2のように、外環11のフランジ部11bの内周端をロッドガイド5側へ曲げ加工して内周側に彎曲面を備えたフランジ曲部11cを設け、フランジ部11bを空隙を持って保持環10の円環部10aに対向させ、フランジ曲部11cの内周を保持環11の曲部10cの外周に嵌合させるようにしてもよい。このようにしても、インサートメタル2の内部が中空となるので、従来のインサートメタルに比較して軽量となる。
この場合には、保持環10と外環11とで形成される空隙は、閉じられており、内部への塵や埃、水等の浸入が阻止されるので、シール部材1への塵等の蓄積が防止される利点があるとともに、外環11のフランジ曲部11c内に保持環10の曲部10cを圧入できるとともに外環11の筒部11a内に保持環10の立上部10bを圧入でき、二箇所で圧入可能であるので、溶接や接着によらずとも強固に保持環10と外環11とを一体化できる利点がある。
なお、図3のインサートメタル2にあっても、図中天地逆にして使用することも可能である。
そしてさらに、図4に示した参考例のインサートメタル2のように、外環11のフランジ部11bの内周端をロッドガイド5側へ曲げ加工して当該内周端を保持環10の立上部10bの内周に嵌合させるようにしてもよく、このようにしても従来のインサートメタルに比較して軽量となる。
また、この場合には、立上部10bが外環11の筒部11aとフランジ部11bの内周端にて挟まれる格好となって、立上部10bの径方向の強度が向上するので、外環11の肉厚を上記した各例より薄くすることができ、より一層インサートメタルの軽量化を図ることができる。
また、立上部10bを外環11で挟み込む格好となるので、溶接や接着によらずとも強固に保持環10と外環11とを一体化できる利点もある。なお、図4のインサートメタル2にあっても、図中天地逆にして使用することも可能である。
つづいて、他の参考例におけるインサートメタル12について説明する。このインサートメタル12は、図5に示すように、ロッドガイド5に積層される円環状のロアプレート12aと、ロアプレート12aの外周からロッドガイド5から離間する方向へ立ち上がるロア側外筒12bと、ロアプレート12aの内周からロッドガイド5から離間する方向へ立ち上がる内筒12cと、内筒12cに連なって外周方向へ延びてロアプレート12aに隙間をもって対向する円環状のアッパープレート12dと、アッパープレート12dの外周からロッドガイド5側へ垂下されるとともに内周がロア側外筒12bの外周に当接するアッパー側外筒12eとを備え、加締部6aにロア側外筒12bを対向させている。なお、アッパー側外筒12eの外周をロア側外筒12bの内周に当接させるようにしてもよい。
また、このインサートメタル12にあっては、内筒12cにオイルリップ3aと、ダストシール3bが融着され、アッパー側外筒12eの図5中下端に外周シール3cが融着されてシール部材を形成している。そして、内筒12cは曲げ加工によってロアプレート12aから立ち上がっており、内周下部に彎曲面を備えているので、オイルリップ3aの劣化を抑制してシール部材の長寿命化が図られている。
以下、各参考例について説明に当たって、異なるのはインサートメタルの構造のみであるので、上記の参考例と同様の部分については説明が重複するので同じ符号を付するのみとして詳しい説明を省略し、異なる部分について詳細に説明することとする。
この参考例におけるインサートメタル12は、従来のインサートメタルに比して薄肉に設定される単一の母材を折り曲げ成形することで上述のように構成され、図5中上下方向高さは従来のインサートメタルと同程度に設定されるものの内部が中空となっており、加締め荷重が負荷される部位は、ロアプレート12aの外周から立ち上がるロア側外筒12bとこれに積層されるアッパープレート12dとなり、ロア側外筒12bの図中上下方向高さとアッパープレート12dの肉厚とで、加締部6aから加締め荷重が負荷される部位の肉厚が確保されるとともに、ロア側外筒12bがロアプレート12aの外周を曲げ加工によって立ち上げられているので加締め荷重に対して強度も充分に確保される。
このようにインサートメタル12は、加締め荷重に対しては充分な強度を確保している一方、インサートメタル12の母材の肉厚は従来のインサートメタルより薄肉とされて内部が中空となっているので、従来のインサートメタルに比較して軽量となる。
すなわち、この参考例のインサートメタル12によれば、アウターチューブ6の加締部6aから作用する加締め荷重を受ける部位に付いては肉厚と強度を確保しつつ、その他の部位については従来のインサートメタルに比して軽量とすることができるので、全体として軽量化することができる。
なお、図5のインサートメタル12にあっても、図中天地逆にして使用することも可能であり、さらには、上述したところでは、ロアプレート12aとアッパープレート12dとが内筒12cに連なるようになっているが、図示はしないが、ロッドガイドに積層される円環状のロアプレートとアッパープレートとをロアプレートの外周側に連なる外筒にて接続し、アッパープレートが当該外筒に連なって内周方向へ延びてロアプレートに隙間をもって対向する円環状のプレートとし、アッパープレートの内周からロッドガイド側へアッパー側内筒を垂下させて、このアッパー側内筒をロアプレートの内周からロッドガイドから離間する方向へ立ち上がるロア側内筒の内周或いは外周に当接させるようにしてもよい。
引き続き、他の参考例におけるインサートメタル13について説明する。このインサートメタル13は、図6に示すように、ロッドガイド5に積層される円環状のプレート13aと、当該プレート13aの外周に連なる外端部を折り曲げることでプレート13aの外周に積層させた折曲部13bとを備えて構成され、当該折曲部13bを加締部6aに対向させるようにしている。また、このインサートメタル13にあっては、プレート13aの内周側にオイルリップ3aと、ダストシール3bが融着され、プレート13aの外周側に外周シール3cが融着されてシール部材を形成している。
この参考例におけるインサートメタル13は、従来のインサートメタルに比して薄肉に設定される単一の母材を折り曲げ成形することで上述のように構成され、加締部6aに対向するプレート13aと折曲部13bとが積層される部分における図6中上下方向高さは従来のインサートメタルと同程度に設定されるが、それ以外の部位はプレート13aのみとなっている。
それゆえ、加締め荷重が負荷される部分については、プレート13aに折曲部13bが積層されることで肉厚が確保されるので、折曲部13bがプレート13aに密着して積層されることで加締め荷重に対して強度も充分に確保される。その一方、加締部6aに対向する部位より内周側は、従来のインサートメタルより薄肉のプレート13aが配置されるのみであるため、従来のインサートメタルに比較して軽量となる。
すなわち、この実施の形態のインサートメタル13によれば、アウターチューブ6の加締部6aから作用する加締め荷重を受ける部位に付いては肉厚と強度を確保しつつ、その他の部位については従来のインサートメタルに比して軽量とすることができるので、全体として軽量化することができる。
なお、図6に示す参考例では、折曲部13bは、プレート13aに連なる外周端を内周側へ折り返されてプレート13aに積層されているが、さらに、これを外周側へ折り返して、図7に示すように、折曲部13bを二重としてもよく、また、三重以上とするようにしてもよい。また、図7に示すように、プレート13aの内周端をロッドガイド5から離間する方向へ曲げ加工して形成した曲部13cを設けて、曲部13cにオイルリップ3aを融着することで、オイルリップ3aの劣化の抑制とシール部材の長寿命化を図るようにしてもよい。
なお、図6,7のインサートメタル13にあっても、図中天地逆にして使用することも可能である。
また、図7に示した実施の形態では、曲部13cが完全に折り返されてプレート13aに密着して積層されるように構成されているが、図7に示した参考例以外において、外環11のフランジ部11bや、フランジ曲部11cの嵌合を念頭にしない場合には、曲部10cをロッドガイド5から離間する方向へ曲げ加工して立ち上げて筒状とする以外に、図7に示した実施の形態と同様に、完全に折り返して円環部10aに密着して積層するように構成することも可能である。
さらに、インサートメタルは、上述のように、複筒型の緩衝器に適用する以外にも、単筒型の緩衝器へ適用することも可能で、この場合には、特許請求の範囲に言うアウターチューブはピストンが摺動自在に挿入されるシリンダとしての役割を果すことになる。さらに、本発明のインサートメタルは、たとえば、シリンダ装置やステイダンパといった緩衝器以外の機器のシール部材に使用することも可能である。
なお、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されない。
1 シール部材
2,12,13 インサートメタル
3 シール部
3a オイルリップ
3b ダストリップ
3c 外周シール
4 ロッド
5 ロッドガイド
5a ロッドガイドにおける凸部
5b ロッドガイドにおける凹部
5c ロッドガイドにおける段部
5d ロッドガイドにおける連通孔
5e ロッドガイドにおける切欠
6 アウターシェル
6a 加締部
7 シリンダ
8 ベアリング
10 保持環
10a 円環部
10b 立上部
10c 曲部
11 外環
11a 筒部
11b フランジ部
11c フランジ曲部
12a ロアプレート
12b ロア側外筒
12c 内筒
12d アッパープレート
12e アッパー側外筒
13a プレート
13b 折曲部
13c 曲部
R1 ロッド側室
R リザーバ

Claims (3)

  1. 環状であってロッドガイドに積層されて筒状のアウターシェルの内周に嵌合し、ロッドガイドに軸支されてアウターシェル内に進退するロッドの外周をシールするシール部を保持するとともに、外周部がアウターシェルの管端を加締めて形成される加締部とロッドガイドに挟持されてアウターシェルに固定されるインサートメタルにおいて、ロッドガイドに積層される円環状のロアプレートと、ロアプレートの外周からロッドガイドから離間する方向へ立ち上がるロア側外筒と、ロアプレートの内周からロッドガイドから離間する方向へ立ち上がる内筒と、内筒に連なって外周方向へ延びてロアプレートに隙間をもって対向する円環状のアッパープレートと、アッパープレートの外周からロッドガイド側へ垂下されるとともにロア側外筒の内周に当接するアッパー側外筒とを備え、加締部にロア側外筒を対向させたことを特徴とするインサートメタル。
  2. 環状であってロッドガイドに積層されて筒状のアウターシェルの内周に嵌合し、ロッドガイドに軸支されてアウターシェル内に進退するロッドの外周をシールするシール部を保持するとともに、外周部がアウターシェルの管端を加締めて形成される加締部とロッドガイドに挟持されてアウターシェルに固定されるインサートメタルにおいて、ロッドガイドに積層される円環状のロアプレートと、ロアプレートの外周からロッドガイドから離間する方向へ立ち上がる外筒と、ロアプレートの内周からロッドガイドから離間する方向へ立ち上がるロア側内筒と、外筒に連なって内周方向へ延びてロアプレートに隙間をもって対向する円環状のアッパープレートと、アッパープレートの内周からロッドガイド側へ垂下されるとともにロア側内筒の内周或いは外周に当接するアッパー側内筒とを備え、加締部に外筒を対向させたことを特徴とするインサートメタル。
  3. 環状であってロッドガイドに積層されて筒状のアウターシェルの内周に嵌合し、ロッドガイドに軸支されてアウターシェル内に進退するロッドの外周をシールするシール部を保持するとともに、外周部がアウターシェルの管端を加締めて形成される加締部とロッドガイドに挟持されてアウターシェルに固定されるインサートメタルにおいて、円環状のプレートと、当該プレート外周に連なる外端部を折り曲げることでプレート外周に積層させた折曲部と、プレートの内周端をロッドガイドから離間する方向へ曲げ加工して形成した曲部と設け、上記折曲部を加締部に対向させたことを特徴とするインサートメタル。
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