JP5323887B2 - 加熱調理器 - Google Patents

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Description

本発明は、加熱コイルを備えた誘導加熱調理器に係わり、さらに詳しくは、加熱コイルの周囲に設置された電極と所定電位の間の静電容量の変化からふきこぼれを検出する加熱調理器に関するものである。
従来、ふきこぼれを検出する加熱調理器の例として、加熱コイルの周囲に設置された電極と所定電位の間の静電容量の変化からふきこぼれの発生を判定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−170855号公報(第6−7頁、第1図)
前述した従来の加熱調理器は、ふきこぼれが継続しないように、静電容量の変化からふきこぼれの可能性ありと判定した場合には、一旦、ふきこぼれが継続しない程度に加熱量の抑制制御を実施し、本当にふきこぼれかどうかを判定した上で加熱量の制御を確定し、ふきこぼれの発生を報知するか、元の加熱量に戻すかを判定するようにしている。そのため、被加熱物である鍋の移動などにより静電容量の変化が起きた場合においても、一旦、加熱量が低下してしまい、そのため、所望の加熱量が得られず、調理の出来栄えを損ねてしまうという課題があった。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、ふきこぼれの可能性がある調理のみふきこぼれを検出する加熱調理器を得ることを目的とする。
本発明に係る加熱調理器は、本体ケースの上部に設けられたトッププレートと、トッププレートに載置された被加熱物を加熱する加熱コイルと、被加熱物の温度を検出する温度検出部と、加熱コイルへの通電を制御し、被加熱物の加熱を制御する加熱制御部と、加熱コイルの周囲のトッププレートの裏面に配置された複数の電極と、トッププレート上に被調理物が載置されたときに電極に生じる静電容量を測定する静電容量測定回路とを備え、加熱制御部は、静電容量測定回路の測定結果を加熱の制御に反映する自動検出モード、及び静電容量測定回路の測定結果を加熱の制御に反映しない検出無効モードを有し、通常は自動検出モードで動作し、温度検出部により検出された被加熱物の温度が予め設定された温度範囲より低いとき、及び前記温度が温度範囲を超えたときには、検出無効モードに切り替える。
本発明においては、静電容量測定回路の測定結果を加熱の制御に反映する自動検出モードと、静電容量測定回路の測定結果を加熱の制御に反映しない検出無効モードを有し、通常は自動検出モードで動作し、例えば油温や被加熱物の底温度を加熱制御の対象とする調理メニューの選択により特定の条件が成立したときに検出無効モードに切り替えるようにしている。これにより、ふきこぼれの可能性がある調理形態の場合は常に自動検出モードが有効となり、ふきこぼれの可能性が無い調理形態が使用者によって選択された場合は、自動的に自動検出モードが無効となり、被加熱物の移動などによる誤検出の可能性を低くすることができる。
また、使用者がふきこぼれ検出機能の有効/無効の設定をする必要が無いので、使い勝手の良い加熱調理器を提供することが可能になる。
実施の形態1に係る加熱調理器の外観を示す斜視図。 実施の形態1に係る加熱調理器の加熱コイルの回路構成を示すブロック図。 実施の形態1に係る加熱調理器の動作を示すフローチャート。 実施の形態1の加熱調理器においてふきこぼれ検出を無効にしたときの表示例を示す図。 実施の形態1の変形例を示す別のフローチャート。 実施の形態2の加熱調理器において鍋の検出温度の変化に基づく検出無効モード/自動検出モードの切替動作を示す図。 実施の形態2に係る加熱調理器の動作を示すフローチャート。 実施の形態3に係る加熱調理器の加熱コイルの回路構成を示すブロック図。 実施の形態3に係る加熱調理器の動作を示すフローチャート。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る加熱調理器の外観を示す斜視図、図2は実施の形態1に係る加熱調理器の加熱コイルの回路構成を示すブロック図である。
図1及び図2において、本実施の形態の加熱調理器は、例えば誘導加熱調理器に適用され、その本体ケース1は、上部に開口を有する矩形状箱体により構成されている。本体ケース1の上部開口は、枠体3が取り付けられたトッププレート2によって覆われている。トッププレート2は、耐熱強化ガラスより構成され、その裏面には内部が見えないように印刷が施されている。また、トッププレート2の表面には、例えば、被加熱物である鍋100の加熱位置を示す円形の加熱口2a、2b、2cが印刷等の方法で表示されている。
トッププレート2の前側には、上面操作部4及び例えば液晶ディスプレイからなる上面表示部9a、9b、9cが設けられている。上面操作部4は、例えば、加熱口2a、2b、2cにそれぞれ対応して設けられた火力設定用操作部と、グリルの加熱を操作するグリル用操作部からなっている。火力設定用操作部には、加熱したい火力を直接使用者が設定する操作部分と、揚げ物調理やフライパン予熱、もしくは鍋100の温度を設定するような調理メニューを選択する操作部分が設けられている。上面表示部9a、9b、9cのうち、左側の上面表示部9aは、加熱口2aで加熱調理が行われているときの機能や動作状態を表示し、右側の上面表示部9bは、前記と同様に、加熱口2bで加熱調理が行われているときの機能や動作状態を表示し、中央の上面表示部9bは、加熱口2cで加熱調理が行われているときの機能や動作状態、グリルの操作手順、動作状態等を表示する。また、上面表示部9a、9bは、後述するが、ふきこぼれ検出が行われていないときに、その旨を表示する。トッププレート2の後ろ側の枠体3には、吸気口6a及び排気口6bが設けられている。
本体ケース1の前面には、前後に移動可能なグリル扉5と前面操作部7、8が設けられている。前面操作部7には、左側の加熱口2aの火力を調節するための火力調節ダイヤル7aが設けられ、もう一方の前面操作部8には、右側の加熱口2bの火力を調節するための火力調節ダイヤル8aが設けられている。本体ケース1内には、2つの加熱コイル、ラジエントヒーター、グリル加熱庫、回路基板、これらを冷却するための冷却ファンモーター等が配置されている。2つの加熱コイルは、それぞれ加熱口2a、2bと対向するように配置され、ラジエントヒーターは、加熱口2cと対向するように配置されている。なお、ラジエントヒーターに代えて、加熱コイルを用いても良い。
次に、例えば加熱口2b側の加熱コイル11の回路構成について図2を用いて説明する。なお、加熱口2aに対向配置されたもう一つの加熱コイルの回路構成も、図2に示す加熱口2b側と同様である。
加熱口2bには、加熱コイル11と、加熱コイル11に高周波電力を供給する駆動回路12と、駆動回路12を制御する加熱制御部13と、鍋100の温度を検出する温度検出部14と、加熱コイル11の周囲のトッププレート2の裏面に接触する電極15と、静電容量測定回路16が設けられている。なお、図中には電極15を1個としているが、複数の電極15が配置されている。
温度検出部14として、例えば、鍋100から放射される赤外線量に基づいて温度を検出するサーモパイルや、トッププレート2の裏面に接触させた接触型のサーミスタ等が用いられている。電極15は、鍋100からの内容物のふきこぼれを検出するためのもので、トッププレート2の裏面に導電性の塗料等により印刷形成されている。静電容量測定回路16は、後で詳述するが、例えば電極15と所定電位(例えばGND)の間に交流電圧を印加し、その間の電圧から生じる静電容量を測定し、その静電容量の値を加熱制御部13に入力する。なお、所定電位としてGNDとしているが、トッププレート2に載置される鍋100を所定電位としても良いし、また、これ以外の部分を所定電位としても良い。
加熱制御部13は、上面操作部4、前面操作部7、8の操作によって設定された火力となるように駆動回路12を制御する。また、加熱制御部13は、静電容量測定回路16の測定結果を加熱制御に反映する自動検出モード、及び静電容量測定回路16の測定結果を加熱制御に反映しない検出無効モードを有し、前述の操作により火力が設定されたときには自動検出モードで動作し、特定の条件が成立したときに検出無効モードに切り替える。特定の条件成立として、例えば、ふきこぼれの可能性のない調理メニュー、例えば揚げ物調理やフライパン予熱、もしくは鍋100の温度を所定温度(沸騰温度より低い温度)以下に設定する調理メニューが選択されたときである。具体的には揚げ物調理の場合は、油の温度を180℃とする調理メニューであり、フライパン予熱は、内容物の入っていない状態のフライパンを温める調理メニューであり、また、鍋100の温度設定は、沸騰温度より低い内容物を温める調理メニューである。
加熱制御部13は、自動検出モードで動作しているときには、静電容量測定回路16により測定された静電容量の変化値を基に鍋100から内容物がふきこぼれたかどうかを判定する。加熱制御部13は、ふきこぼれを検出したときには、駆動回路12の動作を停止、あるいは加熱コイル11に流す電流を減らすように駆動回路12を制御する。また、加熱制御部13は、自動検出モードから検出無効モードに切り替えたときに、上面表示部9bにふきこぼれ検出を無効にした旨を表示し、使用者に報知する。
ここで、電極15とGNDの間に生じる静電容量の測定について説明する。
電極15の面積をAとし、その電極15とGNDとの間の比誘電率(主に空気)をKとし、その間の距離をdとし、真空の誘電率をε0 とした場合、静電容量Cは下記の式により求められる。
C=K×ε0 ×A/d
となる。
静電容量測定回路16は、前述したように電極15とGNDとの間に交流電圧を印加する。印加した交流電圧は、静電容量Cが大きいと振幅が小さくなるため、その振幅の減衰量から静電容量Cを測定する。ふきこぼれが無い状態では、電極15とGNDとの間には主に比誘電率(K=1)の空気が存在するが、ふきこぼれが起きた場合には比誘電率80の水が入ってくるため、静電容量Cは急増する。そこで、静電容量Cの変化を調べることで、ふきこぼれの判定が可能になる。
次に、本実施の形態の動作について図1、図2及び図3、図4を用いて説明する。なお、回路動作の説明として右の加熱口2b側しか説明しないが、左の加熱口2a側の動作もその加熱口2b側と同様である。
図3に示すフローチャートにおいて、例えば、使用者が右側の加熱口2bの調理開始のための加熱開始の操作を行うと(ステップ301(以下、ステップを「S」と略す))、その加熱制御部13は、加熱開始の操作が火力を直接設定されたか、もしくは前述した揚げ物調理(油温)や鍋温度を制御する調理メニューなどのふきこぼれの可能性のない調理メニューが選択・設定されたかを判定する(S302)。加熱制御部13は、S302において、火力の設定と判定したときには、静電容量測定回路16により測定される静電容量Cを検出し、その変化量に応じて火力制御を行う自動検出モードを設定し(S303)、加熱動作に入る(S306)。
その後、加熱制御部13は、静電容量測定回路16により測定された静電容量Cの変化量が予め設定された変化値より大きいかどうかを判定する。加熱制御部13は、静電容量Cの変化量が変化値以下のときには静電容量Cの変化量に応じて鍋100が加熱されるように加熱コイル11の駆動回路12を制御する。また、加熱制御部13は、静電容量Cの変化量が変化値より大きいと判定したときには、ふきこぼれが発生したと判定して、加熱コイル11への通電停止、あるいは火力が低下するように駆動回路12を制御する。
また、加熱制御部13は、S302において、油温や鍋温度を制御する調理メニューなどのふきこぼれの可能性のない調理メニューが設定されたと判定したときには、予め設定された調理メニュー毎のシーケンスで加熱動作を行う検出無効モードを設定すると共に、上面表示部9bに例えば図4に示す『ふきこぼれ検出無効』を表示し使用者に報知する(S304、S305)。加熱制御部13は、例えば使用者の調理メニュー設定が揚げ物調理で、設定油温が180℃と設定された場合には、温度検出部14により検出される油温が180℃となるように駆動回路12を制御する(S306)。その後、加熱制御部13は、加熱動作を継続し、加熱動作中に設定される調理メニューに応じて自動検出モードと検出無効モードを切り替えながら加熱動作を行う。
以上のように実施の形態1においては、使用者が普通に火力を設定して鍋100を加熱する場合はふきこぼれを検出する自動検出モードに設定し、揚げ物調理やフライパン予熱、もしくは鍋100の温度を所定温度以下に設定する調理メニューなどのふきこぼれの可能性のない調理メニューが選択された場合のみ、ふきこぼれ検出機能を無効にする検出無効モードに入るようにしている。これにより、通常は常にふきこぼれを検出する自動検出モードが有効となり、使用者がふきこぼれ検出機能の有効/無効を意識することなく使用することが可能になる。また、改まってふきこぼれ検出を有効にする操作設定も不要となり、使用者にとって利便性を向上させた加熱調理器を提供できる。
また、揚げ物調理のように油を使う場合や、フライパン予熱などふきこぼれが発生しないと考えられる調理メニューが選択された場合には、加熱コイル11の近傍に配置された電極15で静電容量Cの変化を検出しても加熱制御に反映しないようにしている。そのため、鍋100の僅かな移動などでふきこぼれと誤判定することが無く、不意の加熱停止や火力ダウンといったことがなくなるため、消費電力を無駄にすることなく調理の出来栄えを損なうことが無い。
また、自動検出モードから検出無効モードに切り替えた際に、上面表示部9b(9a)に『ふきこぼれ検出無効』を表示するようにしているので、使用者に対してふきこぼれ検出が働かない状態であるということを認識させることが可能になり、注意喚起を促すことができる。また、ふきこぼれ検出が有効な状態にあるときには表示しないようにしているので、使用者がふきこぼれ検出の状態を意識せずに使用することが可能になり、ふきこぼれ検出が有効か無効か使用者が迷うことが無いという効果がある。
なお、本実施の形態では、調理開始時に設定された調理メニューに応じて、ふきこぼれ検出を有効にする自動検出モードか、その検出機能を無効にする検出無効モードに設定する動作として説明したが、これに限定されるものではない。例えば図5のフローチャートに示すように、加熱開始時は常に自動検出モードを設定し、加熱調理中にふきこぼれの可能性のない特定の調理メニューが設定された時点で自動検出モードを解除し、検出無効モードに切り替えて『ふきこぼれ検出無効』を上面表示部9bに表示するという動作でも、同様の効果を得ることが可能になる。
実施の形態2.
前述の実施の形態1では、調理開始の場合に使用者が選択・設定する加熱動作(調理メニュー)に応じてふきこぼれ検出を有効または無効にするように設定したものであるが、本実施の形態では、検出した鍋100の温度に応じてふきこぼれ検出を有効または無効に設定するようにしたものである。
図6は実施の形態2の加熱調理器において鍋の検出温度の変化に応じて検出無効モード/自動検出モードの切替動作を示す図、図7は実施の形態2に係る加熱調理器の動作を示すフローチャートである。なお、本実施の形態における加熱調理器の構成は、加熱制御部の機能を除いて、実施の形態1で説明した図1及び図2と同様であり、同一部分には同じ符号を付する。
本実施の形態の加熱調理器における加熱制御部13は、通常は自動検出モードで動作し、温度検出部14により検出された鍋100の温度が予め設定された温度範囲外のときに特定の条件が成立したと判定して検出無効モードに切り替える。例えば加熱制御部13は、図6に示すように、温度検出部14により検出された鍋100の温度が所定の温度範囲(例えば80℃から110℃)の間は、ふきこぼれの可能性が有ると判定して自動検出モードで動作し、温度検出部14により検出された温度が所定の温度範囲外の場合は特定の条件が成立したと判定して検出無効モードに切り替えると共に、上面表示部9b(9a)に『ふきこぼれ検出無効』を表示し、使用者に報知する。
次に、本実施の形態の動作について図1、図2及び図6、図7を用いて説明する。
図7に示すフローチャートにおいて、例えば、使用者が右側の加熱口2bの調理開始のための加熱開始の操作を行うと、その加熱制御部13は、先ず、ふきこぼれ検出を有効にする自動検出モードでの加熱動作を開始する(S601)。続いて、加熱制御部13は、温度検出部14により検出される鍋100の温度tを測定・取得し(S602)、その温度tが予め設定された温度範囲の80℃≦t≦110℃の間に入っているかどうかを判定する(S603)。加熱制御部13は、温度tが予め設定された温度範囲外であれば、自動検出モードから検出無効モードに切り替えて設定し(S604)、上面表示部9bに『ふきこぼれ検出無効』を表示して使用者に報知すると共に、加熱動作を継続する(S605、S607)。
また、加熱制御部13は、S603において、温度検出部14により検出される温度tが予め設定された温度範囲(80℃〜110℃)であれば、自動検出モードを継続し(S606)、ふきこぼれが発生したかどうかを判定しながら加熱動作を継続する(S607)。その後、加熱制御部13は、加熱動作中に、温度検出部14により検出される鍋100の温度tの測定を行い、その温度tに基づいて自動検出モードと検出無効モードとを切り替えながら加熱動作を継続する。
以上のように実施の形態2においては、測定した加熱中の鍋100の温度tによって、ふきこぼれ検出を行う自動検出モードと、ふきこぼれ検出動作を行わない検出無効モードの何れかに切り替えるようにしている。これにより、ある程度の温度tが上昇するまでは、ふきこぼれが発生する可能性が無いため検出無効モードで動作し、ふきこぼれの可能性がある温度域ではふきこぼれ検出(自動検出モード)を有効にして動作する。そのため、調理開始時の内容物や鍋100が低温状態(t≦80℃)以下で、ふきこぼれ以外での静電容量Cの変化(例えば調理動作に伴う鍋100の移動)によって加熱制御が不意に変化してしまうことを最小限とすることが可能になり、料理の出来栄えを損なうことがなくなる。
また、実施の形態2においては、検出温度tが予め定めた温度範囲外(この場合110℃以上)では、再びふきこぼれ検出を無効にする検出無効モードで動作するようにしている。この場合は、揚げ物調理など油を加熱する調理や、炒め物調理が想定される(水の沸点以上の温度)。これら調理はふきこぼれの発生が無いことから、検出無効モードとすることで、鍋100の移動や炒め動作時の鍋振り動作による静電容量Cの変化の影響を受けないようにすることが可能になり、調理のでき栄えを損なうことが無い。
また、調理中の温度tによって自動検出モードと検出無効モードの何れかを切り替えるため、使用者は特段の設定操作の必要が無く、利便性を向上させた加熱調理器を提供できる。
また、加熱調理器の動作として自動検出モードが優先して設定され、ふきこぼれの可能性が無いと判定した場合にのみ、検出無効モードとしてふきこぼれ検出をしないようにしているので、ふきこぼれ検出による誤動作をなくすことが可能になる。
また、自動検出モードから検出無効モードに切り替えた際に、上面表示部9b(9a)に『ふきこぼれ検出無効』を表示するようにしているので、使用者に対してふきこぼれ検出が働かない状態であるということを認識させることが可能になり、注意喚起を促すことができる。また、ふきこぼれ検出が有効な状態にあるときには表示しないようにしているので、使用者がふきこぼれ検出の状態を意識せずに使用することが可能になり、ふきこぼれ検出が有効か無効か使用者が迷うことが無いという効果がある。
なお、本実施の形態では、加熱開始の際に自動検出モードでの加熱動作を行うようにしたが(S601)、加熱開始の際に油温や鍋温度を制御する調理メニューなどのふきこぼれの可能性のない調理メニューが選択されたかどうかを判定するようにしても良い。その調理メニューが選択された場合には、検出温度tと温度範囲との比較による自動検出モードと検出無効モードの切り替え動作を無効にして図3に示すフローチャート(S303〜S306)を実行する。また、加熱開始の際に前記の調理メニューが選択されたときに、図5に示すフローチャートを実行するようにしても良い。また、図3のS303の後に図7に示すフローチャート(S601〜S607)を実行するようにしても良い。
また、本実施の形態では、予め設定された温度範囲を80℃≦t≦110℃として説明したが、この温度範囲に限定されるものではない。例えば、自動検出モードの動作範囲をふきこぼれ発生の可能性がある温度帯に設定すればよく、また温度検出部14の検出方法によっても適宜設定されるものである。
実施の形態3.
実施の形態1では、油温や鍋温度を制御する調理メニューが選択されたときに自動検出モードから検出無効モードに切り替えるようにし、実施の形態2では、鍋100の温度が温度範囲かどうかに応じて自動検出モードと検出無効モードの何れかを選択するようにしたが、本実施の形態は、自動検出モードと検出無効モードの切り替えを入力電力の変化量に基づいて行うようにしたものである。
図8は実施の形態3に係る加熱調理器の加熱コイルの回路構成を示すブロック図である。なお、実施の形態1で説明した図1及び図2と同様の部分及び相当部分には同じ符号を付している。また、図中の回路構成は、加熱口2b側の加熱コイル11であるが、加熱口2aに対向配置されたもう一つの加熱コイルの回路構成も、図8に示す加熱口2b側と同様である。
本実施の形態の加熱調理器には、本調理器に入力する入力電力を検出する入力電力検出部17が設けられている。入力電力検出部17により検出された入力電力は加熱制御部13へ伝達される。加熱制御部13は、通常は自動検出モードで動作し、入力電力検出部17により検出された入力電力の変化量が所定量を超えたときに特定の条件が成立したと判定して検出無効モードに切り替える。
次に、本実施の形態の加熱調理器の動作を図8及び図9を用いて説明する。図9は実施の形態3に係る加熱調理器の動作を示すフローチャートである。
図9に示すフローチャートにおいて、加熱制御部13は、先ず、ふきこぼれ検出を有効にする自動検出モードで加熱動作を開始する(S801)。続いて、加熱制御部13は、入力電力検出部17により検出された加熱中の加熱調理器への入力電力Wを測定する(S802)。そして、加熱制御部13は、測定した入力電力Wの所定時間当たりの変化量│ΔW│が所定量P以下であるかどうかを判定する(S803)。加熱制御部13は、入力電力Wの変化量│ΔW│が小さいと判定したときには、ふきこぼれ検出を有効にする自動検出モードを継続し(S807)、ふきこぼれが発生したかどうかを判定しながら加熱動作を継続する(S808)。
また、加熱制御部13は、S803において、入力電力Wの変化量│ΔW│が所定量Pより大きいと判定した場合には、自動検出モードから検出無効モードに切り替え設定し(S805)、上面表示部9bに『ふきこぼれ検出無効』を表示して使用者に報知すると共に、加熱動作を継続する(S806、S808)。加熱制御部13は、加熱動作の継続中、入力電力Wを測定し(S802)、入力電力Wの所定時間当たりの変化量│ΔW│の大小に合わせて自動検出モードと検出無効モードの何れかに切り替えながら加熱動作を継続する。
本実施の形態は、自動検出モードと検出無効モードの切り替えに関して、入力電力Wの変化量│ΔW│が予め設定された所定量P以上か又は以下かによって切り替えるが、所定時間当たりの入力電力Wの変化量│ΔW│が大きく変化している場合には、鍋100(加熱調理器にとっては負荷)が移動することによって生じ、使用者が鍋100を移動させて調理しているという可能性が高い。更に所定時間当たりの入力電力Wの変化量│ΔW│が増減を繰り返す場合には、使用者による鍋振り(あおり)が想定される。このように入力電力Wが大きく変化する場合においては、使用者が鍋100を動かして調理を行っていることが想定される。
以上のように実施の形態3においては、所定時間当たりの入力電力Wの変化量│ΔW│が大きく変化する場合、即ち使用者による鍋100の移動や鍋振りが想定され、ふきこぼれ発生の可能性が低いと判断できる場合においては電極15による静電容量Cの変化が生じても検出無効モードで動作させて、ふきこぼれを検出する自動検出モードによる火力低下や停止の動作を行うことなく加熱を継続するので、調理の出来栄えを損なうことが無い。
さらに、ふきこぼれ検出を有効にする自動検出モードと検出無効モードとの切り替えを入力電力Wの変化量│ΔW│の大小で行うようにしているので、使用者は特段の設定操作の必要が無く、利便性を向上させた加熱調理器を提供できる。
また、加熱調理器の動作として自動検出モードが優先して設定され、ふきこぼれの可能性が無いと判定した場合にのみ、検出無効モードとしてふきこぼれ検出をしないようにしているので、ふきこぼれ検出による誤動作をなくすことが可能になる。
また、自動検出モードから検出無効モードに切り替えた際に、上面表示部9b(9a)に『ふきこぼれ検出無効』を表示するようにしているので、使用者に対してふきこぼれ検出が働かない状態であるということを認識させることが可能になり、注意喚起を促すことができる。また、ふきこぼれ検出が有効な状態にあるときには表示しないようにしているので、使用者がふきこぼれ検出の状態を意識せずに使用することが可能になり、ふきこぼれ検出が有効か無効か使用者が迷うことが無いという効果がある。
なお、本実施の形態では、入力電力検出部17により検出された入力電力Wの変化量│ΔW│が所定量Pを超えたときに特定の条件が成立したと判定して自動検出モードから検出無効モードに切り替えるようにしたが、これに加えて、温度検出部14により検出された鍋100の温度tが予め設定された温度範囲(80℃≦t≦110℃)外のときに特定の条件が成立したと判定して自動検出モードから検出無効モードに切り替えるようにしても良い。つまり、何れか一方が自動検出モードから検出無効モードに切り替えたときに、それを有効にする。
また、本実施の形態では、加熱開始の際に自動検出モードでの加熱動作を行うようにしたが(S801)、加熱開始の際に油温や鍋温度を制御する調理メニューなどのふきこぼれのない調理メニューが選択されたかどうかを判定するようにしても良い。その調理メニューが選択された場合には、検出温度tと温度範囲(80℃≦t≦110℃)の比較結果に基づく自動検出モードと検出無効モードの切り替え動作を無効にして図3に示すフローチャート(S302〜S306)を実行する。また、図3のS303の後に図9に示すフローチャート(S801〜S808)を実行するようにしても良い。
さらに、本実施の形態では、加熱開始の際に自動検出モードでの加熱動作を行っているときに、所定時間当たりの入力電力Wの変化量│ΔW│が所定量Pより大きいかどうか(S803)、鍋100の温度tが温度範囲(80℃≦t≦110℃)に入っているかどうかを判定するようにしても良い(図7のS603参照)。この場合、入力電力Wの変化量│ΔW│が所定量Pより小さく、鍋100の温度tが温度範囲のときに自動検出モードでの加熱動作を行い、鍋100の温度tが温度範囲外で、入力電力Wの変化量│ΔW│が所定量Pを超えたときに自動検出モードから検出無効モードに切り替える。このように構成した場合、動作モードの選択をより正確に行うことができる。
なお、実施の形態1乃至3では、ふきこぼれ検出が無効の場合の表示を『ふきこぼれ検出無効』として説明したが、表示内容はこれに限定するものではない。例えば、LEDなどの発光素子を発光させて表示するなど別の表示方法でも良く、使用者にふきこぼれ検出が現在無効であるということが報知できれば表示の文言は特に限定するものではなく、何れの方法によっても同様の効果を得ることができる。
また、実施の形態1乃至3では、ふきこぼれ検出が無効の場合のみ上面表示部9a、9bにその旨を表示するようにしたが、ふきこぼれ検出が有効の場合のみ上面表示部9a、9bにその旨を表示するようにしても良い。また、自動検出モード及び検出無効モードの動作モードが切り替わる度に、その動作モードを上面表示部9a、9bに表示して使用者に報知するようにしても良い。
さらに、実施の形態1乃至3の説明において、トッププレート2の下方に配置した電極15をトッププレート2の裏面に印刷形成したものとして説明したが、電極15の配置については特に限定するものではない。例えば、トッププレート2の裏面に電極15をバネなどの弾性体によって押付ける構造などでもよく、トッププレート2の裏面に密着するような構造であれば何れでも構わない。
1 本体ケース、2 トッププレート、2a、2b、2c 加熱口、3 枠体、4 上面操作部、5 グリル扉、6a、吸気口、6b 排気口、7、8 前面操作部、7a、8a 火力調節ダイヤル、9a〜9c 上面表示部、11 加熱コイル、12 駆動回路、13 加熱制御部、14 温度検出部、15 電極、16 静電容量測定回路、17 入力電力検出部、100 鍋。

Claims (7)

  1. 本体ケースの上部に設けられたトッププレートと、
    前記トッププレートに載置された被加熱物を加熱する加熱コイルと、
    被加熱物の温度を検出する温度検出部と、
    前記加熱コイルへの通電を制御し、被加熱物の加熱を制御する加熱制御部と、
    前記加熱コイルの周囲の前記トッププレートの裏面に配置された複数の電極と、
    前記トッププレート上に被調理物が載置されたときに前記電極に生じる静電容量を測定する静電容量測定回路とを備え、
    前記加熱制御部は、前記静電容量測定回路の測定結果を加熱の制御に反映する自動検出モード、及び前記静電容量測定回路の測定結果を加熱の制御に反映しない検出無効モードを有し、通常は自動検出モードで動作し、前記温度検出部により検出された被加熱物の温度が予め設定された温度範囲より低いとき、及び前記温度が前記温度範囲を超えたときには、検出無効モードに切り替えることを特徴とする加熱調理器。
  2. 前記加熱制御部は、加熱開始の際にふきこぼれの可能性のない調理メニューが選択されたときには、検出無効モードに切り替えると共に、被加熱物の温度と前記温度範囲との比較結果に基づく自動検出モードと検出無効モードの切り替え動作を無効にすることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
  3. 前記加熱制御部は、加熱開始の際にふきこぼれの可能性のない調理メニュー以外の調理メニューが選択されたときには、被加熱物の温度と前記温度範囲とを比較することを特徴とする請求項2記載の加熱調理器。
  4. 加熱動作中の入力電力を検出する入力電力検出部を備え、
    前記加熱制御部は、前記入力電力検出部により検出された入力電力の変化量が所定量を超えたときに検出無効モードに切り替えることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
  5. 記加熱制御部は、前記温度検出部により検出された被加熱物の温度が予め設定された温度範囲より低いとき、及び前記温度範囲を超えているときに、入力電力の変化量が所定量を超えたときには、検出無効モードに切り替えることを特徴とする請求項4記載の加熱調理器。
  6. 前記加熱制御部は、被加熱物の温度が予め設定された温度範囲で、入力電力の変化量が所定量より小さいときに自動検出モードとすることを特徴とする請求項5記載の加熱調理器。
  7. 加熱動作中の状態や設定内容を表示する表示部を備え、
    前記加熱制御部は、自動検出モードあるいは検出無効モードの何れかの動作モードを前記表示部に表示し、使用者に報知することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の加熱調理器。
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